特許拒絶査定不服審判
2024-004932
歯間清掃具
- 審判番号
- 2024-004932
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-042210外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2024年03月22日
- 審決日
- 2025年11月27日
- 公報発行日
- 2026年02月27日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZF(A61C) / P18 .537-WZF(A61C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019- 42210「歯間清掃具」拒絶査定不服審判事件〔令和 2年 9月10日出願公開、特開2020-141931〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、平成31年 3月 8日に出願されたものであって、その手続の経緯の概略は、次のとおりである。
令和 5年 3月29日付け 拒絶理由通知書
令和 5年 5月30日 意見書、手続補正書の提出
令和 5年 9月 7日付け 拒絶理由通知書
令和 5年10月10日 意見書、手続補正書の提出
令和 5年12月25日付け 拒絶査定
令和 6年 3月22日 審判請求書、手続補正書の提出
令和 7年 5月 8日付け 拒絶理由通知書
令和 7年 5月28日作成 応対記録
令和 7年 7月 1日 意見書、手続補正書の提出
令和 7年 8月19日付け 拒絶理由通知書
令和 7年 9月26日 意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1及び2に係る発明は、令和 7年 9月26日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
基部と、前記基部から延在する移行部と当該移行部の先端から軸状に延びる先端部とを備える軸部と、を有する基材部と、
前記先端部の先端から基端に向かって少なくとも16mmにわたって前記先端部を被覆する被覆部と、前記被覆部から突き出る複数の突起部と、を有する軟質部と、を備え、
前記移行部は、前記基部から連続して扁平な板状に延在し、前記軸部の先端に向かうにつれて、前記延在する長手方向と直交する短手方向に沿って規定される幅を減少させるテーパ形状に形成されており、
前記先端部は、その先端から基端までの全ての箇所における断面は直径が0.6mm~3.0mmであるほぼ正円形状で、その基端から先端に向かうにつれて縮径するテーパ形状に形成されており、その基端から先端に向かって所定領域には前記被覆部によって被覆されていない露出部が形成されており、
前記軸部の先端から基端に向かって15mm~20mmの範囲のうち、前記軸部が前記被覆部によって被覆されている領域において、前記被覆部の厚さは0.15mm~0.3mmに設定され、前記軟質部を形成する材料のショアA硬度は30~60に設定され、前記被覆部の表面からの前記突起部の長さは1.83mm~5mmに設定される、歯間清掃具。」
第3 当審の拒絶理由
令和 7年 8月19日付けで当審が通知した拒絶理由は、本願発明は、出願前に日本国内または外国において頒布された下記の引用文献2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
引用文献2:国際公開第2016/076241号
第4 引用文献の記載事項及び引用発明
1 引用文献2の記載事項
引用文献2には、次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付したものである。
(1)「[0032]
図2に示す歯間清掃具1は、その機能で区別すると、歯間清掃用の清掃部2と、清掃部2に連結された、持ち手としてのハンドル部3とを備えている。また、歯間清掃具1は、その素材で区別すると、弾性を有する合成樹脂からなる基材部10と、例えば基材部10よりも軟質の熱可塑性エラストマからなる軟質部20とを備えている。
[0033]
