特許異議申立
2023-700878
情報処理装置、クライアント装置、プログラム、及び、情報処理方法
- 審判番号
- 2023-700878
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-537598
- 登録番号
- 7231545
- 請求日
- 2023年08月28日
- 審決日
- 2024年05月21日
- 公報発行日
- 2024年08月30日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 当事者
- 【権利者】株式会社 資生堂
- 【権利者代理人】成川 弘樹
- 【権利者代理人】木本 大介
- 【権利者代理人】大崎 絵美
- 【異議申立人】大薮 恭平
- 審判長/審判官
- 審判長 加々美 一恵
- 審判官 伊藤 幸仙
- 審判官 萩田 裕介
- 分類
- P1651.121-ZC (A61B) / P1651.536-ZC (A61B) / P1651.537-ZC (A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項特許法113条1項2号
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第1号、特許法第113条第1項第4号、特許法第29条第1項、特許法第113条第1項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7231545号発明「情報処理装置、クライアント装置、プログラム、及び、情報処理方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7231545号の請求項1,9~12,15及び16に係る特許を取り消す。
同請求項2~8,13及び14に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7231545号の請求項1ないし16に係る特許についての出願(以下、「本願」という。)は、2018年(平成30年)8月17日(優先権主張 平成29年8月22日)を国際出願日とする出願であり、令和5年2月20日にその特許権の設定登録がされ、令和5年3月1日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年 8月28日 : 特許異議申立人 大薮恭平(以下「申立人」
という。)による請求項1ないし16に
係る特許に対する特許異議の申立て
令和5年11月 7日付け: 取消理由通知書
令和6年 1月 5日 : 特許権者による意見書(以下「意見書1」
という。)の提出
同年 1月30日付け: 取消理由通知書(決定の予告)
同年 4月 1日 : 特許権者による意見書(以下「意見書2」
という。)の提出
第2 本件特許発明
本件特許発明は、特許第7231545号の特許掲載公報(令和5年3月1日発行)の【特許請求の範囲】に開示された、以下の請求項1ないし16に係る発明(以下「本件特許発明1」ないし「本件特許発明16」という。)である。
「【請求項1】
ユーザが浴びた紫外線の量を示す紫外線曝露量と、前記ユーザが過ごした環境の温度と、前記ユーザが過ごした環境の湿度と、を示す環境情報を取得する手段を備え、
前記ユーザを識別するユーザ識別情報と、前記環境情報を取得した日時と、前記環境情報と、を関連付けることにより、環境ログ情報として記憶する手段を備え、
前記取得された環境情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第1情報を提示する手段を備え、
前記環境ログ情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第2情報を提示する手段を備え、
前記第1情報は、ケアに適した商品に関するアドバイス、すぐにケア行動を行うことを促すメッセージ、すぐに行うべきケアの方法に関するアドバイス、及び、過去の肌状態を示す第1肌スコアの少なくとも1つを含み、
前記第2情報は、ケアに適した商品に関するアドバイス、就寝前にケア行動を行うことを促すメッセージ、就寝前に行うべきケアの方法に関するアドバイス、及び、未来の肌状態を示す第2肌スコアの少なくとも1つを含む、
情報処理装置。
【請求項2】
前記第1情報又は前記第2情報が前記ケア行動を含む場合、前記ユーザ識別情報と、前記ケア行動を識別するタスク識別情報と、を関連付けて記憶する手段を備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記ユーザから、前記ユーザが前記ケア行動を実施したことを示す指示を取得する手段を備え、
前記指示を取得した場合、前記タスク識別情報と、前記ケア行動が終了したことを示す情報と、を関連付けて記憶する手段を備える、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記ケア行動が終了したことを示す情報に基づいて、前記ユーザのケア行動の実施履歴を特定する手段を備え、
前記環境ログ情報及び前記実施履歴に基づいて、前記ユーザの将来の肌状態を推定する手段を備える、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記環境ログ情報に基づく前記ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段を備え、
前記推定された肌指標を提示する手段を備える、
請求項1~請求項4の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記ユーザの行動に関する行動情報の履歴を示す行動ログ情報を取得する手段を備え、
前記推定する手段は、前記環境ログ情報と、前記行動ログ情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記ユーザの心身に関する心身ログ情報を取得する手段を備え、
前記推定する手段は、前記環境ログ情報と、前記心身ログ情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する、請求項5又は請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
将来の環境の予測を示す環境予測情報を取得する手段を備え、
前記推定する手段は、前記環境ログ情報と、前記環境予測情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する、請求項5~請求項7の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記取得する手段は、前記環境情報を測定するように構成された測定装置から前記環境情報を取得する、請求項1~請求項8の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記紫外線曝露量が所定値以上である場合、通知メッセージを提示する手段を備える、請求項1~請求項9の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項11】
ウェアラブルデバイスから前記環境情報を取得する手段を備え、
前記ウェアラブルデバイスから取得した環境情報に基づいて、前記ウェアラブルデバイスを装着したユーザの肌のケアに関するアドバイスを提示する手段を備える、
請求項1~請求項9の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項12】
請求項1~請求項11の何れかに記載の情報処理装置と接続可能なクライアント装置であって、
ディスプレイを備え、
前記情報処理装置によって提示された第1情報及び第2情報を前記ディスプレイに表示する手段を備える、クライアント装置。
【請求項13】
ウェアラブルデバイスから前記環境情報を取得する手段を備え、
前記ウェアラブルデバイスから取得した環境情報に基づいて、前記ウェアラブルデバイスを装着したユーザの肌状態に関する肌指標を推定する手段を備え、
前記推定された肌指標を提示する手段を備える、
請求項1~請求項11の何れかに記載の情報処理装置。
【請求項14】
請求項13に記載の情報処理装置と接続可能なクライアント装置であって、
ディスプレイを備え、
前記情報処理装置によって提示された肌指標を前記ディスプレイに表示する手段を備える、クライアント装置。
【請求項15】
コンピュータを、請求項1~請求項14の何れかに記載の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項16】
コンピュータを用いて、ユーザに肌に関する情報を提示する情報処理方法であって、
ユーザが浴びた紫外線の量を示す紫外線曝露量と、前記ユーザが過ごした環境の温度と、前記ユーザが過ごした環境の湿度と、を示す環境情報を取得するステップを備え、
前記ユーザを識別するユーザ識別情報と、前記環境情報を取得した日時と、前記環境情報と、を関連付けることにより、環境ログ情報として記憶するステップを備え、
前記取得された環境情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第1情報を提示するステップを備え、
前記環境ログ情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第2情報を提示するステップを備え、
前記第1情報は、すぐにケア行動を行うことを促すメッセージ、すぐに行うべきケアの方法に関するアドバイス、及び、過去の肌状態を示す第1肌スコアの少なくとも1つを含み、
前記第2情報は、就寝前にケア行動を行うことを促すメッセージ、就寝前に行うべきケアの方法に関するアドバイス、及び、未来の肌状態を示す第2肌スコアの少なくとも1つを含む、
情報処理方法。」
第3 異議申立理由の概要
申立人は、証拠として以下の甲第1号証ないし甲第8号証を提出し、以下の異議申立理由(以下「異議申立理由1ないし3」という。)によって、本件特許発明1ないし16に係る特許を取り消すべきものである旨を主張している。
1.異議申立理由
異議申立理由1.特許法第29条第2項(進歩性違反)について
本件特許発明1ないし16は、甲第1ないし第7号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許は特許法第113条第1項第2号の規定により取消されるべきである。
異議申立理由2.特許法第36条第4項第1号(実施可能要件違反)について
本件特許発明1ないし16は、発明の詳細な説明に当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されている発明ではなく、特許法第36条第4項第1号の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許は特許法第113条第1項第4号の規定により取消されるべきである。
異議申立理由3.特許法第36条第6項第1号(サポート要件違反)について
本件特許発明1ないし16は、発明の詳細な説明において「発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲」を超えるものであって、特許法第36条第6項第1号の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許は特許法第113条第1項第4号の規定により取消されるべきである。
2.証拠方法
甲第1号証:特開2002-41959号公報
甲第2号証:特開2011-128922号公報
甲第3号証:特開2012-211886号公報
甲第4号証:特開2006-285451号公報
甲第5号証:”BE470 BLOG, UV Smartwatch: Reverse Engineering”,[online],BE470RA,インターネット<URL:https://be470site.wordpress.com/2016/05/10/uv-smartwatch-reverse-engineering/>
甲第6号証:”MailOnline, Never get caught out by the weather again! Wearable sensor measures humidity and temperature in a person's precise location”,[online],SARAH GRIFFITHS,インターネット<URL:https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-2661326/Never-caught-weather-Wearable-sensor-sends-real-time-humidity-temperature-readings-phone.html>
甲第7号証:「CliMate User Guide」
甲第8号証:令和4年9月12日に本願の審査過程において出願人が特許庁に提出した意見書
甲第5号証は、上記ウェッブ出力物の写しであり、令和5年8月28日付特許異議申立書(以下「異議申立書」という。)第20頁の内容も踏まえると、2016年5月10日に最初に公開されたものであるから、上記ウェッブ出力物の写しの内容は、本願の優先日前の2017年8月22日には公知になっていたものといえる。
甲第6号証は、上記ウェッブ出力物の写しであり、異議申立書第22頁の内容も踏まえると、2014年6月18日13時36分に最初に公開され、その後、同年6月18日13時48分に更新されたものであるから、上記ウェッブ出力物の写しの内容は、本願の優先日前の2017年8月22日には公知になっていたものといえる。
甲第7号証は、上記甲第5号証及び甲第6号証のウェッブ記事で紹介された「CliMate」のユーザーマニュアルであり、上記甲第6号証の「CliMate」の紹介記事及び異議申立書第25頁の内容も踏まえると、上記甲第6号証の紹介記事が公開された2014年6月18日までには、公衆に利用可能となっていたと認められる。
第4 取消理由の概要
当審にて、令和6年1月30日付けで特許権者に通知した取消理由通知(決定の予告)の概要は以下のとおりである。
取消理由1(新規性)
本件特許発明1,9,12,15及び16は、甲第4号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。したがって、本件特許発明1,9,12,15及び16に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
取消理由2(進歩性)
本件特許発明1,2,9ないし12,15及び16は、甲第4号証に記載された発明及び甲第1号証に記載された発明に基づいて、本願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許発明1,2,9ないし12,15及び16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
<引用文献等一覧>
1.特開2006-285451号公報(甲第4号証)
2.特開2002-41959号公報(甲第1号証)
第5 甲号証の記載
1.甲第1号証
本願の優先日前に頒布された、特開2002-41959号公報(甲第1号証)には、図面と共に以下の技術事項が記載されている。(下線は当審で付与した。以下同様。)
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特に肌の老化やシミ、そばかす、日焼けの原因となる紫外線の被曝に対して、適切な肌のケア方法をアドバイスし得る肌のケア方法のアドバイスシステム、および、当該肌のケア方法の入手システムに関する。」
(2)「【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を好ましい実施形態を挙げて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る肌のケア方法のアドバイスシステムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る肌のケア方法のアドバイスシステムは、大きく分けて、アドバイス情報提供側装置と、顧客側装置とから構成されている。
【0023】前記アドバイス情報提供側装置は、顧客が身につけた測定装置12から得られる紫外線被曝量情報を入手する情報入手手段14と、前記紫外線被曝量情報に応じた肌のケア方法のアドバイス情報を提供するアドバイス情報提供手段16と、入手した前記紫外線被曝量情報をアドバイス情報提供手段に出力しかつアドバイス情報を入手して、該アドバイス情報を顧客側に提示するために、前記アドバイス情報を出力する処理手段18と、を含んで構成されている。一方、前記顧客側装置は、測定装置12と、前記アドバイス情報が出力される出力手段20と、を含んで構成されている。情報入手手段14は処理手段18と接続され、処理手段18はアドバイス情報提供手段16と接続されている。また、情報入手手段14は測定装置12と接続され、処理手段18は出力手段20と接続されている。
【0024】これらのアドバイス情報提供側装置および顧客側装置のそれぞれは、コンピュータを含んで構成することができる。この場合、情報入手手段14、アドバイス情報提供手段16、処理手段18の各々をコンピュータで構成して接続してもよく、1つのコンピュータで構成して、機能ブロック的に分類構成してもよい。
【0025】また、本実施形態では、アドバイス情報提供側装置と、顧客側装置とは、インターネット等によりネットワーク接続することが可能である。この場合、アドバイス情報提供側装置はサーバ・コンピュータとして機能し、顧客側装置はクライアント・コンピュータとして機能する。クライアント・コンピュータの端末としては、有線の端末であってもよいが、無線の、いわゆる携帯端末であっても差し支えない。該携帯端末としては、携帯電話器と兼用の複合機であってもよい。」
(3)「【0033】紫外線被曝量測定手段24で測定された紫外線の量および種類のデータは、瞬間的なものであり、これを情報入手手段14で入手するに適した紫外線被曝量情報とするには、前記データを蓄積して経時的なデータとしておくことが望まれる。そのため測定装置12には、図2に示すように紫外線被曝量測定手段24の他、紫外線被曝量測定手段24により得られる紫外線の量および種類のデータを記憶する被曝量記憶手段26が含まれることが望ましい。
【0034】被曝量記憶手段26は、好ましくは時計機能が内蔵されており、時間ごとの前記データを連続的に、あるいは適当な時間間隔で断続的に蓄積し、紫外線被曝量情報として記憶する。蓄積された紫外線被曝量情報は、そのままの状態で記憶されてもよいが、所定時間ごと、所定日数ごとに紫外線被曝量の積算値データとして、あるいは該積算値データとともに記憶されてもよい。
【0035】被曝量記憶手段26に記憶された紫外線被曝量情報は、所定の時間間隔で、あるいは、任意の時間間隔で、送信手段28によりアドバイス情報提供者側に属する情報入手手段14に送信される。」
(4)「【0041】測定装置12としては、図5に示すように、前記紫外線被曝量の他の物理量を測定し得る物理量測定手段30をさらに備えるものとすることもできる。他の物理量としては、気温、湿度等の環境物理量や、顧客の運動量、顧客の肌の状態を挙げることができる。気温は温度計として、湿度は湿度計として、それぞれ公知のものをそのまま物理量測定手段30に適用することができる。また、顧客の運動量を測定するための物理量測定手段30としては、公知の歩数計をそのまま適用することができる。すなわち、ブローチ52等に内蔵された測定装置12に、温度計、湿度計、あるいは歩数計の機能をさらに備えるものとすることで、所望の他の物理量を測定することができる。
【0042】顧客の肌の状態を監視(測定)するための物理量測定手段30としては、具体的には、肌の水分量・油分量の測定や、肌の色、肌理、角質状態の測定をし得る測定手段が挙げられる。この場合、物理量測定手段30は、測定装置12と一体となっていても、別体であっても構わない。また、検知紙などにより測定したものを顧客が測定装置12に入力できるようにしておいてもよい。物理量測定手段30で測定された他の物理量は、紫外線被曝量と同様に、物理量情報として被曝量記憶手段26に記憶され、送信手段28によりアドバイス情報提供側へ送信される。
