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特許異議申立

2026-700142

クロロシラン類の製造方法

審判番号
2026-700142
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2025-520931
登録番号
7727153
請求日
2026年02月17日
審決日
2026年06月08日
公報発行日
2026年07月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社トクヤマ
  • 【権利者代理人】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
  • 【異議申立人】中川 賢治
審判長/審判官
  • 審判長 深草 祐一
  • 審判官 市川 篤
  • 審判官 松本 瞳
分類
P1651.121-Y (C01B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7727153号発明「クロロシラン類の製造方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7727153号の請求項1~7に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7727153号の請求項1~7に係る特許についての出願は、2024年(令和6年)12月9日(優先権主張 令和6年1月24日)を国際出願日とする出願であって、令和7年8月12日にその特許権の設定登録がされ、同年同月20日に特許掲載公報が発行され、その後、請求項1~7に係る特許について、令和8年2月17日に特許異議申立人中川賢治(以下、「異議申立人」という。)により特許異議の申立てがなされたものである。 第2 本件発明 本件の請求項1~7に係る発明(以下、各請求項に係る発明及び特許を項番に対応させて「本件発明1」、「本件特許1」などといい、併せて「本件発明」、「本件特許」ということがある。)は、次のとおり特定されるものである。 「【請求項1】 金属シリコンの塩素化反応によりクロロシラン類を製造するに際し、 上記金属シリコンとして、ジルコニウム含有量(Zr%)が元素換算で35質量ppm以下であり、且つチタン含有量(Ti%)の前記ジルコニウム含有量(Zr%)に対する質量比率(Ti%/Zr%)が8.0以上である金属シリコンを使用し、 金属シリコンの塩素化反応により得られた反応ガスは蒸留塔に移送されて精製されてなり、その蒸留塔への移送路の途中に、反応ガスを冷却液化するための熱交換器が設けられてなり、 前記熱交換器が、シェルアンドチューブ式熱交換器である、ことを特徴とするクロロシラン類の製造方法。 【請求項2】 前記チタン含有量(Ti%)の前記ジルコニウム含有量(Zr%)に対する質量比率(Ti%/Zr%)が30.0以下である前記金属シリコンを使用する、請求項1記載のクロロシラン類の製造方法。 【請求項3】 ジルコニウム含有量(Zr%)が元素換算で1質量ppm以上である前記金属シリコンを使用する、請求項1または請求項2記載のクロロシラン類の製造方法。 【請求項4】 金属シリコンにおける、前記チタン含有量(Ti%)が元素換算で10質量ppm以上600質量ppm以下である、請求項1または請求項2記載のクロロシラン類の製造方法。 【請求項5】 金属シリコンの塩素化反応が、金属シリコンと塩化水素との反応によりトリクロロシランを製造する反応である、請求項1または請求項2に記載のクロロシラン類の製造方法。 【請求項6】 金属シリコンの平均粒径が150~400μmである、請求項1または請求項2に記載のクロロシラン類の製造方法。 【請求項7】 前記熱交換器が、反応ガスを10~40℃に冷却液化するものである、請求項1または請求項2記載のクロロシラン類の製造方法。」 第3 異議申立人による特許異議の申立理由の概要 1 本件発明1~7は、下記2に記載の甲第1号証に記載された発明及び甲第2~6号証に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、それらの特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである(以下、「申立理由1」という。)。 2 本特許異議申立てで提出された証拠 甲第1号証:特表2007-527352号公報 甲第2号証:国際公開第2007/035108号及び抄訳文 甲第3号証:特表2011-504452号公報 甲第4号証:国際公開第2021/100422号 甲第5号証:特開2013-23398号公報 甲第6号証:分離プロセス工学の基礎, 株式会社朝倉書店, 2012年9月25日, 第3頁 以下、甲第1号証を略して、「甲1」などという。 第4 当審の判断 当審は、前記申立理由1によっては、本件特許を取り消すことはできないと判断する。 以下、その理由について詳述する。なお、下線は当審において付したものであり、「・・・」は記載の省略を示す。 1 甲1~6、引用文献A~Cに記載された事項 当審は、本件出願時の周知技術(技術水準)を示す文献として下記引用文献を追加した。 引用文献A:特開2011-168443号公報 引用文献B:特開昭59-207829号公報 引用文献C:特開2004-256338号公報 (1)甲1に記載された事項 ア 「【請求項1】 珪素とHClガスとを、流動床反応器、攪拌床反応器または固定床反応器中で、250℃ないし1100℃の範囲の温度及び0.5-30気圧の絶対圧力の条件下で反応させることによってトリクロルシランを製造する際、反応器に供給される珪素が30ないし10000ppmの範囲のクロムを含有することを特徴とするトリクロルシランの製造法。」 イ 「【技術分野】 【0001】 本発明は珪素と塩化水素(HCl)ガスとの反応によるトリクロルシランの製造法及びトリクロルシランの製造に使用する珪素に関する。 【背景技術】 【0002】 トリクロルシラン(TCS)の製造法においては、冶金等級の珪素を、流動床反応器、攪拌床反応器、又は固定床反応器中で塩化水素(HCl)ガスと反応させる。この方法は一般に250℃ないし1100℃の範囲の温度で行われる。この反応においては、TCS以外の揮発性シラン類、主として四塩化珪素(STC)、が形成される。通常はTCSが好ましい生成物であるので、TCS/(TCS+他のシラン)のモル比として示される反応の選択性が重要な因子である。その他の重要因子は一次通過(first pass)HClの転化率として測定される珪素の反応性である。90%を超えるHClがシランに転化されることが好ましいが、工業的規模ではより低い反応性が観測され得る。 【0003】 これらの選択性及び反応性は珪素及びHClの反応温度に大きく左右される。平衡計算によれば、TCSの量は前記の温度範囲では約20-40%(残部は主としてSTC)であるべきである。しかしながら、実際の条件では、TCSの選択性はそれよりも著しく高いことが認められ、400℃以下の温度では90%より高いTCSの選択性を観測し得る。平衡計算からのこの大幅なずれの理由は生成物の組成が動力学的制限(珪素表面上での活性種の形成)によってもたらされるためである。より高温では生成物の分布は平衡状態の組成に近くなり、選択性の実測値と計算値との差はより小さくなるであろう。反応性は温度が高くなるにつれて増加するであろう。したがって、より高温を使用する場合には、より粗い珪素粒子(塊状体)を使用することができ、その場合でもHClの消費率を100%近くに維持することができる。 