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特許異議申立

2023-701116

発泡複合シート及び粘着テープ

審判番号
2023-701116
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-036990
登録番号
7265374
請求日
2023年10月18日
審決日
2024年01月05日
公報発行日
2024年02月22日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】積水化学工業株式会社
  • 【権利者代理人】田口 昌浩
  • 【権利者代理人】虎山 滋郎
  • 【異議申立人】弁理士法人 朝日奈特許事務所
審判長/審判官
  • 審判長 井上 茂夫
  • 審判官 西堀 宏之
  • 審判官 藤井 眞吾
分類
P1652.121-Y (B32B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第113条第2号
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7265374号発明「発泡複合シート及び粘着テープ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7265374号の請求項1、2、4、6~8に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7265374号(以下「本件特許」という。)の請求項1~9に係る特許についての出願は、平成31年2月28日を出願日とする出願であって、令和5年4月18日にその特許権の設定登録がされ、令和5年4月26日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1、2、4、6~8に係る特許に対し、令和5年10月18日に特許異議申立人弁理士法人朝日奈特許事務所(以下「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされた。 第2 本件発明 本件特許の請求項1、2、4、6~8の特許に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1、2、4、6~8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 発泡シートと、前記発泡シートの少なくとも一方の面に積層された、前記発泡シートよりも発泡倍率が低い発泡体である樹脂シートとを備える発泡複合シートであって、MDの引張強度が1.5~5.3MPaであり、TDの引張強度が1.3~3.8MPaである発泡複合シート。 【請求項2】 10%圧縮強度が40kPa以下である請求項1に記載の発泡複合シート。 【請求項4】 前記発泡シートがポリエチレン系樹脂及びエラストマー樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含む請求項1~3のいずれか1項に記載の発泡複合シート。 【請求項6】 前記エラストマー樹脂が、オレフィン系エラストマー樹脂、塩ビ系エラストマー樹脂、及びスチレン系エラストマー樹脂からなる群から選択される少なくとも1種のエラストマー樹脂である請求項4又は5に記載の発泡複合シート。 【請求項7】 前記樹脂シートが、ポリエチレン系樹脂及びエラストマー樹脂からなる群から選択される少なくとも1種の樹脂を含む請求項1~6のいずれか1項に記載の発泡複合シート。 【請求項8】 前記樹脂シートが、前記発泡シートの両面に積層された請求項1~7のいずれか1項に記載の発泡複合シート。」 第3 申立理由の概要 申立人は、本件特許の請求項1、2、4、6~8に係る特許に対して、本件特許異議申立書に以下の甲第1号証~甲第6号証を添付して、大要、次の申立理由を主張している。 1 申立理由1(甲第1号証及び甲第2号証に基づく進歩性) 本件発明1、2、4、6~8は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった以下の甲第1号証及び甲第2号証に記載された発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明1、2、4、6~8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 [証拠方法] 甲第1号証:特開平5-112184号公報 甲第2号証:特開2015-199925号公報 甲第3号証:特開平4-249143号公報 甲第4号証:機械工学事典、社団法人日本機械学会、1997年8月20日 初版発行、第483頁~第484頁、第712頁、表紙、奥付 甲第5号証:国際公開第2018/181982号 甲第6号証:特開2017-2293号公報 (以下、甲第1号証を「甲1」という。他の甲各号証についても、同様である。) 