特許異議申立
2023-700303
毛髪被覆率分析のためのシステム及び方法
- 審判番号
- 2023-700303
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2020-564110
- 登録番号
- 7140848
- 請求日
- 2023年03月20日
- 審決日
- 2024年10月29日
- 公報発行日
- 2025年01月31日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
- 【権利者代理人】弁理士法人谷・阿部特許事務所
- 【異議申立人】青木 耕一
- 審判長/審判官
- 審判長 三崎 仁
- 審判官 伊藤 幸仙
- 審判官 北島 拓馬
- 分類
- P1651.121-YAA(A61B) / P1651.536-YAA(A61B) / P1651.537-YAA(A61B) / P1651.851-YAA(A61B) / P1651.853-YAA(A61B)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第6項、特許法第126条第5項、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第7項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7140848号発明「毛髪被覆率分析のためのシステム及び方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7140848号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕、〔9-14〕について訂正することを認める。
特許第7140848号の請求項1-3、5-6、8-11及び14に係る特許を維持する。
特許第7140848号の請求項4、7、12及び13に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7140848号の請求項1ないし14に係る特許についての出願(以下「本件出願」という。)は、2019年(令和元年)5月15日(パリ条約による優先権主張外国庁受理2018年5月17日、(US)米国)を国際出願日とする出願であって、令和4年9月12日にその特許権の設定登録がされ、令和4年9月21日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和5年 3月20日 :特許異議申立人 青木耕一(以下
「申立人」という。)による
請求項1ないし14に係る
特許に対する特許異議の申立て
同年 6月26日付け:取消理由通知書
同年 9月27日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の
提出
同年12月14日 :申立人による意見書及び参考資料1-4
の提出
令和6年 2月 7日付け:取消理由通知書(決定の予告)
同年 5月10日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の
提出
同年 6月 7日 :特許権者による手続補正書(方式)の提出
同年 9月 6日 :申立人による意見書及び参考資料5-8
の提出
なお、令和5年9月27日に提出された訂正請求書については、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなし、令和6年6月7日に提出された手続補正書によって補正された同年5月10日に提出された訂正請求書を以下「本件訂正請求書」という。
第2 訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
本件訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求の趣旨は、特許請求の範囲を、同訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕、〔9-14〕について訂正することを求めるものであり、その内容は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示している。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1の「ユーザの頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉して、前記画像を毛髪分析ユニットに送信するための画像捕捉ユニット」を、「ユーザに前記ユーザ自身の頭部の画像を捕捉するためのガイダンスを提供し、前記ユーザの操作により前記ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉して、前記画像を毛髪分析ユニットに送信するための画像捕捉ユニット」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2、3、5、6及び8についても同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項1の「ユーザの毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆率を性別集団に対して予測するディープニューラルネットワークを使用することによって、前記画像に基づいて前記ユーザの毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆率を分析することと、」を、「ユーザの頭皮被覆率を性別集団に対して予測するディープニューラルネットワークを使用することによって、前記画像に基づいて前記ユーザの頭皮被覆状態を分析することと、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2、3、5、6及び8についても同様に訂正する。)。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項1の「分析結果をディスプレイユニットに提供することであって、前記分析結果は、前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態、前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態に基づく毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態の予測、前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の推奨、前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の使用推奨、及び前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態に基づくヘアースタイルの推奨のうちの少なくとも1つである、」を、「分析結果をディスプレイユニットに提供することであって、前記分析結果は、前記分析された頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の推奨、及び前記分析された頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の使用推奨のうちの少なくとも1つである、」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2、3、5、6及び8についても同様に訂正する。)。
(4)訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(5)訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5の「請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。」を、「請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。」に訂正する。
(6)訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6の「請求項1~4のいずれか一項に記載のシステム。」を、「請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。」に訂正する。
(7)訂正事項7
特許請求の範囲の請求項7を削除する。
(8)訂正事項8
特許請求の範囲の請求項8の「分析される前記毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆率は、毛髪及び/又は頭皮被覆率、頭皮領域、毛量、毛髪の太さの量、毛髪の分け目、並びにこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つである、請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。」を「分析される前記頭皮被覆状態は、頭皮被覆率、頭皮領域、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つである、請求項1~3、5及び6のいずれか一項に記載のシステム。」に訂正する。
(9)訂正事項9
特許請求の範囲の請求項9の「画像捕捉ユニットにおいてユーザの頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉して、前記画像を前記画像捕捉ユニットから毛髪分析ユニットに送信するステップ」を、「画像捕捉ユニットにおいて、ユーザに前記ユーザ自身の頭部の画像を捕捉するためのガイダンスを提供し、前記ユーザの操作により前記ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉して、前記画像を前記画像捕捉ユニットから毛髪分析ユニットに送信するステップ」に訂正する(請求項9の記載を引用する請求項10、11及び14についても同様に訂正する。)。
(10)訂正事項10
特許請求の範囲の請求項9の「ユーザの毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆率を性別集団に対して予測するディープニューラルネットワークを使用することによって、前記画像捕捉ユニットからの前記画像に基づいて、前記ユーザの毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆率を毛髪分析ユニットにおいて分析し、分析結果をディスプレイユニットに提供するステップであって、」を「ユーザの頭皮被覆率を性別集団に対して予測するディープニューラルネットワークを使用することによって、前記画像捕捉ユニットからの前記画像に基づいて、前記ユーザの頭皮被覆状態を毛髪分析ユニットにおいて分析し、分析結果をディスプレイユニットに提供するステップであって、」に訂正する(請求項9の記載を引用する請求項10、11及び14についても同様に訂正する。)。
(11)訂正事項11
特許請求の範囲の請求項9の「前記分析結果は、前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態、前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態に基づく毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態の予測、前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の推奨、前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の使用推奨、及び前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態に基づくヘアースタイルの推奨、のうちの少なくとも1つである、」を、「前記分析結果は、前記分析された頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の推奨、及び前記分析された頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の使用推奨、のうちの少なくとも1つである、」に訂正する(請求項9の記載を引用する請求項10、11及び14についても同様に訂正する。)。
(12)訂正事項12
特許請求の範囲の請求項12を削除する。
(13)訂正事項13
特許請求の範囲の請求項13を削除する。
(14)訂正事項14
特許請求の範囲の請求項14の「分析される前記毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆率は、毛髪及び/又は頭皮被覆率、頭皮領域、毛量、毛髪の太さの量、毛髪の分け目、並びにこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つである、請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。」とあるのを「分析される前記頭皮被覆状態は、頭皮被覆率、頭皮領域、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つである、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。」に訂正する。
2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否、一群の請求項、独立特許要件
(1)訂正事項1について
ア 訂正前の請求項1に係る発明の「ユーザの頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉して、前記画像を毛髪分析ユニットに送信するための画像捕捉ユニット」を、「ユーザに前記ユーザ自身の頭部の画像を捕捉するためのガイダンスを提供し、前記ユーザの操作により前記ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉して、前記画像を毛髪分析ユニットに送信するための画像捕捉ユニット」とする訂正は、訂正前の請求項1に係る発明の「画像捕捉ユニット」に「ユーザに前記ユーザ自身の頭部の画像を捕捉するためのガイダンスを提供」する構成を新たに設け、かつ「画像捕捉ユニット」における「ユーザの頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉」する構成を「ユーザの操作により前記ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉」する構成に限定することにより、減縮しようとするものである。したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 上記「ア」から明らかなように、訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明の「画像捕捉ユニット」において、「ユーザに前記ユーザ自身の頭部の画像を捕捉するためのガイダンスを提供」するという新たな構成を特定し、かつ「画像捕捉ユニット」における「ユーザの頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉」する構成を「ユーザの操作により前記ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉」する構成に限定するものであり、訂正前の請求項1の記載について、訂正前の請求項1に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項1に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ そして、「ユーザに前記ユーザ自身の頭部の画像を捕捉するためのガイダンスを提供」することについては、本件特許の明細書の段落【0025】に「本明細書におけるユーザの画像は、ユーザの頭頂部、又は・・・を示す画像である。・・・本明細書の画像は、自撮り及びビデオなどの任意のものであり得る。・・・画像は、最適な頭部の自撮りを捕捉するための自動ガイダンスを有してもよい。・・・」と記載されている。よって、「ユーザに前記ユーザ自身の頭部の画像を捕捉するためのガイダンスを提供」することは、願書に添付された明細書に記載した事項であるといえる。さらに、「ユーザの操作により前記ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉」することは、上記段落【0025】記載の「ユーザの画像」が「ユーザの頭頂部」「を示す画像」であり、「画像」が「自撮り」であるという記載と、発明の詳細な説明の段落【0017】の「『自撮り』は、当人によって撮影された、・・・人物のデジタル画像、・・・を指す。更に、自撮りは、人の頭部の頂部のデジタル画像、・・・を含みうる。」と記載されていることから、願書に添付された明細書に記載した事項であるといえる。
エ 申立人は、令和6年9月6日提出の意見書において、本件特許の明細書の段落【0017】、【0024】及び【0025】を参酌しても、本件特許の明細書等には、画像捕捉ユニットがユーザに自身の頭部の画像を捕捉するためのガイダンスを提供することは、本明細書に記載された事項の範囲を完全に超えるものであり、認められるべきものではない旨主張する(同意見書第1頁最終行-第3頁第4行参照。)。しかしながら、上記「ウ」で説示したとおり、本件特許の明細書の段落【0025】には、ユーザの画像はユーザの頭頂部を示す画像であること、画像は自撮りなど任意のものでありうること、画像は、最適な頭部の自撮りを捕捉するための自動ガイダンスを有してもよいこと、がそれぞれ記載され、同段落【0017】には、自撮りは当人よって撮影された人物のデジタル画像を指すこと、自撮りは人の頭部の頂部のデジタル画像を含みうること、がそれぞれ記載されており、各記載の組み合わせを阻害する記載も本件特許の明細書には見受けられないことから、本件特許の明細書には「ユーザに前記ユーザ自身の頭部の画像を捕捉するためのガイダンスを提供」すること、及び「ユーザの操作により前記ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉」すること、がそれぞれ記載されているといえ、それらを組み合わせることは、本件特許の明細書及び図面のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入しないものであると認められる。したがって、上記意見書における申立人の主張は採用することができない。
オ 上記「ウ及びエ」より、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(2)訂正事項2について
ア 訂正前の請求項1に係る発明の「ユーザの毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆率を性別集団に対して予測するディープニューラルネットワークを使用すること」を「ユーザの頭皮被覆率を性別集団に対して予測するディープニューラルネットワークを使用すること」とする訂正は、訂正前の請求項1に係る発明の「ディープニューラルネットワークを使用」して「性別集団に対して予測する」対象を「毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆率」から「頭皮被覆率」に限定して減縮しようとするものである。したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ また、訂正前の請求項1に係る発明の「前記画像に基づいて前記ユーザの毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆率を分析すること」を「前記画像に基づいて前記ユーザの頭皮被覆状態を分析すること」とする訂正は、令和5年6月26日付け取消理由通知書の取消理由1(明確性要件)に対応して、「前記画像に基づいて」「分析する」対象を明確にするためのものである。したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
