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特許異議申立

2025-700393

試運転時の水処理設備の監視方法

審判番号
2025-700393
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2020-207036
登録番号
7563151
請求日
2025年04月07日
審決日
2025年07月01日
公報発行日
2025年08月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】栗田工業株式会社
  • 【権利者代理人】早川 裕司
  • 【権利者代理人】村雨 圭介
  • 【異議申立人】黒崎 惇子
審判長/審判官
  • 審判長 刈間 宏信
  • 審判官 山田 康孝
  • 審判官 鈴木 貴雄
分類
P1651.121-Y (G05B) / P1651.537-Y (G05B) / P1651.536-Y (G05B)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項特許法36条4項1号特許法36条6項1号
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7563151号発明「試運転時の水処理設備の監視方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7563151号の請求項1~5に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7563151号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、令和2年12月14日にされた特許出願であって、令和6年9月30日にその特許権の設定登録がされ、同年10月8日に特許掲載公報が発行された。 その後、本件特許に対し、令和7年4月7日(受理日:同月8日)に、特許異議申立人 黒崎 惇子(以下「申立人」という。)は、特許異議申立書(以下「申立書」という。)を提出し、請求項1~5に係る特許について、本件特許異議の申立てをした。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~5に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明5」という。)は、願書に添付された特許請求の範囲の請求項1~5(すなわち、上記特許掲載公報の特許請求の範囲の請求項1~5)に記載された、次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 試運転時の水処理設備の監視方法であって、 前記水処理設備は、前記水処理設備における水処理により生成した処理水を貯留するタンクと、前記タンクに接続された配管と、前記配管に設置され、前記水処理設備の運転指標を計測する測定計器と、前記測定計器に近接して設置された撮影送信手段と、前記測定計器の検出値に基づいて、前記水処理設備の運転状況を調整する被操作機器とを備え、 前記測定計器に示される検出値を 前記撮影送信手段で撮影し、 前記撮影送信手段の撮影データを近距離無線通信によって受信端末に送信し、 前記受信端末に表示される前記測定計器の検出値に基づいて前記被操作機器の調整の要否を判断する、試運転時の水処理設備の監視方法。 【請求項2】 前記受信端末に表示される前記測定計器の検出値に基づいて前記被操作機器の調整が必要と判断した場合に前記被操作機器の調整を行う、請求項1に記載の試運転時の水処理設備の監視方法。 【請求項3】 前記受信端末が携帯端末である、請求項1又は2に記載の試運転時の水処理設備の監視方法。 【請求項4】 前記測定計器は、圧力計、流量計、温度計、pH計、及び導電率計の少なくとも1つであり、前記被操作機器は流量調節バルブ、熱交換器の調整弁、薬注量制御バルブ、電流・電圧調整器の少なくとも1つである請求項1~3のいずれか1項に記載の試運転時の水処理設備の監視方法。 【請求項5】 前記撮影送信手段が簡易的に取付け、取り外し可能である、請求項1~4のいずれか1項に記載の試運転時の水処理設備の監視方法。」 第3 申立ての理由 1 申立ての理由の要約 申立書に記載された申立ての理由は、概略、次のとおりである。 (1)理由1:特許法第29条第2項(進歩性欠如) 本件発明1~5は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された刊行物に記載された、又は、電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった、下記2の甲第1号証に記載された発明、及び、甲第2号証~甲第5号証に記載された技術的事項に基づいて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである(同法第113条第2号)。 (2)理由2:特許法第36条第6項第1号(サポート要件違反) 本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記第5の1(1)の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである(同法第113条第4号)。 2 証拠方法 上記1(1)の証拠方法として申立書に添付された書証は次のとおりである。 (1)甲第1号証:特開2018-124803号公報 (2)甲第2号証:国際公開第2019/044280号 (3)甲第3号証:ニュースリリース「既存の機械式アナログメーターに、後付けIoT化を実現する「IoT角度センサユニット」の販売開始」、株式会社SIRC、2019年10月1日 (4)甲第4号証:「国立研究開発法人 情報通信研究機構(NICTchannel)、平成30年度 総務省・NICT Entrepreneurs' Challenge 2Days,2nd day(2019年3月12日)に開催した「起業家万博」でのプレゼンテーション「LiLz株式会社 Plan「計器点検の巡回を自動化するIoTサービス『LiLz Gauge』」」、YouTube[online][video]、2019年6月19日」の動画から申立人がキャプチャした画像(5枚、0分02秒、0分12秒、5分35秒、5分20秒、5分38秒)により構成されるプリントアウトされた書面、[取得日(申立人の印刷日):2025年3月24日]、取得先<https://www.youtube.com/watch?v=y5FaZE7si6A> (5)甲第5号証:国際公開第2008/139628号 (甲第1号証~甲第5号証を、以下、それぞれ「甲1」~「甲5」という。) 3 証拠方法に関する付記 (1)甲3について 甲3は、当審による職権での調査によれば、以下のURLから取得が可能なものである。 取得先<https://sirc.co.jp/cms/wp-content/uploads/2019/10/fad582ab1855e24fbd1ad67bb51c29c5.pdf>(取得日:令和7年6月26日) (2)甲4について 申立人は、甲4として、上記2(4)のとおり、2025年3月24日に申立人によってプリントアウトされた書面を原本として提出している。当審においては、下記第4の1(5)のとおり、上記2(4)にて示されるURLから取得される動画(以下「甲4動画」という。)から取得可能な情報を職権により追加して、甲4動画に開示された技術的事項を認定する。また、上記2(4)に示した甲4動画の公表日の「2019年6月19日」は、上記2(4)にて示される取得先URLから職権で認定したものである(当審による取得日:2025年6月26日)。 第4 進歩性(特許法第29条第2項)についての当審の判断 上記第3の1(1)について以下検討する。 1 本件発明1について (1)本件発明1の認定 本件発明1は、上記第2のとおり、願書に添付された特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定されるとおりのものであると認める。 (2)甲1に記載された発明 ア 甲1に記載された事項 申立人が申立書にて主引用発明を認定した甲1には、次の事項が記載されている。 「【技術分野】 【0001】 本発明は、移動式情報収集装置を用いる流体処理装置の監視制御システムに関する。 