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特許異議申立

2024-700229

微生物抑制方法及び微生物抑制システム

審判番号
2024-700229
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-237075
登録番号
7349907
請求日
2024年03月11日
審決日
2025年03月26日
公報発行日
2025年06月27日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】ライオン株式会社
  • 【権利者代理人】田▲崎▼ 聡
  • 【権利者代理人】川越 雄一郎
  • 【権利者代理人】加藤 広之
  • 【異議申立人】鈴木 幸子
審判長/審判官
  • 審判長 関根 裕
  • 審判官 瀬下 浩一
  • 審判官 村守 宏文
分類
P1651.113-YAA(A01N) / P1651.121-YAA(A01N) / P1651.537-YAA(A01N)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第113条第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7349907号発明「微生物抑制方法及び微生物抑制システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7349907号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕、10について訂正することを認める。 特許第7349907号の請求項1~4、8~10に係る特許を維持する。 特許第7349907号の請求項5~7に係る発明についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7349907号(以下「本件特許」という。)の出願(特願2019-237075号)は、令和元年12月26日の出願であって、令和5年9月14日にその特許権の設定登録がされ(請求項の数10)、同年同月25日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和6年3月11日に特許異議申立人である鈴木幸子(以下「申立人」という。)により、本件特許の請求項1~10に係る発明に対して特許異議の申立てがされた。 以降の手続きは、以下のとおりである。 令和 6年 8月27日付け 取消理由通知 同年10月22日 特許権者による訂正の請求(以下「本件訂正 請求」という。)及び意見書の提出 なお、申立人に対し、令和6年11月13日付けで訂正請求があった旨の通知をしたが、申立人からの意見書の提出はなかった。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 本件訂正請求による訂正の請求の趣旨は、「特許第7349907号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲とおり、訂正後の請求項1~10について訂正することを求める。」というものであり、その内容は、以下のとおりである。(なお、訂正箇所に下線を付した。) (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を、 「下記(A)成分及び下記(B)成分、下記(C)成分を含み、 微生物抑制剤組成物の総質量に対して、前記(B)成分と前記(C)成分の合計の含有量が40~99質量%であり、かつ、前記(C)成分に対する前記(B)成分の質量比を表す、(B)/(C)が0.2~4である微生物抑制剤組成物を、 相対湿度70%以上の雰囲気中に揮散させる、微生物抑制方法。 (A)成分:ClogP値が1.5~5であるアルデヒド化合物。 (B)成分:炭素数が2~4のグリコール化合物。 (C)成分:水。」に訂正する。 (請求項1の記載を引用する請求項2~4、8、9についても同様に訂正される。) (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項5~7を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項8を、 「前記微生物抑制剤組成物中の前記(C)成分を揮発させて、前記雰囲気を加湿する、請求項1~4のいずれか一項に記載の微生物抑制方法。」に訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項9を、 「前記(A)成分及び前記(B)成分を含まない水蒸気源を揮発させて、前記雰囲気を加湿する、請求項1~4、8のいずれか一項に記載の微生物抑制方法。」に訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項10を、 「処理対象の雰囲気に下記(A)成分、及び下記(B)成分及び下記(C)成分を含む微生物抑制剤組成物を揮散させる揮散装置と、前記雰囲気を加湿する加湿装置とを備える、微生物抑制システム。 (A)成分:ClogP値が1.5~5であるアルデヒド化合物。 (B)成分:炭素数が2~4のグリコール化合物。 (C)成分:水。 [微生物抑制剤組成物の総質量に対して、前記(B)成分と前記(C)成分の合計の含有量が40~99質量%であり、かつ、前記(C)成分に対する前記(B)成分の質量比を表す、(B)/(C)が0.2~4である。]」に訂正する。 2 一群の請求項 訂正前の請求項1~9について、請求項2~9は、それぞれ直接的または間接的に請求項1を引用するものであって、訂正事項1による請求項1の訂正に連動して訂正されるものであるから、請求項1~9は一群の請求項である。 したがって、訂正前の請求項1~9に対応する訂正後の請求項1~9は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、訂正前の請求項10に対応する訂正後の請求項10は、別の一群の請求項である。 3 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無 (1) 訂正事項1 訂正事項1は、訂正前の請求項1の記載に係る「微生物抑制方法」について、揮散させる「微生物抑制剤組成物」が、さらに「(C)成分:水」を含むことを特定し、「微生物抑制剤組成物の総質量」に対する「前記(B)成分と前記(C)成分の合計の含有量」及び「前記(C)成分に対する前記(B)成分の質量比」を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項1は、前記のとおり特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 さらに、訂正前の請求項6に、「微生物抑制剤組成物」が「(C)成分:水」を含むこと、訂正前の請求項7に、「微生物抑制剤組成物の総質量に対して、前記(B)成分と前記(C)成分の合計の含有量が40~99質量%であり、かつ、前記(C)成分に対する前記(B)成分の質量比を表す、(B)/(C)が0.2~4である」ことが記載されているから、訂正事項1によって、願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面(以下「当初明細書等」という。)に記載した事項との関係において新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 (2)訂正事項2 訂正事項2は、訂正前の請求項5~7を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、訂正事項2によって当初明細書等に記載した事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでもない。 (3)訂正事項3、4 訂正事項3は、訂正事項2によって、「請求項1~4のいずれか一項」を引用する請求項5、請求項5を引用する請求項6、請求項6を引用する請求項7を削除したことに伴い、請求項8が引用する請求項について、「請求項6または7」を「請求項1~4のいずれか一項」に訂正するものであり、訂正事項4は、訂正事項2によって請求項5~7を削除したことに伴い、請求項9が引用する請求項について、「請求項1~8」を「請求項1~4、8」に訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、訂正事項3、4によって当初明細書等に記載した事項との関係において新たな技術的事項を導入するものでもない。 (4)訂正事項5 訂正事項5は、訂正前の請求項10の記載に係る「微生物抑制システム」について、揮散させる「微生物抑制剤組成物」が、さらに「(C)成分:水」を含むことを特定し、「微生物抑制剤組成物の総質量」に対する「前記(B)成分と前記(C)成分の合計の含有量」及び「前記(C)成分に対する前記(B)成分の質量比」を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項5は、前記のとおり特許請求の範囲を減縮するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 さらに、訂正前の請求項6に、「微生物抑制剤組成物」が「(C)成分:水」を含むこと、訂正前の請求項7に、「微生物抑制剤組成物の総質量に対して、前記(B)成分と前記(C)成分の合計の含有量が40~99質量%であり、かつ、前記(C)成分に対する前記(B)成分の質量比を表す、(B)/(C)が0.2~4である」ことが記載されているから、訂正事項5によって当初明細書等に記載した事項との関係において新たな技術的事項を導入するものとはいえない。 4 独立特許要件 本件訂正においては、訂正前の全ての請求項である請求項1~10に対して特許異議の申立てがされているので、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の規定は課されない。 5 訂正についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、本件訂正は適法なものであり、結論のとおり、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕、10について訂正することを認める。 第3 本件訂正発明 前記第2のとおり、本件訂正が認められることから、本件特許の請求項1~10に係る発明は、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである(以下、それぞれ「本件訂正発明1」などといい、これらをまとめて「本件訂正発明」ともいう。)。 「【請求項1】 下記(A)成分及び下記(B)成分、下記(C)成分を含み、 微生物抑制剤組成物の総質量に対して、前記(B)成分と前記(C)成分の合計の含有量が40~99質量%であり、かつ、前記(C)成分に対する前記(B)成分の質量比を表す、(B)/(C)が0.2~4である微生物抑制剤組成物を、 相対湿度70%以上の雰囲気中に揮散させる、微生物抑制方法。 (A)成分: ClogP値が1.5~5であるアルデヒド化合物。 (B)成分:炭素数が2~4のグリコール化合物。 (C)成分:水。 【請求項2】 前記(B)成分に対する前記(A)成分の質量比を表す、(A)/(B)が0.01~2.0である、請求項1に記載の微生物抑制方法。 