特許異議申立
2025-700401
シリカ粒子の製造方法、シリカゾルの製造方法、研磨方法、半導体ウェハの製造方法及び半導体デバイスの製造方法
- 審判番号
- 2025-700401
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-005174
- 登録番号
- 7622444
- 請求日
- 2025年04月09日
- 審決日
- 2025年09月30日
- 公報発行日
- 2025年10月31日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】三菱ケミカル株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人栄光事務所
- 【異議申立人】黒田 泰
- 審判長/審判官
- 審判長 深草 祐一
- 審判官 塩谷 領大
- 審判官 河本 充雄
- 分類
- P1651.113-Y (C01B) / P1651.121-Y (C01B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7622444号発明「シリカ粒子の製造方法、シリカゾルの製造方法、研磨方法、半導体ウェハの製造方法及び半導体デバイスの製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7622444号の請求項1~9に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7622444号の請求項1~9に係る特許(以下、「本件特許」ともいう。)についての出願は、令和3年1月15日の出願であって、令和7年1月20日にその特許権の設定登録がされ、同年同月28日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1~9に係る特許に対し、令和7年4月9日に特許異議申立人 黒田 泰(以下、「申立人」という。)により、請求項1~9に係る特許に対し特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~9に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明9」という。)は、その特許請求の範囲の請求項1~9に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
水を含む溶液(A)に、テトラアルコキシシランを含む溶液(B)及び水を含む溶液(C)を添加し、テトラアルコキシシランを加水分解反応及び縮合反応させるシリカ粒子の製造方法であって、溶液(B)中のテトラアルコキシシランの濃度が95質量%以下であり、加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を3質量%以内とし、以下の工程(1)を含む、シリカ粒子の製造方法。
工程(1):得られたシリカ粒子の分散液を濃縮し、分散媒を添加する工程。
【請求項2】
加水分解反応及び縮合反応の反応温度が、20℃~50℃である、請求項1に記載のシリカ粒子の製造方法。
【請求項3】
加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度を20質量%以下とする、請求項1又は2に記載のシリカ粒子の製造方法。
【請求項4】
更に、以下の工程(2)を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のシリカ粒子の製造方法。
工程(2):工程(1)で得られたシリカ粒子の分散液を加圧加熱処理する工程。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のシリカ粒子の製造方法を含む、シリカゾルの製造方法。
【請求項6】
シリカゾル中のシリカ粒子の濃度が、3質量%~50質量%である、請求項5に記載のシリカゾルの製造方法。
【請求項7】
請求項5又は6に記載のシリカゾルの製造方法で得られたシリカゾルを含む研磨組成物を用いて研磨する、研磨方法。
【請求項8】
請求項7に記載の研磨方法を含む、半導体ウェハの製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載の研磨方法を含む、半導体デバイスの製造方法。」
第3 申立理由の概要
1 申立人は、証拠として甲第1号証~甲第4号証(以下、「甲1」~「甲4」という。)を提出し、以下の理由により、本件特許を取り消すべきものである旨主張している。
(1)申立理由1(新規性)
本件発明1~3、5、6は、甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件請求項1~3、5、6に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2)申立理由2(進歩性)
本件発明1~9は、甲1に記載された発明及び甲2~甲4に記載された事項に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1~9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
[証拠方法]
甲1:特開2020-142959号公報
甲2:特開2018-90798号公報
