特許異議申立
2023-700397
画像検査装置、画像検査システム、画像検査方法および画像検査プログラム
- 審判番号
- 2023-700397
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-031860
- 登録番号
- 7156564
- 請求日
- 2023年04月19日
- 審決日
- 2024年08月27日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】コニカミノルタ株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人鷲田国際特許事務所
- 【異議申立人】木村 靖
- 審判長/審判官
- 審判長 榎本 吉孝
- 審判官 松本 隆彦
- 審判官 渡▲辺▼ 純也
- 分類
- P1651.121-YAA(G03G) / P1651.16 -YAA(G03G) / P1651.537-YAA(G03G)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第29条第2項、特許法第113条第2号、特許法第29条の2、特許法第36条第6項第2号、特許法第113条第4号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第7項、特許法第36条第6項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7156564号発明「画像検査装置、画像検査システム、画像検査方法および画像検査プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7156564号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-28〕について訂正することを認める。
特許第7156564号の請求項1~4、7~11、14~18、21~25、28に係る特許を維持する。
特許第7156564号の請求項5~6、12~13、19~20、26~27に係る申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7156564号(以下「本件特許」という。)の請求項1~28に係る特許についての出願は、令和2年4月28日に出願された特願2020-79441号の一部を令和4年3月2日に新たな特許出願としたものであって、令和4年10月11日に特許権の設定登録がされ、同年同月19日に特許掲載公報が発行された。
そして、本件特許の請求項1-28に係る特許に対して、令和5年4月19日に特許異議申立人 木村 靖(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。
その後の経緯(提出書類等)は、概略、以下のとおりである。
令和5年 7月 6日付け 取消理由通知書
同年 8月22日 特許権者側代理人他2名との面接
同年 9月 8日付け 意見書(特許権者)及び訂正請求書
同年10月 5日付け 手続補正書(方式)
同年11月27日付け 意見書(申立人)
令和6年 1月15日付け 取消理由通知書(決定の予告)
同年 3月14日付け 意見書(特許権者)及び訂正請求書
同年 4月 8日発送 手続補正指令書
同年 4月11日付け 手続補正書(特許権者)
同年 6月17日付け 意見書(申立人)
第2 本件訂正請求による訂正の適否について
1 訂正請求の趣旨及び訂正の内容
令和6年3月14日提出の訂正請求書(以下「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正請求と訂正をそれぞれ「本件訂正請求」、「本件訂正」という。)によって、特許権者が行った訂正請求の趣旨は、特許第7156564号の特許請求の範囲及び明細書を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲、及び、本件訂正請求書に添付した訂正明細書を令和6年4月11日提出の手続補正書により補正した訂正明細書のとおり訂正するものであり、その内容は次のとおりである。
なお、令和5年9月8日に提出された訂正請求書による訂正請求は、本件訂正請求がなされたため、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で検査する第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させる表示制御部と、
前記第1の検査領域と前記第2の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して検査を行う検査部と、
を有する画像検査装置。」とあるのを、
「検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、前記検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させ、前記第1の検査領域および前記第2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域は前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色で表示させる表示制御部と、
前記第1の検査領域、前記第2の検査領域および前記第3の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して前記検査を行う検査部と、
を有し、
前記検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、
前記第1の検査領域は前記3段階のうち最も厳しい検査水準であり、
前記第2の検査領域は前記3段階のうち最も緩やかな検査水準であり、
前記第3の検査領域は前記最も厳しい検査水準と前記最も緩やかな検査水準との間の検査水準であり、
前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる、画像検査装置。」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~7も同様に訂正する。)。(訂正事項中の下線は訂正箇所を示すために当審が付したものである。以下、同様。)
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項6を削除する。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項7に「請求項1乃至6のいずれか一項」とあるのを「請求項1乃至4のいずれか一項」に訂正する。
(5)訂正事項5
段落【0021】に
「 本発明に係る画像検査装置は、
検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で検査する第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させる表示制御部と、
前記第1の検査領域と前記第2の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して検査を行う検査部と、
を有する。」
とあるのを、
「 本発明に係る画像検査装置は、
検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、前記検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させ、前記第1の検査領域および前記第2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域は前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色で表示させる表示制御部と、
前記第1の検査領域、前記第2の検査領域および前記第3の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して前記検査を行う検査部と、
を有し、
前記検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、
前記第1の検査領域は前記3段階のうち最も厳しい検査水準であり、
前記第2の検査領域は前記3段階のうち最も緩やかな検査水準であり、
前記第3の検査領域は前記最も厳しい検査水準と前記最も緩やかな検査水準との間の検査水準であり、
前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる。」に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項8に「検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で検査する第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させる表示制御部と、
前記第1の検査領域と前記第2の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して検査を行う検査部と、
を有する画像検査システム。」とあるのを、
「検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、前記検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させ、前記第1の検査領域および前記第2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域は前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色で表示させる表示制御部と、前記第1の検査領域、前記第2の検査領域および前記第3の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して前記検査を行う検査部と、
を有し、
前記検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、
前記第1の検査領域は前記3段階のうち最も厳しい検査水準であり、
前記第2の検査領域は前記3段階のうち最も緩やかな検査水準であり、
前記第3の検査領域は前記最も厳しい検査水準と前記最も緩やかな検査水準との間の検査水準であり、
前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる、画像検査システム。」に訂正する(請求項8の記載を直接的又は間接的に引用する請求項9から14も同様に訂正する)。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項12を削除する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項13を削除する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項14に「請求項8乃至13のいずれか一項」とあるのを「請求項8乃至11のいずれか一項」に訂正する
(10)訂正事項10
段落【0022】に
「 本発明に係る画像形成システムは、
検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で検査する第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させる表示制御部と、
前記第1の検査領域と前記第2の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して検査を行う検査部と、
を有する。」
とあるのを、
「 本発明に係る画像検査システムは、
検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、前記検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させ、前記第1の検査領域および前記第2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域は前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色で表示させる表示制御部と、前記第1の検査領域、前記第2の検査領域および前記第3の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して前記検査を行う検査部と
を有し、
前記検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、
前記第1の検査領域は前記3段階のうち最も厳しい検査水準であり、
前記第2の検査領域は前記3段階のうち最も緩やかな検査水準であり、
前記第3の検査領域は前記最も厳しい検査水準と前記最も緩やかな検査水準との間の検査水準であり、
前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる。」
に訂正する。
(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項15に
「 検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で検査する第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させるステップと、
前記第1の検査領域と前記第2の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して検査を行うステップとを、
を有する画像検査方法。」
とあるのを、
「検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、前記検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させ、前記第1の検査領域および前記第2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域は前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色で表示させるステップと、
前記第1の検査領域、前記第2の検査領域および前記第3の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して前記検査を行うステップと、
を有し、
前記検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、
前記第1の検査領域は前記3段階のうち最も厳しい検査水準であり、
前記第2の検査領域は前記3段階のうち最も緩やかな検査水準であり、
前記第3の検査領域は前記最も厳しい検査水準と前記最も緩やかな検査水準との間の検査水準であり、
前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる、画像検査方法。」
に訂正する(請求項15の記載を直接的または間接的に引用する請求項16から21も同様に訂正する)。
(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項19を削除する。
(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項20を削除する。
(14)訂正事項14
特許請求の範囲の請求項21に「請求項15乃至20のいずれか一項」とあるのを「請求項15乃至18のいずれか一項」
(15)訂正事項15
段落【0023】に
「 本発明に係る画像検査方法は、
検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で検査する第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させるステップと、
前記第1の検査領域と前記第2の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して検査を行うステップとを、
を有する。」
とあるのを、
「 本発明に係る画像検査方法は、
検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、前記検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させ、前記第1の検査領域および前記第2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域は前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色で表示させるステップと、
前記第1の検査領域、前記第2の検査領域および前記第3の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して前記検査を行うステップと、
を有し、
前記検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、
前記第1の検査領域は前記3段階のうち最も厳しい検査水準であり、
前記第2の検査領域は前記3段階のうち最も緩やかな検査水準であり、
前記第3の検査領域は前記最も厳しい検査水準と前記最も緩やかな検査水準との間の検査水準であり、
前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる。」に訂正する。
(16)訂正事項16
特許請求の範囲の請求項22に
「 検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で検査する第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させるステップと、
前記第1の検査領域と前記第2の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して検査を行うステップとを、
コンピューターに実行させる画像検査プログラム。」
とあるのを
「 検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、前記検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させ、前記第1の検査領域および前記2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域は前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色で表示させるステップと、
前記第1の検査領域、前記第2の検査領域および前記第3の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して前記検査を行うステップとをコンピューターに実行させ、ここで
前記検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、
前記第1の検査領域は前記3段階のうち最も厳しい検査水準であり、
前記第2の検査領域は前記3段階のうち最も緩やかな検査水準であり、
前記第3の検査領域は前記最も厳しい検査水準と前記最も緩やかな検査水準との間の検査水準であり、
前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる、コンピューターに実行させる画像検査プログラム。」
に訂正する(請求項22の記載を直接的または間接的に引用する請求項23から28も同様に訂正する)。
(17)訂正事項17
特許請求の範囲の請求項26を削除する。
(18)訂正事項18
特許請求の範囲の請求項27を削除する。
(19)訂正事項19
特許請求の範囲の請求項28に「請求項22乃至27のいずれか一項」とあるのを「請求項22乃至25のいずれか一項」に訂正する。
(20)訂正事項20
段落【0024】に
「 本発明に係る画像検査プログラムは、
検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で検査する第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させるステップと、
前記第1の検査領域と前記第2の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して検査を行うステップとを、
コンピューターに実行させる画像検査プログラムである。」
とあるのを、
「 本発明に係る画像検査プログラムは、
検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、前記検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させ、前記第1の検査領域および前記2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域は前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色で表示させるステップと、
前記第1の検査領域、前記第2の検査領域および前記第3の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して前記検査を行うステップとをコンピューターに実行させ、ここで
前記検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、
前記第1の検査領域は前記3段階のうち最も厳しい検査水準であり、
前記第2の検査領域は前記3段階のうち最も緩やかな検査水準であり、
前記第3の検査領域は前記最も厳しい検査水準と前記最も緩やかな検査水準との間の検査水準であり、
前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる、コンピューターに実行させる画像検査プログラムである。」に訂正する。
(21)訂正事項21
段落【0013】~【0019】を削除する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1
ア 訂正の目的
訂正事項1は、「検査」を「前記検査」とすることに加え、「第3の検査領域」について記載する訂正である。
「検査」を「前記検査」とする訂正は、「異なる検査水準」が「第1の検査領域」の「検査水準」と、「第2の検査領域」の「検査水準」が、同じ検査における検査水準が異なることを明確にするためのものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
