特許訂正審判
2022-390133
ダウンリンク制御チャネル送信方法、ダウンリンク制御チャネル検出受信方法および機器
- 審判番号
- 2022-390133
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 訂正審判(訂正の審決)
- 出願番号
- 特願2020-523308
- 登録番号
- 7009626
- 請求日
- 2022年07月21日
- 審決日
- 2023年01月11日
- 公報発行日
- 2023年06月30日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】大唐移▲動▼通信▲設▼▲備▼有限公司
- 【請求人代理人】武田 幸子
- 審判長/審判官
- 審判長 廣川 浩
- 審判官 圓道 浩史
- 審判官 本郷 彰
- 分類
- P141 .851-Z (H04W) / P141 .852-Z (H04W) / P141 .853-Z (H04W) / P141 .855-Z (H04W) / P141 .857-Z (H04W)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第126条第1項、特許法第126条第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7009626号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件訂正審判の請求に係る特許第7009626号(以下「本件特許」という。)は、2018年(平成30年)10月18日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理 2017年10月26日 中華人民共和国(CN)、2017年11月17日 中華人民共和国(CN))を国際出願日とする出願であって、令和4年1月14日に特許権の設定登録がされ、同月25日に特許掲載公報が発行されたものである。
その後、本件特許について、令和4年7月21日に本件訂正審判の請求がされ、同年10月12日付け(発送日:同月18日)で訂正拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もなかった。
第2 請求の趣旨
本件訂正審判の請求の趣旨は、「特許第7009626号の特許請求の範囲、明細書を、本審判請求書に添付した訂正特許請求の範囲、明細書のとおり訂正することを認める、との審決を求める。」というものである。
第3 訂正事項
本件訂正審判の請求に係る訂正事項は以下のとおりである(下線は請求人が付した。)。
[訂正事項1]
特許請求の範囲の請求項1および請求項14に
「式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0(W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spaceing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;Toffset:オフセット値;Tperiod:周期値。)」とあるのを、
「式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0(W:所定の時間領域範囲、且つ、W=10ms;nf:所定の時間領域範囲の番号;2k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数、前記所定の時間ユニットが1msであり、kが、{0,1,2,3,4,5}から値を取る;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号、
【数1】
[図:0001398194000001.jpg]
;Toffset:オフセット値;Tperiod:周期値。)」に、
訂正する。
[訂正事項2]
特許請求の範囲の請求項8および請求項15に
「式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0(W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCSに対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;Toffset:オフセット値;Tperiod:周期値。)」とあるのを、
「式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0(W:所定の時間領域範囲、且つ、W=10ms;nf:所定の時間領域範囲の番号;2k:所定の時間ユニット内の異なるSCSに対応する時間領域リソース数、前記所定の時間ユニットが1msであり、kが、{0,1,2,3,4,5}から値を取る;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号、
【数1】
[図:0001398194000002.jpg]
;Toffset:オフセット値;Tperiod:周期値。)」に、
訂正する。
[訂正事項3]
請求項1の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項2ないし7については請求項1と同様に訂正する。また、請求項8の記載を直接的に又は間接的に引用する請求項9ないし13については請求項8と同様に訂正する。
[訂正事項4]
明細書の段落0016、段落0045、および段落0181に
「k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数」とあるのを、
「2k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数」に、
訂正する。
[訂正事項5]
明細書の段落0017、段落0018、段落0032、段落0033、段落0034、段落0046、段落0047、段落0061、段落0062、段落0063、および段落0199に
「k:所定の時間ユニット内の異なるSCSに対応する時間領域リソース数」とあるのを、
「2k:所定の時間ユニット内の異なるSCSに対応する時間領域リソース数」に、
訂正する。
[訂正事項6]
明細書の段落0104、および段落0132に
「kは、所定の時間ユニット(たとえば所定の時間ユニットが1msである)内の異なるSCSに対応する時間領域リソース数である」とあるのを、
「2kは、所定の時間ユニット(たとえば所定の時間ユニットが1msである)内の異なるSCSに対応する時間領域リソース数である」に、
訂正する。
第4 訂正拒絶理由の概要
当審が令和4年10月12日付けで通知した訂正拒絶理由の概要は、以下のとおりである。