甲3:米国特許第6432151号明細書
甲4:国際公開第2018/012176号
第4 甲号証の記載及び甲号証に記載された発明
1 甲1(特開2020-142959号公報)
(1)甲1には以下の記載がある(当審注:下線は当審が付与した。以下、同様である。)。
「【0057】
液Bの添加量はアルコキシシランの加水分解および重縮合反応の反応速度等を勘案して適宜決定すればよい。」
「【0092】
[実施例1]
純水327.9g、メタノール2704.7g及び28%アンモニア水86.0gを、フラスコ内で撹拌混合して母液を調整した。得られた母液にテトラメトキシシラン(TMOS)3292.6g及びメタノール893.3gで調整した液Aと、純水1611.6g及び28%アンモニア水197.8gで調整した液Bを別途準備し、19℃に加温した母液に、上記液A及び液Bを150分間かけて添加し、コロイダルシリカ1を得た。さらに、得られたコロイダルシリカ1を沸点下で留出してシリカ濃度20質量%に濃縮し、次いで、純水を添加しながら留出させることでコロイダルシリカ濃縮液1を調製した。
当該コロイダルシリカ濃縮液1000.0gに酢酸0.3g、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)66.6gを加えて撹拌し、60分かけて室温から80℃まで昇温し、さらに80℃で100分間加熱することで疎水化処理した。この後に、系中の液成分を加熱留去し、水分含量が1質量%以下になるまで真空乾燥した。これをジェットミル(徳寿工作所製:NJ-50)により、プッシャーノズル圧力1.40MPa、粉砕圧力0.20MPaの条件で1回解砕処理することで疎水性シリカ粉末1を得た。
【0093】
[実施例2~6]
表1の仕込量および反応条件となるように変更した以外は実施例1と同様にして、各例の疎水性シリカ粉末2~6を作製した。
・・・
【0101】
実施例及び比較例の反応条件の一覧を表1に示す。
【0102】
【表1】
[図:0001427998000001.jpg]
【0103】
実施例の疎水性シリカ粉末の物性の評価結果を表2に示す。
【0104】
【表2】
[図:0001427998000002.jpg]
」
(2)甲1に記載された発明
ア 上記(1)の【0092】には、実施例1として、「純水327.9g、メタノール2704.7g及び28%アンモニア水86.0gを、フラスコ内で撹拌混合して母液を調整した。得られた母液にテトラメトキシシラン(TMOS)3292.6g及びメタノール893.3gで調整した液Aと、純水1611.6g及び28%アンモニア水197.8gで調整した液Bを別途準備し、19℃に加温した母液に、上記液A及び液Bを150分間かけて添加し、コロイダルシリカ1を得た。さらに、得られたコロイダルシリカ1を沸点下で留出してシリカ濃度20質量%に濃縮し、次いで、純水を添加しながら留出させることでコロイダルシリカ濃縮液1を調製した」と記載されており、上記コロイダルシリカを得ること、及び、コロイダルシリカ濃縮液を調整することは、いずれもシリカ粒子を製造することといえるから、甲1には、純水327.9g、メタノール2704.7g及び28%アンモニア水86.0gを混合して母液を調整し、テトラメトキシシラン(TMOS)3292.6g及びメタノール893.3gで調整した液Aと、純水1611.6g及び28%アンモニア水197.8gで調整した液Bを別途準備し、19℃に加温した母液に、上記液A及び液Bを150分間かけて添加し、コロイダルシリカを得ることを含む、シリカ粒子の製造方法であって、さらに、得られたコロイダルシリカを沸点下で留出してシリカ濃度20質量%に濃縮し、次いで、純水を添加しながら留出させることでコロイダルシリカ濃縮液を調製する、シリカ粒子の製造方法が記載されているといえる。
イ 上記(1)の【0093】には、「表1の仕込量および反応条件となるように変更した以外は実施例1と同様にして、各例の疎水性シリカ粉末2~6を作製した。」と記載され、同【0102】の【表1】には、実施例2において、母液が純水332.7g、メタノール2707.9g、28%アンモニア水78.0g、液Aがテトラメトキシシラン(TMOS)3292.5g、メタノール893.4g、液Bが純水1631.6g、28%アンモニア水179.8g、反応条件が反応温度19.0℃、反応時間150分であることが記載され、また、実施例4において、母液が純水283.5g、メタノール2595.0g、28%アンモニア水102.5g、液Aがテトラメトキシシラン(TMOS)3018.3g、メタノール818.9g、液Bが純水1259.4g、28%アンモニア水236.2g、反応条件が反応温度22.0℃、反応時間150分であることが記載されている。
