特許異議申立
2025-700436
プログラム可能ライトカーテン
- 審判番号
- 2025-700436
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-550649
- 登録番号
- 7570099
- 請求日
- 2025年04月17日
- 審決日
- 2026年01月23日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】カーネギー メロン ユニバーシティ
- 【権利者代理人】弁理士法人川口國際特許事務所
- 【異議申立人】松岡 直之
- 審判長/審判官
- 審判長 道祖土 新吾
- 審判官 井海田 隆
- 審判官 関口 英樹
- 分類
- P1651.121-Z (G01B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7570099号発明「プログラム可能ライトカーテン」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7570099号の請求項1~23に係る特許を取り消す。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7570099号(以下「本件特許」という。)の請求項1~23に係る特許についての出願は、平成31年3月11日を国際出願日として外国語特許出願され(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2018年3月23日 米国)、令和6年10月10日にその特許権の設定登録がされ、令和6年10月21日に特許掲載公報が発行された。その特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和7年4月17日 : 特許異議申立人による特許異議の申立て
同年8月20日付け : 取消理由通知書
当合議体は、特許権者に対し、令和7年8月20日付けで取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者は応答しなかった。
以下、2018年(平成30年)3月23日を「優先日」という。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~23に係る発明(以下、請求項の番号に従って「本件発明1」等という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~23に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1~23の記載は次のとおりである。
「【請求項1】
照明平面を画定する光のラインを作り出すための光源、
感知平面における光のラインを感知するためのラインセンサーであって、感知される光のラインが照明平面と感知平面の交差によって画定される、ラインセンサー、
プロセッサー、
プロセッサーによって実行されるソフトウェアであって、
交差がライトカーテンを画定する事前定義された経路を追従するように、照明平面および感知平面を同期して操縦し、
ライトカーテン上の個別の位置において光源のオンおよびオフを循環させ、
ライトカーテンにぶつかるオブジェクトの存在を示す、ラインセンサーによって検出された光の変化を検出するために光源のオンおよびオフが循環される際にラインセンサーを読み出す
機能を実施するためのソフトウェア
を備える、システム。
【請求項2】
光源が、
レーザーダイオードと、
コリメーションレンズと、
パウエル型レンズと
を備え、第1の操縦可能ミラーに当たる前に、レーザーダイオードによって放射された光がパウエル型レンズによって光のラインに形成される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
ラインセンサーが、ピクセルの単一のラインを感知することができるレンズおよびセンサーを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
ソフトウェアが、
ライトカーテンと交差するオブジェクトの存在を示す、ラインセンサーによって検出された光の変化を検出する
さらなる機能を実施する、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
ソフトウェアが、
変化を検出すると、オフユニットにアラートを通信する
さらなる機能を実施する、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
照明平面および感知平面が平行軸の周りを回転される、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
照明平面および感知平面が2つの軸上を回転される、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
照明平面および感知平面が2つの点上を回転される、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
ラインセンサーが連続波飛行時間センサーである、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
照明平面および感知平面が操縦可能ガルボミラーによって操縦される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
照明平面および感知平面が機械的電動機によって操縦される、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
ラインセンサーがローリングシャッターまたは関心領域マスクを有する2Dセンサーである、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
ライン光源を第1の事前定義された経路上で前後に連続的に掃引することによって照明平面を作り出すことと、
ラインセンサーを第2の事前定義された経路上で前後に掃引することによって感知平面を作り出すことと、
照明平面および感知平面の交差を画定するラインが所望の形状のライトカーテンを作り出すように、第1の事前定義された経路および第2の事前定義された経路を同期させることと
を含む、方法。
【請求項14】
光源のオンおよびオフを循環させることと、
光源のオンおよびオフが循環される際にラインセンサーを読み出すことと
をさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ライトカーテンと交差するオブジェクトの存在を示す、ラインセンサーによって検出された光の変化を検出すること
をさらに含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
照明平面および感知平面が平行軸の周りを回転される、請求項13に記載の方法。
【請求項17】
照明平面および感知平面が2つの軸上を回転される、請求項13に記載の方法。
【請求項18】
照明平面および感知平面が2つの点上を回転される、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
プロセッサーによって実行されると、
ライン光源を第1の事前定義された経路上で前後に連続的に掃引することによって照明平面を作り出し、
ラインセンサーを第2の事前定義された経路上で前後に掃引することによって感知平面を作り出し、
照明平面および感知平面の交差を画定するラインが所望の形状のライトカーテンを作り出すように、第1の事前定義された経路および第2の事前定義された経路を同期させる
ステップを実施する命令を収容する、非一時的コンピュータ可読記憶媒体。
【請求項20】
プロセッサーによって実行されると、
光源のオンおよびオフを循環させ、
光源のオンおよびオフが循環される際にラインセンサーを読み出す
ステップを実施するさらなる命令を収容する、請求項19に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項21】
プロセッサーによって実行されると、
ライトカーテンと交差するオブジェクトの存在を示す、ラインセンサーによって検出された光の変化を検出する
ステップを実施するさらなる命令を収容する、請求項19に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項22】
プロセッサーによって実行されると、
変化を検出すると、オフユニットにアラートを通信する
ステップを実施するさらなる命令を収容する、請求項19に記載のコンピュータ可読記憶媒体。
【請求項23】
プロセッサーによって実行されると、
ライトカーテン中の同じラインを二度、一度は光源による照明を伴い、一度は伴わず、読み出し、読値を引き算することにより、ラインセンサーによって感知された光から周辺光をフィルターする
ステップを実施するさらなる命令を収容する、請求項20に記載のコンピュータ可読記憶媒体。」
第3 取消理由の概要
請求項1~23に係る特許に対して、当審において、令和7年8月20日付けの取消理由通知において特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
請求項1~23に係る発明は、甲1号証に記載された発明に、甲2号証~甲7号証及び引用文献1~4に記載された技術事項、並びに、周知技術を転用することにより、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~23に係る特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
よって、請求項1~23に係る特許は、取り消されるべきものである。
第4 甲号証及び引用文献の記載等
令和7年8月20日付けの取消理由通知において引用した甲号証及び引用文献等は以下のとおりである。
<主たる引用文献>
甲1号証 :Matthew O’ Toole, Supreeth Achar, Srinivasa G. Narasimhan, and Kiriakos N. Kutulakos,「Homogeneous Codes for Energy-Efficient Illumination and Imaging 」, ACM Transactions on Graphics, Vol.34, No.4, Article No.35, p.1-13, 2015年7月27日
<周知技術等を示す文献>
甲2号証 :Christoph Mertz, Sanjeev J. Koppal, Solomon Sia, Srinivasa Narasimhan, 「A low-power structured light sensor for outdoor scene reconstruction and dominant material identification」, 2012 IEEE Computer Society Conference on Computer Vision and Pattern Recognition Workshops, 2012年7月16日
甲3号証 :国際公開第2016/098400号
甲4号証 :特開2003-272061号公報
甲5号証 :国際公開第2016/131036号
甲6号証 :特開2016-91006号公報
甲7号証 :特開平8-159756号公報
引用文献1 :特開2010-190812号公報
引用文献2 :特開2008-180646号公報
引用文献3 :特表2005-526289号公報
引用文献4 :特表2014-518400号公報
なお、甲1号証~甲7号証は、特許異議申立人が提出した文献であり、引用文献1~4は、当審の職権調査により発見した文献である。
以下、各甲号証の文献を、単に「甲1」、各引用文献を「引1」等という。
1 甲1の記載事項と甲1発明の認定等
(1) 甲1の記載事項
取消理由で通知したように、甲1には、以下の事項が記載されている。
摘記の後の括弧内に合議体が作成した日本語訳を示す。下線は合議体が付した(第4において、以下同様。)。
ア 第7ページ右欄第2行~第15行(第5節第1段落~第2段落)
「Scanning-based laser projectors operate on a different principle than mask-based projectors. These projectors use a MEMS mirror to steer a laser beam and raster-scan across the scene, sending all their energy to just one pixel at a time. We consider these projectors at the more granular timescale of a single scanline, where they act as impulse projectors whose “impulses” are scanlines (Section 3.1). By aligning the projector’s scanlines with the rows of a rolling shutter camera-whose ability to mask individual rows electronically provides a sequence of “impulse” masks-we obtain a system with very high energy efficiency for many transport probing tasks.
Our prototype is portable and consists of nothing more than an off-the-shelf camera and off-the-shelf projector whose only modifications are synchronization electronics-no passive or active optical components are required beyond a simple color filter.」
(走査型レーザープロジェクタは、マスクベースのプロジェクタとは異なる原理で動作する。これらのレーザープロジェクタMSミラーを用いてレーザービームを操ってシーンにわたってラスタ走査させ、ある時間におけるエネルギーをただ1つのピクセルに送る。これらのプロジェクタを、単一走査線のより細かい時間スケールで考察してみよう。プロジェクタは、その「インパルス」が走査線(セクション3.1)であるインパルスプロジェクターとして機能する。プロジェクタの走査線をローリングシャッターカメラ-その個々の列を電子的にマスクするという能力が、連続的に「インパルス」マスクを提供する-の列に合わせることで、多くの伝送探査タスクにおいて非常に高いエネルギー効率を実現するシステムが実現できる。
私たちのプロトタイプは、ポータブルで、市販のカメラと市販のプロジェクタのみで構成されており、変更点は同期用電子機器のみである。単純なカラーフィルタ以外には、受動的、又は能動的な光学部品は必要ない。)
イ 第7ページ右欄第25行~第8ページ左欄第10行(第5節第4段落)
「Rolling-shutter cameras for “impulse” masking For outdoor experiments we use an IDS Imaging UI-3250CP-M-GL (1600×1200) monochrome CMOS rolling-shutter camera, fitted with a 532nm laser line cut filter (centered on the projector’s green laser wavelength) with a passband of 10nm. For indoor experiments we use an IDS Imaging UI-3240CP-C-HQ (1280×1024) color CMOS camera. In both cases, we use the cameras’ rolling shutter to implement sensor masking [Muller 2012].