第4 当審の判断 1 申立理由1(進歩性)について (1)甲1に記載された事項・発明 ア 甲1には、次の事項が記載されている(下線は当審で付与し、「・・・」は文章の省略を表す。)。 (ア)「【請求項1】複数枚の合成樹脂発泡体基材が粘着剤層を介して積層された積層体の両面に粘着剤層が設けられた両面粘着テープの一面が合成樹脂成形体の裏面に貼着されてなる自動車用外装部材。」 (イ)「【0002】 【従来の技術】従来、自動車の車体外面には、弾性力のある合成樹脂成形体からなるサイドモール、ウインドーモール等の長尺の自動車用外装部材が装飾或いは車体保護を目的として取付けられている。前記外装部材の車体への装着は、湾曲した車体の外面に合成樹脂成形体の弾性力に抗して装着する必要上、弾力性に富む単一層からなる発泡体基材に粘着層を設けた粘着テープを使用するのが作業の簡便性の点から主流となっている(実公平3-27789号公報)。」 (ウ)「【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、弾力性に富む発泡体基材は、単一層からなる為外力により変形し易く、腰がない為に、長尺体を直線状に貼着し難い。又、凹凸部のある車体に、外装部材を平滑に貼着する場合には、車体の凹凸部に当接する部分の基材の裏面を、平削りして薄くする必要がある。ところが単一層である長尺の発泡体の一部を切断刃を用いて平滑且つ均一に薄くすることは難しいという問題があった。 ・・・ 【課題を解決するための手段】 ・・・ 【0009】実施例では、2枚の発泡体基材を積層した積層体を用いたが、必要に応じて3枚以上積層してもよい。」 (エ)「【0011】 【実施例】以下本発明の実施例を図面に基いて説明する。図1は本発明の一実施例を示す断面図である。 【0012】1は自動車用外装部材であって、合成樹脂成形体11の裏面に、厚み1.6mm、幅4mm、20倍発泡の架橋発泡ポリエチレンシート(商品名「ボラーラIF-J20016」積水化学工業社製)よりなる発泡体基材21がアクリル系感圧粘着剤(商品名「L-4」帝国化学産業社製)よりなる厚み50μmの粘着剤層22を介して2枚積層された積層体2が接着されている。 【0013】積層体2の最外層の粘着剤層22には、表面にシリコーン処理をしたポリエチレン製フィルムよりなる剥離ライナー3が仮着されている。前記実施例で用いた積層体2及び、厚み3.2mm、20倍発泡の架橋発泡ポリエチレンシートよりなる発泡体基材の両面に、アクリル系感圧粘着剤を塗工して粘着剤層を設けた両面粘着テープ(比較例1)及び比較例1の発泡倍率のみを10倍に変えたもの(比較例2)について、下記の試験を行った。 【0014】25%圧縮試験:実施例及び比較例1、2の両面粘着テープから25mm×25mmの試験片を取り6枚積層した試料を、10m/分の速度で25%圧縮した状態で20秒間放置した後、圧縮応力を測定した。 【0015】引張試験:実施例及び比較例1、2の両面粘着テープから25mm×25mmの試料を取り引張試験機を用いて300m/分の速度で引張った際の荷重を測定して単位面積当たりに換算した。 【0016】試験結果を表1に示す。 【0017】 【表1】 [図:0001406754000001.jpg] 上記の通り、比較例1では単一層である為引張強度が低く、比較例2では発泡倍率が低いので引張強度は高いが圧縮応力も高くなって弾力性が失われるのに対して、実施例では比較例1と同厚みでありながら2層構造である為弾力性を失うことなく引張強度を上げることが出来た。」 イ 甲1に記載された発明 以上より、甲1には以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「発泡ポリエチレンシートからなる発泡体基材21が、粘着層を介して2枚積層された積層体2であって、引張強度が18.0kg/cm2(1.8MPa)である積層体2。」 (2)本件発明1について ア 甲1発明との対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)甲1発明の「発泡ポリエチレンシートからなる発泡体基材21」は、本件発明1の「発泡シート」に相当する。 (イ)甲1発明の「発泡体基材21が粘着層を介して2枚積層され」ることと、本件発明1の「発泡シートの少なくとも一方の面に積層された、前記発泡シートよりも発泡倍率が低い発泡体である樹脂シートとを備える」こととは、発泡シートの少なくとも一方の面に積層された発泡体を備えるという限りにおいて一致する。 (ウ)甲1発明の「積層体2」は、複数の発泡体基材21が積層して構成されるものであるから、本件発明1の「発泡複合シート」に相当する。 以上のことから、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次の通りである。 【一致点】 「発泡シートと、前記発泡シートの少なくとも一方の面に積層された発泡体とを備える発泡複合シート。」 【相違点1】 発泡シートの少なくとも一方の面に積層された発泡体を備えることに関して、本件発明1は、「発泡シートの少なくとも一方の面に積層された、前記発泡シートよりも発泡倍率が低い発泡体である樹脂シート」を備えるのに対して、甲1発明は、「発泡体基材21」の少なくとも一方の面に積層される発泡体が、当該「発泡体基材21」と同一部材であり、発泡率に差が無い点。 