【背景技術】 【0002】 純水装置、排水装置、糖液や有機溶剤の精製装置、ガス浄化装置等の流体処理装置において、運転管理、制御のための流量計、圧力計、温度計、pH計、導電率計、濁度計、溶存酸素濃度計、液漏れ感知装置、監視カメラや画像センサ等の各種センサ類が設けられ、これらセンサからの情報が流体処理装置の運転制御に利用されている。 【0003】 また、各種情報の収集のために、ドローンなどに搭載されたカメラを含む移動式のカメラを利用することも提案されている。・・・。」 「【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0005】 ここで、各種センサからの情報を得るためには、情報収集が必要な個所に必用な数だけセンサを設置し、検出信号を送信するための装置をそれぞれ設けなければならない。また、移動式カメラによる情報収集は、防犯目的の不審者の検出に利用される場合が多いが、流体処理装置において具体的な提案はない。 【課題を解決するための手段】 【0006】 本発明は、流体処理装置の周辺に設置された軌道と、軌道上を移動し、流体処理装置の互いに離間した複数の検査対象の状況についての情報を収集して送信する移動式情報収集装置と、移動式情報収集装置から情報を受信し、受信した情報を解析する制御装置と、を含む。 【0007】 また、移動式情報収集装置は、検査対象の画像を撮影するカメラを含み、制御装置は、対象機器の画像を解析するとよい。 【0008】 また、移動式情報収集装置のカメラによって、流体処理装置の各所に取り付けられている現場計器の画像を取得し制御装置は、読み取った画像から計測値を読み取るとよい。 【0009】 また、移動式情報収集装置は取得した情報をメモリに取り込み、ホーム地点に戻ってからホーム地点に設置された制御装置と接続し、情報の送信を行うとよい。」 「【発明の効果】 【0013】 本発明によれば、移動情報収集装置を用いて、流体処理装置の複数の検査対象についての情報を収集するので、通信装置などをセンサ毎に設ける必要がない。従って、全体として簡単なシステムで、多くの情報を効率的に収集することができる。」 「【0016】 <全体構成> 図1は、実施形態に係る液体処理システムの全体構成を示す図である。この実施形態では、流体処理装置として、二層ろ過装置を含む水処理装置が採用されている。」 「【図1】 [図:0001425804000001.jpg] 」 (当審注:図1の右下の「通信装置56」と「データサーバ62」とを接続する「通信ネットワーク」を示す点線の矢印の符号「60」は、「66」の誤記と認める。) 「【0018】 原水配管12には、原水供給手段としての原水ポンプ14が設けられ、この吸い込み側がバルブV1を介し原水配管12の原水槽10側に接続され、原水ポンプ14の吐出側には、原水流量を計測する流量計F1、原水濁度を検出する濁度計T1、原水pHを計測するpHメータpHが配設されている。さらに、原水配管12の吐出側には、消毒剤供給部18からの消毒剤(NaClO:次亜塩素酸ナトリウムの水溶液)、凝集剤供給部20からの凝集剤(PAC:ポリ塩化アルミニウム)が供給されるようになっている。 【0019】 従って、バルブV1を開いた状態で原水ポンプ14を駆動することによって、原水槽10内の原水が凝集剤、消毒剤が添加されてろ過塔16に供給され、またその流量、濁度が計測される。」 「【0021】 ろ過塔16のろ材26の下方空間には、ろ過水配管28の一端が接続され、ろ過水配管28の他端は、処理水槽30に至っている。また、ろ過水配管28には、バルブV2が配置されている。従って、バルブV2を開いた状態において、ろ過塔16においてろ過処理された処理水が、ろ過水配管28を介し処理水槽30に導入される。また、ろ過水(処理水)の濁度が濁度計T2によって計測される。 【0022】 処理水槽30には、洗浄配管34の一端が接続されており、他端がろ過塔16の下方空間に接続されている。洗浄配管34には、逆洗ポンプ36が設けられる。洗浄配管34の逆洗ポンプ36の吐出側にはバルブV4、流量計F2が設けられている。従って、バルブV4を開いた状態で、逆洗ポンプ36を駆動することで、処理水槽30内の処理水が逆洗水としてろ過塔16の下方空間に供給される。また、流量計F2により、逆洗水量を計測することができる。」 「【0026】 また、制御装置50が設けられており、各種計器の計測結果などに基づき、ポンプ、コンプレッサ、バルブ、薬剤の供給などを制御する。制御装置50は、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)52をメインの制御機構として有し、移動式情報収集装置80の充電および情報を受け取り記憶する充電器・データ記録装置54、外部との通信を行う通信装置56を有している。 【0027】 そして、図1において、模式的に示すように、水処理装置の周辺の全体に亘って、軌道としてのレール70が設けられ、このレール70上を移動式情報収集装置80が走行する。図1においては、レール70は模式的に表してある。移動式情報収集装置80は、レール70上を走行して流体処理装置の各所における情報を収集する。なお、移動式情報収集装置80により必要な情報を収集可能な位置であれば、レール70は、流体処理装置に直接取り付けてもよいし、地面や、別の構造物に取り付けてもよい。例えば、移動式情報収集装置80がカメラを含む場合は、所望の解像度の対象の画像が撮影できる場所に移動式情報収集装置80を位置させることができるようにレールを設置するとよい。 【0028】 レール70は、ホーム地点Hを有しており、このホーム地点Hには制御装置50が設置されている。そこで、移動式情報収集装置80は、ホーム地点Hにおいて制御装置50の充電器・データ記録装置54と接続される。この例において、移動式情報収集装置80は、バッテリ、モータを搭載し、そのバッテリでモータを駆動して走行する自走式の車両である。そこで、ホーム地点Hにおいて、移動式情報収集装置80を充電器・データ記録装置54と接続することにより、移動式情報収集装置80のバッテリを充電し、また移動式情報収集装置80において収集した情報を充電器・情報を充電器・データ記録装置54に記憶することができる。(当審注:「収集した情報を充電器・情報を充電器・データ記録装置54に記憶する」という記載は「収集した情報を充電器・データ記録装置54に記憶する」の誤記と認める。) 【0029】 また、通信装置56には、通信ネットワーク66を介し、外部コンピュータシステム60が接続されている。この外部コンピュータシステム60は、データサーバ62、演算装置64を含む。データサーバ62には、多数の他の事業所(事業所B、C)も接続される。この場合、本事業所は事業所Aである。」 「【0033】 そこで、データサーバ62は、多くの事業所における流体処理装置の運転データについて、随時蓄積していく。もちろん、各事業所の流体処理装置の仕様についても必要なデータを記憶しておく。このため、各事業所毎に、どのような処理を行い、またどのような洗浄を実施したかのデータが、時間の経過とともに蓄積されていく。特に、各事業所において、操作員の経験などの相違により各種の運転条件における運転データを蓄積できる。 【0034】 そして、ある程度のデータが収集できた場合には、演算装置64は、データサーバ62に記憶されているデータに基づいて、各事業所における流体処理装置の運転方法について各種の制御データを算出し、これを各事業所に送信する。そして、各事業所では送られてきた制御データ受信し、これを参考にして、制御装置50が流体処理装置の運転制御を行う。さらに、運転が継続されていれば、データの収集は引き続いて行うことで、より多くのデータが蓄積され、演算装置64による制御データの精度が向上する。 【0035】 <移動式情報収集装置の例1> 図2,3には、移動式情報収集装置80の例1の構成を示してある。移動式情報収集装置80は、基本的のレール70上を自走する車両である。そして、この例では、移動式情報収集装置80は、カメラ82を有し、各種の対象を撮影することができる。図3に示すように、カメラ82には、データ記録装置84が接続されており、カメラ82からのデータはデータ記録装置84に記録される。データ記録装置84は、カメラ82に内蔵のものでも構わない。データ記録装置84には、通信装置86が接続されており、この通信装置86が充電器・データ記録装置54と接続されて、データ記録装置84内の撮像データが充電器・データ記録装置54に供給される。