At any point in time, the rolling shutter can expose either a singlerow or a band of rows.The rolling shutter is triggered by the VSYNC signal generated by the projector. Figure 13 shows our cameras’ timing diagram. We use tp to denote the timeslice for which the projector dwells on a single scanline. The speed at which the rolling shutter progresses down the rows of the image (tc) is determined by the pixel clock frequency; we choose this frequency and the focal length of camera lens so that the downward velocity of exposed camera rows matches the downward velocity of the projector’s scanline. Increasing the row exposure (te) increases the thickness of the band of camera rows exposed for each projector scanline. Changing the delay (to) between the VSYNC signal from the projector and the trigger signal passed to the camera changes the offset between the illuminated row on the projector and the imaged row(s) on the camera.」
(「インパルス」マスクをするためのローリングシャッターカメラ 我々は、屋外実験では10 nmの通過帯域を有する532 nmレーザーラインカットフィルター(中心をプロジェクターの緑色レーザーの波長に置いたもの)を取り付けたIDS Imaging UI-250CP-M-GL(1600×1200)モノクロCMOSローリングシャッターカメラを使用し、屋内実験では、IDS Imaging UI-3240CP-C-HQ(1280×1024)カラーCMOSカメラを使用する。どちらの場合でも、我々は、センサマスキングを実施するためにカメラのローリングシャッターを使用する[Muller 2012]。任意の時点で、ローリングシャッターは、単一の行または複数行のバンドを露光することができる。ローリングシャッターは、プロジェクタによって生成されたVSYNC信号によってトリガされる。図13は、本発明のカメラのタイミング図を示す。tpはプロジェクタが一本の走査線上にとどまるタイムスライスを示す。ローリングシャッターが画像の行を下方に進む速度(tc)は、ピクセルクロック周波数によって決定される。我々は、カメラの露光された行の下降速度がプロジェクタの走査線の下降速度と一致するように、この周波数及びカメラレンズの焦点距離を選択する。1行の露光(te)を増加させると、各プロジェクタ走査線に対して露光されるカメラの行のバンドの厚さが増加する。プロジェクタからのVSYNC信号とカメラに渡されるトリガ信号との間の遅延(to)を変更することにより、プロジェクタ上の照明された行とカメラ上の撮像された行との間のオフセットが変更される。)
ウ 第10ページ左欄第1行~第12行(第5.3節)
「5.3 Disparity Gating
When the camera and projector are rotated about their optical axis by 90° so that projector scanlines and camera rows are perpendicular to the epipolar planes, the correspondence between scanlines and rows becomes dependent on scene depth. By changing the trigger offset to we can attenuate energy transmission on the basis of scene depth. This corresponds to probing with the disparity gating matrix shown in Figure 5. By capturing a sequence of images where each image “unblocks” direct surface reflections from narrow range of disparity values, we can recover the shape of a scene. In Figure 20 we demonstrate how disparity gating could be used to recover depth through participating media.」
(5.3 視差ゲーティング
プロジェクタの走査線及びカメラの行がエピポーラ平面に対して垂直になるように、カメラ及びプロジェクタがそれらの光軸を中心に90°回転されると、走査線と行との間の対応はシーンの奥行きに依存するようになる。トリガオフセットtoを変化させることによって、シーン深度に基づいてエネルギー伝送を減衰させることができる。これは、図5に示す視差ゲーティング行列を用いたプロービングに対応する。狭い範囲の視差値からの直接表面反射を「ブロック解除」する一連の画像をキャプチャすることによって、シーンの形状を復元することができる。図20では、関与媒質を通した深度の回復するために視差ゲーティングがどのように使用され得るかを紹介する。)
エ Figure 20及びその説明
「
[図:0001437372000001.jpg]
Figure 20: Disparity gating in participating media. We compare structured light with regular imaging to disparity gating. Disparity gating is able to reconstruct objects at a further distance through the smoke than regular structured light. For structured light, we use 20 patterns and average three 16.67ms exposures for each pattern. For disparity gating we divide the range of disparities in the scene into 60 slices and capture each slice with a 16.67ms exposure.
(図20:関与媒質における視差ゲーティング。我々は、視差ゲーティングに対して、通常の撮像による構造化光を比較する。視差ゲーティングは、通常の構造化された光よりも煙を通してより遠い距離にある物体を再構成することができる。構造化光の場合、20個のパターンを使用し、各パターンについて平均3回の16.67 ms露光を行う。視差ゲーティングでは、シーン内の視差の範囲を60個のスライスに分割し、各スライスを16.67 msの露光でキャプチャする。)
」
(2) 甲1から読み取れる事項の認定
ア 認定事項A
(ア) a 前記(1)アには「私たちのプロトタイプは、ポータブルで、市販のカメラと市販のプロジェクタのみで構成されており、変更点は同期用電子機器のみである。」及び「これらのプロジェクタは、MEMSミラーを用いてレーザービームを操ってシーンにわたってラスタ走査させる」と記載されている。「ラスタ走査」が、まず点を1次元的に走査して「走査線」(一般的には水平方向の線)を得て、走査線を走査線と垂直方向(一般的には下方)に走査することによって、2次元の画像を得るものであることを鑑みれば、甲1では、プロジェクタの光源から出たレーザービームは、仮想的な投影面上で、スポットが所定の方向(例えば水平方向であるx軸)へと所定の範囲で連続的に移動して走査線を形成した後、上記所定の方向と直交する方向(例えば垂直方向であるy軸の下方)に移動し、再度所定の方向へと所定の範囲移動して走査線を作るように、そのレーザービームの投射方向の変化が行われていることが読み取れる。
b ここで、レーザービームの走査は繰り返し行われているから、当該走査を全体としてみると、プロジェクタの光源から投射されるレーザービームは、スポットが所定の方向に動いている間は所定の面内(光源と投影面におけるスポットを結ぶ線分が、レーザービームの走査に伴って空間を移動することにより形成される面(以下、レーザー投射面という)内)を走査して走査線(例えば水平方向)を形成し、スポットが所定の方向と垂直な方向(例えば下方)に移動する間は、所定の面内から出る方向(仰角の減る方向)へと投射方向を変え、再度スポットが所定の方向に動く間、別の所定の面内(前記の所定の面より、仰角の減る方向へ回転した面内)を走査する(前記の走査線よりも下方に次の走査線を作る)、と言うことを繰り返して、レーザービームを2次元的に走査していることを意味している。
c そうすると甲1には、プロジェクタの光源がレーザー光の投射方向を連続的に掃引することによって、レーザー投射面を定めること、及び、レーザー投射面を回転するよう操縦していることが記載されているに等しいと言える。
(イ) a 前記(1)アの「ローリングシャッターカメラ」の「個々の列を電子的にマスクするという能力が、連続的に「インパルス」マスクを提供する」という記載、及び、前記(1)イの「「インパルス」マスクをするためのローリングシャッターカメラ」、「CMOSローリングシャッターカメラを使用」、「センサマスキングを実施するためにカメラのローリングシャッターを使用する」、「ローリングシャッターは、単一の行または複数行のバンドを露光することができる。」及び「ローリングシャッターが画像の行を下方に進む」との記載から、CMOSローリングシャッターカメラの読み出し列は、個々に電子的にマスクされ、単一の行又は複数行のバンドが露光されるようになっており、露光される行がカメラのローリングシャッターを使用することにより画像の下方へ向けて進むことが理解できる。
b ここで、「市販のカメラ」の「CMOSセンサ」は、カメラのレンズの光軸(例えばz軸とする)に対して垂直な面(x軸、y軸のなす面とする)について、水平・垂直いずれの方向も広がり(画角)を持ってCMOSのセンサ面に届く光を検出するものであり、CMOSセンサの1画素は、カメラの画角をその画素数で除した範囲の画角からの光を受け取るものである。