訂正事項1ないし3は、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもなく、また、同法第126条第6項の規定にも適合しないものであり、さらに、訂正事項4ないし6は、同法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもないから、本件訂正を認めることはできない。
第5 当審の判断
1 訂正事項1について
(1)訂正の目的について
ア 誤記又は誤訳の訂正について
請求人は、「当該訂正事項1・・・は、特許法第126条第1項ただし書第1号および第2号に規定する特許請求の範囲の減縮および誤記の訂正を目的とするものである。」(審判請求書6ページ7ないし9行)と主張しているので、以下、検討する。
(ア) 「誤記の訂正」とは、本来その意であることが明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「明細書等」という。)の記載などから明らかな内容の字句、語句に正すことをいい、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものをいう(審判便覧38-03「3.誤記の訂正」(1))。
また、誤記の訂正が認められるためには、設定登録時の明細書等の中の記載に誤記が存在することが必要である(同「3.誤記の訂正」(2))。
さらに、請求項中の記載が、それ自体で、又は設定登録時の明細書の記載との関係で、誤りであることが明らかであり、かつ、設定登録時の明細書等の記載全体から、正しい記載が自明な事項として定まるときにおいて、その誤りを正しい記載にする訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないものでない。これに対し、出願当初の明細書又は外国語書面を参酌して、初めて正しい記載が定まるときは、改めて訂正前と訂正後の特許請求の範囲を対比し、訂正が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものか否かを審理することを要する(同「3.誤記の訂正」(3))。
(イ) 設定登録時の請求項中の記載が、それ自体で誤りであることが明らかであるかについて
a 訂正事項1の対象である請求項1及び14について、設定登録時の記載は次のとおりである。
「 【請求項1】
基地局に応用されるダウンリンク制御チャネル送信方法において、
ダウンリンク制御チャネルブラインド検出周期パラメータを決定することと、
前記ダウンリンク制御チャネルブラインド検出周期パラメータに基づいてダウンリンク制御チャネルを送信することとを含み、
前記ダウンリンク制御チャネルブラインド検出周期パラメータは、少なくともオフセット値および/または周期値を含み、
ここで、前記オフセット値は、端末によるダウンリンク制御チャネルの検出受信が必要な時間領域リソースの、所定の時間領域範囲内のオフセットを示し、
前記周期値は、端末によるダウンリンク制御チャネルの検出受信の周期を示し、
前記オフセット値と前記周期値の単位は、前記時間領域リソースに一致し、前記ダウンリンク制御チャネルブラインド検出周期パラメータに基づいてダウンリンク制御チャネルを送信することは、
前記オフセット値および/または周期値に基づいて、ダウンリンク制御チャネルが送信される時間領域リソースを決定することと、
前記時間領域リソースでダウンリンク制御チャネルを送信することとを含み、
前記オフセット値および周期値に基づいて、ダウンリンク制御チャネルが送信される時間領域リソースを決定することは、
式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0(W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;Toffset:オフセット値;Tperiod:周期値。)によって、ダウンリンク制御チャネルが送信される時間領域リソースを決定することを含む、ダウンリンク制御チャネル送信方法。」
「 【請求項14】
ダウンリンク制御チャネルブラインド検出周期パラメータを決定するための第1プロセッサと、
前記ダウンリンク制御チャネルブラインド検出周期パラメータに基づいてダウンリンク制御チャネルを送信するための第1トランシーバとを含み、
前記ダウンリンク制御チャネルブラインド検出周期パラメータは、少なくともオフセット値および/または周期値を含み、
ここで、前記オフセット値は、端末によるダウンリンク制御チャネルの検出受信が必要な時間領域リソースの、所定の時間領域範囲内のオフセットを示し、
前記周期値は、端末によるダウンリンク制御チャネルの検出受信の周期を示し、
前記オフセット値と前記周期値の単位は、前記時間領域リソースに一致し、
前記第1プロセッサは、さらに、
前記オフセット値および/または周期値に基づいて、ダウンリンク制御チャネルが送信される時間領域リソースを決定することと、
前記時間領域リソースでダウンリンク制御チャネルを送信することとに用いられ、
前記第1プロセッサは、さらに、
式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0(W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;Toffset:オフセット値;Tperiod:周期値。)によって、ダウンリンク制御チャネルが送信される時間領域リソースを決定することに用いられる、基地局。」
ここで、設定登録時の請求項1及び14の
「式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0(W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;Toffset:オフセット値;Tperiod:周期値。)」
という発明特定事項は同一であるから、設定登録時の請求項1及び14の上記発明特定事項について、請求項相互の記載の関係から誤りがある、とはいえない。
b 設定登録時の請求項1における「式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0(W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;Toffset:オフセット値;Tperiod:周期値。)」という記載は、誤りであることが明らかかどうかについて、検討する。
まず、当該記載において、「W:所定の時間領域範囲」、「k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数」、「所定の時間ユニット」、及び「ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号」が取り得る値は特定されていないが、これらの特定がされていないこと自体により当該記載に不整合を生じていることが明らかとはいえない。