訂正事項1の「前記第1の検査領域および前記第2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域は前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色で表示させる」は、表示制御部に、第1の検査領域及び第2の検査領域に加えて、第3の検査領域について、第1の色及び第2の色と異なる第3の色で表示させることを記載するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項1の「前記検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、
前記第1の検査領域は前記3段階のうち最も厳しい検査水準であり、
前記第2の検査領域は前記3段階のうち最も緩やかな検査水準であり、
前記第3の検査領域は前記最も厳しい検査水準と前記最も緩やかな検査水準との間の検査水準であり、
前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる、」は、検査水準が3段階あることを限定し、検査水準と検査領域の関係を限定するとともに、第3の検査領域の検査水準の精度を変更できる範囲を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
「検査」については、本件訂正前の明細書に
「 【0160】
続くステップS31において、画像検査装置50は、ステップS20で取得された読取画像データのうち、第1の検品精度に設定されたコーティング部(図7のステップS14および図9Aを参照)を、図3のステップS100で登録された、対応するページの基準画像のデータと比較することによって、当該コーティング部の画質が良好(品質OK)か否かを判定する。
【0161】
ここで、画像検査装置50は、当該コーティング部の画質が良好(品質OK)でないと判定した場合(ステップS31、NO)、かかる印刷物の画像品質が不合格であると判断し、ステップS60に移行する。この場合、画像検査装置50は、かかる印刷物の用紙Sを、予め設定された第2トレイ(例えば図1の排紙トレイ43)に排出するように、後処理装置40に通知する(ステップS60)。
【0162】
一方、画像検査装置50は、当該コーティング部の画質が良好(品質OK)であると判定した場合(ステップS31、YES)、当該コーティング部の画像品質が合格であると判断し、ステップS32に移行する。
【0163】
ステップS32において、画像検査装置50は、ステップS20で取得された読取画像データのうち、第2の検品精度に設定されたコーティング部(図7のステップS16および図9Bを参照)を、図3のステップS100で登録された、対応するページの基準画像のデータと比較することによって、当該コーティング部の画質が良好(品質OK)か否かを判定する。
【0164】
ここで、画像検査装置50は、当該コーティング部の画質が良好(品質OK)でないと判定した場合(ステップS32、NO)、かかる印刷物の画像品質が不合格であると判断し、上述したステップS60の処理を実行する。
【0165】
一方、画像検査装置50は、当該コーティング部の画質が良好(品質OK)であると判定した場合(ステップS32、YES)、当該コーティング部の画像品質が合格であると判断し、ステップS33に移行する。」
と記載されており、「画像検査装置」が「第1の検品精度」と「第2の検品精度」それぞれで「画質」の検査を行うことが記載されており、「第1の検品精度」と「第2の検品精度」が、訂正事項1中の「第1の検査領域」の「検査水準」と「第2の検査領域」の「検査水準」に対応するものであるから、訂正事項1の(同じ検査における検査水準が異なることを明確にするための)「検査」を「前記検査」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
「第3の検査領域」については、本件訂正前の明細書の段落【0176】の「(前略)検品精度の水準毎に、オブジェクトの色が異なる色となるように表示される。」の記載、段落【0177】の「一具体例では、最も厳しい検査水準となる第1の検品精度が適用されるコーティング画像CI(オブジェクト)は赤色(R:Red)で表示され、緩やかな検査水準となる第2の検品精度が適用されるコーティング画像CI(オブジェクト)は緑色(G:Green)で表示される。」の記載、及び段落【0178】の「また、第1および第2の検品精度の中間の検査水準となる第3の検品精度が適用されるコーティング画像CI(オブジェクト)は、黄色(Y:Yellow) で表示される。」の記載によれば、検品精度の水準毎にオブジェクトの色が異なる色となるように表示され、第3の検品精度が適用されるコーティング画像CIは、第1の検品精度が適用される色(赤色)及び第2の検品精度が適用される色(緑色)とは異なる色(黄色)で表示されることが記載されている。
そして、段落【0174】の「また、精度設定部260には、第3の検品精度を設定(指定)ないし変更するためのボリューム261が表示される。かかるボリューム261は、ユーザーの入力操作に応じて、目盛り「1」ないし「2」の間で、数段階または無段階に移動できるようになっている。」の記載、及び段落【0175】の「ここで、目盛り「1」は第1の検品精度と略等しい精度(厳しい水準)であり、目盛り「2」は、第2の検品精度と略等しい精度(緩やかな水準)である。」の記載、及び図12によれば、第3の検品精度、つまり第3の検査領域の検査水準の検査の精度を、第1の検品精度(第1の検査領域の検査の精度)と第2の検品精度(第2の検査領域の検査の精度)の間で変更できることが記載されている。
したがって、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1は、「検査」を「前記検査」とすることに加え、「第3の検査領域」について記載する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(2)訂正事項2、3、7、8、12、13、17、18
ア 訂正の目的
訂正事項2、3、7、8、12、13、17、18は、それぞれ請求項5、6、12、13、19、20、26、27の削除であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項2、3、7、8、12、13、17、18は、それぞれ請求項5、6、12、13、19、20、26、27の削除であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。
したがって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項2、3、7、8、12、13、17、18は、それぞれ請求項5、6、12、13、19、20、26、27の削除であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
したがって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(3)訂正事項4、9、14、19
ア 訂正の目的
訂正事項4は、訂正事項2及び3により請求項5及び6が削除されたことに伴い、削除された請求項を引用する請求項から削除された請求項を削除する訂正であり、訂正事項9、14及び19も、同様に訂正事項7、8、12、13、17、18による請求項の削除に伴い、削除された請求項を引用する請求項から削除された請求項を削除する訂正であって、択一的記載の要素を削除する訂正であるから、特許請求の範囲の減縮にも該当するから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項4は、訂正事項2及び3により請求項5及び6が削除されたことに伴い、削除された請求項を引用する請求項から削除された請求項を削除する訂正であり、訂正事項9、14及び19も、同様に訂正事項7、8、12、13、17、18による請求項の削除に伴い、削除された請求項を引用する請求項から削除された請求項を削除する訂正であって、択一的記載の要素を削除する訂正であるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。
したがって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項4は、訂正事項2及び3により請求項5及び6が削除されたことに伴い、削除された請求項を引用する請求項から削除された請求項を削除する訂正であり、訂正事項9、14及び19も、同様に訂正事項7、8、12、13、17、18による請求項の削除に伴い、削除された請求項を引用する請求項から削除された請求項を削除する訂正であって、択一的記載の要素を削除する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでないことは明らかである。
したがって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(4)訂正事項5、10、15、20
ア 訂正の目的
訂正事項5、10、15及び20は、それぞれ訂正事項1、6、11及び16の訂正に伴い、特許請求の範囲と整合させるために行う明細書の訂正である。したがって、訂正事項5、10、15及び20は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項5、10、15及び20は、それぞれ訂正事項1、6、11及び16の訂正に伴い、特許請求の範囲と整合させるために行う明細書の訂正であり、訂正事項1、6、11及び16と同様、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである(訂正事項6、11及び16については、後段の(5)~(7)で説示している。)。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項5、10、15及び20は、それぞれ訂正事項1、6、11及び16の訂正に伴い、特許請求の範囲と整合させるために行う明細書の訂正であり、訂正事項1と同様、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(5)訂正事項6
ア 訂正の目的
訂正事項6は、「検査」を「前記検査」とすることに加え、「第3の検査領域」について記載する訂正である。
「検査」を「前記検査」とする訂正は、「異なる検査水準」が「第1の検査領域」の「検査水準」と、「第2の検査領域」の「検査水準」が、同じ検査における検査水準が異なることを明確にするためのものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
訂正事項6の「前記第1の検査領域および前記第2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域は前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色で表示させる」は、表示制御部に、第1の検査領域及び第2の検査領域に加えて、第3の検査領域について、第1の色及び第2の色と異なる第3の色で表示させることを記載するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項6の「前記検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、
前記第1の検査領域は前記3段階のうち最も厳しい検査水準であり、
前記第2の検査領域は前記3段階のうち最も緩やかな検査水準であり、
前記第3の検査領域は前記最も厳しい検査水準と前記最も緩やかな検査水準との間の検査水準であり、
前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる、」は、検査水準が3段階あることを限定し、検査水準と検査領域の関係を限定するとともに、第3の検査領域の検査水準の精度を変更できる範囲を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
2(1)イで説示したように本件訂正前の明細書の段落【0160】~【0165】には、「画像検査装置」が「第1の検品精度」と「第2の検品精度」それぞれで「画質」の検査を行うことが記載されており、「第1の検品精度」と「第2の検品精度」が、訂正事項6中の「第1の検査領域」の「検査水準」と「第2の検査領域」の「検査水準」に対応するものであるから、訂正事項6の(同じ検査における検査水準が異なることを明確にするための)「検査」を「前記検査」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
「第3の検査領域」については、本件訂正前の明細書の段落【0176】の「(前略)検品精度の水準毎に、オブジェクトの色が異なる色となるように表示される。」の記載、段落【0177】の「一具体例では、最も厳しい検査水準となる第1の検品精度が適用されるコーティング画像CI(オブジェクト)は赤色(R:Red)で表示され、緩やかな検査水準となる第2の検品精度が適用されるコーティング画像CI(オブジェクト)は緑色(G:Green)で表示される。」の記載、及び段落【0178】の「また、第1および第2の検品精度の中間の検査水準となる第3の検品精度が適用されるコーティング画像CI(オブジェクト)は、黄色(Y:Yellow) で表示される。」の記載によれば、検品精度の水準毎にオブジェクトの色が異なる色となるように表示され、第3の検品精度が適用されるコーティング画像CIは、第1の検品精度が適用される色(赤色)及び第2の検品精度が適用される色(緑色)とは異なる色(黄色)で表示されることが記載されている。
そして、段落【0174】の「また、精度設定部260には、第3の検品精度を設定(指定)ないし変更するためのボリューム261が表示される。かかるボリューム261は、ユーザーの入力操作に応じて、目盛り「1」ないし「2」の間で、数段階または無段階に移動できるようになっている。」の記載、及び段落【0175】の「ここで、目盛り「1」は第1の検品精度と略等しい精度(厳しい水準)であり、目盛り「2」は、第2の検品精度と略等しい精度(緩やかな水準)である。」の記載、及び図12によれば、第3の検品精度、つまり第3の検査領域の検査水準の検査の精度を、第1の検品精度(第1の検査領域の検査の精度)と第2の検品精度(第2の検査領域の検査の精度)の間で変更できることが記載されている。
したがって、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項6は、「検査」を「前記検査」とすることに加え、「第3の検査領域」について記載する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(6)訂正事項11
ア 訂正の目的
訂正事項11は、「検査」を「前記検査」とすることに加え、「第3の検査領域」について記載する訂正である。
「検査」を「前記検査」とする訂正は、「異なる検査水準」が「第1の検査領域」の「検査水準」と、「第2の検査領域」の「検査水準」が、同じ検査における検査水準が異なることを明確にするためのものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
訂正事項11の「前記第1の検査領域および前記第2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域は前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色で表示させる」は、表示制御部に、第1の検査領域及び第2の検査領域に加えて、第3の検査領域について、第1の色及び第2の色と異なる第3の色で表示させることを記載するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項11の「前記検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、
前記第1の検査領域は前記3段階のうち最も厳しい検査水準であり、
前記第2の検査領域は前記3段階のうち最も緩やかな検査水準であり、
前記第3の検査領域は前記最も厳しい検査水準と前記最も緩やかな検査水準との間の検査水準であり、
前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる、」は、検査水準が3段階あることを限定し、検査水準と検査領域の関係を限定するとともに、第3の検査領域の検査水準の精度を変更できる範囲を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
2(1)イで説示したように本件訂正前の明細書の段落【0160】~【0165】には、「画像検査装置」が「第1の検品精度」と「第2の検品精度」それぞれで「画質」の検査を行うことが記載されており、「第1の検品精度」と「第2の検品精度」が、訂正事項11中の「第1の検査領域」の「検査水準」と「第2の検査領域」の「検査水準」に対応するものであるから、訂正事項11の(同じ検査における検査水準が異なることを明確にするための)「検査」を「前記検査」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
「第3の検査領域」については、本件訂正前の明細書の段落【0176】の「(前略)検品精度の水準毎に、オブジェクトの色が異なる色となるように表示される。」の記載、段落【0177】の「一具体例では、最も厳しい検査水準となる第1の検品精度が適用されるコーティング画像CI(オブジェクト)は赤色(R:Red)で表示され、緩やかな検査水準となる第2の検品精度が適用されるコーティング画像CI(オブジェクト)は緑色(G:Green)で表示される。」の記載、及び段落【0178】の「また、第1および第2の検品精度の中間の検査水準となる第3の検品精度が適用されるコーティング画像CI(オブジェクト)は、黄色(Y:Yellow) で表示される。」の記載によれば、検品精度の水準毎にオブジェクトの色が異なる色となるように表示され、第3の検品精度が適用されるコーティング画像CIは、第1の検品精度が適用される色(赤色)及び第2の検品精度が適用される色(緑色)とは異なる色(黄色)で表示されることが記載されている。
そして、段落【0174】の「また、精度設定部260には、第3の検品精度を設定(指定)ないし変更するためのボリューム261が表示される。かかるボリューム261は、ユーザーの入力操作に応じて、目盛り「1」ないし「2」の間で、数段階または無段階に移動できるようになっている。」の記載、及び段落【0175】の「ここで、目盛り「1」は第1の検品精度と略等しい精度(厳しい水準)であり、目盛り「2」は、第2の検品精度と略等しい精度(緩やかな水準)である。」の記載、及び図12によれば、第3の検品精度、つまり第3の検査領域の検査水準の検査の精度を、第1の検品精度(第1の検査領域の検査の精度)と第2の検品精度(第2の検査領域の検査の精度)の間で変更できることが記載されている。
したがって、訂正事項11は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項11は、「検査」を「前記検査」とすることに加え、「第3の検査領域」について記載する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(7)訂正事項16
ア 訂正の目的
訂正事項16は、「検査」を「前記検査」とすることに加え、「第3の検査領域」について記載する訂正である。
「検査」を「前記検査」とする訂正は、「異なる検査水準」が「第1の検査領域」の「検査水準」と、「第2の検査領域」の「検査水準」が、同じ検査における検査水準が異なることを明確にするためのものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
訂正事項16の「前記第1の検査領域および前記第2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域は前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色で表示させる」は、表示制御部が、第1の検査領域及び第2の検査領域に加えて、第3の検査領域について、第1の色及び第2の色と異なる第3の色で表示させることを記載するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
訂正事項16の「前記検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、
前記第1の検査領域は前記3段階のうち最も厳しい検査水準であり、
前記第2の検査領域は前記3段階のうち最も緩やかな検査水準であり、
前記第3の検査領域は前記最も厳しい検査水準と前記最も緩やかな検査水準との間の検査水準であり、
前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる、」は、検査水準が3段階あることを限定し、検査水準と検査領域の関係を限定するとともに、第3の検査領域の検査水準の精度を変更できる範囲を限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、訂正事項16は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
2(1)イで説示したように本件訂正前の明細書の段落【0160】~【0165】には、「画像検査装置」が「第1の検品精度」と「第2の検品精度」それぞれで「画質」の検査を行うことが記載されており、「第1の検品精度」と「第2の検品精度」が、訂正事項16中の「第1の検査領域」の「検査水準」と「第2の検査領域」の「検査水準」に対応するものであるから、訂正事項16の(同じ検査における検査水準が異なることを明確にするための)「検査」を「前記検査」とする訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
「第3の検査領域」については、本件訂正前の明細書の段落【0176】の「(前略)検品精度の水準毎に、オブジェクトの色が異なる色となるように表示される。」の記載、段落【0177】の「一具体例では、最も厳しい検査水準となる第1の検品精度が適用されるコーティング画像CI(オブジェクト)は赤色(R:Red)で表示され、緩やかな検査水準となる第2の検品精度が適用されるコーティング画像CI(オブジェクト)は緑色(G:Green)で表示される。」の記載、及び段落【0178】の「また、第1および第2の検品精度の中間の検査水準となる第3の検品精度が適用されるコーティング画像CI(オブジェクト)は、黄色(Y:Yellow) で表示される。」の記載によれば、検品精度の水準毎にオブジェクトの色が異なる色となるように表示され、第3の検品精度が適用されるコーティング画像CIは、第1の検品精度が適用される色(赤色)及び第2の検品精度が適用される色(緑色)とは異なる色(黄色)で表示されることが記載されている。