c そして、例えばローリングシャッターがある時点で露光するCMOSセンサの「水平な単一の行」が光を受け取る対象の空間(画角)は、カメラの光軸に対して垂直な面における「水平の線」を含む方向にカメラの画角の水平幅分だけ広がり、垂直方向には単一の行の画角分しか広がらない薄い立体角、つまり実質的に平面状のものとなる(以下、当該平面を「入射平面」という。)。また、CMOSセンサの水平な単一の行はライン状であり、ローリングシャッターは、感知するセンサの単一の行を順次変えていくとも言える。そして、ローリングシャッターによって感知するセンサの単一の行を移動することは、入射平面が回転するように走査する(操縦する)ものであるといえる。
(ウ) これらを踏まえると、甲1の第7ページ右欄第2行~第15行(第5節第1段落~第2段落)及び、第7ページ右欄第25行~第8ページ左欄第10行(第5節第4段落)の記載から、次のこと(以下「甲1認定事項A」という。)が読み取れる。
[甲1認定事項A]
「レーザープロジェクタとCMOSセンサからなるシステムは、レーザー光の投射方向を連続的に掃引することにより、レーザー投射面を定める光源と、入射平面内からの入射光を感知するように単一の行を露光するローリングシャッターを備えたCMOSセンサを含み、
レーザー投射面と、入射平面は回転するように操縦されること。」
イ 認定事項B
前記(1)イの「ローリングシャッターは、プロジェクタによって」「トリガされる。」、「カメラの露光された行の下降速度がプロジェクタの走査線の下降速度と一致する」との記載と、前記(2)ア(ア)aにも記載したように、レーザービームが形成する走査線が下方へと移動するように走査することが、「レーザー投射面を回転するよう操縦している」ことを意味すること、及び、前記(2)ア(イ)bのCMOSセンサの単一の行が写す画角がある平面からの入射光を感知するとともに、ローリングシャッターによって感知するセンサの単一の行を移動することにより、当該平面を回転するように操縦する、という事項を踏まえると、甲1の第7ページ右欄第25行~第8ページ左欄第10行(第5節第4段落)の記載から、次のこと(以下「甲1認定事項B」という。)が読み取れる。
[甲1認定事項B]
「レーザー投射面と、入射平面は同期するように操縦されていること。」
ウ 認定事項C
(ア) 前記(1)ウの「プロジェクタの走査線及びカメラの行がエピポーラ平面に対して垂直になるように、カメラ及びプロジェクタがそれらの光軸を中心に90°回転されると、走査線と行との間の対応はシーンの奥行きに依存するようになる」及び「トリガオフセットtoを変化させることによって、シーン深度に基づいてエネルギー伝送を減衰させることができる。」との記載から、当該例ではもともと一致させていた「レーザー投射面」と「入射平面」について、いずれも、その光軸を中心に90°回転することにより、エピポーラ平面(合議体注:光源とカメラと対象物の3点が含まれる面)に対して垂直な、2つの交わる面となる。その状態で「レーザー投射面」と「入射平面」が同期するように走査(操縦)されると、両面の交差によって形成される線は走査されることで面を画定する。
この両面の交差によって画定される線について、当該線が存在する領域に光学的な散乱要素が何もなければ、カメラに向かって光が散乱されることはなく、カメラには何も写らないが、この線に光学的な散乱要素が触れると、散乱されたレーザー光は、カメラ、つまり、CMOSセンサの単一の行撮影(検出)されることになる。
(イ) また、「この状態でトリガオフセットtoを変化させる」ことは、レーザーの投射のタイミングと、カメラの検知する単一の行(前記(2)ア(イ)b)との関係が変わるのであるから、「レーザー投射面」と「入射平面」の相対角度が変わることを意味する。そして、このことは、「シーン深度に基づいてエネルギー伝送を減衰させることができる」ことを踏まえると、「レーザー投射面」と「入射平面」の交わる線が走査されることによって形成される面の位置を前後(レーザーやセンサと近づいたり、遠ざかったりする方向)に移動させることを意味する。すなわち、「レーザー投射面と入射平面の交わる線が走査されることによってできる面」は、レーザーの投射のタイミングと、カメラの検知する単一の行、つまり、前記(2)ア(イ)bで言うCMOSセンサの単一の行の動き方と、トリガオフセットtoに基づいて決定される。またこれらは、走査の途中でリアルタイムに調整しなければならない旨の特段の記載は、甲1号証全体にわたって、どこにも見られないのであるから、事前に定義されたものであるということができる。
(ウ) この点について、前記(1)エのFigure 20の右から2枚目の写真(上下)では、写真が4分割されており、左上にDepth Slice15、右上にDepth Slice25、左下にDepth Slice35、右下にDepth Slice55との記載があり、これと「狭い範囲の視差値からの直接表面反射を「ブロック解除」する一連の画像をキャプチャすることによって、シーンの形状を復元することができるようにしている」との記載から、Figure 20の右から2枚目の写真は、トリガオフセットtoを変化させることによって前後に移動することになった、「レーザー投射面」と「入射平面」の交わる線が走査されることによって形成される面である、深度を変化させた位置ごとの平面の検出画像であることが見て取れる。
そして、各写真には、その深度に対応した面と交差する(言い換えれば、ぶつかる)オブジェクトの存在を感知していることがわかる。具体的には、Figure 20の上段の一番左側にシーンの全体が示されているところ、これと比較すると、Depth Slice 15では手前のオブジェクト(球体を背負った人の全身像)のみが選択的に感知され、Depth Slice 55では奥のオブジェクト(胸像)のみが選択的に感知されているなどしているため、「視差の範囲を60個のスライスに分割し、各スライスを16.67 msの露光でキャプチャする。」との記載も併せれば、「60個のスライス」のそれぞれは、事前に定義された「レーザー投射面と入射平面の交わる線が走査されることによってできる面」であり、当該「レーザー投射面と入射平面の交わる線が走査されることによってできる面」は、その面にレーザー光を散乱させる物体が接触した場合に、散乱光がセンサによって検出される面であることが理解できる。
(エ) そうすると、甲1の第10ページ左欄第1行~第12行(第5.3節)の記載及び、Figure 20の図面から、次のこと(以下「甲1認定事項C-1」等という。)が読み取れる。
[甲1認定事項C-1]
「レーザー投射面と入射平面が交差することによって画定される線は、レーザー光を散乱させる物体が当該線に触れると、それにより拡散されたレーザー光がCMOSセンサの単一の行によって検出される線であること。」
[甲1認定事項C-2]
「レーザー投射面と入射平面」は同期するように走査(操縦)され、両面の交差によって画定される線は走査されることでシーン深度毎の平面を画定すること。」
[甲1認定事項C-3]
「シーン深度毎の平面を画定するレーザー投射面と入射平面の走査は事前に定義されており、当該シーン深度毎の平面は、レーザー光を散乱させる物体が接触した場合に、散乱光がCMOSセンサの単一の行によって検出される面であること。」
(3) 甲1発明の認定
前記(1)に摘記した事項及び前記(2)において認定した認定事項A~Cを総合すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。また、甲1号証における認定の根拠となった箇所等を括弧内に示す。)が記載されている。
[甲1発明]
「レーザー光の投射方向を連続的に掃引することにより、レーザー投射面を定める光源と、
ある平面内からの入射光を感知する単一の行を露光するローリングシャッターを備えたCMOSセンサを含み、(甲1認定事項A)
レーザー投射面と、入射平面が、交差することによって画定される線は、レーザー光を散乱させる物体が当該線に触れると、それにより拡散されたレーザー光がローリングシャッターを備えたCMOSセンサによって検出される線であり、(甲1認定事項C-1)
レーザー投射面と入射平面は同期するように走査され(甲1認定事項B)、両面の交差によって画定される線は走査されることでシーン深度ごとの平面を画定し、(甲1認定事項C-2)
シーン深度ごとの平面を画定するレーザー投射面と入射平面の走査は走査の前に定義されており、当該シーン深度毎の平面は、レーザー光を散乱させる物体が接触した場合に、散乱光がローリングシャッターを備えたCMOSセンサによって検出される面となる、(甲1認定事項C-3)
レーザープロジェクタとCMOSセンサからなるシステム(甲1認定事項A)」
2 甲2~甲7、引1~4の記載事項等
(1) 甲2の記載事項及び甲3の記載事項並びに周知技術1の認定
ア 甲2記載事項
甲2(Christoph Mertz, Sanjeev J. Koppal, Solomon Sia, Srinivasa Narasimhan, 「A low-power structured light sensor for outdoor scene reconstruction and dominant material identification」)には、次の記載がある。
(ア) 16頁右欄36行目~43行目(第3節)
「One challenge with structured light setups in the outdoors is the very strong ambient lighting, e.g. sunlight. There are 5 common ways to increase the signal-to-ambient light ratio: (1) Increase the power of the projector’s light source (2) Use a wavelength where the ambient light is low (3) Narrow band filter (4) Pulsed light source and fast shutter (5) Background subtraction.」
(屋外において構造化光を設定するに際する1つの課題は、例えば太陽光のような非常に強い周囲照明である。信号対周囲光比を増加させる5つの一般的な方法が知られている:(1)プロジェクタの光源のパワーを増加させる(2)周囲光が低い波長を使用する(3)狭帯域フィルタ(4)パルス光源及び高速シャッター(5)背景減算。)
(イ) 17頁左欄22行目~31行目
「Lastly the background can be suppressed by taking an image with the projector on and one with the projector off. The second image is subtracted from the first to get the response without background. It is not actually necessary to shut the projector off; instead, we choose a different trigger delay which effectively moves the location of the projected line. In this way, one gets two images with the same background but with different projected lines. Subtracting one from the other and keeping only the positive values gives us a single line-stripe.」