軟質部20は、硬度がショアA30~ショアA50の弾性材料である例えばエラストマにより構成されている。軟質部20を構成するエラストマとしては、スチレン系、オレフィン系、ポリアミド系等の熱可塑性エラストマや、シリコンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、天然ゴム、合成ゴムなどの熱硬化性エラストマなどを採用できる。特に、口腔内に使用する材料としての安全性を考慮すると軟質部20をポリオレフィン系又はスチレン系熱可塑性エラストマ、あるいはシリコンゴムなどで構成することが好ましく、さらに基材部10を構成する合成樹脂材料との相溶性を考慮すると、例えば後述するように基材部10をポリプロピレンで構成する場合には軟質部20をポリオレフィン系又はスチレン系熱可塑性エラストマで構成することがより好ましい。」
(2)「[0035]
基材部10は、例えば繊維材を添加した合成樹脂からなり、図2に示すように、ハンドル部3を構成する扁平な細長い板状のハンドル基材部11(ハンドル部3)と、ハンドル基材部11の先端部に連設された棒状(軸状)の芯基材部12(芯部)と、隣接するハンドル基材部11同士を切り離し可能に連結する連結部13とを備えている。
[0036]
ハンドル基材部11は、扁平な細長い板状に形成したが、手で保持して歯間を清掃し易い形状であれば、扁平な細長い板状以外の任意の形状、例えば円形や楕円形や多角形などの横断面形状の棒状に形成することもできる。ハンドル基材部11の先端部は芯基材部12側へ行くにしたがって幅狭に構成されて、芯基材部12に滑らかに連設されている。ハンドル基材部11の寸法は、手で保持して歯間を清掃し易い寸法であれば任意の寸法に設定でき、例えばハンドル基材部11の長さL1は10mm~25mm、幅W1は3.0mm~10mm、把持部分の厚さt1は0.8mm~5.0mmに設定できる。
[0037]
図3は、主に清掃部2を拡大して示す拡大図である。清掃部2は、芯基材部12と、芯基材部12の先端である芯先端部P1を含む芯基材部12の少なくとも一部の外面に被覆された軟質部20とを含む。芯基材部12は、略直線状の細長い棒状(軸状)に形成されている。以下、芯基材部12の軟質部20で覆われた部分を芯本体12bと称し、芯基材部12のハンドル(把持部)側の外部に露出した部分を露出部12aと称する。芯基材部12は先端側へ行くにしたがって縮径する緩やかなテーパ形状に形成されている。
[0038]
幅狭に構成されるハンドル基材部11の先端部側面のアール(湾曲部)の終点から軟質部20の基端部までの露出部12aの長さL2は、操作性を考慮して、例えば10mm~50mm、好ましくは10mm~25mmに設定されている。軟質部20が形成されている部分の長さL3は歯間に対する清掃性を考慮して、例えば9mm~22mmに設定されている。
[0039]
芯基材部12の中心線に対するテーパ形状のなす角度θは、歯間への挿入性を考慮して、0.2°~1.8°に設定されている。芯本体12bの先端側部分の直径は0.3mm~0.6mmに設定され、芯本体12bの基端部の直径は0.8mm~2.0mmに設定され、また軟質部20(清掃部2)の先端である軟質先端部P2の曲面終端部における直径Dは0.5~1.2mm、好ましくは0.5~1.0mm、さらに好ましくは0.5~0.8mmに設定され、芯本体12bの先端部から少なくとも5mm以上の芯本体12bの先端側部分を確実に歯間に挿入できるように構成されている。」
(3)「[0041]
芯基材部12の表面に被覆された軟質部20の肉厚は、歯間に挿入する必要から厚過ぎると芯本体12bの直径を小さくする必要が生じるため、歯間への挿入時における清掃部の剛性が大きく低下するだけでなく、清掃部2の成形時にカルマン渦が発生し易かったりカルマン渦の影響を大きく受けたりする恐れがあるため好ましくない。一方、軟質部20の肉厚が薄過ぎると清掃部2の基端部までエラストマ材料を充填できないので好ましくない。このため、軟質部20の肉厚は、0.1mm~0.3mmに設定することが好ましい。
」
(4)「[0044]
図4は、図3に示す清掃部2のIV-IV線断面図である。軟質部20には、清掃部2の長さ方向(軸方向)に間隔をあけて外方へ突出した複数の突起部21aが形成されている。突起部21aは、軟質部20の長さ方向に相互に間隔をあけて形成されるとともに、軟質部20の周方向に間隔をあけて配置されている。また、突起部21aの少なくとも一つは、軟質誘導部22に形成されている。」
(5)「[0049]
