特許異議申立
2022-700759
情報処理装置、管理プログラム、管理方法、および、情報処理システム
- 審判番号
- 2022-700759
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-216983
- 登録番号
- 7063315
- 請求日
- 2022年08月03日
- 審決日
- 2023年07月14日
- 公報発行日
- 2023年10月27日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】オムロン株式会社
- 【権利者代理人】村上 尚
- 【異議申立人】伊藤 裕美
- 審判長/審判官
- 審判長 須田 勝巳
- 審判官 中村 信也
- 審判官 脇岡 剛
- 分類
- P1651.121-YAA(G06F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第5項、特許法第29条第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7063315号発明「情報処理装置、管理プログラム、管理方法、および、情報処理システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7063315号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5、15〕、〔6、16〕、〔7~9〕、〔10、11〕、12、13、14について訂正することを認める。
特許第7063315号の請求項4、5、6、10、11、12、14、15、16に係る特許を維持する。
特許第7063315号の請求項1~3、7~9、13に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7063315号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~15に係る特許についての出願は、令和1年11月29日の出願であって、令和4年4月25日にその特許権の設定が登録され、令和4年5月9日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立て以降の経緯は、次のとおりである。
令和4年8月 3日 :特許異議申立人 伊藤裕美(以下、「申立人」
という。)による本件特許に対する特許異議の
申立て
令和5年2月10日付け:取消理由通知書
令和5年4月17日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
なお、当審から令和5年5月9日付けで申立人に対して訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)を、期間を指定して行ったが、当該期間内に申立人からは応答がなかった。
第2 訂正の適否についての判断
1 訂正の内容
令和5年4月17日に提出された訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~16について訂正することを求めるものであり、その訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、訂正箇所に下線を付して示すと、以下のとおりである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を削除する。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「前記表示制御部は、前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを表示するための画面データを生成する」と記載されているのを、「前記テストモードにおいて、前記表示制御部は、前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを前記停止優先度設定画面に表示するための画面データを生成する」に訂正する(請求項4の記載を引用する請求項5及び15も同様に訂正する)。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項6に、「前記画面データは、前記各ゲストOSのシャットダウン時間の累計時間と、前記各ゲストOSのシャットダウンの成否と、前記累計時間の制限時間と、をさらに含む請求項4又は5に記載の情報処理装置。」とあるうち、請求項4を引用するものについて、独立形式に改め、「制御部を備えた情報処理装置であって、前記制御部は、仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部と、前記複数のゲストOSの稼動状態と、前記複数のゲストOSを備える1又は複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置の状態とを参照して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを開始する停止条件を満たしたか否かを判定する判定部と、前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが設定するための停止優先度設定画面を表示する表示制御部と、を備え、前記判定部により前記停止条件を満たしたと判定された場合に前記停止優先度に従って前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するテストモードとは別に、ユーザの操作により前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するテストモードを有し、前記第1の管理部は、前記ユーザの操作により前記テストモードの開始の指示を受け付けると、前記停止優先度を取得し、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行し、前記表示制御部は、前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを表示するための画面データを生成し、前記画面データは、前記各ゲストOSのシャットダウン時間の累計時間と、前記各ゲストOSのシャットダウンの成否と、前記累計時間の制限時間と、をさらに含む情報処理装置。」に訂正する。
(6)訂正事項6
(訂正事項6-1)
特許請求項の範囲の請求項15に「請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置を含む1又は複数の情報処理装置と、前記複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置と、前記情報処理装置と前記無停電電源装置を制御する1又は複数の制御装置とを備える、情報処理システム。」とあるうち、請求項4又は5を引用するものについて「請求項4又は5に記載の情報処理装置を含む1又は複数の情報処理装置と、前記複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置と、前記情報処理装置と前記無停電電源装置を制御する1又は複数の制御装置とを備える、情報処理システム。」に訂正する。
(訂正事項6-2)
特許請求項の範囲の請求項15に「請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置を含む1又は複数の情報処理装置と、前記複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置と、前記情報処理装置と前記無停電電源装置を制御する1又は複数の制御装置とを備える、情報処理システム。」とあるうち、請求項6を引用するものについて「請求項6に記載の情報処理装置を含む1又は複数の情報処理装置と、前記複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置と、前記情報処理装置と前記無停電電源装置を制御する1又は複数の制御装置とを備える、情報処理システム。」と記載し、新たに請求項16とする。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7を削除する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8を削除する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項9を削除する。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項10に「前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを表示するための画面データを生成する画面データ生成ステップ」と記載されているのを、「前記テストモードにおいて、前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを前記停止優先度設定画面に表示するための画面データを生成する画面データ生成ステップ」に訂正する(請求項10の記載を引用する請求項11も同様に訂正する)。
(11)訂正事項11