(最後に、プロジェクタをオンにして画像を撮影し、プロジェクタをオフにして画像を撮影することによって、背景を抑制することができる。第2の画像は、背景なしで応答を得るために第1の画像から減算される。実際には、プロジェクタを遮断する必要はなく、投影された線の位置を効果的に移動させる異なるトリガ遅延を選択する。このようにして、同じ背景を有するが異なる投影線を有する2つの画像が得られる。一方を他方から減算し、正の値のみを保持することにより、単一のラインストライプが得られる。)
(ウ) 甲2から読み取れる事項の認定
前記(ア)、(イ)において摘記した事項を踏まえると、次のこと(以下「甲2技術事項」という。)が読み取れる。
[甲2技術事項]
「信号対周囲光比を増加させるという課題に対して、プロジェクタをオンにして画像を撮影し、プロジェクタをオフにして画像を撮影し、第2の画像は、背景なしで応答を得るために第1の画像から減算されるようにすることで、背景を抑制するという背景減算という技術、及び当該技術が一般的であること。」
イ 甲3の記載事項
甲3(国際公開第2016/098400号)には、次の記載がある。
(ア) [0044]
「[0044]
制御装置130の制御下、光源110は、参照光パターンを高輝度及び低輝度のそれぞれで被写体140に向けて出射する。即ち、参照光パターンを高輝度及び低輝度のそれぞれで被写体140を照射する。」
(イ) [0045]
「[0045]
ここで、撮像装置120は、第1の方向及び第2の方向に2次元マトリクス状に配列された撮像素子を有し、撮像装置120は、ローリングシャッター機構を有し、制御装置130は、高輝度照射状態において全ての撮像素子が参照光パターン及び被写体を撮像して第1画像信号を制御装置130に出力し、低輝度照射状態において全ての撮像素子が少なくとも被写体を撮像して第2画像信号を制御装置130に出力するように、光源110及び撮像装置120を制御する。」
(ウ) [0048]
「[0048]
尚、高輝度出射状態において、光源110は動作状態(即ち、参照光パターンを出射している状態)とされ、低輝度出射状態において、光源110は不動作状態(即ち、参照光パターンを出射していない状態)とされる。・・・高輝度照射状態において参照光パターン及び被写体140を撮像して第1画像信号を得る(図2A参照)。また、低輝度照射状態において少なくとも被写体140を撮像して第2画像信号を得る。具体的には、環境光下、被写体140を撮像して第2画像信号を得る(図2B参照)。」
(エ) [0052]
「[0052]
実施例1において、第2画像信号は、参照光パターンが存在しない状態で得られた画像信号であり、第1画像信号は、参照光パターンが存在する状態で得られた画像信号である。従って、第1画像信号と第2画像信号との差分を算出することで、参照光パターン画像信号を得ることができる。即ち、環境光は、第1画像信号及び第2画像信号のいずれにも含まれる。従って、第1画像信号と第2画像信号との差分を算出することで、参照光パターン画像信号から環境光の影響を除去することができる。」
(オ) 甲3から読み取れる事項の認定
前記(ア)~(エ)において摘記した事項を踏まえると、次のこと(以下「甲3技術事項」という。)が読み取れる。
[甲3技術事項]
「参照光パターンを出射している状態である動作状態と、参照光パターンを出射していない状態である不動作状態となるように光源110を制御し、
参照光パターンを出射している高輝度照射状態において全ての撮像素子が参照光パターン及び被写体を撮像して第1画像信号を得、参照光パターンを出射していない低輝度照射状態において全ての撮像素子が少なくとも被写体を撮像して第2画像信号を得ることによって、参照光パターンが存在しない状態で得られた第2画像信号と、参照光パターンが存在する状態で得られた第1画像信号を得て、第1画像信号と第2画像信号との差分を算出することにより、参照光パターン画像信号から環境光の影響を除去する技術。」
ウ 周知技術1の認定
前記ア(ウ)の[甲2技術事項]及びイ(オ)の[甲3技術事項]が知られていたことから、以下の技術事項は当業者にとって周知技術であったと認められる(以下「周知技術1」という。)。
[周知技術1]
「光源による画像信号の、周囲の環境光に対する比率を増加させるという目的で、光源をオンにして画像を撮影し、光源をオフにして画像を撮影し、両画像を減算されるようにすることで、背景を抑制するという、背景減算という技術。」
(2) 甲4の記載事項及び甲4技術事項の認定
甲4(特開2003-272061号公報)には、次の記載がある。
ア 【0060】
「監視情報生成手段103においては、こうして得られる各差分抽出画像並びに相前後して得られる差分抽出画像の変化分に基づいて、監視対象となる三次元領域内における侵入物体6の位置や動きに関する監視情報を生成する。より具体的には、差分抽出画像6の画面上における位置や大きさなどに基づいて、監視対象領域内における実際の位置を演算により求め、これを別途設定された危険物体や危険領域と比較することにより、必要な監視情報を生成する。こうして生成される監視情報は、外部出力手段104を介して制御出力や表示出力として出力対象4へと送り出される。これにより、出力対象が設備であれば危険物体侵入検知と共に警報を発したり運転を停止したりする制御がなされる。他方、出力対象が表示器であれば、物体侵入、物体接近、その他図2(c)に示される差分抽出画像それ自体などの任意の表示が外部表示器を構成するCRTやLCD画面に行われることとなる。」
イ 甲4から読み取れる事項の認定
前記アにおいて摘記した事項を踏まえると、次のこと(以下「甲4技術事項」という。)が読み取れる。
[甲4技術事項]
「三次元領域内における侵入物体の位置を監視し、物体侵入検知の際には外部出力手段を介して制御出力や表示出力を外部表示器などの出力対象へと送り出す技術。」
(3) 甲5の記載事項及び甲5技術事項の認定
甲5(国際公開第2016/131036号)には、次の記載がある。
ア [00021]
「[00021] ・・・In a preferred embodiment, the rolling shutter of the photosensor captures an image by rapidly scanning the scene one row (or column) of pixels at a time.」(・・・好ましい実施形態では、フォトセンサのローリングシャッターは、シーンを一度に1行(又は1列)のピクセルずつ高速にスキャンして画像をキャプチャする。)
イ [00041]
「[00041] The proposed technique can be realized with a time-of-flight (ToF) photosensor.A rolling shutter ToF photosensor combined with a modulated scanning laser light source using our technique would allow for a power efficient ToF depth sensor that works under bright ambient light conditions and suppresses indirect lighting effects.」(提案されている技術は、飛行時間(ToF)光センサで実現することができる。ローリングシャッターToFフォトセンサと変調された走査レーザー光源と組み合わせ、我々の技術を用いると、明るい周囲光条件下で動作し、間接的な照明効果を抑制する電力効率に優れたToF深度センサの実現が可能となる。)
ウ 甲5から読み取れる事項の認定
前記ア、イにおいて摘記した事項を踏まえると、次のこと(以下「甲5技術事項」という。)が読み取れる。
[甲5技術事項]
「深度を測定することを目的として、レーザー光源と組み合わせ、シーンを一度に1行(又は1列)のピクセルずつ高速にスキャンして画像をキャプチャするセンサーとして、ローリングシャッターToFフォトセンサを用いること。」
(4) 甲6の記載事項及び甲6技術事項の認定
甲6(特開2016-91006号公報)には、次の記載がある。
ア 【0017】
「【0017】
シート照明装置10は、光源11と、シート状の照明光束を形成する照明光学系16を備えている。光源11は、例えば、レーザ光源である。光源11は、コリメートされたレーザ光を照明光学系16に向けて出射するように構成されている。照明光学系16は、シート状の照明光束で標本Sを走査するためのガルバノミラー13を備えている。」
イ 【0030】~【0033】
「【0030】
照明光学系53は、第1の光学系と第2の光学系とガルバノミラー13から構成される点は、照明光学系16と同様である。ただし、照明光学系53は、第1の光学系としてレンズ12の代わりにシリンドリカルレンズ51(第1の光学素子)を備え、第2の光学系としてレンズ14及びシリンドリカルレンズ15の代わりに集光レンズ52(第2の光学素子)を備える点が、照明光学系16と異なっている。
【0031】
第1の光学系であるシリンドリカルレンズ51は、x-y平面内で屈折力を有し、x-z平面内で屈折力を有しない光学素子である。シリンドリカルレンズ51は、光源11からの平行光束を、ガルバノミラー13上に回動軸と平行な直線状に集光させる。
【0032】
第2の光学系である集光レンズ52は、ガルバノミラー13上に前側焦点位置を有するように配置されている。ガルバノミラー13上に直線状に集光した照明光束は、集光レンズ52により、図3(a)に示すように、ガルバノミラー13上で集光していない、x-z平面で見た光束については標本上に集光する。一方、図3(b)に示すように、ガルバノミラー13上で集光している、x-y平面で見た光束についてはコリメートされる。即ち、照明光学系53は、照明光学系16と同様に、x-z平面内で集光する照明光束であって、y軸方向に幅を有するシート状の照明光束を形成する、ように構成されている。
【0033】
なお、ガルバノミラー13の回動軸は、ガルバノミラー13の反射面またはその近傍にあることが望ましい。また、シリンドリカルレンズ51(第1の光学系)は、ガルバノミラー13の略回動軸の位置に光源11からの照明光束を直線状に集光させて、直線状の照明光束の位置とガルバノミラー13の略回動軸の位置とが一致するよう構成されていることが望ましい。また、レンズ52はガルバノミラー13の略回動軸の位置に前側焦点位置を有するように構成されることが望ましい。」
ウ 【0036】
「【0036】
