審決検索MVP
← 検索一覧に戻る
特許異議申立

2023-700781

ビールテイスト飲料

審判番号
2023-700781
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-213199
登録番号
7217333
請求日
2023年07月27日
審決日
2025年05月28日
公報発行日
2025年08月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】サントリーホールディングス株式会社
  • 【権利者代理人】小林 浩
  • 【権利者代理人】古橋 伸茂
  • 【権利者代理人】石原 俊秀
  • 【権利者代理人】末広 尚也
  • 【異議申立人】齊藤 恵美子
審判長/審判官
  • 審判長 植前 充司
  • 審判官 淺野 美奈
  • 審判官 天野 宏樹
分類
P1651.113-YAA(C12C) / P1651.121-YAA(C12C)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第9項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7217333号発明「ビールテイスト飲料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7217333号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕、〔10~11〕、13、14、15、16、17、18について訂正することを認める。 特許第7217333号の請求項1~18に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7217333号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~12に係る特許についての出願は、令和3年12月27日に出願され、令和5年1月25日にその特許権の設定登録(請求項の数12)がされ、同年2月2日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許について、同年7月27日に特許異議申立人齊藤恵美子(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立て(対象:全請求項)がされたものである。 その後の手続の経緯は以下のとおりである。 令和5年 9月25日付け:取消理由通知 同年11月27日 :意見書、訂正請求書の提出(特許権者) 令和6年 1月11日付け:訂正請求があった旨の通知 (特許法第120条の5第5項) 同年 2月 2日 :意見書の提出(申立人) 同年 2月15日付け:通知書(方式) 同年 3月 1日 :令和6年2月2日に提出した意見書に対する 手続補正書の提出(申立人) 同年 4月18日付け:取消理由通知(決定の予告) 同年 6月19日 :訂正請求書、意見書の提出(特許権者) 同年 7月18日付け:訂正請求があった旨の通知 (特許法第120条の5第5項) 同年 8月 6日 :意見書の提出(申立人) 同年11月18日付け:取消理由通知(決定の予告) 令和7年 1月10日 :訂正請求書、意見書の提出(特許権者) 上記のとおり、特許権者から令和7年1月10日に訂正請求書が提出され、訂正の請求がされたので、特許法第120条の5第7項の規定により、令和5年11月27日及び令和6年6月19日に提出された訂正請求書による訂正の請求は、いずれも取り下げられたものとみなす。 また、既に申立人に意見書の提出の機会が与えられており、下記第2のとおり、令和7年1月10日にされた訂正請求によって特許請求の範囲が相当程度減縮され、下記第6及び第7のとおり、提出された全ての証拠や意見等を踏まえて更に審理を進めたとしても特許を維持すべきとの結論となると合議体は判断したから、特許法第120条の5第5項ただし書に規定された特別の事情があるときに該当し、申立人に再度の意見書の提出の機会は与えない。 以下、令和7年1月10日に提出された訂正請求書を「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正の請求を「本件訂正請求」といい、本件訂正請求による訂正を「本件訂正」という。また、令和6年6月19日に提出された訂正請求書による訂正の請求を「先の訂正請求」といい、先の訂正請求による訂正を「先の訂正」という。 第2 訂正請求について 1.訂正の内容 本件訂正請求の趣旨は、「特許第7217333号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~11、13~18について訂正することを求める。」というものであり、本件訂正の内容は以下のとおりである。なお、以下において、隅付き括弧は「[ ]」と表記した。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「外観発酵度が90.0%以上、および、アルコール度数が12.0(v/v)%以上である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」と記載されているのを、「外観発酵度が95.0%以上、アルコール度数が15.0(v/v)%以上、および、苦味価が80.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」に訂正する。 請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2~9も同様に訂正する。 (2)訂正事項2 ア 訂正事項2-1 特許請求の範囲の請求項5に「麦芽比率が95質量%以下である、請求項1~4のいずれかに記載のビールテイスト飲料。」とあるうち、請求項2~4を引用するものについて、「麦芽比率が95質量%以下である、請求項2~4のいずれかに記載のビールテイスト飲料。」に訂正する。 請求項5の記載を直接又は間接的に引用する請求項6~9も同様に訂正する。 イ 訂正事項2-2 特許請求の範囲の請求項5に「麦芽比率が95質量%以下である、請求項1~4のいずれかに記載のビールテイスト飲料。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「外観発酵度が90.0%以上、アルコール度数が15.0(v/v)%以上、および、苦味価が10.0BUs以上70.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 麦芽比率が80質量%以下である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」と記載し、新たに請求項16とする。 (3)訂正事項3 ア 訂正事項3-1 特許請求の範囲の請求項6に「前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、請求項1~5のいずれかに記載のビールテイスト飲料。」とあるうち、請求項2~5を引用するものについて、「前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、請求項2~5のいずれかに記載のビールテイスト飲料。」に訂正する。 請求項6の記載を直接又は間接的に引用する請求項7~9も同様に訂正する。 イ 訂正事項3-2 特許請求の範囲の請求項6に「前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、請求項1~5のいずれかに記載のビールテイスト飲料。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「外観発酵度が94.0%以上、および、アルコール度数が15.5(v/v)%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」と記載し、新たに請求項14とする。 (3)訂正事項4 ア 訂正事項4-1 特許請求の範囲の請求項7に「原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、請求項1~6のいずれかに記載のビールテイスト飲料。」とあるうち、請求項2~6を引用するものについて、「原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、請求項2~6のいずれかに記載のビールテイスト飲料。」に訂正する。 請求項7の記載を直接又は間接的に引用する請求項8、9も同様に訂正する。 イ 訂正事項4-2 特許請求の範囲の請求項7に「原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、請求項1~6のいずれかに記載のビールテイスト飲料。」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「外観発酵度が94.0%以上、アルコール度数が15.0(v/v)%以上、および、苦味価が70.0BUs以下であり、原材料にホップを用い、原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」と記載し、新たに請求項15とする。 (4)訂正事項5 ア 訂正事項5-1 特許請求の範囲の請求項9に「下記式(1)を満たす、請求項1~8のいずれかに記載のビールテイスト飲料。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」とあるうち、請求項2、3、4、7、8を引用するものについて「下記式(1)を満たす、請求項2、3、4、7および8のいずれかに記載のビールテイスト飲料。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」に訂正する。 イ 訂正事項5-2 特許請求の範囲の請求項9に「下記式(1)を満たす、請求項1~8のいずれかに記載のビールテイスト飲料。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」とあるうち、請求項1を引用するものについて、独立形式に改め、 「外観発酵度が97.0%以上、アルコール度数が14.5(v/v)%以上、および、苦味価が60.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」と記載し、新たに請求項13とする。 ウ 訂正事項5-3 特許請求の範囲の請求項9に「下記式(1)を満たす、請求項1~8のいずれかに記載のビールテイスト飲料。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」とあるうち、請求項1を引用する請求項6を引用するものについて、独立形式に改め、 「外観発酵度が90.0%以上、アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下、苦味価が10.0BUs以上50.0BUs以下、および、pHが5.0以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料であり、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」と記載し、新たに請求項17とする。 エ 訂正事項5-4 特許請求の範囲の請求項9に「下記式(1)を満たす、請求項1~8のいずれかに記載のビールテイスト飲料。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」とあるうち、請求項1を引用する請求項5を引用するものについて、独立形式に改め、 「外観発酵度が94.0%以上、および、アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 麦芽比率が67質量%未満であり、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」と記載し、新たに請求項18とする。 (5)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項10に「外観発酵度が90.0%以上、且つ、アルコール度数が12.0(v/v)%以上となるように発酵させる発酵工程を有する、ビールテイスト飲料の製造方法(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法を除く)。」と記載されているのを、 「外観発酵度が95.0%以上、且つ、アルコール度数が15.0(v/v)%以上、および、苦味価が80.0BUs以下となるように発酵させる発酵工程を有し、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料の製造方法(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料の製造方法を除く)。」に訂正する。 請求項10の記載を引用する請求項11も同様に訂正する。 なお、訂正事項1~5に係る訂正前の請求項1~9について、請求項2~9は請求項1を直接又は間接的に引用する関係にあり、訂正後の請求項1~9及び13~18は訂正事項1~5によって直接又は連動して訂正される。 また、訂正事項6に係る訂正前の請求項10及び11について、請求項11は請求項10を引用する関係にあり、訂正後の請求項10及び11は訂正事項6によって直接又は連動して訂正される。 よって、本件訂正は一群の請求項1~9及び13~18並びに10及び11について請求されたものである。 2.訂正の適否 (1)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について ア 訂正事項1について 訂正事項1は、本件訂正前の請求項1に記載されていた外観発酵度「90.0%以上」を、願書に添付した明細書の[0008]の記載に基づいて「95.0%以上」に訂正し、アルコール度数「12.0(v/v)%以上」を、願書に添付した明細書の[0011]の記載に基づいて「15.0(v/v)%以上」に訂正し、願書に添付した明細書の[0029]及び[0019]の記載に基づいて、「苦味価が80.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる」という発明特定事項を本件訂正前の請求項1の発明特定事項に直列的に付加し、さらに、本件訂正前の請求項1から「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」を除くものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正である。また、訂正事項1は特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないことも明らかである。そして、請求項1を直接又は間接的に引用する請求項2~9も同様である。 よって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 イ 訂正事項2について (ア)訂正事項2-1について 訂正事項2-1は、本件訂正前の請求項5が「請求項1~4のいずれか」を引用していたところ、請求項1を直接引用する部分を削除し、「請求項2~4のいずれか」を引用するものに訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正である。また、訂正事項2-1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないことも明らかである。そして、請求項5を直接又は間接的に引用する請求項6~9も同様である。 よって、訂正事項2-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (イ)訂正事項2-2について 訂正事項2-2は、本件訂正前の請求項5が「請求項1~4のいずれか」を引用していたところ、請求項1を引用するものを訂正後の請求項16とし、同時に、請求項1との引用関係を解消し、訂正前の請求項5及び1の発明特定事項に基づいて請求項16を書き改め、さらに、本件訂正前の請求項5が引用する請求項1に記載されていたアルコール度数「12.0(v/v)%以上」を、願書に添付した明細書の[0011]の記載に基づいて「15.0(v/v)%以上」に訂正し、願書に添付した明細書の[0029]及び[0019]の記載に基づいて、「苦味価が10.0BUs以上70.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる」という発明特定事項を本件訂正前の請求項5及び1に記載されていた発明特定事項に直列的に付加し、本件訂正前の請求項5に記載されていた麦芽比率「95質量%以下」を、願書に添付した明細書の[0022]の記載に基づいて「80質量%以下」に訂正するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正である。また、訂正事項2-2は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないことも明らかである。 よって、訂正事項2-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 ウ 訂正事項3について (ア)訂正事項3-1について 訂正事項3-1は、本件訂正前の請求項6が「請求項1~5のいずれか」を引用していたところ、請求項1を直接引用する部分を削除し、「請求項2~5のいずれか」を引用するものに訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正である。また、訂正事項3-1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないことも明らかである。そして、請求項6を直接又は間接的に引用する請求項7~9も同様である。 よって、訂正事項3-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (イ)訂正事項3-2について 訂正事項3-2は、本件訂正前の請求項6が「請求項1~5のいずれか」を引用していたところ、請求項1を引用するものを訂正後の請求項14とし、同時に、請求項1との引用関係を解消し、訂正前の請求項6及び1の発明特定事項に基づいて請求項14を書き改め、さらに、本件訂正前の請求項6が引用する請求項1に記載されていた外観発酵度「90.0%以上」を、願書に添付した明細書の[0008]の記載に基づいて「94.0%以上」に訂正し、アルコール度数「12.0(v/v)%以上」を、願書に添付した明細書の[0011]の記載に基づいて「15.5(v/v)%以上」に訂正し、願書に添付した明細書の[0019]の記載に基づいて、「原材料にホップを用いる」という発明特定事項を本件訂正前の請求項6及び1に記載されていた発明特定事項に直列的に付加し、加えて、請求項14から「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」を除くものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正である。また、訂正事項3-2は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないことも明らかである。 よって、訂正事項3-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 エ 訂正事項4について (ア)訂正事項4-1について 訂正事項4-1は、本件訂正前の請求項7が「請求項1~6のいずれか」を引用していたところ、請求項1を直接引用する部分を削除し、「請求項2~6のいずれか」を引用するものに訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正である。また、訂正事項4-1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないことも明らかである。そして、請求項7を直接又は間接的に引用する請求項8、9も同様である。 よって、訂正事項4-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (イ)訂正事項4-2について 訂正事項4-2は、本件訂正前の請求項7が「請求項1~6のいずれか」を引用していたところ、請求項1を引用するものを訂正後の請求項15とし、同時に、請求項1との引用関係を解消し、訂正前の請求項7及び1の発明特定事項に基づいて請求項15を書き改め、さらに、本件訂正前の請求項7が引用する請求項1に記載されていた外観発酵度「90.0%以上」を、願書に添付した明細書の[0008]の記載に基づいて「94.0%以上」に訂正し、アルコール度数「12.0(v/v)%以上」を、願書に添付した明細書の[0011]の記載に基づいて「15.0(v/v)%以上」に訂正し、願書に添付した明細書の[0029]及び[0019]の記載に基づいて、「苦味価が70.0BUs以下であり、原材料にホップを用い」という発明特定事項を本件訂正前の請求項7及び1に記載されていた発明特定事項に直列的に付加し、加えて、請求項15から「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」を除くものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正である。また、訂正事項4-2は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないことも明らかである。 よって、訂正事項4-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 オ 訂正事項5について (ア)訂正事項5-1について 訂正事項5-1は、本件訂正前の請求項9が「請求項1~8のいずれか」を引用していたところ、請求項1、5、6を引用する部分を削除し、「請求項2、3、4、7および8のいずれか」を引用するものに訂正するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正である。また、訂正事項5-1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないことも明らかである。 よって、訂正事項5-1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (イ)訂正事項5-2について 訂正事項5-2は、本件訂正前の請求項9が「請求項1~8のいずれか」を引用していたところ、請求項1を引用するものを訂正後の請求項13とし、同時に、請求項1との引用関係を解消し、訂正前の請求項9及び1の発明特定事項に基づいて請求項13を書き改め、さらに、本件訂正前の請求項9が引用する請求項1に記載されていた外観発酵度「90.0%以上」を、願書に添付した明細書の[0008]の記載に基づいて「97.0%以上」に訂正し、アルコール度数「12.0(v/v)%以上」を、願書に添付した明細書の[0011]の記載に基づいて「14.5(v/v)%以上」に訂正し、願書に添付した明細書の[0029]及び[0019]の記載に基づいて、「苦味価が60.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる」という発明特定事項を本件訂正前の請求項9及び1に記載されていた発明特定事項に直列的に付加し、本件訂正前の請求項9に記載されていた「式(1):X×Y≧700」を、願書に添付した明細書の[0015]の記載に基づいて「式(1):X×Y≧1350」に訂正し、加えて、請求項13から「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」を除くものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正である。また、訂正事項5-2は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないことも明らかである。 よって、訂正事項5-2は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (ウ)訂正事項5-3について 訂正事項5-3は、本件訂正前の請求項9が「請求項1~8のいずれか」を引用していたところ、請求項1を引用する請求項6を引用するものを訂正後の請求項17とし、同時に、請求項1及び6との引用関係を解消し、訂正前の請求項9、6及び1の発明特定事項に基づいて請求項17を書き改め、さらに、本件訂正前の請求項9が引用する請求項6が引用する請求項1に記載されていたアルコール度数「12.0(v/v)%以上」を、願書に添付した明細書の[0011]の記載に基づいて「12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下」に訂正し、願書に添付した明細書の[0029]、[0016]及び[0019]の記載に基づいて、「苦味価が10.0BUs以上50.0BUs以下」、「pHが5.0以下であり」及び「原材料にホップを用いる」という発明特定事項を本件訂正前の請求項9、6及び1に記載されていた発明特定事項に直列的に付加し、本件訂正前の請求項9に記載されていた「式(1):X×Y≧700」を、願書に添付した明細書の[0015]の記載に基づいて「式(1):X×Y≧1350」に訂正するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正である。また、訂正事項5-3は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないことも明らかである。 よって、訂正事項5-3は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (エ)訂正事項5-4について 訂正事項5-4は、本件訂正前の請求項9が「請求項1~8のいずれか」を引用していたところ、請求項1を引用する請求項5を引用するものを訂正後の請求項18とし、同時に、請求項1及び5との引用関係を解消し、訂正前の請求項9、5及び1の発明特定事項に基づいて請求項18を書き改め、さらに、本件訂正前の請求項9が引用する請求項5が引用する請求項1に記載されていた外観発酵度「90.0%以上」を、願書に添付した明細書の[0008]の記載に基づいて「94.0%以上」に訂正し、アルコール度数「12.0(v/v)%以上」を、願書に添付した明細書の[0011]の記載に基づいて「12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下」に訂正し、願書に添付した明細書の[0019]の記載に基づいて、「原材料にホップを用いる」という発明特定事項を本件訂正前の請求項9、5及び1に記載されていた発明特定事項に直列的に付加し、本件訂正前の請求項9が引用する請求項5に記載されていた麦芽比率「95質量%以下」を、願書に添付した明細書の[0022]の記載に基づいて「67質量%未満」に訂正するものであるから、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正である。また、訂正事項5-4は、他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないことも明らかである。 よって、訂正事項5-4は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮及び同第4号に掲げる他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすることを目的とするものであり、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 カ 訂正事項6について 訂正事項6は、本件訂正前の請求項10に記載されていた外観発酵度「90.0%以上」を、願書に添付した明細書の[0008]の記載に基づいて「95.0%以上」に訂正し、アルコール度数「12.0(v/v)%以上」を、願書に添付した明細書の[0011]の記載に基づいて「15.0(v/v)%以上」に訂正し、願書に添付した明細書の[0029]及び[0019]の記載に基づいて、「苦味価が80.0BUs以下」及び「原材料にホップを用いる」という発明特定事項を本件訂正前の請求項10の発明特定事項に直列的に付加し、さらに、請求項10から「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料の製造方法」を除くものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、願書に添付した明細書又は特許請求の範囲に記載した事項の範囲内の訂正である。また、訂正事項6は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではないことも明らかである。そして、請求項10を引用する請求項11も同様である。 よって、訂正事項6は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (2)独立特許要件について 本件においては、訂正前のすべての請求項1~12に対して特許異議の申立てがなされているので、訂正前の請求項1~9に係る訂正事項1~5並びに訂正前の請求項10及び11に係る訂正事項6については、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 3.訂正請求についてのまとめ 以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同法同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 また、特許権者は、訂正後の請求項13~18について、訂正が認められる場合には一群の請求項の他の請求項とは別の訂正単位とすることを求めている。 よって、訂正後の請求項〔1~9〕、〔10~11〕、13、14、15、16、17、18について訂正することを認める。 第3 本件発明 上記第2のとおり、本件訂正は認められるから、本件特許の請求項1~18に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明18」という。まとめて、「本件発明」ということもある。)は、それぞれ、本件訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1~18に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「[請求項1] 外観発酵度が95.0%以上、アルコール度数が15.0(v/v)%以上、および、苦味価が80.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。 [請求項2] 全窒素量が68mg/100mL以上である、請求項1に記載のビールテイスト飲料。 [請求項3] 麦芽比率が40質量%以上である、請求項1または2に記載のビールテイスト飲料。 [請求項4] 麦芽比率が50質量%以上である、請求項1または2に記載のビールテイスト飲料。 [請求項5] 麦芽比率が95質量%以下である、請求項2~4のいずれかに記載のビールテイスト飲料。 [請求項6] 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、請求項2~5のいずれかに記載のビールテイスト飲料。 [請求項7] 原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、請求項2~6のいずれかに記載のビールテイスト飲料。 [請求項8] 前記ビールテイスト飲料がビールである、請求項1~7のいずれかに記載のビールテイスト飲料。 [請求項9] 下記式(1)を満たす、請求項2、3、4、7および8のいずれかに記載のビールテイスト飲料。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。] [請求項10] 外観発酵度が95.0%以上、且つ、アルコール度数が15.0(v/v)%以上、および、苦味価が80.0BUs以下となるように発酵させる発酵工程を有し、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料の製造方法(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料の製造方法を除く)。 [請求項11] エタノールの添加工程およびエタノール含有組成物添加工程を有さない、請求項10に記載の製造方法。 [請求項12] 外観発酵度が90.0%以上、および、アルコール度数が12.0(v/v)%以上となるように調整する工程を有する、ビールテイスト飲料の香味改善方法(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の香味改善方法を除く)。 [請求項13] 外観発酵度が97.0%以上、アルコール度数が14.5(v/v)%以上、および、苦味価が60.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。] [請求項14] 外観発酵度が94.0%以上、および、アルコール度数が15.5(v/v)%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。 [請求項15] 外観発酵度が94.0%以上、アルコール度数が15.0(v/v)%以上、および、苦味価が70.0BUs以下であり、原材料にホップを用い、原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。 [請求項16] 外観発酵度が90.0%以上、アルコール度数が15.0(v/v)%以上、および、苦味価が10.0BUs以上70.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 麦芽比率が80質量%以下である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 [請求項17] 外観発酵度が90.0%以上、アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下、苦味価が10.0BUs以上50.0BUs以下、および、pHが5.0以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料であり、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。] [請求項18] 外観発酵度が94.0%以上、および、アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 麦芽比率が67質量%未満であり、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 第4 特許異議申立理由の概要 申立人は、令和5年7月27日に特許異議申立書(以下、「申立書」という。)及び証拠方法として下記2.に示す甲第1号証~甲第21号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲21」のようにいう。)を提出し、概略、以下の(1)~(3)の特許異議申立理由を主張している。 また、申立人は令和6年2月2日に意見書及び証拠方法として下記2.に示す甲第22号証~甲第26号証(以下、それぞれ「甲22」~「甲26」のようにいう。)を提出し、概略、以下の(4)~(6)の特許異議申立理由を主張している。 さらに、申立人は令和6年8月6日に意見書及び証拠方法として下記2.に示す甲第27号証~甲第38号証(以下、それぞれ「甲27」~「甲38」のようにいう。)を提出し、概略、以下の(7)の特許異議申立理由を主張している。 申立理由の番号は当審が仮に付与した。 1.特許異議申立理由 (1)申立理由1(甲1に基づく新規性欠如・進歩性欠如) 本件特許の請求項1~4及び6~12に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではなく、また、本件特許の請求項1~12に係る発明は、甲1に記載された発明に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、同法同条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (2)申立理由2(甲2に基づく新規性欠如・進歩性欠如) 本件特許の請求項1~12に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではなく、また、本件特許の請求項1~12に係る発明は、甲2に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法同条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (3)申立理由3(甲3に基づく新規性欠如・進歩性欠如) 本件特許の請求項1~12に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲3に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではなく、また、本件特許の請求項1~12に係る発明は、甲3に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法同条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (4)申立理由4(甲17に基づく新規性欠如・進歩性欠如) 本件特許の請求項1~11に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲17に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではなく、また、本件特許の請求項1~11に係る発明は、甲17に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法同条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (5)申立理由5(甲18又は甲21に基づく進歩性欠如) 本件特許の請求項1~11に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲18又は甲21に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (6)申立理由6(甲23~甲25に基づく新規性欠如・進歩性欠如) 本件特許の請求項1~14に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲23~甲25に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではなく、また、本件特許の請求項1~14に係る発明は、甲23~甲25に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法同条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 (7)申立理由7(甲27~甲38に基づく新規性欠如・進歩性欠如) 本件特許の請求項1~15に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲27~甲38に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではなく、また、本件特許の請求項1~15に係る発明は、甲27~甲38に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法同条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 ●申立理由の枝番、主たる証拠と申立対象発明(先の訂正)との対応関係は以下のとおりである。 申立理由7-1 甲27:本件発明1及び3~13 申立理由7-2 甲28:本件発明2~9及び12~15 申立理由7-3 甲29:本件発明2~7、9、12、13及び15 申立理由7-4 甲30:本件発明1、3~12及び15 申立理由7-5 甲31:本件発明2~9及び12~15 申立理由7-6 甲32:本件発明1及び3~14 申立理由7-7 甲33:本件発明1及び3~15 申立理由7-8 甲34:本件発明1及び3~15 申立理由7-9 甲35:本件発明1、3~12及び15 申立理由7-10 甲36:本件発明2~9及び12~15 申立理由7-11 甲37:本件発明1、5~12及び15 申立理由7-12 甲38:本件発明1、3、5~12及び15 2.証拠方法 甲1:The Journal of Brewing Society of Japan,2003年,vol.98,No.5,p.376-385 甲2:BeerSmith Recipe Cloud,"Rochefort 10 Clone",BeerSmith LLC,web archive 2016年12月6日,印刷日2023年6月30日,URL:https://web.archive.org/web/20161206033412/https://beersmithrecipes.com/viewrecipe/896643/rochefort-10-clone 甲3:Brew.Drink. Report.,"Brewing High Gravity Beers",Nordeast Brewers Alliance,web archive 2020年11月12日,印刷日2023年7月7日,URL:https://web.archive.org/web/20201112003127/https://www.nordeastbrewersalliance.org/education/education/nicks-tips-for-brewing-high-gravity-beers/ 甲4:Journal of the Institute of Brewing,2009年,vol.115,No.4,p.318-327 甲5:財団法人日本醸造協会編,"醸造物の成分",財団法人日本醸造協会,平成11年12月10日,p.196-201 甲6:Wolfgang Kunze,"TECHNOLOGY BREWING AND MALTING INTERNATIONAL EDITION",VLB Berlin, Verlagsabteilung,1996年,p.562-563 甲7:財団法人日本醸造協会編,"醸造物の成分",財団法人日本醸造協会,平成11年12月10日,p.181 甲8:吉田重厚,"英独和ビール用語辞典",財団法人日本醸造協会,平成16年2月15日,p.164-165 甲9:Stan Hieronymus,"Over the Top: Brewing High-Gravity Beers",Craft Beer & Brewing ホームページ,2015年12月15日,印刷日2023年7月16日,URL:https://beerandbrewing.com/over-the-top-brewing-high-gravity-beers/ 甲10:Jim Busch,"Brewing Strong Beer",MoreBeer!ホームページ,2013年3月14日,印刷日2023年7月16日,URL: https://www.morebeer.com/articles/brewing_strong_beer 甲11:宮地秀夫,"ビール醸造技術",初版,株式会社食品産業新聞社,1999年12月28日,p.276-279 甲12:Science & Technology Development,2011年,Vol.14,No. K4,p.5-15 甲13:特許第6604849号公報 甲14:Journal of the American Society of Brewing Chemists,2015年,vol.73,No.3,p.275-279 甲15:特許第6698197号公報 甲16:BrewDog Recipes,"TRIPEL SMALL BATCH",BrewDog Recipesホームページ,2017年1月,印刷日2023年7月16日,URL:https://brewdogrecipes.com/recipes/tripel-small-batch 甲17:BrewDog Recipes,"DOG B",BrewDog Recipesホームページ,2013年5月,印刷日2023年7月16日,URL:https://brewdogrecipes.com/recipes/dog-b 甲18:BrewDog Recipes,"DOG C",BrewDog Recipesホームページ,2014年5月,印刷日2023年7月16日,URL:https://brewdogrecipes.com/recipes/dog-c 甲19:BrewDog Recipes,"AB:02",BrewDog Recipesホームページ,2010年5月,印刷日2023年7月16日,URL:https://brewdogrecipes.com/recipes/ab02 甲20:BrewDog Recipes,"ANARCHIST ALCHEMIST",BrewDog Recipesホームページ,2012年3月,印刷日2023年7月16日,URL:https://brewdogrecipes.com/recipes/anarchist-alchemist 甲21:BrewDog Recipes,"DOG A",BrewDog Recipesホームページ,2012年5月,印刷日2023年7月16日,URL:https://brewdogrecipes.com/recipes/dog-a 甲22:Brewer's Friend Homebrew Beer Recipes,"Flaked Oats",Brewer's Friendホームページ,印刷日2024年1月25日,URL:https://www.brewersfriend.com/fermentables/flaked-oats/ "EXPORT"→"HTML"を選択し表示されたページを印刷 甲23:Brewer's Friend Homebrew Beer Recipes,"10 Year Ale-Definately Sozzled",Brewer's Friendホームページ,2021年10月1日,印刷日2024年1月25日,URL:https://www.brewersfriend.com/homebrew/recipe/view/1004295/10-year-ale-definately-sozzled "EXPORT"→"HTML"を選択し表示されたページを印刷 甲24:Brewer's Friend Homebrew Beer Recipes,"#142 candi smash quad",Brewer's Friendホームページ,2021年6月21日,印刷日2024年1月25日,URL:https://www.brewersfriend.com/homebrew/recipe/view/1159179/-142-candi-smasch-quad "EXPORT"→"HTML"を選択し表示されたページを印刷 甲25:Brewer's Friend Homebrew Beer Recipes,"high gravity rye lager",Brewer's Friendホームページ,2019年10月2日,印刷日2024年1月25日,URL:https://www.brewersfriend.com/homebrew/recipe/view/889745/high-gravity-rye-lager "EXPORT"→"HTML"を選択し表示されたページを印刷 甲26:Wolfgang Kunze,"TECHNOLOGY BREWING AND MALTING INTERNATIONAL EDITION",VLB Berlin, Verlagsabteilung,1996年,p.190-203, 323-341 甲27:BeerSmithTM Recipes and Web Editor,"DEUS-3",BeerSmith LLC,2017年1月12日,印刷日2024年7月29日,URL:https://beersmithrecipes.com/viewrecipe/1390002/deus-3 甲28:Brewer's Friend Homebrew Beer Recipes,"takamisan",Brewer's Friendホームページ,2021年11月24日,印刷日2024年7月30日,URL:https://www.brewersfriend.com/homebrew/recipe/view/1222371/takamisan "EXPORT"→"HTML"を選択し表示されたページを印刷 甲29:BeerSmithTM Recipes and Web Editor,"BARLEY holrits",BeerSmith LLC,2015年9月19日,印刷日2024年7月30日,URL:https://beersmithrecipes.com/viewrecipe/900087 甲30:BeerSmithTM Recipes and Web Editor,"Maple Grove Barleywine",BeerSmith LLC,2017年9月4日,印刷日2024年7月30日,URL:https://beersmithrecipes.com/viewrecipe/1640115/maple-grove-barleywine 甲31:BeerSmithTM Recipes and Web Editor,"yiganqingtai32",BeerSmith LLC,2019年6月2日,印刷日2024年7月30日,URL:https://beersmithrecipes.com/viewrecipe/2520061/yiganqingtai32 甲32:Brewer's Friend Homebrew Beer Recipes,"Honey Bee Braggot",Brewer's Friendホームページ,2015年3月31日,印刷日2024年7月30日,URL:https://www.brewersfriend.com/homebrew/recipe/view/230557/honey-bee-braggot "EXPORT"→"HTML"を選択し表示されたページを印刷 甲33:BeerSmithTM Recipes and Web Editor,"Westvleteren 12 Clone",BeerSmith LLC,2015年5月15日,印刷日2024年7月30日,URL:https://beersmithrecipes.com/viewrecipe/782272/westvleteren-12-clone 甲34:BeerSmithTM Recipes and Web Editor,"Why did I drink that Belgian Dark Ale",BeerSmith LLC,2017年4月27日,印刷日2024年7月30日,URL:https://beersmithrecipes.com/viewrecipe/1511092/why-did-i-drink-that-belgian-dark-ale 甲35:Brewer's Friend Homebrew Beer Recipes,"Brewer's Friend",Brewer's Friendホームページ,2021年9月8日,印刷日2024年7月31日,URL:https://www.brewersfriend.com/homebrew/recipe/view/1193316/brewer-s-friend "EXPORT"→"HTML"を選択し表示されたページを印刷 甲36:Brewer's Friend Homebrew Beer Recipes,"Chocolate Imperial Stout",Brewer's Friendホームページ,2021年11月22日,印刷日2024年7月31日,URL:https://www.brewersfriend.com/homebrew/recipe/view/1218796/chocolate-imperial-stout "EXPORT"→"HTML"を選択し表示されたページを印刷 甲37:Brewer's Friend Homebrew Beer Recipes,"#35 Honeycake Braggot",Brewer's Friendホームページ,2018年11月19日,印刷日2024年7月31日,URL:https://www.brewersfriend.com/homebrew/recipe/view/694074/-35-honeycake-braggot "EXPORT"→"HTML"を選択し表示されたページを印刷 甲38:Brewer's Friend Homebrew Beer Recipes,"Island Bill's Haze",Brewer's Friendホームページ,2019年3月27日,印刷日2024年7月31日,URL:https://www.brewersfriend.com/homebrew/recipe/view/803478/island-bill-s-Haze "EXPORT"→"HTML"を選択し表示されたページを印刷 なお、証拠の表記は当審による。 