特許請求項の範囲の請求項12に、「前記画面データは、前記各ゲストOSのシャットダウン時間の累計時間と、前記各ゲストOSのシャットダウンの成否と、前記累計時間の制限時間と、をさらに含む請求項10又は11に記載の管理プログラム。」とあるうち、請求項10を引用するものについて、独立形式に改め、「1又は複数の情報処理装置上で実行される管理プログラムであって、仮想OS上で動作する複数のゲストOSの稼動状態と、前記複数のゲストOSを備える前記1又は複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置の状態とを参照して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを開始する停止条件を満たしたか否かを判定する判定ステップと、前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが設定するための停止優先度設定画面を表示させる表示ステップと、前記判定ステップにより前記シャットダウンが必要と判定された場合に前記停止優先度に従って前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するモードとは別に、ユーザの操作により前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するテストモードの開始の指示を受け付けると、前記停止優先度を取得し、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する第1の管理ステップと、前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを表示するための画面データを生成する画面データ生成ステップと、を実行し、前記画面データは、前記各ゲストOSのシャットダウン時間の累計時間と、前記各ゲストOSのシャットダウンの成否と、前記累計時間の制限時間と、をさらに含む管理プログラム。」に訂正する。
(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項13を削除する。
(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項14に「前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを表示するための画面データを生成する画面データ生成ステップ」と記載されているのを、「前記テストモードにおいて、前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを前記停止優先度設定画面に表示するための画面データを生成する画面データ生成ステップ」に訂正する。
2 訂正の適否
(1)訂正事項1~3について
ア 訂正の目的について
訂正事項1~3は請求項1~3を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求項の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1~3は請求項1~3を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1~3は請求項1~3を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(2)訂正事項4について
ア 訂正の目的について
訂正事項4は、訂正前の請求項4に記載された「前記表示制御部は、前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを表示するための画面データを生成する」を「前記テストモードにおいて、前記表示制御部は、前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを前記停止優先度設定画面に表示するための画面データを生成する」と記載することにより、テストモードにおいて進捗チャートを表示すること、及びその表示場所をより具体的に特定し、さらに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求項の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アの理由から明らかなように、訂正事項4は、「前記テストモードにおいて、前記表示制御部は、前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを前記停止優先度設定画面に表示するための画面データを生成する」と記載することにより、テストモードにおいて進捗チャートを表示すること、及びその表示場所をより具体的に特定し、さらに限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4は、願書に添付した明細書中の発明の詳細な説明に基づいて導き出される構成である。進捗チャートの表示場所に係る説明として、段落【0044】には、「コントローラ部125は・・・(略)・・・停止優先度設定画面16に進捗チャートを表示させる。」との記載がなされており、段落【0075】には、「実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記」との記載がなされており、段落【0081】には、「サーバ1は・・・(略)・・・コントローラ部(表示制御部)125をさらに備えていてもよい。」との記載がなされている。すなわち、明細書には、テストモードを有する情報処理装置においても停止優先度設定画面16に進捗チャートを表示させることが記載されている。また、段落【0081】には、「サーバ1は、テストモードにおける各仮想マシン14のシャットダウン時間を表示するための画像データを生成する」との記載がなされており、段落【0082】には、「図9に示すように、上記の画面データは」との記載があり、図9には、停止テストの進捗チャートを示す画面が示されている。すなわち、明細書および図面には、テストモードにおいて進捗チャートを表示させることについて記載されているから、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(3)訂正事項5について
ア 訂正の目的について
訂正事項5は、訂正前の請求項6が請求項4又は5の記載を引用する記載であるところ、請求項5を引用しないものとした上で、請求項4を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるための訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とするものである。
イ 実質上特許請求項の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項5は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項5は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(4)訂正事項6について
ア 訂正の目的について
訂正事項6は、訂正前の請求項15において、8つの引用関係を有するもの(請求項1を引用するもの、請求項1及び請求項2を引用するもの、請求項1及び請求項3を引用するもの、請求項1、請求項2及び請求項3を引用するもの、請求項4を引用するもの、請求項4及び請求項5を引用するもの、請求項4及び請求項6を引用するもの、請求項4、請求項5及び請求項6を引用するもの)が含まれているところ、訂正事項6-1により、訂正後の請求項15はそのうち2つの引用関係を有するもの(請求項4を引用するもの、請求項4及び請求項5を引用するもの)を、訂正事項6-2により、訂正後の請求項16はそのうち1つの引用関係を有するもの(請求項4及び請求項6を引用するもの)を、それぞれ含むこととなり、全体として含まれる引用関係の数が減少するから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求項の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項6は、引用する請求項の数を減少させるものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項6は、引用する請求項の数を減少させるものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(5)訂正事項7~9について
ア 訂正の目的について
訂正事項7~9は請求項7~9を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求項の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項7~9は請求項7~9を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項7~9は請求項7~9を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(6)訂正事項10について
ア 訂正の目的について