また、シート照明装置50は、第1の光学素子としてシリンドリカルレンズ51を備えているが、第1の光学素子は、光軸に直交する一方向に屈折力を有し、その一方向と光軸との両方に直交する方向に屈折力を有しない光学素子であればよく、シリンドリカルレンズ51に限られない。本実施例に係る顕微鏡装置は、シート照明装置50の代わりに、図5に例示されるような、第1の光学素子としてパウエルレンズ71を備えるシート照明装置70を備えてもよい。シート照明装置70は、照明光学系53の代わりに照明光学系74を備える点が、シート照明装置50とは異なっている。また、照明光学系74は、第1の光学系75として、シリンドリカルレンズ51の代わりにパウエルレンズ71、リレーレンズ72及びリレーレンズ73を備える点が、照明光学系53とは異なっている。なお、パウエルレンズ71は、光軸に直交する一方向に屈折力を有し、その一方向と光軸との両方に直交する方向に屈折力を有しない点は、シリンドリカルレンズ51と同様である。ただし、シリンドリカルレンズ51が屈折力を有する一方向について収斂する光束を形成するのに対して、パウエルレンズ71は屈折力を有する一方向について発散する光束を形成するという点で、パウエルレンズ71はシリンドリカルレンズ51とは異なっている。」
エ 【図5】
「
[図:0001437372000002.jpg]
」
オ 【0036】、【図5】から読み取れる事項
【0036】の、「パウエルレンズ71は、光軸に直交する一方向に屈折力を有し、その一方向と光軸との両方に直交する方向に屈折力を有しない」という記載、及び、「パウエルレンズ71は屈折力を有する一方向について発散する光束を形成する」との記載から、パウエルレンズ71は光源から出射した光を、シート状に形成していることがわかる。
また、【図5】から、シート照明装置の構成が看取できる。ガルバノミラー13が回転駆動される様子が矢印で示されていると解される。また、図中、光源11から出た光は、パウエルレンズ71を通過した後にガルバノミラー13によって、方向を変え、集光レンズ52によってコリメートされ(平行光束とされ)ている。
カ 甲6から読み取れる事項の認定
前記ア~オにおいて摘記した事項を踏まえると、次のこと(以下「甲6技術事項」という。)が読み取れる。
[甲6技術事項]
「シート状の光を得るために、光源としてレーザーを用い、集光レンズ、パウエルレンズとガルバノミラーを備え、光源から出た光を、ガルバノミラーによって反射される前にパウエルレンズによって、光を一方向に広げる技術。」
(5) 甲7の記載事項及び甲7技術事項の認定
甲7(特開平8-159756号公報)には、次の記載がある。
ア 【0014】~【0015】
「【0014】図5は、第1~4の測距装置各々により障害物を検出し信号を出力するまでの本発明の障害物検出装置の信号処理フロー図である。各測距装置7a~7dの信号処理手段6a~6dより出力された値が、各々の演算手段10a~10dのうち1つでも予め設定された値(距離)より小さい値(短い距離)になった時には動作信号を出力し、車両本体に減速又は停止、警告音発生等の動作をさせる。 また、信号処理手段より出力された値が、予め設定された値(距離)よりも大きい値のときは次の動作信号を出力しないようにする。
【0015】例えば、速度4Km/hで制動距離が30cmの車両で、検出距離の設定値を40cmに設定した場合、測距装置は常に障害物までの距離を検出しているので、障害物に近づいていくと、検出距離は80cm→60cm→50cmと減少して40cmとなった所で信号を出力し、車両本体に減速又は停止、警告音発生等の動作をさせる。障害物が突然飛び込んできて、検出距離が突然30cmになった時も同様に信号を出力し、車両本体に減速又は停止、警告音発生等の動作する。ここで、減速、停止等の設定距離はそれぞれ個別に設定しても良い。」
イ 甲7から読み取れる事項の認定
前記アにおいて摘記した事項を踏まえると、次のこと(以下「甲7技術事項」という。)が読み取れる。
[甲7技術事項]
「測距装置は障害物が所定の閾値よりも短い距離になったことを検出すると、車両本体に信号を出力して、警告音を発生させるという技術。」
(6) 引1及び引2の記載事項並びに周知技術2の認定
ア 引1の記載事項
引1(特開2010-190812号公報)には、次の記載がある。
(ア) 【0002】~【0003】
「【0002】
従来から、レーザ光を用いて測定対象物の3次元形状を測定する3次元形状測定装置は知られている。この3次元形状測定装置においては、測定対象物にレーザ光を照射するとともにレーザ光の照射位置を変化させ、各照射位置における散乱光の一部である反射光を一列に配置された複数の受光素子からなるラインセンサで受光して、反射光の受光位置に応じて、3角測量の原理を用いて、所定の基準点(例えば、レーザ光源の位置)から各照射位置までの距離を検出するようにしている。そして、この種の3次元形状測定装置の中には、刻印文字、刻印マーク、デザインなどを構成する溝又は凸状部分が形成された平らな測定対象物の表面の3次元形状を測定するものもある。この溝又は凸状部分が形成された平らな測定対象物の表面の3次元形状を測定する場合には、溝又は凸状部分において発生する2次反射による反射光のために、ラインセンサは複数の位置で反射光を受光する。具体的には、ラインセンサによって受光された受光信号は、複数の受光素子の配列方向において、複数のピークを有する。特に、反射率が高い金属板に、刻印文字、刻印マーク、デザインを構成する溝又は凸状部分を設けた場合に、前記2次反射による影響は大きい。
【0003】
この2次反射による影響を除外するようにした3次元形状測定装置も提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。この3次元形状測定装置においては、図13に示すように、レーザ光源1及びコリメートレンズ2を中心とする対称位置に、一対の集光レンズ3a,3b及び一列に配置された複数の受光素子からそれぞれなる一対のラインセンサ4a,4bを配置して、測定対象物OBの表面にて反射されたレーザ光のY軸方向の受光位置に応じて、所定の基準点(例えば、レーザ光源1の位置)から測定対象物OBの表面までの距離(Z軸方向距離)を検出する。レーザ光源1からコリメートレンズ2を介して出射されるレーザ光は、紙面横方向の軸線周り(Y軸回り)に回転するガルバノミラー5によって反射されて、測定対象物OBの表面に照射される。また、測定対象物OBの表面で反射された散乱光の一部も、ガルバノミラー5によって反射されて、集光レンズ3a,3bを介してラインセンサ4a,4bに入射する。そして、ガルバノミラー5の回転により、測定対象物OBの表面に対するレーザ光の照射位置がX軸方向に走査される。これと共に、レーザ光源1、コリメートレンズ2、集光レンズ3a,3b、ラインセンサ4a,4b及びガルバノミラー5をY軸方向に移動することにより、測定対象物OBの表面に対するレーザ光の照射位置は、ジグザグの軌跡を描きながらX軸方向とY軸方向に走査される。」
イ 引2の記載事項
引2(特開2008-180646号公報)には、次の記載がある。
(ア) 【0001】
「【0001】
本発明は、レーザー光を測定対象に照射し、測定対象からの反射光を受光センサにより検出して三角測量の原理により測定対象の形状を測定する形状測定装置および形状測定方法に関し、より詳しくは、測定対象上で発生する2次反射による影響を効果的に除外し得る形状測定装置および形状測定方法に関する。」
(イ) 【0030】~【0039】
「【0030】
測定台2上には測定対象物OBが載置される。本実施形態では、形状測定装置1は、測定対象物OBの表面に溝状に刻印された文字(図1において刻印文字「ABC」)の形状を測定するための刻印形状測定を行う。また、形状データを座標値として表示するために、図1に示すように測定カメラ10がフィードモータ30の駆動により移動する移動方向をy軸方向、y軸方向に直交し、且つ測定カメラ10から照射されるレーザー光が走査される方向をx軸方向、x軸方向およびy軸方向に直交する方向、つまり測定台2の上面と垂直な方向をz軸方向と定めておく。
【0031】
図2は測定カメラ10をy軸方向から見た内部透視図、図3は測定カメラ10をz軸方向から見た内部透視図であり、いずれも概略図である。図2および図3に示すように、測定カメラ10はケース11およびこのケース11内に配置した各種部品を備えて構成されている。ケース11は直方体状に構成され、図1に示すようにケース11の長手方向が支持部3bの長手方向に平行になるように、支持部3bに形成されたガイド溝に取り付けられている。
【0032】
ケース11内には各種部品として、レーザー光源12、コリメートレンズ14、ガルバノミラー16、揺動モータ18、第1集光レンズ20、第2集光レンズ22、第1イメージセンサ24および第2イメージセンサ26が配置している。レーザー光源12は、レーザー光駆動回路12a(図4参照)からの指令に基づいて外部にレーザー光を出射するものであり、レーザーダイオードその他の発光素子などを用いることができる。コリメートレンズ14は、レーザー光源12に対面配置しており、レーザー光源12からのレーザー光が入射して、そのレーザー光を平行光とする。
【0033】
ガルバノミラー16は図3によく示すように細長い直方体形状とされ、長手方向が支持体3の支持部3bの長手方向に平行な方向となるように(つまりケース11の長手方向に平行になるように)ケース11内に配置されている。レーザー光源12から出射されコリメートレンズ14により平行光とされたレーザー光はガルバノミラー16に入射し、入射角と等しい反射角を持って反射する。このときレーザー光はガルバノミラー16の長手方向に垂直な方向からガルバノミラー16に入射するのが好ましい。ガルバノミラー16にて反射したレーザー光はケース11に形成された図示しない窓部または開口部から外部に照射される。
【0034】
また、ガルバノミラー16の長手方向の一端(図3において右端)に揺動モータ18の出力軸18aが連結しており、揺動モータ18が揺動駆動することによってガルバノミラー16は長軸回りに揺動する。この揺動動作によってガルバノミラー16に入射するレーザー光の入射角度および反射角度が連続的に変化する。このため図2
の矢印A,B,Cに示すようにガルバノミラー16で反射したレーザー光の照射方向もガルバノミラー16の揺動動作に連動して揺動し、この照射方向の揺動によりレーザー光がx軸方向に走査される。レーザー光源12、コリメートレンズ14、ガルバノミラー16、揺動モータ18が、測定対象にレーザー光を走査しながら照射するレーザー光照射装置を構成し、ガルバノミラー16および揺動モータ18が、レーザー光を走査する走査手段を構成する。
【0035】
第1集光レンズ20および第2集光レンズは凸レンズであり、外部から入射してきた光、特にレーザー光源12からコリメートレンズ14、ガルバノミラー16を経て外部に出射し測定対象にて反射した反射光を集光し、第1イメージセンサ24上および第2イメージセンサ26上に結像させる。第1イメージセンサ24および第2イメージセンサ26はともにフォトセンサ(例えばCCD)が一列に整列したライン状の受光領域を持つ撮像素子(受光センサ)であり、各画素(ピクセル)ごとに受光した光を受光量を表す電気信号(受光信号)に変換して出力する。なお、上記説明したケース11内の各種部品は本発明に関連のある部品として示したものであり、実際の製品においては他の部品を備えていてもよい。