突起部21aの基端部の断面積Sや長さB、個数や配設ピッチは、任意に設定可能であるが、成形性及び清掃性を考慮して、突起部21aの基端部の断面積Sは、0.03mm2~1.5mm2程度に設定することが好ましく、突起部21aの長さBは0.1mm~2.0mm程度に設定することが好ましく、突起部21aの個数は20個~100個に設定することが好ましく、突起部21aの配設ピッチは0.1mm~1.5mmに設定することが好ましい。また、突起部21aとして、円錐状のものを採用したが、軸方向に扁平な平板状の先細形状のものを採用することもできる。更に、突起部21aの断面形状としては、円形以外に、楕円形や多角形などの任意の断面形状のものを採用できる。」
(6)「図1
[図:0001431642000001.jpg]
」
(7)「図2
[図:0001431642000002.jpg]
」
(8)「図3
[図:0001431642000003.jpg]
」
(9)「図4
[図:0001431642000004.jpg]
」
(10)「図12
[図:0001431642000005.jpg]
」
2 引用発明
上記1(1)~(10)を総合すると、引用文献2には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「ハンドル基材部11と、ハンドル基材部11の先端部に連設された棒状(軸状)の芯基材部12と、を備えている基材部10と、
芯基材部12の先端である芯先端部P1を含む芯基材部12の少なくとも一部の外面に被覆され、外方へ突出した複数の突起部21aが形成されている軟質部20とを備えており、
軟質部20が形成されている部分の長さL3は9mm~22mmに設定されており、
ハンドル基材部11は、扁平な細長い板状に形成され、ハンドル基材部11の先端部は、芯基材部12側へ行くにしたがって幅狭に構成され、
芯基材部12は、略直線状の細長い棒状(軸状)で、先端側に行くにしたがって縮径する緩やかなテーパ形状に形成されており、軟質部20で覆われた部分である芯本体12bとハンドル側の外部に露出した部分である露出部12aを有し、芯本体12bの先端側部分の直径が0.3mm~0.6mmで、芯本体12bの基端部の直径が0.8mm~2.0mmに設定され、
軟質部20の肉厚は、0.1mm~0.3mmに設定され、軟質部20は、硬度がショアA30~50の弾性材料により構成され、突起部21aの長さBが0.1mm~2.0mm程度に設定された歯間清掃具1。」
第5 対比
本願発明と引用発明とを対比する。
1 引用発明の「ハンドル基材部11」のうち「先端部」は、本願発明の「移行部」に相当し、「ハンドル基材部11」の「先端部」以外の部分は、本願発明の「基部」に相当する。また、引用発明の「ハンドル基材部11の先端部に連接された棒状(軸状)の芯基材部12」は、本願発明の「当該移行部の先端から軸状に延びる先端部」に相当する。
したがって、引用発明の「ハンドル基材部11と、ハンドル基材部11の先端部に連接された芯基材部12と、を備えている基材部10」は、本願発明の「基部と、前記基部から延在する移行部と当該移行部の先端から軸状に延びる先端部とを備える軸部と、を有する基材部」に相当する。
2 引用発明の軟質部20の「芯基材部12の先端である芯先端部P1を含む芯基材部12の少なくとも一部の外面に被覆され」た部分は、本願発明の「被覆部」に相当する。また、引用発明の軟質部20に形成されている「外方へ突出した複数の突起部21a」は、本願発明の「前記被覆部から突き出る複数の突起部」に相当する。
したがって、引用発明の「芯基材部12の先端である芯先端部P1を含む芯基材部12の少なくとも一部の外面に被覆され、外方へ突出した複数の突起部21aが形成されている軟質部20」と、本願発明の「前記先端部の先端から基端に向かって少なくとも16mmにわたって前記先端部を被覆する被覆部と、前記被覆部から突き出る複数の突起部と、を有する軟質部」とは、前記先端部の先端から基端に向かって前記先端部を被覆する被覆部と、前記被覆部から突き出る複数の突起部と、を有する軟質部の限りにおいて一致する。
3 引用発明の「ハンドル基材部11」は、「扁平な細長い板状」に形成されているから、ハンドル基材部11のうち先端部は、ハンドル基材部11の先端部以外の部分から連続して扁平な板状に延在しているといえる。また、引用発明において、ハンドル基材部11の先端部が、「芯基材部12側へ行くにしたがって幅狭に構成され」ている点は、本願発明において、「前記移行部は、」「前記軸部の先端に向かうにつれて、前記延在する長手方向と直交する短手方向に沿って規定される幅を減少させるテーパ形状に形成されて」いる点に相当する。
