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特許異議申立

2023-700711

情報処理装置、クライアント装置、情報処理方法、及び、プログラム

審判番号
2023-700711
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2019-557064
登録番号
7208153
請求日
2023年07月11日
審決日
2023年09月26日
公報発行日
2023年10月27日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】株式会社 資生堂
  • 【権利者代理人】成川 弘樹
  • 【権利者代理人】木本 大介
  • 【権利者代理人】大崎 絵美
  • 【異議申立人】大薮 恭平
審判長/審判官
  • 審判長 三崎 仁
  • 審判官 伊藤 幸仙
  • 審判官 櫃本 研太郎
分類
P1651.121-Y (A61B) / P1651.537-Y (A61B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第113条第2号、特許法第113条第4号
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7208153号発明「情報処理装置、クライアント装置、情報処理方法、及び、プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7208153号の請求項1ないし17に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7208153号(以下「本件特許」という。)に係る出願(以下「本願」という。)は、2018年(平成30年)10月18日(優先権主張 平成29年11月30日)を国際出願日とする特許出願であって、令和5年1月10日にその請求項1-17に係る発明について特許権の設定登録がされ、同年1月18日に特許掲載公報が発行され、その後、請求項1-17に係る特許に対して、同年7月11日に特許異議申立人 大薮恭平(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがなされ、同年8月7日に申立人により上申書(甲第6号証の作成者についての説明)が提出されたものである。 第2 本件特許発明 本件特許の請求項1-17に係る発明(以下「本件発明1」ないし「本件発明17」という。)は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1-17に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。 「【請求項1】 ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得する手段を備え、 前記触感情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第1情報、及び、複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第2情報の少なくとも1つを提示する手段を備え、 前記触感ログ情報に基づく前記ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段を備え、 前記推定された肌指標を提示する手段を備え、 前記ユーザの行動に関する行動情報の履歴を示す行動ログ情報を取得する手段を備え、 前記推定する手段は、前記触感ログ情報と、前記行動ログ情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する、 情報処理装置。 【請求項2】 前記第1情報及び前記第2情報の少なくとも1つは、前記ユーザの肌のケアの方法に関するアドバイス、前記ユーザの肌のケアに適した商品に関するアドバイス、前記ユーザのホルモンバランスに関するアドバイス、前記ユーザのストレスに関するアドバイス、及び、前記ユーザの皮膚の状態に基づくアドバイスの少なくとも1つを含む、請求項1に記載の情報処理装置。 【請求項3】 ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得する手段を備え、 複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づく肌状態の肌指標を推定する手段を備え、 前記推定された肌指標を提示する手段を備え、 前記ユーザの行動に関する行動情報の履歴を示す行動ログ情報を取得する手段を備え、 前記推定する手段は、前記触感ログ情報と、前記行動ログ情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する、 情報処理装置。 【請求項4】 ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得する手段を備え、 前記触感情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第1情報、及び、複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第2情報の少なくとも1つを提示する手段を備え、 前記触感ログ情報に基づく前記ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段を備え、 前記推定された肌指標を提示する手段を備え、 前記ユーザの心身に関する心身ログ情報を取得する手段を備え、 前記推定する手段は、前記触感ログ情報と、前記心身ログ情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する、情報処理装置。 【請求項5】 ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得する手段を備え、 複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づく肌状態の肌指標を推定する手段を備え、 前記推定された肌指標を提示する手段を備え、 前記ユーザの心身に関する心身ログ情報を取得する手段を備え、 前記推定する手段は、前記触感ログ情報と、前記心身ログ情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する、 情報処理装置。 【請求項6】 将来の肌の触感に関する物理特性を示す触感予測情報を取得する手段を備え、 前記推定する手段は、前記触感ログ情報と、前記触感予測情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する、請求項1~請求項5の何れかに記載の情報処理装置。 【請求項7】 前記取得する手段は、前記触感情報を測定するように構成された触感センサから前記触感情報を取得する、請求項1~請求項6の何れかに記載の情報処理装置。 【請求項8】 前記触感情報は、前記肌の振動特性、凹凸特性、接触特性、変形特性、粘着特性、温度、及び、摩擦特性の少なくとも1つを含む、請求項1~請求項7の何れかに記載の情報処理装置。 【請求項9】 請求項1~請求項8の何れかに記載の情報処理装置と接続可能なクライアント装置であって、 ディスプレイを備え、 前記情報処理装置によって提示された第1情報及び第2情報を前記ディスプレイに表示する手段を備える、クライアント装置。 【請求項10】 コンピュータを用いた情報処理方法であって、 ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得するステップを備え、 前記触感情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第1情報、及び、複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第2情報の少なくとも1つを提示するステップを備え、 前記触感ログ情報に基づく前記ユーザの肌状態の肌指標を推定するステップを備え、 前記推定された肌指標を提示するステップを備え、 前記ユーザの行動に関する行動情報の履歴を示す行動ログ情報を取得するステップを備え、 前記推定するステップは、前記触感ログ情報と、前記行動ログ情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する、 情報処理方法。 【請求項11】 コンピュータを用いた情報処理方法であって、 ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得するステップを備え、 複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づく肌状態の肌指標を推定するステップを備え、 前記推定された肌指標を提示するステップを備え、 前記ユーザの行動に関する行動情報の履歴を示す行動ログ情報を取得するステップを備え、 前記推定するステップは、前記触感ログ情報と、前記行動ログ情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する、 情報処理方法。 【請求項12】 コンピュータを用いた情報処理方法であって、 ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得するステップを備え、 前記触感情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第1情報、及び、複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第2情報の少なくとも1つを提示するステップを備え、 前記触感ログ情報に基づく前記ユーザの肌状態の肌指標を推定するステップを備え、 前記推定された肌指標を提示するステップを備え、 前記ユーザの心身に関する心身ログ情報を取得するステップを備え、 前記推定するステップは、前記触感ログ情報と、前記心身ログ情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する、情報処理方法。 【請求項13】 コンピュータを用いた情報処理方法であって、 ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得するステップを備え、 複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づく肌状態の肌指標を推定するステップを備え、 前記推定された肌指標を提示するステップを備え、 前記ユーザの心身に関する心身ログ情報を取得するステップを備え、 前記推定するステップは、前記触感ログ情報と、前記心身ログ情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する、 情報処理方法。 【請求項14】 コンピュータを、 ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得する手段として機能させ、 前記触感情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第1情報、及び、複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第2情報の少なくとも1つを提示する手段として機能させ、 前記触感ログ情報に基づく前記ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段として機能させ、 前記推定された肌指標を提示する手段として機能させ、 前記ユーザの行動に関する行動情報の履歴を示す行動ログ情報を取得する手段として機能させるためのプログラムであって、 前記推定する手段は、前記触感ログ情報と、前記行動ログ情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する、 プログラム。 【請求項15】 コンピュータを、 ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得する手段として機能させ、 複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づく肌状態の肌指標を推定する手段として機能させ、 前記推定された肌指標を提示する手段として機能させ、 前記ユーザの行動に関する行動情報の履歴を示す行動ログ情報を取得する手段として機能させるためのプログラムであって、 前記推定する手段は、前記触感ログ情報と、前記行動ログ情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する、 プログラム。 【請求項16】 コンピュータを、 ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得する手段として機能させ、 前記触感情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第1情報、及び、複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第2情報の少なくとも1つを提示する手段として機能させ、 前記触感ログ情報に基づく前記ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段として機能させ、 前記推定された肌指標を提示する手段として機能させ、 前記ユーザの心身に関する心身ログ情報を取得する手段として機能させるためのプログラムであって、 前記推定する手段は、前記触感ログ情報と、前記心身ログ情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する、プログラム。 【請求項17】 コンピュータを、 ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得する手段として機能させ、 複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づく肌状態の肌指標を推定する手段として機能させ、 前記推定された肌指標を提示する手段として機能させ、 前記ユーザの心身に関する心身ログ情報を取得する手段として機能させるためのプログラムであって、 前記推定する手段は、前記触感ログ情報と、前記心身ログ情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する、 プログラム。」 第3 異議申立理由の概要 申立人は、証拠として以下の甲第1号証ないし甲第6号証を提出し、以下の異議申立理由(以下「異議申立理由1及び2」という。)によって、本件発明1ないし17に係る特許を取り消すべきものである旨を主張している。 1.異議申立理由 異議申立理由1.特許法第29条第2項(進歩性違反)について 本件発明1ないし17は、甲第1号証又は甲第2号証に記載された発明、及び甲第3号証~甲第6号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許は特許法第113条第2号の規定により取消されるべきである。 異議申立理由2.特許法第36条第6項第1号(サポート要件違反)について 本件発明1ないし3,6ないし11,14及び15は、発明の詳細な説明に記載したものでなく、特許法第36条第6項第1号に規定された要件を満たさないから、本件特許は特許法第113条第4号の規定により取消されるべきである。 2.証拠方法 甲第1号証:国際公開第2013/021595号 甲第2号証:特開2002-224049号公報 甲第3号証:特開2002-41959号公報 甲第4号証:特開2012-211886号公報 甲第5号証:特表2007-512864号公報 甲第6号証:”〔NEWS〕スマホで肌の水分量測定!Kaneboから『肌水分センサー』が登場”,[online],株式会社マチダクリップ リアルコスメ事業部作成,インターネット<URL:https://sensitive-skin.real-cosme.net/?p=32352> 上記甲第6号証は、上記ウェッブ出力物の写しであり、令和5年7月11日付特許異議申立書(以下「異議申立書」という。)