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特許異議申立

2023-701117

プラント管理方法、プラント管理装置およびプラント管理プログラム

審判番号
2023-701117
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-536297
登録番号
7260839
請求日
2023年10月19日
審決日
2024年07月31日
公報発行日
2024年11月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】コニカミノルタ株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人鷲田国際特許事務所
  • 【異議申立人】鎌田 亜希子
審判長/審判官
  • 審判長 本庄 亮太郎
  • 審判官 鈴木 貴雄
  • 審判官 大山 健
分類
P1651.121-YAA(G05B) / P1651.537-YAA(G05B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第36条第6項第2号、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7260839号発明「プラント管理方法、プラント管理装置およびプラント管理プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7260839号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~7〕、8、9、10について訂正することを認める。 特許第7260839号の請求項に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 1 特許掲載公報の発行までの経緯 特許第7260839号(以下「本件特許」という。)の請求項1~10に係る特許についての出願は、2021年(令和3年)7月7日を国際出願日とする国際特許出願(優先権主張 令和2年7月16日(以下「優先日」という。))であって、令和5年4月11日にその特許権の設定登録がされ、同月20日に特許掲載公報が発行された。 2 特許異議の申立て以降の経緯 本件特許についての特許異議の申立て以降の主な経緯は、次のとおりである。 (1)令和5年10月19日 特許異議申立人 鎌田亜希子(以下「申立人」という。)による、本件特許の請求項1~10に係る特許に対する特許異議の申立て(申立てのために提出された特許異議申立書を、以下単に「申立書」という。) (2)令和6年1月9日付け(発送日:同月12日) 取消理由の通知 (以下「取消理由通知」という。) (3)令和6年3月11日(受理日:同月12日) 特許権者 コニカミノルタ株式会社(以下単に「特許権者」という。)による、訂正の請求(請求された訂正を以下「本件訂正」といい、本件訂正の請求のために提出された訂正請求書を以下単に「訂正請求書」という。)、及び意見書の提出 (4)令和6年4月2日付け(発送日:同月4日) 訂正請求書についての手続補正の指令 (5)令和6年5月2日(受理日:同月7日) 訂正請求書の「7 請求の理由」を補正対象とする手続補正書(方式)(以下単に「補正書」という。)の提出 (6)令和6年5月21日付け(発送日:同月24日) 訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項) (7)令和6年6月21日 申立人による、意見書(以下「申立人意見書」という。)の提出 第2 本件訂正の適否 1 本件訂正の内容について 特許権者は、本件訂正の請求により、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書(すなわち、令和6年3月11日に提出され、令和6年5月2日提出の補正書により補正がされた訂正請求書)に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~10について訂正することを求めるところ、本件訂正の内容は、以下のとおりである(訂正箇所に下線を付して示す。)。 <請求項1~7について> (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「実空間のプラント設備に関する設計情報に基づいて、コンピュータ上の仮想空間に前記プラント設備の3次元モデルを生成する3次元モデル生成ステップと、 前記プラント設備の状況に関する情報を、撮像装置を用いて画像情報として取得する状況画像取得ステップと、 前記画像情報として取得された前記プラント設備の状況に関する情報を、前記3次元モデルの対応箇所に関連付けて記憶する記憶ステップと、を備え、 前記記憶ステップにおいて、前記撮像装置の撮影地点および撮影方向に関する情報を用いて、前記撮像装置で取得された画像上の位置と前記3次元モデルの位置とを対応させ、 前記3次元モデルの各位置と対応付けて、対応位置の前記プラント設備の状況に関する情報を記憶する、プラント管理方法。」 と記載されているのを、 「実空間のプラント設備に関する設計情報に基づいて、コンピュータ上の仮想空間に前記プラント設備の3次元モデルを生成する3次元モデル生成ステップと、 前記プラント設備の状況に関する情報を、撮像装置を用いて撮像された画像から得られる、各画素が有する画像情報として取得する状況画像取得ステップと、 前記画像情報として取得され、前記各画素が有する前記プラント設備の状況に関する情報を、前記画素毎に、前記3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する記憶ステップと、を備え、 前記記憶ステップにおいて、前記撮像装置の撮影地点および撮影方向に関する情報を用いて、前記撮像装置で取得された画像の前記画素の位置と前記3次元モデルの座標の位置とを対応させ、 前記3次元モデルの各位置と対応付けて、対応位置の前記プラント設備の状況に関する情報を記憶する、プラント管理方法。」 に訂正する(請求項1の記載を直接的または間接的に引用する請求項3~7も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に 「実空間のプラント設備に関する設計情報に基づいて、コンピュータ上の仮想空間に前記プラント設備の3次元モデルを生成する3次元モデル生成ステップと、 前記プラント設備の状況に関する情報を画像情報として取得する状況画像取得ステップと、 前記画像情報として取得された前記プラント設備の状況に関する情報を、前記3次元モデルの対応箇所に関連付けて記憶する記憶ステップと、 前記3次元モデルおよび前記プラント設備の状況に関する情報に基づいて、前記プラント設備の劣化をシミュレーションするステップと、 前記シミュレーションした結果に基づいて、前記プラント設備におけるメンテナンスの必要な場所、時期、内容に関するメンテナンス情報を作成するステップと、 前記作成された前記メンテナンス情報を前記3次元モデルと関連付けて記憶するステップと、 前記メンテナンス情報を前記3次元モデルの対応箇所に表示するステップと、 を備える、プラント管理方法。」 と記載されているのを、 「実空間のプラント設備に関する設計情報に基づいて、コンピュータ上の仮想空間に前記プラント設備の3次元モデルを生成する3次元モデル生成ステップと、 前記プラント設備の状況に関する情報を、撮像された画像から得られる、各画素が有する画像情報として取得する状況画像取得ステップと、 前記画像情報として取得され、各画素が有する前記プラント設備の状況に関する情報を、前記画素毎に、前記3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する記憶ステップと、 前記3次元モデルおよび前記画素毎の情報に対応する前記プラント設備の対応箇所の状況に関する情報に基づいて、前記プラント設備の劣化をシミュレーションするステップと、 前記シミュレーションした結果に基づいて、前記プラント設備におけるメンテナンスの必要な場所、時期、および内容に関するメンテナンス情報を作成するステップと、 前記作成された前記メンテナンス情報を前記3次元モデルと関連付けて記憶するステップと、 前記メンテナンス情報を前記3次元モデルの対応箇所に表示するステップと、 を備える、プラント管理方法。」 に訂正する(請求項2の記載を直接的または間接的に引用する請求項3、5~7も同様に訂正する。)。 <請求項8について> (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項8に 「実空間のプラント設備に関する設計情報に基づいて、コンピュータ上の仮想空間に生成された前記プラント設備の3次元モデルを記憶する記憶部と、 前記プラント設備の状況に関する情報を、撮像装置により撮像された画像情報として取得する取得部と、 前記撮像装置の撮影地点および撮影方向に関する情報を用いて、前記撮像装置で取得された画像上の位置と前記3次元モデルの位置とを対応させる位置合わせ部と、を備え 前記記憶部は、さらに前記3次元モデルの各位置と対応付けて、対応位置の前記プラント設備の状況に関する情報を記憶する、 プラント管理装置。」 と記載されているのを、 「実空間のプラント設備に関する設計情報に基づいて、コンピュータ上の仮想空間に生成された前記プラント設備の3次元モデルを記憶する記憶部と、 前記プラント設備の状況に関する情報を、撮像装置により撮像された画像から得られる、各画素が有する画像情報として取得する取得部と、 前記撮像装置の撮影地点および撮影方向に関する情報を用いて、前記撮像装置で取得された画像上の各画素の位置と前記3次元モデルの座標の位置とを対応させる位置合わせ部と、を備え 前記記憶部は、さらに前記3次元モデルの座標における各位置と対応付けて、前記各画素が有する対応位置の前記プラント設備の状況に関する情報を記憶する、 プラント管理装置。」 に訂正する。 <請求項9について> (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項9に 「実空間のプラント設備の状況に関する情報を画像情報として取得する取得部と、 前記画像情報として取得された前記プラント設備の状況に関する情報を、実空間のプラント設備に関する設計情報に基づいてコンピュータ上の仮想空間に生成された前記プラント設備の3次元モデルの対応箇所に関連付けて記憶する記憶部と、 前記3次元モデルおよび前記プラント設備の状況に関する情報に基づいて、前記プラント設備の劣化をシミュレーションするシミュレーション実行部と、 前記シミュレーションした結果に基づいて、前記プラント設備におけるメンテナンスの必要な場所、時期、内容に関するメンテナンス情報を作成するメンテナンス情報作成部と、 前記メンテナンス情報を前記3次元モデルの対応箇所に表示させる表示部、とを備え 前記記憶部は、さらに前記メンテナンス情報を前記3次元モデルと関連付けて記憶する、 プラント管理装置。」 と記載されているのを、 「実空間のプラント設備の状況に関する情報を、撮像された画像から得られる、各画素が有する画像情報として取得する取得部と、 前記画像情報として取得され、各画素が有する前記プラント設備の状況に関する情報を、前記画素毎に実空間のプラント設備に関する設計情報に基づいてコンピュータ上の仮想空間に生成された前記プラント設備の3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する記憶部と、 前記3次元モデルおよび前記画素毎の情報に対応する前記プラント設備の状況に関する情報に基づいて、前記プラント設備の劣化をシミュレーションするシミュレーション実行部と、 前記シミュレーションした結果に基づいて、前記プラント設備におけるメンテナンスの必要な場所、時期、および内容に関するメンテナンス情報を作成するメンテナンス情報作成部と、 前記メンテナンス情報を前記3次元モデルの対応箇所に表示させる表示部、とを備え 前記記憶部は、さらに前記メンテナンス情報を前記3次元モデルと関連付けて記憶する、 プラント管理装置。」 に訂正する。 <請求項10について> (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項10に 「実空間のプラント設備の状況に関する情報を撮像装置により撮像された画像情報として取得する処理と、 前記画像情報として取得された前記プラント設備の状況に関する情報を、前記プラント設備に関する設計情報に基づいてコンピュータ上の仮想空間に生成された前記プラント設備の3次元モデルの対応箇所に関連付けて記憶する処理と、 前記撮像装置の撮影地点および撮影方向に関する情報を用いて、前記撮像装置で取得された画像上の位置と前記3次元モデルの位置とを対応させる位置合わせ処理と、 前記3次元モデルの各位置と対応付けて、対応位置の前記プラント設備の状況に関する情報を記憶する処理と、 をコンピュータに実行させるプラント管理プログラム。」 と記載されているのを、 「実空間のプラント設備の状況に関する情報を撮像装置により撮像された画像から得られる、各画素が有する画像情報として取得する処理と、 前記画像情報として取得され、前記各画素が有する前記プラント設備の状況に関する情報を、前記画素毎に、前記プラント設備に関する設計情報に基づいてコンピュータ上の仮想空間に生成された前記プラント設備の3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する処理と、をコンピュータに実行させるプラント管理プログラムであって、 前記記憶する処理は、 前記撮像装置の撮影地点および撮影方向に関する情報を用いて、前記撮像装置で取得された画像の前記画素の位置と前記3次元モデルの座標の位置とを対応させる位置合わせ処理と、 前記3次元モデルの各位置と対応付けて、対応位置の前記プラント設備の状況に関する情報を記憶する処理と、 を含むプラント管理プログラム。」 に訂正する。 2 一群の請求項について 本件訂正前の請求項1~7について、請求項3~7は、それぞれ本件訂正前の請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する関係にあって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正される関係(以下「前者の関係」という。)にある。また、請求項3、5~7は、それぞれ本件訂正前の請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する関係にあって、訂正事項2によって記載が訂正される請求項2に連動して訂正される関係(以下「後者の関係」という。)にある。そして、前者の関係及び後者の関係には、本件訂正前の請求項3、5~7が共通して含まれる。 したがって、本件訂正前の請求項1~7に対応する本件訂正後の請求項1~7は、特許法第120条の5第4項(特許法施行規則第45条の4)に規定する一群の請求項であり、本件訂正は、同項の規定により、請求項〔1~7〕、8、9、10について請求されたものである。 