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特許異議申立

2023-701061

積層鉄心の製造装置、製造方法、及び積層鉄心

審判番号
2023-701061
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-056147
登録番号
7268219
請求日
2023年10月04日
審決日
2025年03月31日
公報発行日
2025年08月29日
結論
請求成立(取消)
当事者
  • 【権利者】黒田精工株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人大島特許事務所
  • 【異議申立人】齊藤 恵美子
審判長/審判官
  • 審判長 柿崎 拓
  • 審判官 長馬 望
  • 審判官 窪田 治彦
分類
P1651.121-ZDA(H02K) / P1651.537-ZDA(H02K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第36条、特許法第120条の8第1項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7268219号発明「積層鉄心の製造装置、製造方法、及び積層鉄心」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7268219号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3、9〕について訂正することを認める。 特許第7268219号の請求項2に係る特許を維持する。 特許第7268219号の請求項4~8、10に係る特許を取り消す。 特許第7268219号の請求項1、3、9に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯の概略 特許第7268219号の請求項1~10に係る特許(以下「本件特許」という。)についての手続の概略は、概ね、次のとおりである。 平成29年 1月 9日 原出願(特願2018-560311号) 令和 3年 2月24日 分割出願(特願2021-27390号) 令和 4年 3月30日 出願 令和 5年 4月24日 特許権の設定登録 令和 5年 5月 2日 特許掲載公報 令和 5年10月 4日 特許異議申立人齊藤恵美子による請求項1 ~10に係る特許に対する特許異議の申立て 令和 5年12月25日付け 取消理由通知書 令和 6年 3月 7日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提 出 令和 6年 3月13日付け 手続補正指令書(方式) 令和 6年 4月17日 特許権者による手続補正書(方式)の提出 令和 6年 4月26日付け 通知書(訂正請求があった旨の通知) 令和 6年 6月 3日 特許異議申立人による意見書の提出 令和 6年 7月17日付け 訂正拒絶理由通知書 令和 6年 8月19日 特許権者による意見書及び手続補正書の提 出 令和 6年 9月25日付け 取消理由通知書(決定の予告) 令和 6年11月19日 特許権者による意見書及び訂正請求書の提 出 令和 6年12月16日付け 取消理由通知書(決定の予告) 以下、令和6年11月19日付け訂正請求書を「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書に係る訂正を「本件訂正」という。 なお、先の令和6年3月7日にされた訂正の請求は、特許法120条の5第7項の規定により取下げられたものとみなす。 また、特許権者に対し、令和6年12月16日付け取消理由通知書(決定の予告)を送付し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者から応答はなかった。 第2 本件訂正の適否 1 本件訂正の内容 本件訂正の請求は、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~3、9について訂正を求めるものであって、その訂正内容は次のとおりである(下線は訂正箇所を示す。)。 (1) 訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1を削除する。 (2) 訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2に、 「前記下側ホルダに設けられて前記帯状薄鋼板の間欠移送方向の移送を案内すると共に前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限する左右のガイド部材を更に有する請求項1に記載の積層鉄心の製造装置。」 と記載されているのを、 「間欠移送される帯状薄鋼板から所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板を積層接着してなる積層鉄心の製造装置であって、 上側ホルダ及び下側ホルダと、 前記上側ホルダに取り付けられたパンチと前記下側ホルダに取り付けられたダイとをそれぞれ含み、間欠移送される前記帯状薄鋼板を所定の形状に打抜くために各打抜き加工に対応する形状をそれぞれ打ち抜く複数の打抜きステーションと、 前記上側ホルダ及び前記下側ホルダの少なくとも何れか一方に設けられ、間欠移送される前記帯状薄鋼板の前記鉄心薄板に対応する部位の接着剤塗布面に接着剤を塗布する接着剤塗布装置を含む接着剤塗布ステーションと、 前記接着剤塗布装置による接着剤塗布位置における前記帯状薄鋼板の位置決めを行う位置決め手段と、 前記下側ホルダに設けられたダイプレートと、 前記上側ホルダに上下方向に変位可能に設けられて前記ダイプレートの上面と対向する下面を有し、前記接着剤塗布装置による接着剤塗布位置にある前記帯状薄鋼板を前記ダイプレートの上面に押し付けるストリッパプレートと、 前記下側ホルダに設けられて前記帯状薄鋼板の前記間欠移送を案内すると共に前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限する左右のガイド部材と を有し、 前記複数の打抜きステーションは、 前記上側ホルダに取り付けられた内形打抜き用パンチと前記下側ホルダに取り付けられた内形打抜き用ダイとを含み、間欠移送される前記帯状薄鋼板に内形を打ち抜く内形打抜きステーションと、 前記上側ホルダに取り付けられた外形打抜き用パンチと前記下側ホルダに取り付けられた外形打抜き用ダイとを含み、間欠移送される前記帯状薄鋼板に外形を打ち抜くための外形打抜きステーションと、を含み、 前記左右のガイド部材は、各々、前記帯状薄鋼板の前記間欠移送の方向に長い帯状のものであり、前記内形打抜きステーション、前記外形打抜きステーション、及び前記接着剤塗布ステーションに対応する領域を除いて前記帯状薄鋼板の前記間欠移送の方向に間欠的に設けられている積層鉄心の製造装置。」 に訂正する。 (3) 訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 (4) 訂正事項4 特許請求の範囲の請求項9を削除する。 4 本件訂正の適否について (1) 訂正事項1について ア 訂正の目的 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1を削除することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1を削除するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1を削除するものであり、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲外の内容を追加するものではない。 エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、本件訂正前の請求項1~10について特許異議の申立てがされているので、本件訂正前の請求項1に係る訂正事項1に関して、独立特許要件は課されない。 (2) 訂正事項2について ア 訂正の目的 訂正事項2は、本件訂正前の請求項2について、請求項1を引用するものから独立形式に改めるとともに、「前記上側ホルダに取り付けられたパンチと前記下側ホルダに取り付けられたダイとをそれぞれ含み、間欠移送される前記帯状薄鋼板を所定の形状に打抜くために各打抜き加工に対応する形状をそれぞれ打ち抜く複数の打抜きステーション」と、「前記上側ホルダ及び前記下側ホルダの少なくとも何れか一方に設けられ、間欠移送される前記帯状薄鋼板の前記鉄心薄板に対応する部位の接着剤塗布面に接着剤を塗布する接着剤塗布装置を含む接着剤塗布ステーション」を有すること、「前記複数の打抜きステーション」は、「前記上側ホルダに取り付けられた内形打抜き用パンチと前記下側ホルダに取り付けられた内形打抜き用ダイとを含み、間欠移送される前記帯状薄鋼板に内形を打ち抜く内形打抜きステーション」と、「前記上側ホルダに取り付けられた外形打抜き用パンチと前記下側ホルダに取り付けられた外形打抜き用ダイとを含み、間欠移送される前記帯状薄鋼板に外形を打ち抜くための外形打抜きステーション」と、を含むこと、「左右のガイド部材」が、「前記下側ホルダに設けられて前記帯状薄鋼板の前記間欠移送を案内すると共に前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限する」ものであること、「前記左右のガイド部材は、各々、前記帯状薄鋼板の前記間欠移送の方向に長い帯状のものであり、前記内形打抜きステーション、前記外形打抜きステーション、及び前記接着剤塗布ステーションに対応する領域を除いて前記帯状薄鋼板の前記間欠移送の方向に間欠的に設けられている」ことを特定するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項2は、引用関係を解消し、「積層鉄心の製造装置」が「複数の打抜きステーション」と「接着剤塗布ステーション」を有すること、「複数の打抜きステーション」が「内形打抜きステーション」と「外形打抜きステーション」を含むことを特定し、「左右のガイド部材」に係る事項についてさらに特定するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 本件特許明細書等には、以下の点が記載されている(下線は、当審にて付与した。)。 ・「製造装置10は、順送り金型方式によるものであり、図4、図5に示されているように、パイロット孔打抜きステーションIと、内形打抜きステーションIIと、アイドルステーションIIIと、接着剤塗布ステーションIVと、アイドルステーションVと、外形打抜きステーションVIと、アイドルステーションVIIとを順送り方向に順に有し、フープ材Fの順送り方向の間欠移送のもとに、アイドルステーションIII、V、VII以外の各ステーションI、II、IV、VIが各工程を実行する。尚、パイロット孔打抜きステーションI、内形打抜きステーションII、外形打抜きステーションVIの各々で行われる打抜き加工部は斜線によって示されている。アイドルステーションIII、V、VIIでは、フープ材Fの空送りが行われる。」(【0064】) ・「上側ホルダ12の下部には、バッキングプレート16及びパンチプレート18によって、各ステーションI、II、VIに対応する位置に、パイロット孔打抜き用パンチ20、内形打抜き用パンチ22、外形打抜き用パンチ24が取り付けられている。」(【0066】) ・「下側ホルダ14の上面には板状のダイプレート40が取り付けられている。ダイプレート40には、各打抜きステーションI、II、VIに対応する位置に、パイロット孔打抜き用ダイ42、内形打抜き用ダイ44、外形打抜き用ダイ46が取り付けられている。パイロット孔打抜き用パンチ20とパイロット孔打抜き用ダイ42、内形打抜き用パンチ22と内形打抜き用ダイ44、外形打抜き用パンチ24と外形打抜き用ダイ46とは、各々対応し、各々金型セットをなしている。」(【0068】) ・「ダイプレート40が接着剤塗布ステーションIVに対応する位置には接着剤塗布装置50が設けられている。接着剤塗布装置50は、駆動装置54によって駆動されるカム機構52によって上下移動し、上昇位置にある場合に、鉄心薄板Wの積層枚数を設定する計量時を除いた1回のプレス動作毎に接着剤をフープ材Fの下面の複数箇所(塗布点E)に点状に塗布(転写)する。」(【0070】) ・「内形打抜きステーションIIでは、内形打抜き用パンチ22と内形打抜き用ダイ44とによってフープ材Fの1回の間欠移送毎にフープ材Fに内形IS(図4参照)を打ち抜くことが行われる。」(【0072】) ・「接着剤塗布ステーションIVでは、上昇位置にある接着剤塗布装置50によってフープ材Fの下面の塗布点Eに接着剤を丸点状に塗布することが行われる。」(【0073】) ・「外形打抜きステーションVIは、外形打抜き用パンチ24と外形打抜き用ダイ46とによってフープ材Fに外形OS(図4参照)を打ち抜くことが行われる。」(【0074】) ・「下側ホルダ14上に、図示実施形態では下側ホルダ14に固定されているダイプレート40上に、フープ材Fの間欠移送方向(順送り方向)に沿う方向の当該薄鋼板のフープ材Fの移送を案内する左右のガイド部材100が左右対称に取り付けられている。左右のガイド部材100は、各々、フープ材Fの順送り方向に長い帯状のものであり、図4に示されているように、ステーションII、IV、VIに対応する領域を除いてフープ材Fの順送り方向に間欠的に設けられている。」(【0099】) ・「パイロット孔打抜きステーションI及び外形打抜きステーションVIの動作は内形打抜きステーションIIの動作と実質的に同じであるので、それらの動作説明は省略する。」(【0108】) ・「【図4】 [図:0001425711000001.jpg] 【図5】 [図:0001425711000002.jpg] 」 以上のような本件特許明細書等の記載からすると、本件特許明細書等には、「積層鉄心の製造装置」が「前記上側ホルダに取り付けられたパンチと前記下側ホルダに取り付けられたダイとをそれぞれ含み、間欠移送される前記帯状薄鋼板を所定の形状に打抜くために各打抜き加工に対応する形状をそれぞれ打ち抜く複数の打抜きステーション」と、「前記上側ホルダ及び前記下側ホルダの少なくとも何れか一方に設けられ、間欠移送される前記帯状薄鋼板の前記鉄心薄板に対応する部位の接着剤塗布面に接着剤を塗布する接着剤塗布装置を含む接着剤塗布ステーション」を有すること、「前記複数の打抜きステーション」は、「前記上側ホルダに取り付けられた内形打抜き用パンチと前記下側ホルダに取り付けられた内形打抜き用ダイとを含み、間欠移送される前記帯状薄鋼板に内形を打ち抜く内形打抜きステーション」と、「前記上側ホルダに取り付けられた外形打抜き用パンチと前記下側ホルダに取り付けられた外形打抜き用ダイとを含み、間欠移送される前記帯状薄鋼板に外形を打ち抜くための外形打抜きステーション」と、を含むこと、「左右のガイド部材」が、「前記下側ホルダに設けられて前記帯状薄鋼板の前記間欠移送を案内すると共に前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限する」ものであること、「前記左右のガイド部材は、各々、前記帯状薄鋼板の前記間欠移送の方向に長い帯状のものであり、前記内形打抜きステーション、前記外形打抜きステーション、及び前記接着剤塗布ステーションに対応する領域を除いて前記帯状薄鋼板の前記間欠移送の方向に間欠的に設けられている」ことが記載されていると認められる。 そうすると、訂正事項2に係る本件訂正は、本件特許明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであって、新規事項を追加するものではない。 エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、本件訂正前の請求項1~10について特許異議の申立てがされているので、本件訂正前の請求項2に係る訂正事項2に関して、独立特許要件は課されない。 (3) 訂正事項3について ア 訂正の目的 訂正事項3は、本件訂正前の請求項3を削除することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3は、本件訂正前の請求項3を削除するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、本件訂正前の請求項3を削除するものであり、本件特許明細書等に記載した事項の範囲外の内容を追加するものではない。 エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、本件訂正前の請求項1~10について特許異議の申立てがされているので、本件訂正前の請求項3に係る訂正事項3に関して、独立特許要件は課されない。 (4) 訂正事項4について ア 訂正の目的 訂正事項4は、本件訂正前の請求項9を削除することにより、特許請求の範囲を減縮しようとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項4は、本件訂正前の請求項9を削除するものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項4は、本件訂正前の請求項9を削除するものであり、本件特許明細書等に記載した事項の範囲外の内容を追加するものではない。 