この接続は有線による接続でも、無線による接続でもよい。」(当審注:「基本的のレール70上を自走する車両」という記載は、「基本的にレール70上を自走する車両」の誤記と認める。) 「【図2】 [図:0001425804000002.jpg] 【図3】 [図:0001425804000003.jpg] 」 「【0037】 このような移動式情報収集装置80を流体処理装置の周辺に設けたレール70を設置し、そのレール70を移動させる。そして、流体処理装置の各所に取り付けられているセンサ類の計測値をカメラ82によって読み取り、データ記録装置84に記録する。そして、通信装置86により、読み取ったデータを有線または無線によって制御装置50に送信する。(当審注:「移動式情報収集装置80を流体処理装置の周辺に設けたレール70を設置し、そのレール70を移動させる」という記載は「移動式情報収集装置80を流体処理装置の周辺に設けたレール70上に設置し、そのレール70上を移動させる」の誤記と認める。)」 「【0039】 そして、制御装置50では、送信されてきた計測値を画像解析して、計測データを認識する。すなわち、濁度計、圧力計、流量計、pHメータなどのセンサ類は、通常表示器を有しており、作業員が見て計測値を認識できるようになっている。これによって、作業員は、現場で計測値を認識することで、現場のその他の状況などと合わせて、現場の状況を把握することができる。 【0040】 移動式情報収集装置80は、そのような表示器の画像を撮影し、画像解析することで、計測値認識する。アナログ式の表示器でも、デジタル式の表示器でも認識は可能である。また、表示器の表示パターンはある程度決まっているので、予め画像認識(パターン認識)の手法を記憶しておき、いずれかのパターン認識手法で表示を認識してもよい。さらに、各センサ類の設置場所、表示器の外観などは、わかっているので、センサ類毎に画像認識手順を予め決定しておいてもよい。 【0041】 いずれの場合においても、カメラ82によって得た画像より計測値を認識するという手法をとることによって、センサ類は送信機能を有する必要がなく、また既設のセンサ類をなんら改造することなくその計測値を取得することができる。 【0042】 また、画像認識は、制御装置50において行ってもよいが、移動式情報収集装置80のデータ記録装置84に演算機能を備え、ここで画像解析し、得られた計測値を制御装置50に送ってもよい。 【0043】 なお、対象となるセンサ類の設置場所は予めわかっているので、その移動式情報収集装置80の駆動制御装置88において、センサ類の位置を記憶しておき、設定位置において移動式情報収集装置80を停止させればよい。また、センサ類の表示器の近傍に、高周波タグや、バーコードなどを設置しておき、これらを利用して検出位置を決定し、停止して撮像してもよい。」 「【0047】 このような構成により、センサ類の多くが通信機能不要となり、計装関係の設備費を低減できる。そして、得られたデータは、ろ過装置の運転状態、水質監視、運転制御に利用することができる。」 イ 甲1に記載されているといえる事項 上記アから、甲1には、次の事項が記載されているといえる。 (ア)上記アの段落【0001】から、甲1には、流体処理装置の監視制御システムに関する技術が開示されるとともに、当該監視制御システムを用いた流体処理装置の監視方法についての発明が開示されているといえる。また、段落【0016】には、流体処理装置の実施形態として、図1に図示される水処理装置が挙げられている。 (イ)上記アの段落【0021】~【0022】の記載、及び、図1の図示内容から、甲1に記載の水処理装置は、水処理装置のろ過塔16においてろ過処理された処理水が導入される処理水槽30と、処理水槽30に接続されたろ過水配管28及び洗浄配管34と、ろ過水配管28及び洗浄配管34にそれぞれ設置され、ろ過水(処理水)の濁度及び逆洗水量をそれぞれ計測する濁度計T2及び流量計F2と、を備えているといえる。 (ウ)上記アの段落【0005】の記載から、上記(ア)の甲1に記載の水処理装置の監視方法は、「各種センサからの情報を得るためには、情報収集が必要な個所に必用な数だけセンサを設置し、検出信号を送信するための装置をそれぞれ設けなければならない」との課題を解決することを前提するものである。そして、その課題の具体的な解決手段として、段落【0027】、【0035】、【0037】及び【0043】、並びに、図1~3の図示内容からみて、水処理装置の周辺の全体にわたって軌道としてのレール70を設置し、このレール70上を移動式情報収集装置80が走行するようにし、水処理装置の各所に取り付けられているセンサ類の設定位置において移動式情報収集装置80を停止させ、移動式情報収集装置80が有するカメラ82によってセンサ類の計測値を読み取り、読み取った撮像データを通信装置86により無線によって制御装置50に送信するものであることがわかる。 してみると、甲1に記載の水処理装置は、カメラ82及び通信装置86を有し、濁度計T2及び流量計F2を含む各種計器の表示器の画像をカメラ82によって撮影できる設定位置までレール70上を走行する移動式情報収集装置80を備えるものであることがわかる。 (エ)上記アの段落【0018】~【0019】、【0026】及び【0047】の記載、並びに、図1の図示内容から、甲1に記載の水処理装置は、濁度計T2及び流量計F2の計測値を含む、各種計器の計測結果などに基づいて、制御装置50による水処理装置の運転のために制御されるポンプ(原水ポンプ14、逆洗ポンプ36)、コンプレッサ(ブロアB)、バルブ(バルブV1~V6)、並びに、薬剤の供給のための消毒剤供給部18及び凝集剤供給部20を備えているといえる。 (オ)上記(ウ)から、甲1に記載の水処理装置の監視方法は、濁度計T2及び流量計F2を含む各種計器の表示器に示される計測値をカメラ82で撮影する手順を備えることがわかる。 (カ)上記アの段落【0028】、【0035】及び【0037】の記載、並びに、図1及び図3の図示内容から、甲1に記載の水処理装置の監視方法は、上記(オ)の手順のあとに、カメラ82の撮像データを、移動式情報収集装置80がホーム地点Hに戻ってから、通信装置86により無線によって制御装置50の充電器・データ記録装置54に送信する手順を備えることがわかる。 (キ)上記アの段落【0021】~【0022】、【0026】及び【0047】の記載、並びに、上記(エ)から、甲1に記載の水処理装置の監視方法は、上記(カ)の手順のあとに、制御装置50の充電器・データ記録装置54にて受信した濁度計T2及び流量計F2を含む各種計器の計測値に基づいて、必要に応じて、ポンプ(原水ポンプ14、逆洗ポンプ36)、コンプレッサ(ブロアB)、バルブ(バルブV1~V6)、並びに、薬剤の供給のための消毒剤供給部18及び凝集剤供給部20の制御を行うものであるといえ、当然に、当該制御の要否を判断し、必要な場合に当該制御を行うものであると理解される。 ウ 甲1発明 上記ア~イから、甲1に記載された事項を本件発明1に合わせて整理すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 「水処理装置の監視方法であって、 前記水処理装置は、前記水処理装置のろ過塔16においてろ過処理されたろ過水が導入される処理水槽30と、前記処理水槽30に接続されたろ過水配管28及び洗浄配管34と、前記ろ過水配管28及び洗浄配管34にそれぞれ設置され、ろ過水の濁度及び逆洗水量をそれぞれ計測する濁度計T2及び流量計F2と、カメラ82及び通信装置86を有し、前記濁度計T2及び流量計F2を含む各種計器の表示器の画像を前記カメラ82によって撮影できる設定位置までレール70上を走行する移動式情報収集装置80と、前記濁度計T2及び流量計F2を含む各種計器の計測値に基づいて、制御装置50による水処理装置の運転のために制御されるポンプ(原水ポンプ14、逆洗ポンプ36)、コンプレッサ(ブロアB)、バルブ(バルブV1~V6)、並びに、薬剤の供給のための消毒剤供給部18及び凝集剤供給部20と、を備え、 前記濁度計T2及び流量計F2を含む各種計器の表示器に示される計測値を前記カメラ82で撮影し、 前記カメラ82の撮像データを、移動式情報収集装置80がホーム地点Hに戻ってから、前記通信装置86により無線によって制御装置50の充電器・データ記録装置54に送信し、 前記制御装置50の充電器・データ記録装置54にて受信した前記濁度計T2及び流量計F2を含む各種計器の計測値に基づいて前記ポンプ(原水ポンプ14、逆洗ポンプ36)、コンプレッサ(ブロアB)、バルブ(バルブV1~V6)、並びに、薬剤の供給のための消毒剤供給部18及び凝集剤供給部20の制御の要否を判断する、水処理装置の監視方法。」 (3)甲2に記載された技術的事項 ア 甲2に記載された事項 甲2には、次の事項が記載されている。 「背景技術 [0002]特許文献1には、圧力計、温度計、流量計、電力計等の既存の計器にICタグユニットを取り付けて、計器のメンテナンスを支援する方法が提案されている。具体的には、計器の情報、校正情報、点検情報等の管理情報を読み書き可能なICタグを、目盛り及び指針の視認を妨げないように計器内に取り付ける。この開示によれば、RFIDリーダを利用することで各計器の管理情報をICタグから得ることができる。そのため、各計器の状況の確認が容易になる。」 「発明が解決しようとする課題 [0005]特許文献1の方法では、RFIDリーダで、ICタグに記憶された管理情報を読み出すことができるものの、計器の指針が示す値(以下、「指示値」とも記載する)を読み出すことができない。そのため、作業者が、計器の指示値を目視により確認しなければならなかった。」 「[0008]本発明は、一側面では、このような実情を鑑みてなされたものであり、その目的は、既存の計器の指針が示す値の読み取りを低コストで自動化可能にする技術を提供することである。」 「[0012]また、当該構成では、指針の軸上で交差する第1及び第2の方向それぞれに沿う線上であれば、各磁力センサをどこに配置してもよい。そのため、既存の計器のカバー(透明板)に変更を加えなくても、例えば、カバーの内面、目盛板上等の既存の計器の内部空間において、各磁力センサの配置を比較的に自由に決定することができる。つまり、既存の計器に構成を変更することなく、指針の示す値(指針の角度)を特定するための各磁力センサを当該計器内部に配置可能である。したがって、当該構成に係る出力システムによれば、既存の計器の指針が示す値の読み取りを低コストで自動化することができる。」 「[0066]MPU52は、第1基板40の出力ユニット42を利用して、指示値情報を外部装置(図7では、リーダライタ90)に出力する。出力ユニット42は、指示値情報を外部装置に出力するように適宜構成されてよい。本実施形態では、出力ユニット42は、通信モジュール421とアンテナ422とを備える。通信モジュール421は、例えば、公知の無線通信モジュールである。これにより、出力ユニット42は、指示値情報を無線通信により外部装置に出力するように構成される。 [0067]指示値情報の出力先となる外部装置の種類は、実施の形態に応じて適宜選択されてよい。外部装置は、例えば、汎用のデスクトップPC(Personal Computer)、タブレットPC、スマートフォン等であってもよい。図7では、当該外部装置の一例として、リーダライタ90が例示されている。」 「[0072]計器1から指示値情報を受信すると、リーダライタ90は、指示値情報により示される指針13の示す値をタッチパネルディスプレイ94に表示する。具体的には、指示値情報が、各磁力センサ(61、62)の検出値で構成される場合、リーダライタ90の制御部93は、上記のとおり、各磁力センサ(61、62)の検出値に基づいて指針13の示す値を特定する。そして、制御部93は、特定した指針13の示す値をタッチパネルディスプレイ94に表示する。一方、指示値情報が、指針13の示す値で構成される場合、制御部93は、指示値情報をそのままタッチパネルディスプレイ94に表示する。」 「[0075][特徴] 以上のとおり、本実施形態に係る出力システム70によれば、計器1の指針13の示す値の読み取りを自動化することができる。また、指針13の軸20上に磁石30が配置されるのに対して、各磁力センサ(61、62)は、軸20上に交差する第1の方向21及び第2の方向22それぞれの線上に配置される。そのため、上記実施形態では、透明板112の裏面に各磁力センサ(61、62)が取り付けられているように、各磁力センサ(61、62)の配置を比較的に自由に決定することができる。特に、本体部10、透明カバー11等の計器本体に特殊な加工を加えなくても、各磁力センサ(61、62)を内部空間101に配置することができる。したがって、出力システム70は、既存の計器に変更を加えなくても、そのまま適用することができる。よって、本実施形態によれば、既存の計器の指針が示す値の読み取りを低コストで自動化することができる。」 「[図1] [図:0001425804000004.jpg] 」 イ 甲2記載の技術的事項 上記アから、甲2には、次の技術的事項(以下「甲2記載の技術的事項」という。)が記載されているといえる。 「計器1の内部空間101に2つの磁力センサ61、62を配置して、計器1の指示値を特定し、当該指示値を近距離無線通信によりタブレットPC、スマートフォン等の外部装置に出力し、当該指示値を外部装置のタッチパネルディスプレイ94に表示すること。」 (4)甲3に記載された技術的事項 ア 甲3に記載された事項 甲3には、次の事項が記載されている。 (ア)第1ページ中段 「本製品は、後付け・簡単・便利をコンセプトに既設の機械式アナログ1針メーター類(圧力計・温度計など)の計器に装着するだけで簡単にIoT化を実現できるセンサノードです。」 (イ)第1ページ下方(取付イメージ) 「 [図:0001425804000005.jpg] 」 (ウ)第2ページ中段 「IoT角度センサユニットは計器の既存ガラスと交換できるプラスチック筐体に入っています。IoT角度センサユニットは機械式アナログメーターの指針中央に装着した薄型磁石の動く角度を磁界の変化として捉え、数値化します。 近距離無線通信規格「Bluetooth」を搭載しており、Bluetooth対応のPCなどで角度データを収集可能です。また、ルーター・ゲートウェイ機器とクラウドサービスを活用することで、IoT角度センサユニットの複数台管理や集中データ管理も可能となっています。」 イ 甲3記載の技術的事項 上記アから、甲3には、次の技術的事項(以下「甲3記載の技術的事項」という。)が記載されているといえる。 「機械式アナログ1針メーター類(圧力計・温度計など)の計器にIoT角度センサユニットを装着して、計器の指針の角度データを収集し、収集した角度データを近距離無線通信規格「Bluetooth」によりBluetooth対応のPC等に出力すること。」 (5)甲4動画に開示された技術的事項 ア 甲4動画に開示された事項 甲4にURLが示される、YouTubeに投稿された甲4動画には、『LiLz Gauge』(以下「甲4技術」という。)に関する、次の事項が概略開示されている。 (ア)00分07秒~00分16秒 「甲4技術によるビジネスプランのポイントは、機械学習とIoTとを活用して、目視による巡回点検をゼロにするサービスであること。」 「00分08秒のキャプチャ画像 [図:0001425804000006.jpg] 」 (イ)03分30秒~04分02秒 「例えばビルの地下において200~1000個の計器を3~4時間かけて、ときには室温50℃の劣悪な環境下で、目視で巡回点検し、手書きでのレポートを作成する業務が依然として存在していること。点検される計器は、全国で100万個以上存在すると推測されること。」 「03分42秒のキャプチャ画像 [図:0001425804000007.jpg] 」 (ウ)04分02秒~04分25秒 「上記(イ)の業務が残っている背景として、スマートメータは大がかりな設備投資が必要となること、設備は24時間/365日稼働しており、設備を止めての仕様変更ができないこと、電源とネットワークが存在しない環境下であること、の3つが挙げられること。」 「04分20秒のキャプチャ画像 [図:0001425804000008.jpg] 」 (エ)04分25秒~04分35秒 「上記(ウ)のIoTにとって砂漠のような環境下での巡回点検の課題を解決するサービスとして、甲4技術を開発し、2019年内のリリースを予定していること。」 (オ)04分47秒~05分15秒 「甲4技術では、まず、専用に開発したカメラを、三脚を用いて、又は、吊して設置するが、計器との距離が離れてしまう場合には望遠レンズを装着して計器を高精細に撮影することも可能であること。」 