3 独立特許要件について 本件特許異議の申立ては、全ての請求項を対象としているので、訂正事項1~5に関して、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 4 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について <一群の請求項〔1~7〕について> (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について (ア)訂正事項1のうち、「状況画像取得ステップ」に関する訂正は、請求項1における「前記プラント設備の状況に関する情報を、撮像装置を用いて画像情報として取得する」との記載を「前記プラント設備の状況に関する情報を、撮像装置を用いて撮像された画像から得られる、各画素が有する画像情報として取得する」と訂正するものであって、プラント設備の状況に関する情報を取得するための画像情報が、「撮像装置を用いて撮像された画像から得られる、各画素が有する画像情報」であることを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)訂正事項1のうち、「記憶ステップ」に関する訂正は、請求項1における「前記画像情報として取得された前記プラント設備の状況に関する情報を、前記3次元モデルの対応箇所に関連付けて記憶する」及び「前記撮像装置の撮影地点および撮影方向に関する情報を用いて、前記撮像装置で取得された画像上の位置と前記3次元モデルの位置とを対応させ」るとの記載を、それぞれ、「前記画像情報として取得され、前記各画素が有する前記プラント設備の状況に関する情報を、前記画素毎に、前記3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する」及び「前記撮像装置の撮影地点および撮影方向に関する情報を用いて、前記撮像装置で取得された画像の前記画素の位置と前記3次元モデルの座標の位置とを対応させ」ると訂正するものであって、上記(ア)と同様にプラント設備の状況に関する情報が「各画素が有する」画像情報であることを限定するとともに、その「画素」の位置と三次元モデルの「座標」の位置とを対応させて記憶することを限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無について 本件明細書の段落【0023】には、「プラント設備Pの状況に関する情報が温度情報や流体の漏洩情報である場合、取得部24は、赤外線カメラ14により撮影されたプラント設備Pの赤外線画像(状況画像)を取得する。」と記載され(下線は当審にて付した。以下同様。)、段落【0024】には「画像処理・解析部25は、赤外線カメラ14により撮影された赤外線画像を画像処理することによって、ガス漏洩エリアの画像(抽出画像)および温度画像を抽出する。」と記載され、段落【0026】には「画像処理・解析部25は、撮像された赤外線画像(状況画像)の各画素の値を、所定の式に基づき変換することで、構成部品の温度情報(状況情報)を得る。」と記載され、段落【0030】には「位置合わせ部26は、複数種類の状況画像(ガス漏洩エリアの画像、錆エリアの画像等)の各画素の位置を3次元モデルの座標における位置と関連付ける。以下の説明で、状況画像を3次元モデルと関連付けるとは、状況画像の各画素の位置を3次元モデルの座標における位置と関連付けることを意味する。」と記載され、段落【0043】には「これにより、状況画像(撮影画像)の各画素とプラント設備Pの3次元モデルとを対応させることが可能となる。さらに、状況画像から抽出された画素毎の情報(状況画像の画素が有する情報)を、当該画素と対応する位置におけるプラント設備Pの状況に関する情報として3次元モデルに取り込むことが可能となる。」と記載される。 ここで、訂正事項1による「各画素が有する画像情報」との事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に直接的には記載されていないものの、「撮像された赤外線画像(状況画像)の各画素が有する値」(段落【0026】)、「状況画像から抽出された画素毎の情報(状況画像の画素が有する情報)」(段落【0043】)等の記載からみて、各画素が輝度値やRGB値等の値である画像情報を有していることは明らかであり、また当該各画素の値から「構成部品の温度情報(状況情報)を得る」(段落【0026】)ことも記載されている、といえる。 したがって、訂正事項1は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項1は、「状況画像取得ステップ」及び「記憶ステップ」について具体的に特定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (2)訂正事項2 ア 訂正の目的について (ア)訂正事項2のうち、「状況画像取得ステップ」及び「記憶ステップ」に関する訂正は、上記(1)ア(ア)~(イ)と同様の理由により、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)訂正事項2のうち、「プラント設備の劣化をシミュレーションするステップ」に関する訂正は、請求項2における「前記3次元モデルおよび前記プラント設備の状況に関する情報に基づいて、前記プラント設備の劣化をシミュレーションする」との記載を「前記3次元モデルおよび前記画素毎の情報に対応する前記プラント設備の対応箇所の状況に関する情報に基づいて、前記プラント設備の劣化をシミュレーションする」と訂正するものであって、シミュレーションに用いられるプラント設備の状況に関する情報が、画素毎の情報に対応する、対応箇所のプラント設備の状況に関する情報であることを具体的に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (ウ)訂正事項2のうち、「メンテナンス情報を作成するステップ」に関する訂正は、本件訂正前の請求項2におけるメンテナンス情報について、「メンテナンスの必要な場所、時期、内容」との記載では、「場所」、「時期」、「内容」のうち、少なくとも1つの情報を含むことを意図しているのか、全ての情報を含むことを意図しているのか不明であることを取消理由として通知したことに対応して、「メンテナンスの必要な場所、時期、および内容」と訂正するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無について (ア)訂正事項2のうち、「状況画像取得ステップ」及び「記憶ステップ」に関する訂正は、上記(1)イと同様の理由により、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (イ)訂正事項2のうち、「プラント設備の劣化をシミュレーションするステップ」に関する事項について、本件明細書の段落【0066】に「変形例2の説明においては、上記実施の形態と異なる構成について主に説明し、同じ構成については同一符号を付してその説明を省略する。」と前置きしたうえで、段落【0068】には「シミュレーション実行部66は、3次元モデルおよび、記憶部30に連続的に記憶された状況画像の履歴および状況情報に基づいて、プラント設備Pの劣化をシミュレーションする。ここで、プラント設備Pの劣化とは、プラント設備Pおよびプラント設備Pの構成部それぞれの劣化をいい、例えば、金属疲労や、傷、錆、変形の広がりや、故障リスクなどが含まれる。」と記載されている。そして、段落【0031】には「記憶部30は、赤外線カメラ14により撮影されたプラント設備Pの赤外線画像を3次元モデルに関連付けて記憶する。」と記載され、ここで、赤外線カメラ14により撮影されたプラント設備Pの赤外線画像は各画素の情報からなることは上記(1)イのとおりである。したがって、訂正事項2のうち、「プラント設備の劣化をシミュレーションするステップ」に関する事項は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 (ウ)訂正事項2のうち、「メンテナンス情報を作成するステップ」に関する事項について、上記(イ)と同様に変形例2として、段落【0069】には「メンテナンス情報作成部68は、シミュレーションした結果に基づいて、プラント設備Pにおけるメンテナンスの必要な場所、時期、内容に関するメンテナンス情報を作成する。」と記載され、段落【0070】には「図10に示すように、特定の部品(例えば、パイプ1)に対して、メンテナンスを行った時期、メンテナンスの内容などのように、メンテナンス情報の履歴が記憶部30に記憶されている。」と記載されているように、メンテナンス情報が「場所」、「時期」及び「内容」の全ての情報を含んでいることが記載されている。 したがって、訂正事項2のうち、「メンテナンス情報を作成するステップ」に関する事項は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてする訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 ウ 特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項2は、「状況画像取得ステップ」、「記憶ステップ」及び「プラント設備の劣化をシミュレーションするステップ」について具体的に特定するものであり、また、「メンテナンス情報を作成するステップ」についても、メンテナンス情報が「場所」、「時期」及び「内容」の全ての情報を含んでいることを明確にするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質的に特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 <請求項8について> (3)訂正事項3 ア 訂正の目的について (ア)訂正事項3における、プラント管理装置に係る請求項8の「取得部」に関する訂正は、訂正事項1における、プラント管理方法に係る請求項1の「状況画像取得ステップ」に関する訂正と、実質的に同様の事項で訂正するものであるから、上記(1)ア(ア)と同様の理由により、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)訂正事項3における、プラント管理装置に係る請求項8の「位置合わせ部」に関する訂正は、訂正事項1における、プラント管理方法に係る請求項1の「記憶ステップ」に関する訂正のうち、「前記撮像装置の撮影地点および撮影方向に関する情報を用いて、前記撮像装置で取得された画像の前記画素の位置と前記3次元モデルの座標の位置とを対応させ」るとの訂正と、実質的に同様の事項で訂正するものであるから、上記(1)ア(イ)と同様の理由により、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (ウ)訂正事項3における、プラント管理装置に係る請求項8の「記憶部」に関する訂正は、請求項8において「前記3次元モデルの座標における各位置と対応付けて、前記各画素が有する対応位置の前記プラント設備の状況に関する情報を記憶する」と訂正するものであって、訂正事項1における、プラント管理方法に係る請求項1の「記憶ステップ」に関する訂正のうち、「前記各画素が有する前記プラント設備の状況に関する情報を、前記画素毎に、前記3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する」との訂正と、実質的に同様の事項で訂正するものであるから、上記(1)ア(イ)と同様の理由により、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項3は、上記アのとおり、プラント管理装置に係る請求項8を訂正するものであって、プラント管理方法に係る請求項1を訂正する訂正事項1と実質的に同様の事項にて訂正するものであるから、訂正事項3は、上記(1)イ、ウと同様の理由により、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 <請求項9について> (4)訂正事項4 ア 訂正の目的について (ア)訂正事項4における、プラント管理装置に係る請求項9の「取得部」及び「記憶部」に関する訂正は、訂正事項2における、プラント管理方法に係る請求項2の「状況画像取得ステップ」及び「記憶ステップ」に関する訂正と、それぞれ実質的に同様の事項で訂正するものであるから、上記(2)ア(ア)と同様の理由により、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)訂正事項4における、プラント管理装置に係る請求項9の「シミュレーション実行部」に関する訂正は、訂正事項2における、プラント管理方法に係る請求項2の「プラント設備の劣化をシミュレーションするステップ」に関する訂正と、それぞれ実質的に同様の事項で訂正するものであるから、上記(2)ア(イ)と同様の理由により、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (ウ)訂正事項4における、プラント管理装置に係る請求項9の「メンテナンス情報作成部」に関する訂正は、訂正事項2における、プラント管理方法に係る請求項2の「メンテナンス情報を作成するステップ」に関する訂正と、それぞれ実質的に同様の事項で訂正するものであるから、上記(2)ア(ウ)と同様の理由により、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 訂正事項4は、上記アのとおり、プラント管理装置に係る請求項9を訂正するものであって、プラント管理方法に係る請求項2を訂正する訂正事項2と実質的に同様の事項にて訂正するものであるから、訂正事項4は、上記(2)イ、ウと同様の理由により、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 <請求項10について> (5)訂正事項5 ア 訂正の目的について (ア)訂正事項5における、プラント管理プログラムに係る請求項10の「取得する処理」に関する訂正は、訂正事項1における、プラント管理方法に係る請求項1の「状況画像取得ステップ」に関する訂正と、実質的に同様の事項で限定して訂正するものであるから、上記(1)ア(ア)と同様の理由により、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)訂正事項5における、プラント管理プログラムに係る請求項10の「記憶する処理」に関する訂正は、当該「記憶する処理」が、「位置合わせ処理」と「プラント設備の状況に関する情報を記憶する処理」とを含むことを具体的に限定するとともに、訂正事項1における、プラント管理方法に係る請求項1の「記憶ステップ」についての訂正と、実質的に同様の事項で限定して訂正するものであるから、上記(1)ア(イ)と同様の理由により、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否について 上記アのとおり、訂正事項5は、プラント管理プログラムに係る請求項10を訂正するものであって、プラント管理方法に係る請求項1を訂正する訂正事項1と実質的に同様の事項にて訂正するものであるから、訂正事項5は、上記(1)イ、ウと同様の理由により、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項に適合するものである。 5 小括 上記4(1)~(5)のとおり、訂正事項1~5に係る本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 よって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正特許請求の範囲のとおり、本件訂正後の請求項〔1~7〕、8、9、10について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり本件訂正は認められることから、本件特許の請求項1~10に係る発明(以下それぞれ「本件発明1」~「本件発明10」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~10に記載された、以下の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 実空間のプラント設備に関する設計情報に基づいて、コンピュータ上の仮想空間に前記プラント設備の3次元モデルを生成する3次元モデル生成ステップと、 前記プラント設備の状況に関する情報を、撮像装置を用いて撮像された画像から得られる、各画素が有する画像情報として取得する状況画像取得ステップと、 前記画像情報として取得され、前記各画素が有する前記プラント設備の状況に関する情報を、前記画素毎に、前記3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する記憶ステップと、を備え、 前記記憶ステップにおいて、前記撮像装置の撮影地点および撮影方向に関する情報を用いて、前記撮像装置で取得された画像の前記画素の位置と前記3次元モデルの座標の位置とを対応させ、 前記3次元モデルの各位置と対応付けて、対応位置の前記プラント設備の状況に関する情報を記憶する、プラント管理方法。 