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特許異議申立

2023-700222

偽造防止カード

審判番号
2023-700222
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-079766
登録番号
7127345
請求日
2023年02月27日
審決日
2024年05月08日
公報発行日
2024年09月27日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】TOPPANホールディングス株式会社
  • 【権利者代理人】松沼 泰史
  • 【権利者代理人】鈴木 史朗
  • 【権利者代理人】清水 雄一郎
  • 【権利者代理人】大槻 真紀子
  • 【異議申立人】佐藤 惠一
審判長/審判官
  • 審判長 殿川 雅也
  • 審判官 藤本 義仁
  • 審判官 門 良成
分類
P1651.121-ZAA(B42D) / P1651.851-ZAA(B42D) / P1651.852-ZAA(B42D) / P1651.853-ZAA(B42D)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
行政事件訴訟法46条特許法29条特許法113条2号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7127345号発明「偽造防止カード」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7127345号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-5〕について訂正することを認める。 特許第7127345号の請求項1乃至5に係る特許を取り消す。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7127345号の請求項1乃至5に係る特許についての出願は、平成30年4月18日に出願され、令和4年8月22日にその特許権の設定登録がされ、同年同月30日に特許掲載公報が発行された。 その後、令和5年2月27日付けで特許異議申立人 佐藤惠一(以下「特許異議申立人」という。)より請求項1乃至5に対して特許異議の申立てがされ、同年4月14日付けで取消理由が通知され、同年6月9日に特許権者より意見書及び訂正請求書が提出されたが、同年9月26日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、同年11月27日に特許権者より意見書及び訂正請求書が提出され、令和6年3月5日に特許異議申立人より意見書が提出されたものである。 なお、令和5年6月9日に提出された訂正請求書は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。 第2 本件訂正請求による訂正の適否についての判断 1 本件訂正の内容 本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)の内容は以下のとおりである(注:下線部分は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1の 「少なくとも2層以上の樹脂層を積層した積層体からなるカードであって、 前記カードの側面部に、少なくとも保護層と接着層とを有する装飾層が設けられており、前記保護層の膜厚が1μm~10μmであり、前記保護層に、保護層の樹脂分に対して、質量比で、0.5%~40%の範囲でフィラーが添加されてなり、前記接着層が、色素及び耐湿顔料の少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする偽造防止カード。」 との記載を 「少なくとも2層以上の樹脂層を積層した積層体からなるカードであって、 前記カードの側面部に、少なくとも保護層と接着層とを有する装飾層が設けられており、前記装飾層は、熱転写される装飾転写フィルムの装飾層であり、前記保護層の膜厚が1μm~10μmであり、前記保護層に、保護層の樹脂分に対して、質量比で、0.5%~40%の範囲でフィラーが添加されてなり、前記接着層が、色素を含むことを特徴とする偽造防止カード。」 に訂正する。 以下、「前記装飾層は、熱転写される装飾転写フィルムの装飾層であり」との訂正事項を訂正事項1-1といい、「色素」との訂正事項を訂正事項1-2という。 請求項1を引用する請求項2乃至5も同様に訂正する。 (2)訂正事項2 明細書の段落【0014】の 「本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものである。すなわち、請求項1に記載の発明は、少なくとも2層以上の樹脂層を積層した積層体からなるカードであって、前記カードの側面部に、少なくとも保護層と接着層とを有する装飾層が設けられており、前記保護層の膜厚が1μm~10μmであり、前記保護層に、保護層の樹脂分に対して、質量比で、0.5%~40%の範囲でフィラーが添加されてなり、前記接着層が、色素及び耐湿顔料の少なくとも1つ以上を含むことを特徴とする偽造防止カードである。」 との記載を 「本発明はこれらの課題を解決すべくなされたものである。すなわち、請求項1に記載の発明は、少なくとも2層以上の樹脂層を積層した積層体からなるカードであって、前記カードの側面部に、少なくとも保護層と接着層とを有する装飾層が設けられており、前記装飾層は、熱転写される装飾転写フィルムの装飾層であり、前記保護層の膜厚が1μm~10μmであり、前記保護層に、保護層の樹脂分に対して、質量比で、0.5%~40%の範囲でフィラーが添加されてなり、前記接着層が、色素を含むことを特徴とする偽造防止カードである。」 に訂正する。 (3)訂正事項3 明細書の段落【0037】の 「これらの樹脂には、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、白鉛華など従来公知の顔料や耐湿顔料をはじめ、熱安定剤、紫外線吸収剤などを各種添加剤が添加されてあっても何ら問題ない。」 との記載及び段落【0091】の 「また、接着層(21)には、状況に応じて、例えばシリカ、炭酸カルシウム、タルク、樹脂微粒子などの各種耐湿顔料が添加されてあっても良い。」 との記載を、それぞれ、 「これらの樹脂には、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、白鉛華など従来公知の顔料や体質顔料をはじめ、熱安定剤、紫外線吸収剤などを各種添加剤が添加されてあっても何ら問題ない。」 及び 「また、接着層(21)には、状況に応じて、例えばシリカ、炭酸カルシウム、タルク、樹脂微粒子などの各種体質顔料が添加されてあっても良い。」に訂正する。 2 一群の請求項について 訂正前の請求項1乃至5について、請求項2乃至5は、請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1により記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1乃至5に対応する訂正後の請求項1乃至5は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 3 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、及び新規事項の有無について (1)訂正事項1について ア 訂正の目的について 訂正事項1-1は、特許請求の範囲の請求項1の「装飾層」について、「前記装飾層は、熱転写される装飾転写フィルムの装飾層であり」と、「装飾層」の構成を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、訂正事項1-2は、特許請求の範囲の請求項1の「接着層」について、訂正前の「色素及び耐湿顔料の少なくとも1つ以上を含む」と特定されていたものを、「色素を含む」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 請求項1を引用する請求項2乃至5についても、「装飾層」について、「前記装飾層は、熱転写される装飾転写フィルムの装飾層であり」と限定し、「接着層」について、「色素を含む」と限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項1は、上記アのとおり、減縮を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1について、明細書等には、段落【0046】に「また、装飾層(20)は、図3に示すように、装飾転写フィルム(30)として形成され、カード基材(14)の側面部に熱転写することにより形成される。」と、段落【0090】に「この様な接着層(21)には、色素が添加されてあって良く、色素としては例えば、カーボンブラックなどに代表される顔料や染料、蛍光材料などを例示することができ、これらの材料を必要に応じて、任意に選定して1つ以上の材料を添加することができる。」と記載されているから、当該訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (2)訂正事項2について ア 訂正の目的について 訂正事項2は、明細書の段落【0014】が、特許請求の範囲の請求項1を引用するものであるところ、上記訂正事項1の訂正により特許請求の範囲の請求項1が訂正されることに伴い、明細書の段落【0014】の記載を特許請求の範囲の請求項1と同様に訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項2は、上記訂正事項1の訂正に伴い、その記載を特許請求の範囲の請求項1と同様に訂正するものであるから、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、上記訂正事項1の訂正に伴い、その記載を特許請求の範囲の請求項1と同様に訂正するものであるから、当該訂正事項2は、明細書等に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (3)訂正事項3について ア 訂正の目的について 訂正事項3は、明細書の段落【0037】、及び段落【0091】の「耐湿顔料」を、出願当初の明細書に記載されていた「体質顔料」に訂正するものであって、【0091】に例示される「例えばシリカ、炭酸カルシウム、タルク、樹脂微粒子など」との記載からすれば、「耐湿顔料」との記載は「体質顔料」の明らかな誤記であることは当業者であれば明らかであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる誤記又は誤訳の訂正を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項3は、上記アのとおり、誤記又は誤訳の訂正を目的とする訂正であって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、上記アのとおり、誤記又は誤訳の訂正を目的とする訂正であるから、願書に添付した明細書の範囲内の訂正であることは明らかである。 よって、当該訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。 (4)明細書又は図面の訂正と関係する請求項についての説明 ア 訂正事項2について 訂正事項2は、上記訂正事項1に係る訂正に伴うものであり、その記載内容と訂正後の請求項1乃至5の記載内容との間に実質的な差異はない。 したがって、訂正事項2は、請求項1乃至5を含む一群の請求項である請求項1乃至5に関係する訂正である。 イ 訂正事項3について 訂正事項3は、上記訂正事項1に係る訂正に伴うものであり、その記載内容と訂正後の請求項1乃至5の記載内容との間に実質的な差異はない。 したがって、訂正事項3は、請求項1乃至5を含む一群の請求項である請求項1乃至5に関係する訂正である。 (5)特許出願の際に独立して特許を受けることができることについて 本件特許についての特許異議の申立て事件では、訂正前の請求項1乃至5について特許異議の申立ての対象とされているから、本件訂正における訂正前の請求項1乃至5に係る訂正事項1乃至3に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (6)まとめ 以上のとおり、令和5年11月27日に特許権者が行った本件訂正は、訂正事項1乃至3に関して、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第2号、及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項までの規定に適合するので、訂正後の請求項1乃至5について訂正を認める。 第3 訂正後の本件訂正特許発明 上記第2で検討したとおり、請求項1乃至5に係る訂正を認めることができるから、請求項1乃至5に係る特許についての発明は本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1乃至5に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。(以下、それぞれ「本件訂正特許発明1」乃至「本件訂正特許発明5」といい、総称して「本件訂正特許発明」という。) 「【請求項1】 少なくとも2層以上の樹脂層を積層した積層体からなるカードであって、 前記カードの側面部に、少なくとも保護層と接着層とを有する装飾層が設けられており、前記装飾層は、熱転写される装飾転写フィルムの装飾層であり、前記保護層の膜厚が1μm~10μmであり、前記保護層に、保護層の樹脂分に対して、質量比で、0.5%~40%の範囲でフィラーが添加されてなり、前記接着層が、色素を含むことを特徴とする偽造防止カード。 【請求項2】 前記装飾層において、保護層と接着層との間に中間層が設けられてなることを特徴とする請求項1に記載の偽造防止カード。 【請求項3】 前記中間層が、少なくとも1つ以上の色材を含むことを特徴とする請求項2に記載の偽造防止カード。 【請求項4】 前記中間層が、任意の画像を有する印刷層からなることを特徴とする請求項2または3のいずれかに記載の偽造防止カード。 【請求項5】 前記中間層が、表面に凹凸構造を有するレリーフ構造形成層と前記凹凸構造の少なくとも一部を覆う反射層とを、少なくとも有することを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載の偽造防止カード。」 