【0043】測定装置12の好ましい態様としては、以上の如きものが挙げられ、アドバイス情報提供側に属する情報入手手段14では、送信手段28から送信された紫外線被曝量情報(場合によっては、さらに他の物理量情報。以下、単に「紫外線被曝量情報」といった場合、特に断りがない限り同じ。)が入手される。なお、情報入手手段14における紫外線被曝量情報の入手は、前記被曝量記憶手段26に記憶された紫外線被曝量情報を、顧客が適当な手段により、紙やフロッピーディスク等の記録媒体に記録した上で、これをアドバイス情報提供者側が受け取り情報入手手段14に入力することもできる。この場合、情報入手手段14は、キーボード等の入力装置や、記録媒体読取装置を備えることで実現できる。
【0044】情報入手手段14で入手した紫外線被曝量情報は、処理手段18によりアドバイス情報提供手段16に出力される。このとき紫外線被曝量情報以外の顧客の個別情報を併せて出力することが望ましい。この場合の肌のケア方法のアドバイスシステムの構成を示すブロック図は、図6に示すようになる。すなわち、アドバイス情報提供側にさらにメモリー22が備えられ、該メモリー22中の記憶手段に顧客の個別情報を予め記憶させておき、入手した前記紫外線被曝量情報をアドバイス情報提供手段16に出力する際に、記憶された前記個別情報を併せて出力する。メモリー22としては、コンピュータに内蔵されたハードディスクや、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-R等の記録媒体が挙げられる。
【0045】顧客の個別情報としては、具体的には、血液型や性別、近親者の既往症等の遺伝的特性;かさかさ肌、がさつき肌、脂性、肌の色、汗かき症等の肌の性質;身長、体重、体型、体脂肪率等の身体的特徴;現在の体調、既往症の有無、アレルギーの有無、持病の有無等の健康状態;住居、職業、通勤(通学)手段および時間、日常の運動量等の生活環境;現在の肌のケア内容(使用している化粧品を含む)、過去の肌のケア内容、過去の紫外線被曝量情報およびそれによるアドバイス情報の内容、過去の肌の状態等のケア状況の履歴;年齢;等を挙げることができる。
【0046】前記顧客の個別情報は、顧客から適宜適当な手段(ネットワークを介して、郵便等により書面で、電話等により口頭で、等いずれでもよい)により入手した上で記憶手段22に入力するか、顧客が直接ネットワークおよび情報入手手段14を介して記憶手段22に入力する。
【0047】また、図6に示すようにアドバイス情報提供者側にさらにメモリー22を備える構成とすれば、メモリー22の蓄積手段に情報入手手段14において顧客から入手した紫外線被曝量情報を蓄積しておき、処理手段18において、前記蓄積された紫外線被曝量情報を、所定の時間間隔でアドバイス情報提供手段16へ出力することができる。このように、ある程度情報量が蓄積した段階でアドバイス情報提供手段16へ出力することで、より適切な肌のケア方法のアドバイス情報を入手することができる。また、それまでの肌のケア方法による効果を確認しながら適切に肌のケア方法を顧客にアドバイスすることができる。図6におけるメモリー22は、顧客の個別情報を記憶する前記記憶手段と、紫外線被曝量情報の蓄積する前記蓄積手段と、のいずれか一方を備えるものであってもよいし、双方とも備えるものであってもよい。
【0048】アドバイス情報提供手段16では、入力された紫外線被曝量情報に応じた肌のケア方法が導出できるようになっており、処理手段18により、紫外線被曝量情報が入力されると、アドバイス情報が処理手段18に出力される。例えば、紫外線被曝量情報と肌のケア方法とが対応されたテーブルを記録しておき、このテーブルを参照することで、アドバイス情報を出力することができる。
【0049】アドバイス情報提供手段16は、コンピュータに過去の種々の肌のデータ、化粧料や医薬品等のケア製品(顔面パックを含む)のデータ(使用法、使用量、効能等)、紫外線被曝量や他の物理量と肌のダメージとの相関、等が蓄積され、処理手段18により紫外線被曝量情報を出力すると、それに対応した肌のケア方法のアドバイス情報が入手できるようになっている。また、場合によっては、処理手段18により紫外線被曝量情報が出力された際、コンピュータに蓄積された上記種々のデータから所定の情報が導出され、これにアドバイス情報提供者側の知見に基づくノウハウを加味した上で処理手段18に肌のケア方法のアドバイス情報が出力される構成としてもよい。
【0050】さらに、気象庁や天気予報会社から得られる翌日以降の天気予報、詳しくは紫外線照射量の予測もアドバイス情報を導出する際のデータとして利用することができる。天気予報(紫外線照射量の予測)のデータは、既述のメモリー22に、顧客の個別情報を記憶する前記記憶手段および紫外線被曝量情報の蓄積する前記蓄積手段とともに、気象庁や天気予報会社から送られてきたデータを記憶させておき、アドバイス情報提供手段16に紫外線被曝量情報を出力する際に、併せて出力する構成としてもよいし、アドバイス情報提供手段16に直接気象庁や天気予報会社から送られてきたデータを加味した上で、アドバイス情報を導出する構成としてもよい。
【0051】処理手段18は、アドバイス情報提供手段16から入手したアドバイス情報を顧客側に提示するために、前記アドバイス情報を出力する。本実施形態において、出力は、顧客の個人用情報端末としての出力手段20に為される。当該出力されたアドバイス情報を受け取ることにより、顧客は、紫外線被曝量に応じた適切な肌のケア方法を入手することができる。
【0052】出力手段20としては、本実施形態の如く、顧客の個人用情報端末であることが好ましい。この場合、出力手段20であるクライアント・コンピュータと、アドバイス情報提供者側に属する処理手段18として機能するサーバ・コンピュータと、が同じネットワークに接続され、処理手段18として機能するサーバ・コンピュータは、前記ネットワークを介して情報端末としての出力手段20に、前記アドバイス情報を送信する。このようにネットワークを介することで、離れたところにいる顧客に対してもより早く、適切に肌のケア方法をアドバイスすることができる。また、顧客は自己が所有する(もしくは貸与された)コンピュータ等の個人用情報端末により肌のケア方法のアドバイス情報を即座に受信することができるため、紫外線被曝量に応じた適切なケアを直ちに実施することができる。
【0053】個人用情報端末としては、インターネットに接続された家庭用のパーソナル・コンピュータ等有線の端末であってもよいが、無線の、いわゆる携帯端末であっても差し支えない。該携帯端末としては、携帯電話器と兼用の複合機であってもよい。携帯端末とする場合には、顧客側の送信手段28と兼用であってもよい。出力手段20と送信手段28とを兼用にすることで、顧客としては、肌のケア方法の入手システムにおける送受信を、1つの携帯端末で行うことができ、簡便である。」
(5)「【0063】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。肌のケア方法のアドバイスシステムとして、図6に示されるブロック図の構成を用いた。また、顧客側に属する測定装置12としては、図4に示されるブロック図の構成を用いた。すなわち、測定装置12には、紫外線被曝量測定手段24と被曝量記憶手段26とが内蔵されている。
【0064】測定装置12は、図3の52に示されるブローチに内蔵されたものを用いた。紫外線被曝量測定手段24ではUV-Bの被曝量が測定可能であり、時計機能を内蔵した被曝量記憶手段26により、UV-Bの被曝量の経時データが連続的に記憶される。
【0065】顧客は、外部に露出する顔面および左右の腕に、SPF値15の紫外線吸収能を有する化粧料を適量塗り込み、胸にブローチ52を取り付けた状態で、午前8時に測定装置12の電源を入れて外出し、12時間後の午後8時に帰宅した。この12時間の行動中に顧客が被曝したUV-Bの量が、被曝量記憶手段26に記憶された。具体的には、積算で100J/cm2であった。
【0066】顧客は、帰宅後すぐに胸からブローチ52を取り外し、ブローチ52に内蔵された測定装置12と、自宅のパーソナルコンピュータとを、専用のケーブルで接続し、前記パーソナルコンピュータの記憶装置(ハードディスク等)へ、被曝量記憶手段26に記憶された紫外線被曝量情報(実施例において、「紫外線被曝量情報」というときは、他の物理量情報を含まない紫外線のみの被曝量の情報を指す。)を入力した。
【0067】前記パーソナルコンピュータは、図4における送信手段28、および、図6における出力手段20として機能するものである。前記パーソナルコンピュータは、クライアント・コンピュータとして、アドバイス情報提供者側に属する情報入手手段14、処理手段18、アドバイス情報提供手段16、およびメモリー22として機能するサーバ・コンピュータと、ネットワークで接続されている。
【0068】前記サーバ・コンピュータのメモリー22には、顧客からの個別情報として、自分のスキンタイプ(日本化粧品工業連合会)がI[非常に日焼け(赤くなる)しやすいが、決して黒くならない]であることが、予め記憶されている。また、紫外線被曝量情報とともに、本日はSPF値(日本化粧品工業連合会)15の紫外線吸収能を有する化粧料を用いていたことが記憶されている。さらに過去の結果から、顧客が肌に紅斑や浮腫などの炎症(サンバーン)を起こすに必要な最小の紫外線量として定義される最小紅斑量(Minimal ErythemaDose:MED)が5J/cm2であることが判明しており、記憶されている。なお、メモリー22は前記サーバ・コンピュータに内蔵されたハードディスクを使用した。
【0069】前記サーバ・コンピュータには、アドバイス情報提供手段16として機能する演算部が含まれる。演算部では、スキンタイプに応じて、使用した化粧料のSPF値と、日焼けするまでの紫外線被曝量と、の相関関係が対応表として蓄積されており、皮膚が日焼けを起こすまでの紫外線被曝量等を演算する。
【0070】顧客が、前記パーソナルコンピュータの記憶装置から、送信手段28により前記紫外線被曝量情報を送信すると、ネットワークを介して、サーバ・コンピュータの情報入手手段14が前記紫外線被曝量情報を入手する。サーバ・コンピュータの処理手段18では、情報入手手段14における前記紫外線被曝量情報の入手と同時に、メモリー22に記憶された顧客のスキンタイプおよび用いている化粧料のSPF値を読み出し、前記紫外線被曝量情報にこれら個別情報を併せてアドバイス情報提供手段16として機能する演算部に出力する。
【0071】演算部では、得られた情報から、顧客が本日の紫外線被曝により紅斑などのサンバーン症状を引き起こすかどうかを演算する。すると、本日の紫外線被曝量100J/cm2に後述する安全係数を掛けたものが、SPF値15およびMED5J/cm2の積である75と比較して大きいことから、顧客にはサンバーン症状が発現するものと予想された。
【0072】一方、気象庁からの情報により、翌日の天気は、本日の天気と同様であることが予想されることから、翌日もしも本日と同一の化粧料を使用し、かつ、本日と同様の行動をとった場合には、再びサンバーン症状を引き起こすものと推定された。この場合、サンバーン症状を防ぐためには、新たに用いる化粧料のSPF値と顧客のMEDとの積が、予想される紫外線被曝量より十分に大きくなければならない。これは、顧客が化粧料を肌上に塗布した後、経時によりその効力が徐々に失われること、またSPF値の測定に使われた化粧料の塗布量と、実際に顧客が肌上に塗布する塗布量とが異なっており、一般的には後者の方が少ないことが主な原因である。
【0073】したがって安全係数、言い換えれば、どの程度大きい値を採るべきかの倍数は、これらの情報から推定することができる。これらの情報は、一般的な顧客の分析から一意に決めることも可能ではあるが、好ましくは顧客本人自身の分析により決めることができ、より好ましくは、過去の顧客本人自身の紫外線被曝量と日焼け症状発現実績の分析から決めることができる。ここで安全係数を2とすると、顧客が翌日使用すべき化粧料のSPF値は、40以上であることが演算された。このようにして、アドバイス情報が導出される。
【0074】処理手段18は、以上のようにして導出されたアドバイス情報を入手すると、今度は、出力手段20として機能する顧客側の前記パーソナルコンピュータに、得られたアドバイス情報をネットワークを介して送信し、出力する。すると前記パーソナルコンピュータのディスプレイ上には、以下のアドバイス情報が表示される。
【0075】「本日は紫外線を浴びすぎています。今夜、お肌にサンバーン症状が生じる可能性があります。日焼け後のお手入れを十分にしてからお休み下さい。明日も同じような天気が予想されますから、日焼けを防ぐには、SPF値40以上の化粧料をお使いになるか、日傘などの日よけをお使いになることをお勧めします。外出を最小限に控えることも有効でしょう。」
【0076】以上のようにして、アドバイス情報提供者側は、紫外線被曝量に応じた適切な肌のケア方法を顧客にアドバイスすることができ、一方顧客は、自宅に居ながらにして、紫外線被曝量に応じた適切な肌のケア方法を入手することができた。」
(6)「【図3】
[図:0001413327000001.jpg]
」
(7)「【図4】
[図:0001413327000002.jpg]
」
(8)「【図5】
[図:0001413327000003.jpg]
」
(9)「【図6】
[図:0001413327000004.jpg]
」
(10)上記(2)ないし(6)及び(9)から、「アドバイス情報提供側装置は、顧客が身につけた測定装置12から得られる紫外線被曝量情報を入手する情報入手手段14と、前記紫外線被曝量情報に応じた肌のケア方法のアドバイス情報を提供するアドバイス情報提供手段16と、入手した前記紫外線被曝量情報をアドバイス情報提供手段に出力しかつアドバイス情報を入手して、該アドバイス情報を顧客側に提示するために、前記アドバイス情報を出力する処理手段18と、メモリー22と、を含んで構成され、情報入手手段14は、メモリー22と処理手段18とに接続され、処理手段18は、メモリー22とアドバイス情報提供手段16と接続され、
顧客側装置は、測定装置12と、前記アドバイス情報が出力される出力手段20と、を含んで構成され、測定装置12は情報入手手段14と接続され、出力手段20は処理手段18と接続され」ることが認められる。
(11)上記甲第1号証の記載事項及び図面を総合勘案すると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「アドバイス情報提供側装置と、顧客側装置とから構成される、肌のケア方法のアドバイスシステム及びそれを用いた方法において、
前記アドバイス情報提供側装置は、顧客が身につけた測定装置12から得られる紫外線被曝量情報を入手する情報入手手段14と、前記紫外線被曝量情報に応じた肌のケア方法のアドバイス情報を提供するアドバイス情報提供手段16と、入手した前記紫外線被曝量情報をアドバイス情報提供手段に出力しかつアドバイス情報を入手して、該アドバイス情報を顧客側に提示するために、前記アドバイス情報を出力する処理手段18と、メモリー22と、を含んで構成され、情報入手手段14は、メモリー22と処理手段18とに接続され、処理手段18は、メモリー22とアドバイス情報提供手段16と接続され、
前記顧客側装置は、測定装置12と、前記アドバイス情報が出力される出力手段20と、を含んで構成され、測定装置12は情報入手手段14と接続され、出力手段20は処理手段18と接続され、
測定装置12は、ブローチ52に内蔵されたものを用い、紫外線被曝量測定手段24と被曝量記憶手段26とが内蔵され、気温、湿度等の環境物理量を測定しうる温度計や湿度計、あるいは顧客の運動量を測定し得る歩数計などの物理量測定手段30をさらに備え、紫外線被曝量測定手段24ではUV-Bの被曝量が測定可能であり、時計機能を内蔵した被曝量記憶手段26により、UV-Bの被曝量の経時データが連続的に、あるいは適当な時間間隔で断続的に蓄積し、物理量測定手段30で測定された他の物理量情報とともに紫外線被曝量情報として記憶され、
情報入手手段14では、測定装置12の送信手段28から送信された紫外線被曝量情報が入手され、
メモリー22では、メモリー22の蓄積手段に情報入手手段14において顧客から入手した紫外線被曝量情報を蓄積し、メモリー22の記憶手段に顧客の個別情報を記憶し、顧客の個別情報としては、具体的には、血液型や性別、近親者の既往症等の遺伝的特性;かさかさ肌、がさつき肌、脂性、肌の色、汗かき症等の肌の性質;身長、体重、体型、体脂肪率等の身体的特徴;現在の体調、既往症の有無、アレルギーの有無、持病の有無等の健康状態;住居、職業、通勤(通学)手段および時間、日常の運動量等の生活環境;現在の肌のケア内容(使用している化粧品を含む)、過去の肌のケア内容、過去の紫外線被曝量情報およびそれによるアドバイス情報の内容、過去の肌の状態等のケア状況の履歴;年齢;等が含まれ、また、メモリー22に、気象庁や天気予報会社から送られてきた天気予報(紫外線照射量の予測)のデータを記憶させておき、
メモリー22からの、紫外線被曝量情報、顧客の個別情報及び天気予報(紫外線照射量の予測)のデータが、処理手段18によりアドバイス情報提供手段16に出力され、
アドバイス情報提供手段16では、入力された、紫外線被曝量情報、顧客の個別情報及び天気予報(紫外線照射量の予測)のデータに応じた肌のケア方法が導出できるようになっており、処理手段18により、紫外線被曝量情報が入力されると、アドバイス情報が処理手段18に出力され、
処理手段18は、アドバイス情報提供手段16から入手したアドバイス情報を顧客側に提示するために、前記アドバイス情報を顧客の個人用情報端末としての出力手段20に出力し、
顧客は、出力手段20に出力されたアドバイス情報を受け取ることにより紫外線被曝量に応じた適切な肌のケア方法を入手することができ、
これらのアドバイス情報提供側装置および顧客側装置のそれぞれは、コンピュータを含んで構成することができ、この場合、情報入手手段14、アドバイス情報提供手段16、処理手段18の各々をコンピュータで構成して接続してもよく、1つのコンピュータで構成して、機能ブロック的に分類構成してもよく、
また、アドバイス情報提供側装置と、顧客側装置とは、インターネット等によりネットワーク接続することが可能であり、この場合、アドバイス情報提供側装置はサーバ・コンピュータとして機能し、顧客側装置はクライアント・コンピュータとして機能し、クライアント・コンピュータの端末としては、有線の端末であってもよいが、無線の、いわゆる携帯端末であっても差し支えなく、該携帯端末としては、携帯電話器と兼用の複合機であってもよく、
アドバイス情報提供手段16では、例えば紫外線被曝量情報と顧客の個別情報と気象庁からの情報とから、「本日は紫外線を浴びすぎています。今夜、お肌にサンバーン症状が生じる可能性があります。日焼け後のお手入れを十分にしてからお休み下さい。明日も同じような天気が予想されますから、日焼けを防ぐには、SPF値40以上の化粧料をお使いになるか、日傘などの日よけをお使いになることをお勧めします。外出を最小限に控えることも有効でしょう。」というアドバイス情報を導出して処理手段18に出力し、処理手段18は、以上のようにして導出されたアドバイス情報を入手すると、今度は、出力手段20として機能する顧客側の前記パーソナルコンピュータに、得られたアドバイス情報をネットワークを介して送信し、出力する、
肌のケア方法のアドバイスシステム及びそれを用いた方法。」
2.甲第2号証
本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2011-128922号公報(甲第2号証)には、以下の技術事項が記載されている。
(1)「【請求項1】
データベースと、ユーザ端末とを含み、データ解析用プログラムが組み込まれたコンピュータシステムによる美容サポートシステムであって、
前記データベースに蓄積された、美容状態とその対応策に関するデータを含む多数の者の入力データの集合に基づいて、各者が属すべき複数の美容状態グループを生成する美容状態グループ生成手段と、前記入力データの集合に基づいて、生成された各美容状態グループに属する者の美容状態とその対応策に関するデータ中の美容意識や美容行動に関する複数の特性から各美容状態グループに属する者に特徴的な特性を美容状態グループについての推奨美容項目データとする推奨美容項目データ生成手段と、前記ユーザ端末から入力された対象者の美容状態とその対応策に関するデータに基づいて、当該対象者が属する美容状態グループを特定する美容状態グループ特定手段と、特定された美容状態グループの推奨美容項目データを前記ユーザ端末に推奨美容行動として提示する推奨美容行動提示手段とを備えており、