第5 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由の概要 先の訂正請求により訂正された本件発明についての特許に対して、令和6年11月18日付け取消理由通知(決定の予告)で特許権者に通知した取消理由の概要は、以下のとおりである。 取消理由5(甲27~甲38に基づく新規性欠如・進歩性欠如) 本件特許の請求項1~11及び13~15に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲27~甲38に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができるものではなく、また、本件特許の請求項1~11及び13~15に係る発明は、甲27~甲38に記載された発明に基づいて、その出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、同法同条第2項の規定により特許を受けることができるものではなく、それらの発明についての特許は同法第29条の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。 ●取消理由の枝番、主たる証拠と取消対象発明(先の訂正)との対応関係は以下のとおりである。取消理由5-1~5-12は、それぞれ、申立理由7-1~7-12に対応する。取消理由5の各取消対象発明は、申立理由7の各申立対象発明から本件発明12を除いた発明である。 取消理由5-1 甲27:本件発明1、3~11及び13 取消理由5-2 甲28:本件発明2~9及び13~15 取消理由5-3 甲29:本件発明2~7、9、13及び15 取消理由5-4 甲30:本件発明1、3~11及び15 取消理由5-5 甲31:本件発明2~9及び13~15 取消理由5-6 甲32:本件発明1、3~11、13及び14 取消理由5-7 甲33:本件発明1、3~11及び13~15 取消理由5-8 甲34:本件発明1、3~11及び13~15 取消理由5-9 甲35:本件発明1、3~11及び15 取消理由5-10 甲36:本件発明2~9及び13~15 取消理由5-11 甲37:本件発明1、5~11及び15 取消理由5-12 甲38:本件発明1、3、5~11及び15 第6 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由(取消理由5)及び同じ証拠に基づく申立理由(申立理由7)についての判断 当審は、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由5(甲27~甲38に基づく新規性欠如・進歩性欠如)によって本件発明についての特許を取り消すことはできないと判断する。 また、証拠が多数であることに鑑み、取消理由5に対応する申立理由7(甲27~甲38に基づく新規性欠如・進歩性欠如)のうち、取消理由通知(決定の予告)では対象外とした本件発明12に係る発明についての判断も、まとめて示す。 理由は以下のとおり。 なお、概略、先の訂正の本件発明1~12は本件発明1~12に対応し、先の訂正の本件発明13は本件発明14に対応し、先の訂正の本件発明14は本件発明13に対応し、先の訂正の本件発明15は本件発明17に対応し、また、先の訂正の本件発明7、5及び9の一部がそれぞれ本件発明15、16及び18に対応するものとして、取消理由5が解消しているか検討した。 ●念のため、取消理由の枝番と主たる証拠、並びに取消対象であった発明(本件訂正)との対応関係を整理すると、以下のとおりである。 取消理由5-1 甲27:本件発明1、3~11、14~16及び18 取消理由5-2 甲28:本件発明2~9及び13~18 取消理由5-3 甲29:本件発明2~7、9及び14~18 取消理由5-4 甲30:本件発明1、3~11及び15~18 取消理由5-5 甲31:本件発明2~9及び13~18 取消理由5-6 甲32:本件発明1、3~11、13~16及び18 取消理由5-7 甲33:本件発明1、3~11及び13~18 取消理由5-8 甲34:本件発明1、3~11及び13~18 取消理由5-9 甲35:本件発明1、3~11及び15~18 取消理由5-10 甲36:本件発明2~9及び13~18 取消理由5-11 甲37:本件発明1、5~11及び15~18 取消理由5-12 甲38:本件発明1、3、5~11及び15~18 1.取消理由5-1(甲27に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-1(甲27に基づく新規性欠如・進歩性欠如)について (1)甲27に記載された事項 甲27には以下の事項が記載されている。いずれの記載事項も、概ね申立人が提出した翻訳文に基づいて示す。翻訳の都合上、表の形式は原文と異なることがある。 なお、甲28~甲38も、大凡、甲27と同様の様式でビールの名称、発酵原料及び分析結果が記載された証拠であるが、これらの証拠からの摘記は省略した。 (甲27-1)「DEUS-3」(1頁1行) (甲27-2)「 [図:0001425703000001.jpg] 」(1頁左上欄) (甲27-3)「 [図:0001425703000002.jpg] 」(1頁原料の表) (2)甲27に記載された発明 甲27に記載された事項を整理すると、甲27には以下の発明が記載されている。 「小さじ5.26 乳酸(マッシュ60分) 28ポンド10.56オンス ペールモルト(2ロウ)UK産(3.0SRM) 2ポンド13.86オンス アシッドモルト(3.0SRM) 3.53オンス テトナング[3.1%]-煮沸30分 39.47g コリアンダーシード(煮沸5分) 13ポンド3.64オンス キャンディーシュガー,クリア[一次発酵](0.5SRM) 2ポンド3.27オンス コーンシュガー(デキストロース)[一次発酵](0.0SRM) 3.0パッケージ シャンパン酵母(White Labs #WLP715) 2.0パッケージ ベルギーゴールデンエール(White Labs #WLP570) を原料とする、オリジナルエキス比重1.102(24.3質量%(°P))、外観エキス比重0.999(-0.3質量%(°P))、アルコール度数14.0v/v%、苦味価(IBU)9.8、色度(SRM)5.8の、ビール。」(以下、「甲27発明A」という。) 「シャンパン酵母(White Labs #WLP715)及びベルギーゴールデンエール(White Labs #WLP570)による発酵工程を有する甲27発明Aの製造方法。」(以下、「甲27発明B」という。) (3)本件発明1について ア 本件発明1と甲27発明Aとの対比 以下、原料の量を1ポンド=16オンス=453.59237gとして換算する。 本件明細書の[0009]に記載された式(1)に従って、甲27発明Aのオリジナルエキス(°P)及び外観エキス(°P)から外観発酵度を計算すると、 式(1):外観発酵度AA(%)=100×(オリジナルエキスP-外観エキスEs)/オリジナルエキスP=100×(24.3-(-0.3))/24.3=101.2%であるから、甲27発明Aにおける外観発酵度は、本件発明1における「外観発酵度が95.0%以上」を満たしている。 甲27発明Aにおける「苦味価(IBU)9.8」は、本件発明1における「苦味価が80.0BUs以下であり」を満たしている。 甲27発明Aにおける「3.53オンス テトナング[3.1%]-煮沸30分」は、本件発明1における「原材料にホップを用いる」を満たしている。 甲27発明Aにおける「ビール」は、本件発明1における「ビールテイスト飲料」に相当する。 甲27には、甲27発明Aの製造工程として、「原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程」及び「ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程」は記載されていないから、甲27発明Aが、「(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料・・・を除く)」との発明特定事項により除外されていると直ちにいうことはできない。 甲27発明Aにおける麦芽重量は、「28ポンド10.56オンス ペールモルト(2ロウ)UK産(3.0SRM)」+「2ポンド13.86オンス アシッドモルト(3.0SRM)」=31ポンド8.42オンス=14.30kgである。 甲27発明Aにおける水及びホップ以外の原料の重量は、麦芽重量14.30kg+「39.47g コリアンダーシード(煮沸5分)」+「13ポンド3.64オンス キャンディーシュガー,クリア[一次発酵](0.5SRM)」+「2ポンド3.27オンス コーンシュガー(デキストロース)[一次発酵](0.0SRM)」=14.30kg+39.47g+15ポンド6.91オンス(7.00kg)=21.34kgである。 これらから甲27発明Aの麦芽比率を求めると、14.30/21.34×100=67.0質量%であるから、甲27発明Aは、本件発明1において「除く」ものとされている「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」には該当しない。 そうすると、本件発明1と甲27発明Aとは、 「外観発酵度が95.0%以上、および、苦味価が80.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲27-1:本件発明1は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲27発明Aは「アルコール度数14.0v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲27-1について検討する。 イ 相違点甲27-1について まず、相違点甲27-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲27は「DEUS-3」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲27及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲27発明Aにおけるアルコール度数を15.0(v/v)%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲27-1に係る本件発明1の発明特定事項は、甲27発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立人が提出した申立書、令和6年2月2日付け意見書及び同年8月6日付け意見書(以下、「申立書等」という。)を参照しても、甲27発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者がアルコール度数に着目し、さらに相違点甲27-1に係る15.0(v/v)%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明1についてのまとめ 以上のことから、本件発明1は甲27発明Aではなく、かつ、甲27発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明3~9について 本件発明3~9は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(3)で検討した本件発明1と同様の理由により、本件発明3~9は、いずれも甲27発明Aではなく、かつ、甲27発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明10について ア 本件発明10と甲27発明Bとの対比 本件発明10と甲27発明Bとを対比すると、甲27発明Bにおける「シャンパン酵母(White Labs #WLP715)及びベルギーゴールデンエール(White Labs #WLP570)による発酵工程を有する」及び「製造方法」は、本件発明10における「発酵させる発酵工程を有し」及び「製造方法」に相当する。また、甲27発明Bにおける「甲27発明A」と本件発明10において製造されるビールテイスト飲料との一致点及び相違点は、上記(3)アと同様である。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が95.0%以上、および、苦味価が80.0BUs以下となるように発酵させる発酵工程を有し、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料の製造方法(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料の製造方法を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲27-10:本件発明10は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲27発明Bは「アルコール度数14.0v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲27-10について検討する。 イ 相違点甲27-10について 相違点甲27-10は、実質的に相違点甲27-1と同じ内容の相違点であるから、上記(3)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲27-10は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲27-10に係る本件発明10の発明特定事項は、甲27発明B及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明10についてのまとめ 以上のことから、本件発明10は甲27発明Bではなく、かつ、甲27発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件発明11について 本件発明11は、請求項10を引用し、本件発明10の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(5)で検討した本件発明10と同様の理由により、本件発明11は甲27発明Bではなく、かつ、甲27発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件発明12について ア 本件発明12についての判断 本件明細書の[0057]~[0059]には、本件発明12の「ビールテイスト飲料の香味改善方法」に関し、「本明細書において、「香味改善」または「香味を改善する」とは、外観発酵度およびアルコール度数を上記範囲に調整した飲料が、当該調整を行っていない飲料と比べて、アルコール由来の刺激感、またはスッキリした爽快な味わいが向上されることを意味する」と記載されている。 これに対し、甲27は「DEUS-3」というビール製品のレシピであり、定められた原料、製造方法及び製品の成分組成が記載されているにとどまるから、本件発明12と対比し得るような特定の事項の調整工程を伴う「ビールテイスト飲料の香味改善方法」の発明を甲27に記載された発明として認定することはできない。 また、甲27及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲27に記載されたビール製品において、「アルコール由来の刺激感、またはスッキリした爽快な味わい」という特定の香味に着目する動機はなく、また、甲27に記載された原料、製造方法及び製品の成分組成のうち、特に「外観発酵度」及び「アルコール度数」の二つを選び出す動機はなく、まして、それら二つの事項を「外観発酵度が90.0%以上」及び「アルコール度数が12.0(v/v)%以上」となるように調整する工程を有することによって、「アルコール由来の刺激感、またはスッキリした爽快な味わい」という特定の香味を改善する方法となし得ることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 イ 申立人の主張について 申立人は、令和6年8月6日に提出した意見書において、「甲27ビールは、外観発酵度が101.2%、アルコール度数が14.0v/v%であり、甲27ビールを製造する方法では、外観発酵度及びアルコール度数をこれらの値に調整していると解されるものである。そして、甲27ビールを製造する方法は訂正発明12と同じ工程を経ており、また得られるビールも同じ特徴を有しているため、当該方法の実行により当然に香味が改善されているといえ、ビールテイスト飲料の香味改善方法と同視できる。」、「レシピの投稿者は、投稿している以上、従来のレシピよりも美味しいビールである(すなわち、香味改善している)との認識であると強く推定されるので、香味改善方法の認識があるといえ、香味改善方法は記載されているに等しい事項ともいえる」と主張している。 しかし、上記アに記載したとおり、本件発明12は「ビールの製造方法」の発明ではなく、請求項12の記載及び本件明細書の[0057]~[0059]の記載等を参酌すると、外観発酵度及びアルコール度数という特定の二つの事項をそれぞれ「外観発酵度が90.0%以上」及び「アルコール度数が12.0(v/v)%以上」に調整する工程を有することにより、ビールテイスト飲料の香味を改善、すなわち、「外観発酵度及びアルコール度数を上記範囲に調整していないビールテイスト飲料と比べて、アルコール由来の刺激感、またはスッキリした爽快な味わいを向上」させるという方法の発明であるから、甲27にビールを製造する方法の発明(甲27発明B)が記載されているとしても、それを直ちにビールテイスト飲料の香味改善方法と同視できるものではない。 また、仮に、甲27に記載されたビールの製造方法が、外観発酵度及びアルコール度数を、「外観発酵度が101.2%、アルコール度数が14.0v/v%」となるように調整する工程を有していると解し得るとしても、甲27には外観発酵度及びアルコール度数以外にも多数の原料、製造方法及び製品の成分組成に関する事項が記載されており、甲27の記載及び他の全ての証拠の記載を参照しても、それら多数の記載事項のうち特に「外観発酵度が101.2%、アルコール度数が14.0v/v%」という二つの事項を選び出す動機はない。さらに、甲27には、ビール製品の「アルコール由来の刺激感、またはスッキリした爽快な味わい」という特定の香味に着目する記載はなく、甲27の記載及び他の全ての証拠の記載を参照しても、それら特定の香味に着目する動機は見いだせない。加えて、申立人は、甲27に記載されたビール製品の製造方法の実行により「当然に香味が改善されている」といえる具体的な証拠は示しておらず、また、甲27のレシピの投稿者が、従来のレシピよりも「アルコール由来の刺激感、またはスッキリした爽快な味わい」という特定の香味が向上していると認識していたと推測できる具体的な根拠も示していない。 よって、甲27に、「外観発酵度が101.2%、アルコール度数が14.0v/v%」という特定の事項と「アルコール由来の刺激感、またはスッキリした爽快な味わい」の向上とを結びつけた「ビールテイスト飲料の香味改善方法」という発明が記載されているとは認められない。また、甲27の記載及び他の全ての証拠の記載を参照しても、当業者が甲27の記載に基づいて上記のような「ビールテイスト飲料の香味改善方法」という発明に容易に想到し得たとはいえない。 申立人の主張は甲27及び他の証拠の記載に基づくものではなく、憶測及び後知恵によるものであるから、いずれも採用することはできない。 ウ 本件発明12についてのまとめ 以上のことから、本件発明12は甲27に記載された発明ではなく、かつ、甲27に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件発明14について ア 本件発明14と甲27発明Aとの対比 上記(3)アに記載した本件発明1と甲27発明Aとの対比を踏まえ、本件発明14と甲27発明Aとを対比する。甲27発明Aはシャンパン酵母(White Labs #WLP715)及びベルギーゴールデンエール(White Labs #WLP570)を原料とするものであるから、本件発明14における「前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲27-14:本件発明14は「アルコール度数が15.5(v/v)%以上であり」と特定するのに対し、甲27発明Aは「アルコール度数14.0v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲27-14について検討する。 イ 相違点甲27-14について 相違点甲27-14は、実質的に相違点甲27-1と同じ内容の相違点であるから、上記(3)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲27-14は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲27-14に係る本件発明14の発明特定事項は、甲27発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明14についてのまとめ 以上のことから、本件発明14は甲27発明Aではなく、かつ、甲27発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)本件発明15について ア 本件発明15と甲27発明Aとの対比 上記(3)アに記載した本件発明1と甲27発明Aとの対比を踏まえ、本件発明15と甲27発明Aとを対比する。甲27発明Aは、その原料にエタノールもエタノール含有組成物も含まないものであるから、本件発明15における「原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上、および、苦味価が70.0BUs以下であり、原材料にホップを用い、原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲27-15:本件発明15は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲27発明Aは「アルコール度数14.0v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲27-15について検討する。 イ 相違点甲27-15について 相違点甲27-15は、実質的に相違点甲27-1と同じ内容の相違点であるから、上記(3)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲27-15は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲27-15に係る本件発明15の発明特定事項は、甲27発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明15についてのまとめ 以上のことから、本件発明15は甲27発明Aではなく、かつ、甲27発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (10)本件発明16について ア 本件発明16と甲27発明Aとの対比 上記(3)アに記載した本件発明1と甲27発明Aとの対比を踏まえ、本件発明16と甲27発明Aとを対比する。甲27発明Aは、麦芽比率が67.0質量%であるから、本件発明16における「麦芽比率が80質量%以下である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 麦芽比率が80質量%以下である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲27-16-1:本件発明16は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲27発明Aは「アルコール度数14.0v/v%」である点 相違点甲27-16-2:本件発明16は「苦味価が10.0BUs以上70.0BUs以下であり」と特定するのに対し、甲27発明Aは「苦味価(IBU)9.8」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲27-16-1について検討する。 イ 相違点甲27-16-1について 相違点甲27-16-1は、実質的に相違点甲27-1と同じ内容の相違点であるから、上記(3)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲27-16-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲27-16-1に係る本件発明16の発明特定事項は、甲27発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明16についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明16は甲27発明Aではなく、かつ、甲27発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (11)本件発明18について ア 本件発明18と甲27発明Aとの対比 上記(3)アに記載した本件発明1と甲27発明Aとの対比を踏まえ、本件発明18と甲27発明Aとを対比する。甲27発明Aの外観発酵度(X)は101.2%、アルコール度数(Y)は14.0v/v%であるから、X×Y=1416.8であり、本件発明18における「式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」という特定事項を満たしている。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上、および、アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲27-18:本件発明1は「麦芽比率が67質量%未満であり」と特定するのに対し、甲27発明Aは麦芽比率が67.0質量%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲27-18について検討する。 イ 相違点甲27-18について まず、相違点甲27-18は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲27は「DEUS-3」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲27及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲27発明Aにおける麦芽比率を67質量%未満に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲27-18に係る本件発明18の発明特定事項は、甲27発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲27発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が麦芽比率に着目し、さらに相違点甲27-18に係る67質量%未満に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明18についてのまとめ 以上のことから、本件発明18は甲27発明Aではなく、かつ、甲27発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (12)取消理由5-1(甲27に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-1(甲27に基づく新規性欠如・進歩性欠如)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明1、3~12、14~16及び18は、いずれも甲27に記載された発明ではないから特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明1、3~12、14~16及び18は、いずれも甲27に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、取消理由5-1(甲27に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-1(甲27に基づく新規性欠如・進歩性欠如)により本件発明1、3~12、14~16及び18についての特許を取り消すことはできない。 2.取消理由5-2(甲28に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-2(甲28に基づく新規性欠如・進歩性欠如)について (1)甲28に記載された発明 甲28に記載された事項を整理すると、甲28には以下の発明が記載されている。 「2.2kg ミュンヘンタイプI 2kg ベルギーキャンディシュガー - クリア/ブロンド(0L)-(後半の煮沸釜追加) 0.5kg カラレッド 18g チヌーク 50g HBC431 Lallemand - LALBREW(登録商標)ABBAYE BELGIAN ALE YEAST を原料とする、オリジナルエキス比重1.117、外観エキス比重1.005、アルコール度数14.65v/v%、苦味価(IBU)59.39、色度(SRM)11.27、もろみpH0の、ビール。」(以下、「甲28発明A」という。) 「酵母Lallemand - LALBREW(登録商標)ABBAYE BELGIAN ALE YEASTによる発酵工程を有する甲28発明Aの製造方法。」(以下、「甲28発明B」という。) (2)本件発明2について ア 本件発明2と甲28発明Aとの対比 エキスの比重と質量%(゜P)は換算が可能であり、例えば、当業者に汎用されている自動変換ツール(例えば、https://beerandbrewing. com/tools/sg-plato-converter/) を使用して変換すると、甲28発明Aにおけるオリジナルエキス比重1.117は27.4267質量%(゜P)であり、外観エキス比重1.005は1.2844質量%(゜P)である(当審注:以下、甲29以降の検討においても同様に換算を行うことがある。)。 本件明細書の[0009]に記載された式(1)に従って、甲28発明Aのオリジナルエキス(°P)及び外観エキス(°P)から外観発酵度を計算すると、 式(1):外観発酵度AA(%)=100×(オリジナルエキスP-外観エキスEs)/オリジナルエキスP=100×(27.4267-1.2844)/27.4267=95.3%であるから、甲28発明Aにおける外観発酵度は、本件発明2における「外観発酵度が95.0%以上」を満たしている。 甲28発明Aにおける「苦味価(IBU)59.39」は、本件発明2における「苦味価が80.0BUs以下であり」を満たしている。 甲28発明Aにおける「18g チヌーク」及び「50g HBC431」は、本件発明2における「原材料にホップを用いる」を満たしている。 甲28発明Aにおける「ビール」は、本件発明2における「ビールテイスト飲料」に相当する。 甲28には、甲28発明Aの製造工程として「ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程」は記載されていないから、甲28発明Aが、「(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料・・・を除く)」との発明特定事項により除外されていると直ちにいうことはできない。 甲28発明Aにおける麦芽重量は、「2.2kg ミュンヘンタイプI」+「0.5kg カラレッド」=2.7kgである。 甲28発明Aにおける水及びホップ以外の原料の重量は、麦芽重量2.7kg+「2kg ベルギーキャンディシュガー - クリア/ブロンド(0L)-(後半の煮沸釜追加)」=4.7kgである。 これらから甲28発明Aの麦芽比率を求めると、2.7/4.7×100=57.4質量%であるから、甲28発明Aは、本件発明2において「除く」ものとされている「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」には該当しない。 そうすると、本件発明2と甲28発明Aとは、 「外観発酵度が95.0%以上、および、苦味価が80.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲28-2-1:本件発明2は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲28発明Aは「アルコール度数14.65v/v%」である点 相違点甲28-2-2:本件発明2は「全窒素量が68mg/100mL以上である」と特定するのに対し、甲28発明Aはそのように特定されない点 で相違する。 そこで、上記相違点甲28-2-1について検討する。 イ 相違点甲28-2-1について まず、相違点甲28-2-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲28は「takamisan」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲28及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲28発明Aにおけるアルコール度数を15.0(v/v)%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲28-2-1に係る本件発明2の発明特定事項は、甲28発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲28発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者がアルコール度数に着目し、さらに相違点甲28-2-1に係る15.0(v/v)%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明2についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は甲28発明Aではなく、かつ、甲28発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明3~9について 本件発明3~9は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものであるから、本件発明3~9と甲28発明Aとは、少なくとも上記相違点甲28-2-1で相違する。そうすると、上記(2)で検討した本件発明2と同様の理由により、本件発明3~9は、いずれも甲28発明Aではなく、かつ、甲28発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明12について 甲28は「takamisan」というビール製品のレシピであり、定められた原料、製造方法及び製品の成分組成が記載されているにとどまるから、上記1.(7)アに記載した甲27と同様のことがいえる。また、甲28に基づく申立人の主張は、上記1.(7)イに記載した甲27に基づく主張と実質的に同旨であるから、同じ理由によりいずれも採用することができない。 よって、本件発明12は甲28に記載された発明ではなく、かつ、甲28に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明13について ア 本件発明13と甲28発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲28発明Aとの対比を踏まえ、本件発明13と甲28発明Aとを対比する。甲28発明Aの外観発酵度(X)は95.3%、アルコール度数(Y)は14.65v/v%であるから、X×Y=1396.1であり、本件発明13における「式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」という特定事項を満たしている。 そうすると、両者は、 「アルコール度数が14.5(v/v)%以上、および、苦味価が60.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲28-13:本件発明13は「外観発酵度が97.0%以上」と特定するのに対し、甲28発明Aは外観発酵度が95.3%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲28-13について検討する。 イ 相違点甲28-13について まず、相違点甲28-13は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲28は「takamisan」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲28及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲28発明Aにおける外観発酵度を97.0%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲28-13に係る本件発明13の発明特定事項は、甲28発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲28発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が外観発酵度に着目し、さらに相違点甲28-13に係る97.0%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明13についてのまとめ 以上のことから、本件発明13は甲28発明Aではなく、かつ、甲28発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件発明14について ア 本件発明14と甲28発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲28発明Aとの対比を踏まえ、本件発明14と甲28発明Aとを対比する。甲28発明Aは酵母Lallemand - LALBREW(登録商標)ABBAYE BELGIAN ALE YEASTを原料とするものであるから、本件発明14における「前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲28-14:本件発明14は「アルコール度数が15.5(v/v)%以上であり」と特定するのに対し、甲28発明Aは「アルコール度数14.65v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲28-14について検討する。 イ 相違点甲28-14について 相違点甲28-14は、実質的に相違点甲28-2-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲28-14は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲28-14に係る本件発明14の発明特定事項は、甲28発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明14についてのまとめ 以上のことから、本件発明14は甲28発明Aではなく、かつ、甲28発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件発明15について ア 本件発明15と甲28発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲28発明Aとの対比を踏まえ、本件発明15と甲28発明Aとを対比する。甲28発明Aは、その原料にエタノールもエタノール含有組成物も含まないものであるから、本件発明15における「原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上、および、苦味価が70.0BUs以下であり、原材料にホップを用い、原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲28-15:本件発明15は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲28発明Aは「アルコール度数14.65v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲28-15について検討する。 イ 相違点甲28-15について 相違点甲28-15は、実質的に相違点甲28-2-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲28-15は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲28-15に係る本件発明15の発明特定事項は、甲28発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明15についてのまとめ 以上のことから、本件発明15は甲28発明Aではなく、かつ、甲28発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件発明16について ア 本件発明16と甲28発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲28発明Aとの対比を踏まえ、本件発明16と甲28発明Aとを対比する。甲28発明Aは、麦芽比率が57.4質量%であるから、本件発明16における「麦芽比率が80質量%以下である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、および、苦味価が10.0BUs以上70.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 麦芽比率が80質量%以下である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲28-16:本件発明16は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲28発明Aは「アルコール度数14.65v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲28-16について検討する。 イ 相違点甲28-16について 相違点甲28-16は、実質的に相違点甲28-2-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲28-16は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲28-16に係る本件発明16の発明特定事項は、甲28発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明16についてのまとめ 以上のことから、本件発明16は甲28発明Aではなく、かつ、甲28発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)本件発明17について ア 本件発明17と甲28発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲28発明Aとの対比を踏まえ、本件発明17と甲28発明Aとを対比すると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、および、であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料であり、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲28-17-1:本件発明17は「アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下」と特定するのに対し、甲28発明Aは「アルコール度数14.65v/v%」である点 相違点甲28-17-2:本件発明17は「苦味価が10.0BUs以上50.0BUs以下」と特定するのに対し、甲28発明Aは「苦味価(IBU)59.39」である点 相違点甲28-17-3:本件発明17は「pHが5.0以下であり」と特定するのに対し、甲28発明Aはそのように特定されない点 で相違する。 