【相違点2】 本件発明1は、発泡複合シートの「MDの引張強度が1.5~5.3MPaであり、TDの引張強度が1.3~3.8MPa」であるのに対して、甲1発明は「引張強度が18.0kg/cm2(1.8MPa)」であり、その引張方向がMD方向かTD方向か不明である点。 イ 相違点1について (ア)甲1発明は、発泡体基材21の少なくとも一方の面に、別の発泡体基材21を積層したものであるが、両者は同一部材から構成されるものであり、甲1には、一方の発泡体基材21に比較して、他方の発泡体基材21の発泡倍率を低くすることについては記載も示唆もされていない。 (イ)申立人は、「甲第1号証の上記開示からは、甲1発明における複数枚の合成樹脂発泡体基材におけるそれぞれの発泡倍率が同じでなければならないといった特段の事情は一切開示も示唆もない。」(特許異議申立書第27ページ)と主張する。 この申立人の主張について検討するに、甲1発明は、単一層からなる発泡体基材が、「外力により変形し易く、腰がない為に、長尺体を直線状に貼着し難い」という課題(段落【0003】)を解決するために、発泡体基材21を、粘着層を介して複数枚積層することで、「剛性が高く、腰が強くなるので長尺体であっても直線状に貼ることが容易」としたものである。 そうしてみると、発泡体基材21に積層される別の発泡体基材21の発泡倍率を低くすることは、積層体の剛性が低下し、腰が弱くなることにつながる虞があるため、甲1発明に甲2記載の事項を適用して、発泡体基材21の少なくとも一方の面に積層された別の発泡体基材21の発泡倍率を低くする積極的な動機付けはない。 (ウ)また、申立人は、甲2には「薄型化、軽量化、小型化された電子機器用シール材、粘着テープ用基材及びウェアラブル用基材などに用いるために最適なポリオレフィン系樹脂薄層発泡シートおよびその製造方法、並びに粘着シートを提供すること」(特許異議申立書第28ページ)という、本件特許発明と同様の技術分野であって、共通する課題を有することが記載されており、当該課題を解決するために、「ポリオレフィン系樹脂組成物を含む壁により区画された複数の気泡を有するシートであり、・・・シートの厚み方向に、樹脂部比率が第2の領域に対して相対的に多い第1の領域と、樹脂部比率が第1の領域に対して相対的に少ない第2の領域」とを設け、そのように「領域ごとに樹脂比率(密度や発泡倍率)を変えることによって、本件特許発明と同様の課題を解決することが示唆されている」ため、「当業者は、甲2発明を甲1発明に適用するための充分な動機を見いだすことができ、甲1発明において、樹脂部比率の異なる合成樹脂発泡体基材を採用し、構成要件1Bを具備させることについて何ら困難ではないし、それにより奏される効果についても何ら特段ではない。」(特許異議申立書第27、29ページ)と主張する。 この申立人の主張について検討するに、甲2(特に、段落【0066】、【0106】、【0196】~【0209】)には、複層化された発泡シートの製造方法に関して、単一の発泡シートの片面を加熱し、当該シート表面を低温で加熱プレスすることで、発泡シートに、「非発泡部」と、樹脂部比率が相対的に多い「第1の領域」と、樹脂部比率が相対的に少ない「第2の領域」という樹脂部比率が異なる複数の領域を形成して、発泡シートを複層化することが記載されている。 一方で、甲1発明は、複数の発泡体基材21を粘着層を介して積層したものであり、甲2に記載されるような単一の発泡シートを複層化するための製造方法を、甲1発明における複数の発泡体基材21からなる積層体の製造に適用する動機付けはない。 (エ)よって、相違点1に係る本件発明1の構成は、甲1発明及び甲2記載の事項に基いて当業者が容易に想到し得たものではない。 ウ そうすると、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は甲1発明及び甲2に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2、4、6~8について 本件発明2、4、6~8は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記(1)で検討したものと同じ理由により、本件発明2、4、6~8は、甲1発明及び甲2に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第5 むすび 以上のとおり、申立人が提出した特許異議の申立の理由及び証拠によっては、請求項1、2、4、6~8に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1、2、4、6~8に係る特許を取り消すべき理由は発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701116

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