訂正事項10は、訂正前の請求項10に記載された「前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを表示するための画面データを生成する」を「前記テストモードにおいて、前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを前記停止優先度設定画面に表示するための画面データを生成する」と記載することにより、テストモードにおいて進捗チャートを表示すること、及びその表示場所をより具体的に特定し、さらに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求項の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アの理由から明らかなように、訂正事項10は、「前記テストモードにおいて、前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを前記停止優先度設定画面に表示するための画面データを生成する」と記載することにより、テストモードにおいて進捗チャートを表示すること、及びその表示場所をより具体的に特定し、さらに限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項10は、願書に添付した明細書中の発明の詳細な説明に基づいて導き出される構成である。進捗チャートの表示場所に係る説明として、段落【0044】には、「コントローラ部125は・・・(略)・・・停止優先度設定画面16に進捗チャートを表示させる。」との記載がなされており、段落【0075】には、「実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記」との記載がなされており、段落【0081】には、「サーバ1は・・・(略)・・・コントローラ部(表示制御部)125をさらに備えていてもよい。」との記載がなされている。すなわち、明細書には、テストモードを有する情報処理装置においても停止優先度設定画面16に進捗チャートを表示させることが記載されている。また、段落【0081】には、「サーバ1は、テストモードにおける各仮想マシン14のシャットダウン時間を表示するための画像データを生成する」との記載がなされており、段落【0082】には、「図9に示すように、上記の画面データは」との記載があり、図9には、停止テストの進捗チャートを示す画面が示されている。すなわち、明細書および図面には、テストモードにおいて進捗チャートを表示されていることについて記載されているから、訂正事項10は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(7)訂正事項11について
ア 訂正の目的について
訂正事項11は、訂正前の請求項12が請求項10又は請求項11の記載を引用する記載であるところ、請求項11を引用しないものとした上で、請求項10を引用するものについて請求項間の引用関係を解消して、独立形式請求項へ改めるためであり、特許法第120条の5第2項ただし書第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。
イ 実質上特許請求項の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項11は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項11は、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(8)訂正事項12について
ア 訂正の目的について
訂正事項12は請求項13を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求項の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項12は請求項13を削除するものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項12は請求項13を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(9)訂正事項13について
ア 訂正の目的について
訂正事項13は、訂正前の請求項14に記載された「前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを表示するための画面データを生成する」を「前記テストモードにおいて、前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを前記停止優先度設定画面に表示するための画面データを生成する」との記載により、テストモードにおいて進捗チャートを表示すること、及びその表示場所をより具体的に特定し、さらに限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 実質上特許請求項の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
上記アの理由から明らかなように、訂正事項13は、「前記テストモードにおいて、前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを前記停止優先度設定画面に表示するための画面データを生成する」と記載することにより、テストモードにおいて進捗チャートを表示すること、及びその表示場所をより具体的に特定し、さらに限定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項13は、願書に添付した明細書中の発明の詳細な説明に基づいて導き出される構成である。進捗チャートの表示場所に係る説明として、段落【0044】には、「コントローラ部125は・・・(略)・・・停止優先度設定画面16に進捗チャートを表示させる。」との記載がなされており、段落【0075】には、「実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記」との記載がなされており、段落【0081】には、「サーバ1は・・・(略)・・・コントローラ部(表示制御部)125をさらに備えていてもよい。」との記載がなされている。すなわち、明細書には、テストモードを有する情報処理装置においても停止優先度設定画面16に進捗チャートを表示させることが記載されている。また、段落【0081】には、「サーバ1は、テストモードにおける各仮想マシン14のシャットダウン時間を表示するための画像データを生成する」との記載がなされており、段落【0082】には、「図9に示すように、上記の画面データは」との記載があり、図9には、停止テストの進捗チャートを示す画面が示されている。すなわち、明細書および図面には、テストモードにおいて進捗チャートを表示されていることについて記載されているから、訂正事項13は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。
(10)独立特許要件について
本件特許異議の申立ては、本件訂正前の全ての請求項についてされているから、本件訂正について、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定されている独立特許要件は課されない。
(11)一群の請求項について
ア 訂正前の請求項1~6及び15について、請求項2~3及び15は、請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。また、請求項4~6及び15は、請求項4を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項4によって記載が訂正される請求項4に連動して訂正されたものである。
したがって、訂正前の請求項1~6及び15に対応する訂正後の請求項1~6、15及び16は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
イ 訂正前の請求項7~9について、請求項8及び9は、請求項7を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項7によって記載が訂正される請求項7に連動して訂正されたものである。
したがって、訂正前の請求項7~9に対応する訂正後の請求項7~9は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
ウ 訂正前の請求項10~12について、請求項11及び12は、請求項10を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項10によって記載が訂正される請求項10に連動して訂正されたものである。
したがって、訂正前の請求項10~12に対応する訂正後の請求項10~12は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
(12)別の訂正単位とする求めについて
訂正後の請求項6及び16について、特許権者は、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位とすることを求めているところ、上記のとおり訂正は認められるので、当該別の訂正単位とする求めを認める。
また、訂正後の請求項12について、特許権者は、当該請求項についての訂正が認められる場合には、一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位とすることを求めているところ、上記のとおり訂正は認められるので、当該別の訂正単位とする求めを認める。
3 小括
以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5、15〕、〔6、16〕、〔7~9〕、〔10、11〕、12、13、14について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
上記第2のとおり本件訂正請求は認められるから、本件訂正請求により訂正された請求項1~16に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明16」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~16に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】(削除)