【請求項2】 実空間のプラント設備に関する設計情報に基づいて、コンピュータ上の仮想空間に前記プラント設備の3次元モデルを生成する3次元モデル生成ステップと、 前記プラント設備の状況に関する情報を、撮像された画像から得られる、各画素が有する画像情報として取得する状況画像取得ステップと、 前記画像情報として取得され、各画素が有する前記プラント設備の状況に関する情報を、前記画素毎に、前記3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する記憶ステップと、 前記3次元モデルおよび前記画素毎の情報に対応する前記プラント設備の対応箇所の状況に関する情報に基づいて、前記プラント設備の劣化をシミュレーションするステップと、 前記シミュレーションした結果に基づいて、前記プラント設備におけるメンテナンスの必要な場所、時期、および内容に関するメンテナンス情報を作成するステップと、 前記作成された前記メンテナンス情報を前記3次元モデルと関連付けて記憶するステップと、 前記メンテナンス情報を前記3次元モデルの対応箇所に表示するステップと、 を備える、プラント管理方法。 【請求項3】 前記プラント設備の状況に関する情報は、前記プラント設備の温度情報、振動情報および流体の漏洩情報、並びに、前記プラント設備の外観に関する情報の少なくとも1つを含む、 請求項1または2に記載のプラント管理方法。 【請求項4】 前記撮像装置は、赤外線カメラおよび可視光カメラの少なくともいずれかである、 請求項1に記載のプラント管理方法。 【請求項5】 記憶されている、前記3次元モデルと、前記3次元モデルの対応箇所と関連づけられている前記プラント設備の状況に関する情報とを取得する関連情報取得ステップと、 前記3次元モデルから、所定の視点位置からの前記プラント設備の画像を生成し、前記プラント設備の状況に関する情報を3次元モデル上の対応位置に重ねて表示する表示ステップと、をさらに備える、 請求項1から4のいずれか一項に記載のプラント管理方法。 【請求項6】 前記3次元モデルおよび前記プラント設備の状況に関する情報に基づいて、前記プラント設備の危険度の情報を作成するステップと、 前記作成された前記危険度の情報を前記3次元モデルと関連付けて記憶するステップと、 前記危険度の情報を前記3次元モデルの対応箇所に表示するステップと、をさらに備える、 請求項1から5のいずれか一項に記載のプラント管理方法。 【請求項7】 前記プラント設備の光景を透過する透過式メガネ型端末のレンズ部に前記プラント設備の状況に関する情報を投射する、投射ステップをさらに備える、 請求項1から6のいずれか一項に記載のプラント管理方法。 【請求項8】 実空間のプラント設備に関する設計情報に基づいて、コンピュータ上の仮想空間に生成された前記プラント設備の3次元モデルを記憶する記憶部と、 前記プラント設備の状況に関する情報を、撮像装置により撮像された画像から得られる、各画素が有する画像情報として取得する取得部と、 前記撮像装置の撮影地点および撮影方向に関する情報を用いて、前記撮像装置で取得された画像上の各画素の位置と前記3次元モデルの座標の位置とを対応させる位置合わせ部と、を備え 前記記憶部は、さらに前記3次元モデルの座標における各位置と対応付けて、前記各画素が有する対応位置の前記プラント設備の状況に関する情報を記憶する、 プラント管理装置。 【請求項9】 実空間のプラント設備の状況に関する情報を、撮像された画像から得られる、各画素が有する画像情報として取得する取得部と、 前記画像情報として取得され、各画素が有する前記プラント設備の状況に関する情報を、前記画素毎に実空間のプラント設備に関する設計情報に基づいてコンピュータ上の仮想空間に生成された前記プラント設備の3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する記憶部と、 前記3次元モデルおよび前記画素毎の情報に対応する前記プラント設備の状況に関する情報に基づいて、前記プラント設備の劣化をシミュレーションするシミュレーション実行部と、 前記シミュレーションした結果に基づいて、前記プラント設備におけるメンテナンスの必要な場所、時期、および内容に関するメンテナンス情報を作成するメンテナンス情報作成部と、 前記メンテナンス情報を前記3次元モデルの対応箇所に表示させる表示部、とを備え 前記記憶部は、さらに前記メンテナンス情報を前記3次元モデルと関連付けて記憶する、 プラント管理装置。 【請求項10】 実空間のプラント設備の状況に関する情報を撮像装置により撮像された画像から得られる、各画素が有する画像情報として取得する処理と、 前記画像情報として取得され、前記各画素が有する前記プラント設備の状況に関する情報を、前記画素毎に、前記プラント設備に関する設計情報に基づいてコンピュータ上の仮想空間に生成された前記プラント設備の3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する処理と、をコンピュータに実行させるプラント管理プログラムであって、 前記記憶する処理は、 前記撮像装置の撮影地点および撮影方向に関する情報を用いて、前記撮像装置で取得された画像の前記画素の位置と前記3次元モデルの座標の位置とを対応させる位置合わせ処理と、 前記3次元モデルの各位置と対応付けて、対応位置の前記プラント設備の状況に関する情報を記憶する処理と、 を含むプラント管理プログラム。」 第4 申立人が主張する申立ての理由について 1 申立書における申立ての理由について 申立人による申立ての理由は、以下のとおり整理することができる。 (1)新規性の欠如 ア 請求項1、8、10 請求項1、8、10に係る発明は、甲第1号証記載の発明、甲第2号証記載の発明、甲第3号証記載の発明、甲第4号証記載の発明又は甲第5号証記載の発明と同一である(申立書第28~31ページの3(4)III(ア)ア-1~ア-4、同第37ページの(ク)、同第37~38ページの(コ))。 イ 請求項2、9 請求項2、9に係る発明は、甲第5号証記載の発明又は甲第6号証記載の発明と同一である(申立書第31~35ページの3(4)III(イ)イ-1~イ-2、同第37ページの(ケ))。 ウ 請求項3、5 請求項3、5に係る発明は、甲第1号証記載の発明又は甲第2号証記載の発明と同一である(申立書第36~37ページの3(4)III(ウ)及び(オ))。 エ 請求項4 請求項4に係る発明は、甲第1号証記載の発明、甲第2号証記載の発明又は甲第5号証に記載の発明と同一である(申立書第36ページの3(4)III(エ))。 オ 請求項6 請求項6に係る発明は、甲第1号証記載の発明又は甲第5号証に記載の発明と同一である(申立書第37ページの3(4)III(カ))。 カ 請求項7 請求項7に係る発明は、甲第2号証に記載の発明と同一である(申立書第37ページの3(4)III(キ))。 (2)進歩性の欠如 ア 請求項1、8、10 請求項1、8、10に係る発明は、甲第1号証記載の発明、甲第2号証記載の発明、甲第3号証記載の発明若しくは甲第4号証記載の発明に基づいて、又は、甲第5号証記載の発明に甲第1~4号証のいずれかに記載の発明を組み合わせることにより、当業者が容易に想到し得たものである(申立書第28~31ページの3(4)III(ア)ア-1~ア-4、同第37ページの(ク)、同第37~38ページの(コ)) イ 請求項2、9 請求項2、9に係る発明は、甲第5号証記載の発明若しくは甲第6号証記載の発明に基づいて、又は、甲第5号証記載の発明と甲第6号証記載の発明とを組み合わせることにより、若しくは、甲第7号証記載の発明と甲第5号証記載の発明や甲第6号証記載の発明とを組み合わせることにより、当業者が容易に想到し得たものである(申立書第31~36ページの3(4)III(イ)イ-1~イ-3、同第37ページの(ケ))。 ウ 請求項3、5 請求項3、5に係る発明は、甲第1号証記載の発明又は甲第2号証記載の発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである(申立書第36~37ページの3(4)III(ウ)及び(オ))。 エ 請求項4 請求項4に係る発明は、甲第1号証記載の発明、甲第2号証記載の発明、甲第5号証に記載の発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである(申立書第36ページの3(4)III(エ))。 オ 請求項6 請求項6に係る発明は、甲第1号証記載の発明又は甲第5号証に記載の発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである(申立書第37ページの3(4)III(カ))。 カ 請求項7 請求項7に係る発明は、甲第2号証に記載の発明に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである(申立書第37ページの3(4)III(キ))。 (3)明確性要件違反 請求項2、9(申立書第38ページの3(4)IV) 2 証拠方法 申立人による証拠方法は、以下の、書証として申立書に添付した甲第1号証~甲第8号証と、申立人意見書に添付した参考資料である。 (1)甲第1号証:特開平7-152984号公報 (2)甲第2号証:特開2008-269310号公報 (3)甲第3号証:特開平9-261621号公報 (4)甲第4号証:特開平8-123946号公報 (5)甲第5号証:特開2012-168799号公報 (6)甲第6号証:特開2013-149042号公報 (7)甲第7号証:特開2001-356813号公報 (8)甲第8号証:特開2009-3517号公報 (「甲第1号証」~「甲第8号証」を、以下それぞれ「甲1」等という。) (9)参考資料:「世界のウェブアーカイブ データ変換.com 点群やメッシュデータから3Dデータにしたい」、令和2年5月24日、インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20200524013425/https://www.data-henkan.com/pointcloud-mesh> 第5 当審より通知した取消理由の概要 取消理由通知における、本件訂正前の請求項1~10に係る特許に対する取消理由の要旨は、以下の1~3のとおりである。 1 理由1 進歩性について(主引用発明:甲4記載の発明) 本件特許の本件訂正前の請求項1、3~8、10に係る発明は、甲4記載の発明、甲5記載の発明及び甲2記載の発明に基づいて(以下の(1)~(2)を参照)、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、3~8、10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (1)請求項1、3~6、8、10 引用した文献:甲4及び甲5 (2)請求項7 引用した文献:甲4、甲5及び甲2 2 理由1 進歩性について(主引用発明:甲5記載の発明) 本件特許の本件訂正前の請求項1~10に係る発明は、甲5記載の発明、甲4記載の発明及び甲2記載の発明に基づいて(以下の(1)~(3)を参照)、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (1)請求項1、3~6、8、10 引用した文献:甲5及び甲4 (2)請求項2~3、9 引用した文献:甲5 (3)請求項7 引用した文献:甲5、甲4及び甲2 3 理由2 明確性要件について 本件特許は、特許請求の範囲の記載が後述の第7の1に示す点で不備のため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 第6 取消理由通知における理由1について 本件訂正後の本件発明1~10について、取消理由通知における理由1(進歩性、上記第5の1~2)を解消しているかについて、以下検討する。 1 本件発明1について (1)本件発明1の認定 本件発明1は、上記第3の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。 (2)甲4に記載された発明の認定 ア 甲4には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付した。以下同様。)。 (ア)特許請求の範囲(請求項4) 「【請求項4】プラント現場に設置されプラント現場の画像情報を得る撮影装置と、この撮影装置の視野方向並びに位置及び視野角を調節する機能を有する駆動部と、この駆動部を制御する駆動制御装置と、この駆動制御装置との通信により前記撮影装置の視野方向並びに位置及び視野角を検出する位置検出手段と、通信により前記駆動制御装置に駆動指令情報を伝達する駆動指令通知手段と、前記撮影装置からの画像情報を画像処理することにより、特定時間内での画像の変化を検出する差分検出手段と、前記差分検出手段により得た画像中の差分発生領域の中心点を計算し、これを駆動情報として、前記駆動指令通知手段に通知する差分発生中心位置計算手段と、前記撮影装置の位置情報を格納する位置データ格納手段と、前記差分検出手段により得られた差分発生量データをもとに異常発生か否かを判定する異常判定手段と、この異常判定手段により判定された結果を表示するための表示装置と、前記異常判定手段による判定内容を表示情報に変換し前記表示装置の表示制御を行う表示制御手段と、プラントの機器配置情報や配管情報を3次元の情報で有し、プラントの3次元グラフィック画像を表示する情報を有するプラント3次元モデル格納手段と、前記位置検出手段から情報を得て異常が発生したと考えられる位置を特定する異常発生位置特定手段と、この異常発生位置特定手段により得た異常発生位置情報を表示情報に変換し、前記表示制御手段に伝達する異常発生位置通知手段と、この異常発生位置特定手段によって得られたプラント現場の異常発生中心位置の情報及び前記プラント3次元モデルの情報に基づいて、前記撮影装置を移動すべき移動先の情報を設定する駆動情報設定手段と、前記駆動情報設定手段により設定された移動先情報を駆動情報として変換し前記駆動指令通知手段に伝達する駆動情報変換手段と、前記異常発生位置特定手段により得られた異常発生位置データを用いて、中央操作室などの集中監視所に設置されている表示装置に表示する画像を提供する撮影装置の選択を行う選択手段と、この選択手段により撮影装置の位置情報によりプラント3次元モデルの該当する視野を計算しそのグラフィック画像を生成するプラント3次元グラフィック生成手段と、前記選択手段により選択された撮影装置の現場の画像と前記プラント3次元グラフィック生成手段により生成されたグラフィック画像とを組み合わせるスーパーインポーズ処理手段と、前記3次元グラフィック画像の視点を操作するための操作手段と、 を備えていることを特徴とするプラント監視装置。」 (イ)明細書(発明の詳細な説明) 「【0026】また第4の発明のプラント監視装置によれば、撮影装置の選択、ズーム量、視野角を、3次元モデルに基づいて算出し、監視画面を調整するとともに、プラント3次元グラフィック像を現場の画像と組合せ、表示する。 【0027】これにより異常発生状況への運転員の対処を迅速に行わせることができる。 【0028】 【実施例】本発明によるプラント監視装置の実施例を図面を参照して説明する。