そこで、上記相違点甲28-17-1について検討する。 イ 相違点甲28-17-1について 相違点甲28-17-1は、実質的に相違点甲28-2-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲28-17-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲28-17-1に係る本件発明17の発明特定事項は、甲28発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明17についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明17は甲28発明Aではなく、かつ、甲28発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (10)本件発明18について ア 本件発明18と甲28発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲27発明Aとの対比を踏まえ、本件発明18と甲28発明Aとを対比すると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 麦芽比率が67質量%未満であり、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲28-18:本件発明18は「アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下であり」と特定するのに対し、甲28発明Aは「アルコール度数14.65v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲28-18について検討する。 イ 相違点甲28-18について 相違点甲28-18は、実質的に相違点甲28-2-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲28-18は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲28-18に係る本件発明18の発明特定事項は、甲28発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明18についてのまとめ 以上のことから、本件発明18は甲28発明Aではなく、かつ、甲28発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (11)取消理由5-2(甲28に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-2(甲28に基づく新規性欠如・進歩性欠如)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明2~9及び12~18は、いずれも甲28に記載された発明ではないから特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明2~9及び12~18は、いずれも甲28に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、取消理由5-2(甲28に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-2(甲28に基づく新規性欠如・進歩性欠如)により本件発明2~9及び12~18についての特許を取り消すことはできない。 3.取消理由5-3(甲29に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-3(甲29に基づく新規性欠如・進歩性欠如)について (1)甲29に記載された発明 甲29に記載された事項を整理すると、甲29には以下の発明が記載されている。 「11ポンド2.80オンス ペールモルト,マリスオッター(2.5SRM) 1ポンド13.77オンス ミュンヘンモルト-10L(10.0SRM) 1ポンド4.04オンス カラミュニックモルト(50.8SRM) 1ポンド1.25オンス カラレッド(20.0SRM) 7.05オンス カラメル/クリスタルモルト-20L(60.9SRM) 1.06オンス ローストバーレイ(558.4SRM) 4ポンド11.27オンス ピルスナー(2ロウ)ベルギー産(1.5SRM) 5ポンド8.19オンス キャンディーシュガー,クリア(0.5SRM) 2.75オンス センテニアル[10.0%]-煮沸60分 2.26オンス カスケード[6.5%]-煮沸30分 小さじ0.50 酵母栄養剤(煮沸10分) 小さじ0.25 アイリッシュモス(煮沸10分) 1.62オンス カスケード[6.5%]-煮沸1分 1.0パッケージ Trappist High Gravity(Wyeast Labs #3787) 1.0パッケージ Champagne Yeast(White Labs #WLP715) 700.0g シロップ(一次発酵3日間) 2ポンド3.27オンス キャンディーシュガー,クリア(0.5SRM) 23.00g オークチップ(二次発酵7日間) を原料とする、オリジナルエキス比重1.120(28.2質量%(°P))、外観エキス比重1.007(1.7質量%(°P))、アルコール度数15.3v/v%、苦味価(IBU)74.5、色度(SRM)15.8の、ビール。」(以下、「甲29発明A」という。) 「酵母Trappist High Gravity(Wyeast Labs #3787)及びChampagne Yeast(White Labs #WLP715)による発酵工程を有する甲29発明Aの製造方法。」(以下、「甲29発明B」という。) (2)本件発明2について ア 本件発明2と甲29発明Aとの対比 本件明細書の[0009]に記載された式(1)に従って、甲29発明Aのオリジナルエキス(°P)及び外観エキス(°P)から外観発酵度を計算すると、 式(1):外観発酵度AA(%)=100×(オリジナルエキスP-外観エキスEs)/オリジナルエキスP=100×(28.2-1.7)/28.2=94.0%である。 甲29発明Aにおける「アルコール度数15.3v/v%」は、本件発明2における「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」を満たしている。 甲29発明Aにおける「苦味価(IBU)74.5」は、本件発明2における「苦味価が80.0BUs以下であり」を満たしている。 甲29発明Aにおける「2.75オンス センテニアル[10.0%]-煮沸60分」及び「2.26オンス カスケード[6.5%]-煮沸30分」は、本件発明2における「原材料にホップを用いる」を満たしている。 甲29発明Aにおける「ビール」は、本件発明2における「ビールテイスト飲料」に相当する。 甲29には、甲29発明Aの製造工程として「ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程」は記載されていないから、甲29発明Aが、「(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料・・・を除く)」との発明特定事項により除外されていると直ちにいうことはできない。 甲29発明Aにおける麦芽重量は、「11ポンド2.80オンス ペールモルト,マリスオッター(2.5SRM)」+「1ポンド13.77オンス ミュンヘンモルト-10L(10.0SRM)」+「1ポンド4.04オンス カラミュニックモルト(50.8SRM)」+「1ポンド1.25オンス カラレッド(20.0SRM)」+「7.05オンス カラメル/クリスタルモルト-20L(60.9SRM)」+「4ポンド11.27オンス ピルスナー(2ロウ)ベルギー産(1.5SRM)」=20ポンド8.18オンス=9.30kgである。 甲29発明Aにおける水及びホップ以外の原料の重量は、麦芽重量9.30kg+「1.06オンス ローストバーレイ(558.4SRM)」+「5ポンド8.19オンス キャンディーシュガー,クリア(0.5SRM)」+「700.0g シロップ(一次発酵3日間)」+「2ポンド3.27オンス キャンディーシュガー,クリア(0.5SRM)」+「23.00g オークチップ(二次発酵7日間)」=9.30kg+7ポンド12.52オンス(3.53kg)+700.0g+23.00g=13.553kgである。 これらから甲29発明Aの麦芽比率を求めると、9.30/13.553×100=68.6質量%であるから、甲29発明Aは、本件発明2において「除く」ものとされている「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」には該当しない。 そうすると、本件発明2と甲29発明Aとは、 「アルコール度数が15.0(v/v)%以上、および、苦味価が80.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲29-2-1:本件発明2は「外観発酵度が95.0%以上」と特定するのに対し、甲29発明Aは外観発酵度が94.0%である点 相違点甲29-2-2:本件発明2は「全窒素量が68mg/100mL以上である」と特定するのに対し、甲29発明Aはそのように特定されない点 で相違する。 そこで、上記相違点甲29-2-1について検討する。 イ 相違点甲29-2-1について まず、相違点甲29-2-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲29は「BARLEY holrits」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲29及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲29発明Aにおける外観発酵度を95.0%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲29-2-1に係る本件発明2の発明特定事項は、甲29発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲29発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が外観発酵度に着目し、さらに相違点甲29-2-1に係る95.0%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明2についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は甲29発明Aではなく、かつ、甲29発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明3~7及び9について 本件発明3~7及び9は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものであるから、本件発明3~9と甲29発明Aとは、少なくとも上記相違点甲29-2-1で相違する。そうすると、上記(2)で検討した本件発明2と同様の理由により、本件発明3~7及び9は、いずれも甲29発明Aではなく、かつ、甲29発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明12について 甲29は「BARLEY holrits」というビール製品のレシピであり、定められた原料、製造方法及び製品の成分組成が記載されているにとどまるから、上記1.(7)アに記載した甲27と同様のことがいえる。また、甲29に基づく申立人の主張は、上記1.(7)イに記載した甲27に基づく主張と実質的に同旨であるから、同じ理由によりいずれも採用することができない。 よって、本件発明12は甲29に記載された発明ではなく、かつ、甲29に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明14について ア 本件発明14と甲29発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲29発明Aとの対比を踏まえ、本件発明14と甲29発明Aとを対比する。甲29発明Aは酵母Trappist High Gravity(Wyeast Labs #3787)及びChampagne Yeast(White Labs #WLP715)を原料とするものであるから、本件発明14における「前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲29-14:本件発明14は「アルコール度数が15.5v/v%以上であり」と特定するのに対し、甲29発明Aは「アルコール度数15.3v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲29-14について検討する。 イ 相違点甲29-14について まず、相違点甲29-14は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲29は「BARLEY holrits」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲29及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲29発明Aにおけるアルコール度数を15.5v/v%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲29-14に係る本件発明14の発明特定事項は、甲29発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲29発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者がアルコール度数に着目し、さらに相違点甲29-14に係る15.5v/v%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明14についてのまとめ 以上のことから、本件発明14は甲29発明Aではなく、かつ、甲29発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件発明15について ア 本件発明15と甲29発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲29発明Aとの対比を踏まえ、本件発明15と甲29発明Aとを対比する。甲29発明Aは、その原料にエタノールもエタノール含有組成物も含まないものであるから、本件発明15における「原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上、アルコール度数が15.0(v/v)%以上であり、原材料にホップを用い、原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲29-15:本件発明15は「苦味価が70.0BUs以下であり」と特定するのに対し、甲29発明Aは「苦味価(IBU)74.5」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲29-15について検討する。 イ 相違点甲29-15について まず、相違点甲29-15は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲29は「BARLEY holrits」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲29及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲29発明Aにおける苦味価を70.0BUs以下に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲29-15に係る本件発明15の発明特定事項は、甲29発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲29発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が苦味価に着目し、さらに相違点甲29-15に係る70.0BUs以下に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明15についてのまとめ 以上のことから、本件発明15は甲29発明Aではなく、かつ、甲29発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件発明16について ア 本件発明16と甲29発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲29発明Aとの対比を踏まえ、本件発明16と甲29発明Aとを対比する。甲29発明Aは、麦芽比率が68.6質量%であるから、本件発明16における「麦芽比率が80質量%以下である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、アルコール度数が15.0(v/v)%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 麦芽比率が80質量%以下である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲29-16:本件発明16は「苦味価が10.0BUs以上70.0BUs以下であり」と特定するのに対し、甲29発明Aは「苦味価(IBU)74.5」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲29-16について検討する。 イ 相違点甲29-16について 相違点甲29-16は、実質的に相違点甲29-15と同じ内容の相違点であるから、上記(6)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲29-16は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲29-16に係る本件発明16の発明特定事項は、甲29発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明16についてのまとめ 以上のことから、本件発明16は甲29発明Aではなく、かつ、甲29発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件発明17について ア 本件発明17と甲29発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲29発明Aとの対比を踏まえ、本件発明17と甲29発明Aとを対比する。甲29発明Aの外観発酵度(X)は94.0%、アルコール度数(Y)は15.3v/v%であるから、X×Y=1438.2であり、本件発明17における「式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」という特定事項を満たしている。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料であり、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲29-17-1:本件発明17は「アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下」と特定するのに対し、甲29発明Aは「アルコール度数15.3v/v%」である点 相違点甲29-17-2:本件発明17は「苦味価が10.0BUs以上50.0BUs以下」と特定するのに対し、甲29発明Aは「苦味価(IBU)74.5」である点 相違点甲29-17-3:本件発明17は「pHが5.0以下であり」と特定するのに対し、甲29発明Aはそのように特定されない点 で相違する。 そこで、上記相違点甲29-17-1について検討する。 イ 相違点甲29-17-1について 相違点甲29-17-1は、実質的に相違点甲29-14と同じ内容の相違点であるから、上記(5)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲29-17-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲29-17-1に係る本件発明17の発明特定事項は、甲29発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明17についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明17は甲29発明Aではなく、かつ、甲29発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)本件発明18について ア 本件発明18と甲29発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲29発明Aとの対比を踏まえ、本件発明18と甲29発明Aとを対比すると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲29-18-1:本件発明18は「アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下であり」と特定するのに対し、甲29発明Aは「アルコール度数15.3v/v%」である点 相違点甲29-18-2:本件発明18は「麦芽比率が67質量%未満であり」と特定するのに対し、甲29発明Aは麦芽比率が68.6質量%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲29-18-1について検討する。 イ 相違点甲29-18-1について 相違点甲29-18-1は、実質的に相違点甲29-14と同じ内容の相違点であるから、上記(5)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲29-18-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲29-18-1に係る本件発明18の発明特定事項は、甲29発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明18についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明18は甲29発明Aではなく、かつ、甲29発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (10)取消理由5-3(甲29に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-3(甲29に基づく新規性欠如・進歩性欠如)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明2~7、9、12及び14~18は、いずれも甲29に記載された発明ではないから特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明2~7、9、12及び14~18は、いずれも甲29に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、取消理由5-3(甲29に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-3(甲29に基づく新規性欠如・進歩性欠如)により本件発明2~7、9、12及び14~18についての特許を取り消すことはできない。 4.取消理由5-4(甲30に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-4(甲30に基づく新規性欠如・進歩性欠如)について (1)甲30に記載された発明 甲30に記載された事項を整理すると、甲30には以下の発明が記載されている。 「25ポンド ペールモルト,マリスオッター(3.0SRM) 1ポンド カラ - ピルス/デキストリン(2.0SRM) 2ポンド4.00オンス ハニーモルト(25.0SRM) 3ポンド8.00オンス カラメル/クリスタルモルト-40L(40.0SRM) 11ポンド8.00オンス メープルシロップ(35.0SRM) 2.00オンス マグナム[14.0%]-煮沸60分 を原料とし、エール酵母で2段階で発酵させて得られる、オリジナルエキス比重1.120(28.0質量%(°P))、外観エキス比重1.009(2.4質量%(°P))、アルコール度数14.8v/v%、苦味価(IBU)31.3、色度(SRM)25.1の、ビール。」(以下、「甲30発明A」という。) 「エール酵母による発酵工程を有する甲30発明Aの製造方法。」(以下、「甲30発明B」という。) (2)本件発明1について ア 本件発明1と甲30発明Aとの対比 本件明細書の[0009]に記載された式(1)に従って、甲30発明Aのオリジナルエキス(°P)及び外観エキス(°P)から外観発酵度を計算すると、 式(1):外観発酵度AA(%)=100×(オリジナルエキスP-外観エキスEs)/オリジナルエキスP=100×(28.0-2.4)/28.0=91.4%である。 甲30発明Aにおける「苦味価(IBU)31.3」は、本件発明1における「苦味価が80.0BUs以下であり」を満たしている。 甲30発明Aにおける「2.00オンス マグナム[14.0%]-煮沸60分」は、本件発明1における「原材料にホップを用いる」を満たしている。 甲30発明Aにおける「ビール」は、本件発明1における「ビールテイスト飲料」に相当する。 甲30には、甲30発明Aの製造工程として、「原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程」及び「ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程」は記載されていないから、甲30発明Aが、「(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料・・・を除く)」との発明特定事項により除外されていると直ちにいうことはできない。 甲30発明Aにおける麦芽重量は、「25ポンド ペールモルト,マリスオッター(3.0SRM)」+「1ポンド カラ - ピルス/デキストリン(2.0SRM)」+「2ポンド4.00オンス ハニーモルト(25.0SRM)」+「3ポンド8.00オンス カラメル/クリスタルモルト-40L(40.0SRM)」=31ポンド12オンス=14.40kgである。 甲30発明Aにおける水及びホップ以外の原料の重量は、麦芽重量14.40kg+「11ポンド8.00オンス メープルシロップ(35.0SRM)」=14.40kg+11ポンド8.00オンス(5.22kg)=19.62kgである。 これらから甲30発明Aの麦芽比率を求めると、14.40/19.62×100=73.4質量%であるから、甲30発明Aは、本件発明1において「除く」ものとされている「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」には該当しない。 そうすると、本件発明1と甲30発明Aとは、 「苦味価が80.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲30-1-1:本件発明1は「外観発酵度が95.0%以上」と特定するのに対し、甲30発明Aは外観発酵度が91.4%である点 相違点甲30-1-2:本件発明1は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲30発明Aは「アルコール度数14.8v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲30-1-1について検討する。 イ 相違点甲30-1-1について まず、相違点甲30-1-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲30は「Maple Grove Barleywine」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲30及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲30発明Aにおける外観発酵度を95.0%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲30-1-1に係る本件発明1の発明特定事項は、甲30発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲30発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が外観発酵度に着目し、さらに相違点甲30-1-1に係る95.0%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明1についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲30発明Aではなく、かつ、甲30発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明3~9について 本件発明3~9は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(2)で検討した本件発明1と同様の理由により、本件発明3~9は、いずれも甲30発明Aではなく、かつ、甲30発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明10について ア 本件発明10と甲30発明Bとの対比 本件発明10と甲30発明Bとを対比すると、甲30発明Bにおける「エール酵母による発酵工程を有する」及び「製造方法」は、本件発明10における「発酵させる発酵工程を有し」及び「製造方法」に相当する。また、甲30発明Bにおける「甲30発明A」と本件発明10において製造されるビールテイスト飲料との一致点及び相違点は、上記(2)アと同様である。 そうすると、両者は、 「苦味価が80.0BUs以下となるように発酵させる発酵工程を有し、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料の製造方法(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料の製造方法を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲30-10-1:本件発明10は「外観発酵度が95.0%以上」と特定するのに対し、甲30発明Bは外観発酵度が91.4%である点 相違点甲30-10-2:本件発明10は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲30発明Bは「アルコール度数14.8v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲30-10-1について検討する。 イ 相違点甲30-10-1について 相違点甲30-10-1は、実質的に相違点甲30-1-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲30-10-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲30-10-1に係る本件発明10の発明特定事項は、甲30発明B及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明10についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明10は甲30発明Bではなく、かつ、甲30発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明11について 本件発明11は、請求項10を引用し、本件発明10の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(4)で検討した本件発明10と同様の理由により、本件発明11は甲30発明Bではなく、かつ、甲30発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件発明12について 甲30は「Maple Grove Barleywine」というビール製品のレシピであり、定められた原料、製造方法及び製品の成分組成が記載されているにとどまるから、上記1.(7)アに記載した甲27と同様のことがいえる。また、甲30に基づく申立人の主張は、上記1.(7)イに記載した甲27に基づく主張と実質的に同旨であるから、同じ理由によりいずれも採用することができない。 よって、本件発明12は甲30に記載された発明ではなく、かつ、甲30に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件発明15について ア 本件発明15と甲30発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲30発明Aとの対比を踏まえ、本件発明15と甲30発明Aとを対比する。甲30発明Aは、その原料にエタノールもエタノール含有組成物も含まないものであるから、本件発明15における「原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「苦味価が70.0BUs以下であり、原材料にホップを用い、原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲30-15-1:本件発明15は「外観発酵度が94.0%以上」と特定するのに対し、甲30発明Aは外観発酵度が91.4%である点 相違点甲30-15-2:本件発明15は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲30発明Aは「アルコール度数14.8v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲30-15-1について検討する。 イ 相違点甲30-15-1について 相違点甲30-15-1は、実質的に相違点甲30-1-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲30-15-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲30-15-1に係る本件発明15の発明特定事項は、甲30発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明15についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明15は甲30発明Aではなく、かつ、甲30発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件発明16について ア 本件発明16と甲30発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲30発明Aとの対比を踏まえ、本件発明16と甲30発明Aとを対比する。甲30発明Aは、麦芽比率が73.4質量%であるから、本件発明16における「麦芽比率が80質量%以下である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、および、苦味価が10.0BUs以上70.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 麦芽比率が80質量%以下である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲30-16:本件発明16は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲30発明Aは「アルコール度数14.8v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲30-16について検討する。 イ 相違点甲30-16について まず、相違点甲30-16は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲30は「Maple Grove Barleywine」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲30及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲30発明Aにおけるアルコール度数を15.0(v/v)%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲30-16に係る本件発明16の発明特定事項は、甲30発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲30発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者がアルコール度数に着目し、さらに相違点甲30-16に係る15.0(v/v)%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明16についてのまとめ 以上のことから、本件発明16は甲30発明Aではなく、かつ、甲30発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)本件発明17について ア 本件発明17と甲30発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲30発明Aとの対比を踏まえ、本件発明17と甲30発明Aとを対比する。甲30発明Aの外観発酵度(X)は91.4%、アルコール度数(Y)は14.8v/v%であるから、X×Y=1352.7であり、本件発明17における「式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」という特定事項を満たしている。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、および、苦味価が10.0BUs以上50.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料であり、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲30-17-1:本件発明17は「アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下」と特定するのに対し、甲30発明Aは「アルコール度数14.8v/v%」である点 相違点甲30-17-2:本件発明17は「pHが5.0以下であり」と特定するのに対し、甲30発明Aはそのように特定されない点 で相違する。 そこで、上記相違点甲30-17-1について検討する。 イ 相違点甲30-17-1について 相違点甲30-17-1は、実質的に相違点甲30-16と同じ内容の相違点であるから、上記(8)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲30-17-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲30-17-1に係る本件発明17の発明特定事項は、甲30発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明17についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明17は甲30発明Aではなく、かつ、甲30発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (10)本件発明18について ア 本件発明18と甲30発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲30発明Aとの対比を踏まえ、本件発明18と甲30発明Aとを対比すると、両者は、 「原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲30-18-1:本件発明18は「外観発酵度が94.0%以上」と特定するのに対し、甲30発明Aは外観発酵度が91.4%である点 相違点甲30-18-2:本件発明18は「アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下であり」と特定するのに対し、甲30発明Aは「アルコール度数14.8v/v%」である点 相違点甲30-18-3:本件発明18は「麦芽比率が67質量%未満であり」と特定するのに対し、甲27発明Aは麦芽比率が73.4質量%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲30-18-1について検討する。 イ 相違点甲30-18-1について 相違点甲30-18-1は、実質的に相違点甲30-1-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲30-18-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲30-18-1に係る本件発明18の発明特定事項は、甲30発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明18についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明18は甲30発明Aではなく、かつ、甲30発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (11)取消理由5-4(甲30に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-4(甲30に基づく新規性欠如・進歩性欠如)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明1、3~12及び15~18は、いずれも甲30に記載された発明ではないから特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明1、3~12及び15~18は、いずれも甲30に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、取消理由5-4(甲30に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-4(甲30に基づく新規性欠如・進歩性欠如)により本件発明1、3~12及び15~18についての特許を取り消すことはできない。 5.取消理由5-5(甲31に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-5(甲31に基づく新規性欠如・進歩性欠如)について (1)甲31に記載された発明 甲31に記載された事項を整理すると、甲31には以下の発明が記載されている。 「165ポンド5.55オンス マリスオッター(クリスプ)(4.0SRM) 55ポンド1.85オンス シャトー ペールエール(4.3SRM) 44ポンド1.48オンス シャトー チョコレート(457.2SRM) 27ポンド8.93オンス シャトー クリスタル(登録商標)(76.2SRM) 27ポンド8.93オンス シャトー ローストバーレイ(609.6SRM) 14.11オンス イーストケントゴールディングス(EKG)[5.0%]-初期麦汁 192ポンド7.42オンス コーンシュガー(デキストロース)(0.0SRM) 3ポンド1.38オンス マグナム[12.0%]-煮沸60分 13.00 ワールフロックタブレット(煮沸15分) 2.0パッケージ Safale American(DCL/Fermentis #US-05) を原料とする、オリジナルエキス比重1.109(25.7質量%(°P))、外観エキス比重0.999(-0.3質量%(°P))、アルコール度数14.7v/v%、苦味価(IBU)62.8、色度(SRM)64.8の、ビール。」(以下、「甲31発明A」という。) 「酵母Safale American(DCL/Fermentis #US-05)による発酵工程を有する甲31発明Aの製造方法。」(以下、「甲31発明B」という。) (2)本件発明2について ア 本件発明2と甲31発明Aとの対比 本件明細書の[0009]に記載された式(1)に従って、甲31発明Aのオリジナルエキス(°P)及び外観エキス(°P)から外観発酵度を計算すると、 式(1):外観発酵度AA(%)=100×(オリジナルエキスP-外観エキスEs)/オリジナルエキスP=100×(25.7-(-0.3))/25.7=101.2%であるから、甲31発明Aにおける外観発酵度は、本件発明2における「外観発酵度が95.0%以上」を満たしている。 甲31発明Aにおける「苦味価(IBU)62.8」は、本件発明2における「苦味価が80.0BUs以下であり」を満たしている。 甲31発明Aにおける「14.11オンス イーストケントゴールディングス(EKG)[5.0%]-初期麦汁」及び「3ポンド1.38オンス マグナム[12.0%]-煮沸60分」は、本件発明2における「原材料にホップを用いる」を満たしている。 甲31発明Aにおける「ビール」は、本件発明2における「ビールテイスト飲料」に相当する。 甲31には、甲31発明Aの製造工程として「ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程」は記載されていないから、甲31発明Aが、「(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料・・・を除く)」との発明特定事項により除外されていると直ちにいうことはできない。 甲31発明Aにおける麦芽重量は、「165ポンド5.55オンス マリスオッター(クリスプ)(4.0SRM)」+「55ポンド1.85オンス シャトー ペールエール(4.3SRM)」+「44ポンド1.48オンス シャトー チョコレート(457.2SRM)」+「27ポンド8.93オンス シャトー クリスタル(登録商標)(76.2SRM)」=292ポンド1.81オンス=132.50kgである。 甲31発明Aにおける水及びホップ以外の原料の重量は、麦芽重量132.50kg+「27ポンド8.93オンス シャトー ローストバーレイ(609.6SRM)」+「192ポンド7.42オンス コーンシュガー(デキストロース)(0.0SRM)」=132.50kg+220ポンド0.35オンス(99.80kg)=232.30kgである。 これらから甲31発明Aの麦芽比率を求めると、132.50/232.30×100=57.0質量%であるから、甲31発明Aは、本件発明2において「除く」ものとされている「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」には該当しない。 そうすると、本件発明2と甲31発明Aとは、 「外観発酵度が95.0%以上、および、苦味価が80.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲31-2-1:本件発明2は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲31発明Aは「アルコール度数14.7v/v%」である点 相違点甲31-2-2:本件発明2は「全窒素量が68mg/100mL以上である」と特定するのに対し、甲31発明Aはそのように特定されない点 で相違する。 そこで、上記相違点甲31-2-1について検討する。 