【請求項3】 前記(A)成分が、炭素数6~11の脂肪族アルデヒド及び炭素数6~11の芳香族アルデヒドからなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項1又は2に記載の微生物抑制方法。 【請求項4】 前記(A)成分が、シトラール、シトロネラール、デカナール、ベンズアルデヒド、及びシンナムアルデヒドからなる群から選ばれる1種以上を含む、請求項3に記載の微生物抑制方法。 【請求項5】(削除) 【請求項6】(削除) 【請求項7】(削除) 【請求項8】 前記微生物抑制剤組成物中の前記(C)成分を揮発させて、前記雰囲気を加湿する、請求項1~4のいずれか一項に記載の微生物抑制方法。 【請求項9】 前記(A)成分及び前記(B)成分を含まない水蒸気源を揮発させて、前記雰囲気を加湿する、請求項1~4、8のいずれか一項に記載の微生物抑制方法。 【請求項10】 処理対象の雰囲気に下記(A)成分と下記(B)成分及び下記(C)成分を含む微生物抑制剤組成物を揮散させる揮散装置と、前記雰囲気を加湿する加湿装置とを備える、微生物抑制システム。 (A)成分: ClogP値が1.5~5であるアルデヒド化合物。 (B)成分:炭素数が2~4のグリコール化合物。 (C)成分:水。 [微生物抑制剤組成物の総質量に対して、前記(B)成分と前記(C)成分の合計の含有量が40~99質量%であり、かつ、前記(C)成分に対する前記(B)成分の質量比を表す、(B)/(C)が0.2~4である。] 第4 特許異議の申立ての理由及び取消理由の概要及び証拠方法 1 特許異議申立書(以下「申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要 (1)申立理由1-1(甲第1号証を主引用例とする新規性欠如) 本件訂正前の請求項1、3~5、9、10に係る発明は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (2)申立理由1-2(甲第2号証を主引用例とする新規性欠如) 本件訂正前の請求項1、3~5、9、10に係る発明は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (3)申立理由1-3(甲第3号証を主引用例とする新規性欠如) 本件訂正前の請求項1、3~6に係る発明は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第3号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (4)申立理由1-4(甲第4号証を主引用例とする新規性欠如) 本件訂正前の請求項1~4、6に係る発明は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第4号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (5)申立理由2-1(甲第1号証を主引用例とする進歩性欠如) 本件訂正前の請求項1~5、9、10に係る発明は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明に基いて、本件特許の出願前にその技術の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (6)申立理由2-2(甲第2号証を主引用例とする進歩性欠如) 本件訂正前の請求項1~5、9、10に係る発明は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (7)申立理由2-3(甲第3号証を主引用例とする進歩性欠如) 本件訂正前の請求項1~8に係る発明は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第3号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (8)申立理由2-4(甲第4号証を主引用例とする進歩性欠如) 本件訂正前の請求項1~4、6~8に係る発明は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (9)申立理由3(サポート要件違反) 本件訂正前の請求項1~10に係る特許は、特許請求の範囲の記載が下記ア及びイの点で不備なため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、同法第113条第4号に該当し取り消すべきものである。 ア 保持時間について 訂正前の請求項1~10に係る発明は、「処理対象の雰囲気の相対湿度が70%以上であり、かつ該雰囲気中に揮散した(A)成分及び(B)成分が存在する状態が、連続して保持される保持時間」が9時間未満の場合において、発明の課題を解決することができるものとは認識できず、サポート要件を満たしていない。 イ 相対湿度70%以上について 訂正前の請求項1~10に係る発明は、「相対湿度が70%以上の雰囲気」に係る点で、発明の課題を解決することができるものとは認識できず、サポート要件を満たしていない。 2 当審において通知した令和6年8月27日付け取消理由通知の取消理由 (1)取消理由1-1(甲第1号証を主引用例とする新規性欠如)(前記1(1)の申立理由1-1に相当) 本件訂正前の請求項1~6、9、10に係る発明は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (2)取消理由1-2(甲第2号証を主引用例とする新規性欠如)(前記1(2)の申立理由1-2に相当) 本件訂正前の請求項1~5、9、10に係る発明は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (3)取消理由2-1(甲第1号証を主引用例とする進歩性欠如)(前記1(5)の申立理由2-1に相当) 本件訂正前の請求項1~6、9、10に係る発明は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (4)取消理由2-2(甲第2号証を主引用例とする進歩性欠如)(前記1(6)の申立理由2-2に相当) 本件訂正前の請求項1~5、9、10に係る発明は、本件出願の出願前に日本国内又は外国において頒布された甲第2号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、それらの発明に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 3 証拠方法 申立人が申立書とともに提出した証拠は、以下のとおりである。なお、甲第1号証~甲第4号証、参考資料1~参考資料5を、以下「甲1」~「甲4」、「参1」~「参5」ともいう。 甲第1号証:特開2018-184368号公報 甲第2号証:特開平7-217929号公報 甲第3号証:特開2015-74630号公報 甲第4号証:特開2010-280612号公報 参考資料1:特開2019-94325号公報 参考資料2:相澤芳弘、外1名、「浴室内の換気・乾燥がカビ抑制に与える影響」、空気調和・衛生工学会学術講演会講演論文集、2003年、第3巻、A-43、第1345~1348ページ 参考資料3:科学研究費補助金研究成果報告書、課題番号:20890069、2010年、<URL https://kaken.nii.ac.jp/file/KAKENHI-PROJECT-20890069/20890069seika.pdf> 参考資料4:特開平10-262629号公報 参考資料5:井原望、外2名、「浴室かび抑制システムの防かび評価試験法」、松下電工技報、2004年、第52巻、第2号、第37~40頁 第5 甲号証等に記載された事項について 1 甲第1号証 甲1には、以下の事項が記載されている。 (1a)「【請求項1】 (A)成分:揮散剤と、 (B)成分:アルデヒド化合物と、を含む、加熱型燻蒸剤組成物であって、 前記(B)成分の含有量が、加熱型燻蒸剤組成物の総質量に対して0.05質量%以上であり、 前記(B)成分が、非環式アルデヒド化合物(B1)を含み、 前記(B1)成分の含有量が、(B)成分の総質量に対し、20質量%以上である、加熱型燻蒸剤組成物。 【請求項2】 前記(A)成分がアゾジカルボンアミド、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、及び1,3-ブチレングリコールからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の加熱型燻蒸剤組成物。 【請求項3】 前記(B1)成分が、炭素数6~16の直鎖又は分岐の炭化水素基を有する非環式アルデヒド化合物である、請求項1又は2に記載の加熱型燻蒸剤組成物。 ・・・ 【請求項7】 筒状の本体、底部、及び蓋部を備える筐体と、 前記筐体内に発熱剤が収容されてなる加熱部と、 前記筐体内に設けられ前記加熱部の上方に位置する金属製の燻煙剤容器とを備え、 前記燻煙剤容器に請求項1~4のいずれか一項に記載の加熱型燻蒸剤組成物が充填されてなる、間接加熱型燻煙装置。」 (1b)「【0010】 <(A)成分:揮散剤> (A)成分は揮散剤である。(A)成分を配合することにより、(B)成分が揮散しやすくなる。 (A)成分としては、有機発泡剤(以下、(A1)成分ともいう)、ポリオール(以下、(A2)成分ともいう)が挙げられる。 ・・・ 【0013】 (A2)成分の「ポリオール」は、分子内に2個以上の水酸基を有する化合物であり、水酸基を2つ有するものを2価アルコール(グリコール)、3つ有するものを3価アルコールといい、2つ以上有するものは一括して多価アルコールとも称される。ポリオールは、150~450℃で加熱すると、現行の燻煙剤と同様に白色の煙状物が発生するという特徴を見出し、本発明においては発煙基剤として用いられる。(A2)成分は、特に限定されず、医薬品、医薬部外品、化粧品、雑貨品、工業品等に使用されているもののなかから、(B)成分の揮散性、溶解・分散性、使用時の加熱温度等を考慮して適宜選択される。(A2)成分の沸点は、(A2)成分の揮散性の点から、150~300℃が好ましく、170~300℃がより好ましい。(A2)成分としては、2価アルコール(グリコール)、3価以上の多価アルコール、糖、糖アルコール等が挙げられる。 【0014】 グリコールのなかで好適なものとしては、炭素数が2以上であり、炭素原子間にエーテル性酸素原子(-O-)が挿入されていてもよい脂肪族炭化水素の2つの炭素原子に1つずつ水酸基が結合している構造を持つ化合物が挙げられる。 【0015】 グリコールのなかで好適なものとしては、炭素数が2以上であり、炭素原子間にエーテル性酸素原子(-O-)が挿入されていてもよい脂肪族炭化水素の2つの炭素原子に1つずつ水酸基が結合している構造を持つ化合物が挙げられる。 前記化合物において、脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。また、前記脂肪族炭化水素は鎖状であっても環状であってもこれらの組み合わせであってもよく、鎖状であることが好ましい。鎖状である場合、前記脂肪族炭化水素は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。環状である場合、前記脂肪族炭化水素は単環式でも多環式でもよい。 