図1に第1の発明によるプラント監視装置の一実施例の構成を示す。この実施例のプラント監視装置は図20に示すプラント監視装置において、プラント3次元モデル格納手段21と、異常発生位置特定手段22と、カメラ駆動情報設定手段34と、カメラ駆動情報変換手段36と、異常発生位置通知手段38とを新たに設けたものである。 【0029】撮影装置であるITVカメラ2はプラント現場に設置されてプラント現場の画像情報を得るのに用いられる。ITVカメラ駆動部4はITVカメラ2の視野方向並びに位置及びカメラレンズの視野角を調節する。カメラ駆動制御装置6はITVカメラ駆動部4を制御する。カメラ位置検出手段8はカメラ駆動装置6との通信によりITVカメラ2の視野方向並びに位置及びカメラレンズの視野角を検出する。カメラ駆動指令通知手段10は通信によりカメラ駆動制御装置6にカメラ2の駆動指令情報を伝達する。差分検出手段12はITVカメラ2からの画像情報を画像処理することにより特定時間内での画像の変化を求め差分発生領域を検出する。差分発生中心位置計算手段14は差分検出手段12によって得られた画像中の差分発生領域の中心点を測定し、これをカメラ駆動情報としてカメラ駆動指令通知手段10に通知する。カメラ位置データ格納手段16はカメラ2の位置情報を格納する。異常判定手段18は差分検出手段12により得られた差分発生量データに基づいて異常発生か否かを判定する。異常判定通知手段20は異常判定手段18による判定結果およびカメラ位置格納手段16からのカメラ2の位置情報をCRT表示制御手段40に送出する。プラント3次元モデル格納手段21はプラントの機器配置情報や配管情報を3次元の情報で有し、かつプラントの3次元グラフィック画像を表示するのに充分なその他の情報をも有する。異常発生位置特定手段22はカメラ位置検出手段8からの情報およびプラント3次元モデル格納手段21からの情報に基づいて異常が発生したと考えられる位置を特定する。カメラ駆動情報設定手段34は異常発生位置特定手段22によって得られたプラント現場の異常発生中心位置の情報およびプラント3次元モデル格納手段21並びにカメラ位置データ格納手段16からの情報に基づいてITVカメラ2を移動すべき移動先の情報を設定する。カメラ駆動情報変換手段36はカメラ駆動情報設定手段34により算出されたITVカメラ2の移動先情報をカメラ駆動情報として変換しカメラ駆動指令通知手段10に送出する。異常発生位置通知手段38は異常発生位置特定手段22により得られた異常発生位置情報を表示情報に変換し、CRT表示制御手段40に送出する。CRT表示制御手段40は異常判定通知手段20および異常発生位置通知手段38からの情報を表示装置であるCRT装置42に表示する。 【0030】次に上記実施例の動作を説明する。 【0031】ITVカメラ2は、プラント現場に設置されプラント現場の画像情報を得るために用いられる。差分検出手段12では、ITVカメラ2からの画像情報を受け取りながら、一定の時間間隔をおいて2枚の静止画像をビットマップに取り込む。これを重ね合わせる処理を行って、その画像情報の間でビット毎の明度の差をとり、この差と面積値を掛け合わせて差分発生量とする。ここでは異常判定を待たずに2枚の画像間の差を取った情報を差分発生中心位置計算手段14に引き渡す。差分発生中心位置計算手段14では差分総和量が規定の値より大きいと判断される場合、異常判定手段18による異常判定をまたずにその画像情報内52(図2(a)参照)で差分発生量の最大値をもつ連続領域54を対象としてその連続領域に接する矩形55の重心位置を算出する(図2(b)参照)。この重心のビット位置と、画像の中心のビット位置とのx-y座標の差をとり、これをカメラの移動量に変換して変換後の値を保存し(図2(c)参照)、またカメラ駆動指令通知手段10に引き渡す。また、差分検出手段12において算出された差分量のデータは、異常判定処理手段18に引き渡され、統計的手法により、正常時の差分総和量の分布からどれだけはずれたのかを示す指標である異常確信度が計算され、これが規定値を越えた場合には異常と判定される。異常判定の結果は異常判定通知手段18に引き渡され、ここでその結果に従ったキャラクタ情報に変換され、CRT表示用データとしてCRT表示制御手段20に渡され、CRT装置42に表示される。 ・・・ 【0040】以上説明したように、中央操作室などの集中監視所において、プラント現場で発生する異常をいち早く検出し、異常の発生箇所を算出し、それをプラント3次元モデルに位置づけることにより、異常発生箇所の特定が可能となる。 ・・・ 【0068】次に第4の発明によるプラント監視装置の一実施例の構成を図17に示す。この実施例のプラント監視装置は図20に示す従来のプラント監視装置において、プラント3次元モデル格納手段21と、異常発生位置特定手段22と、カメラ選択手段30と、ポインティングデバイス31と、プラント3次元グラフィック生成手段32と、スーパーインポーズ処理手段33と、カメラ駆動情報設定手段34と、カメラ駆動情報変換手段36と、異常発生位置通知手段38とを新たに設けたものである。カメラ選択判断手段30、ポインティングデバイス31、プラント3次元グラフィック生成手段32およびスーパーインポーズ処理手段33以外は図1に示す第1の発明の一実施例で説明済のため説明を省略する。 【0069】カメラ選択判断手段30は異常発生位置特定手段22によって得られた異常発生位置データを用いて、中央操作室などの集中監視所に設置されているCRT装置42に表示する画像を提供するITVカメラ2の選択を行う。プラント3次元グラフィック生成手段32はカメラ選択手段30により選択されたITVカメラ2の位置情報によりプラント3次元モデルの該当する視野を計算しそのグラフィック画像を生成する。ポインティングデバイス31は例えばマウス、ジョイステック等であって上記3次元グラフィック画像の視点を操作するものである。スーパーインポーズ処理手段33はカメラ選択手段30により選択されたITVカメラ2の現場リアルタイム画像と前記3次元グラフィック画像とを、現場での異常発生状況が直感的に理解できるように組合せる。 【0070】次に本実施例の動作を説明する。なお異常状態の検出および判定は図1に示す第1の発明の一実施例と同様であるので説明を省略する。 【0071】異常と判定された場合、異常発生位置特定手段22において求められた異常発生中心位置から、カメラ選択手段30により最も近いカメラを選択して、その画像情報を取り込み、再度異常判定を行う。なお正常時にはなんらの処理も行わない。なお、カメラ選択処理の処理手順を図18に示す。この画像情報と異常判定の結果は異常判定手段18から、スーパーインポーズ処理手段33に渡される。 【0072】一方、プラント3次元グラフィック生成手段32では、カメラ選択手段30によって選択されたカメラで、再度の異常判定を行った際のカメラ位置データと、カメラのズーム量データに基づいてプラント3次元モデル格納手段21のデータを用いて該当する視野の3次元グラフィック画像が生成される。また、すでにこの画像を自動で生成した後では、ポインティングデバイス31を使用して、視点を変更した3次元グラフィック画像データを生成し直すことも行う。 【0073】生成された3次元グラフィック画像は、スーパーインポーズ処理手段33により、カメラ選択手段30によって選択されたITVカメラ2の現場リアルタイム画像と組合せられ、現場での異常発生状況が直感的に理解できるように、CRT表示画面の中心部に異常を検出した現場画像が置かれる。そしてその周囲をこの現場画像に連続するように処理されて組み合わされ、異常発生位置通知手段38を通じCRT表示用データとしてCRT表示制御手段40に渡される。CRT表示制御手段40では、スーパーインポーズ処理された画像データを、CRT装置42に信号出力し、CRT装置42でこの画像をみることができる。なおスーパーインポーズ処理の処理手順を図19に示す。 【0074】以上説明したように本実施例によれば、中央操作室などの集中監視所において、プラント現場で発生する異常をいち早く検出し、異常の発生状況を監視するために好適なCRT監視画像を提供するとともに現場に設置されたITVカメラからの画像情報に加えてプラント3次元グラフィック画像を融合することで異常発生状況及び異常発生箇所を多面的に確認することが可能となり、異常発生状況への運転員の対処を迅速に行うことができる。」 (ウ)図面 「【図17】 [図:0001416465000001.jpg] 【図19】 [図:0001416465000002.jpg] 」 イ 上記アの記載から、甲4には、プラント監視装置に関する第4の発明(請求項4、段落【0026】~【0027】、【0068】~【0074】、図17~19、及び、第4の発明の前提となる第1の発明に関する段落【0028】~【0031】等を参照。)として、以下の事項が記載されている、といえる。 (ア)甲4の上記アの各記載から、甲4には、プラント監視装置によりプラントを監視する方法の発明(以下「プラント監視方法」という。)が記載されているといえる。 (イ)甲4に記載されたプラント監視方法は、「プラントの機器配置情報や配管情報を3次元の情報で有し、かつプラントの3次元グラフィック画像を表示するのに充分なその他の情報をも有する」プラント3次元モデル格納手段21を備え(【0029】)、プラント3次元グラフィック生成手段32により「カメラ選択手段30により選択されたITVカメラ2の位置情報によりプラント3次元モデルの該当する視野を計算しそのグラフィック画像を生成する」(【0069】)ことから、 「プラントの機器配置情報や配管情報等の情報(実空間のプラント設備に関する設計情報)に基づいて、コンピュータ上の仮想空間に前記プラント3次元モデル(プラント設備の3次元モデル)を生成するステップ(3次元モデル生成ステップ)」 を備えるといえる。 (ウ)甲4に記載されたプラント監視方法は、「プラント現場に設置されてプラント現場の画像情報を得るのに用いられる」撮影装置であるITVカメラ2を備え(【0029】、【0031】)、差分検出手段12により「ITVカメラ2からの画像情報を画像処理することにより特定時間内での画像の変化を求め差分発生領域を検出」し(【0029】、【0031】)、異常判定手段18により「差分検出手段12により得られた差分発生量データに基づいて異常発生か否かを判定する」(【0029】、【0031】)ことから、 「プラントに異常が発生か否かを判定するための情報(プラント設備の状況に関する情報)を、ITVカメラ2(撮像装置)を用いて撮像された画像から得られる画像情報として得る(取得する)ステップ(状況画像取得ステップ)」 を備えるといえる。 (エ)甲4に記載されたプラント監視方法は、カメラ位置検出手段8により「ITVカメラ2の視野方向並びに位置及びカメラレンズの視野角を検出」し(【0029】)、異常発生位置特定手段22により「カメラ位置検出手段8からの情報およびプラント3次元モデル格納手段21からの情報に基づいて異常が発生したと考えられる位置を特定する」(【0029】)ことから、 「前記ITVカメラ2(撮像装置)の位置(撮影地点)および視野方向(撮影方向)に関する位置情報(情報)を用いて、前記ITVカメラ2(撮像装置)で得られた(取得された)画像の位置と前記プラント3次元モデル(3次元モデル)の位置とを対応させ」ることで、 「前記画像情報として得られた(取得された)前記プラントに異常が発生か否かを判定するための情報(プラント設備の状況に関する情報)を、前記プラント3次元モデル(3次元モデル)の対応箇所に関連付け」るステップを備えるといえる。 このことは、甲4に記載されたプラント監視方法が、カメラ選択手段30により「異常発生位置特定手段22において求められた異常発生中心位置から最も近いカメラを選択し」(【0071】)、プラント3次元グラフィック生成手段32により、カメラ選択手段30によって選択されたカメラの「カメラ位置データと、カメラのズーム量データに基づいてプラント3次元モデル格納手段21のデータを用いて該当する視野の3次元グラフィック画像が生成され」(【0072】)、スーパーインポーズ処理手段33により「生成された3次元グラフィック画像」は「カメラ選択手段30によって選択されたITVカメラ2の現場リアルタイム画像と組合せられ、現場での異常発生状況が直感的に理解できるように、CRT表示画面の中心部に異常を検出した現場画像が置かれ」、「その周囲をこの現場画像に連続するように処理されて組み合わされ、異常発生位置通知手段38を通じCRT表示用データとしてCRT表示制御手段40に渡される」(【0073】)ことで、ITVカメラ2の現場リアルタイム画像と生成された3次元グラフィック画像とが連続するように処理されて組み合わされることからも理解できる。 ウ 上記ア~イから、甲4に記載された事項を本件発明1に合わせて整理すると、甲4には次の発明(以下「甲4発明A」という。)が記載されている、といえる(括弧内に甲4記載の事項に対応する本件発明1の発明特定事項を示す。)。 「プラントの機器配置情報や配管情報等の情報(実空間のプラント設備に関する設計情報)に基づいて、コンピュータ上の仮想空間にプラント3次元モデル(前記プラント設備の3次元モデル)を生成するステップ(3次元モデル生成ステップ)と、 プラントに異常が発生か否かを判定するための情報(プラント設備の状況に関する情報)を、ITVカメラ2(撮像装置)を用いて撮像された画像から得られる画像情報として得る(取得する)ステップ(状況画像取得ステップ)と、 前記画像情報として得られる(取得される)前記プラントに異常が発生か否かを判定するための情報(プラント設備の状況に関する情報)を、前記プラント3次元モデル(3次元モデル)の対応箇所に関連付けるステップとを備え、 前記関連付けるステップにおいて、前記ITVカメラ2(撮像装置)の位置(撮影地点)および視野方向(撮影方向)に関する位置情報(情報)を用いて、前記ITVカメラ2(撮像装置)で得られた(取得された)画像の位置と前記プラント3次元モデル(3次元モデル)の位置とを対応させる、プラント監視方法(プラント管理方法)。」 (3)甲5に記載された発明の認定 ア 甲5には、以下の事項が記載されている。 (ア)明細書(発明の詳細な説明) 「【0016】 図1は、本発明の実施形態に係るプラント監視装置およびプロセスプラント全体の機器構成の例を示した図である。図1に示すように、プロセスプラント100は、複数のプラント機器1と、プラント監視装置2と、設計・保守情報管理装置6と、を含んで構成される。 【0017】 プラント機器1は、プロセスプラント100を直接的に構成する機器を総称したものであり、例えば、反応槽、燃焼炉、ヒータ、貯蔵タンク、タービン、発電機、ポンプ、ボンベ、配管、バルブなどをいう。これらのプラント機器1には、その動作状態を計測するための計測装置11が設けられており、さらに、当該プラント機器1や隣接するプラント機器1の動作状態を制御・変更するための制御装置12が設けられている。 【0018】 ここで、1つのプラント機器1には、多くの場合、少なくとも1つの計測装置11が設けられるが、制御装置12は、例えば、貯蔵タンクや配管など、受動的なプラント機器1には、図1に示したプラント機器1(#2)のように、制御装置12が設けられない場合もある。なお、本実施形態では、バルブは、貯蔵タンクや配管の付属物ではなく、独立したプラント機器1とみなす。 【0019】 プラント機器1に設けられる計測装置11としては、例えば、反応槽内の圧力や温度など、プラント機器1の直接的な動作状態そのものを計測するものの他にも、例えば、タンクや配管などの肉厚を計測するUT(Ultrasonic Testing)プローブ、その振動の大きさなどを計測する加速度ピックアップなどがある。これら後者の計測装置11は、主として、プラント機器1の外観形状や機械的な強度などを計測するものであって、プラント機器1を含むプロセスプラント100全体の安全性や環境保全などを確保するために設けられたものである。 