【0036】
図3に示すように、第1イメージセンサ24と第2イメージセンサ26とは、レーザー光源12を挟んで対称位置となるように配置されている。具体的には、第1イメージセンサ24と第2イメージセンサ26は、レーザー光源12から出射されるレーザー光の光軸に対して垂直な平面内で、レーザー光源12を中心とした対称位置に配置されている。このためレーザー光源12から第1イメージセンサ24までの距離と、レーザー光源12から第2イメージセンサ26までの距離が等しくされている。第1イメージセンサ24および第2イメージセンサ26が、本発明の複数の受光センサに相当する。
【0037】
また、図1に示すように、形状測定装置1は3次元画像処理装置40、コントローラ50、入力装置52および表示装置54を備えている。コントローラ50は、入力装置52から入力される入力指令に基づいて、フィードモータ30に駆動状態を制御する駆動制御指令信号を、測定カメラ10の揺動モータ18にガルバノミラー16の揺動状態を制御する揺動制御指令信号を、測定カメラ10のレーザー光源12(詳しくはレーザー光源12に接続されたレーザー光駆動回路12a)にレーザー光の出射を制御する出射制御指令信号を、それぞれ出力するとともに、これらの制御情報を3次元画像処理装置40に入力する。3次元画像処理装置40はフィードモータ30(詳しくはフィードモータ30に取り付けられたエンコーダ)から駆動量を示す信号が、測定カメラ10の揺動モータ18(詳しくは揺動モータ18に取り付けられたエンコーダ)からガルバノミラー16の揺動量を示す信号が、第1,第2イメージセンサ24,26から受光信号が、それぞれ入力され、これらの入力信号およびコントローラ50から入力された制御情報を基に測定対象の形状データを演算し、演算した結果を表示装置54に出力する。
【0038】
上記構成の形状測定装置1において、作業者が入力装置52を介してコントローラ50に測定開始の指令を入力すると、コントローラ50は測定カメラ10にレーザー光の出射制御指令およびレーザー光の走査制御指令を出力するとともにフィードモータ30に駆動制御指令を出力する。これによりレーザー光源12からレーザー光が出射されるとともに揺動モータ18の駆動によりガルバノミラー16が揺動し、レーザー光がx軸方向に走査される。これとともに、フィードモータ30の駆動により測定カメラ10が支持部3bの長手方向、すなわちy軸方向に沿って移動する。このレーザー光の走査と測定カメラ10の移動を同時に行うことによって、測定台2上に載置された測定対象物OBの上面の全面をレーザー光が照射する(レーザー光照射ステップ)。
【0039】
測定対象物OBの上面に照射されたレーザー光は、測定対象物OB上の照射部位で散乱する。散乱光の一部はガルバノミラー16で反射して第1集光レンズ20を介して第1イメージセンサ24に受光され、散乱光の別の一部はガルバノミラー16で反射して第2集光レンズ22を介して第2イメージセンサ26に受光される(受光ステップ)。そして、第1,第2イメージセンサ24,26から受光信号が出力され、この受光信号が3次元画像処理装置40に入力される。」
ウ 周知技術2の認定
前記ア、イにおいて摘記した事項に例示されるように、次の技術事項は当業者にとって周知技術であったと認められる(以下「周知技術2」という。)。
[周知技術2]
「レーザー光を用いて測定対象物の3次元形状を測定する3次元形状測定装置において、レーザー光源からコリメートレンズを介して出射されるレーザー光を、回転するガルバノミラーによって反射し、測定対象物の表面に照射し、測定対象物の表面で反射された散乱光をガルバノミラーによって反射し、集光レンズを介してラインセンサに入射するようにし、ガルバノミラーの回転により、測定対象物の表面に対するレーザー光の照射位置を走査するように光学系を配置する技術。」
(7) 引3及び引4の記載事項並びに周知技術3の認定
ア 引3の記載事項
引3(特表2005-526289号公報)には、次の記載がある。
(ア) 【0002】
「【0002】
テレビ受像機等の電子画像生成器は、電磁画像ビームを画面全体で電子的に掃引することにより、目に見える画像、或いは目に見えるビデオ画像のシーケンスを、表示画面上で走査する。例えば、テレビ受像機において、画像ビームは、電子のビームであり、コイルは、ビームを掃引するために、直線的に増加する磁場又は電場を生成する。」
(イ) 【0014】~【0015】
「【0014】
本発明の実施形態によれば、走査アセンブリは、第一の次元において第一の周波数により画像ビームを掃引し、第二の次元においては、第一の周波数よりも低い第二の周波数により双方向に掃引する。
【0015】
例えば、垂直次元において双方向にビームを掃引すると、フライバック期間を除去することで走査電力を低減可能であり、垂直掃引関数における調波数を低減することで、フィードバックループなしでビーム位置における誤差を低減できる。更に、フライバック期間の除去により、画像ビームはより長く「オン」になるため、走査画像は、一定のビーム強度に対して、より明るくなる場合が多く、そのため一定の画像の明るさに対して、画像ビームの強度、したがって更に電力を、比例して低減させることが可能となる。」
(ウ) 【0097】
「【0097】
画像ビーム生成器134は、位置強度回路144と、走査ピクセル補間器146と、従来型ビーム源148と、バッファ切り替え回路150とを含む。回路144は、図11及び12に関連して上で説明したように、ビームの位置に従ってビーム136の強度を変調できる。補間器146は、図13及び16に関連して上で説明したように、走査ピクセルZの強度を補間するためにビーム136の強度を変調可能であり、図15の回路100を含んでもよい。ビーム源148は、ビーム136を生成し、例えば、発光ダイオード(LED)又はレーザダイオードにしてよい。切り替え回路150は、図9
及び10に関連して上で説明したように、画像ビーム136の生成、したがって更に走査ピクセルZの形成を、バッファ138内の一枚のソース画像から、バッファ内の別のソース画像に遷移させ、偽のゴースト画像の近くを低減又は除去する。」
イ 引4の記載事項
引4(特表2014-518400号公報)には、次の記載がある。
(ア) 【0004】
「【0004】
小型レーザプロジェクタは、ピコプロジェクタ、ナノプロジェクタ、およびマイクロプロジェクタとも呼ばれ、一般に、電池式の携帯型プロジェクタであり、その小型サイズ故にある種のアプリケーションにとって便利であることから人気を得ている。小型レーザプロジェクタを携帯用端末またはノート型パソコンに接続することができ、そして画像を画面または壁面に表示することができる。」
(イ) 【0008】
「【0008】
従来のレーザプロジェクタでは、ブラウン管の電子ビームの誘導と類似した方法でレーザビームをラスター走査するために、移動マイクロミラーが用いられている。水平走査の動きは、水平走査の共振周波数において水平軸を走行することによって生成され、水平走査の共振周波数は、典型的には、およそ18KHzである。水平走査速度は、位置によって正弦的に変わる。走査コントローラは、スキャナーのセンサーからのフィードバックを用いて、システムが、固定した走査振幅で共振を維持するようにする。画像は、スキャナーがビームを往復掃引する時に両方向で描画される。これは、2つの方法においてシステム効率に役立つ。第1に、共振して走行することによって、走査ミラーの駆動に必要な電力が最小になる。第2に、ビデオの双方向の水平走査は、ビデオ消去期間を最小にすることによってレーザの使用効率が最大になる。双方向の走査は、レーザビームが左右に掃引される(ラスター走査パターンが循環するのであれば、上下に掃引される)間にレーザが光を発することを意味する。この結果、所与のレーザの出力電力でプロジェクタがより明るくなる。」
ウ 周知技術3の認定
前記ア、イにおいて摘記した事項に例示されるように、次の技術事項は当業者にとって周知技術であったと認められる(以下「周知技術3」という。)。
[周知技術3]
「電力あたりの光源の明るさをより明るくすることを目的として、画像を生成するため行うレーザービーム等のビームを走査するに際して、往復して双方向に掃引すること。」
第5 対比・判断
1 本件発明1について
(1) 対比
本件発明1と甲1発明を対比する。
ア 「照明平面」及び「光源」について
(ア)明細書の【0008】段落を参照すると、本件発明1の「照明平面」には、少なくとも「レーザーを扇形に広げることによって作り出される」ものが含まれることが理解できる。
(イ)そうすると、甲1発明の「レーザー投射面」は、「レーザー光の投射方向を連続的に掃引することにより」形成される「平面」であることから、本願発明1の「照明平面」に相当する。
(ウ)そして、甲1発明の「レーザー光の投射方向を連続的に掃引することにより、レーザー投射面を定める光源」は、本願発明1の「照明平面を画定する光のラインを作り出すための光源」に相当する。
イ 「感知平面」、「光のライン」及び「ラインセンサー」について
(ア)「感知平面」について
a 本件発明1の「感知平面」について、明細書の【0020】段落には「ラインセンサー122は単一の平面からの光を感知する。一般的な構成では、2つの平面は、図2に示されるように3Dにおけるラインで交差し、また、周辺の間接的な照明がない場合、ラインセンサー122は、ライン上の何らかのオブジェクトによって散乱される光を測定する。」と記載されている。
b 上記記載を参酌すると、甲1発明の「入射平面」は、本件発明の「感知平面」に相当する。
(イ)「光のライン」について
a 本件発明1の「光のライン」については、明細書中には明示的な説明がなく(少なくとも「光のライン」という語句が記載されていない)、請求項においては、「光のライン」が「照明平面を画定する」ものであること、「感知平面にお[いて]」「ラインセンサー」に「感知[される]」ものであること、及び、「照明平面と感知平面の交差によって画定される」もので有ることが特定されている。
b ここで、一般的に光の散乱体がない空間上においては、光源から投射された「光」が「ラインセンサー」に「感知[される]」ラインを形成するようなことは観念できないため、上記「光のライン」は、仮に当該「ライン」に何らかのオブジェクトが置かれた場合には、当該オブジェクトによって散乱される光が「ラインセンサー」に「感知」可能である一次元状の空間であると言うべきである。
c そして、甲1発明において、「レーザー投射面と、入射平面が、交差することによって画定される線」は、「レーザー投射面」、すなわちレーザーの光の投射方向が含まれる平面を画定しており、「レーザー光を散乱させる物体が当該線に触れると、それにより拡散されたレーザー光がCMOSセンサの単一の行に感知される」のであるから、甲1発明の「レーザー投射面と入射平面が、交差することによって画定される線」は本件発明1の「光のライン」に相当する。
(ウ) 「ラインセンサー」について
前記(ア)、(イ)を踏まえると、甲1発明の「CMOSセンサ」は、本件発明1の「感知平面における光のラインを感知するためのラインセンサーであって、感知される光のラインが照明平面と感知平面の交差によって画定される、ラインセンサー」に相当する。
ウ 「ライトカーテン」について
