特許異議申立
2023-701170
化粧シート及び化粧板
- 審判番号
- 2023-701170
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-125036
- 登録番号
- 7272501
- 請求日
- 2023年11月06日
- 審決日
- 2025年07月31日
- 公報発行日
- 2025年12月26日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】TOPPANホールディングス株式会社
- 【権利者代理人】廣瀬 一
- 【権利者代理人】宮坂 徹
- 【権利者代理人】田中 秀▲てつ▼
- 【異議申立人】藤田 愛子
- 【異議申立人】佐藤 惠一
- 審判長/審判官
- 審判長 金丸 治之
- 審判官 神山 茂樹
- 審判官 八木 誠
- 分類
- P1651.121-YAA(B32B) / P1651.536-YAA(B32B) / P1651.537-YAA(B32B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7272501号発明「化粧シート及び化粧板」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7272501号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~14〕について訂正することを認める。
特許第7272501号の請求項1~14に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7272501号(以下「本件特許」という。)の請求項1~14に係る特許についての出願は、令和2年3月3日に出願された特願2020-35563号の一部を、令和3年12月14日に新たな特許出願とした特願2021-202365号の一部を、さらに令和4年8月4日に新たな特許出願としたものであって、令和5年5月1日に特許権の設定登録がされ、同年5月12日に特許掲載公報が発行された。その特許についての特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年11月 6日 :特許異議申立人 藤田愛子(以下「申立人A
」という。)による請求項1~14に係る特
許に対する特許異議の申立て
同年11月13日 :特許異議申立人 佐藤惠一(以下「申立人B
」という。)による請求項1~14に係る特
許に対する特許異議の申立て
令和6年 3月 5日付け:取消理由通知
同年 5月10日 :特許権者による訂正の請求及び意見書の提出
同年 6月10日 :申立人Aによる意見書の提出
同年 6月24日 :申立人Bによる意見書の提出
同年12月10日付け:取消理由通知(決定の予告)
令和7年 2月17日 :特許権者による訂正の請求(以下「本件訂正
請求」という。)及び意見書の提出
同年 3月28日 :申立人Aによる意見書(以下「意見書A」と
いう。)の提出
同年 4月 9日 :申立人Bによる意見書(以下「意見書B」と
いう。)の提出
なお、令和6年5月10日の訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
第2 本件訂正請求について
1.訂正の内容
本件訂正請求は、「特許第7272501号の特許請求の範囲を、本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~14について訂正することを求める」ものであり、その訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は、次の訂正事項からなるものである。なお、下線は、当審が訂正箇所に付したものである。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「熱可塑性樹脂及び無機材料を含み、単層の原反層と、前記原反層の一方に設けられた着色絵柄層と、前記着色絵柄層の前記原反層とは反対側に設けられ、コア部及び前記コア部の一方の面から畝状に突出して設けられた畝状部を有し、表面に凹凸形状が形成された第一表面保護層と、前記着色絵柄層と、前記第一表面保護層との間に設けられた透明層と、を備える化粧シート。」と記載されているのを、「熱可塑性樹脂及び無機材料を含み、単層の原反層と、前記原反層の一方に設けられた着色絵柄層と、前記着色絵柄層の前記原反層とは反対側に設けられ、コア部及び前記コア部の一方の面から畝状に突出して設けられた畝状部を有し、表面に凹凸形状が形成された第一表面保護層と、前記着色絵柄層と、前記第一表面保護層との間に設けられた透明層と、を備え、隣接する前記畝状部の周期は、10μm以下となっている化粧シート。」と訂正する。(請求項1の記載を直接的または間接的に引用する請求項2~14も同様に訂正する。)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5に「前記畝状部の高さは、15μm以下であり、前記畝状部の周期は、50μm以下である請求項1から4のいずれか1項に記載の化粧シート。」と記載されているのを、「前記畝状部の高さは、15μm以下である請求項1から4のいずれか1項に記載の化粧シート。」と訂正する。(請求項5の記載を直接的または間接的に引用する請求項6~14も同様に訂正する。)