そして、段落【0174】の「また、精度設定部260には、第3の検品精度を設定(指定)ないし変更するためのボリューム261が表示される。かかるボリューム261は、ユーザーの入力操作に応じて、目盛り「1」ないし「2」の間で、数段階または無段階に移動できるようになっている。」の記載、及び段落【0175】の「ここで、目盛り「1」は第1の検品精度と略等しい精度(厳しい水準)であり、目盛り「2」は、第2の検品精度と略等しい精度(緩やかな水準)である。」の記載、及び図12によれば、第3の検品精度、つまり第3の検査領域の検査水準の検査の精度を、第1の検品精度(第1の検査領域の検査の精度)と第2の検品精度(第2の検査領域の検査の精度)の間で変更できることが記載されている。
したがって、訂正事項16は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項16は、「検査」を「前記検査」とすることに加え、「第3の検査領域」について記載する訂正であるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
(8)訂正事項21
ア 訂正の目的
本件の各請求項に係る発明が解決しようとする課題は、段落【0020】に記載されるように、「第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で検査する第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させることが可能な画像検査装置等を提供すること」である。
そうすると、段落【0013】~【0019】は、課題の把握に関し、不合理を生じている記載である。当該訂正事項21は、不合理を正す訂正であるから、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
段落【0013】~【0019】を削除するものであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることは明らかである。したがって、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第5項に適合するものである。
ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
もともと訂正前の本件発明の検査対象には、発明の詳細な説明の実施例に記載された「印刷画像」と「コーティング画像」の両方が含まれている。したがって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。
3 独立特許要件
この特許異議の申立てにおいては、全請求項である請求項1~28について特許異議の申立てがされているから、本件訂正後における請求項1~28に記載されている事項により特定される発明について、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条第7項に規定する独立特許要件は課されない。
4 申立人の主張
申立人は、令和6年6月17日提出の意見書において、訂正事項1、6、11、16は新規事項の追加である旨を主張している。申立人の主張の概略は次のとおりである。
(1)訂正事項1についての申立人の主張
訂正事項1に関し、訂正後の請求項1、及び訂正後の請求項1に従属する訂正後の請求項2及び3についてそれぞれ新規事項が追加されている。
「第3の検査領域」について、段落番号【0174】~【0178】においては、第1及び第2の検査領域とは異なる「第3の検査領域」には、第1及び第2の検査水準とは異なる検査の精度が適用されることが記載されているものの、第1及び第2の検査領域と同様に、コーティング画像CIに関する検査について説明されているのみである。
本件訂正発明1は、課題や発明の詳細な説明に記載されている印刷画像を印刷した後にコーティング画像を重ねて印刷した際の検査について規定することなく、印刷画像のみの検査において行われる検査も含むものとして規定されている。
一方、印刷画像のみの検査については、図3のフローチャートを用いて説明しており、コーティング画像が印刷される前の印刷画像のみの検査(S300)では、そもそも検査領域の設定や各検査領域に対する検査水準の設定が行われることについては一切の説明がなされていない。
そもそも、印刷画像のみの検査においては段落0019に記載されるような課題が発生せず、上記のような「第3の検査領域」を設け、他の検査領域と異なる検品精度を適用する必要性が全くないものである。
このように、訂正事項1は、訂正後の請求項1に関して、検査精度を変更する必要のない印刷画像のみの検査にまで、「第3の検査領域」に関する新規の事項を加えるものである。
また、訂正後の請求項2、3では、第1の検査領域と第2の検査領域とが異なる色で表示される際の制御が規定されている。したがって、第3の検査領域との関係が規定されていないため、「第3の検査領域」が第1の検査領域又は第2の検査領域と同じ色で表示される場合も含まれることとなる。訂正後の請求項2においては、第1及び第2の検査領域が基準画像上に表示される一方で、第3の検査領域は基準画像上に表示されない場合も含まれる規定となっており、訂正後の請求項3においては、第1及び第2の検査領域が検査水準と色との対応関係を同時に表示する一方で、第3の検査領域はそのような対応関係を同時に表示しなくてもよい規定となっている。
しかし、そのような表示制御については、発明の詳細な説明に一切の記載がない。
(2)主張に対する当審の判断
本件訂正前の明細書には、段落【0020】に「本発明の目的は、第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で検査する第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させることが可能な画像検査装置、画像検査システム、画像検査方法および画像検査プログラムを提供することである。」と発明が解決しようと課題が記載されている。そして、本件訂正前の明細書には、上記課題に関し、コーティング画像以外の印刷画像も含む「印刷画像」全般の画像検査装置についての背景技術が記載されている(【0002】-【0006】)。そして、段落【0068】~【0083】には、「簡明のため」「コーティング画像が形成されない場合」を前提とする画像検査のフローが記載されており、続く段落【0084】には、「以上は、用紙S上に印刷画像のみを形成する場合の1回目の画像検査に関する処理概要であるが、印刷画像が形成された用紙S上にコーティング画像を形成する場合も、基本的には図3で説明したものと同様の手順により、2回目の画像検査を行うことができる。」と記載されていることから、段落【0068】~【0083】に記載されるフローは、コーティング画像を形成しない場合と、コーティング画像を形成する場合の両方において、適用されるものと認められる。これらの記載から、段落【0049】~【0057】に記載された画像検査装置 に関する説明、特に、段落【0055】の「画像検査の対象となる検査対象領域(用紙上の2次元座標の領域)を、所定の面積あるいは画素単位で区分けし、当該区分けされた領域毎に画像検査の検査精度(水準)を設定する」という記載についても、当該装置がコーティング画像の検査に限定されず、コーティング画像以外の印刷画像の検査に対しても用いられるものとして当業者は認識できる。
また、段落【0171】~【0181】の記載は、複数の検査精度(水準)について、印刷画像とコーティング画像との形成位置の重複具合に応じて設定する例を用いて説明しているが、複数の検査水準で検査すること自体は、甲2、甲3、甲7、甲8等にみられるように、本件の出願前においてコーティング画像以外の印刷画像の検査においても広く知られていたことであり、この点を踏まえれば、段落【0171】~【0181】で説明される設定画面(同設定画面を用いた検査精度の設定手法)は、例として挙げられたコーティング画像に特化したものと把握される特別な事情はなく、コーティング画像以外の印刷画像の検査においても用いることができることは当業者が十分に認識することができ、上記課題を解決できることが把握できる。
してみれば、本件訂正前の明細書全体から、「第3の検査領域」について、コーティング画像の検査にのみ限定されるとはいえず、コーティング以外の画像の検査についても、新たな技術的事項を導入するものとは認められないので、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内である。
また、訂正後の請求項2、3は、(新規事項の追加ではない)それぞれの記載で特定される事項で、訂正事項1による訂正後の請求項1を限定したものであり、訂正事項1による訂正後の請求項2、3で特定される事項について「第3の領域」についての限定がなされていないことになることをもって、新たな技術的事項を導入するものとはいえない。
よって、申立人の上記主張は、採用できない。
5 小括
前記1~4において検討した訂正要件についての当合議体の判断をまとめると、訂正事項1~21の訂正は、いずれも訂正要件を満たすものであるから、本件訂正は適法なものである。
よって、前記結論のとおり、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~28〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件訂正特許発明
上記第2のとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正後の請求項1~4、7~11、14~18、21~25、28に係る発明(以下、当該各請求項に係る発明を、それぞれ「本件発明1」~「本件発明28」といい、まとめて「本件発明」ということがある。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~4、7~11、14~18、21~25、28に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、前記検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させ、前記第1の検査領域および前記第2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域は前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色で表示させる表示制御部と、
前記第1の検査領域、前記第2の検査領域および前記第3の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して前記検査を行う検査部と、
を有し、
前記検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、
前記第1の検査領域は前記3段階のうち最も厳しい検査水準であり、
前記第2の検査領域は前記3段階のうち最も緩やかな検査水準であり、
前記第3の検査領域は前記最も厳しい検査水準と前記最も緩やかな検査水準との間の検査水準であり、
前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる、画像検査装置。
【請求項2】
前記第1の検査領域と前記第2の検査領域とが異なる色で表示されるときは、前記第1の検査領域と前記第2の検査領域は前記基準画像上に表示される
請求項1に記載の画像検査装置。
【請求項3】
前記第1の検査領域と前記第2の検査領域とが異なる色で表示されるときは、前記検査水準と色との対応関係を同時に表示する
請求項1又は2に記載の画像検査装置。
【請求項4】
前記表示制御部は、前記第1の検査領域は前記第1の色で塗りつぶして表示させ、前記第2の検査領域は前記第2の色で塗りつぶして表示させる、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像検査装置。
【請求項5】
(削除)
【請求項6】
(削除)
【請求項7】
ユーザーが、前記表示させた基準画像に対して前記検査水準を設定できる
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像検査装置。
【請求項8】
検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、前記検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させ、前記第1の検査領域および前記第2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域は前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色で表示させる表示制御部と、
前記第1の検査領域、前記第2の検査領域および前記第3の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して前記検査を行う検査部と、
を有し、
前記検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、
前記第1の検査領域は前記3段階のうち最も厳しい検査水準であり、
前記第2の検査領域は前記3段階のうち最も緩やかな検査水準であり、
前記第3の検査領域は前記最も厳しい検査水準と前記最も緩やかな検査水準との間の検査水準であり、
前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる、画像検査システム。
【請求項9】
前記第1の検査領域と前記第2の検査領域とが異なる色で表示されるときは、前記第1の検査領域と前記第2の検査領域は前記基準画像上に表示される
請求項8に記載の画像検査システム。
【請求項10】
前記第1の検査領域と前記第2の検査領域とが異なる色で表示されるときは、前記検査水準と色との対応関係を同時に表示する
請求項8又は9に記載の画像検査システム。
【請求項11】
前記表示制御部は、前記第1の検査領域は前記第1の色で塗りつぶして表示させ、前記第2の検査領域は前記第2の色で塗りつぶして表示させる、
請求項8乃至10のいずれか一項に記載の画像検査システム。
【請求項12】
(削除)
【請求項13】
(削除)
【請求項14】
ユーザーが、前記表示させた基準画像に対して前記検査水準を設定できる請求項8乃至11のいずれか一項に記載の画像検査システム。
【請求項15】
検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、前記検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させ、前記第1の検査領域および前記第2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域は前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色で表示させるステップと、
前記第1の検査領域、前記第2の検査領域および前記第3の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して前記検査を行うステップと、
を有し、
前記検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、
前記第1の検査領域は前記3段階のうち最も厳しい検査水準であり、
前記第2の検査領域は前記3段階のうち最も緩やかな検査水準であり、
前記第3の検査領域は前記最も厳しい検査水準と前記最も緩やかな検査水準との間の検査水準であり、
前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる、画像検査方法。
【請求項16】
前記第1の検査領域と前記第2の検査領域とが異なる色で表示されるときは、前記第1の検査領域と前記第2の検査領域は前記基準画像上に表示される請求項15に記載の画像検査方法。
【請求項17】
前記第1の検査領域と前記第2の検査領域とが異なる色で表示されるときは、前記検査水準と色との対応関係を同時に表示する
請求項15又は16に記載の画像検査方法。
【請求項18】
前記表示させるステップでは、前記第1の検査領域は前記第1の色で塗りつぶして表示させ、前記第2の検査領域は前記第2の色で塗りつぶして表示させる、
請求項15乃至17のいずれか一項に記載の画像検査方法。
【請求項19】
(削除)
【請求項20】
(削除)
【請求項21】
ユーザーが、前記表示させた基準画像に対して前記検査水準を設定できる
請求項15乃至18のいずれか一項に記載の画像検査方法。
【請求項22】
検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、前記検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させ、前記第1の検査領域および前記2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域は前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色で表示させるステップと、
前記第1の検査領域、前記第2の検査領域および前記第3の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して前記検査を行うステップとをコンピューターに実行させ、ここで
前記検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、
前記第1の検査領域は前記3段階のうち最も厳しい検査水準であり、
前記第2の検査領域は前記3段階のうち最も緩やかな検査水準であり、
前記第3の検査領域は前記最も厳しい検査水準と前記最も緩やかな検査水準との間の検査水準であり、
前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる、コンピューターに実行させる画像検査プログラム。
【請求項23】
前記第1の検査領域と前記第2の検査領域とが異なる色で表示されるときは、前記第1の検査領域と前記第2の検査領域は前記基準画像上に表示される
請求項22に記載の画像検査プログラム。
【請求項24】
前記第1の検査領域と前記第2の検査領域とが異なる色で表示されるときは、前記検査水準と色との対応関係を同時に表示する
請求項22又は23に記載の画像検査プログラム。
【請求項25】
前記表示させるステップでは、前記第1の検査領域は前記第1の色で塗りつぶして表示させ、前記第2の検査領域は前記第2の色で塗りつぶして表示させる、
請求項22乃至24のいずれか一項に記載の画像検査プログラム。
【請求項26】
(削除)
【請求項27】
(削除)
【請求項28】
ユーザーが、前記表示させた基準画像に対して前記検査水準を設定できる
請求項22乃至25のいずれか一項に記載の画像検査プログラム。」
第4 特許異議申立理由及び当審が通知した取消理由について
1 特許異議申立理由の概要
申立人が主張する特許異議の申立ての理由の要旨は下記(1)~(6)であり、証拠方法は下記(7)のとおりである。
(1)理由1:特許法第29条の2(同法第113条第2号)
本件発明1~28は、当該特許出願の日の前の他の特許出願であって、当該特許出願後に出願公開がされた甲第1号証の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲、または図面に記載された発明と同一あるいは実質的に同一の発明であり、特許法第29条の2に規定する要件を満たしていない特許出願に対して特許されたことは明らかであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきである。
(2)理由2 特許法第29条第2項(同法第113条第2号)
本件発明1~3、8~10、15~17、22~24は、甲第2号証、及び甲第3号証に基づいて、あるいは予備的主張として甲第2号証、甲第3号証及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に想到し得た発明であり、本件発明4~7、11~14、18~21、25~28は、甲第2号証、甲第3号証及び甲第4号証に基づいて、あるいは予備的主張として甲第2号証、甲第3号証、甲第4号証及び周知技術1に甚づいて、当業者が容易に想到し得た発明であり、特許法第29条第2項に規定する要件を満たしていない特許出願に対して特許されたことは明らかであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきである。
(3)理由3 特許法第29条第2項(同法第113条第2号)
本件発明1~2、8~9、15~16、22~23は、甲第3号証、及び甲第2号証に基づいて、あるいは予備的主張として甲第3号証及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に想到し得た発明であり、本件発明3~7、10~14、17~21、24~28は、甲第3号証、甲第2号証に基づいて、あるいは予備的主張として甲第3号証、甲第2号証、及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に想到し得た発明であり、特許法第29条第2項に規定する要件を満たしていない特許出願に対して特許されたことは明らかであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきである。
(4)理由4 特許法第29条第2項(同法第113条第2号)
本件発明1~2、8~9、15~16、22~23は、甲第7号証、及び甲第2号証に基づいて、あるいは予備的主張として甲第7号証及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に想到し得た発明であり、本件発明3~7、10~14、17~21、24~28は、甲第7号証、甲第2号証に基づいて、あるいは予備的主張として甲第7号証、甲第2号証、及び周知技術1に基づいて、当業者が容易に想到し得た発明であり、特許法第29条第2項に規定する要件を満たしていない特許出願に対して特許されたことは明らかであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきである。
(5)理由5 特許法第36条第6項第2号(同法第113条第4号)