そして、「所定の時間ユニット内の・・・時間領域リソース数」という記載により、「所定の時間ユニット」は、「時間領域リソース」よりも長い時間を意味すると解されるが、どのような時間を意味するかは請求項1の記載で何ら特定されていないから、「所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数」が「k」であることに基づき「所定の時間ユニット」と「時間領域リソース数」との関係に不整合を生じていることが明らかといえる根拠は、見当たらない。
また、請求項1には、時間を意味する他の概念として「所定の時間領域範囲」が記載されており、特に、「ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号」という記載によれば、「所定の時間領域範囲」もまた「時間領域リソース」よりも長い時間を意味すると解されるが、「所定の時間ユニット」と「所定の時間領域範囲」の関係は請求項1の記載で何ら特定されていないから、「所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数」が「k」であることに基づき「所定の時間ユニット」と「所定の時間領域範囲」の関係に不整合を生じていることが明らかといえる根拠は、見当たらない。
さらに、前記「k」は、請求項1における式
(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0
にも関係するが、当該「k」が「所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数」を表すことに基づき不整合を生じていることが明らかといえる根拠は、見当たらない。
そうすると、請求項1における「式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0(W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;Toffset:オフセット値;Tperiod:周期値。)」という記載が、それ自体で誤りであることが明らかであるといえる根拠は、見当たらない。また、同様の記載を含む請求項14の記載についても、同じことがいえる。
c したがって、設定登録時の請求項1及び14における「式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0(W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;Toffset:オフセット値;Tperiod:周期値。)」という記載が、それ自体で誤りであることが明らかであるとはいえない。
(ウ) 設定登録時の請求項における記載が、設定登録時の明細書の記載との関係で、誤りであることが明らかであるかについて
a 訂正事項1に関連して設定登録時の明細書及び図面には以下の記載がある(下線は当審で付した。)。
(a) 「【0016】
選択可能に、前記の前記オフセット値および周期値に基づいて、ダウンリンク制御チャネルが送信される時間領域リソースを決定することは、式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0(W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;Toffset:オフセット値;Tperiod:周期値。)によって、ダウンリンク制御チャネルが送信される時間領域リソースを決定することを含む。」
(b) 「【0104】
たとえば、式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0によって、ダウンリンク制御チャネルが送信される時間領域リソースを決定する。ここで、Wは、所定の時間領域範囲であり、たとえばW=10msであり、もちろんこれに限られない。nfは、所定の時間領域範囲の番号である。kは、所定の時間ユニット(たとえば所定の時間ユニットが1msである)内の異なるSCSに対応する時間領域リソース数である。当該kは、サブキャリア間隔(subcarrier space)に関するパラメータである。たとえば、kは、{0,1,2,3,4,5}から値を取り、もちろんこれに限られない。kの取りうるセットは、将来のシステムに存在するサブキャリア間隔に基づいて決められる。nsは、所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号であり、たとえば
【数1】
[図:0001398194000003.jpg]
である。Toffsetは、オフセット値であり、Tperiodは、周期値である。」
(c) 「【0143】
実施例1
基地局からUEに対し、1つの無線フレーム(radio frame)(すなわち10ms)内で、ダウンリンク制御チャネルのブラインド検出が必要な時間領域リソース番号の関連パラメータを構成するとする。
【0144】
1つの時間領域範囲、すなわち1つのradio frame内のサブキャリア間隔を15kHZとすると、サブキャリア間隔との関連性を示すためのパラメータkは、0に等しく、すなわち1つの時間領域リソースの時間領域の長さが1msである。
【0145】
基地局からUEのUE-specific PDCCHに対し構成する関連パラメータとして、オフセット値Toffset=0であり、周期値Tperiod=2である。・・・
(中略)
【0148】
2つ目のradio frameでは、nf=1であり、上記式を満たす時間領域リソースの番号は、0、2、4、6、8である。UEは、時間領域リソース#0、時間領域リソース#2、時間領域リソース#4、slot#6、slot#8でダウンリンク制御チャネルを検出受信する必要がある。図8を参照する。」
(d) 「
[図:0001398194000004.jpg]
」(図8)
(e) 「【0151】
実施例2
基地局からUEに対し、1つのradio frame(すなわち10ms)内で、ダウンリンク制御チャネルのブラインド検出が必要な時間領域リソース番号の関連パラメータを構成するとする。
【0152】
1つの時間領域範囲(すなわち1つのradio frame)内のサブキャリア間隔を30kHZとすると、サブキャリア間隔との関連性を示すためのパラメータは、1に等しく、すなわち1つの時間領域リソースの時間領域の長さが0.5msである。
【0153】
基地局からUEのUE-specific PDCCHに対し構成する関連パラメータとして、オフセット値Toffset=2であり、周期値Tperiod=4である。・・・
(中略)
【0156】
一つ目のradio frameでは、nf=0であり、上記式を満たす時間領域リソースの番号は、2、6、10、14、18である。UEは、時間領域リソース#0、時間領域リソース#2、時間領域リソース#6、時間領域リソース#10、時間領域リソース#14、時間領域リソース#18でダウンリンク制御チャネルを検出受信する必要がある。図9を参照する。」
(f) 「
[図:0001398194000005.jpg]
」(図9)