【請求項2】(削除)
【請求項3】(削除)
【請求項4】
制御部を備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、
仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部と、
前記複数のゲストOSの稼動状態と、前記複数のゲストOSを備える1又は複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置の状態とを参照して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを開始する停止条件を満たしたか否かを判定する判定部と、
前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが設定するための停止優先度設定画面を表示する表示制御部と、
を備え、
前記判定部により前記停止条件を満たしたと判定された場合に前記停止優先度に従って前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するモードとは別に、ユーザの操作により前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するテストモードを有し、
前記第1の管理部は、前記ユーザの操作により前記テストモードの開始の指示を受け付けると、前記停止優先度を取得し、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行し、
前記テストモードにおいて、前記表示制御部は、前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを前記停止優先度設定画面に表示するための画面データを生成する、
情報処理装置。
【請求項5】
前記画面データは、前記テストモードにおける各ゲストOSのシャットダウン時間をさらに含む、
請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
制御部を備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、
仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部と、
前記複数のゲストOSの稼動状態と、前記複数のゲストOSを備える1又は複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置の状態とを参照して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを開始する停止条件を満たしたか否かを判定する判定部と、
前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが設定するための停止優先度設定画面を表示する表示制御部と、
を備え、
前記判定部により前記停止条件を満たしたと判定された場合に前記停止優先度に従って前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するモードとは別に、ユーザの操作により前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するテストモードを有し、
前記第1の管理部は、前記ユーザの操作により前記テストモードの開始の指示を受け付けると、前記停止優先度を取得し、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行し、
前記表示制御部は、前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを表示するための画面データを生成し、
前記画面データは、
前記各ゲストOSのシャットダウン時間の累計時間と、
前記各ゲストOSのシャットダウンの成否と、
前記累計時間の制限時間と、
をさらに含む情報処理装置。
【請求項7】(削除)
【請求項8】(削除)
【請求項9】(削除)
【請求項10】
1又は複数の情報処理装置上で実行される管理プログラムであって、
仮想OS上で動作する複数のゲストOSの稼動状態と、前記複数のゲストOSを備える前記1又は複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置の状態とを参照して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを開始する停止条件を満たしたか否かを判定する判定ステップと、
前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが設定するための停止優先度設定画面を表示させる表示ステップと、
前記判定ステップにより前記シャットダウンが必要と判定された場合に前記停止優先度に従って前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するモードとは別に、ユーザの操作により前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するテストモードの開始の指示を受け付けると、前記停止優先度を取得し、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する第1の管理ステップと、
前記テストモードにおいて、前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを前記停止優先度設定画面に表示するための画面データを生成する画面データを生成する画面データ生成ステップと、
を実行する管理プログラム。
【請求項11】
前記画面データは、前記テストモードにおける各ゲストOSのシャットダウン時間をさらに含む、
請求項10に記載の管理プログラム。
【請求項12】
1又は複数の情報処理装置上で実行される管理プログラムであって、
仮想OS上で動作する複数のゲストOSの稼動状態と、前記複数のゲストOSを備える前記1又は複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置の状態とを参照して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを開始する停止条件を満たしたか否かを判定する判定ステップと、
前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが設定するための停止優先度設定画面を表示させる表示ステップと、
前記判定ステップにより前記シャットダウンが必要と判定された場合に前記停止優先度に従って前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するモードとは別に、ユーザの操作により前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するテストモードの開始の指示を受け付けると、前記停止優先度を取得し、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する第1の管理ステップと、
前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを表示するための画面データを生成する画面データ生成ステップと、
を実行し、
前記画面データは、
前記各ゲストOSのシャットダウン時間の累計時間と、
前記各ゲストOSのシャットダウンの成否と、
前記累計時間の制限時間と、
をさらに含む管理プログラム。
【請求項13】(削除)
【請求項14】
1又は複数の情報処理装置上で実行される管理方法であって、
仮想OS上で動作する複数のゲストOSの稼動状態と、前記複数のゲストOSを備える前記1又は複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置の状態とを参照して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを開始する停止条件を満たしたか否かを判定する判定ステップと、
前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度をユーザが設定するための停止優先度設定画面を表示させる表示ステップと、
前記判定ステップにより前記シャットダウンが必要と判定された場合に前記停止優先度に従って前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するモードとは別に、ユーザの操作により前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するテストモードの開始の指示を受け付けると、前記停止優先度を取得し、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する第1の管理ステップと、
前記テストモードにおいて、前記複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを前記停止優先度設定画面に表示するための画面データを生成する画面データ生成ステップと、
を含む管理方法。
【請求項15】
請求項4又は5に記載の情報処理装置を含む1又は複数の情報処理装置と、
前記複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置と、