ウ 上記「ア及びイ」から明らかなように、訂正事項2は、訂正前の請求項1に係る発明の「ディープニューラルネットワークを使用」して「予測する」対象を「毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆率」から「頭皮被覆率」に限定し、「前記画像に基づいて」「分析する」対象を明確にするものであり、訂正前の請求項1の記載について、訂正前の請求項1に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項1に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。したがって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
エ そして、「ディープニューラルネットワークを使用」して「予測する」対象を「毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆率」から「頭皮被覆率」にする訂正については、訂正前の選択的記載の要素を削除するものである。また、「前記画像に基づいて前記ユーザの頭皮被覆状態を分析すること」については、本件特許の明細書の段落【0032】に「毛髪分析ユニットは、ディープニューラルネットワークを使用することによって、ユーザの頭部の少なくとも頂部の画像に基づいて、ユーザの毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態を分析し、分析結果をディスプレイユニットに提供するためのものである。」と記載されている。よって、「前記画像に基づいて」「分析する」対象を、「ユーザの頭皮被覆状態」とすることは、願書に添付された明細書に記載した事項であるといえる。したがって、訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(3)訂正事項3について
ア 訂正事項3は、訂正前の請求項1に係る発明の毛髪分析ユニットがディスプレイユニットに提供する分析結果を、「前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態、前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態に基づく毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態の予測、前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の推奨、前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の使用推奨、及び前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態に基づくヘアースタイルの推奨のうちの少なくとも1つ」から、「前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の推奨、及び前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の使用推奨のうちの少なくとも1つ」に限定し、さらに、「前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態」を「前記分析された頭皮被覆状態」に限定して、「前記分析された頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の推奨、及び前記分析された頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の使用推奨のうちの少なくとも1つ」と減縮しようとするものである。したがって、訂正事項3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 上記「ア」から明らかなように、訂正事項3は、訂正前の請求項1に係る発明の毛髪分析ユニットがディスプレイユニットに提供する分析結果についての選択的記載の要素を削除して、ディスプレイユニットに提供する分析結果を限定するものであり、訂正前の請求項1の記載について、訂正前の請求項1に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項1に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。したがって、訂正事項2は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ そして、訂正事項3は、訂正前の請求項1に係る発明の毛髪分析ユニットがディスプレイユニットに提供する分析結果についての選択的記載の要素を削除するものである。したがって、訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(4)訂正事項4について
ア 訂正事項4は、特許請求の範囲の請求項4を削除しようとするものである。したがって、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 上記「ア」から明らかなように、訂正事項4は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ そして、訂正事項4は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(5)訂正事項5について
ア 訂正事項5は、訂正前の請求項1~4のいずれか一項を引用する請求項5のうち、請求項4を引用するものを削除するものである。したがって、訂正事項5は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 上記「ア」から明らかなように、訂正事項5は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ そして、訂正事項5は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(6)訂正事項6について
ア 訂正事項6は、訂正前の請求項1~4のいずれか一項を引用する請求項6のうち、請求項4を引用するものを削除するものである。したがって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 上記「ア」から明らかなように、訂正事項6は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ そして、訂正事項6は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(7)訂正事項7について
ア 訂正事項7は、特許請求の範囲の請求項7を削除しようとするものである。したがって、訂正事項7は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 上記「ア」から明らかなように、訂正事項7は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ そして、訂正事項7は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(8)訂正事項8について
ア 訂正前の請求項8に係る発明の「分析される前記毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆率」を「分析される前記頭皮被覆状態」とする訂正は、令和5年6月26日付け取消理由通知書の取消理由1(明確性要件)に対応して、「分析される」対象を明確にするためのものである。さらに、上記「(2)イ」の訂正事項2に関する訂正事項と平仄を合わせるものである。したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ また、訂正前の請求項8に係る発明の「毛髪及び/又は頭皮被覆率、頭皮領域、毛量、毛髪の太さの量、毛髪の分け目、並びにこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つ」を「頭皮被覆率、頭皮領域、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つ」とする訂正は、選択的記載の要素を削除して限定しようとするものである。したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
ウ さらに、訂正前の請求項8に係る発明の「請求項1~7のいずれか一項に記載のシステム。」を「請求項1~3、5及び6のいずれか一項に記載のシステム。」とする訂正は、訂正前の請求項1~7のいずれか一項を引用する請求項8のうち、請求項4及び請求項7を引用するものを削除するものである。したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
エ 上記「アないしウ」から明らかなように、訂正事項8は、訂正前の請求項8に係る発明の「分析される」対象を明確にし、選択的記載の要素及び引用請求項を削除するものであり、訂正前の請求項8の記載について、訂正前の請求項8に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項8に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。したがって、訂正事項8は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
オ そして、「分析される前記頭皮被覆状態は、頭皮被覆率、頭皮領域、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つである」ことについては、本件特許の明細書の段落【0032】、【0039】にそれぞれ、「毛髪分析ユニットは、ディープニューラルネットワークを使用することによって、ユーザの頭部の少なくとも頂部の画像に基づいて、ユーザの毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態を分析し、分析結果をディスプレイユニットに提供するためのものである。」、「ディスプレイユニットは、分析結果をユーザに表示するためのものであり、分析結果は、毛髪及び/又は頭皮被覆率、頭皮領域、毛量、毛髪の太さの量、毛髪の分け目、並びにこれらの組み合わせを含み得る、分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態」と記載されている。よって、「分析される」対象を、「頭皮被覆状態」とし、当該「頭皮被覆状態」が「頭皮被覆率、頭皮領域、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つである」とすることは、願書に添付された明細書に記載した事項であるといえる。したがって、訂正事項8は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(9)訂正事項9について
ア 訂正前の請求項9に係る発明の「画像捕捉ユニットにおいてユーザの頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉して、前記画像を前記画像捕捉ユニットから毛髪分析ユニットに送信するステップ」を、「画像捕捉ユニットにおいて、ユーザに前記ユーザ自身の頭部の画像を捕捉するためのガイダンスを提供し、前記ユーザの操作により前記ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉して、前記画像を前記画像捕捉ユニットから毛髪分析ユニットに送信するステップ」とする訂正は、訂正前の請求項9に係る発明の「画像捕捉ユニット」において「ユーザに前記ユーザ自身の頭部の画像を捕捉するためのガイダンスを提供」する構成を新たに設け、かつ「画像捕捉ユニット」における「ユーザの頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉」する構成を「ユーザの操作により前記ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉」する構成に限定することにより、減縮しようとするものである。したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 上記「ア」から明らかなように、訂正事項9は、訂正前の請求項9に係る発明の「画像捕捉ユニット」において、「ユーザに前記ユーザ自身の頭部の画像を捕捉するためのガイダンスを提供」するという新たな構成を特定し、かつ「画像捕捉ユニット」における「ユーザの頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉」する構成を「ユーザの操作により前記ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉」する構成に限定するものであり、訂正前の請求項9の記載について、訂正前の請求項9に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項9に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。したがって、訂正事項9は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ そして、「ユーザに前記ユーザ自身の頭部の画像を捕捉するためのガイダンスを提供」すること、及び「ユーザの操作により前記ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉」することは、上記「(1)ウ」で説示したとおり、願書に添付された明細書に記載した事項であるといえる。
エ 申立人は、令和6年9月6日提出の意見書において、訂正事項9について、上記「(1)エ」と同様の理由により、本明細書に記載された事項の範囲を完全に超えるものであり、認められるべきものではない旨主張する(同意見書第3頁第4-14行参照。)。しかしながら、上記「(1)ウ」で説示したとおり、本件特許の明細書には「ユーザに前記ユーザ自身の頭部の画像を捕捉するためのガイダンスを提供」すること、及び「ユーザの操作により前記ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉」すること、がそれぞれ記載されているといえる。したがって、上記意見書における申立人の主張は採用することができない。
オ 上記「ウ及びエ」より、訂正事項9は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(10)訂正事項10について
ア 訂正前の請求項9に係る発明の「ユーザの毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆率を性別集団に対して予測するディープニューラルネットワークを使用すること」を「ユーザの頭皮被覆率を性別集団に対して予測するディープニューラルネットワークを使用すること」とする訂正は、訂正前の請求項9に係る発明の「ディープニューラルネットワークを使用」して「性別集団に対して予測する」対象を「毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆率」から「頭皮被覆率」に限定して減縮しようとするものである。したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ また、訂正前の請求項9に係る発明の「前記画像捕捉ユニットからの前記画像に基づいて、前記ユーザの毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆率を毛髪分析ユニットにおいて分析し、分析結果をディスプレイユニットに提供する」を「前記画像捕捉ユニットからの前記画像に基づいて、前記ユーザの頭皮被覆状態を毛髪分析ユニットにおいて分析し、分析結果をディスプレイユニットに提供する」とする訂正は、令和5年6月26日付け取消理由通知書の取消理由1(明確性要件)に対応して、「前記画像補足ユニットからの前記画像に基づいて」「毛髪分析ユニットにおいて分析」する対象を明確にするためのものである。したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
ウ 上記「ア及びイ」から明らかなように、訂正事項10は、訂正前の請求項9に係る発明の「ディープニューラルネットワークを使用」して「予測する」対象を「毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆率」から「頭皮被覆率」に限定し、「前記画像補足ユニットからの前記画像に基づいて」「毛髪分析ユニットにおいて分析」する対象を明確にするものであり、訂正前の請求項9の記載について、訂正前の請求項9に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項9に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。したがって、訂正事項8は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
エ そして、「ディープニューラルネットワークを使用」して「予測する」対象を「毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆率」から「頭皮被覆率」にする訂正については、訂正前の選択的記載の要素を削除するものである。また、「前記画像捕捉ユニットからの前記画像に基づいて、前記ユーザの毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆率を毛髪分析ユニットにおいて分析」することについては、本件特許の明細書の段落【0032】に「毛髪分析ユニットは、ディープニューラルネットワークを使用することによって、ユーザの頭部の少なくとも頂部の画像に基づいて、ユーザの毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態を分析し、分析結果をディスプレイユニットに提供するためのものである。」と記載されている。よって、「前記画像補足ユニットからの前記画像に基づいて」「毛髪分析ユニットにおいて分析」する対象を、「ユーザの頭皮被覆状態」とすることは、願書に添付された明細書に記載した事項であるといえる。したがって、訂正事項10は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(11)訂正事項11について
ア 訂正事項11は、訂正前の請求項9に係る発明の毛髪分析ユニットがディスプレイユニットに提供する分析結果を、「前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態、前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態に基づく毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態の予測、前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の推奨、前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の使用推奨、及び前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態に基づくヘアースタイルの推奨のうちの少なくとも1つ」から、「前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の推奨、及び前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の使用推奨のうちの少なくとも1つ」に限定し、さらに、「前記分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態」を「前記分析された頭皮被覆状態」に限定して、「前記分析された頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の推奨、及び前記分析された頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の使用推奨、のうちの少なくとも1つ」と減縮しようとするものである。したがって、訂正事項11は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 上記「ア」から明らかなように、訂正事項11は、訂正前の請求項9に係る発明の毛髪分析ユニットがディスプレイユニットに提供する分析結果についての選択的記載の要素を削除して、ディスプレイユニットに提供する分析結果を限定するものであり、訂正前の請求項9の記載について、訂正前の請求項9に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項9に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。したがって、訂正事項11は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ そして、訂正事項11は、訂正前の請求項9に係る発明の毛髪分析ユニットがディスプレイユニットに提供する分析結果についての選択的記載の要素を削除するものである。したがって、訂正事項11は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(12)訂正事項12について