「検査の対象」と「検査の内容」が具体的に規定されておらず、「検査水準」の技術的意義が不明確であるから、本件発明1~28は明確でないため、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。よって、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきである。
(6)理由6 特許法第36条第6項1号(同法第113条第4号)
発明の詳細な説明の全体において、コーティング画像の検査において、検査領域(オブジェクト)ごとに、印刷画像とコーティング画像との形成位置の重複具合に応じて、ユーザー設定画面上で異なる検品精度を設定し、当該検査領域が検品精度ごとに異なる色で表示されることとされているだけであって、本件発明1~28に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明において開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。
したがって、本件発明1~28は、発明の詳細な説明に記載したものではないため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきである。
(7)証拠方法
甲第1号証:特開2021-78082号公報
甲第2号証:特開2011-158421号公報
甲第3号証:特開2005-172649号公報
甲第4号証:特開2007-13924号公報
甲第5号証:特開2014-038384号公報
甲第6号証:特開平9-91450号公報
甲第7号証:特開2005-217931号公報
甲第8号証:特開2014-117875号公報
甲第9号証:特開2005-331250号公報
甲第10号証:特開2005-209715号公報
甲第11号証:特願2019-205589号の令和5年10月6日起案の拒絶理由通知書
甲第12号証:特願2019-205589号の令和5年12月12日提出の手続補正書
以下、順に「甲1」のようにいう。
なお、甲8は、令和5年11月27日提出の意見書と共に提出された証拠であり、甲9~12は、令和6年6月17日提出の意見書と共に提出された証拠である。
2 当審が通知した取消理由(決定の予告)の概要
当審が通知した取消理由(決定の予告)の概要は、次のとおりである。
(1)取消理由1(拡大先願)
本件発明1~4、7~11、14~18、21~25、28は、甲1の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲、または図面に記載された発明と同一であり、特許法第29条の2に規定する要件を満たしていない特許出願に対して特許されたことは明らかであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきである。
(2)取消理由2(進歩性)
ア 甲3を主引用例とするもの
本件発明1~5、7~12、14~19、21~26、28は、甲3に記載の発明及び甲2に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
イ 甲7を主引用例とするもの
本件発明1~5、7~12、14~19、21~26、28は、甲7に記載の発明及び甲2に記載の技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
第5 当審の判断
1 取消理由1(拡大先願)
(1)甲1の記載事項
甲1に係る特願2019-205589号(以下、「先願」という。)は、本件特許の出願日とみなされる令和2年4月28日よりも前の令和元年11月13日に出願され、本件特許の出願日とみなされる令和2年4月28日よりも後である令和3年5月20日に出願公開がされたものである。
そして、先願の発明者は伊藤 彩であるのに対し、本件特許の発明者は井川 真であるから、本件特許とは発明者が一致せず、先願の出願人はキヤノン株式会社であるのに対し、本件特許の出願人はコニカミノルタ株式会社であるから、本件特許とは出願人が一致しない。
先願の願書に最初に添付された明細書、特許請求の範囲又は図面(以下、「先願明細書等」という。)には、次の事項が記載されている(下線は当審において付与した。以下同じ)。
ア 「【0011】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。なお、特に断らない限り、本発明に係る機能が実現されるのであれば、単体の機器であっても、複数の機器からなる検査装置であっても、本発明を適用できることは言うまでもない。また、特に断らない限り、本発明の機能が実現されるのであれば、LAN(LocalArea Network)、WAN(Wide Area Network)等のネットワークを介して接続がなされ、処理が行われる検査装置であってもよい。すなわち、以下の実施形態で説明する各種端末が接続されたシステム構成は一例であり、用途や目的に応じて様々な構成例があることは言うまでもない。
【0012】
図1は、本実施形態における検査システムであって、情報処理装置と検査装置と印刷装置の構成を表す模式図である。なお、本実施形態の印刷装置は電子写真方式の印刷装置を用いて説明するが、本実施形態における印刷装置は、インクジェット方式、オフセット方式など、異なる画像形成方式の印刷装置であっても良い。
【0013】
印刷装置0101は、ケーブル0112を介して情報処理装置0109と接続されている。情報処理装置0109は、ネットワーク0113を介してクライアントコンピュータ0110、検査装置0108と接続されている。
【0014】
印刷装置0101は、UIパネル0102、給紙デッキ0103および給紙デッキ0104を備える。さらに、3段の給紙デッキからなるオプションデッキ0105が接続される。印刷装置0101は、例えば電子写真方式の印刷装置である。また、UIパネル0102は、例えば静電容量方式のタッチパネルを備えたユーザインターフェースである。
【0015】
さらに印刷装置0101は、検査ユニット0106、大容量スタッカ0107を備える。検査ユニットは、ケーブル0114を介して検査装置0108と接続されている。大容量スタッカ0107はメイントレイとトップトレイを備え、メイントレイには一度に数千枚の用紙を積載することができる。」
イ 「【0027】
CPU0226は、システムバス0230を介して検査装置0108内の各部における制御や演算、記憶部0228に格納され、RAM0227にロードされるプログラムの実行を司る。RAM0227は、CPU0226から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種で、CPU0226のワークエリアまたはその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部0228は、検査装置動作時の一時記憶領域およびワークメモリとして機能する。PDL解析部0229は、クライアントコンピュータ0110や情報処理装置0109から受信した例えばPDF、PostScript、PCLなどのPDLデータを読み込み、解釈処理を実行する。表示部0245は例えば検査装置に接続される液晶ディスプレイであり、検査装置へのユーザの入力を受け付けたり、検査装置の状態を表示したり表示制御したりする。CPU0234は、システムバス0239を介して情報処理装置0109内の各部における制御や演算、記憶部0236に格納され、RAM0235にロードされるプログラムの実行を司る。RAM0235は、CPU0234から直接アクセスできる一般的な揮発性記憶装置の一種で、CPU0234のワークエリアまたはその他一時的なデータ記憶領域として使用される。記憶部0236は、情報処理装置動作時の一時記憶領域およびワークメモリとして機能する。ネットワークインターフェース(以下、NWI/F)0237は、ネットワークを介してNWI/F0232、0240と接続される。情報処理装置0109は、NWI/F0237、NWI/F0232を介して検査装置0108と通信を行う。また、情報処理装置0109は、NWI/F0237、NWI/F0240を介してクライアントコンピュータ0110と通信を行う。」
ウ 「【0030】
検査ユニット0106内にはCIS0315、0316が対向する形で配置される。CIS0315は用紙の上面を、CIS0316は用紙の下面を読み取るためのセンサである。検査ユニット0106は、用紙搬送パス0317に搬送された用紙が所定の位置に到達したタイミングで、CIS0315、0316を用いて用紙をスキャン(撮像)する。スキャンされた画像(撮像画像)は、検査装置I/F0215、検査ユニットI/F0231を介して検査装置0108に送信される。CPU0226は、当該受信した画像に欠陥があるかどうか判定し、判定した結果を再び検査ユニットI/F0231、検査装置I/F0215を介して検査ユニット0106に通知する。CPU0216は、当該受信した判定結果を、アクセサリI/F0214、0220を介して大容量スタッカ0107に通知する。」
エ 「【0034】
S0403にて、検査ユニットI/F0231は、検査装置I/F0215から、CIS0315、CIS0316でスキャンした画像を受信する。次にS0404にて、CPU0226は、RAM0227に保存されている基準画像と、S0403にて受信した検査対象のスキャン画像を比較する。尚、片面検査の場合は、片面の画像(被検査面の撮像画像)に対して比較処理を行い、両面検査の場合は、両面分の画像に対してそれぞれ比較処理を行う。この基準画像は、本フローの開始前に予め印刷装置0101で印刷した用紙をCIS0315、0316でスキャンして検査装置I/F0215から検査ユニットI/F0231に送信され、RAM0227に保存されているものとする。この比較の動作では、まず、画像の特徴的な点を位置合わせの基準点として使用して、基準画像と検査対象のスキャン画像の画像位置を合わせる。次に、検査対象のスキャン画像において、用紙の四隅とスキャン画像の位置合わせ基準点とを解析して用紙に対する画像の位置ずれがないか検出する。次に、基準画像と検査対象のスキャン画像の濃度値を画素ごとに比較する。以上の結果、欠陥が検出されなければ、検査結果OKとする。尚、両面検査の場合は、両面分の画像ともに欠陥が検出されなければ、検査結果をOKし、両面分の画像のうちいずれか一方でも欠陥が検出されれば、検査結果をNGとする。」
オ 「【0044】
図6(a)(b)(c)は、検査装置0108の表示部0245に表示される検査設定画面である。検査設定画面0601は、メニューバー0602、検査パラメータ設定部0604を備える。検査設定画面0601には、検査設定が適用される検査ジョブに既に登録されている基準画像が表示されている。
【0045】
メニューバー0602は、0603、0608から0619のボタンを備える。検査基準確認ボタン0603、既に登録されている基準画像を差し替えるボタン0608を備える。検査基準確認ボタン0603は、後述する2つの表示画面を切り替える表示切替ボタンでもある。表示部0245がその座標でユーザからの指示を受け付けるマウスポインタ(不図示)をグラブかポインタか切り替えるボタン0609、後述する検査領域を、矩形で指定するボタン0610、楕円で指定するボタン0611を備える。実行した処理を元に戻すボタン0612、やり直すボタン0613や、検査領域の複製ボタン0614、切り取りボタン0615、貼り付けボタン0616、削除ボタン0617も備える。さらに、ズーム倍率を変更するボタン0618、表示されている画像を画面にフィット表示させるボタン0619も備える。メニューバー0620に含まれるボタンを指定することで、画像上に、各検査基準の検査領域を設定する。例えば、0605をマウス選択することで、検査基準「重要」を指定し、さらに、ボタン0610をマウス選択することで、矩形の検査領域を指定することができる。その後、画像上、例えば、図6(b)の領域0622を指定する。」
カ 「【0047】
さらに、検査パラメータ設定では、各検査基準(「重要」、「標準」)に対しての円状欠陥、筋状欠陥の検査レベルを閲覧したり、コンボボックスにおいて検査レベルを変更したりすることが可能である。本実施形態では、検査が厳しい順に検査レベル7、6、5、4、3、2、1と定義するため、「重要」「標準」は、検査レベルが逆転しないように設定されるものとする。これは、例えば、「標準」で検査レベル5を選択した場合は「重要」では検査レベル7か6しか選択できないように表示を変更することで実現可能である。なお、本実施形態では、検査基準「除外」が指定された領域(検査除外領域)については、検査を実行しない領域であるので、検査レベルを選択するコンボボックスを設けない。
【0048】
また、0605を指定することによって、対応する検査基準が適用される検査領域の枠の色を変更することができる。0605がクリックされると例えば色選択メニュー(不図示)が開き、提示される選択肢によって表示部0245がユーザによる色の変更を受け付ける。
【0049】
図6(b)はユーザによって検査領域が描画された状態であり、表示部0245がユーザの選択や各種設定を受け付ける。図6(b)においては、検査基準「重要」が選択されていることが、「重要」の選択肢を反転表示することで示されている。図6(b)では、検査領域0622、0623、0625は、検査基準「重要」が指定されている。検査領域0624が、検査基準「標準」が指摘されている。また、検査領域0626が、検査基準「除外」が指定されている。なお、本実施形態では、図6(b)のように検査領域同士が重なっている場合は、検査除外、検査レベル7、6、5、4、3、2、1の優先順位で、検査基準を適用するものとする。これは、例えば検査時に画像の座標から、各画素に対して当該画素をどの検査基準で検査するかを決定してから検査することで実現可能である。または、各検査レベルで一度全画素を検査し、同じ画素が重複して異なる検査レベルで検査されていたら、前述の優先順位に基づき検査結果を判定しても良い。検査レベルが高くなると、検査の判定基準を厳しくする。尚、本実施形態では、検査除外が指摘されている領域は、シートごとに異なる番号を印刷するような場合を想定している。そのため、検査除外を、優先順位を1番高く設定し、この領域は必ず検査されないようにしている。しかしながら、例えば、指定された領域を必ず検査させたい場合は、検査除外を、優先順位を1番低く設定するようにしてもよい。いずれの場合も、優先順位を示す情報を保持しておき、その優先順位に基づいて、検査基準を適用する。尚、検査レベルについては、検査レベルが高い方が優先されるように、優先順位を設定する。
【0050】
検査基準確認ボタン0603が押下されると、図6(c)の状態が表示される。これは即ち、前述の優先順位に基づいて、当該画素がどの検査基準で検査されるかを領域の塗りつぶしにより表現したものである。領域0627、0628が、検査基準「重要」であることを示す。領域0629が、検査基準「標準」であることを示す。領域0630が、検査「除外」であることを示す。本実施形態では、領域0627、0628の色と、0605の色を同じにし、また、領域0629の色と0620の色を同じにし、領域0630の色と0621の色を同じにしている。そのため、各領域が、どの検査基準であるかをユーザが確認しやすくしている。尚、色を同じにする例を示したが、色でなくてもよく、柄でもよく、複数の基準と、その基準に対応する領域とが識別可能であればよい。さらに、図6(b)においても、領域0622、0623、0625の枠線の色と、領域0627、0628の色や0605の色と同じにしてもよい。そして、領域0624の枠線の色と、領域0629と0620の色を同じに、領域0626の枠線の色と、領域0630と0621の色を同じにしてもよい。」
キ「【0066】
次に、上述の手順により設定した検査設定を適用して検査を実施する際の検査装置0108の動作について説明する。」
ク「【0075】
(その他の実施形態)
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワークまたは各種記憶媒体を介してシステムあるいは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)がプログラムを読みだして実行する処理である。」
ケ 図1
「
[図:0001416441000001.jpg]
」
コ 図2
「
[図:0001416441000002.jpg]
」
サ 図6
「
[図:0001416441000003.jpg]
」
(2)先願発明
カの「0605を指定することによって、対応する検査基準が適用される検査領域の枠の色を変更することができる。」と、「領域0627、0628の色と、0605の色を同じにし、また、領域0629の色と0620の色を同じにし、領域0630の色と0621の色を同じにしている。そのため、各領域が、どの検査基準であるかをユーザが確認しやすくしている。」という記載と、サの図面では、符号0605、0620、0621が検査基準のラベルを示していることが看取されるから、先願明細書等には、「各検査基準の領域の枠の色と検査基準のラベル表示の色を同じ色で同時に表示すること」が記載されていると認められる。
上記認定及び先願明細書等の(1)で摘記した記載を総合すると、次の4つの発明(以下、「先願発明1」、「先願発明2」、「先願発明3」、「先願発明4」という。)が記載されていると認められる。
ア 先願発明1
「印刷装置の検査ユニットに接続される検査装置であって、検査装置へのユーザの入力を受け付けたり、検査装置の状態を表示したり表示制御したりする表示部、及び画像に欠陥があるかどうか判定するCPUを備え、
表示部には、検査設定画面が表示され、検査設定画面0601には、検査設定が適用される検査ジョブに既に登録されている基準画像が表示され、メニューバー0620に含まれるボタンを指定することで、画像上に、各検査基準の検査領域を設定し、その後、検査基準を設定し、検査基準は、「重要」、「標準」、「除外」であり、対応する検査基準が適用される検査領域の枠の色とラベル表示の色を同じ色で同時に表示され、検査基準確認ボタンが押下されると、検査領域は、塗りつぶしにより表現されるものであり、検査パラメータ設定では、各検査基準(「重要」、「標準」)に対しての円状欠陥、筋状欠陥の検査レベルを閲覧したり、コンボボックスにおいて検査レベルを変更したりすることが可能であり、検査が厳しい順に検査レベル7、6、5、4、3、2、1と定義するため、「重要」「標準」は、検査レベルが逆転しないように設定され、
CPUは、設定された検査設定を適用して基準画像と検査対象のスキャン画像を比較して検査を行うものである
検査装置。」
イ 先願発明2
「印刷装置の検査ユニットに接続される検査装置を備える検査システムであって、検査装置は、検査装置へのユーザの入力を受け付けたり、検査装置の状態を表示したり表示制御したりする表示部、及び画像に欠陥があるかどうか判定するCPUを備え、
表示部には、検査設定画面が表示され、検査設定画面0601には、検査設定が適用される検査ジョブに既に登録されている基準画像が表示され、メニューバー0620に含まれるボタンを指定することで、画像上に、各検査基準の検査領域を設定し、その後、検査基準を設定し、検査基準は、「重要」、「標準」、「除外」であり、対応する検査基準が適用される検査領域の枠の色とラベル表示の色を同じ色で同時に表示され、検査基準確認ボタンが押下されると、検査領域は、塗りつぶしにより表現されるものであり、検査パラメータ設定では、各検査基準(「重要」、「標準」)に対しての円状欠陥、筋状欠陥の検査レベルを閲覧したり、コンボボックスにおいて検査レベルを変更したりすることが可能であり、検査が厳しい順に検査レベル7、6、5、4、3、2、1と定義するため、「重要」「標準」は、検査レベルが逆転しないように設定され、
CPUは、設定された検査設定を適用して基準画像と検査対象のスキャン画像を比較して検査を行うものである
検査システム。」
ウ 先願発明3
「印刷装置の検査ユニットに接続される検査装置で行われる検査方法であって、検査装置は、検査装置へのユーザの入力を受け付けたり、検査装置の状態を表示したり表示制御したりする表示部、及び画像に欠陥があるかどうか判定するCPUを備え、
表示部に、検査設定画面を表示し、検査設定画面には、検査設定が適用される検査ジョブに既に登録されている基準画像が表示し、メニューバーに含まれるボタンが指定されることで、画像上に、各検査基準の検査領域の設定を受け付け、その後、検査基準を設定し、検査基準は、「重要」、「標準」、「除外」であり、対応する検査基準が適用される検査領域の枠の色とラベル表示の色を同じ色で同時に表示し、検査基準確認ボタンが押下されると、検査領域は、塗りつぶしにより表現され、検査パラメータ設定では、各検査基準(「重要」、「標準」)に対しての円状欠陥、筋状欠陥の検査レベルを閲覧したり、コンボボックスにおいて検査レベルを変更したりすることが可能であり、検査が厳しい順に検査レベル7、6、5、4、3、2、1と定義するため、「重要」「標準」は、検査レベルが逆転しないように設定されるステップと、
CPUにより、設定された検査設定を適用して基準画像と検査対象のスキャン画像を比較して検査を行うステップ
を有する検査方法。」
エ 先願発明4
「印刷装置の検査ユニットに接続される検査装置のコンピューターに実行させる検査プログラムであって、検査装置は、検査装置へのユーザの入力を受け付けたり、検査装置の状態を表示したり表示制御したりする表示部、及び画像に欠陥があるかどうか判定するCPUを備え、
表示部に、検査設定画面を表示し、検査設定画面には、検査設定が適用される検査ジョブに既に登録されている基準画像が表示し、メニューバーに含まれるボタンが指定されることで、画像上に、各検査基準の検査領域の設定を受け付け、その後、検査基準を設定し、検査基準は、「重要」、「標準」、「除外」であり、対応する検査基準が適用される検査領域の枠の色とラベル表示の色を同じ色で同時に表示し、検査基準確認ボタンが押下されると、検査領域は、塗りつぶしにより表現され、検査パラメータ設定では、各検査基準(「重要」、「標準」)に対しての円状欠陥、筋状欠陥の検査レベルを閲覧したり、コンボボックスにおいて検査レベルを変更したりすることが可能であり、検査が厳しい順に検査レベル7、6、5、4、3、2、1と定義するため、「重要」「標準」は、検査レベルが逆転しないように設定されるステップと
CPUにより、設定された検査設定を適用して基準画像と検査対象のスキャン画像を比較して検査を行うステップ
をコンピューターに実行させる検査プログラム。」
(3)本件発明1~4、7についての判断
ア 対比・判断
本件発明1と先願発明1を対比する。