このような化合物としてより具体的には、下記一般式(A2-1)又は(A2-2)で表される化合物が挙げられる。 HO-R1-OH …(A2-1) HO-(R2O)n-H …(A2-2) [式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、炭素数2~18の2価の脂肪族炭化水素基であり、nは2~14の整数である。] 【0016】 式(A2-1)中、R1における2価の脂肪族炭化水素基の炭素数は2~18が好ましく、2~4がより好ましく、3又は4がさらに好ましい。R1としてはプロピレン基が特に好ましい。 式(A2-2)で表される化合物は、いわゆるポリエーテルである。 式(A2-2)中、R2としては、R1と同様のものが挙げられ、エチレン基又はプロピレン基が好ましく、エチレン基が特に好ましい。 nは2~14の整数であることが好ましく、2~4の整数であることがより好ましい。 【0017】 上記一般式(A2-1)で表される化合物の例として、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、trans-2-ブテン-1,4-ジオール、2-ブチン-1,4-ジオール、2,5-ヘキサンジオール、2-メチル-1,3-ペンタンジオール、2-メチル-2,4-ペンタンジオール、2,3-ジメチル-2,3-ブタンジオール、2,4-ヘプタンジオール、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、イソプレングリコール、トリメチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,15-ペンタデカンジオール、1,16-ヘキサデカンジオール、1,17-ヘプタデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,19-ノナデカンジオール、1,20-イコサンジオール、1,2-オクタンジオール、1,2-デカンジオール、1,2-ドデカンジオール、1,2-テトラデカンジオール、1,2-ヘキサデカンジオール、1,2-オクタデカンジオール等が挙げられる。なかでもプロピレングリコールが好ましい。・・・」 (1c)「【0020】 本発明の燻蒸剤組成物が(A2)成分を含有する場合、(A2)成分の含有量は、燻蒸剤組成物の総質量に対し、30質量%以上が好ましく、50~99.9質量%がより好ましい。 (A2)成分の含有量が上記範囲内であると、(B)成分を揮散させやすくなる。 【0021】 <(B)成分:アルデヒド化合物> (B)成分はアルデヒド化合物である。(B)成分を含むことにより、微生物汚れを脱色することができる。本明細書において「アルデヒド化合物」とは、分子内にアルデヒド基を有する化合物を意味する。 (B)成分は、非環式アルデヒド化合物(B1)(以下、(B1)成分ともいう)を含む。本明細書において、「非環式アルデヒド化合物」とは、分子内に環構造を有さず、且つアルデヒド基を有する化合物を意味する。 環構造とは、脂環式炭化水素(シクロアルカン、シクロアルケン等)、芳香族炭化水素(ベンゼン、ナフタレン等)、複素環(ピリジン等)、大員環化合物(ポルフィリン等)が挙げられる。 (B1)成分としては、炭素数6~16の直鎖又は分岐の炭化水素基を有するアルデヒド化合物であることが好ましい。炭化水素基としては、アルキル基、アルケニル基が挙げられる。 (B1)成分としては、シトラール、シトロネラール、ヒドロキシシトロネラール、オクチルアルデヒド、ノニルアルデヒド、デシルアルデヒド、ウンデシルアルデヒド、トリメチルヘキシルアルデヒド、トランス-2-ヘキサナール、2,6-ノナジエナール、シス-4-デセナール等が挙げられる。 (B1)成分以外のアルデヒド化合物としては、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、シンナミックアルデヒド、ヒドラトロピックアルデヒド、アニスアルデヒド、p-メチルフェニルアセトアルデヒド、クミンアルデヒド、シクラメンアルデヒド、リグストラール、リラールが挙げられる。 これらの(B)成分は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。 ・・・ 【0023】 (B)成分の含有量は、燻蒸剤組成物の総質量に対し、0.05質量%以上であり、0.08~5質量%が好ましく、0.1~2質量%がさらに好ましい。 (B1)成分の含有量が上記上限値以下であると、揮散率の低下を抑制することができる。 (B1)成分の含有量が上記下限値以上あると、微生物汚れを脱色しやすくなる。 【0024】 (A)成分/(B)成分で表される質量比(以下、A/B比ともいう)は、25~1000が好ましく、60~600がより好ましい。 A/B比が上記上限値以下であると、(B)成分の拡散性を向上しやすくなる。 A/B比が上記下限値以上であると、(B)成分が薬効を示しやすくなる。」 (1d)「【0038】 押出し造粒法による製造方法の具体例として、燻蒸剤組成物の各成分を、ニーダー等により混合し、必要に応じて適量の水を加えて混合し、得られた混合物を任意の開孔径を有するダイスを用い、前押出しあるいは横押出し造粒機で造粒する方法が挙げられる。該造粒物をさらにカッター等で任意の大きさに切断し、水分除去のための乾燥を行っても良い。 乾燥方法は、例えば、従来公知の乾燥機を用いた加熱乾燥法が挙げられる。 乾燥温度は、特に限定されないが、香料等の揮発を抑制する点から、50~80℃が好ましい。 乾燥時間は、乾燥温度に応じて適宜決定される。 乾燥した後の燻蒸剤組成物の水分含量は、特に限定されないが、5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、0質量%であってもよい。水分含量が5質量%以下であると(A)成分の揮散率が良好である。 液体の燻蒸剤組成物の製造方法としては、(A)~(B)成分と、必要に応じて任意成分とを混合して調製する方法が挙げられる。」 (1e)「【0042】 本発明の燻蒸剤組成物の使用量は、燻煙処理を行う空間の容積に応じて適宜設定すればよく、0.1~30g/m3が好ましく、0.3~20g/m3がより好ましい。 燻蒸剤組成物を加熱する温度は、200℃以上が好ましく、200~300℃がより好ましい。 燻蒸剤組成物を加熱する時間は、60秒以上が好ましく、120~1000秒がより好ましい。 燻煙処理時間(燻煙開始後、対象空間の密閉を解除するまでの時間)は、特に限定されないが、60分程度が好ましく、30分未満では除菌効果が不十分な場合があり、120分以上では使い勝手が低下してしまう。」 (1f)「【0047】 底部16は、加熱部20の機構に応じて適宜決定すればよい。例えば、加熱部20が水と接触して発熱する物質(酸化カルシウム等。)により構成されている場合、底部16には不織布や金属製のメッシュ等を用いることができる。底部16を不織布や金属製のメッシュとすることで、底部16から水を加熱部20内に浸入させて反応熱を発生させ、燻蒸剤組成物を加熱することができる。 【0048】 燻煙装置10を用いた燻煙方法では、まず燻煙装置10を対象空間内に設置する。次いで、加熱部20の機構に応じて加熱部20を発熱させる。例えば、酸化カルシウムを充填した加熱部20が設けられている場合、底部16を水に浸漬する。加熱部20が発熱すると、燻煙剤容器30を介して燻煙剤部32が加熱される。加熱された燻煙剤部32の燻蒸剤組成物は、(A)成分の分解によってガスが生じ、該ガスと共に(B)成分が煙化し、蓋部18の貫通孔を通過して噴出する。これにより、対象空間内に(B)成分が拡散して、(B)成分の効果が得られる。」 (1g)「【0050】 本発明の燻蒸剤組成物は、微生物汚れを脱色することができる。特にクロカビ等の黒色真菌により黒色化した微生物汚れを脱色するのに効果を発揮する。 本発明の燻蒸剤組成物は、特に居室や浴室用の微生物制御用(防カビ、抗カビ等)の燻蒸剤として好適である。なかでも、浴室用防カビ燻蒸剤組成物であることが好ましい。」 (1h)「【実施例】 【0051】 以下に実施例を用いて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 各例の燻蒸剤組成物の組成(含有量(質量%))を表1~5に示す。 表中、空欄の配合成分がある場合、その配合成分は配合されていない。 表中、「バランス」は、燻蒸剤組成物に含まれる全配合成分の合計の配合量が100質量%となるように加えられる残部を意味する。 本実施例において使用した原料は下記の通りである。 【0052】 <(A)成分> ・a-1:アゾジカルボンアミド、商品名:ダイブローAC.2040(C)、大日精化工業(株)製。 ・a-2:プロピレングリコール、試薬特級、純正科学(株)製。 <(B)成分> ・b-1:シトラール、商品名:シトラール、和光純薬工業(株)製。 ・b-2:シトロネラール、商品名:(-)-シトロネラール、東京化成工業(株)製。 ・b-3:オクチルアルデヒド、商品名:n-オクタナール、東京化成工業(株)製。 ・b-4:ノニルアルデヒド、商品名:n-ノニルアルデヒド、米山薬品工業(株)製。 ・b-5:デシルアルデヒド、商品名:デカナール、東京化成工業(株)製。 ・b-6:トランス-2-ヘキサナール、商品名:トランス-2-ヘキサナール、東京化成工業(株)製。 ・b’-1:ヘキシルシンナミックアルデヒド、商品名:α-ヘキシルシンナムアルデヒド、東京化成工業(株)製、(B)成分の比較品。 ・b’-2:アニスアルデヒド、商品名:p-アニスアルデヒド、東京化成工業(株)製、(B)成分の比較品。 ・b’-3:リリアール(4-tert-3-(4-tert-ブチルフェニル)-プロパナール)、商品名:リリアール、ジボダン社製、(B)成分の比較品。 ・b’-4:リナロール、商品名:リナロール、東京化成工業(株)製、(B)成分の比較品。 ・b’-5:チモール、商品名:チモール、和光純薬工業(株)製、(B)成分の比較品。 ・b’-6:α-ピネン、商品名:(-)-α-ピネン、米山薬品工業(株)製、(B) 成分の比較品。 ・b’-7:リモネン、商品名:リモネン、和光純薬工業(株)製、(B)成分の比較品。 ・b’-8:メントン、商品名:(-)-メントン、東京化成工業(株)製、(B)成分の比較品。 ・b’-9:ゲラニオール、商品名:ゲラニオール、東京化成工業(株)製、(B)成分の比較品。 ・b’-10:ハイドロキノン、商品名:ハイドロキノン、米山薬品工業(株)製、(B)成分の比較品。 <任意成分> ・c-1:銀ゼオライト、商品名:ゼオミックAJ10N、(株)シナネンゼオミック製、銀濃度2.5質量%。 ・c-2:IPMP、商品名:ビオゾール、大阪化成(株)製。 ・c-3:メトキサジアゾン、住友化学(株)製。 ・d-1:HPMC(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、商品名:メトローズ 信越化学工業(株)製。 ・e-1:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー、商品名:Pluronic RPE1740、BASF社製。 ・f-1:クレイ、商品名: MK-300、昭和KDE(株)製。 【0053】 <燻蒸剤組成物の製造方法> [実施例1~20、22~26、比較例1~16] 室温(20℃)条件下において、表に示す組成に従い、各成分をニーダー(S5-2G型、株式会社モリヤマ製)で攪拌混合した後、組成全量を100部として10部の水を加えて混合し混合物を得た。