ア 訂正事項12は、特許請求の範囲の請求項12を削除しようとするものである。したがって、訂正事項12は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 上記「ア」から明らかなように、訂正事項12は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ そして、訂正事項12は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(13)訂正事項13について
ア 訂正事項13は、特許請求の範囲の請求項13を削除しようとするものである。したがって、訂正事項13は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
イ 上記「ア」から明らかなように、訂正事項13は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
ウ そして、訂正事項13は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(14)訂正事項14について
ア 訂正前の請求項14に係る発明の「分析される前記毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆率」を「分析される前記頭皮被覆状態」とする訂正は、令和5年6月26日付け取消理由通知書の取消理由1(明確性要件)に対応して、「分析される」対象を明確にするためのものである。さらに、上記「(10)イ」の訂正事項10に関する訂正事項と平仄を合わせるものである。したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
イ また、訂正前の請求項14に係る発明の「毛髪及び/又は頭皮被覆率、頭皮領域、毛量、毛髪の太さの量、毛髪の分け目、並びにこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つ」を「頭皮被覆率、頭皮領域、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つ」とする訂正は、選択的記載の要素を削除して限定しようとするものである。したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
ウ さらに、訂正前の請求項14に係る発明の「請求項9~13のいずれか一項に記載の方法。」を「請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。」とする訂正は、訂正前の請求項9~13のいずれか一項を引用する請求項14のうち、請求項12及び請求項13を引用するものを削除するものである。したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
エ 上記「アないしウ」から明らかなように、訂正事項14は、訂正前の請求項14に係る発明の「分析される」対象を明確にし、選択的記載の要素及び引用請求項を削除するものであり、訂正前の請求項14の記載について、訂正前の請求項14に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項14に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。したがって、訂正事項14は、実質上特許請求の範囲を拡張し、または変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。
オ そして、「分析される前記頭皮被覆状態は、頭皮被覆率、頭皮領域、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つである」ことについては、本件特許の明細書の段落【0032】、【0039】には、それぞれ、「毛髪分析ユニットは、ディープニューラルネットワークを使用することによって、ユーザの頭部の少なくとも頂部の画像に基づいて、ユーザの毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態を分析し、分析結果をディスプレイユニットに提供するためのものである。」
、「ディスプレイユニットは、分析結果をユーザに表示するためのものであり、分析結果は、毛髪及び/又は頭皮被覆率、頭皮領域、毛量、毛髪の太さの量、毛髪の分け目、並びにこれらの組み合わせを含み得る、分析された毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆状態」と記載されている。よって、「分析される」対象を、「頭皮被覆状態」とし、当該「頭皮被覆状態」が「頭皮被覆率、頭皮領域、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つである」とすることは、願書に添付された明細書に記載した事項であるといえる。したがって、訂正事項14は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。
(15)一群の請求項及び独立特許要件について
訂正前の請求項2ないし8は請求項1を直接的又は間接的に引用するものであるから、請求項1ないし8は一群の請求項である。そして、上記訂正事項1ないし8はいずれも、その一群の請求項〔1~8〕においてなされたものである。
また、訂正前の請求項10ないし請求項14は独立請求項である請求項9を直接的又は間接的に引用するものであるから、請求項9ないし14は一群の請求項である。そして、上記訂正事項9ないし14はいずれも、その一群の請求項〔9~14〕においてなされたものである。
よって、上記訂正事項1ないし14は、特許法第120条の5第4項で規定する当該一群の請求項ごとに請求されているものである。
また、本件においては、訂正前の請求項1ないし14について特許異議の申立てがされているので、訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし14に係る発明に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。
3. 小括
以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、特許請求の範囲を、本件訂正に係る訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕、〔9-14〕について訂正することを認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正により訂正された請求項1ないし14に係る発明(以下、「本件発明1」ないし「本件発明14」という。)は、本件訂正に係る訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし14に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。各構成単位冒頭の「A」などは当審で付した分説番号であり、以下、該各構成単位を「構成A」などという。
「【請求項1】
A 毛髪分析システムであって、
B a)ユーザに前記ユーザ自身の頭部の画像を捕捉するためのガイダンスを提供し、前記ユーザの操作により前記ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉して、前記画像を毛髪分析ユニットに送信するための画像捕捉ユニットと、
C b)毛髪分析ユニットであって、
ユーザの頭皮被覆率を性別集団に対して予測するディープニューラルネットワークを使用することによって、前記画像に基づいて前記ユーザの頭皮被覆状態を分析することと、
D 分析結果をディスプレイユニットに提供することであって、前記分析結果は、
D3 前記分析された頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の推奨、及び
D4 前記分析された頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の使用推奨
のうちの少なくとも1つである、提供することと、を行う、毛髪分析ユニットと、
E c)前記分析結果を前記ユーザに表示するディスプレイユニットと、
F を備える、毛髪分析システム。
【請求項2】
2A 前記ディープニューラルネットワークは、クラウドソーシングによって取得されたクラスラベルで訓練される、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
3A 前記システムは、Q&Aユーザインターフェースユニットを更に備え、前記Q&Aユーザインターフェースユニットで前記ユーザに質問を提供し、前記ユーザから回答を受信し、かつ前記毛髪分析ユニットに前記回答を送信する、請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】(削除)
【請求項5】
5A 前記システムは、畳み込みニューラルネットワークを使用する、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項6】
6A 前記システムは、ディープカプセルネットワークを使用する、請求項1~3のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項7】(削除)
【請求項8】
8A 分析される前記頭皮被覆状態は、頭皮被覆率、頭皮領域、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つである、請求項1~3、5及び6のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項9】
9A コンピュータにより実行される毛髪分析方法であって、
9B a)画像捕捉ユニットにおいて、ユーザに前記ユーザ自身の頭部の画像を捕捉するためのガイダンスを提供し、前記ユーザの操作により前記ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉して、前記画像を前記画像捕捉ユニットから毛髪分析ユニットに送信するステップと、
9C b)ユーザの頭皮被覆率を性別集団に対して予測するディープニューラルネットワークを使用することによって、前記画像捕捉ユニットからの前記画像に基づいて、前記ユーザの頭皮被覆状態を毛髪分析ユニットにおいて分析し、分析結果をディスプレイユニットに提供するステップであって、前記分析結果は、
9C3 前記分析された頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の推奨、及び
9C4 前記分析された頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の使用推奨、のうちの少なくとも1つである、ステップと、
9D c)前記分析結果を前記ユーザにディスプレイユニットにおいて表示するステップと、
9E を含む、方法。
【請求項10】
10A 前記ディープニューラルネットワークは、クラウドソーシングによって取得されたクラスラベルで訓練される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
11A 前記方法は、Q&Aユーザインターフェースユニットにおいて、前記ユーザに質問を提供し、前記ユーザから回答を受信し、かつ前記毛髪分析ユニットに前記回答を送信するステップを更に含む、請求項9~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】(削除)
【請求項13】(削除)
【請求項14】
14A 分析される前記頭皮被覆状態は、頭皮被覆率、頭皮領域、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つである、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。」
第4 特許異議の申立ての概要について
1.特許異議の申立てにおける証拠
(1)令和5年3月20日提出の特許異議申立書に添付された甲第1ないし16号証は以下のとおりである。
甲第1号証(甲1):特開2002-360545号公報
甲第2号証(甲2):Liang-Bi Chen, etc., “A Portable Wireless Scalp Inspector and its Automatic Diagnosis System based on Deep Learning Techniques”, The 16th International Symposium on Advanced Technology, Nov.1-Nov.2, 2017, Hachioji, Kogakuin Univ., p.220
甲第3号証(甲3):Meglei Chai, etc., “AutoHair: Fully Automatic Hair Modeling from A Single Image”, ACM Transactions on Graphics, Volume 35,Issue 4, 11 Ju1y 2016, Article No.:116, pp1-12
甲第4号証(甲4):男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン作成委員会、眞鍋求等、日本皮膚科学会ガイドライン-男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版、日皮会誌:127(13), p.2763-2777, 2017(平成29)
甲第5号証(甲5):ERICH LUDWIG, “Classification of the types of androgenetic alopecia (common baldness) occurring in the female sex”, British Journal of Dermatology (1977) 97, p.247-254
甲第6号証(甲6):M. Harries, etc., “Towards a consensus on how to diagnose and quantify female pattern hair loss- - The ‘Female Pattern Hair Loss Severity Index (FPHL-SL)’”, Journal of the European Academy of Dermatology and Venereology, Volume 30, Issue 4, p.667-676
甲第7号証(甲7):特開2015-111372号公報
甲第8号証(甲8):Wisuwat Sunhem, etc., “An Approach to Face Shape Classification for Hairstyle Recommendation”, 8th International Conference on Advanced Computational Intelligence, Chiang Mai, Thailand; February 14-16, 2016, p.390-394
甲第9号証(甲9):特表2016-517052号公報
甲第10号証(甲10):特開2018-72957号公報
甲第11号証(甲11):国際公開第2017/032637号
甲第12号証(甲12):特開2016-200955号公報
甲第13号証(甲13):特開2017-205538号公報
甲第14号証(甲14):Geoffrey E. Hinton, etc., (Google Brain Toronto), “Dynamic Routing Between Capsules”, 31st Conference on Neural Information Processing Systems(NIPS 2017), Long Beach, CA, USA. P.1-11
甲第15号証(甲15):H. shih, “A precise automatic system for the hair assessment in hair-care diagnosis applications”, Skin Research and Technology 2015;21, p.500-507
甲第16号証(甲16):『1年生の解剖学辞典』~解剖学をこれから学ぶ人向けの用語解説~、頭頂部-1年生の解剖学事典 wiki、2021年6月19日(Last-modified)、[online]、[令和5年3月9日検索]、インターネット<URLhttps://anatomy1.net/?頭頂部>
なお、甲16は、以下「2.」で述べる取消理由1の周知技術として提示されておらず、取消理由3に関連して用語の説明に用いられている。
(2)申立人が令和5年12月14日に提出した意見書に添付して提示された参考資料1ないし4は以下のとおりである。
参考資料1:特開2000-287953号公報
参考資料2:特開2008-206975号公報
参考資料3:特開2009-172023号公報
参考資料4:特開2016-77649号公報
(3)申立人が令和6年9月6日に提出した意見書に添付して提示された参考資料5ないし8は以下のとおりである。
参考資料5:特開2016-76850号公報
参考資料6:特開2017-55250号公報
参考資料7:特開2017-118282号公報
参考資料8:特開2017-69776号公報
2.特許異議の申立ての理由について
申立人によりなされた特許異議の申立ての理由の要旨は次のとおりである。
(1)取消理由1
本件訂正前の請求項1ないし14に係る発明は、甲第1号証に開示された発明、甲第2号証に開示された発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、それらの特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
なお、特許異議申立書においては、甲第1号証のみを主たる引用例としている。
(2)取消理由2
本件特許の明細書の発明の詳細な説明は、本件訂正前の請求項4及び12に係る発明について、当業者が当該発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものであるとはいえないことから、それらの特許は特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
(3)取消理由3
本件訂正前の請求項1ないし14に係る発明は、当該請求項1ないし14の記載が、明確であるとはいえないことから、それらの特許は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
