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特許異議申立

2025-701000

積層体及び包装袋

審判番号
2025-701000
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2024-071626
登録番号
7663866
請求日
2025年10月16日
審決日
2026年02月05日
公報発行日
2026年03月27日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】大日本印刷株式会社
  • 【権利者代理人】宮嶋 学
  • 【権利者代理人】浅野 真理
  • 【権利者代理人】高田 泰彦
  • 【権利者代理人】柏 延之
  • 【異議申立人】青山 裕樹
  • 【異議申立人】赤松 智信
  • 【異議申立人】齊藤 恵美子
審判長/審判官
  • 審判長 八木 誠
  • 審判官 神山 茂樹
  • 審判官 稲葉 大紀
分類
P1651.121-Y (B32B) / P1651.537-Y (B32B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項第2号
データ出所
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特許第7663866号発明「積層体及び包装袋」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7663866号の請求項1~15に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7663866号(以下「本件特許」という。)の請求項1~15に係る特許についての出願は、令和5年9月27日に出願した特願2023-166474号の一部を、令和6年4月25日に新たな特許出願としたものであって、令和7年4月9日にその特許権の設定登録がされ、令和7年4月17日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1~15に係る特許に対し、令和7年10月16日に特許異議申立人青山裕樹(以下「申立人A」という。)により、令和7年10月17日に特許異議申立人赤松智信(以下「申立人B」という。)及び特許異議申立人齊藤恵美子(以下「申立人C」という。)により、それぞれ特許異議の申立てがされたものである。 (以下、申立人○が提出した特許異議申立書を「申立書○」という。) 第2 本件発明 本件特許の請求項1~15に係る発明(以下「本件発明1」等という。まとめて「本件発明」ということもある。)は、その特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 基材と接着剤層とシーラント層とを厚さ方向にこの順に備える積層体であって、 前記積層体において、基材は一つのみであり、 前記基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、 前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であり、 前記基材の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、2%未満であり、 前記シーラント層の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、0%以上0.5%以下であり、 前記接着剤層の、弾性率(MPa)と厚み(μm)とを乗じた値が、40以上であり、 前記接着剤層の弾性率が5.0MPa以上35.0MPa未満であり、当該接着剤層の厚みが1.2μm以上10.0μm以下である、積層体。 【請求項2】 基材と接着剤層とシーラント層とを厚さ方向にこの順に備える積層体であって、 前記積層体において、基材は一つのみであり、 前記基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、 前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であり、 前記基材の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、2%未満であり、 前記シーラント層の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、0%以上0.5%以下であり、 前記接着剤層の、弾性率(MPa)と厚み(μm)とを乗じた値が、40以上であり、 前記接着剤層の弾性率が35.0MPa以上80MPa以下であり、当該接着剤層の厚みが0.5μm以上3.5μm以下である、積層体。 【請求項3】 前記シーラント層の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、0%以上0.3%以下である、請求項1または2に記載の積層体。 【請求項4】 前記シーラント層の、JIS K7121:2012に準拠して測定したメイン融解ピーク温度が、140℃以上である、請求項1または2に記載の積層体。 【請求項5】 前記シーラント層の複合弾性率が、900(MPa)以下である、請求項1または2に記載の積層体。 【請求項6】 前記接着剤層の、弾性率(MPa)と厚み(μm)とを乗じた値が、60以下である、請求項1または2に記載の積層体。 【請求項7】 第1基材と、第1接着剤層と、第2基材と、第2接着剤層と、シーラント層と、を厚さ方向にこの順に備える積層体であって、 前記第1基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、 前記第2基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、 前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であり、 前記第2基材の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、2%未満であり、 前記シーラント層の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、0%以上0.5%以下であり、 前記第2接着剤層の、弾性率(MPa)と厚み(μm)とを乗じた値が、40以上であり、 前記第2接着剤層の弾性率が5.0MPa以上35.0MPa未満であり、当該第2接着剤層の厚みが1.2μm以上10.0μm以下である、積層体。 【請求項8】 第1基材と、第1接着剤層と、第2基材と、第2接着剤層と、シーラント層と、を厚さ方向にこの順に備える積層体であって、 前記第1基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、 前記第2基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、 前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であり、 前記第2基材の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、2%未満であり、 前記シーラント層の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、0%以上0.5%以下であり、 前記第2接着剤層の、弾性率(MPa)と厚み(μm)とを乗じた値が、40以上であり、 前記第2接着剤層の弾性率が35.0MPa以上80MPa以下であり、当該第2接着剤層の厚みが0.5μm以上3.5μm以下である、積層体。 【請求項9】 前記第2接着剤層の、弾性率(MPa)と厚み(μm)とを乗じた値が、60以下である、請求項7または8に記載の積層体。 【請求項10】 前記第1基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材と無機酸化物層とを備えるバリア性基材である、請求項7または8に記載の積層体。 【請求項11】 前記バリア性基材が、前記無機酸化物層における前記延伸基材に向かう面とは反対の面上に、被覆層をさらに備える、請求項10に記載の積層体。 【請求項12】 前記積層体に含まれる樹脂材料の総量に対するポリプロピレンの含有割合が、80質量%以上である、請求項1,2,7及び8のいずれか一項に記載の積層体。 