イ 相違点甲31-2-1について まず、相違点甲31-2-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲31は「yiganqingtai32」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲31及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲31発明Aにおけるアルコール度数を15.0(v/v)%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲31-2-1に係る本件発明2の発明特定事項は、甲31発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲31発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者がアルコール度数に着目し、さらに相違点甲31-2-1に係る15.0(v/v)%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明2についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は甲31発明Aではなく、かつ、甲31発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明3~9について 本件発明3~9は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものであるから、本件発明3~9と甲31発明Aとは、少なくとも上記相違点甲31-2-1で相違する。そうすると、上記(2)で検討した本件発明2と同様の理由により、本件発明3~9は、いずれも甲31発明Aではなく、かつ、甲31発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明12について 甲31は「yiganqingtai32」というビール製品のレシピであり、定められた原料、製造方法及び製品の成分組成が記載されているにとどまるから、上記1.(7)アに記載した甲27と同様のことがいえる。また、甲31に基づく申立人の主張は、上記1.(7)イに記載した甲27に基づく主張と実質的に同旨であるから、同じ理由によりいずれも採用することができない。 よって、本件発明12は甲31に記載された発明ではなく、かつ、甲31に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明13について ア 本件発明13と甲31発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲31発明Aとの対比を踏まえ、本件発明13と甲31発明Aとを対比する。甲31発明Aの外観発酵度(X)は101.2%、アルコール度数(Y)は14.7v/v%であるから、X×Y=1487.6であり、本件発明13における「式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」という特定事項を満たしている。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が97.0%以上、および、アルコール度数が14.5(v/v)%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲31-13:本件発明13は「苦味価が60.0BUs以下であり」と特定するのに対し、甲31発明Aは「苦味価(IBU)62.8」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲31-13について検討する。 イ 相違点甲31-13について まず、相違点甲31-13は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲31は「yiganqingtai32」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲31及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲31発明Aにおける苦味価を60.0BUs以下に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲31-13に係る本件発明13の発明特定事項は、甲31発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲31発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が苦味価に着目し、さらに相違点甲31-13に係る60.0BUs以下に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明13についてのまとめ 以上のことから、本件発明13は甲31発明Aではなく、かつ、甲31発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件発明14について ア 本件発明14と甲31発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲31発明Aとの対比を踏まえ、本件発明14と甲31発明Aとを対比する。甲31発明Aは酵母Safale American(DCL/Fermentis #US-05)を原料とするものであるから、本件発明14における「前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲31-14:本件発明14は「アルコール度数が15.5(v/v)%以上であり」と特定するのに対し、甲31発明Aは「アルコール度数14.7v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲31-14について検討する。 イ 相違点甲31-14について 相違点甲31-14は、実質的に相違点甲31-2-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲31-14は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲31-14に係る本件発明14の発明特定事項は、甲31発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明14についてのまとめ 以上のことから、本件発明14は甲31発明Aではなく、かつ、甲31発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件発明15について ア 本件発明15と甲31発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲31発明Aとの対比を踏まえ、本件発明15と甲31発明Aとを対比する。甲31発明Aは、その原料にエタノールもエタノール含有組成物も含まないものであるから、本件発明15における「原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上、および、苦味価が70.0BUs以下であり、原材料にホップを用い、原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲31-15:本件発明15は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲31発明Aは「アルコール度数14.7v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲31-15について検討する。 イ 相違点甲31-15について 相違点甲31-15は、実質的に相違点甲31-2-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲31-15は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲31-15に係る本件発明15の発明特定事項は、甲31発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明15についてのまとめ 以上のことから、本件発明15は甲31発明Aではなく、かつ、甲31発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件発明16について ア 本件発明16と甲31発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲31発明Aとの対比を踏まえ、本件発明16と甲31発明Aとを対比する。甲31発明Aは、麦芽比率が57.0質量%であるから、本件発明16における「麦芽比率が80質量%以下である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、および、苦味価が10.0BUs以上70.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 麦芽比率が80質量%以下である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲31-16:本件発明16は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲31発明Aは「アルコール度数14.7v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲31-16について検討する。 イ 相違点甲31-16について 相違点甲31-16は、実質的に相違点甲31-2-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲31-16は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲31-16に係る本件発明16の発明特定事項は、甲31発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明16についてのまとめ 以上のことから、本件発明16は甲31発明Aではなく、かつ、甲31発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)本件発明17について ア 本件発明17と甲31発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲31発明Aとの対比を踏まえ、本件発明17と甲31発明Aとを対比すると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料であり、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲31-17-1:本件発明17は「アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下」と特定するのに対し、甲31発明Aは「アルコール度数14.7v/v%」である点 相違点甲31-17-2:本件発明17は「苦味価が10.0BUs以上50.0BUs以下」と特定するのに対し、甲31発明Aは「苦味価(IBU)62.8」である点 相違点甲31-17-3:本件発明17は「pHが5.0以下であり」と特定するのに対し、甲31発明Aはそのように特定されない点 で相違する。 そこで、上記相違点甲31-17-1について検討する。 イ 相違点甲31-17-1について 相違点甲31-17-1は、実質的に相違点甲31-2-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲31-17-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲31-17-1に係る本件発明17の発明特定事項は、甲31発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明17についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明17は甲31発明Aではなく、かつ、甲31発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (10)本件発明18について ア 本件発明18と甲31発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲31発明Aとの対比を踏まえ、本件発明18と甲31発明Aとを対比すると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 麦芽比率が67質量%未満であり、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲31-18:本件発明18は「アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下であり」と特定するのに対し、甲31発明Aは「アルコール度数14.7v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲31-18について検討する。 イ 相違点甲31-18について 相違点甲31-18は、実質的に相違点甲31-2-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲31-18は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲31-18に係る本件発明18の発明特定事項は、甲31発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明18についてのまとめ 以上のことから、本件発明18は甲31発明Aではなく、かつ、甲31発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (11)取消理由5-5(甲31に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-5(甲31に基づく新規性欠如・進歩性欠如)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明2~9及び12~18は、いずれも甲31に記載された発明ではないから特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明2~9及び12~18は、いずれも甲31に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、取消理由5-5(甲31に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-5(甲31に基づく新規性欠如・進歩性欠如)により本件発明2~9及び12~18についての特許を取り消すことはできない。 6.取消理由5-6(甲32に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-6(甲32に基づく新規性欠如・進歩性欠如)について (1)甲32に記載された発明 甲32に記載された事項を整理すると、甲32には以下の発明が記載されている。 「8ポンド ペール2-ロウ 8ポンド 蜂蜜 1ポンド ハニーモルト 0.5ポンド カラフォーム 1オンス ソラチエース Wyeast - Dry Mead 4632 を原料とする、オリジナルエキス比重1.116、外観エキス比重1.004、アルコール度数14.69v/v%、苦味価(IBU)32.92、色度(SRM)7.85の、ビール。」(以下、「甲32発明A」という。) 「酵母Wyeast - Dry Mead 4632による発酵工程を有する甲32発明Aの製造方法。」(以下、「甲32発明B」という。) (2)本件発明1について ア 本件発明1と甲32発明Aとの対比 甲32発明Aにおけるオリジナルエキス比重1.116は27.2144質量%(゜P)であり、外観エキス比重1.004は1.0278質量%(゜P)である。 本件明細書の[0009]に記載された式(1)に従って、甲32発明Aのオリジナルエキス(°P)及び外観エキス(°P)から外観発酵度を計算すると、 式(1):外観発酵度AA(%)=100×(オリジナルエキスP-外観エキスEs)/オリジナルエキスP=100×(27.2144-1.0278)/27.2144=96.2%であるから、甲32発明Aにおける外観発酵度は、本件発明1における「外観発酵度が95.0%以上」を満たしている。 甲32発明Aにおける「苦味価(IBU)32.92」は、本件発明1における「苦味価が80.0BUs以下であり」を満たしている。 甲32発明Aにおける「1オンス ソラチエース」は、本件発明1における「原材料にホップを用いる」を満たしている。 甲32発明Aにおける「ビール」は、本件発明1における「ビールテイスト飲料」に相当する。 甲32には、甲32発明Aの製造工程として、「原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程」及び「ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程」は記載されていないから、甲32発明Aが、「(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料・・・を除く)」との発明特定事項により除外されていると直ちにいうことはできない。 甲32発明Aにおける麦芽重量は、「8ポンド ペール2-ロウ」+「1ポンド ハニーモルト」+「0.5ポンド カラフォーム」=9.5ポンド=4.31kgである。 甲32発明Aにおける水及びホップ以外の原料の重量は、麦芽重量4.31kg+「8ポンド 蜂蜜」=4.31kg+8ポンド(3.63kg)=7.94kgである。 これらから甲32発明Aの麦芽比率を求めると、4.31/7.94×100=54.3質量%であるから、甲32発明Aは、本件発明1において「除く」ものとされている「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」には該当しない。 そうすると、本件発明1と甲32発明Aとは、 「外観発酵度が95.0%以上、および、苦味価が80.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲32-1:本件発明1は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲32発明Aは「アルコール度数14.69v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲32-1について検討する。 イ 相違点甲32-1について まず、相違点甲32-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲32は「Honey Bee Braggot」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲32及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲32発明Aにおけるアルコール度数を15.0(v/v)%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲32-1に係る本件発明1の発明特定事項は、甲32発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲32発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者がアルコール度数に着目し、さらに相違点甲32-1に係る15.0(v/v)%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明1についてのまとめ 以上のことから、本件発明1は甲32発明Aではなく、かつ、甲32発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明3~9について 本件発明3~9は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(2)で検討した本件発明1と同様の理由により、本件発明3~9は、いずれも甲32発明Aではなく、かつ、甲32発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明10について ア 本件発明10と甲32発明Bとの対比 本件発明10と甲32発明Bとを対比すると、甲32発明Bにおける「酵母Wyeast - Dry Mead 4632による発酵工程を有する」及び「製造方法」は、本件発明10における「発酵させる発酵工程を有し」及び「製造方法」に相当する。また、甲32発明Bにおける「甲32発明A」と本件発明10において製造されるビールテイスト飲料との一致点及び相違点は、上記(2)アと同様である。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が95.0%以上、および、苦味価が80.0BUs以下となるように発酵させる発酵工程を有し、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料の製造方法(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料の製造方法を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲32-10:本件発明10は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲32発明Bは「アルコール度数14.69v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲32-10について検討する。 イ 相違点甲32-10について 相違点甲32-10は、実質的に相違点甲32-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲32-10は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲32-10に係る本件発明10の発明特定事項は、甲32発明B及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明10についてのまとめ 以上のことから、本件発明10は甲32発明Bではなく、かつ、甲32発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明11について 本件発明11は、請求項10を引用し、本件発明10の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(4)で検討した本件発明10と同様の理由により、本件発明11は甲32発明Bではなく、かつ、甲32発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件発明12について 甲32は「Honey Bee Braggot」というビール製品のレシピであり、定められた原料、製造方法及び製品の成分組成が記載されているにとどまるから、上記1.(7)アに記載した甲27と同様のことがいえる。また、甲32に基づく申立人の主張は、上記1.(7)イに記載した甲27に基づく主張と実質的に同旨であるから、同じ理由によりいずれも採用することができない。 よって、本件発明12は甲32に記載された発明ではなく、かつ、甲32に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件発明13について ア 本件発明13と甲32発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲32発明Aとの対比を踏まえ、本件発明13と甲32発明Aとを対比する。甲32発明Aの外観発酵度(X)は96.2%、アルコール度数(Y)は14.69v/v%であるから、X×Y=1413.2であり、本件発明13における「式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」という特定事項を満たしている。 そうすると、両者は、 「アルコール度数が14.5(v/v)%以上、および、苦味価が60.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲32-13:本件発明13は「外観発酵度が97.0%以上」と特定するのに対し、甲32発明Aは外観発酵度が96.2%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲32-13について検討する。 イ 相違点甲32-13について まず、相違点甲32-13は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲32は「Honey Bee Braggot」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲32及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲32発明Aにおける外観発酵度を97.0%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲32-13に係る本件発明13の発明特定事項は、甲32発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲32発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が外観発酵度に着目し、さらに相違点甲32-13に係る97.0%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明13についてのまとめ 以上のことから、本件発明13は甲32発明Aではなく、かつ、甲32発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件発明14について ア 本件発明14と甲32発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲32発明Aとの対比を踏まえ、本件発明14と甲32発明Aとを対比する。甲32発明Aは酵母Wyeast - Dry Mead 4632を原料とするものであるから、本件発明14における「前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲32-14:本件発明14は「アルコール度数が15.5(v/v)%以上であり」と特定するのに対し、甲32発明Aは「アルコール度数14.69v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲32-14について検討する。 イ 相違点甲32-14について 相違点甲32-14は、実質的に相違点甲32-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲32-14は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲32-14に係る本件発明14の発明特定事項は、甲32発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明14についてのまとめ 以上のことから、本件発明14は甲32発明Aではなく、かつ、甲32発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)本件発明15について ア 本件発明15と甲32発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲32発明Aとの対比を踏まえ、本件発明15と甲32発明Aとを対比する。甲32発明Aは、その原料にエタノールもエタノール含有組成物も含まないものであるから、本件発明15における「原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上、および、苦味価が70.0BUs以下であり、原材料にホップを用い、原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲32-15:本件発明15は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲32発明Aは「アルコール度数14.69v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲32-15について検討する。 イ 相違点甲32-15について 相違点甲32-15は、実質的に相違点甲32-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲32-15は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲32-15に係る本件発明15の発明特定事項は、甲32発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明15についてのまとめ 以上のことから、本件発明15は甲32発明Aではなく、かつ、甲32発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (10)本件発明16について ア 本件発明16と甲32発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲32発明Aとの対比を踏まえ、本件発明16と甲32発明Aとを対比する。甲32発明Aは、麦芽比率が54.3質量%であるから、本件発明16における「麦芽比率が80質量%以下である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、および、苦味価が10.0BUs以上70.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 麦芽比率が80質量%以下である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲32-16:本件発明16は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲32発明Aは「アルコール度数14.69v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲32-16について検討する。 イ 相違点甲32-16について 相違点甲32-16は、実質的に相違点甲32-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲32-16は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲32-16に係る本件発明16の発明特定事項は、甲32発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明16についてのまとめ 以上のことから、本件発明16は甲32発明Aではなく、かつ、甲32発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (11)本件発明18について ア 本件発明18と甲32発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲32発明Aとの対比を踏まえ、本件発明18と甲32発明Aとを対比すると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 麦芽比率が67質量%未満であり、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲32-18:本件発明1は「アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下であり」と特定するのに対し、甲32発明Aは「アルコール度数14.69v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲32-18について検討する。 イ 相違点甲32-18について 相違点甲32-18は、実質的に相違点甲32-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲32-18は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲32-18に係る本件発明18の発明特定事項は、甲32発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明18についてのまとめ 以上のことから、本件発明18は甲32発明Aではなく、かつ、甲32発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (12)取消理由5-6(甲32に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-6(甲32に基づく新規性欠如・進歩性欠如)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明1、3~16及び18は、いずれも甲32に記載された発明ではないから特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明1、3~16及び18は、いずれも甲32に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、取消理由5-6(甲32に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-6(甲32に基づく新規性欠如・進歩性欠如)により本件発明1、3~16及び18についての特許を取り消すことはできない。 7.取消理由5-7(甲33に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-7(甲33に基づく新規性欠如・進歩性欠如)について (1)甲33に記載された発明 甲33に記載された事項を整理すると、甲33には以下の発明が記載されている。 「1.85g 重曹(マッシュ60分) 1.85g 塩化カルシウム(マッシュ60分) 0.93g 石膏(硫酸カルシウム)(マッシュ60分) 24ポンド ピルスナー(2ロウ)ベルギー産(2.0SRM) 10ポンド ペールモルト(2ロウ)ベルギー産(3.0SRM) 4ポンド キャンディーシュガー,ダーク(180.0SRM) 2ポンド キャンディーシュガー,ダーク(90.0SRM) 2.00オンス ブルワーズゴールド[8.0%]-煮沸60分 2.00オンス ハラタウミッテルフリュー[4.0%]-煮沸30分 2.00オンス スティリアンゴールディング[5.4%]-煮沸15分 1.9パッケージ Mangrove Jack’s Belgian Ale(Mangrove Jack’s #M27 Belgian Ale) を原料とする、オリジナルエキス比重1.106(25.0質量%(°P))、外観エキス比重1.004(1.1質量%(°P))、アルコール度数13.5v/v%、苦味価(IBU)32.4、色度(SRM)31.4の、ビール。」(以下、「甲33発明A」という。) 「酵母Mangrove Jack’s Belgian Ale(Mangrove Jack’s #M27 Belgian Ale)による発酵工程を有する甲33発明Aの製造方法。」(以下、「甲33発明B」という。) (2)本件発明1について ア 本件発明1と甲33発明Aとの対比 本件明細書の[0009]に記載された式(1)に従って、甲33発明Aのオリジナルエキス(°P)及び外観エキス(°P)から外観発酵度を計算すると、 式(1):外観発酵度AA(%)=100×(オリジナルエキスP-外観エキスEs)/オリジナルエキスP=100×(25.0-1.1)/25.0=95.6%であるから、甲33発明Aにおける外観発酵度は、本件発明1における「外観発酵度が95.0%以上」を満たしている。 甲33発明Aにおける「苦味価(IBU)32.4」は、本件発明1における「苦味価が80.0BUs以下であり」を満たしている。 甲33発明Aにおける「2.00オンス ブルワーズゴールド[8.0%]-煮沸60分」、「2.00オンス ハラタウミッテルフリュー[4.0%]-煮沸30分」及び「2.00オンス スティリアンゴールディング[5.4%]-煮沸15分」は、本件発明1における「原材料にホップを用いる」を満たしている。 甲33発明Aにおける「ビール」は、本件発明1における「ビールテイスト飲料」に相当する。 甲33には、甲33発明Aの製造工程として、「原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程」及び「ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程」は記載されていないから、甲33発明Aが、「(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料・・・を除く)」との発明特定事項により除外されていると直ちにいうことはできない。 甲33発明Aにおける麦芽重量は、「24ポンド ピルスナー(2ロウ)ベルギー産(2.0SRM)」+「10ポンド ペールモルト(2ロウ)ベルギー産(3.0SRM)」=34ポンド=15.42kgである。 甲33発明Aにおける水及びホップ以外の原料の重量は、麦芽重量15.42kg+「4ポンド キャンディーシュガー,ダーク(180.0SRM)」+「2ポンド キャンディーシュガー,ダーク(90.0SRM)」=15.42kg+6ポンド(2.72kg)=18.14kgである。 これらから甲33発明Aの麦芽比率を求めると、15.42/18.14×100=85.0質量%であるから、甲33発明Aは、本件発明1において「除く」ものとされている「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」には該当しない。 そうすると、本件発明1と甲33発明Aとは、 「外観発酵度が95.0%以上、および、苦味価が80.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲33-1:本件発明1は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲33発明Aは「アルコール度数13.5v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲33-1について検討する。 イ 相違点甲33-1について まず、相違点甲33-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲33は「Westvleteren 12 Clone」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲33及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲33発明Aにおけるアルコール度数を15.0(v/v)%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲33-1に係る本件発明1の発明特定事項は、甲33発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲33発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者がアルコール度数に着目し、さらに相違点甲33-1に係る15.0(v/v)%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明1についてのまとめ 以上のことから、本件発明1は甲33発明Aではなく、かつ、甲33発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明3~9について 本件発明3~9は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(2)で検討した本件発明1と同様の理由により、本件発明3~9は、いずれも甲33発明Aではなく、かつ、甲33発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明10について ア 本件発明10と甲33発明Bとの対比 本件発明10と甲33発明Bとを対比すると、甲33発明Bにおける「酵母Mangrove Jack’s Belgian Ale(Mangrove Jack’s #M27 Belgian Ale)による発酵工程を有する」及び「製造方法」は、本件発明10における「発酵させる発酵工程を有し」及び「製造方法」に相当する。また、甲33発明Bにおける「甲33発明A」と本件発明10において製造されるビールテイスト飲料との一致点及び相違点は、上記(2)アと同様である。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が95.0%以上、および、苦味価が80.0BUs以下となるように発酵させる発酵工程を有し、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料の製造方法(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料の製造方法を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲33-10:本件発明10は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲33発明Bは「アルコール度数13.5v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲33-10について検討する。 イ 相違点甲33-10について 相違点甲33-10は、実質的に相違点甲33-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲33-10は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲33-10に係る本件発明10の発明特定事項は、甲33発明B及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明10についてのまとめ 以上のことから、本件発明10は甲33発明Bではなく、かつ、甲33発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明11について 本件発明11は、請求項10を引用し、本件発明10の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(4)で検討した本件発明10と同様の理由により、本件発明11は甲33発明Bではなく、かつ、甲33発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件発明12について 甲33は「Westvleteren 12 Clone」というビール製品のレシピであり、定められた原料、製造方法及び製品の成分組成が記載されているにとどまるから、上記1.(7)アに記載した甲27と同様のことがいえる。また、甲33に基づく申立人の主張は、上記1.(7)イに記載した甲27に基づく主張と実質的に同旨であるから、同じ理由によりいずれも採用することができない。 よって、本件発明12は甲33に記載された発明ではなく、かつ、甲33に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件発明13について ア 本件発明13と甲33発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲33発明Aとの対比を踏まえ、本件発明13と甲33発明Aとを対比する。甲33発明Aの外観発酵度(X)は95.6%、アルコール度数(Y)は13.5v/v%であるから、X×Y=1290.6である。 そうすると、両者は、 「苦味価が60.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲33-13-1:本件発明13は「外観発酵度が97.0%以上」と特定するのに対し、甲33発明Aは外観発酵度が95.6%である点 相違点甲33-13-2:本件発明13は「アルコール度数が14.5(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲33発明Aは「アルコール度数13.5v/v%」である点 相違点甲33-13-3:本件発明13は「下記式(1)を満たす、 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」と特定するのに対し、甲33発明AはX×Y=1290.6である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲33-13-1について検討する。 イ 相違点甲33-13-1について まず、相違点甲33-13-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲33は「Westvleteren 12 Clone」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲33及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲33発明Aにおける外観発酵度を97.0%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲33-13-1に係る本件発明13の発明特定事項は、甲33発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲33発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が外観発酵度に着目し、さらに相違点甲33-13-1に係る97.0%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明13についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明13は甲33発明Aではなく、かつ、甲33発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件発明14について ア 本件発明14と甲33発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲33発明Aとの対比を踏まえ、本件発明14と甲33発明Aとを対比する。甲33発明Aは酵母Mangrove Jack’s Belgian Ale(Mangrove Jack’s #M27 Belgian Ale)を原料とするものであるから、本件発明14における「前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲33-14:本件発明14は「アルコール度数が15.5(v/v)%以上であり」と特定するのに対し、甲33発明Aは「アルコール度数13.5v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲33-14について検討する。 イ 相違点甲33-14について 相違点甲33-14は、実質的に相違点甲33-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲33-14は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲33-14に係る本件発明14の発明特定事項は、甲33発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明14についてのまとめ 以上のことから、本件発明14は甲33発明Aではなく、かつ、甲33発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)本件発明15について ア 本件発明15と甲33発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲33発明Aとの対比を踏まえ、本件発明15と甲33発明Aとを対比する。甲33発明Aは、その原料にエタノールもエタノール含有組成物も含まないものであるから、本件発明15における「原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上、および、苦味価が70.0BUs以下であり、原材料にホップを用い、原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲33-15:本件発明15は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲33発明Aは「アルコール度数13.5v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲33-15について検討する。 