先願発明1の「表示部」は、「検査装置の状態を表示したり表示制御したりするものであり」、「表示部には、」「基準画像が表示され、」「画像上に、各検査基準の検査領域を設定し、その後、」「「重要」、「標準」、「除外」」の「検査基準を設定し、」「対応する検査基準が適用される検査領域の枠の色とラベル表示の色を同じ色であ」る。そして、「対応する検査基準が適用される検査領域の枠の色とラベル表示の色を同じ色」とすることは、「各領域が、どの検査基準であるかをユーザが確認しやすく」((1)カの段落【0050】の摘記を参照。)するためであるから、検査基準毎に異なる色であることは明らかである。そうすると、先願発明1における、「基準画像」を「表示」し、「画像上に、」「重要」の「検査基準を設定」した「検査領域の枠」を「ラベル表示の色」と「同じ色」で表示し、「標準」の「検査基準を設定」した「検査領域の枠」を「ラベル表示の色」と「同じ色」且つ「重要」と異なる色で表示する「表示部」は、本件発明1の「検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で検査する第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させる表示制御部」に相当する。(なお、本件発明1の当該特定事項は、表示される検査領域が「第1の検査領域」と「第2の検査領域」のみからなることに限定しておらず、第3の検査領域が表示されることを除外するものではない。)
先願発明1は、「印刷装置の検査ユニットに接続される検査装置」であり、「検査対象のスキャン画像」を用いて検査を行うものであるから、「検査対象のスキャン画像」が、記録媒体に形成された印刷画像をスキャンしたものであることは明らかである。そうすると、先願発明1の「検査対象のスキャン画像」は、本件発明1の「記録媒体に形成された印刷画像の読取画像」に相当する。そして、先願発明1の「設定された検査設定」は、「重要」、「標準」の「検査基準を適用される」ように設定した各「検査領域」についての設定であるから、先願発明1の「重要」、「標準」の「検査基準を適用される」ように設定した各「検査領域」に基づいて、「基準画像と検査対象のスキャン画像を比較して検査を行う」「CPU」は、本件発明1の「前記第1の検査領域と前記第2の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して検査を行う検査部」に相当する。
しかし、先願発明1は、検査基準が「重要」と「標準」の2段階であり、本件発明1の「第3の検査領域」に関連する以下の事項を具備していない。
・表示制御部が、「前記第1の検査領域および前記第2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域は前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色で表示させる」ものであること、
・検査部が、「第1の検査領域、前記第2の検査領域および前記第3の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して前記検査を行う」ものであること
・「前記検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、
前記第1の検査領域は前記3段階のうち最も厳しい検査水準であり、
前記第2の検査領域は前記3段階のうち最も緩やかな検査水準であり、
前記第3の検査領域は前記最も厳しい検査水準と前記最も緩やかな検査水準との間の検査水準であり、
前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる」こと
よって、本件発明1は、先願発明1と同一ではない。
また、本件発明2~4、7も、先願発明1が具備しない上記特定事項を備えるものであるから、先願発明1と同一ではない。
(4)本件発明8~11、14についての判断
先願発明1の「検査装置」を含む先願発明2の「画像検査システム」は、本件発明8~11、14の「画像検査システム」に相当する。また、本件発明8~11、14の「画像検査システム」は、本件発明1~4、7の「画像検査装置」に対応するものであるから、本件発明8~11、14についての判断は、上記(3)の本件発明1~4、7に対する判断と同様に、本件発明8-11、14に係る発明は、先願発明2と同一ではない。
(5)本件発明15~18、21についての判断
先願発明1の「検査装置」と対応する先願発明3の「検査方法」は、本件発明15~18、21の「画像検査方法」に相当する。また、本件発明15~18、21は、「画像検査方法」の発明であり、「画像検査装置」の発明である本件発明1~4、7に対応するものであるから、本件発明15~18、21についての判断は、上記(3)の本件発明1~4、7に対する判断と同様に、本件発明15~18、21は、先願発明3と同一ではない。
(6)本件発明22~25、28についての判断
先願発明1の「検査装置」と対応する先願発明4の「検査プログラム」は、本件発明22~25、28の「画像検査プログラム」に相当する。また、本件発明22~25、28は、「画像検査プログラム」の発明であり、「画像検査装置」の発明である本件発明1~4、7に対応するものであるから、本件発明22~25、28についての判断は、上記(3)の本件発明1~4、7に対する判断と同様に、本件発明22~25、28は、先願発明4と同一ではない。
2 取消理由2(進歩性)
(1)甲2~10の記載事項
ア 甲2
(ア)甲2の記載事項
甲2には、以下の記載がある。
(甲2-ア)「【0001】
本発明は、グラビア輪転印刷機やオフセット輪転印刷機等で繰り返し同一の絵柄が印刷された印刷物の印刷欠陥を検査するための印刷物検査装置に関する。」
(甲2-イ)「【0010】
本発明は、以上のような問題点を解決するもので、1画像フレーム内の印刷絵柄中に任意の検査箇所及び検査領域を設定すると共に、それらの検査箇所と検査領域毎に任意の検査条件を設定して、印刷物の印刷欠陥の検査が個々の検査部分における個々の検査条件で行われるようにした印刷物検査装置を提供することを課題とする。」
(甲2-ウ)「【0015】
本発明の印刷物検査装置は、同一の絵柄が繰り返し印刷された印刷物の印刷欠陥を所定の検査条件に基づいて検査するための印刷物検査装置であって、図3乃至図6に示すように、印刷された印刷物11の1画像フレーム19内の印刷絵柄10中に任意の検査箇所及び任意の検査領域を設定すると共に、それらの検査箇所と検査領域毎に印刷欠陥の検査条件を設定するための領域別検査条件決定手段と、撮像用トリガ信号を発生する信号発生手段と、撮像用トリガ信号を得て印刷物11を1画像フレーム19毎に撮像するための撮像手段14と、この撮像手段14で撮像することによって得られた1画像フレーム19毎の被検査画像情報と基準となる基準絵柄が形成されている1画像フレームを撮像することによって取得した基準画像情報とにおける前記検査箇所及び検査領域に対応する部分をそれぞれ比較し、各検査箇所及び検査領域別に設定された検査条件に基づいて印刷物の欠陥を検出するための印刷欠陥検出手段とを備えていることを特徴とする印刷物検査装置である。」
(甲2-エ)「【0020】
撮像することによって得られた被検査画像情報は、基準となる基準絵柄が形成されている1画像フレームを撮像することによって取得した基準画像情報における、後述する検査箇所及び検査領域に対応する部分の画像情報のそれぞれと対比させ、各検査箇所または検査領域別に設定された検査条件に基づいて画像処理手段17において差分比較され、印刷欠陥の検査が行われることになる。」
(甲2-オ)「【0024】
先ず、1画像フレーム19内の印刷絵柄10を撮像手段14により取り込んで得られた被検査画像情報に基づいて領域別検査条件設定手段の操作画面中に映し出し、その中の絵柄を見て検査をするポイント(検査箇所)及び検査をする領域(検査領域)を設定すると共に、検査領域毎に領域別検査条件を設定する。」
(甲2-カ)「【0026】
1)領域別検査条件設定手段の操作画面中の領域別検査条件指示部において、条件設定を行う旨を指示する。
2)領域種別指示部でA領域(きつめ)、B領域(普通)、C領域(緩め)の何れかを選択する。
3)操作画面に映し出した印刷絵柄上にマウスを持っていく。自動的に矩形が表示されるのでマウスを動かして矩形の大きさを自由に変える。こうすることで、各検査領域の大きさが自由に設定できる。なお、図面では矩形の検査領域の例が示してあるが、検査領域は自由曲線で表示するようにしてもよい。また、マウスの移動ではなく、タッチパネル上で指を動かして検査領域を設定できるようにしてもよい。
4)上記2)、3)の操作を繰り返して行なうことで、1画像フレーム内の印刷絵柄中に異なる検査条件の検査領域をいくつも設定できる。」
(甲2-キ)「【0028】
これらの作業は、上述したように、撮像手段14で取り込んだ被検査画像情報に基づいて領域別検査条件設定手段の操作画面に映し出した映像の上で行なえるようにしておけば、検査のための領域設定とその部分における検査条件の設定が自由にまた簡単に行なえるようになる。
【0029】
以上のような操作が完了したら、検査条件の判定レベルの設定を行うための操作画面(図6参照)において、各A領域、B領域、C領域における検査条件よりさらに細かな検査条件の数値設定を行う。
【0030】
具体的には、まず検査条件をA領域条件(きつめ)、B領域条件(普通)、C領域条件(緩め)の3パターンに分けて設定する。そして各検査条件を、例えば、重欠陥、中欠陥、軽欠陥とさらに細かいレベルに設定し、さらに各欠陥検査を、点状欠陥、面状欠陥、線状欠陥の欠陥種毎に行われるようにする。
各種条件の設定においては、画素数、面積はユーザの便をはかるためにどちらか一方の値を切り替えできるようにしておけばよい。」
(甲2-ク)「【0031】
なお、上記のようにして各検査部分の細かな検査条件が設定されると、その設定に基づく各種数値データは、システム制御部において、印刷欠陥の検査開始前にメイン部21から通信制御部23を経由して画像処理部24へと送られる。そして、これらの数値データはテキストデータとして画像処理部24へと送られる。
一方、図5に示す操作画面を用いて設定した各検査領域の位置情報と検査領域の大きさ、形等は、テキストデータではなく、1画像フレーム内の印刷絵柄中に設定した各検査箇所や検査領域が1フレーム画像とともにそのまま画像データとして、システム制御部のメイン部21から通信制御部23を経由して画像処理部24へと送られる。
【0032】
この時、検査領域を設定するには、検査領域の中が透けて1画像フレーム内の印刷絵柄が見えるようにし、システム制御部の画像処理部24へ送る時には検査領域の中を検査領域における枠の色と同じ色で塗りつぶした形で送るようにする。これにより画像データを受け取った画像処理部の判定処理が簡素化される。さらには、1画像フレーム内の印刷絵柄を、例えば、R、G、B各8ビットの24ビット画像とした場合には、1画像フレーム内の印刷絵柄に係る画像の送信の通信時間の短縮をはかるため、全24ビット画像を8ビット画像に圧縮して送信すればよい。」
(甲2-ケ)図5
「
[図:0001416441000004.jpg]
」
(甲2-コ)図6
「
[図:0001416441000005.jpg]
」
(イ)甲2に記載の技術手段
(甲2-ク)の「検査領域の中を検査領域における枠の色と同じ色で塗りつぶした形で送るようにする」という記載と、(甲2-ケ)の図5中の画面表示における「G・・・領域枠追加用領域種別指示部」で示されるGの符号による指示部分が、各領域のラベルが表示されていることから、甲2に記載の印刷物検査装置の実施例においては、各領域を示す枠はそれぞれ異なる色で表示されるものであると認められる。
そうすると、甲2には、「領域別検査条件の設定において、検査条件をA領域条件(きつめ)、B領域条件(普通)、C領域条件(緩め)の3パターンに分けて設定できるようにし、各検査条件を、例えば、重欠陥、中欠陥、軽欠陥とさらに細かいレベルに設定し、領域種別毎に異なる色で検査領域の枠及びラベルを表示する」という技術事項、「領域種別毎に異なる色で検査領域を塗りつぶす」という技術事項、が記載されているといえる。
イ 甲3
(ア)甲3の記載事項
甲3には、以下の記載がある。
(甲3-ア)「【0001】
本発明は、欠陥を検査する検査装置に関するものであり、特に、印刷物などの色差検査と欠点検査を同時に行うことができる欠陥検査装置に関するものである。」
(甲3-イ)「【0021】
本発明の目的は、高速および簡易に印刷物などの色差および欠点を検査できる欠陥検査装置を提供することにある。」
(甲3-ウ)「【0029】
図1に示すように、本発明の欠陥検査装置10は、移動中の印刷物12を撮影するカメラ14と、撮影データを使用して欠陥を検出するコンピュータ16とを備える。」
(甲3-エ)「【0034】
カメラ14とコンピュータ16が接続され、カメラ14で撮影された撮影データをコンピュータ16で受信する。コンピュータ16は、カメラ14が撮影して得た撮影データを使用して欠陥を検出する。コンピュータ16は、印刷物12の色差および欠点の欠陥を検出するための基準となる基準データ(マスターデータ)を記憶する手段、欠点を検出する手段、色差を検査する手段、および、印刷物12の位置ずれを補正する手段として機能する。
【0035】
基準データや撮影データは、CIEL*a*b*表色系を用いる。基準データは、図2から図5に示すように、各種設定をおこなうときに、モニターに画像として表示される。したがって、コンピュータには基準データを画像として表示する手段を含む。」
(甲3-オ)「【0040】
色差は、複数の印刷物12の撮影データの平均値と基準データを比較して検出する。比較は、設定された範囲のL*a*b*表色系における基準データと平均値との差を取る、いわゆる移動平均によっておこなう。この差がある値を超えた場合に色差の欠陥と認定する。平均値を使用するのは、撮影時のノイズの影響を小さくし、ノイズによって微妙な色差の変化を発生させないためである。設定範囲ごとに色差の欠陥と認識するレベルを変更できる構成であってもよい。すなわち、検査精度を高くしなければならない範囲は、上記差を小さくする。
【0041】
欠陥を検出する手段は、撮影データと基準データとを比較する手段と、撮影データと基準データとの比較値から被写体の欠点を検出する手段を含む。
【0042】
また、欠点を検出する手段は、図3に示すように、検査する範囲30を設定する手段を含む。色差と同様に、モニターに基準データを画像24として表示して、任意に検査範囲を設定する。なお、図3においては、円や矩形の図形と同じ範囲を検査する範囲30として設定している。
【0043】
欠点は、色差とは異なり、各印刷物12の撮影データと基準データとを比較して、欠点の欠陥を検出する。比較は、いわゆるパターンマッチングであり、両データの差分を取って差が出れば欠点と判定する。欠点と判定するための差分を変更できるようにしてもよく(レベルの変更)、欠点の欠陥と認識するレベルを設定範囲ごとに変更できる構成であってもよい。検査精度を高くしなければならない範囲は、欠陥と認定するための差分を小さくする。」
(甲3-カ)「【0051】
上述したコンピュータ16の各手段は、コンピュータ16に備えられたCPU、DSP(Digital Signal Processor)、画像データの入力のための入力ボード、高速で画像データの演算をおこなう演算ボード、作業用メモリ、および、ハードディスクなどの記憶媒体に記憶されたプログラムやデータによって構成される。
【0052】
欠陥の検出方法について説明する。まず、基準となる印刷物12の撮影データをカメラ14より取り込む。モニター20にカメラ14で取り込まれた画像22を表示し、色差や欠点の検索する範囲28,30を設定し、この設定された範囲28,30の基準データが検査する基準となる。また、位置補正をおこなうための画像を設定する。さらには、検査しない範囲をマスク34として設定する。」
(甲3-キ)図3
「
[図:0001416441000006.jpg]
」(この図3より、3つ以上の検査する範囲30が看取される。)
(イ)甲3発明
上記(ア)の記載を総合すると、甲3には、次の発明が記載されていると認められる。
「印刷物などの色差および欠点を検査できる欠陥検査装置であって、
モニターにカメラで取り込まれた、基準データとなる画像を表示し、3つ以上の検査する範囲を設定する手段により設定された、色差や欠点を検索する範囲を設定し、欠点の欠陥と認識するレベルを設定範囲ごとに変更できる手段と
各印刷物の撮影データと基準データとを比較して欠点の欠陥を検出する手段とを
有する欠陥検査装置。」(以下、「甲3発明」という。)
ウ 甲4
甲4には、以下の記載がある。
「【0001】
本発明は、プリンタやファクシミリ装置、あるいは、これらの機能を兼ね備えた複合機、パーソナルコンピュータなどの画像処理装置、プログラムおよび画像処理方法に関する。」
「【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、各種処理に関する設定作業の効率化を図ることができる、高い利便性を得ることができる画像処理装置、プログラムおよび画像処理方法を提供することを目的とする。」
「【0064】
画像処理部13は、座標情報取得部131と画面情報生成部132とを備える。座標情報取得部131は、画像記憶部12に格納された入力画像に関する座標情報を取得する位置情報取得手段である。画面情報生成部132は、入力した画像データに従って、後述する表示パネル15bに表示するプレビュー画像を生成するプレビュー画像生成手段である。ここで、画面情報生成部132が生成するプレビュー画像は、以下に述べるように、印刷するプレビュー画像およびプレビュー画像に関連する処理項目の入力画面のための情報の2つをまとめたものである。」
「【0068】
操作表示制御部151は、システム制御部16の命令を受けて操作表示部15の入出力を制御する。例えば、操作表示制御部151は、画像処理部13によって処理されたデータを、操作表示部15が備えているタッチパネル15aおよび表示パネル15bに出力制御する。より具体的には、操作表示制御部151は、表示パネル15bに画像データから生成されたプレビュー画像を表示させる。また、操作表示制御部151は、タッチパネル15aからの入力制御を行う。」
「【0075】
特定領域抽出部22は、画像解析部21で算出された各種の画像特性値に基づいて各種の特定領域(例えば、余白領域、コンテンツ領域、文字領域、写真領域など)の抽出を行う。特定領域抽出部22によって抽出された特定領域は、その特定領域の座標値と領域種別が領域テーブル(図示せず)に記憶され、プレビュー画像とともに表示パネル15bに表示され、操作者に提示される。操作者への提示は、図3に示すようにプレビュー画像上に特定領域を示す枠を表示する、または特定領域内の色を変更して表示することにより行われる。より詳細には、文字領域は赤色の枠、写真領域は緑色の枠など色を変えて表示したり、特定領域内の画像のRGB値を変更することにより異なる特定領域であることを表示する。なお、特定領域の表示は、操作者が特定領域抽出部22で選択を行う前に表示しても構わないし、ユーザがプレビュー画像上の座標を指示したときに、その座標に相当する特定領域を特定領域抽出部22で抽出して表示しても構わない。」
(図3)
「
[図:0001416441000007.jpg]
」
エ 甲5
甲5には、以下の記載がある。
「【0002】
手書きストローク群に属性(文字又は図形)を割り当て、属性に応じてストローク群を処理する手書き文書処理装置が知られている。」
「【0011】
ユーザが筆記した多数のストローク(インクデータ)は、例えば、ユーザが文書を書き終わる際或いは保存する際などに、インクデータDB11として蓄積される。インクデータは、文書単位等でストロークを格納するためのデータ構造である。」
「【0141】
例えば、着目した属性に応じて、処理の内容を変えることができる。例えば、以下のような処理が考えられる。
・第1属性=「文字」のストローク群には、処理A1を適用し、第1属性=「図形」のストローク群には、処理A2を適用する。
・第2属性=「文字」のストローク群には、処理B1を適用し、第1属性=「図形」のストローク群には、処理B2を適用する。
・第1属性=「文字」、第2属性=「文字」のストローク群には、処理C1を適用し、第1属性=「図形」、第2属性=「図形」のストローク群には、処理C2を適用し、第1属性=「文字」、第2属性=「図形」のストローク群には、処理C3を適用し、第1属性=「図形」、第2属性=「文字」のストローク群には、処理C4を適用する。」
「【0149】
ステップS41で、処理モードを取得し、ステップS42で、処理モードに応じた第1属性/第2属性/付加情報を用いて、ストローク群を処理し、ステップS43で、その処理結果を提示する。」
「【0153】
例えば、次のような文字図形整形処理が可能である。
・第1属性=「文字」のストローク群(以下、文字ストローク群と呼ぶ。)は、文字認識エンジンにかけて、フォント形式にする。
・第1属性=「図形」のストローク群(以下、図形ストローク群と呼ぶ。)は、図形認識エンジンにかけて、線を綺麗にする。
・付加情報のない(図形に含まれない)文字は、左揃えにする。
・付加情報のある文字は、中央揃えにする。」
(図6)
「
[図:0001416441000008.jpg]
」
オ 甲6
甲6には、以下の記載がある。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、書面としての文書(原紙)を読み込んで、ハードコピーとして複写したり、画像データに変換して保存したりするための文書処理装置および文書処理方法に関する。」
「【0024】
【発明の実施の形態】本発明システムは、書類の画像を画像入力部により取り込み、これを入力画像格納部に入力画像データとして一時的に記憶し、次いで、この一時記憶された画像データに対してデータの状況から領域抽出部により文字や図形等が物理的にあるいは論理的に連結されている単位を一つの領域として抽出し、次に、この抽出された領域に対して領域識別部が、個々にその領域の画像上の位置、大きさ、形状、構造、濃度分布等の特徴量を計測し、その計測結果を、予め定められたルールに基づいて識別することにより、各領域の種類、あるいは、文書上の重要度を識別する。
【0025】そして、これら識別された領域情報を、モニタディスプレイ等の表示手段である領域識別結果表示部に表示し、編集モードにすることで領域編集部によりユーザは前記表示内容を参照しながら領域情報の編集作業を行なうことでユーザの思うように領域情報の編集を行なうことができる。そして、その編集の結果を画像データとして出力することができる。」
「【0077】このような文書画像501を画像入力部101より取り込み、入力画像格納部102に一時保持させたとし、そして、領域抽出部103にてこれについて領域抽出したとする。その結果は、例えば図8の如きとなり、このような領域抽出して得られた画像がディスプレイの画面に出力されて表示されることになる。
【0078】すなわち、図8は本発明の文書処理装置における領域識別結果表示部105で領域情報表示処理(図2の領域情報表示処理ステップST205での処理)された内容によってCRTや液晶表示板等のディスプレイの画面に出力される領域情報501aであり、領域別に区切られた画像が画面表示される。」
図8
「
[図:0001416441000009.jpg]