且つ、前記美容状態グループ生成手段は、新たに入力された対象者の美容状態とその対応策に関するデータを前記多数の者の入力データの集合に追加して得られた入力データの更新後集合に基づいて、美容状態グループを更新可能となっており、
前記推奨美容項目データ生成手段は、新たに入力された対象者の健康状態とその対応策に関するデータを追加して得られた入力データの更新後集合に基づいて、各美容状態グループについての推奨美容項目データを更新する美容サポートシステム。」
(2)「【0010】
本発明は、データ解析用プログラムが組み込まれたコンピュータを用いて、経時的な変化を反映させて対象者が属すべき複数の美容状態グループを適正に生成することができると共に、経時的な変化を反映させて対象者が行うべき推奨美容項目データを適正に提示することのできる美容サポートシステム及び美容サポート方法を提供することを目的とする。」
(3)「【0047】
各対象者は、設定・入力した美容行動目標を遂行する。美容行動目標の遂行に際して、ユーザ端末12では、通信ネットワーク30を介して接続する美容指導者端末による介入を受けて、各対象者が美容行動目標の遂行度に応じて美容指導者からのアドバイスや指導を適宜受けることが可能である(ステップB4)。
【0048】
また、各対象者は、美容行動目標の遂行度とともに、遂行度に応じた自身の美容状態とその対応策に関する測定データや、自身が実際に行った美容行動に関するデータ等を、ユーザ端末12に経時的に入力する(ステップB5)。入力された経時的なデータは、例えばユーザ端末12のデータ記憶部に記憶されると共に、一定期間経過後に、蓄積されたこれらのデータは、ステップB2で入力された美容行動目標と共に、コンピュータ11のデータベース14にフィードバックされる(ステップB6)。フィードバックされたこれらのデータは、データベース14によって収集され、美容状態グループ生成手段15や推奨美容項目データ生成手段16で美容状態グループデータや推奨美容項目データ等を更新するためのデータとして使用されると共に、後述する差分算出手段18において、推奨美容項目データの重み付けを行うためのデータとして用いられることになる。」
3.甲第3号証
本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2012-211886号公報(甲第3号証)には、以下の技術事項が記載されている。
(1)「【請求項1】
人物毎に少なくとも2つの日にメラニン量を測定し、該メラニン量を人物データとして顧客情報データベースに蓄積して記憶するメラニン量測定工程と、
前記メラニン量測定工程により1人の人物についてメラニン量を測定した日の間を測定期間として、該測定期間における該人物のメラニンの変化量と気象データベースに蓄積して記憶された紫外線照射量とから、該測定期間における単位紫外線照射量当りのメラニン変化量を該人物のメラニン合成能力として算出するメラニン合成能力演算工程と、
を備えることを特徴とするメラニン合成能力評価方法。
【請求項2】
請求項1記載のメラニン合成能力評価方法を用いる美容アドバイス方法であって、
人物毎に入力された前記測定期間における内的要因を、人物データとして前記顧客情報データベースに蓄積して記憶する顧客情報入力工程と、
被検者についてメラニン量を測定した前記測定期間に対応する、前年以前の期間を参照期間として、前記顧客情報データベースに記憶されている人物データと前記気象データベースに記憶されている紫外線照射量とに基づき、少なくとも該参照期間における前記メラニン合成能力が前記被検者の前記メラニン合成能力と近い1又は2以上の人物を参照人物として抽出する適合情報検索工程と、
前記被検者の所定の将来期間に対応する、前年以前の期間を将来参照期間として、前記顧客情報データベースに記憶されている人物データと前記気象データベースに記憶されている紫外線照射量とに基づき、前記適合情報検索工程により抽出された前記参照人物について、該将来参照期間における前記メラニン合成能力に影響度が高かった前記内的要因を影響要因として抽出する将来予測工程と、
を備えることを特徴とする美容アドバイス方法。
・・・
【請求項5】
前記内的要因は、年齢、肌質、月経周期、生活習慣、紫外線対策、スキンケア及びストレスレベルのうちの1又は2以上を含み、
前記顧客情報入力工程は、前記内的要因毎の程度を数値化した内的要因スコアを作成して、該内的要因スコアを人物データとして前記顧客情報データベースに蓄積して記憶する請求項2乃至4のいずれかに記載の美容アドバイス方法。
・・・」
(2)「【0010】
本発明は、前記現状に鑑みてなされたものであり、様々な外的要因及び内的要因によって誘起された個人のメラニン合成が現在どの段階にあるかを知ることができ、その個人のメラニン合成能力を評価することができ、更にその個人のメラニン合成能力に合わせたスキンケア及び生活習慣を含む美容アドバイスを行うと共に将来のメラニン量の変動を予測することが可能な、メラニン合成能力評価及び美容アドバイスの方法等を提供することを目的とする。」
(3)「【0023】
前記「外的要因」とは、人物のメラニン合成に影響を及ぼす気象(例えば、気温、湿度、天気、紫外線照射量)等を意図している。
前記「内的要因」とは、メラニン合成に影響を及ぼす人物の状態(例えば、年齢、生活地域、肌質、紫外線に対する意識(紫外線対策)、スキンケア、月経周期、生活習慣、ストレスレベル)等を意図している。
本発明において、外的要因としてどの事項を用いるか、また内的要因としてどの事項を用いるか、は特に限定されない。例えば、外的要因を紫外線照射量とすることができる。また、内的要因を、年齢、肌質、月経周期、生活習慣、紫外線対策、スキンケア及びストレスレベルのうちの1又は2以上を含むものとすることができる。」
4.甲第4号証
本願の優先日前に頒布された刊行物である特開2006-285451号公報(甲第4号証)には、図面と共に以下の技術事項が記載されている。
(1)「【0001】
本発明は、化粧品カウンセリングシステムに関し、特に、ユーザの平均的な肌状態に適合した化粧品を選定することのできる化粧品カウンセリングシステム、サーバ及びカウンセリングプログラムに関する。」
(2)「【0015】
上記目的を達成するための本発明は、通信回線を介して、ユーザの端末と、ユーザの端末へ化粧品のカウンセリング情報を送信するサーバが接続された化粧品カウンセリングシステムであって、前記ユーザの端末に接続された肌状態測定装置による肌状態の測定と、前記肌状態の測定データの前記サーバへの送信を所定回数繰り返し、前記サーバで、前記送信された肌状態の測定データを平均した平均肌状態データを生成し、前記平均肌状態データに基づいて前記ユーザに適合する化粧品を選定することを特徴とする。
【0016】
また、前記肌状態の測定が行われる環境の測定データを前記ユーザの端末から前記サーバへ繰り返して送信し、前記サーバで前記送信された環境の測定データを平均した平均環境データを生成し、前記平均肌状態データに加えて前記平均環境データを前記化粧品の選定に使用することを特徴とする。」
(3)「【0115】
以下、本発明の第2の実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0116】
図12は、本実施例による化粧品カウンセリングシステムの構成を示すブロック図である。
【0117】
図12を参照すると、ユーザ端末40は、通信回線100を介してカウンセリングサーバ60と接続されている。ユーザ端末40には、肌状態測定装置20と環境測定装置50が接続されている。
【0118】
通信回線100は、インターネット、LAN(Local Area Network)などの通信回線である。
【0119】
ユーザ端末40は、カウンセリングサーバ60に対してカウンセリングを依頼する端末であり、パーソナルコンピュータ、データ処理装置等の情報処理機器で構成される。なお、ユーザ端末40は、携帯電話やPDAで構成することもできる。
【0120】
カウンセリングサーバ60は、化粧品カウンセリング事業を行う化粧品会社が運営するものである。なお、カウンセリングサーバ60は化粧品会社以外の業種の会社が運営してもよい。
【0121】
なお、図12の肌状態測定装置20の構成は第1の実施例による肌状態測定装置20の構成と同様であるため、ユーザ端末40、環境測定装置50及びカウンセリングサーバ60について説明する。
【0122】
図13は、本実施例によるユーザ端末40の構成を示すブロック図である。
【0123】
図13を参照すると、本実施例によるユーザ端末40は、入力手段41と、処理手段42と、通信手段43と、出力手段44とインタフェース部45を備える。
【0124】
本実施例によるユーザ端末40は、肌状態測定装置20と環境測定装置50に接続されている。
【0125】
ユーザ端末40の備える入力手段41、処理手段42、通信手段43、出力手段44の機能は、第1の実施例のユーザ端末10の備える入力手段11、処理手段12、通信手段13、出力手段14の機能とそれぞれ同様である。
【0126】
インタフェース部45は、ユーザ端末40を肌状態測定装置20及び環境測定装置50に接続するためのインタフェース回路である。
【0127】
図14は、本実施例による環境測定装置50の構成を示すブロック図である。
【0128】
図14を参照すると、本実施例による環境測定装置50は、温度測定手段51と、湿度測定手段52と、紫外線測定手段53と出力手段54を備える。
【0129】
環境測定装置50は、肌状態の測定が行われる環境を測定するための装置である。
【0130】
温度測定手段51は、サーミスタ、又はトランジスタの温度特性を利用したIC化温度センサーによる温度センサーを備え、肌状態測定装置20の設置された場所の温度を測定する機能を有する。
【0131】
湿度測定手段52は、高分子膜湿度センサー、セラミック湿度センサーなどの湿度センサーを備え、肌状態測定装置20の設置された場所の湿度を測定する機能を有する。
【0132】
紫外線測定手段53は、ショットキー型光センサーを備え、肌状態測定装置20の設置された場所の紫外線の強度を測定する機能を有する。
【0133】
出力手段54は、上記の各手段による測定結果をユーザ端末40へ提供する。
【0134】
図15は、本実施例によるカウンセリングサーバ60の構成を示すブロック図である。
【0135】
図15を参照すると、本実施例によるカウンセリングサーバ60は、通信手段61と、ユーザ登録手段62と、データ登録手段63と、肌状態解析手段64と、データ生成手段65と、情報生成手段66とデータベース67を備える。
【0136】
カウンセリングサーバ60は、化粧品カウンセリングシステムを管理するサーバであり、カウンセリング情報をユーザ端末40へ提供するデータ処理装置である。
【0137】
通信手段61、ユーザ登録手段62は、それぞれ第1の実施例における通信手段31、ユーザ登録手段32と同様の機能を有する。
【0138】
データ登録手段63は、肌状態データ登録処理を行う。この処理では、ユーザ識別情報と肌状態データ及び環境の測定データを対応づけて、測定日時情報と共にデータベース67に格納する。以下では、環境の測定データを環境データと略すことにする。
【0139】
肌状態解析手段64は、肌状態解析処理を実行し、肌状態解析情報を作成する。肌状態解析手段64は、また、ユーザ端末40へ送信する肌状態解析情報を通信手段61へ提供する。
【0140】
データ生成手段65は、平均肌状態データ作成処理及び平均環境データ作成処理を行う。平均肌状態データ作成処理では、データベース67に格納された肌状態データの中から、受信したユーザ識別情報に対応し、かつ、受信したデータ参考期間情報により指定される期間に該当する肌状態データを抽出し、抽出されたそれら複数の肌状態データから平均肌状態データが作成される。
【0141】
また、平均環境データ作成処理では、データベース67に格納された環境データの中から、受信したユーザ識別情報に対応し、かつ、受信したデータ参考期間情報により指定される期間に該当する環境データを抽出し、抽出されたそれら複数の環境データから平均環境データが作成される。
【0142】
情報生成手段66は、平均肌状態データが表す肌の状態に適した化粧品の情報である推奨化粧品情報を作成すると共に、カウンセリング情報を作成する機能を有する。また、カウンセリング情報をユーザ端末40へ送信する。なお、カウンセリング情報は前述のように、選定した化粧品の情報と、平均肌状態データ及び環境データの情報である。
【0143】
データベース67は、カウンセリングのサービスを提供するために必要な情報を格納する部分であり、ユーザ識別情報、ユーザ情報、肌状態データ、環境データ及び測定日時情報がそれぞれ対応づけて格納され、また、平均肌状態データ及び環境データとそれに適する推奨化粧品情報とが対応づけて格納される。
【0144】
本発明の特徴である、肌状態の繰り返し測定で生成された平均の肌状態データ及び環境の繰り返し測定で生成された平均の環境データに基づき、化粧品を選定する機能については、コンピュータ装置の内部にそのような機能を実現するプログラムを組み込んだ回路部品を実装して実現することも可能である。しかしながら、本発明の特徴的な機能を実現するためのプログラム(アプリケーション)を記憶媒体に記憶させ、コンピュータ装置で当該プログラムを実行することで、カウンセリングサーバ60として機能させることもできる。
【0145】
次に、本実施例による動作を詳細に説明する。以下では、通信回線100は、インターネットであるとして説明する。
【0146】
図16は、本実施例による化粧品カウンセリングシステムの動作を説明するためのフローチャートである。なお、ステップB1からB6の動作は図5のA1からA6に示した動作と同様であるため、ステップB7から説明する。ここで説明するステップB7からステップB15迄の動作は繰り返し行われるため、図16に点線で囲って示した。
【0147】
すでにステップB1からステップB6の動作により、ユーザは化粧品カウンセリングシステムを管理するカウンセリングサーバ60に登録され、カウンセリングサービスを受けられる状態にあるとする。
【0148】
最初に、ユーザが肌状態測定装置20を使用して自分の肌状態の測定を行い、ユーザ端末40で肌状態解析情報を受信するまでの動作について説明する。ここで説明するステップB7からステップB15迄の動作は繰り返し行われるため、図16に点線で囲って示した。
【0149】
図16を参照すると、ユーザは、予め定められた方法に従って肌状態測定装置20を用いて、自分の肌状態の測定を行う(ステップB7)。
【0150】
また、ユーザは同時に、予め定められた方法に従って環境測定装置30(当審注:「環境測定装置30」は「環境測定装置50」の誤記と認める。)を用いて、肌状態の測定が行われる場所の環境の測定を行う(ステップB8)。
【0151】
肌状態測定装置20による測定結果は、肌状態データとして、測定日時情報と共に肌状態測定装置20の出力手段25からインタフェース部45経由でユーザ端末40の処理手段42へ提供される(ステップB9)。
【0152】
ここで、肌状態データとは、肌の水分量、皮脂量、明るさ、弾力性など、肌の状態を表す複数の項目からなるデータである。
【0153】
また、環境測定装置50による測定結果は、環境データとして、環境測定装置50の通信手段44(当審注:「通信手段44」は「通信手段43」の誤記と認める。)からインタフェース部45経由でユーザ端末40の処理手段42へ提供される(ステップB10)
処理手段42は、肌状態測定装置20から提供された肌状態データ、環境データ、測定日時情報及びユーザ識別情報をカウンセリングサーバ60へ送信する(ステップB11)。
【0154】
カウンセリングサーバ60は、これらの情報を受信すると、最初に、データ登録手段33(当審注:「デー太郎特殊団33」は「データ登録手段63」の誤記と認める。)により肌状態データ登録処理を実行する(ステップB12)。
【0155】
肌状態データ登録処理では、ユーザ端末40から受信したユーザ識別情報と肌状態データ及び環境データとを対応づけて、肌状態データの測定日時情報と共にカウンセリングサーバ60に付属しているデータベース67に格納する。
【0156】
次に、カウンセリングサーバ60の肌状態解析手段64は、ユーザ端末40から受信したユーザ識別情報と肌状態データ及び環境データに基づいて、肌状態解析処理を実行する(ステップB13)。
【0157】
肌状態解析処理では、受信した肌状態データ及び環境データの内容を、水分量、皮脂量、温度、湿度などの項目ごとに分類、数値化すると共に、ユーザが理解しやすくするため、グラフや文章などで表現した肌状態解析情報を生成する。
【0158】
図17は、本実施例による肌状態解析情報の一例である。
【0159】
図17を参照すると、肌状態解析情報では、肌状態データを水分量、皮脂量などの項目ごとに分類、数値化すると共に、環境データの内容を、温度、湿度などの項目ごとに分類、数値化してある。なお、肌状態データ及び環境データは1つのグラフに描かれている。
【0160】
また、水分量、皮脂量などの項目の数値毎に予めカウンセリング用の文章を用意しておき、受信した肌状態データから得られた数値に応じて、最適な文章を選択する。
【0161】
なお、第1の実施例では肌状態データのみであったが、環境データを追加したことにより、その情報が追加されている。
【0162】
肌状態解析処理が終了すると、通信手段31(当審注:「通信手段31」は「通信手段61」の誤記と認める。)は肌状態解析情報をユーザ端末40へ送信する(ステップB14)。
【0163】
ユーザ端末40の通信手段43で肌状態解析情報を受信すると、通信手段(当審注:「通信手段」は「出力手段」の誤記と認める。)44は肌状態解析情報をユーザ端末40に表示する(ステップB15)。
【0164】
以上のステップB7からステップB15の動作で述べた、ユーザが肌状態測定装置20、環境測定装置50を使用して、それぞれ自分の肌状態が測定される場所の環境の測定を行い、ユーザ端末40で肌状態解析情報を受信するまでの動作を、適度な間隔で所定回数繰り返して行うことにより、肌状態データ及び環境データを蓄積することができる。この所定回数は、化粧品カウンセリング事業を行う化粧品会社により予め設定される。蓄積されたユーザの肌状態データ及び環境データは、データベース67に格納される。
【0165】
次に、このようにして蓄積された肌状態データ及び環境データに基づき、ユーザの受けるカウンセリングについて以下に説明する。
【0166】
ユーザは、ユーザ端末40から、カウンセリングサーバ60の提供するカウンセリング申込みホームページへアクセスする(ステップB16)。
【0167】
アクセスを受けると、カウンセリングサーバ60はユーザ識別情報とデータ参照期間情報を入力するようユーザ端末40に要求する(ステップB17)。
【0168】
データ参照期間情報は、それまでに蓄積されたそのユーザの肌状態データ及び環境データのうち、今回のカウンセリング処理に使用するデータの測定された期間を指定するための情報である。データ参照期間情報として、2週間前までのデータを指定する例、最近の10回分のデータを指定する例などがある。
【0169】
なお、ユーザ端末40に表示されるユーザ識別情報とデータ参照期間情報の入力画面は、第1の実施例の図8で説明したと同様である。
【0170】
図8を参照して説明すると、入力画面の「カウンセリング」ボタンをユーザがクリックすると、ユーザ識別情報とデータ参照期間情報は、通信手段43によりカウンセリングサーバ60へ送信される(ステップB18)。
【0171】
カウンセリングサーバ60のデータ生成手段65は、通信手段61で受信したユーザ識別情報とデータ参照期間情報を取得し、平均肌状態データ生成処理及び平均環境データ生成処理を実行する(ステップB19)。
【0172】
平均肌状態データ作成処理では、データベース67に記録された肌状態データの中から、ユーザ識別情報に一致し、かつ、データ参考期間情報で指定される期間に該当する複数の肌状態データを抽出し、それらの肌状態データから平均肌状態データを作成する。
【0173】