【請求項13】 包装材料である、請求項12に記載の積層体。 【請求項14】 請求項13に記載の積層体を備える包装袋。 【請求項15】 レトルトパウチまたはボイルパウチである、請求項14に記載の包装袋。」 第3 申立理由の概要 申立人A~Cは、以下に示す証拠を提出し、本件発明1~15に係る特許は、以下の理由により取り消すべきものである旨を主張する。以下、申立人○が提出した甲第△号証を「甲○△」という。 1 申立理由1(進歩性)申立人A~C 本件特許の請求項1~15に係る発明は、甲A1、甲B2又は甲C1に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、取り消すべきものである。 2 申立理由2(サポート要件)申立人B、C 本件特許は、特許請求の範囲の記載が以下の点で、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消すべきものである。 (1)本件発明1~15について 本件発明1、7又は本件発明2、8が特定する接着剤層の弾性率と厚みの組み合わせは、下記参考図(申立人Bが作成したものを採用した。)における曲線○1(○の中に1の代用表記。以下同様。)を含むとともにこの曲線○1より上方の領域で、かつ赤色領域又は青色領域であるところ、本件明細書の実施例、比較例で検証されている接着剤層の弾性率と厚みの組み合わせは、下記参考図の(A)~(D)のわずか4点にすぎないから、本件発明が特定する弾性率と厚みの全範囲において本件発明の課題が解決できることを当業者が認識できたとはいえない。(申立書Bの17~21ページ) [参考図] [図:0001433120000001.jpg] (2)本件発明1~15について ア 技術常識(甲C10~甲C13)を参酌すれば、本件発明の課題(手切れ性向上)の真の課題解決手段は「手切れ性に有利な分子配向」であるところ、かかる「分子配向」については本件発明において特定されていない。 また、本件明細書の実施例1と比較例2では第2基材の熱収縮率の違いのみで開封性が異なっているが、これは実施例1と比較例2で分子配向が異なっている可能性が排除されておらず、熱収縮率のみで手切れ性がよくなることが示されていない。(申立書Cの79~82ページ) イ 技術常識(甲C14~甲C16)を参照すれば、高弾性の層が基材とシーラント層の間に介在すれば手切れ性が著しく阻害されることは当業者にとって明らかであるところ、本件明細書の実施例8~13(被覆層無し、開封性A)と比較例6、7(被覆層あり、開封性C)を対比すると、本件発明の課題(手切れ性向上)の真の課題解決手段は「基材とシーラントの間に接着層以外の層、とりわけ高弾性の層が存在しないこと)であるところ、かかる事項については本件発明において特定されていない。(申立書Cの83~87ページ) 3 申立理由3(明確性要件)申立人B 本件特許(この出願)は、特許請求の範囲の記載が以下の点で、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消すべきものである。 本件発明には「接着剤層の弾性率」が特定されているが、本件明細書で特に好ましいとされている2液硬化型ポリウレタン系接着剤は甲B1にあるようにハードセグメントとソフトセグメントの2相が分離した構造を有するから、同じ試料でも弾性率が一意に定めることができない。(申立書C16~17ページ) [証拠一覧] 甲A1:特開2022-113738号公報 甲A2:特開2016-83930号公報 甲A3:特開2019-151746号公報 甲A4:特開2020-173283号公報 甲B1:篠塚祐志、ほか1名、「二液硬化型接着剤用ウレタン樹脂」、[online]、東ソー研究・技術報告、東ソー株式会社、第67巻(2023年)、89~92ページ、<URL:https://www.tosoh.co.jp/technology/assets/23-3-9.pdf> 甲B2:特許第7332070号公報 甲B3:特開2021-020391号公報 甲B4:特表2015-520262号公報 甲C1:国際公開第2023/013768号 甲C2:「パイレン○R(当審注:○の中にRの代用表記、以下同様。)フィルム」、東洋紡株式会社、[online]、2020年10月28日更新、インターネット<URL:https://web.archive.org/web/20201028083218/https://www.toyobo.co.jp/seihin/film/package/product01.html> 甲C3:特開2021-66839号公報 甲C4:特開2023-49299号公報 甲C5:特開2017-154498号公報 甲C6:特開2018-168314号公報 甲C7:田中幸美、「ナノインデンテーション法を用いた微小領域の機械特性評価技術に関する調査研究」、産総研計量標準報告、2019年6月発行、Vol.10、No.1、7~21ページ、 甲C8:「トレファン○RNO」、東レフィルム加工株式会社、2022年12月1日改訂 甲C9:金子堅司、ほか2名、「押込み試験法によるポリプロピレンの非弾性変形特性の同定」、第61回理論応用力学講演会、一般社団法人日本機械学会、2012年3月28日公開、インターネット<URL:https://www.jstage.jst.go.jp/article/japannctam/61/0/61_0_152/_article/-char/ja/> 甲C10:特開2015-150842号公報 甲C11:国際公開第2023/176850号 甲C12:国際公開第2023/127593号 甲C13:黒田竜磨、ほか4名、「機能性包装材料の開発-イージーピールフィルム-」、技術誌住友化学2003-I、住友化学株式会社、2003年5月30日発行、インターネット<URL:https://www.sumitomo-chem.co.jp/rd/report/files/docs/20030102_bxc.pdf> 甲C14:国際公開第2023/145393号 甲C15:松浦元樹、ほか2名、「画像計測を利用した食品素材の弾性的特性値評価-煮熟されたダイコンおよびニンジンのポアソン比計測-」、[online]、食と緑の科学、千葉大学大学院園芸学研究科、2011年3月31日発行、第65号、55~59ページ、インターネット<URL:https://opac.ll.chiba-u.jp/da/curator/900116151/6517hortresearch.pdf> 甲C16:村田誠四郎、「理科年表 平成14年(机上版)」、丸善株式会社、平成13年(2001年)11月30日発行、395ページ 第4 当審における判断 当審合議体は以下のとおり、上記申立理由1~3によっては、本件発明1~15に係る特許は取り消されるべきものではないと判断する。 1 引用文献に記載された事項、発明 (1)甲A1 甲A1の【0077】、【0087】、【0088】【表1】を参照し、特に実施例5に着目すると、甲A1には以下の発明(以下「甲A1発明」という。)が記載されている。 「第2基材層のコロナ処理面に、第1基材層を、2液型の接着剤(三井化学株式会社製、商品名:主剤A525/硬化剤A52)を介してドライラミネート法によってラミネートし、また第2基材層の非コロナ処理面にシーラント層を同様にラミネートし、第1基材層のガスバリア性被覆層(バリア面)は第2基材層側とし、これにより製造した、第1基材層(ガスバリア性基材層)/接着剤層/第2基材層/接着剤層/シーラント層の積層構造を有する積層体であって、 前記第1基材層及び前記第2基材層は延伸ポリプロピレンフィルムであって、前記第2基材層の、120℃で15分間加熱した後の走行方向(MD方向)の熱収縮率が2.6%であり、 前記シーラント層はポリプロピレンフィルムであり、前記熱収縮率が0.2%である、積層体。」 (2)甲B2 ア 甲B2の【0099】、【0104】~【0106】、【0129】【表1】を参照し、特に実施例1と熱収縮率の測定に関する【0075】に着目すると、甲B2には以下の発明(以下「甲B2発明1」という。)が記載されている。 