前記情報処理装置と前記無停電電源装置を制御する1又は複数の制御装置とを備える、情報処理システム。
【請求項16】
請求項6に記載の情報処理装置を含む1又は複数の情報処理装置と、
前記複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置と、
前記情報処理装置と前記無停電電源装置を制御する1又は複数の制御装置とを備える、情報処理システム。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
本件訂正前の本件特許に対して、当審が令和5年2月10日に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
理由1(進歩性)本件特許の請求項1~5、7~11、13~15に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された引用文献1~引用文献6に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記の請求項1~5、7~11、13~15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
引用文献1:特開2009-37271号公報(甲第1号証)
引用文献2:特開2008-140029号公報(甲第2号証)
引用文献3:Schneider Electric、「ユーザーズガイドPowerChute Network Shutdown v4.1 VMware」、2015年7月(甲第3号証)
引用文献4:特開2001-296916号公報(甲第4号証)
引用文献5:特許第6029165号公報(甲第5号証)
引用文献6:白山貴之、加藤学、清水亮夫、桂島航、「VMware 自動化ガイドスクリプティングとワークフローによる管理テクニック」、2014年11月13日、翔泳社(甲第6号証)
上記引用文献1~6は、それぞれ順に申立人が提出した甲第1号証~甲第6号証である。
第5 取消理由(進歩性)についての当審の判断
1 引用文献及び引用発明
(1)引用文献1の記載事項
引用文献1には、関連する図面とともに、以下の事項が記載されている(下線は、当審において付加したものである。以下、同じ。)。
A「【0003】
一方、昨今は一台の物理計算機上に複数の仮想計算機を稼動させる仮想化システムが台頭しており、前述の分散システムを、一台の物理計算機上の複数仮想計算機で構築するケースが出現してきた。この場合においても、物理計算機上で稼動する複数の仮想計算機間に依存関係が存在する場合は、その停止時に適切な順序で各仮想計算機を停止する必要がある。特に物理計算機本体の電源切断時のように、物理計算機そのものを停止する場合には、物理計算機上で稼動する全ての仮想計算機を適切な順序で停止する必要がある。」
B「【0008】
本発明は、依存関係を持った複数の仮想計算機システムにおいて、システム構築時に停止順位を決めておくことにより、のちにオペレータが任意の仮想計算機を停止するときに、当該仮想計算機をのみを指定するという単純な操作で、当該仮想計算機の停止の前提となる他の全ての計算機を予め決定した順序で停止し、複数仮想計算機の安全な停止を実現することを可能とするものである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、複数の仮想計算機を効率よく停止し、システム全体の停止時間を短縮することである。
【0010】
計算機装置には、外部から情報の登録および変更を可能とする停止順位情報格納部を設け、各仮想計算機毎または任意の仮想計算機を纏めたグループ毎に、当該仮想計算機を停止するときに前もって停止が必要な全ての仮想計算機を順位とともに登録する。任意の仮想計算機の停止の指示がある場合は、仮想計算機制御部がこの停止順位情報格納部を参照して、当該仮想計算機の停止に関連する全ての仮想計算機の適切な順での停止を仮想計算機停止処理部に指示する。このとき、仮想計算機制御部は停止指示した仮想計算機の状態監視を仮想計算機状態監視部に指示し、先の順が指定された仮想計算機の停止処理が完了した後、次の順の仮想計算機の停止処理を行うという手順を踏んで、前記停止順位情報で指定された全ての仮想計算機を停止する。この方式によれば、オペレータは任意の仮想計算機を指定して停止の指示を行うという簡単な操作で、関連する全ての仮想計算機を予め決められた順序で安全に停止することが可能となる。また、仮想計算機の追加時においても、外部より前記停止順位情報格納部に必要な情報を追加することで、新たに制御の対象とすることが出来る。」
C「【0013】
図1は、本発明の実施例を含む構成図である。(100)は物理計算機であって、仮想計算機制御部(200)、停止順位情報(300)(当審注:「停止順位情報(300)」は、「停止順位情報格納部(300)」の誤記と認められる。)、仮想計算機停止処理部(400)、仮想計算機状態監視部(500)を含む。(600)は物理計算機(100)上で稼動する仮想計算機群である。ここでは、各仮想計算機を(600)、(601)、…(60n)とする。仮想計算機制御部(200)は、外部入力インタフェース(700)を通じて、停止順位情報格納部(300)に情報を格納することができる。また、外部入力インタフェース(700)から、任意の仮想計算機の停止指示を受け取ると、停止順位情報格納部(300)内の登録情報を参照し、その内容に基づいて仮想計算機停止処理部(400)に対して仮想計算機群(600)のうちいずれかの仮想計算機の停止を指示す
る。と同時に、仮想計算機監視部(500)に対して、当該仮想計算機の監視指示を行う。仮想計算機停止処理部(400)は、仮想計算機制御部(200)からの指示に従い、仮想計算機群(600)のうちいずれかの仮想計算機の停止処理を実施する。仮想計算機状態監視部(500)は、停止処理が実施された仮想計算機の状態を監視し、停止状態を検出すると仮想計算機制御部(200)に報告を行う。当該仮想計算機の停止報告を受けた仮想計算機制御部(200)は、停止順位情報格納部(300)の登録情報に基づき、次に停止する仮想計算機を特定し、再び仮想計算機停止処理部(400
)にする仮想計算機の停止と、仮想計算機監視部(500)に対する当該仮想計算機の監視指示を行う。これを外部から停止指示された仮想計算機を停止するための全ての仮想計算機が停止するまで繰り返す。以下、図2、図3、図4を用いて、さらに詳細に述べる。」
D「【0015】
ここで図3は停止順位情報格納部に格納する情報の例である。この例における対象仮想計算機列は外部からの停止指示を行うときに指定するキーワードであって、このキーワードごとに停止する仮想計算機の順序を停止順列に登録する。このとき、順序は停止順位という単位で登録し、同じタイミングで停止することが可能な仮想計算機は、同じ停止順位列内に登録する。1から7までの数字はそれぞれ、仮想計算機1から仮想計算機7を示す識別子である。ALLは物理計算機上の全ての仮想計算機の集合を示す。システム1 およびシステム2 は任意の仮想計算機のグループを示している。この例では、図2の破線(1500)で示した集合(GR. 1, 仮想計算機1(800)から仮想計算機6(1300)の集合)と、同じく破線(1600)で示した集合(Gr. 2, 仮想計算機7(1400)のみ)を定義している。これら停止順位情報格納部の全ての内容は、図1の(700)で示される外部入力インタフェースと仮想計算機制御部を経由して任意に登録することが出来る。」
E「【0016】
図4は、外部からの指示を受け付けた後の仮想計算機制御部の動作フローである。仮想計算機制御部は、仮想計算機を示す識別子かまたは集合名のキーワードとともに停止の指示を受け付けると、停止順位情報格納部の対象仮想装置列をサーチする(1900)。該当するエントリを発見したら、当該エントリの最初の集合(集合1)に登録されている全ての仮想計算機の情報を読み込む(2000)。次に、読み込んだ全ての仮想計算機の停止を仮想計算機停止処理部へ指示する(2100)。同時に、これら仮想計算機の状態監視を仮想計算機監視部へ指示し(2200)、仮想計算機停止処理部から全ての仮想計算機の停止報告がなされるまで待つ(2300), (2400)。読み込んだ全ての仮想計算機の停止報告がなされたら、再び停止順位情報格納部を参照し、現在読んでいる集合の次の集合に登録されている全ての仮想計算機の情報を読み込む(2500)。集合内に仮想計算機の情報が登録されていなくなるまで、(2100)からのステップを繰り返す(2600)。」
F「【図1】
[図:0001402744000001.jpg]
」
(当審注:停止順位情報(300)は、停止順位情報格納部(300)の誤記と認められる。)
G「【図3】
[図:0001402744000002.jpg]
」
H「【図4】
[図:0001402744000003.jpg]
」
(2)引用発明
ア 上記(1)C、Fによれば、引用文献1には、物理計算機は、仮想計算機制御部、停止順位情報格納部、仮想計算機停止処理部を含むことが記載されている。
したがって、仮想計算機制御部は、物理計算機の構成要素であるから、引用文献1には、「物理計算機」が「仮想計算機制御部を備え」ることが記載されており、また、「物理計算機」は「停止順位情報格納部」と、「仮想計算機停止処理部」を備えることが記載されていると認められる。
イ 上記(1)Cによれば、引用文献1には、物理計算機上で稼動する仮想計算機群が記載されているところ、仮想計算機群は複数の仮想計算機からなることは明らかであり、上記(1)Aによれば、仮想化システムは物理計算機上に複数の仮想計算機を稼動させることが記載されている。