b 設定登録時の請求項1及び14における「式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0(W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;Toffset:オフセット値;Tperiod:周期値。)」という記載は、上記「a」(a)の記載に含まれているから、設定登録時の明細書の記載と一致している。
c ところで、上記「a」(c)には、実施例1に関して、「1つの無線フレーム(radio frame)(すなわち10ms)内で、・・・サブキャリア間隔との関連性を示すためのパラメータkは、0に等しく、すなわち1つの時間領域リソースの時間領域の長さが1msである。」と記載されている。
一方、設定登録時の請求項1及び14における「式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0(W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;Toffset:オフセット値;Tperiod:周期値。)」という記載によれば、「k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spaceing)に対応する時間領域リソース数」は0を含まない自然数である解するのが自然であるから、当該記載は、上記「a」(c)及び(d)に記載された実施例1と整合しない。
d さらに、上記「a」(e)には、実施例2に関して、「1つのradio frame(すなわち10ms)内で、・・・サブキャリア間隔との関連性を示すためのパラメータは、1に等しく、すなわち1つの時間領域リソースの時間領域の長さが0.5msである。」と記載されている。ここで、「サブキャリア間隔との関連性を示すためのパラメータ」が「k」を意味することは、上記「a」(b)の「当該kは、サブキャリア間隔(subcarrier space)に関するパラメータである。」という記載や、上記「a」(c)との対比から明らかである。さらに上記「a」(f)からは、時間領域範囲1における時間領域リソース数は20であることが見て取れる。
ここで、上記「a」(e)及び(f)に記載された実施例2では、「所定の時間ユニット」の長さを特定していないところ、所定の時間ユニットが例えば0.5msであるとすると、kが1に等しい場合に、所定の時間ユニット内の時間領域リソース数は1となるから、設定登録時の請求項1及び14における「式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0(W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;Toffset:オフセット値;Tperiod:周期値。)」という記載は、上記「a」(e)及び(f)に記載された実施例2と整合する。
一方、実施例2において、上記「a」(b)に記載されたとおり、所定の時間ユニットが1msであるとすると、kが1に等しい場合に、所定の時間ユニット内の時間領域リソース数は2となるから、設定登録時の請求項1及び14における「式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0(W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;Toffset:オフセット値;Tperiod:周期値。)」という記載は、上記「a」(b)の記載を前提とする場合の実施例2とは整合しない。
e 以上をまとめると、設定登録時の請求項1及び14における「式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0(W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;Toffset:オフセット値;Tperiod:周期値。)」という記載は、設定登録時の明細書における上記「a」(a)の記載と一致し、また、実施例1に関する上記「a」(c)及び(d)の記載とは整合せず、さらに、実施例2に関する上記「a」(e)及び(f)の記載とは整合しうるが、上記「a」(b)の記載を前提とする場合の上記「a」(e)及び(f)の記載とは整合しないから、設定登録時の明細書の記載との関係で、誤りであることが明らかであるとはいえない。
(エ) 設定登録時の明細書等の記載全体から、正しい記載が自明な事項として定まるかについて
上記(ウ)「a」(a)ないし(f)で摘記したとおり、設定登録時の明細書等には、式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0によって、ダウンリンク制御チャネルが送信される時間領域リソースを決定することについて、複数の記載があるので、1つずつ検討する。
a 段落0016には、「式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0(W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;Toffset:オフセット値;Tperiod:周期値。)によって、ダウンリンク制御チャネルが送信される時間領域リソースを決定する」という記載があり(上記(ウ)「a」(a))、また、段落0032、段落0045、段落0061、段落0181、及び段落0199にも同様の記載がある。
そして、上記(ウ)「b」で説示したとおり、上記(ウ)「a」(a)の記載の一部は、設定登録時の請求項1及び14における「式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0(W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;Toffset:オフセット値;Tperiod:周期値。)」という記載と一致しているから、設定登録時の請求項1及び14における当該記載に誤りがある場合には、段落0016等の記載にも誤りがあることになる。
そこで、段落0016以外の記載から、正しい記載が自明な事項として定まるかについて、検討を続ける。
b 段落0104には、「式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0によって、ダウンリンク制御チャネルが送信される時間領域リソースを決定する。ここで、Wは、所定の時間領域範囲であり、たとえばW=10msであり、もちろんこれに限られない。nfは、所定の時間領域範囲の番号である。kは、所定の時間ユニット(たとえば所定の時間ユニットが1msである)内の異なるSCSに対応する時間領域リソース数である。当該kは、サブキャリア間隔(subcarrier space)に関するパラメータである。たとえば、kは、{0,1,2,3,4,5}から値を取り、もちろんこれに限られない。kの取りうるセットは、将来のシステムに存在するサブキャリア間隔に基づいて決められる。nsは、所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号であり、たとえば