「基材として、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムを準備し、シーラント層として、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムを準備し、 バーコートを用いて基材に密着層形成用組成物を塗工・乾燥させて、厚さ0.2μmの密着層(アンカーコート層)を形成し、次に、厚さ40nmの酸化ケイ素からなる透明な蒸着層(シリカ蒸着層)を形成し、 次に、蒸着層上にコーティング液αを塗工・乾燥して、厚さ300nmのバリアコートを蒸着層上に形成することで、基材/密着層/蒸着層/バリアコートを有するバリア層を形成し 、 次に、バリア層のバリアコート上に、2液型の接着剤(a)を塗工して厚さ3μmの接着層を形成し、次に、接着層を介してシーラント層をラミネートすることで製造してなる、基材/密着層/蒸着層/バリアコート/接着層/シーラント層の積層構造を有し、ポリプロピレンの含有量は90質量%以上であり、 基材を120℃で15分間さらした後のMD方向の熱収縮率が2.0%である、ガスバリア積層体。」 イ 甲B2の【0104】、【0105】、【0110】、【0132】【表4】を参照し、特に実施例19と熱収縮率の測定に関する【0075】に着目すると、甲B2には以下の発明(以下「甲B2発明2」という。)が記載されている。 「基材及び最外層として、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムを準備し、シーラント層として、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムを準備し、 バーコートを用いて基材に密着層形成用組成物を塗工・乾燥させて、厚さ0.2μmの密着層(アンカーコート層)を形成し、次に、厚さ40nmの酸化ケイ素からなる透明な蒸着層(シリカ蒸着層)を形成し、 次に、蒸着層上にコーティング液αを塗工・乾燥して、厚さ300nmのバリアコートを蒸着層上に形成することで、基材/密着層/蒸着層/バリアコートを有するバリア層を形成し 、 バリア層のバリアコート上に、2液型の接着剤(a)を塗工して厚さ3μmの接着層を形成し、次に、接着層を介して最外層をラミネートし、次に、バリア層の基材上に、2液型の接着剤(a)を塗工して厚さ3μmの接着層を形成し、次に、接着層を介してシーラント層をラミネートすることで製造してなる、最外層/第2接着層/バリアコート/蒸着層/密着層/基材/接着層/シーラント層の積層構造を有し、ポリプロピレンの含有量は90質量%以上であり、 基材を120℃で15分間さらした後のMD方向の熱収縮率が2.0%である、ガスバリア積層体。」 (3)甲C1 ア 甲C1の[0376]、[0400]~[0402]を参照し、特に例6Bについて着目すると、甲C1には以下の発明(以下「甲C1発明1」という。)が記載されている。 「第1の基材として、2軸延伸ポリプロピレンフィルム上に形成した蒸着膜上に厚さ300nmのバリアコート層を形成して得た透明バリア性基材を準備し、 シーラント層として、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(オカモト(株)製、ET-20)を準備し、 透明バリア性基材のバリアコート層面に、塗布厚さ1μm(乾燥時)の印刷層を形成し、 印刷層上に、2液硬化型ポリウレタン接着剤(ロックペイント製、RU-004/H-1(配合比7.5/1))を、塗布厚さ4μm(乾燥時)でコーティングし、透明バリア性基材と未延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネートして得たバリア性積層体であって、 総厚さが85μmであり、透明バリア性基材(20μm)/印刷層(1μm)/溶剤型接着層(4μm)/未延伸PPフィルム(60μm)という層構成を有し、ポリプロピレンの含有割合は、93質量%である、 バリア性積層体。」 イ 甲C1の[0376]、[0397]~[0399]を参照し、特に例5Bについて着目すると、甲C1には以下の発明(以下「甲C1発明2」という。)が記載されている。 「第1の基材として、2軸延伸ポリプロピレンフィルム上に形成した蒸着膜上に厚さ300nmのバリアコート層を形成して得た透明バリア性基材を準備し、 シーラント層として、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(オカモト(株)製、ET-20)を準備し、 透明バリア性基材のバリアコート層面に、塗布厚さ1μm(乾燥時)の印刷層を形成し、 印刷層上に、無溶剤型ポリエステルウレタン接着剤(ロックペイント製、RN-920/HN-920(配合比1/1))を、塗布厚さ1μm(乾燥時)でコーティングし、透明バリア性基材と未延伸ポリプロピレンフィルムをドライラミネートして得たバリア性積層体であって、 総厚さが82μmであり、透明バリア性基材(20μm)/印刷層(1μm)/無溶剤型接着層(1μm)/未延伸PPフィルム(60μm)という層構成を有し、ポリプロピレンの含有割合は97質量%である、 バリア性積層体。」 ウ 甲C1の[0376]、[0378]を参照し、特に例1Aについて着目すると、甲C1には以下の発明(以下「甲C1発明3」という。)が記載されている。 「第1の基材として、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡(株)製、P2171)を準備し、 第2の基材として、2軸延伸ポリプロピレンフィルム上に形成した蒸着膜上に厚さ300nmのバリアコート層を形成した透明バリア性基材を準備し、 シーラント層として、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工(株)製、ZK207)を準備し、 それらを溶剤型ポリエステルウレタン接着剤(ロックペイント製、RU-004/H-1(配合比7.5/1))を介してドライラミネートして得たバリア性積層体であって、 前記接着剤により形成された接着層の厚さは4μmであり、 ポリプロピレンの含有割合は、89質量%であり、 前記接着剤の主剤に含まれる重合体成分の重量平均分子量(Mw)は29,000から30,000の範囲にあり、主剤に含まれる重合体成分の多分散度(Mw/Mn)は2.9から3.75の範囲にある、 バリア性積層体。」 エ 甲C1の[0376]、[0381]を参照し、特に例1Aaについて着目すると、甲C1には以下の発明(以下「甲C1発明4」という。)が記載されている。 「第1の基材として、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡(株)製、P2171)を準備し、 第2の基材として、2軸延伸ポリプロピレンフィルム上に形成した蒸着膜上に厚さ300nmのバリアコート層を形成した透明バリア性基材を準備し、 シーラント層として、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工(株)製、ZK207)を準備し、 それらを無溶剤型ポリエステルウレタン接着剤(ロックペイント製、RN-920/HN-920(配合比1/1))を介してノンソルベントラミネートして得たバリア性積層体であって、 前記接着剤により形成された接着層の厚さは1μmであり、 ポリプロピレンの含有割合は、95質量%であり、 前記接着剤の主剤に含まれる重合体成分の重量平均分子量(Mw)は2,000から2,500の範囲にあり、主剤に含まれる重合体成分の多分散度(Mw/Mn)は2.0から2.5の範囲にある、 バリア性積層体。」 2 申立理由2(サポート要件)について 事案に鑑みサポート要件から判断する。 (1)判断規範 特許請求の範囲の記載が、明細書のサポート要件を満たすか否かは、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明であって、発明の詳細な説明の記載により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものである。以下、この点について検討する。 (2)当審における判断 本件発明の課題は「レトルトパウチ等の包装袋に用いた際、レトルト処理に耐える耐熱性を有し、レトルト後の開封性に優れる積層体を提供すること」(【0007】)である。 そして、上記課題を解決するための手段は「基材と接着剤層とシーラント層とを厚さ方向にこの順に備える積層体であって、基材が、ポリプロピレンを主成分として含有する延伸基材を備え、シーラント層が、ポリプロピレンを主成分として含有し、基材の、120℃で15分間加熱した後の流れ方向における熱収縮率が、2%未満であり、シーラント層の、120℃で15分間加熱した後の流れ方向における熱収縮率が、0%以上0.5%以下であり、接着剤層の、弾性率(MPa)と厚み(μm)とを乗じた値が、40以上である。」