平均肌状態データは、肌状態データの内容を水分量、皮脂量などの項目毎に分類、数値化し、分類した項目ごとに複数の肌状態データの数値を平均化することにより生成する。平均化の方法は、単純に平均値を計算する方法や、現在に近い日時のデータにより重みをつけて計算する方法など、複数のデータを平均化するための様々な手法を用いることが考えられる。
【0174】
平均環境データ作成処理では、データベース67に記録された環境データの中から、ユーザ識別情報に一致し、かつ、データ参考期間情報で指定される期間に該当する複数の環境データを抽出し、それらの環境データから平均環境データを作成する。
【0175】
カウンセリングサーバ60の情報生成手段66は、生成された平均肌状態データ及び平均環境データに基づいて推奨化粧品情報を生成する(ステップB20)。
【0176】
ここで、推奨化粧品情報は、平均肌状態データが表す肌の状態に適した化粧品であるとして選定された推奨化粧品の情報である。
【0177】
情報生成手段66は、データベース67に格納されている平均肌状態データ及び平均環境データと推奨化粧品の組み合わせ情報に基づき、データ生成手段35により生成された平均肌状態データに対応する推奨化粧品を選定する。
【0178】
さらに、情報生成手段66は、推奨化粧品情報を生成した後、カウンセリング情報を生成する(ステップB21)。
【0179】
図18は、本実施例によるカウンセリング情報の一例を示す図である。
【0180】
図18を参照すると、カウンセリング情報は、平均肌状態データ及び平均環境データと推奨化粧品情報から構成され、ユーザが理解しやすいようにグラフ、文章などで表現されている。平均肌状態データ及び平均環境データは1つのグラフに描かれている。
【0181】
グラフを参照すると、平均肌状態データである水分量、皮脂量は共に少なく、また環境データである温度、湿度は共に低いという結果である。
【0182】
カウンセリング内容は、環境データを考慮し、肌の保湿及び肌への油成分補給に有効な化粧品を推奨するものとなっている。
【0183】
図19は、本実施例によるカウンセリング情報の一例を示す図である。
【0184】
図19を参照すると、平均肌状態データである水分量、皮脂量は共に少ないという結果で図18に示した例と同一である。しかしながら、平均環境データは温度が高く、湿度が低いという結果である。
【0185】
カウンセリング内容は、温度が高いため、肌への油成分補給は推奨せず、肌の保湿に有効な化粧品を推奨するものとなっている。
【0186】
このように、本実施例による化粧品カウンセリングシステムでは、平均肌状態データが同一であっても、化粧品の使用される環境データに基づき、ユーザの環境に適したカウンセリングを行うことができる。
【0187】
情報生成手段66は、作成したカウンセリング情報を通信手段31(当審注:「通信手段31」は「通信手段61」の誤記と認める。)経由でユーザ端末40に送信する(ステップB22)。
【0188】
ユーザ端末40では、カウンセリングサーバ60から送信されたカウンセリング情報を通信手段43で受信し、通信手段(当審注:「通信手段」は「出力手段」の誤記と認める。)44により表示する(ステップB23)。
【0189】
本実施例では、環境測定をユーザ端末40に接続した環境測定装置50により行うが、環境測定装置50を使用しなくてもよい。例えば、ユーザ端末40によりインターネット100経由で気象情報サイトから気象情報を取得し、ユーザ端末40から肌状態データと共に、カウンセリングサーバ60に送信することができる。
【0190】
上記実施例では、通信回線100がインターネットである場合について説明したが、通信回線100はLAN、WAN(Wide Area Network)などの通信回線の場合にも上記実施例を同様に適用できるものである。
【0191】
以上説明した実施例によれば、ユーザの肌状態及びユーザの生活環境に適した化粧品を選定できる。」
(4)「【図12】
[図:0001413327000005.jpg]
」
(5)「【図13】
[図:0001413327000006.jpg]
」
(6)「【図14】
[図:0001413327000007.jpg]
」
(7)「【図15】
[図:0001413327000008.jpg]
」
(8)「【図16】
[図:0001413327000009.jpg]
」
(9)「【図17】
[図:0001413327000010.jpg]
」
(10)「【図18】
[図:0001413327000011.jpg]
」
(11)「【図19】
[図:0001413327000012.jpg]
」
(12)上記(3)の段落【0165】ないし【0170】の記載から、「ユーザが、カウンセリングを受けるために、ユーザ端末40から、カウンセリングサーバ60の提供するカウンセリング申込みホームページへアクセスし、要求されたユーザ識別情報と今回のカウンセリング処理に使用するデータの測定された期間を指定するための情報であるデータ参照期間情報を入力し、入力画面の「カウンセリング」ボタンをユーザがクリックしてユーザ識別情報とデータ参照期間情報を、通信手段43によりカウンセリングサーバ60へ送信する」ことが読み取れる。
(13)上記(3)の段落【0155】ないし【0161】及び(9)より、肌状態解析情報としてデータベース67に記録された肌状態データと環境データから2004年10月5日の水分量、皮脂量、温度、湿度が数値化されて表示され、かつ「うるおい補給をしっかり行い、十分に保湿対策を行いましょう。」という文章が表示されることが看てとれる。よって、上記(3)及び(9)より、「肌状態解析情報として、データベース67に記録されたユーザである鈴木花子の2004年10月5日の肌状態データと環境データから「うるおい補給をしっかり行い、十分に保湿対策を行いましょう。」という文章が出力される」ことが認められる。
(14)上記(3)の段落【0179】ないし【0186】、(10)及び(11)より、カウンセリング情報として、データベース67に記録された肌状態データと環境データから最近14日間のデータを抽出し、その抽出したデータからその最近14日間の平均の水分量、皮脂量、温度、湿度が数値化されて表示され、「朝晩のお手入れでは、たっぷりと水分を与え、十分に保湿対策を行いましょう。保湿タイプの美容液も効果的です。」という文章が表示され、おすすめのスキンケア商品の種類、商品名、価格が表示されることが看てとれる。よって、上記(3)、(10)及び(11)より、「カウンセリング情報として、データベース67に記録された最近14日間の肌状態データと環境データから「朝晩のお手入れでは、たっぷりと水分を与え、十分に保湿対策を行いましょう。保湿タイプの美容液も効果的です。」という文章とおすすめのスキンケア商品の種類、商品名、価格が出力される」ことが認められる。
(15)上記甲第4号証の記載事項及び図面と甲第4号証から看取される事項を総合勘案すると、甲第4号証には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
「ユーザの端末に接続された肌状態測定装置による肌状態の測定と、前記肌状態の測定が行われる環境の測定とを行い、前記肌状態の測定データ及び前記環境の測定データの前記サーバへの送信を所定回数繰り返し、前記サーバで、前記送信された肌状態の測定データを平均した平均肌状態データ及び前記送信された環境の測定データを平均した平均環境データを生成し、前記平均肌状態データ及び前記平均環境データに基づいて前記ユーザに適合する化粧品を選定する、化粧品カウンセリングシステム、サーバ及びカウンセリングプログラムにおいて、
ユーザ端末40は、通信回線100を介してカウンセリングサーバ60と接続され、
ユーザ端末40には、肌状態測定装置20と環境測定装置50が接続され、
通信回線100は、インターネット、LAN(Local Area Network)などの通信回線であり、
ユーザ端末40は、カウンセリングサーバ60に対してカウンセリングを依頼する端末であり、パーソナルコンピュータ、データ処理装置、携帯電話やPDA等の情報処理機器で構成され、
環境測定装置50は、温度測定手段51と、湿度測定手段52と、紫外線測定手段53と出力手段54を備え、温度測定手段51は、肌状態測定装置20の設置された場所の温度を測定し、湿度測定手段52は、肌状態測定装置20の設置された場所の湿度を測定し、紫外線測定手段53は、肌状態測定装置20の設置された場所の紫外線の強度を測定する機能を有し、
カウンセリングサーバ60は、通信手段61と、ユーザ登録手段62と、データ登録手段63と、肌状態解析手段64と、データ生成手段65と、情報生成手段66とデータベース67を備え、カウンセリング情報をユーザ端末40へ提供し、
データ登録手段63は、ユーザ識別情報と肌状態データ及び環境の測定データである環境データを対応づけて、測定日時情報と共にデータベース67に格納する肌状態データ登録処理を行い、
肌状態解析手段64は、肌状態解析処理を実行し、肌状態解析情報を作成し、ユーザ端末40へ送信する肌状態解析情報を通信手段61へ提供し、
データ生成手段65は、データベース67に格納された肌状態データの中から、受信したユーザ識別情報に対応し、かつ、受信したデータ参考期間情報により指定される期間に該当する肌状態データを抽出し、抽出されたそれら複数の肌状態データから平均肌状態データが作成される平均肌状態データ作成処理と、データベース67に格納された環境データの中から、受信したユーザ識別情報に対応し、かつ、受信したデータ参考期間情報により指定される期間に該当する環境データを抽出し、抽出されたそれら複数の環境データから平均環境データが作成される平均環境データ作成処理とを行い、
情報生成手段66は、平均肌状態データが表す肌の状態に適した化粧品の情報である推奨化粧品情報を作成すると共に、カウンセリング情報を作成し、カウンセリング情報をユーザ端末40へ送信し、
化粧品カウンセリングシステムの動作は、
ユーザは、予め定められた方法に従って肌状態測定装置20を用いて、自分の肌状態の測定を行い、
ユーザは同時に、予め定められた方法に従って環境測定装置50を用いて、肌状態の測定が行われる場所の環境の測定を行い、
肌状態測定装置20による測定結果は、肌の水分量、皮脂量、明るさ、弾力性など、肌の状態を表す複数の項目からなる肌状態データとして、測定日時情報と共に肌状態測定装置20の出力手段25からインタフェース部45経由でユーザ端末40の処理手段42へ提供され、
環境測定装置50による測定結果は、環境データとして、環境測定装置50の通信手段43からインタフェース部45経由でユーザ端末40の処理手段42へ提供され、
処理手段42は、肌状態測定装置20から提供された肌状態データ、環境データ、測定日時情報及びユーザ識別情報をカウンセリングサーバ60へ送信し、
カウンセリングサーバ60は、これらの情報を受信すると、最初に、データ登録手段63により肌状態データ登録処理を実行し、ここで肌状態データ登録処理は、ユーザ端末40から受信したユーザ識別情報と肌状態データ及び環境データとを対応づけて、肌状態データの測定日時情報と共にカウンセリングサーバ60に付属しているデータベース67に格納する処理であり、
カウンセリングサーバ60の肌状態解析手段64は、ユーザ端末40から受信したユーザ識別情報と肌状態データ及び環境データに基づいて、肌状態解析処理を実行し、ここで、肌状態解析処理は、受信した肌状態データ及び環境データの内容を、水分量、皮脂量、温度、湿度などの項目ごとに分類、数値化すると共に、ユーザが理解しやすくするため、グラフや文章などで表現した肌状態解析情報を生成する処理であり、
肌状態解析処理が終了すると、通信手段61は肌状態解析情報をユーザ端末40へ送信し、
ユーザ端末40の通信手段43で肌状態解析情報を受信すると、出力手段44は肌状態解析情報をユーザ端末40に表示し、
以上の動作でユーザが肌状態測定装置20、環境測定装置50を使用して、それぞれ自分の肌状態が測定される場所の環境の測定を行い、ユーザ端末40で肌状態解析情報を受信するまでの動作を、適度な間隔で所定回数繰り返して行うことにより、肌状態データ及び環境データを蓄積しデータベース67に格納し、
次に、このようにして蓄積された肌状態データ及び環境データに基づき、ユーザが、カウンセリングを受けるために、ユーザ端末40から、カウンセリングサーバ60の提供するカウンセリング申込みホームページへアクセスし、要求されたユーザ識別情報と今回のカウンセリング処理に使用するデータの測定された期間を指定するための情報であるデータ参照期間情報を入力し、入力画面の「カウンセリング」ボタンをユーザがクリックしてユーザ識別情報とデータ参照期間情報を、通信手段43によりカウンセリングサーバ60へ送信し、
カウンセリングサーバ60のデータ生成手段65は、通信手段61で受信したユーザ識別情報とデータ参照期間情報を取得し、データベース67に記録された肌状態データの中から、ユーザ識別情報に一致し、かつ、データ参考期間情報で指定される期間に該当する複数の肌状態データを抽出し、それらの肌状態データから平均肌状態データを作成する平均肌状態データ作成処理と、データベース67に記録された環境データの中から、ユーザ識別情報に一致し、かつ、データ参考期間情報で指定される期間に該当する複数の環境データを抽出し、それらの環境データから平均環境データを作成する平均環境データ作成処理とを実行し、
カウンセリングサーバ60の情報生成手段66は、生成された平均肌状態データ及び平均環境データに基づいて推奨化粧品情報を生成し、推奨化粧品情報を生成した後、カウンセリング情報を生成し、
情報生成手段66は、作成したカウンセリング情報を通信手段61経由でユーザ端末40に送信し、
ユーザ端末40では、カウンセリングサーバ60から送信されたカウンセリング情報を通信手段43で受信し、出力手段44により表示する、
という動作であり、
肌状態解析情報として、ユーザ端末40から受信したユーザ識別情報と肌状態データと環境データとから「うるおい補給をしっかり行い、十分に保湿対策を行いましょう。」という文章が出力され、
カウンセリング情報として、ユーザ識別情報とデータ参照期間情報に対応する肌状態データと環境データから「朝晩のお手入れでは、たっぷりと水分を与え、十分に保湿対策を行いましょう。保湿タイプの美容液も効果的です。」という文章とおすすめのスキンケア商品の種類、商品名、価格が出力される、
化粧品カウンセリングシステム、サーバ及びカウンセリングプログラム。」
5.甲第5号証
本願の優先日前である2016年5月10日にインターネット上で公開された記事である”BE470 BLOG, UV Smartwatch: Reverse Engineering”,[online],BE470RA,インターネット<URL:https://be470site.wordpress.com/2016/05/10/uv-smartwatch-reverse-engineering/>(甲第5号証)には、以下の技術事項が記載されている。(訳は当審訳である。)
「CliMate
Finally, the device CliMate, created from Rooti Labs was reverse engineered to understand the UV devices in the current market. CliMate is shaped like a small cloud and takes temperature, humidity and UV data both indoors and outdoors. The data collected is transmitted to a smartphone iOS or Android app via Bluetooth. 13
The company Rooti Labs is based in the US and Taiwan. Rooti Labs creates various biosensors and health trackers. So far, CliMate is the only environmental sensor that the company has made. CliMate was launched for funding on Kickstarter crowdfunding site on June 10, 2014. 13
While CliMate is not a wearable device, it has some unique features. The CliMate app allows the user to develop a plan of action regarding UV exposure. The user enters skin type and whether or not they have applied sunscreen. The user also instructs the app to send alerts if the UV reaches a level of their choosing. The app also alerts the user when they are getting too close to a burn risk. CliMate can hold 300 days worth of data, which is a significant amount. Moreover, users can connect several CliMate devices to one app in order to track various locations. CliMate is also used for indoor use to monitor humidity and temperature. 14」
(当審訳:CliMate
最後に、Rooti Labsから生まれたCliMateというデバイスは、現在の市場にあるUVデバイスを理解するためにリバースエンジニアリングが行われました。CliMateは小さな雲のような形状をしており、屋内外を問わず温度、湿度、UVのデータを取得します。収集されたデータは、B luetooth経由でスマートフォンのiOSまたはAndroidアプリに送信されます。13
Rooti Labs社は、米国と台湾に拠点を置く企業です。Rooti Labs社は、様々なバイオセンサーやヘルス・トラッカーを制作している。今のところ、CliMateは同社が作った唯一の環境センサー です。CliMateは、2014年6月1 0日にクラウドファンディングサイトKickstarterで資金調達が開始されました。13
CliMateはウェアラプルデバイスではないが、いくつかのユニークな機能を備えています。 CliMa teのアプリでは、ユーザが紫外線暴露に関する行動計画を立てることができます。ユーザは、肌タイプや日焼け止めを塗ったかどうかを入力します。また、紫外線が一定量に達するとアラートを出すように設定します。また、火傷の危険がある場所に近づきすぎた場合にもアラートが表示されます。CliMateは、300日分のデータを保存することができます。さらに、1つのアプリに複数のCliMateを接続することで、さまざまな場所を把握することができます。CliMateは、湿度や温度をモニターする屋内用としても使用されています。14)
6.甲第6号証
本願の優先日前である2014年6月18日に公開され、アップデートされた、Webページ”MailOnline, Never get caught out by the weather again! Wearable sensor measures humidity and temperature in a person's precise location”,[online],SARAH GRIFFITHS,インターネット<URL:https://www.dailymail.co.uk/sciencetech/article-2661326/Never-caught-weather-Wearable-sensor-sends-real-time-humidity-temperature-readings-phone.html>(甲第6号証)には、以下の技術事項が記載されている。(訳は当審訳である。)
(1)「The CliMate cloud uses a ‘pin-point precise’ sensor that wirelessly measures humidity, UV exposure and temperature (known as HUT).