第25頁の内容も踏まえると、2017年2月28日に最初に公開され、その後、本願の優先前の同年7月20日に更新されたものであるから、上記ウェッブ出力物の写しの内容は、本願の優先前の2017年7月20日には公知になっていたものといえる。そして、令和5年8月7日付け上申書の上申の内容より、上記ウェッブの作成者は「株式会社マチダクリップ リアルコスメ事業部」と認める。 第4 異議申立理由についての判断 1.甲第1ないし6号証の記載事項及び甲第1ないし6号証から認定される発明及び技術 (1)甲第1号証 本願の優先日前である2013年(平成25年)2月14日に国際公開された、国際公開第2013/021595号(甲第1号証)には、図面とともに次の技術事項が記載されている。(下線は当審が付与した。以下同様。) ア 「[請求項14] 肌の特性を表す複数の状態パラメータに基づいて被験者の肌状態を判定する肌状態判定装置であって、 前記状態パラメータのそれぞれに対して、肌症例を表す複数の肌因子を対応づけて記憶する記憶部と、 複数の前記肌因子のうちの一部を注目因子として選択する因子選択入力と、前記注目因子にかかる前記肌症例の発現度合いを示す注目因子スコアと、前記注目因子以外の前記肌因子にかかる前記肌症例の発現度合いを示す一般因子スコアと、の入力を受け付ける入力部と、 受け付けた前記因子選択入力、前記注目因子スコアおよび前記一般因子スコアに基づいて前記肌状態を判定する演算部と、を含み、 前記演算部が、 前記注目因子スコアに第一の重率を付与し前記一般因子スコアに前記第一の重率よりも低い第二の重率を付与し、前記重率が付与された前記注目因子スコアおよび前記一般因子スコアから前記状態パラメータを算出し、算出された前記状態パラメータに基づいて前記被験者の肌状態の判定結果を求めることを特徴とする肌状態判定装置。」(第38頁第5-20行) イ 「[0022] 肌状態判定システム200は、肌の特性を表す複数の状態パラメータPに基づいて被験者Sの肌状態を判定するシステムである。本実施形態の肌状態判定システム200は、インターネットなどのネットワーク80と、このネットワーク80を介して互いに接続された被験者端末50および肌状態判定装置100とで構成されている。本実施形態の肌状態判定装置100はウェブサーバである。被験者端末50としてコンピュータ52や携帯端末54を例示する。被験者Sは、被験者端末50においてブラウザなどのアプリケーションプログラムを起動し、このアプリケーションプログラムを通じて肌状態判定装置100にアクセスして本実施形態の肌状態判定方法(以下、本方法という場合がある)の提供を受ける。 [0023] 肌状態判定装置100(肌状態判定システム200)は、演算部10、入力部20、画像遷移部24、記憶部40および送信部58を備えている。 記憶部40は、肌の特性を表す複数の状態パラメータPのそれぞれに対して、肌症例Cを表す複数の肌因子Fを対応づけて記憶する手段である。 入力部20は、少なくとも因子選択入力FS、注目因子スコアSAおよび一般因子スコアSCの入力を、ネットワーク80を通じて被験者Sから受け付ける受信手段である。ここで、因子選択入力FSは、複数の肌因子Fのうちの一部を注目因子FAとして選択する選択入力である。注目因子スコアSAは、注目因子FAにかかる肌症例Cの発現度合いを示す定量入力値である。一般因子スコアSCは、注目因子FA以外の肌因子F(一般因子FC)にかかる肌症例Cの発現度合いを示す定量入力値である。 演算部10は、受け付けた因子選択入力FS、注目因子スコアSAおよび一般因子スコアSCに基づいて被験者Sの肌状態を判定する手段であり、CPUを含んでいる。 [0024] 被験者端末50は、キーボードなどの入力I/Fを備えており、被験者Sの操作入力OPを受け付けて、これを肌状態判定装置100に送信する。また、被験者端末50は、演算部10で判定された判定結果を被験者Sに提示する出力部である。 本実施形態の肌状態判定システム200において、演算部10は、注目因子スコアSAに第一の重率W1を付与する。一方、演算部10は、一般因子スコアSCに対して、第一の重率W1よりも低い第二の重率W2を付与する。演算部10は、第一の重率W1が付与された注目因子スコアSAおよび第二の重率W2が付与された一般因子スコアSCから状態パラメータPを算出する。そして、演算部10は、算出された状態パラメータPに基づいて被験者Sの肌状態の判定結果を求める。 [0025] 出力部(被験者端末50)は、演算部10が算出した複数の状態パラメータPを各軸とする多軸のチャートCHを判定結果として出力する。肌状態判定装置100の送信部58は、ネットワーク80を通じて、肌状態の判定結果であるチャートCHを被験者端末50に送信する。 [0026] 記憶部40は、肌因子記憶部42、出力情報記憶部44および判定結果蓄積部46で構成されている。 肌因子記憶部42は、後述するように注目因子設問QA、一般因子設問QCおよび触診設問QPPを表すテーブルを記憶している。また、肌因子記憶部42は、状態パラメータPと第一の重率W1および第二の重率W2とを対応づけて記憶している。 出力情報記憶部44は、状態パラメータPの肌スコアSSと対応づけて美容関連商品PDおよび美容アドバイスMSGを記憶している。 判定結果蓄積部46は、被験者Sの肌スコアSSを、その属性(住居地域RA、年齢AGおよび性別SX)と対応づけて記憶している。判定結果蓄積部46は、多数の母集団にかかる肌スコアSSを蓄積して記憶している。演算部10は、判定結果蓄積部46を参照して、これらの属性の一つ以上を条件とする母集団について、状態パラメータPの肌スコアSSの平均スコアAVを算出する。」 ウ 「[0030] 本方法は、肌の特性を表す複数の状態パラメータP(図3:P1~P6)に基づいて被験者Sの肌状態を判定する方法である。 本方法では、複数の状態パラメータP1~P6のそれぞれに対して、肌症例Cを表す複数の肌因子F(F1~F13)を対応づけて記憶しておく。 本方法では、複数の肌因子Fのうちの一部を注目因子FAとして選択する因子選択入力FSと、注目因子FAにかかる肌症例Cの発現度合いを示す注目因子スコアSAと、注目因子FA以外の肌因子F(一般因子FC)にかかる肌症例Cの発現度合いを示す一般因子スコアSCと、の入力を受け付ける(図2:ステップS30、S40)。 本方法では、注目因子スコアSAに第一の重率W1を付与し一般因子スコアSCに第一の重率W1よりも低い第二の重率W2を付与し、重率W1が付与された注目因子スコアSAおよび重率W2が付与された一般因子スコアSCから状態パラメータPを算出する(図2:ステップS60)。 そして、本方法では、算出された状態パラメータPに基づいて被験者Sの肌状態を判定する(図2:ステップS62)。」 エ 「[0033] <精細モード> 精細モードは、大別して、入力ステップ(ステップS30からS52)、演算ステップ(ステップS60およびS62)、および出力ステップ(ステップS80およびS90)で構成される。ステップS30では、被験者端末50に複数の肌因子Fを提示する。被験者Sは、その一部を注目因子FAとして選択する。注目因子FAは、被験者Sの肌悩みにかかる肌症例Cに対応する因子である。ここで、注目因子FAを抽出するとは、一覧表示された肌因子Fより一部を選択する場合のほか、種々の態様を含む。たとえば、被験者Sが注目しない他の肌因子Fの方を一覧より選択消去することを通じて注目因子FAを残置するなど、注目因子FAと他の肌因子Fとを区別するものであればよい。 [0034] 本方法における状態パラメータPは、皮脂量(P1)、保水力(P2)、真皮もしくは角層の弾性の度合い(P4)、メラニン含有量(P6)、血行の度合い(P5)、またはセラミド量(P3)、の少なくともいずれかを含んでいる。 [0035] また、本方法における肌因子Fとしては、肌の脂っぽさ(F1)、ニキビもしくは吹き出物の大きさもしくは数量(F2)、肌のカサツキの範囲もしくは程度(F3)、シミもしくはソバカスの大きさもしくは濃度(F4)、肌のくすみ(F5)、目周りの「くま」の広さもしくは赤味の強さ(F5)、小じわの深さもしくは数量(F6)、角層の張りの程度(F7)、肌の突っ張りの程度(F8)、毛穴の目立ちの程度もしくは数量(F9)、または肌の赤味の強さ(F11)もしくは白味の強さ(F10)、の少なくともいずれかを含む。 [0036] 図3に示すように、それぞれの状態パラメータPには複数の肌因子Fが対応している。共通する肌因子Fが複数の状態パラメータPに対して対応づけられていてもよい。 皮脂量P1は、水分を逃がさないように肌の表面を覆う皮脂の推定量である。皮脂が過剰であると、肌の脂っぽさ(F1)や、ニキビ・吹き出物(F2)の原因となり、また毛穴の目立ち(F9)が顕著となる。 保水力P2は、細胞を構成するケラチン線維の周囲のヒゲ状部分が、角質細胞内において水分をつかまえて保持する力の推定値である。保水力P2の低下は、肌のカサツキや乾燥(F3)、および角層の張り(F7)の原因となる。また、頬などの肌の突っ張り感(F8)を増大させる。 セラミド量P3は、角質細胞の間で水分を保つとともに、細胞同士を整然とつなぎ合わせて肌のキメを整えるセラミドの推定量である。セラミド量P3の低下は、保水力P2と同様に、肌のカサツキや乾燥(F3)の原因となり、肌の突っ張り感(F8)を増大させる。また、セラミド量P3の低下は、小じわ(F6)の原因となる。 弾力性P4は、肌の真皮にある弾力線維がコラーゲンを束ねている肌構造の弾力の推定値である。弾力性P4の低下は、小じわ(F6)や毛穴の目立ち(F8)の原因となる。また、角層が硬化することも弾力性P4の低下につながる。肌を指で局所的に押した場合、角層が硬化しているときは、指先が直接あたる部分のへこみ領域を含む広領域が凹む。したがって、肌の張り(F7)は弾力性P4の低下の要因となる。また、肌を指先で押し込んだときの押し返しによる肌弾力(F12)によって、肌全体の弾力性P4を評価することができる。 肌の血行P5は、肌の代謝の良否を表す。血行P5の良い肌は健康的な薄い赤味をもつ。血行P5の悪い肌は、黄味いくすみ(F5)となるか、逆に鬱血による強い赤味(F11)を帯びる。また、掌で頬を触ったときに火照りなく適度な暖かみを感じる肌温度(F13)であることで、肌の血行P5を評価することができる。 メラニン量P6は、肌色の白さまたは黒さを決めるメラニン色素の肌含有量である。紫外線による肌のダメージは、このメラニンを増やし、シミ・ソバカス(F4)や肌のくすみ・くま(F5)の原因になる。また、メラニン量P6が増大すると毛穴の目立ち(F9)が顕著となり、肌の白み(F10)が失われる。 [0037] ステップS30では、送信部58は、肌因子テーブルTF(図4)に含まれる肌因子Fの一部または全部を被験者端末50に提示する。本実施形態では、肌因子F1~F11までを被験者端末50に提示する。肌因子F10(肌の白味)および肌因子F11(肌の赤味)に関しては、「肌色」と一括して被験者端末50に提示してもよい。 [0038] 被験者Sは、被験者端末50に提示された肌因子F1~F11の一部を注目因子FAとして選択する。本方法では、肌因子F4(シミ・ソバカス)および肌因子F5(くすみ・くま)を、この順に選択した場合を例示する。 [0039] 本方法では、因子選択入力FSとして二以上の注目因子FAの選択を順に受け付け、これらの注目因子FAの選択順に応じて、異なる第一の重率W1を注目因子スコアSAに付与する。第一の重率W1の具体的な数値は、重率テーブルTWおよびマトリクスM1~M12(図12から図14)を用いて後述する。本方法では、被験者Sの注目度が高い方の注目因子FA(たとえば、第一の選択順で受け付けた注目因子FA)に対して、より高い重率を付与する。これにより、肌状態に関する第一の悩みと第二の悩みなど、被験者Sの関心の高い複数の肌因子Fに関して、関心順位を考慮して肌状態を判定することができる。」 オ 「[0054] ステップS40において、送信部58(図1を参照)は、注目因子FAとして選択されなかった他の肌因子F(一般因子FC)に関する一般因子設問QCを被験者端末50に提示する。そして、入力部20は、この一般因子設問QCに対する回答を被験者Sから受け付ける。 [0055] 図10は、一般因子FCの一覧を示す一般因子テーブルTCを示す図である。本方法では、設問番号Q3~Q11の一般因子設問QCを被験者Sに提示する。一般因子設問QCに対する回答は、各設問とも3つの選択肢から選択的に受け付ける。この3つの選択肢に対して、2または3段階の一般因子スコアSCが対応づけられている。ステップS40では、肌状態判定装置100の入力部20は一般因子FCの一覧の一部または全部について一般因子スコアSCを取得する。 [0056] すなわち、入力部20は、一般因子スコアSCの入力を複数段階(2~3段階)の選択肢から選択的に受け付ける。そして、入力部20は、注目因子スコアSAの入力を一般因子スコアSCよりも多段階(5~10段階)の選択肢から選択的に受け付ける。これにより、注目因子FAの発現度合いを被験者Sから詳細に問診し、かつ他の一般因子FCの発現度合いを被験者Sから簡易に問診することができる。このため、被験者Sの問診負担を軽減しつつも、被験者Sの悩みに応じた判定結果を得ることができる。」 カ 「[0058] ステップS50において、送信部58(図1を参照)は、触診設問QPPを被験者端末50に提示する。そして、入力部20は、この触診設問QPPに対する回答として、被験者Sが自ら行った肌の触診結果を表す触診スコアSPPを更に受け付ける。 [0059] 図11は、触診設問QPPの一覧を示す触診テーブルTPPを示す図である。本方法では、設問番号Q12~Q15の最大4つの触診設問QPPを被験者端末50に提示する。Q12は肌感触に関する設問であり、肌因子F3(肌のカサツキ・乾燥)に分類される。また、Q13は皮脂量に関する設問であり、肌因子F1(脂っぽさ)に分類される。Q14は真皮の弾性に由来する肌弾力(肌因子F12)に関する設問である。Q15は肌温度(肌因子F13)に関する設問である。 [0060] すなわち、触診スコアSPPは、被験者Sの真皮の弾性の度合い(肌弾力)または肌温度の高低を示す設問を含む。このように、本方法では、見た目に現れにくい肌状態に関する設問を触診設問QPPとして被験者Sに提示する。これにより、注目因子スコアSAのように肌の見た目から判断して入力する設問のみならず、見た目から判断することが難しい肌因子Fについても問診することができる。 [0061] 触診設問QPPに対する触診スコアSPPの回答は、注目因子設問QAと同様に、スライダ部24a、24bによって肌画像表示部22の表示態様を多段階に変化させ、かかるスライダ部24a、24bの座標に基づいて入力部20が取得してもよい。また、触診スコアSPPの回答は、注目因子スコアSAと同様に、一般因子スコアSCよりも多段階(5~10段階)の選択肢から選択的に受け付けることが好ましい。本方法では、触診スコアSPPを10点満点で評価するものとする。」 キ 「[0064] ステップS60において、演算部10は、注目因子スコアSAおよび一般因子スコアSCに重率を付与したうえで状態パラメータPを算出する。注目因子スコアSAに付与する第一の重率W1は、一般因子スコアSCに付与する第二の重率W2よりも大きい。さらに演算部10は、触診スコアSPPに対して、第一の重率W1と第二の重率W2との中間の重率(第三の重率W3)を付与して状態パラメータPを算出する。」 ク 「[0066] 本方法における状態パラメータPの算出は以下のように行う。 上述のようにステップS30において第一の注目因子FA1として肌因子F4を選択し、第二の注目因子FA2として肌因子F5を選択した場合を例示する。図3に示すように、皮脂量P1、保水力P2、セラミド量P3および弾力性P4に関しては、対応する肌因子に肌因子F4またはF5は含まれていない。したがって、これらの状態パラメータPの肌スコアSSは、一般因子スコアSCおよび触診スコアSPPのみに基づいて算出する。このように注目因子FAを含まない状態パラメータPに関しては、一般因子スコアSCと触診スコアSPPとに等しい重率を付与して肌スコアSSを算出する。皮脂量P1を例示してより具体的に説明する。