【0004】 より高い圧力の使用はTCSの選択性をより向上させるのに有利であろう。 【0005】 冶金等級の珪素はFe、Ca、Al、Mn、Ni、Zr、O、C、Zn、Ti、B、P及びその他のような多数の混入元素を含有する。ある種の混入元素、例えばFe及びCa はHClに不活性であり、FeCl2及びCaCl2のような固体の安定な化合物を形成するであろう。これらの安定な金属塩化物はそれらの寸法に応じて、シラン生成物とともに反応器外に吹き飛ばされるか、あるいは反応器内に集積されるであろう。Al、Zn、Ti、B及びPのような他の混入元素は揮発性の金属塩化物を形成し、生成シラン類とともに反応器から取り出される。 【0006】 HClと反応しないか、HClとはきわめてゆっくりと反応するに過ぎないO及びCは珪素のスラグ粒子中に富化されて反応器中に集積する傾向がある。最微細スラグ粒子は反応器から吹き飛ばされて、ろ過機系統中にトラップされ得る。 【0007】 冶金等級の珪素中の混入元素の多くは、珪素とHClガスとの反応によるトリクロルシランの製造工程における珪素の反応性能に影響を与える。したがって、珪素の反応性及び選択性はともに当該目的に対して好ましい及び好ましくない影響の両方をもたらし得る。 【発明の開示】 【0008】 今般、増大したクロム含量をもつ珪素は、それをHClとの反応によるトリクロルシランの製造法に使用する場合、高い選択性を与えることが認められた。さらに、トリクロルシラン反応器中のクロム含量をある特定限度内に制御する場合には、選択性の増加がもたらされることも認められた。」 ウ 「【0024】 つぎの実施例1-3はすべて加熱されたアルミニウムブロック中に埋設された石英製の実験室規模の固定床反応器中で行った。加熱ブロックの温度は反応器の温度を365℃に維持するように350℃に保持した。各試験では、180ないし250μmの範囲の粒度をもつ珪素1gを石英製反応器に添加した。HClとアルゴンの混合物を各10ml/分の量で反応器に供給した。反応器からの生成物ガスの組成をGCで測定した。選択性はTCS/(TCS+その他のシラン)として測定し、反応性はHClの転化率、すなわち反応に使用されたHClの量、として測定した。 【0025】 つぎの実施例4は加熱されたアルミニウムブロック中に埋設された鋼製の実験室規模の流動床反応器中で行った。まず最初は、180ないし250μmの範囲の粒度をもつ珪素5gを反応器に添加した。HCl及びアルゴンの混合物をそれぞれ280ml/分及び20ml/分の割合で反応器に供給した。この操業中、反応器の温度は325℃に保持した。反応が進行するに応じて、反応器内の珪素の全量を5gに維持するように新たな別量の珪素を反応器の頂部から半連続的に添加した。反応器からの生成物ガスの組成をGCで測定した。選択性はTCS/(TCS+その他のシラン)として測定し、反応性はHClの転化率、すなわち反応に使用されたHClの量、として測定した。 【0026】 つぎの実施例5は加熱されたアルミニウムブロック中に埋設された石英製の実験室規模の固定床反応器中で行った。加熱ブロックの温度は反応器内の温度を515℃に維持するように500℃に保持した。各試験について、180ないし250μmの範囲の粒度をもつ珪素1gを石英反応器に添加した。HCl及びアルゴンの混合物を各10ml/分の割合で反応器に供給した。反応器からの生成物ガスの組成をGCで測定した。選択性はTCS/(TCS+その他のシラン)として測定し、反応性はHClの転化率、すなわち反応に使用されたHClの量、として測定した。 【実施例1】 【0027】 エルケム(Elkem)ASA製造の冶金等級の珪素は、珪素を溶融し、それにりんを添加してりん150重量ppmを含有する珪素を得るという方法で製造した。固化したりん含有珪素を180-250μmの範囲の粒度に粉砕し、このりん含有珪素の一部にクロム粉末1重量%を添加した。かくして、りん含有珪素の2種類の試料、すなわちクロム1重量%を含有する試料A及びごく微量の不純物以外のクロムを含まない試料Bを得た。 【0028】 珪素試料A及びBの化学分析値を表1に示す。 【表1】 [図:0001437422000001.jpg] 【0029】 試料A及びBを前記の実験室規模の固定床反応器中でのトリクロルシランの製造に使用した。試料Bについてはこの製造操作を2回並列的に行った。試料A及びBから製造されたTCSについての選択性を図1に示す。 【0030】 図1から明らかなように、りん含有珪素に1重量%のクロムを添加することによって選択性が実質的に増加した。これらの操業においては、HClの100%が転化された。 【実施例2】 【0031】 エルケムASAによって製造された登録商標シルグレイン(Silgrain)珪素の180-250μmの粒度範囲の部分を篩分けし、この珪素の一部に0.3重量%及び1重量%のクロム粉末を添加した。かくして、シルグレイン珪素の3種類の試料、すなわち1重量%のクロムを含有する試料C、0.3重量%のクロムを含有する試料D及びごく微量の不純物以外のクロムを含有しない試料Eを調製した。 【0032】 珪素試料C、D及びEの化学分析値を表2に示す。 【表2】 [図:0001437422000002.jpg] 【0033】 試料C、D及びEを、前述した実験室規模の固定床反応器中で、トリクロルシランの製造に使用した。試料Eについては、この製造操作を2回並列的に行った。試料C、D及びEから製造されたTCSについての選択性を図2に示す。 【0034】 図2から認められるように、登録商標シルグレイン珪素にクロム0.3重量%及び1重量%を添加した場合には選択性が実質的に増加した。これらの操業においては、HClの100%が転化された。 【実施例3】 【0035】 きわめて低含量の不純物を含む純粋な珪素(ポリシリコン等級)を550ppm のクロムで合金化した。このクロム合金化珪素を前述した反応器及び製造法を用いるトリクロルシランの製造に使用した。図3に示すように、選択性はクロムで合金化された試料の場合により高かった。これらの操業においては、HClの100% が転化された。 【実施例4】 【0036】 エルケムASAによって製造された冶金等級の珪素(試料F)を180-250μmの範囲の粒度に粉砕した。この試料の組成を表3に示す。試料Fを使用して前述した実験室規模の流動床反応器中でトリクロルシランを製造した。2回の操業を並列的に行ったが、第2の操業では約33gの珪素が消費された時点で2重量%(0.1025g)のクロムを別途に添加した。クロムを添加した及び添加しない試料Fから製造されたTCSについての選択性を図4に示す。 【0037】 図4から明らかなように、2重量%のクロムを珪素に添加すると選択性の約3%の絶対的増加が達成された。これらの操業においては、HClの100%が転化された。 【表3】 [図:0001437422000003.jpg] 【実施例5】 【0038】 エルケムASA製の冶金等級の珪素を180-250μmの範囲の粒度に粉砕した。この珪素の一部に0.54重量%のクロム粉末を添加した。かくして、珪素の2試料、すなわち0.54重量%のクロムを含有する試料H及びごく微量の不純物以外のクロムを含まない試料Gを調製した。 【0039】 珪素試料G及びHの化学分析値を表4に示す。 【表4】 [図:0001437422000004.jpg] 【0040】 試料G及びHを使用して、前記した実験室規模の固定床反応器中で、トリクロルシランを製造した。試料G及びHから製造されたTCSについての選択性を図5に示す。実施例1-4と比較して、より高い反応器温度は選択性の顕著な減少をもたらしたが、図5から認め得るごとく、0.54重量%のクロムの珪素への添加は約15-20%の選択性の絶対的増加をもたらした。