It will then send these readings to an accompanying iOS and Android app every 15 minutes, when it launches in September.」
(当審訳:CliMateクラウドは、湿度、紫外線照射量、温度(HUTと呼ばれる)を無線で測定する「ピンポイント精密」センサーを使用します。
9月の発売時には、これらの測定値を15分ごとに付属のiOS/Androidアプリに送信する予定です。)
(2)「‘Excessive humidity, UV and temperature (HUT) damage goes way beyond the skin-deep.
'It negatively affects your health through illness and allergies, your mood and often times even your work performance and personal life,’ they firm wrote on its Kickstarter website, where they are trying to raise funds to put the gadget into large scale production.
CliMate wearers can also select their skin and SPF cream types when outside, and the app will warn them when it's time to reapply cream, to help them avoid becoming sunburnt.」
(当審訳:「湿度、紫外線、温度(HUT)の過剰なダメージは、皮膚の深さを超えて進行します。
病気やアレルギーなど健康に悪影響を及ぼし、気分や、時には仕事のパフォーマンスや私生活にまで影響を及ぼします」と、同社はKickstarterのウェブサイトに書き、このガジェットの大規模生産のための資金集めを試みている。
CliMateを装着した人は、外出時に自分の肌とSPFクリームの種類を選択することができ、日焼けを防ぐためにクリームを塗り直すタイミングをアプリが警告してくれるそうです。)
(3)「Rooti - the company behind CliMate - explained the device is more accurate than a weather station which covers large swathes of land, as it is closer to an individual's location.
It also said the device is more accurate than previous wearable weather trackers.
All the data the device collects will be shown in an app.
A person’s surrounding environment is presented as a plant that changes according to the readings.
For example, the plant appears to wrap up in a scarf when it is cold, and has sunglasses and burnt leaves when it is hot.
The app collates all the data into daily, weekly and monthly charts so that users can see long-term changes in their environment.」
(当審訳: CliMateの開発元であるRooti社は、広範囲をカバーする気象観測所よりも個人の位置により近いため、より正確であると説明しています。
また、これまでのウェアラブルウェザートラッカーよりも精度が高いといいます。
デバイスが収集したすべてのデータは、アプリで表示されます。
人の周囲の環境は、読み取り値に応じて変化する植物として提示されます。
例えば、寒いときにはマフラーを巻いているように見え、暑いときにはサングラスをかけ、葉っぱが焼けているように見えます。
このアプリは、すべてのデータを日次、週次、月次のグラフに集約し、ユーザが環境の長期的な変化を確認できるようにします。)
(4)「HOW DOES THE CLIMATE WORK?
・・・
The device wireless syncs HUT information via Bluetooth to an accompanying app every 15 minutes.
It shows data using an image of a plant that wears sunglasses and scarves to reflect the temperature.
・・・」
(当審訳:CliMateはどのように作動する?
・・・
このデバイスは、HUTの情報をBluetooth経由で付属のアプリに15分ごとに無線同期しています。
サングラスやマフラーで気温を反映させた植物のイメージでデータを表示します。
・・・」
7.甲第7号証
上記「5.及び6.」に記載された装置「CliMate」のユーザーマニュアルである「CliMate UserGuide」(甲第7号証)には、以下の技術事項が記載されている。(訳は当審訳である。)
「CliMate safety and use instruction
・Communication: Bluetooth 4.0
・Operating Ambient Temperature: -4°F to 149°F(-20℃~65℃)
・Drip, splash and sweat resistant. Do not immerse in water.
・A single coin cell battery lasts up to 6 months under normal usage (Easily open the back cover to replace the battery by finger)
・During the battery life, CliMate will automatically detect and record the environment info every 15 minutes whatever it is connected to your mobile device or not. It then wirelessly syncs this info to our app on your iOS/Android device when Bluetooth is reconnected, and continue syncing every 15 minutes.
・Compatibility:
-iOS 6 or newer
-iPhone 4S or newer
-iPod touch 5th Generation or newer
-iPad 3 or newer (including the iPad mini)
-Any Android 4.4 or newer device with Bluetooth 4.0
・Keep the UV eye exposed to the light for UVI detection.
・CliMate does not protect from UV rays, it advise the user on the sun protection to adopt.
・Do not cover the 4 holes on the edge, these are designed for air flow.
・CliMate reacts and tracks your immediate environment, it does not report as a weather forecast or try compare the accuracy with weather station.」(第3頁第1-22行)
(当審訳:CliMateの安全性と使用説明書
・通信について:ブルートゥース4.0
・動作周囲温度:-4°Fから149°F(-20℃~65℃)
・防滴、防滴、防汗。水に浸さないでください。
・コイン電池1個で、通常の使用で最大6カ月間使用可能(電池交換のために指で裏蓋を簡単に開けられます)。
・バッテリー寿命の間、CliMateはモバイルデバイスに接続されているかどうかに関わらず、15分ごとに自動的に環境情報を検知し記録します。Bluetoothが再接続されると、この情報をiOS/Androidデバイスの弊社アプリにワイヤレスで同期し、15分ごとに同期を続けます。
・互換性:
-iOS 6 またはそれ以降
-iPhone 4Sまたはそれ以降
-iPod touch 第5世代以降
-iPad 3 またはそれ以降(iPad mini を含む)
-Bluetooth 4.0搭載のAndroid 4.4以降のデバイス
・UVI検出のため、UVアイは光に当てておいてください。
・CliMate は紫外線を防ぐものではありませんが、使用者に日焼け対策をアドバイスします。
・端にある4つの穴は塞がないでください、これらは空気の流れのために設計されています。
・CliMateは、あなたの身近な環境に反応し、追跡します。天気予報として報告したり、気象台と精度を比較しようとするものではありません。)
8.甲第8号証
令和4年9月12日に本願の審査過程において出願人が特許庁に提出した意見書(甲第8号証)には、以下の記載がある。
(1)「第2 本発明の説明
(1)本補正
・・・
(2)本発明の特徴
本発明の特徴は、次の点にある。
2種類の情報(環境情報に基づく第1情報及び環境ログ情報に基づく第2情報)を同時に提示する点
本発明によれば、ユーザは、情報が提示された直後にすべきケアに有用な情報、及び、情報が提示されてから一定時間が経過した後にすべきケアに有用な情報の2種類の情報を同時に提示する(例えば、本願図12A及び図12Bを参照)ことにより、ユーザに対して、環境因子に応じて適切なタイミングでの適切なケアを促すことができる、という顕著な効果が得られる。」
(2)「第4 理由2~理由3に対する意見
(1)主引用発明の説明
引用文献1(当審注:引用文献1は甲第1号証のこと)には、引用文献1の[0048]には、「アドバイス情報提供手段16では、入力された紫外線被曝量情報に応じた肌のケア方法が導出できるようになっており、処理手段18により、紫外線被曝量情報が入力されると、アドバイス情報が処理手段18に出力される。」という記載がある。
この記載より、引用文献1には、紫外線被爆量情報(「環境情報」に相当)に基づいて、ユーザにアドバイス情報(「第1情報」に相当)を提示する手段が開示されている。
(2)主引用発明と本発明との相違点
引用文献2(当審注:引用文献2は、甲第4号証のこと)には、本発明の特徴1~特徴3について、開示も示唆もない。
引用文献2の[0142]には、「情報生成手段66は、平均肌状態データが表す肌の状態に適した化粧品の情報である推奨化粧品情報を作成すると共に、カウンセリング情報を作成する機能を有する。また、カウンセリング情報をユーザ端末40へ送信する。なお、カウンセリング情報は前述のように、選定した化粧品の情報と、平均肌状態データ及び環境データの情報である。」という記載がある。
この記載より、引用文献2は、平均肌状態データ(「環境ログ情報」に相当)に基づいて、肌の状態に適した推奨化粧品情報(「第2情報」に相当)を提示する手段を開示している。
しかし、当該記載は、「第1情報」及び「第2情報」を同時に提示することを示していない。
(3)小括
本発明の特徴1~特徴3は、引用文献3(当審注:特開2001-212087号公報)~引用文献4(当審注:特開2002-15068号公報)にも開示も示唆もない。
したがって、引用発明1に、引用発明2~引用発明4を組合せたとしても、本発明の顕著な効果は得られない。
以上より、本発明は、特許法第29条第1項第3号及び第2項に規定する要件を満たす。」
第6 取消理由についての判断
1.取消理由1(新規性)について
(1)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と甲4発明とを比較する。
(ア)甲4発明の「紫外線測定手段53」と「温度測定手段51」と「湿度測定手段52」とを備えた「環境測定装置50」は、肌状態測定装置20の設置された場所(肌状態の測定が行われる場所)の紫外線強度と温度と湿度を測定するものであり、肌状態測定装置20と環境測定装置50は、甲4発明の化粧品カウンセリングシステムの動作において同時に用いられてユーザの肌状態の測定とともに環境データの測定を行うことから、環境測定装置50で得られる紫外線強度、温度、湿度は、肌状態測定装置20を用いて肌状態を測定するユーザが浴びる紫外線強度、ユーザが過ごした環境の温度及び湿度である。よって、甲4発明の「環境測定装置50」が測定した「環境データ」を受信する「カウンセリングサーバ60」は、本件特許発明1の「情報処理装置」と「ユーザが浴びた紫外線の量を示す紫外線曝露量と、前記ユーザが過ごした環境の温度と、前記ユーザが過ごした環境の湿度と、を示す環境情報を取得する手段を備え」る点で共通する。
(イ)甲4発明の「カウンセリングサーバ60」が備える「データベース67」は、ユーザ識別情報と肌状態測定装置20で測定された肌状態データ及び環境測定装置50で測定された環境の測定データである環境データを対応づけて、測定日時情報と共に格納されるものである。よって、「データベース67」を備える「カウンセリングサーバ60」は、本件特許発明1の「情報処理装置」と「ユーザを識別するユーザ識別情報と、」「環境情報を取得した日時と、前記環境情報と、を関連付けることにより、環境ログ情報として記憶する手段を備え」る点で共通する。
(ウ)甲4発明の「カウンセリングサーバ60」が備える「肌状態解析手段64」は、ユーザ端末40から受信したユーザ識別情報と肌状態データ及び環境データに基づいて、肌状態解析処理を実行し、肌状態解析処理が終了すると、通信手段61を介して肌状態解析情報をユーザ端末40へ送信するものであるから、甲4発明の「環境データ」は、本件特許発明1の「取得された環境情報」に相当し、甲4発明の「肌状態解析情報」は、本件特許発明1の「取得された環境情報に基づい」た「ユーザの肌状態に関する第1情報」に相当する。よって、「肌状態解析手段64」を備える「カウンセリングサーバ60」は、本件特許発明1の「情報処理装置」と「取得された環境情報に基づいて、」「ユーザの肌状態に関する第1情報を提示する手段を備え」る点で共通する。
(エ)甲4発明は、ユーザがカウンセリング申込みホームページへアクセスし、ユーザ識別情報と今回のカウンセリング処理に使用するデータの測定された期間を指定するための情報であるデータ参照期間情報を入力して「カウンセリング」ボタンをユーザがクリックしてユーザ識別情報とデータ参照期間情報を、ユーザ端末40の通信手段43によりカウンセリングサーバ60へ送信すると、カウンセリングサーバ60のデータ生成手段65は、通信手段61で受信したユーザ識別情報とデータ参照期間情報を取得し、データベース67に記録された肌状態データの中から、ユーザ識別情報に一致し、かつ、データ参考期間情報で指定される期間に該当する複数の肌状態データを抽出し、それらの肌状態データから平均肌状態データを作成する平均肌状態データ作成処理と、データベース67に記録された環境データの中から、ユーザ識別情報に一致し、かつ、データ参考期間情報で指定される期間に該当する複数の環境データを抽出し、それらの環境データから平均環境データを作成する平均環境データ作成処理とを実行し、カウンセリングサーバ60の情報生成手段66は、生成された平均肌状態データ及び平均環境データに基づいて推奨化粧品情報を生成し、推奨化粧品情報を生成した後、カウンセリング情報を生成し、情報生成手段66は、作成したカウンセリング情報を通信手段61経由でユーザ端末40に送信し、ユーザ端末40では、カウンセリングサーバ60から送信されたカウンセリング情報を通信手段43で受信し、出力手段44により表示するものであるから、甲4発明の「データベース67に記録された環境データの中」の「ユーザ識別情報に一致し、かつ、データ参考期間情報で指定される期間に該当する複数の環境データ」は、本件特許発明1の「環境ログ情報」に相当し、甲4発明の「カウンセリング情報」は、本件特許発明1の「環境ログ情報に基づい」た「ユーザの肌状態に関する第2情報」に相当する。よって、甲4発明の「情報生成手段66」を備える「カウンセリングサーバ60」は、本件特許発明1の「情報処理装置」と「環境ログ情報に基づいて、」「ユーザの肌状態に関する第2情報を提示する手段を備え」る点で共通する。
(オ)上記(ア)ないし(エ)より、甲4発明の「化粧品カウンセリングシステム」に含まれる「カウンセリングサーバ60」は、本件特許発明1における「情報処理装置」に相当する。
すると、本件特許発明1と甲4発明のカウンセリングサーバ60とは、
「ユーザが浴びた紫外線の量を示す紫外線曝露量と、前記ユーザが過ごした環境の温度と、前記ユーザが過ごした環境の湿度と、を示す環境情報を取得する手段を備え、
前記ユーザを識別するユーザ識別情報と、前記環境情報を取得した日時と、前記環境情報と、を関連付けることにより、環境ログ情報として記憶する手段を備え、
前記取得された環境情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第1情報を提示する手段を備え、
前記環境ログ情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第2情報を提示する手段を備え、
前記第1情報は、すぐにケア行動を行うことを促すメッセージ及びすぐに行うべきケアの方法に関するアドバイス、を含み、
前記第2情報は、ケアに適した商品に関するアドバイス、就寝前にケア行動を行うことを促すメッセージ、及び就寝前に行うべきケアの方法に関するアドバイスを含む、
情報処理装置。」
である点で一致し、以下の相違点1及び2で相違する。
<相違点1>
第1情報が、本件特許発明1は「ケアに適した商品に関するアドバイス、すぐにケア行動を行うことを促すメッセージ、すぐに行うべきケアの方法に関するアドバイス、及び、過去の肌状態を示す第1肌スコアの少なくとも1つを含」むのに対し、甲4発明は、肌状態解析情報である点。
<相違点2>
第2情報が、本件特許発明1は「ケアに適した商品に関するアドバイス、就寝前にケア行動を行うことを促すメッセージ、就寝前に行うべきケアの方法に関するアドバイス、及び、未来の肌状態を示す第2肌スコアの少なくとも1つを含」むのに対し、甲4発明は、カウンセリング情報である点。
イ 判断
(ア)相違点1について
a 甲4発明の「肌状態解析情報」は、「うるおい補給をしっかり行い、十分に保湿対策を行いましょう。」という文章を含むものである(上記「第5 4.(3),(9)及び(13)」参照。)。
b 上記文章における「うるおい補給」と「保湿対策」は、本件特許発明1の「ケアの方法」に相当し、「うるおい補給をしっかり行」うことと「十分に保湿対策を行」うことは、本件特許発明1の「ケアの行動を行うこと」に相当する。
c そして、上記「うるおい補給をしっかり行い、十分に保湿対策を行いましょう。」との文章は、「うるおい補給をしっかり行」うことを促すメッセージであり、また、「うるおい補給」に関するアドバイスであるともいえる。