(3)一群の請求項について
訂正前の請求項2~14は請求項1の記載を直接的に又は間接的に引用するものであり、本件訂正請求は、一群の請求項〔1~14〕に対して請求されたものである。
2.訂正の適否
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、請求項1の「畝状部」について、「隣接する前記畝状部の周期は、10μm以下となっている」と限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
本件明細書には、「隣接する畝状部13Bの周期(例えば畝状部13Bの頂点同士の間隔)pは、50μm以下となっていることが好ましく、10μm以下となっていることが好ましく、6.5μm以下となっていることがより好ましい。」(【0028】)と記載されていることから、「隣接する前記畝状部の周期は、10μm以下となっている」との事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてするものである。
また、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、請求項1で「隣接する前記畝状部の周期は、10μm以下となっている」と特定されたことに伴い、請求項1を引用する請求項5で特定される「前記畝状部の周期は、50μm以下である」との事項を、引用する請求項5の数値範囲が、引用される請求項1の数値範囲よりも広いという矛盾を回避するために削除するもので、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
訂正事項2は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
3.訂正についてのまとめ
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、本件訂正後の請求項〔1~14〕について訂正を認める。
第3 本件特許発明
本件特許の請求項1~14に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」等といい、総称して「本件発明」ともいう。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~14に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
熱可塑性樹脂及び無機材料を含み、単層の原反層と、
前記原反層の一方に設けられた着色絵柄層と、
前記着色絵柄層の前記原反層とは反対側に設けられ、コア部及び前記コア部の一方の面から畝状に突出して設けられた畝状部を有し、表面に凹凸形状が形成された第一表面保護層と、
前記着色絵柄層と、前記第一表面保護層との間に設けられた透明層と、
を備え、
隣接する前記畝状部の周期は、10μm以下となっている化粧シート。
【請求項2】
前記第一表面保護層は、(メタ)アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、アミド系樹脂、エポキシ系樹脂の少なくとも一種により形成されている
請求項1に記載の化粧シート。
【請求項3】
前記第一表面保護層は、電離放射線硬化型樹脂で形成されており、前記電離放射線硬化型樹脂の塗布量が12g/m2以上25g/m2以下である
請求項1又は2のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項4】
前記第一表面保護層の厚さは、1.0μm以上50μm以下である
請求項1から3のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項5】
前記畝状部の高さは、15μm以下である
請求項1から4のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項6】
前記畝状部は、前記コア部と異なる組成となっている
請求項1から5のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項7】
前記畝状部及び前記コア部は、樹脂材料により一体に形成されており、
前記畝状部は、前記コア部と比較して、前記樹脂材料中に含有されるカルボニル結合及び炭素-炭素結合の比率が低下した組成となっている
請求項1から6のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項8】
前記畝状部は、前記コア部と比較して、前記樹脂材料中に含有されるカルボニル結合及び炭素-炭素結合の比率が10%以上低下した組成となっている
請求項7に記載の化粧シート。