これらの操業においては、HClの100%が転化された。」 エ 「【図1】 [図:0001437422000005.jpg] 【図2】 [図:0001437422000006.jpg] 【図3】 [図:0001437422000007.jpg] 【図4】 [図:0001437422000008.jpg] 【図5】 [図:0001437422000009.jpg] 」 (2)甲2に記載された事項(甲2は外国語で記載された文献であるところ、翻訳文は申立人が提出した甲2の抄訳文を参照して合議体が作成した。) ア 「Example 4 Several silicon samples with varying manganese content were milled and screened to a particle size between 125 and 180 μm (samples E, F, G, H, I). The chemical analyses of the samples E through I are shown in Table 2. Samples E, F, G, H and I were used to produce trichlorosilane at 550°C in a continuous laboratory fluidized bed reactor as described above. Two runs were made with sample E. The STC conversion obtained with samples E through I is shown in Figure 6. As can be seen from Figure 6, the STC conversion drops with increasing manganese content. The STC conversion is very high for samples E and F according to the invention. [図:0001437422000010.jpg] 」(第7頁第5~15行、表2) (実施例4 マンガン含有量が異なる複数のシリコンサンプルを粉砕し、125~180μmの粒子サイズにふるい分けした(サンプル E、F、G、H、I)。 サンプルEからIの化学分析結果を表2に示す。 サンプルE、F、G、H、Iは、前述の通り、連続流動床反応器を用いて550℃でトリクロロシランを製造するために使用される。サンプルEについては2回の実験を行った。サンプルEからIで得られたSTC転化率を図6に示す。 図6からわかるように、STC転化率はマンガン含有量の増加に伴って低下する。本発明のサンプルE及びFのSTC転化率は非常に高い。 表2 シリコンサンプルE~Iの化学分析結果) イ 「Claims: 1. Method for the production of trichlorosilane by reaction of silicon with silicon tetrachloride and hydrogen gas at a temperature between 400 and 800°C, and a pressure of 0.1-30 atm in a fluidized bed reactor, in a stirred bed reactor or in a solid bed reactor, characterized in that the silicon supplied to the reactor contains less than 50 ppmw manganese.」(請求項1) (特許請求の範囲 1.流動床反応器、撹拌床反応器、または固床反応器において、400~800℃の温度、0.1~30気圧の圧力下で、シリコンと四塩化ケイ素及び水素ガスとの反応によりトリクロロシランを製造する方法であって、反応器に供給されるシリコンが50ppmw未満のマンガンを含むことを特徴とする。) (3)甲3に記載された事項 ア 「【0001】 この発明は、一般的には、クロロシランの製造の分野に関し、及びより特定的には、クロロシランから塩化アルミニウム及びその他の金属塩化物を取り除くための方法に関する。 【背景技術】 【0002】 光起電力デバイスに関して需要が増加している高純度ケイ素の製造のための殆どの方法において、第1の工程は、純粋でない、治金等級のケイ素(metallurgical grade silicon)(MGS)として知られるおよそ99%のケイ素を、液体のクロロシラン、通常はトリクロロシラン(SiHCl3)に変換することであり、これは非常に高いレベルに精製でき、次いで非常に高純度の固体ケイ素に再変換可能である。典型的には流動床反応器中で行われるこの第1の工程において、純粋でない固体ケイ素を塩素を含有する気体と反応させ、多くの不純物をこの反応器中、又はサイクロンなどの除塵設備中において固体として捕捉する。しかしながら、アルミニウムやその他のいくつかの混入物質、例えばアンチモン、ホウ素、炭素、インジウム、ガリウム、リン、タリウム、錫、チタン、亜鉛、及びジルコニウムなどは、その性質により、揮発性化合物を形成し、目的のクロロシランと共に反応器外に運ばれる。それ故に、それらの混入物質は反応器からの流出気体中に存在し、次いで冷却されて、主な構成要素がジクロロシラン(SiH2Cl2)、トリクロロシラン(SiHCl3)、及び四塩化ケイ素(テトラクロロシランとしても知られる)(SiCl4)である液体のクロロシラン混合物を形成し、伝統的な手段、主として蒸留によって精製することができる。アルミニウムは、治金等級の供給原料中に2000-10000ppmaと多量に存在し、ホウ素のように、高純度のケイ素中で電気的に活性なドーパントとして作用するので、特に重要であり、非常に低いレベルに減少させなければならない。ホウ素は、しかしながら、治金等級の供給原料中に約20-100ppmaしか存在しない。更に、塩化アルミニウム(AlCl3)は、大気圧で液相を形成しないという点で、独特の性質を有している。典型的に蒸留に用いられるであろう大気圧近傍で、塩化アルミニウムは直接固体から気体へと変換する。しかしながら、温度に依存して、クロロシランに部分的に可溶である。それ故に、蒸留によって塩化アルミニウムを取り除くことは可能ではあるが、蒸留系の内部で固体の堆積物を形成する傾向があるので非常に困難である。また、そのために高濃度のアルミニウムを伴う液体廃棄物を直接生成することが不可能であり、それ故に、より多くの廃棄物の廃棄が必要とされ、高いコストと高い環境への影響とを有する経済的、環境的影響は大きい。上述のように、同様に、揮発性化合物を形成し塩化物であるその他の金属も存在する。塩化物のうち、殆どであるアンチモン、インジウム、ガリウム、タリウム、錫、亜鉛,及びジルコニウムは、アルミニウムと同様に振る舞い、それ故に、アルミニウムと共に取り除かれる傾向があるが、一種類、チタンだけは違う。揮発性化合物を形成する残りの元素であるホウ素、炭素、及びリンのうち、ホウ素及び炭素の化合物はアルミニウムのようには振舞わず、何らかのその他の方法で取り除かねばならない。リン化合物もまた、アルミニウムのようには振舞わないが、一定のリン化合物、PH3、PH4Cl、PCl5、及びPOCl3は塩化アルミニウムと結合して付加物を形成し、アルミニウムと共に取り除かれる。一種類、PCl3だけは違う。付加物はルイス酸とルイス塩基との弱く結合した混合物であり、そのため容易に形成し、乖離しうる。