d また、甲4発明において、「肌状態解析情報」は、上記「ア(ウ)」で説示したとおり、ユーザが肌状態測定装置20及び環境測定装置50を用いて測定した肌状態データと環境データがユーザ識別情報と共にユーザ端末40からカウンセリングサーバ60に送られると、すぐにカウンセリングサーバ60の肌状態解析手段64で肌状態解析処理が行われてユーザ端末40に送信されて表示されるものであるから、「肌状態解析情報」に含まれる上記「うるおい補給をしっかり行い、十分に保湿対策を行いましょう。」という文章は、「うるおい補給をしっかり行い、十分に保湿対策を行」うという肌のケアの方法をすぐにユーザが行うよう促すアドバイスであることは、明らかである。また、たとえ明らかでないとしても、上記文章に記載された肌のケアの方法をユーザが「すぐに」行うべきとアドバイスするものとして認識する場合があることは、自明である。
e 以上のことから、甲4発明の「肌状態解析情報」に含まれる「うるおい補給をしっかり行い、十分に保湿対策を行いましょう。」という文章は、本件特許発明1の「すぐにケア行動を行うことを促すメッセージ」あるいは「すぐに行うべきケアの方法に関するアドバイス」に相当する。
f したがって、上記相違点1は、実質的な相違点ではない。
(イ)相違点2について
a 甲4発明の「カウンセリング情報」は、「朝晩のお手入れでは、たっぷりと水分を与え、十分に保湿対策を行いましょう。保湿タイプの美容液も効果的です。」という文章とおすすめのスキンケア商品の種類、商品名、価格を含むものである(上記「第5 4.(3),(10),(11)及び(14)」参照。)。
b 上記文章における「たっぷりと水分を与え」ることと「保湿対策」は、本件特許発明1の「ケアの方法」に相当し、「たっぷりと水分を与え、十分に保湿対策を行」うことは、本件特許発明1の「ケアの行動を行うこと」に相当する。
c また、上記文章における「朝晩のお手入れでは、たっぷりと水分を与え、十分に保湿対策を行いましょう。」という記載は、晩にたっぷりと水分を与え、十分に保湿対策を行うことを促すものであるから、就寝前に「たっぷりと水分を与え、十分に保湿対策を行」うことを促すメッセージであり、また、就寝前に行うべき「保湿対策」に関するアドバイスであるともいえる。
d また、甲4発明において、「カウンセリング情報」は、上記「ア(エ)」で説示したとおり、ユーザがユーザ端末40の通信手段43によりユーザ識別情報とデータ参照期間情報をカウンセリングサーバ60へ送信すると、カウンセリングサーバ60の情報生成手段66でデータ参照期間の平均肌状態データ及び平均環境データに基づいてカウンセリング情報が生成され、ユーザ端末40に送信されて表示されるものであるから、「カウンセリング情報」に含まれる上記「朝晩のお手入れでは、たっぷりと水分を与え、十分に保湿対策を行いましょう。」という文章は、「たっぷりと水分を与え、十分に保湿対策を行」うという肌のケアの方法を就寝前にユーザが行うよう促すアドバイスであることは、明らかである。また、たとえ明らかでないとしても、上記文章に記載された肌のケアの方法をユーザが就寝前に行うべきとアドバイスするものとして認識する場合があることは、自明である。
e 以上のことから、甲4発明の「カウンセリング情報」に含まれる「朝晩のお手入れでは、たっぷりと水分を与え、十分に保湿対策を行いましょう。」という文章は、本件特許発明1の「就寝前にケア行動を行うことを促すメッセージ」、あるいは「就寝前に行うべきケアの方法に関するアドバイス」に相当する。
f さらに、甲4発明の「カウンセリング情報」に含まれる「保湿タイプの美容液も効果的です。」という文章とおすすめのスキンケア商品の種類、商品名、価格は、保湿対策という肌のケアに適した商品である「保湿タイプの美容液」を提示するものであるから、ユーザに対するアドバイスと認められる。よって、甲4発明の「カウンセリング情報」に含まれる「保湿タイプの美容液も効果的です。」という文章とおすすめのスキンケア商品の種類、商品名、価格は、本件特許発明1の「ケアに適した商品に関するアドバイス」に相当する。
g したがって、上記相違点2は、実質的な相違点ではない。
(ウ)小括
上記「(ア)及び(イ)」より、上記相違点1及び2は、本件特許発明1と甲4発明の実質的な相違点とは認められない。したがって、本件特許発明1と甲4発明との間には相違点は認められない。
ウ 特許権者による令和6年4月1日付け意見書(意見書2)における主張について
特許権者は、意見書2において「本件特許発明1(本件特許の請求項1の発明)は甲4に開示も示唆もされていない」旨主張する。
しかしながら、上記主張の根拠となる本件特許発明1と甲4発明との相違点については、上記意見書2には記載されておらず、具体的に本件特許発明1と甲4発明とがどの点で相違しているのかの主張を上記意見書2からは読み取ることができない。したがって、上記意見書2における特許権者の主張は採用することができない。
エ 小括
以上のことから、本件特許発明1は甲4発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。
(2)請求項1を引用する本件特許発明9について
請求項1を引用する本件特許発明9は、本件特許発明1において、「前記取得する手段は、前記環境情報を測定するように構成された測定装置から前記環境情報を取得する」(以下「本件特許発明9特定事項」という。)発明である。
本件特許発明1は、上記「(1)」で検討したとおり甲4発明であるから、上記本件特許発明9特定事項について検討する。
甲4発明の「温度測定手段51と、湿度測定手段52と、紫外線測定手段53と」「を備え」る「環境測定装置50」は、本件特許発明9特定事項における「環境情報を測定するように構成された測定装置」に相当する。また、上記「(1)ア(ア)」で検討したとおり、甲4発明の「カウンセリングサーバ60」は、環境測定装置50で測定された環境データを受信することから、本件特許発明9の「情報処理装置」とは「環境情報を測定するように構成された測定装置から前記環境情報を取得する」点で共通する。ゆえに、甲4発明は、上記本件特許発明9特定事項を備えている。
そして、意見書2には、本件特許発明9についての取消理由に対する意見は記載されていないことから、特許権者の具体的な反論はなされていない。
したがって、請求項1を引用する本件特許発明9は、甲4発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。
(3)請求項1及び9を引用する本件特許発明12について
請求項1及び9を引用する本件特許発明12は、本件特許発明1及び9「の情報処理装置と接続可能なクライアント装置であって、ディスプレイを備え、前記情報処理装置によって提示された第1情報及び第2情報を前記ディスプレイに表示する手段を備える、クライアント装置」(以下「本件特許発明12特定事項」という。)の発明である。
本件特許発明1は、上記「(1)」で検討したとおり甲4発明であり、本件特許発明9は、上記「(2)」で検討したとおり甲4発明であるから、上記本件特許発明12特定事項について検討する。
甲4発明の「ユーザ端末40」は、「ユーザ端末40」内の「出力手段44」で「カウンセリングサーバ60」から送られてきた「肌状態解析情報」や「カウンセリング情報」を表示するものであり、「パーソナルコンピュータ、データ処理装置、携帯電話やPDA等の情報処理機器で構成され」るものであるから、明示はなくともディスプレイを備え、そのディスプレイに「肌状態解析情報」や「カウンセリング情報」を表示することは明らかである。よって、甲4発明の「ユーザ端末40」と本件特許発明12の「クライアント装置」とは、「情報処理装置と接続可能なクライアント装置であって、ディスプレイを備え、前記情報処理装置によって提示された第1情報及び第2情報を前記ディスプレイに表示する手段を備える、クライアント装置」である点で共通する。ゆえに、甲4発明の「ユーザ端末40」は、上記本件特許発明12特定事項を備えている。
そして、意見書2には、本件特許発明12についての取消理由に対する意見は記載されていないことから、特許権者の具体的な反論はなされていない。
したがって、請求項1及び9を引用する本件特許発明12は、甲4発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。
(4)請求項1、9及び12を引用する本件特許発明15について
請求項1、9及び12を引用する本件特許発明15は、コンピュータを、請求項1、9及び12の何れかに記載の各手段として機能させるためのプログラムである。
本件特許発明1、9及び12の装置に関する発明は、上記「(1)ないし(3)」で検討したとおり、甲4発明である。
そして、本件特許発明1、9及び12の装置に関する発明である甲4発明の「カウンセリングサーバ60」及び「ユーザ端末40」は、明示はなくともその処理を行うプログラムを備えていると認められる。
そして、意見書2には、本件特許発明15についての取消理由に対する意見は記載されていないことから、特許権者の具体的な反論はなされていない。
したがって、請求項1、9及び12を引用する本件特許発明15は、甲4発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。
(5)本件特許発明16について
本件特許発明16は、実質的に本件特許発明1のカテゴリーを「方法」に変更しかつ、「第1情報」及び「第2情報」に含まれるものの候補として挙げられていた「ケアに適した商品に関するアドバイス」を上記候補から削除した発明であるから、上記「(1)」で検討したのと同様の理由により、本件特許発明16は、甲4発明である。
また、特許権者は、意見書2において「本件特許発明16(本件特許の請求項16の発明)は甲4に開示も示唆もされていない」旨主張するが、上記主張の根拠となる本件特許発明16と甲4発明との相違点については、上記意見書2には記載されておらず、具体的に本件特許発明16と甲4発明とがどの点で相違しているのかの主張を上記意見書2からは読み取ることができないため、上記意見書2における特許権者の主張は採用することができない。
したがって、本件特許発明16は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。
(6)取消理由1のまとめ
以上のことから、本件特許発明1,9,12,15及び16は、甲第4号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。
2.取消理由2(進歩性)について
(1)本件特許発明1,9,12,15及び16について
上記「1.」で検討したとおり、本件特許発明1,9,12,15及び16は、甲4発明である。または、本件特許発明1,9,12,15及び16が、甲4発明と相違点があるとしても、その相違点に係る技術事項は微差にすぎず、甲4発明においてその相違点に係る技術事項を備えるようにすることは、当業者ならば容易になしえたことである。
また、特許権者は、意見書2において「本件特許発明1及び16は甲4に開示も示唆もされていない。したがって、本件特許発明1及び16の効果は、甲4の記載事項から当業者が予測しうる程度のものではない。」旨主張するが、上記主張の根拠となる本件特許発明1及び16と甲4発明との相違点及び、本件特許発明1及び16の甲4の記載事項から当業者が予測し得ない効果については、上記意見書2には記載されておらず、具体的に本件特許発明1及び16と甲4発明とがどの点で相違しているのか及びどのような効果の違いがあるのかの主張を上記意見書2からは読み取ることができないため、上記意見書2における特許権者の主張は採用することができない。
そして、本件特許発明1,9,12,15及び16の効果は、甲4の記載事項から当業者が予測しうる程度のものにすぎない。
したがって、本件特許発明1,9,12,15及び16は、甲4発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(2)本件特許発明2について
ア 本件特許発明2は、本件特許発明1において、「前記第1情報又は前記第2情報が前記ケア行動を含む場合、前記ユーザ識別情報と、前記ケア行動を識別するタスク識別情報と、を関連付けて記憶する手段を備える」(以下「本件特許発明2特定事項」という。)発明である。
イ 本件特許発明1は、上記「(1)」で検討したとおり甲4発明であるか、甲4発明から当業者が容易になしえた発明であるから、上記本件特許発明2特定事項について検討する。
ウ 甲1発明の「日焼け後のお手入れを十分にして」というすぐに行うべきケアの方法に関するアドバイスは、「日焼け後のお手入れを十分にする」というケア行動を含んでいる。また、甲1発明のメモリー22に記憶されている顧客の個別情報には、過去の紫外線被曝量情報およびそれによるアドバイス情報の内容とともに「現在の肌のケア内容(使用している化粧品を含む)、過去の肌のケア内容」が含まれている。
エ しかしながら、上記甲1発明の「現在の肌のケア内容(使用している化粧品を含む)、過去の肌のケア内容」は、上記甲1発明の「日焼け後のお手入れを十分にして」というすぐに行うべきケアの方法に関するアドバイスに対応したケア行動ではない。また、上記甲1発明の「現在の肌のケア内容(使用している化粧品を含む)、過去の肌のケア内容」は、「肌状態解析情報」(第1情報)または「カウンセリング情報」(第2情報)に含まれるものではないから、上記本件特許発明2特定事項の「前記第1情報又は前記第2情報が」「含む」「前記ケア行動」に相当するものではない。ゆえに、甲1発明には本件特許発明2特定事項における「ケア行動を識別するタスク識別情報」は開示されておらず、それゆえ甲1発明には本件特許発明2特定事項は開示されていない。
オ さらに、甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証ないし甲第7号証にも、本件特許発明2特定事項は開示されておらず、本願の優先日前において本件特許発明2特定事項が周知の技術であるとも認められない。
カ そうすると、他の甲号証を参照しても、上記本件特許発明2特定事項が記載されていないのであるから、甲4発明に、甲第1号証ないし甲第3号証、甲第5号証ないし甲第7号証に開示された事項を組み合わせても、上記本件特許発明2特定事項を有するものとはならない。
キ 申立人は、異議申立書第36頁において、上記本件特許発明2特定事項は甲第2号証に記載されている旨主張する。しかしながら、甲第2号証に開示されたユーザに適した推奨美容項目は、美容状態グループに基づき生成されたものであり、環境情報や環境ログ情報に基づき生成された第1情報又は第2情報に含まれるケア行動ではない。よって上記申立人の主張は採用することができない。
ク 以上のことから、本件特許発明2は甲4発明、甲1発明、並びに甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証ないし甲第7号証に開示された周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。
(3)請求項1及び9を引用する本件特許発明10について
請求項1及び9を引用する本件特許発明10は、本件特許発明1及び9において、「前記紫外線曝露量が所定値以上である場合、通知メッセージを提示する手段を備える」(以下「本件特許発明10特定事項」という。)発明である。
本件特許発明1及び9は、上記「(1)」で検討したとおり甲4発明であるか、甲4発明に基いて当業者が容易になしえた発明であるから、上記本件特許発明10特定事項について検討する。
甲1発明は、例えば紫外線被曝量情報と顧客の個別情報と気象庁からの情報とから、「本日は紫外線を浴びすぎています。」とのアドバイス情報を顧客側装置の出力手段20に出力するものである。上記アドバイス情報は、上記本件特許発明10特定事項における「紫外線曝露量が所定値以上である場合」の「通知メッセージ」であるから、甲1発明は上記本件特許発明10特定事項を備えている。
そして、甲4発明と甲1発明とは、データに基づいてユーザに肌のケアに関する情報を提供する点で共通の技術分野に属するものである。
よって、甲4発明に上記甲1発明の技術を採用して上記本件特許発明10特定事項を備えるようにすることは、当業者ならば容易になしえたことである。
さらに、意見書2には、本件特許発明10についての取消理由に対する意見は記載されていないことから、特許権者の具体的な反論はなされていない。
そして、請求項1及び9を引用する本件特許発明10の効果は、甲4及び甲1の記載事項から当業者が予測しうる程度のものにすぎない。
したがって、請求項1及び9を引用する本件特許発明10は、甲4発明及び甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(4)請求項1及び9を引用する本件特許発明11について
請求項1及び9を引用する本件特許発明11は、本件特許発明1及び9において、「ウェアラブルデバイスから前記環境情報を取得する手段を備え、前記ウェアラブルデバイスから取得した環境情報に基づいて、前記ウェアラブルデバイスを装着したユーザの肌のケアに関するアドバイスを提示する手段を備える」(以下「本件特許発明11特定事項」という。)発明である。
本件特許発明1及び9は、上記「(1)」で検討したとおり甲4発明であるか、甲4発明に基いて当業者が容易になしえた発明であるから、上記本件特許発明11特定事項について検討する。
甲4発明は、ユーザが肌状態測定装置20で測定した肌状態データと、環境測定装置50で測定した上記肌状態の測定が行われる場所の環境データ(温度、湿度、紫外線の強度)をカウンセリングサーバ60に測定日時情報及びユーザ識別情報と共に送信し、カウンセリングサーバ60が受信したこれらの情報に基づいて肌状態解析処理を実行し肌状態解析情報を生成し、カウンセリングサーバ60からユーザ端末40へ肌状態解析情報を送信し、ユーザ端末40で肌状態解析情報を表示することから、甲4発明における「環境データ(温度、湿度、紫外線の強度)」は、上記本件特許発明11特定事項における「環境情報」に相当し、甲4発明における「肌状態解析情報」は、上記「第6 1.(1)イ(ア)」で説示したとおり上記本件特許発明11特定事項における「ユーザの肌のケアに関するアドバイス」に相当する。すると、甲4発明と、本件特許発明11とは環境情報を取得する機器が、本件特許発明11は、ユーザが装着したウェアラブルデバイスであるのに対し、甲4発明は環境測定装置50である点(以下「相違点3」という。)で相違する。
甲1発明は、顧客側装置の測定装置12はブローチ52に内蔵されたものを用い、その測定装置12で顧客のUV-Bの被曝量、気温及び湿度を測定している。甲1発明における上記ブローチ52は上記本件特許発明11特定事項における「ウェアラブルデバイス」に相当し、甲1発明における上記測定装置12は上記本件特許発明11特定事項における「ウェアラブルデバイスから前記環境情報を取得する手段」に相当し、甲1発明における上記顧客は上記本件特許発明11特定事項における「ウェアラブルデバイスを装着したユーザ」に相当するから、甲1発明は上記相違点3に係る技術事項を備えている。
そして、甲4発明と甲1発明とは、データに基づいてユーザに肌のケアに関する情報を提供する点で共通の技術分野に属するものである。
よって、甲4発明に上記甲1発明の技術を採用して上記本件特許発明11特定事項を備えるようにすることは、当業者ならば容易になしえたことである。
さらに、意見書2には、本件特許発明11についての取消理由に対する意見は記載されていないことから、特許権者の具体的な反論はなされていない。