したがって、引用文献1には、「物理計算機上に複数の仮想計算機を稼動させる仮想化システム」が記載されていると認められる。
ウ 上記(1)A、B、C、Dによれば、物理計算機上で稼動する複数の仮想計算機間に依存関係が存在していることから、適切な順序で各仮想計算機を停止する必要があり、仮想計算機を予め決められた順序で安全に停止するために、当該停止する順位とともに停止順位情報格納部へ登録しており、外部入力インタフェースを通じて情報が停止順位情報格納部へ登録されることが記載されている。
したがって、引用文献1には、「外部入力インタフェースを通じて複数の仮想計算機を適切な順序で、安全に停止する順位の情報が登録された停止順位情報格納部」が記載されていると認められる。
エ 上記(1)B、Cによれば、オペレータが任意の仮想計算機を指定して停止の指示を行うことで、仮想計算機を予め決められた順序で安全に停止し、当該停止の指示は、外部入力インタフェースから受け取ることが記載されている。
したがって、引用文献1には、「オペレータは外部入力インタフェースから停止の指示を行う」ことが記載されていると認められる。
オ 上記(1)C、Eによれば、仮想計算機制御部は、外部入力インタフェースから、仮想計算機の停止指示を受け取ると、停止順位情報格納部内の登録情報を参照し、その内容に基づいて、仮想計算機停止処理部に対して、仮想計算機の停止を指示し、仮想計算機停止処理部は仮想計算機制御部からの指示に従い、仮想計算機の停止処理を実施し、仮想計算機制御部は仮想計算機の停止報告を受け、仮想計算機制御部は停止順位情報格納部の登録情報に基づき、次に停止する仮想計算機を特定し、再び仮想計算機停止処理部に次に停止する仮想計算機の停止の指示を行い、外部から停止指示された仮想計算機を停止するための全ての仮想計算機が停止するまで繰り返すことが記載されている。
そして、上記登録情報は、上記ウのとおり、登録された「複数の仮想計算機を適切な順序で、安全に停止する順位の情報」である。
したがって、引用文献1には、「仮想計算機制御部は、外部入力インタフェースから停止の指示を受け取ると、複数の仮想計算機を適切な順序で、安全に停止する順位の情報に基づき、仮想計算機停止処理部に対して、仮想計算機の停止を指示し、仮想計算機停止処理部は仮想計算機の停止処理を実施し、仮想計算機制御部は仮想計算機の停止報告を受け、次に停止する仮想計算機を特定して次に停止する仮想計算機の停止の指示を行い、仮想計算機停止処理部は、次に停止する仮想計算機の停止処理を実施する」ことが記載されていると認められる。
以上より、引用文献1には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されていると認められる。
「物理計算機上に複数の仮想計算機を稼動させる仮想化システムの物理計算機であって、
仮想計算機制御部と、外部入力インタフェースを通じて複数の仮想計算機を適切な順序で、安全に停止する順位の情報が登録された停止順位情報格納部と、仮想計算機停止処理部とを備え、
オペレータは外部入力インタフェースから停止の指示を行い、前記仮想計算機制御部は、外部入力インタフェースから停止の指示を受け取ると、複数の仮想計算機を適切な順序で、安全に停止する順位の情報に基づき、仮想計算機停止処理部に対して、仮想計算機の停止を指示し、仮想計算機停止処理部は仮想計算機の停止処理を実施し、仮想計算機制御部は仮想計算機の停止報告を受け、次に停止する仮想計算機を特定して前記次に停止する仮想計算機の停止の指示を行い、仮想計算機停止処理部は、前記次に停止する仮想計算機の停止処理を実施する
物理計算機。」
(3)引用文献2の記載事項
引用文献2には、次の事項が記載されている。
「【0002】
近年、パーソナルコンピュータに代表される情報処理装置の普及が進んでおり、その重要性は年々増している。
【0003】
情報処理装置の駆動に使用される電力は、商用交流電源から直接供給されることが多いので、例えば、商用交流電源の瞬間的な電圧の低下(瞬断)や突然の停電等の異常が発生すると、その時点で情報処理装置によって処理されていた情報が破損したり、損失してしまったりする他、内蔵するハードディスク等が故障してしまう等の情報処理装置に不具合が発生することも起こり得る。
【0004】
そこで、このような不具合の発生を回避するため、商用交流電源と情報処理装置との間に無停電電源装置(以下、UPS(Uninterruptible Power Supply)とも称する)を設ける方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
このUPSは、商用交流電源が正常である場合、商用交流電源からの電力を情報処理装置に供給し、商用交流電源に異常が発生した場合、商用交流電源からの電力に代えて、内蔵するバッテリからの電力を情報処理装置に供給するようになされている。
【0006】
したがって、このようなUPSの動作により、UPSを介して電力が供給される情報処理装置は、商用交流電源に異常が発生したとしても、UPS内のバッテリから供給される電力を電源として実行中の処理をそのまま続行することが可能となる。
【0007】
しかしながら、UPSに内蔵されているバッテリは、あくまでも予備電源であって、その電力供給能力に限りがある。即ち、バッテリが所定のレベル以上の電圧を出力可能な時間(以下、給電可能時間と称する)には限りがあり、UPSのバッテリに給電可能時間の限りがあるが故、情報処理装置とUPSのそれぞれは動作を
制限する必要が生ずる。
【0008】
一方の情報処理装置は、商用交流電源の異常発生に対応してUPSに内蔵されたバッテリから電力供給を受けた場合、UPSの給電可能時間以内に、これまで実行していた処理を停止させ、予め定められた手順に従って、自分自身の状態を稼動状態から電力供給が遮断されても不都合の生じない休止状態に遷移させる処理(以下、このような一連の処理を、シャットダウン処理と称する)を実行する必要がある。」
以上より、引用文献2には、次の技術的事項が開示されている。
「商用交流電源と情報処理装置との間に無停電電源装置を設け、商用交流電源の異常発生に対応して、無停電電源装置からの電力供給を受け、シャットダウン処理を行うこと。」
(4)引用文献3の記載事項
引用文献3には、次の事項が記載されている。
P.38
「仮想マシンの優先度付けを使うと、仮想マシンの移行、シャットダウン、電源オンの順番を指定できます。」
P.38
「VMの優先度付け
仮想マシンは、3つの優先度グループ(高/中/低)に分けることができます。VM優先度付けが有効なときは、データセンター、クラスター、仮想マシンのイベントリビューが左側に表示されます。右側には、高/中/低の優先度グループが一覧表示されます。」
P.39
「
[図:0001402744000004.jpg]
」
以上より、引用文献3には、次の技術的事項が開示されている。
「仮想マシンの優先度付けを設定することで、シャットダウンの順番を画面上で指定するインタフェース。」
(5)引用文献4の記載事項
引用文献4には、図面とともに次の事項が記載されている。
A「【0012】
【発明の実施の形態】以下図面を用いて本発明を詳しく説明する。図1は本発明の一実施例を示す構成図である。図1で、イベントヒストリ用メモリ10には、警報イベント、操作記録イベント、バッチ実行に関するステータスイベント等が混在して格納されている。これらのイベントはその発生時刻と関連付けて格納されている。格納されたイベント情報の中には、バッチプロセスの開始時刻及び終了時刻、操作員に操作を要求する操作要求イベント、操作員が行った操作を示す操作イベント等がある。
【0013】
第1の作成手段11は、イベントヒストリ用メモリ10から、ある銘柄のバッチプロセスに関する開始時刻と終了時刻、このバッチプロセスの工程内にあるサブ工程の開始時刻と終了時刻の情報を抽出し、工程実行結果の時間帯情報を作成する。この時間帯情報はバッチプロセスの実行時間帯をバー形式で表示したガントチャートで表示される。バッチプロセスが複数のサブ工程からなるときは、各サブ工程を実行するユニット処方を実行順に並べたガントチャートにする。」
「【0018】
図2はこのような表示画面例を示した図である。図2のA1に示すように、ある銘柄の製品を生産するバッチプロセスの開始時間から終了時間までについて、各時間帯(例えば各30分毎、各10分毎等)におけるイベントの発生頻度をバランストレンドグラフに表示する。開始時間と終了時間の情報はイベントヒストリ用メモリ10から検索する。バランストレンドグラフでは、警報メッセージ、ガイダンスメッセージ等のような操作要求イベントを上向き(プラス側)に表示する。操作イベントは操作要求イベントに対応する形で下向き(マイナス側)に表示する。なお、操作要求イベントと操作イベントの向きはこの逆であってもよい。」
B「【図2】
[図:0001402744000005.jpg]
」
以上より、引用文献4には、次の技術的事項が開示されている。
「実行に関するイベントをメモリに格納し、メモリから開始時刻、終了時刻を抽出して、実行時間帯を表示したチャートで表示すること。」
(6)引用文献5の記載事項
引用文献5には、図面とともに次の事項が記載されている。
A「【技術分野】
【0001】
本発明は、仮想マシン管理システム、管理サーバ及び仮想マシン管理方法に関し、特に、停電等が発生した際に、仮想サーバ上で動作する仮想マシンの停止順序を自動的に制御することが可能な管理システム、管理サーバ及び管理方法に関する。」
「【0007】
ところで、起動中の仮想マシンを停止させる場合において、仮想サーバ上で起動している複数の仮想マシン間や、各々の仮想マシン上で起動しているプログラム間で連携や依存関係があるときには、これらの関係を考慮して、仮想マシンに対する停止制御を順序付けて行う必要がある。