【請求項9】
前記畝状部は、前記コア部と比較して高い架橋密度を有する
請求項1から8のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項10】
前記畝状部の表面は、断面視で曲線形状である
請求項1から9のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項11】
前記第一表面保護層の前記凹凸形状形成面の一部に設けられた第二表面保護層を備える請求項1から10のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項12】
前記第二表面保護層は、前記第一表面保護層の表面の10%以上80%以下を覆うように設けられている
請求項11に記載の化粧シート。
【請求項13】
前記第一表面保護層は、無機ナノ粒子を含有せず、
前記第一表面保護層の光沢度は、5.0以下である
請求項1から12のいずれか1項に記載の化粧シート。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか1項に記載の化粧シートと、
前記原反層の前記着色絵柄層とは反対側の面に設けられた基材層と、
を備える化粧板。」
第4 取消理由通知(決定の予告)について
1.取消理由の概要
取消理由通知(決定の予告)の取消理由の概要は、次のとおりである。
(進歩性)本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、当該請求項に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
記
・請求項1~4、6~10、14
・甲1B~甲8B、甲10B
・請求項 5~10、14
・甲1B~甲10B
・請求項 11~14
・甲1B~甲8B、甲10B、甲12B又は甲1B~甲10B、甲12B
<証拠方法>
甲1B:欧州特許出願公開第2857221号明細書
甲2B:特開2017-145584号公報
甲3B:特開2016-168788号公報
甲4B:特開2009-83235号公報
甲5B:特開2018-192792号公報
甲6B:特開2020-6571号公報
甲7B:特開2014-30962号公報
甲8B:米国特許出願公開第2020/0030845号明細書
甲9B:欧州特許出願公開第3453463号明細書
甲10B:Bauer、他3名、“UV curing and matting of acrylate nanocomposite coatings by 172nm excimer irradiation, Part2”、Progress in Organic Coatings、69巻、2010年、p.287~293
甲12B:特開2017-165030号公報
なお、「甲1B」は、申立人Bが提出した甲第1号証であり、他も同様である。
2.引用文献の記載事項等
(1)甲1B
ア 甲1Bには、次の事項が記載されているといえる。
(ア)甲1Bのパネル1は、キャリアプレート2を備える。([0042])
このパネル1は、床仕上げ用のパネルである。([0001])
(イ)仕上げ箔6が、キャリアプレート2の上面3上に積層される。([0043])
この仕上げ箔6は、[0026]に「装飾は、印刷された仕上げ箔によってキャリアプレートの上面に適用される。仕上げ箔のベースは、任意の色で印刷された白い紙にすることができます。」と記載されていることから、仕上げ箔6は白い紙に任意の色で印刷されたものと認められる。
(ウ)仕上げ箔6には、塗料構造体7が塗布される。([0044])
その際、印刷された面が表面から目視できるようにすることは当然であり、仕上げ箔6の任意の色で印刷された面は、表面を構成する塗料構造体7の側に位置する、すなわち、仕上げ箔6の印刷された面の上に塗料構造体7が塗布されるものと認められる。
(エ)塗料構造体7は、ベースコート層8と、それに塗布された中間コート層9と、トップコート層10とを備える。([0044])
ここで、[0034]には、塗装の最外層として、ナノコンポジット塗料190が5g/m2と20g/m2の間の量で塗布されることが記載されており、トップコート層10は、ナノコンポジット塗料190が5g/m2と20g/m2の間の量で塗布されるものと認められる。また、[0034]の記載から、ナノコンポジット塗料は、ナノ粒子を含むアクリレート塗料であると認められる。
(オ)トップコート層10は、中間コート層9のトップ側11に塗布される。トップコート層10は、上面側12にマイクロフォールド14を有する外側薄物層13
を有する。
マイクロフォールド14の形成には、172nmの波長を有するキセノンエキシマレーザーの放射が適しており、マイクロフォールディングは、VUV光への曝露によって引き起こされる部分重合中に発生した収縮プロセスによるものである。([0045])
トップコート層10の残材16は、電子線硬化により完全に硬化・架橋される。([0046])