「04分54秒のキャプチャ画像 [図:0001425804000009.jpg] 」 (カ)05分15秒~05分22秒 「甲4技術では、スマートフォンのアプリでその場でスケジュール設定・撮影確認を行うことができること。」 「05分20秒のキャプチャ画像 [図:0001425804000010.jpg] 」 (キ)05分22秒~05分46秒 「甲4技術では、設定したスケジュールで撮影が行われ、データはクラウドにアップロードされること。暗闇での撮影も可能であること。」 「05分35秒のキャプチャ画像 [図:0001425804000011.jpg] 」 「05分38秒のキャプチャ画像 [図:0001425804000012.jpg] 」 (ク)05分46秒~06分41秒 「甲4技術では、上記(キ)でアップロードされた撮影データを、中央管理室のパソコン上で確認をすることができること。初期設定は、カメラの画像から計器を抜き出すことで完了すること。画像解析で計器の値を読み取ることができ、1つのカメラで複数の計器の値を読み取ることも可能であること。セーフティゾーンの設定も可能であり、計測値の異常の発見が容易となること。ダッシュボード上で計器の画像を確認したり色で確認したりと、目的に合わせて現場に行かずに計器の確認を行うことができること。甲4技術のこのようなサービスを通じて、現場での目視での巡回点検をゼロにすることが可能となること。」 「06分08秒のキャプチャ画像 [図:0001425804000013.jpg] 」 「06分31秒のキャプチャ画像 [図:0001425804000014.jpg] 」 (ケ)06分58秒~07分15秒 「カメラに望遠レンズを装着することで、計器まで5mの距離があっても高精細に撮影することができること。」 「07分12秒のキャプチャ画像 [図:0001425804000015.jpg] 」 (コ)07分15秒~07分32秒 「甲4技術では、カメラとクラウドとの通信に、Bluetooth5.0とLTEカテゴリー1を併用することで低消費電力を実現しており、1日3回撮影で3年連続動作が可能であること。また、プレゼンテーションのスライド画像から、カメラの撮影データのクラウドへのアップロードは、LTEカテゴリー1が用いられていること。」 「07分31秒のキャプチャ画像 [図:0001425804000016.jpg] 」 (サ)08分35秒~08分50秒 「甲4技術によるサービスは、初期導入はビル管理であるが、計器の点検はあらゆる分野で実施されており、下水道施設等の他分野でも使用可能であること。」 「08分46秒のキャプチャ画像 [図:0001425804000017.jpg] 」 イ 甲4動画開示の技術的事項 上記アから、甲4動画には、次の技術的事項(以下「甲4動画開示の技術的事項」という。)が開示されているといえる。 「下水道施設等の監視方法であって(上記ア(サ)参照)、 下水道施設等の運転指標を計測する計器と、計器に近接して設置されたカメラと、を備え(上記ア(オ)及び(ケ)参照)、 カメラの設置時に、 計器に示される検出値をカメラで撮影し、 カメラ(撮影送信手段)の撮影データを、無線通信によってスマートフォン(受信端末)に送信し、 スマートフォン(受信端末)に表示される撮影画像の確認、撮影スケジュールの設定を行い(上記(カ)参照)、 計器の検出値に基づく点検時に、 計器に示される検出値をカメラで撮影し、 カメラの撮影データをLTEカテゴリー1によってクラウドを経由して中央管理室のパソコンに送信し(上記ア(キ)及び(コ)参照)、 中央管理室のパソコンに表示される計器の検出値に基づいて下水道施設等の運転状況の異常を判断すること(上記ア(ク)参照)。」 (6)甲5に記載された技術的事項 ア 甲5に記載された事項 甲5には、次の事項が記載されている。 「[0041]次に図4を参照して、実施の形態1の遠隔管理システム1000(遠隔制御システム)の構成を説明する。図4は、実施の形態1の遠隔管理システム1000を示す構成図である。遠隔管理システム1000は、1台の遠隔管理センタ1と、複数の設備機器2a~2nとを備える。遠隔管理センタ1と複数の設備機器2a~2nとは、公衆回線網である第1ネットワーク、及びインターネットあるいはモバイル網である第2ネットワークを介して接続している。 [0042]次に図4を参照して動作の概要を説明する。 (1)サーバ装置100は、発呼機能部121が、第1ネットワークである公衆回線網410を介して設備側制御装置200aを発呼する。 (2)設備側制御装置200aは、着呼機能部211aが、発呼を公衆回線網410(公衆回線網410の基地局)から無線信号として受信する。 (3)着呼制御機能部231aが、着呼機能部211aが受信した前記発呼を着呼として検知する。 (4)通信エージェント機能部232aは、着呼制御機能部231aが着呼を検知すると、データ通信機能部212aを用いてモバイル網430(モバイル網430の基地局)に無線通信で接続することにより、モバイル網430を介してサーバ側通信サーバ機能部113にリクエストである制御命令要求を送信する。 (5)サーバ側通信サーバ機能部113は、モバイル網430を介して通信エージェント機能部232aからリクエストである制御命令要求を受信する。 サーバ側通信サーバ機能部113は、制御命令要求を受信すると、このリクエストへのリプライである制御命令を通信エージェント機能部232aにモバイル網430を介して送信する。 (6)通信エージェント機能部232a、データ通信機能部212aを用いて制御命令をモバイル網430を介して受信し、受信した制御命令に従って、設備装置300aを即時制御する。 [0043](遠隔管理センタ1) 遠隔管理センタ1は、サーバ装置100備えている。サーバ装置100は、遠隔管理サーバ110と通信装置120とで構成される。制御者11が、サーバ装置100を利用して設備機器2a~2nの制御を行う。 [0044](遠隔管理サーバ110) 遠隔管理サーバ110は、PCサーバなど、CPU、メモリ、HDD、およびEthernet(登録商標)、RS-232C、USBなどの各種通信I/F(InterFace)を搭載した装置である。サーバ機能部111は、サーバ機能を実行する。サーバ機能部111は、発呼制御機能部112(サーバ側発呼制御部)とサーバ側通信サーバ機能部113とで構成される。発呼制御機能部112は、通信装置120の発呼機能部121を制御する。サーバ側通信サーバ機能部113は、設備機器2a~2nの通信エージェント機能部と「インターネット420あるいはモバイル網430」(第2ネットワーク)を介して通信を行なう。 [0045](通信装置120) 通信装置120は、モデムなどの装置であり、発呼機能部121を搭載する。発呼機能部121は、通常のモデムなどが有する、公衆回線網410で発呼する機能を有する。遠隔管理サーバ110と通信装置120とは、USB、RS-232C、PCMCIAなどのインタフェースで接続される。遠隔管理サーバ110は、制御者11に対して、設備機器2a~2nを制御するための外部インタフェースを提供する。 [0046](設備機器2) 設備機器2a~2nは同様の構成であるので、設備機器2aを例に説明する。設備機器2aは、設備側制御装置200aと設備装置300aとから構成される。また、設備側制御装置200aは、無線端末210aと制御装置220aとを備えている。 [0047]設備装置300aは、遠隔制御の対象となる装置であり、空気調和機、冷凍装置、照明、各種センサ、などである。尚、設備装置300aは制御可能な装置であれば特に限定はなく、PC、通信機器、ビデオやテレビなどのAV機器、冷蔵庫や洗濯機などの家電など幅広い機器を対象として捉えてよい。 [0048]制御装置220aは、設備装置300aを制御する装置であり、CPU、メモリ、HDD、および設備装置300aと無線端末210aとを接続する通信I/Fを有し、エージェント機能部230aを備える。エージェント機能部230aは、着呼制御機能部231aと通信エージェント機能部232aとを備える。着呼制御機能部231aは、無線端末210aの着呼機能部211aを制御する。通信エージェント機能部232aは、無線端末210aのデータ通信機能部212aを利用して、第2ネットワークにより遠隔管理センタ1のサーバ側通信サーバ機能部113と通信を行なう。 [0049]無線端末210aは、携帯電話、あるいはPHS(登録商標)端末などの通信機器であり、着呼機能部211aとデータ通信機能部212aとを搭載する。