ウ 上記ア、イによれば、甲1には、実施例2として、純水332.7g、メタノール2707.9g、28%アンモニア水78.0gを混合して母液を調整し、テトラメトキシシラン(TMOS)3292.5g、メタノール893.4gで調整した液Aと、純水1631.6g、28%アンモニア水179.8gで調整した液Bを別途準備し、19.0℃に加温した母液に、上記液A及び液Bを150分間かけて添加し、コロイダルシリカを得ることを含む、シリカ粒子の製造方法であって、さらに、得られたコロイダルシリカを沸点下で留出してシリカ濃度20質量%に濃縮し、次いで、純水を添加しながら留出させることでコロイダルシリカ濃縮液を調製する、シリカ粒子の製造方法が記載されているといえ、また、実施例4として、純水283.5g、メタノール2595.0g及び28%アンモニア水102.5gを混合して母液を調整し、テトラメトキシシラン(TMOS)3018.3g及びメタノール818.9gで調整した液Aと、純水1259.4g及び28%アンモニア水236.2gで調整した液Bを別途準備し、22.0℃に加温した母液に、上記液A及び液Bを150分間かけて添加し、コロイダルシリカを得ることを含む、シリカ粒子の製造方法であって、さらに、得られたコロイダルシリカを沸点下で留出してシリカ濃度20質量%に濃縮し、次いで、純水を添加しながら留出させることでコロイダルシリカ濃縮液を調製する、シリカ粒子の製造方法が記載されているといえる。
エ 上記アによれば、甲1には、実施例1に関して以下の発明が記載されているといえる。
「純水327.9g、メタノール2704.7g及び28%アンモニア水86.0gを混合して母液を調整し、テトラメトキシシラン(TMOS)3292.6g及びメタノール893.3gで調整した液Aと、純水1611.6g及び28%アンモニア水197.8gで調整した液Bを別途準備し、19℃に加温した母液に、上記液A及び液Bを150分間かけて添加し、コロイダルシリカを得ることを含む、シリカ粒子の製造方法であって、さらに、得られたコロイダルシリカを沸点下で留出してシリカ濃度20質量%に濃縮し、次いで、純水を添加しながら留出させることでコロイダルシリカ濃縮液を調製する、シリカ粒子の製造方法。」(以下、「甲1発明1」という。)
オ 上記イによれば、甲1には、実施例2、4に関して、それぞれ以下の発明が記載されているといえる。
「純水332.7g、メタノール2707.9g、28%アンモニア水78.0gを混合して母液を調整し、テトラメトキシシラン(TMOS)3292.5g、メタノール893.4gで調整した液Aと、純水1631.6g、28%アンモニア水179.8gで調整した液Bを別途準備し、19.0℃に加温した母液に、上記液A及び液Bを150分間かけて添加し、コロイダルシリカを得ることを含む、シリカ粒子の製造方法であって、さらに、得られたコロイダルシリカを沸点下で留出してシリカ濃度20質量%に濃縮し、次いで、純水を添加しながら留出させることでコロイダルシリカ濃縮液を調製する、シリカ粒子の製造方法。」(以下、「甲1発明2」という。)
「純水283.5g、メタノール2595.0g及び28%アンモニア水102.5gを混合して母液を調整し、テトラメトキシシラン(TMOS)3018.3g及びメタノール818.9gで調整した液Aと、純水1259.4g及び28%アンモニア水236.2gで調整した液Bを別途準備し、22.0℃に加温した母液に、上記液A及び液Bを150分間かけて添加し、コロイダルシリカを得ることを含む、シリカ粒子の製造方法であって、さらに、得られたコロイダルシリカを沸点下で留出してシリカ濃度20質量%に濃縮し、次いで、純水を添加しながら留出させることでコロイダルシリカ濃縮液を調製する、シリカ粒子の製造方法。」(以下、「甲1発明3」という。)
なお、甲2~甲4については、本件発明4、7~9に対する公知文献として提示された文献であるから摘記を省略する。
第5 取消理由1(新規性)、取消理由2(進歩性)について
1 甲1発明1を主引用発明とした場合
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明1とを対比する。
(ア)甲1発明1の「母液」は、「純水327.9g、メタノール2704.7g及び28%アンモニア水86.0gを混合して」「調整」したものであるから、「純水」を含むものである。
そうすると、甲1発明1の「純水327.9g、メタノール2704.7g及び28%アンモニア水86.0gを混合」した「母液」は、本件発明1の「水を含む溶液(A)」に相当する。
(イ)甲1発明1の「液A」は、「テトラメトキシシラン(TMOS)3292.6g及びメタノール893.3gで調整した」ものであるから、「テトラメトキシシラン(TMOS)」を含むものである。
一方、本件発明1の「テトラアルコキシシラン」について、本件特許に係る願書に添付した明細書(以下、「本件明細書」という。)の【0023】には、「溶液(B)中のテトラアルコキシシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン等が挙げられる。」と記載されている。
そうすると、甲1発明1の「テトラメトキシシラン(TMOS)」、「テトラメトキシシラン(TMOS)3292.6g及びメタノール893.3gで調整した液A」は、本件発明1の「テトラアルコキシシラン」、「テトラアルコキシシランを含む溶液(B)」にそれぞれ相当する。
(ウ)甲1発明1の「液B」は、「純水1611.6g及び28%アンモニア水197.8gで調整した」ものであるから、「純水」を含んでいる。
そうすると、甲1発明1の「純水1611.6g及び28%アンモニア水197.8gで調整した液B」は、本件発明1の「水を含む溶液(C)」に相当する。
(エ)甲1の【0057】(上記第4 1(1))の「液Bの添加量はアルコキシシランの加水分解および重縮合反応の反応速度等を勘案して適宜決定すればよい。」との記載から、甲1発明1の「22℃に加温した母液に、上記液A及び液Bを150分間かけて添加し、コロイダルシリカを得」ることは、「テトラメトキシシラン(TMOS)」を加水分解反応及び縮合反応させてコロイダルシリカを得ることといえる。