エ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件においては、本件訂正前の請求項1~10について特許異議の申立てがされているので、本件訂正前の請求項9に係る訂正事項4に関して、独立特許要件は課されない。 (5) 訂正前の請求項1~3、9は、請求項2、3及び9が、訂正の請求の対象である請求項1の記載を引用する関係にあるから、本件訂正は、訂正前の請求項〔1~3、9〕という一群の請求項ごとに請求されたものである。 (6) まとめ 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び4号に掲げる事項を目的とするものであって、同条9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するので、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~3、9〕について訂正することを認める。 第3 本件発明 前記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の特許請求の範囲は、次のとおりである。 そして、請求項4~8、10に係る発明は、特許請求の範囲の請求項4~8、10に記載された事項により特定されるとおりのものである。以下、請求項4~8、10に係る発明を請求項の番号に従って「本件発明4」などという。 「【請求項1】 (削除) 【請求項2】 間欠移送される帯状薄鋼板から所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板を積層接着してなる積層鉄心の製造装置であって、 上側ホルダ及び下側ホルダと、 前記上側ホルダに取り付けられたパンチと前記下側ホルダに取り付けられたダイとをそれぞれ含み、間欠移送される前記帯状薄鋼板を所定の形状に打抜くために各打抜き加工に対応する形状をそれぞれ打ち抜く複数の打抜きステーションと、 前記上側ホルダ及び前記下側ホルダの少なくとも何れか一方に設けられ、間欠移送される前記帯状薄鋼板の前記鉄心薄板に対応する部位の接着剤塗布面に接着剤を塗布する接着剤塗布装置を含む接着剤塗布ステーションと、 前記接着剤塗布装置による接着剤塗布位置における前記帯状薄鋼板の位置決めを行う位置決め手段と、 前記下側ホルダに設けられたダイプレートと、 前記上側ホルダに上下方向に変位可能に設けられて前記ダイプレートの上面と対向する下面を有し、前記接着剤塗布装置による接着剤塗布位置にある前記帯状薄鋼板を前記ダイプレートの上面に押し付けるストリッパプレートと、 前記下側ホルダに設けられて前記帯状薄鋼板の前記間欠移送を案内すると共に前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限する左右のガイド部材と を有し、 前記複数の打抜きステーションは、 前記上側ホルダに取り付けられた内形打抜き用パンチと前記下側ホルダに取り付けられた内形打抜き用ダイとを含み、間欠移送される前記帯状薄鋼板に内形を打ち抜く内形打抜きステーションと、 前記上側ホルダに取り付けられた外形打抜き用パンチと前記下側ホルダに取り付けられた外形打抜き用ダイとを含み、間欠移送される前記帯状薄鋼板に外形を打ち抜くための外形打抜きステーションと、を含み、 前記左右のガイド部材は、各々、前記帯状薄鋼板の前記間欠移送の方向に長い帯状のものであり、前記内形打抜きステーション、前記外形打抜きステーション、及び前記接着剤塗布ステーションに対応する領域を除いて前記帯状薄鋼板の前記間欠移送の方向に間欠的に設けられている積層鉄心の製造装置。 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 上側ホルダと下側ホルダとを有するプレス装置を用いて帯状薄鋼板から所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板を積層接着してなる積層鉄心の製造方法であって、 前記上側ホルダ及び前記下側ホルダの少なくとも何れか一方に設けられた接着剤塗布装置によって前記帯状薄鋼板の接着剤塗布面に接着剤を塗布する塗布工程と、 前記上側ホルダに設けられたパイロットピンを、前記上側ホルダの降下途中に、前記帯状薄鋼板に形成されたパイロット孔に挿入するパイロット挿入工程と、 前記上側ホルダに上下方向に変位可能に設けられて、前記下側ホルダに設けられたダイプレートの上面と対向する下面を有し、ストリッパ用ばねによって前記下側ホルダに向けて付勢されたストリッパプレートによって、前記パイロット挿入工程の完了後の前記上側ホルダの降下途中に、前記帯状薄鋼板を前記下側ホルダに上下可能に設けられ且つリフタ用ばねによって上方に向けて付勢されたリフタの降下移動を伴って前記下側ホルダに設けられた前記ダイプレートの上面に押し付ける押付工程とを有し、 前記塗布工程は、前記パイロットピンが前記パイロット孔に挿入され、且つ前記リフタの降下移動を伴って前記ストリッパプレートによって前記帯状薄鋼板が前記ダイプレートの上面に押し付けられる時に或いは押し付けられた状態で接着剤の塗布を行い、接着剤の塗布完了後の前記上側ホルダの上昇により、前記リフタの上昇移動を伴って当該リフタが前記帯状薄鋼板の下面に当接し且つ前記ストリッパプレートが前記帯状薄鋼板の上面に当接した状態で前記帯状薄鋼板を前記下側ホルダに設けられたダイプレートの上面より離れたリフトアップ状態に戻す積層鉄心の製造方法。 【請求項5】 前記下側ホルダに設けられた左右のガイド部材によって前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限し、上側ホルダが上昇した状態において、前記下側ホルダに上下可能に設けられ且つ前記リフタ用ばねによって上方に向けて付勢された前記リフタにより前記帯状薄鋼板を、前記下側ホルダに設けられたダイプレートの上面より離れたリフトアップ状態で、且つ前記帯状薄鋼板の間欠移送方向に沿った移送を案内した状態で、前記帯状薄鋼板を間欠移送する移送工程を更に有する請求項4に記載の積層鉄心の製造方法。 【請求項6】 前記帯状薄鋼板の上面に前記接着剤の硬化促進剤を塗布する硬化促進剤塗布工程を更に有する請求項4または請求項5に記載の積層鉄心の製造方法。 【請求項7】 前記硬化促進剤塗布工程では、前記硬化促進剤が前記帯状薄鋼板に連続的に塗布される請求項6に記載の積層鉄心の製造方法。 【請求項8】 前記硬化促進剤塗布工程では、前記帯状薄鋼板が前記間欠移送において停止している場合にのみ、前記硬化促進剤が前記帯状薄鋼板に塗布される請求項6に記載の積層鉄心の製造方法。 【請求項9】 (削除) 【請求項10】 請求項4に記載の積層鉄心の製造方法によって製造された積層鉄心。」 第4 取消理由の概要 本件訂正後の請求項4~8、10に係る特許に対し令和6年12月16日付け取消理由通知書(決定の予告)で通知した取消理由は、概ね、次のとおりである。 1 取消理由1 本件発明4~8、10は、引用例1(後記3)に記載された発明及び引用例2~9(後記3)に記載された事項に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明4~8、10に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 2 取消理由2 請求項10の記載が明確でないから、本件発明10に係る特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 3 引用例 引用例1:韓国公開特許第10-2016-0145289号公報(甲第1号証(韓国登録特許第10-1729289号公報)に対応する公開公報) 引用例2:特開2009-297758号公報(甲第2号証) 引用例3:特開2015-166095号公報(甲第3号証) 引用例4:実公昭60-25313号公報(甲第4号証) 引用例5:特開2003-94130号公報(甲第5号証) 引用例6:特開2007-160358号公報(甲第6号証) 引用例7:特開2002-66650号公報(甲第7号証) 引用例8:特開2009-72794号公報(甲第8号証) 引用例9:特開2006-334648号公報(甲第9号証) 第5 取消理由1(29条2項)について 1 引用例1に記載された発明 (1) 引用例1には、以下の事項が記載されている(下線は当審にて付与した。)。なお、日本語訳は甲第1号証添付の翻訳文を参考にした。 ・「 [図:0001425711000003.jpg] 」 (請求項1 上金型と下金型とからなり、上金型に装着されたピアシングパンチ及びブランキングパンチが下金型の上部で順次搬送されるストリップを打ち抜いてコアシートを形成し、前記コアシートを積層する金型装置と、 前記上金型と下金型にそれぞれ装着され、前記パンチがストリップを打ち抜く間、ストリップの上面と下面に接着剤を塗布する第1接着剤塗布装置及び第2接着剤塗布装置で構成され、 前記第1及び第2接着剤塗布装置は、 前記コアシートが形成されるストリップの上面又は下面の少なくとも1つ以上の塗布地点に接着剤を吐出する接着剤吐出部; 貯蔵された接着剤を一定の圧力をかけて前記接着剤吐出部に供給する接着剤供給部;及び 前記接着剤吐出部を昇降させるカム駆動部を含むことを特徴とする積層コア製造装置。) ・「 [図:0001425711000004.jpg] 」 ([0001] 本発明は、積層コア製造装置に関する。より詳細には、1つのプレグレッシブ金型装置内で移動するストリップに接着剤を塗布し、接着積層方式でコアシートを積層する接着式積層コア製造装置に関する。) ・「 [図:0001425711000005.jpg] 」 ([0022] 図1は、本発明による積層コア製造装置の断面図であり、図2は、本発明の実施例によるコアシートに接着剤が塗布された状態を示した図である。 [0023] 図1を参照すると、本発明の実施例による積層コア製造装置は、順次移動するストリップ(strip)(1)上に連続作業を行うプレス加工方式で、金型装置(10)が使用され得る。 [0024] 金型装置(10)は、好ましくはプログレッシブ(progressive)金型装置であり、上金型(11)と下金型(12)とからなる。上金型(11)は、下金型(12)の上側に配置され、下金型に向かって昇降方向(v)に運動するようになる。上金型(11)の運動は、上金型(11)がプレスに装着され、プレスが駆動されることによって行われる。下金型(12)の上部では、ストリップが進行方向(f)に沿って順次に1ピッチ(pitch)ずつ移動することになる。 … [0026] また、上金型(11)には、パンチホルダ(3)とパンチプレート(20)との間で前記パンチを支えるパンチバッキングプレート(35)と、パンチが正確な位置に移動するように案内し、打ち抜き時に挟まれるストリップ(1)を取り外すためのストリッパプレート(40)が備えられてもよい。 [0027] 下金型(12)は、プレス機に装着され、下金型(12)の全体的な重心を取るダイホルダ(50)と、前記ダイホルダ(50)の上部に安着するダイプレート(60)と、ダイホルダ(50)とダイプレート(60)との間に位置し、ダイプレート(60)に加えられる圧力を受けるダイバッキングプレート(55)とを含んでもよい。 [0028] また、下金型(12)内には、ブランキングパンチ(25)と対応した位置で中空が形成された円筒状のブランキングダイ(70)が装着される。ブランキングダイ(70)は、ブランキングパンチ(25)によって打ち抜かれてストリップ(1)から分離されたコアシートが接着されて積層される積層部(71)と、設定された厚さに積層された積層コア(2)を外部に排出するスクイズリング(72)とで構成されてもよい。 [0029] 一方、本発明による金型装置(10)の上金型(11)と下金型(12)には、接着剤塗布装置(100)が装着されてもよく、接着剤塗布装置(100)は、上金型(11)に装着される第1接着剤塗布装置(100a、100b、100c)と、下金型(12)に装着される第2接着剤塗布装置(100d)とに区分することができる。) ・「 [図:0001425711000006.jpg] 」 ([0034] ボンディング工程では、ストリップ(1)に接着剤が塗布される。前記接着剤は、第1液(4)と第2液(5)の成分に分離され、接着時にこれを混合して使用する2液型接着剤が適用され得る。好ましくは、前記接着剤はエポキシ接着剤であり、このとき第1液(4)が主剤とされ、第2液(5)が硬化剤とされてもよく、これとは逆に第1液(4)が硬化剤とされ、第2液(5)が主剤とされてもよいことは勿論である。 [0035] この場合、図2に示したように、第1液(4)は第1接着剤塗布装置(100a、100b、100c)によってストリップ(1)の上面に塗布され、第2液(5)は第2接着剤塗布装置(100d)によってストリップ(1)の下面に塗布され得る。このとき、第1液(4)及び第2液(5)が塗布される塗布地点(spot)は、コアシート(3)が形成されたストリップ(1)の上面と下面で互いに同じ地点に位置することにない、1つ以上の複数で形成され得る。) ・「 [図:0001425711000007.jpg] 」 ([0038] ブランキング工程によって生成されたコアシート(3)は、積層工程を通じて最終的に積層コア(2)を形成することになる。具体的には、ストリップ(1)から分離されたコアシート(3)は、ブランキングダイ(70)の上部に設けられた積層ダイ(71)に挿入され、積層ダイ(71)内で積層されているコアシート群(6)上に圧着される。このとき、コアシート(3)の下面の第2液(5)とコアシート群(6)の上面の第1液(4)とが互いに混合されて硬化されることにより接着が行われる。このような方式で設定された厚さに接着積層された積層コア(2)は、スクイズリング(72)の内部に順次に押し込まれて外部に排出される。) ・「 [図:0001425711000008.jpg] 」 ([0040] 図3を参照すると、本発明による接着剤塗布装置(100)は、接着剤供給部(101)と、前記接着剤供給部(101)から供給された接着剤をストリップ(1)の上下面に接着剤を吐出する接着剤吐出部(102)と、前記接着剤吐出部(120)を昇降させ、接着剤塗布の実行及び中止を制御するカム駆動部(103)とを含んで構成される。 [0041] 接着剤供給部(101)は、それぞれの貯蔵タンク(図示せず)内に保管された接着剤、すなわち第1液(4)又は第2液(5)を圧縮空気などの周知の方法で加圧する加圧装置(110)からなり、加圧された接着剤は、その圧力によって定められた供給速度で接着剤供給チューブ(111)を通じて接着剤吐出部(102)に送られる。この場合、加圧装置(110)は、加圧時間及び強さなどの調節を通じてパンチが下降してストリップ(1)を打ち抜く瞬間、一定量の接着剤を接着剤吐出部(102)に供給できるように設定され得る。) ・「 [図:0001425711000009.jpg] 」 ([0065] 図1及び図5を参照すると、本発明の第1実施例による積層コア製造装置において、第1接着剤塗布装置(100b)は、ピアシングパンチ(24)とブランキングパンチ(25)との間の上金型(11)内に装着され、第2接着剤塗布装置(100d)は、ブランキングダイ(70)とストリップ案内板(80)との間の下金型(12)内に装着される。) ・「 [図:0001425711000010.jpg] 」 ([0074] 図5に示した第1カム状態において、プレス駆動により第1接着剤塗布装置(100b)は上金型(11)と共に下降するようになり、上金型(11)が最低点に位置する瞬間、第1接着剤塗布装置(100b)の吐出ピン(150b)は、ストリップ(1)の上面に当接するようになる。このとき、加圧装置(110)を通じて供給された第1液(4)が吐出管(153b)から吐出され、ストリップ(1)の上面に塗布される。 [0075] その後、カム部材(160b)が進退運動をして第2カム状態になると、圧縮された状態であった支持スプリング(142b)は、蓄積された弾性力を利用して接着剤吐出部(102b)全体を引き上げるようになる。これにより、上金型(11)の最低点で第1接着剤塗布装置(100b)の吐出ピン(150b)とストリップ(1)とは一定の距離だけ離間され第1液(4)の塗布が行われなくなる。) ・「 [図:0001425711000011.jpg] 」 ([0081] 図5に示した第1カム状態において、第2接着剤塗布装置(100d)の吐出ピン(150d)は、ストリップ(1)の下面と互いに当接した状態となる。そのようにして加圧装置(100)を通じて供給された第2液(5)がストリップ(1)の下面に塗布される。 [0082] その後、カム部材(160d)が進退運動をして第2カム状態になると、圧縮された状態であった支持スプリング(142d)は、蓄積された弾性力を用いて接着剤吐出部(102d)全体を引き下げるようになる。これにより、第2接着剤塗布装置(100d)の吐出ピン(150d)とストリップ(1)とは一定の距離だけ離隔され第2液(5)の塗布が行われなくなる。) ・「図1 [図:0001425711000012.jpg] 」 ・「図2 [図:0001425711000013.jpg] 」 ・「図5 [図:0001425711000014.jpg] 」 (2) 以上のような引用例1の記載及び図面の記載から、引用例1には次の発明(以下、それぞれ、「引用発明1」~「引用発明3」という。)