皮脂量P1に対応づけられた肌因子F1(図10:Q3)、F2(図10:Q4)、F9(図10:Q9)の一般因子スコアSC、およびQ13にかかる触診スコアSPPを、それぞれ0以上1以下の得点率に換算し、それに重率25を乗じる。たとえば、一般因子スコアSC(3点満点)に対して、肌因子F1(Q3)が3点、肌因子F2(Q4)が2点、肌因子F9(Q9)が1点であったとする。そして、Q13にかかる触診スコアSPPが10点満点中の5点であったとする。この場合、各設問に対する得点率を0以上1以下に換算して重率25を乗じることにより、肌スコアSS=3/3*25+2/3*25+1/3*25+5/10*25=62.5点と算出される。 保水力P2、セラミド量P3および弾力性P4も同様に算出される。 [0067] これに対し、注目因子FA(肌因子F5)が対応づけられた状態パラメータPである血行P5は、マトリクスを用いて以下のように算出される。まず、肌因子F5が第二の注目因子FA2であることから、重率テーブルTWにおいて二番目に記載されたマトリクス(M8)を選択する。肌因子F5が第一の注目因子FA1であった場合は、一番目のマトリクス(M7)を選択する。また、状態パラメータPが第一の注目因子FA1および第二の注目因子FA2を共に含む場合は、三番目のマトリクス(M9)を選択する。 図14に示すように、マトリクスM8は三行二列の行列である。重率テーブルTWにおける一番目および二番目のマトリクス(M1、M2、M4、M5、M7、M8、M10、M11)の列数は、当該状態パラメータPに対応する肌因子Fのうち、触診スコアSPPに関するものを除いた因子数に対応している。血行P5は、触診スコアSPPに関する肌因子F13を除いて2つの肌因子F(F5およびF11)が対応しているため、マトリクスM8の列数は2列である。このうちの1列目(46、27、27)は肌因子F5が注目因子FAである場合の重率にあたり、2列目は肌因子F11が注目因子FAである場合の重率にあたる。これらの数値が、順に第一の重率W1~第三の重率W3にあたる。 そして、肌因子F5の注目因子スコアSA、肌因子F11の一般因子スコアSCおよび肌因子F13の触診スコアSPPをそれぞれ0以上1以下の得点率に換算した三行一列の行列と、第一の重率W1~第三の重率W3との内積演算を行うことにより肌スコアSSが算出される。 具体的には、たとえば肌因子F5の注目因子スコアSAを10点満点中の6点、肌因子F11の一般因子スコアSCを3点満点中の1点、肌因子F13の触診スコアSPPを10点満点中の5点とする。この場合、各設問に対する得点率を0以上1以下に換算して第一の重率W1~第三の重率W3を乗じることにより、肌スコアSS=6/10*46+1/3*27+5/10*27=50.1点と算出される。 [0068] さらに、第一の注目因子FA1(肌因子F4)および第二の注目因子FA2(肌因子F5)が対応づけられた状態パラメータPであるメラニン量P6もまた、マトリクスを用いて以下のように算出される。図12に示す重率テーブルTWにおいて、三番目のマトリクス(M12)を選択する。 図14に示すように、マトリクスM12は四行六列の行列である。重率テーブルTWにおける三番目のマトリクス(M3、M6、M9、M12)の列数は、当該状態パラメータPに対応する肌因子Fのうち、触診スコアSPPに関するものを除いた因子数から2つを選択する組み合わせ数に対応している。メラニン量P6には4つの肌因子F(F4、F5、F10およびF9)が対応しているため、マトリクスM12の列数は6列である。このうちの1列目(30、30、20、20)は、第一の注目因子FA1および第二の注目因子FA2の組み合わせが、肌因子F4およびF5である場合の重率を表している。すなわち、注目因子スコアSA(肌因子F4、F5)に付与される第一の重率W1は30であり、一般因子スコアSC(肌因子F10、F9)に付与される第二の重率W2は、第一の重率W1よりも小さい20である。 そして、注目因子スコアSAと一般因子スコアSCをそれぞれ0以上1以下の得点率に換算した三行一列の行列と、第一の重率W1および第二の重率W2との内積演算を行うことで、メラニン量P6の肌スコアSSが算出される。 具体的には、たとえば肌因子F4の注目因子スコアSAを10点満点中の4点、肌因子F5の注目因子スコアSAを10点満点中の6点、肌因子F10の一般因子スコアSCを3点満点中の2点、肌因子F9の一般因子スコアSCを3点満点中の1点とする。この場合、各設問に対する得点率を0以上1以下に換算して第一の重率W1および第二の重率W2を乗じることにより、肌スコアSS=4/10*30+6/10*30+2/3*20+1/3×20=50.0点と算出される。 [0069] 以上により、状態パラメータPの肌スコアSSがそれぞれ算出される。被験者Sの肌スコアSSは判定結果蓄積部46に記録され、平均スコアAVが更新される。」 ケ 「[0072] ステップS62においては、状態パラメータPごとに算出された肌スコアSSの傾向に基づいて被験者Sの肌状態を判定する。肌状態の具体的な判定方法には種々の方法を採りうる。本方法では、状態パラメータP1~P3の肌スコアSSによって被験者Sの肌を9つの肌属性CSのいずれかに分類し、さらに状態パラメータP4~P6の大小関係によって被験者Sを2つの肌傾向に分類する。 [0073] 図15は、肌スコアSSの算出結果の例を示す図である。具体的な数値の記載は省略している。図16は、被験者の肌属性CSの一例を示す図である。図16においては、肌属性CSごとに適合する美容関連商品PDの識別番号を対応づけた商品テーブルTDを併せて表記している。」 コ 「[0076] また、ステップS62では、弾力性P4の肌スコアSS(以下、弾力値という)と、血行P5およびメラニン量P6の平均の肌スコアSS(以下、肌色値という)と、の大小関係によって、被験者Sを2つの肌傾向に分類する。被験者Sの肌色値が弾力値よりも大きい場合、肌状態判定装置100の演算部10は、角層の柔軟化などの弾力性P4の改善を優先するための有効成分を含む美容関連商品PDを抽出する。一方、被験者Sの弾力値が肌色値以上である場合、肌状態判定装置100の演算部10は、血行促進剤や美白剤などの血行P5またはメラニン量P6を改善する有効成分を含む美容関連商品PDを抽出する。 [0077] 図17は、ステップS80にて被験者端末50で表示出力する判定結果の一例である。この判定結果は、チャートCH、美容関連商品PDおよび美容アドバイスMSGを含む。なお、図17では、美容アドバイスMSGの具体的な内容は記載を省略している。本方法で出力するチャートCHは、被験者Sに関する状態パラメータP1~P6の肌スコアSSの各値と、被験者Sと同属性の母集団の肌スコアSSの平均スコアAVと、を対比して表示したレーダーチャートである。美容アドバイスMSGは、状態パラメータP1~P6の肌スコアSSの傾向ごとに予め出力情報記憶部44に記憶されている。演算部10は出力情報記憶部44を参照し、算出された肌スコアSSに対応する美容アドバイスMSGを抽出する。演算部10は、送信部58を通じて美容アドバイスMSGを被験者端末50に送信し、これを表示出力させる(図1を参照)。美容関連商品PDの出力に関しては後述する。」 サ 「[0080] <商品提示方法> 本方法では、上記の肌状態判定方法を用いて美容関連商品PDの商品提示を行う。この商品提示方法は、算出された複数の状態パラメータPの値に基づいて被験者Sの肌状態を複数のカテゴリに分類し、分類されたカテゴリに予め対応づけられた美容関連商品PDを提示するものである。図17に示すように、被験者端末50で表示出力する判定結果は、提示される美容関連商品PDを特定する情報(画像や名称など)を含んでいる。図17に示す例では、美容関連商品PDの名称(化粧水、日中用乳液、美容液、保湿剤)およびそれぞれの画像が表示出力されている。演算部10は、被験者Sが属するカテゴリに基づいて、出力情報記憶部44に記憶された美容関連商品PDおよび美容アドバイスMSGを抽出し、送信部58を通じてこれらを送信する。」 シ 「[図1] [図:0001402817000001.jpg] 」 ス 「[図17] [図:0001402817000002.jpg] 」 セ 上記「コ及びサ」より、「被験者Sに関する状態パラメータP1~P6の肌スコアSSの各値と、被験者Sと同属性の母集団の肌スコアSSの平均スコアAVと、を対比して表示したレーダーチャートCHを生成し、送信部58を通じて被験者端末50に送信し、被験者端末50で表示出力されること」が読み取れる。 ソ 上記「アないしセ」より、甲第1号証には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。なお、上記「アないしセ」には、「システム」としての発明のみならず、そのシステムを用いた方法、そのシステムの機能を実現させるためのプログラムも記載されているといえることから、以下において、システムの発明のみならず、方法及びプログラムの発明もあわせて認定した。 「肌の特性を表す複数の状態パラメータPに基づいて被験者Sの肌状態を判定する肌状態判定システム200、方法及びプログラムにおいて、 肌状態判定システム200は、インターネットなどのネットワーク80と、このネットワーク80を介して互いに接続された被験者端末50および肌状態判定装置100とで構成され、 被験者端末50は、キーボードなどの入力I/Fを備えており、被験者Sの操作入力OPを受け付けて、これを肌状態判定装置100に送信し、また、被験者端末50は、演算部10で判定された判定結果を被験者Sに提示する出力部であり、 肌状態判定装置100は、演算部10、入力部20、画像遷移部24、記憶部40および送信部58を備え、 記憶部40は、肌の特性を表す複数の状態パラメータP1~P6のそれぞれに対して、肌症例Cを表す複数の肌因子F(F1~F13)を対応づけて記憶する手段であり、肌因子記憶部42、出力情報記憶部44および判定結果蓄積部46で構成され、 肌因子記憶部42は、注目因子設問QA、一般因子設問QCおよび触診設問QPPを表すテーブルを記憶し、かつ状態パラメータPと第一の重率W1および第二の重率W2とを対応づけて記憶し、 出力情報記憶部44は、状態パラメータPの肌スコアSSと対応づけて美容関連商品PDおよび美容アドバイスMSGを記憶し、 判定結果蓄積部46は、被験者Sの肌スコアSSを、その属性(住居地域RA、年齢AGおよび性別SX)と対応づけて記憶し、かつ多数の母集団にかかる肌スコアSSを蓄積して記憶し、 入力部20は、少なくとも因子選択入力FS、注目因子スコアSAおよび一般因子スコアSCの入力を、ネットワーク80を通じて被験者Sから受け付ける受信手段であり、ここで、因子選択入力FSは、複数の肌因子Fのうちの一部を注目因子FAとして選択する選択入力であり、注目因子スコアSAは、注目因子FAにかかる肌症例Cの発現度合いを示す定量入力値であり、一般因子スコアSCは、注目因子FA以外の肌因子F(一般因子FC)にかかる肌症例Cの発現度合いを示す定量入力値であり、 送信部58は、注目因子FAとして選択されなかった他の肌因子F(一般因子FC)に関する一般因子設問QCを被験者端末50に提示し、入力部20は、この一般因子設問QCに対する回答を被験者Sから受け付け、触診設問QPPを被験者端末50に提示し、入力部20は、この触診設問QPPに対する回答として、被験者Sが自ら行った肌の触診結果を表す触診スコアSPPを更に受け付け、 演算部10は、受け付けた因子選択入力FS、注目因子スコアSAおよび一般因子スコアSCに基づいて被験者Sの肌状態を判定する手段であり、前記注目因子スコアSAに第一の重率W1を付与し、前記一般因子スコアSCに前記第一の重率よりも低い第二の重率W2を付与し、触診スコアSPPに対して、第一の重率W1と第二の重率W2との中間の重率(第三の重率W3)を付与し、前記重率が付与された前記注目因子スコアSA、前記重率が付与された前記一般因子スコアSC、及び前記重率が付与された触診スコアSPPから前記状態パラメータPを算出し、算出された前記状態パラメータPに基づいて、被験者Sに関する状態パラメータP1~P6の肌スコアSSを算出し、被験者Sに関する状態パラメータP1~P6の肌スコアSSの各値と、判定結果蓄積部46を参照して算出された被験者Sと同属性の母集団の肌スコアSSの平均スコアAVと、を対比して表示したレーダーチャートCHを生成し、送信部58を通じて被験者端末50に送信し、これを被験者端末50で表示出力させ、 また演算部10は、状態パラメータP1~P6の肌スコアSSの傾向ごとに予め美容アドバイスMSGが記憶されている出力情報記憶部44を参照して、算出された肌スコアSSに対応する美容アドバイスMSGを抽出し、送信部58を通じて美容アドバイスMSGを被験者端末50に送信し、これを表示出力させ、 ここで、状態パラメータPは、皮脂量(P1)、保水力(P2)、真皮もしくは角層の弾性の度合い(P4)、メラニン含有量(P6)、血行の度合い(P5)、またはセラミド量(P3)、の少なくともいずれかを含み、 また、肌因子Fとしては、肌の脂っぽさ(F1)、ニキビもしくは吹き出物の大きさもしくは数量(F2)、肌のカサツキの範囲もしくは程度(F3)、シミもしくはソバカスの大きさもしくは濃度(F4)、肌のくすみ(F5)、目周りの「くま」の広さもしくは赤味の強さ(F5)、小じわの深さもしくは数量(F6)、角層の張りの程度(F7)、肌の突っ張りの程度(F8)、毛穴の目立ちの程度もしくは数量(F9)、または肌の赤味の強さ(F11)もしくは白味の強さ(F10)、の少なくともいずれかを含む、 肌状態判定システム200、方法及びプログラム。」 (2)甲第2号証 本願の優先日前である平成14年(2002年)8月13日に日本国内で頒布された刊行物である、特開2002-224049号公報(甲第2号証)には、図面とともに次の技術事項が記載されている。 ア 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、携帯端末装置、アドバイスシステム、肌診断評価方法、肌診断評価用プログラム、化粧アドバイス提供方法及び化粧アドバイス提供用プログラムに関するものである。」 イ 「【0033】図3は、肌診断や化粧に関するアドバイスを提供するためのアドバイスシステムの概略システム構成図である。アドバイスシステム1は、インターネットNを通じて互いに通信可能に接続された携帯端末装置としての化粧モバイル装置10と管理サーバ(以下、単にサーバという)50とを備えている。本システム1では、依頼者(被評価者)が肌診断評価や化粧アドバイスを受ける際に必要な例えば顔画像等の所定データを化粧モバイル装置10を用いて入力し、そのデータをインターネットNを通じてサーバ50に送信する。そしてサーバ50が依頼者側から送られたデータを用いて依頼者の肌状態や化粧状態を評価し、その評価結果を依頼者の化粧モバイル装置に送信することによって、評価結果として肌診断評価や化粧アドバイスなどを化粧モバイル装置10に表示させるものである。 【0034】サーバ50は、種々の制御プログラムを実行したり所定の演算処理を実行するためのサーバ本体51と、3つのデータベース52,53,54とを備えている。3つのデータベース52~54のうち、基準値管理データベース52には、肌診断評価や化粧アドバイスの評価処理を行うときの基準となるデータが格納される。また依頼者情報データベース53には、肌診断評価や化粧アドバイスを依頼するときに依頼者から送られる各種データが各依頼者ごとに格納される。評価結果データベース54には、依頼者からの各種データを基にしてサーバ本体51により算出された肌診断評価や化粧アドバイス等が格納される。」 ウ 「【0037】またモバイル本体11には、弾力測定手段としての圧力センサ18、PH値測定手段としてのPH測定器19、保湿力測定手段としての保湿力センサ20がケーブル18a,19a,20aを介してそれぞれ接続され、これら各測定機器18~20は先端に位置する検知部18b,19b,20bを肌に当てることによって測定値が検出可能となっている。各測定機器18~20のうち、圧力センサ18により肌の弾力が測定され、PH測定器19により肌のPH値が測定され、保湿力センサ20により肌の保湿力(保湿分)が測定される。これら測定機器18~20はモバイル本体11に形成された収容部18c,19c,20cにそれぞれ収容される。