ここで、[0045]には、トップコート層は、上面側12にマイクロフォールドを有する外側薄物層13を有することが記載され、図2から、マイクロフォールド14は凹凸を形成されることが看取できる。さらに、[0045]の記載も踏まえれば、172nmの波長を有するキセノンエキシマレーザーの放射により、トップコート層10の部分重合中に発生した収縮プロセスにより上面側12に凹凸が形成されたマイクロフォールド14を有する外側薄物層13を有するものと認められる。
また、図2から、マイクロフォールド14の表面は、断面視で曲線形状であることが看取できる。
イ 以上のことから、甲1Bには次の発明(以下「甲1B発明」という。)が記載されていると認められる。
「キャリアプレート2と、
キャリアプレート2の上面3上に積層され、白い紙に任意の色で印刷された仕上げ箔6と、
仕上げ箔6の印刷された面の上に塗布された塗料構造体7を備え、塗料構造体7は、ベースコート層8とそれに塗布された中間コート層9と、中間コート層9のトップ側11に塗布されるトップコート層10を備え、トップコート層10は、ナノ粒子を含むアクリレート塗料であるナノコンポジット塗料190が5g/m2と20g/m2の間の量で塗布され、172nmの波長を有するキセノンエキシマレーザーの放射により、トップコート層10の部分重合中に発生した収縮プロセスにより上面側12に凹凸が形成されたマイクロフォールド14を有する外側薄物層13を有し、トップコート層10の残材16は、電子線硬化により完全に硬化・架橋され、
マイクロフォールド14の表面は、断面視で曲線形状である、
床仕上げ用のパネル1。」
(2)甲2B~甲7B
甲2B~甲7Bには、化粧シートの基材を熱可塑性樹脂からなるものとし、無機材料を含ませること(甲2Bの【0034】、【0038】、甲3Bの【0013】、【0018】、甲4Bの【0060】、甲5Bの【0023】、甲6Bの【0030】、甲7Bの【0008】、【0020】等参照。)が記載されている。また、甲2B、甲3Bの化粧シートは床用であるし(甲2Bの【0001】、甲3Bの【0001】等参照。)、甲5B、甲6Bは床用にも用い得るものである(甲5Bの【0002】、甲6Bの【0002】等参照。)。
また、甲2B~甲7Bにおける基材となる層は、単層である(甲2Bの【0062】、図3、甲3Bの【0072】、図1、甲4Bの【0085】,図1、甲5Bの【0075】、図1、甲6Bの【0119】、図1、甲7Bの【0040】等参照。)と認められる。
以上のことから、上記甲2B~甲7Bから、次の周知の技術(以下「周知技術」という。)が認められる。
「床用を含む化粧シートの基材を、熱可塑性樹脂及び無機材料を含み、単層の基材とすること。」
(3)甲8B
ア 甲8Bには、次の事項が記載されているといえる。
(ア)[0051]には、樹脂組成物にマイクロフォールド構造を実現することが記載され、[0052]、[0053]には、照射された光によって発生したエキシマが塗布された樹脂組成物の表面を収縮させることにより表面に入射する光の散乱率を高めるシワを形成すること、樹脂組成物にエキシマを形成するために175±2nmの波長を有する光を照射することが記載されている。[0082]に、300nm以下の極端紫外線を照射したところ、マイクロフォールド形状が表面に形成された旨の記載も参照すると、形成されたシワが、マイクロフォールド構造と認められる。
(イ)[0080]には、硬化物の厚みが18±2μmであることが記載され、[0081]、[0082]の記載から、当該硬化物は、マイクロフォールドが形成されたものと認められる。
(ウ)[0043]には、「硬化物の耐摩耗性を向上させるために、高硬度の無機粒子をさらに含むことができる。」と記載されている。表3から、実施例1(Example 1)及び実施例2(Example 2)で組成物1(Composition 1)が、実施例3(Example 3)及び実施例4(Example 4)で組成物2(Composition 2)が用いられているところ、表1を参照すると、組成物1は、無機粒子(inorganic particles)を含んでいない一方、組成物2は無機粒子を含んでおり、表1の下欄の記載から、無機粒子はシリカナノ粒子(Inorganic particles:Silica nanoparticles)である。
これらの記載からみて、組成物を硬化した硬化物は、シリカナノ粒子を含んでも含まなくてもよいものと認められる。
(エ)表3を参照すると、実施例1~4の硬化条件は、硬化条件1(Curing Condition 1)又は硬化条件2(Curing Condition 2)であり、表2から、硬化条件1、2は、175±2nmの波長を有する光を照射するものである。上記aを踏まえれば、実施例1~4の組成物を硬化した硬化物は、マイクロフォールドが形成されたものであることは明らかである。
イ 以上のことから、甲8Bには次の技術事項(以下、それぞれ「甲8B技術事項1」~「甲8B技術事項3」という。)が記載されていると認められる。
<甲8B技術事項1>
「樹脂組成物に175±2nmの波長を有する光を照射することにより、樹脂組成物の表面を収縮させ表面に入射する光の散乱率を高めるシワを形成して、マイクロフォールド構造を実現すること。」