固体の塩化アルミニウム/ホスフィン付加物のこの乖離能力は、フィルター又はタンク中に捕捉された固体が予期せず気体の又は溶解したホスフィンを放出する可能性があり、リン濃度を鋭く上昇させる原因となるため、特に注目されている。 ・・・ 【0013】 本発明の主な目的は、クロロシランから塩化アルミニウムを取り除くより良い方法を提供することである。 本発明の別の目的は、アルミニウムを固体としてその他の固体混入物質とともに取り除くことである。」(第3~5頁) イ 「【0021】 まず図1を見ると、これらに限定されないが、粉末のケイ素及びその他の固体、クロロシラン、水素、塩化水素、塩化アルミニウム、ならびにその他の金属塩化物を含む固体及び気体の混合物を含む流出物101を製造する典型的なクロロシラン製造反応器100が示されている。このストリーム101は、サイクロン又はフィルターシステムなどの固体除去手段102に入り、固体の大部分はここからストリーム103に放出される。しかしながら、種の外部供給源として役立つ十分な固体は、浄化された気体ストリーム104中に残る。浄化された気体104は、次いで、熱交換器又は冷却システムなどの熱除去手段105によって冷却され、ここで洗浄された気体ストリーム104の一部分が凝縮されて固体、液体及び気体を含有するストリーム106が形成される。このストリーム106は、次いで、最初の気体分離器/結晶化装置107に入る。気体ストリーム112は、冷却材供給118及びリターン119を有する熱除去システム113中で冷却される。大部分が水素及び塩化水素を含む状態の気体ストリーム112は、最初の気体分離器/結晶化装置107を出て再利用される。液体及び固体は最初の気体分離器/結晶化装置107の底部で収集され、ここで撹拌器108によって混合されて、固体は液体中に懸濁させて保持され、必要な場合の追加の種を提供する候補となり得る再利用ストリーム152中に混合される。ストリーム120中の液体及び固体の混合物は、最初の気体分離器/結晶化装置107を出て、熱交換器又は冷却システムなどの更なる熱除去手段121に入り、結果として過飽和溶液122を形成し、そして更に溶液122中に懸濁した種上に結晶化する。過飽和溶液122は、次いで制御バルブ123を通過し、より低い圧力のストリーム124として出て、第2の気体分離器/結晶化装置125に入る。全ての放出された気体及び蒸気128はオーバーヘッドに行き、次いで、第2の気体分離器/結晶化装置125における圧力を維持する制御バルブ129を通る。減少した圧力の気体ストリーム170は、次いで第1のクロロシラン蒸留カラム160に入る。第2の気体分離器/結晶化装置125に入る液体及び固体はその底部セクションに保持され、撹拌器126で混合される。スラリー127は、第2の気体分離器/結晶化装置125を出て、液体サイクロン又はフィルターなどの第1の固体分離手段130に入る。固体の大部分は、いくらかの液体のクロロシランと一緒に固体ストリーム131中に出る。このストリームは、次いで、液体サイクロン又はフィルターなどの第2の固体分離手段132中で更に処理され、高い固体分のストリーム140中に固体を更に濃縮し、追加の有用なクロロシランは主に液体のストリーム133に回収される。高い固体分のストリーム140はバルブ141を通って、廃棄物タンク142に直接放出され、廃棄物タンク142は撹拌器143によって撹拌され、順に熱供給148及びリターンストリーム149を有するジャケット147によって加熱される。液体及び固体ストリーム144は、廃棄又は更なる処理に送られる。気体ストリーム145もまた、廃棄又は更なる処理に送ることが出来る。追加の廃棄物ストリーム146は、施設の別のところからタンクに案内される。 【0022】 低い固体分のストリーム136とともに回収された液体のクロロシランは、第1の固体分離手段130を出て、制御バルブ137を通って、より低い圧力のストリーム138を形成する。低い固体分のストリーム133とともに回収された液体のクロロシランは、第2の固体分離手段132を出て、制御バルブ134を通って、より低い圧力のストリーム135を形成する。両方のストリームは合流して、典型的には2-10bar(2×105-10×105Pa)で動作する蒸留カラム160のための液体供給ストリーム139を形成する。1ppb未満の典型的なアルミニウム濃度で精製されたトリクロロシランはストリーム161中に出て、残りのAlCl3は、30-100ppmの典型的な濃度で底部ストリーム162中に出る。供給ストリーム139は、一般的な蒸留の実施法のように、カラム160に入るより先に、任意の供給加熱器163によって加熱して、加熱されたストリーム159を形成しても良い。追加の吸引ライン150、ポンプ151、及び放出ライン152を用意することにより、スラリーのいくらかを第2の気体分離器/結晶化装置125から再利用することも可能である。更なる変更は、同じ目的に役立つ可能性がある。例えば、圧縮器164を用いて、第2の気体分離器/結晶化装置125における圧力を減少させ、それ故に液体が気化するにつれて冷却を生じさせても良い。これはまた、スラリーストリーム127を加圧するためのポンプ(図示せず)の使用を必要とするだろう。制御バルブ123は冷却手段121の手前に位置しても良い。 【0023】 図1に従った方法の応用例において、物質収支が表1に示されている。反応器100は30bar(30×105Pa)で動作し、固体除去手段102は96%の効率を有するサイクロンであり、流出物中に0.03kg/時の種を製造する。気体と種との混合物はシェルアンドチューブ熱交換器105中で冷却され、プロセスに関する熱を回収して、次いで、1時間の滞留時間で、磁気駆動の撹拌器108を有する圧力容器である最初の脱気器/結晶化装置107に入る。出口液体ストリーム120は、クロロシラン及びメチルクロロシランに加えて、典型的には不純物を表2に示すような濃度で含有する。熱除去手段121は、付着を減らすために内部が磨かれているか、又はテフロン(登録商標)コートされているシェルアンドチューブ熱交換器である。出口温度は、AlCl3PH3付加物の融点である83℃より低いことを保証するために、好ましくは40-60℃の間に維持される。第2の脱気器/結晶化装置125もまた、1時間の滞留時間であり、10bar(10×105Pa)のより低い圧力を有する圧力容器であり、同様の磁気駆動撹拌器126で撹拌される。両方の撹拌器はまた、撹拌器のブレード、容器壁、及び種それ自身により存在する種結晶に衝撃を与えることによって種を生成することに注目すべきである。結晶のサイズ分布は、それ故に、5~200ミクロンの好ましいサイズの範囲内に制御することが出来る。スラリー127は、液体サイクロン又はハイドロクロンである第1の固体除去デバイス130に供給され、より一般的なガスサイクロンに類似したやり方で液体の圧力を用いて液体を回転させ、固体を取り除く。約98%の高い効率を達成するために、4つの直径1インチの液体サイクロンが共通の圧力容器内で集配管されている。動作は連続的であり、圧力差を調節する制御バルブ137及び134によって制御され、従って流れは分割される。サイクロンにおける腐食は、非常に硬いアルミナセラミックを壁及び/又は出口ノズルに使用し、容易に交換可能な消耗部品を用意することにより減少する。第2の固体除去デバイス132もまたハイドロクロンであるが、ただ一つの1/2インチの直径の液体サイクロンと、典型的には4~16時間毎の固体の定期的な放出により、高い固体濃度(典型的には40重量%)の蓄積を可能にする固体蓄積器とを有する。固体の放出の間でさえ、液体の放出はなお連続的である。