第4 取消理由(決定の予告)の概要 訂正前の請求項1乃至5に係る特許に対して、上記令和5年9月26日付けの取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。 取消理由1(進歩性):請求項1乃至5に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された各甲号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1乃至5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 第5 取消理由についての当審の判断 1 各甲号証 (1)甲第1号証 本件特許の出願日前の2016年6月15日に公開された欧州特許出願公開第3031615号明細書(甲第1号証)には、以下の記載がある。(下線は当審で付し、括弧内の翻訳文は当審で作成した。以下同じ。) 「Object of the invention [0001] The object of the present invention is an innovative method for decorating the sides of plastic cards, by means of hot foil stamping, in addition to the engraver to be coupled to the heater head piece of the hot foil stamping machine, used to carry out the former method and the plastic cards, the sides of which have been decorated by means of the decoration process, using the engraver designed to carry out said method.」 (発明の目的 [0001] 本発明の目的は、ホットホイルスタンピングによって、プラスチックカードの側面を装飾するための革新的な方法、前記方法の実施のために使用されるホットホイルスタンピング機のヒーターヘッド部に結合されるエングレーバー、および、前記方法の実施のために設計されたエングレーバーを用いた装飾プロセスによって側面が加飾されたプラスチックカードである。) 「Background of the invention [0002] Plastic cards used for a multitude of purposes are well known in the state of the art, the most well-known including payment by debit or credit card, credit cards or identification for buildings or various kinds of events. The frontal and rear faces of these plastic cards are usually decorated with all kinds of motifs, which usually constitute advertising and on many occasions, contain some or all of the information required in order for them to fulfil their objective within this decoration, for example the name of the card holder.」 (発明の背景 [0002] 多くの目的のために利用されるプラスチックカードは、最新の技術において、よく知られている。最もよく知られたものは、デビットカード又はクレジットカードによる支払い、クレジットカード、建物や様々な種類のイベントのための身分証明書を含む。これらのプラスチックカードの表面および裏面は、通常、あらゆる種類のモチーフによって装飾されている。これらのモチーフは、通常、広告を構成し、多くの場合、その装飾の中に、カードの所持者の名前など、カードの目的を果たすために必要とされる情報のいくつか又はすべてを含む。) 「[0003] One aesthetic requirement of decorated plastic cards is that their sides are the same colour as their frontal and rear faces or other kinds of decoration wished to be incorporated.」 ([0003] プラスチックカードの美的要件の1つは、その側面が表面及び裏面又は組み込まれることが望まれるその他の種類の装飾と同じ色であることである。) 「[0004] In order to ensure that the sides of cards are the desired colour, cards made of plastic of the desired colour are used. This solution requires manufacturers to maintain stock in each one of the colours offered, therefore meaning the cost of maintaining this stock is very high. Furthermore, since storing cards in all colours is very costly, it is highly likely that they will lose out on sales opportunities simply because they don't have the colour a client desires at any particular time.」 ([0004] カードの側面を希望の色とするために、希望の色のプラスチックにより作製されたカードが使用される。この解決方法は、製造者に提供される各色のカードの在庫を維持する必要があり、この在庫を維持するためのコストが高くなる。さらに、すべての色のカードを保管することは非常にコストがかかることから、特定の時期に顧客が望む色のカードを持っていないというだけで、販売機会を失う可能性が高くなる。) 「[0005] The invention object of the present description offers a decoration technique, unpublished to date, for decorating the sides of plastic cards by means of the well-known hot foil stamping decoration method, the characteristics of this method making it possible to lower production and stock maintenance costs, thereby possibly meaning just one colour of card needs to be stocked, which is usually white.」 ([0005] 本明細書の発明目的は、現在までに公開されていない、よく知られたホットホイルスタンピング装飾法によって、カードの側面を装飾するための装飾技術を提供することである。この方法の特徴は、製造及び保管のコストを削減することを可能にし、それにより、ただ1色のカードを保管すればよいことになり、その色は、通常、白色である。) 「[0006] The hot foil stamping method consists of applying a certain amount of pressure using an engraver, during a certain period of time at a certain temperature, to a piece of foil located on the surface to be decorated.」 ([0006] ホットホイルスタンピング法は、装飾する表面の上に位置するホイル片に、エングレーバーを用いて、特定の温度で一定時間、一定量の圧力を加えることからなる。) 「[0007] The surface where the engraver comes into contact with the foil may be completely flat or have a relief of the symbol to be decorated engraved onto it. After hot stamping, it is possible to clean the foil traces by means of the blowing, brushing or transfer process, in order to eliminate the traces of foil that may be left behind.」 ([0007] エングレーバーがホイルと接触する表面は、完全に平面であるか、装飾されるシンボルのレリーフが刻印されている可能性がある。ホットスタンプを行った後、残される可能性のあるホイルの痕跡を除去するために、ブロー、ブラッシング又は転写プロセスによって、ホイルの痕跡をきれいにすることが可能である。) 「[0008] Hot foil stamping is carried out, amongst other things, in vertical stamping machines and roll-on stamping machines.」 ([0008] ホットホイルスタンピングは、とりわけ、縦型スタンピング機及びロールオン式スタンピング機において実行される。) 「[0009] Vertical hot stamping machines constitute vertical presses, the mobile body of which is an arm, which moves up and down alternately, there being a heater head piece at the end of said arm, to which an engraver that may be heated up is coupled, in addition to a support or wedge, which positions and holds the pieces to be stamped, as well as various feeder, transportation and placement devices for the foil and devices for controlling pressure, stamping time and the temperature at which the engraver is to be heated.」 ([0009] 縦型ホットスタンピング機は、スタンプされる部材を位置決めして保持するサポート又はウェッジや、ホイル用の様々な供給、搬送及び配置のための装置、並びに、エングレーバーが加熱されるときの圧力、スタンピング時間及び温度を制御するための装置を構成することに加えて、縦プレスを構成し、その可動体は上下に交互に移動するアームであり、アームの先端にはヒーターヘッド部が存在し、加熱され得るエングレーバーがヒーターヘッド部に結合されている。) 「[0010] In roll-on stamping machines, the heater head piece is a cylinder that rotates on its own axis, to which the engraver that may be heated up is coupled on the external cylindrical surface thereof, this kind of machine being used to carry out large series stamping.」 ([0010] ロールオン式スタンピング機においては、ヒーターヘッド部は、それ自身の軸を中心に回転するシリンダーであり、加熱され得るエングレーバーは、その外側の円柱面に結合される。この種の装置は、大規模な連続スタンプを行うために利用される。) 「[0011] Hot stamping foil is formed by various layers that are deposited on a polyester support. In order, these layers include: polyester, a coating layer, a protective layer, a decorative layer or layers or colour/aluminium layer and an adhesive layer, applied with heat and pressure.」 ([0011] ホットスタンピングホイルは、ポリエステルの支持層の上に配置される様々な層によって形成される。これらの層は、ポリエステル、コーティング層、保護層、単層若しくは複層からなる装飾層又はカラー/アルミニウム層、及び、接着層をこの順番で含み、熱及び圧力が加えられる。) 「[0012] It is applied using heat and pressure on the surface to be decorated, the relief with which the engraver is formed constituting the element that comes into physical contact with the foil, which is transferred to the surface.」 ([0012] ホットスタンピングホイルは、装飾される面の上に、熱及び圧力を用いて適用され、エングレーバーとともに形成されるレリーフが、表面に転写されるホイルと物理的に接触することになる要素を構成することになる。) 