【数1】
[図:0001398194000006.jpg]
である。」という記載があるが(上記(ウ)「a」(b))、当該記載には不整合が生じている。
すなわち、kが1である場合を考えると、「nsは、所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号であり、たとえば
【数1】
[図:0001398194000007.jpg]
である。」という記載から、所定の時間領域範囲内の時間領域リソース数は20となる。また、「Wは、所定の時間領域範囲であり、たとえばW=10msであり」という記載と、「kは、所定の時間ユニット(たとえば所定の時間ユニットが1msである)内の異なるSCSに対応する時間領域リソース数である」という記載を考慮すると、所定の時間ユニット(1ms)内の時間領域リソース数は上記20を上記10で除して2となるから、kが1であるとした前提と矛盾する。
したがって、段落0104の記載は誤りを含んでいるといえる。
c 次に、上記「a」(c)及び(d)に記載された実施例1について検討すると、上記「a」(c)の段落0144には、「サブキャリア間隔との関連性を示すためのパラメータkは、0に等しく」と記載されており、上記「a」(b)の「kは、所定の時間ユニット(たとえば所定の時間ユニットが1msである)内の異なるSCSに対応する時間領域リソース数である。当該kは、サブキャリア間隔(subcarrier space)に関するパラメータである。」という記載を考慮すると、段落0144の記載は、所定の時間ユニット(たとえば所定の時間ユニットが1msである)内の時間リソース数が、0であることを意味するといえる。
しかしながら、上記「a」(c)の段落0148には「2つ目のradio frameでは、nf=1であり、上記式を満たす時間領域リソースの番号は、0、2、4、6、8である。」と記載されており、また、図8(上記「a」(d))からは、時間領域範囲(10ms)内の時間領域リソース数が10であることが見て取れるから、所定の時間ユニットを1msとするか否かに関わらず、所定の時間ユニット内の時間リソース数が0になるとはいえない。
したがって、実施例1に関する上記「a」(c)及び(d)の記載は、誤りを含んでいるといえる。
d 上記(ウ)「d」で説示したとおり、上記「a」(e)及び(f)に記載された実施例2では、「所定の時間ユニット」の長さを特定していない。
そして、所定の時間ユニットが例えば0.5msであるとすると、設定登録時の請求項1及び14の記載と整合し、段落0016の記載(上記(ウ)「a」)とも整合するといえるが、上記「a」で説明したように、設定登録時の請求項1及び14の記載と、段落0016の記載の双方に誤りがある場合には、実施例2の記載にも誤りがあると考えられるから、実施例2の記載から、正しい記載が自明な事項として定まるとはいえない。
e 上記「b」で説示したとおり、段落0104の記載には誤りがあるといえるから、段落0104の正しい記載が特定できるかについてさらに検討すると、段落0104の記載における誤記と、対応する正しい記載の組合せとして、少なくとも以下の5つが考えられる。
(組合せ1)
段落0104の「kは、所定の時間ユニット・・・内の異なるSCSに対応する時間領域リソース数である。」という記載は誤りであり、正しくは、「2kは、所定の時間ユニット・・・内の異なるSCSに対応する時間領域リソース数である。」(下線は変更箇所を示し、当審で付した。)との記載となる。
(組合せ2)
段落0104の「kは、所定の時間ユニット(たとえば所定の時間ユニットが1msである)内の異なるSCSに対応する時間領域リソース数である。当該kは、サブキャリア間隔(subcarrier space)に関するパラメータである。」という記載において、「kは、所定の時間ユニット(たとえば所定の時間ユニットが1msである)内の異なるSCSに対応する時間領域リソース数である。」という記載を含むことが誤りであり,正しくは、「kは、サブキャリア間隔(subcarrier space)に関するパラメータである。」(下線は変更箇所を示し、当審で付した。)との記載となる。
(組合せ3)
段落0104の「kは、所定の時間ユニット(たとえば所定の時間ユニットが1msである)内の異なるSCSに対応する時間領域リソース数である。」という記載は誤りであり,正しくは、「kは、所定の時間ユニット(たとえば所定の時間ユニットが0.5msである)内の異なるSCSに対応する時間領域リソース数である。」との記載となる。
(組合せ4)
段落0104の「kは、所定の時間ユニット(たとえば所定の時間ユニットが1msである)内の異なるSCSに対応する時間領域リソース数である。」という記載は誤りであり、正しくは、「k+1は、所定の時間ユニット(たとえば所定の時間ユニットが1msである)内の異なるSCSに対応する時間領域リソース数である。」(下線は変更箇所を示し、当審で付した。)との記載となる。
(組合せ5)
段落0104の「kは、{0,1,2,3,4,5}から値を取り・・・nsは、・・・たとえば
【数1】
[図:0001398194000008.jpg]
である。」という記載、及び同0152の「サブキャリア間隔との関連性を示すためのパラメータは、1に等しく」という記載は全て誤りであり、正しくは、それぞれ「kは、{1,2,3,4,5}から値を取り・・・nsは、・・・たとえば
【数1】
ns=0,…,10・2(k-1)-1
である。」、及び「サブキャリア間隔との関連性を示すためのパラメータは、2に等しく」(下線は変更箇所を示し、当審で付した。)との記載となる。
そして、当該組合せ1ないし5のうち、正しい組合せがいずれであるか自明とはいえない。
f 以上をまとめると、設定登録時の請求項1及び14における「W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;」という記載に誤りがある場合には、段落0016の記載にも誤りがあることとなり、また、段落0104の記載にはそもそも誤りがあり、さらに、実施例1に関する上記「a」(c)及び(d)の記載にもそもそも誤りがある。
そして、段落0104の正しい記載を特定しようとしても、正しい記載を自明な事項として特定することはできない。
g したがって、設定登録時の請求項1及び14における「W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;」という記載は、設定登録時の明細書等の記載全体から、正しい記載が自明な事項として定まるとはいえない。
(オ) 出願当初の明細書又は外国語書面を参酌して、初めて正しい記載が定まるかについて