」
カ 甲7
甲7には、以下の記載がある。
(ア)甲7の記載事項
(甲7-ア)「【0001】
本発明は、原稿画像データとこれに基づき印刷された印刷画像とを比較して印刷結果の良否を判定する検査に関する。」
(甲7-イ)
「【0006】
本発明は、印刷検査の対象領域の設定に関し、操作者の負担を軽減する。また、検査の厳しさの要求に対応する領域を設定し、領域ごとに検査の精度を適切な者とすることにより、不良と判定されるページを低減する。また、検査に関する装置への負荷を軽減する。
・・・
【0009】
抽出する領域に、さらに各ページに共通して印刷が行われない非印刷領域を加えることができる。非印刷領域は、さらに検査を緩くすることができる。」
(甲7-ウ)「【0016】
以下、本発明の実施形態を、図面に従って説明する。図1には、本実施形態のプリントシステムが示されている。プリントシステムは、プリンタ10と、プリンタ10に印刷指示を行うプリントサーバ12と、プリンタ10により印刷された画像の検査を行う検査装置14の概略構成が示されている。検査装置14は、処理機能に従ったブロック図にて示され、実際にはプリンタ10と一体に、またはその内部に搭載される。
【0017】
プリントサーバ12から送られたプリントジョブは、原稿画像データ抽出部16に送られ、各ページごとの印刷に必要な原稿画像データが抽出されてプリンタ10に送られる。プリンタ10では、このデータに従って印刷が実行される。プリンタ10は、電子写真方式により印刷を行う公知の装置であるが、他の印刷方式を用いることも可能である。原稿画像データ抽出部16で抽出された原稿画像データは、検査装置14内の原稿画像データ保存部18に送られ、ここに一時的に保存される。一方、用紙に印刷された印刷結果画像は、読取部20により光学的に読み取られて、印刷結果の検査に用いられる検査画像データとして、検査画像データ保存部22に一時的に保存される。原稿画像データと、このデータに基づき印刷された結果の検査画像データがそろうと、判定部24はこれらのデータを読み出し、データの一致の程度に基づき印刷結果の良否を判定する。判定は、例えば原稿画像データと検査画像データの対応する画素値(二値データであれば0と1)を比較して一致する画素数により行うことができる。一致する画素数が少なければ、印刷結果に何らかの不具合があると判断できる。判定部24による判定結果に基づきプリンタ10は、プリンタの印字機構、紙送り機構などの各機構部分に所定の操作を行う。例えば、不良の判定がなされた用紙については、他の用紙と分けてスタックされるように紙送り機構を制御する。また、例えば、不良の判定がなされた印刷を再度実行するように制御を行う。なお、本明細書において、「用紙」は、いわゆるコピー用紙など薄い紙のものに限らず、フィルム、厚紙、葉書などの印刷対象物全般を示すものである。
【0018】
この検査装置14においては判定部24において、印刷の特性応じて領域を分割し、領域ごとに検査の厳しさを変えて判定を行う。判定を厳しくすれば、小さな差でも不良と判断されるので、原稿画像データに、より一致する印刷結果が得られるが、反面、不良となった用紙は無駄となってしまう。この検査装置14においては、共通するフォームを有する複数のページを連続して印刷するジョブの場合に、そのジョブに含まれる各ページの原稿画像データに基づき、共通のフォームと思われる部分、各ページの内容が共通でない部分、白紙の部分の領域を抽出し、この領域ごとに検査の厳しさを変化させる。
【0019】
以下、検査装置14における各領域の抽出について詳細に説明する。共通フォームを有する印刷ジョブとして、図2に示す納品書などがある。納品書においては、罫線や枠線などの図形的情報、や納品元を示す「XXXX株式会社」およびその住所、郵便番号、電話番号、住所などは、どの納品書においても共通である。一方、届け先の名前や住所、郵便番号、電話番号や、納品される物品の品名やその数量、単価、合計額などは、納品書ごとに異なっている。罫線などの図形情報は、一部が欠けたり、とぎれたりして、形状がある程度乱れたとしても、大きな問題を生じない。また、罫線に付随して設けられる文字情報、例えば「お届け先」や、その中の項目を示す「名前」や「都道府県」「郵便番号」等の文字についても、決まったものであるので、これが判別しづらくても大きな問題を生じない。したがって、これらの印刷について、厳しい検査は必要なく、見た目が汚くない程度であれば何ら問題ない。一方、各納品書個別の情報である届け先の名前、住所など、納品物品の品名、数量、金額などは、間違いなく読み取られなければならず、また読む人にとっても注目する部分である。したがって、これらの印刷については、十分な検査を行い、汚れ等で見にくくなったり、欠けたりして情報が伝達されないことがないようにする必要がある。」
(甲7-エ)「【0022】
領域抽出部28は、積算値に基づき、領域の抽出を行う。各ページにおいて共通の印刷がなされる部分(黒の部分)に対して太め処理を行い、連続する黒の部分を囲う方形領域を設定する。この領域が各ページで共通に、固定した内容で印刷が行われる固定印刷領域である。図4に、この固定印刷領域が符号40を付され、また灰色の領域で示されている。枠部分は、枠を構成する直線が一つの領域を形成し、この例では5つの領域が組み合わされて形成されている。文字の部分は、太め処理によって隣接する文字がつながり、これにより一つの領域が形成される。画素値が、積算ページ数に達っしていないが0でもない画素、すなわちページごとに変更される内容が印刷される部分についても、太め処理を実行し、連続する部分を囲う方形領域を設定する。これが図4には一点鎖線で囲った領域として示されており、この領域が変更印刷領域42である。この二つの領域以外が非印刷領域である。領域抽出部28は、以上のようにして各領域の抽出を行う。なお、太め処理により方形領域を設定する方法を示したが、この設定は他の方法を用いることもできる。
【0023】
図4の情報は、積算されたページの原稿画像データに基づき作成されたものであり、残りのページの中には、図4の変更画像領域の外側の非印刷領域に印刷が行われる可能性がある。例えば、図4の名前の欄に示された長さより長い名前の届け先があった場合、そのようなことが起こる。しかし、この場合は、図の変更印刷領域の方形を行方向、すなわち横方向に延ばした範囲に印刷されることが推定される。したがって、図4の変更印刷領域を、固定印刷領域に達するまで延ばすことにより、以降より長い名前が印刷された場合にもこれを含めることができる。このように設定された各領域が、図5に示されている。図6は、図4の例において各領域のみを表した図である。灰色の領域が固定印刷領域であり、一点鎖線で囲われた領域が変更印刷領域である。また、図6のように抽出された各領域の、ページ上の位置、形状が定められる。このページ上の領域の位置、形状の情報を、以下領域フォームと呼ぶ。」
(甲7-オ)「【0025】
決定された領域フォームが検索部30に送られ、この領域フォームと同一または類似のフォームがすでに領域フォーム記憶部32に記憶されているかを検索する。類似の領域フォームが記憶されていれば、それを読み出し、これを判定基準設定部34および表示・UI(ユーザ・インタフェース)部36に送出する。このとき、今回抽出した領域フォームも併せて送出してもよい。また、今回抽出された領域フォームに類似するものが記憶されていなければ、今回抽出されたフォームを判定基準設定部34および表示・UI部36に送出し、また領域フォーム記憶部32に記憶する。表示・UI部36においては、送られてきた領域フォームを表示部に表示して操作者に提供する。表示の例としては、例えば図4や図5のように印刷されるデータとともに表示してもよく、図6のように領域のみを表示するようにしてもよい。
【0026】
操作者は、表示された領域フォームを見て使用するか否か、また複数の候補があった場合にいずれを使用するのかを選択し、その選択結果を表示・UI部36より入力する。判定基準設定部34は、選択された領域フォームを用いて、ページ内の印刷検査の判定基準をその領域ごとに設定する。変更印刷領域は、各ページに個別の情報が記載され、伝達内容としてこの情報が重要と考えられ、原稿画像データと高い一致性を求められる。したがって、この領域に対しては、判定の基準値を高くして厳しい判定を行う。
【0027】
また、固定印刷領域は、ある程度の情報が伝わればよく、原稿画像データと、それほど高い一致性を求められていない。例えば、枠線などは、ある程度欠けていても必要な情報が伝達されないということはない。また、「名前」や「電話番号」などの項目名も、その内容、すなわち届け先の名前や電話番号が記載されていれば、項目名が例えなかったとしても内容は伝達される。また、「XXXX株式会社」やその住所など送り元の情報については、全く欠落していては問題があるが、ある程度読める程度に印刷がなされていれば、必要であれば他から情報を得て、補うこともできる。したがって、固定印刷領域に対しては、変更印刷領域ほどは原稿画像データとの一致性を求められない。したがって、この領域においては、印刷良否の判定基準を低くして、やや緩い検査を行う。
【0028】
また、非印字領域については、汚れが目立たなければよく、よって、固定印刷領域と同じか、またはそれより低い判定基準を設定することができる。または、非印字領域については、検査を行わないようにしてもよい。」
(甲7-カ)「【0029】
判定基準設定部34が設定した領域ごとの基準に従い判定部は、印刷良否の判定を行う。」
(甲7-キ)図4
「
[図:0001416441000010.jpg]
」
(甲7-ク)図6
「
[図:0001416441000011.jpg]
」
(イ)甲7発明
(甲7-エ)の記載から、(甲7-キ)における符号40は、「固定印刷領域」であり、塗りつぶされていることが看取され、符号42は、「変更印刷領域」であり、一点鎖線で囲まれていることが看取される。また、(甲7-キ)から「固定印刷領域」と「変更印刷領域」が「原稿画像データ」上に重ねて表示されることが看取される。
また、(甲7-オ)の「固定印刷領域に対しては、変更印刷領域ほどは原稿画像データとの一致性を求められない。したがって、この領域においては、印刷良否の判定基準を低くして、やや緩い検査を行う。」という記載及び「非印字領域については、・・・固定印刷領域と同じか、またはそれより低い判定基準を設定することができる。」から、「非印字領域、固定印刷領域、変更印刷領域の順で印刷良否の判断基準が低く設定される」と認められ、「非印字領域」は、(甲7-イ)に「非印刷領域は、さらに検査を緩くすることができる。」という記載があることから、「非印刷領域」と同じ領域を意味していると認められる。
上記(ア)の記載と上記認定事項を総合すると、甲7には、次の発明が記載されていると認められる。
「プリンタにより印刷された画像の検査を行う検査装置であって、
積算されたページの原稿画像データに基づき、固定印刷領域、変更印刷領域、および非印刷領域を抽出する領域抽出部、
抽出されたフォームを判定基準設定部および表示・UI部に送出し、
送られてきた領域フォームを、固定印刷領域を灰色で塗りつぶした領域、変更印刷領域を一点鎖線で囲われた領域で原稿画像データ上に表示し、この二つの領域以外を非印刷領域として操作者に提供する表示・UI部、
領域フォームを用いて、ページ内の印刷検査の判定基準をその領域ごとに、非印刷領域、固定印刷領域、変更印刷領域の順で低く設定する判定基準設定部、
判定基準設定部が設定した領域ごとの基準に従い、原稿画像データとこのデータに基づき印刷された結果の検査画像データの一致の程度に基づき印刷良否の判定を行う判定部、
を有する検査装置。」(以下、「甲7発明」という。)
キ 甲8
甲8には、以下の記載がある。
「【0001】
本発明は、シートに印刷される画像の品質を検品する画像形成装置、検品装置、画像形成装置の制御方法、検品装置の制御方法及びプログラムに関わるものである。」
「【0037】
画像品質検査は、検査スキャナ221で読み取ってスキャン画像データ格納部222に格納された検査画像データと、ビットマップデータをもとに生成されたリファレンスデータに、例えば画素単位で差分がないかを比較して、印刷物の印刷品質を検査する。差分が、閾値よりも小さければ、印刷物の画像品質は良好であると判定され、閾値以上であれば不良であると判定される。
【0038】
図5の(a)に、ユーザが事前に設定する閾値の例を示す。ユーザが、検査レベルに対応づけられたレベルを高レベルに設定をした場合は、不整合画素数が「10」以下で良好と判定される。また、中レベルに設定をした場合は、不整合画素数が「50」以下で良好と判定される。低レベルに設定をした場合は、不整合画素数が「100」以下で良好と判定される。
【0039】
図5の(a)では、ユーザによって複数の画像品質検査レベルが設定され、それに基づいて、閾値となる不整合画素数が設定される例を示したが、閾値そのものをユーザが設定する方法を用いても構わない。」
「【0065】
ここで、領域情報格納部225に格納された領域情報について、詳細を説明する。領域情報格納部225には、受信したビットマップデータを解析する事で得られた、印字領域を示す位置情報が格納されている。
例えば、図4に示すような紙があり、グレーの領域がプレプリントされており、黒枠の領域に印字をする場合を例に挙げて説明を行う。プレプリント用紙の印字エリアとして、以下の領域の位置情報が格納されている。
領域1 :(3,4)(3,30)(140,4)(140,30)
この領域は、4つの座標を頂点とした四角を表す。原稿領域として、例えば黒枠で囲った四角の領域が設定され、その位置情報として、領域2 :(100、4)(100,90)(140,4)(140,90)が格納された場合、検査画像制御部226は、これら二つの領域情報から、重なり領域として領域3:(100,4)(100,30)(140,4)(140,30)を求める事が出来る。
このように、領域情報として領域情報格納部225に格納された座標データを用いて、検査画像制御部226は、重なり領域を求める事が出来る。」
「【0068】
S306で、S305で選択された領域に対して、画像品質検査のレベル設定を行う。選択された領域に対する画像品質検査のレベル設定は、例えば、ユーザが検査表示部228に表示されたレベルから、検査操作部227を用いて選択する。この時、検査表示部228に表示されるレベルは、事前にユーザが設定した画像品質検査レベルより低い設定のものである。」
「【0078】
ところで、プレプリント用紙が理想的な状態で他の画像形成装置から出力された場合、プレプリント領域の画像品質は保たれているはずである。このような考えに基づき、本実施形態では、プレプリント領域について、原稿領域と重なりがない部分には、画像品質検査レベルをさらに低くして画像不良を検出しにくくする。
これにより、プレプリント領域に対する検査スキャナ221の状態の突発的な変化等による、画像不良の誤検出を防ぐようにする。なお、原稿領域との重なりがあるプレプリント領域に対しては、第1実施形態と同様の処理を行う。」
「【0080】
S604において、S304と同様に、検査画像制御部226は、領域情報格納部225に格納された位置情報から、プレプリント領域と原稿領域に重なりがあるかどうかを判定する。ここで、重なりがあると検査画像制御部226が判定した場合は、S605へ進む。一方、重なりがないと検査画像制御部226が判定した場合は、S610へ進む。以後、S605~S609においては、S305~S309同様の処理が行われる。
S610において、検査画像制御部226は、S604においてプレプリント領域と原稿領域と重なっていないと判定された領域を選択する。S611において、検査画像制御部226は、S610で選択された領域(非重なり領域)に対して、画像品質検査のレベル設定を行う。」
「【0082】
例えば、不整合画素数は「無制限」である。ここでの無制限とは、具体的には、スキャン画像データの画素数と同じ画素数以下が設定される。つまり不整合画素数がスキャン画像データ中からいくら検出されても、不整合画素数が画像不良であると検出しないことで、原稿領域と重なりのないプレプリント領域における画像不良の誤判定を防ぐ。
S607において、S307と同様に、検査画像制御部226は、スキャン画像データの各領域に対して、設定された検査レベルにしたがった画像品質検査を実施する。
【0083】
以上が本実施例の処理フローとなる。これによってプレプリント領域に対する検査スキャナ221の状態の突発的な変化等による、画像不良の誤検出を防ぐようにする。また、原稿領域と重なりのあるプレプリント領域については、実施例1のように、画像品質検査を行うことで、原稿領域の画像不良を良好に検出する。」
「
[図:0001416441000012.jpg]
」
「
[図:0001416441000013.jpg]
」
「
[図:0001416441000014.jpg]
」
ク 甲9
甲9には、以下の記載がある。
「【0001】
本発明は、フォトマスクの外観検査を行う際に、要求される欠陥検出精度が異なる領域が複数存在するフォトマスクの外観検査方法に関する。」
「【0011】
本発明は、上記問題点に鑑み鋭意検討した結果考案されたもので、1枚のフォトマスクに要求される欠陥検出精度の異なる領域が複数存在しても検査保証精度を落とさないで、検査処理のスループットを向上できるフォトマスクの外観検査方法を提供することを目的とする。」
「【0017】
具体的には、まず、図1に示すように、フォトマスク10内に、欠陥検出精度のレベルが最も高い領域である領域Aと、欠陥検出精度のレベルが中程度の領域である領域Bと、欠陥検出精度のレベルが最も低い領域である領域Cを設定する。
ここで、許容される欠陥のサイズは、領域Aが最も小さく、領域Bは中程度であり、領域Cは最も大きくなる。
領域Aにおいては0.1μm以下のサイズの欠陥が許容され、領域Bにおいては0.2μm以下のサイズの欠陥が許容され、領域Cにおいては0.3μm以下のサイズの欠陥が許容される。このように、1枚のフォトマスク内に、許容される欠陥のサイズが異なる領域が複数存在する。」
「【0020】
Die-to-databaseのフォトマスクの外観検査では、設計デザインデータより変換された検査用のフォーマットのデータと、フォトマスク上に形成された実パターンのイメージとを比較して検査を行なう。
【0021】
次に、各設定領域毎に要求される欠陥検出精度のレベルに応じて検査装置の検出感度を設定する。領域Aに対する検出感度、領域Bに対する検出感度及び領域Cに対する検出感度をそれぞれ設定する。すなはち、領域Aに対する欠陥検出感度を最も高い感度に設定し、領域Bに対する欠陥検出感度を中程度の感度に設定し、領域Cに対する欠陥検出感度を最も低い感度に設定する。
【0022】
通常、die-to-databaseのフォトマスクの外観検査装置においては、欠陥のタイプに応じた検出アルゴリズムが存在し、各々の検出設定感度を任意に変更することができる。検出アルゴリズムの例としては、孤立欠陥検出アルゴリズム、エッジ欠陥検出アルゴリズム、CDエラー検出アルゴリズム、位相欠陥検出アルゴリズム等が存在する。
設定感度の例1:0~100(100段階で設定が可変である。)
100が最高感度であり、数字を小さくするほど低感度となる。すなわち、検出できる欠陥の最小サイズが大きくなる。
設定感度の例2:Min、Med、Max(3段階で設定が可変である。)
Minは高感度の設定であり、Medは中程度の感度の設定であり、Maxは低感度の設定である。」
(図1)
「
[図:0001416441000015.jpg]
」
ケ 甲10
甲10には、以下の記載がある。
「【0001】
本発明は、検査方法、半導体装置の製造方法に関し、特に半導体基板(ウエハ)、フォトマスク、液晶表示板などの基板上に形成されたパターンの欠陥または基板上に付着した異物を検出する外観検査に適用して有効な技術に関するものである。」
「【0006】
例えば、上記の検査方法は、製品チップ内すべてのパターン群を同じ検査条件で外観検査を行っている。そのため、あまり製品影響(異物、歩留まり、特性など)のないパターンも、製品影響のあるパターンも、同条件で検査していることになり、検査時間が長くなってしまう。」
「【0008】
そこで、本発明の目的は、基板上のそれぞれのパターン群に対し効率的な検査を実施し、致命性のある欠陥を短時間で検出することができる技術を提供することにある。」
「【0016】
なお、検査割合とは、検査領域に対して実際に検査を行う面積比率をいい、検査時のスキャン間隔に対応し、検査割合が高い場合はスキャン間隔が狭く、検査割合が低い場合はスキャン間隔が広くなる。検査割合が0%の場合は、対象となる検査領域については、実質的に検査されないことになる。」
「【0024】
まず、図1により、本実施の形態において検査対象とされる半導体装置の製品チップ内構成の一例を説明する。本実施の形態の半導体装置は、例えばシステムLSIなどの製品チップ11とされ、パターン密度の低い(パターンが疎である)ダミーパターン群12、パターン密度の高い(パターンが密である)メモリパターン群13,14、パターン密度が中程度の周辺回路パターン群15,16などの数種類のパターン群から構成され、一つの半導体基板(ウエハ)上に複数の製品チップ11が形成されている。
【0025】
次に、図2により、図3~図5を参照しながら本実施の形態の検査方法および半導体装置の製造方法における検査レシピの作成手順を説明する。レシピは、ウエハ処理の制御を行うために、各処理装置へのプロセスシーケンスおよび制御パラメータに関する装置個別の処理プログラムまたは処理データである。検査レシピは以下の手順で作成される。まず、ステップS21で、検査領域の設定を行う。例えば、チップ全体を検査領域として設定する。」
「【0027】
図3により、パターン群認識装置の構成およびパターン群認識方法を説明する。本実施の形態におけるパターン群認識装置は、(a)光学系によるものについては、図3(a)に示すように、光源31、ハーフミラー32、イメージセンサ33などから構成され、ウエハ34上に形成された製品チップ11内のパターン群を認識する。パターン群認識の方法としては、光源31から発した光35をハーフミラー32で反射させて、製品チップ11の表面に光35を照射し、チップ表面からの反射光36をイメージセンサ33で捕らえ、チップ表面からの反射光36のコントラスト差を検出し領域を判断する。チップ表面のコントラスト検出用に、実検査(外観検査)に使用しない、別の光学系を用いることとする。この光学系は、低倍率、大画素、低倍率で充分であり、図4に矢印で示すように高速でチップ内をスキャンし、チップ表面のコントラスト差を計測する。42はスキャンの進行イメージである。又、(b)電子線によるものについては、図3(b)に示すように、電子銃37、検出器40、映像変換器41、イメージセンサ33などから構成され、ウエハ34上に形成された製品チップ11内のパターン群を認識する。パターン群の認識方法としては、電子銃37から照射した電子38が製品チップ11の表面に当り、そこから得られた2次電子39を検出器40で検出し、映像変換器41により電子像化し、イメージセンサ33でコントラスト差を認識し領域を判定する。パターン認識の高速化及び製品の静電破壊防止とチャージアップの防止のため、電子の印加電圧は低く、1スキャンの走査領域は広くする。パターン群を計測する方法は、図4に示すような自動スキャンによる方法がある。これは、パターン群のパターン面積の疎密を自動計測し認識する方法である。また、図5に示すように、ユーザ側で任意パターン51を手動で設定することもできる。