得られた混合物を直径2mmの開孔を有するダイスの前押し出し造粒機(EXK-1、株式会社不二パウダル製)を用い造粒し造粒物を得た。得られた造粒物をフラッシュミル(FL300、株式会社不二パウダル製)により長さ2~5mmに切断し、70℃に設定した乾燥機(RT-120HL、アルプ株式会社製)により2時間乾燥させ、顆粒状の燻蒸剤組成物を得た。得られた組成物について、表に記載の使用量を用いて、各種評価試験を行った。 [実施例21、比較例17~18] 表に示す組成に従い、各成分を混合し、液状の燻蒸剤組成物を得た。得られた組成物について、表に記載の使用量を用いて、各種評価試験を行った。 【0054】 <脱色効果の評価> [実施例1~26、比較例1~16] ポテトデキストロース寒天の斜面培地にて25℃、1週間培養したCladosporium cladosporioides HMC1064(浴室分離菌)を、白金耳を用いてポテトデキストロース寒天の平板培地に3点接種した。25℃にて1日培養後、試験に供するカビプレート1とした。 図2に示すように、容積25Lの評価ボックス100(22cm×26cm×44cm)の床面に、下記の方法で菌を接種したカビプレート1を設置した。 評価用燻煙装置として「ルックお風呂の防カビくん煙剤」の加熱容器を用意し、該容器内の燻煙剤部に各例の燻蒸剤組成物を0.5g量充填し、同容器内の加熱部に酸化カルシウム37gを充填して燻煙装置10を作成した。評価ボックスの床中央部に23mLの水を入れた給水用プラスチック容器を設置した。作製した燻煙装置を給水用プラスチック容器に入れて燻煙を開始し、評価ボックス100を密閉した 発煙が開始してから15時間後に評価ボックス100を開け、カビプレート1を回収した。25℃で3日間静置した後のコロニー全体に対する白色化した部分の面積比率を計測し白色化度を求めた。 具体的には回収したカビプレート1を全体が写るようにデジタルカメラで撮影し、A4コピー用紙いっぱいになるように印刷した。印刷物のコロニーをコロニーの色がマンセル表色系において彩度0又は1、明度8以上の部分(実際のコロニーを参照する)αとそれ以外の部分βに切り分け、各々の質量を精密天秤で測定し(小数点以下4桁)以下の式により占有率を計算した。 白色化度=[αの質量(白色化部分)/α+βの質量(コロニー全体)]×100 (%) 以下に記載の評価基準に従い判定した。 [判定基準] ◎◎:白色化度が70%以上 ◎:白色化度が50%以上70未満%。 ○:白色化度が30%以上50未満%。 △:白色化度が10%以上30未満%。 ×:白色化度が10%未満。 ・・・ 【0059】 【表3】 [図:0001423475000001.jpg] 」 2 甲第2号証 甲2には、以下の事項が記載されている。 (2a)「【0031】 【作用】本発明の消臭芳香剤はエアコンの送風により有効成分を飛散させるエアコン設置型であるため、気温や湿度に影響を受けることなく、安定した消臭芳香効果を得ることができる。」 (2b)「【0035】実施例1 ステアリン酸ナトリウム16g、エチレングリコール24g、α-ピネン、シトロネラールを各々5g、レモン調香料5g、p-クロロメタクレゾール0.5gを混合し、90℃に加熱後、第2図に示す容器の消臭芳香剤設置部に流し込み、自然冷却させて固化させた。これを、生ゴミ臭のするダイニングキッチン内のエアコンの送風口部に取り付け、官能により臭気を調べ、消臭芳香剤を用いない場合と比較した。 ・・・ 【0038】実施例2 実施例1と同様にして製造した消臭芳香剤を、浴室及びトイレのエアコンの送風口部に取り付け、官能により臭気を調べ、消臭芳香剤を用いない場合と比較した。 【0039】その結果、表2に示す如く、良好な消臭芳香効果が得られた。また、エアコンの温風(48℃)による消臭芳香剤の溶融の問題もなく、長期にわたり使用可能であった。」 3 甲第3号証 甲3には、以下の事項が記載されている。 (3a)「【請求項1】 次の成分(A)、(B)及び(C): (A)シトラール 0.002質量%以上0.1質量%以下 (B)カチオン性殺菌剤 0.001質量%以上0.1質量%以下 (C)成分(A)以外の香料成分 0.35質量%以下 を含有し、 エタノールを含有しないか、或いはエタノールを12質量%以下含有し、かつ ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を0.2質量%以上1.5質量%以下含有する口腔用組成物。」 (3b)「【0011】 本発明の口腔用組成物によれば、酵母形のカンジダ菌における菌糸形成を効果的に抑制して菌糸形への変異を有効に抑止し、義歯や補綴物への付着力を弱めつつ殺菌剤による作用を飛躍的に高め、バイオフィルムの形成を有効に抑制することができる。また、極めて低刺激性で高い安全性を有するため、口腔内で直接繰り返し適用することができるとともに、口中での保持可能時間を延長することも可能となり、簡便かつ効果的な補綴物の洗浄及び殺菌が可能である。 また、本発明者は、カンジダ菌が義歯等の補綴物のみならず、充填歯や修復歯にも付着していることを見出しており、本発明の口腔用組成物は、低刺激性で口中での保持可能時間を延長することも可能であるため、義歯のみならず充填歯や修復歯を備える口腔内の洗浄及び殺菌にも有効である。」 (3c)「【0012】 以下、本発明について詳細に説明する。 本発明の口腔用組成物は、成分(A)として、シトラールを0.002質量%以上0.1質量%以下含有する。シトラールは、レモングラス油やレモン油等に含まれるモノテルペン類の香料成分であり、これを含有することにより、酵母形のカンジダ菌における菌糸形成を効果的に抑制して、カンジダ菌が後述する成分(B)による殺菌作用を阻害し得る菌糸形へと変異するのを有効に抑止し、高い抗真菌効果及び殺菌効果を確保することができる。成分(A)として、これを含むレモングラス油やレモン油等をそのまま用いてもよく、レモングラス油やレモン油等から抽出したものを用いてもよい。なお、シトラールは公知の方法で入手可能である。」 (3d)「【0024】 本発明の口腔用組成物は、上記成分のほか、水を含有する。これにより、成分(A)及び成分(B)並びにその他の成分を溶解又は分散させつつ口腔内で良好に拡散させ、酵母形のカンジダ菌が菌糸形を形成するのを有効に抑制し、抗真菌効果を十分に発揮させることができる。 【0025】 例えば、本発明の口腔用組成物が液体口腔用組成物である場合、かかる水の含有量は、本発明の液体口腔用組成物中に、好ましくは70質量%以上であり、より好ましくは80質量%以上であり、さらに好ましくは85質量%以上である。本発明の口腔用組成物が液体口腔用組成物である場合の水の含有量は、他の成分の残部であり、好ましくは98質量%以下であり、より好ましくは95質量%以下である。また、本発明の口腔用組成物が歯磨組成物である場合、かかる水の含有量は、本発明の歯磨組成物中に、好ましくは10質量%以上であり、より好ましくは12質量%以上であり、さらに好ましくは15質量%以上であり、好ましくは50質量%以下であり、より好ましくは45質量%以下である。」 (3e)「【0030】 本発明の口腔用組成物は、さらに、本発明の効果を阻害しない範囲で、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油以外のポリグリセリン脂肪酸エステルや糖脂肪酸エステル等の非イオン界面活性剤;グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール;キシリトールやソルビトール等の糖アルコール;甘味剤;pH調整剤;抗炎症剤;防腐剤;植物抽出物;その他有効成分等を含有することができる。 【0031】 本発明の口腔用組成物は、上述のとおり、液体口腔用組成物又は歯磨組成物のいずれの形態であってもよく、具体的には、例えば、練り歯磨き、歯磨剤、液体歯磨、水歯磨、洗口液、マウススプレー、歯用ゲル、歯肉縁下用ゲル、義歯洗浄剤、義歯安定剤、口腔保湿剤、シート剤、口腔用軟膏等の形態として適用することができる。なかでも、簡便かつ効果的な洗浄を活用する観点、及び義歯を装着したままの適用が容易である観点から、洗口液又は液体歯磨の形態であるのが好ましい。 【0032】 本発明の口腔用組成物を適用する方法としては、口腔用組成物の形態に応じて適宜選択することができる。例えば、本発明の口腔用組成物が液体口腔用組成物である場合、口腔内で直接含漱するという簡便な操作で、特に流水等でのすすぎを要することなく、十分な洗浄効果及び殺菌効果を発揮させることができる。したがって、口腔内に義歯を装着したままでの適用が可能となって、適用のたびに義歯を取り外す手間を省略することもできるとともに、すでに歯科治療等により口腔内に冠着又は埋設等された充填・修復歯にも有効な洗浄効果及び殺菌効果を及ぼすことが可能となる。また、取り外した義歯を本発明の口腔用組成物に一定時間浸漬した後、必要に応じて流水等ですすいでもよい。さらに、義歯等の補綴物に直接塗布してもよく、不織布等に含有させて塗布又は貼付してもよく、或いはフィルム状やシート状に形成して貼付してもよい。」 (3f)「【0052】 本発明の口腔用組成物は、以下の歯磨組成物として製造することができる。 ・・・ 【0053】 <歯磨組成物2> ソルビトール 35% 塩化セチルピリジニウム 0.02% グリセリン 8% プロピレングリコール 4% ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 0.2% 増粘性シリカ 8% カルボキシメチルセルロース 0.9% キサンタンガム 0.2% サッカリンナトリウム 0.05% シトラール 0.02% シトラール以外の香料 0.35% ラウリル硫酸ナトリウム 1.2% 精製水 42.06%」 4 甲第4号証 甲4には、以下の事項が記載されている。 (4a)「【請求項1】 アプリケーター一体型容器に用いるための、カチオン性殺菌剤を含有する口腔用組成物であって、 (I)以下(A)~(C)を含有し、 (A)カチオン性殺菌剤を0.05~0.5質量% (B)ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びメチルセルロースからなる群より選択される少なくとも1種のノニオン性増粘剤を0.05~2.5質量% (C)水を50質量%以上 (II)剪断速度8s-1で500~15000mPa・sの粘度を有する、 口腔用組成物。」 (4b)「【0032】 本発明の口腔用組成物を充填するアプリケーター一体型容器は、口腔用組成物を充填、貯蔵するための貯蔵部と、口腔用組成物を口腔疾患部に塗布するための塗布部を備えるものである。また、必要に応じて、当該貯蔵部と塗布部とを連結し、口腔用組成物を輸送するための送路部を備える。当該容器において、貯蔵部は取り外し及び反復充填が可能であってもよく、予め充填(プレフィルド)された状態で上市され使い捨てされるものであってもよい。」 (4c)「【0062】 処方例1 成分 質量% 塩化セチルピリジニウム 0.1 塩化亜鉛 1.2 ヒドロキシエチルセルロース 1.1 グリセリン 15.0 プロピレングリコール 3.0 パラオキシ安息香酸メチル 0.1 ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 1.0 ウイキョウ油 0.1 シンナムアルデヒド 0.2 チモール 0.2 水 残部 合計 100.0」 5 参考資料1 参1には、以下の事項が記載されている。 (5a)「【0031】 抗菌成分担持体40は、殺虫成分担持体30と同様に、吸収性の担体に薬剤を染み込ませたものである。抗菌成分担持体40において、担体に染み込ませる薬剤には、抗菌成分と、飛翔害虫に対する忌避効果を有する植物由来揮発成分とが含まれている。抗菌成分としては、常温で揮散性を有する抗菌香料が使用される。そのような抗菌香料として、例えば、チモール、リナロール、テルピネオール、酢酸ベンジル、シトラール、シトロネラール、テトラヒドロリナロール、ジヒドロミルセノール、2-トランスヘキセナール、イソ-E-スーパー、及びエストラゴール等が挙げられる。これらの抗菌香料は、単独で使用可能であるが、二種以上の混合物の形態で使用しても構わない。特に、チモール、リナロール、テルピネオール、及び酢酸ベンジルの混合物が好ましく使用される。これらの抗菌香料を揮散させ、ゴミ容器200の内部空間Sに放出することで、ゴミ容器200に収容される生ゴミ等に付着している菌の繁殖を抑え、生ゴミ等の腐敗(変質)を防ぐことができる。これにより、生ゴミ等の腐敗に伴う悪臭の発生、及び飛翔害虫誘引物質の発生を抑制し、飛翔害虫の寄り付きを予防することができる。・・・」 6 参考資料2 参2には、以下の事項が記載されている。 (6a)「3.4 カビ成長と浴室環境の関係 図5は同じ設置位置(No.18)における1日温湿度の変化であり、ケース1,2,3それぞれの浴室内温湿度の挙動を示している。相対湿度が100%を超えているのは、高湿によりセンサ一部に結露が付着することによる誤差と考えられる。ケース1の場合、窓開放や機械換気を行っていないため湿気が浴室内に保存され続けているため、相対湿度は1日中湿度100%に近く壁や床は結露状態のままであった。温度は入浴による発熱で高くなっていき、入浴後放熱により徐々に下がっていく。ケース2の場合、入浴後に湿気はほぼ100%であり、換気されると同時に徐々に相対湿度一定のまま湿気が排出され、換気1時間後温度一定のまま湿度が小さくなっている。つまり相対湿度を面湿状態のままにし温度を低下させている。一方、ケース3の場合、入浴後温度は乾燥用の温風により渇<なり相対湿度が徐々に下がっていき換気のみの場合と比べ温度を上げ相対湿度を低下させている。このため両者の高掲度状態の総蓄積時間に大きな差があると考えられる。」(第1347頁左欄第10行~右欄第8行) 7 参考資料3 参3には、以下の事項が記載されている。 (7a)「<2>(当審注:<2>は、丸に数字の「2」を意味する。以下同様。)試験的生体内計測 健常若年者5名について試験的生体内計測を行った結果を図4及び表1に示す。 [図:0001423475000002.jpg] 健常若年者の口腔内湿度計測について、切歯乳頭部では他部位より比較的大きな湿度の変化がみられた。また閉口時のロ腔内湿度は肺胞気湿度と同程度である100%RH付近であった。一方、口呼吸時は時間の経過とともに鼻呼吸時に比べ、全ての部位での湿度低下がみられ、振幅も大きくなる傾向がみられた。・・・」(4.研究成果(1)<2>) 8 参考資料4 参4には、以下の事項が記載されている。 (8a)「【請求項1】 冷蔵庫本体の庫内に、揮発性抗菌剤として・・・シンナムアルデヒドC9H8Oの1種又は2種以上の蒸気を供給するようにしてあることを特徴とする冷蔵庫。」 9 参考資料5 参5には、以下の事項が記載されている。 (9a)「2.2.2 かびの生存挙動とRHの関連性検証試験 かびの生存挙動とRHの関係を明らかにするため,異なるRH環境下におけるかび数の経時変化を希釈平板法により測定した。かびは,浴室優先種の中で代表的なクラドスポリウムを使用し,RHは,100%と80%に加え,日本の通年平均RHを想定した65%を設定した。かびは,栄養の条件が好適であればあるほど,水分や酸素などのその他の生育因子の影響を受けにくい。また,細菌などの単細胞とは異なり,生育がある程度進行した状態になると希釈平板法による定量性が低下するとされている。これらの理由から,とくに栄養源は用いず,蒸留水を用いてクラドスポリウム胞子液を作成した。この胞子液1mlを三角フラスコに接種し,25℃で24時間風乾させた。これらを25℃,各々の設定RH下で,0,3,6,12および24時間培養後に希釈平板法を用いて生菌数を測定した。」 (9b)「3.2 かびの生存挙動とRHの関連性 異なるRH下におけるかびの生存挙動の結果を図3に示す。100%RHでは初期よりほとんど変化はないが,80%RHと65%RHでは経時的に減少し,24時間後には80%RHでは半減65%RHでは1/10にまで減少した。このことから,結露水を除去することでかびを死滅させる効果があることがわかった。 [図:0001423475000003.jpg] 」 第6 当審における判断 1 取消理由1-1、2-1(甲第1号証を主引用例とする新規性欠如、進歩性欠如)について (1)甲1に記載された発明 摘記事項1a及び1hの記載から、甲1には、実施例21の燻蒸剤組成物による燻煙処理について、 「容積25Lの評価ボックスの床面に、Cladosporium cladosporioides HMC1064(浴室分離菌)を接種したカビプレートを設置し、またその評価ボックスの床中央部に給水用プラスチック容器を設置し、顆粒状の燻蒸剤組成物0.5g量を充填した燻煙剤部と酸化カルシウム37gを充填した加熱部を有する評価用燻煙装置を、23mLの水を入れた前記給水用プラスチック容器に入れて燻煙処理する方法(ただし、前記顆粒状の燻蒸剤組成物は、室温(20℃)条件下において、プロピレングリコール99.5質量部、シトラール0.1質量部、シトロネラール0.2質量部、ノニルアルデヒド0.1質量部、デシルアルデヒド0.1質量部の各成分をニーダーで攪拌混合した後、組成全量を100部として10部の水を加えて混合し、得られた混合物を直径2mmの開孔を有するダイスの前押し出し造粒機を用い造粒し、フラッシュミルにより長さ2~5mmに切断し、70℃に設定した乾燥機により2時間乾燥させて得たものである。)」の発明(以下「甲1発明A」という。) 及び 「容積25Lの評価ボックスの床面に、Cladosporium cladosporioides HMC1064(浴室分離菌)を接種したカビプレートを設置し、またその評価ボックスの床中央部に給水用プラスチック容器を設置し、顆粒状の燻蒸剤組成物0.5g量を充填した燻煙剤部と酸化カルシウム37gを充填した加熱部を有する評価用燻煙装置を、23mLの水を入れた前記給水用プラスチック容器に入れて燻煙処理する装置(ただし、前記顆粒状の燻蒸剤組成物は、室温(20℃)条件下において、プロピレングリコール99.5質量部、シトラール0.1質量部、シトロネラール0.2質量部、ノニルアルデヒド0.1質量部、デシルアルデヒド0.1質量部の各成分をニーダーで攪拌混合した後、組成全量を100部として10部の水を加えて混合し、得られた混合物を直径2mmの開孔を有するダイスの前押し出し造粒機を用い造粒し、フラッシュミルにより長さ2~5mmに切断し、70℃に設定した乾燥機により2時間乾燥させて得たものである。)」の発明(以下「甲1発明B」という。) が記載されていると認める。 (2)本件訂正発明1 ア 対比 甲1発明Aの「シトラール」及び「シトロネラール」は、本件訂正発明1の「(A)成分:ClogP値が1.5~5であるアルデヒド化合物」に相当し、甲1発明Aの「プロピレングリコール」は、本件訂正発明1の「(B)成分:炭素数が2~4のグリコール化合物」に相当し、甲1発明Aの「顆粒状の燻蒸剤組成物」は、特に居室や浴室用の微生物制御用(防カビ、抗カビ等)の燻蒸剤として好適であるから(摘記事項1e、1g参照)、本件訂正発明1の「微生物抑制剤組成物」に相当する。 ここで、甲1発明Aの「燻蒸剤組成物」は、組成全量を100部として10部の水を加えて得られた混合物を造粒、切断、乾燥して得たものであるが、「水分除去のために乾燥」(摘記事項1d参照)がされており、乾燥後の最終的な水分含量は特定されていない。 甲1発明Aでは、酸化カルシウム37gを充填した加熱部を有する評価用燻煙装置を、23mLの水を入れた前記給水用プラスチック容器に入れることで、前記加熱部が水に浸漬して発熱し、そこから燻煙剤部も加熱されると、燻蒸剤組成物の(A)成分:揮散剤成分のガスが生じ、そのガスと共に(B)成分:アルデヒド化合物が煙化し、対象空間内に拡散するものであるから(摘記事項1b、1c、1f参照)、本件訂正発明1の「微生物抑制剤組成物を、雰囲気中に揮発させる」ことに相当する。 甲1発明Aのカビプレートに接種した「Cladosporium cladosporioides HMC1064(浴室分離菌)」は、本件訂正発明1の「微生物」に相当し、甲1発明Aの「カビプレート」を「燻煙処理する方法」は、微生物制御用(防カビ、抗カビ等)として好適な燻蒸剤組成物による燻煙処理により除菌効果を得るものであるから(摘記事項1e及び1g参照)、本件訂正発明1の「微生物抑制方法」に相当する。 そうすると、本件訂正発明1と甲1発明Aは、 「下記(A)成分及び下記(B)成分を含む微生物抑制剤組成物を、雰囲気中に揮散させる、微生物抑制方法。 (A)成分:ClogP値が1.5~5であるアルデヒド化合物。 (B)成分:炭素数が2~4のグリコール化合物。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1> 本件訂正発明1では、微生物抑制剤組成物が、「(C)成分:水」を含み、「微生物抑制剤組成物の総質量に対して、前記(B)成分と前記(C)成分の合計の含有量が40~99質量%であり、かつ、前記(C)成分に対する前記(B)成分の質量比を表す、(B)/(C)が0.2~4である」のに対して、甲1発明Aでは、水分含量が特定されていない点 <相違点2> 本件訂正発明1では、微生物抑制剤組成物を揮散させる雰囲気が、「相対湿度70%以上の雰囲気」であるのに対して、甲1発明Aではそのような特定がされていない点 イ 相違点についての検討 まず、相違点1について検討する。 甲1発明Aの「顆粒状の燻蒸剤組成物」は、「プロピレングリコール99.5質量部、シトラール0.1質量部、シトロネラール0.2質量部、ノニルアルデヒド0.1質量部、デシルアルデヒド0.1質量部の各成分を・・・攪拌混合した後、組成全量を100部として10部の水を加えて混合し、得られた混合物を・・・造粒し・・・切断し・・・乾燥させて得」るものである。 そこで、燻蒸剤組成物の「水」((C)成分に相当)に対する「プロピレングリコール」((B)成分に相当)の質量比(B)/(C)を計算すると、乾燥前でも9.95(=99.5/10)であり、乾燥により水分が除去されると、その数値は更に大きくなる。 また、甲1には、「プロピレングリコール」等の「(A2)成分の含有量は、燻蒸剤組成物の総質量に対し、30質量%以上が好ましく、50~99.9質量%がより好ましい」、この範囲内であると、「シトラール」、「シトロネラール」等の「(B)成分を揮散させやすくなる」(摘記事項1c参照)、「乾燥した後の燻蒸剤組成物の水分含量は・・・5質量%以下であると(A)成分の揮散率が良好である」(摘記事項1d参照)と記載されており、これらの記載からすると、(B)/(C)は6(=30/5)以上が好適であると解される。 そうすると、相違点1は実質的な相違点であり、甲1には、「(B)/(C)が0.2~4」となるように調整する動機付けがあるとはいえない。 