そして、請求項1及び9を引用する本件特許発明11の効果は、甲4及び甲1の記載事項から当業者が予測しうる程度のものにすぎない。
したがって、請求項1及び9を引用する本件特許発明11は、甲4発明及び甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
(5)取消理由2のまとめ
以上のことから、本件特許発明1,9ないし12,15及び16は、甲第4号証に記載された発明及び甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。
また、本件特許発明2は、甲4発明、甲1発明、並びに甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証ないし甲第7号証に開示された周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。
第7 異議申立理由1ないし3についての判断
1.異議申立理由1:特許法第29条第2項(進歩性違反)について
(1)甲4発明を基礎とした進歩性違反について
甲4発明を基礎とした進歩性違反の検討は上記「第6 2.」において、本件特許発明1,2,9ないし12,15及び16については既になされていることから、上記「第6 2.」においてなされていない本件特許発明3ないし8,13,及び14について以下に検討を行う。
ア 本件特許発明3及び4について
請求項2を直接又は間接的に引用する本件特許発明3及び4は、本件特許発明2特定事項を備えた発明であるから、上記「第6 2.(2)」で検討したとおり、甲4発明、甲1発明、並びに甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証ないし甲第7号証に開示された周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。
イ 本件特許発明5について
(ア)本件特許発明5は、本件特許発明1ないし4において、「前記環境ログ情報に基づく前記ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段を備え、前記推定された肌指標を提示する手段を備える」(以下「本件特許発明5特定事項」という。)発明である。
(イ)本件特許発明1については、上記「第6 2.(1)」で検討したとおり甲4発明であるか、甲4発明に基いて当業者が容易になしえた発明であるから、上記本件特許発明5特定事項について検討する。
(ウ)甲4発明は、カウンセリングサーバ60にて肌状態解析情報及びカウンセリング情報を生成し、ユーザ端末40の出力手段44で水分量、皮脂量をグラフ表示していることから、肌指標を推定し提示していると認められる。しかしながら、上記水分量、皮脂量は、肌状態測定装置20で測定した肌の水分量、皮脂量に基づくものであり、環境測定装置50で測定した温度、湿度及び紫外線強度に基づくものではない。したがって、甲4発明は上記本件特許発明5特定事項を備えてはいない。
(エ)また、甲1発明、並びに甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証ないし甲第7号証にも、本件特許発明5特定事項は開示されておらず、本願の優先日前において本件特許発明5特定事項が周知の技術であるとも認められない。
(オ)そうすると、他の甲号証を参照しても、上記本件特許発明5特定事項が記載されていないのであるから、甲4発明に、甲1発明、並びに甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証ないし甲第7号証に開示された事項を組み合わせても、上記本件特許発明2特定事項を有するものとはならない。
(カ)申立人は、異議申立書第38頁において、上記本件特許発明5特定事項は甲第1号証(特に段落0075)に記載されている旨主張する。しかしながら、甲1発明で提供されるアドバイス情報は、甲第1号証の段落【0075】(上記「第5 1.(5)」参照。)に例示されるように文章で表現されたアドバイスであり、上記段落【0075】に記載されている「お肌にサンバーン症状が生じる可能性があります」というアドバイスも、肌の変化の可能性に言及するアドバイスであり、肌指標と呼べるものとは認められない。さらに、甲1発明の上記アドバイスは紫外線被曝量情報と顧客の個別情報と気象庁からの情報とから生成されたものであり、環境ログ情報に基づくものでもない。よって上記申立人の主張は採用することができない。
(キ)以上のことから、本件特許発明5は甲4発明、甲1発明、並びに甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証ないし甲第7号証に開示された周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。
ウ 本件特許発明6ないし8について
請求項5を直接又は間接的に引用する本件特許発明6ないし8は、本件特許発明5特定事項を備えた発明であるから、上記「イ」で検討したとおり、甲4発明、甲1発明、並びに甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証ないし甲第7号証に開示された周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。
エ 本件特許発明13について
(ア)本件特許発明13は、本件特許発明1ないし11において、「ウェアラブルデバイスから前記環境情報を取得する手段を備え、前記ウェアラブルデバイスから取得した環境情報に基づいて、前記ウェアラブルデバイスを装着したユーザの肌状態に関する肌指標を推定する手段を備え、前記推定された肌指標を提示する手段を備える」(以下「本件特許発明13特定事項」という。)発明である。
(イ)本件特許発明1については、上記「第6 2.(1)」で検討したとおり甲4発明であるか、甲4発明に基いて当業者が容易になしえた発明であるから、上記本件特許発明13特定事項について検討する。
(ウ)上記本件特許発明13特定事項のうち「ウェアラブルデバイスから前記環境情報を取得する手段を備え、前記ウェアラブルデバイスから取得した環境情報に基づいて、」という発明特定事項については、上記「第6 2.(4)」で説示したとおり、甲1発明に開示されている。
(エ)しかしながら、「環境情報に基づいて」「ユーザの肌状態に関する肌指標を推定する手段」については、甲4発明、甲1発明、並びに甲第2号証、甲第3号証、及び甲第5号証ないし甲第7号証には開示されていない。よって、甲第1号証ないし甲第7号証には、本件特許発明13特定事項は開示されておらず、本願の優先日前において本件特許発明13特定事項が周知の技術であるとも認められない。
(オ)申立人は、異議申立書第44頁において、上記本件特許発明13特定事項は甲第1号証の記載から、甲1発明が備えることは明らかである旨主張する。しかしながら、甲1発明で提供されるアドバイス情報は、甲第1号証の段落【0075】(上記「第5 1.(5)」参照。)に例示されるように文章で表現されたアドバイスであり、上記段落【0075】に記載されている「お肌にサンバーン症状が生じる可能性があります」というアドバイスも、肌の変化の可能性に言及するアドバイスであり、肌指標と呼べるものとは認められない。よって、上記申立人の主張は採用することができない。
(カ)以上のことから、本件特許発明13は、甲4発明、甲1発明、並びに甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証ないし甲第7号証に開示された周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。
オ 本件特許発明14について
請求項13を引用する本件特許発明14は、本件特許発明13特定事項を備えた発明であるから、上記「エ」で検討したとおり、甲4発明、甲1発明、並びに甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証ないし甲第7号証に開示された周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。
カ 小括
以上のことから、本件特許発明3ないし8、13,及び14は、甲4発明、甲1発明、並びに甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証ないし甲第7号証に開示された周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。
(2)甲1発明を基礎とした進歩性違反について
ア 本件特許発明1について
(ア)対比
本件特許発明1と甲1発明とを比較する。
a 甲1発明の「顧客」は、本件特許発明1の「ユーザ」に相当する。
b 甲1発明の「顧客が身につけた」「ブローチ52に内蔵された」「測定装置12」の「紫外線被曝量測定手段24」で測定した「UV-Bの被曝量」は、本件特許発明1の「ユーザが浴びた紫外線の量を示す紫外線曝露量」に相当する。
c 甲1発明の「顧客が身につけた」「ブローチ52に内蔵された」「測定装置12」の「物理量測定手段30」で測定される「気温、湿度」は、本件特許発明1の「ユーザが過ごした環境の温度」及び「ユーザが過ごした環境の湿度」に相当する。
d 甲1発明は、「測定装置12は、ブローチ52に内蔵されたものを用い、紫外線被曝量測定手段24と被曝量記憶手段26とが内蔵され、気温、湿度等の環境物理量や、顧客の運動量を測定し得る温度計、湿度計、あるいは歩数計などの物理量測定手段30をさらに備え、紫外線被曝量測定手段24ではUV-Bの被曝量が測定可能であり、時計機能を内蔵した被曝量記憶手段26により、UV-Bの被曝量の経時データが連続的に、あるいは適当な時間間隔で断続的に蓄積し、物理量測定手段30で測定された他の物理量情報とともに紫外線被曝量情報として記憶され」ることから、甲1発明の「紫外線被曝量情報」は、「UV-Bの被曝量の経時データ」と「物理量測定手段30で測定された他の物理量情報」である「気温、湿度等の環境物理量や、顧客の運動量」を含むものであると認められる。したがって、甲1発明の「紫外線被曝量情報」は、本件特許発明1の「ユーザが浴びた紫外線の量を示す紫外線曝露量と、前記ユーザが過ごした環境の温度と、前記ユーザが過ごした環境の湿度と、を示す環境情報」に相当し、甲1発明の「紫外線被曝量情報」を測定し記憶する「測定装置12」は、本件特許発明1の「ユーザが浴びた紫外線の量を示す紫外線曝露量と、前記ユーザが過ごした環境の温度と、前記ユーザが過ごした環境の湿度と、を示す環境情報を取得する手段」に相当する。
e 甲1発明は、「アドバイス情報提供側装置」の「メモリー22」において、「メモリー22の蓄積手段に情報入手手段14において顧客から入手した紫外線被曝量情報を蓄積し、メモリー22の記憶手段に顧客の個別情報を記憶」するものであり、「顧客の個別情報」には「過去の紫外線被曝量情報」が含まれ、「紫外線被曝量情報」には「時計機能を内蔵した被曝量記憶手段26により、」「連続的に、あるいは適当な時間間隔で断続的に蓄積」された「UV-Bの被曝量の経時データ」が含まれることから、紫外線被曝量情報には、UV-Bの被曝量とそれを取得した日時が少なくとも含まれている。したがって、甲1発明の「メモリー22」に記憶される「時計機能を内蔵した被曝量記憶手段26により、」「連続的に、あるいは適当な時間間隔で断続的に蓄積」された「UV-Bの被曝量の経時データ」と「物理量測定手段30で測定された他の物理量情報」である「気温、湿度等の環境物理量や、顧客の運動量」とを含む「紫外線被曝量情報」は、本件特許発明1の「前記環境情報を取得した日時と、前記環境情報と、を関連付けることにより、」「記憶する」「環境ログ情報」に相当し、甲1発明の「メモリー22」は、「前記環境情報を取得した日時と、前記環境情報と、を関連付けることにより、環境ログ情報として記憶する手段」に相当する。
f 甲1発明は、「アドバイス情報提供手段16では、入力された、紫外線被曝量情報、顧客の個別情報及び天気予報(紫外線照射量の予測)のデータに応じた肌のケア方法が導出できるようになっており、処理手段18により、紫外線被曝量情報が入力されると、アドバイス情報が処理手段18に出力され、」「処理手段18は、アドバイス情報提供手段16から入手したアドバイス情報を顧客側に提示するために、前記アドバイス情報を顧客の個人用情報端末としての出力手段20に出力し、」「顧客は、出力手段20に出力されたアドバイス情報を受け取ることにより紫外線被曝量に応じた適切な肌のケア方法を入手することができ」る。上記甲1発明の「アドバイス情報」はそれを受け取ることにより顧客が「紫外線被曝量に応じた適切な肌のケア方法」を入手することができるものであるから、本件特許発明1における「取得された環境情報」と「環境ログ情報」に「基づい」た「ユーザの肌状態に関する」「情報」である。したがって、甲1発明の「アドバイス情報提供側装置」の「アドバイス情報提供手段16」及び「処理手段18」と「顧客側装置」の「出力手段20」は、本件特許発明1の「取得された環境情報に基づいて、」「ユーザの肌状態に関する」「情報を提示する手段」及び「環境ログ情報に基づいて、」「ユーザの肌状態に関する」「情報を提示する手段」に相当する。
g 甲1発明の「アドバイス情報提供手段16」が「処理手段18に出力し、」「処理手段18」が「送信し」「出力手段20」で出力する「アドバイス情報」のうち、「本日は紫外線を浴びすぎています。今夜、お肌にサンバーン症状が生じる可能性があります。日焼け後のお手入れを十分にしてからお休み下さい。」というアドバイス情報は、「日焼け後のお手入れを十分にして」というすぐに行うべきケアの方法に関するアドバイスを含むことから、本件特許発明1における「すぐに行うべきケアの方法に関するアドバイス」を含む「第1情報」に相当する。
h 甲1発明の「アドバイス情報提供手段16」が「処理手段18に出力し、」「処理手段18」が「送信し」「出力手段20」で出力する「アドバイス情報」のうち、「明日も同じような天気が予想されますから、日焼けを防ぐには、SPF値40以上の化粧料をお使いになるか、日傘などの日よけをお使いになることをお勧めします。」というアドバイス情報は、「日焼けを防ぐには、SPF値40以上の化粧料をお使いになる」というケアに適した商品に関するアドバイスを含むことから、本件特許発明1における「ケアに適した商品に関するアドバイス」を含む「第2情報」に相当する。
i 上記「fないしh」より、甲1発明の「アドバイス情報提供側装置」の「アドバイス情報提供手段16」及び「処理手段18」と「顧客側装置」の「出力手段20」は、本件特許発明1の「環境ログ情報に基づいて、」「ユーザの肌状態に関する」「ケアに適した商品に関するアドバイス」を含む「第2情報を提示する手段」に相当する。
j 甲1発明の「アドバイス情報提供側装置と、顧客側装置とから構成される、肌のケア方法のアドバイスシステム」は、顧客側装置に「測定装置12」及び「出力手段20」が含まれ、アドバイス情報提供側装置に、「メモリー22」、「アドバイス情報提供手段16」及び「処理手段18」が含まれることから、本件特許発明1の「情報処理装置」に相当する。
すると、本件特許発明1と甲1発明とは、
「ユーザが浴びた紫外線の量を示す紫外線曝露量と、前記ユーザが過ごした環境の温度と、前記ユーザが過ごした環境の湿度と、を示す環境情報を取得する手段を備え、
前記環境情報を取得した日時と、前記環境情報と、を関連付けることにより、環境ログ情報として記憶する手段を備え、
前記環境ログ情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第2情報を提示する手段を備え、
前記第2情報は、ケアに適した商品に関するアドバイス、を含む、
情報処理装置。」
の点で一致し、以下の相違点4及び5で相違する。
<相違点4>
環境ログ情報として記憶する手段において、本件特許発明1は、「前記ユーザを識別するユーザ識別情報と、前記環境情報を取得した日時と、前記環境情報と、を関連付けることにより、環境ログ情報として記憶する」のに対し、甲1発明はメモリー22に顧客の個別情報として過去の紫外線被曝量情報を記憶する点。
<相違点5>
本件特許発明1は、「前記取得された環境情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第1情報を提示する手段を備え、」「前記第1情報は、ケアに適した商品に関するアドバイス、すぐにケア行動を行うことを促すメッセージ、すぐに行うべきケアの方法に関するアドバイス、及び、過去の肌状態を示す第1肌スコアの少なくとも1つを含」むのに対し、甲1発明は、「入力された、紫外線被曝量情報、顧客の個別情報及び天気予報(紫外線照射量の予測)のデータに応じ」た「日焼け後のお手入れを十分にして」というすぐに行うべきケアの方法に関するアドバイスを提示する点。
(イ)判断
事案に鑑み、相違点5について検討する。
a 甲1発明は、アドバイス情報提供手段16で、例えば紫外線被曝量情報と顧客の個別情報と気象庁からの情報とから、「本日は紫外線を浴びすぎています。今夜、お肌にサンバーン症状が生じる可能性があります。日焼け後のお手入れを十分にしてからお休み下さい。明日も同じような天気が予想されますから、日焼けを防ぐには、SPF値40以上の化粧料をお使いになるか、日傘などの日よけをお使いになることをお勧めします。外出を最小限に控えることも有効でしょう。」というアドバイス情報を導出し、肌のケア方法のアドバイスを顧客に提供する発明である。上記甲1発明が提供するアドバイスは、アドバイスを提供する時点で今後肌のケアをどうするべきかを提示するという特徴を備えるものであり、そのような特徴を備えるアドバイスを生成するために、甲1発明は、紫外線被曝量情報のみならず顧客の個別情報及び気象庁からの情報をも用いて総合的にアドバイス情報を導出している。ゆえに、甲1発明では、1つのアドバイス情報を導出する際に、ある特定の日時に測定された紫外線被曝量情報のみに基づいてアドバイス情報を導出することは想定されていない。
b また、紫外線被曝量情報のみならず顧客の個別情報及び気象庁からの情報をも用いて導出したアドバイスを導出する甲1発明において、ある特定の日時に測定された紫外線被曝量情報のみに基づいてアドバイス情報を導出する機能をさらに付加することは、アドバイス作成のための情報がより少ないものからアドバイスを導出するという、既出のアドバイスから劣ったアドバイスをさらに導出する機能を付加することとなる。そのような機能の付加は、無駄な機能の付加であり、当業者ならばそのような機能の付加は通常望まないものであるから、甲1発明において、ある特定の日時に測定された紫外線被曝量情報のみに基づいてアドバイス情報をさらに導出するという課題が内在しているとも認められない。
c 以上のことから、本願の優先日前において上記相違点5に係る技術事項が本願の優先日前において周知の技術であったとしても、甲1発明に上記相違点5に係る技術事項をさらに導入する動機があるとは認められない。
d したがって、甲1発明に上記相違点5に係る技術事項を備えるようにすることは、当業者が容易になし得たことであるとはいえない。
(ウ)申立人の主張について