【0008】
また、フェールオーバにより、仮想マシンの実行を継続させる場合には、仮想マシンが仮想サーバ上を移動するため、どの仮想サーバ上で仮想マシンが起動しているかを考慮して、仮想マシンに対する停止制御を順序付けて行う必要がある。
【0009】
このような順序付けた仮想マシンの停止制御は、仮想マシンを計画的に停止させる場合に限られず、例えば、突然の停電時等においても同様であり、停電発生後、管理者等の操作によって停止操作を行うことができない状況でも、仮想マシン間やプログラム間の依存関係を考慮した仮想マシンの停止順序制御を自動的に行う必要がある。」
B「【0025】
図1は、本発明にかかる仮想マシン管理システムの一実施の形態を示し、この仮想マシン管理システム1は、大別して、管理サーバ10、複数の仮想サーバ20、20、・・・、複数の無停電電源装置30、30、・・・、及び無停電電源装置40で構成される。図1に示す例では、3つの仮想サーバ20A、20B、20C及び3つの無停電電源装置30A、30B、30Cを用いた場合を示す。」
C「【0062】
次に、図9を参照して、停止処理の流れについて説明する。まず、管理サーバ10の停止制御部16は、接続管理テーブルに基づき、停止順位の早い無停電電源装置30に接続された仮想サーバ20と、当該仮想サーバ20上で起動中の仮想マシン21の情報を取得する(ステップS31)。
【0063】
次に、停止制御部16は、取得した情報に基づき、仮想マシン21に対して停止処理を実行する(ステップS32)。そして、停止制御部16は、同一の無停電電源装置30に接続された仮想サーバ20上で起動中の他の仮想マシン21が存在するか否かを判断し(ステップS33)、他の仮想マシン21が存在すると判断した場合(ステップS33;Yes)には、処理がステップS32に戻り、当該仮想マシン21に対して停止処理を実行する。
【0064】
一方、同一の無停電電源装置30に接続された仮想サーバ20上に他の仮想マシン21が存在せず、すべての仮想マシン21に対する停止処理が完了したと判断した場合(ステップS33;No)には、処理がステップS34に移行し、停止制御部16は、仮想サーバ20に対して停止処理を実行する。」
D「【図1】
[図:0001402744000006.jpg]
」
以上より、引用文献5には、次の技術的事項が開示されている。
「全ての仮想マシンに対する停止処理が完了すると、仮想サーバに対して停止処理を行うこと。」
(7)引用文献6の記載事項
引用文献6には、次の事項が記載されている。
P.52
「VM向け操作は、仮想マシンのESXi上でのパス(以下、<VMXパス>と表記)に続けて操作を指定する、という記述になります。」
「表示から分かるように、-lで表示されるのは、イベントリに登録している仮想マシンのvmxファイルのパスになります。vmware-cmd.plでは仮想マシンの指定にこのパスを利用するので、これは便利です。
では、個別の仮想マシンの確認や操作をやってみます。例えば、仮想マシンが起動しているかは、「<vmxパス>getstate」で分かります。」
「上の図の場合は、offが返されたため仮想マシンは起動していないことがわかります。次に、「<vmパス>gettoolslastactive」を実行し、仮想マシンを起動してみます。」
P.53
「ゲストOSが正しく起動したかは、VMware toolsの稼働状況で確認できます。VMware Toolsの稼働状況の確認は、「<vmパス>gettoolslastactive」を使います。」
「戻り値の意味は、それぞれ以下のようになります。
・0 :仮想マシンが起動してから、まだVMwareToolsからハートビートが返ってない
・1 :VMwareToolsから正常にハートビートが返ってきている
・5 :VMwareToolsからのハートビートは返ってきているが、欠けたり遅延している
・100:VMwareToolsからのハートビートが途絶えている
VMware Toolsのハートビートは毎秒送られており、これを受信することでESXiは仮想マシンが正しく動作していることを確認しています。「<vmパス>gettoolslastactive」では、このハートビートの現状を表示します。」
P.54
「仮想マシンの停止には、「<vmパス>stop soft」もしくは「<vmパス>stop hard」を使います。Stop softはvSphere Clientでの「ゲストOSのシャットダウン」に相当し、VMware Toolsを使いOSにシャットダウンをかけてから仮想マシンを停止します。softでの実行は、VMware Toolsがインストールされていて、実行され
ている必要があります。また、stop hardは「パワーオフ」に相当し、ゲストOSの稼働状況にかかわらず、仮想マシンの電源を止めてしまいます。」
以上より、引用文献6には、次の技術的事項が開示されている。
「仮想マシンが起動しているかどうかを確認するコマンド(getstate)やゲストOSの稼働状況を確認するコマンド(gettoolslastactive)、及びゲストOSのシャットダウンをするコマンド(stop soft)を行うツール。」
2 本件発明4について
(1)対比
本件発明4と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。
ア 引用発明の「物理計算機」は本件発明4の「情報処理装置」に相当する。
イ 引用文献1には、「物理計算機」に作成した「仮想計算機」において、アプリケーションを動作させるために稼動させるOSに関する明示の記載は無いが、それぞれの仮想計算機においてOSを稼動させることは当業者の技術常識であるから、引用発明の「仮想計算機」は、本件発明4の「ゲストOS」に相当するソフトウェア手段を備えていることは明らかである。また、引用発明の「物理計算機」上においては、それらの「仮想計算機」を作成、実行するための、周知のハイパーバイザーのようなソフトウェア手段を備えていることもまた、当業者の技術常識であるから、引用発明は、本件発明4の「仮想OS」に相当するソフトウェア手段を備えていることは明らかである。
そして、引用発明において、「仮想計算機」を「停止」することは、本件発明4において、「ゲストOS」を「シャットダウン」することに相当し、引用発明の「仮想計算機制御部」、「停止順位情報格納部」及び「仮想計算機停止処理部」は、「仮想計算機」の「停止」を管理、実行する手段として機能している点において、本件発明4の「制御部」ならびに当該制御部に備わる「第1の管理部」に対応する機能を果たすものである。
ウ 引用発明の「外部入力インタフェース」を通じて「停止順位情報格納部」に「複数の仮想計算機を適切な順序で、安全に停止する順位の情報」を登録することは、本件発明4の「複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度」を「設定」することに相当し、引用発明において、「仮想計算機停止処理部は仮想計算機の停止処理を実施し、仮想計算機制御部は仮想計算機の停止報告を受け、次に停止する仮想計算機を特定して前記次に停止する仮想計算機の停止の指示を行い、仮想計算機停止処理部は、前記次に停止する仮想計算機の停止処理を実施する」ことは、本件発明4において「前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、当該第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合に、第2のゲストOSのシャットダウンを実行」することに相当する。
(2)一致点、相違点
上記(1)より、本件発明4と引用発明との間には次の一致点、相違点があるといえる。
・一致点
「制御部を備えた情報処理装置であって、
前記制御部は、
仮想OS上で動作する複数のゲストOSのシャットダウンを管理する第1の管理部、
を備え、
前記複数のゲストOSをシャットダウンするための順序を示す停止優先度を設定し、
第1の管理部は、前記停止優先度に従って、前記複数のゲストOSのうち、第1のゲストOSのシャットダウンを実行し、第1のゲストOSのシャットダウンが完了した旨の情報を取得した場合、第2のゲストOSのシャットダウンを実行する、
情報処理装置。」
・相違点
(相違点1)
本件発明4は、複数のゲストOSの稼動状態と、前記複数のゲストOSを備える1又は複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置の状態とを参照して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを開始する停止条件を満たしたか否かを判定する判定部を有し、前記判定部により前記停止条件を満たしたと判定された場合に、ゲストOSのシャットダウンを実行するモードと、ユーザの操作により前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するテストモードを有し、ユーザの操作により前記テストモードの開始の指示を受け付けると、停止優先度を取得して、シャットダウンを実行するのに対し、引用発明は、無停電電源装置の状態を参照して停止条件を判定するものではなく、外部入力インタフェースからの停止指示で仮想計算機の停止を開始している点。
(相違点2)
本件発明4は、ユーザが設定するための停止優先度設定画面を表示する表示制御部を有し、テストモードにおいて、複数のゲスト複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを停止優先度設定画面に表示するための画面データを生成するのに対し、引用発明は外部入力インタフェースを経由して、登録することが記載されているものの、設定画面を表示することについて明記がなく、さらに設定画面に進捗チャートを表示するための画面データを生成することは記載されていない点。