なお、測定機器17~20が測定手段に相当する。 【0038】図2は、化粧モバイル装置の概略構成図である。化粧モバイル装置10はモバイル本体11に制御部21を備え、この制御部21はCCDカメラ16、赤外線カメラ17、圧力センサ18、PH測定器19、保湿力センサ20と接続されている。制御部21はCCDカメラ16から入力する画像情報としての画像データを基にして、ディスプレイ13に映像や写真を表示させる。この画像データは、動画として撮影を行ったときは三次元データで入力される。また化粧モバイル装置10は制御部21の他に、アンテナ22aを有する送受信部22を備え、制御部21は画像データとともに各測定機器17~20から得られる温度分布データ、弾力データ、PH値データ、保湿分データを、アンテナ22aを介して無線通信によりインターネットNを通じて管理サーバ50に送信させる。なお、肌データは、温度分布データ、弾力データ、PH値データ、保湿分データにより構成される。」 エ 「【0048】そしてサーバ50は、画像データや肌データを用いて、小皺の大きさや数量等の経時変化、シミソバカスの大きさ、色相、数量等の経時変化、くすみの明度、色彩、大きさ、範囲等の経時変化、肌の張り(弾力)の経時変化、肌の保湿分(うるおい)の経時変化、肌成分の経時変化を算出することで各変化率を求める。そしてサーバ50はその変化率の値を基にして、所定日数後における肌状態の進行度を算出する。 【0049】つまり図7に示すように、例えば小皺の大きさ(長さ)の進行度を算出する場合には、前回(例えば5日前)と今回の測定結果における小皺の大きさの変化値Δαから変化率を算出する。そしてこの変化率を基にして、現時点での肌の状態から次周期(例えば3日後)の大きさを算出して進行度を求める。そして同様の方法を用いて、小皺の数量、シミソバカスの大きさや数量、くすみの明度、肌の張り、保湿分、肌成分等の各進行度が算出される。また、肌の張り、保湿分、肌成分における進行度の算出は、各測定機器18~20を当てた検知部位(本例では、おでこ、右頬、左頬、あご)ごとに行われる。 【0050】またサーバ50は、測定した肌データと、基準値管理データベース52に登録された基準となるデータ(つまり理想となる肌データ)とを比較することで依頼者の肌診断を行うことも可能である。つまり、肌データの値と基準となるデータとを比較したときに、肌状態が基準よりも悪化傾向にある場合、その旨をアドバイスすることも可能である。以上のようにして、サーバ50は依頼者の肌診断評価を行い、その評価結果である肌診断評価を依頼者側の化粧モバイル装置10に送信して、モバイル装置10のディスプレイ13に図8に示す画面を表示させる。 【0051】図8は、ディスプレイに表示される肌診断評価の評価結果画面である。評価結果画面44には、小皺、シミソバカス、くすみ等の変化率を表示するための数値表示欄45と、サーバ50により作成されたイメージ画像46が表示される画像表示欄47とが設けられている。このイメージ画像46は、変化率を基にしてサーバ50によって作成された次周期のときの画像である。なお数値表示欄45の変化率は、肌に対して悪化させる方向に進行している場合にマイナスが表示されるものとする。また評価結果画面44には、アドバイスとして肌悪化対処方法、肌に有効な化粧方法、肌に有効な化粧品等を文字表示するための表示欄71,72,73も設けられている。また肌診断評価の評価結果として、図9に示す測定グラフを表示させることも可能である。同図に示す測定グラフ99は小皺の大きさ(長さ)の変化を示すグラフであり、横軸が肌診断評価を行った測定日であり、縦軸が各測定日に求められたときの小皺の大きさを示している。」 オ 「【図8】 [図:0001402817000003.jpg] 」 カ 「【図9】 [図:0001402817000004.jpg] 」 キ 上記「オ」より、数値表示欄45には「小じわ、シミ・ソバカス、くすみ、肌の張り、みずみずしさ、弾力」の変化率の数値が表示されていることが見て取れる。 ク 上記「アないしキ」より、甲第2号証には次の発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認められる。なお、上記「アないしキ」には、「システム」としての発明のみならず、そのシステムを用いた方法、そのシステムの機能を実現させるためのプログラムも記載されているといえることから、以下において、システムの発明のみならず、方法及びプログラムの発明もあわせて認定した。 「アドバイスシステム、方法及びプログラムにおいて、 アドバイスシステム1は、インターネットNを通じて互いに通信可能に接続された携帯端末装置としての化粧モバイル装置10と管理サーバ(以下、単にサーバという)50とを備え、 化粧モバイル装置10はモバイル本体11に制御部21及びアンテナ22aを有する送受信部22を備え、 モバイル本体11には、弾力測定手段としての圧力センサ18、PH値測定手段としてのPH測定器19、保湿力測定手段としての保湿力センサ20がケーブル18a,19a,20aを介してそれぞれ接続され、これら各測定機器18~20は先端に位置する検知部18b,19b,20bを肌に当てることによって測定値が検出可能となっており、各測定機器18~20のうち、圧力センサ18により肌の弾力が測定され、PH測定器19により肌のPH値が測定され、保湿力センサ20により肌の保湿力(保湿分)が測定され、 制御部21はCCDカメラ16、赤外線カメラ17、圧力センサ18、PH測定器19、保湿力センサ20と接続され、CCDカメラ16から入力する画像情報としての画像データを基にして、ディスプレイ13に映像や写真を表示させ、画像データとともに各測定機器17~20から得られる温度分布データ、弾力データ、PH値データ、保湿分データを、アンテナ22aを介して無線通信によりインターネットNを通じて管理サーバ50に送信させ、 肌データは、温度分布データ、弾力データ、PH値データ、保湿分データにより構成され、 サーバ50は、画像データや肌データを用いて、小皺の大きさや数量等の経時変化、シミソバカスの大きさ、色相、数量等の経時変化、くすみの明度、色彩、大きさ、範囲等の経時変化、肌の張り(弾力)の経時変化、肌の保湿分(うるおい)の経時変化、肌成分の経時変化を算出することで各変化率を求め、その変化率の値を基にして、所定日数後における肌状態の進行度を算出し、またサーバ50は、測定した肌データと、基準値管理データベース52に登録された基準となるデータ(つまり理想となる肌データ)とを比較することで依頼者の肌診断を行い、肌状態が基準よりも悪化傾向にある場合、その旨をアドバイスすることも可能であり、以上のようにして、サーバ50は依頼者の肌診断評価を行い、その評価結果である肌診断評価を依頼者側の化粧モバイル装置10に送信して、モバイル装置10のディスプレイ13に肌診断評価の評価結果画面44を表示させ、 評価結果画面44には、小じわ、シミ・ソバカス、くすみ、肌の張り、みずみずしさ、弾力の変化率を表示するための数値表示欄45と、サーバ50により作成されたイメージ画像46が表示される画像表示欄47とが設けられ、イメージ画像46は、変化率を基にしてサーバ50によって作成された次周期のときの画像であり、数値表示欄45の変化率は、肌に対して悪化させる方向に進行している場合にマイナスが表示され、また評価結果画面44には、アドバイスとして肌悪化対処方法、肌に有効な化粧方法、肌に有効な化粧品等を文字表示するための表示欄71,72,73も設けられ、また肌診断評価の評価結果として、小皺の大きさ(長さ)の変化を示すグラフである測定グラフ99を表示させることも可能であり、測定グラフ99はり、横軸が肌診断評価を行った測定日であり、縦軸が各測定日に求められたときの小皺の大きさを示している、 アドバイスシステム、方法及びプログラム。」 (3)甲第3号証 本願の優先日前である平成14年(2002年)2月8日に日本国内で頒布された刊行物である、特開2002-41959号公報(甲第3号証)には、次の技術事項が記載されている。 ア 「【請求項1】 顧客が身につけた測定装置から得られる紫外線被曝量情報を入手する情報入手手段と、 入力された紫外線被曝量情報に応じた肌のケア方法のアドバイス情報を提供するアドバイス情報提供手段と、 入手した前記紫外線被曝量情報をアドバイス情報提供手段に出力しかつアドバイス情報を入手して、該アドバイス情報を顧客側に提示するために、前記アドバイス情報を出力する処理手段と、を備えることを特徴とする肌のケア方法のアドバイスシステム。」 イ 「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、特に肌の老化やシミ、そばかす、日焼けの原因となる紫外線の被曝に対して、適切な肌のケア方法をアドバイスし得る肌のケア方法のアドバイスシステム、および、当該肌のケア方法の入手システムに関する。」 ウ 「【0022】 【発明の実施の形態】以下、本発明を好ましい実施形態を挙げて詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る肌のケア方法のアドバイスシステムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る肌のケア方法のアドバイスシステムは、大きく分けて、アドバイス情報提供側装置と、顧客側装置とから構成されている。 【0023】前記アドバイス情報提供側装置は、顧客が身につけた測定装置12から得られる紫外線被曝量情報を入手する情報入手手段14と、前記紫外線被曝量情報に応じた肌のケア方法のアドバイス情報を提供するアドバイス情報提供手段16と、入手した前記紫外線被曝量情報をアドバイス情報提供手段に出力しかつアドバイス情報を入手して、該アドバイス情報を顧客側に提示するために、前記アドバイス情報を出力する処理手段18と、を含んで構成されている。一方、前記顧客側装置は、測定装置12と、前記アドバイス情報が出力される出力手段20と、を含んで構成されている。情報入手手段14は処理手段18と接続され、処理手段18はアドバイス情報提供手段16と接続されている。また、情報入手手段14は測定装置12と接続され、処理手段18は出力手段20と接続されている。」 エ 「【0041】測定装置12としては、図5に示すように、前記紫外線被曝量の他の物理量を測定し得る物理量測定手段30をさらに備えるものとすることもできる。他の物理量としては、気温、湿度等の環境物理量や、顧客の運動量、顧客の肌の状態を挙げることができる。気温は温度計として、湿度は湿度計として、それぞれ公知のものをそのまま物理量測定手段30に適用することができる。また、顧客の運動量を測定するための物理量測定手段30としては、公知の歩数計をそのまま適用することができる。すなわち、ブローチ52等に内蔵された測定装置12に、温度計、湿度計、あるいは歩数計の機能をさらに備えるものとすることで、所望の他の物理量を測定することができる。 【0042】顧客の肌の状態を監視(測定)するための物理量測定手段30としては、具体的には、肌の水分量・油分量の測定や、肌の色、肌理、角質状態の測定をし得る測定手段が挙げられる。この場合、物理量測定手段30は、測定装置12と一体となっていても、別体であっても構わない。また、検知紙などにより測定したものを顧客が測定装置12に入力できるようにしておいてもよい。物理量測定手段30で測定された他の物理量は、紫外線被曝量と同様に、物理量情報として被曝量記憶手段26に記憶され、送信手段28によりアドバイス情報提供側へ送信される。 【0043】測定装置12の好ましい態様としては、以上の如きものが挙げられ、アドバイス情報提供側に属する情報入手手段14では、送信手段28から送信された紫外線被曝量情報(場合によっては、さらに他の物理量情報。以下、単に「紫外線被曝量情報」といった場合、特に断りがない限り同じ。)が入手される。なお、情報入手手段14における紫外線被曝量情報の入手は、前記被曝量記憶手段26に記憶された紫外線被曝量情報を、顧客が適当な手段により、紙やフロッピーディスク等の記録媒体に記録した上で、これをアドバイス情報提供者側が受け取り情報入手手段14に入力することもできる。この場合、情報入手手段14は、キーボード等の入力装置や、記録媒体読取装置を備えることで実現できる。 【0044】情報入手手段14で入手した紫外線被曝量情報は、処理手段18によりアドバイス情報提供手段16に出力される。このとき紫外線被曝量情報以外の顧客の個別情報を併せて出力することが望ましい。この場合の肌のケア方法のアドバイスシステムの構成を示すブロック図は、図6に示すようになる。すなわち、アドバイス情報提供側にさらにメモリー22が備えられ、該メモリー22中の記憶手段に顧客の個別情報を予め記憶させておき、入手した前記紫外線被曝量情報をアドバイス情報提供手段16に出力する際に、記憶された前記個別情報を併せて出力する。メモリー22としては、コンピュータに内蔵されたハードディスクや、フロッピー(登録商標)ディスク、CD-R等の記録媒体が挙げられる。 【0045】顧客の個別情報としては、具体的には、血液型や性別、近親者の既往症等の遺伝的特性;かさかさ肌、がさつき肌、脂性、肌の色、汗かき症等の肌の性質;身長、体重、体型、体脂肪率等の身体的特徴;現在の体調、既往症の有無、アレルギーの有無、持病の有無等の健康状態;住居、職業、通勤(通学)手段および時間、日常の運動量等の生活環境;現在の肌のケア内容(使用している化粧品を含む)、過去の肌のケア内容、過去の紫外線被曝量情報およびそれによるアドバイス情報の内容、過去の肌の状態等のケア状況の履歴;年齢;等を挙げることができる。 【0046】前記顧客の個別情報は、顧客から適宜適当な手段(ネットワークを介して、郵便等により書面で、電話等により口頭で、等いずれでもよい)により入手した上で記憶手段22に入力するか、顧客が直接ネットワークおよび情報入手手段14を介して記憶手段22に入力する。」 オ 上記「アないしエ」より、甲第3号証には次の技術(以下「甲3開示技術」という。)が記載されていると認められる。 「肌のケア方法のアドバイスシステムにおいて、 顧客側装置である測定装置12の物理量測定手段30で、顧客の運動量を測定し、物理量情報として送信手段28によりアドバイス情報提供側装置へ送信する技術。」 (4)甲第4号証 本願の優先日前である平成24年(2012年)11月1日に日本国内で頒布された刊行物である、特開2012-211886号公報(甲第4号証)には、次の技術事項が記載されている。 ア 「【請求項1】 人物毎に少なくとも2つの日にメラニン量を測定し、該メラニン量を人物データとして顧客情報データベースに蓄積して記憶するメラニン量測定工程と、 前記メラニン量測定工程により1人の人物についてメラニン量を測定した日の間を測定期間として、該測定期間における該人物のメラニンの変化量と気象データベースに蓄積して記憶された紫外線照射量とから、該測定期間における単位紫外線照射量当りのメラニン変化量を該人物のメラニン合成能力として算出するメラニン合成能力演算工程と、 を備えることを特徴とするメラニン合成能力評価方法。 【請求項2】 請求項1記載のメラニン合成能力評価方法を用いる美容アドバイス方法であって、 人物毎に入力された前記測定期間における内的要因を、人物データとして前記顧客情報データベースに蓄積して記憶する顧客情報入力工程と、 被検者についてメラニン量を測定した前記測定期間に対応する、前年以前の期間を参照期間として、前記顧客情報データベースに記憶されている人物データと前記気象データベースに記憶されている紫外線照射量とに基づき、少なくとも該参照期間における前記メラニン合成能力が前記被検者の前記メラニン合成能力と近い1又は2以上の人物を参照人物として抽出する適合情報検索工程と、 前記被検者の所定の将来期間に対応する、前年以前の期間を将来参照期間として、前記顧客情報データベースに記憶されている人物データと前記気象データベースに記憶されている紫外線照射量とに基づき、前記適合情報検索工程により抽出された前記参照人物について、該将来参照期間における前記メラニン合成能力に影響度が高かった前記内的要因を影響要因として抽出する将来予測工程と、 を備えることを特徴とする美容アドバイス方法。」 