そうすると、甲1発明1の「純水327.9g、メタノール2704.7g及び28%アンモニア水86.0gを混合して母液を調整し、テトラメトキシシラン(TMOS)3292.6g及びメタノール893.3gで調整した液Aと、純水1611.6g及び28%アンモニア水197.8gで調整した液Bを別途準備し、19℃に加温した母液に、上記液A及び液Bを150分間かけて添加し、コロイダルシリカを得る、シリカ粒子の製造方法」は、本件発明1の「水を含む溶液(A)に、テトラアルコキシシランを含む溶液(B)及び水を含む溶液(C)を添加し、テトラアルコキシシランを加水分解反応及び縮合反応させるシリカ粒子の製造方法」に相当する。
(オ)甲1発明1の「テトラメトキシシラン(TMOS)3292.6g及びメタノール893.3gで調整した液A」中の「テトラメトキシシラン(TMOS)」の濃度は、3292.6/(3292.6+893.3)×100=78.7質量%であり、この値は、本件発明1の「溶液(B)中のテトラアルコキシシランの濃度」である「95質量%以下」の範囲内である。
そうすると、本件発明1と甲1発明1とは、「液(B)中のテトラアルコキシシランの濃度が95質量%以下」である点で一致する。
(カ)本件発明1の「反応系内の水の濃度」について
a 本件発明1の「反応系内の水の濃度」について、本件明細書の【0014】には、「反応系内の水の濃度とは、加水分解反応及び縮合反応における反応系内のテトラアルコキシシラン及びシリカ以外の物質の総量中の水の総量をいう。即ち、反応系内の水の濃度は、反応開始時が後述する溶液(A)の総量中の水の総量となり、反応中が反応系内のテトラアルコキシシラン及び反応で生成したシリカを除外した物質(反応系内の水、触媒、溶媒及び反応で生成したアルコール等の物質)の総量中の水の総量となる。」と記載されている。
そうすると、甲1発明1において、加水分解反応及び縮合反応の反応開始時における水の濃度は、反応開始前の「母液」中の「純水」の濃度であり、加水分解反応及び縮合反応の反応終了時における水の濃度は、反応液の全質量からシリカの質量を除外した質量中の「純水」の濃度であるといえる。
b そこで、甲1発明1における、加水分解反応及び縮合反応の反応開始における水の濃度を計算すると、「母液」中の水の質量は、327.9+(1-0.28)×86.0=389.8gであり、「母液」の全質量は、327.9+2704.7+86.0=3118.6gであるから、「母液」中の水の濃度は、389.8/3118.6×100=12.5質量%である。
したがって、甲1発明1において、加水分解反応及び縮合反応の反応開始における水の濃度は、12.5質量%である。
c 次に、甲1発明1における、加水分解反応及び縮合反応の反応終了後における水の濃度を計算する。
まず、「テトラメトキシシラン(TMOS)」の加水分解反応及び縮合反応は、Si(OCH3)4+2H2O→4CH3OH+SiO2である。
そして、「液A」中の水の質量は0gであり、「液B」中の水の質量は、1611.6g+(1-0.28)×197.8=1754.0gである。
また、「純水」の分子量は18.02、「テトラメトキシシラン(TMOS)」の分子量は152.22、「シリカ」の分子量は60.08であるから、加水分解反応及び縮合反応により減少する水の質量は2×18.02×(3292.6/152.22)=779.6gであり、加水分解反応及び縮合反応により生成するシリカの質量は、60.08×3292.6/152.22=1299.6gである。
さらに、反応液の全質量は、327.9+2704.7+86.0+3292.6+893.3+1611.6+197.8=9113.9gであり、反応液の全質量からシリカの質量を除外した質量は、9113.9-1299.6=7814.3gである。
そうすると、加水分解反応及び縮合反応の反応終了後における水の濃度は、(389.8-779.6+1754.0)/7814.3×100=17.5質量%となる。
したがって、甲1発明1において、加水分解反応及び縮合反応の反応終了後における水の濃度は、17.5質量%である。
d 以上から、甲1発明1において、加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化は、17.5-12.5=5.0質量%であり、この値は、本件発明1の「加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化」である「3質量%以内」の範囲外である。
したがって、本件発明1は、「加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を3質量%以内」としているのに対し、甲1発明1は、加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を5.0質量%としている点で相違する。
(キ)甲1発明1は、「得られたコロイダルシリカ」は、シリカ粒子の分散液であるといえる。
また、甲1発明1は、「得られたコロイダルシリカを沸点下で留出してシリカ濃度20質量%に濃縮」するものであるから、シリカ粒子の分散液を濃縮するものであるといえる。