「Description of the invention [0013] The method for decorating the sides of plastic cards object of the present invention comprises the following steps: a. Placing a plurality, preferably 25 units, of plastic cards on a first support wedge, in such a way that the first, shortest side of said plastic cards is opposite the engraver. b. Hot foil stamping the first shortest sides of the plastic cards. c. Blowing air onto the stamping applied to the first shortest sides.…」 (発明の説明 [0013] 本発明のプラスチックカードの側面を装飾する方法は、以下の工程を含む。a.複数、好ましくは25枚、のプラスチックカードを、プラスチックカードの第1の短側面がエングレーバーと対向するように、第1のサポートウェッジに配置する。b.プラスチックカードの第1の短側面にホットホイルスタンプを行う。c.第1の短側面に適用されたスタンピングに空気を吹き付ける。…) 「[0014] In order to carry out the above described process, a hot foil stamping machine of the vertical or roll-on variety described above is used, to which an engraver that may be heated up is coupled on the heater head piece, said engraver being made from silicone, the external face thereof opposite the foil having a recess, such that the shape of a cross-section of said engraver is the negative shape and the same size as a side of said card, including the rounded corners formed by said side with the adjacent sides of the card. Said vertical hot foil stamping machine also comprises one or more wedges, suitable for positioning and holding the plastic cards in such a way that the sides to be decorated are opposite the lower face of the engraver, it being possible for said wedges to be holding devices that facilitate the use of the same wedge to hot stamp all four sides of the cards.」 ([0014] 上述のプロセスを実行するために、前述の縦型又はロールオン式のホットホイルスタンピング機が用いられる。加熱され得るエングレーバーはヒーターヘッド部に結合され、エングレーバーはシリコンでできている。エングレーバーのホイルと対向する外面は、エングレーバーの断面形状が、カードの隣り合う2つの側面によって形成される丸みを帯びた角部を含めて、カードの側面と対応する形状かつ同じサイズとなるように、凹部を有している。前述の縦型ホットホイルスタンピング機は、また、装飾される側面がエングレーバーの下の面と対向するようにプラスチックカードを位置決めし保持するのに適した1つ以上のウェッジを有しており、このようなウェッジは、カードの4つの側面すべてのホットスタンピングにおいて同じウェッジを使用することを容易にする。) 「[0015] The cross-section of the engraver is preferably the same shape and size as the first and second longest side of the plastic cards and in another preferred embodiment, is the same shape and size as the first and second shortest side of said plastic cards.」 ([0015] エングレーバーの断面は、好ましくは、プラスチックカードの第1及び第2の長側面と同じ形状かつ同じサイズであり、他の好ましい形態においては、プラスチックカードの第1及び第2の短側面と同じ形状かつ同じサイズである。) 「[0016] The engraver is preferably made of 80o Shore A silicone.」 ([0016] エングレーバーは、好ましくは、ショアA硬度が80°のシリコンからなる。) 「Description of the figures [0018] Figure 1 : is a cross-section of the controlled temperature engraver. Figure 2 : is a perspective view of a detail of a plastic card, showing the sides thereof.」 (図の説明 [0018] 図1は、制御された温度を有するエングレーバーの断面である。 図2は、プラスチックカードの斜視図であり、その側面を示す。) 「[0020] In a preferred embodiment of the invention, the plastic cards comply with ISO 7816 and the measurements thereof are: ・Length: 85.6 +1/-0.5 mm ・Width: 53.98 +/-0.2 mm ・Nominal depth: 0.762 mm and groups of 25 cards are preferably worked with.」 ([0020] 発明の好ましい実施形態において、プラスチックカードはIS07816に準拠しており、その測定値は、 ・長さ:85.6+1/-0.5mm ・幅:53.98+/-0.2mm ・公称深さ:0.762mm であり、好ましくは、25枚のカードの組が加工される。) 上記記載事項より、甲第1号証には、 「デビットカードやクレジットカードなどの、ISO7816に準拠したプラスチックカードであって、 プラスチックカードの側面が、保護層、単層若しくは複層からなる装飾層又はカラー/アルミニウム層、及び、接着層をこの順番で含むホットスタンピングホイルによって装飾されたプラスチックカード。」 なる発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 (2)甲第2号証 本件特許の出願日前の平成15年7月22日に公開された特開2003-205557号公報(甲第2号証)には、以下の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、第1の基材と第2の基材とを接着層を介して貼り合わせてなる積層体、積層体の製造方法及び積層体の製造装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】複数の基材を接着層を介してラミネート装置などにより貼り合わせることで、積層体を製造することは知られており、例えば、ドアパネルや壁材などの建築用材用途、光ディスクなどの記録材料用途、プラスチック基材間に電子部品を内蔵したlCカードなどのカード用途がある。」 「【0019】図1は個人認証識別用カードの一部を破断した平面図、図2は個人認証識別用カードの断面図である。この実施の形態の個人認証識別用カードは、第1の基材2と第2の基材3とを接着層4を介して貼り合わせてなる積層体1をカードとして使用するものであり、カード表面に画像5、キー情報6、文字7が熱転写して記録されている。 【0020】接着層4には、電子情報を少なくとも記録または通信可能なモジュール8が内蔵され、モジュール8はアンテナ8aとIC部品8bから構成され、パスポートや身分証明証などの個人認証識別用カードに用いることができる。電子情報を少なくとも記録または通信可能なモジュールとは、具体的には当該電子カードの利用者の情報を電気的に記憶するICチップ及び該ICチップに接続されたコイル状のアンテナ体である。ICチップはメモリのみやそれに加えてマイクロコンピューターなどである。場合により電子部品にコンデンサーを含んでもよい。」 「【0026】積層体1の外周側端面1aには、保護部材10が―体化して形成され、この保護部材10により積層体1の切断端面を熱、水分や薬品等から保護し、また第1の基材2と第2の基材3と接着層4の層間剥がれを防止でき、偽変造防止となり、しかも積層体1のカードの強度保持が可能である。 【0027】保護部材10は、樹脂を塗布して形成され、積層体1の外周側端面1aに簡単に形成することができ、この保護部材10には無機粒子が含有され、熱、水分や薬品等から保護ができる。 【0028】また、図3に示すように、積層体1の外周側端面1aに保護箔を転写して保護部材10を簡単に形成することができる。積層体1がカード状のものであって、カード表面を保護する保護箔を印刷表面1b及び外周側端面1aまで熱転写して形成する。保護箔としては、ポリビニルブチラール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、スチレン、パラメチルスチレン、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル等のビニル単量体やセルロース系、熱可塑性ポリエステル、天然樹脂等、他の任意の高分子重合体を併用してもよい。また、その他、赤松清監修、「新・感光性樹脂の実際技術」、(シーエムシー、1987年)や「10188の化学商品」657~767頁(化学工業日報社、1988年)記載の業界公知の有機高分子重合体を併用してもよい。透明樹脂層の厚みは0.3~50μmが好ましく、より好ましくは0.3~30μm、特に好ましくは0.3~20μmである。この保護箔の表面に接着層として熱貼着性樹脂が付与されており、この熱貼着性樹脂を介して積層体表面に熱転写される。熱貼着性樹脂として、例えばエチレン酢酸ビニル樹脂、エチンエチルアクリレート樹脂、エチレンアクリル酸樹脂、アイオノマー樹脂、ポリブタジエン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、ウレタン樹脂、粘着付与剤(例えばフェノール樹脂、ロジン樹脂、テルペン樹脂、石油樹脂など)が挙げられそれらの共重合体や混合物でもよい。」 「【0036】また、保護部材として使用する樹脂は、積層体が使用される環境下において充分な接着強度を保持すると共に耐熱性、耐水性を有するものが使用できる。例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリサルフオン(PSF)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、またはポリテトラフロロエチレン(PTFE)材などを用いることができる。また、光硬化性樹脂などの反応型樹脂であっても良い。保護部材の樹脂に含有される無機粒子は、例えば、白色顔料、TiO2、鱗片顔料インキなどが選択できる。」 「 [図:0001414155000001.jpg] 」 上記記載事項より、甲第2号証には、 「第1の基材2と第2の基材3とを接着層4を介して貼り合わせてなる積層体1からなるカードであって、 カードを構成する積層体1の外周側端面1aに熱貼着性樹脂を介して保護箔を熱転写することによって保護部材10が形成され、 その保護箔の厚みは0.3~20μmが特に好ましく、 保護部材10には、白色顔料、TiO2、鱗片顔料インキなどの無機粒子が含有されている、 個人認証識別用カード。」 なる技術事項(以下「甲2技術事項」という。)が記載されている。 (3)甲第5号証 本件特許の出願日前の平成28年5月30日に公開された特開2016-97668号公報(甲第5号証)には、以下の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は転写箔に関し、より詳細には、転写性が良好であるとともに、被転写体表面に十分なハードコート性能および耐可塑剤性能を付与することができる転写箔に関する。 【背景技術】 【0002】 身分証明書などのIDカードや銀行などのキャッシュカードなどのICカードは、表面に顔写真や住所、氏名などの個別情報が記録されており、その内容が偽造、変造されないようにセキュリティー処理が施されている。例えば、ICカード表面にホログラムを設けたものが広く流通している。このようなICカードの表面には、記録した情報やホログラムを保護するため、転写箔を用いて、保護層を含んでなる転写層が設けられている。 【0003】 転写箔は、基材上に転写可能な保護層などを含んでなる転写層を設けた構成を有するものであり、ICカードなどの被転写体の表面に、転写層を転写することにより、被転写体表面に、ハードコート性能を付与できるものである。このような転写箔には、尾引やバリなどの転写不良を生じることのない高い転写性が要求される。受容層を備えた転写箔である中間転写記録媒体として、例えば、特開2003-25745号公報(特許文献1)には、電離放射線硬化性樹脂としてウレタン変性アクリレートを使用して保護層を形成することにより、転写時の膜切れや保護層の耐久性が向上するとされている。しかしながら、保護層と受容層との間の密着性が不十分なため、場合によっては転写性が劣ることもあった。」 「【0021】 <転写箔> 本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。図1及び図2は、本発明の一実施形態による転写箔の断面模式図を示したものである。本発明による転写箔は、図1に示すように、基材10と、基材10上に剥離可能に設けられた保護層30、プライマー層40、接着層兼受容層50と、をこの順で少なくとも備えている。