第5 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由
1.取消理由の概要
みなし取下げされた令和5年9月27日提出の訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲に記載された請求項1ないし14に係る特許に対して、当審が令和6年2月7日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)の要旨は、次のとおりである。
(1)取消理由1(進歩性)上記請求項1-3、5、6、8-11及び14に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2ないし15号証や参考資料1ないし4にも開示された周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができないものである。したがって、上記請求項1-3、5、6、8-11及び14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
第6 甲号証及び参考資料の記載事項
1.甲号証について
(1)甲1の記載事項及び甲1に記載された発明
ア 甲1の記載事項
本件出願の優先日前に頒布された刊行物である甲1には以下の記載がある(下線は当審で付加した。以下同じ。)。
(甲1-ア)
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄毛部面積評価方法およびそのシステムならびに薄毛部位置決め板および薄毛部面積評価用見本写真に関する。」
(甲1-イ)
「【0013】本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、頭部の薄毛 部面積を高精度に再現性よくかつ簡易、迅速に評価することができ、また、育毛剤効果試験における被験者数の低減および試験期間の短縮が可能となり、育毛剤等の研究開発の効率化に大きく寄与することができ、さらには、店頭販売等において、各人に好適な育毛剤等を育毛剤等使用者に提供することができる薄毛部面積評価方法およびそのシステムならびに薄毛部位置決め板および薄毛部面積評価用見本写真を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明に係る薄毛部面積評価方法は、頭部の薄毛部を撮像して薄毛部画像データを得る撮像工程と、得られた該薄毛部画像データの輝度、色調および歪みを補正して標準化する標準化処理工程と、標準化された該薄毛部画像データの輝度データについてフルスケール化するとともに、頭皮の地肌の色相成分のみの彩度をフルスケール化する強調処理工程と、強調処理された該薄毛部画像データを、予め設定した該輝度、色相および彩度の3要素について頭皮および毛髪を判別する閾値に基づいて2値化処理する2値化処理工程と、 2値化処理された該薄毛部画像データから該薄毛部の頭皮露出面積を求める薄毛部面積算出工程とを有することを特徴とする。
【0015】また、本発明に係る薄毛部面積評価方法を効果的に実現するために、本発明に係る薄毛部面積評価システムは、頭部の薄毛部を撮像して薄毛部画像 データを得る撮像手段と、得られた該薄毛部画像データの輝度、色調および歪みを補正して標準化する標準化処理手段と、標準化された該薄毛部画像データの輝度データについてフルスケール化するとともに、頭皮の地肌の色相成分のみの彩度をフルスケール化する強調処理手段と、強調処理された該薄毛部画像データを、予め設定した該輝度、色相および彩度の3要素について頭皮および毛髪を判別する閾値に基づいて2値化処理する2値化処理手段と、2値化処理された該薄毛 部画像データから該薄毛部の頭皮露出面積を求める薄毛部面積算出手段とを有することを特徴とする。
【0016】ここで、頭部の薄毛部とは、一般に毛髪の産毛化(毛髪径の減少と毛髪長の減少)や頭髪密度の減少によって一部頭皮が露出した脱毛部をいう。また、撮像して得られる薄毛部画像データは、ディジタルカメラによって直接得られる、あるいは、フィルム写真のネガ、ポジフィルムや印画紙焼き付け写真をスキャナによってスキャニングして得られる、画像の濃淡や色の情報を数値化したディジタル画像データである。
・・・
画像処理工程中、強調処理工程において、輝度データについてフルスケール化した後さらに先鋭化することがより好ましく、また、薄毛部面積算出工程において、頭皮露出面積の絶対値を求めるかわりに、薄毛部全体の面積に対する頭皮露出面積の比率を求めてもよい。」
(甲1-ウ)
「【0029】薄毛部面積評価システム10は、図1に示すように、撮像手段1 1と、標準化処理手段12と、強調処理手段13と、2値化処理手段14と、薄毛部面積算出手段15と、出力手段16とを有する。
【0030】撮像手段11は、図2に示す被写体としての頭部を固定するための頭部固定装置20と、図3に示す薄毛部位置決め板30、撮像装置としてのディジタルカメラ40、撮像距離/角度を一定にするためのレーザービーム発生装置50およびカメラ固定装置60を有する。
(甲1-エ)
「【0033】
・・・
なお、頭部固定時に、頭のうなづき、かしげ、振り向き方向を撮影に適するように評価対象者の頭を動かして適宜調節する。その後、繰出し機構24を操作して、薄毛部位置決め板30を図2中C方向に前後して頭部36の最凸部を薄毛部位置決め板30の開口部31に位置決めし、繰出し目盛り24aで繰出し量を計測する。
【0034】薄毛部36が開口部31の中央に位置決めされ、このとき、頭部正中線に沿った髪わけラインが薄毛部位置決め板30に対して鉛直方向に位置決めされ、また、頭部の最凸部と薄毛部位置決め板30とが同一平面上に位置決めされるように、薄毛部位置決め板30の位置を適宜調節する(図2、図3および図4(b)参照)。
【0035】そして、後述するレーザービーム発生装置50のレーザー発光部50a~50d(レーザー発光部50dは図2に表われない。)から照射されるレーザービームとそれぞれ対応するレーザービーム受光スポット35a~35dの少なくとも3点が合致するようにカメラ固定装置60に固定されたディジタルカメラ40の三次元的な撮像位置を調整し撮像することによって、詳細を後述するディジタルカメラ40と薄毛部位置決め板30との距離と対向する角度などの位置関係を所定の条件に保つことができ、最終的には再現性のある薄毛部の撮像が可能になる。」
(甲1-オ)
「【0037】ディジタルカメラ40は、薄毛部位置決め板30と対向した所定の位置に配置されたカメラ固定装置60上に配置される(図3参照)。カメラ固定装置60は、ディジタルカメラ40を任意の三次元空間的な向きや位置に固定することが可能な機構を持つ。」
(甲1-カ)
「【0041】このディジタルカメラ40を用いて薄毛部位置決め板30との相対的位置が固定された頭部の薄毛部36を撮像する時、少なくとも3つのレーザー光発光部50a~50cからのレーザー光がそれぞれ対応するレーザービーム受光スポット35a~35cに照射されるように、ディジタルカメラ40の三次元空間的な姿勢がカメラ固定装置60を用いて調整される。
・・・
【0045】ここで、撮像素子は、例えば、各画素ごとにR,G,Bの原色フィルターを備えた、23.7mm×15.6mmの寸法の単板式カラーCCDであり、これにより、2.74Mpixel(画素数)の高解像度の頭部の薄毛部画像データを得る。
【0046】本発明の実施の形態では、頭部固定装置20とは別体に、撮像装置としてのディジタルカメラ40、撮像距離/角度を一定にするためのレーザービーム発生装置50およびカメラ固定装置60を組み合わせて設けたが、これは、頭部固定装置20とこれらの装置を一体的に設けたときに頭部固定装置20に過剰な重量がかかる不具合を避けるためである。
【0047】上記の構成に代えて、ディジタルカメラ40を直接頭部固定装置20の支持板21または薄毛部位置決め板30上に設置し、レーザービーム発生装置50および、カメラ固定装置60を省略することも可能である。」
(甲1-キ)
「【0048】標準化処理手段12に対する入力画像は、開口部31によって所定の範囲に切り取られた薄毛部を含む頭部36についての画像情報とともに、薄毛部位置決め板30の画像情報を含む。すなわち、薄毛部位置決め板30の画像情報として、上記したグレースケール32a~32dおよび歪み補正用スケール33が取り込まれる。」
(甲1-ク)
「【0054】
・・・
差の絶対値画像の反転画像(13e)の輝度=10~255の範囲をフルスケール化した後、先鋭化処理を施し、十分に白くて明るい白髪を黒髪と同等のものとして認識させ、毛髪と地肌のコントラストを強調させた輝度情報画像(13f)を取得した。輝度情報画像(13f)を標準化画像(13a)のマスキングに用いて、頭皮部分の色相範囲のみの彩度情報をフルスケール化した彩度情報画像(13g)を取得した。標準化画像(13a)の色相情報と、輝度情報画像(13f)の輝度情報および彩度情報画像(13g)の彩度情報とから新たに2値化処理用画像(13h)を再構築して、頭皮色相範囲の彩度と毛髪部分が強調された画像を次の2値化処理手段14に呈した。」
(甲1-ケ)
「【0058】最後に、薄毛部面積算出手段15により、2値化処理された薄毛部画像データから薄毛部の頭皮露出面積を求める(薄毛部面積算出工程)。薄毛部面積算出手段15はコンピュータを用いる。なお、いままでの説明で触れなかったが、標準化処理手段12、強調処理手段13および2値化処理手段14もコンピュータを用いる。但し、これらの各処理手段は撮像手段を構成するディジタルカメラ40に設けてもよい。
【0059】コンピュータには、出力手段16としてプリンタやCRTを接続し、2値化処理された薄毛部画像を印刷および表示する。また、適宜、撮像した原画像や強調処理された画像を表示する。
【0060】この客観的に測定された薄毛部の頭皮露出面積データを用い、育毛 剤使用前後などの比較を行うと育毛剤の効果を再現性よくかつ簡易、迅速に評価することができ、育毛剤等の研究開発にも寄与することができる。また、薄毛部の薄毛状態を的確に評価することができるため、店頭販売等において、各人に好適な育毛剤等を育毛剤等使用者に提供することも可能である。」
(甲1-コ)
「【図1】
[図:0001418193000001.jpg]
」
(甲1-サ)
「【図2】
[図:0001418193000002.jpg]
」
(甲1-シ)
「【図3】
[図:0001418193000003.jpg]
」
イ 認定事項
(甲1-ウ)によれば、撮像手段11はディジタルカメラ40であり、(甲1-ケ)によれば、各処理手段(標準化処理手段12、強調処理手段13及び2値化処理手段14)及び薄毛部面積算出手段15はコンピュータで実現されるものであるので、撮像手段11と、各処理手段及び薄毛部面積算出手段15を有するコンピュータとは別々の装置であるといえる。
また、(甲1-コ)の【図1】において、撮像手段11から各処理手段を経由して薄毛部面積算出手段15にデータが流れていることが見て取れる。
さらに、(甲1-カ)によれば、ディジタルカメラ40にて頭部の薄毛部画像データが取得される。
以上より、以下の事項(以下「認定事項1」という。)が導かれる。
「撮像手段11のディジタルカメラ40にて取得した頭部の薄毛部画像データを、薄毛部面積算出手段15を有するコンピュータに送信すること。」
ウ 甲1に記載された発明
上記「ア及びイ」から、甲1には、以下の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる(各構成単位末尾括弧内に主たる認定根拠となる記載箇所等を示す)。
「a 薄毛部面積評価システムであって(【0001】、【0015】)、
b 撮像装置としてのディジタルカメラ40、撮像距離/角度を一定にするためのレーザービーム発生装置50およびカメラ固定装置60を有し、頭部36の最凸部の薄毛部36を撮像して薄毛部画像データを取得して該薄毛部画像データを薄毛部面積算出手段15を有するコンピュータに送信するための撮像手段11と(【0015】、【0030】、【0033】、【0041】、【0045】、認定事項1)、
c 標準化処理手段12と、強調処理手段13と、2値化処理手段14と、薄毛部面積算出手段15と、を有するコンピュータであって、
c1 標準化処理手段12において、送信された該薄毛部画像データを標準化処理し、
c2 強調処理手段13において、標準化された該薄毛部画像データを強調処理し、
c3 2値化処理手段14において、強調処理された該薄毛部画像データを、予め設定した該輝度、色相および彩度の3要素について頭皮および毛髪を判別する閾値に基づいて2値化処理し、
c4 薄毛部面積算出手段15において、2値化処理された該薄毛部画像データから薄毛部全体の面積に対する頭皮露出面積の比率を求める、コンピュータ(【0015】、【0016】、【0058】)と、
を備え、
d 前記コンピュータに、出力手段16としてCRTを接続し(【0059】)、
e 前記出力手段16としてのCRTに前記コンピュータにて2値化処理された薄毛部画像等を表示し(【0059】)、
f 頭部の薄毛部面積を高精度に再現性よくかつ簡易、迅速に評価することができ、店頭販売等において、各人に好適な育毛剤等を育毛剤等使用者に提供することを可能とし(【0013】、【0060】)、
g 薄毛部の頭皮露出面積データを用いて、育毛剤使用前後などの比較を行うと育毛剤の効果を再現性よくかつ簡易、迅速に評価することを可能とした(【0060】)、
h 薄毛部面積評価システム。」
(2)甲2及び甲3の記載事項及び周知技術1
ア 甲2の記載事項
本件出願の優先日前に頒布された刊行物である甲2には以下の記載がある。
(甲2-ア)「Abstract」 第10~18行
「The proposed system (ISDS) consists of a scalp detector, an app running on a tablet, and a cloud management platform. The scalp detector will be connected with the tablet via Wi-Fi wireless network. Thus, a scalp photo can be captured via the proposed scalp detector. The scalp photo will be recognized by scalp detector, and the recognized result of the scalp will also be sent and displayed to the tablet. And then, we can get the quantitative data on the scalp, including bacteria, allergies, dandruff, grease, and hair loss.
・・・
The related photos of user scalp can be captured by the proposed scalp detector. The proposed ISDS can identify the current status of scalp health by the deep-learning-based predictor. Moreover, we can continuously increase in the number of samples to enhance the accuracy rate by adopting VGG-net deep learning techniques.」
(当審訳:提案システム(ISDS)は、頭皮検出器、タブレット上で動作するアプリ、クラウド管理プラットフォームで構成される。頭皮検出器は、Wi-Fi無線ネットワークでタブレットと接続される。このため、頭皮の写真を撮影することが可能である。頭皮写真は頭皮検出器によって認識され、頭皮の認識結果もタブレットに送信・表示される。そして、頭皮の細菌、アレルギー、フケ、脂、抜け毛などの定量データを得ることができる。
・・・
提案する頭皮検出器により、ユーザの頭皮の関連写真を取得することができる。提案したISDSは、ディープラーニングベースの予測器により、頭皮の健康状態の現状を把握することができる。さらに、VGG-netのディープラーニング技術を採用することで、精度を高めるためにサンプル数を継続的に増加させることが可能である。)
イ 甲3の記載事項
本件出願の優先日前に頒布された刊行物である甲3には以下の記載がある。
(甲3-ア)「1 Introduction」右欄第31~37行
「In this paper, we introduce AutoHair, the first fully automatic method for 3D hair modeling from a single portrait image, with no user interaction or parameter tuning. Given an image as input, we classify it into a few precomputed hair spatial distribution classes, and then generate an accurate hair segmentation and a hair growth direction map, using a novel deep neural network, specifically tailored for the current hair distribution class.」
(当審訳:本論文では、1枚のポートレート画像から3Dヘアモデリングを行う初の完全自動化手法であるAutoHairを紹介し、ユーザーの操作やパラメータチューニングを必要としない。画像を入力として、あらかじめ計算されたいくつかの髪の空間分布クラスに分類し、現在の髪の分布クラスに合わせて特別に調整された新しいディープニューラルネットワークを使用して、ヘアーセグメンテーション及び髪の成長方向マップを生成する。)
ウ 周知技術1
上記「ア及びイ」によれば、以下の点が周知技術(以下「周知技術1」という。)であるといえる。
「ユーザの毛髪、頭皮などの写真から、ディープニューラルネットワークを用いて、毛髪、頭皮などの状態を予測すること」
(3)甲4ないし甲6の記載事項及び周知技術2
ア 甲4の記載事項
本件出願の優先日前に頒布された刊行物である甲4には以下の記載がある。
(甲4-ア)第2765頁左欄第8-17行
「一方、女性では男性と異なり、頭頂部の比較的広い範囲の頭髪が薄くなるパターンとして観察される。発症時期についても男性とは異なり、更年期に多発するようになる。また後述する男性ホルモン依存性では病態が説明できない場合も有り、現在では男性型脱毛症より「女性型脱毛症(female pattern hair loss)」という病名を用いるごとが国際的にも多くなってきている。以上のような病態の違いを考慮して、今回の診療ガイドラインでは病名として女性型脱毛症を用いることとした。」
イ 甲5の記載事項
本件出願の優先日前に頒布された刊行物である甲5には以下の記載がある。
(甲5-ア)「SUMMARY」第1~3行
「Androgenetic alopecia in the female occurs much more frequently than is generally believed. The condition is still considered infrequent, for it differs, in its clinical picture and in the sequence of events leading to it, from common baldness in men.」
(当審訳:女性の男性型脱毛症は、一般に考えられているよりもはるかに頻繁に発生する。この症状は、臨床像やそれに至る一連の流れにおいて、男性の一般的な脱毛症とは異なるため、頻度が少ないと考えられている。)
ウ 甲6の記載事項
本件出願の優先日前に頒布された刊行物である甲6には以下の記載がある。
(甲6-ア)P.668 左欄第1~9行
「Female pattern hair loss
Female pattern hair loss (FPHL) is a non-scarring, diffuse alopecia that generally occurs in post-pubescent females.
