特許異議申立
2023-700966
型枠、基礎、及び基礎の施工方法
- 審判番号
- 2023-700966
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-180334
- 登録番号
- 7240550
- 請求日
- 2023年09月14日
- 審決日
- 2024年02月22日
- 公報発行日
- 2024年05月31日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】JFEシビル株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人きさ特許商標事務所
- 【異議申立人】中川 賢治
- 審判長/審判官
- 審判長 住田 秀弘
- 審判官 有家 秀郎
- 審判官 西田 秀彦
- 分類
- P1651.121-ZC (E02D) / P1651.537-ZC (E02D)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7240550号発明「型枠、基礎、及び基礎の施工方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7240550号の請求項1ないし5、請求項9ないし12、及び請求項15に係る特許を取り消す。
同請求項6ないし8、請求項13、及び請求項14に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本件特許異議申立に係る特許第7240550号(以下「本件特許」という。)に係る出願は、令和4年11月10日に出願され、令和5年3月7日に設定登録がされ、同年同月15日に特許掲載公報が発行された。
これに対し、特許異議申立人 中川 賢治(以下「申立人」という。)より、同年9月14日に、特許異議申立書(以下「申立書」という。)が提出され、本件特許の請求項1ないし15に係る特許に対して、特許異議の申立てがされた。
本件特許異議申立について、当審において審理を行い、同年11月13日付けの取消理由通知(以下、単に「取消理由通知」という。)において、請求項1ないし5、請求項9ないし12、及び請求項15に係る特許について取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からは応答がなかったものである。
第2 本件発明
本件特許の請求項1ないし15に係る発明(以下、各々を「本件発明1」等といい、請求項1ないし15に係る発明をまとめて「本件発明」という。)は、願書に添付された特許請求の範囲の請求項1ないし15に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。
「【請求項1】
薄い鋼板で構成された板材の端部の板面を重ね合わせて接続して構成された筒状体と、
前記筒状体の地盤側を向いた開口を形成する一方の端縁に固定される拘束材と、を備え、
前記筒状体は、
前記地盤に対し当該筒状体の中心軸を立てて配置され、当該筒状体と前記地盤とにより囲まれた充填空間を形成し、
前記拘束材は、
薄い鋼板で構成され、帯状に形成され、
当該拘束材の端に設けられ前記筒状体に固定される拘束部と、
当該拘束材の板面に配置された前記地盤に固定される部分である固定部と、を備える、型枠。
【請求項2】
前記筒状体を構成する前記板材は、
複数の板材を含み、
前記拘束材は、
複数の拘束材を含み、
前記複数の板材のそれぞれは、
平面視において円弧形状を有し、前記筒状体の周方向であって前記円弧形状の少なくとも2箇所において前記複数の拘束材と接続されている、請求項1に記載の型枠。
【請求項3】
薄い鋼板で構成された複数の板材の端部同士の板面を重ね合わせて接続して構成された筒状体と、
前記筒状体の地盤側を向いた開口を形成する一方の端縁に固定される複数の拘束材と、を備え、
前記筒状体は、
前記地盤に対し当該筒状体の中心軸を立てて配置され、当該筒状体と前記地盤とにより囲まれた充填空間を形成し、
前記複数の拘束材は、
薄い鋼板で構成され、帯状に形成され、
当該複数の拘束材のそれぞれの端に設けられ前記筒状体に固定される拘束部を備え、
前記複数の板材のそれぞれは、
平面視において円弧形状を有し、前記筒状体の周方向であって前記円弧形状の少なくとも2箇所において前記複数の拘束材と接続されている、型枠。
【請求項4】
平面視において、前記複数の板材の長さをLとし、隣り合う前記拘束部の間隔をQとしたときに、
前記複数の拘束材は、
Q≦L・2/3を満たす、請求項3に記載の型枠。
【請求項5】
前記複数の拘束材のそれぞれの前記拘束部のうち隣合う前記拘束部同士を仮想線で繋いで形成される仮想多角形の重心は、