したがって、引用発明において、「ハンドル基材部11は、扁平な細長い板状に形成され、ハンドル基材部11の先端部は、芯基材部12側へ行くにしたがって幅狭に構成されて」いる点は、本願発明において、「前記移行部は、前記基部から連続して扁平な板状に延在し、前記軸部の先端に向かうにつれて、前記延在する長手方向と直交する短手方向に沿って規定される幅を減少させるテーパ形状に形成されて」いる点に相当する。
4 引用発明の「芯基材部12は、略直線状の細長い棒状(軸状)で、先端側に行くにしたがって縮径する緩やかなテーパ形状に形成されて」いる点は、本願発明の「前記先端部は、その先端から基端までの全ての箇所における断面は」「ほぼ正円形状で、その基端から先端に向かうにつれて縮径するテーパ形状に形成されて」いる点に相当する。また、引用発明の「外側に露出した部分である露出部12a」は、本願発明の「前記被覆部によって被覆されていない露出部」に相当する。
したがって、引用発明の「芯基材部12は、略直線状の細長い棒状(軸状)に形成されており、軟質部20で覆われた部分である芯本体12bとハンドル側の外部に露出した部分である露出部12aを有し、先端側に行くにしたがって縮径する緩やかなテーパ形状に形成されており、芯本体12bの先端側部分の直径が0.3mm~0.6mmで、芯本体12bの基端部の直径が0.8mm~2.0mmに設定され」ている点と、本願発明において、「前記先端部は、その先端から基端までの全ての箇所における断面は直径が0.6mm~3.0mmであるほぼ正円形状で、その基端から先端に向かうにつれて縮径するテーパ形状に形成されており、その基端から先端に向かって所定領域には前記被覆部によって被覆されていない露出部が形成されて」いる点は、前記先端部は、その先端から基端までの全ての箇所における断面はほぼ正円形状で、その基端から先端に向かうにつれて縮径するテーパ形状に形成されており、その基端から先端に向かって所定領域には前記被覆部によって被覆されていない露出部が形成されている点の限りにおいて一致する。
6 そうすると、両者は、
「基部と、前記基部から延在する移行部と当該移行部の先端から軸状に延びる先端部とを備える軸部と、を有する基材部と、
前記先端部の先端から基端に向かって前記先端部を被覆する被覆部と、前記被覆部から突き出る複数の突起部と、を有する軟質部と、を備え、
前記移行部は、前記基部から連続して扁平な板状に延在し、前記軸部の先端に向かうにつれて、前記延在する長手方向と直交する短手方向に沿って規定される幅を減少させるテーパ形状に形成されており、
前記先端部は、その先端から基端までの全ての箇所における断面はほぼ正円形状で、その基端から先端に向かうにつれて縮径するテーパ形状に形成されており、その基端から先端に向かって所定領域には前記被覆部によって被覆されていない露出部が形成されている、歯間清掃具。」
である点で一致し、次の点で相違する。
(相違点1)前記先端部の先端から基端に向かって前記先端部を被覆する被覆部と、前記被覆部から突き出る複数の突起部と、を有する軟質部について、本願発明の「被覆部」は、前記先端部の先端から基端に向かって「少なくとも16mmにわたって」前記先端部を被覆するのに対し、引用発明では、軟質部20が形成されている部分の長さL3は9mm~22mmに設定されている点。
(相違点2)前記先端部は、その先端から基端までの全ての箇所における断面はほぼ正円形状で、その基端から先端に向かうにつれて縮径するテーパ形状に形成されており、その基端から先端に向かって所定領域には前記被覆部によって被覆されていない露出部が形成されている点について、本願発明の前記先端部は、その先端から基端までの全ての箇所における断面は「直径が0.6mm~3.0mmである」のに対し、引用発明では、芯本体12bの先端側部分の直径が0.3mm~0.6mmで、芯本体12bの基端部の直径が0.8mm~2.0mmに設定されている点。
(相違点3)本願発明では、「前記軸部の先端から基端に向かって15mm~20mmの範囲のうち、前記軸部が前記被覆部によって被覆されている領域において、前記被覆部の厚さは0.15mm~0.3mmに設定され、前記軟質部を形成する材料のショアA硬度は30~60に設定され、前記被覆部の表面からの前記突起部の長さは1.83mm~5mmに設定される」のに対し、引用発明では、軟質部20の肉厚は、0.1mm~0.3mmに設定され、軟質部20は、硬度がショアA30~50の弾性材料により構成され、突起部21aの長さBが0.1mm~2.0mm程度に設定されている点。