廃棄物タンク142はいくらかのその他の廃棄物146を受け取り、これは固体分が少ないが、四塩化チタン及び三塩化ホウ素などのその他の不純物を有する。ジャケット147は150psigの蒸気148によって加熱され、凝縮ストリーム149が存在する。蒸気ストリーム145、及び液体/固体ストリーム144は、更なる処理のために送られる。廃棄物タンク142は、リン付加物を含有し得る固体を隔離し、たとえいくらかのリンが放出されたとしても、リンがシステムに戻ることを防ぐ。表1に見ることが出来るように、固体ストリーム140はわずか1kg/時の固体を有する。それ故に、たとえハイドロクロン132が16時間毎に一回の最大放出期間でのみ空にされたとしても、最大固体含有量はわずか16kgであり、それ故に有意なリンの急激な上昇の機会は最小化される。」(第6~8頁) ウ 「【図1】 [図:0001437422000011.jpg] 」(第21頁) (4)甲4に記載された事項 ア 「[0009] [実施形態1] (製造装置1の構成) 図1は、本発明の実施形態1に係る製造装置1の構成の一例を示す模式図である。本明細書において、製造装置1は、金属シリコン粉体を用いてトリクロロシランを製造するトリクロロシランの製造装置であれば、特に限定されない。製造装置1として、例えば、流動床方式反応装置が挙げられる。流動床方式反応装置を用いることにより、連続的に金属シリコン粉体及び塩化水素を供給して、連続的にトリクロロシランを合成することが可能である。なお、トリクロロシランについては、SiHCl3またはTCSとも称する。 ・・・ [0012] 本明細書において、「金属シリコン粉体」とは、冶金製金属シリコン、珪素鉄またはポリシリコン等の金属状態の珪素元素を含む固体物質を意図し、公知のものが何ら制限なく使用される。また、それら金属シリコン粉体には鉄化合物等の不純物が含まれていてもよく、その成分及び含有量において特に制限はない。かかる金属シリコン粉体は、通常、平均粒径が150~350μm程度の微細な粉末の形態で使用される。 [0013] 図1に示すように、製造装置1は、圧縮機2,11と、反応容器3と、冷却器4,7,9と、フィルター5と、収容槽6と、熱媒ドラム8と、凝縮器10と、蒸留塔13と、無摺動バルブb1~b4と、を備えている。製造装置1が備えるこれらの構成要素は、互いに配管によって接続されている。」 イ 「 [図:0001437422000012.jpg] 」 (5)甲5に記載された事項 ア 「【0028】 トリクロロシラン製造装置100は、多結晶シリコン製造工程に用いられる装置であり、多結晶シリコン製造の際に多結晶シリコン反応炉10から排出された排ガスから回収された四塩化珪素と水素とにより反応ガスを生成する転換炉40と、この反応ガスを冷却する冷却装置50と、冷却後の反応ガスを蒸留してトリクロロシランを回収する蒸留分離装置90とを備え(図1参照)、多結晶シリコンの製造原料として再利用されるトリクロロシランを製造(回収)する装置である。」 イ 「【0072】 この二次冷却工程における昇温ガスの冷却速度は、一次冷却工程での冷却速度よりも遅くてもよく、たとえば100℃/秒以上10000℃/秒以下、より好ましくは500℃/秒以上5000℃/秒以下とする。また、二次冷却工程における冷却到達温度は、500℃未満であればよいが、目的の生成物であるトリクロロシランを含むクロロシラン類を液化させることで反応ガス(昇温ガス)から分離するために、最終的にはたとえば20℃以下-70℃以上に冷却して非凝縮のガス(H2,塩化水素等)と分離した後、トリクロロシランを含む液体を蒸留分離工程に供することができる。」 ウ 「【図1】 [図:0001437422000013.jpg] 」 (6)甲6に記載された事項 ア 「蒸留(3章で詳述)は、図1.2(a)のように、液体混合物を加熱沸騰させて行い、発生する蒸気(気相)の組成と液相の組成は同じではなく、気液平衡という固有の関係があるので、この気液の組成の差を利用して分離が可能となる。」 (7)引用文献Aに記載された事項 ア 「【0031】 4.クロロシランの凝縮分離及び蒸留; 上記金属シリコンと塩化水素との反応により、トリクロロシランを含む反応生成ガスが発生するが、このガス中には、副生物であるテトラクロロシランやジクロロシラン等のトリクロロシラン以外のクロロシランが含まれており、さらに、副生する水素に加え、金属シリコンに不可避的不純物として含まれているボロン等が混入している。 【0032】 従って、上記の反応生成ガスからトリクロロシランを回収するにあたっては、先ず、この反応生成ガスを適宜フィルターを通し、金属シリコン粒子などの固形物を除去した後に凝縮分離に供せられ、この反応生成ガス中からトリクロロシランを含むクロロシランが凝縮分離される。 【0033】 この凝縮分離工程では、反応生成ガスは冷却されることとなるが、この冷却温度は各種のクロロシランが凝縮する温度以下であれば良く、冷却装置の冷却能力等を勘案して適宜決定すれば良い。冷却温度が低い程、クロロシランの除去効果が高い傾向にあるが、一般的には、-10℃以下、特に-30℃以下であれば十分である。また凝縮分離における圧力についても、クロロシランが十分に除去可能であれば特に制限されず、凝縮除去装置の能力等を勘案して適宜決定すれば良く、一般的には、300kPaG以上、特に500kPaG以上であれば十分である。 【0034】 また、凝縮を行うための冷却手段としては、反応生成ガスを上記の冷却温度に冷却することが可能であれば、特に制限なく、公知の冷却手段を用いて行うことが可能である。かかる冷却手段として具体的には、反応生成ガスを冷却された熱交換器を通過させて冷却させる冷却手段、又は、凝縮され冷却された凝縮物によって反応生成ガスを冷却する冷却手段等が挙げられる。これらの方法をそれぞれ単独で、又は併用して採用することも可能である。 【0035】 さらに、ガスの圧力を上昇させることを目的に、クロロシランの凝縮除去に先だって、加圧機を設置することも可能である。また、該加圧機の保護のため、予備的なクロロシラン凝縮やフィルターなども加圧機より上流側に設置してもよい。これらの点は、工業的なプロセス設計の常套手段として採用することが可能である。 【0036】 上記のような凝縮分離によって反応生成ガスから得られた凝縮液は、種々のクロロシランの混合物であり、蒸留によってトリクロロシランを単離し、回収されたトリクロロシランは、ポリシリコンを製造する工程における析出原料として使用される。」 (8)引用文献Bに記載された事項 ア 「本発明は、ケイ素またはケイ素合金を塩素化して、ヘキサクロロジシランを得る方法に関する。」(第1頁右欄第4~5行) イ 「塩素化反応器10は固-気反応が効果的に行えて、かつ、冷却および/または加熱手段を備えており、反応温度の制御が可能なものであれば、固定層型、流動層型もしくは粉体攪拌層型等いかなる形式のものでもかまわない。すなわち、縦型の槽タイプのものでもよいし、横型の溝型、円筒型、U字型等各タイプのものでもよい。特に操作性や、反応終了後の固形残渣の取り出しの容易性の点で、後者のタイプのものがより好ましい。なお、反応容器に備えられる攪拌手段としては、プロペラ型、タービン型、パドル型、螺旋型、二重螺旋型、スクリュー型等の各攪拌機があるが、後二者のタイプのものは、粉体の輸送機能もあるので、粒子を、連続的に供給し連続的の抜き出す連続操作を行う場合に、特に適したものである。 塩素化反応器10に配管20を通じて仕込まれる原料のカルシウムシリコン等の金属粒子Fは、通常、比重2~5、粒子径5~300mesh程度の砂粒状のものが好適に使用されるが、これらは混合物であっても、また、マンガン等他種金属等を混合・溶解したものでもよい。