・・・
These characteristics set FPHL apart from male pattern hair loss (MPHL), and usually allow one to distinguish FPHL clinically from other causes of hair loss in women.」
(当審訳:女性型脱毛症女性型脱毛症(FPHL)は、一般に思春期以降の女性に発症する非瘢痕性のびまん性脱毛症である。
・・・
これらの特徴により、FPHLは男性型脱毛症(MPHL)とは異なり、通常、臨床的に FPHLと他の女性脱毛症の原因を区別することができる。)
エ 周知技術2
上記「アないしウ」によれば、以下の点が周知技術(以下「周知技術2」という。)であるといえる。
「脱毛に関する症状が男性と女性で異なること」
(4)甲7ないし甲8の記載事項及び周知技術3
ア 甲7の記載事項
本件出願の優先日前に頒布された刊行物である甲7には以下の記載がある。
(甲7-ア)
「【0022】
ヘアDB兼来客者髪型情報記憶サーバー3は、上記のようにディスプレイカメラ12で撮像された顧客の頭部画像において、顔の面積と髪部分の面積を比較することにより髪の量を判断し(以下「分析1」という。)、髪量データを生成する。この髪量データは、「少・中・多」といった段階表示や10段階等の数値等で示される。
【0023】
また、ヘアDB兼来客者髪型情報記憶サーバー3は、ディスプレイカメラ12で撮像された顧客のヘアスタイル画像を、予め格納されたヘアデータベース(ヘアDBあるいは髪型DBともいう。)に含まれる硬さや太さ、あるいは色の異なる種々の髪の毛の画像と比較することにより、顧客の髪の毛の硬さや太さ、あるいは色を判断し(以下「分析2」という。)、髪の毛の硬さデータ、太さデータ、髪色データ等の髪質データを取得する。なお、上記硬さデータや太さデータは、上記髪量データと同様に段階を示すデータとされる。」
(甲7-イ)
「【0042】
お勧め髪型画像選択動作においては、ヘアDB兼来客者髪型情報記憶サーバー 3が上記の分析1及び分析2で得られた顧客の髪量データ及び髪質データに応じて、当サーバーに予め記憶された種々のヘアスタイル画像の中から、顧客に適合するヘアスタイル画像を選択し、受付サーバー1を介してヘア端末11へお勧めのヘアスタイルとして供給する。」
イ 甲8の記載事項
本件出願の優先日前に頒布された刊行物である甲8には以下の記載がある。
(甲8-ア)第390頁左欄第4-13行
「An effective face shape classification can be used for constructing a hairstyle recommendation system.
・・・
This approach, which is based on an Active Appearance Model (AAM) and a face segmentation technique, produces a set of features that can be evaluated by several popular machine learning methods, namely, Linear Discriminant Analysis (LOA), Artificial Neural Networks (ANN), and Support Vector Machine (SVM).」
(当審訳:効果的な顔の形状分類は、ヘアースタイル推奨システムの構築に用いることが可能である。
・・・
このアプローチは、アクティブ・アピアランス・モデル(AAM)と顔分割の技術に基づくもので、線形判別分析(LOA)、人工ニューラルネットワーク(ANN)、サポートベクターマシン(SVM)という一般的な機械学習方法によって評価可能な特徴量のセットを生成するものである。)
ウ 周知技術3
上記「ア及びイ」によれば、以下の点が周知技術(以下「周知技術3」という。)であるといえる。
「頭部画像または顔形状の画像の分析結果を用いてユーザに適合するヘアースタイルを推奨すること」
(5)甲9ないし甲15の記載事項
ア 甲9の記載事項
本件出願の優先日前に頒布された刊行物である甲9には以下の記載がある。
(甲9-ア)
「【0022】
好都合なことに、訓練データとしての使用、および/または他の目的のために、精神状態の表情の現実的な訓練例を生成するよう、真似を用いることが可能である。一例で、データはWebを通して収集される。ユーザはカメラ搭載の通信装置を有し、彼らの顔の画像をサーバへ送信可能である。これは、Amazon Mechanical Turkのようなクラウドソーシングサービスを用いて行ってもよい。」
(甲9-イ)
「【0058】
よって、前述のアプローチを用いて収集された訓練データを、機械学習方法(例えばパターン認識器、ニューラルネットワーク、サポートベクタマシン、アダブーストおよび可能な他のタイプの分類器)を用いて第1世代の表情認識システムを開発するのに使用してもよい。技術をさらに、表情認識器のいくつかのバージョン(例えば現在のバージョン)を「壊す」データを収集するのに広げることが可能である。よってシステムを、クラウドソーシングプロバイダに、システムが誤った画像例を送信するよう求めるように構成してもよい。」
イ 甲10の記載事項
本件出願の優先日前に頒布された刊行物である甲10には以下の記載がある。
(甲10-ア)
「【0014】
[発明者による知見]
本開示に係る発明者ら、つまり本発明者らは、画像において人物をはじめとする対象物の認識及び検出の精度を向上するために、Deep Learning(深層学習)等のニューラルネットワークを用いた技術を用いることを検討した。Deep Learningでの対象物の認識には大量の学習用の画像データが必要となる。そして、学習用の画像データでは、対象物に対して、対象物の内容、位置、領域等を含む情報が、アノテーション情報として付与される、つまりアノテーションされる。なお、通常、アノテーションでは、画像上で対象物を囲む等による対象物の領域の設定が、画像に人が入力することによって実施される。また、画像データのアノテーション処理は、学習用の画像データの構築者である企業等によって、外部の請負者に委託することも検討されている。さらに、このアノテーション処理は、クラウドソーシングを利用して、不特定多数の請負者に委託することも検討されている。」
ウ 甲11の記載事項
本件出願の優先日前に頒布された刊行物である甲11には以下の記載がある。
(甲11-ア)
「Claims:
1. A system for recommending one or more products to a consumer from a plurality of products, the system comprising:
a user interface; and
a processor configured to:
provide a list of questions for the consumer at the user interface, each question having a defined set of answers;
access a plurality of product parameter inputs for each product, each product parameter input having a defined set of product parameter values; access a product matrix, the product matrix assigning a numerical score to each parameter value for each question;
access a weighting factor for each product parameter input;
calculate a product score for each question using the product parameter value, the score for that value and the weighting factor for that value; calculate a consumer score for each question using the answer chosen by the consumer at the user interface;
calculate a recommendation score for each question, using the product score and the consumer score; and
select the one or more products for recommendation to the consumer based on the recommendation score.
・・・
3. The system of claim 1 , wherein the one or more products are hair products.
・・・
8. A workstation comprising the system of any one of claims 1 to 7, and further comprising imaging device for measuring one or more physical properties of hair belonging to the consumer.
・・・
10. The workstation of claim 8 or 9, wherein the processor is configured to:
assign a numerical value to the measurement of the physical property of the hair; and use this numerical value to calculate a recommendation score based on the physical property, the recommendation score based on the physical property being calculated in addition to or instead of the recommendation score calculated in response to the input by the consumer at the user interface.」
(当審訳:クレーム
1.複数の製品から1つ以上の製品を消費者に推奨するためのシステムであって、
ユーザインターフェース及びプロセッサを備え、前記プロセッサが、
前記ユーザインターフェースで前記消費者に各質問が規定の回答のセットを有する質問のリストを提示し、
製品毎に各製品パラメータ入力が製品パラメータ値の規定されたセットを有する複数の製品パラメータ入力にアクセスし、
各質問についての各パラメータ値に数値スコアを割り当てる製品マトリックスにアクセスし、
製品パラメータ入力毎に重み付け係数にアクセスし、
前記製品パラメータ値と、その値に対する前記スコアと、その値に対する前記重み付け係数とを使用して、各質問についての製品スコアを計算し、
前記ユーザインターフェースで前記消費者によって選択された前記回答を使用して各質問についての消費者スコアを計算し、
前記製品スコア及び前記消費者スコアを使用して、各質問についての推奨スコアを計算し、
前記推奨スコアに基づいて前記消費者に推奨するための前記1つ以上の製品を選択するように構成されている、
システム。
・・・
3.前記1つ以上の製品が毛髪用製品である請求項1に記載のシステム。
・・・
8.請求項1から7のいずれか一項に記載のシステムを備え、前記消費者に属する毛髪の1つ以上の物理的特性を測定するための画像化装置をさらに備える、ワークステーション。
・・・
10.前記プロセッサが、
前記毛髪の前記物理的特性の前記測定に数値を割り当て、その数値を使用して、前記物理的特性に基づく推奨スコアを計算し、前記物理的特性に基づく前記推奨スコアが、前記ユーザインターフェースでの前記消費者の入力に応じて計算された前記推奨スコアに加えて、又はその代わりに計算されるよう構成される、請求項8又は9に記載のワークステーション)
エ 甲12の記載事項
本件出願の優先日前に頒布された刊行物である甲12には以下の記載がある。
(甲12-ア)
「【請求項8】
前記特徴ベクトル作成手段は、前記行動状況情報に加え、
前記人の部署、事業所、職種、年齢、健康診断結果、喫食履歴、前記人の前記心的健康状態を推し量るための質問と該質問に対する回答の組を有するアンケート結果、心拍、脳波、カメラによる撮影画像の画像処理結果、PC(Personal Computer)の作業記録、及び、メールの送受信履歴の解析結果、の1つ以上を前記特徴ベクトルの要素とすることを特徴とする請求項1~7いずれか1項に記載の情報処理装置。」
(甲12-イ)
「【0044】
メンタル状態判定部22は、図3に示されている演算処理装置206からの命令等によって実現され、従業員の勤務状態を表す勤務情報の特徴ベクトル51をメンタル状態判定モデルに適用し、メンタル状態が良か不調かを判定する。この判定結果52は判定結果保持部2004に記憶される。」
(甲12-ウ)
「【0081】
なお、上記では一例として、AdaBoostと呼ばれる機械学習を用いてメンタル状態判定モデルを生成したが、使用する機械学習としては、線形判別分析、決定木、サポートベクターマシン、ロジスティック回帰、ヒドゥンマルコフモデル、パーセプトロン、ニューラルネットワーク、ディープラーニング、又は、ベイジアンネットワークなどどのようなものでもよい。」
オ 甲13の記載事項
本件出願の優先日前に頒布された刊行物である甲13には以下の記載がある。
(甲13-ア)
「【請求項1】
フォーミュラのバッチサイジング方法で、フォーミュラとは手作業で毛髪染料混合物を再現するためのひとつ以上の毛髪染料材料および対応する推奨量を定義し、かかる方法は1台のディスプレイ、メモリ、および1台の入力デバイスを持つ電子機器によって実施され、かかる方法は以下からなる:
以下のステップを実施するために実行される、コンピューターでの読み取り可能なプログラムコードを伴う、コンピューターベースの使用可能媒体を持つ電子機器を提供する:
複数のバッチサイジング調整条件を表示し、ここではバッチサイジング調整条件はそれぞれフォーミュラの総量を定義する;
複数のバッチサイジング調整条件の一つを選択するためのユーザー入力を受信する;
選択したバッチサイジング調整条件を基にして、調整済みの対応する推奨量を伴う調整済みのフォーミュラを作成する;および
少なくとも調整済みの対応する推奨量を表示する。
・・・
【請求項6】
請求項1の方法で、バッチサイジング調整条件がカスタマーの髪のタイプに関する質問を少なくともひとつ持ってるもの。
【請求項7】
請求項1の方法で、バッチサイジング調整条件がカスタマーの髪の長さに関する質問を少なくともひとつ持ってるもの。」
カ 甲14の記載事項
本件出願の優先日前に頒布された刊行物である甲14には以下の記載がある。
(甲14-ア)第1頁 Abstract 第7-9行
「We show that a discrimininatively trained, multi-layer capsule system achieves state-of-the-art performance on MNIST and is considerably better than a convolutional net at recognizing highly overlapping digits.」
(当審訳:我々は、識別的に学習された多層カプセルシステムが、MNIST において最先端の性能を達成し、重複度の高い数字の認識において畳み込みネットよりかなり優れていることを示す。)
キ 甲15の記載事項
本件出願の優先日前に頒布された刊行物である甲15には以下の記載がある。
(甲15-ア)第500頁左欄第6-15行
「This analytic system calculates the number of hairs on a scalp using a digital microscope camera, providing accurate information for both the hair specialist and the patient.