データ通信機能部212aは、通常の携帯電話が利用可能なパケット通信やデータ通信(以後、併せてモバイル網430と表記する)を利用して通信する機能である。尚、パケット通信はデータ量課金の通信方式であり通信量により課金され、データ通信は通信時間課金の通信方式であり通信時間により課金される。着呼機能部211aは、通常の無線端末210aが有する、公衆回線網410から着呼する機能である。設備装置300aと制御装置220aは、Ethernet(登録商標)、Lonworks(登録商標)、RS232C、Bluetooth(登録商標)、IrDA、または設備独自のI/Fなど、設備装置300aに依存したインタフェースで接続する。制御装置220aと無線端末210aとは、USB、PCMCIA、コンパクトフラッシュ(登録商標)など、無線端末210aが対応するインタフェースで接続する。」 「[図4] [図:0001425804000018.jpg] 」 「[0068]また、以上の通り説明した遠隔管理システム1000によれば、携帯電話やPHS(登録商標)端末を用いて遠隔制御を実現することが可能であり有線ネットワークが不要であるため、設備機器の不調時や導入初期など一時的に遠隔制御を行いたい場合に、回線工事が不要であり容易に実現することが可能である。」 イ 甲5記載の技術的事項 上記アから、甲5には、次の技術的事項(以下「甲5記載の技術的事項」という。)が記載されているといえる。 「各種センサなどの設備機器300aの導入初期など一時的に、携帯電話やPHS(登録商標)端末を用いて遠隔制御を行うこと。」 (7)本件発明1と甲1発明との対比 ア 相当関係 本件発明1(上記(1))と甲1発明(上記(2)ウ)とを対比すると、両者の発明特定事項には、次の相当関係がある。 (ア)甲1発明における「水処理装置」は、その機能・構造からみて、本件発明1における「水処理設備」に相当する。 (イ)甲1発明における「前記水処理装置のろ過塔16においてろ過処理されたろ過水」は、その機能・作用からみて、本件発明1における「前記水処理設備における水処理により生成した処理水」に相当し、以下同様に、 「ろ過水が導入される処理水槽30」は「処理水を貯留するタンク」に、 「前記処理水槽30に接続されたろ過水配管28及び洗浄配管34」は「前記タンクに接続された配管」に、 「前記ろ過水配管28及び洗浄配管34にそれぞれ設置され、ろ過水の濁度及び逆洗水量をそれぞれ計測する濁度計T2及び流量計F2」は「前記配管に設置され、前記水処理設備の運転指標を計測する測定計器」に、それぞれ相当する。 (ウ)甲1発明における「カメラ82及び通信装置86を有し、前記濁度計T2及び流量計F2を含む各種計器の表示器の画像を前記カメラ82によって撮影できる設定位置までレール70上を走行する移動式情報収集装置80」は、カメラ82による撮影機能と、通信装置86による送信機能とを有するものであり、レール70上を走行し、設定位置で停止することで、濁度計T2及び流量計F2を含む各種計器の表示器に近接した状態で、カメラ82によって撮影することから、「前記測定計器に近接する撮影送信手段」の限りにおいて、本件発明1の「前記測定計器に近接して設置された撮影送信手段」に一致する。 (エ)甲1発明における「前記濁度計T2及び流量計F2を含む各種計器の計測値」は、濁度計T2及び流量計F2の計測値を含むことから、本件発明1における「前記測定計器の検出値」に相当する。また、甲1発明における「制御装置50による前記水処理装置の運転のため」の「制御」は、水処理装置の運転状況を調整することにほかならないから、本件発明1における「前記水処理設備の運転状況」の「調整」に相当する。そして、甲1発明における「ポンプ(原水ポンプ14、逆洗ポンプ36)、コンプレッサ(ブロアB)、バルブ(バルブV1~V6)、並びに、薬剤の供給のための消毒剤供給部18及び凝集剤供給部20」は、制御装置50による制御によって操作される機器、すなわち、甲1発明の「被操作機器」に相当する。そして、これらをまとめると、甲1発明における「前記濁度計T2及び流量計F2を含む各種計器の計測値に基づいて、制御装置50による前記水処理装置の運転のために制御されるポンプ(原水ポンプ14、逆洗ポンプ36)、コンプレッサ(ブロアB)、バルブ(バルブV1~V6)、並びに、薬剤の供給のための消毒剤供給部18及び凝集剤供給部20」は、本件発明1における「前記測定計器の検出値に基づいて、前記水処理設備の運転状況を調整する被操作機器」に相当する。 (オ)甲1発明における「前記濁度計T2及び流量計F2を含む各種計器の表示器に示される計測値を前記カメラ82で撮影」することは、その手段・機能・作用からみて、本件発明1における「前記測定計器に示される検出値を前記撮影送信手段で撮影」することに相当する。 (カ)甲1発明における「前記カメラ82の撮像データ」は、本件発明1における「前記撮影送信手段の撮影データ」に相当する。また、甲1発明における「制御装置50」は、充電器・データ記録装置54にて撮像データを受信する機能を有するから、本件発明1における「受信端末」に相当する。さらに、甲1発明における「前記カメラ82の撮像データを、移動式情報収集装置80がホーム地点Hに戻ってから、前記通信装置86により無線によって制御装置50の充電器・データ記録装置54に送信」することは、移動式情報収集装置80がホーム地点Hに戻った際に、通信装置86と充電器・データ記録装置54との間での無線通信が可能となることを意味し、また、当該ホーム地点Hでは、充電器・データ記録装置54により、移動式情報収集装置80の充電も行われる(甲1の段落【0028】)ことを併せて鑑みると、通信装置86と充電器・データ記録装置54とは、移動式情報収集装置80がホーム地点Hに戻った状態では近距離に位置するといえる。したがって、甲1発明における「前記カメラ82の撮像データを、移動式情報収集装置80がホーム地点Hに戻ってから、前記通信装置86により無線によって制御装置50の充電器・データ記録装置54に送信」することは、本件発明1における「前記撮影送信手段の撮影データを近距離無線通信によって受信端末に送信」することに相当する。 (キ)甲1発明における「前記制御装置50の充電器・データ記録装置54にて受信した前記濁度計T2及び流量計F2を含む各種計器の計測値に基づいて前記ポンプ(原水ポンプ14、逆洗ポンプ36)、コンプレッサ(ブロアB)、バルブ(バルブV1~V6)、並びに、薬剤の供給のための消毒剤供給部18及び凝集剤供給部20の制御の要否を判断する」ことは、上記(カ)の「撮影データを受信端末に送信」することを踏まえると、「前記受信端末にて受信した前記測定計器の検出値に基づいて前記被操作機器の調整の要否を判断する」ことの限りにおいて、本件発明1における「前記受信端末に表示される前記測定計器の検出値に基づいて前記被操作機器の調整の要否を判断する」ことと一致する。 (ク)甲1発明における「水処理装置の監視方法」は、「水処理設備の監視方法」であること、並びに、上記(ウ)及び(キ)の限りにおいて、本件発明1における「試運転時の水処理設備の監視方法」と一致する。 イ 一致点 上記アから、本件発明1と甲1発明とは、次の点で一致する。 「水処理設備の監視方法であって、 前記水処理設備は、前記水処理設備における水処理により生成した処理水を貯留するタンクと、前記タンクに接続された配管と、前記配管に設置され、前記水処理設備の運転指標を計測する測定計器と、前記測定計器に近接する撮影送信手段と、前記測定計器の検出値に基づいて、前記水処理設備の運転状況を調整する被操作機器とを備え、 前記測定計器に示される検出値を前記撮影送信手段で撮影し、 前記撮影送信手段の撮影データを近距離無線通信によって受信端末に送信し、 前記受信端末にて受信した前記測定計器の検出値に基づいて前記被操作機器の調整の要否を判断する、水処理設備の監視方法。」 ウ 相違点 他方、本件発明1と甲1発明とは、次の相違点1~3で相違する。 (ア)相違点1 水処理設備の監視方法が行われる時期に関し、 本件発明1は、「試運転時」であるのに対し 甲1発明は、「試運転時」を含むのか不明である点。 (イ)相違点2 測定計器に近接する撮影送信手段に関し、 本件発明1においては、撮影送信手段は、測定機器に「近接して設置された」ものであるのに対し、 甲1発明においては、カメラ82等を有する移動式情報収集装置80は、前記濁度計T2及び流量計F2を含む各種計器の表示器の画像をカメラ82によって撮影できる設定位置までレール70上を走行するものである点。 (ウ)相違点3 受信端末にて受信された測定計器の検出値に関し、 本件発明1においては、受信された測定計器の検出値が、「受信端末に表示される」のに対し、 甲1発明においては、充電器・データ記録装置54にて受信した濁度計T2及び流量計F2を含む各種計器の計測値が、制御装置50において表示されるのか不明である点。 (8)相違点に対する判断 事案に鑑み、相違点2について検討する。 ア 「設置」の解釈 一般的に「設置」とは、「設けおくこと」(広辞苑第三版)、「機械などを備えつけること」(デジタル大辞泉)を意味することから、甲1発明のように、レール70上を走行し、設定位置で停止してカメラ82で計器の表示器を撮影する「移動式情報収集装置80」は、濁度計T2及び流量計F2を含む各種計器に「近接して設置された」ものということはできない。 イ 甲1発明において「移動式情報収集装置80」が走行することの技術的意義 甲1発明においては、カメラ82等を有する移動式情報収集装置80は、濁度計T2及び流量計F2を含む各種計器の表示器の画像をカメラ82によって撮影できる設定位置までレール70上を走行するものであるが、そのような技術を採用した背景として、上記(2)アに示したように、甲1には次のとおり記載される。 (ア)段落【0005】 「各種センサからの情報を得るためには、情報収集が必要な個所に必用な数だけセンサを設置し、検出信号を送信するための装置をそれぞれ設けなければならない。また、移動式カメラによる情報収集は、防犯目的の不審者の検出に利用される場合が多いが、流体処理装置において具体的な提案はない。」 (イ)段落【0013】 「本発明によれば、移動情報収集装置を用いて、流体処理装置の複数の検査対象についての情報を収集するので、通信装置などをセンサ毎に設ける必要がない。従って、全体として簡単なシステムで、多くの情報を効率的に収集することができる。」 (ウ)段落【0047】 「このような構成により、センサ類の多くが通信機能不要となり、計装関係の設備費を低減できる。そして、得られたデータは、ろ過装置の運転状態、水質監視、運転制御に利用することができる。」 すなわち、甲1発明では、各種センサに、計測値を読み取り、送信するための装置をそれぞれに設けることをせずに、各種センサから情報を得ることを目的とするものであって、その目的を達成するために、移動情報収集装置80を用いて、レール70上を走行して、流体処理装置の複数の検査対象についての情報を収集することを解決手段とするものである。 ウ 進歩性の一般的な判断 一般的に、請求項に係る発明の容易想到性を判断するにあたっては、主引用発明から出発して当業者が請求項に係る発明に容易に到達する論理付けができるか否かを判断するところ、主引用発明に副引用発明を適用すると、主引用発明がその目的に反するものとなるような場合には、阻害要因があるとして、進歩性が肯定される方向に働くといえる(特許・実用新案 審査基準 第III部 第2章 第2節 進歩性 3.進歩性の具体的な判断(第2~3ページ)、3.2.2 阻害要因(第10~13ページ))。 エ 甲1発明に甲4動画開示の技術的事項を適用することの容易想到性について 上記ウを踏まえ、甲1発明に甲4動画開示の技術的事項を適用することが当業者にとって容易であったかについて以下検討する。 (ア)甲4動画には、上記(5)イに示した、甲4動画開示の技術的事項が開示され、特に次の事項を含むものである。 「下水道施設等の運転指標を計測する計器と、計器に近接して設置されたカメラと、を備えたこと。」 (イ)甲1発明と、甲4動画開示の技術的事項とは、水処理設備の運転指標を計測する測定計器に示される検出値を、撮影手段で撮影するものである点で、技術分野が関連し、また、機能・作用が共通するといえる。 (ウ)しかしながら、上記イのとおり、甲1発明は、各種センサに、計測値を読み取り、送信するための装置をそれぞれに設けることを否定することを前提としたものであって、甲1発明から出発して、甲4動画開示の技術的事項を適用しようとする場合、必然的に、甲1発明の目的に反するものとなるといえ(上記審査基準 3.2.2(1)(i)参照)、また、甲1発明は、甲4動画開示の技術的事項の適用を排斥しており、採用されることがあり得ないと考えられる(同(iii)参照)。 (エ)また、甲1に、論理付けを妨げるような記載があっても、進歩性が否定される方向に働く要素に係る事情が十分に存在し、論理付けが可能な場合には、甲1発明は引用発明としての適格性を有していると判断され得る(同(2)参照)が、甲1には、上記イのとおり、各種センサに、計測値を読み取り、送信するための装置をそれぞれに設けることを否定することの記載が認められるのみであって、甲1発明から出発した場合、甲4動画開示の技術的事項のように、各種センサに、計測値を読み取り、送信するための装置(カメラ)をそれぞれに設けることを適用する方向に働く事情が、甲1、甲4動画のほか、甲2~甲3、甲5を参酌しても、存在するということができない。 (オ)したがって、甲1発明に甲4動画開示の技術的事項を適用することで、上記相違点2に係る本件発明1の構成を想到することは、当業者にとって容易であるということができない。 オ 甲2、甲3及び甲5記載の技術的事項について (ア)甲2には、上記(3)イに示した、甲2記載の技術的事項が開示される。しかしながら、上記エと同様の理由により、甲1発明に甲2記載の技術的事項を適用することには阻害要因がある。なお適用することが仮に容易であったとしても、その場合には、甲1発明における移動式情報収集装置80に代えて、計器1の内部空間101に2つの磁力センサ61、62を配置する技術を想到するまでであって、カメラを近接して設置することを想到し得ない。 (イ)甲3には、上記(4)イに示した、甲3記載の技術的事項が開示される。しかしながら、上記(ア)と同様に、甲1発明に甲3記載の技術的事項を適用することには阻害要因がある。なお適用することが仮に容易であったとしても、その場合には、甲1発明における移動式情報収集装置80に代えて、IoT角度センサユニットを装着する技術を想到するまでであって、カメラを近接して設置することを想到し得ない。 (ウ)甲5には、上記(6)イに示した、甲5記載の技術的事項が開示されるものの、申立書によれば、甲5は、上記相違点1(試運転時の監視方法)の容易想到性の判断のために提示されたものであるといえ、相違点2に係る本件発明1の構成を想到することに関する技術的事項の開示は認められない。 カ 申立書における主張について 申立人は、相違点2に関連して、申立書において次の主張をしている。 (ア)甲1では、移動式情報収集装置80を用いており、測定計器に近接して「設置された」ものではないとの解釈もあるかもしれない。しかし、一時的にでも近接して「位置する」ことが「設置する」という言葉の意味することから除外されるわけではない。(申立書第17ページ) (イ)甲1の段落【0005】には、「各種センサからの情報を得るためには、情報収集が必要な個所に必用な数だけセンサを設置し、検出信号を送信するための装置をそれぞれ設けなければならない。」と記載され、甲1では固定的に設置することを前提としてその改良として移動式にしている。したがって「設置する」という構成は特徴となる構成ではない。(同第17ページ) (ウ)甲1発明では、撮影送信手段に対応する移動式情報収集装置が移動式である。これは、甲1の段落【0005】の「各種センサからの情報を得るためには、情報収集が必要な個所に必用な数だけセンサを設置し、検出信号を送信するための装置をそれぞれ設けなければならない。」という課題に対応するものであり、通常はそれぞれ設置することに対して、移動式とすることで、測定・送信の装置を1つとしたものである。したがって、情報収集装置を測定計器に対応してそれぞれ設けることが本件発明1を甲1発明から区別するものではない。(同第21ページ 主張(b)について) (エ)甲2の段落[0012]、[0069]、[0071]の記載を参照すれば、甲1において、測定計器の近傍に移動式でない撮影送信手段を設置し、ここから近距離無線通信で撮影データを送信することは、当業者にとって容易に想到し得たことである。(同第22~23ページ、(iii)) (オ)甲3は、甲2に関連した実際のニュースリリース記事であり、甲3も参照すれば、甲1において、測定計器の近傍に移動式でない撮影送信手段を設置し、ここから近距離無線通信で撮影データを送信することは、当業者にとって容易に想到し得たことである。