(【0008】)ことである。 ここで、本件明細書には、本件発明が課題を解決する作用機序について 「【0174】 [作用機序] 包装材料用の積層体は、レトルトパウチ等の包装袋の作製に用いられる。積層体を用いた包装袋は、内容物を入れた状態でレトルト処理等の高温処理がなされた後に開封される。包装袋を開封する際、積層体は全層が破断するが、熱処理後のシーラント層が伸びすぎると積層体が切りにくくなり、その結果として包装袋は開封しにくくなる。そこで、積層体を構成するシーラント層としては、熱収縮率が小さいものを用いることが好ましい。 【0175】 しかしながら、熱収縮率が小さいシーラント層を備える積層体であっても、シーラント層の近くに熱収縮率が大きい基材が配置されると、熱処理後に基材が熱収縮する。これによって、積層体を切るときの力が分散し、一定方向に力が加わりづらくなるため、積層体全体の切断が阻害される。したがって、シーラント層の近くに位置する基材としては、熱収縮率が小さいものを用いることが好ましい。 さらに、熱収縮率が小さいシーラント層と基材との間に位置する接着剤層が柔らかいと、積層体を切るときの力が分散して切断が阻害される場合がある。 【0176】 本開示の積層体は、熱収縮率が0%以上0.5%以下のシーラント層と、熱収縮率が2%未満の基材と、弾性率(MPa)と厚み(μm)とを乗じた値が40以上となる接着剤層とを備え、シーラント層と基材とが接着剤層を介して隣接するように配置されている。このように、切断する際に伸びやすいシーラント層の近くに、硬い接着剤層と熱収縮率が小さい基材とを配置することで、シーラント層が切りやすくなる。したがって、本開示の積層体は、レトルトパウチ等の包装袋に用いた際、レトルト処理等の高温での処理に耐える耐熱性を有し、レトルト後の開封性に優れる。」と記載されている。 かかる記載によれば、本件発明の課題の一つであるレトルト後の開封性(手切れ性)は、主に、切断する際に伸びやすいシーラント層の近くに硬い接着剤層を配置するとともに、基材層とシーラント層自体の熱収縮率も小さくしておくことで解決されるものであり、ここでいう接着剤層の硬さとは、本件発明が特定する「接着剤層の弾性率(MPa)と厚み(μm)を乗じた値」に対応するものであり、また、本件発明のもう一つの課題であるレトルト処理に対する耐熱性は、基材及びシーラント層の熱収縮率を小さくしておくことで解決されるものであることを、当業者は理解できる。 そして、本件明細書の実施例、比較例の評価結果をまとめた【0227】【表1】及び【0228】【表2】には、接着剤層の弾性率と厚みとを乗じた値が40以上であるとともに基材とシーラント層の熱収縮率が小さい実施例1~13においては、開封性はAとなっており、上記条件の何れかを充足しない比較例1~9においては開封性はC又はDとなっていることから、本件発明が手切れ性の課題を解決することが裏付けられているといえる。また、基材又はシーラント層の熱収縮率が大きい比較例1~3、5~7、9においては、耐熱性(シワ)がC又はDとなっていることから、本件課題が耐熱性の課題を解決することが裏付けられているといえる。 そうすると、本件発明が本件発明の課題を解決できることを当業者は理解できる。 (3)申立人の主張について ア 申立人Bは上記第3の2(1)のとおり主張する。 しかしながら、上記(2)で説示したとおり、本件発明は、主に、切断する際に伸びやすいシーラント層の近くに硬い接着剤層を配置することで手切れ性の課題を解決するものであり、ここでいう接着剤層の硬さとは、本件発明が特定する「接着剤層の弾性率(MPa)と厚み(μm)を乗じた値」に対応するパラメータであることを、当業者は理解できるから、本件明細書の実施例、比較例における弾性率と厚みの組み合わせが上記参考図の曲線○1近傍にしかないとしても、曲線○1より上方の領域においては接着剤層はより硬いことになるから、手切れ性の課題は同様に解決できることを当業者は理解できる。よって、申立人Bの当該主張は採用できない。 イ また、申立人Cは上記第3の2(2)ア、イのとおり主張する。 まずアの主張について検討するに、上記(2)で説示したように、本件発明の課題を解決する作用機序は、主に、切断する際に伸びやすいシーラント層の近くに硬い接着剤層を配置するとともに、基材層とシーラント層自体の熱収縮率も小さくしておくことで解決されるものであり、熱収縮率の特定のみで課題を解決するものではない。したがって、申立人Cの当該主張は採用できない。 次にイの主張について検討するに、基材が透明バリア基材(2軸延伸ポリプロピレンフィルム、表面コート層、蒸着膜及びバリアコート層をこの順に備える積層体)を用いた実施例1~4においても開封性はAとなっているから、申立人Cの当該主張はその前提において誤っており採用できない。 (4)小括 よって、本件発明は、発明の詳細な説明に記載したものである。 3 申立理由3(明確性要件)について (1)判断規範 特許請求の範囲の記載が、明確性要件を満たすか否かは、特許請求の範囲に記載された発明が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるか否かを検討して判断すべきものである。以下、この点について検討する。 (2)当審における判断 本件発明は特許請求の範囲に記載されたとおりのものであり不明確なところはなく、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 (3)、申立人の主張について 申立人Bは上記第3の3のとおり主張する。 しかしながら、その弾性率が局所的に異なる接着剤層であったとしても、技術常識を踏まえると、複数箇所を測定して平均化処理するなどして特定できることは理解できる。そして、本件明細書の【0219】には、原子間力顕微鏡(AFM)で接着剤層断面をマッピング測定し、得られたフォースカーブのうち形状が適切な20点を選んで弾性率を算出し、その平均値(第一平均)に近い3点の平均値(第二平均)を接着剤層断面の弾性率とすることが記載されており、上記理解と整合する。したがって、当該主張は採用できない。 (4)小括 よって、本件発明は、明確である。 4 申立理由1(進歩性)について (1)甲A1を主引例とする場合 ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲A1発明を対比する。 甲A1発明の「第2基材層」、「シーラント層」、第2基材層とシーラント層の間の「接着剤層」はそれぞれ、本件発明1の「基材」、「シーラント層」、「接着剤層」に相当する。 甲A1発明の「第1基材層(ガスバリア性基材層)/接着剤層/第2基材層/接着剤層/シーラント層の積層構造」と、本件発明1の「基材と接着剤層とシーラント層とを厚さ方向にこの順に備える積層体であって、前記積層体において、基材は一つのみである」ことは、「基材と接着剤層とシーラント層とを厚さ方向にこの順に備える積層体」である限りにおいて一致する。 甲A1発明の「前記第1基材層及び前記第2基材層は延伸ポリプロピレンフィルムであ」ることは、本件発明1の「前記基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え」ることに相当する。 甲A1発明の「前記シーラント層はポリプロピレンフィルムであり、前記熱収縮率が0.2%である」ことは、前記熱収縮率は「120℃で15分間加熱した後の走行方向(MD方向)」のものであるから、本件発明1の「前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であり、」「前記シーラント層の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、0%以上0.5%以下であ」ることに相当する。 そうすると、本件発明1と甲A1発明は以下で一致し、少なくとも以下の点で相違する。 [一致点A1] 「基材と接着剤層とシーラント層とを厚さ方向にこの順に備える積層体であって、前記基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、 前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であり、 前記シーラント層の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、0%以上0.5%以下である、積層体。」 [相違点A1] 接着剤層について、本件発明1では、「弾性率(MPa)と厚み(μm)とを乗じた値が、40以上であ」るのに対し、甲A1発明では、かかる構成を有するか不明な点。 (イ)判断 相違点A1について検討する。 甲A1には、接着剤層について弾性率と厚みを乗じた値を所定以上とする事項については記載も示唆もされていないし、かかる事項について、申立人A~Cが提出した他の証拠にも記載も示唆もされていない。 そして、本件発明は、本件明細書の【0176】等に記載されているように、弾性率と厚みを乗じた値を40以上以上とすること及びシーラント層の近くに配置される第2基材の熱収縮率を2%未満とすることで、積層体の手切れ性をよくするという格別の作用効果を有するものである。 したがって、甲A1発明において、相違点A1に係る本件発明1の構成とすることを、当業者が容易に想到し得たとはいえない。 (ウ)申立人の主張について 申立人Aは、包装体用積層体の接着剤層について、弾性率を5.0~35.0MPaとし厚みを1.2~10.0μmとすることは甲A2(請求項1、3)、甲A3(請求項1、4、6、7)、甲A4(請求項1~3、5、【0073】~【0074】)に記載されている周知技術であり、当該周知技術の数値範囲から、弾性率と厚みとを乗じた値を40以上とすることも周知技術であると主張する。(申立書Aの13~14ページ) しかしながら、上記(イ)で説示したとおり、接着剤層の弾性率及び厚みを乗じた値を所定以上とする事項については申立人A~Cが提出した他の証拠にも記載も示唆もされていないから、申立人Aが周知技術とした接着剤層の弾性率と厚みの数値範囲から、それらを乗じた値を所定値以上とする動機付けはない。 よって申立人Aの当該主張は採用できない。 (エ)小括 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲A1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2について (ア)対比、判断 本件発明2と甲A1発明を対比すると、その相当関係は上記ア(ア)のとおりである。 そうすると、本件発明2と甲A1発明は、上記一致点A1で一致し、少なくとも上記相違点A1において相違する。 そして、相違点A1についての判断は、上記ア(イ)のとおりである。 (イ)小括 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲A1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明7について (ア)対比 本件発明7と甲A1発明を対比する。 甲A1発明の「第1基材層」、「第2基材層」、「シーラント層」、第1基材層と第2基材層の間の「接着剤層」、第2基材層とシーラント層の間の「接着剤層」はそれぞれ、本件発明7の「第1基材」、「第2基材」、「シーラント層」、「第1接着剤層」、「第2接着剤層」に相当する。 甲A1発明の「第1基材層(ガスバリア性基材層)/接着剤層/第2基材層/接着剤層/シーラント層の積層構造」は、本件発明7の「第1基材と、第1接着剤層と、第2基材と、第2接着剤層と、シーラント層と、を厚さ方向にこの順に備える積層体」に相当する。 甲A1発明の「前記第1基材層及び前記第2基材層は延伸ポリプロピレンフィルムであ」ることは、本件発明7の「前記第1基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、前記第2基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え」ることに相当する。 甲A1発明の「前記シーラント層はポリプロピレンフィルムであり、前記熱収縮率が0.2%である」ことは、前記熱収縮率は「120℃で15分間加熱した後の走行方向(MD方向)」のものであるから、本件発明7の「前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であり、」「前記シーラント層の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、0%以上0.5%以下であ」ることに相当する。 そうすると、本件発明7と甲A1発明は以下で一致し、少なくとも以下の点で相違する。 [一致点A2] 「第1基材と、第1接着剤層と、第2基材と、第2接着剤層と、シーラント層と、を厚さ方向にこの順に備える積層体であって、 前記第1基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、 前記第2基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、 前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であり、 前記第2基材の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、2%近傍であり、 前記シーラント層の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、0%以上0.5%以下である、積層体。 [相違点A2] 第2接着剤層について、本件発明7では、「弾性率(MPa)と厚み(μm)とを乗じた値が、40以上であ」るのに対し、甲A1発明では、かかる構成を有するか不明な点。 (イ)判断 相違点A2は上記相違点A1と同様のものであるから、その判断も上記ア(イ)と同様である。 (ウ)小括 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明7は、甲A1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件発明8について (ア)対比、判断 本件発明8と甲A1発明を対比すると、その相当関係は上記ウ(ア)のとおりである。 そうすると、本件発明8と甲A1発明は、上記一致点A2で一致し、少なくとも上記相違点A2において相違する。 そして、相違点A2は上記相違点A1と同様のものであるから、その判断も上記ア(イ)と同様である。 (イ)小括 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明8は、甲A1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 オ 本件発明3~6、9~15について 本件発明3~6、9~15は、本件発明1、2、7又は8の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加える発明であるから、上記ア~エと同様の理由により、甲A1発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)甲B2を主引例とする場合 ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲B2発明1を対比する。 甲B2発明1の「基材」、「接着層」、「シーラント層」はそれぞれ、本件発明1の「基材」、「接着剤層」、「シーラント層」に相当する。 甲B2発明1の「基材/密着層/蒸着層/バリアコート/接着層/シーラント層の積層構造を有し」てなる「ガスバリア積層体」は、基材は1つのみであるから、本件発明1の「基材と接着剤層とシーラント層とを厚さ方向にこの順に備える積層体であって、前記積層体において、基材は一つのみであ」ることに相当する。 甲B2発明1の「基材として、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムを準備し、シーラント層として、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムを準備し」てなることは、本件発明1の「前記基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であ」ることに相当する。 甲B2発明1の「基材を120℃で15分間さらした後のMD方向の熱収縮率が2.0%である」ことと、本件発明1の「前記基材の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、2%未満であ」ることは、「前記基材の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、2%近傍である」限りにおいて一致する。 