このような転写箔1を用いて被転写体(図示せず)へ転写層60を転写すると、保護層30、プライマー層40および接着層兼受容層50が転写層60として、被転写体へ転写される。また、基材10から保護層30が剥離して転写層60が被転写体へ転写され易いように、図2に示すように基材10と保護層30との間に離型層20が設けられていてもよい。以下、本発明による転写箔を構成する各層について、説明する。」 「【0043】 保護層は、上記した樹脂以外にフィラ―を含んでいてもよい。フィラーとしては、有機フィラー、無機フィラーおよび有機-無機のハイブリッド型のフィラーが挙げられる。また、フィラーは、粉体であっても、ゾル状のものであってもよいが、塗工液を調整する際の溶剤の選択性が広いため、粉状のものを用いることが好ましい。 【0044】 保護層に含有されるフィラーは、平均一次粒子径が1nm~200nmであることが好ましく、1nm~50nmであることがより好ましく、7nm~25nmであることがさらに好ましい。フィラーの平均粒子径が上記数値範囲内であれば、転写性を向上させることができる。なお、「平均粒子径」とは、体積平均粒子径を意味し、粒度分布・粒径分布測定装置(例えば、ナノトラック粒度分布測定装置、日機装株式会社製など)を用いて公知の方法により測定することができる。 【0045】 粉体の有機フィラーとしては、非架橋アクリル系粒子、架橋アクリル系粒子などのアクリル系粒子、ポリアミド系粒子、フッ素系粒子、ポリエチレンワックスなどを挙げることが出来る。また、粉体の無機フィラーとしては、炭酸カルシウム粒子、シリカ粒子、酸化チタンなどの金属酸化物粒子などを挙げることができる。また、有機-無機のハイブリッド型のフィラーとしては、アクリル樹脂に知り加硫しをハイブリッドしたものなどが挙げられる。さらに、ゾル状のフィラーとしては、シリカゾル系、オルガノゾル系のものなどを挙げることができる。これらのフィラーは、単独で用いてもよく、二種以上を混合して用いてもよい。 【0046】 上記フィラーは、保護層中に10~60質量%含まれていることが好ましく、10~45質量%含まれていることがより好ましく、20~40質量%含まれていることがさらに好ましい。 【0047】 保護層の厚みは、2μm~6μmであることが好ましい。保護層の厚みを8ミクロンよりも厚くすると、箔切れが悪く、尾引きやバリといった転写不良が生じ、さらに被転写体へ転写層を転写しても十分なハードコート性能および耐可塑剤性能を付与することができない場合があり、また、1μmよりも薄くすると転写層の転写時に紙むけや欠けといった転写不良が生じる場合がある。」 「【0053】 <接着層> 次に、本発明による転写箔が備える接着層について説明する。 接着層は、転写箔の表面に位置するように設けられ、この接着層は、熱転写によって、色材層を有する熱転写シートから熱転写法によって画像が形成される、受容層としての機能を果たすものであっても良い。そして、画像が形成された転写箔の転写部は、被転写体に転写され、その結果、印画物が形成される。 【0054】 このため、接着層を形成するための材料としては、熱で溶融または軟化して接着する熱接着型接着剤が適用でき、例えば、アイオノマー樹脂、酸変性ポリオレフィン系樹脂、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニル系樹脂、アクリル系・メタクリル系などの(メタ)アクリル系樹脂、アクリル酸エステル系樹脂、マレイン酸樹脂、ブチラール系樹脂、アルキッド樹脂、ポリエチレンオキサイド樹脂、フェノール系樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、メラミン-アルキッド樹脂、セルロース系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニールエーテル樹脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂などが適用でき、これらの樹脂を単独または複数を組み合せて使用する。これらの接着層の樹脂は、接着力などの点で、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、ブチラール系樹脂、ポリエステル系樹脂が好ましい。より好ましくは、ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、エチレン-(メタ)エチルアクリレート共重合体、アクリル酸エステル共重合体である。また、接着層が、受容層としての機能を果たす場合、昇華性染料または熱溶融性インキなどの熱移行性の色材を受容し易い従来公知の樹脂材料を使用することができる。例えば、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニルもしくはポリ塩化ビニリデンなどのハロゲン化樹脂、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル系重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体もしくはポリアクリル酸エステルなどのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートもしくはポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレンもしくはプロピレンなどのオレフィンと他のビニルポリマーとの共重合体系樹脂、アイオノマーもしくはセルロースジアスターゼなどのセルロース系樹脂、ポリカーボネートなどが挙げられ、これらの中でも、塩化ビニル-酢酸ビニル系重合体、またはポリ塩化ビニル樹脂が好ましく、塩化ビニル-酢酸ビニル系重合体が特に好ましい。なお、接着層とプライマー層との間に、別途受容層を設けても良い。」 「【0057】 また、本発明の転写箔では、接着層とプライマー層との間に、受容層をさらに設けることも可能である。通常、受容層の厚さは、0.5~10μmの範囲内であることが好ましく、1~3μmの範囲内であることがより好ましい。」 上記記載事項より、甲第5号証には、 「ICカードなどの被転写体に適用される転写箔において、 その転写箔は、保護層30、プライマー層40および接着層兼受容層50を被転写体に転写するものであり、 その保護層30は、炭酸カルシウム粒子、シリカ粒子などの粉体の無機フィラーやアクリル系粒子などの有機フィラーを含むことが好ましく、 そのフィラーは、保護層30中に20~40質量%含まれていることが好ましく、 その保護層の厚みは、箔切れの悪化及び尾引きやバリといった転写不良の発生を抑えるとともに、転写時における紙むけや欠けといった転写不良の発生を抑える観点から、2μm~6μmであることが好ましく、 その接着層兼受容層50には、熱転写によって、色材層を有する熱転写シートから熱転写法によって画像が形成され、 接着層とプライマー層との間に、画像が形成される受容層をさらに設けることが可能であること。」 なる技術事項(以下「甲5技術事項」という。)が記載されている。 (4)甲第6号証 本件特許の出願日前の平成20年4月24日に公開された特開2008-94057号公報(甲第6号証)には、以下の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、カード用転写フィルムに関するものであり、詳しくは、カードに耐スクラッチ性および耐磨耗性に優れた表面を形成することのできるカード用転写フィルムに関するものである。」 「【0014】 以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明のカード用転写フィルムの一実施形態の断面図である。 カード用転写フィルム(20)の基本構成として図1に示すように、片面がマット処理されてなる支持体(21)上に、保護層(22a)および接着層(22b)からなる転写層(22)が積層されている。」 「【0019】 保護層(22a)の材料としては、支持体(21)からの剥離を容易にし、かつ最終製品に耐スクラッチ性および耐摩耗性を付与するものであり、その材料としては、ポリエチレンワックス、ポリエステルワックスパウダー、パラフィンワックス、高級脂肪族アルコール、オルガノポリシロキサン、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、金属石鹸類、有機カルボン酸およびその誘導体、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ジメチルシリコーンオイル、エポキシ変性シリコーンオイル、反応性シリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、シランカップリング剤の反応化合物、シリコーンゴム、シリコーンコンパウンド、シリコーンワックス等の滑剤を単体もしくは2種以上混合したものを、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フェノキシ樹脂、エチルセルロース樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、ニトロセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリアクリル酸エチル樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、石油樹脂、エチレン-アクリル酸共重合樹脂、エチレン-アクリル酸エステル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、NBR、SBR、MBR等の各種合成ゴム等のバインダーに混合したものが挙げられる。 【0020】 中でも保護層は、ポリエステルワックスパウダーを含有することが好ましく、ポリテステル粒子の表面をポリエチレンでコーティングしたポリエステルワックスパウダーを含有するのがさらに好ましい。 このようなポリエステルワックスパウダーの添加量は、前記保護層中、1~10重量%であることが好ましい。さらに好ましくは3~6重量%であることが好ましい。 一方、保護層は、樹脂成分としてアクリル変性ポリウレタン樹脂を含有することが好ましい。当該アクリル変性ポリウレタン樹脂のアクリル変性量は、70重量%以上、好ましくは70~80重量%である。本発明でとくに好ましい形態において、アクリル変性ポリウレタン樹脂は、一液硬化型熱可塑性のアクリル変性ポリエステル系ポリウレタン樹脂であり、無黄変性のものである。 【0021】 また、保護層(22a)に添加して表面の膜の滑り性を向上させ、かつ耐スクラッチ性、耐磨耗性を向上させる、上記のポリエステルワックスパウダーに代表される固体滑剤の粒径としては0.5~7μm程度で真球状のものが望ましい。また液状ワックスでは適当量の溶剤に希釈(NV15%程度)して使用する。使用溶剤はMEK / TL(= 55 / 45)が望ましい。 【0022】 保護層(22a)は、上記樹脂、ワックス、その他所望の添加剤を有機溶剤等の溶媒に溶解又は分散せしめ、これを例えばワイヤーコーティグ法等の公知のコーティング方法により、支持体上に塗布し、乾燥することで形成することができる。乾燥は80℃のオーブンで30秒ほど行うが特に規定はない。保護層(22a)の厚みは、通常0.1~5μm程度、好ましくは0.5~1.3μm程度である。 【0023】 接着層(22b)は、転写層とカード基材とを強固に接着・融着させるものであり、その材料としては通常熱可塑性樹脂が用いられ、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、エチレンー酢酸ビニル共重合樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、フェノキシ樹脂、エチルセルロース樹脂、セルロースアセテートプロピオネート樹脂、ニトロセルロース樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメタクリル酸メチル樹脂、ポリアクリル酸エチル樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、石油樹脂、エチレン-アクリル酸共重合樹脂、エチレン-アクリル酸エステル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリオレフィン樹脂、エチレンエチルアクリレート樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、NBR、SBR、MBR等の各種合成ゴム等が挙げられるが、これに限定される物ではない。また、これらを2種以上混合して用いても良い。また、ブロッキング防止や吸水性を目的として、各種フィラーを添加することができる。例えば、テフロン(登録商標)系微粒子、フッ素樹脂系粒子(例えば、テトラフルオロエチレンフロン系微粒子)、シリコン樹脂微粒子、ベンゾグアナミン樹脂-メラミン樹脂縮合物微粒子、デンプン、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク、カオリン、プロテインパウダー、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、シリカ、多孔質シリカ等が挙げられる。これらの添加量は熱可塑性樹脂100重量部に対して1~20重量部が好ましい。さらに、紫外線吸収剤、製膜助剤、塗液安定剤、レベリング剤、帯電防止剤、老化防止剤等の各種添加剤を必要に応じて添加する事もできる。」 「【0027】 また、本発明のカード用転写フィルムは、インク層(絵柄層)を設けることもできる。この場合、支持体/保護層/インク層/接着層や、支持体/保護層/接着層/インク層/接着層等の構成が挙げられる。インク層の成分、厚み、形成方法等は、公知技術と同様であることができる。」 上記記載事項より、甲第6号証には、 「カード用転写フィルム(20)において、 そのカード用転写フィルム(20)は、保護層(22a)および接着層(22b)からなる転写層(22)をカード基材に転写するものであり、 その保護層(22a)は、耐スクラッチ性、耐摩耗性などを向上させるために、ポリエステルワックスパウダーを含有することが好ましく、 そのポリエステルワックスパウダーの含有量は、1~10重量%であることが好ましく、 その保護層(22a)の厚みは、通常、0.1~5μm程度であり、 その接着層(22b)には、ブロッキング防止や吸水性を目的として、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、テフロン系微粒子、フッ素樹脂系粒子、シリコン樹脂微粒子、ベンゾグアナミン樹脂-メラミン樹脂縮合物微粒子などのフィラーが添加することができ、 保護層(22a)と接着層(22b)との間にインク層(絵柄層)を設けることができること。」 