イ 「【0001】 本発明は、メラニン合成能力評価方法及び美容アドバイス方法、並びにそれらを用いるメラニン合成能力評価システム及び美容アドバイスシステムに関し、詳しくは、紫外線照射量及びメラニン量の変化から人物のメラニン合成能力を評価するメラニン合成能力評価方法、並びにデータベースに蓄積されたデータに基づき、人物毎に将来のメラニン量を予測し、美容アドバイスを提示することができる美容アドバイス方法等に関する。」 ウ 「【0021】 本発明の方法及びシステムの実施形態においては、顧客(人物)毎のメラニン合成能力を評価し、それを基に美容アドバイスを作成するために、人物毎のメラニン量測定データと共に、メラニンの合成に影響を及ぼす外的要因及び内的要因についての情報を蓄積したデータベースを使用している。 このデータベースには、アンケート等により、日焼け時の肌の反応性が異なる人物を多数(例えば、100人以上)選別し、その人物毎に、長期的且つ経時的に特定部位の角質標本を採取し、その角質標本からメラニン量を測定すると共に、各人物のメラニン合成能力に対して影響を及ぼすと考えられる外的要因や内的要因に関する情報を調査し、得られたデータを蓄積している。 【0022】 すなわち、紫外線に対して異なる反応性を示す人物の通年のメラニン量の変動と、それに対応した外的要因及び内的要因に関するデータを収集し、データベースを作成した。このデータベースには、メラニン量の段階的な変動と、それに対応した外的要因及び内的要因の情報が、同一人物における通年の経時的なデータとして、平均値でなく個人単位で蓄積されている。本発明では、このデータベースを利用することで、各個人のメラニン合成能力やメラニン合成の段階を評価し、またメラニン合成能力に対して影響を及ぼす外的要因及び内的要因を導き出す。 【0023】 前記「外的要因」とは、人物のメラニン合成に影響を及ぼす気象(例えば、気温、湿度、天気、紫外線照射量)等を意図している。 前記「内的要因」とは、メラニン合成に影響を及ぼす人物の状態(例えば、年齢、生活地域、肌質、紫外線に対する意識(紫外線対策)、スキンケア、月経周期、生活習慣、ストレスレベル)等を意図している。 本発明において、外的要因としてどの事項を用いるか、また内的要因としてどの事項を用いるか、は特に限定されない。例えば、外的要因を紫外線照射量とすることができる。また、内的要因を、年齢、肌質、月経周期、生活習慣、紫外線対策、スキンケア及びストレスレベルのうちの1又は2以上を含むものとすることができる。 【0024】 前記「データベース」は任意の構成とすることができ、例えば、主として外的要因に関する情報を蓄積して記憶する気象データベースと、人物のメラニン量及び主として内的要因に関する情報を蓄積して記憶する顧客情報データベースと、を備えて構成することができる。顧客情報データベースには、人物毎に関連付けて、メラニン量や内的要因に関するデータが経時的に蓄積される(人物毎のデータをまとめて「人物データ」という)。 【0025】 本発明では、1人の人物(同一の単一個人)についてメラニン量を少なくとも2回以上測定し、その間のメラニン量の変動(メラニン変動の傾き)を算出することで、その個人のメラニン合成能力を数値化する方法を見出した。 「メラニン合成能力」とは、ある期間において、人物の外的要因又は内的要因により、その人物のメラニンの合成及び排出量がどれだけ変化したかを表わす数値をいう。人物のメラニンの変動に最も大きな影響を及ぼす要因として紫外線照射量が挙げられる。以下では、主として紫外線照射量に対するメラニン合成能力を取り上げている。その場合、メラニン合成能力は、次式のように、単位紫外線照射量当りのメラニン変化量として算出することができる。 メラニン合成能力=メラニン変化量÷紫外線照射量 【0026】 さらに、1人の人物(「被検者」という。)に対して効果的な美容アドバイスを行うことができる美容アドバイス方法及び美容アドバイスシステムを開発した。この美容アドバイス方法及び美容アドバイスシステムは、被検者について算出したメラニン合成能力の数値を基に、前記データベースに蓄積された人物データを検索して、被検者と類似したメラニン合成能力を示す他者(「参照人物」という。)を抽出し、その他者が示したメラニン合成能力に対して影響を及ぼした外的要因及び内的要因のデータに基づいて、被検者の現在のメラニン合成の段階や将来のメラニン量の変動を予測することができると共に、被検者のメラニン合成能力に対して影響を及ぼす外的要因又は内的要因を精度よく判断し、最も効果的な美容アドバイスを行うことができる。 前記「被検者」は、通常は新たな顧客であるが、それに限られず、既に顧客情報データベースに継続的に人物データが記録されている従来の顧客のうちの1人としてもよい。 前記抽出する参照人物の数は限定されず、1人であってもよいし、複数人(例えば、数百人以上)であってもよい。」 エ 「【0069】 前記将来予測処理部55’では、適合情報検索処理部54’から送信された系列のメラニン変化量への各種影響係数と、データベース61に蓄積された紫外線照射量のデータ、及びデータベース621、622に蓄積された顧客に関する情報の各項目のデータ等を要素として、複数の将来のメラニン量変動(パターン)がシミュレーションできる。このシミュレーションの際には、例えば、下記数式を用いて将来のメラニン量を求め、その変動を予測する。予測結果は結果表示処理部26に送信する。 結果表示処理部26は、前記美容アドバイスシステム10と同様、メラニン量の予測や美容アドバイスを、結果表示画面(図16参照)として出力装置4に表示することができる。 【0070】 (数式) Y=a1X1+a2X2+a3X3+・・・anXn+b 【0071】 なお、Yは特定時期(現在及び将来)のメラニン量予測値、Xは顧客データベース621に蓄積された顧客の外的及び/又は内的要因に関する情報を評価した値、aは影響係数データベース622より導き出された顧客のX(外的及び/又は内的要因に関する情報を評価した値)についての影響係数である。bは顧客により異なる、メラニン量の基準となる定数である。」 オ 上記「アないしエ」より、甲第4号証には次の技術(以下「甲4開示技術」という。)が記載されていると認められる。 「顧客(人物)毎のメラニン合成能力を評価し、それを基に美容アドバイスを作成するために、人物毎のメラニン量測定データと共に、メラニンの合成に影響を及ぼす外的要因及び内的要因についての情報を蓄積したデータベースを使用し、 このデータベースには、アンケート等により、日焼け時の肌の反応性が異なる人物を多数(例えば、100人以上)選別し、その人物毎に、長期的且つ経時的に特定部位の角質標本を採取し、その角質標本からメラニン量を測定すると共に、各人物のメラニン合成能力に対して影響を及ぼすと考えられる外的要因や内的要因に関する情報を調査し、得られたデータを蓄積しているものであり、 前記「内的要因」とは、メラニン合成に影響を及ぼす人物の状態(例えば、年齢、生活地域、肌質、紫外線に対する意識(紫外線対策)、スキンケア、月経周期、生活習慣、ストレスレベル)等を意図しており、 被検者について算出したメラニン合成能力の数値を基に、前記データベースに蓄積された人物データを検索して、被検者と類似したメラニン合成能力を示す他者(「参照人物」という。)を抽出し、その他者が示したメラニン合成能力に対して影響を及ぼした外的要因及び内的要因のデータに基づいて、被検者の現在のメラニン合成の段階や将来のメラニン量の変動を予測することができると共に、被検者のメラニン合成能力に対して影響を及ぼす外的要因又は内的要因を精度よく判断し、最も効果的な美容アドバイスを行うことができる、技術。」 (5)甲第5号証 本願の優先日前である平成19年(2007年)5月24日に日本国内で頒布された刊行物である、特表2007-512864号公報(甲第5号証)には、次の技術事項が記載されている。 ア 「【請求項1】 (A)皮膚からの音響放射信号を生じさせるための手段、 (B)前記放射信号を回収し、格納し、表示するための手段、 (C)前記放射信号を前記皮膚の特性と相関させるための手段、を含む、美容スキンケア及び/又はクレンジング製品の有効性を評価するための臨床用具として使用するための、音響放射測定システム。」 イ 「【請求項6】 (A)請求項1から3のいずれか1項に記載のシステムを提供し、 (B)ヒト皮膚の部分に対する音響放射データを生成させ、 (C)個人の集団に対する皮膚特性の分布を定義するために該データを分析する、 個人の集団に対してヒトの皮膚の部分における皮膚特性の分布を定義する方法。 【請求項7】 (A)請求項6に記載の方法により個人の集団に対するヒト皮膚の部分での皮膚特性の分布を定義すること、 (B)少なくとも1人に対してヒト皮膚の部分に対する音響放射データを生成させること、 (C)前記個人の集団に対する皮膚特性の分布に関して、少なくとも1人の皮膚特性を評価するために該データを分析すること、 を含む、個人の集団に対する皮膚特性の分布に関して、少なくとも1人のヒト皮膚の部分における皮膚特性を評価する方法。」 ウ 「【0027】 (音響放射法) 本発明方法は、人体のある部分の皮膚がその人体の別の部分の皮膚を滑った際の、基体(好ましくは皮膚)との接触(つまり皮膚と皮膚)から生じた音響信号を使用する。皮膚/皮膚接触における摩擦力は、皮膚/皮膚接触部分の近くに置かれた探触子12により感知される振動パターンを生じ、結果格納、操作及び出力システム18により記録される。有利に、探触子12は、接触部分の近くでその接触を妨害せずに振動を検出することができるので、皮膚のある部分と別の部分との間の接触に影響を与えない。したがって、本発明に従い、音響信号は、皮膚/皮膚接触特性及び使用中の状態を正確に反映する。 【0028】 音響放射は、手又は指で別の皮膚部分を穏やかに擦る間に記録される。通常は、前腕、手又は顔面において検出されるが、他の身体部分に対しても使用し得る。音響放射信号は、いくつかの種類の探触子12により記録することができる。マイクロフォン20又は水中聴音器22は、皮膚/皮膚接触の近くに置くことができるが、皮膚には接触しない。これらの音響センサーに対して、空気又は水それぞれは、皮膚において生じる振動の媒体又は媒介物である。小型の又は小規模の振動センサー(つまり加速度計24)は、接触部分の近くの皮膚に置くことができる。その場合、擦ることにより生じる振動は、皮膚組織により伝達される。音響センサーは、市販の装置又は特注の機器であり得る。音響放射信号は、増幅器26、28及び/又は信号処理器30によりそれぞれ処理され、及び/又は増幅され、データ収集システム16に送られる。次に、データ収集システム16からのデータは、PC音源カード又は他の適切なデジタル化装置などの格納、操作及び出力システム18に送られ、ここで、音響放射データは、保存され、表示され得る。様々な標準的信号解析法をこの信号に適用することができ、特別の方法を開発し得る。 【0029】 通常の使用において、一定の様式で手で前腕を擦るか、又は2本の指で互いに擦る。音響放射は、擦る速度及び皮膚/皮膚接触の圧力に依存するので、対照の振動パターンを定義するために、所定の対象に対して何回か録音を行う。ある一定時間にわたり記録された信号の二乗平均平方根を使用して、擦るプロセスの一貫性を評価することができる。次に、製品適用中、又は製品適用後の断続的な間隔において、音響放射信号をモニタリングする。」 エ 「【0081】 本発明は、ヒト皮膚の部分の特性又は状態を客観的に評価するためのものである。毛穴、皺及び光老化などの顔面の特性を評価し得る。本発明のシステム及び方法は、消費者の自己評価のために、又は美容師もしくは店員による評価のために適用できる。 【0082】 この実施例は、トリートメント前後の毛穴の発生の評価が音響放射システム10を用いて可能であり、これにより本発明のシステム及び方法の有効性及び有用性が示唆されることを説明する。 【0083】 音響放射システム10を用いてCalvin Klein Cosmetics Co.,New Yorkから入手可能なSheer CoverageTMブランドファンデーションを評価した。良い結果が得られた。ファンデーション塗布後の視覚的に感知される毛穴発生の改善性によく相関したというように、消費者は、音響放射システム尺度の違いを感知した。」 オ 「【0088】 この実施例は、消費者がその製品を使用し続けるように誘導するために、トリートメント前後の皮膚の状態及びトリートメントしていない皮膚状態における視覚的な改善の有用性を調べるための、音響放射測定システム10及び方法の使用を説明する。 【0089】 音響放射測定システム10を用いて、消費者が自身の顔面皮膚のトリートメント前の状態の測定を行った。 【0090】 その後、その消費者が約4週間にわたり、Chesebrough-Pond’s、U.S.から入手可能なPOND’S Dramatic ResultsTMブランド製品を塗布した。製品を塗布しない、クリーンな顔面皮膚に対して、別の音響放射測定を行った。この測定から、使用期間にわたる顔面皮膚の皺の発生が顕著に改善されることが示された。 【0091】 4週間後の改善は視覚的に感知されず、触って感知できないものであったが、音響放射測定から改善は明らかであり、POND’S製品を使用し続けるよう消費者を促した。 【0092】 本発明の音響放射方法の別の長所は、消費者が使用前のその皮膚の状態を記憶することができないということである。この方法により、消費者は、化粧品の使用前後の差を比較する方法を得る。したがって、音響放射測定は、ある化粧品又は使用計画の長期的な有益性に関して消費者に伝えるための優れたツールである。」 カ 上記「アないしオ」より、甲第5号証には次の技術(以下「甲5開示技術」という。)が記載されていると認められる。 「手又は指で別の皮膚部分を穏やかに擦る間に記録される音響放射を、マイクロフォン、加速度計で測定する音響放射測定システム10を用いて、消費者が自身の顔面皮膚のトリートメント前の状態の測定を行い、その後、その消費者が約4週間にわたり、トリートメント製品を塗布し、製品を塗布しない、クリーンな顔面皮膚に対して、別の音響放射測定を行い、この測定から、化粧品の使用前後の差を比較して、使用期間にわたる顔面皮膚の皺の発生が顕著に改善されること、すなわちある化粧品又は使用計画の長期的な有益性、に関して消費者に伝える技術。」 (6)甲第6号証 上記「第3 2.」で述べたように、本願の優先日前である平成29年(2017年)2月28日にインターネット上に公開され、平成29年7月20日付で更新されたウェブページである、”〔NEWS〕スマホで肌の水分量測定!Kaneboから『肌水分センサー』が登場”,[online],,株式会社マチダクリップ リアルコスメ事業部作成,インターネット<URL:https://sensitive-skin.real-cosme.net/?p=32352>(甲第6号証)には、次の技術事項が記載されている。 ア 「結果の記録は1箇所につき1回 (/1日)ですが、何度も測定し直せるので、時間帯を変えて測ったり家族の水分量を測ったりするなど色々な楽しみ方ができますよ♪」(11/17ページ第4-5行) イ 「「結果は分かったけど・・これって多いの少ないの?」と思ったら、全国平均や県平均をチェック! 自分の肌の水分量が多いか少ないかを確認できます♪ (今回は、平均よりもギリギリ上だったのでホッとひと安心・・。)」(12/17ページ第1-4行) ウ 「 [図:0001402817000005.jpg] マイページでは、「1週間」「1ヶ月」「3ヶ月」の測定結果の推移を確認できます。 「この日の気分をメモする」で、体調や生活リズム(例:生理日やエステ、寝不足など)を記録すれば、肌の水分量の変化や肌のコンディションとの関係を把握することも♪ 測定を続けることで、 肌全体の変化やその時に合うスキンケア法なども分かるようになってきますね!」(13/17ページ第1-5行) エ 「まとめ センサーで水分測定を続けてみると、ただスキンケアをしていただけでは分からなかったことや肌について勘違いしていたことに気づきました。 例えば・ ・ レ 日中(特に夕方)と夜のお手入れ後では肌の水分量が全然違う! →朝晩に加えて、 日中の保湿も考えなきゃ・・ レ 顔と比べると、首や(特に)スネの水分量が低すぎる! →顔だけでなく身体全体のスキンケアに力を入れ直そう。 レ 化粧品によって水分量の仕上がりが違う! →どんな化粧品でもスキンケア後はうるおってると感じるもの。 