【0028】
上記パターン群の自動認識、手動設定後、それぞれのパターン群に対して検査条件を設定する。検査条件の設定としては、まず、ステップS25で検査感度の設定を行う。このとき、パターン群ごとに検査感度を変えて設定を行ってもよい。そして、ステップS26で、検査割合の設定を行い検査レシピが完成する。
【0029】
図6により、検査割合設定(ステップS26)の詳細を説明する。まず、ステップS61で、パターン群を認識し、ステップS62で、パターン密度を算出し、ステップS63で、パターン群ごとに検査割合を設定する。検査割合は、パターン密度(%)に対しての自動設定と、手動による任意設定ができるものとする。ステップS64で自動/手動を判定し、自動設定の場合は、ステップS65で、パターン密度に対しパーセント指定を行う。すなわち、パターン密度の高いパターン群については検査割合を高くし、パターン密度の低いパターン群については検査割合を低くする。手動による任意設定の場合は、ステップS66で、パターン群毎に任意でパーセント指定を行う。例えば、歩留まり影響のあるパターン群については検査割合を高くし、歩留まり影響のないパターン群については検査割合を低くする。そして、ステップS67で、検査割合を決定する。」
「【0031】
なお、検査割合に限らず、パターン群ごとに他の検査条件を変えて設定を行ってもよい。例えば、ショート系、オープン系など、パターン群により検出したい欠陥が異なる場合がある。検査感度などの検査条件をパターン群ごとに変えることにより、より致命性のある欠陥を検出することができるようになる。また、検査割合を0%とすることで、検査不要パターン群の設定ができ、さらに、検査時間を短縮することができる。」
「
[図:0001416441000016.jpg]
」
「
[図:0001416441000017.jpg]
」
「
[図:0001416441000018.jpg]
」
「
[図:0001416441000019.jpg]
」
(2)甲3発明を主引用発明とするもの
ア 本件発明1についての判断
(ア)対比
本件発明1と甲3発明を対比する。
a 甲3発明は、「欠点の欠陥と認識するレベルを設定範囲ごとに変更」する際に、「モニターにカメラで取り込まれた、基準データとなる画像を表示」するものであるから、検査の前に「基準データとなる画像を表示」することは明らかである。また、甲3発明は、「3つ以上の検査する範囲を設定する手段により設定された、色差や欠点を検索する範囲を設定し、欠点の欠陥と認識するレベルを設定範囲ごとに変更できる」ものであるから、設定範囲が3つ以上存在することは明らかであり、甲3発明における、複数存在する設定範囲のうち3つ(以下、1つ目の設定範囲を「第1の設定範囲」、2つ目の設定範囲を「第2の設定範囲」、3つ目の設定範囲を「第3の設定範囲」という。)が、本件発明1の「第1の検査領域」、「第2の検査領域」、「第3の検査領域」にそれぞれ相当する。そして、甲3発明は、「基準データとなる画像を表示」して、「色差や欠点を検索する範囲を設定」するものであるから、設定範囲も画像に表示されるものである((1)イ(ア)(甲3-キ)で摘記した図3を参照。)。そうすると、甲3発明の「モニターにカメラで取り込まれた、基準データとなる画像」と、「欠点の欠陥と認識するレベルを設定範囲ごと」に設定された「色差や欠点を検索する範囲」である、第1の設定範囲と第2の設定範囲と第3の設定範囲を表示する「手段」は、本件発明1の「検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、検査の対象となる第1の検査領域」を「表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第2の検査領域」を「表示させ、」「前記第1の検査領域および第2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域」を「表示させる表示制御部」に相当する。
b 甲3発明において、「各印刷物の撮影データと基準データとを比較して欠点の欠陥を検出する」際に、「欠点の欠陥と認識するレベルを設定範囲ごとに変更できる手段」で設定されたレベルに基づいて、第1の設定範囲、第2の設定範囲及び第3の設定範囲の欠点の欠陥を検出することは明らかであるから、甲3発明の「各印刷物の撮影データと基準データとを比較して欠点の欠陥を検出する手段」は、本件発明1の「前記第1の検査領域、前記第2の検査領域および前記第3の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して検査を行う検査部」に相当する。
c 甲3発明の「欠陥検査装置」は、「印刷物などの色差および欠点を検査できる」ものであるから、本件発明1の「画像検査装置」に相当する。
(イ)一致点・相違点
上記(ア)の対比結果から、本件発明1は、甲3発明と以下の点で一致し、相違する。
<一致点>
「検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、検査の対象となる第1の検査領域を表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で検査する第2の検査領域を表示させ、前記第1の検査領域および前記第2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域を表示させる表示制御部と、
前記第1の検査領域、前記第2の検査領域および前記第3の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して検査を行う検査部と、
を有する画像検査装置。」
<相違点>
相違点1:各検査領域の表示色について、本件発明1は、「検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ」、「第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させ」、「第3の検査領域は前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色で表示させる」のに対して、甲3発明は、「色差や欠点を検索する範囲」である第1の設定範囲と、第2の設定範囲および第3の設定範囲の表示色が不明である点。
相違点2:本件発明1は、「前記検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、
前記第1の検査領域は前記3段階のうち最も厳しい検査水準であり、
前記第2の検査領域は前記3段階のうち最も緩やかな検査水準であり、
前記第3の検査領域は前記最も厳しい検査水準と前記最も緩やかな検査水準との間の検査水準であり、
前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる」のに対して、甲3発明は、設定できる検査水準が何段階であるか不明であり、中間段階の検査水準の精度の変更が可能か否かについても不明である点。
(ウ)相違点の検討
事案に鑑み相違点2について先に検討する。
甲2、甲4~10には、(1)で摘記した記載は存在するものの、いずれの文献にも、印刷画像の検査において、「前記検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、
前記第1の検査領域は前記3段階のうち最も厳しい検査水準であり、
前記第2の検査領域は前記3段階のうち最も緩やかな検査水準であり、
前記第3の検査領域は前記最も厳しい検査水準と前記最も緩やかな検査水準との間の検査水準であり、
前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる」ことについては、記載も示唆もされていない。
したがって、本件発明1の上記相違点2に係る構成は、甲3発明及び甲2、甲4~10に基づいて当業者が容易に想到しえたものではない。
この点について、申立人は、令和6年6月17日提出の意見書において、本件発明1の上記相違点2に係る構成が、甲3又は甲2に開示された事項である、あるいは、甲9、甲10を挙げて周知技術に過ぎない旨を主張している。この主張について検討する。
甲3には、検査水準の設定可能段階数を3段階とすることは記載されていない。
甲2には、「領域別検査条件の設定において、検査条件をA領域条件(きつめ)、B領域条件(普通)、C領域条件(緩め)の3パターンに分けて設定できるようにし、各検査条件を、例えば、重欠陥、中欠陥、軽欠陥とさらに細かいレベルに設定し、領域種別毎に異なる色で検査領域の枠及びラベルを表示する」ことは記載されているものの、細かいレベルの設定方法については明記されておらず、甲2の図6((1)ア(ア)(甲2-コ)の摘記を参照。)は、きつめ、普通、緩めの各検知レベルにおける点状欠陥、面状欠陥、線状欠陥について、感度レベル設定を行う画面を示すものであるが、例えば、画素数などは、きつめ、普通、緩めの順に設定されておらず、普通が必ずきつめと緩めの間となるように設定されるとまでは認められない。したがって、甲2には、本件発明1の上記相違点2に係る構成が開示されているとはいえない。
また、甲9の段落【0022】には、欠陥検出感度を0~100の100段階で設定が可変である例と、Min、Med、Maxの3段階で設定が可変である例が記載されており、段落【0021】には、領域毎に設定感度を設定することが記載されている。これら記載からは、本件発明1の上記相違点2に係る構成である、「検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、」「前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる」ことが開示されているとはいえない。甲10には、製品チップのパターン密度(高い、低い、中程度)に応じて、検査割合などの検査条件を設定することが記載されているものの、中程度のパターン密度の検査条件が、必ず高いパターン密度と低いパターン密度の各検査条件の間の範囲内で変更できることまでは記載されていない。そして、甲10に記載の技術は、印刷画像ではなく、製品チップの検査を前提とする技術である。そうすると、甲9、甲10をもって、本件発明1の上記相違点2に係る構成が周知技術であるとまでは認められない。また、甲9に記載の技術又は甲10に記載の技術は、甲3発明とは検査対象が異なり、検査対象に応じた技術であることを踏まえれば、甲3発明に、甲9に記載の技術、甲10に記載の技術を適用することが、当業者に容易であったとは認められない。
なお、申立人は、上記旨の主張を行うに際し、甲1の出願の審査における令和5年10月6日起案の拒絶理由通知書を甲11として、また、令和5年12月12日提出の手続補正書を甲12として提出し、その内容を上記主張の根拠としている。しかし、他の出願の審査経過は、本件の審理を拘束するものではない。
よって、上記主張は採用することができない。
したがって、相違点1について検討するまでもなく、本件発明1は、甲3発明、及び甲2、4~10に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2~4、7についての判断
本件発明2~4、7は、本件発明1の特定事項を全て備えるものであるから、本件発明1に対する上記アの説示のとおり、本件発明2~4、7についても、甲3発明、及び甲2、4~10に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 本件発明8~11、14についての判断
本件発明8~11、14は、本件発明1~4、7と同様の事項を異なるカテゴリーである画像検査システムとして特定したものであり、その判断は、上記ア及びイと同じである。
エ 本件発明15~18、21についての判断
本件発明15~18、21は、本件発明1~4、7と同様の事項を異なるカテゴリーである画像検査方法として特定したものであり、その判断は、上記ア及びイと同じである。
オ 本件発明22~25、28についての判断
本件発明22~25、28は、本件発明1~4、7と同様の事項を異なるカテゴリーである画像検査プログラムとして特定したものであり、その判断は、上記ア及びイと同じである。
(3)甲7発明を主引用発明とするもの
ア 本件発明1についての判断
(ア)対比
本件発明1と甲7発明を対比する。
甲7発明の「原稿画像データ」、「固定印刷領域」、「変更印刷領域」、「非印刷領域」は、本件発明1の「基準画像」、「第1の検査領域」、「第3の検査領域」、「第2の検査領域」にそれぞれ相当する。そして、甲7発明は、「固定印刷領域」、「変更印刷領域」について、「原稿画像データ上に」表示して、「印刷検査の判定基準をその領域ごとに設定する」から、該表示は、検査前であることは明らかである。また、甲7発明の「非印刷領域」は、「固定印刷領域」と「変更印刷領域」以外の領域であり、塗りつぶしたり、一点鎖線で囲われていない領域として表示されるものである。そうすると、甲7発明の「固定印刷領域を灰色で塗りつぶした領域、変更印刷領域を一点鎖線で囲われた領域で原稿画像データ上に表示し、この二つの領域以外を非印刷領域として操作者に提供する表示・UI部」は、本件発明1の「検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、検査の対象となる第1の検査領域」を「表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第2の検査領域」を「表示させ、前記第1の検査領域および前記第2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域」を「表示させる表示制御部」に相当する。
甲7発明の「原稿画像データとこのデータに基づき印刷された結果の検査画像データの一致の程度に基づき印刷良否の判定を行う」ことは、両データの比較を行っているといえるので、甲7発明の「判定基準設定部が設定した領域ごとの基準に従い、原稿画像データとこのデータに基づき印刷された結果の検査画像データの一致の程度に基づき印刷良否の判定を行う判定部」は、本件発明1の「前記第1の検査領域、前記第2の検査領域および前記第3の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して前記検査を行う検査部」に相当する。
甲7発明は、「ページ内の印刷検査の判定基準をその領域ごとに、非印刷領域、固定印刷領域、変更印刷領域の順で低く設定する」から、甲7発明は、本件発明1の「前記検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、
前記第1の検査領域は前記3段階のうち最も厳しい検査水準であり、
前記第2の検査領域は前記3段階のうち最も緩やかな検査水準であり、
前記第3の検査領域は前記最も厳しい検査水準と前記最も緩やかな検査水準との間の検査水準であり、」に相当する構成を備えている。
甲7発明の「プリンタにより印刷された画像の検査を行う検査装置」は、本件発明1の「画像検査装置」に相当する。
(イ)一致点・相違点
(ア)の対比結果から、本件発明1は、甲7発明と以下の点で一致し、相違する。
<一致点>
「検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、検査の対象となる第1の検査領域を表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第2の検査領域を表示させ、前記第1の検査領域および前記第2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域を表示させる表示制御部と、
前記第1の検査領域、前記第2の検査領域および第3の検査領域に基づいて、基準画像と、記録媒体に形成された印刷画像の読取画像とを比較して検査を行う検査部と、
を有し、
前記検査水準は3段階あり、3段階の検査水準から選択され、
前記第1の検査領域は前記3段階のうち最も厳しい検査水準であり、
前記第2の検査領域は前記3段階のうち最も緩やかな検査水準であり、
前記第3の検査領域は前記最も厳しい検査水準と前記最も緩やかな検査水準との間の検査水準である画像検査装置。」
<相違点>
相違点1:本件発明1は、「第1の検査領域は第1の色で表示させ」、「第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させ」、「第3の検査領域は前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色で表示させる」のに対して、甲7発明は、(「第1の検査領域」に相当する)「固定印刷領域」が灰色で塗りつぶして表示され、(「第3の検査領域」に相当する)「変更印刷領域」が一点鎖線で囲われて表示され、非印刷領域については、基準画像上に非印刷領域を示す特定の表示がなされるものではない点。
相違点2:本件発明1は、「前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる」のに対して、甲7発明は、(「第3の検査領域」に相当する)「変更印刷領域」の判定基準が、(「第1の検査領域」に相当する)「固定印刷領域」の判定基準と、(第2の検査領域に相当する)「非印刷領域」の判定基準の間の範囲において変更できるものであるか不明である点。
(ウ)相違点の判断
・相違点1について、
(1)ア(ア)のとおり、甲2には、「領域別検査条件の設定において、検査条件をA領域条件(きつめ)、B領域条件(普通)、C領域条件(緩め)の3パターンに分けて設定できるようにし、各検査条件を、例えば、重欠陥、中欠陥、軽欠陥とさらに細かいレベルに設定し、領域種別毎に異なる色で検査領域の枠及びラベルを表示する」という技術事項が記載されている。甲7及び甲2は、共に印刷物の検査に関するものであり、異なる検査レベルを設定という機能的にも共通するものである。しかし、甲7発明において、非印刷領域は、固定印刷領域と変更印刷領域以外の領域として定められる領域であるから、固定印刷領域と変更印刷領域それぞれを視認できるように表示すれば、3つの領域を区別でき、非印刷領域に対して特定の表示を行う必要がないことは当業者にとって明らかである。仮に、甲7発明において、各領域を異なる色の枠で表示するとなれば、固定印刷領域と非印刷領域、変更印刷領域と非印刷領域は隣接するものであるから、すべての枠線を2色並んだ線とすることになり、領域設定における視認性が特段向上するとも認められない。そうすると、甲7発明に、甲2に記載の上記技術事項を適用して、固定印刷領域と変更印刷領域だけでなく、非印刷領域まで異なる色の枠で表示することの動機付けがあるとはいえない。したがって、甲7発明に甲2に記載の上記技術事項を適用して本件発明1の上記相違点1に係る構成を具備させることは、当業者が容易に想到しうることではない。
甲7発明において、本件発明1の上記相違点1に係る構成を具備させる必要性がないことは、前段落の説示のとおりであるから、甲3~6、8~10に記載の事項を適用して本件発明1の上記相違点1に係る構成を具備させることは、当業者が容易に想到しうることではない。
なお、申立人は、令和6年6月17日提出の意見書において、「本件訂正発明1は、甲7発明及び甲2発明に基づいて、又は、甲7発明、甲2発明、及び周知技術に基づいて容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項により特許を受けることができないものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきである。」と主張するが、上記判断のとおり、この主張は採用できない。
よって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲7発明、及び甲2~6、8~10に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明2~4、7についての判断
本件発明2~4、7は、本件発明1の特定事項を全て備えるものであるから、本件発明1に対する上記アの説示のとおり、本件発明2~4、7についても、甲7発明、及び甲2~6、8~10に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 本件発明8~11、14についての判断
本件発明8~11、14は、本件発明1~4、7と同様の事項を異なるカテゴリーである画像検査システムとして特定したものであり、その判断は、上記ア及びイと同じである。
エ 本件発明15~18、21についての判断
本件発明15~18、21は、本件発明1~4、7と同様の事項を異なるカテゴリーである画像検査方法として特定したものであり、その判断は、上記ア及びイと同じである。
オ 本件発明22~25、28についての判断
本件発明22~25、28は、本件発明1~4、7と同様の事項を異なるカテゴリーである画像検査プログラムとして特定したものであり、その判断は、上記ア及びイと同じである。
3 まとめ
以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)の理由1及び理由2は理由がない。
第6 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許異議申立理由の理由2(進歩性)について
特許異議申立理由の理由2は、第4 1(2)に概要を示したとおり、甲2を主引用例とする進歩性欠如の理由である。
当審の判断は以下のとおりである。
(1)本件発明1~4、7についての判断
甲2には、第5 2(1)ア(ア)で摘記した事項が記載されている。しかし、本件発明1の「前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更する際においては、前記変更する際の前記第1の検査領域の検査水準の検査の精度と前記変更する際の第2の検査領域の検査水準の検査の精度の間の範囲において、前記第3の検査領域の検査水準の検査の精度を変更できる」ことについては、第5 2(2)ア(ウ)で検討したように記載も示唆もされていない。
そして、本件発明1の上記事項が、甲3又は甲4に記載又は示唆されているとも、周知技術であるとも認められない。