前記筒状体の中心部に位置する、請求項2~4の何れか1項に記載の型枠。
【請求項6】
前記複数の拘束材のそれぞれは、
板面に配置され、前記地盤に固定される部分である固定部を備え、
前記固定部は、
平面視において、前記複数の拘束材の交点に位置する、請求項2~4の何れか1項に記載の型枠。
【請求項7】
前記複数の拘束材のそれぞれは、
板面に配置され、前記地盤に固定される部分である固定部を備え、
前記固定部は、
平面視において、前記複数の拘束材の交点と前記拘束部との間の前記拘束部寄りに位置する、請求項2~4の何れか1項に記載の型枠。
【請求項8】
前記筒状体は、
平面視において複数の円弧形状を備え、
前記拘束材は、
前記複数の円弧形状のうち隣合って位置する2つの円弧形状の間を接続する接続部に取り付けられる、請求項1~4の何れか1項に記載の型枠。
【請求項9】
前記拘束材は、
平面視において前記筒状体が形成する円弧形状の中心を通るように配置される、請求項1~4の何れか1項に記載の型枠。
【請求項10】
前記拘束材の長さは、
前記筒状体を形成する前記板材の長さから前記複数の板材の端部の重ね合わせ部の幅を引いた寸法を周長とする仮想円の直径Dよりも短い、請求項2~4の何れか1項に記載の型枠。
【請求項11】
前記筒状体の平面視における当該筒状体が成す円弧形状の外径をD[m]とし、前記円弧形状を一部に含む仮想円を規定したときに前記仮想円の内側に位置する前記拘束材の本数をNとしたときに、N/D>1.0の関係を満たす様に設定された、請求項1~4の何れか1項に記載の型枠。
【請求項12】
請求項1~4の何れか1項に記載の型枠の前記充填空間にコンクリートを充填して形成された、基礎。
【請求項13】
地盤の上に、それぞれが薄い鋼板で構成された帯状の板材により形成された拘束材を固定する工程と、
薄い鋼板で構成された板材の端部同士を板面を重ね合わせて接続して筒状体を形成する工程と、
前記筒状体の前記地盤側の開口を形成する端縁に、前記地盤に固定された前記複数の拘束材のそれぞれの端に設けられた拘束部を固定する工程と、
前記筒状体と前記地盤により形成される充填空間にコンクリートを充填する工程と、を備える、基礎の施工方法。
【請求項14】
前記筒状体を構成する前記板材は、
複数の板材を含み、
前記拘束材は、
複数の拘束材を含み、
前記筒状体を形成する工程は、
前記複数の板材のそれぞれが平面視において円弧形状を有するように前記筒状体を形成し、
前記拘束部を固定する工程は、
前記筒状体の周方向であって前記複数の板材のそれぞれの前記円弧形状の少なくとも2箇所に前記複数の拘束材を接続する、請求項13に記載の基礎の施工方法。
【請求項15】
薄い鋼板で構成された複数の板材の端部同士を板面を重ね合わせて接続して筒状体を形成する工程と、
前記筒状体の地盤側の開口を形成する端縁に、それぞれが薄い鋼板で構成された帯状の板材により形成された複数の拘束材のそれぞれの端に設けられた拘束部を固定する工程と、
前記筒状体と地盤により形成される充填空間にコンクリートを充填する工程と、を備え、
前記筒状体を形成する工程は、
前記複数の板材のそれぞれが平面視において円弧形状を有するように前記筒状体を形成し、
前記拘束部を固定する工程は、
前記筒状体の周方向であって前記複数の板材のそれぞれの前記円弧形状の少なくとも2箇所に前記複数の拘束材を接続する、基礎の施工方法。」
第3 特許異議申立理由の概要、証拠方法、及び取消理由通知における取消理由の概要
1 特許異議申立理由の概要
申立人は、後記2に示す甲第1号証ないし甲第3号証(以下、甲号証の番号に従って「甲1」等という。)を提出し、本件特許の請求項1ないし15に係る発明について、次の特許異議申立理由を申立てている。
(1)特許異議申立理由1(進歩性欠如)
請求項1ないし5及び請求項12に係る発明は、甲1に記載された発明、及び甲2並びに甲3に記載される周知技術に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、これらの発明に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきである。
(2)特許異議申立理由2(サポート要件違反)
請求項1ないし15に係る発明は、拘束材が筒状体の端縁の複数箇所を接続することを特定していない点で、発明の課題を解決するための手段が反映されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えている。
したがって、これらの発明に係る特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法113条4号に該当し、取り消されるべきである。
(3)特許異議申立理由3(サポート要件違反)