でも実際は、化粧品によって(スキンケア直後でも)水分量に差があったり、 自分では「この化粧品が保湿力No.1!」と思っていても測定ではそう示されていなかったりする。 などなど・・ 1ヶ月、3ヶ月と生理周期や季節をまたいで測定を続ければ、さらなる発見がありそうですね! これからは「ただスキンケアをして終わり」でなく、「その後の水分量までしっかりと把握する」時代。 皆さんもカネボウの肌水分センサー&スマコネで、ワンランク上のセルフケアをしてみましょう♪」(第13/17ページ最下行-15/17ページ第9行) オ 上記「アないしエ」より、甲第6号証には次の技術(以下「甲6開示技術」という。)が記載されていると認められる。 「1日1回自分の肌の水分量を測定し、「この日の気分をメモする」で、体調や生活リズム(例:生理日やエステ、寝不足など)を記録し、1ヶ月、3ヶ月と生理周期や季節をまたいで測定を続ける技術。」 2.特許法第29条第2項(進歩性違反)について (1)本件発明1と甲1発明との対比・判断について ア 対比 甲1発明を本件発明1と対比する。 (ア)甲1発明の「被験者S」は、本件発明1の「ユーザ」に相当する。 (イ)甲1発明の「被験者Sに関する状態パラメータP1~P6の肌スコアSS」は、「状態パラメータPは、皮脂量(P1)、保水力(P2)、真皮もしくは角層の弾性の度合い(P4)、メラニン含有量(P6)、血行の度合い(P5)、またはセラミド量(P3)」であり、いずれの状態パラメータも肌の状態を示すパラメータであるから、本件発明1の「ユーザの肌状態の肌指標」に相当する。 (ウ)甲1発明の「肌状態判定システム200」に含まれる「肌状態判定装置100」は、「演算部10」において「被験者Sに関する状態パラメータP1~P6の肌スコアSSを算出」することから、本件発明1の「ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段」に相当する。 (エ)甲1発明の「肌状態判定システム200」の「被験者端末50」は、「肌状態判定装置100」で算出し送信された「被験者Sに関する状態パラメータP1~P6の肌スコアSSの各値」を受信して表示することから、本件発明1の「推定された肌指標を提示する手段」に相当する。 (オ)甲1発明の「肌の特性を表す複数の状態パラメータPに基づいて被験者Sの肌状態を判定する肌状態判定システム200」は、本件発明1の「肌指標を推定する」「情報処理装置」に相当する。 すると、甲1発明と、本件発明1とは、 「ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段を備え、前記推定された肌指標を提示する手段を備え、前記肌指標を推定する、情報処理装置。」 の点で一致し、以下の相違点1ないし3で相違する。 <相違点1> 本件発明1は、「ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得する手段を備え、前記触感情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第1情報、及び、複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第2情報の少なくとも1つを提示する手段を備え」ているのに対し、甲1発明は、上記発明特定事項を備えていない点。 <相違点2> 本件発明1は、「前記ユーザの行動に関する行動情報の履歴を示す行動ログ情報を取得する手段を備え」ているのに対し、甲1発明は、上記発明特定事項を備えていない点。 <相違点3> ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段が、本件発明1は「前記触感ログ情報と、前記行動ログ情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する」手段であるのに対し、甲1発明は、ユーザから受け付けた因子選択入力FS(選択入力)、注目因子スコアSA(定量入力値)および一般因子スコアSC(定量入力値)に基づいて肌スコアSSを算出する手段である点。 イ 上記各相違点についての判断 事案に鑑み、相違点3について検討する。 相違点3に係る技術事項である「前記触感ログ情報と、前記行動ログ情報と、に基づいて」「肌指標を推定する」ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段については、上記「1.」で記載したように、甲2発明及び甲3ないし6開示技術には開示されておらず、また本願の優先日前において周知の技術であるとも認められない。 すなわち、肌状態を推定するシステムにおいて、触感ログ情報を測定すること(甲2発明参照。)や行動ログ情報を測定すること(甲3開示技術及び甲6開示技術参照。)が仮に周知であったとしても、それら2つの情報に基づいて肌指標を推定する技術及び技術思想については、上記「1.」で摘記したように、甲第2ないし6号証には開示されておらず、本願の優先日前において周知であるとは認められない。 また、触感ログ情報と行動ログ情報との間でなにがしかの相関関係があることが公知であったともいえないことから、肌状態を推定するにあたり、あえて触感ログ情報と行動ログ情報の両方を用いる動機があるともいえない。 そうすると、他の甲号証を参照しても、上記相違点3の構成が記載されていないのであるから、甲1発明に、甲第2ないし6号証に開示された事項を組み合わせても、上記相違点3に係る本件発明1の発明特定事項を有するものとはならず、そして、相違点3の構成にあえてする動機があるともいえない。 ウ 申立人の主張について (ア)申立人は、異議申立書において、上記相違点3(異議申立書における「相違点1-1」)について以下の主張をしている。 「しかしながら、記載事項5-2及び記載事項6-1によれば、一定期間内に複数回測定した肌の物理特性を示す測定データを利用して、ユーザの肌状態を推定することは、本願優先日当時周知技術であった。 また、記載事項3-1、記載事項3-2及び記載事項6-2によれば、肌のケアにおいて、肌の状態や、ユーザの運動量、エステ、寝不足等の行動を加味してアドバイスを提供することも、本願優先日当時周知技術であったと認められる。 さらにまた、記載事項2-1によれば、前回と今回の肌の弾力等の触感情報の測定結果からその変化値から変化率を算出し、この変化率を基にして、現時点での肌の状態から次周期の小皺の大きさ等を算出して進行度を求め、これに基づいて作成された次周期のイメージ画像が提示されているから、甲第2号証には、「複数の触感清報を含む触感ログ情報に基づいて、ユーザの肌状態に関する第2情報を提示する手段」が開示されていると認められる。 以上の通り、相違点1-1に係る構成は何れも周知技術であったから、当業者であれば、甲1発明1において、相違点1-1に係る構成に想到することは容易であった。」(異議申立書第31頁第1-16行) (イ)しかしながら、「記載事項5-2」すなわち上記甲第5号証の記載、「記載事項6-1及び6-2」すなわち上記甲第6号証の記載、「記載事項3-1及び3-2」すなわち上記甲第3号証の記載、「記載事項2-1」すなわち上記甲第2号証の記載をみても、触感ログ情報又は行動ログ情報の各々について別々に記載されているにしろ、上記「イ」で述べたとおり、触感ログ情報と行動ログ情報の2つの情報に基づいて肌指標を推定する技術及び技術思想は開示されておらず、本願の優先日前において周知であるとも認められない。 (ウ)したがって、上記申立人の主張は採用することができない。 エ 小括 以上のことから、本件発明1は甲1発明、並びに甲第2ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。 (2)本件発明1と甲2発明との対比・判断について ア 対比 甲2発明を本件発明1と対比する。 (ア)甲2発明の「依頼者」は、本件発明1の「ユーザ」に相当する。 (イ)甲2発明の「依頼者」の「肌の弾力」は、本件発明1の「ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報」に相当する。 (ウ)甲2発明の「アドバイスシステム1」が備える「化粧モバイル装置10」の「モバイル本体11」に「接続され」た「圧力センサ18」は、「依頼者」の「肌の弾力」を「測定」するものであるから、本件発明1の「ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得する手段」に相当する。 (エ)甲2発明の「アドバイスシステム1」が備える「管理サーバ50」は、「化粧モバイル装置10」から「圧力センサ18」で測定された「弾力データ」を受け取り、「肌の張り(弾力)の経時変化」を「算出することで」「変化率を求め、その変化率の値を基にして、所定日数後における肌状態の進行度を算出し」、「モバイル装置10に送信して、モバイル装置10のディスプレイ13に肌診断評価の評価結果画面44」の「弾力」の「変化率を表示するための数値表示欄45」に表示させることから、甲2発明の「アドバイスシステム1」と本件発明1とは「前記触感情報に基づいて、」「複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第2情報」「を提示する手段」を備える点で共通する。 (オ)甲2発明の「肌診断評価の評価結果画面44」の「数値表示欄45」に表示される「弾力」の「変化率」は、本件発明1の「ユーザの肌状態の肌指標」に相当する。 (カ)甲2発明の「アドバイスシステム1」が備える「管理サーバ50」は、上記「(ウ)」で述べたように圧力センサ18で測定された弾力データを基に依頼者の肌の張り(弾力)の変化率を推定していることから、本件発明1の「前記触感ログ情報に基づく前記ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段」に相当する。 (キ)甲2発明の「アドバイスシステム1」が備える「化粧モバイル装置10」の「ディスプレイ13」は、上記「(ウ)」で述べたように「肌診断評価の評価結果画面44」を表示し、「肌診断評価の評価結果画面44」の「数値表示欄45」には依頼者の肌の張り(弾力)の変化率が表示されることから、本件発明1の「推定された肌指標を提示する手段」に相当する。 (ク)甲2発明の「アドバイスシステム1」は、上記「(ウ)」で述べたように依頼者の肌の張り(弾力)の変化率を管理サーバ50で求めていることから、本件発明1の「肌指標を推定する」「情報処理装置」に相当する。 すると、甲2発明と、本件発明1とは、 「ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得する手段を備え、複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第2情報を提示する手段を備え、前記触感ログ情報に基づく前記ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段を備え、前記推定された肌指標を提示する手段を備え、る情報処理装置。」 の点で一致し、以下の相違点4及び5で相違する。 <相違点4> 本件発明1は、「前記ユーザの行動に関する行動情報の履歴を示す行動ログ情報を取得する手段を備え」ているのに対し、甲2発明は、上記発明特定事項を備えていない点。 <相違点5> ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段が、本件発明1は「前記触感ログ情報と、前記行動ログ情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する」手段であるのに対し、甲2発明は、圧力センサ18で測定された弾力データを基に依頼者の肌の張り(弾力)の変化率を推定する管理サーバ50であり、行動ログ情報に当たるデータを用いずに依頼者の肌の張り(弾力)の変化率を推定する点。 イ 上記各相違点についての判断 事案に鑑み、相違点5について検討する。 相違点5は上記「(1)」の相違点3と同一の発明特定事項についてのものであり、上記相違点3については上記「(1)イ」で検討したとおりであることから、相違点5についても同じ理由により、甲2発明に、甲第1、3ないし6号証に開示された事項を組み合わせても、上記相違点5に係る本件発明1の発明特定事項を有するものとはならず、そして、相違点5の構成にあえてする動機があるともいえない。 ウ 申立人の主張について (ア)申立人は、異議申立書において、上記相違点5(異議申立書における「相違点1-2」)について以下の主張をしている。 「しかしながら上記の通り、記載事項2-1、記載事項3-2及び記載事項6-2によれば、ユーザに肌のケア方法のアドバイスを提供するシステムにおいて、ユーザの肌の状態や、ユーザの運動量等の行動を加味してアドバイスを提供することも、本願優先日当時周知技術であったと認められる。 したがって、 相違点1-2に係る構成は周知技術であったから、当業者であれば、甲2発明において、相違点1-2に係る構成に想到することは容易であった。」(異議申立書第32頁第14-20行) (イ)しかしながら、「記載事項2-1」すなわち上記甲第2号証、「記載事項3-2」すなわち上記甲第3号証の記載、「記載事項6-2」すなわち上記甲第6号証の記載をみても、触感ログ情報又は行動ログ情報の各々について別々に記載されているにしろ、上記「(1)イ」で述べたとおり、触感ログ情報と行動ログ情報の2つの情報に基づいて肌指標を推定する技術及び技術思想は開示されておらず、本願の優先日前において周知であるとも認められない。 (ウ)したがって、上記申立人の主張は採用することができない。 エ 小括 以上のことから、本件発明1は甲2発明及び甲第1、3ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。 (3)本件発明2について 本件発明2は、本願の請求項1を引用する発明であり、甲1発明及び甲2発明とは、上記相違点3及び5で少なくとも相違する。 相違点3及び5については、上記「(1)イ」及び「(2)イ」で検討したとおりであるから、本件発明2についても、上記「(1)及び(2)」と同じ理由により、甲1発明及び甲第2ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえないし、かつ甲2発明及び甲第1,3ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。 (4)本件発明3について 本件発明3は、本件発明1の「前記触感情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第1情報、及び、複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第2情報の少なくとも1つを提示する手段を備え、前記触感ログ情報に基づく前記ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段を備え」という発明特定事項を「複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づく肌状態の肌指標を推定する手段を備え」という発明特定事項に変更した発明である。したがって、本件発明3は、甲1発明及び甲2発明とは、上記相違点3及び5で少なくとも相違する。 相違点3及び5については、上記「(1)イ」及び「(2)イ」で検討したとおりであるから、本件発明3についても、上記「(1)及び(2)」と同じ理由により、甲1発明及び甲第2ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえないし、かつ甲2発明及び甲第1,3ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。 (5)本件発明4と甲1発明との対比・判断について ア 対比 甲1発明を本件発明4と対比する。 (ア)甲1発明の「被験者S」は、本件発明4の「ユーザ」に相当する。 (イ)甲1発明の「被験者Sに関する状態パラメータP1~P6の肌スコアSS」は、「状態パラメータPは、皮脂量(P1)、保水力(P2)、真皮もしくは角層の弾性の度合い(P4)、メラニン含有量(P6)、血行の度合い(P5)、またはセラミド量(P3)」であり、いずれの状態パラメータも肌の状態を示すパラメータであるから、本件発明4の「ユーザの肌状態の肌指標」に相当する。 (ウ)甲1発明の「肌状態判定システム200」に含まれる「肌状態判定装置100」は、「演算部10」において「被験者Sに関する状態パラメータP1~P6の肌スコアSSを算出」することから、本件発明4の「ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段」に相当する。 (エ)甲1発明の「肌状態判定システム200」の「被験者端末50」は、「肌状態判定装置100」で算出し送信された「被験者Sに関する状態パラメータP1~P6の肌スコアSSの各値」を受信して表示することから、本件発明4の「推定された肌指標を提示する手段」に相当する。 (オ)甲1発明の「肌の特性を表す複数の状態パラメータPに基づいて被験者Sの肌状態を判定する肌状態判定システム200」は、本件発明4の「肌指標を推定する」「情報処理装置」に相当する。 すると、甲1発明と、本件発明4とは、 「ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段を備え、前記推定された肌指標を提示する手段を備え、前記肌指標を推定する、情報処理装置。」 の点で一致し、以下の相違点6ないし8で相違する。 <相違点6> 本件発明4は、「ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得する手段を備え、前記触感情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第1情報、及び、複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第2情報の少なくとも1つを提示する手段を備え」ているのに対し、甲1発明は、上記発明特定事項を備えていない点。 <相違点7> 本件発明4は、「前記ユーザの心身に関する心身ログ情報を取得する手段を備え」ているのに対し、甲1発明は、上記発明特定事項を備えていない点。 <相違点8> ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段が、本件発明4は「前記触感ログ情報と、前記心身ログ情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する」手段であるのに対し、甲1発明は、ユーザから受け付けた因子選択入力FS(選択入力)、注目因子スコアSA(定量入力値)および一般因子スコアSC(定量入力値)に基づいて肌スコアSSを算出する手段である点。 イ 上記各相違点についての判断 事案に鑑み相違点8について検討する。 相違点8に係る技術事項である「前記触感ログ情報と、前記心身ログ情報と、に基づいて」「肌指標を推定する」ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段については、上記「1.」で記載したように、甲2発明及び甲3ないし6開示技術には開示されておらず、また本願の優先日前において周知の技術であるとも認められない。 すなわち、肌状態を推定するシステムにおいて、触感ログ情報を測定すること(甲2発明参照。)や心身ログ情報を測定すること(甲6開示技術参照。)が仮に周知であったとしても、それら2つの情報に基づいて肌指標を推定する技術及び技術思想については、上記「1.」で摘記したように、甲第2ないし6号証には開示されておらず、本願の優先日前において周知であるとも認められない。 また、触感ログ情報と心身ログ情報との間でなにがしかの相関関係があることが公知であったともいえないことから、肌状態を推定するにあたり、あえて触感ログ情報と心身ログ情報の両方を用いる動機があるともいえない。 そうすると、他の甲号証を参照しても、上記相違点8の構成が記載されていないのであるから、甲1発明に、甲第2ないし6号証に開示された事項を組み合わせても、上記相違点8に係る本件発明1の発明特定事項を有するものとはならず、そして、相違点8の構成にあえてする動機があるともいえない。 ウ 申立人の主張について (ア)申立人は、異議申立書において、上記相違点8(異議申立書における「相違点4」)について以下の主張をしている。 「しかしながら、記載事項4-1、記載事項4-2及び記載事項6-2によれば、美容アドバイス方法において、ユーザの月経周期(性周期に相当)やストレス等の、ユーザの心身に関する情報を加味してユーザの肌を評価し、評価結果を提示することは、本願優先日において周知技術であったと認められる。 以上の通り、相違点4に係る構成は何れも周知技術であったことから、当業者であれば、甲1発明1又は甲2発明において、相違点4に係る構成に想到することは容易であった。」(異議申立書第36頁第5-12行) (イ)しかしながら、「記載事項4-1及び4-2」すなわち上記甲第4号証の記載、「記載事項6-2」すなわち上記甲第6号証の記載をみても、触感ログ情報又は心身ログ情報の各々について別々に記載されているにしろ、上記「イ」で述べたとおり、触感ログ情報と心身ログ情報の2つの情報に基づいて肌指標を推定する技術及び技術思想は、甲第2ないし6号証には開示されておらず、本願の優先日前において周知であるとも認められない。 (ウ)したがって、上記申立人の主張は採用することができない。 エ 小括 以上のことから、本件発明4は甲1発明及び甲第2ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。 (6)本件発明4と甲2発明との対比・判断について ア 対比 甲2発明を本件発明1と対比する。 (ア)甲2発明の「依頼者」は、本件発明4の「ユーザ」に相当する。 (イ)甲2発明の「依頼者」の「肌の弾力」は、本件発明4の「ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報」に相当する。 (ウ)甲2発明の「アドバイスシステム1」が備える「化粧モバイル装置10」の「モバイル本体11」に「接続され」た「圧力センサ18」は、「依頼者」の「肌の弾力」を「測定」するものであるから、本件発明4の「ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得する手段」に相当する。 (エ)甲2発明の「アドバイスシステム1」が備える「管理サーバ50」は、「化粧モバイル装置10」から「圧力センサ18」で測定された「弾力データ」を受け取り、「肌の張り(弾力)の経時変化」を「算出することで」「変化率を求め、その変化率の値を基にして、所定日数後における肌状態の進行度を算出し」、「モバイル装置10に送信して、モバイル装置10のディスプレイ13に肌診断評価の評価結果画面44」の「弾力」の「変化率を表示するための数値表示欄45」に表示させることから、甲2発明の「アドバイスシステム1」と本件発明4とは「前記触感情報に基づいて、」「複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第2情報」「を提示する手段」を備える点で共通する。 (オ)甲2発明の「肌診断評価の評価結果画面44」の「数値表示欄45」に表示される「弾力」の「変化率」は、本件発明4の「ユーザの肌状態の肌指標」に相当する。 (カ)甲2発明の「アドバイスシステム1」が備える「管理サーバ50」は、上記「(ウ)」で述べたように圧力センサ18で測定された弾力データを基に依頼者の肌の張り(弾力)の変化率を推定していることから、本件発明4の「前記触感ログ情報に基づく前記ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段」に相当する。 (キ)甲2発明の「アドバイスシステム1」が備える「化粧モバイル装置10」の「ディスプレイ13」は、上記「(ウ)」で述べたように「肌診断評価の評価結果画面44」を表示し、「肌診断評価の評価結果画面44」の「数値表示欄45」には依頼者の肌の張り(弾力)の変化率が表示されることから、本件発明4の「推定された肌指標を提示する手段」に相当する。 (ク)甲2発明の「アドバイスシステム1」は、上記「(ウ)」で述べたように依頼者の肌の張り(弾力)の変化率を管理サーバ50で求めていることから、本件発明4の「肌指標を推定する」「情報処理装置」に相当する。 すると、甲2発明と、本件発明4とは、 「ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得する手段を備え、複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第2情報を提示する手段を備え、前記触感ログ情報に基づく前記ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段を備え、前記推定された肌指標を提示する手段を備え、る情報処理装置。」 の点で一致し、以下の相違点9及び10で相違する。 <相違点9> 本件発明4は、「前記ユーザの心身に関する心身ログ情報を取得する手段を備え」ているのに対し、甲2発明は、上記発明特定事項を備えていない点。 <相違点10> ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段が、本件発明4は「前記触感ログ情報と、前記心身ログ情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する」手段であるのに対し、甲2発明は、圧力センサ18で測定された弾力データを基に依頼者の肌の張り(弾力)の変化率を推定する管理サーバ50であり、心身ログ情報に当たるデータを用いずに依頼者の肌の張り(弾力)の変化率を推定する点。 イ 上記各相違点についての判断 事案に鑑み、相違点10について検討する。 相違点10は上記「(5)」の相違点8と同一の発明特定事項についてのものであり、上記相違点8については上記「(5)イ」で検討したとおりであることから、相違点10についても同じ理由により、甲2発明に、甲第1,3ないし6号証に開示された事項を組み合わせても、上記相違点10に係る本件発明1の発明特定事項を有するものとはならない。 ウ 申立人の主張について (ア)申立人は、異議申立書において、上記相違点10(異議申立書における「相違点4」)について以下の主張をしている。 「しかしながら、記載事項4-1、記載事項4-2及び記載事項6-2によれば、美容アドバイス方法において、ユーザの月経周期(性周期に相当)やストレス等の、ユーザの心身に関する情報を加味してユーザの肌を評価し、評価結果を提示することは、本願優先日において周知技術であったと認められる。 以上の通り、相違点4に係る構成は何れも周知技術であったことから、当業者であれば、甲1発明1又は甲2発明において、相違点4に係る構成に想到することは容易であった。」(異議申立書第36頁第5-12行) (イ)しかしながら、「記載事項4-1及び4-2」すなわち上記甲第4号証[H1]の記載、「記載事項6-2」すなわち上記甲第6号証[H2]の記載をみても、触感ログ情報又は心身ログ情報の各々について別々に記載されているにしろ、上記「イ」及び「(5)イ」で検討したとおり、触感ログ情報と心身ログ情報の2つの情報に基づいて肌指標を推定する技術及び技術思想は、甲第1,3ないし6号証には開示されておらず、本願の優先日前において周知であるとも認められない。 (ウ)したがって、上記申立人の主張は採用することができない。 エ 小括 以上のことから、本件発明4は甲2発明及び甲第1、3ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。 (7)本件発明5について 本件発明5は、本件発明4の「前記触感情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第1情報、及び、複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づいて、前記ユーザの肌状態に関する第2情報の少なくとも1つを提示する手段を備え、前記触感ログ情報に基づく前記ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段を備え」という発明特定事項を「複数の触感情報を含む触感ログ情報に基づく肌状態の肌指標を推定する手段を備え」という発明特定事項に変更した発明である。したがって、本件発明5は、甲1発明及び甲2発明とは、上記相違点8及び10で少なくとも相違する。 相違点8及び10については、上記「(5)イ」及び「(6)イ」で検討したとおりであるから、本件発明3についても、上記「(5)及び(6)」と同じ理由により、甲1発明及び甲第2ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえないし、かつ甲2発明及び甲第1,3ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。 (8)本件発明6ないし9について 本件発明6ないし9は、本願の請求項1ないし5を直接または間接的に引用する発明であり、甲1発明及び甲2発明とは、上記相違点3、5、8及び10で少なくとも相違する。 相違点3及び5については、上記「(1)イ」及び「(2)イ」で検討したとおりであるから、相違点8及び10については、上記「(5)イ」及び「(6)イ」で検討したとおりであるから、本件発明6ないし9についても、上記「(1)、(2)、(5)及び(6)」と同じ理由により、甲1発明及び甲第2ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえないし、かつ甲2発明及び甲第1,3ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。 (9)本件発明10について 本件発明10は、本件発明1の「情報処理装置」を「情報処理方法」として、そのカテゴリーを変更した発明であり、発明特定事項は本件発明1と共通することから、上記「(1)及び(2)」と同じ理由により、甲1発明及び甲第2ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえないし、かつ甲2発明及び甲第1、3ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。 (10)本件発明11について 本件発明11は、本件発明3の「情報処理装置」を「情報処理方法」として、そのカテゴリーを変更した発明であり、発明特定事項は本件発明3と共通することから、上記「(4)」と同じ理由により、甲1発明及び甲第2ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえないし、かつ甲2発明及び甲第1、3ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。 (11)本件発明12について 本件発明12は、本件発明4の「情報処理装置」を「情報処理方法」として、そのカテゴリーを変更した発明であり、発明特定事項は本件発明4と共通することから、上記「(5)及び(6)」と同じ理由により、甲1発明及び甲第2ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえないし、かつ甲2発明及び甲第1、3ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。 (12)本件発明13について 本件発明13は、本件発明5の「情報処理装置」を「情報処理方法」として、そのカテゴリーを変更した発明であり、発明特定事項は本件発明5と共通することから、上記「(7)」と同じ理由により、甲1発明及び甲第2ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえないし、かつ甲2発明及び甲第1、3ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。 (13)本件発明14 本件発明14は、本件発明1の「情報処理装置」を「プログラム」として、そのカテゴリーを変更した発明であり、発明特定事項は本件発明1と共通することから、上記「(1)及び(2)」と同じ理由により、甲1発明及び甲第2ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえないし、かつ甲2発明及び甲第1、3ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。 (14)本件発明15について 本件発明15は、本件発明3の「情報処理装置」を「プログラム」として、そのカテゴリーを変更した発明であり、発明特定事項は本件発明3と共通することから、上記「(4)」と同じ理由により、甲1発明及び甲第2ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえないし、かつ甲2発明及び甲第1、3ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。 (15)本件発明16について 本件発明16は、本件発明4の「情報処理装置」を「プログラム」として、そのカテゴリーを変更した発明であり、発明特定事項は本件発明4と共通することから、上記「(5)及び(6)」と同じ理由により、甲1発明及び甲第2ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえないし、かつ甲2発明及び甲第1、3ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。 (16)本件発明17について 本件発明17は、本件発明5の「情報処理装置」を「プログラム」として、そのカテゴリーを変更した発明であり、発明特定事項は本件発明5と共通することから、上記「(7)」と同じ理由により、甲1発明及び甲第2ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえないし、かつ甲2発明及び甲第1、3ないし6号証に開示された発明及び周知技術から、当業者が容易になしえたことであるとはいえない。 (17)小括 以上のことから、本件発明1ないし17を、甲1発明及び甲第2ないし6号証に開示された技術から、または甲2発明及び甲第1、3ないし6号証に開示された技術から当業者が容易に発明をすることができたとはいえないから、申立人の特許法第29条第2項についての異議申立理由は、理由がない。 3.特許法第36条第6項第1号(サポート要件違反)について (1)申立人は、異議申立書において、 「請求項1,3,10,11,14,15には、「前記触感ログ情報と、前記行動ログ情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する」との記載がある。また「行動ログ情報」については「前記ユーザの行動に関する行動情報の履歴を示す行動ログ情報」との記載がある。 一方発明の詳細な説明には、 触感ログ情報及び行動ログ情報に基づく肌指標の推定に関し、 「プロセッサ32は、行動参照レコードの「行動」フィールド、「開始時間」フィールド、「終了時間」フィールド、「カロリー変化量」フィールド、及び、「位置情報」フィールドの少なくとも1つと、触感参照レコードから算出した平均値とを推定式に適用することにより、第1肌スコアを算出する。第1肌スコアは、触感ログ情報及び行動ログ情報から推定される現在の肌状態を示す。」との記載がある(0149)。 しかしながら、発明の詳細な説明には、行動に関する情報と、肌状態との相関関係等については記載されていない。そして、出願時の技術常識に鑑みても、あらゆる行動と肌状態との間に何らかの相関関係等が存在することが推認できるとはいえない。 よって、肌指標の推定に「触感ログ情報」及び「行動ログ情報」を用いることのみが特定された請求項1,3,10,11,14,15に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。 したがって、 請求項1,3,10,11,14,15に係る発明は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものである。」 「請求項1,3,10,11,14,15に従属する、請求項2,6-9についても同様である。」 旨主張する(異議申立書第46頁第21行-第47頁第12行及び第47頁第22-23行)(以下、この主張を「取消理由2主張1」という。)。 (2)また、申立人は、異議申立書において、 「また、発明の詳細な説明には、推定式の決定方法や具体的な推定式についても記載されていない。このような発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識を考慮すると、肌状態との間に相関関係等が推認できない「ユーザの行動」について、触感ログ情報と、行動ログ情報と、に基づいて、肌指標を推定する装置、方法及びプログラムを、実現できるとはいえない。 したがって、本願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1,3,10,11,14,15に係る発明を実現することができるように記載されていないから、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているものと認められない。 請求項1,3,10,11,14,15に従属する、請求項2,6-9についても同様である。」 旨主張する(異議申立書第47頁第13行-第47頁第23行)(以下、この主張を「取消理由2主張2」という。)。 (3)上記取消理由2主張1について検討する。 ア 本願の発明の詳細な説明には、本願の発明が解決しようとする課題及び本願の発明の目的について以下のように記載されている。 「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかし、特許文献1の肌の触診結果は、触診を行った触診者の専門知識又は経験の程度に依存する。従って、判定結果は、触診者毎にバラツキがある。そのため、化粧品の販売店で特許文献1の技術を用いた場合、販売員が提供するアドバイスは、被験者の肌に適していない場合がある。 【0006】 本発明の目的は、肌の触感に基づく肌の状態の判定結果のバラツキを防ぐことである。」 イ 上記「ア」より、本願の発明が解決しようとする課題は、肌の触感に基づく肌の状態の判定結果が、触診を行った触診者の能力によりばらつくというものである。 ウ 一方、本願の請求項1,3,10,11,14,15に係る発明である本件発明1,3,10,11,14,15は、以下の発明特定事項を備えた発明であり、以下の発明特定事項を、情報処理装置、コンピュータが行う発明である。 「ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得する手段を備え」、「前記ユーザの行動に関する行動情報の履歴を示す行動ログ情報を取得する手段を備え」、「ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段を備え」、「前記推定する手段は、前記触感ログ情報と、前記行動ログ情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する」 エ 上記発明特定事項における「ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得する手段」については、本願の発明の詳細な説明では、一例として触感センサ40が例示され(段落【0042】参照。)、また、本願の発明の詳細な説明には、例えば触感センサ40によって取得された触感情報に基づいて肌状態を推定することにより、肌の触感に基づく肌の状態の判定結果のばらつきを防ぐことができる(段落【0046】参照。)と記載されている。よって、物理特性を示す触感情報は、触診を行った触診者の能力によりばらつく情報ではない。 オ また、上記発明特定事項における「前記ユーザの行動に関する行動情報の履歴を示す行動ログ情報を取得する手段」については、本願の発明の詳細な説明の段落【0066】に「行動ログ情報は、ログデバイス50から取得される情報、ユーザ指示(例えば、アンケートに対するユーザの回答、又は、ユーザの自発的な入力)に応じて決まる情報、又は、それらの組合せである。」と例示されていることから、行動ログ情報は、ログデバイス50から取得される情報やユーザ指示に応じて決まる情報であると認められる。よって、行動ログ情報は、触診を行った触診者の能力によりばらつく情報ではない。 カ 上記「ウないしオ」より、本件発明1,3,10,11,14,15が備える 「ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得する手段を備え」、「前記ユーザの行動に関する行動情報の履歴を示す行動ログ情報を取得する手段を備え」、「ユーザの肌状態の肌指標を推定する手段を備え」、「前記推定する手段は、前記触感ログ情報と、前記行動ログ情報と、に基づいて、前記肌指標を推定する」 という発明特定事項により、本件発明1,3,10,11,14,15は、触診を行った触診者の能力によりばらつく情報ではない「物理特性を示す触感情報」と「行動ログ情報」とに基づいて肌指標を推定することにより、肌の触感に基づく肌の状態の判定結果のばらつきを防ぐことができるという課題が解決できることを認識できるものである。 キ 申立人は、上記取消理由2主張1において、「出願時の技術常識に鑑みても、あらゆる行動と肌状態との間に何らかの相関関係等が存在することが推認できるとはいえない」旨主張するが、上記ア~カで述べたとおり、本件発明1,3,10,11,14,15は、肌の触感に基づく肌の状態の判定結果のばらつきを防ぐことができるという本件発明の課題が解決できることを認識できるものであり、「行動と肌状態との間に何らかの相関関係等が存在」しなければ、上記課題が解決できないということにはならない。 なお、「出願時の技術常識に鑑みても、あらゆる行動と肌状態との間に何らかの相関関係等が存在することが推認できるとはいえない」との主張は、上記「2.(1)イ」及び「2.(2)イ」で述べたとおり、本件発明1,3,10,11,14,15について進歩性を認めるような主張でもある。 ク したがって、本件発明1,3,10,11,14,15は、肌の触感に基づく肌の状態の判定結果のばらつきを防ぐことができるという課題が解決できることを認識できるものであるから、本件発明1,3,10,11,14,15及びそれら発明に従属する本件発明2,6ないし9は、発明の詳細な説明に記載されたものであるといえる。 ケ 以上のことから、上記申立人の主張である、取消理由2主張1は採用することはできない。 (4)上記取消理由2主張2について検討する。 ア 上記取消理由2主張2は「本願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1,3,10,11,14,15に係る発明を実現することができるように記載されていないから、当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているものと認められない」というものであるから、本願の発明の詳細な説明が、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないという主張であると認められる。 イ 上記取消理由2主張2は、異議申立書の申立理由2(サポート要件違反:特許法第36条第6項第1号)とは整合していないが、検討することとする。 ウ 上記「(3)」で検討したとおり、本願の発明の詳細な説明には、段落【0042】及び【0066】に「ユーザの肌の触感に関する物理特性を示す触感情報を取得する手段」や「前記ユーザの行動に関する行動情報の履歴を示す行動ログ情報を取得する手段」について例示がされている。また、触感ログ情報と行動ログ情報とに基づいて肌指標を推定することについても、以下の段落【0147】ないし【0152】に変形例1として示されている。 「【0147】 (4-1)変形例1 変形例1について説明する。変形例1は、触感ログ情報(図5)、及び、行動ログ情報(図6)の組合せを用いて、コンテンツの提示の処理(図11)を実行する例である。 【0148】 具体的には、変形例1の推定式は、ユーザの行動の係数と、行動情報に応じて決まるパラメータと、を含む。 【0149】 ステップS301(図11)において、プロセッサ32は、コンテンツリクエストデータに含まれるユーザIDに関連付けられた行動ログ情報データベース(図6)のレコードのうち、「日時」フィールドの値がステップS100の実行日から遡って一定期間(例えば、1週間)に含まれるレコード(以下「行動参照レコード」という)を特定する。 プロセッサ32は、行動参照レコードの「行動」フィールド、「開始時間」フィールド、「終了時間」フィールド、「カロリー変化量」フィールド、及び、「位置情報」フィールドの少なくとも1つと、触感参照レコードから算出した平均値とを推定式に適用することにより、第1肌スコアを算出する。第1肌スコアは、触感ログ情報及び行動ログ情報から推定される現在の肌状態を示す。 【0150】 プロセッサ32は、予測情報提供サーバ70から行動予測情報を取得する。 プロセッサ32は、行動参照レコードの「行動」フィールド、「開始時間」フィールド、「終了時間」フィールド、「カロリー変化」フィールド、及び、「位置情報」フィールドの少なくとも1つの情報と、触感参照レコードから算出した平均値と、行動予測情報と、を推定式に適用することにより、第2肌スコアを算出する。第2肌スコアは、触感ログ情報、行動ログ情報、及び、行動予測情報から推定される将来の肌状態を示す。 【0151】 リアルタイムコンテンツ及びワンタイムコンテンツは、更に、ユーザの行動に関するアドバイスを含む。 【0152】 変形例1によれば、触感ログ情報及び行動ログ情報に基づいて、肌状態を推定する。これにより、ユーザの肌の触感に関する物理特性、及び、ユーザの行動の組合せに応じたコンテンツを提供することができる。」 さらに、肌指標の推定の手法については、本願の発明の詳細な説明の以下の段落【0053】【0054】及び【図4】に、触感ログ情報や行動ログ情報毎に係数をかけてそれぞれ足し合わせた推定式を用いることが示されている。 「【0053】 「推定式」フィールドには、ユーザの肌状態を推定するための推定式が格納される。推定式は、ユーザの肌に影響を与える因子(例えば、触感センサ40によって取得された触感情報)毎の係数を含む。 【0054】 推定式は、ユーザの肌状態の指標(以下「肌指標」という)毎に用意される。つまり、推定式に含まれる係数は、肌指標毎に異なる。肌指標とは、ユーザの肌の状態を表す定量値である。・・・」 「【図4】 [図:0001402817000006.jpg] 」 そして、肌状態に影響を与える因子に係数をかけて足し合わせる推定式により肌に関する指標を生成する技術は、上記甲第4号証の段落【0069】及び【0070】にも示されている(「1.(4)エ」参照。)ように、本願出願時の技術常識である。 エ よって、本願の発明の詳細な説明は、当業者が請求項1,3,10,11,14,15に係る発明である本件発明1,3,10,11,14,15及びそれら発明に従属する本件発明2,6ないし9を実施できる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。 オ 以上のことから、上記申立人の主張である、取消理由2主張2は採用することはできない。 (5)小括 以上のことから、本件発明1-3,6-11,14,15は、発明の詳細な説明に記載したものであるから、申立人の特許法第36条第6項第1号についての異議申立理由は、理由がない。また、予備的に検討した申立人の特許法第36条第4項第1号についての異議申立の主張は、採用することはできない。 4.まとめ 以上のとおりであるので、上記「第3」の異議申立理由はいずれも理由がない。 第5 むすび 以上のとおり、申立人が特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1ないし17に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件発明1ないし17に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700711

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