【0020】 なお、本明細書では、プラント機器1の直接的な動作状態そのものではなく、安全性や環境保全などのために設けられた計測装置11を、「プラント機器1の機械的な健全性を計測する計測装置11」と呼び、その具体的な計測装置11の例については、別途、図2を用いて詳しく説明する。 ・・・ 【0025】 さらに、プラント監視装置2は、通信ネットワーク7を介して設計・保守情報管理装置6に接続されている。設計・保守情報管理装置6は、当該プロセスプラント100を構成する各プラント機器1(計測装置11、制御装置12を含む)についての設計図面を蓄積した設計図面DB(Data Base)61と、各プラント機器1の保守の内容を記録した保守履歴図書を蓄積した保守履歴DB62と、を備え、1つまたは複数のコンピュータによって構成される。 ・・・ 【0027】 図2は、プラント機器1の機械的な健全性を計測する計測装置11の具体例を示した図である。図2(a)に示すようにプロセスプラント100の主機には、その外側表面などに、応力測定のための歪ゲージ115や振動測定のための加速度ピックアップ114が設けられ、さらに、その設置場所の周辺部に、動画カメラ111、赤外線カメラ112、マイクロフォン113などが設置される。・・・ ・・・ 【0029】 ここで、作業者は、動画カメラ111の映像から当該プラント機器1の外観の変形状況や破損状況などを知ることができる。また、プラント監視装置2は、例えば、動画カメラ111によって日々取得される当該プラント機器1の外観映像を、その初期導入時の外観映像と比較することによって、その変形量などを計測することができる。従って、プラント監視装置2は、その外観形状の変形量に基づき、当該プラント機器1の異常または異常の予兆を検知することができる。 【0030】 また、プラント監視装置2は、赤外線カメラ112による映像またはそのサーモグラフィ画像から、当該プラント機器1の表面温度やその温度分布などを取得する。そして、その取得された表面温度や温度分布などに基づき、当該プラント機器1が「高温危険」であることを意味する警報を表示したり、その現場周辺に対する立ち入り禁止区域を設定したりすることが可能となる。さらには、外観表面の温度分布画像を定常状態の温度分布画像との相違を表す画像や、外観表面の特定ポイントの温度の経時変化などのデータに基づき、当該プラント機器1の異常または異常の予兆を検知することができる。 ・・・ 【0033】 図3は、記憶装置30に記憶される機器状態実績データ、異常予兆判定データおよび保守ガイド情報の構成の例を示した図である。 【0034】 機器状態実績データ31dは、各プラント機器1の計測装置11によって計測された機器状態データを、その計測日時に対応付けたデータであり、機器状態データ取得部21によって作成され、機器状態実績データ記憶部31に蓄積される。なお、ここでいう機器状態データは、プラント機器1の動作そのものを表す状態データ(例えば、配管内の流体の温度や流速など)だけでなく、プラント機器1の機械的な健全性を表す状態データ(例えば、配管の振動振幅や歪量など)をも含むものとする。 【0035】 図3(a)に示すように、機器状態実績データ31dは、冒頭部の情報(以下、ヘッダ情報という)として「プラント機器名称」、「機器識別番号」、「計測データ名称」を有し、そのヘッダ情報に、「計測日時」と「計測データ」とが対応付けられたデータ、すなわち、当該機器状態データの時系列データが後続する形で構成されている。 【0036】 ここで、「プラント機器名称」は、当該機器状態データが計測された計測装置11が設置されたプラント機器1の名称、「機器識別番号」は、そのプラント機器1を一意に識別する識別情報、「計測データ名称」は、当該機器状態データの名称である。 ・・・ 【0041】 次に、保守ガイド情報35dは、プラント機器1の機器状態データに異常予兆が検知されたとき、その異常予兆に対する保守作業を行うに際して必要となる知識データであり、事前に作業者などの経験や知識に基づき作成され、保守ガイド情報記憶部35に格納(蓄積)されている情報である。 【0042】 図3(c)に示すように、保守ガイド情報35dは、「異常予兆識別番号」、「図面番号」、「履歴図書情報」、「現場注意メッセージ」、「保守アクションメッセージ」などのデータにより構成される。 【0043】 ここで、「図面番号」は、「異常予兆識別番号」で識別される異常予兆の保守作業を行うに際して必要となる設計図面の図面番号、「履歴図書情報」は、当該異常予兆と同じ異常予兆の保守履歴などを記録した文書の所在を表すデータ、「現場注意メッセージ」は、当該異常予兆が生じたプラント機器1の設置現場における作業者に対して注意や警告するメッセージのデータ、「保守アクションメッセージ」は、当該異常予兆に対し、作業者が行うべき保守作業内容を示したデータである。なお、このような「保守アクションメッセージ」は、当該異常予兆に対する保守作業内容が、作業者の経験などに照らして既知であった場合に設定され、不明の場合には空欄であってもよい。 【0044】 なお、図3では、そのデータ構造の説明を省略したが、3次元CAD機器配置情報記憶部33およびプラント機器系統図記憶部34に記憶される情報は、当該プロセスプラント100が設計され、構築されたときに作成済の情報である。従って、そのデータ構造は、その既存のプラント機器系統図編集CADツールや3次元CADツールなどで定められたデータ構造に従うものとする。その場合、3次元CADについては、例えば、IGES(Initial Graphics exchange Specification)など標準化された中間フォーマットに従うとしてもよい。 ・・・ 【0048】 機器異常予兆検知処理部24は、機器状態データ取得部21から送付された機器状態データ、および、機器状態実績データ記憶部31に蓄積されている当該機器状態データの時系列データに基づき、当該機器状態データに関する異常予兆の有無を判定する。 ・・・ 【0050】 図4では、異常予兆の判定対象の機器状態データの例として、配管の表面温度が採られており、その機器状態データ(表面温度)の計測値が上限値80℃を超えたとき、その配管の表面温度が異常であると判定することを想定している。このような異常判定を行うことは、経験的に得られた知識データであり、その知識データは、前記したように、異常予兆判定データ32dの一部に含まれる形で、異常予兆判定データ記憶部32に蓄積されている(図3(b)参照)。 ・・・ 【0065】 図6は、機器異常予兆検知処理部24における機器異常予兆検知処理の処理フローの例を示した図である。図6に示すように、機器異常予兆検知処理部24は、まず、機器状態データ取得部21から送付された機器状態データに対応する異常予兆判定データ32dを取得する(ステップS21)。なお、機器状態データ取得部21から送付される機器状態データには、機器状態実績データ31dおよび異常予兆判定データ32dでいう「プラント機器名称」、「機器識別番号」、「計測データ名称」が含まれているものとする。 ・・・ 【0069】 続いて、異常予兆が検知された場合のプラント監視装置2の動作について、図7~図9を参照して説明する。ここで、図7は、プラント機器系統図上に保守ガイド情報を表示した表示画面の例を示した図、図8は、3次元CAD機器配置画像上に保守ガイド情報を表示した表示画面の例を示した図、図9は、3次元CAD機器配置画像上に保守ガイド情報を表示した表示画面の他の例を示した図である。 【0070】 機器異常予兆検知処理部24によって異常予兆が検知されたときには、検知された異常予兆の異常予兆識別番号を含んだ通知が3次元CAD機器配置画像表示処理部25および保守ガイド情報表示処理部26へ伝達される。 【0071】 保守ガイド情報表示処理部26は、異常予兆検知の通知を受け取ると、異常予兆判定データ記憶部32を参照して、当該異常予兆識別番号に対応する異常予兆判定データ32dを取得し、その異常予兆判定データ32dから異常予兆が生じたプラント機器1のプラント機器名称およびプラント機器識別番号を取得する。また、保守ガイド情報表示処理部26は、保守ガイド情報記憶部35を参照して、当該異常予兆識別番号に対応する保守ガイド情報35dを取得する。 ・・・ 【0074】 なお、図7の表示画面例51の背景として表示されているプラント機器系統図は、プラント機器1の異常や異常予兆の原因を論理的に解析するには極めて有用な情報であるが、作業者がそのプラント機器1の具体的な保守作業を実施するには、必ずしも十分な情報とはいえない。作業者は、当該プラント機器1が設置された現場へ足を運び、そのプラント機器1や計測装置11の様子を調べたり、別の計測装置を持参して、別の機器状態データを取得したりすることが必要となる場合がある。 【0075】 そのような場合に備え、本実施形態では、3次元CAD機器配置画像表示処理部25が設けられている。すなわち、3次元CAD機器配置画像表示処理部25は、機器異常予兆検知処理部24から異常予兆検知の通知を受け取ると、3次元CAD機器配置情報記憶部33を参照して、当該プラント機器1およびその周辺の機器の3次元CAD機器配置情報を抽出し、その3次元CAD機器配置情報に基づく3次元CAD機器配置画像を生成し、表示装置50に表示する。 【0076】 このように3次元CAD機器配置画像表示処理部25が当該プラント機器1およびその周辺のプラント機器1の3次元CAD機器配置画像を表示すると、保守ガイド情報表示処理部26は、保守ガイド情報記憶部35から当該異常予兆識別番号に対応する保守ガイド情報35dを取得し、前記表示された3次元CAD機器配置画像上に、その取得した保守ガイド情報35dを重ねて表示する(図8、図9の表示画面例52,53参照)。 【0077】 例えば、図8の表示画面例52に示すように、「表面温度高:73℃」、「接近注意」などの現場注意メッセージが3次元CAD機器配置画像上に重ねて表示されると、作業者は、プラント機器1の現場の実際の配置状況を知ることができるとともに、その現場で保守作業を行う上での注意メッセージなどを得ることができる。すなわち、作業者は、図8および図9の表示画面例52,53を閲覧することにより、現場に行っていずれが保守対象のプラント機器1であるかを容易に識別することができ、さらには、そのプラント機器1に近付いても安全上問題ないものであるか否かを知ることができる。従って、作業者は、保守作業を安全にかつ効率よく行うことが可能となる。 ・・・ 【0079】 また、異常予兆に対する保守作業が過去の経験で知られている場合には、その保守作業の内容を表す情報が保守ガイド情報35dの保守アクションメッセージ(例えば、「バルブAAの開度を2度上げよ」など)としてあらかじめ保守ガイド情報記憶部35に格納されているので(図3(c)参照)、保守ガイド情報表示処理部26は、その異常予兆が検知されたとき、そのアクションメッセージを図7~図9の表示画面例51,52,53の中に表示する。本実施形態では、このような保守作業の具体的な内容の表示が行われるので、熟練した作業者でなくても容易にその保守作業を行うことが可能となる。」 (イ)図面 「【図1】 [図:0001416465000003.jpg] 【図2】 [図:0001416465000004.jpg] 【図3】 [図:0001416465000005.jpg] 【図8】 [図:0001416465000006.jpg] 【図9】 [図:0001416465000007.jpg] 」 イ 上記アの記載から、甲5には、プラント監視装置2によるプラント監視方法に関して、以下の事項が記載されている、といえる。 (ア)甲5に記載されたプラント監視方法は、3次元CAD機器配置情報記憶部33およびプラント機器系統図記憶部34に「当該プロセスプラント100が設計され、構築されたときに作成済の情報」を記憶し(【0044】)、3次元CAD機器配置画像表示処理部25により「機器異常予兆検知処理部24から異常予兆検知の通知を受け取ると、3次元CAD機器配置情報記憶部33を参照して、当該プラント機器1およびその周辺の機器の3次元CAD機器配置情報を抽出し、その3次元CAD機器配置情報に基づく3次元CAD機器配置画像を生成し、表示装置50に表示する」(【0075】)ものであるから、 「実空間のプロセスプラント100(プラント設備)に関する3次元CAD機器配置情報(設計情報)に基づいて、コンピュータ上の仮想空間に前記プロセスプラント100(プラント設備)の3次元CAD機器配置画像(3次元モデル)を生成するステップ(3次元モデル生成ステップ)」 を備えるといえる。 (イ)甲5に記載されたプラント監視方法は、「動画カメラ111によって日々取得される当該プラント機器1の外観映像を、その初期導入時の外観映像と比較することによって、その変形量などを計測」して「その外観形状の変形量に基づき、当該プラント機器1の異常または異常の予兆を検知」し(【0029】)、また、「赤外線カメラ112による映像またはそのサーモグラフィ画像から、当該プラント機器1の表面温度やその温度分布などを取得」して「外観表面の温度分布画像を定常状態の温度分布画像との相違を表す画像や、外観表面の特定ポイントの温度の経時変化などのデータに基づき、当該プラント機器1の異常または異常の予兆を検知」する(【0030】)ものであるから、 「前記プロセスプラント100(プラント設備)のプラント機器1の異常または異常の予兆(状況)に関する情報を、動画カメラ111又は赤外線カメラ112(撮像装置)を用いて撮像された画像から得られる映像情報又は画像情報(画像情報)として取得するステップ(状況画像取得ステップ)」 を備えるといえる。 (ウ)甲5に記載されたプラント監視方法は、機器状態実績データ記憶部31に「各プラント機器1の計測装置11によって計測された機器状態データを、その計測日時に対応付けた」機器状態実績データ31dを蓄積する(【0034】)ものであって、「機器状態実績データ31dは、ヘッダ情報として「プラント機器名称」、「機器識別番号」、「計測データ名称」を有し、そのヘッダ情報に、「計測日時」と「計測データ」とが対応付けられた時系列データが後続する形で構成され」(【0035】)るところ、上記(イ)の段落【0030】の「外観表面の温度分布画像を定常状態の温度分布画像との相違を表す画像」との記載からみて、計測装置11の「計測データ」には例えば赤外線カメラ112の「画像情報」が含まれることを理解でき、その場合にも「画像情報」は「プラント機器名称」及び「機器識別番号」と関連付けて記憶されていることがわかる。 さらに、甲5に記載されたプラント監視方法は、機器異常予兆検知処理部24により「機器状態データ取得部21から送付された機器状態データ、および、機器状態実績データ記憶部31に蓄積されている当該機器状態データの時系列データに基づき、当該機器状態データに関する異常予兆の有無を判定」し(【0048】、【0065】)、異常予兆が検知された場合に、プラント機器1の「プラント機器名称」及び「機器識別番号」から抽出される3次元CAD機器配置情報に基づいて生成される「3次元CAD機器配置画像」上に、異常予兆に対応した保守ガイド情報35dを重ねて表示(【0069】、【0071】、【0075】~【0077】、図8~9)するものである。 してみると、甲5に記載されたプラント監視方法は、プラント機器名称及び機器識別番号をキーとして、例えば赤外線カメラ112の画像情報を、3次元CAD機器配置画像の対応箇所と対応付けて、機器状態実績データ記憶部31に蓄積するものであるから、 「前記映像情報又は画像情報(画像情報)として取得される前記プロセスプラント100(プラント設備)のプラント機器1の異常または異常の予兆(状況)に関する情報を、前記3次元CAD機器配置画像(3次元モデル)の対応箇所に関連付けて蓄積(記憶)する記憶ステップ」 を備えるといえる。 (エ)甲5に記載されたプラント監視方法は、上記(ウ)及び図8~9からみて、 「前記記憶ステップにおいて、前記動画カメラ111又は赤外線カメラ112(撮像装置)で取得された画像の位置と前記3次元CAD機器配置画像(3次元モデル)の位置とを対応させ、 前記3次元CAD機器配置画像(3次元モデル)の各位置と対応付けて、対応位置の前記プロセスプラント100(プラント設備)のプラント機器1の異常または異常の予兆(状況)に関する情報を記憶する」 ものであるといえる。 ウ 上記ア~イから、甲5に記載された事項を本件発明1に合わせて整理すると、甲5には次の発明(以下「甲5発明A」という。)が記載されている、といえる。 「実空間のプロセスプラント100(プラント設備)に関する3次元CAD機器配置情報(設計情報)に基づいて、コンピュータ上の仮想空間に前記プロセスプラント100(プラント設備)の3次元CAD機器配置画像(3次元モデル)を生成するステップ(3次元モデル生成ステップ)と、 前記プロセスプラント100(プラント設備)のプラント機器1の異常または異常の予兆(状況)に関する情報を、動画カメラ111又は赤外線カメラ112(撮像装置)を用いて撮像された画像から得られる映像情報又は画像情報(画像情報)として取得するステップ(状況画像取得ステップ)と、 前記映像情報又は画像情報(画像情報)として取得される前記プロセスプラント100(プラント設備)のプラント機器1の異常または異常の予兆(状況)に関する情報を、前記3次元CAD機器配置画像(3次元モデル)の対応箇所に関連付けて蓄積(記憶)する記憶ステップと、を備え、 前記記憶ステップにおいて、前記動画カメラ111又は赤外線カメラ112(撮像装置)で取得された画像の位置と前記3次元CAD機器配置画像(3次元モデル)の位置とを対応させ、 前記3次元CAD機器配置画像(3次元モデル)の各位置と対応付けて、対応位置の前記プロセスプラント100(プラント設備)のプラント機器1の異常または異常の予兆(状況)に関する情報を記憶する、プラント監視方法(プラント管理方法)。」 (4)甲4発明Aを主引用発明とした場合の容易想到性 ア 本件発明1と甲4発明Aとの対比 (ア)相当関係 本件発明1と甲4発明Aとを対比する。甲4発明Aにおける「プラントの機器配置情報や配管情報等の情報」は、その内容からみて、本件発明1における「実空間のプラント設備に関する設計情報」に相当し、以下同様に、「プラント3次元モデル」は「プラント設備の3次元モデル」に、「プラント3次元モデルを生成するステップ」は「3次元モデル生成ステップ」に、「プラントに異常が発生か否かを判定するための情報」は「プラント設備の状況に関する情報」に、「ITVカメラ2」は「撮像装置」に、「得る」は「取得する」に、「位置」は「撮影地点」に、「視野方向」は「撮影方向」に、「プラント監視方法」は「プラント管理方法」に、それぞれ相当する。 また、甲4発明Aにおける「プラントに異常が発生か否かを判定するための情報を、ITVカメラ2を用いて画像情報として得るステップ」は、 「プラント設備の状況に関する情報を、撮像装置を用いて撮像された画像から得られる画像情報として取得する状況画像取得ステップ」である限りにおいて、 本件発明1における「前記プラント設備の状況に関する情報を、撮像装置を用いて撮像された画像から得られる、各画素が有する画像情報として取得する状況画像取得ステップ」と一致する。 さらに、甲4発明Aにおける「画像情報として得られるプラントに異常が発生か否かを判定するための情報を、3次元モデルの対応箇所に関連付けるステップ」は、 「画像情報として取得されるプラント設備の状況に関する情報を3次元モデルの対応箇所に関連付けるステップ」である限りにおいて、 本件発明1における「前記画像情報として取得され、前記各画素が有する前記プラント設備の状況に関する情報を、前記画素毎に、前記3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する記憶ステップ」と一致する。 また、当該「関連付けるステップ」に関し、甲4発明Aにおける「ITVカメラ2で得られた画像の位置とプラント3次元モデルの位置とを対応させ」ることは、 「撮像装置で取得された画像の位置と3次元モデルの位置とを対応させ」る限りにおいて、 本件発明1における「撮像装置で取得された画像の画素の位置と3次元モデルの座標の位置とを対応させ」ることと一致する。 (イ)一致点 上記(ア)を踏まえると、本件発明1と甲4発明Aとは、次の一致点で一致する。 <一致点> 「実空間のプラント設備に関する設計情報に基づいて、コンピュータ上の仮想空間に前記プラント設備の3次元モデルを生成する3次元モデル生成ステップと、 前記プラント設備の状況に関する情報を、撮像装置を用いて撮像された画像から得られる画像情報として取得する状況画像取得ステップと、 前記画像情報として取得される前記プラント設備の状況に関する情報を、前記3次元モデルの対応箇所に関連付けるステップと、を備え、 前記関連付けるステップにおいて、前記撮像装置の撮影地点および撮影方向に関する情報を用いて、前記撮像装置で取得された画像の位置と前記3次元モデルの位置とを対応させる、プラント管理方法。」 (ウ)相違点 一方、本件発明1と甲4発明Aとは、次の相違点1~2で相違する。 A 相違点1 状況画像取得ステップにおける、プラント設備の状況に関する情報を取得するための、撮像装置を用いて撮像された画像から得られる画像情報に関して、 本件発明1においては、「各画素が有する」ものであるのに対し、 甲4発明Aにおいては、そうしたものか不明である点。 B 相違点2 プラント設備の状況に関する情報を3次元モデルにおける対応箇所に関連付けるステップに関し、 本件発明1においては、「記憶ステップ」として、「撮像装置で取得された画像の画素の位置と3次元モデルの座標の位置とを対応させ」ることで「各画素が有するプラント設備の状況に関する情報を、画素毎に、3次元モデルの座標における対応箇所に関連付け」、さらに「画素毎に、3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する」ことで、「3次元モデルの各位置と対応付けて、対応位置のプラント設備の状況に関する情報を記憶する」のに対し、 甲4発明Aにおいては、ITVカメラ2で得られた画像の「画素の位置」とプラント3次元モデルの「座標の位置」とを対応させることで、「各画素」が有するプラントに異常が発生か否かを判定するための情報を、「画素毎に」、プラント3次元モデルの「座標における対応箇所」に関連付けているとはいえず、さらに、「画素毎」に、プラント3次元モデルの「座標における」各位置と対応付けて、対応位置のプラントに異常が発生か否かを判定するための情報を「記憶」しているともいえない点。 イ 相違点についての判断 事案に鑑み、相違点2について検討する。 (ア)甲5には、上記(3)ウに示したように、「プロセスプラント100のプラント機器1の異常または異常の予兆に関する情報を、動画カメラ111又は赤外線カメラ112を用いて撮像された画像から得られる映像情報又は画像情報として取得するステップ」と、「動画カメラ111又は赤外線カメラ112を用いて映像情報又は画像情報として取得されたプロセスプラント100のプラント機器1の異常または異常の予兆に関する情報を、3次元CAD機器配置画像の対応箇所に関連付けて蓄積する記憶ステップ」とを含む、甲5発明Aが記載されている。そして、一般的に、撮像される画像は、画素の集まりとして構成されているといえるから、甲4発明A及び甲5発明Aにおいても、撮像された画像から得られる画像情報は、各画素が有する画像情報の集まりとして構成されるものであると解される。 しかしながら、甲5発明Aにおいても、記憶ステップにおいて「各画素が有する」情報を、「画素毎に」、3次元CAD機器配置画像の「座標」における対応箇所に関連付けて記憶しているとはいえない。 すなわち、取消理由通知に示したように、プラントを監視するにあたり、過去のデータを蓄積して異常予兆の判定に用いるようにしたいとの課題は甲5に記載されるように周知の課題であって、甲4発明Aにも内在する課題であるといえることから、甲4発明Aに甲5に記載された事項を適用し、プラント3次元モデルの各位置と対応付けて、対応位置のプラントに異常が発生か否かを判定するための情報を記憶すること自体は、当業者が容易に想到し得たとまではいえる。しかしながら、甲4発明Aは、監視画面を調整するとともに、プラント3次元グラフィック像を現場の画像と組合せ、表示することで、異常発生状況への運転員の対処を迅速に行わせることを目的とするもの(甲4の段落【0026】~【0027】)であるから、甲5に記載された事項を適用することができたとしても、当該組み合わせて表示した画像を記憶することを想到し得るにすぎず、上記相違点2に係る本件発明1のように、「各画素が有する」情報を、「画素毎に」、プラント3次元モデルの「座標」における対応箇所に関連付けて記憶することまでを想到し得たとは、いうことができない。 (イ)一方、本件発明1は、「プラント管理にデジタルツイン技術を用いる場合、例えば機器の振動状態や温度状態を振動センサや温度センサを用いて取り込む場合には、測定点での情報しか取得することができない。多くのデータを取得したい場合には、多数のセンサを配置する必要があり、コストが上昇することなどにより、実現するには困難を伴う。一方、センサが少ない場合には、得られる情報が少なく、シミュレーションの精度を上げるのは困難であるという問題点があった。」(本件明細書の段落【0006】)との課題を解決するため、「撮像装置の撮影地点および撮影方向に関する情報を用いて、撮像装置で取得された画像の画素の位置と3次元モデルの座標の位置とを対応させ」、「画像情報として取得され、各画素が有するプラント設備の状況に関する情報を、画素毎に、3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する」との構成を採用するものであって、その結果、「プラント設備Pの状況に関する情報(状況情報)を状況画像として取得するため、プラント設備Pの状況に関する情報を検出する多数のセンサを配置する場合と比較して安価に多くの状況画像を取得することができる。これにより、コストの上昇を抑えることが可能となる。また、一度に多量の状況情報をデータとしてプラントの3次元モデルに取り込むことが可能となり、プラント設備Pの運転シミュレーションや劣化シミュレーション等、各種シミュレーションの精度を向上させることができる。」(段落【0052】)等の効果を奏するものであることが理解できる。 (ウ)また、申立人により提出された他の証拠方法である、甲1~甲3、甲6~甲8、参考資料のいずれにも、撮像された画像情報からプラント設備の状況に関する情報を取得すること自体が記載されておらず、そのため、撮像装置で取得された画像の「画素の位置」と3次元モデルの「座標の位置」とを対応させること、さらには、「画像情報として取得され、各画素が有するプラント設備の状況に関する情報を、画素毎に、3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する」ことも、当然に想起させるものであるとはいえない。 すなわち、甲1(申立書第25、28~29ページ及び申立人意見書第6ページを併せて参照。)においては、「配置設計データベース32とITVカメラ30の撮影データとを用いて、ITVカメラ30の画像に対応する3次元画像、すなわち撮影された実画像と同じ場面を表わす3次元画像を生成するとともに、診断結果解析処理部35からのデータにより異常部位をハイライト化する3次元画像生成部36」(段落【0018】)を備え、「3次元画像上の異常部位名称に対応する部分の表示色をブリンクさせる処理を行」い、「このブリンク部分とITVカメラ30からの画像との重ね合せ表示処理を異常部位画像合成部40にて行う」ことで、「ユーザがITV画像に着目したとき、あたかも異常部位をITV画像に直接示しているように表示」(段落【0022】)するプラント監視装置が記載されるものの、診断結果解析処理部35による異常部位の診断に用いられるデータは、「プラントのプロセスデータや異常の有無を検出するセンサを含む、本装置外の診断システム54からの情報」(段落【0021】)であり、その情報をITVカメラ30により撮像された画像に重ね合せ表示するものであって、ITVカメラ30により撮像された画像から、本件発明1における「プラント設備の状況に関する情報」に相当する情報を取得することについては、開示も示唆もない。 甲2(申立書第25、29ページを併せて参照。)においては、「位置・方向検出装置であるジャイロコンパスと作業者の視線の方向の撮影を行うデジタルカメラを含む検出および撮影装置1」により、「プラントなどの保全作業者が向いている方向、頭の傾き、など作業者の視線がどの方向を向いているかを検知し、必要に応じて撮影を行」(段落【0024】)い、「HUD(ヘッドアップディスプレイ)やHMD(ヘルメットマウンテッドディスプレイ)などを含む3Dデータ表示端末3」に「位置・方向データから作業者が見ているはずの3D画像を計算し、必要な情報も付加して、作業者を支援しているオペレータのコンピュータ画面や作業者の情報端末に転送表示を行」い、3Dデータ表示端末3に3D画像3aを表示する(段落【0026】)プラント保守支援システムが記載されるものの、撮影装置1により撮像された画像から、本件発明1における「プラント設備の状況に関する情報」に相当する情報を取得することについては、開示も示唆もない。 甲3(申立書第25~26、29~30ページを併せて参照。)においては、「監視対象である工場やプラントなどの実際の現場を撮像する撮像装置2」及び「撮像装置2によって撮像された監視対象の撮像画像の表示が行われる表示装置3」を備えた監視装置(段落【0029】)において、表示装置3の表示画面21に撮像装置2で撮像された撮像画像22が表示された状態で、監視作業者が表示部分領域指示操作部10を用いてその撮像画像22が表示されている表示装置3の表示画面21上に、監視対象物24を指示するための表示部分領域23を指示すると、撮像部分領域26と各撮像パラメータを用いて、撮像対象モデル27内での撮像投影面28を配置してモデル部分領域29の算出を行い(段落【0033】)、監視対象モデル30を抽出し、監視対象モデル30に対応する実際の現場の監視対象物24を認識し、その監視対象物24の監視情報を表示制御処理部11を介して表示装置3に出力して、当該監視対象モデル30に関する監視情報を表示装置3に表示する(段落【0034】)ことは記載されるものの、撮影装置2の画像から、本件発明1における「プラント設備の状況に関する情報」に相当する情報を取得することについては、開示も示唆もない。 甲6(申立書第27、33~35ページを併せて参照。)においては、「カメラ付端末12が撮影した実画像及び三次元点群データに基づき、カメラの位置や姿勢を算出し、保守管理対象となる実画像中の機器に対応する機器のCADデータの表示画像及び機器に収容された内容物のCADデータの表示画像を実画像とともに画面に表示し、さらに内容物の保守管理データの表示画像を画面に表示する」(段落【0030】)設備保守管理システム10であって、「カメラ付端末12は、保守管理作業者が保持する端末であり、例えば、プラント内の設備などの対象物を撮影し」(段落【0031】)し、「カメラ14が撮影して生成した実画像データを保守管理サーバ26に出力」(段落【0033】)し、表示部18で「機器(ベッセル)の実画像に重ねて、機器のCADデータの表示画像を表示する」(段落【0041】)ために、「実画像データから、機器のCADデータの表示画像の生成を、実画像の特徴的な場所(機器のエッジ部)と三次元点群データとのマッチングを行うことで実現する」(段落【0042】)ことは記載されるものの、カメラ14により撮像された画像から、本件発明1における「プラント設備の状況に関する情報」に相当する情報を取得することについては、開示も示唆もない。段落【0068】には「保守管理データは、内容物となるエレメントの製造番号、設置日、使用期限、つまり度(圧力損失)、評価等を表したものである。