が記載されているものと認められる。 (引用発明1) 「上金型11と下金型12とを有する金型装置10を用いてストリップ1から所定の形状に打ち抜かれたコアシート3を積層接着してなる積層コア2の製造方法であって、 上金型11及び下金型12にそれぞれ装着された接着剤塗布装置100によってストリップ1のうちコアシート3となる領域に接着剤を塗布するボンディング工程と、 上金型11に設けられて、下金型12のダイプレート60の上面と対向する下面を有するストリッパプレート40によって、パンチが正確な位置に移動するように案内する工程とを有し、 前記ボンディング工程は、上金型11に装着されたピアシングパンチ21、22、23、24及びブランキングパンチ25がストリップ1を打ち抜く間、ストリップ1の上面と下面に接着剤を塗布する、積層コアの製造方法。」 (引用発明2) 「ストリップ1の左右に位置するように下金型12に設けられた一対のストリップ案内板80によって、ストリップ1の1ピッチずつ順次移動する方向に沿ったストリップ1の移動を案内した状態で、ストリップ1を1ピッチずつ順次移動させる行程を更に有する、引用発明1に係る積層コアの製造方法。」 (引用発明3) 「引用発明1に係る積層コアの製造方法によって製造された積層コア2。」 2 対比及び判断 (1) 本件発明4について ア 本件発明4と引用発明1とを、その有する機能に照らして対比する。 (ア) 引用発明1の「上金型11」は、本件発明4の「上側ホルダ」に相当し、以下同様に、引用発明1の「下金型12」、「金型装置10」、「ストリップ1」、「コアシート3」、「積層コア2」、「積層コア2の製造方法」は、それぞれ、本件発明4の「下側ホルダ」、「プレス装置」、「帯状薄鋼板」、「鉄心薄板」、「積層鉄心」、「積層鉄心の製造方法」に相当する。 (イ) 引用発明1の「接着剤塗布装置100」、「ボンディング工程」は、それぞれ、本件発明4の「接着剤塗布装置」、「塗布工程」に相当する。 (ウ) 引用発明1の「ダイプレート60」、「ストリッパプレート40」は、それぞれ、本件発明4の「ダイプレート」、「ストリッパプレート」に相当する。 また、引用発明1の「ストリッパプレート40」は、「上金型11に設けられて」「パンチが正確な位置に移動するように案内する」ためのものであるから、上金型11とパンチの動作に照らすと、上金型11に上下方向に変位可能に設けられていることは技術的に明らかである。 そして、引用発明1の「案内する工程」は、本件発明4の「押付工程」と、「ストリッパプレート」が「降下する工程」である点で共通する。 (エ) そうすると、本件発明4と引用発明1とは、以下の点で一致し、相違する。 (一致点1) 「上側ホルダと下側ホルダとを有するプレス装置を用いて帯状薄鋼板から所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板を積層接着してなる積層鉄心の製造方法であって、 前記上側ホルダ及び前記下側ホルダの少なくとも何れか一方に設けられた接着剤塗布装置によって前記帯状薄鋼板の接着剤塗布面に接着剤を塗布する塗布工程と、 前記上側ホルダに上下方向に変位可能に設けられて、前記下側ホルダに設けられたダイプレートの上面と対向する下面を有するストリッパプレートが降下する工程とを有する積層鉄心の製造方法。」 (相違点1) 本件発明4は、「前記上側ホルダに設けられたパイロットピンを、前記上側ホルダの降下途中に、前記帯状薄鋼板に形成されたパイロット孔に挿入するパイロット挿入工程」を有するのに対し、引用発明1は、そのような工程を有しているか不明である点。 (相違点2) ストリッパプレートが降下する工程に関し、本件発明4は、「ストリッパ用ばねによって前記下側ホルダに向けて付勢された」ストリッパプレートによって、「前記パイロット挿入工程の完了後の前記上側ホルダの降下途中に、前記帯状薄鋼板を前記下側ホルダに上下可能に設けられ且つリフタ用ばねによって上方に向けて付勢されたリフタの降下移動を伴って前記下側ホルダに設けられた前記ダイプレートの上面に押し付ける押付工程」であるのに対し、引用発明1は、ストリッパプレート40がそのような押し付けを行っているか不明である点。 (相違点3) 塗布工程に関し、本件発明4は、「前記パイロットピンが前記パイロット孔に挿入され、且つ前記リフタの降下移動を伴って前記ストリッパプレートによって前記帯状薄鋼板が前記ダイプレートの上面に押し付けられる時に或いは押し付けられた状態で接着剤の塗布を行い、接着剤の塗布完了後の前記上側ホルダの上昇により、前記リフタの上昇移動を伴って当該リフタが前記帯状薄鋼板の下面に当接し且つ前記ストリッパプレートが前記帯状薄鋼板の上面に当接した状態で前記帯状薄鋼板を前記下側ホルダに設けられたダイプレートの上面より離れたリフトアップ状態に戻す」のに対し、引用発明1は、ボンディング工程において、上金型11に装着されたピアシングパンチ21、22、23、24及びブランキングパンチ25がストリップ1を打ち抜く間、ストリップ1の上面と下面に接着剤を塗布するものの、そのように構成されているか不明である点。 イ 相違点について検討する。 (ア) 相違点1について 引用例1の図5をみると、ストリップ1の両側縁に複数の円が記載されており、ストリップ1にパイロット孔が設けられていることが窺える。 そして、パイロットピン及びパイロット孔により、帯状材の位置決めを行うことは、引用例2(【0033】)、引用例3(【0032】)、引用例4(1頁2欄6~19行、2頁4欄14~28行)、引用例6(【0031】)に示されているように、周知の技術でもある。 そうすると、引用発明1において、相違点1に係る本件発明4の構成とすることは、当業者が容易に想到できた事項である。 (イ) 相違点2について 引用発明1は、パンチが正確な位置に移動するように案内するためのストリッパプレート40を備えるところ、接着剤の塗布位置にあるストリップ1をストリッパプレート40でダイプレート60の上面に押し付けることは、十分に窺える。 そして、ストリッパプレートが、上側ホルダに上下方向に変位可能に設けられて、ストリッパ用ばねによってストリッパプレートを下側ホルダに向けて付勢し、ストリッパプレートがストリッパ用ばねのばね力によって帯状材をダイの上面に押し付けるように構成することは、引用例2(【0032】、図3)、引用例3(【0026】、【0032】)、引用例4(2頁4欄14~28行)、引用例5(【0032】、【0046】)、引用例7(【0011】、【0014】)、引用例8(【0012】、【0018】)に示されているように周知の技術であるし、ストリッパプレートによって、下側ホルダに上下可能に設けられ且つリフタ用ばねによって上方に向けて付勢されたリフタの降下移動に伴って帯状材を下側ホルダに設けられたダイの上面に押し付けることも、引用例5(【0046】)、引用例7(【0003】)、引用例8(【0014】、【0018】)に示されているように周知の技術である。 そうすると、引用発明1において、相違点2に係る本件発明4の構成とすることは、当業者が容易に想到できた事項である。 (ウ) 相違点3について まず、「前記パイロットピンが前記パイロット孔に挿入され、且つ前記リフタの降下移動を伴って前記ストリッパプレートによって前記帯状薄鋼板が前記ダイプレートの上面に押し付けられる時に或いは押し付けられた状態で接着剤の塗布を行(う)」点については、塗布工程において、相違点1に係るパイロットピンの作用、相違点2に係るストリッパプレート、ダイプレートの作用によって、当然実現される作用を特定したものであると認められる。 次に、「接着剤の塗布完了後の前記上側ホルダの上昇により、前記リフタの上昇移動を伴って当該リフタが前記帯状薄鋼板の下面に当接し且つ前記ストリッパプレートが前記帯状薄鋼板の上面に当接した状態で前記帯状薄鋼板を前記下側ホルダに設けられたダイプレートの上面より離れたリフトアップ状態に戻す」点については、塗布工程において、相違点2に係るストリッパプレート、ダイプレート、リフタの作用によって、当然実現される作用を特定したものであると認められる。 そして、すでに述べたとおり、引用発明1において、相違点1、2に係る本件発明4の構成とすることは、当業者が容易に想到できた事項であるところ、その場合、ボンディング工程において、相違点1、2に係る事項を備えることにより、当然、上記パイロットピン、ストリッパプレート、ダイプレート、リフタの作用が発揮されるから、引用発明1において、相違点3に係る本件発明4の構成とすることは、相違点1、2に係る本件発明4の構成とすることによって、当業者が容易に想到できた事項である。 