さらに、甲1発明1は、「得られたコロイダルシリカを沸点下で留出してシリカ濃度20質量%に濃縮し、次いで、純水を添加しながら留出させることでコロイダルシリカ濃縮液を調製する」ものである。
一方、本件発明1の「分散媒」について、本件明細書の【0038】には、「分散媒は、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール等が挙げられる。」と記載されている。
そうすると、甲1発明1における「純水を添加しながら留出させることでコロイダルシリカ濃縮液を調製する」の「純水」は、分散媒であるといえ、甲1発明1は、「得られたコロイダルシリカ」を「濃縮し」、分散媒である「純水を添加」しているといえる。
したがって、甲1発明1の「純水を添加」することは、本件発明1の「分散媒を添加する」ことに相当し、本件発明1と甲1発明1とは、「工程(1):得られたシリカ粒子の分散液を濃縮し、分散媒を添加する工程」を含む点で一致する。
(ク)以上によれば、本件発明1と甲1発明1との一致点、相違点は以下のとおりとなる。
<一致点>
「水を含む溶液(A)に、テトラアルコキシシランを含む溶液(B)及び水を含む溶液(C)を添加し、テトラアルコキシシランを加水分解反応及び縮合反応させるシリカ粒子の製造方法であって、溶液(B)中のテトラアルコキシシランの濃度が95質量%以下であり、以下の工程(1)を含む、シリカ粒子の製造方法。
工程(1):得られたシリカ粒子の分散液を濃縮し、分散媒を添加する工程。」
<相違点>
相違点1:本件発明1は、「加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を3質量%以内」としているのに対し、甲1発明1は、加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を5.0質量%としている点。
イ 相違点1についての判断
(ア)新規性について
相違点1のとおり、甲1発明1は、加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を5.0質量%としており、この値は、本件発明1の「加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化」である「3質量%以内」の範囲外である。
したがって、相違点1は実質的な相違点である。
よって、本件発明1は、甲1発明1ではない。
(イ)進歩性について
甲1~甲4のいずれにも、テトラアルコキシシランを加水分解反応及び縮合反応させるシリカ粒子の製造方法において、「加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を3質量%以内」とすることは、記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明1において、甲1~甲4に記載された事項を参酌して、相違点1に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
ウ 小括
以上によれば、本件発明1は、甲1発明1ではなく、甲1発明1及び甲1~甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2~4について
本件発明2、3は、本件発明1の全ての構成を備えるシリカ粒子の製造方法の発明であるから、本件発明1と同様に、甲1発明1ではなく、また、甲1発明1及び甲1~甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
また、本件発明4は、本件発明1の全ての構成を備えるシリカ粒子の製造方法の発明であるから、本件発明1と同様に、甲1発明1及び甲1~甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
なお、本件発明5~9については、最後にまとめて検討する。
2 甲1発明2を主引用発明とした場合
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明2とを対比する。
(ア)上記1(1)ア(ア)の検討を参酌すると、甲1発明2の「純水332.7g、メタノール2707.9g、28%アンモニア水78.0gを混合」した「母液」は、本件発明1の「水を含む溶液(A)」に相当する。
(イ)上記1(1)ア(イ)の検討を参酌すると、甲1発明2の「テトラメトキシシラン(TMOS)」、「テトラメトキシシラン(TMOS)3292.5g、メタノール893.4gで調整した液A」は、本件発明1の「テトラアルコキシシラン」、「テトラアルコキシシランを含む溶液(B)」にそれぞれ相当する。
(ウ)上記1(1)ア(ウ)の検討を参酌すると、甲1発明2の「純水1631.6g、28%アンモニア水179.8gで調整した液B」は、本件発明1の「水を含む溶液(C)」に相当する。
(エ)上記1(1)ア(エ)の検討を参酌すると、甲1発明2の「純水332.7g、メタノール2707.9g、28%アンモニア水78.0gを混合して母液を調整し、テトラメトキシシラン(TMOS)3292.5g、メタノール893.4gで調整した液Aと、純水1631.6g、28%アンモニア水179.8gで調整した液Bを別途準備し、19.0℃に加温した母液に、上記液A及び液Bを150分間かけて添加し、コロイダルシリカを得る、シリカ粒子の製造方法」は、本件発明1の「水を含む溶液(A)に、テトラアルコキシシランを含む溶液(B)及び水を含む溶液(C)を添加し、テトラアルコキシシランを加水分解反応及び縮合反応させるシリカ粒子の製造方法」に相当する。