a 設定登録時の請求項1及び14における「W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;」という記載について、出願当初の明細書又は外国語書面を参酌して、初めて正しい記載が定まるかどうかを検討する。
b 設定登録前に明細書及び図面の記載は補正されていないから、出願当初の国際出願翻訳文(明細書)及び国際出願翻訳文(図面)に記載された内容は、設定登録時の明細書及び図面に記載された内容と同一である。
c したがって、設定登録時の請求項1及び14における「W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;」という記載について、出願当初の国際出願翻訳文(明細書)及び国際出願翻訳文(図面)を参酌して、初めて正しい記載が定まる、とはいえない。
d 次に、出願当初の外国語書面には、以下の記載がある。
(a)「
[図:0001398194000009.jpg]
[図:0001398194000010.jpg]
」(国際公開2019/080767号2ページ下から6行ないし3ページ5行)
(当審訳:任意選択的に、前記オフセット値および前記周期値に基づいてダウンリンク制御メッセージを送信するための時間領域リソースを決定することを含むことを特徴とし:
式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0によって、ダウンリンク制御メッセージを送信するための時間領域リソースを決定し:かつ、ここで、
Wは、所定の時間領域範囲であり;
nfは所定の時間領域範囲のナンバリングであり;
kは、所定の時間単位内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソースの数であり;
nsは、所定の時間領域範囲内の時間領域リソースのナンバリングであり;
Toffsetはオフセット値であり;
Tperiodは周期値である。)
(b)「
[図:0001398194000011.jpg]
」(国際公開2019/080767号15ページ13ないし23行)
(当審訳: 例えば,式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0により,ダウンリンク制御情報を送信する時間領域リソースを決定する;ここで
Wは所定の時間領域範囲であり、例えばW=10msあり、勿論これに限定されない;
nfは所定の時間領域範囲の番号である;
kは所定の時間ユニット(例えば所定の時間ユニットは1msである)内の異なるSCSに対応する時間領域リソースの個数であり、該kはサブキャリア間隔(subcarrier space)に関連するパラメータであり、例えば:kは集合{0,1,2,3,4,5}における数値を取ることができ、当然ながらこれに限定されずkの取り得る集合は将来のシステムに存在するサブキャリア間隔に基づいて決定することができる;
nsは時間領域リソースの所定の時間領域範囲内の番号であり、例えば
[図:0001398194000012.jpg]
Toffsetはオフセット値である;
Tperiodは周期値である。)
(c) 「
[図:0001398194000013.jpg]
」(国際公開2019/080767号20ページ3ないし5行)
(当審訳: 一つの時間領域範囲、即ち一つのradio frame内のサブキャリア間隔が15kHzであると仮定すると、サブキャリア間隔に関連することを示すためのパラメータkは0に等しく、即ち一つの時間領域リソースの時間領域の長さは1msである。)
(d) 「
[図:0001398194000014.jpg]
」(国際公開2019/080767号図8)
(e) 「
[図:0001398194000015.jpg]
」(国際公開2019/080767号20ページ最終行ないし21ページ2行)
(当審訳: 一つの時間領域範囲(即ち一つのradio frame)内のサブキャリア間隔が30kHzであると仮定すると、サブキャリア間隔に関連することを示すためのパラメータは1に等しく、即ち一つの時間領域リソースの時間領域長さは0.5msである。)
(f) 「
[図:0001398194000016.jpg]
」(国際公開2019/080767号図9)
e ここで、上記「d」の記載内容は、上記(ウ)及び(エ)で検討した、設定登録時の明細書の段落0016、0104、0144、0152、図8、及び図9の記載内容と、実質的に相違しない。
したがって、設定登録時の請求項1及び14における「W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;」という記載について、外国語書面を参酌して、初めて正しい記載が定まる、とはいえない。
(カ) 誤訳について
誤訳の訂正が認められるためには、設定登録時の明細書、特許請求の範囲又は図面中の記載の意味が、外国語書面における意味と異なることが必要であるところ(審判便覧38-03「4.誤訳の訂正」)、上記(オ)「e」で述べたとおり、設定登録時の明細書の段落0016、0104、0144、0152、図8、及び図9の記載内容は、上記(オ)「d」で摘記した外国語書面の記載内容と実質的に相違しない。
そうすると、設定登録時の請求項1及び14における「W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;」という記載の意味が、外国語書面における意味と異なるとはいえない。
(キ) 上記(ア)ないし(カ)で検討した結果を考慮すると、訂正事項1は、本来その意であることが明細書等の記載などから明らかな内容の字句、語句に正すものとはいえず、また、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものともいえない。
(ク) 以上をまとめると、訂正事項1は、請求項中の記載が、それ自体で、誤りであることが明らかであるとはいえず(上記(イ)「c」)、また、請求項中の記載が、設定登録時の明細書の記載との関係で、誤りであることが明らかであるともいえず(上記(ウ)「e」)、さらに、設定登録時の明細書等の記載全体から、正しい記載が自明な事項として定まるともいえず(上記(エ)「g」)、加えて、出願当初の明細書又は外国語書面を参酌して、初めて正しい記載が定まるものともいえない(上記(オ)「c」及び「e」)。
そして、訂正事項1は、本来その意であることが明細書等の記載などから明らかな内容の字句、語句に正すものとはいえず、また、訂正前の記載が当然に訂正後の記載と同一の意味を表示するものと客観的に認められるものともいえず、さらに、設定登録時の請求項1及び14の中の記載に誤記又は誤訳が存在するともいえない(上記(カ)及び(キ))。
したがって、訂正事項1は、誤記又は誤訳の訂正を目的とするものでない。
イ 特許請求の範囲の減縮について