第6 判断
1 上記相違点1~3について検討する。
(相違点1について)
引用発明は、軟質部20が形成されている部分の長さL3が9mm~22mmに設定されている。ここで、歯間清掃具1全体のサイズ等に応じて、長さL3を少なくとも16mmとすることは、当業者が適宜なし得たことである。
したがって、引用発明において、上記相違点1に係る本願発明の事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
(相違点2について)
引用発明は、芯本体12bの先端側部分の直径が0.3mm~0.6mmで、芯本体12bの基端部の直径が0.8mm~2.0mmである。このうち、芯本体12bの先端側部分、すなわち、芯基材部12の先端側の直径を使用する態様に合わせて、0.6mmに設定することは、当業者が適宜なし得たことである。
また、芯基材部12は、先端側に行くにしたがって縮径する緩やかなテーパ形状に形成されており、前記第4の1(7)、(8)の記載から、芯本体12bの基端部から、露出部12aの基端部に向けて緩やかに直径が増えていることが看取できるから、直径0.8mm~2.0mmの芯本体12bの基端部に対して、露出部12aの基端側、すなわち、芯基材部12の基端側の直径を3.0mm以下とすることは、歯間清掃具1のサイズ、全体形状から当業者が適宜なし得たことである。
したがって、引用発明において、上記相違点2に係る本願発明の事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
(相違点3について)
引用発明は、軟質部20の肉厚が0.1mm~0.3mmに設定されているものの、芯基材部12の先端から15mm~20mmの領域(以下「基端側領域」という。)における軟質部20の肉厚について具体的に特定されていない。しかし、上記のとおり、芯基材部12が基端側ほど直径の大きいテーパ形状に形成されており、前記第4の1(3)の記載から、芯基材部12を被覆する軟質部20について、軟質部20を芯基材部12の先端から基端部に向かって同じ厚さとし、軟質部20の基端近傍である基端側領域における軟質部20の肉厚を0.15mm~0.3mmとする程度のことは、当業者が適宜なし得たことである。
また、引用発明は、軟質部20が、硬度がショアA30~50の弾性材料により構成されているところ、前記第4の1(1)の記載を踏まえても、芯基材部12の先端からの距離に応じて軟質部20の弾性材料を変化させるような記載は特段ないから、技術常識を考慮すると、引用発明の軟質部20を構成する材料の硬度が、基端側領域においてもショアA30~50であることは自明である。
そして、引用発明は、突起部21bの高さBが、0.1mm~2.0mm程度に設定されているところ、基端側領域における突起部21bの高さBについて具体的に特定されていない。しかし、前記第4の1(8)の記載を踏まえれば、突起部21bの高さBは、芯本体12bの先端側より基端側ほど高くなっていることが看取できるから、軟質部20の基端近傍である基端側領域における突起部21bの長さBを、突起部21bの長さBの上限値である2.0mm程度とすることは、当業者が適宜なし得たことである。
したがって、引用発明において、上記相違点3に係る本願発明の事項とすることは、当業者が容易に想到できたことである。
2 請求人の主張について
なお、請求人は、令和 7年 9月26日提出の意見書において、本願発明について、「歯間への挿入のしやすさ及び歯肉への十分なマッサージ力を両立することができるという、従来にはない本願発明特有の格別の効果」を奏する旨を主張している。
しかしながら、本願図面の図4を参照すると、例えば、突起部の長さについて本願発明に規定された数値範囲(1.83mm~5mm)外である1mmの場合(実施例1~3)と、本願発明で規定される数値範囲(1.83mm~5mm)の場合(実施例4~18)とで、挿入性、マッサージ力、総合力の評価に差異はみられない。
3 そして、前記相違点1~3を総合的に考慮しても、当該相違点1~3に係る数値範囲に格別の効果は見いだせないから、請求人の上記主張を採用することはできない。
4 小括
したがって、本願発明は、引用発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第7 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2024-004932