甲B2発明1の「厚さ3μmの接着層」は、本件発明1の「当該接着剤層の厚みが1.2μm以上10.0μm以下である」ことを満たす。 そうすると、本件発明1と甲B2発明1は、以下の点で一致し、少なくとも以下の点で相違する。 [一致点B1] 「基材と接着剤層とシーラント層とを厚さ方向にこの順に備える積層体であって、 前記積層体において、基材は一つのみであり、 前記基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、 前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であり、 前記基材の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、2%近傍であり、 当該接着剤層の厚みが1.2μm以上10.0μm以下である、積層体。」 [相違点B1] 接着剤層について、本件発明1では、「弾性率(MPa)と厚み(μm)とを乗じた値が、40以上であ」るのに対し、甲B2発明1では、かかる構成を有するか不明な点。 (イ)判断 相違点B1について検討する。 甲B2には、接着剤層について弾性率と厚みを乗じた値を所定以上とする事項については記載も示唆もされていないし、かかる事項について、申立人A~Cが提出した他の証拠にも記載も示唆もされていない。 そして、本件発明は、本件明細書の【0176】等に記載されているように、弾性率と厚みを乗じた値を40以上以上とすること及びシーラント層の近くに配置される第2基材の熱収縮率を2%未満とすることで、積層体の手切れ性をよくするという格別の作用効果を有するものである。 したがって、甲B2発明1において、相違点B1-3に係る本件発明1の構成とすることを、当業者が容易に想到し得たとはいえない。 (ウ)申立人の主張について 申立人Bは、甲B1(90ページの表1)を踏まえるとウレタン接着剤の弾性率が一般に50MPaであり、、甲B4(【0001】、【0053】【表8】)を踏まえると約10~20MPaとすることも可能であったから、甲B2発明1の接着剤層の厚さ3μmを考慮すると、相違点B-3及び相違点B-4を満たすようにすることは適宜なし得たことであると主張する。(申立書Bの34~35ページ) しかしながら、上記(イ)で説示したとおり、接着剤層の弾性率及び厚みを乗じた値を所定以上とする事項については申立人A~Cが提出した他の証拠にも記載も示唆もされていないから、甲B2発明1の厚み3μmと申立人Bが周知技術とした接着剤層の弾性率の数値から、それらを乗じた値を所定値以上とする動機付けはない。 よって申立人Bの当該主張は採用できない。 (エ)小括 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲B2発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2について (ア)対比 本件発明2と甲B2発明1を対比する。 甲B2発明1の「厚さ3μmの接着層」は、本件発明2の「当該接着剤層の厚みが0.5μm以上35.0μm以下である」ことを満たす。 その余については、上記ア(ア)のとおりである。 そうすると、本件発明2と甲B2発明1は、以下の点で一致し、少なくとも上記相違点B1において相違する。 [一致点B2] 「基材と接着剤層とシーラント層とを厚さ方向にこの順に備える積層体であって、 前記積層体において、基材は一つのみであり、 前記基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、 前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であり、 前記基材の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、2%近傍であり、 当該接着剤層の厚みが0.5μm以上3.5μm以下である、積層体。」 (イ)判断 相違点B1についての判断は、上記ア(イ)のとおりである。 (ウ)小括 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲B2発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明7について (ア)対比 本件発明7と甲B2発明2を対比する。 甲B2発明2の「最外層」、「第2接着層」、「基材」、「接着層」、「シーラント層」はそれぞれ、本件発明7の「第1基材」、「第1接着剤層」、「第2基材」、「第2接着剤層」、「シーラント層」に相当する。 甲B2発明2の「最外層/第2接着層/バリアコート/蒸着層/密着層/基材/接着層/シーラント層の積層構造を有し」てなる「ガスバリア積層体」は、本件発明7の「第1基材と、第1接着剤層と、第2基材と、第2接着剤層と、シーラント層と、を厚さ方向にこの順に備える積層体」に相当する。 甲B2発明2の「基材及び最外層として、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルムを準備し、シーラント層として、無延伸ポリプロピレン(CPP)フィルムを準備し」てなることは、本件発明7の「前記第1基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、前記第2基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であ」ることに相当する。 甲B2発明2の「基材を120℃で15分間さらした後のMD方向の熱収縮率が2.0%である」ことと、本件発明7の「前記第2基材の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、2%未満であ」ることは、「前記第2基材の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、2%近傍である」限りにおいて一致する。 甲B2発明2の「厚さ3μmの接着層」は、本件発明7の「当該第2接着剤層の厚みが1.2μm以上10.0μm以下である」ことを満たす。 そうすると、本件発明7と甲B2発明2は、以下の点で一致し、少なくとも以下の点で相違する。 [一致点B3] 「第1基材と、第1接着剤層と、第2基材と、第2接着剤層と、シーラント層と、を厚さ方向にこの順に備える積層体であって、 前記第1基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、 前記第2基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、 前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であり、 前記第2基材の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、2%近傍であり、 当該第2接着剤層の厚みが1.2μm以上10.0μm以下である、積層体。」 [相違点B3] 本件発明7では、「前記第2接着剤層の、弾性率(MPa)と厚み(μm)とを乗じた値が、40以上であ」るのに対し、甲B2発明2では、かかる構成を有するか不明な点。 (イ)判断 相違点B3について検討する。 相違点B3は相違点B1と同様のものであるから、その判断についても上記ア(イ)と同様である。 (ウ)小括 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明7は、甲B2発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件発明8について (ア)対比 本件発明8と甲B2発明2を対比する。 甲B2発明2の「厚さ3μmの接着層」は、本件発明8の「当該第2接着剤層の厚みが0.5μm以上3.5μm以下である」ことを満たす。 その余の点は上記ウ(ア)のとおりである。 そうすると、本件発明8と甲B2発明2は、以下の点で一致し、少なくとも上記相違点B3において相違する。 [一致点B3] 「第1基材と、第1接着剤層と、第2基材と、第2接着剤層と、シーラント層と、を厚さ方向にこの順に備える積層体であって、 前記第1基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、 前記第2基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、 前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であり、 前記第2基材の、120℃で15分間加熱した後の熱収縮率が、2%近傍であり、 当該第2接着剤層の厚みが0.5μm以上3.5μm以下である、積層体。」 (イ)判断 相違点B3は上記相違点B1と同様のものであるから、その判断についても上記ア(イ)と同様である。 (ウ)小括 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明8は、甲B2発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 オ 本件発明3~6、9~15について 本件発明3~6、9~15は、本件発明1、2、7又は8の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加える発明であるから、上記ア~エと同様の理由により、甲B2発明1又は甲B2発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)甲C1を主引例とする場合 ア 本件発明1について (ア)対比 本件発明1と甲C1発明1を対比する。 甲C1発明1の「2軸延伸ポリプロピレンフィルム」、「溶剤型接着層」、「未延伸PPフィルム」はそれぞれ、本件発明1の「基材」、「接着剤層」、「シーラント層」に相当する。 甲C1発明1の「透明バリア性基材(20μm)/印刷層(1μm)/溶剤型接着層(4μm)/未延伸PPフィルム(60μm)という層構成を有し」てなる「バリア性積層体」は、透明バリア性基材が2軸延伸ポリプロピレンフィルムを含むから、本件発明1の「基材と接着剤層とシーラント層とを厚さ方向にこの順に備える積層体であって、前記積層体において、基材は一つのみであ」ることに相当する。 甲C1発明1の「2軸延伸ポリプロピレンフィルム」及び「シーラント層として、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(オカモト(株)製、ET-20)を準備し」てなることは、本件発明1の「前記基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であ」ることを満たす。 甲C1発明1の「2液硬化型ポリウレタン接着剤(ロックペイント製、RU-004/H-1(配合比7.5/1))を、塗布厚さ4μm(乾燥時)でコーティングし」てなることは、本件発明1の「当該接着剤層の厚みが1.2μm以上10.0μm以下である」ことに相当する。 そうすると、本件発明1と甲C1発明1は以下の点で一致し、少なくとも以下の点で相違する。 [一致点C1] 「基材と接着剤層とシーラント層とを厚さ方向にこの順に備える積層体であって、 前記積層体において、基材は一つのみであり、 前記基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、 前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であり、 当該接着剤層の厚みが1.2μm以上10.0μm以下である、積層体。」 [相違点C1] 接着剤層について、本件発明1では、「弾性率(MPa)と厚み(μm)とを乗じた値が、40以上であ」るのに対し、甲C1発明1では、かかる構成を有するか不明な点。 (イ)判断 相違点C1について検討する。 甲C1には、接着剤層について弾性率と厚みを乗じた値を所定以上とする事項については記載も示唆もされていないし、かかる事項について、申立人A~Cが提出した他の証拠にも記載も示唆もされていない。 本件発明は、本件明細書の【0176】等に記載されているように、弾性率と厚みを乗じた値を40以上以上とすること及びシーラント層の近くに配置される第2基材の熱収縮率を2%未満とすることで、積層体の手切れ性をよくするという格別の作用効果を有するものである。 したがって、甲C1発明1において、相違点C1-2に係る本件発明1の構成とすることを、当業者が容易に想到し得たとはいえない。 (ウ)申立人の主張について 申立人Cは、甲C1発明1の接着剤層は、溶剤型ポリエステルウレタン接着剤(ロックペイント製、RU-004/H-1(配合比7.5/1))を40℃にて72時間エージングされたものであり、本件明細書の【0187】に記載された本件実施例2の接着剤Bと、同一の製造工程を有し出発物質である接着剤が実質的に一致しているから、甲C1発明1の接着剤層は、本件実施例2と同様の弾性率(20MPa)を有する蓋然性が高く、さらに厚さが4μmであることを考慮すると、弾性率と厚さを乗じた値が「80」となり、40以上を満たすこととなる旨主張する。(申立書Cの49~52ページ) しかしながら、甲C1発明1の接着剤は、主剤であるRU-004と硬化剤であるH-1の配合比が7.5/1であるところ、技術常識を踏まえると、重量比で主剤7.5/硬化剤1であるといえる。他方、本件実施例2の接着剤Bは「主剤と硬化剤とのモル比(NCO/OH):4)」(【0187】)であり、技術常識を踏まえると、モル比で硬化剤4/主剤1であるといえる。そして、甲C1発明1と本件実施例2の接着剤の主剤と硬化剤の配合比が同じであることを申立人Cは何ら示しておらず、ウレタン系接着剤において主剤と硬化剤の配合比が硬化後の硬さに多分に影響するという技術常識も踏まえると、甲C1発明1と本件実施例2の接着剤が同等の弾性率を有する蓋然性が高いとはいえない。 よって、申立人Cの上記主張は採用できない。 (エ)小括 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲C1発明1に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明2について (ア)対比 本件発明2と甲C1発明2を対比する。 甲C1発明2の「2軸延伸ポリプロピレンフィルム」、「無溶剤型接着層」、「未延伸PPフィルム」はそれぞれ、本件発明2の「基材」、「接着剤層」、「シーラント層」に相当する。 甲C1発明2の「透明バリア性基材(20μm)/印刷層(1μm)/無溶剤型接着層(1μm)/未延伸PPフィルム(60μm)という層構成を有し」てなる「バリア性積層体」は、透明バリア性基材が2軸延伸ポリプロピレンフィルムを含むから、本件発明2の「基材と接着剤層とシーラント層とを厚さ方向にこの順に備える積層体であって、前記積層体において、基材は一つのみであ」ることに相当する。 甲C1発明2の「2軸延伸ポリプロピレンフィルム」及び「シーラント層として、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(オカモト(株)製、ET-20)を準備し」てなることは、本件発明2の「前記基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であ」ることを満たす。 甲C1発明2の「無溶剤型ポリエステルウレタン接着剤(ロックペイント製、RN-920/HN-920(配合比1/1))を、塗布厚さ1μm(乾燥時)でコーティングし」てなることは、本件発明2の「当該接着剤層の厚みが0.5μm以上3.5μm以下である」ことに相当する。 そうすると、本件発明2と甲C1発明2は以下の点で一致し、少なくとも上記相違点C1で相違する。 [一致点C2] 「基材と接着剤層とシーラント層とを厚さ方向にこの順に備える積層体であって、 前記積層体において、基材は一つのみであり、 前記基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、 前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であり、 当該接着剤層の厚みが0.5μm以上3.5μm以下である、積層体。」 (イ)判断 相違点C1についての判断は、上記ア(イ)のとおりである。 (ウ)申立人の主張について 申立人Cは、甲C1発明2の接着剤層は、無溶剤型ポリエステルウレタン接着剤(ロックペイント製、RN-920/HN-920(配合比1/1))を40℃にて72時間エージングされたものであり、本件明細書の【0187】に記載された本件実施例6の接着剤Cと、同一の製造工程を有し出発物質である接着剤が実質的に一致しているから、甲C1発明2の接着剤層は、本件実施例6と同様の弾性率(66.5MPa)を有する蓋然性が高く、さらに厚さが1μmであることを考慮すると、弾性率と厚さを乗じた値が「66.5」となり、40以上を満たすこととなる旨主張する。