<甲8B技術事項2>
「マイクロフォールドが形成された硬化物の厚みが18±2μmであること。」
<甲8B技術事項3>
「マイクロフォールドが形成された硬化物は、シリカナノ粒子を含んでも含まなくてもよいこと。」
(4)甲9B
ア 甲9Bには、次の事項が記載されているといえる。
(ア)[0001]の記載から、甲9Bは、放射線硬化性表面の光化学的艶消し加工における折り畳み振幅および周波数を調整する方法に関するものである。そして、[0002]~[0004]等の記載から、当該光化学的艶消し加工はマイクロフォールドを形成するものであり、当該折り畳み振幅及び周波数とは、マイクロフォールドの振幅及び周波数であると認められる。
(イ)[0054]、[0067]、[0079]の表から、185nmと254nmの事前照射線量の数値がある場合、すなわち当該事前照射を行った場合の振幅及び周波数に着目すると、マイクロフォールドの振幅が3~8μmであること、マイクロフォールドの600μm当りの周波数が12~45であることが記載されている。当該周波数を周期に変換すると、周期は13.3~50μmと認められる。
(ウ)また、[0054]、[0067]、[0079]の表から、185nmと254nmの事前照射線量が「なし」以外の場合、すなわち当該事前照射を行った場合の光沢度の数値に着目すると、光沢度が2.1~4.0であると認められる。
イ 以上のことから、甲9Bには次の技術事項(以下「甲9B技術事項1」及び「甲9B技術事項2」という。)が記載されていると認められる。
<甲9B技術事項1>
「放射線硬化性表面の光化学的艶消し加工におけるマイクロフォールドの振幅が3~8μm、周期が13.3~50μmであること。」
<甲9B技術事項2>
「放射線硬化性表面の光化学的艶消し加工におけるマイクロフォールドを設けた際の光沢度が2.1~4.0であること。」
(5)甲10B
ア 甲10Bには、次の事項が記載されているといえる。
第288頁右欄第27行~第289頁左欄第17行の「粗い表面による光の拡散反射に基づく、コーティングの艶消しは、慣用されたニスに(シリカや種々の高分子粒子のような)微粒子添加することよっても、UV硬化アクリレート塗布物に172nmエキシマランプと慣用の中圧水銀ランプによる二重UVランプ構成(図2)で得られるシワのある表面パターンによっても得ることができる。」との記載から、ランプはそれぞれ光を照射するものと認められる。
第289頁右欄第22行~第290頁右欄第7行の「光重合開始剤を含むアクリレート製剤では、1410cm-1の不飽和C=C結合の振動が、多色水銀と172nmエキシマUV照射の両方で特徴的な減少を示している(図3)。」及び「図3から明らかなように、(Hg)UVランプと172nmエキシマランプの大きな違いは、1720cm-1のC=Oバンドが短波長のUV照射では減少するのに対し、本件発明1の場合は、不変のIRバンドと見なすことができる点である。」との記載から、図3(b)も参照すると、172nmエキシマUV照射により不飽和C=C結合及びC=O結合が減少しているものと認められる。
イ 以上のことから、甲10Bには次の技術事項(以下、それぞれ「甲10B技術事項1」及び「甲10B技術事項2」という。)が記載されていると認められる。
<甲10B技術事項1>
「UV硬化アクリレート塗布物に172nmエキシマランプと慣用の中圧水銀ランプによる光の照射をすることにより、シワのある艶消しの表面パターンを得ること。」
<甲10B技術事項2>
「光重合開始剤を含むアクリレート製剤に172nmエキシマUV照射することにより不飽和C=C結合及びC=O結合が減少すること。」
3.本件発明1について
(1)対比
ア 本件発明1と甲1B発明とを対比する。
(ア)甲1B発明の仕上げ箔6における「白い紙」は本件発明1の「単層の原反層」に相当し、甲1B発明の仕上げ箔6の「任意の色で印刷」された部分は、印刷された部分が層を形成していることは明らかであるから、本件発明1の「着色絵柄層」に、甲1B発明の「トップコート層10」は「第一表面保護層」に、それぞれ相当する。
(イ)上記(ア)を踏まえると、甲1B発明の「白い紙に任意の色で印刷された仕上げ箔6」は、本件発明1の「単層の原反層」及び「前記原反層の一方に設けられた着色絵柄層」に相当する。
(ウ)甲1B発明の「仕上げ箔6の印刷された面の上に塗布された塗料構造体7を備え、塗料構造体7は」「トップコート層10を備え」る構成は、仕上げ箔6の印刷された面の上が、仕上げ箔6の白い紙とは反対側であることから、本件発明1の「前記着色絵柄層の前記原反層とは反対側の面に設けられ」る「第一表面保護層」の構成に相当する。
(エ)甲1B発明の「凹凸が形成されたマイクロフォールド14」は、本件発明1の「畝状に突出して設けられた畝状部」と、「突出部」である点で共通する。