ウ 相違点1に係る特定事項が申立理由1-1、2-1の対象でないこと 本件訂正発明1の相違点1に係る特定事項は、訂正事項1に該当し、前記第2 3(1)で示したとおり、本件訂正前の請求項6、7に記載されていた事項である。 そして、申立書に記載された申立理由1-1、2-1(甲第1号証を主引用例とする新規性欠如、進歩性欠如)は、本件訂正前の請求項6、7に係る発明を対象としていない。 エ 小括 以上のとおりであって、相違点2について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲1に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当するものではないし、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ではない。 したがって、特許法第113条第2号の規定により、本件訂正発明1に係る特許を取り消されるべきものであるとすることはできない。 (3)本件訂正発明2~4、8、9 本件訂正発明2~4、8、9は、本件訂正発明1を引用し、さらに限定したものであり、前記本件訂正発明1と甲1発明Aとの相違点1、2と同じ相違点を有するものであって、甲1に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当するものではないし、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものでもない。 したがって、特許法第113条第2号の規定により、本件訂正発明2~4、8、9に係る特許を取り消されるべきものであるとすることはできない。 (4)本件特許発明10 ア 対比 甲1発明Bの燻蒸剤組成物の「シトラール」及び「シトロネラール」は、本件訂正発明10の「(A)成分:ClogP値が1.5~5であるアルデヒド化合物」に相当し、甲1発明Bの燻蒸剤組成物の「プロピレングリコール」は、本件訂正発明10の「(B)成分:炭素数が2~4のグリコール化合物」に相当し、甲1発明Bの「顆粒状の燻蒸剤組成物」は、特に居室や浴室用の微生物制御用(防カビ、抗カビ等)の燻蒸剤として好適であるから(摘記事項1e、1g参照)、本件訂正発明10の「微生物抑制剤組成物」に相当する。 ここで、甲1発明Bの「燻蒸剤組成物」は、組成全量を100部として10部の水を加えて得られた混合物を造粒、切断、乾燥して得たものであるが、「水分除去のために乾燥」(摘記事項1d参照)がされており、乾燥後の最終的な水分含量は特定されていない。 甲1発明Bの「評価用燻煙装置」の「顆粒状の燻蒸剤組成物0.5g量を充填した燻煙剤部」は、前記(2)アで示したとおり、前記加熱部の発熱により加熱されると、燻蒸剤組成物の(A)成分:揮散剤成分のガスが生じ、そのガスと共に(B)成分:アルデヒド化合物が煙化し、対象空間内に拡散するものであるから、本件訂正発明10の「処理対象の雰囲気に下記(A)成分、下記(B)成分を含む微生物抑制剤組成物を揮発させる揮散装置」に相当し、甲1発明Bの「評価用燻煙装置」の「酸化カルシウム37gを充填した加熱部」は、水に浸漬したときの発熱量で、給水用プラスチック容器の水を水蒸気として揮散しているものと解され、実質的に雰囲気を加湿するものといえるから、本件訂正発明10の「前記雰囲気を加湿する加湿装置」に相当する。 さらに、甲1発明Bのカビプレートに接種した「Cladosporium cladosporioides HMC1064(浴室分離菌)」は、本件訂正発明1の「微生物」に相当し、甲1発明Bの「カビプレート」を「燻煙処理する装置」は、微生物制御用(防カビ、抗カビ等)として好適な燻蒸剤組成物による燻煙処理により除菌効果を得るものであるから(摘記事項1e及び1g参照)、本件訂正発明10の「微生物抑制システム」に相当する。 そうすると、本件訂正発明10と甲1発明Bは、 「処理対象の雰囲気に下記(A)成分、下記(B)成分を含む微生物抑制剤組成物を揮散させる揮散装置と、前記雰囲気を加湿する加湿装置とを備える、微生物抑制システム。 (A)成分:ClogP値が1.5~5であるアルデヒド化合物。 (B)成分:炭素数が2~4のグリコール化合物。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点1’> 本件訂正発明10では、微生物抑制剤組成物が、「(C)成分:水」を含み、「微生物抑制剤組成物の総質量に対して、前記(B)成分と前記(C)成分の合計の含有量が40~99質量%であり、かつ、前記(C)成分に対する前記(B)成分の質量比を表す、(B)/(C)が0.2~4である」のに対して、甲1発明Bでは、水分含量が特定されていない点 イ 相違点についての検討 前記(2)イで検討したのと同様に、相違点1’は実質的な相違点であり、甲1には、「(B)/(C)が0.2~4」となるように調整する動機付けがあるとはいえない。 ウ 相違点1’に係る特定事項が申立理由1-1、2-1の対象でないこと 本件訂正発明1の相違点1’に係る特定事項は、訂正事項5に該当し、前記第2 3(1)で示したとおり、本件訂正前の請求項6、7に記載されていた事項である。 そして、申立書に記載された申立理由1-1、2-1(甲第1号証を主引用例とする新規性欠如、進歩性欠如)は、本件訂正前の請求項6、7に係る発明を対象としていない。 エ 小括 以上のとおりであって、本件訂正発明10は、甲1に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当するものではないし、甲1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ではない。 したがって、特許法第113条第2号の規定により、本件訂正発明10に係る特許を取り消されるべきものであるとすることはできない。 2 取消理由1-2、2-2(甲第2号証を主引用例とする新規性欠如、進歩性欠如)について (1)甲2に記載された発明 摘記事項2a、2bの記載から、甲2には、実施例の消臭芳香剤による消臭芳香処理について、 「消臭芳香剤を、浴室のエアコンの送風口部に取り付け、エアコンの送風により有効成分を飛散させる方法(ただし、前記消臭芳香剤は、ステアリン酸ナトリウム16g、エチレングリコール24g、α-ピネン、シトロネラールを各々5g、レモン調香料5g、p-クロロメタクレゾール0.5gを混合し、90℃に加熱後、消臭芳香剤容器の消臭芳香剤設置部に流し込み、自然冷却させて固化させたものである。)」の発明(以下「甲2発明A」という。) 及び 「消臭芳香剤を、浴室のエアコンの送風口部に取り付け、エアコンの送風により有効成分を飛散させる形態(ただし、前記消臭芳香剤は、ステアリン酸ナトリウム16g、エチレングリコール24g、α-ピネン、シトロネラールを各々5g、レモン調香料5g、p-クロロメタクレゾール0.5gを混合し、90℃に加熱後、消臭芳香剤容器の消臭芳香剤設置部に流し込み、自然冷却させて固化させたものである。)」の発明(以下「甲2発明B」という。) が記載されていると認める。 (2)本件訂正発明1 ア 対比 甲2発明Aの「シトロネラール」は、本件訂正発明1の「(A)成分:ClogP値が1.5~5であるアルデヒド化合物」に相当し、甲2発明Aの「エチレングリコール」は、本件訂正発明1の「(B)成分:炭素数が2~4のグリコール化合物」に相当する。また、例えば参1に記載されるように、「シトロネラール」は抗菌香料として周知であることから(必要であれば、摘記事項5a参照)、甲2発明Aの「シトロネラール」を含む「消臭芳香剤」は、本件訂正発明1の「微生物抑制剤組成物」に相当する。 甲2発明Aの「消臭芳香剤を、浴室のエアコンの送風口部に取り付け、エアコンの送風により有効成分を飛散させる」ことは、エアコンの送風により、消臭芳香剤のエチレングリコール、シトロネラール等揮発性成分が揮発し、浴室に飛散するものと考えられるところ、本件訂正発明1の「下記(A)成分、下記(B)成分を含む微生物抑制剤組成物を、雰囲気中に揮発させる」ことに相当し、さらに、抗菌香料として周知のシトロネラールが浴室に揮散することで、浴室の菌の繁殖を抑える効果を発揮するものと考えられるところ、本件訂正発明1の「微生物抑制方法」にも相当する。 そうすると、本件訂正発明1と甲2発明Aは、 「下記(A)成分及び下記(B)成分を含む微生物抑制剤組成物を、雰囲気中に揮散させる、微生物抑制方法。 (A)成分:ClogP値が1.5~5であるアルデヒド化合物。 (B)成分:炭素数が2~4のグリコール化合物。」 である点で一致し、以下の点で一応相違する。 <相違点3> 本件訂正発明1では、微生物抑制剤組成物が、「(C)成分:水」を含み、「微生物抑制剤組成物の総質量に対して、前記(B)成分と前記(C)成分の合計の含有量が40~99質量%であり、かつ、前記(C)成分に対する前記(B)成分の質量比を表す、(B)/(C)が0.2~4である」のに対して、甲2発明Aでは、水分含量が特定されていない点 <相違点4> (A)成分及び(B)成分を揮散させる雰囲気が、本件訂正発明1では「相対湿度70%以上の雰囲気」であるのに対して、甲2発明Aではそのような特定がされていない点 イ 相違点についての検討 まず、相違点3について検討する。 甲2発明Aの「消臭芳香剤」は、「ステアリン酸ナトリウム16g、エチレングリコール24g、α-ピネン、シトロネラールを各々5g、レモン調香料5g、p-クロロメタクレゾール0.5gを混合し、90℃に加熱後、消臭芳香剤容器の消臭芳香剤設置部に流し込み、自然冷却させて固化させたもの」であって、水は含有しておらず、また、甲2の記載全体を参酌しても、消臭芳香剤に水を含有させることは記載も示唆もされていない。 そうすると、相違点3は実質的な相違点であり、甲2には、消臭芳香剤に「水」を含有させる動機付けがあるとはいえない。 ウ 相違点3に係る特定事項が申立理由1-2、2-2の対象でないこと 本件訂正発明1の相違点3に係る特定事項は、訂正事項1に該当し、前記第2 3(1)で示したとおり、本件訂正前の請求項6、7に記載されていた事項である。 そして、申立書に記載された申立理由1-2、2-2(甲第2号証を主引用例とする新規性欠如、進歩性欠如)は、本件訂正前の請求項6、7に係る発明を対象としていない。 エ 小括 以上のとおりであって、相違点4について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲2に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当するものではないし、甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ではない。 したがって、特許法第113条第2号の規定により、本件訂正発明1に係る特許を取り消されるべきものであるとすることはできない。 (3)本件訂正発明2~4、8、9 本件訂正発明2~4、8、9は、本件訂正発明1を引用し、さらに限定したものであり、前記本件訂正発明1と甲2発明Aとの相違点3、4と同じ相違点を有するものであって、甲2に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当するものではないし、甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものでもない。 したがって、特許法第113条第2号の規定により、本件訂正発明2~4、8、9に係る特許を取り消されるべきものであるとすることはできない。 (4)本件訂正発明10 ア 対比 甲2発明Bの「シトロネラール」は、本件訂正発明10の「(A)成分:ClogP値が1.5~5であるアルデヒド化合物」に相当し、甲2発明Bの「プロピレングリコール」は、本件訂正発明10の「(B)成分:炭素数が2~4のグリコール化合物」に相当する。また、例えば参1に記載されるように、「シトロネラール」は抗菌香料として周知であることから(必要であれば、摘記事項5a参照)、甲2発明Bの「シトロネラール」を含む「消臭芳香剤」は、本件訂正発明1の「微生物抑制剤組成物」に相当する。 甲2発明Bの「エアコンの送風により有効成分を飛散させる」ために、「消臭芳香剤を、浴室のエアコンの送風口部に取り付け」た構成は、エアコンの送風により、消臭芳香剤のエチレングリコール、シトロネラール等揮発性成分が揮発し、浴室に飛散するものと考えられるところ、本件訂正発明10の「処理対象の雰囲気に下記(A)成分及び下記(B)成分を揮発させる揮散装置」に相当する。 参2に記載されているように、入浴時は喚起の有無にかかわらず相対湿度70%以上の雰囲気となることが本件出願時の技術常識であるところ(摘記事項4a参照)、甲2発明Bの「浴室」は、エアコンの送風を行う入浴時には、相対湿度70%以上の雰囲気となるものであるから、本件訂正発明10の「前記雰囲気を加湿する加湿装置」に相当する。 甲2発明Bの「シトロネラール」は抗菌香料として周知であることから、シトロネラールが浴室に揮散することで、浴室の菌の繁殖を抑える効果を発揮するものと考えられるところ、甲2発明Bの「消臭芳香剤を、浴室のエアコンの送風口部に取り付け、エアコンの送風により有効成分を飛散させる形態」は、本件訂正発明10の「微生物抑制システム」に相当する。 そうすると、本件訂正発明10と甲2発明Bは、 「処理対象の雰囲気に下記(A)成分、下記(B)成分を含む微生物抑制剤組成物を揮散させる揮散装置と、前記雰囲気を加湿する加湿装置とを備える、微生物抑制システム。 (A)成分:ClogP値が1.5~5であるアルデヒド化合物。 (B)成分:炭素数が2~4のグリコール化合物。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点3’> 本件訂正発明10では、微生物抑制剤組成物が、「(C)成分:水」を含み、「微生物抑制剤組成物の総質量に対して、前記(B)成分と前記(C)成分の合計の含有量が40~99質量%であり、かつ、前記(C)成分に対する前記(B)成分の質量比を表す、(B)/(C)が0.2~4である」のに対して、甲2発明Bでは、水分含量が特定されていない点 イ 相違点についての検討 前記(2)イで検討したのと同様に、相違点3’は実質的な相違点であり、甲2には、消臭芳香剤に「水」を含有させる動機付けがあるとはいえない。 ウ 相違点3’に係る特定事項が申立理由1-2、2-2の対象でないこと 本件訂正発明10の相違点3’に係る特定事項は、訂正事項5に該当し、前記第2 3(5)で示したとおり、本件訂正前の請求項6、7に記載されていた事項である。 そして、申立書に記載された申立理由1-2、2-2(甲第2号証を主引用例とする新規性欠如、進歩性欠如)は、本件訂正前の請求項6、7に係る発明を対象としていない。 エ 小括 以上のとおりであって、本件訂正発明10は、甲2に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当するものではないし、甲2に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ではない。 したがって、特許法第113条第2号の規定により、本件訂正発明10に係る特許を取り消されるべきものであるとすることはできない。 第7 当審において取消理由として採用しなかった申立理由について 1 申立理由1-3、2-3(甲第3号証を主引用例とする新規性欠如、進歩性欠如)について (1)甲3に記載された発明 摘記事項3d~3fの記載から、甲3には、口腔組成物を用いて菌糸形成を抑制する処理として、 「以下の歯磨組成物2を口腔内に適用し、菌糸形成を効果的に抑制する方法。 <歯磨組成物2> ソルビトール 35% 塩化セチルピリジニウム 0.02% グリセリン 8% プロピレングリコール 4% ポリオキシエチレン(40)硬化ヒマシ油 0.2% 増粘性シリカ 8% カルボキシメチルセルロース 0.9% キサンタンガム 0.2% サッカリンナトリウム 0.05% シトラール 0.02% シトラール以外の香料 0.35% ラウリル硫酸ナトリウム 1.2% 精製水 42.06%」の発明(以下「甲3発明」という。) が記載されていると認める。 (2)本件訂正発明1 ア 対比 甲3発明の「シトラール」は、本件訂正発明1の「(A)成分:ClogP値が1.5~5であるアルデヒド化合物」に相当し、甲3発明の「プロピレングリコール」は、本件訂正発明1の「(B)成分:炭素数が2~4のグリコール化合物」に相当し、甲3発明の「精製水」は、本件訂正発明1の「(C)成分:水」に相当し、甲3発明の「歯磨組成物」は、「口腔内に適用し、菌糸形成を効果的に抑制する」から、本件訂正発明1の「微生物抑制剤組成物」に相当する。 甲3発明では、歯磨組成物の総質量に対して、前記(B)成分と前記(C)成分の合計の含有量は46.06(=4+42.06)質量%であるから、本件訂正発明1の「微生物抑制剤組成物の総質量に対して、前記(B)成分と前記(C)成分の合計の含有量が40~90質量%である」を充足する。 甲3発明の「歯磨組成物を口腔内に適用し、菌糸形成を効果的に抑制する方法」と、本件訂正発明1の「微生物抑制剤組成物を、相対湿度70%以上の雰囲気中に揮発させる、微生物抑制方法」は、微生物抑制剤組成物を適用する微生物抑制方法である点で共通する。 そうすると、本件訂正発明1と甲3発明は、 「下記(A)成分及び下記(B)成分、下記(C)成分を含み、 微生物抑制剤組成物の総質量に対して、前記(B)成分と前記(C)成分の合計の含有量が40~90質量%である微生物抑制剤組成物を、 適用する、微生物抑制方法。 (A)成分:ClogP値が1.5~5であるアルデヒド化合物。 (B)成分:炭素数が2~4のグリコール化合物。 (C)成分:水。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点5> 本件訂正発明1では、微生物抑制剤組成物の(C)成分に対する(B)成分の質量比を表す、(B)/(C)が「0.2~4」であるのに対して、甲3発明では、0.10(=4/42.06)である点 <相違点6> 本件訂正発明1では、微生物抑制剤組成物を「相対湿度70%以上の雰囲気中に揮散させる」のに対して、甲3発明ではそのような特定がされていない点 イ 相違点についての検討 事案に鑑み、相違点6から検討する。 甲3には、「本発明の口腔組成物は・・・水を含有する。これにより、成分(A)及び成分(B)並びにその他の成分を溶解又は分散させつつ口腔内で良好に拡散させ、酵母形のカンジダ菌が菌糸形を形成するのを有効に抑制し、抗真菌効果を十分に発揮させることができる」(摘記事項3d参照)と記載されているところ、甲3発明では、「成分(A)」としての「シトラール」(摘記事項3c参照)等を水溶液又は水分散体の形態で、そのまま口腔内に適用して、抗真菌効果を発揮させるものと解される。 また、例えば参3に記載されているように、口腔内は相対湿度70%以上の雰囲気下にあることが周知であり(必要であれば、摘記事項7a参照)、甲3発明において、洗浄後に口腔内に残存したシトラール等の一部が口腔内に揮散するとしても、それによって所望の抗真菌効果を発揮するものとは考えにくいし、まして、甲3発明で用いるのは歯磨組成物であり、口腔内を洗浄した後は、流水等でのすすぎにより除去されると考えるのが自然であるから、なおさら前記のようには考えにくい。 そうすると、相違点6は実質的な相違点であり、甲3には、甲3発明の歯磨組成物を「相対湿度70%以上の雰囲気中に揮散させる」動機付けがあるとはいえない。 ウ 申立人の主張 申立人は、申立書において、「歯磨組成物2は、研磨剤(リン酸水素カルシム、水酸化アルミニウム等)を含有せず、精製水を42.06%含有する点からみて液体歯磨の形態であり、使用後のすすぎを要するものでは無」く、「歯磨組成物2を使用した後、水によるすすぎを行わない場合には、歯磨組成物2に含まれるシトラールやプロピレングリコールは口腔内に残存し、相対湿度70%以上の雰囲気下の口腔内において・・・揮散されているものといえる」、そして、「相対湿度70%以上の雰囲気下である口腔内において、酵母形のカンジダ菌における菌糸形成を効果的に抑制して菌糸形への変異を有効に抑止し、バイオフィルムの形成を有効に抑制する」と主張している。 しかしながら、前記イで検討したとおり、甲3発明において、洗浄後に口腔内に残存したシトラール等の一部が口腔内に揮散するとしても、それによって所望の抗真菌効果を発揮するとは考えにくい。 甲3には、確かに「本発明の口腔用組成物が液体口腔用組成物である場合、口腔内で直接含漱するという簡便な操作で、特に流水等でのすすぎを要することなく、十分な洗浄効果及び殺菌効果を発揮させることができる」と記載されているものの、「本発明の口腔用組成物が液体口腔用組成物である場合、かかる水の含有量は・・・好ましくは70質量%以上・・・また、本発明の口腔用組成物が歯磨組成物である場合、かかる水の含有量は・・・好ましくは50質量%以下」(摘記事項3d参照)との記載のとおり、精製水42.06%を含有する甲3発明の歯磨組成物は、前記流水等でのすすぎを要しない液体口腔用組成物とはいえず、前記イで検討したとおり、流水等でのすすぎを要するものと考えるのが自然である。 そうすると、前記申立人の主張は採用できない。 エ 小括 以上のとおりであって、相違点5について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲3に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当するものではないし、甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ではない。 したがって、特許法第113条第2号の規定により、本件訂正発明1に係る特許を取り消されるべきものであるとすることはできない。 (3)本件訂正発明2~4、8 本件訂正発明2~4、8は、本件訂正発明1を引用し、さらに限定したものであり、前記本件訂正発明1と甲3発明との相違点5、6と同じ相違点を有するものであって、甲3に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当するものではないし、甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものでもない。 したがって、特許法第113条第2号の規定により、本件訂正発明2~4、8に係る特許を取り消されるべきものであるとすることはできない。 なお、訂正前の請求項9、10に係る発明は、申立理由1-3、2-3の対象とはなっていないため、本件訂正発明9、10についての判断は省略した。 2 申立理由1-4、2-4(甲第4号証を主引用例とする新規性欠如、進歩性欠如)について (1)甲4に記載された発明 摘記事項4a~4cの記載から、甲4には、カチオン性殺菌剤を有する口腔組成物を口腔疾患部に塗布する手段として、 「以下の処方例1のカチオン性殺菌剤を含有する口腔用組成物を口腔疾患部に塗布する方法。 