(申立書Cの55~58ページ) しかしながら、甲C1発明2の接着剤は、主剤であるRN-920と硬化剤であるRH-920の配合比が1/1であるところ、技術常識を踏まえると、重量比で主剤1/硬化剤1であるといえる。他方、本件実施例6の接着剤Cは「主剤と硬化剤のモル比(NCO/OH):2)」(【0187】)であり、技術常識を踏まえると、モル比で硬化剤2/主剤1であるといえる。そして、甲C1発明2と本件実施例6の接着剤の主剤と硬化剤の配合比が同じであることを申立人Cは何ら示しておらず、ウレタン系接着剤において主剤と硬化剤の配合比が硬化後の硬さに多分に影響するという技術常識も踏まえると、甲C1発明2と本件実施例6の接着剤が同等の弾性率を有する蓋然性が高いとはいえない。 よって、申立人Cの上記主張は採用できない。 (エ)小括 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は、甲C1発明2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 本件発明7について (ア)対比 本件発明7と甲C1発明3を対比する。 甲C1発明3の第1の基材を構成する「2軸延伸ポリプロピレンフィルム」、「接着層」、第2の基材を構成する「2軸延伸ポリプロピレンフィルム」、「未延伸ポリプロピレンフィルム」はそれぞれ、本件発明7の「第1基材」、「第1接着剤層」及び「第2接着剤層」、「第2基材」、「シーラント層」に相当する。 甲C1発明3の「第1の基材として、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡(株)製、P2171)を準備し、第2の基材として、2軸延伸ポリプロピレンフィルム上に形成した蒸着膜上に厚さ300nmのバリアコート層を形成した透明バリア性基材を準備し、シーラント層として、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工(株)製、ZK207)を準備し、それらを溶剤型ポリエステルウレタン接着剤(ロックペイント製、RU-004/H-1(配合比7.5/1))を介してドライラミネートして得たバリア性積層体」は、その積層構造も鑑みると、本件発明7の「第1基材と、第1接着剤層と、第2基材と、第2接着剤層と、シーラント層と、を厚さ方向にこの順に備える積層体」に相当する。 甲C1発明3の第1基材と第2基材を構成する「2軸延伸ポリプロピレンフィルム」及び「未延伸ポリプロピレンフィルム」は、本件発明7の「前記第1基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、前記第2基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であ」ることを満たす。 甲C1発明3の「前記接着剤により形成された接着層の厚さは4μmであ」ることは、本件発明7の「当該第2接着剤層の厚みが1.2μm以上10.0μm以下である」ことに相当する。 そうすると、本件発明7と甲C1発明3は、以下の点で一致し、少なくとも以下の点で相違する。 [一致点C3] 「第1基材と、第1接着剤層と、第2基材と、第2接着剤層と、シーラント層と、を厚さ方向にこの順に備える積層体であって、 前記第1基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、 前記第2基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、 前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であり、 当該第2接着剤層の厚みが1.2μm以上10.0μm以下である、積層体。」 [相違点C2] 第2接着剤層について、本件発明7では、「弾性率(MPa)と厚み(μm)とを乗じた値が、40以上であ」るのに対し、甲C1発明3では、かかる構成を有するか不明な点。 (イ)判断 相違点C2について検討する。 相違点C2は上記相違点C1と同様のものであるから、その判断についても上記ア(イ)と同様である。 (ウ)小括 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明7は、甲C1発明3に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 エ 本件発明8について (ア)対比 本件発明8と甲C1発明4を対比する。 甲C1発明4の第1の基材を構成する「2軸延伸ポリプロピレンフィルム」、「接着層」、第2の基材を構成する「2軸延伸ポリプロピレンフィルム」、「未延伸ポリプロピレンフィルム」はそれぞれ、本件発明8の「第1基材」、「第1接着剤層」及び「第2接着剤層」、「第2基材」、「シーラント層」に相当する。 甲C1発明4の「第1の基材として、厚さ20μmの2軸延伸ポリプロピレンフィルム(東洋紡(株)製、P2171)を準備し、第2の基材として、2軸延伸ポリプロピレンフィルム上に形成した蒸着膜上に厚さ300nmのバリアコート層を形成た透明バリア性基材を準備し、シーラント層として、厚さ60μmの未延伸ポリプロピレンフィルム(東レフィルム加工(株)製、ZK207)を準備し、それらを無溶剤型ポリエステルウレタン接着剤(ロックペイント製、RN-920/HN-920(配合比1/1))を介してノンソルベントラミネートして得たバリア性積層体」は、その積層構造も鑑みると、本件発明8の「第1基材と、第1接着剤層と、第2基材と、第2接着剤層と、シーラント層と、を厚さ方向にこの順に備える積層体」に相当する。 甲C1発明4の第1基材と第2基材を構成する「2軸延伸ポリプロピレンフィルム」及び「未延伸ポリプロピレンフィルム」は、本件発明8の「前記第1基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、前記第2基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であ」ることを満たす。 甲C1発明4の「前記接着剤により形成された接着層の厚さは1μmであ」ることは、本件発明8の「当該第2接着剤層の厚みが0.5μm以上3.5μm以下である」ことに相当する。 そうすると、本件発明8と甲C1発明4は、以下の点で一致し、少なくとも上記相違点C2で相違する。 [一致点C4] 「第1基材と、第1接着剤層と、第2基材と、第2接着剤層と、シーラント層と、を厚さ方向にこの順に備える積層体であって、 前記第1基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、 前記第2基材が、ポリプロピレンの含有割合が50%超である延伸基材を備え、 前記シーラント層が、ポリプロピレンの含有割合が50%超であり、 当該第2接着剤層の厚みが0.5μm以上3.5μm以下である、積層体。」 (イ)判断 相違点C2は上記相違点C1と同様のものであるから、その判断についても上記ア(イ)と同様である。 (ウ)小括 よって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明8は、甲C1発明4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 オ 本件発明3~6、9~15について 本件発明3~6、9~15は、本件発明1、2、7又は8の発明特定事項を全て含み、さらに限定を加える発明であるから、上記ア~エと同様の理由により、甲C1発明1、甲C1発明2、甲C1発明3又は甲C1発明4に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第5 むすび 以上のとおり、請求項1~15に係る特許は、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、取り消すことができない。 また、他に請求項1~15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-701000

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