大粒子の場合は、粉砕して、適当な粒径にそろえて使用するのが好ましい。 塩素ガスCLは配管30を通じて反応器に供給されるが、反応器に送入すべき塩素ガスCLは、通常ボンベ等に充填されて販売されているものを、好ましくは濃硫酸やシリカゲル等で処理して充分脱水した後、特にそれ以上精製することなく、そのまま使用することが出来る。しかしながら、反応速度を容易に制御出来る範囲に押さえ反応熱を的確にコントロールするため、塩素ガスをそのまま使用せず、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノン、窒素、四塩化硅素等の反応系に対し不活性なガスで希釈し、塩素含量1~90mol%、好ましくは3~70mol%程度の塩素含有ガスとすることが望ましい。 塩素含有ガスは、常法に従い、上記固定層の下部又は中段部に供給して、該ガスを固定層内を上昇せしめて固-気反応を行わしめても良いが、本反応の速度は非常に速いので、例えば横型の反応器を使用し層高がそれ程大きくならない場合は、固定層の表面にガスを供給し、該固定層表面に沿ってガスを流しながら反応させても、実用上充分大なる速度でヘキサクロロジシランが生成する。 塩素化反応温度はすでに述べたごとくケイ素合金を使用する場合は300乃至600℃好ましくは300乃至500℃でありケイ素合金の場合は130乃至400℃好ましくは150乃至350℃である。 反応終了後生成したヘキサクロロジシランガスは、四塩化ケイ素、オクタクロロトリシラン、デカクロロテトラシラン等副生ガスとの混合高温ガスとして反応器10から流出し配管40を通じて凝縮器50へ導かれここで冷却凝縮せしめられる。このためには、凝縮器50として多管型凝縮器を使用し、該多管壁を介しての間接熱交換操作により上記生成ガスを冷却凝縮せしめてもよいし、またより好ましくは生成ガスと冷却媒体(以下冷媒という)を直接接触せしめて直接熱交換操作を行わせ冷却凝縮せしめてもよい。 生成凝縮液は配管60を通じて蒸留塔(1)70に送られ、ここで常圧もしくは減圧下に蒸留して、塩素、四塩化ケイ素、ヘキサクロロジシラン、オクタクロロトリシラン以上の高級塩化物に分離される。」(第4頁右上欄第10行~第5頁左上欄第13行) (9)引用文献Cに記載された事項 ア 「【請求項1】 金属シリコンと塩化水素、または金属シリコンと四塩化珪素および水素を反応させた後、冷却し、得られるクロロシラン類の未精製混合液を蒸留塔で蒸留してクロロシラン類を回収するクロロシラン類の製造方法であって、未精製混合液中の不純物が濃縮した不純物濃縮液を蒸留塔から抜き出し、再濃縮装置で加熱することにより前記濃縮液に残存するクロロシラン類を回収するとともに、濃縮した不純物を再濃縮装置から抜き出すに際し、前記反応させる金属シリコン量1kgに対して、蒸留塔からの不純物濃縮液の抜き出し量を1~20kgとし、再濃縮装置からの濃縮不純物の抜き出し量を0.05~0.45kgとすることを特徴とするクロロシラン類の製造方法。」 イ 「【0019】 図1において、符号1は前記の▲2▼式の反応を生じさせる反応炉であり、前記反応炉1から排出されるガスを冷却するクエンチャー4と、クエンチャー4から供給される凝縮液を蒸留してクロロシラン類を回収する蒸留塔7が順に連結されている。図1に例示した設備では、この蒸留塔7から原料(金属シリコン)の微粉や高沸点物質が濃縮した塔底液を抜き出し、加熱して、混在しているクロロシラン類を分離回収するとともに、さらに濃縮(つまり、再濃縮)させた不純物を系外へ抜き出すための再濃縮装置12が取り付けられている。 【0020】 このトリクロロシランの製造設備において、反応炉1に原料である金属シリコン2(純度約95%以上)を装入し、約600℃に加熱された水素(H2)および四塩化珪素(SiCl4)を送入して流動層とする。反応炉1内では下記の反応(前記▲2▼の反応)が起こる。 【0021】 Si+3SiCl4+2H2→4SiHCl3 反応炉1からの出口ガス3中には、反応生成物であるSiHCl3の他に、未反応のH2、SiCl4および未反応の金属シリコンの微粉や、金属シリコンまたは金属シリコンに含まれるシリコン以外の物質(Al、Fe等)が塩素化されて発生した高沸点物質が存在している。 【0022】 続いて、前記出口ガス3をクエンチャー4で冷却し、SiHCl3、SiCl4等を凝縮、液化するとともに、金属シリコンの微粉や液化しない高沸点物質をSiHCl3、SiCl4等の凝縮液中に捕集する。冷却方法は、SiHCl3、SiCl4等の凝縮液に前記の微粉や液化しなかった高沸点物質が捕集された状態の液(これを「混合液」という)を冷却しながらポンプ5で強制循環する方法である。クエンチャー4で凝縮せず、または捕集もされないH2および未反応ガス6はクエンチャー4の上方部から回収され、反応炉1の原料ガスとして再利用される。一方、前記混合液は強制循環経路から一部が抜き出され、蒸留塔7へ送られる。 【0023】 蒸留塔7では、前記の抜き出された混合液がリボイラー10でスチーム加熱され、SiHCl3、SiCl4は蒸発して高沸点物質や金属シリコンの微粉と分離される。分離されたSiHCl38はその用途に応じてさらに精留され、SiCl49は反応炉1へ送入する原料として再利用される。一方、SiHCl3、SiCl4から分離された金属シリコンの微粉や高沸点物質は、分離されずに残留しているSiHCl3、SiCl4の凝縮液に濃縮した状態(これを「不純物濃縮液」という)で蒸留塔7の底部に溜まり、再度底部から抜き出され、リボイラー10での加熱、分離が繰り返される。」 ウ 「【図1】 [図:0001437422000014.jpg] 」 2 甲1に記載された発明 甲1の前記1(1)アの【請求項1】には、「珪素とHClガスとを、流動床反応器、攪拌床反応器または固定床反応器中で、250℃ないし1100℃の範囲の温度及び0.5-30気圧の絶対圧力の条件下で反応させることによってトリクロルシランを製造する際、反応器に供給される珪素が30ないし10000ppmの範囲のクロムを含有することを特徴とするトリクロルシランの製造法。」と記載されている。 そして、このトリクロルシランの製造法の背景技術として、同イの【0002】、【0005】、【0007】には、HClガスと反応させる珪素は冶金等級の珪素であり、前記冶金等級の珪素は、Fe、Ca、Al、Mn、Ni、Zr、O、C、Zn、Ti、B、P及びその他のような多数の混入元素を含有し、前記混入元素の多くはトリクロルシランの製造工程における珪素の反応性能に影響を与えることが記載されている。 以上から、甲1には、以下の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 「Fe、Ca、Al、Mn、Ni、Zr、O、C、Zn、Ti、B、P及びその他のような多数の混入元素であって、珪素の反応性能に影響を与え得る多数の混入元素を含有する冶金等級の珪素と、HClガスとを、流動床反応器、攪拌床反応器または固定床反応器中で、250℃ないし1100℃の範囲の温度及び0.5~30気圧の絶対圧力の条件下で反応させることによってトリクロルシランを製造する際、反応器に供給される珪素が30ないし10000ppmの範囲のクロムを含有するトリクロルシランの製造法。」 3 申立理由1について (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明を対比する。 まず、本件明細書の「原料となる金属シリコンとしては、一般に冶金級と呼ばれる精製度が比較的に高いシリコン粉が使用されている。」(【0005】)、「ここで、上記冶金級金属シリコンの純度は、通常は元素換算の質量で約99%程度である。