・・・
Rather than manually counting the hairs on a person's scalp, the proposed system determines the density, diameter, length, and level of oiliness of the hairs.」
(当審訳:この分析システムは、デジタルマイクロスコープを用いて頭皮の毛髪数を計算し、毛髪専門医と患者の双方に正確な情報を提供する。
・・・
提案システムは、人の頭皮上の毛髪を手作業で数えるのではなく、毛髪の密度、直径、長さ、油分濃度を判定する。)
(甲15-イ)第506頁右欄第30-32行
「This analytic system takes into account both texture and color feature s and applies machine learning algorithms.」
(当審訳:この分析システムは、テクスチャとカラーの両方の特徴を考慮し、機械学習アルゴリズムを適用する。)
ク 甲16の記載事項
本件出願の出願後の2021年6月19日に電気通信回線を用いて公開された甲16には以下の記載がある。
「頭頂部とは、頭部で頭頂骨のある位置に対応する皮膚の場所のこと。頭のてっぺん(頭頂)から頭のま後ろの一番でっぱっているあたりまでの広い範囲のこと。」
「頭頂部(赤色)は、頭部の場所のうち、ほぼ頭頂骨のある場所を指している」
2.参考資料について
(1)参考資料1ないし4の記載事項及び周知技術4
ア 参考資料1の記載事項
本件出願の優先日前に頒布された刊行物である参考資料1には以下の記載がある。
(参1-ア)
「【請求項4】 被験者の問診データを入力する手段と、被験者の毛髪構造を光学的に観察するための光学検出手段と、問診データおよび毛髪構造データに基づいて毛髪状態を評価するデータが蓄積されたデータベースと、入力された問診データおよび毛髪データに基づいて前記データベースを参照して被験者の毛髪の状態を評価する演算処理手段と、この演算処理手段での評価結果に基づいて評価結果を出力する出力手段とを備えた毛髪診断システム。」
(参1-イ)
「【0031】実際に表示装置3に表示された画像を図3に示す。図3は最終的な診断結果を表示する画面であるが、この画面は、そのまま出力装置4によりプリントアウトして被験者に手渡すこともできる。なお、図3のメデュラおよびキューティクルの顕微鏡写真を別途、図5および図6に示す。」
(参1-ウ)
「【図3】
[図:0001418193000004.jpg]
」
イ 参考資料2の記載事項
本件出願の優先日前に頒布された刊行物である参考資料2には以下の記載がある。
(参2-ア)
「【0042】
また、種々の毛髪について、毛髪全体の評価値と、各評価値に適合する毛髪化粧料やパーマ等の毛髪処理方法の対応を蓄積したデータベースをパソコン本体2に備えるか、又はかかるデータベースを外部サーバーに保有し、通信回線8を使用してそのデータベースを利用できるようにし、被験者の毛髪全体の外観の評価値に基づき、その評価値に適合する毛髪化粧料や毛髪処理方法が自動的に又は個別の指示により算出され、出力されるようにしてもよい。これにより、データとして蓄積する毛髪化粧料の種類や毛髪処理方法の難易度等に応じて、毛髪の評価システム1は、理美容室、対面販売、通信回線を利用した推奨販売等で顧客に毛髪処理方法を推奨するヘアケアアドバイスシステムとして、あるいは、一般人自身が、自己の毛髪状態に最適な毛髪化粧料や毛髪処理方法等を容易に選択することを可能とするヘアケアアドバイスシステムとして、使用することができる。」
(参2-イ)
「【0080】
このヘアケアアドバイスシステムを、例えば、以下のように用いることにより、通信回線を介して顧客に適切な毛髪化粧料を提示することが可能となる。
【0081】
まず、顧客に、自分あるいは他人の頭髪を含む頭部のデジタル写真を、通信回線を介してこのヘアケアアドバイスシステムに送信してもらい、ヘアケアアドバイスシステムでは、受信した頭髪のデジタル写真を、パソコン本体2に内蔵の画像解析ソフトウェアで画像解析し、毛髪の艶指数を取得する。さらに、図8の関係式に基づくパソコン本体2に内蔵の回帰分析ソフトウェアで回帰分析を行い、例えば、艶指数が78の場合にうねり情報0.26を取得し、さらに実施例3と同様にしてパソコン本体2に内蔵した回帰分析ソフトウェアで回帰分析を行うことにより、相当年齢47才、艶1.9、揃い3.8、浮き・ハネ4.9の各評価値を得る。
【0082】
これらの評価結果をチャート図として、通信回線を介して顧客に送信する。なお、このチャート図には、参考のために実施例3と同様に230名のデータの平均値も示してもよい。
【0083】
また、顧客には、毛髪うねりを緩和できることが分かっている複数の毛髪化粧料のリストを通信回線を通じて提示し、その中から1つ以上の毛髪化粧料(例えば、毛髪化粧料A,C)を選択して、その選択情報を送信してもらい、顧客が選択した毛髪化粧料を用いた場合に生じる変化を同じチャート図中に色を変えて示したものを送信する。このチャート図を図11に示す。」
ウ 参考資料3の記載事項
本件出願の優先日前に頒布された刊行物である参考資料3には以下の記載がある。
(参3-ア)
「【請求項1】
毛髪の傷み具合等を診断するための毛髪診断支援システムにおいて、
被験者の少なくとも1本の毛髪の複数の部位の拡大画像を入力し記憶する画像記憶手段と、
該毛髪の拡大画像を同時に複数示す診断画面を表示する表示手段とを備えることを特徴とする毛髪診断支援システム。」
(参3-イ)
「【0026】
ユーザの方では、サーバ6に記憶された採取した毛髪の拡大画像や物理量を、カルテ表示画面40で確認することが可能である。例えば、カルテ表示画面40で、ユーザは、健康な髪画像42やダメージ毛画像44を目視できる。また、毛髪の物理量に加え、診断の結果のアドバイスや推奨されるヘアケア商品等の情報を確認することもできる。」
エ 参考資料4の記載事項
本件出願の優先日前に頒布された刊行物である参考資料4には以下の記載がある。
(参4-ア)
「【0037】
一つ目のビジネス方法であるビジネス方法1は、専門のカウンセラーや美容説明員が居らず、顧客が自分で購入する化粧品を選択せねばならないセルフセレクションのドラッグストアやスーパー等32の化粧品販売店がアプリの導入契約者になるビジネス方法である。そして、このビジネス方法の場合、本発明の肌診断システムを使用する場がドラッグストア等化粧品をセルフセレクションで販売している店舗内でも良いが、店舗外で一般消費者31が行っても良い。
ドラッグストア等32で肌診断を行う場合は、店内にタブレット端末を設置し、そのタブレット端末に契約した肌診断アプリをダウンロードして、化粧品を買いに店を訪れた顧客が肌診断を行って、店内に有る自分の肌に合った化粧品を買い求めることになるが、店舗外で一般消費者が肌診断する場合は、肌診断アプリの提供者30とドラッグストア等32との契約に基づいて、一般消費者31が自分のスマホにスマホ専用肌診断アプリを無料でダウンロードして、いつでも、どこでも、自由に肌診断が出来るようにする形となる。後者の場合、一般消費者31がスマホ用肌診断アプリを開いて肌診断すると、スマホ画面に表示された肌診断結果票にその人の肌質、肌タイプ、肌の問題点等が表示されるだけでなく、肌診断結果に基づいてサーバー内で選択、紐付けされたその人に合った化粧品銘柄が表示される仕組みになっており、肌診断アプリの契約者であるドラッグストア等32で販売している化粧品の中にその化粧品があれば、その化粧品が優先的に表示される仕組みになっている。」
オ 周知技術4
上記「アないしエ」によれば、以下の点が周知技術(以下「周知技術4」という。)であるといえる。
「コンピュータを備えたシステムにおいて、毛髪や肌の評価を行い、その評価結果に基づいて推奨される毛髪化粧料や肌化粧料の商品情報をディスプレイに表示すること」
(2)参考資料5ないし8の記載事項
ア 参考資料5の記載事項
(ア)本件出願の優先日前に頒布された刊行物である参考資料5には以下の記載がある。
(参5-ア)
「【0012】
[第1実施形態]
本実施形態に係る撮像装置の構成について説明する。本実施形態に係る撮像装置は、撮影者自身の顔の画像を取得し、この画像に基づいて、撮影者の肌の状態が良好であるか否かを判定する機能を有する。図1は、本実施形態に係る撮像装置1の構成の概略を示すブロック図である。撮像装置1は、図1に示すように、撮像部2と、フォーカス変更部3と、記録部5と、操作部7と、姿勢検出部8と、制御部10と、表示部22とを有する。表示部22は、タッチパネル4と、表示パネル6とを有する。」
(参5-イ)
「【0015】
記録部5は、画像データを記録する。また、記録部5は、画像データベース(DB)5aを有する。画像DB5aは、対象物画像と比較する検査のための基準となる画像を記録したものである。また、検査時に対象物画像と比較できるようなデータは、画像に限らない。このデータは、画像そのものでもよく、その特徴を示した特徴量でもよく、単純化された画像パターンや色やコントラストなどの数値でも良い。必ずしも、画像は、位置や拡大率を重ねて一致させることは困難であるし、露出レベルや光源やホワイトバランスによっても比較結果が変わるものである。そのため、検査のための基準となる画像は、この画像自体を拡大させたり又は縮小させたり、この画像の位置をずらしたりして、対象物画像との一致度を確認するのに適当なものであったり、露出レベルやホワイトバランスを変えることが可能になっていたりしても良い。具体的には、画像DB5aは、ひとつの判定を行うのに比較するために条件を変えた複数画像を持っていてもよいし、色ごとに分解したデータを持っているようにしても良い。さらに、対象物の部位ごとに、画像の評価基準が変わる可能性もあるので、画像DB5aは、対象物の部位ごとに画像を分類して記録していることが好ましい。この部位は、画像判定によって分類できる部位であることを想定している。本実施形態では、画像DB5aは、肌画像サンプルデータを含む。この肌画像サンプルデータは、各顔パーツの種々の肌状態を表す画像のデータである。ここで顔パーツには、例えば、人の額、瞼、目尻、鼻、鼻翼、頬等が含まれる。また、肌状態には、例えば、赤ちゃん並みの肌状態、又は荒れている肌状態等が含まれる。顔の肌を判定する場合以外にも、手のひらの荒れなどを判定する用途も想定でき、この場合は、指やその付け根などをパーツ判定できるようにするなど応用が可能である。もちろん、肌状態でなくとも、傷や発疹なども判定可能にしても良い。」
(参5-ウ)
「【0053】
ステップS113において、制御部10は、自分撮影モードの設定を行う。自分撮影モードの設定は、第2の表示状態において、ユーザがユーザ自身を撮影する際に用いられる設定である。この設定は、例えば、パラメータ設定がアイコン6aの操作に基づいて行わ、レリーズ操作が前面SW26を用いて行われる設定である。」
(参5-エ)
「【0058】
本実施形態に係る肌チェックモード処理について説明する。図7は、本実施形態に係る肌チェックモード処理の動作を示すフローチャートである。ステップS201において、制御部10は、肌チェックモード処理に係る表示を行う。図8は、肌チェックモード処理における表示の一例を示す図である。制御部10は、図8に示すように、表示パネル6に表示されたスルー画上に顔ガイド枠6cを表示させる。この顔ガイド枠6cは、表示エリア、すなわち撮像エリアの大部分を示すように十分に大きく設けられる。ユーザは、顔ガイド枠6cに被写体である自身の顔を合わせるように撮影領域を調整する。このように、顔ガイド枠6cは、顔ガイド枠6cと顔とが重なるようにユーザに撮影させることを補助する。撮像エリアの大部分を使って顔を撮影することで、詳細な肌状態の判定を実行することができる。」
(参5-オ)
「【0079】
また、分析対象は、顔Aaの肌状態に限らない。奥行を有する対象物について撮像を行い、得られた画像に基づいて分析を行うときに、本実施形態に係る技術を用いることで分析用の画像が容易に取得され得る。このように、本実施形態の撮像装置1は、顔の肌状態を分析するに限らず、他の用途にも適用され得る。つまり、この撮像装置1は、カメラを含む撮像装置以外に観察装置、検査装置に適応が可能で、スマートフォンなどのアプリにも応用可能である。つまり、この撮像装置1では、観察対象物の奥行き方向のピント位置変化や、対象物の部位ごとの特徴判定というポイントが重要である。したがって、画像検出部と画像検出で分類された画像の部位検出部と、各部位ごとに最適ピント制御を行うピント制御部と、分類された画像部位ごとに得られたピント良好画像ごとに、判定可能な判定用画像のデータベースがあれば、本発明のカバー範囲となる。なお、画像比較は、単純に重ね合わせるのみならず、そこで一致度の正確性を向上させるために、露出やホワイトバランスや位置などを調整できるようにする。また、比較結果は、必ずしも、絶対値でなくともよく、相対的な数値でも良い。」
(イ)上記「(参5-ア)ないし(参5-オ)」より、参考資料5には、以下の技術(以下「参考資料5開示技術」という。)が開示されている。
「ユーザがユーザ自身の顔を撮影する際に顔ガイド枠6cを表示させ、ユーザは、顔ガイド枠6cに被写体である自身の顔を合わせるように撮影領域を調整して、顔を撮影する技術。」
イ 参考資料6の記載事項
(ア)本件出願の優先日前に頒布された刊行物である参考資料6には以下の記載がある。
(参6-ア)
「【0023】
図2に示すように利用者が虹彩認証を実施する場合、利用者は表示装置3に表示される赤外線画像を参照して、スマートフォン1と自身の顔とを相対的に移動させ、表示装置3に表示される自身の目の位置および大きさを調整する。」
(参6-イ)
「【0026】
図3に示すように、スマートフォン1は、表示装置3、ロック解除ボタン5、赤外線LED6、赤外線カメラ7、タッチパネル8、受付部10、制御部20および表示部30を含む。」
(参6-ウ)
「【0082】
ステップS190において、制御部20は表示部30を制御して、ステップS180で表示装置3に表示した赤外線画像に、虹彩認証に適した大きさの虹彩領域が撮影できるような目の位置および大きさを表した枠を重ね合わせて表示する。そして、制御部20は、ステップS90~S190の処理を繰り返し、ステップS170で虹彩認証が成功するまで虹彩認証を実行する。」