なる技術事項(以下「甲6技術事項」という。)が記載されている。 (5)甲第7号証 本件特許の出願日前の平成16年2月19日に公開された特開2004-53884号公報(甲第7号証)には、以下の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、真贋判定機能を付与することができる転写箔に関するものである。詳しくは、本発明の転写箔を使用して、例えば商品券等の被転写材表面にスポット状に転写した場合に、白熱灯や蛍光灯等の室内光や自然光等の通常光のもとでは真珠光沢感に優れた面や真珠光沢感に優れたスポットとして視認されるだけであるが、赤外線を照射してそれを可視化できる装置で観察すると転写部分に隠されたマイクロ文字等の文字や画像が視認できるという高度な真贋判定機能を付与することができる転写箔に関するものである。」 「【0017】 本発明はこの技術を転写箔に応用したものであって、先ず本発明を図面に基づいて説明する。図1乃至3は本発明の真贋判定機能を付与することができる転写箔の一例の一部拡大断面図である。 本発明は、基材シート1の表面に、順次剥離剤層2及び/又は保護層3が必要に応じて設けられ、且つその表面に真珠光沢層4、赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層5a、赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層5b、感熱接着剤層6が設けられており、前記赤外線を吸収する性能を有した図柄や文字等の印刷層5aと、赤外線を反射する性能を有した図柄や文字等の印刷層5bとが通常光のもとで同色に見え、かつ赤外線領域での分光反射率が相違していることを特徴とする真贋判定機能を付与することができる転写箔である。」 「【0023】 保護層3に使用する樹脂は、従来転写箔に使用されている樹脂を使用できる。基材シート1の表面に剥離剤層2を設ける構成の転写箔に於いては保護層3に使用する樹脂は剥離剤層2と強固に接着しないで転写の際に剥離するように形成する必要がある。また基材シート1の表面に剥離層を形成しない構成の転写箔に於いては保護層3は基材シート1と強固に接着しないで転写の際に剥離するように形成する必要がある。保護層3に使用する樹脂としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線あるいは電子線硬化性樹脂のいずれであってもよく、ニトロセルロースの等のセルロース系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等の熱可塑性樹脂やメラミン系樹脂、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹脂や、ラジカル重合性の不飽和基を有する紫外線あるいは電子線硬化型樹脂等を単独あるいは複合して用いることができる。保護層3はこれらの樹脂を使用して、水系若しくは有機溶剤系の塗料を調製し、例えば、グラビアコーター、グラビア印刷機、スクリーン印刷機等の周知の塗工手段により基材シート1に塗工されることにより形成される。 【0024】 この際、箔切れ性や耐摩耗性を考慮し、テトラフロロエチレン微粒子、ポリオレフィン樹脂微粒子、アクリルニトリル系微粒子等の有機フィラー、及びシリカ微粒子等の無機フィラーやワックス、ステアリン酸等の脂肪酸とこれらの金属塩、シリコンオイル等の滑剤、等の周知の添加剤を添加することもできる。」 「【0047】 印刷層5は、印刷層5aを先ず印刷し、その上に印刷層5bを重ね刷りする方法(例えば図1)、印刷層5aと印刷層5bを接して印刷する方法(例えば図2)、印刷層5aと印刷層5bを離して印刷する方法(例えば図3)、印刷層5aの一部に印刷層5bが重なる方法、或いはこの逆等の単独或いは複数の組み合わせの、いずれの方法によって形成してもよい。また、印刷層5は文字や図柄(本発明では全面ベタ印刷も図柄の範疇に含むものとし、全面ベタ印刷層はグラビアコーター等の塗工機を使用して形成してもよいものとする)で印刷されるが、この場合文字や図柄はベタ印刷や網点印刷のいずれの方法で表現してもよい。」 「【0052】 感熱接着剤層6は、印刷層5と紙等の被転写材とを接着させるという性能が要求され、転写箔に使用される周知の感熱接着剤を使用できる。感熱接着剤の材質としては熱可塑性樹脂が好ましく利用でき、例えば、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ブチルゴム系樹脂、天然ゴム系樹脂、シリコンゴム系樹脂、ポリイソブチル系樹脂、紫外線反応タイプの粘着剤、等の単独もしくは混合物を使用可能である。また、これらにブロッキング防止と箔切れ性を考慮し、各種ワックス類、ステアリン酸等の脂肪酸やその金属塩、シリコンオイル等の滑剤や、ポリエチレンパウダー、シリコーン系微粒子やアクリルニトリル系微粒子等の有機フィラー、及びシリカ微粒子等の無機フィラーを添加することもできる。接着剤層6は、例えば、グラビアコーター、ロールコーター、グラビア印刷機、スクリーン印刷機等の周知の塗工方法により通常1~10μmの厚みで塗工される。」 上記記載事項より、甲第7号証には、 「商品券等の被転写材に適用される転写箔において、 その転写箔は、保護層3、真珠光沢層4、印刷層5a、5bおよび感熱接着剤層6を被転写材に転写するものであり、 その保護層3には、箔切れ性や耐摩耗性を考慮し、シリカ微粒子等の無機フィラーや、テトラフロロエチレン微粒子、ポリオレフィン樹脂微粒子、アクリルニトリル系微粒子等の有機フィラーなどの周知の添加剤を添加することができ、 その印刷層5a、5bは、文字や図柄で印刷され、 その感熱接着剤層6には、ブロッキング防止と箔切れ性を考慮し、シリカ微粒子等の無機フィラーや、ポリエチレンパウダー、シリコーン系微粒子やアクリルニトリル系微粒子等の有機フィラーを添加することができること。」 なる技術事項(以下「甲7技術事項」という。)が記載されている。 (6)甲第8号証 本件特許の出願日前の平成11年10月26日に公開された特開平11-291648号公報(甲第8号証)には、以下の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、画像データにより形成された画像パターンや、ホログラム画像等のセキュリティー性を有する層を備え、例えばIDカード、パスポート等の冊子等に適用される画像表示体に係り、特に、中間転写フィルムへの画像の熱転写時の転写性を向上させ、また、中間転写フィルムからの再転写の際の密着性を向上させる事ができる熱転写型画像記録用の中間転写フィルムに関するものである。」 「【0016】 【発明の実施の形態】請求項1に係る中間転写フィルム(A)は、基本層構成として、図1に示すように、支持体(1)上に、軟質樹脂層(2)、剥離性保護層(3)、偽造防止層(4)、受像兼接着層(5)から成る。また、請求項2に係る中間転写フィルム(B)は基本層構成として、支持体(1)、軟質樹脂層(2)剥離性保護層(3)、レリーフ形成層(6)、透過性薄膜層(7)、受像兼接着層(5)からなる。」 「【0019】剥離性保護層(3)としては、容易に支持体(軟質樹脂層)から剥がれる材料であれば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線あるいは電子線硬化性樹脂のいずれであっても良いが、柔軟性や箔切れ性を考慮すると、熱可塑性樹脂が好ましい。その例として、熱可塑性ポリアクリル酸エステル樹脂、塩化ゴム系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合樹脂、セルロース系樹脂、塩素化ポリプロピレン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、スチレンアクリレート系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリカーボネイト系樹脂等を単独あるい複合して用いることができる。また、箔切れ性や耐摩性を考慮し、石油系ワックス、植物系ワックス等の各種ワックス、ステアリン酸等の高級脂肪酸の金属塩、シリコンオイル等の滑剤や、テフロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シリコーン系微粒子やアクリルニトリル系微粒子等の有機フィラーおよび、シリカ微粒子等の無機フィラーを添加することもできる。 【0020】セキュリティー性を有する偽造防止層(4)としては、例えば、透明なホログラムや回折格子等のOVD技術や、ある特定の波長域で励起され発光する蛍光性物質、蓄光性物質を含む層、特定の赤外線を吸収する化合物を含む層、磁性材料を含む層、細紋印刷層等、の公知技術が挙げられ、これらを複数同時に用いても良い。 【0021】受像兼接着層(5)は、転写リボンから画像パターンを転写されると共に、最終画像形成体の表面に接着するもので、通常熱可塑性樹脂が用いられる。… 【0023】受像兼接着層(5)中には、ブロッキング防止を目的として、各種フィラーを添加することができる。例えば、テフロン系微粒子、シリコン樹脂微粒子、ベンゾグアナミン樹脂-メラミン樹脂縮合物微粒子、デンプン、炭酸カルシウム、酸化チタン、タルク、カオリン、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、シリカ、等が挙げられる。また、これらの添加量は熱可塑性樹脂100部に対して0.1~250重量部まで入れることが出来る。上記の添加量に関しては受像兼接着層(5)の熱可塑性樹脂の箔切れ性、ブロッキング耐性、接着性を考慮し、適宜調整が必要である。」 上記記載事項より、甲第8号証には、 「IDカードなどへ画像を転写する中間転写フィルムにおいて、 その中間転写フィルムは、剥離性保護層(3)、偽造防止層(4)および受像兼接着層(5)からなるもの、または、剥離性保護層(3)、レリーフ形成層(6)、透過性薄膜層(7)および受像兼接着層(5)からなるものであり、 その剥離性保護層(3)には、箔切れ性や耐摩性を考慮し、テフロンパウダー、ポリエチレンパウダー、シリコーン系微粒子やアクリルニトリル系微粒子等の有機フィラーおよび、シリカ微粒子等の無機フィラーなどが添加することができ、 その受像兼接着層(5)は、転写リボンから画像パターンが転写されたものであり、 さらに、その受像兼接着層(5)中には、ブロッキング防止を目的として、シリカ、炭酸カルシウム、タルク、テフロン系微粒子、シリコン樹脂微粒子、ベンゾグアナミン樹脂-メラミン樹脂縮合物微粒子などの各種フィラーを添加することができ、 その偽造防止層(4)としては、ある特定の波長域で励起され発光する蛍光性物質、蓄光性物質を含む層、特定の赤外線を吸収する化合物を含む層、磁性材料を含む層、細紋印刷層等の公知技術が挙げられること。」 なる技術事項(以下「甲8技術事項」という。)が記載されている。 (7)甲第9号証 本件特許の出願日前の平成18年1月5日に公開された特開2006-1211号公報(甲第9号証)には、以下の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、ホログラム転写箔、ホログラム転写方法およびホログラム転写物品に関し、さらに詳しくは優れた意匠性、偽造防止性、耐久性などを有するカードや身分証明書などの装飾物品の提供を目的とする。」 「【0012】 次に好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。 本発明のホログラム転写箔は、その典型的な例を図1に示すように、基材フィルム上1に、離型層2、保護層3は、ホログラム形成層4、ホログラム効果層5および接着層7が、この記載の順序に積層され、上記ホログラム効果層と上記接着層との間には必要に応じてアンカー層6が形成されている。上記アンカー層6は必須ではないが、ホログラム形成層4の保護およびホログラム効果層5と接着層7との密着性を良好にするために設けた方が好ましい。本発明のホログラム転写箔の特徴は上記離型層2が熱硬化メラミン樹脂からなり、上記保護層3が無機および/または有機の微粒子を含有する紫外線硬化樹脂からなることを特徴としている。」 「【0016】 本発明の好ましい実施形態では、上記保護層の形成に際し、保護層の耐擦傷性を一層高め、かつ保護層の箔切れを良好にしてバリの発生を防止し、さらに保護層の透明性を維持するために有機および/または無機の微粒子を紫外線硬化性樹脂に添加して保護層を形成することが好ましい。 【0017】 上記の無機の微粒子としては、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化バリウム、硫化モリブデン、酸化アンチモンなどが挙げられる。これらの中ではシリカが安価であり、かつ微粒子形状のものが多種あるので利用しやすい。また、これらの微粒子の表面は、有機物で表面処理されていてもよい。例えば、界面活性剤、分散剤としての高分子、シランカップリング剤、チタンカップリング剤などで表面処理されていてもよい。特に無機微粒子としてはマイクロシリカを使用することが好ましい。マイクロシリカとしては、例えば、商品名レオロシールQS-102((株)トクヤマ製)などが市場から入手して本発明で使用できる。」 「【0023】 上記保護層の表面にホログラム形成層を設ける。ホログラム形成層は、好ましくは紫外線硬化性または電子線硬化性樹脂から厚み約1~10μm程度に形成し、ホログラムの凹凸形状(回折格子)を原版を用いてエンボスなどで表面に形成し、その後に完全硬化させる。ホログラム効果層5は、酸化チタンなどの金属酸化物などのスパッタリングなどにより厚み約100~2,000Å程度に形成する。該ホログラム効果層の表面にはホログラム効果層の保護およびホログラム効果層と接着層との密着性を確保するためにアンカー層6を形成することが好ましい。」 「【0025】 次に本発明のホログラム転写方法を図2~4を参照して説明する。先ず、ホログラム転写箔の接着層(兼受像層)に必要な画像を形成する(図2)。必要な画像としては、会社名、氏名、生年月日などの文字情報や顔写真などが挙げられる。これらの画像は任意の方々で形成できるが、顔写真などの階調画像は昇華型の熱転写方式で設けることが好ましく、文字画像などの非階調画像は熱溶融型の熱転写方式で形成することが好ましい。 