そして、甲1B発明の「トップコート層10」の「外側薄物層13」及び「残材16」のうち、マイクロフォールド14が形成された部分以外の部分は、本件発明1の「コア部」に相当し、甲1B発明のマイクロフォールド14における「上面側12に凹凸が形成された」構成は、外側薄物層13及び残材16の上面側12に設けられていることから、本件発明1の「コア部の一方の面から」「突出して設けられた」構成に相当する。
また、甲1B発明の「上面側12に凹凸が形成された」構成は、本件発明1の「表面に凹凸形状が形成された」構成に相当する。
(オ)上記(ウ)、(エ)をまとめると、甲1B発明の「仕上げ箔6の印刷された面の上に塗布された塗料構造体7を備え、塗料構造体7は、」「トップコート層10を備え、トップコート層10は、」「上面側12に凹凸が形成されたマイクロフォールド14を有する外側薄物層13を有し、トップコート層10の残材16は、電子線硬化により完全に硬化・架橋され」る構成における「トップコート層10」は、本件発明1の「前記着色絵柄層の前記原反層とは反対側に設けられ、コア部及び前記コア部の一方の面から畝状に突出して設けられた畝状部を有し、表面に凹凸形状が形成された第一表面保護層」と、「前記着色絵柄層の前記原反層とは反対側の面に設けられ、コア部及び前記コア部の一方の面から突出して設けられた突出部を有し、表面に凹凸形状が形成された第一表面保護層」である点で共通する。
(カ)甲1B発明の「ベースコート層8」及び「中間コート層9」は、本件発明1の「透明層」と、「層」である点で共通する。そうすると、甲1B発明の「仕上げ箔6の印刷された面の上に塗布された塗料構造体7を備え、塗料構造体7は、ベースコート層8とそれに塗布された中間コート層9と、中間コート層9のトップ側11に塗布されるトップコート層10を備え」る構成は、本件発明1の「前記着色絵柄層と、前記第一表面保護層との間に設けられた透明層」と、「前記着色絵柄層と、前記第一表面保護層との間に設けられた層」である点で共通する。
(キ)以上の相当関係を踏まえると、甲1B発明の「白い紙に任意の色で印刷された仕上げ箔6」、「ベースコート層8」、「中間コート層9」、「トップコート層10」からなる部分は、本件発明1の「原反層と」「着色絵柄層と」「第一表面保護層と」、「透明層と、を備え」る「化粧シート」と、「原反層と」「着色絵柄層と」「第一表面保護層と」、「層と、を備え」る「化粧シート」である点で共通する。
イ そうすると、本件発明1と甲1B発明は、
「単層の原反層と、
前記原反層の一方に設けられた着色絵柄層と、
前記着色絵柄層の前記原反層とは反対側の面に設けられ、コア部及び前記コア部の一方の面から突出して設けられた突出部を有し、表面に凹凸形状が形成された第一表面保護層と、
前記着色絵柄層と、前記第一表面保護層との間に設けられた層と、
を備える化粧シート。」で一致し、次の点で相違する。
<相違点1>
本件発明1の「原反層」が、「熱可塑性樹脂及び無機材料を含」むのに対し、甲1B発明の「白い紙」は、そうではない点。
<相違点2>
突出部について、本件発明1は「畝状に突出して設けられた畝状部」であり、「隣接する前記畝状部の周期は、10μm以下となっている」のに対し、甲1B発明は「凹凸が形成されたマイクロフォールド14」であり、周期について特定されていない点。
<相違点3>
着色絵柄層と第一表面保護層との間に設けられた層について、本件発明1は「透明層」であるのに対し、甲1B発明のベースコート層8と中間コート層9は、透明であるか特定されていない点。
(2)判断
事案に鑑み、上記相違点2より検討する。
ア 甲1B発明のマイクロフォールド14は、172nmの波長を有するキセノンエキシマレーザーの放射により、トップコート層10の部分重合中に発生した収縮プロセスにより上面側12に凹凸が形成されたものであるところ、甲8B技術事項1、甲10B技術事項1によれば、172nmの光を照射することでシワが形成されるものと認められ、さらに甲8B技術事項1では、これをマイクロフォールド構造と称しており甲1B発明のマイクロフォールド14と同じものであるといえる。
そうすると、甲1B発明のマイクロフォールド14も甲8B技術事項1、甲10技術事項1のようにシワが形成されるものと認められ、シワは畝状であるから、マイクロフォールド14は畝状の畝状部といえる。
他方、「放射線硬化性表面の光化学的艶消し加工におけるマイクロフォールドの振幅が3~8μm、周期が13.3~50μmであること。」(甲9B技術事項1)が知られているが、隣接するマイクロフォールドとの周期を10μm以下とすることは、提出されたいずれの証拠(上記1、下記イ及び下記「第5 1」参照。)にも記載されておらず、示唆もされていないから、甲1B発明のマイクロフォールド14について、隣接するマイクロフォールドとの周期を10μm以下とすることが容易に想到できたとはいえない。
イ 申立人Aの提出した証拠は、上記1で示したもの以外に以下のとおりである。
甲11B:川崎実、“エキシマ光による表面処理”、表面技術、第53巻第8号、2002年8月、p.490~496
甲13B:米国特許出願公開第2018/0001696号明細書
甲14B:特開2009-255490号公報
甲15B:特開2019-64121号公報
甲16B:特開2016-97510号公報