(ア)本件発明1の「ライトカーテン」は、(照明平面と感知平面)の「交差」が「事前定義された経路を追従」することによって「画定」されるものであり、「ライトカーテンにぶつかるオブジェクトの存在を示す、ラインセンサーによって検出された光の変化を検出する」ためのものである。
(イ)一方で甲1発明の「シーン深度ごとの平面」は、「レーザー投射面と入射平面」の「交差によって画定される線が走査されることで」「画定」されるものであって、「レーザー投射面と入射面」は「同期するように走査され」るものである。
(ウ)したがって、甲1発明の「シーン深度ごとの平面」は、本件発明1の「ライトカーテン」に相当する。
エ 「事前定義された経路を追従するように、照明平面および感知平面を同期して操縦」することについて
甲1発明の「レーザー投射面と入射平面は同期するように走査され、両面の交差によって画定される線は走査されることでシーン深度ごとの平面を画定し、」「シーン深度ごとの平面を画定するレーザー投射面と入射平面の走査は走査の前に定義されていること」は、結局両面の交差によって画定される線が、シーン深度ごとの平面内を走査することによって、シーン深度ごとの平面を画定するのであるから、本件発明1の「交差がライトカーテンを画定する事前定義された経路を追従するように、照明平面および感知平面を同期して操縦」することに相当することは明らかである。
(2) 一致点及び相違点
前記(1)の対比の結果を踏まえると、本件発明1と甲1発明は、次の相違点において相違し、その余の点において一致する。
<相違点1-1>
本件発明1においては、「プロセッサー」と、プロセッサ-によって実行される「ソフトウェア」が「交差がライトカーテンを画定する事前定義された経路を追従するように、照明平面および感知平面を同期して操縦」するという機能を実施しているのに対して、
甲1発明においては、当該操縦に相当することをどのようなものが行っているのか明示されていない点。
<相違点1-2>
本件発明1においては、「プロセッサー」と、プロセッサーによって実行される「ソフトウェア」が「ライトカーテン上の個別の位置において光源のオンおよびオフを循環させ、ライトカーテンにぶつかるオブジェクトの存在を示す、ラインセンサーによって検出された光の変化を検出するために光源のオンおよびオフが循環される際にラインセンサーを読み出す」機能を実施しているのに対して、甲1発明においてはそのような機能を実施しているのか明示されていない点。
(3) 判断
ア 相違点1-1について
甲1発明において、「レーザー投射面と入射平面は同期するように走査され、両面の交差によって画定される線は走査されることでシーン深度ごとの平面を画定し、」ていることと、「シーン深度ごとの平面を画定するレーザー投射面と入射平面の走査は走査の前に定義されて」いることは、結局、「両面の交差によって画定される線」が、走査されることによって、「シーン深度ごとの平面」を画定するものであり、当該「走査」は、「レーザー投射面と入射平面」の「同期するよう」な「走査」として、「走査の前に定義」されているのだから、本件発明1における「交差がライトカーテンを画定する事前定義された経路を追従するように、照明平面および感知平面を同期して操縦」に相当する。
そして、これを行う主体について、光源やカメラをパソコン等のプロセッサーとこれに実行されるソフトウェアによって動作する制御装置に接続して一括管理することは極めて一般的であるため、そのようにすることは例示するまでもない周知の技術の適用にすぎないと言える。
よって、甲1発明において、「レーザー投射面と入射平面の交差によって画定される線」が「走査されることでシーン深度ごとの平面を画定」するように、「レーザー投射面と入射平面」の「同期する」ような「走査」を「走査の前に定義」して行うことを、プロセッサーとソフトウェアによるものとし、もって相違点1-1の構成とすることは、当業者にとって容易である。
イ 相違点1-2について
前記第4 2(1)ウで述べた、「光源による画像信号の周囲の環境光に対する比率を増加させるという目的で、光源をオンにして画像を撮影し、光源をオフにして画像を撮影し、両画像を減算されるようにすることで、背景を抑制する」という周知の技術は、その目的(光源による画像信号を得るためのものであり、周囲の環境光に対する比率を増加させるという目的は、光源による画像信号を得ようとするものであれば、当然内在する課題を解決するものである)を鑑みれば、甲1への適用は当業者であれば当然考え得るものである。そして、当該周知技術1を甲1発明に適用すると、光源であるレーザーは、オンにした状態でCMOSセンサによる検出が行われ、(減算のために、レーザーをオンにした状態と同じ位置の撮影をする状態で)オフにした状態でもCMOSセンサによる検出が行われる。
CMOSセンサによる検出は、レーザー光を散乱させる物体が接触した場合に、散乱光を検出することを目的として行われるのだから、適用の結果は、「レーザーの光の投射方向が含まれる平面と、入射平面が、所定の位置である時にレーザーのオン及びオフを循環させ、シーン深度毎の平面に接触した物体の存在を示す、CMOSセンサによって検出された光の変化を検出するために光源のオン及びオフが循環される際にCMOSセンサを読み出す」ものとなる。
そして、本件発明1における、「ライトカーテン上の個別の位置において光源のオンおよびオフを循環させ」という記載は曖昧ではあるが、照明平面と感知平面が所定の位置にある状態で、光源がオンの時とオフの時があると解されるから、「レーザー投射面と、入射平面が、所定の位置である時にレーザーのオンおよびオフを循環させ」ることは当該記載の構成に相当することは明らかである。
そうすると、甲1発明に対して、周知技術1を適用し、もって相違点1-2の構成とすることは、当業者にとって容易である。
ウ 小括
前記ア、イの検討結果をまとめると、本件発明1は、甲1発明と甲2号証及び甲3号証に記載される周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
2 本件発明13について
(1) 対比
本件発明13と甲1発明を対比する。
ア 「照明平面」、「感知平面」及び「ライン」について
本件発明13の「照明平面」及び「感知平面」について検討するに、甲1発明において「シーン深度ごとの平面を画定するレーザー投射面と入射平面の走査」が「走査の前に定義されて」いる以上、甲1発明の「レーザープロジェクタ」、及び、甲1発明の「ローリングシャッターを備えたCMOSセンサ」も、動作をさせる前にどのように駆動されるかが決定されていることは明らかである。そうすると、甲1発明は本件発明13の「ライン光源を第1の事前定義された経路上で」「連続的に掃引することによって照明平面を作り出す」こと、及び、「ラインセンサーを第2の事前定義された経路上」で「掃引することによって感知平面を作り出す」という点において一致している。
また、「照明平面と感知平面の交差を画定するライン」については、交差する2平面を定めればラインが画定されるが、逆に、ラインが画定されれば、その線上で交差する2平面も定まるのだから、甲1発明の「レーザーの光の投射方向が含まれる平面と、入射平面が、交差することによって画定される線」は、本件発明13の「ライン」に相当する。
イ 「ライトカーテン」について
甲1発明の「シーン深度ごとの平面」は、前記1(1)ウと同様の理由により、本件発明13の「ライトカーテン」に相当する。
ウ 「前後に」掃引することについて
本件発明13の、ライン光源やラインセンサーを、経路上で「前後に」(連続的に)掃引することについては、明細書中に直接の記載は無い。しかしながら、本件特許の原文に相当する国際公開WO2019/182784を参酌すると、本件発明13における「前後」という訳は、原文では「back and forth」(行ったり来たりすること)であることが理解できる。したがって、本件発明13における「前後に」はより適切には「双方向に」と読み替えるのが妥当であることが理解できる。
エ 「照明平面および感知平面の交差を画定するラインが所望の形状のライトカーテンを作り出すように、第1の事前定義された経路および第2の事前定義された経路を同期させる」ことについて
当該構成も前記1(1)エと同様の理由による。つまり、甲1発明も「レーザー投射面と、入射平面が、交差することによって画定される線」が、シーン深度毎の平面を作り出すように、レーザープロジェクタのレーザーの投射方向の走査、及び、甲1発明の「ローリングシャッターを備えたCMOSセンサを同期させている。
(2) 一致点及び相違点
前記(1)の対比の結果を踏まえると、本件発明13と甲1発明は、次の相違点において相違し、その余の点において一致する。
<相違点13-1>
本件発明13においては、ライン光源及びラインセンサーを「前後に」掃引しているが、甲1発明の光源やCMOSセンサの掃引は前後に行われていない点。
(3) 判断
ア 相違点13-1について
(ア) 前記(1)ウで検討したように、明細書中に「前後に」(連続的に)掃引することについて直接的な記載はない。またそのような掃引を行うことにどのような技術上の意義があるのかについても、明細書中に開示が認められない。一般に、光源を双方向に往復動作させること自体は通常行われることにすぎないことを考慮すれば、このような技術上の意義が不明である相違点13-1に係る本件発明の構成は、甲1発明に基づいて当業者が適宜なし得た設計的な事項にすぎないものと評価せざるを得ない。
(イ) さらにいえば、前記第4 2(7)ウで述べた、「電力あたりの光源の明るさをより明るくすることを目的として、画像を生成するため行うレーザービーム等のビームを走査するに際して、往復して双方向に掃引すること。」という周知の技術(周知技術3)は、その目的(光源による画像信号を得るためのものであり、光源を明るくするという目的は、光源による画像信号を得ようとするものであれば、当然内在する課題を解決するものである)を鑑みれば、甲1発明への適用は当業者であれば当然考え得るものである。そして、当該周知技術3を甲1発明に適用すると、光源であるレーザーや、センサであるCMOSセンサによる検出は、掃引時に往復させる(双方向に掃引する)ものとなる。
そうすると、甲1発明に対して、周知技術3を適用し、もって相違点13-1の構成とすることは、当業者にとって容易である。
イ 小括
前記アの検討結果をまとめると、本件発明13は、甲1発明、並びに、引3及び引4に記載される周知技術3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
3 本件発明19について
(1) 対比、一致点と相違点
前記1及び2の検討と同様の検討により、本件発明19と甲1発明は、次の相違点において相違し、その余の点において一致する。
<相違点19-1>
本件発明19は、「プロセッサーによって実行される」と「ライン光源を・・・同期させる」「ステップを実施する命令を収容する非一時的コンピュータ可読記憶媒体」の発明であるのに対し、
甲1発明においては、当該同期に相当することをどのようなものが行っているのか明示されていない点。
<相違点19-2>
本件発明19においては、ライン光源及びラインセンサーを「前後に」掃引しているが、甲1発明の光源やCMOSセンサの掃引は前後に行われていない点。
(2) 判断
ア 相違点19-1について