請求人は、「当該訂正事項1・・・は、特許法第126条第1項ただし書第1号および第2号に規定する特許請求の範囲の減縮および誤記の訂正を目的とするものである。」(審判請求書6ページ7ないし9行)と主張しているが、下記(2)で述べるとおり、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を変更するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものでないことが明らかである。
ウ 明瞭でない記載の釈明について
設定登録時の請求項1及び14における「式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0(W:所定の時間領域範囲;nf:所定の時間領域範囲の番号;k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号;Toffset:オフセット値;Tperiod:周期値。)」という記載は明瞭である。
したがって、当該記載を、「式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0(W:所定の時間領域範囲、且つ、W=10ms;nf:所定の時間領域範囲の番号;2k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数、前記所定の時間ユニットが1msであり、kが、{0,1,2,3,4,5}から値を取る;ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号、
【数1】
[図:0001398194000017.jpg]
;Toffset:オフセット値;Tperiod:周期値。)」に訂正する訂正事項1は、明瞭でない記載の釈明を目的とするものとはいえない。
エ 他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることについて
訂正事項1は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものでないことが明らかである。
オ 小括
訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものではなく(上記「イ」)、誤記又は誤訳の訂正を目的とするものでもなく(上記「ア」)、明瞭でない記載の釈明を目的とするものでもなく(上記「ウ」)、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものでないから(上記「エ」)、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもない。
(2)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものかについて
設定登録時の請求項1及び14には、「k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spaceing)に対応する時間領域リソース数」と記載されており、ここで、請求項1及び14のそれぞれに係る発明は、式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0によって、ダウンリンク制御チャネルが送信される時間領域リソースを決定するものであることを考慮すると、「所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数」は0を含まない自然数であると解するのが自然であるから、そうすると、上記「k」もまた、0を含まない自然数であるといえる。
一方、訂正事項1は、請求項1及び14の当該記載を、「2k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数、前記所定の時間ユニットが1msであり、kが、{0,1,2,3,4,5}から値を取る」へと変更するものであるから、設定登録時には特許請求の範囲に含まれていなかった、kが0を取り得るという事項を含むように、特許請求の範囲を変更するものである。
また、kが0を取り得ることにより、設定登録時の請求項1及び14に記載された「式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0」をみたす「ns(所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号)」)、すなわちダウンリンク制御チャネルが送信される時間領域リソース、が増加し、特許請求の範囲が変更されることも明らかである。
そうすると、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を変更するものといえる。
したがって、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合しない。
(3)訂正事項1についてのまとめ
訂正事項1は、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもない。
また、訂正事項1は、特許法第126条第6項の規定に適合しない。
2 訂正事項2及び3について
訂正事項1と2を比較すると、訂正事項1における「SCS(Subcarrier Spacing)」という記載と対応する部分が、訂正事項2では「SCS」と記載されている点でのみ両者は形式的に相違するが、前記「(Subcarrier Spacing)」という部分は単に「SCS」という略称の元となった用語を示すものであるから、両者は実質的には相違しないことが明らかである。
そうすると、訂正事項2は訂正事項1と実質的に相違せず、また訂正事項3についても訂正事項1及び2と実質的に相違しない、といえる。
したがって、訂正事項2及び3は、訂正事項1と同じ理由により、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもなく、また、訂正事項2及び3は、特許法第126条第6項の規定に適合しない。
3 訂正事項4ないし6
訂正事項4ないし6は、訂正事項1ないし3に係る訂正に伴い、明細書の記載を特許請求の範囲の記載と整合させる訂正といえる。
そして、訂正事項4ないし6は、訂正事項1ないし3と同様に、特許請求の範囲の減縮、誤記又は誤訳の訂正、明瞭でない記載の釈明、又は他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることのいずれの事項を目的とするものにも該当しないから、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもない。
第6 請求人の主張について
1 審判請求書における主張
請求人は審判請求書において、訂正事項1ないし3が特許請求の範囲の減縮および誤記の訂正を目的とするものであり、また、訂正事項4ないし6が誤記の訂正を目的とするものであることの理由として、概ね以下のように主張している。