また、つまり度や評価等は、エレメントに印加される原水の圧力やベッセルに配置されたエレメントの位置等に基づいて、保守管理サーバ26によるシミュレーションにより算出されている。」と記載はされるものの、カメラ14により撮像された画像に基づくデータとは認められない。 さらに、甲7(申立書第27、35~36ページを併せて参照。)、甲8(申立書第33ページを併せて参照。)、参考文献(申立人意見書第5ページを併せて参照。)のいずれにも、撮像された画像情報からプラント設備の状況に関する情報を取得すること自体、記載も示唆もされていない。 してみると、甲1~甲3、甲6~甲8、参考資料のいずれにも、撮像された画像情報からプラント設備の状況に関する情報を取得すること自体が記載されておらず、当然に、撮像装置で取得された画像の「画素の位置」と3次元モデルの「座標の位置」とを対応させることで、「画像情報として取得され、各画素が有するプラント設備の状況に関する情報を、画素毎に、3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する」ことも、開示も示唆もされていないことから、甲4発明Aに甲1~甲3、甲6~甲8、参考資料のいずれかに記載された技術的事項を適用し得たとしても、上記相違点2に係る本件発明1のようにすることは、当業者が容易に想到し得たということができない。 ウ 小括 したがって、本件発明1は、他の相違点1を検討するまでもなく、甲4発明Aを主引用発明として、甲5に記載された技術的事項、又は、甲1~甲3、甲6~甲8若しくは参考資料のいずれかに記載された技術的事項を適用したとしても、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (5)甲5発明Aを主引用発明とした場合の容易想到性 ア 本件発明1と甲5発明Aとの対比 (ア)相当関係 本件発明1と甲5発明Aとを対比する。甲5発明Aにおける「プロセスプラント100」は、その内容からみて、本件発明1における「プラント設備」に相当し、以下同様に、「3次元CAD機器配置情報」は「設計情報」に、「3次元CAD機器配置画像」は「3次元モデル」に、「3次元CAD機器配置画像を生成するステップ」は「3次元モデル生成ステップ」に、「プラント機器1の異常または異常の予兆に関する情報」は「プラント設備の状況に関する情報」に、「動画カメラ111又は赤外線カメラ112」は「撮像装置」に、「映像情報又は画像情報」は「画像情報」に、「蓄積する」は「記憶する」に、「プラント監視方法」は「プラント管理方法」に、それぞれ相当する。 また、甲5発明Aにおける「プロセスプラント100のプラント機器1の異常または異常の予兆に関する情報を、動画カメラ111又は赤外線カメラ112を用いて撮像された画像から得られる映像情報又は画像情報として取得するステップ」は、 「プラント設備の状況に関する情報を、撮像装置を用いて撮像された画像から得られる画像情報として取得する状況画像取得ステップ」である限りにおいて、 本件発明1における「前記プラント設備の状況に関する情報を、撮像装置を用いて撮像された画像から得られる、各画素が有する画像情報として取得する状況画像取得ステップ」と一致する。 さらに、甲5発明Aにおける「映像情報又は画像情報として取得されるプロセスプラント100のプラント機器1の異常または異常の予兆に関する情報を、3次元CAD機器配置画像の対応箇所に関連付けて蓄積する記憶ステップ」は、 「画像情報として取得されるプラント設備の状況に関する情報を、3次元モデルにおける対応箇所に関連付けて記憶する記憶ステップ」である限りにおいて、 本件発明1における「前記画像情報として取得され、前記各画素が有する前記プラント設備の状況に関する情報を、前記画素毎に、前記3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する記憶ステップ」と一致する。 また、当該「記憶ステップ」に関し、甲5発明Aにおける「動画カメラ111又は赤外線カメラ112で取得された画像の位置と3次元CAD機器配置画像の位置とを対応させ」ることは、 「撮像装置で取得された画像の位置と3次元モデルの位置とを対応させ」る限りにおいて、 本件発明1における「前記撮像装置の撮影地点および撮影方向に関する情報を用いて、撮像装置で取得された画像の画素の位置と3次元モデルの座標の位置とを対応させ」ることと一致する。 (イ)一致点 上記(ア)を踏まえると、本件発明1と甲5発明Aとは、次の一致点で一致する。 <一致点> 「実空間のプラント設備に関する設計情報に基づいて、コンピュータ上の仮想空間に前記プラント設備の3次元モデルを生成する3次元モデル生成ステップと、 前記プラント設備の状況に関する情報を、撮像装置を用いて撮像された画像から得られる画像情報として取得する状況画像取得ステップと、 前記画像情報として取得される前記プラント設備の状況に関する情報を、前記3次元モデルの対応箇所に関連付けて記憶する記憶ステップと、を備え、 前記記憶ステップにおいて、前記撮像装置で取得された画像の位置と前記3次元モデルの位置とを対応させ、 前記3次元モデルの各位置と対応付けて、対応位置の前記プラント設備の状況に関する情報を記憶する、プラント管理方法。」 (ウ)相違点 一方、本件発明1と甲5発明Aとは、次の相違点3~4で相違する。 A 相違点3 状況画像取得ステップにおける、プラント設備の状況に関する情報を取得するための、撮像装置を用いて撮像された画像から得られる画像情報に関して、 本件発明1においては、「各画素が有する」ものであるのに対し、 甲5発明Aにおいては、そうしたものか不明である点。 B 相違点4 記憶ステップに関して、 本件発明1においては、「撮像装置の撮影地点および撮影方向に関する情報を用いて、撮像装置で取得された画像の画素の位置と3次元モデルの座標の位置とを対応させ」ることで「各画素が有するプラント設備の状況に関する情報を、画素毎に、3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する」のに対し、 甲5発明Aにおいては、プロセスプラント100のプラント機器1の異常または異常の予兆に関する情報を、3次元CAD機器配置画像の対応箇所に関連付けるにあたり、プラント機器名称及び機器識別番号を用いる(上記(3)イ(ウ))ものであって、動画カメラ111又は赤外線カメラ112の「撮影地点および撮影方向に関する情報」を用いて、動画カメラ111又は赤外線カメラ112で取得された画像の「画素の位置」と3次元CAD機器配置画像の「座標の位置」とを対応させて、「各画素」が有するプラント設備の状況に関する情報を、「画素毎」に、3次元CAD機器配置画像の「座標」における対応箇所に関連付けて記憶するものではない点。 イ 相違点についての判断 事案に鑑み、相違点4について検討する。 (ア)上記(4)ア(ウ)Bに相違点2として示したように、甲4においても、ITVカメラ2で得られた画像の「画素の位置」とプラント3次元モデルの「座標の位置」とを対応させることで、「各画素」が有するプラントに異常が発生か否かを判定するための情報を、「画素毎に」、プラント3次元モデルの「座標における対応箇所」に関連付けているとはいえず、さらに、「画素毎」に、プラント3次元モデルの「座標における」各位置と対応付けて、対応位置のプラントに異常が発生か否かを判定するための情報を「記憶」しているともいえない。 そのため、甲5発明Aに甲4に記載された技術的事項を適用したとしても、上記相違点4に係る本件発明1のように、画像の「画素の位置」と3次元CAD機器配置画像の「座標の位置」とを対応させ、「各画素が有する」情報を「画素毎に」3次元CAD機器配置画像の「座標」における対応箇所に関連付けて記憶することを想到し得たとは、いうことができない。 (イ)また、上記(4)イ(ウ)と同様の理由により、甲5発明Aに甲1~甲3、甲6~甲8、参考資料のいずれかに記載された技術的事項を適用し得たとしても、上記相違点4に係る本件発明1のようにすることは、当業者が容易に想到し得たということができない。 ウ 小括 したがって、本件発明1は、他の相違点1を検討するまでもなく、甲5発明Aを主引用発明として、甲4に記載された技術的事項、又は、甲1~甲3、甲6~甲8若しくは参考資料のいずれかに記載された技術的事項を適用したとしても、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (6)本件発明1についてのまとめ 以上のとおり、本件特許の本件発明1は、甲4発明A及び甲5に記載された技術的事項又は甲1~甲3、甲6~甲8若しくは参考文献に記載された技術的事項に基づいて、並びに、甲5発明A及び甲4に記載された技術的事項又は甲1~甲3、甲6~甲8若しくは参考文献に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 2 本件発明2について (1)本件発明2の認定 本件発明2は、上記第3の請求項2に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。 (2)甲5に記載された発明の認定 ア 甲5には、上記1(3)ア~ウに示した事項のほか、以下の事項についても記載されている、といえる。 (ア)甲5に記載されたプラント監視方法は、機器異常予兆検知処理部24により「機器状態データ取得部21から送付された機器状態データ、および、機器状態実績データ記憶部31に蓄積されている当該機器状態データの時系列データに基づき、当該機器状態データに関する異常予兆の有無を判定する」(【0048】)ものであって、「機器状態データ取得部21から送付される機器状態データには、機器状態実績データ31dおよび異常予兆判定データ32dでいう「プラント機器名称」、「機器識別番号」、「計測データ名称」が含まれ」(【0065】)、また上記1(3)イ(ウ)に示した点を加味すれば、 「前記3次元CAD機器配置画像(3次元モデル)および前記プロセスプラント100(プラント設備)のプラント機器1の異常または異常の予兆(状況)に関する情報に基づいて、前記プロセスプラント100(プラント設備)の異常予兆の有無を判定する(劣化をシミュレーションする)ステップ」 を備えるといえる(なお、甲5の段落【0050】等、図4には、配管の表面温度に基づいて異常予兆の判定する例が記載され、当該情報が劣化とは異なるとしても、段落【0027】~【0030】には、計測装置11として、表面温度を取得するための赤外線カメラ112(【0030】)のほか、プラント機器1の外観の変形状況や破損状況を取得するための動画カメラ111(【0029】)も記載されており、後者の場合、異常予兆として「劣化状況」を取得するものであるといえる。)。 (イ)甲5に記載されたプラント監視方法は、保守ガイド情報記憶部35に「保守アクションメッセージ」を含む保守ガイド情報35dが格納され(【0041】~【0043】、図3(c))、異常予兆が検知されたとき、保守ガイド情報表示処理部26により「保守ガイド情報記憶部35から当該異常予兆識別番号に対応する保守ガイド情報35dを取得し」(【0076】)、保守アクションメッセージ(例えば、異常予兆が検知されたとき、段落【0079】及び図3(c)の「バルブAAの開度を2度上げよ」など、保守アクションの必要な場所、時期、内容に関する保守ガイド情報35d。)を表示画面例52,53の中に表示する(【0079】、図8~9)ことから、 「異常予兆の検知(シミュレーションした結果)に基づいて、前記プロセスプラント100(プラント設備)における保守アクション(メンテナンス)の必要な場所、時期、内容に関する保守ガイド情報35d(メンテナンス情報)を保守ガイド情報記憶部35から取得するステップ」 を備えるといえる(なお、甲5には、保守アクションに時期が含まれることは明記されていないものの、異常予兆が検知されたとき、即時に保守が必要であるかなど、保守ガイド情報が保守の時期を含むことは明らかである。)。 (ウ)甲5に記載されたプラント監視方法は、3次元CAD機器配置画像表示処理部25により「当該プラント機器1およびその周辺のプラント機器1の3次元CAD機器配置画像を表示」し、保守ガイド情報表示処理部26により「保守ガイド情報記憶部35から当該異常予兆識別番号に対応する保守ガイド情報35dを取得し、前記表示された3次元CAD機器配置画像上に、その取得した保守ガイド情報35dを重ねて表示する」(【0076】、【0079】、図8、9)ことから、 「前記保守ガイド情報35d(メンテナンス情報)を前記3次元CAD機器配置画像(3次元モデル)の対応箇所に表示するステップ」 を備えるといえる。 イ 上記ア及び上記1(3)ア~ウから、甲5に記載された事項を本件発明2に合わせて整理すると、甲5には次の発明(以下「甲5発明B」という。)が記載されている、といえる。 「実空間のプロセスプラント100(プラント設備)に関する3次元CAD機器配置情報(設計情報)に基づいて、コンピュータ上の仮想空間に前記プロセスプラント100(プラント設備)の3次元CAD機器配置画像(3次元モデル)を生成するステップ(3次元モデル生成ステップ)と、 前記プロセスプラント100(プラント設備)のプラント機器1の異常または異常の予兆(状況)に関する情報を、撮像された画像から得られる映像情報又は画像情報(画像情報)として取得するステップ(状況画像取得ステップ)と、 前記映像情報又は画像情報(画像情報)として取得された前記プロセスプラント100(プラント設備)のプラント機器1の異常または異常の予兆(状況)に関する情報を、前記3次元CAD機器配置画像(3次元モデル)の対応箇所に関連付けて蓄積(記憶)する記憶ステップと、 前記3次元CAD機器配置画像(3次元モデル)および前記プロセスプラント100(プラント設備)のプラント機器1の異常または異常の予兆(状況)に関する情報に基づいて、前記プロセスプラント100(プラント設備)の異常予兆の有無を判定する(劣化をシミュレーションする)ステップと、 異常予兆の検知(シミュレーションした結果)に基づいて、前記プロセスプラント100(プラント設備)における保守アクション(メンテナンス)の必要な場所、時期、内容に関する保守ガイド情報35d(メンテナンス情報)を保守ガイド情報記憶部35から取得するステップと、 前記保守ガイド情報35d(メンテナンス情報)を前記3次元CAD機器配置画像(3次元モデル)の対応箇所に表示するステップと、 を備える、プラント監視方法(プラント管理方法)。」 (3)本件発明2と甲5発明Bとの対比 本件発明2と甲5発明Bとを対比すると、以下の相違点5~8の点で相違し、その余の点で一致する。 ア 相違点5 状況画像取得ステップにおける、プラント設備の状況に関する情報を取得するための、撮像された画像から得られる画像情報に関して、 本件発明2においては、「各画素が有する」ものであるのに対し、 甲5発明Bにおいては、そうしたものか不明である点。 イ 相違点6 記憶ステップに関して、 本件発明2においては、「各画素が有するプラント設備の状況に関する情報を、画素毎に、3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する」のに対し、 甲5発明Bにおいては、プロセスプラント100のプラント機器1の異常または異常の予兆に関する情報を、3次元CAD機器配置画像の対応箇所に関連付けるにあたり、プラント機器名称及び機器識別番号を用いる(上記1(3)イ(ウ))ものであって、「各画素」が有するプラント設備の状況に関する情報を、「画素毎」に、3次元CAD機器配置画像の「座標」における対応箇所に関連付けて記憶するものではない点。 ウ 相違点7 劣化をシミュレーションするステップにおいて用いられるプラント設備の対応箇所の状況に関する情報に関して、 本件発明2においては、画素毎の情報に対応するものであるのに対し、 甲5発明Bにおいては、画素毎の情報に対応するものであるか不明である点。 