ウ よって、本件発明4は、引用発明1及び周知の技術(引用例2~8)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2) 本件発明5について ア 本件発明5と引用発明2とを、その有する機能に照らして対比すると、引用発明2の「ストリップ案内板80」は、本件発明5の「ガイド部材」に相当し、引用発明2の「1ピッチずつ順次移動させる工程」は、本件発明5の「移送工程」に相当する。 そうすると、両者は、前記一致点1と同じ点に加え、以下の点で一致し、前記相違点1~3に加え、以下の点で相違する。 (一致点2) 「前記下側ホルダに設けられた左右のガイド部材によって、前記帯状薄鋼板の間欠移送方向に沿った移送を案内した状態で、前記帯状薄鋼板を間欠移送する移送工程を更に有する、積層鉄心の製造方法。」 (相違点4) 本件発明5は、移送工程に関し、前記下側ホルダに設けられた左右のガイド部材によって「前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限し、上側ホルダが上昇した状態において、前記下側ホルダに上下可能に設けられ且つ前記リフタ用ばねによって上方に向けて付勢された前記リフタにより前記帯状薄鋼板を、前記下側ホルダ に設けられたダイプレートの上面より離れたリフトアップ状態で、且つ」前記帯状薄鋼板の間欠移送方向に沿った移送を案内した状態で、前記帯状薄鋼板を間欠移送するのに対し、引用発明2は、一対のストリップ案内板80がストリップ1の上方への移動を制限しているか不明であり、リフタを用いたリフトアップ状態でストリップ1が搬送されるか不明である点。 イ そこで、相違点について検討するに、前記相違点1~3については、すでに述べたとおりである(前記(1))。 次に、相違点4についてみるに、引用例1の図5をみると、ストリップ案内板80の内側の上縁部分は、水平方向に突出した部分を有していることがわかり、このような構造を有している場合、ストリップ1が上方に移動しようとした際にストリップ1の側縁が水平方向に突出した部分の下面に当接し、それ以上、上に移動することができないことは明らかである。 そして、帯状材の上方への移動を制限する左右のガイド部材は、引用例3(ガイドレール76(【0003】))、引用例5(ガイド部材31(【0039】))、引用例6(ガイドリフターロール2(【0019】))、引用例7(ガイドレール50(【0002】)、ストックガイドリフトピン24(【0012】))に示されているように、周知の技術でもある。 また、下側ホルダに上下方向に変位可能に設けられ、リフタ用ばねによって上方に向けて付勢されたリフタによって、帯状材をダイの上面より離間させて移送することは、引用例5(【0046】)、引用例7(【0003】)、引用例8(【0014】、【0018】)に示されているように、周知の技術である。 そうすると、引用発明2において、相違点4に係る本件発明5の構成とすることは、当業者が容易に想到できた事項である。 ウ よって、本件発明5は、引用発明2及び周知の技術(引用例2~8)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (3) 本件発明6について ア 本件発明6と引用発明1、引用発明2とを、その有する機能に照らして対比すると、本件発明6と引用発明1、引用発明2は、前記一致点1、2と同じ点で一致し、本件発明6と引用発明1は、前記相違点1~3に加え、また、本件発明6と引用発明2は、相違点1~4に加え、以下の点で相違する。 (相違点5) 本件発明6は、「前記帯状薄鋼板の上面に前記接着剤の硬化促進剤を塗布する硬化促進剤塗布工程を更に有する」のに対し、引用発明1、引用発明2は、そのような工程を有するか不明である点。 イ そこで、相違点について検討するに、前記相違点1~4については、すでに述べたとおりである(前記(1)、(2))。 次に、相違点5についてみるに、引用例1には、接着剤が、第1液4と第2液5からなる2液型接着剤が適用され、好ましくは、接着剤がエポキシ接着剤で、第1液4が主剤、第2液5が硬化剤とされてもよく、逆に第1液4が硬化剤、第2液5が主剤とされてもよい旨記載されている([0034])。 このように、引用例1には、ストリップ1の上面に接着剤の硬化剤を塗布する点が十分に示唆されており、この点は実質的な相違点ではないといえる上、そのような工程を有するようにすることも、当業者が容易に想到できた事項である。 ウ よって、本件発明6は、引用発明1及び周知の技術(引用例2~8)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明6は、引用発明2及び周知の技術(引用例2~8)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (4) 本件発明7について ア 本件発明7と引用発明1、引用発明2とを、その有する機能に照らして対比すると、本件発明7と引用発明1、引用発明2は、前記一致点1、2と同じ点で一致し、本件発明7と引用発明1は、前記相違点1~3、5に加え、また、本件発明7と引用発明2は、前記相違点1~5に加え、以下の点で相違する。 (相違点6) 本件発明7は、「前記硬化促進剤塗布工程では、前記硬化促進剤が前記帯状薄鋼板に連続的に塗布される」のに対し、引用発明1、引用発明2においては、そのように構成されているか不明である点。 イ そこで、相違点について検討するに、前記相違点1~5については、すでに述べたとおりである(前記(1)~(3))。 次に、相違点6についてみるに、引用例9には、フープ材W1に硬化促進剤を含むプレス加工油を塗布することが記載されており(【0014】、【0015】、【0019】、図3)、プレス加工油がフープ材W1の全体に塗布されること、そのために連続的に供給しているものであることは、技術的に明らかである。 そして、引用発明1、引用発明2において、硬化剤を塗布するにあたり、連続的、間欠的のいずれにするかは、当業者が適宜に決定できる事項である。 そうすると、引用発明1、引用発明2において、相違点6に係る本件発明7の構成とすることは、当業者が容易に想到できた事項である。 ウ よって、本件発明7は、引用発明1、引用例9に記載された事項及び周知の技術(引用例2~8)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明7は、引用発明2、引用例9に記載された事項及び周知の技術(引用例2~8)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (5) 本件発明8 ア 本件発明8と引用発明1、引用発明2とを、その有する機能に照らして対比すると、本件発明8と引用発明1、引用発明2は、前記一致点1、2と同じ点で一致し、本件発明8と引用発明1は、前記相違点1~3、5に加え、また、本件発明8と引用発明2は、前記相違点1~5に加え、以下の点で相違する。 (相違点7) 本件発明8は、「前記硬化促進剤塗布工程では、前記帯状薄鋼板が前記間欠移送において停止している場合にのみ、前記硬化促進剤が前記帯状薄鋼板に塗布される」のに対し、引用発明1、引用発明2においては、そのように構成されているか不明である点。 イ そこで、相違点について検討するに、前記相違点1~5については、すでに述べたとおりである(前記(1)~(3))。 次に、相違点7についてみるに、引用例1には、上金型が最低点に位置する瞬間に、ストリップ1の上面、下面に接着剤を塗布することが記載されており([0074]、[0075]、[0081]、[0082])、ストリップ1は1ピッチずつ順次移動するものであるから、ストリップ1が停止している場合に、硬化剤がストリップ1に塗布される点が十分に示唆されている上、硬化剤を塗布するにあたり、連続的、間欠的のいずれにするかは、当業者が適宜に決定できる事項である。 そうすると、引用発明1、引用発明2において、相違点7に係る本件発明8の構成とすることは、当業者が容易に想到できた事項である。 ウ よって、本件発明8は、引用発明1及び周知の技術(引用例2~8)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、本件発明8は、引用発明2及び周知の技術(引用例2~8)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (6) 本件発明10 本件発明10と引用発明3とを、その有する機能に照らして対比すると、両者は、前記一致点1と同じ点で一致し、前記相違点1~3のほか、さらに相違するところはない。 そして、相違点1~3については、既に述べたとおりである(前記(1))。 