請求項3ないし5及び請求項8ないし12に係る発明は、拘束材を地盤に固定することを特定していない点で、発明の課題を解決するための手段が反映されていないため、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えている。
したがって、これらの発明に係る特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法113条4号に該当し、取り消されるべきである。
2 申立人による証拠方法
申立人が申立書に添付して提出した証拠は、次のとおりである。
甲1: 特開平4-203024号公報
(平成4年7月23日公開)
甲2: 特開2020-20218号公報
(令和2年2月6日公開)
甲3: 特開2004-285613号公報
(平成16年10月14日公開)
3 取消理由通知における取消理由の概要
請求項1ないし5、請求項9ないし12、及び請求項15に係る特許に対して、取消理由通知において特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。
(1)取消理由1(進歩性欠如)
本件発明1ないし5、本件発明10ないし12、及び本件発明15は、甲1に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明できたものである。
したがって、本件発明1ないし5、本件発明10ないし12、及び本件発明15に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであって、同法113条2号に該当し、取り消されるべきである。
(2)取消理由2(サポート要件違反)
本件発明1,本件発明9、本件発明11、及び本件発明12に係る、請求項1、請求項9、請求項11及び請求項12の記載は、「薄い鋼板」からなる「筒状体」の「端縁」について、複数の箇所が「拘束材」に接続されることを特定しておらず、「端縁」の一箇所のみが拘束材に接続される構成を含む。
しかしながら、本件明細書の記載、及び技術常識を考慮しても、薄い板材からなる筒状体の端縁の一箇所のみを拘束することによって、筒状体の形状が保持されるとは、合理的に理解されないから、請求項1、請求項9、請求項11及び請求項12の記載は、発明の課題を解決することができると理解される範囲を超えている。
したがって、本件発明1,本件発明9、本件発明11、及び本件発明12に係る特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであって、同法113条4号に該当し、取り消されるべきである。
第4 当審の判断
1 取消理由通知に記載した取消理由について
取消理由通知に記載した取消理由(上記第3の3(1)及び(2))について、特許権者に対して期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、特許権者からの応答はなかった。
そして、上記の取消理由は妥当なものと認められるので、本件の請求項1ないし5、請求項9ないし12、及び請求項15に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由によって、取り消されるべきものである。
2 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
上記1のとおり、本件の請求項1ないし5、請求項9ないし12、及び請求項15に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由によって、その他の特許異議申立理由について判断するまでもなく、取り消されるべきものである。
以下では、本件の請求項6ないし8、請求項13、及び請求項14に係る特許に関して、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について、判断する。
本件の請求項6ないし8、請求項13、及び請求項14に係る特許に関して、取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由は、以下のものである。
・上記特許異議申立理由2(上記第3の1(2));
請求項6ないし8、請求項13、及び請求項14に係る特許に関して
・上記特許異議申立理由3(上記第3の1(3));
請求項8に係る特許に関して
(1)請求項6ないし8、請求項13、及び請求項14に係る特許に対する特許異議申立理由2について
ア 申立人の具体的主張
申立人は申立書において、特許異議申立理由2として、請求項6ないし8、請求項13、及び請求項14を含む、請求項1ないし15について、以下のとおり主張している。