(オ)甲1発明2の「テトラメトキシシラン(TMOS)3292.5g、メタノール893.4gで調整した液A」中の「テトラメトキシシラン(TMOS)」の濃度は、3292.5/(3292.5+893.4)×100=78.7質量%であり、この値は、本件発明1の「溶液(B)中のテトラアルコキシシランの濃度」である「95質量%以下」の範囲内である。
そうすると、本件発明1と甲1発明2とは、「液(B)中のテトラアルコキシシランの濃度が95質量%以下」である点で一致する。
(カ)上記1(1)ア(カ)の検討を参酌して、甲1発明2における、加水分解反応及び縮合反応の反応開始時及び反応終了時における水の濃度を計算すると、加水分解反応及び縮合反応の反応開始時における水の濃度は、12.5質量%であり、加水分解反応及び縮合反応の反応終了後における水の濃度は、17.5質量%である。
そうすると、甲1発明2において、加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化は、17.5-12.5=5.0質量%であり、この値は、本件発明1の「加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化」である「3質量%以内」の範囲外である。
したがって、本件発明1は、「加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を3質量%以内」としているのに対し、甲1発明2は、加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を5.0質量%としている点で相違する。
(キ)上記1(1)ア(キ)の検討を参酌すると、甲1発明2の「純水を添加」することは、本件発明1の「分散媒を添加する」ことに相当し、本件発明1と甲1発明2とは、「工程(1):得られたシリカ粒子の分散液を濃縮し、分散媒を添加する工程」を含む点で一致する。
(ク)以上によれば、本件発明1と甲1発明2との一致点、相違点は以下のとおりとなる。
<一致点>
「水を含む溶液(A)に、テトラアルコキシシランを含む溶液(B)及び水を含む溶液(C)を添加し、テトラアルコキシシランを加水分解反応及び縮合反応させるシリカ粒子の製造方法であって、溶液(B)中のテトラアルコキシシランの濃度が95質量%以下であり、以下の工程(1)を含む、シリカ粒子の製造方法。
工程(1):得られたシリカ粒子の分散液を濃縮し、分散媒を添加する工程。」
<相違点>
相違点2:本件発明1は、「加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を3質量%以内」としているのに対し、甲1発明2は、加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を5.0質量%としている点。
イ 相違点2についての判断
(ア)新規性について
相違点2のとおり、甲1発明2は、加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を5.0質量%としており、この値は、本件発明1の「加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化」である「3質量%以内」の範囲外である。
したがって、相違点2は実質的な相違点である。
よって、本件発明1は、甲1発明2ではない。
(イ)進歩性について
甲1~甲4のいずれにも、テトラアルコキシシランを加水分解反応及び縮合反応させるシリカ粒子の製造方法において、「加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を3質量%以内」とすることは、記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明2において、甲1~甲4に記載された事項を参酌して、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
ウ 小括
以上によれば、本件発明1は、甲1発明2ではなく、甲1発明2及び甲1~甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2~4について
本件発明2、3は、本件発明1の全ての構成を備えるシリカ粒子の製造方法の発明であるから、本件発明1と同様に、甲1発明2ではなく、また、甲1発明2及び甲1~甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
また、本件発明4は、本件発明1の全ての構成を備えるシリカ粒子の製造方法の発明であるから、本件発明1と同様に、甲1発明2及び甲1~甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
3 甲1発明3を主引用発明とした場合
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明3とを対比する。
(ア)上記1(1)ア(ア)の検討を参酌すると、甲1発明3の「純水283.5g、メタノール2595.0g及び28%アンモニア水102.5gを混合」した「母液」は、本件発明1の「水を含む溶液(A)」に相当する。