【0026】 次に図3に示すように、画像形成されたホログラム転写箔の接着層をカード基材などの被転写材8の転写領域に対向させて重ね合わせ、適当な圧力および熱をかけて接着層を被転写材の表面に接着させ、その後に基材フィルムを剥離すると、離型層と保護層との間で剥離して、図4に示す如くホログラム像と所望の画像情報を有するカードなどの物品が得られる。この転写の際、図3に示すようにカードなどの被転写材のサイズ(幅)は、ホログラム転写箔の幅より狭いのが通常であり、保護層を含む全転写層がカード基材の周辺において箔切れ性が悪いと、カード基材の周辺に不規則なバリが発生するが、本発明においては、転写層全体中で最も強靭な保護層に無機または有機の微粒子が含有されているので、上記の如きバリが発生しないという効果を有する。 【0027】 以上の如くして得られたホログラム転写物品、例えば、身分証明書などのカード類は、その最表面が、無機または有機の微粒子が適当量配合された紫外線硬化樹脂から構成されていることから、箔切れが良好であるとともに、耐擦傷性などの耐久性に優れ、さらにその表面に他のフィルムなどをラミネートする際に優れたラミネート性を有している。また、文字や顔写真などの個別情報などは、カードの内層に形成されていることから、多数回のカードケースへの出し入れ、およびカードリーダーへの多数回の出し入れによる摩擦により損傷されることがない。さらにこれらの個別情報を改ざんする場合には、ホログラム層を破壊しない限り改ざんは不可能であることから、身分証明書などのカードの改ざんあるいは偽造は困難である。」 上記記載事項より、甲第9号証には、 「優れた意匠性、偽造防止性を与えるために、カードなどの被転写材8に適用されるホログラム転写箔において、 そのホログラム転写箔は、保護層3、ホログラム形成層4、ホログラム効果層5および接着層(兼受像層)7を被転写材8に転写するものであり、 その保護層3は、耐擦傷性を高め、箔切れを良好にするなどために、シリカ、タルク、炭酸カルシウムなどの無機の微粒子や有機の微粒子を含有することが好ましく、 そのホログラム形成層4は、ホログラムの凹凸形状が形成されたものであり、 そのホログラム効果層5は、酸化チタンなどの金属酸化物などのスパッタリングなどにより厚み約100~2,000Å程度に形成されたものであり、 その接着層(兼受像層)7は、必要な画像が形成されたものであること。」 なる技術事項(以下「甲9技術事項」という。)が記載されている。 (8)甲第10号証 本件特許の出願日前の平成6年9月13日に公開された特開平6-255268号公報(甲第10号証)には、以下の事項が記載されている。 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、画像データに基づく昇華転写手段により形成された画像パターンを備え、例えば、IDカード等画像表示体の製造に適用される熱転写シートに係り、特に、カード等に転写された画像パターンの画質の向上が図れる熱転写シートの改良に関するものである。 【0002】 【従来の技術】この種の熱転写シートとしては、ポリエチレンテレフタレート等の耐熱性ベースシートと、このベースシート上に設けられた剥離層と、この剥離層上に設けられ画像データに基づく昇華転写手段により画像パターンが形成されると共にカード等の被転写体に対して熱接着性を有する受像・接着層とでその主要部が構成されるものが知られており(特開昭63-81093号公報参照)、また、上記剥離層と受像・接着層との間にホログラム形成層が設けられた構造の熱転写シートも開発されている。 【0003】以下、上記ホログラム形成層を備えた後者の熱転写シートを例に挙げてIDカード等画像表示体を製造する方法について簡単に説明する。 【0004】まず、この熱転写シートaは、図3(A)に示すようにポリエチレンテレフタレート等から成る耐熱性ベースシートbと、この耐熱性ベースシートb上に設けられた熱可塑性アクリル樹脂等から成る剥離層cと、この剥離層c上に設けられた凹凸パターンを有するホログラム形成層dと、上記凹凸面に沿って設けられホログラム形成層よりその屈折率が大きい材料から成る透明薄膜層eと、この透明薄膜層e上に設けられ昇華性(熱移行性)染料で染色されると共に被転写体に対して熱接着性を有する樹脂材料から成る受像・接着層fとでその主要部が構成されている。 【0005】そして、この熱転写シートaを図2に示すようにドラムhとサーマルヘッドiとでその主要部が構成される昇華転写装置jへ搬送し、色剤が昇華性染料である転写リボンkの染料層(図示せず)を熱転写シートaの受像・接着層fに当接させると共に、転写リボンk側から上記サーマルヘッドiを圧接し、かつ、画像データに基づき上記サーマルヘッドiの発熱素子群(図示せず)を適宜発熱させて上記データに基づく画像パターンを上記受像・接着層fに形成する(図3B参照)。尚、画像データが多色である場合には、色調の異なる転写リボンを適用し、同様な工程を繰返して上記受像・接着層fに多色の画像パターンを形成する。 【0006】次に、画像パターンが形成された熱転写シートaの上記受像・接着層fを被転写体mに当接させ(図3C参照)、かつ、熱転写シートa側から熱ロール、熱板等の加熱媒体nを圧接・加熱して被転写体mへ受像・接着層fを圧着させると共に、熱転写シートaから耐熱性ベースシートbを剥離させてIDカード等画像表示体pが製造されるものである(図3D参照)。」 「【0016】このような技術的手段において二軸延伸されたポリエチレンナフタレートフィルムから成るベースシート上に形成される剥離層は、被転写体に受像・接着層を熱転写させる際に上記ベースシートから容易に剥離すると共に、転写された受像・接着層やホログラム形成層について外部からの化学的、機械的損傷を防止する保護膜の機能を有することが必要である。この両者の機能を具備させるため、熱可塑性樹脂と耐摩擦剤の混合物が適用される。」 「【0018】また、上記耐摩擦剤は、耐摩耗性や耐スクラッチ性向上のために添加するものである。この耐摩擦剤としては、例えば、テフロンパウダー、ポリエチレンパウダー、動物系ワックス、植物系ワックス、鉱物系ワックス、石油系ワックス等の天然ワックス、合成炭化水素系ワックス、脂肪族アルコールと酸系ワックス、脂肪酸エステルとグリセライト系ワックス、水素化ワックス、合成ケトン系ワックス、アミン及びアマイド系ワックス、塩素化炭化水素系ワックス、合成動物ロウ系ワックス、アルファーオレフィン系ワックス等の合成ワックス、及び、ステアリン酸亜鉛等の高級脂肪酸の金属塩などが挙げられる。 【0019】尚、上記熱可塑性樹脂と耐摩擦剤の配合割合は、これ等熱可塑性樹脂と耐摩擦剤の合計量100重量部に対して熱可塑性樹脂が85~95重量部、耐摩擦剤が5~15重量部の範囲に設定される。また、その塗布量は1~3g/m2程度に設定される。 【0020】また、上記剥離層には、上記成分の外、熱転写時の切れ性を向上させる線状飽和ポリエステル樹脂等の剥離改善剤を配合してもよい。但し、この配合割合は上記熱可塑性樹脂と耐摩擦剤の合計量100重量部に対し0~3重量部程度に設定することが望ましい。また、剥離層にはこの他の添加物、例えば紫外線吸収剤等を添加しないことが望ましい。これ等の添加により耐薬品性が低下したり、あるいは可塑剤の侵入が容易になり剥離層の機械的強度が劣化してしまう原因となるからである。」 「【0037】ここで、上記受像・接着層表面に転写リボンを介しサーマルヘッドにより画像パターンを形成する際、受像・接着層の主成分が熱可塑性樹脂により構成されているため、このままではサーマルヘッドの熱により受像・接着層が転写リボンの染料層に熱融着して画像パターンが不鮮明となる。このため、上記熱可塑性樹脂内にブロッキング防止性を有するフィラー、特に、熱溶融温度(有機フィラーの場合は軟化点若しくは分解点、無機フィラーの場合は融点)200℃以上の無機又は有機フィラーを添加して熱融着を防止する。 【0038】このような有機フィラーとしては、例えば、ポリテトラフロロエチレン微粒子、デンプン、シリコーン樹脂微粒子、ポリアクリルニトリル系微粒子、ベンゾグアナミン樹脂及びメラミン樹脂を原料とする硬化樹脂微粒子等が挙げられる。また、無機フィラーとしては、炭酸カルシウム、タルク、カオリン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化珪素、水酸化アルミニウム、及び、酸化マグネシウム等を例示できる。」 上記記載事項より、甲第10号証には、 「IDカードなどの被転写体mに適用される熱転写シートaにおいて、 その熱転写シートaは、保護膜の機能を有する剥離層cと、剥離層c上に設けられた凹凸パターンを有するホログラム形成層dと、上記凹凸面に沿って設けられホログラム形成層よりその屈折率が大きい材料から成る透明薄膜層eと、この透明薄膜層e上に設けられ昇華性染料で染色されると共に被転写体mに対して熱接着性を有する樹脂材料から成る受像・接着層fと、を被転写体mに転写するものであり、 その保護膜の機能を有する剥離層cは、熱可塑性樹脂とテフロンパウダー、ポリエチレンパウダーなどの耐摩擦剤との混合物によって形成されるとともに、熱転写時の切れ性を向上させる線状飽和ポリエステル樹脂等の剥離改善剤が配合されており、 その熱可塑性樹脂と耐摩擦剤の配合割合は、熱可塑性樹脂と耐摩擦剤との合計量100重量部に対して熱可塑性樹脂が85~95重量部、耐摩擦剤が5~15重量部の範囲に設定され、 その剥離改善剤の配合割合は、熱可塑性樹脂と耐摩擦剤との合計量100重量部に対し0~3重量部程度に設定することが望ましく、 その受像・接着層fは、炭酸カルシウム、タルクなどの無機フィラーや、硬化樹脂微粒子などの有機フィラーなどのブロッキング防止性を有するフィラーが添加されたものであること。」 なる技術事項(以下「甲10技術事項」という。)が記載されている。 (9)甲第11号証 本件特許の出願日前の平成20年4月24日に公開された特開2008-96626号公報(甲第11号証)には、以下の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、ホログラム転写箔に関し、さらに詳しくは、意匠性及び/又はセキュリティ性に優れ、部分的に設けられたホログラムを転写性よく転写でき、転写後は耐擦傷性や耐溶剤性などの耐久性に優れるホログラム転写箔に関するものである。」 「【背景技術】 【0003】 (主なる用途)本発明のホログラム転写箔を用いて転写した製品の主なる用途としては、社員証、会員証、学生証などのIDカード、ギフト券、入場証、通行証、サービスポイントなどの、一定の金額を払い込んだ(プリペイドという)権利や資格などを証明する媒体が適用できる。しかしながら、意匠性及びセキュリティ性に優れ、かつ、耐擦擦性や耐溶剤性などの耐久性が要求される用途であれば、特に限定されるものではない。」 「【0011】 (ホログラム転写箔)本発明のホログラム転写箔は、図1に示すように、基材11と、該基材11の一方の面へ少なくとも離型層13、ホログラム層15、反射層17、紫外線吸収層18及び接着層19を設け、請求項1の本発明では基材11/離型層13/ホログラム層15/反射層17/紫外線吸収層18/接着層19の層構成であり、反射層17は部分的に設けられている。また、離型層とホログラム層との間、及び/又は反射層と紫外線吸収層との間に、少なくともポリエチレンワックスを含むハードコート層を設けるのが好ましく、請求項2の本発明であり、図2は基材11/離型層13/ハードコート層14/ホログラム層15/反射層17/紫外線吸収層18/接着層19の層構成であり、図3は基材11/離型層13/ハードコート層14/ホログラム層15/反射層17/ハードコート層16/紫外線吸収層18/接着層19の層構成である。さらに、必要に応じて、印刷層などの他の層を設けてもよい。 【0012】 離型層13はメラミン系樹脂であり、ホログラム層15が電離放射線硬化樹脂、反応性シリコーン及びポリエチレンワックスを含むことで、ハードコート機能を兼ねるので、転写後は最表面を形成し、耐擦傷性(耐スクラッチ性ともいう)、耐摩耗性や耐溶剤性などの高耐久性(即ち、ハードコート層を兼ねる)を発揮する。しかし、高耐久性の層はホログラム機能を発現する微細な凹凸の賦型が困難であるが、ホログラム層15へ応性シリコーンを含ませることで、微細な凹凸を容易に賦型することができる。しかも、ハードコート層14及びホログラム層15へはフィラーとしてポリエチレンワックスを含ませ、かつ、紫外線吸収層18及び接着層19へはフィラーとしてマイクロシリカを含ませて、転写する全部の層へフィラーを混入させることで、カードなどの媒体(被転写体)へ転写する際の箔キレをよくさせて転写することができるのである。また、ハードコート層14及びホログラム層15へ含ませるポリエチレンワックスは、転写後にはホログラム層15又はハードコート層14が最表面層となり、溶剤、機械的な摩擦、及び摩耗から媒体を保護し、また後述する画像などの固有情報も保護し、画像の経時褪色などの耐光性は紫外線吸収層18が保護する。」 「【0042】 (ポリエチレンワックス)ポリエチレンワックスとしては、ポリエチレン系樹脂の粒子やビーズが挙げられるが、好ましくは球状ビーズである。但し、ポリエチレンワックスを添加すると、箔切れ性は低下するので、その添加量は、電離放射線硬化樹脂100質量部に対して、0.01~10質量部程度、好ましくは0.1~5質量部とする。転写後にはハードコート層14が最表面層となり、含まれるポリエチレンワックスは、機械的な摩擦、及び摩耗から媒体を保護し、後述する画像などの固有情報も保護する。」 「【0047】 (接着層)接着層19としては、公知の加熱されると溶融または軟化して接着効果を発揮する感熱接着剤が適用でき、具体的には、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂などが挙げられる。該接着層19には、マイクロシリカなどのフィラーを含むことが、箔切れ性の点で好ましい。また、接着層19の樹脂としては、95℃程度の低温で溶融接着し、60℃程度になると固化して接着する融点が60~95℃ものが好ましい。融点が上記範囲未満であると、被転写体との接着性が不十分であり、形成された画像を使用する温度が制限される。また、融点が上記範囲を越えるとサーマルヘッドによる加熱では転写性が不十分となり、又、ハードコート層の箔切れ性が低下し、バリなどが発生し易い。 【0048】 好ましい接着層19としては、熱接着性ポリエステル系樹脂とマイクロシリカとを含有し、前記熱接着性ポリエステル系樹脂と前記マイクロシリカとが海島構造であり、かつ、前記熱接着性ポリエステル系樹脂と前記マイクロシリカとの割合が質量基準でポリエステル系樹脂:マイクロシリカ=90~94:6~10である。マイクロシリカの含有割合がが上記範囲未満では箔キレ性が悪く、上記範囲を越えると透明性が低下し画像が見えにくくなる。 