イ 相違点甲33-15について 相違点甲33-15は、実質的に相違点甲33-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲33-15は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲33-15に係る本件発明15の発明特定事項は、甲33発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明15についてのまとめ 以上のことから、本件発明15は甲33発明Aではなく、かつ、甲33発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (10)本件発明16について ア 本件発明16と甲33発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲33発明Aとの対比を踏まえ、本件発明16と甲33発明Aとを対比する。甲33発明Aは、麦芽比率が85.0質量%である。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、および、苦味価が10.0BUs以上70.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲33-16-1:本件発明16は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲33発明Aは「アルコール度数13.5v/v%」である点 相違点甲33-16-2:本件発明16は「麦芽比率が80質量%以下である」と特定するのに対し、甲33発明Aは麦芽比率が85.0質量%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲33-16-1について検討する。 イ 相違点甲33-16-1について 相違点甲33-16-1は、実質的に相違点甲33-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲33-16-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲33-16-1に係る本件発明16の発明特定事項は、甲33発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明16についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明16は甲33発明Aではなく、かつ、甲33発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (11)本件発明17について ア 本件発明17と甲33発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲33発明Aとの対比を踏まえ、本件発明17と甲33発明Aとを対比すると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下、および、苦味価が10.0BUs以上50.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、 ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲33-17-1:本件発明17は「pHが5.0以下であり」と特定するのに対し、甲33発明Aはそのように特定されない点 相違点甲33-17-2:本件発明17は「下記式(1)を満たす、 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」と特定するのに対し、甲33発明AはX×Y=1290.6である点 で相違する。 そこで、事案に鑑み、上記相違点甲33-17-2について検討する。 イ 相違点甲33-17-2について まず、相違点甲33-17-2は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲33は「Westvleteren 12 Clone」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲33及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲33発明Aにおける上記X×Yを1350以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲33-17-2に係る本件発明17の発明特定事項は、甲33発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲33発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が上記X×Yに着目し、さらに相違点甲33-17-2に係る1350以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明17についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明17は甲33発明Aではなく、かつ、甲33発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (12)本件発明18について ア 本件発明18と甲33発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲33発明Aとの対比を踏まえ、本件発明18と甲33発明Aとを対比すると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上、および、アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲33-18:本件発明18は「麦芽比率が67質量%未満であり」と特定するのに対し、甲33発明Aは麦芽比率が85.0質量%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲33-18について検討する。 イ 相違点甲33-18について まず、相違点甲33-18は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲33は「Westvleteren 12 Clone」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲33及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲33発明Aにおける麦芽比率を67質量%未満に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲33-18に係る本件発明18の発明特定事項は、甲33発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲33発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が麦芽比率に着目し、さらに相違点甲33-18に係る67質量%未満に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明18についてのまとめ 以上のことから、本件発明18は甲33発明Aではなく、かつ、甲33発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (13)取消理由5-7(甲33に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-7(甲33に基づく新規性欠如・進歩性欠如)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明1及び3~18は、いずれも甲33に記載された発明ではないから特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明1及び3~18は、いずれも甲33に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、取消理由5-7(甲33に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-7(甲33に基づく新規性欠如・進歩性欠如)により本件発明1及び3~18についての特許を取り消すことはできない。 8.取消理由5-8(甲34に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-8(甲34に基づく新規性欠如・進歩性欠如)について (1)甲34に記載された発明 甲34に記載された事項を整理すると、甲34には以下の発明が記載されている。 「15.00g 塩化カルシウム(マッシュ60分) 9ポンド ピルスナー(2ロウ)ドイツ産(2.0SRM) 1ポンド4.00オンス 粉砕オーツ麦(1.0SRM) 8.00オンス スペシャルBモルト(180.0SRM) 6ポンド ペールモルト(2ロウ)ベルギー産(3.0SRM) 2ポンド キャンディーシュガー,アンバー(75.0SRM) 1.00オンス マグナム[11.8%]-煮沸60分 0.50オンス ハラタウヘルスブルッカー[1.5%]-煮沸30分 0.50オンス ハラタウヘルスブルッカー[1.5%]-煮沸10分 2.0パッケージ Mangrove Jack M41(Mangrove Jack #Belgian Ales) を原料とする、オリジナルエキス比重1.103(24.4質量%(°P))、外観エキス比重1.002(0.5質量%(°P))、アルコール度数13.5v/v%、苦味価(IBU)29.6、色度(SRM)21.3の、ビール。」(以下、「甲34発明A」という。) 「酵母Mangrove Jack M41(Mangrove Jack #Belgian Ales)による発酵工程を有する甲34発明Aの製造方法。」(以下、「甲34発明B」という。) (2)本件発明1について ア 本件発明1と甲34発明Aとの対比 本件明細書の[0009]に記載された式(1)に従って、甲34発明Aのオリジナルエキス(°P)及び外観エキス(°P)から外観発酵度を計算すると、 式(1):外観発酵度AA(%)=100×(オリジナルエキスP-外観エキスEs)/オリジナルエキスP=100×(24.4-0.5)/24.4=98.0%であるから、甲34発明Aにおける外観発酵度は、本件発明1における「外観発酵度が95.0%以上」を満たしている。 甲34発明Aにおける「苦味価(IBU)29.6」は、本件発明1における「苦味価が80.0BUs以下であり」を満たしている。 甲34発明Aにおける「1.00オンス マグナム[11.8%]-煮沸60分」、「0.50オンス ハラタウヘルスブルッカー[1.5%]-煮沸30分」及び「0.50オンス ハラタウヘルスブルッカー[1.5%]-煮沸10分」は、本件発明1における「原材料にホップを用いる」を満たしている。 甲34発明Aにおける「ビール」は、本件発明1における「ビールテイスト飲料」に相当する。 甲34には、甲34発明Aの製造工程として、「原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程」及び「ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程」は記載されていないから、甲34発明Aが、「(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料・・・を除く)」との発明特定事項により除外されていると直ちにいうことはできない。 甲34発明Aにおける麦芽重量は、「9ポンド ピルスナー(2ロウ)ドイツ産(2.0SRM)」+「8.00オンス スペシャルBモルト(180.0SRM)」+「6ポンド ペールモルト(2ロウ)ベルギー産(3.0SRM)」=15ポンド8.00オンス=7.03kgである。 甲34発明Aにおける水及びホップ以外の原料の重量は、麦芽重量7.03kg+「1ポンド4.00オンス 粉砕オーツ麦(1.0SRM)」+「2ポンド キャンディーシュガー,アンバー(75.0SRM)」=7.03kg+3ポンド4.00オンス(1.47kg)=8.50kgである。 これらから甲34発明Aの麦芽比率を求めると、7.03/8.50×100=82.7質量%であるから、甲34発明Aは、本件発明1において「除く」ものとされている「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」には該当しない。 そうすると、本件発明1と甲34発明Aとは、 「外観発酵度が95.0%以上、および、苦味価が80.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲34-1:本件発明1は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲34発明Aは「アルコール度数13.5v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲34-1について検討する。 イ 相違点甲34-1について まず、相違点甲34-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲34は「Why did I drink that Belgian Dark Ale」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲34及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲34発明Aにおけるアルコール度数を15.0(v/v)%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲34-1に係る本件発明1の発明特定事項は、甲34発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲34発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者がアルコール度数に着目し、さらに相違点甲34-1に係る15.0(v/v)%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明1についてのまとめ 以上のことから、本件発明1は甲34発明Aではなく、かつ、甲34発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明3~9について 本件発明3~9は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(2)で検討した本件発明1と同様の理由により、本件発明3~9は、いずれも甲34発明Aではなく、かつ、甲34発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明10について ア 本件発明10と甲34発明Bとの対比 本件発明10と甲34発明Bとを対比すると、甲34発明Bにおける「酵母Mangrove Jack M41(Mangrove Jack #Belgian Ales)による発酵工程を有する」及び「製造方法」は、本件発明10における「発酵させる発酵工程を有し」及び「製造方法」に相当する。また、甲34発明Bにおける「甲34発明A」と本件発明10において製造されるビールテイスト飲料との一致点及び相違点は、上記(2)アと同様である。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が95.0%以上、および、苦味価が80.0BUs以下となるように発酵させる発酵工程を有し、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料の製造方法(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料の製造方法を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲34-10:本件発明10は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲34発明Bは「アルコール度数13.5v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲34-10について検討する。 イ 相違点甲34-10について 相違点甲34-10は、実質的に相違点甲34-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲34-10は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲34-10に係る本件発明10の発明特定事項は、甲34発明B及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明10についてのまとめ 以上のことから、本件発明10は甲34発明Bではなく、かつ、甲34発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明11について 本件発明11は、請求項10を引用し、本件発明10の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(4)で検討した本件発明10と同様の理由により、本件発明11は甲34発明Bではなく、かつ、甲34発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件発明12について 甲34は「Why did I drink that Belgian Dark Ale」というビール製品のレシピであり、定められた原料、製造方法及び製品の成分組成が記載されているにとどまるから、上記1.(7)アに記載した甲27と同様のことがいえる。また、甲34に基づく申立人の主張は、上記1.(7)イに記載した甲27に基づく主張と実質的に同旨であるから、同じ理由によりいずれも採用することができない。 よって、本件発明12は甲34に記載された発明ではなく、かつ、甲34に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件発明13について ア 本件発明13と甲34発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲34発明Aとの対比を踏まえ、本件発明13と甲34発明Aとを対比する。甲34発明Aの外観発酵度(X)は98.0%、アルコール度数(Y)は13.5v/v%であるから、X×Y=1323.0である。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が97.0%以上、および、苦味価が60.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲34-13-1:本件発明13は「アルコール度数が14.5(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲34発明Aは「アルコール度数13.5v/v%」である点 相違点甲34-13-2:本件発明13は「下記式(1)を満たす、 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」と特定するのに対し、甲34発明AはX×Y=1323.0である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲34-13-1について検討する。 イ 相違点甲34-13-1について 相違点甲34-13-1は、実質的に相違点甲34-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲34-13-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲34-13-1に係る本件発明13の発明特定事項は、甲34発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明13についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明13は甲34発明Aではなく、かつ、甲34発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件発明14について ア 本件発明14と甲34発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲34発明Aとの対比を踏まえ、本件発明14と甲34発明Aとを対比する。甲34発明Aは酵母Mangrove Jack M41(Mangrove Jack #Belgian Ales)を原料とするものであるから、本件発明14における「前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲34-14:本件発明14は「アルコール度数が15.5(v/v)%以上であり」と特定するのに対し、甲34発明Aは「アルコール度数13.5v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲34-14について検討する。 イ 相違点甲34-14について 相違点甲34-14は、実質的に相違点甲34-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲34-14は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲34-14に係る本件発明14の発明特定事項は、甲34発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明14についてのまとめ 以上のことから、本件発明14は甲34発明Aではなく、かつ、甲34発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)本件発明15について ア 本件発明15と甲34発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲34発明Aとの対比を踏まえ、本件発明15と甲34発明Aとを対比する。甲34発明Aは、その原料にエタノールもエタノール含有組成物も含まないものであるから、本件発明15における「原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上、および、苦味価が70.0BUs以下であり、原材料にホップを用い、原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲34-15:本件発明15は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲34発明Aは「アルコール度数13.5v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲34-15について検討する。 イ 相違点甲34-15について 相違点甲34-15は、実質的に相違点甲34-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲34-15は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲34-15に係る本件発明15の発明特定事項は、甲34発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明15についてのまとめ 以上のことから、本件発明15は甲34発明Aではなく、かつ、甲34発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (10)本件発明16について ア 本件発明16と甲34発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲34発明Aとの対比を踏まえ、本件発明16と甲34発明Aとを対比する。甲34発明Aは、麦芽比率が82.7質量%である。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、および、苦味価が10.0BUs以上70.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲34-16-1:本件発明16は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲34発明Aは「アルコール度数13.5v/v%」である点 相違点甲34-16-2:本件発明16は「麦芽比率が80質量%以下である」と特定するのに対し、甲34発明Aは麦芽比率が82.7質量%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲34-16-1について検討する。 イ 相違点甲34-16-1について 相違点甲34-16-1は、実質的に相違点甲34-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲34-16-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲34-16-1に係る本件発明16の発明特定事項は、甲34発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明16についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明16は甲34発明Aではなく、かつ、甲34発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (11)本件発明17について ア 本件発明17と甲34発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲34発明Aとの対比を踏まえ、本件発明17と甲34発明Aとを対比すると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下、および、苦味価が10.0BUs以上50.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、 ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲34-17-1:本件発明17は「pHが5.0以下であり」と特定するのに対し、甲34発明Aはそのように特定されない点 相違点甲34-17-2:本件発明17は「下記式(1)を満たす、 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」と特定するのに対し、甲34発明AはX×Y=1323.0である点 で相違する。 そこで、事案に鑑み、上記相違点甲34-17-2について検討する。 イ 相違点甲34-17-2について まず、相違点甲34-17-2は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲34は「Why did I drink that Belgian Dark Ale」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲34及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲34発明Aにおける上記X×Yを1350以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲34-17-2に係る本件発明17の発明特定事項は、甲34発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲34発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が上記X×Yに着目し、さらに相違点甲34-17-2に係る1350以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明17についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明17は甲34発明Aではなく、かつ、甲34発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (12)本件発明18について ア 本件発明18と甲34発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲34発明Aとの対比を踏まえ、本件発明18と甲34発明Aとを対比すると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上、および、アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲34-18:本件発明18は「麦芽比率が67質量%未満であり」と特定するのに対し、甲34発明Aは麦芽比率が82.7質量%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲34-18について検討する。 イ 相違点甲34-18について まず、相違点甲34-18は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲34は「Why did I drink that Belgian Dark Ale」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲34及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲34発明Aにおける麦芽比率を67質量%未満に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲34-18に係る本件発明18の発明特定事項は、甲34発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲34発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が麦芽比率に着目し、さらに相違点甲34-18に係る67質量%未満に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明18についてのまとめ 以上のことから、本件発明18は甲34発明Aではなく、かつ、甲34発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (13)取消理由5-8(甲34に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-8(甲34に基づく新規性欠如・進歩性欠如)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明1及び3~18は、いずれも甲34に記載された発明ではないから特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明1及び3~18は、いずれも甲34に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、取消理由5-8(甲34に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-8(甲34に基づく新規性欠如・進歩性欠如)により本件発明1及び3~18についての特許を取り消すことはできない。 9.取消理由5-9(甲35に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-9(甲35に基づく新規性欠如・進歩性欠如)について (1)甲35に記載された発明 甲35に記載された事項を整理すると、甲35には以下の発明が記載されている。 「2kg ベルギーキャンディーシュガー-アンバー/ブラウン(60L) 1kg ローストバーレイ 5kg ペールエール 1kg チョコレート 15g センテニアル 15g センテニアル 15g センテニアル 15g センテニアル Fermentis / Safale - Bergian Saison Ale Yeast BE-134 を原料とする、オリジナルエキス比重1.110、外観エキス比重1.007、アルコール度数13.53v/v%、苦味価(IBU)38.08、色度(SRM)50、もろみpH0の、ビール。」(以下、「甲35発明A」という。) 「酵母Fermentis / Safale - Bergian Saison Ale Yeast BE-134による発酵工程を有する甲35発明Aの製造方法。」(以下、「甲35発明B」という。) (2)本件発明1について ア 本件発明1と甲35発明Aとの対比 甲35発明Aにおけるオリジナルエキス比重1.110は25.9330質量%(゜P)であり、外観エキス比重1.007は1.7963質量%(゜P)である。 本件明細書の[0009]に記載された式(1)に従って、甲35発明Aのオリジナルエキス(°P)及び外観エキス(°P)から外観発酵度を計算すると、 式(1):外観発酵度AA(%)=100×(オリジナルエキスP-外観エキスEs)/オリジナルエキスP=100×(25.9330-1.7963)/25.9330=93.1%である。 甲35発明Aにおける「苦味価(IBU)38.08」は、本件発明1における「苦味価が80.0BUs以下であり」を満たしている。 甲35発明Aにおける「15g センテニアル」(4回添加)は、本件発明1における「原材料にホップを用いる」を満たしている。 甲35発明Aにおける「ビール」は、本件発明1における「ビールテイスト飲料」に相当する。 甲35には、甲35発明Aの製造工程として、「原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程」及び「ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程」は記載されていないから、甲35発明Aが、「(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料・・・を除く)」との発明特定事項により除外されていると直ちにいうことはできない。 甲35発明Aにおける麦芽重量は、「5kg ペールエール」+「1kg チョコレート」=6kgである。 甲35発明Aにおける水及びホップ以外の原料の重量は、麦芽重量6kg+「2kg ベルギーキャンディーシュガー-アンバー/ブラウン(60L)」+「1kg ローストバーレイ」=9kgである。 これらから甲35発明Aの麦芽比率を求めると、6/9×100=66.7質量%であるから、甲35発明Aは、本件発明1において「除く」ものとされている「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」には該当しない。 そうすると、本件発明1と甲35発明Aとは、 「苦味価が80.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲35-1-1:本件発明1は「外観発酵度が95.0%以上」と特定するのに対し、甲35発明Aは外観発酵度が93.1%である点 相違点甲35-1-2:本件発明1は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲35発明Aは「アルコール度数13.53v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲35-1-1について検討する。 イ 相違点甲35-1-1について まず、相違点甲35-1-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲35は「Brewer’s Friend」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲35及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲35発明Aにおける外観発酵度を95.0%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲35-1-1に係る本件発明1の発明特定事項は、甲35発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲35発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が外観発酵度に着目し、さらに相違点甲35-1-1に係る95.0%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明1についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲35発明Aではなく、かつ、甲35発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明3~9について 本件発明3~9は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(2)で検討した本件発明1と同様の理由により、本件発明3~9は、いずれも甲35発明Aではなく、かつ、甲35発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明10について ア 本件発明10と甲35発明Bとの対比 本件発明10と甲35発明Bとを対比すると、甲35発明Bにおける「酵母Fermentis / Safale - Bergian Saison Ale Yeast BE-134による発酵工程を有する」及び「製造方法」は、本件発明10における「発酵させる発酵工程を有し」及び「製造方法」に相当する。また、甲35発明Bにおける「甲35発明A」と本件発明10において製造されるビールテイスト飲料との一致点及び相違点は、上記(2)アと同様である。 そうすると、両者は、 「苦味価が80.0BUs以下となるように発酵させる発酵工程を有し、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料の製造方法(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料の製造方法を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲35-10-1:本件発明10は「外観発酵度が95.0%以上」と特定するのに対し、甲35発明Bは外観発酵度が93.1%である点 相違点甲35-10-2:本件発明10は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲35発明Bは「アルコール度数13.53v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲35-10-1について検討する。 イ 相違点甲35-10-1について 相違点甲35-10-1は、実質的に相違点甲35-1-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲35-10-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲35-10-1に係る本件発明10の発明特定事項は、甲35発明B及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明10についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明10は甲35発明Bではなく、かつ、甲35発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明11について 本件発明11は、請求項10を引用し、本件発明10の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(4)で検討した本件発明10と同様の理由により、本件発明11は甲35発明Bではなく、かつ、甲35発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件発明12について 甲35は「Brewer’s Friend」というビール製品のレシピであり、定められた原料、製造方法及び製品の成分組成が記載されているにとどまるから、上記1.(7)アに記載した甲27と同様のことがいえる。また、甲35に基づく申立人の主張は、上記1.(7)イに記載した甲27に基づく主張と実質的に同旨であるから、同じ理由によりいずれも採用することができない。 よって、本件発明12は甲35に記載された発明ではなく、かつ、甲35に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件発明15について ア 本件発明15と甲35発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲35発明Aとの対比を踏まえ、本件発明15と甲35発明Aとを対比する。甲35発明Aは、その原料にエタノールもエタノール含有組成物も含まないものであるから、本件発明15における「原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「苦味価が70.0BUs以下であり、原材料にホップを用い、原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲35-15-1:本件発明15は「外観発酵度が94.0%以上」と特定するのに対し、甲35発明Aは外観発酵度が93.1%である点 相違点甲35-15-2:本件発明15は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲35発明Aは「アルコール度数13.53v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲35-15-1について検討する。 イ 相違点甲35-15-1について 相違点甲35-15-1は、実質的に相違点甲35-1-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲35-15-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲35-15-1に係る本件発明15の発明特定事項は、甲35発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明15についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明15は甲35発明Aではなく、かつ、甲35発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件発明16について ア 本件発明16と甲35発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲35発明Aとの対比を踏まえ、本件発明16と甲35発明Aとを対比する。甲35発明Aは、麦芽比率が66.7質量%であるから、本件発明16における「麦芽比率が80質量%以下である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、および、苦味価が10.0BUs以上70.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 麦芽比率が80質量%以下である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲35-16:本件発明16は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲35発明Aは「アルコール度数13.53v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲35-16について検討する。 イ 相違点甲35-16について まず、相違点甲35-16は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲35は「Brewer’s Friend」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲35及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲35発明Aにおけるアルコール度数を15.0(v/v)%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲35-16に係る本件発明16の発明特定事項は、甲35発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲35発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者がアルコール度数に着目し、さらに相違点甲35-16に係る15.0(v/v)%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明16についてのまとめ 以上のことから、本件発明16は甲35発明Aではなく、かつ、甲35発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)本件発明17について ア 本件発明17と甲35発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲35発明Aとの対比を踏まえ、本件発明17と甲35発明Aとを対比する。甲35発明Aの外観発酵度(X)は93.1%、アルコール度数(Y)は13.53v/v%であるから、X×Y=1259.6である。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下、および、苦味価が10.0BUs以上50.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、 ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲35-17-1:本件発明17は「pHが5.0以下であり」と特定するのに対し、甲35発明Aはそのように特定されない点 相違点甲35-17-2:本件発明17は「下記式(1)を満たす、 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」と特定するのに対し、甲35発明AはX×Y=1259.6である点 で相違する。 そこで、事案に鑑み、上記相違点甲35-17-2について検討する。 イ 相違点甲35-17-2について まず、相違点甲35-17-2は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲35は「Brewer’s Friend」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲35及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲35発明Aにおける上記X×Yを1350以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲35-17-2に係る本件発明17の発明特定事項は、甲35発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲35発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が上記X×Yに着目し、さらに相違点甲35-17-2に係る1350以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明17についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明17は甲35発明Aではなく、かつ、甲35発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (10)本件発明18について ア 本件発明18と甲35発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲35発明Aとの対比を踏まえ、本件発明18と甲35発明Aとを対比すると、両者は、 「アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 麦芽比率が67質量%未満であり、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲35-18:本件発明18は「外観発酵度が94.0%以上」と特定するのに対し、甲35発明Aは外観発酵度(X)が93.1%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲35-18について検討する。 