したがって、本件発明1は、甲2及び甲3に基づいて、あるいは、甲2、甲3及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものとはいえない。また、本件発明2~4、7は、本件発明1の特定事項を全て備えるものであるから、本件発明1に対する上記説示のとおり、本件発明2~4、7についても、甲2及び甲3に基づいて、甲2、甲3及び周知技術に基づいて、甲2、甲3及び甲4に基づいて、あるいは、甲2、甲3、甲4及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、特許異議申立理由の理由2は理由がない。
(2)本件発明8~11、14~18、21~25、28についての判断
本件発明8~11、14は、本件発明1~4、7と同様の事項を異なるカテゴリーである画像検査システムとして特定したものであり、本件発明15~18、21は、本件発明1~4、7と同様の事項を異なるカテゴリーである画像検査方法として特定したものであり、本件発明22~25、28は、本件発明1~4、7と同様の事項を異なるカテゴリーである画像検査プログラムとして特定したものであり、その判断は、上記(1)と同じである。
2 特許異議申立理由の理由5(明確性)について
特許異議申立理由の理由5は、第4 1(5)に概要を示したとおり、「検査の対象」と「検査の内容」が具体的に規定されておらず、「検査水準」の技術的意義が不明確であるとする明確性の理由であり、令和5年7月6日付け取消理由通知書の理由3で指摘したものでもある。
当審の判断は以下のとおりである。
(1)明確性要件の判断手法
請求項に係る発明が明確性要件に適合するか否かは、当該請求項の記載だけではなく、願書に添付した明細書の記載及び図面を考慮し、また、当業者の出願当時における技術常識を基礎として、当該請求項の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かという観点から判断すべきであるから、以下、この観点に立って検討する。
(2)明確性要件の判断
本件訂正後の請求項1の「表示制御部」は、「検査の前に基準画像を表示させ、表示させた基準画像に対して、前記検査の対象となる第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させ、前記第1の検査領域および前記第2の検査領域とは異なる検査水準で前記検査をする第3の検査領域は前記第1の色および前記第2の色とは異なる第3の色で表示させる表示制御部」(下線は当審が付した。)であり、「第1の検査領域」、「第2の検査領域」、「第3の検査領域」に対して行われる「検査」は「前記検査」と記載されることから、同じ検査であることが明確である。また、検査の対象が「記録媒体に形成された印刷画像」であることは、請求項1の記載から明確である。そして、印刷画像の検査は広く行われていることであり、当該技術分野の技術常識を鑑みれば、印刷画像の「検査」の内容は、当業者が十分に把握できるものであるから、「検査」の内容が具体的に特定されないことをもって、請求項1の記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確とはいえない。
上記判断は、独立請求項である請求項8、15、22の記載についても同様である。
よって、特許異議申立理由の理由5は、理由がない。
3 特許異議申立理由の理由6(サポート要件)について
特許異議申立理由の理由6は、第4 1(6)に概要を示したとおり、発明の詳細な説明の全体において、コーティング画像の検査において、検査領域(オブジェクト)ごとに、印刷画像とコーティング画像との形成位置の重複具合に応じて、ユーザー設定画面上で異なる検品精度を設定し、当該検査領域が検品精度ごとに異なる色で表示されることとされているだけであって、本件発明1~28に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明において開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえないため、本件発明1~28は、発明の詳細な説明に記載したものではなく、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないとするサポート要件違反の理由であり、令和5年7月6日付け取消理由通知書の理由4で指摘したものでもある。
当審の判断は以下のとおりである。
(1)サポート要件の判断手法
特許請求の範囲の記載が明細書のサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。
(2)発明の詳細な説明の記載
発明の詳細な説明には、以下の記載がある。
「【0002】
従来、トナー像を用紙上に形成する電子写真方式の画像形成装置(複写機、プリンター、ファクシミリ、これらの複合機)と、スキャナー等を備えた画像読取装置と、をインラインでまたは一体に連結した画像形成システムがある。
【0003】
ここで、画像読取装置は、画像形成装置によって出力された出力物(すなわち用紙上の画像、以下同様。)をスキャナー等で読み取り、色や位置ずれの情報を画像形成装置にフィードバックし、画像を補正するための後処理装置として機能する。
【0004】
近年では、画像形成装置と出力画像読取装置のシステムに加え、画像形成装置によって出力された出力物の画像品質を自動で検査する画像検査装置(自動検品装置とも呼ばれる。)をインラインでまたは一体的に備えた画像形成システムが提案されている。かかるシステムにおいて、画像検査装置は、検査用のデータ(検査画像データ)に基づいて検品ジョブを実行して、用紙上の画像にかすれ、濃度むら、スジなどの種々の異常(画像不良)が有るか否かの検査(検品)を行う役割を担う。
【0005】
画像検査装置は、検品ジョブの実行にあたり、検査画像データとして、予め作成ないし登録された基準画像(正解画像ともよばれる)のデータと、実際に印刷された出力物の画像(画像読取装置の読取画像データ)とを取得する。
【0006】
そして、画像検査装置は、これら画像同士を比較することで、実際に用紙に印刷された画像に画像不良が有るか否かを判定し、画像品質の良否を検査する。かかる画像形成システムによれば、画像形成装置によって出力された出力物(用紙上の画像)が顧客の要望通りの品質で印刷されているか否か、を自動で検査(検品)することができる。」
「【0020】
本発明の目的は、第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で検査する第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させることが可能な画像検査装置、画像検査システム、画像検査方法および画像検査プログラムを提供することである。」
「【0049】
画像読取装置30は、図1および図2に示すように、画像形成装置20から排紙された用紙Sの画像(トナー像)を光学的に読み取る出力画像読取部31を有する。具体的には、出力画像読取部31は、用紙Sを光学的に走査し、用紙Sからの反射光を図示しないCCD(Charge Coupled Device)センサーの受光面上に結像させて、用紙Sの両面の画像を読み取り、読取結果に基づいて読取画像データを生成する。出力画像読取部31によって生成された読取画像データは、後述する画像検査装置50に入力される。
【0050】
後処理装置40は、図1および図2に示すように、画像読取装置30によって画像を読み取られた用紙Sを搬送する搬送ローラー、かかる用紙Sを排出する複数の排紙トレイ42,43、および、用紙Sの排出先(搬送ルート)を切り替える仕分け部41を備える。簡明のため、図2では、2つの排紙トレイ42,43を備えた構成を例示するが、排紙トレイの数は任意であり、より多くの排紙トレイを設けてもよい。仕分け部41は、用紙Sの排出先(搬送ルート)を経路P1と経路P2のいずれかに切り替える切り替えゲート、切り替えゲートを駆動するソレノイド等の駆動源、画像形成装置20および画像検査装置50とデータの送受信を行うためのインターフェースなどを備える。
【0051】
加えて、後処理装置40は、用紙Sを裁断するカッター、用紙Sのステープルとじを行うステイプラー、用紙Sの折りを行う紙折り機構、など、用途に応じた種々の付加的な機能を備えることができる。これらの付加的な機能は公知の構成であるため、図示および説明を省略する。
【0052】
図2に示すように、画像形成システム1は、画像読取装置30によって生成された読取画像データに基づいて、当該用紙Sに形成(出力)された出力画像の品質の良否(画像不良の有無)を検査する画像検査装置50を備える。
【0053】
この画像検査装置50は、CPUなどのハードウェアプロセッサやROM、後述するデータ格納部51などを備え、ROMに格納されたプログラムをCPUが読み出して実行することにより、出力画像の品質の良否(画像不良の有無)を検査するジョブ(以下、「検品ジョブ」という)を実行する。
【0054】
本実施の形態では、画像検査装置50は、画像読取装置30によって生成された読取画像に基づいて、画像検査を行う際の比較対象となる基準画像(正解画像と呼ばれることもある)を生成し登録する機能を備える。
【0055】
また、画像検査装置50は、登録された基準画像に対し、画像検査の対象となる検査対象領域(用紙上の2次元座標の領域)を、所定の面積あるいは画素単位で区分けし、当該区分けされた領域毎に画像検査の検査精度(水準)を設定する機能を有する。
【0056】
このため、画像検査装置50は、上記の検査精度(水準)を設定する「設定部」として機能し、また、後述する「検出部」としての機能も担う。
【0057】
そして、画像検査装置50は、画像読取装置30によって生成された読取画像と基準画像とを比較して画像不良の有無の検査を行う「画像検査部」としての機能を担う。なお、画像検査装置50のこれら各機能の詳細については後述する。」
「【0068】
次に、図3のフローチャートを参照して、画像検査装置50が実行する検品ジョブの処理の概略について説明する。簡明のため、図3に示すフローでは、印刷ジョブで用紙S上に印刷画像のみが形成される場合(コーティング画像は形成されない場合)を前提とする。
【0069】
また、ここでは、複数ページ(例えば用紙4枚)で一部数となる印刷物を複数の部数(例えば100部数)印刷し、印刷された複数部数の印刷物の画像の良否を検査する場合で、この印刷物(用紙4枚分)の基準画像のデータを新規作成するケースを前提とする。
【0070】
ステップS10において、画像検査装置50(図2に示す画像検査装置50のCPU、以下同じ。)は、上述したリファレンスデータの頁数を参照し、画像形成装置20により印刷され画像読取装置30により読み取られた一部数分(ここでは用紙4枚分)の読取画像データを、基準画像のデータとして登録(新規作成)する。かかる基準画像を登録する処理は、「リファレンスジョブ」と呼ばれる。
【0071】
具体的には、ステップS100において、画像検査装置50は、画像読取装置30によって読み取られ、生成された一部数分(用紙4枚分)の画像(読取画像データ)を、基準画像の候補としてRAM等に一時保存する。
【0072】
このとき、実際の印刷物(4枚分)の画像がユーザーによって視認され、問題がない場合、表示部26に表示された図示しない基準画像登録画面での操作入力を通じて、一時保存されたデータが、正式な基準画像のデータとして、データ格納部51に格納(登録)される。このときリファレンスジョブが完了する。
【0073】
かくして、正式な基準画像のデータが登録された後、画像形成装置20によって、印刷物の第二部目からの印刷ジョブが開始される。
【0074】
以下は簡明のため、基準画像のデータを新規作成するための印刷を「プルーフ印刷」と称し、検品ジョブの対象となる印刷を「本印刷」と称する。なお、実際の印刷物(4枚分)の画像に問題がある場合、ユーザーにより基準画像として問題がないと判断されるまで、上述したリファレンスジョブの処理が繰り返されることになる。
【0075】
ステップS200において、画像検査装置50は、画像形成装置20により本印刷が開始され画像読取装置30の出力画像読取部31によって生成された第二部目(この例では5枚目)からの読取画像データを取得する。この例では、画像検査装置50は、生成された読取画像データを画像読取装置30から直接受信する(図2を参照)。
【0076】
ステップS300において、画像検査装置50は、ステップS200で取得された読取画像データを、ステップS100で登録された、対応するページの基準画像のデータと比較することによって、基準画像と読取画像の同一性を検査する。
【0077】
続いて、画像検査装置50は、ステップS300の検査結果に基づいて、読取画像データの画像品質がOKであるか否かを判定する(ステップS400)。かかる判定の処理は、基準画像と読取画像の一致度(画像不良の種類)に関する項目および合否の基準値(閾値)等によって異なるものとなる。
【0078】
ここで、画像検査装置50は、画像品質がOKである(画像不良がない)と判定した場合(ステップS400、YES)、かかる印刷物の画像品質が合格であると判断する。この場合、画像検査装置50は、この読取画像データに対応する用紙Sを、予め設定された第1トレイ(例えば図1の排紙トレイ42)に排出するように、後処理装置40に通知する(ステップS500)。
【0079】
そして、画像検査装置50は、当該検品に関する印刷ジョブが完了するまでステップS200~ステップS500の処理を繰り返し、かかる印刷ジョブが完了すると、処理を終了する。この場合、画像検査装置50は、例えば「全ての印刷ページで画像品質が合格した」旨を画像形成装置20の制御部200に通知する。
【0080】
一方、画像検査装置50は、読取画像データに画像不良があると判定した場合(ステップS400、NO)、ステップS600に移行する。
【0081】
ステップS600において、画像検査装置50は、例えば「50枚目の印刷ページで画像不良が発生した」等のメッセージを画像形成装置20の制御部200に送信する。このとき、画像検査装置50は、当該画像不良の種類、用紙S内における画像不良の位置などを併せて画像形成装置20の制御部200に送信する。また、画像検査装置50は、当該画像不良がある読取画像データに対応する用紙Sを、予め設定された第2トレイ(例えば図1の排紙トレイ43)に排出するように、後処理装置40に通知する。
【0082】
画像検査装置50から画像不良の有無についての通知を受けた後処理装置40は、対象となる用紙Sを該当する排紙トレイ(42または43)に排出するように、仕分け部41(図1および図2を参照)の切り替えゲートを駆動する。
【0083】
画像検査装置50は、検品ジョブが完遂されるまで、上述したステップS100~ステップS600の処理を繰り返し行い、検品ジョブが完了(すなわち最後の印刷頁まで完遂)された場合、検査結果をデータ格納部51に保存して、検品ジョブを終了する。
【0084】
以上は、用紙S上に印刷画像のみを形成する場合の1回目の画像検査に関する処理概要であるが、印刷画像が形成された用紙S上にコーティング画像を形成する場合も、基本的には図3で説明したものと同様の手順により、2回目の画像検査を行うことができる。」
「【0171】
第3の精度をユーザーが任意に設定するための設定画面の一例を図12に示す。図12に示す例は、図4に示すコーティング付き印刷物における第3の検品精度をユーザーが調整可能とする構成例を説明する図であり、画像検査装置50の制御に基づいて画像形成装置20の表示部26に表示されるユーザー設定画面の一例を示す。
【0172】
図12に示すように、この例では、ユーザー設定画面中の左側にはコーティング付き印刷物が表示され、同画面中の右側には、ユーザーが操作入力するための精度設定部260およびOKボタン269が表示される。
【0173】
一具体例では、ユーザー設定画面中の左側に表示されるコーティング付き印刷物は、予め登録された基準画像である。
【0174】
また、精度設定部260には、第3の検品精度を設定(指定)ないし変更するためのボリューム261が表示される。かかるボリューム261は、ユーザーの入力操作に応じて、目盛り「1」ないし「2」の間で、数段階または無段階に移動できるようになっている。
【0175】
ここで、目盛り「1」は第1の検品精度と略等しい精度(厳しい水準)であり、目盛り「2」は、第2の検品精度と略等しい精度(緩やかな水準)である。
【0176】
そして、ユーザー設定画面中の左側に表示されるコーティング付き印刷物は、画像検査装置50によるコーティングデータの画像の解析結果に基づいて、検品精度の水準毎に、オブジェクトの色が異なる色となるように表示される。
【0177】
一具体例では、最も厳しい検査水準となる第1の検品精度が適用されるコーティング画像CI(オブジェクト)は赤色(R:Red)で表示され、緩やかな検査水準となる第2の検品精度が適用されるコーティング画像CI(オブジェクト)は緑色(G:Green)で表示される。
【0178】
また、第1および第2の検品精度の中間の検査水準となる第3の検品精度が適用されるコーティング画像CI(オブジェクト)は、黄色(Y:Yellow)で表示される。
【0179】
したがって、ユーザー設定画面中に表示されるコーティング付き印刷物中のコーティング画像CIの色は、実際に印刷されるコーティング材の色とは異なっている。
【0180】
なお、説明の便宜のため、図12中、赤色のコーティング画像CIには符号(R)を、緑色のコーティング画像CIには符号(G)を、黄色のコーティング画像CIには符号(Y)を、各々加えている。
【0181】
かくして、上述のようなユーザー設定画面を表示する本実施の形態によれば、第3の検品精度を任意に調整することができる。このため、図4、図10Aおよび図11Aで説明したコーティング付き印刷物をはじめとして、より複雑な模様(印刷画像またはニス塗り画像)があるものなど、種々のコーティング付き印刷物の検品に対応することができる。」
(3)当審の判断
上記(2)の記載事項を含む発明の詳細な説明全体の記載事項、特に段落【0020】の記載から、発明の詳細な説明から把握される本件発明が解決しようとする課題は、「第1の検査領域は第1の色で表示させ、前記第1の検査領域とは異なる検査水準で検査する第2の検査領域は前記第1の色とは異なる第2の色で表示させることが可能な画像検査装置、画像検査システム、画像検査方法および画像検査プログラムを提供すること」であると認める。
そして、段落【0068】~【0083】には、「簡明のため」「コーティング画像が形成されない場合」を前提とする画像検査のフローが記載されており、続く段落【0084】には、「以上は、用紙S上に印刷画像のみを形成する場合の1回目の画像検査に関する処理概要であるが、印刷画像が形成された用紙S上にコーティング画像を形成する場合も、基本的には図3で説明したものと同様の手順により、2回目の画像検査を行うことができる。」と記載されていることから、段落【0068】~【0083】に記載されるフローは、コーティング画像を形成しない場合と、コーティング画像を形成する場合の両方において、適用されるものと認められる。これらの記載から、段落【0049】~【0057】に記載された画像検査装置に関する説明についても、当該装置がコーティング画像の検査に限定されず、コーティング画像以外の印刷画像の検査に対しても用いられるものとして当業者は認識できる。
また、段落【0171】~【0181】の記載は、複数の検査精度(水準)について、印刷画像とコーティング画像との形成位置の重複具合に応じて設定する例を用いて説明しているが、複数の検査水準で検査すること自体は、甲2、甲3、甲7、甲8等にみられるように、本件の出願前においてコーティング画像以外の印刷画像の検査においても広く知られていたことであり、この点を踏まえれば、段落【0171】~【0181】で説明される設定画面(同設定画面を用いた検査精度の設定手法)は、例として挙げられたコーティング画像に特化したものと把握される特別な事情はなく、コーティング画像以外の印刷画像の検査においても用いることができることは当業者が十分に認識することができ、上記課題を解決できることが把握できる。
してみると、本件発明は、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明に、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるといえる。
したがって、本件発明は発明の詳細な説明に記載したものであるといえる。
(4)申立人の主張について
申立人は、令和6年6月17日付けの意見書において、
主張1:印刷画像のみの検査においては検査領域に応じて検査精度を変更する必要性がないこと
主張2:印刷画像のみの検査において検査領域に応じて検査精度を変更することは発明の詳細な説明に開示されていないこと
の2点を主張している。
主張1について検討する。
主張1は、本件訂正前の明細書の段落【0018】、【0019】に基づくものであるが、これらの段落は本件訂正の訂正事項21によって削除されている。そして、(3)で説示したように本件発明の解決しようとする課題は、コーティング画像の検査に限定されるものではない。そして、印刷画像のみの検査においても検査領域に応じて検査精度を変更する必要性があることは、甲2、甲3、甲7、甲8にみられるように本件の出願前において、広く知られていたことであり、主張1は採用できない。
続いて、主張2について検討する。
印刷画像のみを含む画像検査において検査領域に応じて検査精度を変更することは、段落【0020】に記載されており、実施例としては、明示的に記載されていないが、(3)で説示したように、発明の詳細な説明全体の記載から、コーティング画像以外の印刷画像の検査においても、検査領域に応じて検査精度を変更することが開示されていると認められるので、主張2は採用できない。
(5)まとめ
以上により、特許異議申立理由の理由6は理由がない。
4 小括
上記1~3のとおり、取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由は、いずれも理由がない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由並びに特許異議申立書に記載した申立理由及び証拠によっては、本件請求項1~4、7~11、14~18、21~25、28に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1~4、7~11、14~18、21~25、28に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、請求項5~6、12~13、19~20、26~27は、本件訂正請求により削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議申立てについて、請求項5~6、12~13、19~20、26~27に係る申立ては、申立ての対象が存在しなくなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-700397