【0049】 該材料樹脂を溶剤に溶解または分散させて、適宜顔料などの添加剤を添加して、公知のロールコーティング、グラビアコーティング、コンマコーティングなどの方法で塗布し乾燥させて、厚さ1~30μmの層を得る。」 「【0051】 図4では、基材11/離型層13/ハードコート層14/ホログラム層15/反射層17/ハードコート層16/紫外線吸収層18/接着層19のホログラム転写箔10を用いて、該ホログラム転写箔10の接着層19へ画像を昇華転写法で印画(第1転写)して中間転写記録媒体とした後に、該中間転写記録媒体を用いて被転写体101の表面へ、印画画像を含めてハードコート層14/ホログラム層15/反射層17/ハードコート層16/紫外線吸収層18/接着層19を転写(第2転写)した例である。即ち、接着層19は受像層を兼ねているので固有情報を印画でき、転写時には箔キレ性がよく被転写体101の表面へ良好に接着することができる。さらに、反射層17として金属反射層を用いれば、該金属反射層の部分がホログラム効果を有し、該ホログラムと金属反射層のない部分に跨って画像を設ければ、画像の1部は隠し画像となり、また1部は観察できる画像となり、偽造防止などのセキュリティー性はなお一層向上する。」 上記記載事項より、甲第11号証には、 「IDカードなどの被転写体101に適用されるホログラム転写箔10において、 そのホログラム転写箔10は、ハードコート層14、ホログラム層15、反射層17、紫外線吸収層18および接着層19を被転写体101に転写するものであり、 そのハードコート層14は、機械的な摩擦などから媒体を保護するために、ポリエチレン系樹脂の粒子などのポリエチレンワックスをフィラーとして含有しており、 そのホログラム層15は、微細な凹凸が賦型されたものであり、 その接着層19は、箔切れ性の点から、マイクロシリカなどのフィラーを含むものであることが好ましく、適宜顔料などの添加剤を添加して形成されるものであり、 さらに、その接着層19は、受像層を兼ねていることから、画像が昇華印画法で印画されるものであること。」 なる技術事項(以下「甲11技術事項」という。)が記載されている。 (10)甲第12号証 本件特許の出願日前の平成21年4月23日に公開された特開2009-83166号公報(甲第12号証)には、以下の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、熱転写記録方式によって、被転写材に金属光沢等の金属感を有する文字や図柄等をプリントするための熱転写シートに関する。」 「【0017】 図1は、本発明の熱転写シートの一つの実施形態であり、フィルム基材1の一方の面に、少なくとも剥離層10、リーフィング型アルミニウム粉及びバインダー樹脂を含有する金属薄膜層20、および最外層として黒色着色剤を含有する黒色接着層30をこの順で含む転写層50が設けられ、黒色接着層30は熱転写シート100の透過濃度が0.7~2.0となるように調整された構成である。 図2は、本発明の熱転写シートの他の実施形態であり、フィルム基材1の一方の面に、少なくとも剥離層10、リーフィング型アルミニウム粉及びバインダー樹脂を含有する金属薄膜層20、および最外層として黒色着色剤を含有する黒色接着層30をこの順で含む転写層50が設けられ、フィルム基材1の他方の面にサーマルヘッドの滑り性を良くし、かつスティッキングを防止する耐熱滑性層40を設け、黒色接着層30は熱転写シート100の透過濃度が0.7~2.0となるように調整された構成である。 また、本発明の熱転写シートの使用形状は、通常は連続帯状の熱転写シートとして使用されるが、一枚単位のシート状としても使用され得るものである。」 「【0032】 (黒色接着層) 本発明の熱転写シートの最表面に位置する黒色接着層30は、特に熱転写シートの透過濃度が0.7~2.0となるように黒色着色剤を含有するものである。本発明における黒色接着層30は、被転写体への転写感度、被転写体への接着性を向上させると共に、本発明の熱転写シートの印画物の金属光沢感や下地に対する隠蔽性を向上させる機能を有する。黒色接着層は、接着機能を有するバインダー樹脂と黒色着色剤を少なくとも含有する。黒色接着層は、中でも特に、熱転写シートの透過濃度が1.0~2.0となるように黒色着色剤を含有することが好ましい。」 「【0035】 一方、黒色着色剤としては、無機系のカーボンブラック、黒鉛、四三酸化鉄、有機系のシアニンブラック等があげられる。また黒色着色剤としては、イエロー、マゼンタ及びシアンの各染料を混合するなど、着色剤を適宜混合して黒色に着色したものであっても良い。中でも、少量の添加で熱転写シートの透過濃度を0.7~2.0を達成しやすい点から、カーボンブラック等黒色顔料を用いることが好ましい。」 「【0037】 黒色接着層30の形成は、前述の熱接着性の樹脂及び黒色着色剤を溶媒へ分散または溶解した組成物を、公知のコーティング法又は印刷法で塗布し乾燥する。コーティング法又は印刷法としては、上記金属箔膜層に記載した方法と同様な方法が適用できる。乾燥は必要に応じて、転写適性をよくするために、ブラッシングさせてもよい。接着層の厚さは、通常は0.2~1.5μm程度、好ましくは0.4~0.8μmである。乾燥時塗工量では、通常は0.2~1.5g/m2程度、好ましくは0.4~0.8g/m2である。接着層の厚さは、この範囲未満では、被転写体との接着力が不足して脱落し、また、この範囲を超えると、接着効果は十分であるが、その効果は変わらないのでコスト的に無駄であり、さらには、サーマルヘッドの熱を無駄に消費してしまう。さらにまた、接着層へは、必要に応じて、更に、充填剤、可塑剤、着色剤、帯電防止剤などの添加剤を、適宜加えてもよい。充填剤としては、シリカ、炭酸カルシウムなどの体質顔料が適用できる。特に体質顔料の添加は、箔切れを良化させる。帯電防止剤としては、非イオン系界面活性剤、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤などや、ポリアミドやアクリル酸誘導体などが適用できる。」 上記記載事項より、甲第12号証には、 「被転写材に金属光沢等の金属感を有する文字や図柄等をプリントするための熱転写シートにおいて、 その熱転写シート100は、剥離層10、金属薄膜層20および黒色接着層30をこの順で含む転写層50を被転写材に転写するものであり、 その黒色接着層30は、カーボンブラックなどの黒色着色剤を含有し、それにより、下地に対する隠蔽性を向上させる機能を有しており、 さらに、その黒色着色剤30は、箔切れを良化させるために、シリカ、炭酸カルシウムなどの体質顔料などの充填剤が加えられたものであってもよいこと。」 なる技術事項(以下「甲12技術事項」という。)が記載されている。 (11)甲第13号証 本件特許の出願日前の平成15年2月28日に公開された特開2003-58026号公報(甲第13号証)には、以下の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、身分証明書、受験票、パスポート、証券等に添付されている写真や情報欄の表面にセキュリティー確保を目的として貼着される透明な体積ホログラムを形成するために使用される体積ホログラム転写箔または体積ホログラム転写ラベルに関し、これらの体積ホログラムをもとにした複製を不可能とする体積ホログラム転写箔または体積ホログラムラベル等の偽造防止体積ホログラム積層体に関する。」 「【0012】本発明の偽造防止体積ホログラム積層体は、図1(a)にあっては、体積ホログラム層1の一方の面に表面保護層3が積層され、他方の面には接着剤層2が積層された構造を有する。また、図1(b)にあっては、体積ホログラム層1の一方の面に接着剤層2′を介して透明表面保護フイルム4が積層され、他方の面には接着剤層2が積層された構造を有する。なお、図1(a)、(b)にあって、剥離シート6は、接着剤層を保護するためのもので、必要に応じて設けられ、偽造防止体積ホログラム積層体は、剥離シート6を剥離してからその接着剤層側から被着体上に適用される。」 「【0019】…本発明の偽造防止体積ホログラム積層体は、図1(a)、(b)のそれぞれの態様において、体積ホログラム転写箔とする場合と体積ホログラム転写ラベルとする場合とがある。図1(a)、(b)のそれぞれの態様が体積ホログラム転写箔とする場合には、図1(a)、(b)における接着層2、また、接着層2′を感熱接着剤層とするものである。」 「【0046】次に、図1(a)において、体積ホログラム層1の一方の面に設けられる透明表面保護層3について説明する。透明表面保護層としては、ポリメチルメタクリレート等のメタクリル系樹脂を主バインダーとし、ハードコート性、印字性、スリップ性等を付与するために各種添加剤を適宜含有する。バインダーとしては、その他、ポリアクリル酸エステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、シリコーン樹脂、塩化ゴム、カゼイン等が例示される。また、添加剤としては、各種界面活性剤、ワックス、金属化合物のうち1種または2種以上の混合物が添加され、体積ホログラムの再生波長光を反射する所定の屈折率差を有する界面とするために、その屈折率が調整される。表面保護用塗布膜は有機溶剤でインキ化し、基材5上に塗布等の方法によって形成されるとよく、その厚みは表面保護性を考慮すると0.1μm~3μmが好ましい。」 「【0056】感熱接着剤層2は、離型フイルム上に水、トルエン、メチルエチルケトン等の溶媒に溶解、または分散され、コンマコーター、ダイコーター、グラビアコーター等により乾燥膜厚2~20μmに塗布形成した後、体積ホログラム層上に熱圧転写により積層されるとよい。感熱接着剤層を上述の樹脂のみから形成される場合には、その屈折率は1.45~1.46程度である。 【0057】感熱接着剤層2は、上述の樹脂のみからなる無着色透明としてもよいが、体積ホログラム層側から(1)着色された感熱接着剤層、(2)着色剤層、感熱接着剤層の順次積層体、(3)感熱接着剤層、着色剤層、感熱接着剤層の順次積層体のそれぞれの構成としてもよい。 【0058】感熱接着剤層2として、(1)の着色された感熱接着剤層とすることにより、ホログラム画像の背景とすることができ、コントラストの高いホログラム画像を与えることができる。着色剤としては、顔料、染料の単独、または混合物が挙げられる。顔料としては、カーボンブラック、銅-鉄-マンガン、アニリンブラック等の黒色顔料、また、黒色以外のナフトールレッドF5RK、フタロシアニンブルー等の着色顔料、赤外線反射顔料を単独または混合して用いられる。顔料として、着色した赤外線反射顔料を使用すると、ホログラム記録層のバック層を可視光とは相違した状態に変化させることができる。また、染料としては、アシッドブラック、クロムブラック、リアテクティブブラック等の黒色染料、また、ディスパースレッド、カチオンブルー、カチオンイエロー等の染料が例示され、単独または混合して用いられる。顔料または染料は、感熱接着剤層中に1重量%~40重量%、好ましくは10重量%~30重量%含有させるとよいが、含有割合が40重量%を越えると感熱接着性が低下するので好ましくない。着色された感熱接着剤層は、O.D.値が、1.5以上、好ましくは1.9以上であり、また、体積ホログラム層の透過光を50%以上、好ましくは80%以上吸収するものとするとよく、これにより、コントラストに優れるホログラム画像とできる。」 上記記載事項より、甲第13号証には、 「身分証明書などの被着体に適用される体積ホログラム転写箔において、 その体積ホログラム転写箔は、表面保護層3、体積ホログラム層1および感熱接着剤層2を被着体に転写するものであり、 その表面保護層3にはハードコート性、印字性、スリップ性等を付与するための添加剤として、各種界面活性剤、ワックス、金属化合物のうち1種または2種以上の混合物が添加され、 その表面保護層3の厚みは、表面保護性を考慮すると0.1μm~3μmが好ましく、 その感熱接着剤層2を、カーボンブラックなどの着色剤により着色された感熱接着剤層の構成とすることにより、ホログラム画像の背景とすることができ、コントラストの高いホログラム画像を与えることができるようにすること。」 なる技術事項(以下「甲13技術事項」という。)が記載されている。 (12)甲第14号証 本件特許の出願日前の平成4年8月20日に公開された特開平4-232088号公報(甲第14号証)には、以下の事項が記載されている。 「【0001】 【産業上の利用分野】本発明は、基材上に装飾を転写するための方法およびそのためのホイルに関する。」 「【0018】本発明の好ましい特徴により、接着剤は一般的に印刷工程により付けるので、状況によっては、例えば印刷または流動特性を改良し、発泡を防ぐために、それ自体公知のラッカー添加剤を加えるのが有利である。また、用途によっては、接着剤に一つ以上の充填材、一つ以上の顔料または一つ以上の着色剤を加えるのが望ましい場合があるが、特にホイルを透明基材に付けることにより、あるいは接着層を装飾層を通して見える様にすることにより、ホイルの製造後に接着層が目に見える場合には、顔料または着色剤を加えることができる。」 「【0031】図2および図3に示す第一の様式では、接着層9を先ず、図2に示す方法で装飾層5の、支持フィルム1と反対の方を向いた開放表面に付ける。この作業は、エンボスホイルの加工からそれ自体公知の方法で、熱および/または圧力の作用により行うことができる。接着層9を装飾層5の開放表面に付けた後すぐに、支持材料8を接着層9から、図2で下方に剥がすことにより、剥離する。これで、装飾層ホイルAおよびそれに密着した接着層9からなるラミネートが得られるが、このラミネートは、エンボスホイルの加工からそれ自体公知の方法で基材10に付けることができる。その場合、図3に示す様に、剥離または分離層2を備えた支持フィルム1、装飾層5および接着層9を、熱および/または圧力をかけて、装飾すべき基材10の表面11に付ける。その際、装飾層5は、間にある接着層9により、基材10の表面11に固定される。接着層9が十分に密着したらすぐに、支持フィルム1を、図3で上方に剥がすことにより、装飾層5から剥離することができ、それによって、基材10の、装飾層5により装飾された表面11が得られる。」 上記記載事項より、甲第14号証には、 「基材10上に装飾を転写する際に用いられるホイルにおいて、 そのホイルは、装飾層5を、接着層9を介して、基材10に転写するものであり、 ホイルを基材10に転写した後に接着層9が目に見える場合には、その接着層9に顔料または着色剤を加えることができること。」 なる技術事項(以下「甲14技術事項」という。)が記載されている。 (13)甲第15号証 本件特許の出願日前の平成12年2月29日に頒布された「平成11年度スマートカードの安全性に関する調査 調査報告書、情報処理振興事業協会、平成12年2月29日発行、p.1-7,15-16」(甲第15号証)には、以下の事項が記載されている。 「ICカードは,ICチップ中にCPUを内蔵しているもの(CPUカード)と内蔵しないもの(メモリカード)とに大別され,演算機能や判断機能を有するCPUカードがスマートカードと呼ばれる.このスマートカードでは暗号処理で用いる鍵のような秘密情報がICチップのメモリに記録され,それをCPUがアクセス制御することで,容易な読み出しを不可能とする耐タンパー性が実現されている.そのためスマートカードは従来よりも安全性の高いクレジットカードや電子マネーの実現手段であり,情報セキュリティのキーデバイスの一つとして期待が寄せられている.」(5頁2~8行) 「II.2.1 国際・国内規格 II.2.1.1 ISO 7816 ISO(International Organization for Standardization)の規格検討委員会によって,外部端子付きスマートカードの物理的,機能的条件等について,基本部分の互換性を確保するための国際規格として制定された[IC97, ISO].利用分野を特定せずに滴用されることを想定している. ISO 7816は,スマートカードの物理的形状や,リーダライタとの通信プロトコルなどを11パートに分けて定めている.」(15頁15~22行) 上記記載事項より、甲第15号証には、 「ISO 7816は、外部端子付きスマートカードの物理的、機能的条件等について、基本部分の互換性を確保するための国際規格として制定されたものであり、スマートカードは、CPUを内蔵するICチップを備えるICカード(CPUカード)であること。」 なる技術事項(以下「甲15技術事項」という。)が記載されている。 2 本件訂正特許発明1について (1)対比 本件訂正特許発明1と甲1発明とを対比する。 ア 後者の「プラスチックカード」、「側面」、「保護層」及び「接着層」は、それぞれ、前者の「カード」、「側面部」、「保護層」及び「接着層」に相当する。 イ 後者の「プラスチックカード」は、デビットカードやクレジットカードなどの、ISO7816に準拠したプラスチックカードであることから、偽造防止機能が求められる用途に供するカードであるから、「偽造防止カード」であるといえる。 ウ 後者の「ホットスタンピングホイル」が「熱転写される装飾転写フィルム」であることは技術常識(URL:https://web.archive.org/web/20180218102012/https://arimasp.jp/print/Hot-stamp.html、URL:https://web.archive.org/web/20161029065313/http://www.daiya-ind.com/stamping.html、URL:https://www.videojet.co.jp/wp-content/uploads/dam/pdf/Japan-Japanese/White-Paper/wp-an-introduction-to-thermal-transfer-overprinting-technology-jp.pdf参照。)であるところ、後者の「ホットスタンピングホイル」は、保護層、単層若しくは複層からなる装飾層又はカラー/アルミニウム層、及び、接着層をこの順番で含むところ、前者の「装飾層」と後者の「ホットスタンピングホイル」とは、「保護層と接着層とを有する装飾層が設けられており、前記装飾層は、熱転写される装飾転写フィルムの装飾層」である点で一致する。 そうすると、両者は、 [一致点] 「カードであって、 前記カードの側面部に、少なくとも保護層と接着層とを有する装飾層が設けられており、前記装飾層は、熱転写される装飾転写フィルムの装飾層である偽造防止カード。」 で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1] 本件訂正特許発明1が、「少なくとも2層以上の樹脂層を積層した積層体からなる」カードであるのに対し、甲1発明は、デビットカードやクレジットカードなどの、ISO7816に準拠したプラスチックカードである点。 [相違点2] 本件訂正特許発明1の「保護層」の「膜厚が1μm~10μm」であるのに対し、甲1発明の保護層の膜厚が不明な点。 [相違点3] 本件訂正特許発明1の「側面部の保護層」に、「保護層の樹脂分に対して、質量比で、0.5%~40%の範囲でフィラーが添加されて」いるのに対し、甲1発明の保護層は、フィラーが添加されているのか否か不明である点。 [相違点4] 本件訂正特許発明1の「側面部の接着層」が、「色素を含む」ものであるのに対し、甲1発明の接着層は、色素及び耐湿顔料が含まれているのか否か不明である点。 (2)判断 ア [相違点1]について 甲15技術事項から、甲1発明のISO7816に準拠したプラスチックカードはCPUを内蔵するICチップを備えるICカードであるといえる。 そして、ICカードが複数の樹脂層を積層した積層体構造を持つことは甲2技術事項にあるように、ICカードの技術分野において、技術常識といえる事項である。 そうすると、甲1発明には明記はないものの上記技術常識を勘案すれば、甲1発明のISO7816に準拠したプラスチックカードが複数の樹脂層を積層した積層体構造を持つことは明らかな事項といえる。 してみると、相違点1は実質的な相違点とはいえない。 イ [相違点2]について 甲2技術事項の「個人認証識別用カード」、「積層体」、「外周側端面1a」、「保護箔」、「熱貼着性樹脂」及び「保護部材10」は、それぞれ、本件訂正特許発明1の「偽造防止カード」、「積層体」、「側面部」、「保護層」、「接着層」及び「装飾層」に相当する。 本件訂正特許発明1の「保護層」と甲2技術事項の「保護箔」とは、膜厚が「1μm~10μm」の範囲で一致する。 ここで、カード表面の保護層の厚みが厚いと切れ性が低下したり、バリが発生しやすくなることは、技術常識といえる事項である(例えば、甲5技術事項、特開2013-67053号公報(【0065】等参照。)、特開2013-256105号公報(【0066】等参照。) また、カード表面の保護層の厚みが薄いと耐摩性や耐キズ性が低下することも技術常識(例えば、甲5技術事項、甲13技術事項参照。)といえる事項である。 そして、本件特許明細書等には、保護層の膜厚について、1μmおよび10μmの前後で、格別な作用効果の差異が生じることが示されているものではないし、作用機序が説明されているわけでもない。 そうすると、甲2技術事項の保護箔の厚みを、上記技術常識を勘案して、1μm~10μmとすることは、適宜なし得る程度の設計的事項であるといえる。 そして、本件訂正特許発明の保護層も、甲1発明の保護層も、甲2技術事項の保護層も、カードの最外部に設けられ、保護層により被覆される部材の保護をするという機能の点では一致する。 してみると、甲1発明に、甲2技術事項を適用し、上記相違点2の構成とすることは、当業者が容易になし得るものである。 令和5年11月27日に提出した意見書において。特許権者は、以下の通り主張している。 「引用された甲第2号証のカードは、外周側端面に保護層のみ形成するものであって、カード層の側面部の装飾層の保護膜の膜厚は開示されていない。 また、甲第2号証のカードの保護層の膜厚として、0.3~20μmが特に好ましいとされているが、この保護層は、カード表面から外周側端面まで形成され(甲2の段落【0028】)、その目的は、外周側端面を熱、水分、薬品等から保護し、カードの層間剥がれを防止するため(甲2の段落【0026】)のものである。 また、甲第2号証のカードの保護層の膜厚として、実施形態では20μmのもの(甲2の段落【0037】)と30μm(甲2の段落【0043】)が記載されているが、これらの保護膜は塗布されたものであり、また、環境試験でカードの層間剥がれの無いことを確認しているだけである。 したがって、甲第2号証には、保護層の十分な耐摩性や耐キズ性を確保し、かつ装飾層を装飾転写フィルムから熱転写する場合に、装飾層の切れ性が低下せずバリなどが発生しにくくするために、装飾層の保護層の膜厚をどの程度とするのが良いかについては、一切示唆はなく、甲第2号証で保護層の膜厚として、特に好ましいとされた0.3~20μmの数値範囲を、さらに1μm~10μmとすることの動機付けはない。 よって、甲第2号証に基づいて、甲1発明を相違点2の構成とすることはできない。」(3ページ下から3行~4ページ17行。スペースは改行を意味する。) しかし、甲2技術事項の保護箔は、カードを構成する積層体1の外周側端面1aに熱貼着性樹脂を介して熱転写されるものであるから、上記(ア)の通り、本件訂正特許発明1の「保護層」に相当する。 そして、上記アの通りであるから、上記特許権者の主張は採用できない。 ウ [相違点3]について 一般に保護層にフィラーを添加することにより、積層体の強度を高めることは技術常識といえるところ、甲5及び甲6技術事項に示されているように、保護層に添加するフィラーの質量比として、0.5%~40%の範囲は一般的な数値範囲であることからすると、甲1発明において、甲5及び甲6技術事項を参酌し、保護層のフィラー添加質量比を0.5%~40%とすることは当業者が適宜なし得る程度のことである。 エ [相違点4]について 甲12乃至甲14技術事項に示されているように、意匠性の向上のために接着層に色素を添加することは周知手段(以下「周知技術1」という。)といえる。 そして、甲1発明は、側面に装飾層を有し、カードに装飾性を付与していることからすれば、装飾層と共に側面を構成する接着層に、上記周知技術1を参酌し、色素を添加させることは、当業者が容易になし得る程度のことである。 オ 以上ア乃至エの検討から、本件訂正特許発明1は、甲1発明に、甲2、5、6、12乃至14技術事項を適用することにより、当業者が容易になし得るものである。 そして、本件訂正特許発明1の作用・効果も、甲1発明、及び甲2、5、6、12乃至14技術事項から、当業者が予測しうる程度のものである。 3 本件訂正特許発明2について 本件訂正特許発明2は、本件訂正特許発明1を「前記装飾層において、保護層と接着層との間に中間層が設けられてなること」との事項で限定したものである。 そして、甲1発明のホットスタンピングホイルの「単層若しくは複層からなる装飾層又はカラー/アルミニウム層」は保護層と接着層との間の層であるから、本件訂正特許発明2の「中間層」に相当する。 そうすると、本件訂正特許発明2と甲1発明とは、上記[相違点1]乃至[相違点4]で相違し、その他の点で一致する。 そして、上記2の(2)判断を参酌すると、本件訂正特許発明2は、甲1発明に、甲2、5、6、12乃至14技術事項を適用することにより、当業者が容易になし得るものである。 そして、本件訂正特許発明2の作用・効果も、甲1発明、及び甲2、5、6、12乃至14技術事項から、当業者が予測しうる程度のものである。 4 本件訂正特許発明3について 本件訂正特許発明3は、本件訂正特許発明2を「前記中間層が、少なくとも1つ以上の色材を含むこと」との事項で限定したものである。 そして、甲1発明のホットスタンピングホイルの「単層若しくは複層からなる装飾層又はカラー/アルミニウム層」のうち、少なくともカラー/アルミニウム層については、カラー層が存在していることから、色材を含むものといえる。 そうすると、本件訂正特許発明3と甲1発明とは、上記[相違点1]乃至[相違点4]で相違し、その他の点で一致する。 そして、上記2の(2)判断を参酌すると、本件訂正特許発明3は、甲1発明に、甲2、5、6、12乃至14技術事項を適用することにより、当業者が容易になし得るものである。 そして、本件訂正特許発明3の作用・効果も、甲1発明、及び甲2、5、6、12乃至14技術事項から、当業者が予測しうる程度のものである。 5 本件訂正特許発明4について 本件訂正特許発明5は、本件訂正特許発明2または3を「前記中間層が、任意の画像を有する印刷層からなること」との事項で限定したものである。 そうすると、本件訂正特許発明4と甲1発明とは、上記[相違点1]乃至[相違点4]及び本件訂正特許発明5が「前記中間層が、任意の画像を有する印刷層からなること」を備える点で相違し、その他の点で一致する。 ここで、装飾効果を付与するために、保護層と接着層との間に、任意の画像を有する印刷層からなる中間層を設けることは周知の技術事項(例えば、甲7及び甲8技術次項参照。以下「周知技術2」という。)である。 そして、甲1発明は、側面に装飾層を有し、カードに装飾性を付与していることからすれば、中間層として、上記周知技術2を参酌し、印刷層を設けることは、当業者が容易になし得る程度のことである。 そして、本件訂正特許発明4の作用・効果も、甲1発明、及び甲2、5乃至8、12乃至14技術事項から、当業者が予測しうる程度のものである。 6 本件訂正特許発明5について 本件訂正特許発明5は、本件訂正特許発明2または3を「前記中間層が、表面に凹凸構造を有するレリーフ構造形成層と前記凹凸構造の少なくとも一部を覆う反射層とを、少なくとも有すること」との事項で限定したものである。 そうすると、本件訂正特許発明5と甲1発明とは、上記[相違点1]乃至[相違点4]及び本件訂正特許発明5が「前記中間層が、表面に凹凸構造を有するレリーフ構造形成層と前記凹凸構造の少なくとも一部を覆う反射層とを、少なくとも有すること」を備える点で相違し、その他の点で一致する。 ここで、装飾効果を付与したり、偽造防止性を高めたりするために、保護層と接着層との間に、表面に凹凸構造を有するレリーフ構造形成層と前記凹凸構造の少なくとも一部を覆う反射層とを有する中間層を設けることは周知の技術事項(例えば、甲8乃至11技術事項参照。以下「周知技術3」という。)である。 そして、甲1発明は、側面に装飾層を有し、カードに装飾性を付与していることからすれば、中間層として、上記周知技術3を参酌し、表面に凹凸構造を有するレリーフ構造形成層と前記凹凸構造の少なくとも一部を覆う反射層とを設けることは、当業者が容易になし得る程度のことである。 そして、本件訂正特許発明5の作用・効果も、甲1発明、及び甲2、5乃至14技術事項から、当業者が予測しうる程度のものである。 第8 むすび 以上のとおり、本件訂正特許発明1乃至5は、特許法第29条の規定に違反して特許されたものであり、同法第113条第2号の規定に該当し、取り消されるべきものである。

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2023-700222

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