イ 相違点甲35-18について 相違点甲35-18は、実質的に相違点甲35-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲35-18は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲35-18に係る本件発明18の発明特定事項は、甲35発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明18についてのまとめ 以上のことから、本件発明18は甲35発明Aではなく、かつ、甲35発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (11)取消理由5-9(甲35に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-9(甲35に基づく新規性欠如・進歩性欠如)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明1、3~12及び15~18は、いずれも甲35に記載された発明ではないから特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明1、3~12及び15~18は、いずれも甲35に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、取消理由5-9(甲35に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-9(甲35に基づく新規性欠如・進歩性欠如)により本件発明1、3~12及び15~18についての特許を取り消すことはできない。 10.取消理由5-10(甲36に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-10(甲36に基づく新規性欠如・進歩性欠如)について (1)甲36に記載された発明 甲36に記載された事項を整理すると、甲36には以下の発明が記載されている。 「77ポンド ベースモルト 10.25ポンド ペールチョコレート 8.5ポンド チョコレートモルト 6.25ポンド クリスタル120 5ポンド 粉砕オーツ麦 4.75ポンド クリスタル40 3.75ポンド ローストバーレイ 10オンス マグナム 5g 重曹 39g チョーク 3g 石膏 60mL White Labs - Ultra-Ferm WLN4100 60mL Biofine Clear 3ポンド カカオニブ 各6 バニラビーンズ Fermentis / Safale - American Ale Yeast US-05 を原料とする、オリジナルエキス23.0質量%(°P)、外観エキス-1.5質量%(°P)、アルコール度数14.36v/v%、苦味価(IBU)52.62、色度(SRM)50、もろみpH5.52の、ビール。」(以下、「甲36発明A」という。) 「酵母Fermentis / Safale - American Ale Yeast US-05による発酵工程を有する甲36発明Aの製造方法。」(以下、「甲36発明B」という。) (2)本件発明2について ア 本件発明2と甲36発明Aとの対比 本件明細書の[0009]に記載された式(1)に従って、甲36発明Aのオリジナルエキス(°P)及び外観エキス(°P)から外観発酵度を計算すると、 式(1):外観発酵度AA(%)=100×(オリジナルエキスP-外観エキスEs)/オリジナルエキスP=100×(23.0-(-1.5))/23.0=106.5%であるから、甲36発明Aにおける外観発酵度は、本件発明2における「外観発酵度が95.0%以上」を満たしている。 甲36発明Aにおける「苦味価(IBU)52.62」は、本件発明2における「苦味価が80.0BUs以下であり」を満たしている。 甲36発明Aにおける「10オンス マグナム」は、本件発明2における「原材料にホップを用いる」を満たしている。 甲36発明Aにおける「ビール」は、本件発明2における「ビールテイスト飲料」に相当する。 甲36には、甲36発明Aの製造工程として「ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程」は記載されていないから、甲36発明Aが、「(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料・・・を除く)」との発明特定事項により除外されていると直ちにいうことはできない。 甲36発明Aにおける麦芽重量は、「77ポンド ベースモルト」+「10.25ポンド ペールチョコレート」+「8.5ポンド チョコレートモルト」+「6.25ポンド クリスタル120」+「4.75ポンド クリスタル40」=106.75ポンド=48.42kgである。 甲36発明Aにおける水及びホップ以外の原料の重量は、麦芽重量48.42kg+「5ポンド 粉砕オーツ麦」+「3.75ポンド ローストバーレイ」+「3ポンド カカオニブ」=48.42kg+11.75ポンド(5.33kg)=53.75kgである。 これらから甲36発明Aの麦芽比率を求めると、48.42/53.75×100=90.1質量%であるから、甲36明Aは、本件発明2において「除く」ものとされている「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」には該当しない。 そうすると、本件発明2と甲36発明Aとは、 「外観発酵度が95.0%以上、および、苦味価が80.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲36-2-1:本件発明2は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲36発明Aは「アルコール度数14.36v/v%」である点 相違点甲36-2-2:本件発明2は「全窒素量が68mg/100mL以上である」と特定するのに対し、甲36発明Aはそのように特定されない点 で相違する。 そこで、上記相違点甲36-2-1について検討する。 イ 相違点甲36-2-1について まず、相違点甲36-2-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲36は「Chocolate Imperial Stout」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲36及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲36発明Aにおけるアルコール度数を15.0(v/v)%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲36-2-1に係る本件発明2の発明特定事項は、甲36発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲36発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者がアルコール度数に着目し、さらに相違点甲36-2-1に係る15.0(v/v)%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明2についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明2は甲36発明Aではなく、かつ、甲36発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明3~9について 本件発明3~9は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものであるから、本件発明3~9と甲36発明Aとは、少なくとも上記相違点甲36-2-1で相違する。そうすると、上記(2)で検討した本件発明2と同様の理由により、本件発明3~9は、いずれも甲36発明Aではなく、かつ、甲36発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明12について 甲36は「Chocolate Imperial Stout」というビール製品のレシピであり、定められた原料、製造方法及び製品の成分組成が記載されているにとどまるから、上記1.(7)アに記載した甲27と同様のことがいえる。また、甲36に基づく申立人の主張は、上記1.(7)イに記載した甲27に基づく主張と実質的に同旨であるから、同じ理由によりいずれも採用することができない。 よって、本件発明12は甲36に記載された発明ではなく、かつ、甲36に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明13について ア 本件発明13と甲36発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲36発明Aとの対比を踏まえ、本件発明13と甲36発明Aとを対比する。甲36発明Aの外観発酵度(X)は106.5%、アルコール度数(Y)は14.36v/v%であるから、X×Y=1529.3であり、本件発明13における「式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」という特定事項を満たしている。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が97.0%以上、および、苦味価が60.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲36-13:本件発明13は「アルコール度数が14.5(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲36発明Aは「アルコール度数14.36v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲36-13について検討する。 イ 相違点甲36-13について 相違点甲36-13は、実質的に相違点甲36-2-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲36-13は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲36-13に係る本件発明13の発明特定事項は、甲36発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明13についてのまとめ 以上のことから、本件発明13は甲36発明Aではなく、かつ、甲36発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件発明14について ア 本件発明14と甲36発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲36発明Aとの対比を踏まえ、本件発明14と甲36発明Aとを対比する。甲36発明Aは酵母Fermentis / Safale - American Ale Yeast US-05を原料とするものであるから、本件発明14における「前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲36-14:本件発明14は「アルコール度数が15.5(v/v)%以上であり」と特定するのに対し、甲36発明Aは「アルコール度数14.36v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲36-14について検討する。 イ 相違点甲36-14について 相違点甲36-14は、実質的に相違点甲36-2-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲36-14は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲36-14に係る本件発明14の発明特定事項は、甲36発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明14についてのまとめ 以上のことから、本件発明14は甲36発明Aではなく、かつ、甲36発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件発明15について ア 本件発明15と甲36発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲36発明Aとの対比を踏まえ、本件発明15と甲36発明Aとを対比する。甲36発明Aは、その原料にエタノールもエタノール含有組成物も含まないものであるから、本件発明15における「原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上、および、苦味価が70.0BUs以下であり、原材料にホップを用い、原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲36-15:本件発明15は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲36発明Aは「アルコール度数14.36v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲36-15について検討する。 イ 相違点甲36-15について 相違点甲36-15は、実質的に相違点甲36-2-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲36-15は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲36-15に係る本件発明15の発明特定事項は、甲36発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明15についてのまとめ 以上のことから、本件発明15は甲36発明Aではなく、かつ、甲36発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件発明16について ア 本件発明16と甲36発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲36発明Aとの対比を踏まえ、本件発明16と甲36発明Aとを対比する。甲36発明Aは、麦芽比率が90.1質量%である。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、および、苦味価が10.0BUs以上70.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲36-16-1:本件発明16は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲36発明Aは「アルコール度数14.36v/v%」である点 相違点甲36-16-2:本件発明16は「麦芽比率が80質量%以下である」と特定するのに対し、甲36発明Aは麦芽比率が90.1質量%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲36-16-1について検討する。 イ 相違点甲36-16-1について 相違点甲36-16-1は、実質的に相違点甲36-2-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲36-16-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲31-16-1に係る本件発明16の発明特定事項は、甲36発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明16についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明16は甲36発明Aではなく、かつ、甲36発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)本件発明17について ア 本件発明17と甲36発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲36発明Aとの対比を踏まえ、本件発明17と甲36発明Aとを対比すると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、および、アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料であり、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲36-17-1:本件発明17は「苦味価が10.0BUs以上50.0BUs以下」と特定するのに対し、甲36発明Aは「苦味価(IBU)52.62」である点 相違点甲36-17-2:本件発明17は「pHが5.0以下であり」と特定するのに対し、甲36発明Aはそのように特定されない点 で相違する。 そこで、上記相違点甲36-17-1について検討する。 イ 相違点甲36-17-1について まず、相違点甲36-17-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲36は「Chocolate Imperial Stout」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲36及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲36発明Aにおける苦味価を10.0BUs以上50.0BUs以下に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲36-17-1に係る本件発明17の発明特定事項は、甲36発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲36発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が苦味価に着目し、さらに相違点甲36-17-1に係る10.0BUs以上50.0BUs以下に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明17についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明17は甲36発明Aではなく、かつ、甲36発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (10)本件発明18について ア 本件発明18と甲36発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明2と甲36発明Aとの対比を踏まえ、本件発明18と甲36発明Aとを対比すると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上、および、アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲36-18:本件発明18は「麦芽比率が67質量%未満であり」と特定するのに対し、甲36発明Aは麦芽比率が90.1質量%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲36-18について検討する。 イ 相違点甲36-18について まず、相違点甲36-18は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲36は「Chocolate Imperial Stout」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲36及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲36発明Aにおける麦芽比率を67質量%未満に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲36-18に係る本件発明18の発明特定事項は、甲36発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲36発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が麦芽比率に着目し、さらに相違点甲36-18に係る67質量%未満に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明18についてのまとめ 以上のことから、本件発明18は甲36発明Aではなく、かつ、甲36発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (11)取消理由5-10(甲36に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-10(甲36に基づく新規性欠如・進歩性欠如)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明2~9及び12~18は、いずれも甲36に記載された発明ではないから特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明2~9及び12~18は、いずれも甲36に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、取消理由5-10(甲36に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-10(甲36に基づく新規性欠如・進歩性欠如)により本件発明2~9及び12~18についての特許を取り消すことはできない。 11.取消理由5-11(甲37に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-11(甲37に基づく新規性欠如・進歩性欠如)について (1)甲37に記載された発明 甲37に記載された事項を整理すると、甲37には以下の発明が記載されている。 「350g ウィーン 100g メラノイジン 200g カラヘル 2380g 蜂蜜-(煮沸釜後半添加) 317g メープルシロップ 450g トレファイドウィート 350g ピルスナー 15g ザーツ Wyeast - Bergian Strong Ale 1388 を原料とする、オリジナルエキス比重1.124、外観エキス比重1.008、アルコール度数15.21v/v%、苦味価(IBU)5.36、色度(SRM)11.65、もろみpH5.63の、ビール。」(以下、「甲37発明A」という。) 「酵母Wyeast - Bergian Strong Ale 1388による発酵工程を有する甲37発明Aの製造方法。」(以下、「甲37発明B」という。) (2)本件発明1について ア 本件発明1と甲37発明Aとの対比 甲37発明Aにおけるオリジナルエキス比重1.124は28.9033質量%(゜P)であり、外観エキス比重1.008は2.0515質量%(゜P)である。 本件明細書の[0009]に記載された式(1)に従って、甲37発明Aのオリジナルエキス(°P)及び外観エキス(°P)から外観発酵度を計算すると、 式(1):外観発酵度AA(%)=100×(オリジナルエキスP-外観エキスEs)/オリジナルエキスP=100×(28.9033-2.0515)/28.9033=92.9%である。 甲37発明Aにおける「アルコール度数15.21v/v%」は、本件発明1における「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」を満たしている。 甲37発明Aにおける「苦味価(IBU)5.36」は、本件発明1における「苦味価が80.0BUs以下であり」を満たしている。 甲37発明Aにおける「15g ザーツ」は、本件発明1における「原材料にホップを用いる」を満たしている。 甲37発明Aにおける「ビール」は、本件発明1における「ビールテイスト飲料」に相当する。 甲37には、甲37発明Aの製造工程として、「原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程」及び「ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程」は記載されていないから、甲37発明Aが、「(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料・・・を除く)」との発明特定事項により除外されていると直ちにいうことはできない。 甲37発明Aにおける麦芽重量は、「350g ウィーン」+「100g メラノイジン」+「200g カラヘル」+「350g ピルスナー」=1000gである。 甲37発明Aにおける水及びホップ以外の原料の重量は、麦芽重量1000g+「2380g 蜂蜜-(煮沸釜後半添加)」+「317g メープルシロップ」+「450g トレファイドウィート」=4147gである。 これらから甲37発明Aの麦芽比率を求めると、1000/4147×100=24.1質量%であるから、甲37発明Aは、本件発明1において「除く」ものとされている「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」には該当しない。 そうすると、本件発明1と甲37発明Aとは、 「アルコール度数が15.0(v/v)%以上、および、苦味価が80.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲37-1:本件発明1は「外観発酵度が95.0%以上」と特定するのに対し、甲37発明Aは外観発酵度が92.9%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲37-1について検討する。 イ 相違点甲37-1について まず、相違点甲37-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲37は「#35 Honeycake Braggot」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲37及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲37発明Aにおける外観発酵度を95.0%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲37-1に係る本件発明1の発明特定事項は、甲37発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲37発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が外観発酵度に着目し、さらに相違点甲37-1に係る95.0%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明1についてのまとめ 以上のことから、本件発明1は甲37発明Aではなく、かつ、甲37発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明5~9について 本件発明5~9は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(2)で検討した本件発明1と同様の理由により、本件発明5~9は、いずれも甲37発明Aではなく、かつ、甲37発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明10について ア 本件発明10と甲37発明Bとの対比 本件発明10と甲37発明Bとを対比すると、甲37発明Bにおける「酵母Wyeast - Bergian Strong Ale 1388による発酵工程を有する」及び「製造方法」は、本件発明10における「発酵させる発酵工程を有し」及び「製造方法」に相当する。また、甲37発明Bにおける「甲37発明A」と本件発明10において製造されるビールテイスト飲料との一致点及び相違点は、上記(2)アと同様である。 そうすると、両者は、 「アルコール度数が15.0(v/v)%以上、および、苦味価が80.0BUs以下となるように発酵させる発酵工程を有し、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料の製造方法(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料の製造方法を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲37-10:本件発明10は「外観発酵度が95.0%以上」と特定するのに対し、甲37発明Bは外観発酵度が92.9%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲37-10について検討する。 イ 相違点甲37-10について 相違点甲37-10は、実質的に相違点甲37-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲37-10は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲37-10に係る本件発明10の発明特定事項は、甲37発明B及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明10についてのまとめ 以上のことから、本件発明10は甲37発明Bではなく、かつ、甲37発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明11について 本件発明11は、請求項10を引用し、本件発明10の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(4)で検討した本件発明10と同様の理由により、本件発明11は甲37発明Bではなく、かつ、甲37発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件発明12について 甲37は「#35 Honeycake Braggot」というビール製品のレシピであり、定められた原料、製造方法及び製品の成分組成が記載されているにとどまるから、上記1.(7)アに記載した甲27と同様のことがいえる。また、甲37に基づく申立人の主張は、上記1.(7)イに記載した甲27に基づく主張と実質的に同旨であるから、同じ理由によりいずれも採用することができない。 よって、本件発明12は甲37に記載された発明ではなく、かつ、甲37に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件発明15について ア 本件発明15と甲37発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲37発明Aとの対比を踏まえ、本件発明15と甲37発明Aとを対比する。甲37発明Aは、その原料にエタノールもエタノール含有組成物も含まないものであるから、本件発明15における「原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「アルコール度数が15.0(v/v)%以上、および、苦味価が70.0BUs以下であり、原材料にホップを用い、原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲37-15:本件発明15は「外観発酵度が94.0%以上」と特定するのに対し、甲37発明Aは外観発酵度が92.9%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲37-15について検討する。 イ 相違点甲37-15について 相違点甲37-15は、実質的に相違点甲37-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲37-15は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲37-15に係る本件発明15の発明特定事項は、甲37発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明15についてのまとめ 以上のことから、本件発明15は甲37発明Aではなく、かつ、甲37発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件発明16について ア 本件発明16と甲37発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲37発明Aとの対比を踏まえ、本件発明16と甲37発明Aとを対比する。甲37発明Aは、麦芽比率が24.1質量%であるから、本件発明16における「麦芽比率が80質量%以下である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、および、アルコール度数が15.0(v/v)%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 麦芽比率が80質量%以下である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲37-16:本件発明16は「苦味価が10.0BUs以上70.0BUs以下であり」と特定するのに対し、甲37発明Aは「苦味価(IBU)5.36」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲37-16について検討する。 イ 相違点甲37-16について まず、相違点甲37-16は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲37は「#35 Honeycake Braggot」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲37及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲37発明Aにおける苦味価を10.0BUs以上70.0BUs以下に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲37-16に係る本件発明16の発明特定事項は、甲37発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲37発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が苦味価に着目し、さらに相違点甲37-16に係る10.0BUs以上70.0BUs以下に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明16についてのまとめ 以上のことから、本件発明16は甲37発明Aではなく、かつ、甲37発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)本件発明17について ア 本件発明17と甲37発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲37発明Aとの対比を踏まえ、本件発明17と甲37発明Aとを対比する。甲37発明Aの外観発酵度(X)は92.9%、アルコール度数(Y)は15.21v/v%であるから、X×Y=1413.0であり、本件発明17における「式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」という特定事項を満たしている。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料であり、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲37-17-1:本件発明17は「アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下」と特定するのに対し、甲37発明Aは「アルコール度数15.21v/v%」である点 相違点甲37-17-2:本件発明17は「苦味価が10.0BUs以上50.0BUs以下であり」と特定するのに対し、甲37発明Aは「苦味価(IBU)5.36」である点 相違点甲37-17-3:本件発明17は「pHが5.0以下であり」と特定するのに対し、甲37発明Aはそのように特定されない点 で相違する。 そこで、上記相違点甲37-17-1について検討する。 イ 相違点甲37-17-1について まず、相違点甲37-17-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲37は「#35 Honeycake Braggot」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲37及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲37発明Aにおけるアルコール度数を12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲37-17-1に係る本件発明17の発明特定事項は、甲37発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲37発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者がアルコール度数に着目し、さらに相違点甲37-17-1に係る12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明17についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明17は甲37発明Aではなく、かつ、甲37発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (10)本件発明18について ア 本件発明18と甲37発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲37発明Aとの対比を踏まえ、本件発明18と甲37発明Aとを対比すると、両者は、 「原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 麦芽比率が67質量%未満であり、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲37-18-1:本件発明18は「外観発酵度が94.0%以上」と特定するのに対し、甲37発明Aは外観発酵度が92.9%である点 相違点甲37-18-2:本件発明18は「アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下であり」と特定するのに対し、甲37発明Aは「アルコール度数15.21v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲37-18-1について検討する。 イ 相違点甲37-18-1について 相違点甲37-18-1は、実質的に相違点甲37-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲37-18-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲37-18-1に係る本件発明18の発明特定事項は、甲37発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明18についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明18は甲37発明Aではなく、かつ、甲37発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (11)取消理由5-11(甲37に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-11(甲37に基づく新規性欠如・進歩性欠如)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明1、5~12及び15~18は、いずれも甲37に記載された発明ではないから特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明1、5~12及び15~18は、いずれも甲37に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、取消理由5-11(甲37に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-11(甲37に基づく新規性欠如・進歩性欠如)により本件発明1、5~12及び15~18についての特許を取り消すことはできない。 12.取消理由5-12(甲38に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-12(甲38に基づく新規性欠如・進歩性欠如)について (1)甲38に記載された発明 甲38に記載された事項を整理すると、甲38には以下の発明が記載されている。 「10ポンド ペール2-ロウ 1ポンド 粉砕オーツ麦 1ポンド 粉砕小麦 12オンス カラピルス(デキストリンモルト) 12ポンド タービナド 0.65オンス シトラ 2.5オンス シトラ を原料とし、発酵させて得られる、オリジナルエキス比重1.115、外観エキス比重1.007、アルコール度数14.2v/v%、苦味価(IBU)17.09、色度(SRM)13.17、もろみpH5.76の、ビール。」(以下、「甲38発明A」という。) 「発酵工程を有する甲38発明Aの製造方法。」(以下、「甲38発明B」という。) (2)本件発明1について ア 本件発明1と甲38発明Aとの対比 甲38発明Aにおけるオリジナルエキス比重1.115は27.0017質量%(゜P)であり、外観エキス比重1.007は1.7963質量%(゜P)である。 本件明細書の[0009]に記載された式(1)に従って、甲38発明Aのオリジナルエキス(°P)及び外観エキス(°P)から外観発酵度を計算すると、 式(1):外観発酵度AA(%)=100×(オリジナルエキスP-外観エキスEs)/オリジナルエキスP=100×(27.0017-1.7963)/27.0017=93.3%である。 甲38発明Aにおける「苦味価(IBU)17.09」は、本件発明1における「苦味価が80.0BUs以下であり」を満たしている。 甲38発明Aにおける「0.65オンス シトラ」及び「2.5オンス シトラ」は、本件発明1における「原材料にホップを用いる」を満たしている。 甲38発明Aにおける「ビール」は、本件発明1における「ビールテイスト飲料」に相当する。 甲38には、甲38発明Aの製造工程として、「原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程」及び「ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程」は記載されていないから、甲38発明Aが、「(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料・・・を除く)」との発明特定事項により除外されていると直ちにいうことはできない。 甲38発明Aにおける麦芽重量は、「10ポンド ペール2-ロウ」+「12オンス カラピルス(デキストリンモルト)」=10ポンド12オンス=4.876kgである。 甲38発明Aにおける水及びホップ以外の原料の重量は、麦芽重量4.876kg+「1ポンド 粉砕オーツ麦」+「1ポンド 粉砕小麦」+「12ポンド タービナド」=4.876g+14ポンド(6.350kg)=11.226kgである。 これらから甲35発明Aの麦芽比率を求めると、4.876/11.226×100=43.4質量%であるから、甲38発明Aは、本件発明1において「除く」ものとされている「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」には該当しない。 そうすると、本件発明1と甲38発明Aとは、 「苦味価が80.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲38-1-1:本件発明1は「外観発酵度が95.0%以上」と特定するのに対し、甲38発明Aは外観発酵度が93.3%である点 相違点甲38-1-2:本件発明1は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲38発明Aは「アルコール度数14.2v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲38-1-1について検討する。 イ 相違点甲38-1-1について まず、相違点甲38-1-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲38は「Island Bill’s Haze」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲38及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲38発明Aにおける外観発酵度を95.0%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲38-1-1に係る本件発明1の発明特定事項は、甲38発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲38発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が外観発酵度に着目し、さらに相違点甲38-1-1に係る95.0%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明1についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲38発明Aではなく、かつ、甲38発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明3及び5~9について 本件発明3及び5~9は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(2)で検討した本件発明1と同様の理由により、本件発明3及び5~9は、いずれも甲38発明Aではなく、かつ、甲38発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明10について ア 本件発明10と甲38発明Bとの対比 本件発明10と甲38発明Bとを対比すると、甲38発明Bにおける「発酵工程を有する」及び「製造方法」は、本件発明10における「発酵させる発酵工程を有し」及び「製造方法」に相当する。また、甲38発明Bにおける「甲38発明A」と本件発明10において製造されるビールテイスト飲料との一致点及び相違点は、上記(2)アと同様である。 そうすると、両者は、 「苦味価が80.0BUs以下となるように発酵させる発酵工程を有し、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料の製造方法(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料の製造方法を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲38-10-1:本件発明10は「外観発酵度が95.0%以上」と特定するのに対し、甲38発明Bは外観発酵度が93.3%である点 相違点甲38-10-2:本件発明10は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲38発明Bは「アルコール度数14.2v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲38-10-1について検討する。 