甲17B:特開2016-155233号公報
甲18B:特開2018-144437号公報
イ 申立人の主張について
(ア)申立人の主張
この「隣接する前記畝状部の周期は、10μm以下となっている」点について、申立人A及び申立人Bは、概ね、次のa)、b)の点を主張する。
a)「隣接する畝状部の周期」との事項が明確でない。どのように計測するのかも不明である(意見書Aの第2頁第15行~第3頁第9行、意見書Bの「(2-1)明確性要件違反の新たな取消理由について」の欄)。
b)「隣接する畝状部の周期が10μm以下」の点は、甲2Aの図3、甲8Bの図2等に記載されている(意見書Aの第2頁第5行~第14行、意見書Bの「(3)進歩性違反について」の欄)。
(イ)主張についての判断
a)「隣接する畝状部の周期」との事項が明確でないとの主張については、本件明細書に「隣接する畝状部13Bの周期(例えば畝状部13Bの頂点同士の間隔)」(【0028】)と記載されており明確である。また、甲9B([0054]、[0067]、[0079]の表)において、600μmあたりの波数を計測しているように、所定長さの線上の波数を計測して平均をとることにより周期を算出することは、当業者にとって自明である。
b)「隣接する畝状部の周期が10μm以下」が提出した証拠に記載されているとの主張については、申立人A及び申立人Bが提出したいずれの証拠(甲2Aの図3や甲8Bの図2等)からは、「隣接する畝状部の周期が10μm以下」の点は読み取れず、申立人A及び申立人Bの主張は採用できない。
エ よって、本件発明1の上記相違点2に係る構成は、当業者が容易に想到し得たものではない。
(3)小括
以上より、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1B発明及び甲2B~甲10Bに記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
4.本件発明2~14について
本件発明2~14は、本件発明1の発明特定事項を全て備えるところ、上記3のとおり、本件発明1は、甲1B発明及び甲2B~甲10Bに記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、本件発明2~14も、甲1B発明、及び甲2B~甲10B、甲12Bに記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第5 取消理由通知(決定の予告)に採用しなかった特許異議申立理由について
1.申立理由
(1)申立人Aの進歩性(特許法第29条第2項)に係る申立理由
本件発明1~14は、甲第1号証に記載された発明、並びに甲第2号証ないし甲第6号証に記載された技術的事項に基づき、当業者が容易に発明をすることができたものである。
甲第1号証:特開2008-93827号公報
甲第2号証:Bauer、他7名、“UV curing and matting of acrylate nanocomposite coatings by 172nm excimer irradiation”、Progress in Organic Coatings、64巻、2009年、p.474~481
甲第3号証:特開2015-86682号公報
甲第4号証:特開2014-193530号公報
甲第5号証:特開2016-68344号公報
甲第6号証:特開2018-79603号公報
以下、甲第1号証を「甲1A」という。他も同様にいう。
(2)申立人Bの記載不備に係る申立理由
ア 明確性要件(特許法第36条第6項第2項)
本件特許の請求項1~14に係る発明は、明確でない。
イ サポート要件(同法第36条第6項第1号)
本件特許の請求項1~14に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。
ウ 実施可能要件(同法第36条第4項第1号)
本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が、本件特許の請求項1~14に係る発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載したものではない。
2.判断
(1)申立人Aの進歩性に係る申立理由について
ア 甲1Aには、特に【0029】の記載に着目すると、次の「甲1A発明」が記載されていると認められる。
「基材層11と、印刷模様層12と、透明層13と、表面保護層14とで構成される化粧シート10であって、
基材層11は、ポリエステル系樹脂および着色剤を含み、
基材層11上には、例えばグラビア印刷によって、所望の模様を付与する印刷模様層12が設けられ、
さらに印刷模様層12上には、ポリエステル系樹脂からなる透明層13が設けられ、
表面保護層14は、硬質で透明な樹脂素材よりなる表面保護フィルムであり、透明層13上に積層形成され、この表面保護層14となる表面保護フィルムは、硬質アクリル樹脂からなる、化粧シート10。」
イ 本件発明1と甲1A発明を対比すると、