(理由1) 訂正後の請求項1および請求項14に係る発明では、「W:所定の時間領域範囲、且つ、W=10ms」、「2k:所定の時間ユニット内の異なSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数、前記所定の時間ユニットが1msであり、kが、{0,1,2,3,4,5}から値を取る」、「ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号、
【数1】
[図:0001398194000018.jpg]
」と特定しており、「W:所定の時間領域範囲」、「所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacingに対応する時間領域リソース数」、「ns:所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号」についてさらに特定し、特許請求の範囲を減縮しようとするものであり、また、誤って記載された「k」を「2k」に訂正するものである。(審判請求書4ページ下から3行ないし5ページ9行)
(理由2) もしkを「所定の時間ユニット内の異なるSCSに対応する時間領域リソース数」としたら、k=0の場合、W=10msという所定の時間領域範囲内には時間領域リソースが常に0個含まれるということになってしまい、これは、論理的でなく、図8に示す場合とも符合しないのは明らかである。(7ページ下から4行ないし最終行)
(理由3) k=1の場合に所定の時間領域範囲内の時間領域リソース数が、k=0の場合に対応する時間領域リソース数の2倍であるので、所定の時間ユニット内の時間領域リソース数を2kとして考えてこそ、筋が立つ。(9ページ10ないし12行)
(理由4) 特に、「nsは、所定の時間領域範囲内の時間領域リソースの番号であり、たとえば
【数1】
[図:0001398194000019.jpg]
」という記載を参照すると、時間領域リソースを番号付けるとき、番号の範囲内の最大番号
[図:0001398194000020.jpg]
であるため、
[図:0001398194000021.jpg]
個の時間領域リソースがある。よって、所定時間領域範囲内の時間領域リソースの個数は2kの乗数に応じて、スケーリングされるものであることが明らかである。
よって、「k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数」の「k」・・・は、誤って記載されたものであり、誤記であることが明らかである。(9ページ下から2行ないし10ページ14行)
そこで請求人が主張する上記理由1ないし4について検討する。
(理由1について) 上記「第5」「1」(2)で説示したとおり、訂正事項1は、設定登録時には特許請求の範囲に含まれていなかった、「k」が0を取り得るという事項を含むように、特許請求の範囲を変更するものであり、また、「式(W×nf×2k+ns-Toffset)mod Tperiod=0」をみたす時間領域リソースを増加させ、実質上特許請求の範囲を変更するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しない。
また、訂正事項1が誤記の訂正を目的とするものに該当しないことは、以下(理由2について)ないし(理由4について)で後述する。
(理由2について) 設定登録時の明細書の記載と、図8とが符合しないことは、請求人が主張するとおりであるが、設定登録時の請求項1及び14の記載において、「k:所定の時間ユニット内の異なるSCS(Subcarrier Spacing)に対応する時間領域リソース数」が0を取り得ることは特定されていないから、請求人の主張は設定登録時の請求項1及び14の記載に誤記があることの理由にはならず、採用できない。また、訂正事項2及び3についても同じことがいえる。
また、訂正事項4ないし6に関して、設定登録時の明細書の記載には不整合が生じているものの、誤記と、対応する正しい記載の組合せが少なくとも5つ考えられ、正しい組合せがいずれであるか自明とはいえないことは、上記「第5」「1」(1)「ア」(エ)で説示したとおりであり、訂正事項4ないし6が、誤記の訂正を目的とするものに該当しないことは、上記「第5」「3」で説示したとおりである。
(理由3について) 「k=1の場合に所定の時間領域範囲内の時間領域リソース数が、k=0の場合に対応する時間領域リソース数の2倍である」との請求人の主張は、設定登録時の請求項1及び14の記載に基づくものではないから、訂正事項1の記載中の「k」は誤記であり、正しくは「2k」であることの理由にはならず、採用できない。
また、設定登録時の明細書の記載には不整合が生じているものの、誤記と、対応する正しい記載の組合せが少なくとも5つ考えられ、正しい組合せがいずれであるか自明とはいえないことは、上記「第5」「1」(1)「ア」(エ)で説示したとおりであるから、訂正事項1ないし6に関して、「所定の時間ユニット内の時間領域リソース数を2kとして考えてこそ、筋が立つ」との請求人の主張は採用できない。
(理由4について) 上記「第5」「1」(1)「ア」(ウ)で説示したとおり、設定登録時の請求項1及び14の記載は、設定登録時の明細書の段落0016の記載と一致しており、また、設定登録時の明細書に記載された実施例2では、「所定の時間ユニット」の長さを特定していないところ、所定の時間ユニットが例えば0.5msであるとすると、設定登録時の請求項1及び14の記載は、実施例2と整合するから、設定登録時の請求項1及び14中の記載が、設定登録時の明細書の記載との関係で、誤りであることが明らかであるとはいえず、請求人の上記主張は採用できない。また、訂正事項2及び3についても同じことがいえる。
さらに、訂正事項4ないし6に関して、設定登録時の明細書の記載には不整合が生じているものの、誤記と、対応する正しい記載の組合せが少なくとも5つ考えられ、正しい組合せがいずれであるか自明とはいえないことは、上記「第5」「1」(1)「ア」(エ)で説示したとおりであり、訂正事項4ないし6が、誤記の訂正を目的とするものに該当しないことは、上記「第5」「3」で説示したとおりである。
以上のとおりであるから、請求人の主張はいずれも採用できない。
2 訂正拒絶理由に対する主張
令和4年10月12日付けで訂正拒絶理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、請求人からは何らの応答もなかったことから、上記「第5」で説示した当審の判断に対する請求人の主張はない。
第7 むすび
以上のとおり、訂正事項1ないし3は、特許法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもなく、また、同法第126条第6項の規定にも適合しないものであり、さらに、訂正事項4ないし6は、同法第126条第1項ただし書各号に掲げるいずれの事項を目的とするものでもないから、本件訂正を認めることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-390133