よって、本件発明10は、引用発明3及び周知の技術(引用例2~8)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 第6 取消理由2(36条6項2号)について 請求項10には、「請求項4に記載の積層鉄心の製造方法によって製造された積層鉄心。」と記載されている。 本件発明10は、「積層鉄心」という物の発明であるが、製造方法の発明を引用する場合に該当するため、当該請求項にはその物の製造方法が記載されているといえる。 そして、物の発明についての特許に係る特許請求の範囲において、その製造方法が記載されていると、当該製造方法が当該「積層鉄心」のどのような構造を表しているのか明確でなく、発明を明確に特定することが困難となる。すなわち、請求項4に記載された事項により、積層鉄心の構造について、具体的にどのような事項が特定されるのか不明である。一般的な積層鉄心、他の製造方法によって製造された積層鉄心と、構造についてどのような違いがあるのか不明である。 このように、上記記載からは、「積層鉄心」に関し、物としての構造を明確に特定することができない。 よって、本件発明10は明確でない。 第7 請求項1、3、9に係る特許についての特許異議の申立てについて 前記第2のとおり、本件訂正が認められるので、請求項1、3、9に係る特許についての特許異議の申立ては、その対象が存在しないものとなった。 よって、請求項1、3、9に係る特許についての特許異議の申立ては、不適法であって、その補正をすることができないものであることから、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により,却下すべきものである。 第8 請求項2に係る特許についての特許異議の申立てについて 1 特許異議申立人は、請求項2に係る発明(以下「本件発明2」という。)は、本件特許の出願前に当業者が日本国内又は外国において頒布された甲第1号証に記載された発明、甲第5号証に記載された事項及び周知の技術(甲第2~4号証)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである旨主張しているが(特許異議申立書第3・4(2)(24~28頁))、甲第1号証は、本件特許の出願前に頒布されたものではないから、甲第1号証を根拠として、本件発明2が、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。 2 次に、本件発明2が、引用例1~9に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるかについて検討する。 (1) 引用例1に記載された発明 ア 引用例1には、前記第5・1(1)の事項に加え、以下の事項が記載されている。 ・「 [図:0001425711000015.jpg] 」 ([0025] 上金型(11)には、ストリップ(1)を打ち抜くピアシングパンチ(21、22、23、24)及びブランキングパンチ(25)と、前記パンチを取り付けるパンチプレート(20)と、前記パンチプレート(20)を上部で支持するパンチホルダ(30)とを含んでもよい。このとき、図1では、4つのピアシングパンチ(21、22、23、24)を示しているが、このようなピアシングパンチの個数やその形状は、製作しようとするコアの形状や大きさなどに応じていくらでも変更できることは勿論である。) ・「 [図:0001425711000016.jpg] 」 ([0032] このように構成された本発明による金型装置(10)を用いた積層コア製造工程は、ピアシング(piercing)工程、ボンディング(bonding)工程、ブランキング(blanking)工程及び積層(lamination)工程からなる。 [0033] ピアシング工程では、ストリップ(1)上にコア外形を除いたスロット、シャフト孔などの基本形状を成形する。このとき、ストリップ(1)は、金型装置(10)内で順次に1ピッチ(pitch)ずつ移動しながら、上金型(11)に装着され上下方向に移動するピアシングパンチ(21、22、23、24)によってピアシング加工が行われる。) ・「 [図:0001425711000017.jpg] 」 ([0037] ブランキング工程では、コアの外形を打ち抜き、コアシートをストリップ(1)から分離するブランキング工程が行われる。このようなブランキング加工は、金型装置(10)の上金型(11)に装着されたブランキングパンチ(25)が上下方向に移動してストリップ(1)を打ち抜くことにより行われる。) ・「 [図:0001425711000018.jpg] 」 ([0066] これによって、本発明の第1実施例では、ピアシング工程が完了した後、第1及び第2接着剤塗布装置(100b)(100d)によって第1液(4)及び第2液(5)がそれぞれストリップ(1)の上下面に塗布されるボンディング工程が行われ、その後ブランキング工程及び積層工程が行われる。) イ 引用例1に記載された積層コア製造装置において、上金型11には、ストリップ1を打ち抜くピアシングパンチ21~24、ブランキングパンチ25が装着されているが([0025])、下金型12に、ブランキングパンチ25と対応した位置でブランキングダイ70が装着されている([0028])ことからすると、下金型12には、ピアシングパンチ21~24と対応した位置でピアシングダイが装着されていることは技術的に明らかである。 また、ピアシング工程では、スロット、シャフト孔などの基本形状を打抜き([0033])、ブランキング工程では、コアの外形に打抜くものであるから([0037])、積層コア製造装置には、ストリップ1をスロット、シャフト孔などの基本形状、コアの外形に打ち抜くために、ピアシング加工、ブランキング加工に対応する形状をそれぞれ打ち抜く部位として、ピアシング工程部位、ブランキング工程部位が存するものと認められる。 そして、積層コア製造装置には、ボンディング工程に対応する、ボンディング工程部位が存するものと認められる。 そうすると、引用例1には次の発明(以下「引用発明4」という。)が記載されているものと認められる。 (引用発明4) 「1ピッチずつ順次移動するストリップ1がブランキングパンチ25によって打ち抜かれてストリップ1から分離されたコアシート3を積層接着してなる積層コア2を製造する積層コア製造装置であって、 上金型11及び下金型12と、 前記上金型11に装着されたピアシングパンチ21~24、ブランキングパンチ25と前記下金型12に装着されたピアシングダイ、ブランキングダイ70とをそれぞれ含み、1ピッチずつ順次移動するストリップ1をスロット、シャフト孔などの基本形状、コアの外形に打抜くためにピアシング加工、ブランキング加工に対応する形状をそれぞれ打ち抜くピアシング工程部位、ブランキング工程部位と、 上金型11及び下金型12にそれぞれ装着され、1ピッチずつ順次移動するストリップ1のうちコアシート3となる部分の領域に接着剤を塗布する接着剤塗布装置100を含むボンディング工程部位と、 下金型12のダイホルダ50の上部に載置された、下金型12のダイプレート60と、 上金型11に設けられてダイプレート60の上面と対向する下面を有しており、パンチが正確な位置に移動するように案内し、打ち抜き時に挟まれるストリップ1を取り外すためのストリッパプレート40と、 下金型12に設けられてストリップ1の1ピッチずつ順次移動する方向の移動を案内する、ストリップ1の左右に配置された一対のストリップ案内板80と を有し、 前記ピアシング工程部位は、 前記上金型11に取り付けられたピアシングパンチ24と前記下金型12に取り付けられたピアシングダイとを含み、1ピッチずつ順次移動するストリップ1にシャフト孔を打ち抜く部位を含み、 前記ブランキング工程部位は、 前記上金型11に取り付けられたブランキングパンチ25と前記下金型12に取り付けられたブランキングダイ70とを含み、1ピッチずつ順次移動するストリップ1にコアの外形を打ち抜く部位である、 積層コア製造装置。」 (2) 対比及び判断 ア 本件発明2と引用発明4とを、その有する機能に照らして対比する。 (ア) 引用発明4の「1ピッチずつ順次移動するストリップ1」は、本件発明2の「間欠移送される帯状薄鋼板」に相当し、以下同様に、引用発明4の「ブランキングパンチ25によって打ち抜かれてストリップ1から分離されたコアシート3」、「積層コア2」、「積層コア製造装置」、「上金型11」、「下金型12」は、それぞれ、本件発明2の「所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板」、「積層鉄心」、「積層鉄心の製造装置」、「上側ホルダ」、「下側ホルダ」に相当する。 (イ) 引用発明4の「上金型11」に装着された「ピアシングパンチ21~24」及び「ブランキングパンチ25」、「下金型12」に装着された「ピアシングダイ」及び「ブランキングダイ70」は、それぞれ、本件発明2の「パンチ」、「ダイ」に相当する。 また、引用発明4の「スロット、シャフト孔などの基本形状、コアの外形」、「ピアシング加工、ブランキング加工」は、それぞれ、本件発明2の「所定の形状」、「各打抜き加工」に相当する。 そして、引用発明4の「ピアシング工程部位」及び「ブランキング工程部位」は、本件発明2の「複数の打抜きステーション」に相当する。 (ウ) 引用発明4の「接着剤塗布装置100」、「ボンディング工程部位」は、それぞれ、本件発明2の「接着剤塗布装置」、「接着剤塗布ステーション」に相当する。 (エ) 引用発明4の「ダイプレート60」、「ストリッパプレート40」は、それぞれ、本件発明2の「ダイプレート」、「ストリッパプレート」に相当する。 また、引用発明4の「ストリッパプレート40」は、「上金型11に設けられて」「パンチが正確な位置に移動するように案内し、打ち抜き時に挟まれるストリップ1を取り外すための」ものであるから、上金型11とパンチの動作に照らすと、上金型11に上下方向に変位可能に設けられていることは技術的に明らかである。 (オ) 引用発明4の「ストリップ案内板80」は、本件発明2の「ガイド部材」に相当する。 (カ) 引用発明4の「ピアシングパンチ24」及び「ピアシングダイ」は、「ストリップ1」に「シャフト孔」を打ち抜くためのもので、「シャフト孔」は本件発明2の「内形」に相当するから、「ピアシングパンチ24」、「ピアシングダイ」、「シャフト孔を打ち抜く部位」は、それぞれ、本件発明2の「内形打抜き用パンチ」、「内形打抜き用ダイ」、「内形打抜きステーション」に相当する。 (キ) 引用発明4の「ブランキングパンチ25」及び「ブランキングダイ70」は、ストリップ1に「コアの外形」を打ち抜くためのもので、「コアの外形」は本件発明2の「外形」に相当するから、「ブランキングパンチ25」、「ブランキングダイ70」、「コアの外形を打ち抜く部位」は、それぞれ、本件発明2の「外形打抜き用パンチ」、「外形打抜き用ダイ」、「外形打抜きステーション」に相当する。 (コ) そうすると、本件発明2と引用発明4とは、以下の点で一致し、相違する。 (一致点3) 「間欠移送される帯状薄鋼板から所定の形状に打抜き形成された鉄心薄板を積層接着してなる積層鉄心の製造装置であって、 上側ホルダ及び下側ホルダと、 前記上側ホルダに取り付けられたパンチと前記下側ホルダに取り付けられたダイとをそれぞれ含み、間欠移送される前記帯状薄鋼板を所定の形状に打抜くために各打抜き加工に対応する形状をそれぞれ打ち抜く複数の打抜きステーションと、 前記上側ホルダ及び前記下側ホルダの少なくとも何れか一方に設けられ、間欠移送される前記帯状薄鋼板の前記鉄心薄板に対応する部位の接着剤塗布面に接着剤を塗布する接着剤塗布装置を含む接着剤塗布ステーションと、 前記下側ホルダに設けられたダイプレートと、 前記上側ホルダに上下方向に変位可能に設けられて前記ダイプレートの上面と対向する下面を有するストリッパプレートと、 前記下側ホルダに設けられて前記帯状薄鋼板の前記間欠移送を案内する左右のガイド部材と を有し、 前記複数の打抜きステーションは、 前記上側ホルダに取り付けられた内形打抜き用パンチと前記下側ホルダに取り付けられた内形打抜き用ダイとを含み、間欠移送される前記帯状薄鋼板に内形を打ち抜く内形打抜きステーションと、 前記上側ホルダに取り付けられた外形打抜き用パンチと前記下側ホルダに取り付けられた外形打抜き用ダイとを含み、間欠移送される前記帯状薄鋼板に外形を打ち抜くための外形打抜きステーションと、を含む、 積層鉄心の製造装置。 (相違点8) 本件発明2は、「前記接着剤塗布装置による接着剤塗布位置における前記帯状薄鋼板の位置決めを行う位置決め手段」を有するのに対し、引用発明4は、当該構成を備えているか不明である点。 (相違点9) 本件発明2は、ストリッパプレートが「前記接着剤塗布装置による接着剤塗布位置にある前記帯状薄鋼板を前記ダイプレートの上面に押し付ける」のに対し、引用発明4は、ストリッパプレート40がそのような押し付けを行っているか不明である点。 (相違点10) 本件発明2は、前記下側ホルダに設けられて前記帯状薄鋼板の間欠移送方向の移送を案内すると共に「前記帯状薄鋼板の上方への移動を制限する」左右のガイド部材を備えているのに対して、引用発明4は、一対のストリップ案内板80がストリップ1の上方への移動を制限しているか不明である点。 (相違点11) 本件発明2は、「前記左右のガイド部材は、各々、前記帯状薄鋼板の前記間欠移送の方向に長い帯状のものであり、前記内形打抜きステーション、前記外形打抜きステーション、及び前記接着剤塗布ステーションに対応する領域を除いて前記帯状薄鋼板の前記間欠移送の方向に間欠的に設けられている」のに対し、引用発明4は、当該構成を備えているか不明である点。 イ そこで、事案に鑑み、まず相違点11について検討するに、引用例1には、ストリップ案内板80を設ける点について記載はあるが、その具体的な構造や配置は明らかでなく、ピアシング工程部位、ブランキング工程部位、ボンディング工程部位との関係は不明である。ストリップ案内板80を、これらの工程部位に対応する領域を除いて、ストリップ1の1ピッチずつ順次移動する方向に間欠的に設ける点について、特段記載されていない。 引用例2~9をみても、同様で、相違点11に係る構成について特段記載はない。 よって、引用発明4において、ストリップ案内板80を、ピアシング工程部位、ブランキング工程部位、ボンディング工程部位に対応する領域を除いて、ストリップ1の1ピッチずつ順次移動する方向に間欠的に設ける点について、動機付けは認められない。 そして、本件発明2は、相違点11に係る構成を備えることにより、内形打抜きステーション、外形打抜きステーション、及び接着剤塗布ステーションにおける、打抜き加工や接着剤の塗布を阻害することなく、各ステーションの間において帯状薄鋼板がガイド部材によって安定的に案内されるといった、所定の効果が期待できるものである(令和6年11月19日付け意見書(5.(4)))。 この点に関し、特許異議申立人は、甲第10号証(特開平5-57372号公報)に記載された事項に基づいて、当業者が容易に想到することができたものである旨主張しているが、甲第10号証に記載された装置は、その前提の構成、課題において引用発明4と特段関連するとは認められず、両側ガイド部材14が間欠的に設けられているとしても、打抜き加工に対応した領域でガイドしている箇所(例えば、【0007】、図2(a)参照)もある上、加工との関連は不明であって、相違点11に係る構成が示されているとは認められない。 よって、特許異議申立人の主張は採用することができない。 そうすると、引用発明4において、相違点11に係る構成とすることは、当業者が容易に想到することができたものとは認められない。 ウ 以上のとおりであるから、その余の事項を検討するまでもなく、本件発明2は、引用発明4及び引用例2~9に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとは認められない。 第9 むすび 1 本件発明4~8、10は、引用発明1、引用発明2、引用発明3、周知の技術(引用例2~8)及び引用例9に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項4~8、10に係る特許は特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、同法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。 2 請求項10の記載が明確でないから、請求項10に係る特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、同法113条4号に該当し、取り消されるべきものである。 3 請求項2に係る特許は、特許異議の申立ての理由により取り消すことはできない。他に請求項2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 4 本件特許の請求項1、3、9は、本件訂正により削除され、これにより、請求項1、3、9に係る特許に対する特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。 5 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701061

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