処方例1 成分 質量% 塩化セチルピリジニウム 0.1 塩化亜鉛 1.2 ヒドロキシエチルセルロース 1.1 グリセリン 15.0 プロピレングリコール 3.0 パラオキシ安息香酸メチル 0.1 ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 1.0 ウイキョウ油 0.1 シンナムアルデヒド 0.2 チモール 0.2 水 残部 合計 100.0」の発明(以下「甲4発明A」という。) 及び 「以下の処方例1のカチオン性殺菌剤を含有する口腔用組成物を口腔疾患部に塗布するアプリケーター一体型容器。 処方例1 成分 質量% 塩化セチルピリジニウム 0.1 塩化亜鉛 1.2 ヒドロキシエチルセルロース 1.1 グリセリン 15.0 プロピレングリコール 3.0 パラオキシ安息香酸メチル 0.1 ポリオキシエチレン(60)硬化ヒマシ油 1.0 ウイキョウ油 0.1 シンナムアルデヒド 0.2 チモール 0.2 水 残部 合計 100.0」の発明(以下「甲4発明B」という。) が記載されていると認める。 (2)本件訂正発明1 ア 対比 甲4発明Aの「シンナムアルデヒド」は、本件訂正発明1の「(A)成分:ClogP値が1.5~5であるアルデヒド化合物」に相当し、甲4発明Aの「プロピレングリコール」は、本件訂正発明1の「(B)成分:炭素数が2~4のグリコール化合物」に相当し、甲4発明Aの「水」は、本件訂正発明1の「(C)成分:水」に相当し、甲4発明Aの「処方例1のカチオン性殺菌剤を含有する口腔用組成物」は、カチオン性殺菌剤や、揮発性抗菌剤である「シンナムアルデヒド」(必要であれば、摘記事項8a参照)を含むものであるから、本件訂正発明1の「微生物抑制剤組成物」に相当する。 甲4発明Aでは、口腔用組成物の総質量に対して、前記(B)成分と前記(C)成分の合計の含有量は78.0(=3+(100-(0.1+1.2+1.1+15.0+3.0+0.1+1.0+0.1+0.2+0.2)))質量%であるから、本件訂正発明1の「微生物抑制剤組成物の総質量に対して、前記(B)成分と前記(C)成分の合計の含有量が40~90質量%である」を充足する。 甲4発明Aの「処方例1のカチオン性殺菌剤を含有する口腔用組成物を口腔疾患部に塗布する方法」と、本件訂正発明1の「微生物抑制剤組成物を、相対湿度70%以上の雰囲気中に揮発させる、微生物抑制方法」は、微生物抑制剤組成物を適用する微生物抑制方法である点で共通する。 そうすると、本件訂正発明1と甲4発明Aは、 「下記(A)成分及び下記(B)成分、下記(C)成分を含み、 微生物抑制剤組成物の総質量に対して、前記(B)成分と前記(C)成分の合計の含有量が40~90質量%である微生物抑制剤組成物を、 適用する、微生物抑制方法。 (A)成分:ClogP値が1.5~5であるアルデヒド化合物。 (B)成分:炭素数が2~4のグリコール化合物。 (C)成分:水。」 である点で一致し、以下の点で相違する。 <相違点8> 本件訂正発明1では、微生物抑制剤組成物の(C)成分に対する(B)成分の質量比を表す、(B)/(C)が「0.2~4」であるのに対して、甲4発明Aでは、0.038(=3.0/78.0)である点 <相違点9> 本件訂正発明1では、微生物抑制剤組成物を「相対湿度70%以上の雰囲気中に揮散させる」のに対して、甲4発明Aではそのような特定がされていない点 イ 相違点についての検討 事案に鑑み、相違点9から検討する。 甲4発明Aは、口腔用組成物を直接口腔疾患部に塗布するものである。 また、例えば参3に記載されているように、口腔内は相対湿度70%以上の雰囲気下にあることが周知であり(必要であれば、摘記事項7a参照)、甲4発明Aにおいて、揮発性抗菌剤であるシンナムアルデヒドの一部が口腔内に揮散するとしても、それによって所望の抗菌効果を発揮するものとは考えにくい。 そうすると、相違点9は実質的な相違点であり、甲4には、甲4発明Aの口腔用組成物を「相対湿度70%以上の雰囲気中に揮散させる」動機付けがあるとはいえない。 ウ 申立人の主張 申立人は、申立書において、「甲4発明は、揮発性抗菌剤であるシンナムアルデヒドを含有する処方例1の口腔用組成物を口腔疾患部に塗布した後は、相対湿度70%以上の雰囲気下の口腔内においては、本発明、例えば表1中の例番号2と同じように、シンナムアルデヒドとプロピレングリコールは口腔内に揮散されているものといえる」と主張している。 しかしながら、前記イで検討したとおり、甲4発明Aにおいて、洗浄後に口腔内に残存したシトラール等の一部が口腔内に揮散するとして、それによって所望の抗真菌効果を発揮するものとは考えにくい。 そうすると、前記申立人の主張は採用できない。 エ 小括 以上のとおりであって、相違点8について検討するまでもなく、本件訂正発明1は、甲4に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当するものではないし、甲4に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明ではない。 したがって、特許法第113条第2号の規定により、本件訂正発明1に係る特許を取り消されるべきものであるとすることはできない。 (3)本件訂正発明2~4、8 本件訂正発明2~4、8は、本件訂正発明1を引用し、さらに限定したものであり、前記本件訂正発明1と甲4発明Aとの相違点8、9と同じ相違点を有するものであって、甲4に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号に該当するものではないし、甲3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものでもない。 したがって、特許法第113条第2号の規定により、本件訂正発明2~4、8に係る特許を取り消されるべきものであるとすることはできない。 なお、訂正前の請求項9、10に係る発明は、申立理由1-4、2-4の対象とはなっていないため、本件訂正発明9、10についての判断は省略した。 3 申立理由3(サポート要件違反)について (1)前提 特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する、いわゆるサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らして当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。 (2)本件訂正発明の課題 本件訂正発明の課題は、本件特許の明細書の段落0004の記載からみて、「簡便に使用でき、優れた微生物抑制効果が得られる、微生物抑制方法及び微生物抑制システムを提供する」ことであると認める。 (3)当審における判断 ア 保持時間について(前記第4 1(9)アに相当) 本件特許の明細書の段落0034には、「処理対象の雰囲気の相対湿度が70%以上であり、かつ該雰囲気中に揮散した(A)成分及び(B)成分が存在する状態が、連続して保持される保持時間が、3時間以上であることが好ましく、6時間以上がより好ましく、10時間以上がさらに好ましい」と記載されており、段落0040~0052には、連続保持時間が12時間である例番号1~22、11時間である例番号23、24、10時間である例番号25、9時間である例番号26で示された実施例について、評価「○」以上の微生物抑制効果を奏することがデータの裏付けをもって記載されている。 申立人は、申立書において、「本件発明1~10には、「処理対象の雰囲気の相対湿度が70%以上であり、かつ該雰囲気中に揮散した(A)成分及び(B)成分が存在する状態が、連続して保持される保持時間」については特定されておらず、例えば、当該保持時間が1時間未満の微生物抑制方法も含まれ・・・保持時間が短い微生物抑制方法では、表1、2に示された例番号1~26と同様の微生物抑制効果が得られるのか、不明である」と主張している。 しかしながら、同段落0039には、微生物抑制効果が得られる理由について、「微生物が接する雰囲気の湿度が高いと、微生物が保有する水分量が多くなる。(A)成分は疎水的であるが、両親媒性である(B)成分が存在することと、微生物が保有する水分量が多くなることにより、(A)成分が微生物の細胞膜中に溶け込む量が増大し、微生物抑制効果が向上すると考えられる」と記載されているところ、連続保持時間が同じ条件下においては、相対湿度を70%以上とすることで、そうでない場合と比べて保有する水分量が増加した微生物の細胞膜中に(A)成分が溶け込んでいき、微生物抑制効果が向上するものと当業者は認識できる。 そうすると、前記申立人の主張は採用できない。 イ 相対湿度70%以上について(前記第4 1(9)イに相当) 上記アで示したとおり、本件特許の明細書には、実施例の記載に加え、段落0039には、微生物抑制効果が得られる理由について、「微生物が接する雰囲気の湿度が高いと、微生物が保有する水分量が多くなる。(A)成分は疎水的であるが、両親媒性である(B)成分が存在することと、微生物が保有する水分量が多くなることにより、(A)成分が微生物の細胞膜中に溶け込む量が増大し、微生物抑制効果が向上すると考えられる」と記載されているところ、実施例と同様に相対湿度70%以上の雰囲気中に微生物抑制剤組成物を揮発させることで、保有する水分量が増加した微生物の細胞膜中に(A)成分が溶け込んでいき、微生物抑制効果が向上するものと当業者は認識できる。 申立人は、申立書において、参考資料5を参照しつつ、「相対湿度80%におけるカビの生存率は、12時間経過後では80%程度、24時間経過後には50%弱となることが理解でき・・・相対湿度80%の雰囲気では、微生物が死滅することは明らかであり、当該雰囲気下において、本件発明の微生物抑制効果が得られるか不明である」と主張している。 しかしながら、相対湿度80%の雰囲気であっても、本件発明の微生物抑制剤組成物による微生物抑制効果は推認できるし、仮に相対湿度の高さにより微生物が死滅したのだとしても、結果的に微生物抑制効果は得られるのであるから、発明の課題は解決できる。 そうすると、前記申立人の主張は採用できない。 (4)小括 したがって、本件訂正発明は、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるから、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものである。 第8 むすび 以上のとおり、申立書に記載した特許異議の申立ての理由及び令和6年8月27日付け取消理由通知の取消理由によっては、本件訂正後の請求項1~4、8~10に係る特許を取り消すことはできず、他にこれらの特許を取り消すべき理由を発見しない。 そして、請求項5~7は本件訂正により削除され、当該請求項に係る特許異議の申立ては、その対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2024-700229

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    同じ当事者: ライオン株式会社
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    同じ当事者: ライオン株式会社
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