イ 相違点甲38-10-1について 相違点甲38-10-1は、実質的に相違点甲38-1-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲38-10-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲38-10-1に係る本件発明10の発明特定事項は、甲38発明B及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明10についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明10は甲38発明Bではなく、かつ、甲38発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明11について 本件発明11は、請求項10を引用し、本件発明10の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(4)で検討した本件発明10と同様の理由により、本件発明11は甲38発明Bではなく、かつ、甲38発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件発明12について 甲38は「Island Bill’s Haze」というビール製品のレシピであり、定められた原料、製造方法及び製品の成分組成が記載されているにとどまるから、上記1.(7)アに記載した甲27と同様のことがいえる。また、甲37に基づく申立人の主張は、上記1.(7)イに記載した甲27に基づく主張と実質的に同旨であるから、同じ理由によりいずれも採用することができない。 よって、本件発明12は甲38に記載された発明ではなく、かつ、甲38に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件発明15について ア 本件発明15と甲38発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲38発明Aとの対比を踏まえ、本件発明15と甲38発明Aとを対比する。甲38発明Aは、その原料にエタノールもエタノール含有組成物も含まないものであるから、本件発明15における「原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「苦味価が70.0BUs以下であり、原材料にホップを用い、原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲38-15-1:本件発明15は「外観発酵度が94.0%以上」と特定するのに対し、甲38発明Aは外観発酵度が93.3%である点 相違点甲38-15-2:本件発明15は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲38発明Aは「アルコール度数14.2v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲38-15-1について検討する。 イ 相違点甲38-15-1について 相違点甲38-15-1は、実質的に相違点甲38-1-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲38-15-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲38-15-1に係る本件発明15の発明特定事項は、甲38発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明15についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明15は甲38発明Aではなく、かつ、甲38発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件発明16について ア 本件発明16と甲38発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲38発明Aとの対比を踏まえ、本件発明16と甲38発明Aとを対比する。甲38発明Aは、麦芽比率が43.4質量%であるから、本件発明16における「麦芽比率が80質量%以下である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、および、苦味価が10.0BUs以上70.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 麦芽比率が80質量%以下である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲38-16:本件発明16は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲38発明Aは「アルコール度数14.2v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲38-16について検討する。 イ 相違点甲38-16について まず、相違点甲38-16は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲38は「Island Bill’s Haze」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲38及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲38発明Aにおけるアルコール度数を15.0(v/v)%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲38-16に係る本件発明16の発明特定事項は、甲38発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲38発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者がアルコール度数に着目し、さらに相違点甲38-16に係る15.0(v/v)%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明16についてのまとめ 以上のことから、本件発明16は甲38発明Aではなく、かつ、甲38発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)本件発明17について ア 本件発明17と甲38発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲38発明Aとの対比を踏まえ、本件発明17と甲38発明Aとを対比する。甲38発明Aの外観発酵度(X)は93.3%、アルコール度数(Y)は14.2v/v%であるから、X×Y=1324.9であり、本件発明17における「式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」という特定事項を満たしている。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下、および、苦味価が10.0BUs以上50.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲38-17-1:本件発明17は「pHが5.0以下であり」と特定するのに対し、甲38発明Aはそのように特定されない点 相違点甲38-17-2:本件発明17は「下記式(1)を満たす、 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」と特定するのに対し、甲38発明AはX×Y=1324.9である点 で相違する。 そこで、事案に鑑み、上記相違点甲38-17-2について検討する。 イ 相違点甲38-17-2について まず、相違点甲38-17-2は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲38は「Island Bill’s Haze」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲38及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲38発明Aにおける上記X×Yを1350以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲38-17-2に係る本件発明17の発明特定事項は、甲38発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲38発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が上記X×Yに着目し、さらに相違点甲38-17-2に係る1350以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明17についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明17は甲38発明Aではなく、かつ、甲38発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (10)本件発明18について ア 本件発明18と甲38発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲38発明Aとの対比を踏まえ、本件発明18と甲38発明Aとを対比すると、両者は、 「アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 麦芽比率が67質量%未満であり、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲38-18:本件発明18は「外観発酵度が94.0%以上」と特定するのに対し、甲38発明Aは外観発酵度が93.3%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲38-18について検討する。 イ 相違点甲38-18について 相違点甲38-18は、実質的に相違点甲38-1-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲38-18は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲38-18に係る本件発明18の発明特定事項は、甲38発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明18についてのまとめ 以上のことから、本件発明18は甲38発明Aではなく、かつ、甲38発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (11)取消理由5-12(甲38に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-12(甲38に基づく新規性欠如・進歩性欠如)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明1、3、5~12及び15~18は、いずれも甲38に記載された発明ではないから特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明1、3、5~12及び15~18は、いずれも甲38に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、取消理由5-12(甲38に基づく新規性欠如・進歩性欠如)及び申立理由7-12(甲38に基づく新規性欠如・進歩性欠如)により本件発明1、3、5~12及び15~18についての特許を取り消すことはできない。 13.取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由(取消理由5)及び同じ証拠に基づく申立理由(申立理由7)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明1~18は、いずれも甲27~甲38に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明1~18は、いずれも甲27~甲38に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由(取消理由5)及び同じ証拠に基づく申立理由(申立理由7)により本件発明1~18についての特許を取り消すことはできない。 第7 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由についての判断 当審は、取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由はいずれも理由がないものと判断する。理由は以下のとおり。 1.取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由の概要 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった申立理由は、上記第4の1.(1)~(6)に記載した申立理由1~申立理由6と、申立理由7のうち本件発明12についての特許を対象とする理由である。 申立理由7については上記第6に記載したとおりであるから、申立理由1~申立理由6についての判断を示す。 ●念のため、申立理由の番号と主たる証拠、並びに申立対象であった発明(本件訂正)との対応関係を整理すると、以下のとおりである。申立理由5及び6には、仮に枝番を付した。 申立理由1 甲1:新規性欠如 本件発明1~4、6~15、17 進歩性欠如 本件発明1~18 申立理由2 甲2:本件発明1~18 申立理由3 甲3:本件発明1~18 申立理由4 甲17:本件発明1~11、13~18 申立理由5-1 甲18:本件発明1~11、13~18 申立理由5-2 甲21:本件発明1~11、13~18 取消理由6-1 甲23:本件発明1~18 取消理由6-2 甲24:本件発明1~18 取消理由6-3 甲25:本件発明1~18 2.申立理由1(甲1に基づく新規性欠如・進歩性欠如)について (1)甲1に記載された事項 甲1には以下の事項が記載されている。図の説明は、概ね申立人が提出した翻訳文に基づいて示す。 (甲1-1)「α-グルコシダーゼを利用したビールの高濃度醸造(第1報)」(p.3761行論文表題) (甲1-2)「緒言 ビールの高濃度醸造は,通常よりも高い原麦汁エキス分の麦汁を発酵させて,瓶詰め直前に脱気水を用いて割水を行い,通常のアルコール分の製品とする醸造法である。・・・ 我々は,高濃度醸造における発酵遅延・発酵度の低下及び高濃度麦汁の発酵における酢酸生成の増加を解消するために,高濃度麦汁に酵母添加とともにα-グルコシダーゼを添加し,糖組成の変換と同時に発酵を行う型式のビール醸造について検討した。・・・α-グルコシダーゼの糖転移反応による非発酵性オリゴ糖の生成がグルコース生成の緩衝反応となり,急激なグルコース生成による浸透圧上昇を招くことなくグルコースを暫時生成させ発酵させることができれば,発酵度の上昇とともに酢酸生成量の増加を防ぐことが可能ではないかと我々は考えた。この仮説を検証するために,α-グルコシダーゼを酵母添加と同時に高濃度麦汁へ添加し糖組成の変換と発酵を同時に行う,いわば並行複発酵式の高濃度醸造を行ったところ,高濃度醸造における発酵遅延及び発酵度の低下,酢酸生成量の増加を防止できたので報告する。」(p.376左欄1行~p.377左欄17行) (甲1-3)「実験方法 1. 酵母 上面発酵ビール酵母のNCYC1245を用いた。 2. 酵素剤 麦汁に添加するα-グルコシダーゼ剤は,Aspergillus niger起源のα-グルコシダーゼ「アマノ」(天野エンザイム(株))を用いた。対照のグルコアミラーゼ剤は,同じくAspergillus niger起源のグルコアミラーゼ「アマノ」(天野エンザイム(株))を用いた。 3. 分析 ・・・ 4. 2L発酵管試験 2L発酵管試験に用いる麦汁は,麦芽重量に対し200%の仕込水を加え,ステップインフュージョン法(タンパク質休止45℃・30分,45℃→65℃まで20分,糖化休止65℃・80分,65℃→76℃まで10分,76℃・10分)により原麦汁エキス分が約25%Platoの麦汁を製造し,所定の原麦汁エキス分になるように希釈して2L発酵管試験に供した。2L発酵管試験は,Dixonの方法11)を参考にして行った。すなわち,所定の原麦汁エキス分の麦汁2lに対して前培養した酵母湿菌体5gを添加し,発酵管(内径55mm,長さ1135mm;麦汁の液深は約850mm)の転倒によるエアレーションを行い,酵素剤を添加する仕込みにはα-グルコシダーゼ又はグルコアミラーゼを添加後,15℃の恒温水槽に発酵管を入れて発酵試験を行った。」(P.377左欄18行~P.378左欄6行) (甲1-4)「α-グルコシダーゼ添加によるアルコール分生成の促進・酢酸生成量の低減 ・・・ 更に高濃度の原麦汁エキス分25%Platoの麦汁,並びに通常の原麦汁エキス分である12%Platoの麦汁にα-グルコシダーゼを添加する同様な2L発酵管試験を行った結果をFig.6に示した。原麦汁エキス分25%Platoの場合では,原麦汁エキス分20%Platoの場合と同様に,α-グルコシダーゼ添加による発酵促進効果が認められ,真正発酵度は向上し,酢酸生成量は顕著に減少した。原麦汁エキス分12%Platoの場合は,α-グルコシダーゼ添加による酢酸生成量の減少効果は無かったが,真正発酵度は向上した。」(P.381左欄下から8行~p.382左欄9行) (甲1-5)「5. α-グルコシダーゼとグルコアミラーゼの添加効果の相違 α-グルコシダーゼの糖転移反応が発酵経過,酢酸生成量に及ぼす効果等を確認するために,糖転移反応を生起しないグルコアミラーゼを添加した発酵試験を行った結果をFig.7とFig.8に示した。・・・ α-グルコシダーゼを添加した仕込みにおいては,アルコール分生成の促進及び酢酸生成量の減少について,原麦汁エキス分20%Platoの場合と同様な傾向が確認された。α-グルコシダーゼを用いた場合は,グルコース濃度はほとんど増加が認められず,グルコースからDP7を合計した全糖の濃度(mM)も,発酵期間を通じて増加することなく減少し,α-グルコシダーゼの添加量が多いほど,その減少は速やかであ った。25%Platoの高濃度麦汁を発酵させる場合にも,α-グルコシダーゼ添加の有効性が確認された。」(p.382右欄11行~p.383右欄3行) (甲1-6)「 [図:0001425703000003.jpg] Fig.6 2-L試験管発酵における真正発酵度(A)と酢酸生成(B)に及ぼす原麦汁エキス濃度とα-グルコシダーゼ濃度の影響。シンボルは麦汁中のα-グルコシダーゼの濃度を示す。 □,0mg/l; ■,100mg/l; ■(当審注:網掛け),400mg/l」(p.382図6) (甲1-7)「 [図:0001425703000004.jpg] Fig.7 25%Plato麦汁の発酵に及ぼすα-グルコシダーゼとグルコアミラーゼの効果の違い。全糖濃度は発酵中の麦汁のグルコースからDP7までの総量である。シンボルは麦汁中のα-グルコシダーゼ又はグルコアミラーゼの濃度を示す。 α-グルコシダーゼ:-●-,非添加;-○-,100mg/l;-×-,400mg/l グルコアミラーゼ :-●-,非添加;-○-,50mg/l;-×-,200mg/l」(p.383図7) (2)甲1に記載された発明 甲1のp.376左欄1行~p.377左欄17行「緒言」(摘記甲1-1)には、「α-グルコシダーゼを酵母添加と同時に高濃度麦汁へ添加し糖組成の変換と発酵を同時に行う,いわば並行複発酵式の高濃度醸造を行った」ことが記載されておりp.377左欄18行~p.378左欄6行「実験方法」(摘記甲1-3)には、酵母として「上面発酵ビール酵母のNCYC1245を用いた」こと、麦汁に添加するα-グルコシダーゼ剤として「Aspergillus niger起源のα-グルコシダーゼ「アマノ」(天野エンザイム(株))を用いた」こと、2L発酵管試験は、「麦芽重量に対し200%の仕込水を加え,ステップインフュージョン法(タンパク質休止45℃・30分,45℃→65℃まで20分,糖化休止65℃・80分,65℃→76℃まで10分,76℃・10分)により原麦汁エキス分が約25%Platoの麦汁を製造し,所定の原麦汁エキス分になるように希釈して2L発酵管試験に供した。・・・所定の原麦汁エキス分の麦汁2lに対して前培養した酵母湿菌体5gを添加し,発酵管(内径55mm,長さ1135mm;麦汁の液深は約850mm)の転倒によるエアレーションを行い,酵素剤を添加する仕込みにはα-グルコシダーゼ又はグルコアミラーゼを添加後,15℃の恒温水槽に発酵管を入れて発酵試験を行った。」ことが記載されている。さらに、p.381右欄末行~p.382左欄9行(摘記甲1-4)には、高濃度の原麦汁エキス分25%Platoの麦汁にα-グルコシダーゼを添加する2L発酵管試験を行ったこと、及びその結果を図6に示したことが記載され、p.382の図6(摘記甲1-6)を参照すると、原麦汁エキス分25%Platoの麦汁に対してα-グルコシダーゼを400mg/lの濃度で添加した試験では真正発酵度が約80%となったこと、及び、原麦汁エキス分25%Platoの麦汁に対してα-グルコシダーゼを100mg/lの濃度で添加した試験では真正発酵度が約74%となったことが読み取れる。加えて、p.382右欄末行~p.383右欄3行(摘記甲1-5)には、α-グルコシダーゼを添加した仕込みにおいてアルコール分生成の促進について、原麦汁エキス分20%Platoの場合と同様な傾向が確認されたことが記載され、p.383の図7(摘記甲1-7)の左欄最上部の図を参照すると、原麦汁エキス分25%Platoの麦汁に対してα-グルコシダーゼを400mg/lの濃度で添加した試験では、20日間発酵後のアルコール度数が約14v/v%となったこと、及び、原麦汁エキス分25%Platoの麦汁に対してα-グルコシダーゼを100mg/lの濃度で添加した試験では、20日間発酵後のアルコール度数が約13v/v%となったこと、が読み取れる。 そうすると、甲1には、上記した原麦汁エキス分25%Platoの麦汁に対してα-グルコシダーゼを400mg/L又は100mg/Lの濃度で添加した発酵試験に基づいて、それぞれ以下の発明が記載されている。 「麦芽重量に対し200%の仕込水を加え、ステップインフュージョン法により原麦汁エキス分が25%Platoの麦汁を製造し、この麦汁2L及び酵母湿菌体5gを発酵管試験に供し、α-グルコシダーゼを400mg/L添加後、15℃の恒温水槽に発酵管を入れて20日間発酵させて得られる、真正発酵度が80%であり、アルコール度数が14v/v%である、ビール」(以下、「甲1-1発明A」という。) 「上面発酵ビール酵母NCYC1245による発酵工程を有する甲1-1発明Aの製造方法。」(以下、「甲1-1発明B」という。) 「麦芽重量に対し200%の仕込水を加え、ステップインフュージョン法により原麦汁エキス分が25%Platoの麦汁を製造し、この麦汁2L及び酵母湿菌体5gを発酵管試験に供し、α-グルコシダーゼを100mg/L添加後、15℃の恒温水槽に発酵管を入れて20日間発酵させて得られる、真正発酵度が74%であり、アルコール度数が13v/v%である、ビール」(以下、「甲1-2発明A」という。) 「上面発酵ビール酵母NCYC1245による発酵工程を有する甲1-2発明Aの製造方法。」(以下、「甲1-2発明B」という。) また、「甲1-1発明A」及び「甲1-2発明A」を総称して「甲1発明A」といい、「甲1-1発明B」及び「甲1-2発明B」を総称して「甲1発明B」という。 (3)本件発明1について ア 本件発明1と甲1-1発明Aとの対比、判断 (ア)甲1-1発明Aの外観発酵度の計算 甲1-1発明Aは、「原麦汁エキス分が25%Plato」、すなわち、オリジナルエキス濃度が25質量%(=25°P)である。 また、甲1-1発明Aは「真正発酵度が80%」である、すなわち、発酵で消失した不揮発性固形分は80%であり、残存する不揮発性固形分は20%となるから、甲1-1発明Aの残存する不揮発性固形分の濃度、すなわち、真正エキス濃度は、25質量%×0.20=5質量%(=5°P)である。 そこで、オリジナルエキス濃度及び真正エキス濃度から、甲4を参照しつつ、外観エキス濃度を計算する。甲4のp.318-319には、Aw/w(Alcohol by weight)、OE(°P,Original Extract)、AE(°P,Apparent Extract)及びRE(°P,Real Extract)が満たす関係式として Aw/w=a*(OE-AE) (3a) Aw/w=b*(OE-RE) (4a) が記載されており、また、p.319右欄の表Iには、OE(°P)が25のときの係数a及びbがそれぞれa=0.4462及びb=0.5555であることが記載されている。上記式(3a)及び(4a)と、OE=25、RE=5からAEを求めると、 AE=OE-(b/a)×(OE-RE)=25-(0.5555/0.4462)×(25-5)=0.10質量%(°P)となる。 さらに、本件明細書の[0009]に記載された式(1)に従って、甲1-1発明Aのオリジナルエキス(°P)及び外観エキス(°P)から外観発酵度を計算すると、 式(1):外観発酵度AA(%)=100×(オリジナルエキスP-外観エキスEs)/オリジナルエキスP=100×(25-0.10)/25=99.6%である。 (イ)本件発明1と甲1-1発明Aとの対比 甲1-1発明Aにおける外観発酵度99.6%は、本件発明1における「外観発酵度が95.0%以上」を満たしている。 甲1-1発明Aにおける「ビール」は、本件発明1における「ビールテイスト飲料」に相当する。 甲1に記載された2L発酵管試験の試験条件は、「原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程」を有するが、「ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程」は含まないことが明らかであるから、甲1-1発明Aは、「(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料・・・を除く)」との発明特定事項により除外されるものではない。 甲1には、麦汁に麦芽以外の発酵原料を含有させることは記載されていないから、甲1-1発明Aの麦芽比率は、本件発明1において「除く」ものとされている「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」に相当する。 そうすると、本件発明1と甲1-1発明Aとは、 「外観発酵度が95.0%以上である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲1-1-1:本件発明1は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲1-1発明Aは「アルコール度数14v/v%」である点 相違点甲1-1-2:本件発明1は「苦味価が80.0BUs以下であり」と特定するのに対し、甲1-1発明Aはそのように特定されない点 相違点甲1-1-3:本件発明1は「原材料にホップを用いる」と特定するのに対し、甲1-1発明Aは原材料にホップを用いていない点 相違点甲1-1-4:本件発明1は「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く」と特定するのに対し、甲1-1発明Aは麦芽比率が100質量%である点 で相違する。 そこで、事案に鑑み、上記相違点甲1-1-3について検討する。 (ウ)相違点甲1-1-3について まず、相違点甲1-1-3は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲1は「α-グルコシダーゼを利用したビールの高濃度醸造」(摘記甲1-1)について報告する論文であり、甲1-1A発明に相当するビールを製造する「2L発酵管試験」は、「α-グルコシダーゼの糖転移反応による非発酵性オリゴ糖の生成がグルコース生成の緩衝反応となり,急激なグルコース生成による浸透圧上昇を招くことなくグルコースを暫時生成させ発酵させることができれば,発酵度の上昇とともに酢酸生成量の増加を防ぐことが可能ではないか」という著者らの仮説を検証するために(摘記甲1-2)行われたものであるから、当該仮説の検証に不要なホップを2L発酵管試験の原材料に加えることは、当業者が動機付けられることではない。また、甲1及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲1-1発明Aにおいて原材料にホップを用いる動機は見いだせない。よって、相違点甲1-1-3に係る本件発明1の発明特定事項は、甲1-1発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 (エ)申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲1という論文に記載された特定の発酵試験において、発酵原料を変更することに着目し、さらに、論文の論旨とは関係のないホップを用いるよう原材料を変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記(エ)の判断は覆らない。 (オ)本件発明1についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲1-1発明Aではなく、かつ、甲1-1発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 イ 本件発明1と甲1-2発明Aとの対比、判断 (ア)甲1-2発明Aの外観発酵度の計算 甲1-2発明Aは、「原麦汁エキス分が25%Plato」、すなわち、オリジナルエキス濃度が25質量%(=25°P)である。 また、甲1-2発明Aは「真正発酵度が74%」である、すなわち、発酵で消失した不揮発性固形分は74%であり、残存する不揮発性固形分は26%となるから、甲1-2発明Aの残存する不揮発性固形分の濃度、すなわち、真正エキス濃度は、25質量%×0.26=6.5質量%(=6.5°P)である。 そこで、甲4に基づいて上記ア(ア)と同様にして外観エキス濃度を計算すると、 AE=OE-(b/a)×(OE-RE)=25-(0.5555/0.4462)×(25-6.5)=1.97質量%(°P)となる。 さらに、本件明細書の[0009]に記載された式(1)に従って、甲1-2発明Aのオリジナルエキス(°P)及び外観エキス(°P)から外観発酵度を計算すると、 式(1):外観発酵度AA(%)=100×(オリジナルエキスP-外観エキスEs)/オリジナルエキスP=100×(25-1.97)/25=92.1%である。 (イ)本件発明1と甲1-2発明Aとの対比 上記ア(イ)に記載した本件発明1と甲1-1発明Aとの対比を踏まえ、本件発明1と甲1-2発明Aとを対比すると、両者は、 「外観発酵度が95.0%以上である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲1’-1-1:本件発明1は「外観発酵度が95.0%以上である」と特定するのに対し、甲1-2発明Aは外観発酵度が92.1%である点 相違点甲1’-1-2:本件発明1は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲1-2発明Aは「アルコール度数13v/v%」である点 相違点甲1’-1-3:本件発明1は「苦味価が80.0BUs以下であり」と特定するのに対し、甲1-2発明Aはそのように特定されない点 相違点甲1’-1-4:本件発明1は「原材料にホップを用いる」と特定するのに対し、甲1-2発明Aは原材料にホップを用いていない点 相違点甲1’-1-5:本件発明1は「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く」と特定するのに対し、甲1-2発明Aは麦芽比率が100質量%である点 で相違する。 そこで、事案に鑑み、上記相違点甲1’-1-4について検討する。 (ウ)相違点甲1’-1-4について 相違点甲1’-1-4は、実質的に相違点甲1-1-3と同じ内容の相違点であるから、上記ア(ウ)及び(エ)に記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲1’-1-4は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲1’-1-4に係る本件発明1の発明特定事項は、甲1-2発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 (エ)本件発明1についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲1-2発明Aではなく、かつ、甲1-2発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明2~9について 本件発明2~9は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(3)で検討した本件発明1と同様の理由により、本件発明2~4及び6~9はいずれも甲1発明Aではなく、かつ、本件発明2~9はいずれも甲1発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明10について ア 本件発明10と甲1発明Bとの対比 本件発明10と甲1発明Bとを対比すると、甲1発明Bにおける「上面発酵ビール酵母NCYC1245による発酵工程を有する」及び「製造方法」は、本件発明10における「発酵させる発酵工程を有し」及び「製造方法」に相当する。また、甲1発明Bにおける「甲1-1発明A」又は「甲1-2発明A」と本件発明10において製造されるビールテイスト飲料との一致点及び相違点は、上記(3)ア(イ)及びイ(イ)と同様である。 そうすると、両者は、少なくとも 相違点甲1-10:本件発明10は「原材料にホップを用いる」と特定するのに対し、甲1発明Bは原材料にホップを用いていない点 で相違する。 そして、相違点甲1-10は、実質的に相違点甲1-1-3と同じ内容の相違点であるから、上記(3)ア(ウ)及び(エ)に記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲1-10は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲1-10に係る本件発明10の発明特定事項は、甲1発明B及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 イ 本件発明10についてのまとめ 以上のことから、本件発明10は甲1発明Bではなく、かつ、甲1発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件発明11について 本件発明11は、請求項10を引用し、本件発明10の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(5)で検討した本件発明10と同様の理由により、本件発明11は甲1発明Bではなく、かつ、甲1発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件発明12について ア 本件発明12についての判断 本件明細書の[0057]~[0059]には、本件発明12の「ビールテイスト飲料の香味改善方法」に関し、「本明細書において、「香味改善」または「香味を改善する」とは、外観発酵度およびアルコール度数を上記範囲に調整した飲料が、当該調整を行っていない飲料と比べて、アルコール由来の刺激感、またはスッキリした爽快な味わいが向上されることを意味する」と記載されている。 これに対し、甲1は「α-グルコシダーゼを利用したビールの高濃度醸造」(摘記甲1-1)について報告する論文であり、甲1発明A及びBにあたるビール及びその製造方法について記載された「2L発酵管試験」は、「α-グルコシダーゼの糖転移反応による非発酵性オリゴ糖の生成がグルコース生成の緩衝反応となり,急激なグルコース生成による浸透圧上昇を招くことなくグルコースを暫時生成させ発酵させることができれば,発酵度の上昇とともに酢酸生成量の増加を防ぐことが可能ではないか」という著者らの仮説を検証するために(摘記甲1-2)行われたものであるから、本件発明12と対比し得るような外観発酵度及びアルコール度数の調整工程を伴う「ビールテイスト飲料の香味改善方法」の発明を甲1に記載された発明として認定することはできない。 また、甲1及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲1における「2L発酵管試験」において、「アルコール由来の刺激感、またはスッキリした爽快な味わい」という特定の香味に着目する動機はなく、また、甲1に記載された「2L発酵管試験」の原料及び試験条件のうち、特に「外観発酵度」及び「アルコール度数」の二つを選び出す動機はなく、まして、それら二つの事項を「外観発酵度が90.0%以上」及び「アルコール度数が12.0(v/v)%以上」となるように調整する工程を有することによって、「アルコール由来の刺激感、またはスッキリした爽快な味わい」という特定の香味を改善する方法となし得ることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 イ 申立人の主張について 申立人は、申立書38頁において、「甲1ビールは、外観発酵度は100%、アルコール度数は14v/v%である。また、甲1ビールは、酵母による発酵で得られたものであり、当該発酵により、外観発酵度及びアルコール度数を調整していると解されるものである。同様に、甲1ビール2は、外観発酵度は92.1%、アルコール度数は13v/v%である。また、甲1ビール2は、酵母による発酵で得られたものであり、当該発酵により、外観発酵度及びアルコール度数を調整していると解されるものである。そして、甲1ビール及び甲1ビール2共に、本件発明12と同じ工程を経ているため、当然に香味が改善されている。」等と主張している。 しかし、上記アに記載したとおり、本件発明12と対比し得るような「ビールテイスト飲料の香味改善方法」の発明を甲1に記載された発明として認定することはできず、また、第6 1.(7)ア及びイと同様のことがいえるから、甲1にビールを製造する方法の発明(甲1発明B)が記載されているとしても、それを直ちにビールテイスト飲料の香味改善方法と同視できるものではない。 また、甲1の記載及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲1に記載された「2L発酵管試験」において「外観発酵度」及び「アルコール度数」という二つの事項に着目する動機はなく、ビール製品の「アルコール由来の刺激感、またはスッキリした爽快な味わい」という特定の香味に着目する動機も見いだせない。 加えて、申立人は、甲1に記載された2L発酵管試験において「当然に香味が改善されている」といえる具体的な証拠は示していない。 よって、甲1に、「外観発酵度」及び「アルコール度数」という特定の事項と「アルコール由来の刺激感、またはスッキリした爽快な味わい」の向上とを結びつけた「ビールテイスト飲料の香味改善方法」という発明が記載されているとは認められない。また、甲1の記載及び他の全ての証拠の記載を参照しても、当業者が甲1の記載に基づいて上記のような「ビールテイスト飲料の香味改善方法」という発明に容易に想到し得たとはいえない。 ウ 本件発明12についてのまとめ 以上のことから、本件発明12は甲1に記載された発明ではなく、かつ、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件発明13~18について ア 本件発明13~18と甲1発明Aとの対比 本件発明13~18と甲1発明Aとを対比すると、両者は、少なくとも 相違点甲1-13:本件発明13~18はいずれも「原材料にホップを用いる」と特定するのに対し、甲1発明Aは原材料にホップを用いていない点 で相違する。 そして、相違点甲1-13は、実質的に相違点甲1-1-3と同じ内容の相違点であるから、上記(3)ア(ウ)及び(エ)に記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲1-13は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲1-13に係る本件発明13の発明特定事項は、甲1発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 イ 本件発明13~18についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明13~15及び17はいずれも甲1発明Aではなく、かつ、本件発明13~18はいずれも甲1発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)申立理由1(甲1に基づく新規性欠如・進歩性欠如)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明1~4、6~15及び17は、いずれも甲1に記載された発明ではないから特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明1~18は、いずれも甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、申立理由1(甲1に基づく新規性欠如・進歩性欠如)により本件発明1~18についての特許を取り消すことはできない。 3.申立理由2(甲2に基づく新規性欠如・進歩性欠如)について (1)甲2に記載された発明 甲2は、大凡、甲27と同様の様式でビールの名称、発酵原料及び分析結果が記載された証拠であるため、証拠からの摘記は省略した。 甲2に記載された事項を整理すると、甲2には以下の発明が記載されている。 「pH5.2(もろみ5分間) 小さじ1.00 ピルスナー(2ロウ)(1.6SRM) 6ポンド ペールモルト、マリスオッター(3.0SRM) 3ポンド カラミューニッヒモルト(56.0SRM) 1ポンド8.00オンス カラビエンヌモルト(22.0SRM) 1ポンド8.00オンス 小麦、フレーク(1.6SRM) 1ポンド アロマティックモルト(26.0SRM) 8.00オンス スペシャルBモルト(180.0SRM) 4.00オンス ブラウンシュガー、ダーク(50.0SRM) 1ポンド キャンディーシュガー、クリア(0.5SRM) 1ポンド キャンディーシュガー、ダーク(275.0SRM) 1ポンド ダークロックキャンディーシロップ(500.0SRM) 1ポンド タービナド(10.0SRM) 1ポンド デーツシュガー(3.0SRM) 11.04オンス ホップ ハラタウヘルスブルッカー[2.9%]-煮沸60分 1.50オンス ホップ ケントゴールディング[5.9%]-煮沸60分 1.00オンス ホップ ハラタウヘルスブルッカー[2.9%]-煮沸30分 0.50オンス Servomyces酵母栄養剤(煮沸15分) 1.00 コリアンダーシード(煮沸15分) 5.00g 酵母栄養剤(最初の3日間) 小さじ1.00 Belgian Abbey II(Wyeast Labs #1762) 1pkgs を原料とする、オリジナルエキス比重1.100(23.6質量%(°P))、外観エキス比重1.008(2.0質量%(°P))、アルコール度数12.3v/v%、苦味価(IBU)24.4、色度(SRM)51.0の、ビール。」(以下、「甲2発明A」という。) 「酵母Belgian Abbey IIによる発酵工程を有する甲2発明Aの製造方法。」(以下、「甲2発明B」という。) (2)本件発明1について ア 本件発明1と甲2発明Aとの対比 本件明細書の[0009]に記載された式(1)に従って、甲2発明Aのオリジナルエキス(°P)及び外観エキス(°P)から外観発酵度を計算すると、 式(1):外観発酵度AA(%)=100×(オリジナルエキスP-外観エキスEs)/オリジナルエキスP=100×(23.6-2.0)/23.6=91.5%である。 甲2発明Aにおける「苦味価(IBU)24.4」は、本件発明1における「苦味価が80.0BUs以下であり」を満たしている。 甲2発明Aにおける「ホップ ハラタウヘルスブルッカー[2.9%]-煮沸60分 1.50オンス」、「ホップ ケントゴールディング[5.9%]-煮沸60分 1.00オンス」及び「ホップ ハラタウヘルスブルッカー[2.9%]-煮沸30分 0.50オンス」は、本件発明1における「原材料にホップを用いる」を満たしている。 甲2発明Aにおける「ビール」は、本件発明1における「ビールテイスト飲料」に相当する。 甲2には、甲2発明Aの製造工程として、「原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程」及び「ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程」は記載されていないから、甲2発明Aが、「(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料・・・を除く)」との発明特定事項により除外されていると直ちにいうことはできない。 甲2発明Aにおける麦芽重量は、「ピルスナー(2ロウ)(1.6SRM) 6ポンド」+「ペールモルト、マリスオッター(3.0SRM) 3ポンド」+「カラミューニッヒモルト(56.0SRM) 1ポンド8.00オンス」+「カラビエンヌモルト(22.0SRM) 1ポンド8.00オンス」+「アロマティックモルト(26.0SRM) 8.00オンス」+「スペシャルBモルト(180.0SRM) 4.00オンス」=12ポンド12.00オンス=57.83kgである。 甲2発明Aにおける水及びホップ以外の原料の重量は、小さじ1.00を5.00gとすると、麦芽重量57.83kg+「pH5.2(もろみ5分間) 小さじ1.00」+「小麦、フレーク(1.6SRM) 1ポンド」+「ブラウンシュガー、ダーク(50.0SRM) 1ポンド」+「キャンディーシュガー、クリア(0.5SRM) 1ポンド」+「キャンディーシュガー、ダーク(275.0SRM) 1ポンド」+「ダークロックキャンディーシロップ(500.0SRM) 1ポンド」+「タービナド(10.0SRM) 1ポンド」+「デーツシュガー(3.0SRM) 11.04オンス」+「Servomyces酵母栄養剤(煮沸15分) 1.00(当審注:他の酵母栄養剤の量に鑑み、「小さじ1.00」と解する。)」+「コリアンダーシード(煮沸15分) 5.00g」+「酵母栄養剤(最初の3日間) 小さじ1.00」=57.83kg+20.00g+6ポンド11.04オンス(30.35kg)=88.20kgである。 これらから甲2発明Aの麦芽比率を求めると、57.83/88.20×100=65.6質量%であるから、甲2発明Aは、本件発明1において「除く」ものとされている「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」には該当しない。 そうすると、本件発明1と甲2発明Aとは、 「苦味価が80.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲2-1-1:本件発明1は「外観発酵度が95.0%以上」と特定するのに対し、甲2発明Aは外観発酵度が91.5%である点 相違点甲2-1-2:本件発明1は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲2発明Aは「アルコール度数12.3v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲2-1-1について検討する。 