本件発明1の第1表面保護層が、「畝状に突出して設けられた畝状部」を備え、「隣接する前記畝状部の周期は、10μm以下となっている」のに対し、甲1A発明の表面保護層14は、そのような構成を備えない点(以下「相違点A」という。)で、少なくとも相違する。
この相違点Aのうち、「隣接する前記畝状部の周期は、10μm以下となっている」点は、上記「第4 3.(2)ア」のとおり、いずれの証拠にも記載ないし示唆がされていないから、本件発明1の上記相違点Aに係る構成は、甲1A発明からも当業者が容易に想到し得たものではない。
そうすると、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1A発明及び甲2A~甲6Aに記載された技術的事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
本件発明2~14についても同様である。
ウ よって、申立人Aの進歩性に係る申立理由には、理由がない。
(2)申立人Bの記載不備に係る申立理由について
ア 明確性要件
申立人Bは、請求項1の「単層の原反層」、「透明層」との事項、請求項6の「異なる組成」との事項が明確でない旨主張する。
しかし、熱可塑性樹脂を含む「単層の原反層」は、「一層の樹脂フィルム」(本件明細書の【0047】)であることは明らかであり、明確である。
また、着色絵柄層と第一表面保護層との間に設けられた「透明層」は、着色絵柄層と第一表面保護層との間に位置する透明な層であることを意味し、明確である。
さらに、「組成」が、化合物を構成する成分およびその量のことを意味することから、請求項6の「異なる組成」は、成分およびその量が異なることをいい、明確である。
よって、明確性要件に係る理由には、いずれも理由がない。
イ サポート要件
申立人Bは、本件発明1が、「熱可塑性樹脂及び無機材料を含み 、単層の原反層」との事項、「前記着色絵柄層と、前記第一表面保護層との間に設けられた透明層」との事項を備えることにより、サポート要件を満たさない旨主張する。
しかし、本件発明の解決しようとする課題が、「化粧シート表面の耐指紋性に優れた化粧シート及び化粧板を得ること」(本件明細書の【0004】)であるところ、この課題は、本件明細書(【0023】、【0028】等)の記載を参照すれば、本件発明1の「前記着色絵柄層の前記原反層とは反対側に設けられ、コア部及び前記コア部の一方の面から畝状に突出して設けられた畝状部を有し、表面に凹凸形状が形成された第一表面保護層」を備え、「隣接する前記畝状部の周期は、10μm以下となっている」ことにより解決し得ると認識できるものであり、「熱可塑性樹脂及び無機材料を含み、単層の原反層」との事項、「前記着色絵柄層と、前記第一表面保護層との間に設けられた透明層」との事項を備えることにより、この課題が解決できなくなるものではない。
また、申立人Bは、本件発明1、5の、畝状部の高さと周期に係る規定について、本件明細書の実施例において何ら記載がなく、サポート要件を満たさない旨主張する。
しかし、本件発明1の「畝状部」の「畝状」は、「細長く盛り上がり、平面視で線状に連なった形状」(本件明細書の【0023】)を意味し、その畝状部の周期が「10μm以下」と特定されるところ、「畝状部13Bは、表面保護層の表面にエンボス加工等の機械的な加工により形成された凹凸形状と比較して、微細な構造となっている。第一表面保護層13の表面にこのような微細な凹凸形状が形成されることにより、化粧シート1表面のマット感を維持しながら耐指紋性を向上させることが可能となる。」(同じく【0028】)との記載を踏まえれば、本件発明1、5の畝状部の高さと周期に係る規定を満たすことにより、本件発明の課題を解決し得ることは、当業者であれば認識できるといえる。
よって、サポート要件に係る理由には、いずれも理由がない。
ウ 実施可能要件
申立人Bは、本件発明1の「熱可塑性樹脂及び無機材料を含み 、単層の原反層」、「前記着色絵柄層と、前記第一表面保護層との間に設けられた透明層」、本件発明6の「前記畝状部は、前記コア部と異なる組成となっている」ものについて、製造する上で過度な試行錯誤が必要である旨主張する。
しかし、「熱可塑性樹脂及び無機材料を含み 、単層の原反層」については、本件明細書の【0013】~【0018】に、「前記着色絵柄層と、前記第一表面保護層との間に設けられた透明層」については、同じく【0051】に、「前記畝状部は、前記コア部と異なる組成となっている」ものについては、同じく【0023】~【0045】に、それぞれ記載されており、当業者であれば、これらの記載を参照して、各構成を備える化粧シートを製造し、実施することができるものといえる。
よって、実施可能要件に係る理由には、いずれも理由がない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由並びに特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~14に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-701170