(イ)上記1(1)ア(イ)の検討を参酌すると、甲1発明3の「テトラメトキシシラン(TMOS)」、「テトラメトキシシラン(TMOS)3018.3g及びメタノール818.9gで調整した液A」は、本件発明1の「テトラアルコキシシラン」、「テトラアルコキシシランを含む溶液(B)」にそれぞれ相当する。
(ウ)上記1(1)ア(ウ)の検討を参酌すると、甲1発明3の「純水1259.4g及び28%アンモニア水236.2gで調整した液B」は、本件発明1の「水を含む溶液(C)」に相当する。
(エ)上記1(1)ア(エ)の検討を参酌すると、甲1発明3の「純水283.5g、メタノール2595.0g及び28%アンモニア水102.5gを混合して母液を調整し、テトラメトキシシラン(TMOS)3018.3g及びメタノール818.9gで調整した液Aと、純水1259.4g及び28%アンモニア水236.2gで調整した液Bを別途準備し、22.0℃に加温した母液に、上記液A及び液Bを150分間かけて添加し、コロイダルシリカを得る、シリカ粒子の製造方法」は、本件発明1の「水を含む溶液(A)に、テトラアルコキシシランを含む溶液(B)及び水を含む溶液(C)を添加し、テトラアルコキシシランを加水分解反応及び縮合反応させるシリカ粒子の製造方法」に相当する。
(オ)甲1発明3の「テトラメトキシシラン(TMOS)3018.3g及びメタノール818.9gで調整した液A」中の「テトラメトキシシラン(TMOS)」の濃度は、3018.3/(3018.3+818.9)×100=78.7質量%であり、この値は、本件発明1の「溶液(B)中のテトラアルコキシシランの濃度」である「95質量%以下」の範囲内である。
そうすると、本件発明1と甲1発明3とは、「液(B)中のテトラアルコキシシランの濃度が95質量%以下」である点で一致する。
(カ)上記1(1)ア(カ)の検討を参酌して、甲1発明3における、加水分解反応及び縮合反応の反応開始時及び反応終了時における水の濃度を計算すると、加水分解反応及び縮合反応の反応開始時における水の濃度は、12.0質量%であり、加水分解反応及び縮合反応の反応終了後における水の濃度は、15.1質量%である。
そうすると、甲1発明3において、加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化は、15.1-12.0=3.1質量%であり、この値は、本件発明1の「加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化」である「3質量%以内」の範囲外である。
したがって、本件発明1は、「加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を3質量%以内」としているのに対し、甲1発明3は、加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を3.1質量%としている点で相違する。
(キ)上記1(1)ア(キ)の検討を参酌すると、甲1発明3の「純水を添加」することは、本件発明1の「分散媒を添加する」ことに相当し、本件発明1と甲1発明3とは、「工程(1):得られたシリカ粒子の分散液を濃縮し、分散媒を添加する工程」を含む点で一致する。
(ク)以上によれば、本件発明1と甲1発明3との一致点、相違点は以下のとおりとなる。
<一致点>
「水を含む溶液(A)に、テトラアルコキシシランを含む溶液(B)及び水を含む溶液(C)を添加し、テトラアルコキシシランを加水分解反応及び縮合反応させるシリカ粒子の製造方法であって、溶液(B)中のテトラアルコキシシランの濃度が95質量%以下であり、以下の工程(1)を含む、シリカ粒子の製造方法。
工程(1):得られたシリカ粒子の分散液を濃縮し、分散媒を添加する工程。」
<相違点>
相違点3:本件発明1は、「加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を3質量%以内」としているのに対し、甲1発明3は、加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を3.1質量%としている点。
イ 相違点3についての判断
(ア)新規性について
相違点3のとおり、甲1発明3は、加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を3.1質量%としており、この値は、本件発明1の「加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化」である「3質量%以内」の範囲外である。
したがって、相違点3は実質的な相違点である。
よって、本件発明1は、甲1発明3ではない。
(イ)進歩性について
甲1~甲4のいずれにも、テトラアルコキシシランを加水分解反応及び縮合反応させるシリカ粒子の製造方法において、「加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を3質量%以内」とすることは、記載も示唆もされていない。
したがって、甲1発明3において、甲1~甲4に記載された事項を参酌して、相違点3に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
ウ 小括