詳細には、シリコンの含有量は元素換算の質量で98.5~99.4%であり、好ましくは99.0~99.4%であり、さらに金属不純物として、Fe、Ca、Al、Mn、Ni、Zr、Zn、Ti等が混入している(特許文献1及び2)。」(【0006】)の記載から、本件発明1における「金属シリコン」は、金属不純物として、Fe、Ca、Al、Mn、Ni、Zr、Zn、Ti等が混入した冶金級のシリコンを少なくとも含むといえるから、甲1発明における「Fe、Ca、Al、Mn、Ni、Zr、O、C、Zn、Ti、B、P及びその他のような多数の混入元素であって、珪素の反応性能に影響を与え得る多数の混入元素を含有する冶金等級の珪素」は、本件発明1における「金属シリコン」に相当する。 次に、珪素とHClガスとを反応させトリクロルシランを製造する反応は、珪素の塩素化反応であるといえ、また、「トリクロルシラン」が「クロロシラン類」に包含されることは明らかであるから、甲1発明における「Fe、Ca、Al、Mn、Ni、Zr、O、C、Zn、Ti、B、P及びその他のような多数の混入元素であって、珪素の反応性能に影響を与え得る多数の混入元素を含有する冶金等級の珪素と、HClガスとを、…反応させることによってトリクロルシランを製造する」は、本件発明1における「金属シリコンの塩素化反応によりクロロシラン類を製造する」に相当する。 そうすると、本件発明1は、甲1発明と「金属シリコンの塩素化反応によりクロロシラン類を製造する、クロロシラン類の製造方法。」の点で一致し、以下の点で相違しているといえる。 <相違点1> 「金属シリコン」について、本件発明1は、ジルコニウム含有量(Zr%)が元素換算で35質量ppm以下であり、かつ、チタン含有量(Ti%)の前記ジルコニウム含有量(Zr%)に対する質量比率(Ti%/Zr%)が8.0以上である金属シリコンを使用しているのに対し、甲1発明では、クロムの含有量が特定されるとともに、混入元素としてジルコニウムやチタンを含み得るものの、具体的なジルコニウム含有量やチタン含有量のジルコニウム含有量に対する質量比率は特定されていない点。 <相違点2> 本件発明1では、金属シリコンの塩素化反応により得られた反応ガスは蒸留塔に移送されて精製されてなり、その蒸留塔への移送路の途中に、反応ガスを冷却液化するための熱交換器が設けられてなり、前記熱交換器が、シェルアンドチューブ式熱交換器であるのに対し、甲1発明では、珪素とHClガスとを反応させた後の工程が特定されていない点。 イ 前記相違点1、2に対する判断 (ア)まず、本件発明1における、金属シリコンの不純物組成や金属シリコンの塩素化反応後の工程に関する本件明細書の記載を確認すると、次のような開示がある。 「上記反応ガスの蒸留塔の移送路の途中には、高温の前記反応ガスを液化するための冷却用熱交換器が設けられ、ここで前記高温の反応ガスは10~40℃に冷却液化されるのが普通であるが、その際、ガスが流入する該熱交換器内の上流部壁面においてスケールが局所的に析出していた。(以下、熱交換器内の上流部壁面とは、ガスが流入する上部壁面を指す)。特に、この冷却用熱交換器として、冷却効率の良好さ等の観点からシェルアンドチューブ式熱交換器が使用されている場合には、該熱交換器内に配設された各冷却チューブの前記反応ガスの流入側端部が接続する固定用多孔板上に当該スケールが多量に析出し、前記冷却チューブ端部における小口径の開口部を閉塞させる問題が生じることがあった。」(【0012】) 「上記課題に鑑み、本発明者らは、前記反応ガスの移送路に設けられた熱交換器の上流部内壁へのスケール析出抑制策について鋭意検討を続けてきた。その結果、当該箇所で析出するスケールが、ジルコニウムを含有する特異組成を有することを突き止め、この知見をもとに、使用する前記金属シリコンについて、該ジルコニウム及びチタンが特定の範囲で低含有量のものを用いれば、その析出を大きく防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。」(【0014】) 「即ち、本発明は、金属シリコンの塩素化反応によりクロロシラン類を製造するに際し、上記金属シリコンとして、ジルコニウム含有量(Zr%)が元素換算で35質量ppm以下であり、且つチタン含有量(Ti%)の前記ジルコニウム含有量(Zr%)に対する質量比率(Ti%/Zr%)が8.0以上である金属シリコンを使用する、ことを特徴とするクロロシラン類の製造方法である。」(【0015】) 「本発明によれば、ジルコニウム含有量が特定範囲で、且つジルコニウムに対するチタンの質量比率も特定範囲である金属シリコンを使用することにより、その塩素化反応により生成されたクロロシラン類の反応ガスを、蒸留塔に移送するに際して、熱交換器の上流部内壁にスケールが析出することが大きく低減できる。この結果、前記熱交換器の冷却効率を高く維持でき、クロロシラン類を安定的に製造することが可能となる。また、該熱交換器がシェルアンドチューブ式熱交換器の場合には、反応ガスの流入側固定用多孔板に接続する各冷却チューブの端部開口部の閉塞も防止でき、クロロシラン類を安定的に製造することが可能になり、産業上極めて有用である。」(【0016】) (イ)前記(ア)の本件明細書の開示内容を踏まえると、本件発明1は、金属シリコンの塩素化反応により得られた反応ガスを冷却液化する工程において、シェルアンドチューブ式熱交換器を使用するとの構成の下で、ジルコニウム含有量が特定範囲(35質量ppm以下)で、かつ、ジルコニウムに対するチタンの質量比率も特定範囲(8.0以上)である金属シリコンを使用することによって、熱交換器の上流部内壁におけるスケール析出を抑制し、その結果、スケール析出に起因する冷却効率の低下及び冷却チューブの端部開口部の閉塞を防止し、クロロシラン類を安定的に製造することが可能となる、という技術的意義を有するといえる。 つまり、本件発明1では、金属シリコン中の不純物組成に関する構成と、金属シリコンの塩素化反応後の冷却液化工程における熱交換器の構成とが、スケール析出の抑制という作用効果において、相互に深く関連している。 そうすると、金属シリコン中の不純物組成に関する相違点1と、金属シリコンの塩素化反応後の工程に関する相違点2は、一体として検討するのが妥当である。 (ウ)以上を前提に、相違点1、2に係る本件発明1の構成の容易想到性につき一括して判断する。 a 甲1には、前記1(1)ウの表1~4に、実施例で用いた珪素試料A~Hの化学分析値が示されている。この中で、例えば珪素試料Aのジルコニウム含有量は11重量ppm、チタン含有量は227重量ppmであり、そうすると、チタン含有量のジルコニウム含有量に対する比率は20.6(=227重量ppm/11重量ppm)となる。そして、同重力下において「重量」と「質量」の値は一致するから、甲1には「ジルコニウム含有量(Zr%)が元素換算で35質量ppm以下であり、かつ、チタン含有量(Ti%)の前記ジルコニウム含有量(Zr%)に対する質量比率(Ti%/Zr%)が8.0以上」(以下、「特定の不純物組成」という。)を満たす金属シリコンが開示されている。一方、甲1においては、同ウの表2、表4に示されるとおり、「特定の不純物組成」を満たさない珪素試料C、D、Hも同じく実施例として使用されている。ここで、甲1においては、同イに、「今般、増大したクロム含量をもつ珪素は、それをHClとの反応によるトリクロルシランの製造法に使用する場合、高い選択性を与えることが認められた。」