(同第23~24ページ、(iv)) (カ)甲4動画には、撮影送信手段をメータの近くに設置し、その撮影画像を携帯端末などに表示することが示されているから、甲4動画も参照すれば、甲1において、測定計器の近傍に移動式でない撮影送信手段を設置し、ここから近距離無線通信で撮影データを送信することは、当業者にとって容易に想到し得たことである。(同第24ページ、(v)) キ 申立書における主張の検討 上記カについて検討する。 上記(ア)についてみると、上記アで検討したように、近接して「設置する」ことと、一時的に近接して「位置する」こととは、同義に解釈することはできない。 上記(イ)~(ウ)についてみると、上記イで検討したように、甲1発明では、各種センサに、計測値を読み取り、送信するための装置をそれぞれに設けることをせずに、各種センサから情報を得ることを目的とするものであって、その目的を達成するために、移動情報収集装置80を用いて、レール70上を走行して、流体処理装置の複数の検査対象についての情報を収集することを解決手段とするものであるから、本件発明1とは明らかに異なるものであり、また、甲1発明から出発して上記相違点2に係る本件発明1の構成を想到することには明らかな阻害要因がある。 上記(エ)~(カ)についてみると、上記エ~オで検討したとおり、甲4動画、並びに、甲2、甲3及び甲5を参照したとしても、甲1発明から出発して上記相違点2に係る本件発明1の構成を想到することには明らかな阻害要因がある。 したがって、申立人の主張は採用することができない。 (9)本件発明1の進歩性についての小括 以上のとおり、相違点2に係る本件発明1の構成については、甲1発明、甲4動画開示の技術的事項、並びに、甲2、甲3及び甲5記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に想到し得たものということができないから、その余の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲4動画開示の技術的事項、並びに、甲2、甲3及び甲5記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 2 本件発明2~5について 本件発明2~5は、請求項1の記載を直接的又は間接的に引用するものであって、本件発明1の発明特定事項をすべて包含するから、本件発明2~5は、少なくとも相違点1~3で甲1発明と相違し、少なくとも相違点2に係る本件発明2~5の構成については、当業者が容易に想到し得たということができない。 したがって、本件発明2~5は、甲1発明、甲4動画開示の技術的事項、並びに、甲2、甲3及び甲5記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 第5 記載要件についての当審の判断 1 サポート要件(特許法第36条第6項第1号)について 上記第3の1(2)について以下検討する。 (1)申立人による申立ての理由 本件特許明細書においては、撮影送信手段について、段落【0022】、【0024】、【0026】に、電子カメラで撮影し、撮影データを送信することが記載され、段落【0028】では、送信端末、携帯端末について、市販の普及品で足りるとしている。しかし、市販の普及品は、通常外部からの信号によって、起動したり、撮影したり、撮影データを送信したりする機能は有しておらず、また、どのようなタイミングで、このような撮影、撮影データの送信を行うかについて、何ら具体的な記載がない。 したがって、本件特許明細書には、本件発明1~5についての記載がない。 (2)当審の判断 特許法第36条第6項第1号に規定されるサポート要件を満足するかの対象は、同項柱書に規定されるとおり「特許請求の範囲の記載」であって、同項第1号は、特許請求の範囲に記載された「特許を受けようとする発明」が「発明の詳細な説明に記載したものであること」との要件を規定している。 しかしながら、上記(1)の主張は、明細書の記載の不備を指摘するものであって、特許請求の範囲の記載の不備を指摘するものでない。 また、本件発明1~5の撮影送信手段は、本件特許明細書の段落【0022】、【0024】、【0026】等に記載されている。 したがって、本件特許は、特許請求の範囲の記載が、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たすものである。 2 実施可能要件(特許法第36条第4項第1号)について (1)上記1(1)の主張について 申立書には、特許法第36条第4項第1号の条文については申立ての理由として明示的に記載されていないが、申立書に添付した「申立ての理由の要約」の「理由の要点」の欄には、「したがって、本件特許明細書には、本件特許発明1およびこれを引用する特許発明2~5を実施できる程度の記載がない。」との記載があり、上記1(1)の点は、明細書の、発明の詳細な説明の記載に関し、「その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載したものであること」との実施可能要件に関して違反するものである、と実質的に申立てているとも解されるため、実施可能要件についても、一応検討する。 (2)当審の判断 本件特許明細書の段落【0022】には「この撮影送信手段10,11は、近距離無線通信によって、作業者(運転担当者)Mが所持するスマートフォン等の携帯端末12に撮影画像データを送信可能となっている。」と記載され、段落【0024】には「撮影送信手段10,11としては、圧力計8及び流量計9にそれぞれ表示される検出値を電子カメラで撮影する撮像機能と、この撮影した画像の電子データを送信するデータ送信機能とを有するものであればよく、wifi(登録商標)などの近距離無線通信によって、作業者Mが所持する携帯端末12に画像の電子データを送信する。」と記載され、段落【0026】には、「圧力計8及び流量計9に表示される検出値(検出圧力及び検出流量)を撮影送信手段10,11で撮影する。そして、この撮影した画像データを携帯端末12に送信する。」と記載される。 一般的なスマートフォンの場合、任意のアプリケーションをインストールすることが可能なことは、本件特許の出願時において技術常識であり、スマートフォンと電子カメラとを近距離無線通信で接続して、スマートフォンによる遠隔操作で電子カメラにて撮影し、撮影データを受信するようにする程度のことは、本件特許明細書に具体的な記載がなくとも、その示唆があれば、当業者であれば十分に開発可能なものである。また、どのようなタイミングで、どの測定計器からの検出値を撮影データとして取得するかは、測定計器の種別、試運転時の被操作機器の調整の頻度等に応じて、水処理設備を管理する作業者・管理者等が適宜設定可能な事項であるといえる。 したがって、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明1~5を、当該記載及び出願当時の技術常識に基づいて、過度の試行錯誤を要することなく実施することができる程度に記載されたものであるといえるから、本件特許は、発明の詳細な説明の記載が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしているといえる。 第6 むすび 上記第4のとおり、本件発明1~5は、甲1発明、甲4動画開示の技術的事項、並びに、甲2、甲3及び甲5記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえず、本件特許の請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである、とはいえない。 また、上記第5の1及び2のとおり、本件特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件及び特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たすものである。 したがって、本件特許の請求項1~5に係る特許は、申立書に記載された申立ての理由によっては取り消すことはできない。また、他に本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700393

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