(3)判断
事案に鑑み、相違点2について検討する。
引用文献3(上記1(4)を参照。)には、仮想マシンの優先度付けを設定することで、シャットダウンの順番を画面上で指定するインタフェースが記載されているものの、当該インタフェースは設定するための画面であり、設定に基づいて処理した結果を表示するものではない。
そうすると、引用文献4(上記1(5)を参照。)に記載のように、実行に関するイベントをメモリに格納し、メモリから開始時刻、終了時刻を抽出して、実行時間帯を表示したチャートで表示することが周知の技術であったとしても、引用発明において、引用文献3のシャットダウンの順番を画面上で指定するインタフェースを採用して設定画面を構成した上で、更に、シャットダウンの状況を取得し、前記設定画面上に、シャットダウンの進捗チャートを表示するための画面データを生成するということは当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
また、上記の点は、引用文献2(上記1(3)を参照。)、引用文献5(上記1(6)を参照。)及び引用文献6(上記1(7)を参照。)の記載によっても、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
したがって、本件発明4は、当業者であっても、引用発明及び引用文献2~6に記載された事項に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
3 本件発明5、10、11、14、15について
本件発明5は、本件発明4の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を加え、本件発明4を限定するものであるから、上記2(3)と同様の理由により、引用発明及び引用文献2~6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、本件発明10、11は本件発明4、5をプログラムの発明としたものであり、本件発明14は、本件発明4を方法の発明としたものであり、本件発明15は本件発明4又は本件発明5の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を加えているから、上記2(3)と同様の理由により、引用発明及び引用文献2~6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第6 取消理由通知において採用しなかった申立理由について
1 申立人は特許異議申立書において、証拠方法として、下記の甲第1号証~甲第8号証を提出し、本件訂正前の請求項6に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、周知技術(甲第2、3、4、7号証)及び甲第8号証に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は取り消すべきものである旨主張していたが、当審では、この申立理由を取消理由通知において採用しなかった。
そして、本件発明6は、訂正事項5により、本件訂正前の請求項4又は5を引用するものであった本件訂正前の請求項6のうち請求項4を引用するものについて独立形式に改めたものである。
そこで、取消理由通知において採用しなかった本件発明6の進歩性について、以下検討する。
(証拠方法)
甲第1号証:特開2009-37271号公報
甲第2号証:特開2008-140029号公報
甲第3号証:Schneider Electric、「ユーザーズガイドPowerChute Network Shutdown v4.1 VMware」、2015年7月
甲第4号証:特開2001-296916号公報
甲第5号証:特許第6029165号公報
甲第6号証:白山貴之、加藤学、清水亮夫、桂島航、「VMware 自動化ガイドスクリプティングとワークフローによる管理テクニック」、2014年11月13日、翔泳社
甲第7号証:特開2010-26706号公報
甲第8号証:特開2004-21298号公報
2 各甲号証の記載
(1)甲第1号証~甲第6号証は、取消理由における引用文献1~引用文献6にそれぞれ対応するものであり、甲第1号証~甲第6号証の記載事項は、上記第5 1に記載した引用文献1~引用文献6の記載事項のとおりである。
(2)甲第7号証の記載事項
甲第7号証には、次の事項が記載されている。
「【0014】
遠隔命令送信部(1014)は手動操作の結果から、操作が失敗したのであれば、テスト操作情報による以降の操作を配信するかどうかを判断し、操作が成功したのであれば、それ以降のテスト操作情報を配信する。
ホストエージェント(105)はホストマシン(102)ごとに1つ存在する。遠隔命令送信部(1014)の命令を元に、仮想マシン(103)の起動、シャットダウン、初期化処理を行う。」
(3)甲第8号証の記載事項
甲第8号証には、次の事項が記載されている。
「【0027】
図3はこの処方の実行順を時間軸で表示したガントチャートであり、(A)は処方「処方名:Fried_egs」の開始から終了までの全体を示すガントチャート、(B)は計量シーケンス「設備名称:UTPB0001」の開始から終了までを示すガントチャート、(C)は反応シーケンス「設備名称:UTPB0002」の開始から終了までを示すガントチャートである。」
「【図3】
[図:0001402744000007.jpg]
」
3 本件発明6の進歩性について
(1)相違点
上記第5 2(1)の検討から、本件発明6と引用発明との間には次の相違点があるといえる。
(相違点1)
本件発明6は、複数のゲストOSの稼動状態と、前記複数のゲストOSを備える1又は複数の情報処理装置に接続された1又は複数の無停電電源装置の状態とを参照して、前記複数のゲストOSのシャットダウンを開始する停止条件を満たしたか否かを判定する判定部を有し、前記判定部により前記停止条件を満たしたと判定された場合に、ゲストOSのシャットダウンを実行するモードと、ユーザの操作により前記複数のゲストOSのシャットダウンを実行するテストモードを有し、ユーザの操作により前記テストモードの開始の指示を受け付けると、停止優先度を取得して、シャットダウンを実行するのに対し、引用発明は、無停電電源装置の状態を参照して停止条件を判定するものではなく、外部入力インタフェースからの停止指示で仮想計算機の停止を開始している点。
(相違点2)
停止優先度の設定について、本件発明6は、ユーザが設定するための停止優先度設定画面を表示する表示制御部を有するのに対し、引用発明は外部入力インタフェースを経由して、登録することが記載されているものの、設定画面を表示することについては明記されていない点。
(相違点3)
本件発明6の表示制御部は、複数のゲストOSのシャットダウンの状況を取得し、前記複数のゲストOSのシャットダウンの進捗チャートを表示するための画面データを生成し、前記画面データは、前記各ゲストOSのシャットダウン時間の累計時間と、前記各ゲストOSのシャットダウンの成否と、前記累計時間の制限時間とを含むのに対し、引用発明は進捗チャートを表示するための画面データを生成することは記載されていない点。
(2)判断
事案に鑑み、相違点3について検討する。
甲第4号証に記載のように、実行に関するイベントをメモリに格納し、メモリから開始時刻、終了時刻を抽出して、実行時間帯を表示したチャートで表示することは周知の技術であるものの、甲第4号証に記載されたものは開始時刻、終了時刻を示すチャートのみである。
そうすると、引用発明において、チャート表示する甲第4号証を適用した上で、更に各ゲストOSのシャットダウン時間の累計時間、各ゲストOSのシャットダウンの成否、累計時間の制限時間の具体的な要素を含むようにすることは当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
また、上記の点は、甲第2、3、7、8号証に記載された事項によっても、当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
したがって、本件発明6は、当業者であっても、引用発明及び甲第2号証ないし甲第4号証、甲第7号証及び甲第8号証に基づいて容易に発明をすることができたものとはいえない。
4 本件発明12、16について
本件発明12は本件発明6をプログラムの発明としたものであり、本件発明16は本件発明6の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を加えているから、上記3と同様の理由により、引用発明及び甲第2号証ないし甲第4号証、甲第7号証及び甲第8号証に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項4、5、6、10、11、12、14、15、16に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項4、5、6、10、11、12、14、15、16に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、請求項1~3、7~9、13に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議の申立てについて、請求項1~3、7~9、13に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2022-700759