(【0008】)と記載されており、同ウに記載される実施例において、クロムを添加した珪素試料(試料A、試料C、試料D、試料F、試料Hのうちクロムを添加した試料)又はクロムで合金化された珪素試料(実施例3)のトリクロルシラン選択性の増加が確認されているように、甲1には、特定のクロム含有量を満たす金属シリコンを使用することでトリクロルシラン選択性が増加することは開示されているものの、金属シリコンの塩素化反応後の工程や当該工程でのスケール析出、前記スケール析出の抑制に関する記載はなく、珪素試料に含まれる各種金属元素のうち、前記スケール析出の抑制の観点から特にZr及びTiの含有量に着目することについての記載もない。前記(イ)で述べたとおり、本件発明1は、「特定の不純物組成」を有する金属シリコンを使用することによって、熱交換器の上流部内壁におけるスケール析出を抑制し、その結果、スケール析出に起因する冷却効率の低下及び冷却チューブの端部開口部の閉塞を防止し、クロロシラン類を安定的に製造することが可能となる、という技術的意義を有するものであるところ、金属シリコンの塩素化反応後の工程として、特定の工程を適用した上で、「特定の不純物組成」を有する金属シリコンを使用することで、前記特定の工程で用いられる熱交換器の上流部内壁におけるスケール析出を抑制することについて、甲1には記載も示唆もされていない。 そうすると、甲1発明において、金属シリコンの塩素化反応後の工程として特定の冷却手段を適用し、その上で、前記「特定の不純物組成」を満たす金属シリコンを選択して、相違点1及び2に係る本件発明1の構成とする動機付けがない。 b また、他の甲号証の記載を参照しても、金属シリコンの塩素化反応後の工程として、特定の工程を適用した上で、「特定の不純物組成」を有する金属シリコンを使用することで、特定の工程で用いられる熱交換器の上流部内壁におけるスケール析出を抑制することについては、記載も示唆もされていない。 c 甲2には、前記1(2)アの表2にいくつかのシリコンサンプルの化学分析結果が記載されており、マンガン含有量が高く50ppmw以上の比較例となるシリコンサンプルG~Iは、それぞれジルコニウム含有量が13ppmw、10ppmw、21ppmwであり、チタン含有量が150ppmw、200ppmw、260ppmwであり、チタン含有量のジルコニウム含有量に対する比率は、それぞれ11.5(=150ppmw/13ppmw)、20(=200ppmw/10ppmw)、12.4(=260ppmw/21ppmw)となる。そして、「ppmw」は、表2の「weight %」の記載を踏まえても「質量ppm」を意味しているといえるから、甲2には、前記「特定の不純物組成」を満たす金属シリコンが開示されている。しかしながら、金属シリコンの塩素化反応後の工程については開示されておらず、スケール析出やその抑制に関する記載や示唆はない。 d 甲3には、前記1(3)イ、ウに記載されるとおり、ケイ素をクロロシランに変換するクロロシラン製造反応器100からの、粉末のケイ素及びその他の固体、クロロシラン、水素、塩化水素、塩化アルミニウム、ならびにその他の金属塩化物を含む固体及び気体の混合物を含む流出物101が蒸留カラム160に送られ精製されるに際し、シェルアンドチューブ熱交換器105やシェルアンドチューブ熱交換器である熱除去手段121での冷却を経て、液体となったクロロシランが蒸留カラム160に送られる工程が開示されている。また、同(3)アの【0002】に、背景技術として、塩素を含有する気体と反応させクロロシランを製造するための、純粋でない冶金等級のケイ素が、アルミニウムやその他のいくつかの混入物質、例えばアンチモン、ホウ素、炭素、インジウム、ガリウム、リン、タリウム、錫、チタン、亜鉛、及びジルコニウムなど、を含むことは記載されている。しかしながら、混入物質の具体的な含有量は記載されておらず、金属シリコンの塩素化反応後の冷却液化工程でのスケール析出やその抑制に関する記載や示唆はない。さらに、引用文献A~Cの開示内容(同(7)アの【0031】、【0032】、【0034】、【0036】、同(8)イ、同(9)イの【0019】、【0022】)から、金属シリコンの塩素化により発生するクロロシラン類を、冷却凝縮後、蒸留して精製するに際し、冷却手段は、シェルアンドチューブ式熱交換器に限られず、直接冷却手段等も含む公知の冷却手段を用いることが本件出願時の技術常識であると認められるから、甲1発明において、必ずしも甲3に記載されたような工程が適用されるものではない。そうすると、甲3の記載を参照しても、甲1発明において相違点1及び2に係る本件発明1の構成とする動機付けがあるとはいえない。 e さらに、甲4~6に記載された事項をみても、金属シリコンの塩素化反応により得られた反応ガスを冷却液化する工程において、シェルアンドチューブ式熱交換器を使用するとの構成の下で、前記「特定の不純物組成」を満たす金属シリコンを使用する構成や、前記「特定の不純物組成」を満たす金属シリコンによる冷却液化工程でのスケール析出への影響を開示した証拠はない。 f そうすると、甲1発明において、金属シリコンの塩素化反応後の冷却液化工程において、シェルアンドチューブ式熱交換器を適用し、その上で、スケール析出を抑制することとなる、前記「特定の不純物組成」を満たす金属シリコンを選択する動機付けがあるとはいえない。 以上により、前記相違点1、2に係る本件発明1の構成は、当業者が容易に想到しうるものではない。 (エ)異議申立人は、特許異議申立書の22頁7行~23頁10行において、本件発明1は、金属シリコンの塩素化反応により得られた反応ガスは蒸留塔に移送されて精製されてなり、その蒸留塔への移送路の途中に、反応ガスを冷却液化するための熱交換器が設けられてなり、前記熱交換器が、シェルアンドチューブ式熱交換器であるのに対し、甲1発明は、これらの点については記載されていない点で、本件発明1と甲1発明は相違し、その相違に係る構成は甲3に記載されていると主張している。しかしながら、前記(イ)で述べたとおり、金属シリコン中の不純物組成に関する構成と、金属シリコンの塩素化反応後の冷却液化工程における熱交換器の構成とは、スケール析出の抑制という作用効果において相互に深く関連しており、これらの構成を分離して検討するのは妥当ではないところ、前記(ウ)で検討したとおり、甲1の記載事項から特定の珪素試料を選択した場合において、塩素化反応後に特定の工程を選択して適用する動機付けがあるとはいえないし、それによる効果を予測し得るという根拠もないから、上記異議申立人の主張は採用できない。 ウ 小括 前記イで述べたように、前記相違点1、2に係る本件発明1の構成は、当業者が容易に想到し得るものであるとはいえないから、本件発明1は、甲1発明及び甲2~6に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。 (2)本件発明2~7について 本件発明2~7は、本件発明1を直接又は間接的に引用し、少なくとも本件発明1の構成をすべて具備するものであるから、本件発明1と同様に、甲1発明及び甲2~6に記載の事項に基づいて当業者が容易に発明できたものであるとはいえない。 (3)申立理由1についてのまとめ 前記(1)、(2)で述べたように、申立理由1には理由がない。 第5 むすび 前記第4で検討したとおり、本件特許1~7は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるということはできず、同法第113条第2号に該当するものではないから、前記申立理由1では、本件特許1~7を取り消すことはできない。 また、他に本件特許1~7を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2026-700142

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