エ 相違点8 本件発明2においては、 「メンテナンス情報を作成するステップと、 作成されたメンテナンス情報を3次元モデルと関連付けて記憶するステップと」を備えるのに対し 甲5発明Bにおいては、 「保守アクションメッセージを含む保守ガイド情報35dを保守ガイド情報記憶部35から取得するステップ」を備えるものの、新たな保守アクションメッセージ等を含む保守ガイド情報35dを作成し、保守ガイド情報記憶部35に記憶するか、不明である点。 (4)相違点についての判断 事案に鑑み、相違点6について検討する。 相違点6は、上記1(5)ア(ウ)Bに示した相違点4と実質的に同じであるから、上記1(5)イで検討した理由と同様に、甲5発明Bに甲4に記載の技術的事項を適用したとしても、また、甲5発明Bに甲1~甲3、甲6~甲8若しくは参考資料のいずれかに記載された技術的事項を適用したとしても、相違点6に係る本件発明2のようにすることは、当業者が容易に想到し得たということができない。 (5)本件発明2についてのまとめ 以上のとおり、他の相違点を検討するまでもなく、本件特許の本件発明2は、甲5発明B及び甲1~甲4、甲6~甲8若しくは参考文献に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件特許の請求項2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 3 本件発明3~7について 本件発明3~7は、いずれも、本件発明1又は2を引用するものであるから、本件発明1及び2と同様の理由により、甲4発明A及び甲1~甲3、甲5~甲8若しくは参考文献に記載された技術的事項に基づいて、甲5発明A及び甲1~甲4、甲6~甲8若しくは参考文献に記載された技術的事項に基づいて、又は、甲5発明B及び甲1~甲4、甲6~甲8若しくは参考文献に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件特許の請求項3~7に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 4 本件発明8について 本件発明8は、プラント管理装置に係る発明であって、プラント管理方法に係る本件発明1と実質的に発明のカテゴリーのみが異なるものである。 そして、甲4には、方法の発明である甲4発明Aとともに、対応する装置の発明(以下「甲4発明B」という。)も記載されるものの、本件発明8と甲4発明Bとを対比すると、少なくとも相違点2と同様の相違点を有するといえるから、本件発明8は、本件発明1と同様の理由により、甲4発明B及び甲1~甲3、甲5~甲8若しくは参考文献に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 また、甲5には、方法の発明である甲5発明Aとともに、対応する装置の発明(以下「甲5発明C」という。)も記載されるものの、本件発明8と甲5発明Cとを対比すると、少なくとも相違点4と同様の相違点を有するといえるから、本件発明8は、本件発明1と同様の理由により、甲5発明C及び甲1~甲4、甲6~甲8若しくは参考文献に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 したがって、本件特許の請求項8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 5 本件発明9について 本件発明9は、プラント管理装置に係る発明であって、プラント管理方法に係る本件発明2と実質的に発明のカテゴリーのみが異なるものである。 そして、甲5には、方法の発明である甲5発明Bとともに、対応する装置の発明(以下「甲5発明D」という。)も記載されるものの、本件発明9と甲5発明Dとを対比すると、少なくとも相違点6と同様の相違点を有するといえるから、本件発明9は、本件発明2と同様の理由により、甲5発明D及び甲1~甲4、甲6~甲8若しくは参考文献に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 したがって、本件特許の請求項9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 6 本件発明10について 本件発明10は、プラント管理プログラムに係る発明であって、プラント管理方法に係る本件発明1と実質的に発明のカテゴリーのみが異なるものである。 そして、甲4には、方法の発明である甲4発明Aとともに、対応するプログラムの発明(以下「甲4発明C」という。)も記載されるものの、本件発明10と甲4発明Cとを対比すると、少なくとも相違点2と同様の相違点を有するといえるから、本件発明10は、本件発明1と同様の理由により、甲4発明C及び甲1~甲3、甲5~甲8若しくは参考文献に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 また、甲5には、方法の発明である甲5発明Aとともに、対応するプログラムの発明(以下「甲5発明E」という。)も記載されるものの、本件発明10と甲5発明Eとを対比すると、少なくとも相違点4と同様の相違点を有するといえるから、本件発明10は、本件発明1と同様の理由により、甲5発明E及び甲1~甲4、甲6~甲8若しくは参考文献に記載された技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 したがって、本件特許の請求項10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 第7 取消理由通知における理由2について 本件訂正後の本件発明2~3、5~7、9について、取消理由通知における理由2(明確性要件(上記第5の3))を解消しているかについて、以下検討する。 1 取消理由通知にて指摘した事項 (1)本件訂正前の請求項2について 請求項2において「前記プラント設備におけるメンテナンスの必要な場所、時期、内容に関するメンテナンス情報を作成するステップ」と特定されるところ、メンテナンス情報は、 ア 場所、時期、内容のうち、少なくとも1つの情報を含むことを意図しているのか、 イ 場所、時期及び内容の全ての情報を含むことを意図しているのか、 当該記載から明確に特定することができない。 (2)本件訂正前の請求項3、5~7、9について 請求項2の記載を直接的又は間接的に引用する請求項3、5~7、及び、請求項2の上記(1)と同様の記載で特定される請求項9についても、上記(1)と同様に発明を明確に特定することができない。 2 本件訂正後の本件発明2~3、5~7、9について 本件訂正により、請求項2、9における「メンテナンスの必要な場所、時期、内容に関するメンテナンス情報」との記載は、「メンテナンスの必要な場所、時期、および内容に関するメンテナンス情報」と訂正され、メンテナンス情報が「場所」、「時期」及び「内容」の全ての情報を含んでいることが明確となった。 したがって、本件特許は、特許請求の範囲の記載に不備があるとはいえず、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえない。 第8 申立人が主張するその他の申立ての理由について 申立人による申立ての理由(上記第4の1)のうち、上記第6~第7にて検討した以外の、その他の申立ての理由等について、以下検討する。 1 甲1、甲2又は甲3に記載された発明を主引用発明とする新規性・進歩性の欠如(請求項1、3~8、10) (1)上記第6の1(4)イ(ウ)に示したように、甲1、甲2又は甲3のいずれにも、撮像された画像情報からプラント設備の状況に関する情報を取得すること自体が記載されておらず、そのため、撮像装置で取得された画像の「画素の位置」と3次元モデルの「座標の位置」とを対応させること、さらには、「画像情報として取得され、各画素が有するプラント設備の状況に関する情報を、画素毎に、3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する」ことについて、記載も示唆もされていない。 したがって、本件発明1、3~8、10は、甲1、甲2又は甲3に記載された発明であるといえないから、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当せず、本件特許の請求項1、3~8、10に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 (2)また、上記第6にて示したように、甲4~甲8及び参考文献のいずれにも、撮像装置で取得された画像の「画素の位置」と3次元モデルの「座標の位置」とを対応させること、さらには、「画像情報として取得され、各画素が有するプラント設備の状況に関する情報を、画素毎に、3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する」ことについて記載も示唆もされていない。 したがって、本件発明1、3~8、10は、甲1~甲3のいずれかに記載された発明並びに甲1~甲8及び参考文献に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえないから、本件特許の請求項1、3~8、10に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 2 甲6に記載された発明を主引用発明とする新規性・進歩性の欠如(請求項2、9) (1)上記第6の1(4)イ(ウ)に示したように、甲6には、撮像された画像情報からプラント設備の状況に関する情報を取得すること自体が記載されておらず、そのため、撮像装置で取得された画像の「画素の位置」と3次元モデルの「座標の位置」とを対応させること、さらには、「画像情報として取得され、各画素が有するプラント設備の状況に関する情報を、画素毎に、3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する」ことについて、記載も示唆もされていない。 したがって、本件発明2、9は、甲6に記載された発明であるといえないから、特許法第29条第1項第3号に掲げる発明に該当せず、本件特許の請求項2、9に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 (2)また、上記第6にて示したように、甲1~甲5、甲7~甲8及び参考文献のいずれにも、撮像装置で取得された画像の「画素の位置」と3次元モデルの「座標の位置」とを対応させること、さらには、「画像情報として取得され、各画素が有するプラント設備の状況に関する情報を、画素毎に、3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する」ことについて記載も示唆もされていない。 したがって、本件発明2、9は、甲6に記載された発明並びに甲1~甲5、甲7~甲8及び参考文献に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえないから、本件特許の請求項2、9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 3 甲7に記載された発明を主引用発明とする進歩性の欠如(請求項2、9) 上記第6の1(4)イ(ウ)に示したように、甲7には、撮像された画像情報からプラント設備の状況に関する情報を取得すること自体が記載されておらず、そのため、撮像装置で取得された画像の「画素の位置」と3次元モデルの「座標の位置」とを対応させること、さらには、「画像情報として取得され、各画素が有するプラント設備の状況に関する情報を、画素毎に、3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する」ことについて、記載も示唆もされていない。 また、上記第6にて示したように、甲1~甲6、甲8及び参考文献のいずれにも、撮像装置で取得された画像の「画素の位置」と3次元モデルの「座標の位置」とを対応させること、さらには、「画像情報として取得され、各画素が有するプラント設備の状況に関する情報を、画素毎に、3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する」ことについて記載も示唆もされていない。 したがって、本件発明2、9は、甲7に記載された発明並びに甲1~甲6、甲8及び参考文献に記載された技術的事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるといえないから、本件特許の請求項2、9に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 第9 申立人意見書における申立人の主張について 1 申立人の主張 申立人は、申立人意見書にて、上記第2の4、第6~8で検討した事項のほか、 訂正事項の明確性(申立人意見書第2~3ページ 4(1)イ)に関して、次の点を主張する。 (1)「撮像装置を用いて撮像された画像から得られる、各画素が有する画像情報」と訂正されたが、 ア 「各画素が有する画像情報」が何を意味するのか不明である。 イ 「撮像装置を用いて撮像された画像から得られる」が「各画素」を修飾するのか、「画像情報」を修飾するのか不明であり、いずれの場合もどのような状態を表すのか不明である。 (2)「各画素が有するプラント設備の状況に関する情報を、画素毎に、3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶する」と訂正されたが、全ての画素について関連付けて記憶するのか、一部の画素について記憶するのか不明である。 2 当審の判断 (1)上記1(1)アの点についてみると、上記第2の4(1)イで検討したように、本件明細書等には「各画素が有する画像情報」との直接的な記載はないものの、「撮像された赤外線画像(状況画像)の各画素が有する値」(段落【0026】)、「状況画像から抽出された画素毎の情報(状況画像の画素が有する情報)」(段落【0043】)等の記載や、技術常識に照らせば、各画素が輝度値やRGB値等の値である画像情報を有していることを意味するものと理解できる。 (2)上記1(1)イの点についてみると、「撮像装置を用いて撮像された画像から得られる」は「画像情報」を修飾し、すなわち、「撮像装置を用いて撮像された画像から得られる、各画素が有する画像情報」とは、「撮像装置を用いて撮像された画像から得られる画像情報であって、各画素が有する画像情報」の意味であると理解できる。また、「画像から得られる画像情報」との表現も、撮像した画像から、輝度値やRGB値等の画像情報を得ることができることを意味するものと理解できる。 (3)上記1(2)の点についてみると、「各画素」等の記載から、複数の画素が3次元モデルの座標における対応箇所に関連付けて記憶されることが理解でき、全ての画素か、一部の画素かまで限定することを要するとはいえない。 (4)そして、いずれの記載についても、特許請求の範囲の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として判断すれば、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとまでいうことはできない。 3 小括 したがって、申立人が申立人意見書で主張する点を検討したものの、上記2のほか、上記第2、第6~8の判断のとおりであり、申立人の主張は採用することができない。 第10 むすび 以上のとおり、本件特許の請求項1~10に係る特許は、取消理由通知に示した取消理由及び申立書に記載された申立ての理由によっては取り消すことはできない。 また、他に請求項1~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701117

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