「本件明細書に記載される発明は、筒状体の型枠の形状を保持するという課題(本件明細書の段落【0006】)を解決し、「平面視において型枠を任意の形状に保持でき、型枠の内部にコンクリートを充填した場合においても拘束材により筒状体の形状を保持することができる」という効果(本件明細書の段落【0010】)を奏すると本件明細書には記載されている。そして課題を解決する手段として、拘束材が筒状体の端縁の2箇所を接続するもの(段落【0014】等)、または3つの拘束材により筒状体の端縁の3箇所を接続するもの(図15、図18)が記載されているが、筒状体の端縁の複数箇所を接続しない拘束材の実施例は記載されておらず、筒状体の型枠の形状を保持するために、拘束材は筒状体の端縁を接続していることが理解できる。本件明細書の記載からは、筒状体の端縁の複数箇所を接続しない拘束材も上記課題を解決し、上記効果を奏する手段であると理解することはできない。本件明細書には、筒状体の端縁を接続しない拘束材は、記載も示唆もない。
一方、本件特許発明1乃至本件特許発明15は、「筒状体の地盤側を向いた開口を形成する一方の端縁に固定される拘束材」としか特定されておらず、拘束材が筒状体の端縁の複数箇所を接続することが特定されていないから、本件明細書に記載された発明を特定するものではなくサポート要件違反に該当する。」(申立書第29頁第10行-第29行)
イ 具体的主張についての当審の判断
(ア)判断基準
特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきである。
(イ)判断基準に基づく判断
上記(ア)の判断基準に基づいて、判断する。
a 解決しようとする課題
本件明細書の段落【0006】に、「本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、比較的薄い板材を複数組み合わせて形成した筒状体の形状を保持できる型枠、基礎、及び基礎の施工方法を提供することを目的とする。」と記載されていることから、本件発明の課題は、「比較的薄い板材」で形成した「筒状体」について、「形状を保持できる」ようにした、型枠または基礎の施行方法を提供することであると、認められる。
b 課題を解決すると合理的に理解されるか否か
本件明細書の段落【0010】に、「本発明に係る型枠、基礎、及び基礎の施工方法によれば、板材を筒状体にし、その筒状体の端縁の2箇所を接続する拘束材を地盤に形成された捨てコンクリートなどに固定するか、または拘束材を各板材に複数固定することにより、平面視において型枠を任意の形状に保持でき、型枠の内部にコンクリートを充填した場合においても拘束材により筒状体の形状を保持することができる。」と記載されているように、薄い板材からなる筒状体の形状の保持は、本件明細書において、基本的に、「筒状体」の「端縁」の複数箇所を拘束することによって、行われていると理解される。
また、薄い板材からなる筒状体について、端縁の一箇所のみを拘束しても、当該拘束した一箇所以外の箇所で薄い板材の位置ずれ又は変形が生じ、筒状体の形状が保持できないことが明らかであるのに対して、端縁の複数の箇所が拘束されれば、当該複数の箇所において筒状体の端縁の相対位置が拘束されることにより、筒状体の形状が保持されると、合理的に理解される。
上記の観点から、請求項6ないし8、請求項13、及び請求項14について、判断する。
(a)請求項6及び請求項7について
請求項6及び請求項7は、請求項2または請求項3を直接または間接的に引用している。
請求項2において、「筒状体を構成」する「前記複数の板材のそれぞれは、平面視において円弧形状を有し、前記筒状体の周方向であって前記円弧形状の少なくとも2箇所において前記複数の拘束材と接続されている」と特定されているから、筒状体の周方向の少なくとも2箇所が拘束材と接続されており、接続された箇所の相対位置が拘束されることによって、筒状体の形状が保持されると、合理的に理解される。
請求項3において、「筒状体」を構成する「前記複数の板材のそれぞれは、平面視において円弧形状を有し、前記筒状体の周方向であって前記円弧形状の少なくとも2箇所において前記複数の拘束材と接続されている」と特定されているから、請求項2について上記に説示したのと同様に、筒状体の周方向の少なくとも2箇所が拘束材と接続されており、接続された箇所の相対位置が拘束されることによって、筒状体の形状が保持されると、合理的に理解される。
したがって、請求項6及び請求項7は、請求項2または請求項3を直接または間接的に引用することから、上記aに示した課題を解決すると、合理的に理解されるものである。
(b)請求項8について
請求項8は、請求項2または請求項3を直接または間接的に引用しない場合を含むから、上記(a)の判断がそのまま妥当するとはいえない。