以上によれば、本件発明1は、甲1発明3ではなく、甲1発明3及び甲1~甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2~4について
本件発明2、3は、本件発明1の全ての構成を備えるシリカ粒子の製造方法の発明であるから、本件発明1と同様に、甲1発明3ではなく、また、甲1発明3及び甲1~甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
また、本件発明4は、本件発明1の全ての構成を備えるシリカ粒子の製造方法の発明であるから、本件発明1と同様に、甲1発明3及び甲1~甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
4 本件発明5~9について
本件発明5、6は、本件発明1の全ての構成を備えるシリカゾルの製造方法の発明であり、本件発明7は、本件発明1の全ての構成を備える研磨方法の発明であり、本件発明8は、本件発明1の全ての構成を備える半導体ウェハの製造方法の発明であり、本件発明9は、本件発明1の全ての構成を備える半導体デバイスの製造方法の発明であるから、いずれも、本件発明1と同様に、甲1に記載された発明及び甲1~甲4に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明できたものではない。
5 申立人の主張について
(ア)申立人は、特許異議申立書の7ページ2行~8ページ5行において、甲1の実施例1における、反応開始前の水の濃度を計算すると、12.5質量%となり、反応終了後の水の濃度を計算すると、液A(本件発明1に係るB液に相当)中の水の量は、0gであり、また、液B(本件発明1に係るC液に相当)中の水の量は、1611.6+(1-0.28)×l97.8=1754.0gとなり、反応により減少する水の量が、2×l8.02×(3292.6/152.22)=779.6gとなり、反応液の全量が、327.9+2704.7+86.0+3292.6+893.3+1611.6+197.8=9113.9gとなるので、反応終了後の反応液中の水の濃度は、((389.8-779.6+1754.0)/9113.9)×100=(1903.62/9113.9)×100=15.0質量%となるから、甲1の実施例1では、反応開始から反応終了までの反応系内の水の濃度の変化量は、15.0-12.5=2.5質量%であり、甲1の実施例2、4についても、同様に、反応開始から反応終了までの反応系内の水の濃度の変化量を計算すると、実施例2が2.6質量%、実施例4が0.9質量%となるから、甲1には、「加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を0.9~2.6とする」との構成が記載され、この構成は、本件発明1の「加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を3質量%以内とし」に相当する旨主張している。
(イ)上記(ア)の主張における、反応終了後の反応液中の水の濃度は、反応液の全量中の水の濃度である。
しかし、上記1(1)ア(カ)で検討したとおり、本件発明1の「反応系内の水の濃度」についての本件明細書の【0014】の記載によれば、甲1発明1において、加水分解反応及び縮合反応の反応終了時における水の濃度は、反応液の全質量からシリカの質量を除外した質量中の「純水」の濃度である。
そうすると、上記(ア)の主張における、反応終了後の反応液中の水の濃度の算出方法は誤っている。
そして、上記1(1)ア(カ)で検討したとおり、甲1発明1(実施例1)において、加水分解反応及び縮合反応の反応終了後における水の濃度は、17.5質量%であって、加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化は5.0質量%であるから、この値は、本件発明1の「加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化」である「3質量%以内」の範囲外である。
また、上記2(1)ア(カ)で検討したとおり、甲1発明2(実施例2)において、加水分解反応及び縮合反応の反応終了後における水の濃度は、17.5質量%であって、加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化は5.0質量%であり、また、上記3(1)ア(カ)で検討したとおり、甲1発明3(実施例4)において、加水分解反応及び縮合反応の反応終了後における水の濃度は、15.1質量%であって、加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化は3.1質量%であり、いずれの値も、本件発明1の「加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化」である「3質量%以内」の範囲外である。
したがって、甲1には、本件発明1の「加水分解反応及び縮合反応の反応開始から反応終了まで反応系内の水の濃度変化を3質量%以内とし」に相当する構成が記載されているとはいえない。
よって、申立人の上記主張は採用できない。
6 まとめ
以上のとおりであるから、申立理由1(新規性)、申立理由2(進歩性)には理由がない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700401