(参6-エ)
「【0084】
ステップS190の実行後、例えば図8Aに示すように、利用者を撮影した赤外線画像に枠11が重ね合わされた画像が表示装置3に表示される。したがって、利用者は、表示装置3に表示された赤外線画像を見ながら、目の位置および大きさが枠11に合うようにスマートフォン1と利用者の顔との相対位置を調整することで、虹彩認証に適した大きさの虹彩領域を含む赤外線画像を撮影することができる。」
(参6-オ)
「【0086】
具体的には、ステップS130で測定した視距離が例えば基準距離の1/10以下の場合に、制御部20は、目と赤外線カメラ7の距離が近すぎることを利用者に知らせるメッセージを領域3Bに表示してもよい。この場合、虹彩認証に適した大きさの虹彩領域が取得できるようにメッセージを音声で出力してもよい。」
(イ)上記「(参6-ア)ないし(参6-オ)」より、参考資料6には、以下の技術(以下「参考資料6開示技術」という。)が開示されている。
「利用者が虹彩認証を実施する場合に、表示装置3に表示した赤外線画像に、虹彩認証に適した大きさの虹彩領域が撮影できるような目の位置および大きさを表した枠を重ね合わせて表示し、利用者は、表示装置3に表示された赤外線画像を見ながら、目の位置および大きさが枠11に合うようにスマートフォン1と利用者の顔との相対位置を調整することで、虹彩認証に適した大きさの虹彩領域を含む赤外線画像を撮影することができ、かつ目と赤外線カメラ7の距離が近すぎることを利用者に知らせるメッセージを表示するまたはメッセージを音声で出力する、技術。」
ウ 参考資料7の記載事項
(ア)本件出願の優先日前に頒布された刊行物である参考資料7には以下の記載がある。
(参7-ア)
「【0033】
構成パーツ類推処理を行う場合、はじめに、ユーザ端末100は、ガイド表示モジュール131により、ユーザが撮影を行う際の手助けとなる、ガイド表示を行う(ステップS101)。
【0034】
図12は、ユーザ端末100のガイド表示機能の一例である。メッセージ1202によって、画面上に表示されたガイド線にあわせて、被写体の顔画像の撮像を行うことを示している。図12のガイド表示の例は、右目1203、左目1204、鼻1205、口1206、顔の輪郭1207、顔の中心を通る垂直の線1208、目の中心を通る水平の線1209である。これらのガイドは、ユーザによる顔の撮影を適切な大きさ、適切な向き、適切な位置で行うのに役立つとともに、後段の構成パーツ類推処理の際に、ガイド線の近傍を探索することで、短時間で高確率に構成パーツを検出するのに効果的である。ここでは、ガイド線は簡易的に直線と楕円で表示しているが、自由曲線や自在曲線により表示してもよい。また、目と眉を別々に表示してもよい。ガイド線の表示には、大量の顔画像データから抽出し平均した、各構成パーツの輪郭を使用してもよい。また、図12は顔正面方向から撮像する場合のガイドであるが、顔横方向から撮像するためのガイドや斜め方向から撮像するためのガイドも用意してもよい。
【0035】
次に、撮像モジュール111により、被写体の画像を撮像する(ステップS102)。ここでは、例えば図12のカメラマーク1201を選択することで撮像を開始するものとする。撮影は、スマートフォンやタブレットのインカメラを使用して自分で行ってもよいし、背面側のカメラ(アウトカメラ)を使用して他の人に撮影してもらったり、鏡に映っ
た自分を撮影したりしてもよい。図1に示すように、撮像画像にガイドを重ねて表示することで、適切な大きさや向きや位置で撮影が行える。」
(イ)上記「(参7-ア)」より、参考資料7には、以下の技術(以下「参考資料7開示技術」という。)が開示されている。
「ユーザによる顔の撮影を自分で行う際に、ユーザ端末100の画面上に適切な大きさ、適切な向き、適切な位置で行うのに役立つガイド表示を行う技術。」
エ 参考資料8の記載事項
(ア)本件出願の優先日前に頒布された刊行物である参考資料8には以下の記載がある。
(参8-ア)
「【0013】
第2筐体101は、後に詳述する出力部19を有し、一方側が表示方向となるように画面が構成される。
また、第2筐体101は、第1筐体100に対して、レンズ面と非レンズ面側に回動可能に連結される。即ち、第1筐体100に対して第2筐体101を回動させることにより、撮影方向と、表示方向とを変更することができる。
撮像装置1では、第1筐体100と第2筐体101における撮影方向と、表示方向を一致させた場合には、撮影者が自分の姿を出力部19によって確認しながら撮影を行う、いわゆる、「自分撮り」が可能となる。」
(参8-イ)
「【0033】
このため、本実施形態の撮像装置1では、自分撮りの撮影対象(本実施形態においては、顔)となる被写体(以下、「主要被写体」という。)の状態が、搭載する広角レンズの特性の影響を受けない状態であるかを判定する。広角レンズの特性の影響を受けない状態とは、例えば、主要被写体との距離が遠い状態や画角の中央付近に位置した状態である。」
(参8-ウ)
「【0035】
図3は、判定結果が良好でない場合の出力の具体例を示す模式図である。
具体的な一例としては、良好な判定結果とならなかった場合には、図3に示すように、撮影に適していない旨として「NG」の表示や撮影に適する状態に誘導するように「もう少し下がってくさい」等のアナウンスによる音声が出力されることになる。
また、他の例としては、強制的にトリミング表示をしたり、「もっと遠ざけてください」、「近過ぎる」等をテキストやアイコンで表示したり、「もっと遠ざけてください」等を警告する音声やエラー音を出力したり、顔を合わせ易くする顔型のシルエットを半透過でガイド表示したり、顔の大きさや位置をわかりやすく報知するグリッドやフレームを表示したりして構成することができる。」
(イ)上記「(参8-ア)ないし(参8-ウ)」より、参考資料8には、以下の技術(以下「参考資料8開示技術」という。)が開示されている。
「撮影者が自分の姿を出力部19によって確認しながら撮影を行う、いわゆる、「自分撮り」において、自分撮りの撮影対象である顔の撮影に適していない旨として「NG」の表示や撮影に適する状態に誘導するように「もう少し下がってくさい」等のアナウンスによる音声が出力される技術。」
第7 取消理由通知(決定の予告)について
1.甲号証及び参考資料について
申立人が特許異議申立書において証拠として提示した甲号証及び申立人意見書において提示した参考資料は、上記「第4 1.」で整理し、その内容は「第6」に示したとおりである。
2.取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
当審が令和6年2月7日付けで特許権者に通知した取消理由(決定の予告)については、上記「第5 1.」に示したとおりである。
3.当審の判断
取消理由1(進歩性)について検討する。
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)構成aの「薄毛部面積評価システム」は、構成c及びc1ないしc4によれば、毛髪の薄毛部画像データを分析して薄毛部全体の面積に対する頭皮露出面積の比率を求め、頭部の薄毛部面積を評価するシステムであるといえるから、構成Aの「毛髪分析システム」に相当する。
(イ)構成bの「頭部36の最凸部の薄毛部36」は、構成Bの「ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部」に相当し、構成bの「頭部36の最凸部の薄毛部36」を撮像した「薄毛部画像データ」は、構成Bの「ユーザの頭部の少なくとも頂部」の「画像」に相当する。また、構成bの「薄毛部面積算出手段15を有するコンピュータ」は、構成c及びc1ないしc4によれば「薄毛部画像データ」を分析して「薄毛部全体の面積に対する頭皮露出面積の比率を求め」るものであるから構成Bの「毛髪分析ユニット」に相当する。そうすると、構成bの「頭部36の最凸部の薄毛部36」を撮像して「薄毛部画像データ」を「取得」して「該薄毛部画像データを薄毛部面積算出手段15を有するコンピュータに送信するための」「撮像手段11」は、構成Bの「ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部」の「画像」を「捕捉」して「前記画像を毛髪分析ユットに送信するための」「画像捕捉ユニット」に相当する。
(ウ)構成c4の「薄毛部全体の面積に対する頭皮露出面積の比率」は、ユーザの毛髪と頭皮の面積に関する比率であるから、構成Cの「ユーザの頭皮被覆率」と密接に関連するものであるとともに、構成c4の「薄毛部全体の面積に対する頭皮露出面積の比率」は、ユーザの頭皮被覆状態を示す数値であるから、構成Cの「ユーザの頭皮被覆状態」に相当するともいえる。また、構成cの「薄毛部面積算出手段15を有するコンピュータ」は、「薄毛部画像データ」を各処理手段でデータ処理分析して「薄毛部全体の面積に対する頭皮露出面積の比率」を求めるものであるから、「薄毛部画像データ」に基づいて「薄毛部全体の面積に対する頭皮露出面積の比率」を分析するものであるといえ、当該構成cの「薄毛部面積算出手段15を有するコンピュータ」は構成Cの「毛髪分析ユニット」に相当する。そうすると、構成c及びc1ないしc4の「標準化処理手段12と、強調処理手段13と、2値化処理手段14と、薄毛部面積算出手段15と、を有するコンピュータであって、標準化処理手段12において、得られた該薄毛部画像データを標準化処理し、強調処理手段13において、標準化された該薄毛部画像データを強調処理し、2値化処理手段14において、強調処理された該薄毛部画像データを、予め設定した該輝度、色相および彩度の3要素について頭皮および毛髪を判別する閾値に基づいて2値化処理し、薄毛部面積算出手段15において、2値化処理された該薄毛部画像データから薄毛部全体の面積に対する頭皮露出面積の比率を求め」ることと、構成Cの「b)毛髪分析ユニットであって、ユーザの頭皮被覆率を性別集団に対して予測するディープニューラルネットワークを使用することによって、前記画像に基づいて前記ユーザの頭皮被覆状態を分析すること」とは、「毛髪分析ユニットであって、」「前記画像に基づいて前記ユーザの頭皮被覆状態を分析すること」である点で共通する。
(エ)構成d及び構成eによれば、「出力手段16としてのCRT」は「薄毛部面積算出手段15を有するコンピュータ」に「接続」され、当該コンピュータから取得した情報である2値化処理された薄毛部画像等を当該CRTに提供してユーザに「表示する」ものであるから、「画像に基づいて前記ユーザの頭皮被覆状態を分析」した結果、すなわち分析結果も「表示する」ものといえる。そうすると、構成d及び構成eの「CRT」は、構成D及び構成Eの「ディスプレイユニット」に相当し、構成dと構成Dは、「分析結果をディスプレイユニットに提供」する点で共通し、構成eと構成Eは「前記分析結果を前記ユーザに表示するディスプレイユニットと、を備える」点で共通する。
(オ)構成fの「頭部の薄毛部面積を高精度に再現性よくかつ簡易、迅速に評価することができ」の「頭部の薄毛部面積」は、構成c4の「薄毛部全体の面積に対する頭皮露出面積の比率」に基づくものであるから、構成fの「頭部の薄毛部面積を高精度に再現性よくかつ簡易、迅速に評価することができ、店頭販売等において、各人に好適な育毛剤等を育毛剤等使用者に提供することを可能とし」は、構成D3の技術事項を備えるものであるといえる。
(カ)構成gの「薄毛部の頭皮露出面積データ」は、構成c4の「薄毛部全体の面積に対する頭皮露出面積の比率」に基づくものであるから、構成gの「薄毛部の頭皮露出面積データを用いて、育毛剤使用前後などの比較を行うと育毛剤の効果を再現性よくかつ簡易、迅速に評価することを可能とし」は、構成D4の技術事項を備えるものであるといえる。
(キ)上記「(ア)ないし(カ)」より、本件発明1と甲1発明は
「A 毛髪分析システムであって、
B’ ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉して、前記画像を毛髪分析ユニットに送信するための画像捕捉ユニットと、
C’ 毛髪分析ユニットであって、
前記画像に基づいて前記ユーザの頭皮被覆状態を分析することと、
D’ 分析結果をディスプレイユニットに提供することと、
D3 前記分析された頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の推奨、及び
D4 前記分析された頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の使用推奨
のうちの少なくとも1つを提供することと、を行う、毛髪分析ユニットと、
E’ 前記分析結果を前記ユーザに表示するディスプレイユニットと、
F を備える、毛髪分析システム。」
の発明である点で一致し、以下の相違点1ないし3で相違する。
<相違点1>(構成C)
毛髪分析ユニットにおいて「画像に基づいてユーザの頭皮被覆状態を分析する」際に、本件発明1では、「ユーザの頭皮被覆率を性別集団に対して予測するディープニューラルネットワークを使用することによって」行うのに対し、甲1発明は、薄毛部面積算出手段15を有するコンピュータにおいてそのように行うことが特定されていない点。
<相違点2>(構成D及び構成E)
「ディスプレイユニット」「に表示する」「分析結果」が、本件発明1は「前記分析された頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の推奨、及び前記分析された頭皮被覆状態に基づく毛髪製品の使用推奨のうちの少なくとも1つである」であるのに対し、甲1発明は、各人に好適な育毛剤、育毛剤の効果に関する情報が含まれるか否か明らかではない点。
<相違点3>(構成B)
「画像捕捉ユニット」が、本件発明1は「ユーザに前記ユーザ自身の頭部の画像を捕捉するためのガイダンスを提供し、前記ユーザの操作により前記ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉」するのに対し、甲1発明の撮像手段11は、上記構成を備えていない点。
イ 相違点の判断
事案に鑑み、相違点3について検討する。