a 申立人は、異議申立書第28ないし36頁に、本件特許発明1は、甲第1号証に記載された甲1発明1ないし3から、当業者が容易に想到できた発明である旨主張する。その主張のうち、上記相違点5に関する主張は、要すれば、甲第1号証に記載された「本日は紫外線を浴びすぎています。今夜、お肌にサンバーン症状が生じる可能性があります。日焼け後のお手入れを十分にしてからお休み下さい。」というアドバイス情報が、本件特許発明1における「すぐにケア行動を行うことを促すメッセージ、すぐに行うべきケアの方法に関するアドバイス」という「ユーザの肌状態に関する第1情報」に相当するから、甲第1号証に記載された発明は「前記取得された環境情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第1情報を提示する手段を備え」ているというものである。
b しかしながら、甲第1号証に記載された発明として認定した甲1発明と本件特許発明1との対比判断は上記「(ア)及び(イ)」に説示したとおりであり、上記「a」で申立人が主張する上記アドバイスの一部のみが、ある特定の日時に測定された紫外線被曝量情報に基づいて導出されたものであるとは認められない(上記「(イ)a」参照。)。
c また、異議申立書第28及び29頁において、申立人が認定した甲第1号証に記載された甲1発明1ないし3における「アドバイス情報」及び「アドバイス」についても、上記「(イ)a」で検討した「本日は紫外線を浴びすぎています。今夜、お肌にサンバーン症状が生じる可能性があります。日焼け後のお手入れを十分にしてからお休み下さい。明日も同じような天気が予想されますから、日焼けを防ぐには、SPF値40以上の化粧料をお使いになるか、日傘などの日よけをお使いになることをお勧めします。外出を最小限に控えることも有効でしょう。」というアドバイス情報を指すものであることから、甲1発明1ないし3と本件特許発明1との対比においても、上記相違点5は甲1発明1ないし3と本件特許発明1との相違点の1つとなるものである。そして相違点5についての判断は上記「(イ)」に説示したとおりであり、上記「a」で申立人が主張する上記アドバイスの一部のみが、ある特定の日時に測定された紫外線被曝量情報に基づいて導出されたものであるとは認められない(上記「(イ)a」参照。)。
d したがって、上記「a」の申立人の主張は採用することができない。
(エ)小括
以上のことから、相違点4について検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1発明、甲4発明、並びに甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証ないし甲第7号証に開示された周知技術から当業者が容易になし得たものであるとはいえない。
イ 本件特許発明2ないし15について
請求項1を直接又は間接的に引用する本件特許発明2ないし15は、本件特許発明1の発明特定事項をすべて備えた発明であるから、上記「ア」で検討したとおり、甲1発明、甲4発明、並びに甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証ないし甲第7号証に開示された周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。
ウ 本件特許発明16について
本件特許発明16は、実質的に本件特許発明1のカテゴリーを「方法」に変更しかつ、「第1情報」及び「第2情報」に含まれるものの候補として挙げられていた「ケアに適した商品に関するアドバイス」を上記候補から削除した発明であるから、上記「ア」で検討したのと同様の理由により、本件特許発明16は、甲1発明、甲4発明、並びに甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証ないし甲第7号証に開示された周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。
エ 小括
以上のことから、本件特許発明1ないし16は、甲1発明、甲4発明、並びに甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証ないし甲第7号証に開示された周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。
(3)まとめ
上記「(1)及び(2)」より、本件特許発明3ないし8、13及び14は、甲4発明、甲1発明、並びに甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証ないし甲第7号証に開示された周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえないし、甲1発明、甲4発明、並びに甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証ないし甲第7号証に開示された周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。
また、上記「第6 2.(2)」と上記「(2)」より、本件特許発明2は、甲4発明、甲1発明、並びに甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証ないし甲第7号証に開示された周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえないし、甲1発明、甲4発明、並びに甲第2号証、甲第3号証、甲第5号証ないし甲第7号証に開示された周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。
したがって、申立人の特許法第29条第2項についての異議申立理由は、本件特許発明2ないし8、13及び14に対しては、理由がない。
2.異議申立理由2:特許法第36条第4項第1号(実施可能要件違反)について
(1)申立人は、異議申立書第46ないし49頁において、本件特許明細書には、環境情報を含む情報(群)に基づいて提示された第1情報が記載されておらず、当業者が本件特許発明1ないし16を実施しようとした場合に、どのように「環境情報に基づいて」第1情報を提示するかを理解することができないから、本件特許発明1ないし16は、当業者が実施することができる程度に発明の詳細な説明が記載されているとはいえない旨主張する。
(2)上記主張について検討する。
ア 本願の発明の詳細な説明及び図面には以下の記載がある。(下線は当審で付与した。)
(ア)「【0090】
ステップS300の後、サーバ30は、肌状態の推定(S301)を実行する。
具体的には、プロセッサ32は、ユーザ情報データベース(図3)を参照して、コンテンツリクエストデータに含まれるユーザIDに関連付けられた推定式を特定する。
【0091】
プロセッサ32は、ステップS300で更新した環境ログ情報データベースに格納された環境ログ情報のレコードのうち、「日時」フィールドの値がステップS100の実行日から遡って一定期間(例えば、1週間)に含まれるレコード(以下「環境参照レコード」という)を特定する。
プロセッサ32は、環境参照レコードの「紫外線曝露量」フィールド、「温度」フィールド、及び、「湿度」フィールドの値の平均値を算出する。
プロセッサ32は、算出した平均値を、特定した推定式に適用することにより、第1肌スコアを算出する。
【0092】
第1肌スコアは、以下の指標毎に算出される。
・角層水分量に関する肌スコア
・肌理に関する肌スコア
・肌色に関する肌スコア
・肌の定性状態に関する肌スコア
・肌荒れに関する肌スコア
・炎症レベルに関する肌スコア
・肌の小じわの程度に関する肌スコア
【0093】
プロセッサ32は、予測情報提供サーバ70から環境予測情報を取得する。
プロセッサ32は、環境参照レコードの「紫外線曝露量」フィールド、「温度」フィールド、及び、「湿度」フィールドの値の平均値と、環境予測情報とを、特定した推定式に適用することにより、第2肌スコアを算出する。第2肌スコアは、第1肌スコアと同様の指標毎に算出される。
【0094】
プロセッサ32は、コンテンツリクエストデータに含まれるユーザIDに関連付けられた肌評価ログ情報データベース(図7)に新規レコードを追加する。
新規レコードの各フィールドには、以下の情報が格納される。
・「肌評価ログID」…新規肌評価ログID
・「日時」フィールド…ステップS100の実行日時を示す情報
・「第1肌スコア」フィールド…第1肌スコア
・「第2肌スコア」フィールド…第2肌スコア」
(イ)「【0095】
ステップS301の後、サーバ30は、コンテンツの選択(S302)を実行する。
具体的には、プロセッサ32は、コンテンツマッチングテーブル(図8)の「基準スコア」フィールドを参照して、ステップS301で算出された第1肌スコアに対応するコンテンツIDを特定する。例えば、第1肌スコア「30」の場合、基準スコア「20~39」に関連付けれたコンテンツID「REAL001」が特定される。
プロセッサ32は、「基準スコア」フィールドを参照して、ステップS301で算出された第2肌スコアに対応するコンテンツIDを特定する。例えば、第2肌スコア「60」の場合、基準スコア「60~89」に関連付けられたコンテンツID「ONE003」が特定される。
【0096】
ステップS302の後、サーバ30は、コンテンツレスポンス(S303)を実行する。
具体的には、プロセッサ32は、コンテンツレスポンスデータをクライアント装置10に送信する。
コンテンツレスポンスデータは、以下の情報を含む。
・ステップS301で算出された第1肌スコア及び第2肌スコア
・ステップS301で第1肌スコアを算出するために参照された環境情報
・ステップS301で第2肌スコアを算出するために参照された環境ログ情報
・ステップS302で特定されたコンテンツID、及び、当該コンテンツIDによって識別されるコンテンツ(リアルタイムコンテンツ又はワンタイムコンテツ)
【0097】
ステップS303の後、クライアント装置10は、コンテンツレスポンスデータに基づいて、コンテンツの提示(S102)を実行する。
具体的には、プロセッサ12は、画面P100(図12)をディスプレイに表示する。
【0098】
画面P100は、表示オブジェクトA100a~A100dと、ボタンオブジェクトB100a~B100dと、を含む。
【0099】
表示オブジェクトA100aには、ステップS100で記憶装置11に記憶された環境情報(紫外線曝露量、温度、及び、湿度)が表示される。
表示オブジェクトA100bには、コンテンツレスポンスデータに含まれる環境ログ情報に対応するグラフ(例えば、紫外線曝露量、温度、及び、湿度の時間変化を示すグラフ)が表示される。
表示オブジェクトA100cには、コンテンツレスポンスデータに含まれる第1肌スコア及び第2肌スコアが表示される。」
(ウ)「【0100】
ボタンオブジェクトB100aは、リアルタイムコンテンツ画面P102a(図12A)を表示させるためのユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。
ボタンオブジェクトB100bは、ワンタイムコンテンツ画面P102b(図12B)を表示させるためのユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。
ボタンオブジェクトB100cは、タスクの提示(図13のS111)のユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。
ボタンオブジェクトB100dには、リアルタイムコンテンツ又はワンタイムコンテンツに従ってケアを行う時に有用なケアアイテムを購入するためのショッピングサイトへアクセスするためのユーザ指示を受け付けるオブジェクトである。
【0101】
ユーザがボタンオブジェクトB100aを指定すると、プロセッサ12は、画面P102a(図12A)をディスプレイに表示する。
画面P102aは、表示オブジェクトA102aと、ボタンオブジェクトB102aと、を含む。
【0102】
表示オブジェクトA102aには、コンテンツレスポンスデータに含まれるコンテンツIDによって識別されるリアルタイムコンテンツが表示される。」
(エ)「【図11】
[図:0001413327000013.jpg]
」
(オ)「【図12】
[図:0001413327000014.jpg]
」
イ 上記「ア」より、以下のことが読み取れる。
(ア)コンテンツレスポンスデータに基づいて表示される画面P100では、表示オブジェクトA100aに、ステップS100で記憶装置11に記憶された環境情報(紫外線曝露量、温度、及び、湿度)が「現在の環境情報」として表示され、表示オブジェクトA100cに、コンテンツレスポンスデータに含まれる第1肌スコアが「現在」の「肌スコア」として表示されること。
(イ)コンテンツレスポンスデータには、ステップS301で第1肌スコアを算出するために参照された環境情報や、第1肌スコア、第1肌スコアに対応するコンテンツID及び当該コンテンツIDによって識別されるコンテンツ(リアルタイムコンテンツ)等が含まれること。
(ウ)第1肌スコアの算出には、ステップS100の実行日から遡って一定期間に含まれるレコード(環境参照レコード)の「紫外線曝露量」フィールド、「温度」フィールド、及び、「湿度」フィールドの値の平均値を算出し、算出した平均値を、特定した推定式に適用することにより行われること。
(エ)コンテンツレスポンスデータに基づいて表示される画面P100でユーザがボタンオブジェクトB100aを指定すると表される画面P102aでは、コンテンツレスポンスデータに含まれるコンテンツIDによって識別されるリアルタイムコンテンツが表示されること。
ウ 上記「ア」及び「イ」より、ステップS100で測定され記憶された環境情報(紫外線曝露量、温度、及び、湿度)とステップS100の実行日から遡って一定期間に含まれる環境情報(紫外線曝露量、温度、及び、湿度)とを推定式に適用して第1肌スコアを求め、第1肌スコアや第1肌スコアに対応するリアルタイムコンテンツを画面に表示する実施例が、本願の発明の詳細な説明に記載されていると認められる。
エ よって、本願の発明の詳細な説明は、環境情報に基づいて第1情報を提示する実施例が記載されており、本件特許発明1ないし16を当業者が実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでないとはいえない。ゆえに、上記異議申立書の申立人の主張は採用することができない。
(3)小括
以上のことから、本願の発明の詳細な説明は、本件特許発明1ないし16を、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載したものでないとはいえないから、申立人の特許法第36条第4項第1号についての異議申立理由は、理由がない。
3.異議申立理由3:特許法第36条第6項第1号(サポート要件違反)について
(1)申立人は、異議申立書第49ないし52頁において、本件特許明細書の段落【0002】、【0003】、及び【0005】-【0007】の記載より、本件特許発明1ないし16が解決しようとする課題は「時系列の環境因子を考慮した、ユーザにとって最適な肌のケアに関するアドバイスを提供すること」にあると認められるが、本件特許発明1は肌状態を推定せずにユーザに対するアドバイスを提供する形態を包含するものであり、そのような形態の本件特許発明1が上記解決しようとする課題を解決することができるのか不明であるから、本件特許発明1ないし16には、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決する手段が反映されていないから、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することになる旨主張する。
(2)上記主張について検討する。
ア 本願の発明の詳細な説明の段落【0007】には以下の記載がある。
「【0007】
本発明の目的は、時系列の環境因子を考慮した最適な情報をユーザに提供することである。」
イ また、上記「第2」より、本件特許発明1は以下の発明特定事項を備えている。
(ア)「前記ユーザを識別するユーザ識別情報と、前記環境情報を取得した日時と、前記環境情報と、を関連付けることにより、環境ログ情報として記憶する手段を備え、」
(イ)「前記環境ログ情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第2情報を提示する手段を備え、」
(ウ)「前記第2情報は、ケアに適した商品に関するアドバイス、就寝前にケア行動を行うことを促すメッセージ、就寝前に行うべきケアの方法に関するアドバイス、及び、未来の肌状態を示す第2肌スコアの少なくとも1つを含む、」
ウ 上記「イ(ア)ないし(ウ)」より、本件特許発明1は、時系列の環境因子である環境ログ情報に基づいて、ユーザの肌に関する第2情報を提示する手段を備えていることから、上記「ア」の「時系列の環境因子を考慮した最適な情報をユーザに提供する」という課題(目的)を解決する手段を備えていると認められる。
本願の請求項1を引用する本件特許発明2ないし15及び上記「イ」と同様のステップを発明特定事項として備えた本件発明16も、上記と同様の理由により、上記「ア」の「時系列の環境因子を考慮した最適な情報をユーザに提供する」という課題(目的)を解決する手段を備えていると認められる。
エ したがって、本件特許発明1ないし16は、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決する手段が反映されていないから、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求することになっている、とはいえない。ゆえに、上記異議申立書の申立人の主張は採用することができない。
(3)小括
以上のことから、本件特許発明1ないし16は発明の詳細な説明に記載されたものではないとはいえないから、申立人の特許法第36条第6項第1号についての異議申立理由は、理由がない。
4.小括
以上のことから、申立人が異議申立書にて主張する異議申立理由1ないし3は、いずれも本件特許発明2ないし8、13及び14に対しては、理由がない。
第8 むすび
以上「第6 1.」で述べたとおり本件特許発明1,9,12,15及び16は、甲第4号証に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないものである。したがって、本件特許発明1,9,12,15及び16に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
また、上記「第6 2.」で述べたとおり本件特許発明1,9ないし12,15及び16は、甲第4号証に記載された発明及び甲第1号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。したがって、本件特許発明1,9ないし12,15及び16に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
以上のことから、請求項1,9~12、15及び16に係る特許は、同法第113条第1項第2号に該当するから、取り消されるべきものである。
また、上記「第6 2.」及び「第7」で述べたとおり本件特許発明2については、取消理由通知書に記載した取消理由1及び2又は特許異議申立書に記載された特許異議申立理由1ないし3によっては、本件特許発明2に係る特許を取り消すことはできない。
そして、上記「第7」で述べたとおり本件特許発明3ないし8,13及び14については、特許異議申立書に記載された特許異議申立理由1ないし3によっては、本件特許発明3ないし8,13及び14に係る特許を取り消すことはできない。
さらに、他に本件特許発明2ないし8,13及び14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。
J-PlatPat 審決検索を開く
2023-700878