しかしながら、請求項8において、「前記筒状体は、平面視において複数の円弧形状を備え、
前記拘束材は、前記複数の円弧形状のうち隣合って位置する2つの円弧形状の間を接続する接続部に取り付けられる」と記載されている。ここで、「接続部」は、「複数の円弧形状のうち隣合って位置する2つの円弧形状の間を接続する」ものであるから、当該「接続部」は、「筒状体」の周方向の少なくとも2箇所に存在することとなる。そして、当該「接続部」に「拘束材」が取り付けられるから、筒状体は周方向の少なくとも2箇所に拘束材が取り付けられており、拘束材が取り付けられた箇所の相対位置が拘束されることによって、筒状体の形状が保持されると、合理的に理解される。
したがって、請求項8は、上記aに示した課題を解決すると、合理的に理解されるものである。
(c)請求項13及び請求項14について
請求項13において、「前記筒状体の前記地盤側の開口を形成する端縁に、前記地盤に固定された前記複数の拘束材のそれぞれの端に設けられた拘束部を固定する工程」と記載されているから、「筒状体」の「端縁」の周方向の複数箇所が拘束されて、筒状体の形状が保持されると、合理的に理解される。
請求項13を引用する、請求項14についても、同様である。
したがって、請求項13及び請求項14は、上記aに示した課題を解決すると、合理的に理解されるものである。
(ウ)小括
以上より、請求項6ないし8、請求項13、及び請求項14に係る特許は、申立人がこれらの請求項に係る特許に対して申立てる特許異議申立理由2よって、取り消されるべきものではない。
(2)請求項8に係る特許に対する特許異議申立理由3について
ア 申立人の具体的主張
申立人は申立書において、特許異議申立理由3として、請求項8を含む、請求項3ないし5及び請求項8ないし12について、以下のとおり主張している。
「本件明細書に記載される発明は、筒状体の型枠の形状を保持するという課題(本件明細書の段落【0006】)を解決し、「平面視において型枠を任意の形状に保持でき、型枠の内部にコンクリートを充填した場合においても拘束材により筒状体の形状を保持することができる」という効果(本件明細書の段落【0010】)を奏すると本件明細書には記載されている。そして課題を解決する手段として、拘束材を地盤に固定することが記載され(本件明細書の段落【0010】、【0030】、【0054】等)、拘束材の固定部はすべての実施例において必須の構成として記載されており、固定部を有していない拘束材は記載されておらず、そのような拘束材が上記課題を解決するとは記載されていない。
一方、本件特許発明3は、拘束材の「固定部」が発明特定事項として記載されていないから、本件明細書に記載された発明を特定しておらずサポート要件違反がある。
また、本件特許発明3を直接または間接に引用しているものの、「固定部」が発明特定事項として記載されていない、本件特許発明4~5、8~12についても同様にサポート要件違反がある。」(申立書第30頁第1行-第17行)
イ 具体的主張についての当審の判断
(ア)判断基準
サポート要件についての判断基準は、上記(1)イ(ア)に示したとおりである。
(イ)判断基準に基づく判断
a 解決しようとする課題
本件明細書において、解決しようとする課題は、上記(1)イ(イ)aに示したとおりである。
b 課題を解決すると合理的に理解されるか否か
上記(1)イ(イ)b(b)に示したとおり、請求項8は、筒状体の形状が保持されて、本件明細書における課題を解決すると、合理的に理解されるものである。
なお、形状が保持される筒状体の型枠について、さらに地盤へと固定されることが特定されていないからといって、上記(1)イ(イ)aに示した課題が解決できないものとなる事情はない。
(ウ)小括
以上より、請求項8に係る特許は、申立人が当該請求項8に係る特許に対して申立てる特許異議申立理由3よって、取り消されるべきものではない。
第5 むすび
以上のとおり、令和5年11月13日付けの取消理由通知に記載した取消理由は妥当なものと認められるので、本件の請求項1ないし5、請求項9ないし12、及び請求項15に係る特許は、この取消理由によって取り消されるべきものである。
また、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件の請求項6ないし8、請求項13、及び請求項14に係る特許を、取り消すことはできない。
さらに、他に本件の請求項6ないし8、請求項13、及び請求項14に係る特許を取り消すべき理由を、発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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