前記1(3)アの判断と同様、甲1発明において、「レーザー光を」「事前定義された経路上で」「連続的に掃引することによって照明平面を作り出し、」「ラインセンサーを第2の事前定義された経路上で」「掃引することによって感知平面を作り出し」、「照明平面および感知平面の交差を画定するラインが所望の形状のライトカーテンを作り出すように、第1の事前定義された経路および第2の事前定義された経路を同期させる」という動作を行う主体を、プロセッサーとこれに実行されるステップを実施する命令を収容する非一時的コンピュータ可読記憶媒体とすることも、例示するまでもない周知の技術の適用にすぎず、これを甲1に適用し、もって相違点19-1の構成とすることは、当業者にとって容易である。
イ 相違点19-2について
前記2(3)と同様であり、甲1発明に対して、周知技術3を適用し、もって相違点19-2の構成とすることは、当業者にとって容易である。
ウ 小括
前記ア、イの検討結果をまとめると、本件発明19は、甲1発明、並びに、引3及び引4に記載される周知技術3に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 本件発明2~12、14~18、20~23について
(1) 本件発明2について
甲6には、前記第4 2(4)カにおいて、[甲6技術事項]として示したように、「シート状の光を得るために、光源としてレーザーを用い、集光レンズ、パウエルレンズとガルバノミラーを備え、光源から出た光は、ガルバノミラーによって反射される前にパウエルレンズによって、光を一方向に広げる技術。」について記載されている。
そして、甲1発明における、「レーザー投射面」を作り出す「レーザー光の投射方向を連続的に掃引すること」は、シート状の光を得るために行っていることであるので、「レーザー光の投射方向を連続的に掃引すること」に変えて甲6技術事項を採用し、もって本件発明2とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(2) 本件発明3について
甲1発明は、「単一の行を露光するローリングシャッターを備えたCMOSセンサ」を備えるものであり、前記第4 1(1)アにも有るように、当該ローリングシャッターを備えたCMOSセンサは、市販のカメラをそのまま用いているのだから、当然レンズによる集光も行われている。
そうすると、本件発明3と甲1発明の相違点は、本件発明1と甲1発明の相違点と同じであるため、本件発明3は、本件発明1と同様の理由で当業者が容易に想到し得たことである。
(3) 本件発明4について
甲1発明は、「レーザー光を散乱させる物体が接触した場合に、散乱光がローリングシャッターを備えたCMOSセンサによって検出される」のであるから、プロセッサーとソフトウエアによって動作をさせた場合(前記1(3)ア)、当然「ソフトウェアが、ライトカーテンと交差するオブジェクトの存在を示す、ラインセンサーによって検出された光の変化を検出するさらなる機能を実施する」ことは明らかである。
そうすると、本件発明4は、本件発明1と同様の理由で当業者が容易に想到し得たことである。
(4) 本件発明5について
本件発明5について検討するに、甲4技術事項として、「物体侵入検知の際には外部出力手段を介して制御出力や表示出力を外部表示器などの出力対象へと送り出す」ことや、甲7技術事項として「測距装置は障害物が所定の閾値よりも短い距離になったことを検出すると、車両本体に信号を出力して、警告音を発生させる」ことが知られていることに鑑みれば、甲1発明に対し「変化を検出すると、オフユニットにアラートを通信する」ようにすることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。
そうすると、本件発明5は、甲1発明、及び、甲4技術事項又は甲7技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5) 本件発明6~8について
甲1には、「プロジェクタの走査線及びカメラの行がエピポーラ平面に対して垂直になるように、カメラ及びプロジェクタがそれらの光軸を中心に90°回転」させると記載されているから、甲1発明の「レーザー投射面と、入射平面」は、エピポーラ平面に垂直で、カメラのある場所またはプロジェクタのある場所を通る2つの平行な軸を中心として回転している。
また、2つの平行な軸は、少なくとも2つの軸であり、2つの軸上のそれぞれから1点ずつを定めると、「レーザー投射面と、入射平面」はそれぞれの点上を回転していることとなる。
そうすると、本件発明6~8と甲1発明の相違点は、本件発明1と甲1発明の相違点と同じであるため、本件発明6~8は、本件発明1と同様の理由で当業者が容易に想到し得たことである。
(6) 本件発明9について
甲5には、前記第4 2(3)ウにおいて、[甲5技術事項]として示したように、「深度を測定することを目的として、レーザー光源と組み合わせ、シーンを一度に1行(又は1列)のピクセルずつ高速にスキャンして画像をキャプチャするセンサーに、ローリングシャッターToFフォトセンサを用いること。」について記載されている。
そして、甲1発明における、「ローリングシャッターを備えたCMOSセンサ」に変えて甲5技術事項の「ローリングシャッターToFフォトセンサ」を採用し、もって本件発明9とすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(7) 本件発明10、11について
本件発明10における「ガルボミラー」は、一般的には「ガルバノミラー」と呼ばれるものである。そして、前記第4 2(6)ウで周知技術2として認定したように、レーザー光を用いて測定対象物の3次元形状を測定する3次元形状測定装置において、「レーザー光源からコリメートレンズを介して出射されるレーザー光を、回転するガルバノミラーによって反射し、測定対象物の表面に照射し、測定対象物の表面で反射された散乱光をガルバノミラーによって反射し、集光レンズを介してラインセンサに入射するようにし、ガルバノミラーの回転により、測定対象物の表面に対するレーザー光の照射位置を走査するように光学系を配置する技術」は周知の技術であるところ、甲1発明において、当該レーザー光による計測の光学系を採用して、「レーザーの光の投射方向が含まれる平面と、入射平面」を操縦可能ガルバノミラーによって操縦するようにし、もって本件発明10とすることは、当業者にとって容易である。
そして、ガルバノミラーは一般的に機械的に電動で動くものであるので、本件発明11についても同様である。
(8) 本件発明12について
甲1発明は、「ローリングシャッターを備えたCMOSセンサ」を利用しており、これは本件発明12の「ラインセンサーがローリングシャッター」を「有する2Dセンサーである」に相当する。
そうすると、本件発明12と甲1発明の相違点は、本件発明1と甲1発明の相違点と同じであるため、本件発明12は、本件発明1と同様の理由で当業者が容易に想到し得たことである。
(9) 本件発明14について
本件発明14において、本件発明13に加えられた発明特定事項である、「光源のオンおよびオフを循環させることと、光源のオンおよびオフが循環される際にラインセンサーを読み出すこと」については、前記1(3)イと同様の理由で、甲1発明に周知技術1を適用することによって、当業者が容易に想到し得たことである。
(10) 本件発明15について
甲1発明は、「レーザー光を散乱させる物体が接触した場合に、散乱光がローリングシャッターを備えたCMOSセンサによって検出される」のであるから、「ライトカーテンと交差するオブジェクトの存在を示す、ラインセンサーによって検出された光の変化を検出」していることは明らかである。
そうすると、本件発明15は、本件発明1と同様の理由で当業者が容易に想到し得たことである。
(11) 本件発明16~18について
甲1には、「プロジェクタの走査線及びカメラの行がエピポーラ平面に対して垂直になるように、カメラ及びプロジェクタがそれらの光軸を中心に90°回転」させると記載されているから、甲1発明の「レーザー投射面と、入射平面」は、エピポーラ平面に垂直で、カメラのある場所またはプロジェクタのある場所を通る2つの平行な軸を中心として回転している。
また、2つの平行な軸は、少なくとも2つの軸であり、2つの軸上のそれぞれから1点ずつを定めると、「レーザー投射面と、入射平面」はそれぞれの点上を回転していることとなる。
そうすると、本件発明16~18と甲1発明の相違点は、本件発明1と甲1発明の相違点と同じであるため、本件発明16~18は、本件発明1と同様の理由で当業者が容易に想到し得たことである。
(12) 本件発明20について
本件発明20において、本件発明19に加えられた発明特定事項である、「光源のオンおよびオフを循環させ、光源のオンおよびオフが循環される際にラインセンサーを読み出すステップを実施する」ことについては、前記1(3)イと同様の理由で、甲1発明に周知技術1を適用することによって、当業者が容易に想到し得たことである。
(13) 本件発明21について
甲1発明は、「レーザー光を散乱させる物体が接触した場合に、散乱光がローリングシャッターを備えたCMOSセンサによって検出される」のであるから、「ライトカーテンと交差するオブジェクトの存在を示す、ラインセンサーによって検出された光の変化を検出」していることは明らかである。
そうすると、本件発明21は、本件発明1と同様の理由で当業者が容易に想到し得たことである。
(14) 本件発明22について
本件発明22について検討するに、甲4技術事項として、「物体侵入検知の際には外部出力手段を介して制御出力や表示出力を外部表示器などの出力対象へと送り出す」ことや、甲7技術事項として「測距装置は障害物が所定の閾値よりも短い距離になったことを検出すると、車両本体に信号を出力して、警告音を発生させる」ことが知られていることに鑑みれば、甲1発明に対し「変化を検出すると、オフユニットにアラートを通信する」ようにすることは、当業者であれば容易に想到し得るものである。
そうすると、本件発明22は、甲1発明と、引3及び引4に記載される周知技術3、及び、甲4技術事項又は甲7技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(15) 本件発明23について
本件発明23は、本件発明22に対して、「ライトカーテン中の同じラインを二度、一度は光源による照明を伴い、一度は伴わず、読み出し、読値を引き算することにより、ラインセンサーによって感知された光から周辺光をフィルターする」という発明特定事項を追加したものであるが、当該発明事項は、甲1発明に周知技術1を適用することによって生じる技術的な事項そのものである。
そうすると、本件発明23は、甲1発明に周知技術1を適用することによって、当業者が容易に想到し得たことである。
第6 むすび
以上のとおり、請求項1~23に係る発明は、甲1号証に記載された発明に、甲2号証~甲7号証及び引用文献1~4に記載された技術事項、並びに、周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。よって、請求項1~23に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700436