(ア)本件出願の優先日前において、自分の顔を自分の操作で撮影する際に画面上のガイド表示、警告メッセージ表示、音声アナウンス等でガイダンスを提供して撮影を行う技術は、参考資料5ないし8開示技術にも開示されているように周知の技術であると認められるが、それら周知技術は、顔を所定の位置に位置づけするためのガイダンスをユーザに提供する技術にすぎず、頭部の頂部の画像を捕捉するためのガイダンスを提供する技術ではない。また、上記相違点3に係る「ユーザの操作により」「ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉」するための「ガイダンス」をユーザに提供する技術は、甲1ないし15及び参考資料1ないし8には開示されていない技術事項であり、かつ本願の優先日前において周知の技術であるとも認められない。
(イ)また、甲1発明は、甲第1号証の段落【0013】及び【0035】((甲1-イ)及び(甲1-エ)参照。)に記載されているとおり、頭部の薄毛部の画像を再現性のある撮像により取得し、当該撮像した画像から薄毛部面積を求め分析する発明であり、上記再現性のある撮像のために同段落【0046】、【0047】、【図2】及び【図3】((甲1-カ)、(甲1-サ)及び(甲1-シ)参照。)に開示された、頭部固定装置とディジタルカメラの相対位置を一定にした装置を用い、かつ同段落【0033】【0034】((甲1-エ)参照。)に開示されているように評価対象者の頭を動かすことにより調整して頭部固定装置に位置決めして評価対象者の頭を固定する発明である。すなわち、甲1発明は、ユーザ自身がユーザ自身の頭部の頂部の画像を撮影するために撮像手段11を操作する構成は採用しておらず、当該構成を採用すると甲1発明が解決しようとする課題である「頭部の薄毛部の画像を再現性のある撮像により取得」するという課題を解決することができなくなることから、当該構成を採用する動機はなく、むしろ阻害要因があるといえる。
(ウ)仮に甲1発明において、ユーザ自身がユーザ自身の頭部の頂部の画像を撮影するために撮像手段11を操作するという動機付けがあったとしても、上記「(ア)」で説示したように、上記相違点3に係る「ユーザの操作により」「ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部の画像を捕捉」するための「ガイダンス」をユーザに提供する技術が、本件出願の優先日前において周知であったとは認められないことから、甲1発明に、甲2ないし15号証に開示された技術事項や参考資料1ないし8にも開示されている周知技術を組み合わせても、上記相違点3に係る本件発明1の発明特定事項を有するものとはならない。
(2)本件発明2、3、5、6及び8について
本件発明2、3、5、6及び8は、本件訂正後の請求項1を引用する発明である。よって、上記「(1)」で検討したとおり、甲1発明に、甲2ないし15号証に開示された技術事項や参考資料1ないし8にも開示されている周知技術を組み合わせても、本件発明2、3、5、6及び8が備える上記相違点3に係る発明特定事項を有するものとはならない。
(3)本件発明9について
本件発明9は、上記「(1)」で検討した本件発明1のシステムの発明を方法のカテゴリーに変更した発明であるから、甲1発明と本件発明9も、上記「(1)」で検討したとおり、少なくとも上記相違点3で相違し、甲1発明に、甲2ないし15号証に開示された技術事項や参考資料1ないし8にも開示されている周知技術を組み合わせても、上記相違点3に係る発明特定事項を有するものとはならない。
(4)本件発明10、11及び14について
本件発明10、11及び14は、本件訂正後の請求項9を引用する発明である。よって、上記「(3)」で検討したとおり、甲1発明に、甲2ないし15号証に開示された技術事項や参考資料1ないし8にも開示されている周知技術を組み合わせても、本件発明10、11及び14が備える上記相違点3に係る発明特定事項を有するものとはならない。
(5)申立人の主張について
申立人は、令和6年9月6日提出の意見書において、上記相違点3に係る技術は、参考資料5から8に基づく周知技術B(「カメラやスマートフォン等のような撮像機能を持つ画像捕捉ユニットが、ユーザにユーザ自身の対象部位(捕捉対象となる部位)の画像を捕捉するためのガイダンスを提供し、そのユーザの操作によりユーザ自身の対象部位の画像を捕捉する」こと)を甲1発明に適用することにより、当業者が容易に想到し得たものである旨、及び甲1発明においてユーザの自撮り画像を用いることに関して阻害要因はない旨主張する。しかしながら、上記「(1)イ(ア)及び(ウ)」で説示したとおりであるから、上記申立人の主張は採用することができない。
(6)小括
したがって、本件発明1-3、5、6、8-11及び14は、甲1発明に、甲2ないし15号証に開示された技術事項や参考資料1ないし8にも開示されている周知技術を組み合わせても、上記相違点3に係る発明特定事項を有するものとはならず、当業者が容易になしえたものであるとはいえないから、本件特許の請求項1-3、5、6、8-11及び14に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。
4.取消理由(決定の予告)についてのまとめ
以上のことから、当審が令和6年2月7日付けで特許権者に通知した取消理由1は解消されており、本件特許の請求項1-3、5、6、8-11及び14に係る特許を取り消す理由とはならない。
第8 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
1.甲号証について
申立人が特許異議申立書において証拠として提示した甲号証及び申立人意見書において提示した参考資料は、上記「第4 1.」で整理し、その内容は「第6」に示したとおりである。
2.取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について
申立人が特許異議申立書において申し立てた理由のうち、上記「第5 1.」の取消理由通知で採用した理由以外の特許異議申立理由の概要は以下のとおりである。
(1)特許異議申立理由1(進歩性違反)
本件訂正前の請求項本件訂正前の請求項4、7、12及び13に係る発明は、甲第1号証に開示された発明、甲第2号証に開示された発明、及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、それらの特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。
(2)特許異議申立理由2(実施可能要件違反)
本件特許の明細書の発明の詳細な説明は、本件訂正前の請求項4及び12に係る発明について、当業者が当該発明を実施できる程度に明確かつ十分に記載されたものであるとはいえないことから、それらの特許は特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
(3)特許異議申立理由3(明確性要件違反)
本件訂正前の請求項1ないし14に係る発明は、当該請求項1ないし14の記載が、明確であるとはいえないことから、それらの特許は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。
3.当審の判断
(1)本件訂正前の請求項4、7、12及び13に対する特許異議申立理由1について
本件訂正により本件訂正前の請求項4、7、12及び13は削除された。よって、本件訂正前の請求項4、7、12及び13に対する特許異議申立理由1による特許異議申立ては却下されることとなる。
(2)本件訂正前の請求項4及び12に対する特許異議申立理由2について
本件訂正により本件訂正前の請求項4及び12は削除された。よって、本件訂正前の請求項4及び12に対する特許異議申立理由2による特許異議申立ては却下されることとなる。
(3)特許異議申立理由3について
ア 当該特許異議申立理由3は、令和5年3月20日提出の特許異議申立書(第35ないし40頁参照。)によれば、以下の(ア)ないし(カ)に記した6点の明確でない点を指摘するものである。
(ア)「毛髪被覆率」及び「頭皮被覆率の」の意味が明らかではない。
(イ)「頭皮被覆率」及び「頭皮被覆状態」の意味が明らかではない。
(ウ)「毛髪被覆率」と「毛髪被覆率の予測」との違い、「頭皮被覆状態」と「頭皮被覆状態の予測」との違い、のいずれも明らかではない。
(エ)「ユーザの頭部の少なくとも頂部の画像」には、ユーザの頭部のどこまでの範囲が示されている必要があるのか不明確である。
(オ)「前記毛髪製品を購入するための前記ユーザにとってのオプション」(請求項7及び13)の意味が明らかでない。
(カ)毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆率という割合を示すものが、「頭皮領域」、「毛量」、「毛量の太さの量」及び「毛髪の分け目」であることを特定する記載(請求項8及び14)は不適切であり、当該不適切な記載により特定される発明を明確に把握できるとは認められない。
イ 上記「ア(ア)ないし(カ)」の各指摘について検討する。
(ア)本件訂正により本件訂正前の請求項4、7、12及び13は削除された。よって、本件訂正前の請求項4、7、12及び13に対する特許異議申立理由3による特許異議申立ては却下されることとなる。
(イ)本件訂正により、本件訂正後の請求項1-3、5、6、8-11及び14は、「毛髪被覆率」という記載を含まないものとなった。ゆえに、上記「ア(ア)」を根拠とする特許異議申立理由3は、本件特許の請求項1-3、5、6、8-11及び14に係る特許を取り消す理由とはならない。
(ウ)本件発明1-3、5、6、8-11及び14は、ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部の画像から、ユーザの頭皮被覆状態を分析するものであることから、当該本件発明における「頭皮被覆状態」がユーザ自身の頭部の頂部の頭皮が、毛髪に覆われている状態を指すことは明らかであり、「頭皮被覆率」がユーザ自身の頭部の頂部の頭皮が、毛髪に覆われている割合(率)を指すことは明らかである。ゆえに、上記「ア(イ)」を根拠とする特許異議申立理由3は、本件特許の請求項1-3、5、6、8-11及び14に係る特許を取り消す理由とはならない。
(エ)本件訂正により、本件訂正後の請求項1ないし14は、「毛髪被覆率」、「毛髪被覆率の予測」及び「頭皮被覆状態の予測」という記載を含まないものとなった。そして「頭皮被覆状態」については、上記「(ウ)」で説示したとおり明確な記載である。ゆえに、上記「ア(ウ)」を根拠とする特許異議申立理由3は、本件特許の請求項1-3、5、6、8-11及び14に係る特許を取り消す理由とはならない。
(オ)本件発明1-3、5、6、8-11及び14は、上記「(ウ)」で説示したとおり、ユーザ自身の頭部の少なくとも頂部の画像から、ユーザの頭皮被覆状態を分析するものであることから、「ユーザの頭部の少なくとも頂部の画像」としては、ユーザの頭部の頂部が含まれ、その画像を分析することにより、ユーザ自身の頭部の頂部の頭皮が、毛髪に覆われている状態を分析することができるに足るものであることは明らかであり、当該画像の範囲としては「ユーザの頭部の少なくとも頂部」が含まれる画像であればその画像の境界範囲を特定しなくてもよいものである。よって、「ユーザの頭部の少なくとも頂部の画像」は、その画像の境界範囲を特定しなくても明確である。ゆえに、上記「ア(エ)」を根拠とする特許異議申立理由3は、本件特許の請求項1-3、5、6、8-11及び14に係る特許を取り消す理由とはならない。
(カ)本件訂正により、本件訂正後の請求項1ないし14は、「前記毛髪製品を購入するための前記ユーザにとってのオプション」という記載を含まないものとなった。ゆえに、上記「ア(オ)」を根拠とする特許異議申立理由3は、本件特許の請求項1-3、5、6、8-11及び14に係る特許を取り消す理由とはならない。
(キ)本件訂正により、本件訂正後の請求項8及び14は、「分析される前記頭皮被覆状態は、頭皮被覆率、頭皮領域、及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つである」という記載となり、本件訂正後の請求項1ないし14は、毛髪被覆率及び/又は頭皮被覆率という割合を示すものが、「頭皮領域」、「毛量」、「毛量の太さの量」及び「毛髪の分け目」であることを特定する記載を含まないものとなった。ゆえに、上記「ア(カ)」を根拠とする特許異議申立理由3は、本件特許の請求項1-3、5、6、8-11及び14に係る特許を取り消す理由とはならない。
ウ 小括
以上のことから、当該特許異議申立理由3は、本件特許の請求項1-3、5、6、8-11及び14に係る特許を取り消す理由とはならない。そして、本件訂正前の請求項4、7、12及び13に対する特許異議申立理由3による特許異議申立ては却下されることとなる。
4.取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由についてのまとめ
以上のことから、取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由である、特許異議申立理由3については、本件発明1-3、5、6、8-11及び14に対しいずれも理由はない。
なお、本件訂正前の請求項4、7、12及び13に対する特許異議申立理由1及び3、及び同請求項4及び12に対する特許異議申立理由2による特許異議申立ては却下されることとなる。
第9 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1-3、5、6、8-11及び14に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1-3、5、6、8-11及び14に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
そして、本件請求項4、7、12及び13に係る特許は、上記のとおり、訂正により削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項4、7、12及び13に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2023-700303