イ 相違点甲2-1-1について まず、相違点甲2-1-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲2は「Rochefort 10 Clone」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲2及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲2発明Aにおける外観発酵度を95.0%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲2-1-1に係る本件発明1の発明特定事項は、甲2発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲2発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が外観発酵度に着目し、さらに相違点甲2-1-1に係る95.0%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明1についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲2発明Aではなく、かつ、甲2発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明2~9について 本件発明2~9は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(2)で検討した本件発明1と同様の理由により、本件発明2~9は、いずれも甲2発明Aではなく、かつ、甲2発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明10について ア 本件発明10と甲2発明Bとの対比 本件発明10と甲2発明Bとを対比すると、甲2発明Bにおける「酵母Belgian Abbey IIによる発酵工程を有する」及び「製造方法」は、本件発明10における「発酵させる発酵工程を有し」及び「製造方法」に相当する。また、甲2発明Bにおける「甲2発明A」と本件発明10において製造されるビールテイスト飲料との一致点及び相違点は、上記(2)アと同様である。 そうすると、両者は、 「苦味価が80.0BUs以下となるように発酵させる発酵工程を有し、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料の製造方法(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料の製造方法を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲2-10-1:本件発明10は「外観発酵度が95.0%以上」と特定するのに対し、甲2発明Bは外観発酵度が91.5%である点 相違点甲2-10-2:本件発明10は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲2発明Bは「アルコール度数12.3v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲2-10-1について検討する。 イ 相違点甲2-10-1について 相違点甲2-10-1は、実質的に相違点甲2-1-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲2-10-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲2-10-1に係る本件発明10の発明特定事項は、甲2発明B及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明10についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明10は甲2発明Bではなく、かつ、甲2発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明11について 本件発明11は、請求項10を引用し、本件発明10の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(4)で検討した本件発明10と同様の理由により、本件発明11は甲2発明Bではなく、かつ、甲2発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件発明12について 甲2は「Rochefort 10 Clone」というビール製品のレシピであり、定められた原料、製造方法及び製品の成分組成が記載されているにとどまるから、上記第6 1.(7)アに記載した甲27と同様のことがいえる。また、甲2に基づく申立人の主張は、上記第6 1.(7)イに記載した甲27に基づく主張と実質的に同旨であるから、同じ理由によりいずれも採用することができない。 よって、本件発明12は甲2に記載された発明ではなく、かつ、甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件発明13について ア 本件発明13と甲2発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲2発明Aとの対比を踏まえ、本件発明13と甲2発明Aとを対比する。甲2発明Aの外観発酵度(X)は91.5%、アルコール度数(Y)は12.3v/v%であるから、X×Y=1125.45である。 そうすると、両者は、 「苦味価が60.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲2-13-1:本件発明13は「外観発酵度が97.0%以上」と特定するのに対し、甲2発明Aは外観発酵度が91.5%である点 相違点甲2-13-2:本件発明13は「アルコール度数が14.5(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲2発明Aは「アルコール度数12.3v/v%」である点 相違点甲2-13-3:本件発明13は「下記式(1)を満たす、 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」と特定するのに対し、甲2発明AはX×Y=1125.45である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲2-13-1について検討する。 イ 相違点甲2-13-1について 相違点甲2-13-1は、実質的に相違点甲2-1-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲2-13-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲2-13-1に係る本件発明13の発明特定事項は、甲2発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明13についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明13は甲2発明Aではなく、かつ、甲2発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件発明14について ア 本件発明14と甲2発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲2発明Aとの対比を踏まえ、本件発明14と甲2発明Aとを対比する。甲2発明Aは酵母Belgian Abbey IIを原料とするものであるから、本件発明14における「前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲2-14-1:本件発明14は「外観発酵度が94.0%以上」と特定するのに対し、甲2発明Aは外観発酵度が91.5%である点 相違点甲2-14-2:本件発明14は「アルコール度数が15.5(v/v)%以上であり」と特定するのに対し、甲2発明Aは「アルコール度数12.3v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲2-14-1について検討する。 イ 相違点甲2-14-1について 相違点甲2-14-1は、実質的に相違点甲2-1-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲2-14-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲2-14-1に係る本件発明14の発明特定事項は、甲2発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明14についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明14は甲2発明Aではなく、かつ、甲2発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)本件発明15について ア 本件発明15と甲2発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲2発明Aとの対比を踏まえ、本件発明15と甲2発明Aとを対比する。甲2発明Aは、その原料にエタノールもエタノール含有組成物も含まないものであるから、本件発明15における「原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「苦味価が70.0BUs以下であり、原材料にホップを用い、原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲2-15-1:本件発明15は「外観発酵度が94.0%以上」と特定するのに対し、甲2発明Aは外観発酵度が91.5%である点 相違点甲2-15-2:本件発明15は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲2発明Aは「アルコール度数12.3v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲2-15-1について検討する。 イ 相違点甲2-15-1について 相違点甲2-15-1は、実質的に相違点甲2-1-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲2-15-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲2-15-1に係る本件発明15の発明特定事項は、甲2発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明15についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明15は甲2発明Aではなく、かつ、甲2発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (10)本件発明16について ア 本件発明16と甲2発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲2発明Aとの対比を踏まえ、本件発明16と甲2発明Aとを対比する。甲2発明Aは、麦芽比率が65.6質量%であるから、本件発明16における「麦芽比率が80質量%以下である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、および、苦味価が10.0BUs以上70.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 麦芽比率が80質量%以下である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲2-16:本件発明16は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲2発明Aは「アルコール度数12.3v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲2-16について検討する。 イ 相違点甲2-16について まず、相違点甲2-16は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲2は「Rochefort 10 Clone」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲2及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲2発明Aにおけるアルコール度数を15.0(v/v)%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲2-16に係る本件発明16の発明特定事項は、甲2発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲2発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者がアルコール度数に着目し、さらに相違点甲2-16に係る15.0(v/v)%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明16についてのまとめ 以上のことから、本件発明16は甲2発明Aではなく、かつ、甲2発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (11)本件発明17について ア 本件発明17と甲2発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲2発明Aとの対比を踏まえ、本件発明17と甲2発明Aとを対比すると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下、および、苦味価が10.0BUs以上50.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、 ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲2-17-1:本件発明17は「pHが5.0以下であり」と特定するのに対し、甲2発明Aはそのように特定されない点 相違点甲2-17-2:本件発明17は「下記式(1)を満たす、 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」と特定するのに対し、甲2発明AはX×Y=1125.45である点 で相違する。 そこで、事案に鑑み、上記相違点甲2-17-2について検討する。 イ 相違点甲2-17-2について まず、相違点甲2-17-2は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲2は「Rochefort 10 Clone」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲2及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲2発明Aにおける上記X×Yを1350以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲2-17-2に係る本件発明17の発明特定事項は、甲2発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲2発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が上記X×Yに着目し、さらに相違点甲2-17-2に係る1350以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明17についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明17は甲2発明Aではなく、かつ、甲2発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (12)本件発明18について ア 本件発明18と甲2発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲2発明Aとの対比を踏まえ、本件発明18と甲2発明Aとを対比すると、両者は、 「アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 麦芽比率が67質量%未満であり、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲2-18:本件発明18は「外観発酵度が94.0%以上」と特定するのに対し、甲2発明Aは外観発酵度が91.5%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲2-18について検討する。 イ 相違点甲2-18について 相違点甲2-18は、実質的に相違点甲2-1-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲2-18は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲2-18に係る本件発明18の発明特定事項は、甲2発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明18についてのまとめ 以上のことから、本件発明18は甲2発明Aではなく、かつ、甲2発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (13)申立理由2(甲2に基づく新規性欠如・進歩性欠如)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明1~18は、いずれも甲2に記載された発明ではないから特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明1~18は、いずれも甲2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、申立理由2(甲2に基づく新規性欠如・進歩性欠如)により本件発明1~18についての特許を取り消すことはできない。 4.申立理由3(甲3に基づく新規性欠如・進歩性欠如)について (1)甲3に記載された事項 甲3には以下の事項が記載されている。いずれの記載事項も、申立人が提出した翻訳文及び当審による翻訳に基づいて示す。 (甲3-1)「高比重ビールの醸造」(p.1/10記事表題) (甲3-2)「方法の概要: 1.穀物をもっと追加する(ただし効率は低下します) 2.グレインダブルスパージロングボイルを追加 3.DMEを追加する 4.砂糖を追加する 5.パーティガイル(1つのマッシュで2つのビール)ノースパージ醸造とも呼ばれる 6.反復マッシュ(2つのマッシュで1つのビール) 7.アイスイット 方法1:穀物を増やす 穀物請求書-ロシアン・インペリアル・スタウトを作るのに、スタウトのレシピを2倍にするのはやめましょう。 ・10.5ポンドの英国製2-Row ・1ポンドのクリスタル60 ・0.50ポンドのチョコレートモルト ・1ポンドの焙煎大麦 比重を上げて1.110という健全な値を達成する(ベースモルトを7ポンド増量)だけでも、いくつかの効果が得られます。まず、ビールの色は大きく変わります。スタウトに期待する真っ黒な色ではなく、出来上がったビールは濃い茶色になり、光にかざすとロシアン・インペリアルは赤く見えるでしょう。全ての穀物を盲目的に倍増させるのは解決策にはならない。2ポンドの焙煎大麦は「クレイジー」ではないが、1.110の醸造では本当に多すぎるロースト風味となる。フェノールが過剰になります。解決策は中道です。 ・18ポンドの英国製-2Row ・1ポンドのクリスタル60 ・1ポンドのチョコレートモルト ・1.5ポンドの焙煎大麦 方法2:穀物を多めに使用し、ダブルスパージと長時間煮沸すると効率が上がります。 高比重ビールを作ろうとすると、効率が著しく低下します。1.065を超えると、効率は低下しはじめ、最高比重の試みでは70%から、時には60%まで下がります。ダブルスパージングは、より多くの糖分は抜けますが、その後さらに長く煮沸する必要があります。 方法3:DMEを追加する 4ポンドのDMEは5.5ポンドの二条大麦に相当し、OGを28比重ポイント上げます。 ・12.5ポンドの英国製2-Row ・4ポンドの乾燥麦芽エキス ・1ポンドのクリスタル60 ・1ポンドのチョコレートモルト ・1.5ポンドの焙煎大麦 効率を落とさないように、方法2のようにレシピを調合してください。ベースモルトの一部を同量のDMEで置き換えてください。この方法を使うのは、マッシュタンが小さすぎる場合のみです。 方法4:砂糖を加える 醸造用砂糖は、ビールの発酵性糖度を高めるために古くから使われてきました。個人的には、ベルギー人が酵母から高い発酵率を引き出し、ドライなビールを造る秘訣は、この醸造用砂糖にあると思っています。砂糖の種類は豊富ですが、それぞれ発酵度合いが異なるため注意が必要です。中には100%発酵するものもあります。これにより、ビールが急速にドライになり、FGが非常に低くなる可能性があります。これを補うために高温(154-160度)でマッシュするか、100%発酵しない砂糖を選ぶように注意してください。以下にリストを示します。 例えば、上記のレシピでデメメラシュガーを使用する場合、4ポンドのDME又は5.5ポンドの二条大麦の代わりに3ポンドの糖を使用しますが、適切な口当たりを得るには、もう少しマッシュの量を増やす必要があります。一般的に、砂糖の色が薄いほど発酵性が高く、通常は100%発酵します。色の濃い砂糖ほど発酵性が低くなります。 方法5:パーティガイル Q1:「パーティ-ガイル」とは何ですか? パーティ-ガイルとは、穀物を2回(あるいは3回)に分けて水を注ぎ、徐々に濃度を下げていく伝統的なマッシング工程の英語名です。それぞれのビールは専用のポット(ガイル)に注ぎ込まれます。同じマッシュから2種類以上の異なるビールを作ることができるのです。これは数百年、いや数千年も前から使われてきた技術です。ろ過工程には様々な方法がありますが、古典的な定義は次のとおりです。 ・・・ 方法6-繰り返しマッシュ 一般的なプロセスは以下のとおりです。穀物請求書が似た2つのマッシュタンがあり、基本的に両方のタンから最初のランを使用します。5ガロンのビール1バッチに20ポンドの穀物を使用します!まず、6.5ガロンの水を10ポンドの穀物に154度で30分間浸漬します。これで、1.065~1.070の麦汁約5ガロンが得られます。3ガロンの麦汁をスパージし、それを5ガロンに加えます。合わせると、1.060~1.065の範囲になります。それら8ガロンを2つ目のマッシュタンで加熱し、148度で1時間静置します。流出させると、OG1.110の麦汁が得られます。これで、アルコール度数11~12.5%の飲料ができます。 ホップ-もっと使いましょう! まず、高比重のビールは低比重のビールよりもホップの利用効率が低いため、通常よりも多くのホップを使用する必要があります。また、ホップの香りと風味を生み出す成分は、ビールが熟成するにつれて最初に失われます。したがって、熟成期間に応じてホップを増やすのは理にかなっています。また、ホッピーなビールをセラーで貯蔵して実験しておくと役立ちます。通常のアルコール度のビールでは、35%の利用率(1.5時間の煮沸、1.040の麦汁)は簡単に達成できますが、1.090の麦汁では27%に低下し、1.110ではわずか22%にまで低下します。90分間煮沸するファーストワートホッピング(FWH)は、すべての「ビッグ」ビールの鍵となります。 酵母 酵母1:巨大なスターターを作る 新しいビールを古い酵母の上に投入するのは昔からの伝統であり、きっと役に立つでしょう。 酵母2:酵母の世話 酵母は約24時間の誘導期、つまり好気性増殖期を経ます。この期間中、酵母は「出芽」(無性生殖)しており、できるだけ多くの酸素を必要とします。これはすべてのビールに当てはまりますが、「ビッグ」なビールには(もちろん)二重に当てはまります。増殖には酸素(アミノ酸、脂質、亜鉛や銅などのミネラルなど)が必要ですが、「ビッグ」なビールでは、麦汁を純粋なO2で飽和させると、酵母壁が強化され、アルコール耐性が高まるという追加のメリットがあります。これがどれほど重要であるかは、いくら強調してもしすぎることはありません。ビールを適切に発酵させたい場合、大量の酵母だけでなく、健康でアルコール耐性のある酵母も必要です。私のトリペルが完全に発酵しなかったのは、このためです。ほとんどすべての酵母株は、適切に管理されていれば、10~11%まで機能します。私は Wyeast1056と1272の両方で素晴らしい成果を上げており、定期的に14~15%まで、特に1272の場合は18%まで上げることができました。酵母をできるだけ元気に保つには、4時間ごとに麦汁をO2で再飽和させる必要があります。・・・ 発酵 上のセクションで発酵の始まりについてかなり詳しくお話ししましたが、「ビッグ」ビールを発酵させる際の課題についても少し触れておきたいと思います。これらのモンスタービールは他のすべてのことと同様に、より多くの時間を必要とします。今回は、より多くの時間についてお話します。「普通の」ビールを発酵させるのには通常7日間(あるいはそれよりもずっと短い期間)あれば十分であることは周知の事実です。ところが、私は「ビッグ」ビールを発酵させるには通常10~14日間で十分だと考えています。ただし、比重1.140を超えるビールの場合は、一次発酵で1か月間放置します。・・・ 高比重エールの概要 a.伝統的に、初仕込みから特別な機会のためのビールとして醸造される。 b.通常、オリジナル比重は1.060-1.070以上である。 c.課題: i.レシピの配合、ホップの利用とエステル。 ii.発酵がすぐに始まらないため、通常は酵母が必要となる。 スターター iii.発酵の停滞。典型的には酸素不足が原因で、麦汁濃度の上昇に伴い酸素の溶解度が低下するため、発酵が停止します。発酵には酸素が必要であり、麦汁濃度が高いと酸素濃度が低下します。発酵が進むにつれて酸素は消費され、最終的にはなくなり、発酵が停止します。適切にエアレーションを行い、酵母スターターを使用してください。酵母をもっと投入」してください。 iv.完全な発酵を達成するには、特別な注意が必要になる場合があります 1.発酵を長くする 2.複数回の投入 3.酵母を刺激する a.撹拌する(昔の醸造所では、樽を「歩かせる」方法で発酵させていました) b.個人的な経験から、ビールをラックに移す v.一次発酵の最初の2日間で発酵が高温になりすぎて、フューゼル及びアセトンのような望まれないフルーティーなエステルやホットなアルコールが完成品に生成されます。 3.いくつかの高比重スタイルとその比重範囲。 ・・・ 4.推奨酵母 a.White Labs i.WLP007 Dry English Ale ii.WLP099 Super High Gravity Ale (ferment up to 25%) iii.WLP500 Trappist Ale iv.WLP510 Belgian Bastogne Ale v.WLP530 Abbey Ale or WLP540 Abbey IV Ale vi.WLP570 Belgian Golden Ale b.Wyeast Labs i.1728 Scottish Ale ii.1084 Irish Ale iii.1214 Belgian Abbey iv.1388 Belgian Strong v.1762 Belgian Abbey II vi.3787 Trappist High Gravity vii.American Ale 1056 (14%) or American Ale II 1272 (18%) 5.特定のビール ・・・ 6.アルコール度数21%のオールグレインビール (http://www.byo.com/component/resource/article/51-21-alcohol-all-grain-beer) 」(p.1/10第2段落~p.7/10 12行) (2)甲3に記載された発明 甲3のp.1/10表題(摘記甲3-1)には「高比重ビールの醸造」と記載されており、p.1/10の「方法の概要」(摘記甲3-2)には、 「1.穀物をもっと追加する(ただし効率は低下します) 2.グレインダブルスパージロングボイルを追加 3.DMEを追加する 4.砂糖を追加する 5.パーティガイル(1つのマッシュで2つのビール)ノースパージ醸造とも呼ばれる 6.反復マッシュ(2つのマッシュで1つのビール) 7.アイスイット」と記載されている。 また、p.1/10-2/20の「方法1:穀物を増やす」には、「ロシアン・インペリアル・スタウト」の穀物原料レシピ、及びその穀物を増やしたレシピの例が記載され、p/2/10「方法3:DMEを追加する」には、さらにDME(乾燥麦芽エキス)を追加した場合の穀物レシピの例が記載されており、所定量の麦芽、DME及び焙煎大麦を用いることが記載されている。さらに、p/2/10の「方法4:砂糖を加える」には、発酵原料に砂糖を加えることが記載され、p.4/10の「方法6-繰り返しマッシュ」には、OG(オリジナル比重)1.110の原麦汁が得られ、これからアルコール度数11%~12.5%の飲料ができることが記載されており、p.4/10の「ホップ-もっと使いましょう!」には、熟成期間に応じてホップを増やすことが記載され、p.4/10~5/10の「酵母」及びp.6/10~7/10の「4.推奨酵母」には、酵母による発酵を行うこと、及び推奨される酵母の例が記載されている。 そうすると、甲3には、例示的に記載されている発酵原料及び発酵方法に基づいて以下の発明が記載されている。 「麦芽、DME、焙煎大麦、砂糖及びホップを原料とし、オリジナル比重1.110の原麦汁を酵母により発酵させて得られる、アルコール度数11~12.5%の高比重ビール。」(以下、「甲3発明A」という。) 「酵母による発酵工程を有する甲3発明Aの製造方法。」(以下、「甲3発明B」という。) (3)本件発明1について ア 本件発明1と甲3発明Aとの対比 甲3発明Aにおける「ホップ」は、本件発明1における「原材料にホップを用いる」を満たしている。 甲3発明Aにおける「高比重ビール」は、本件発明1における「ビールテイスト飲料」に相当する。 甲3に記載された発酵方法は、「原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程」及び「ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程」を含まないことが明らかであるから、甲3発明Aは、「(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料・・・を除く)」との発明特定事項により除外されるものではない。 甲3発明Aは、麦芽以外の発酵原料として焙煎大麦及び砂糖を使用するから、甲3発明Aは、本件発明1において「除く」ものとされている「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」には該当しない。 そうすると、本件発明1と甲3発明Aとは、 「原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲3-1-1:本件発明1は「外観発酵度が95.0%以上」と特定するのに対し、甲3発明Aはそのように特定されない点 相違点甲3-1-2:本件発明1は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲3発明Aは「アルコール度数11~12.5%」である点 相違点甲3-1-3:本件発明1は「苦味価が80.0BUs以下であり」と特定するのに対し、甲3発明Aはそのように特定されない点 で相違する。 そこで、上記相違点甲3-1-1について検討する。 イ 相違点甲3-1-1について 甲3には、「高比重ビールの醸造」について、発酵原料及び製造方法が例示的に記載されるに止まり、外観発酵度を特定できる程度に発酵原料及び発酵条件が開示された具体的な高比重ビールの醸造例は記載されていないから、相違点甲3-1-1は実質的な相違点である。 また、甲3及び他の全ての証拠の記載を参照しても、当業者が甲3発明Aにおける外観発酵度に着目し、さらにそれを95.0%以上とする動機は見いだせない。さらに、仮に、当業者が甲3発明Aにおいて外観発酵度を95.0%以上にすることを試みることがあるとしても、本件発明1の発明特定事項に基づいて「アルコール由来の刺激感を感じながら、さらにスッキリした爽快な味わいを有するビールテイスト飲料を提供する」(本件明細書の[0006])という効果が得られることは、当業者が予測し得たこととはいえない。よって、相違点甲3-1-1に係る本件発明1の発明特定事項は、甲3発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立人は申立書の50頁において、甲3のp.2/10の「方法4:砂糖を加える」(摘記甲3-2)の記載を引用し、「外観発酵度90%以上」との構成は、実質的に記載されていると主張し、また、同50~54頁において甲16~甲21を引用し、「甲16ビール~甲21ビールは、いずれも甲3で高濃度醸造にお勧めの酵母として記載されている酵母を使用したものである。そして、・・・甲16ビール~甲21ビールは、いずれも外観発酵度が90%以上である。したがって、「外観発酵度90%以上」との特定事項は、甲3に実質的に記載されている事項・・・であり、相違点にはならない。」と主張している。 しかし、上記イに記載したとおり、甲3には、外観発酵度を特定できる程度に発酵原料及び発酵条件が開示された具体的な高比重ビールの醸造例は記載されていない。申立人が引用する甲3の「方法4:砂糖を加える」には、糖の種類と糖の発酵度合いの関係についての一般的な説明は記載されているが、当該記載はビールの発酵原料全体の外観発酵度を具体的に特定するものではない。また、甲3の「4.推奨酵母」には、酵母の名称が列記されているが、外観発酵度は酵母の名称のみによって定まるものではなく、さらに、甲3に、甲16~甲21と発酵原料及び発酵条件が一致する具体的なビールの製造例が記載されているとも認められない。そうすると、甲3に「外観発酵度が90%以上」との特定事項が実質的に記載されているとはいえず、まして、相違点甲3-1-1に係る「外観発酵度が95.0%以上」との特定事項が甲3に記載されているとはいえない。 また、甲3の記載と甲16~甲21を含む全ての証拠の記載を参照しても、当業者が甲3発明Aにおける外観発酵度に着目し、さらにそれを95.0%以上とする動機は見いだせないし、加えて、本件発明1の発明特定事項に基づいて「アルコール由来の刺激感を感じながら、さらにスッキリした爽快な味わいを有するビールテイスト飲料を提供する」という効果が得られることは、当業者が予測し得たこととはいえないことにも鑑みると、相違点甲3-1-1に係る「外観発酵度が95.0%以上」との特定事項が甲3に記載されているに等しい事項であるともいえない。 よって、申立人の主張を採用することはできない。 エ 本件発明1についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲3発明Aではなく、かつ、甲3発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明2~9について 本件発明2~9は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(3)で検討した本件発明1と同様の理由により、本件発明2~9はいずれも甲3発明Aではなく、かつ、本件発明2~9はいずれも甲3発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明10について ア 本件発明10と甲3発明Bとの対比 本件発明10と甲3発明Bとを対比すると、甲3発明Bにおける「酵母による発酵工程を有する」及び「製造方法」は、本件発明10における「発酵させる発酵工程を有し」及び「製造方法」に相当する。また、甲3発明Bにおける「甲3発明A」と本件発明10において製造されるビールテイスト飲料との一致点及び相違点は、上記(3)アと同様である。 そうすると、両者は、少なくとも 相違点甲3-10:本件発明10は「外観発酵度が95.0%以上」と特定するのに対し、甲3発明Bはそのように特定されない点 で相違する。 そして、相違点甲3-10は、実質的に相違点甲3-1-1と同じ内容の相違点であるから、上記(3)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲3-10は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲3-10に係る本件発明10の発明特定事項は、甲3発明B及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 イ 本件発明10についてのまとめ 以上のことから、本件発明10は甲3発明Bではなく、かつ、甲3発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件発明11について 本件発明11は、請求項10を引用し、本件発明10の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(5)で検討した本件発明10と同様の理由により、本件発明11は甲3発明Bではなく、かつ、甲3発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件発明12について ア 本件発明12についての判断 本件明細書の[0057]~[0059]には、本件発明12の「ビールテイスト飲料の香味改善方法」に関し、「本明細書において、「香味改善」または「香味を改善する」とは、外観発酵度およびアルコール度数を上記範囲に調整した飲料が、当該調整を行っていない飲料と比べて、アルコール由来の刺激感、またはスッキリした爽快な味わいが向上されることを意味する」と記載されている。 これに対し、甲3には、「高比重ビールの醸造」について、発酵原料及び製造方法が例示的に記載されるに止まるから、本件発明12と対比し得るような外観発酵度及びアルコール度数の調整工程を伴う「ビールテイスト飲料の香味改善方法」の発明を甲3に記載された発明として認定することはできない。 また、甲3及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲3において「アルコール由来の刺激感、またはスッキリした爽快な味わい」という特定の香味に着目する動機はなく、また、甲3に記載された発酵原料及び発酵条件のうち、特に「外観発酵度」及び「アルコール度数」の二つを選び出す動機はなく、まして、それら二つの事項を「外観発酵度が90.0%以上」及び「アルコール度数が12.0(v/v)%以上」となるように調整する工程を有することによって、「アルコール由来の刺激感、またはスッキリした爽快な味わい」という特定の香味を改善する方法となし得ることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 イ 申立人の主張について 申立人は、申立書61頁において、「本件発明1で検討したとおり、甲3に記載の高濃度醸造されるビールは、外観発酵度は90%以上、アルコール度数は12v/v%以上である。また、甲3に記載の高濃度醸造されるビールは、酵母による発酵で得られたものであり、当該発酵により、外観発酵度及びアルコール度数を調整していると解されるものである。また、本件発明12と同じ工程を経ているため、当然に香味が改善されているといえる。」等と主張している。 しかし、上記アに記載したとおり、本件発明12と対比し得るような「ビールテイスト飲料の香味改善方法」の発明を甲3に記載された発明として認定することはできず、また、第6 1.(7)ア及びイと同様のことがいえるから、甲3にビールを製造する方法の発明(甲3発明B)が記載されているとしても、それを直ちにビールテイスト飲料の香味改善方法と同視できるものではない。 また、甲3の記載及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲3において「外観発酵度」及び「アルコール度数」という二つの事項に着目する動機はなく、ビール製品の「アルコール由来の刺激感、またはスッキリした爽快な味わい」という特定の香味に着目する動機も見いだせない。 加えて、申立人は、甲3に記載されたビールが「当然に香味が改善されている」といえる具体的な証拠は示していない。 よって、甲3に、「外観発酵度」及び「アルコール度数」という特定の事項と「アルコール由来の刺激感、またはスッキリした爽快な味わい」の向上とを結びつけた「ビールテイスト飲料の香味改善方法」という発明が記載されているとは認められない。また、甲3の記載及び他の全ての証拠の記載を参照しても、当業者が甲3の記載に基づいて上記のような「ビールテイスト飲料の香味改善方法」という発明に容易に想到し得たとはいえない。 ウ 本件発明12についてのまとめ 以上のことから、本件発明12は甲3に記載された発明ではなく、かつ、甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件発明13~18について ア 本件発明13~18と甲3発明Aとの対比 本件発明13と甲3発明Aとを対比すると、両者は、少なくとも 相違点甲3-13:本件発明13は「外観発酵度が97.0%以上」と特定するのに対し、甲3発明Aはそのように特定されない点 で相違する。 また、同様に、本件発明14~18と甲3発明Aとの対比においても、両者は、少なくとも外観発酵度の特定の有無において相違する(相違点甲3-14~相違点甲3-18)。 そして、相違点甲3-13~相違点甲3-18は、いずれも実質的に相違点甲3-1-1と同じ内容の相違点であるから、上記(3)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲3-13~相違点甲3-18はいずれも実質的な相違点であり、かつ、相違点甲3-13~相違点甲3-18に係る本件発明13~18の発明特定事項は、いずれも甲3発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 イ 本件発明13~18についてのまとめ 以上のことから、本件発明13~18はいずれも甲3発明Aではなく、かつ、本件発明13~18はいずれも甲3発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)申立理由3(甲3に基づく新規性欠如・進歩性欠如)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明1~18は、いずれも甲3に記載された発明ではないから特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明1~18は、いずれも甲3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、申立理由3(甲3に基づく新規性欠如・進歩性欠如)により本件発明1~18についての特許を取り消すことはできない。 5.申立理由4(甲17に基づく新規性欠如・進歩性欠如)について (1)甲17に記載された発明 甲17は、大凡、甲27と同様の様式でビールの名称、発酵原料及び分析結果が記載された証拠であるため、証拠からの摘記は省略した。 甲17に記載された事項を整理すると、甲17には以下の発明が記載されている。 「エクストラペール 8.00kg ウィート 0.50kg 粉砕オーツ麦 1.38kg ダーククリスタル 0.88kg カラファスペシャルタイプ1 0.63kg カラファスペシャルタイプ3 0.63kg チヌーク 50.0g カスケード 25.0g ファッグル 25.0g ファッグル 12.5g 酵母Wyeast 1056 - American Ale を原料とする、外観発酵度97.50%、アルコール度数15.0v/v%、色度(SRM)50.0、pH4.4の、ビール。」(以下、「甲17発明A」という。) 「酵母Wyeast 1056 - American Aleによる発酵工程を有する甲17発明Aの製造方法。」(以下、「甲17発明B」という。) (2)本件発明1について ア 本件発明1と甲17発明Aとの対比 甲17発明Aの「外観発酵度97.50%」は、本件発明1における「外観発酵度が95.0%以上」を満たしている。 甲17発明Aの「アルコール度数15.0v/v%」は、本件発明1における「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」を満たしている。 甲17発明Aにおける「チヌーク 50.0g」、「カスケード 25.0g」、「ファッグル 25.0g」及び「ファッグル 12.5g」は、本件発明1における「原材料にホップを用いる」を満たしている。 甲17発明Aにおける「ビール」は、本件発明1における「ビールテイスト飲料」に相当する。 甲17には、甲17発明Aの製造工程として、「原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程」及び「ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程」は記載されていないから、甲17発明Aが、「(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料・・・を除く)」との発明特定事項により除外されていると直ちにいうことはできない。 甲17発明Aにおける麦芽重量は、「エクストラペール 8.00kg」+「ウィート 0.50kg」+「ダーククリスタル 0.88kg」+「カラファスペシャルタイプ1 0.63kg」+「カラファスペシャルタイプ3 0.63kg」=10.64kgである。 甲17発明Aにおける水及びホップ以外の原料の重量は、麦芽重量10.64kg+「粉砕オーツ麦 1.38kg」=12.02kgである。 これらから甲17発明Aの麦芽比率を求めると、10.64/12.02×100=88.5質量%であるから、甲17発明Aは、本件発明1において「除く」ものとされている「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」には該当しない。 そうすると、本件発明1と甲17発明Aとは、 「外観発酵度が95.0%以上、アルコール度数が15.0(v/v)%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲17-1:本件発明1は「苦味価が80.0BUs以下であり」と特定するのに対し、甲17発明Aはそのように特定されない点 で相違する。 そこで、上記相違点甲17-1について検討する。 イ 相違点甲17-1について まず、相違点甲17-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲17は「DOG B」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲17及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲17発明Aにおける苦味価を80.0BUs以下に特定する動機は見いだせない。よって、相違点甲17-1に係る本件発明1の発明特定事項は、甲17発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲17発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が苦味価に着目し、さらに相違点甲17-1に係る80.0BUs以下に特定することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明1についてのまとめ 以上のことから、本件発明1は甲17発明Aではなく、かつ、甲17発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明2~9について 本件発明2~9は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(2)で検討した本件発明1と同様の理由により、本件発明2~9は、いずれも甲17発明Aではなく、かつ、甲17発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明10について ア 本件発明10と甲17発明Bとの対比 本件発明10と甲17発明Bとを対比すると、甲17発明Bにおける「酵母Wyeast 1056 - American Aleによる発酵工程を有する」及び「製造方法」は、本件発明10における「発酵させる発酵工程を有し」及び「製造方法」に相当する。また、甲17発明Bにおける「甲17発明A」と本件発明10において製造されるビールテイスト飲料との一致点及び相違点は、上記(2)アと同様である。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が95.0%以上、且つ、アルコール度数が15.0(v/v)%以上となるように発酵させる発酵工程を有し、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料の製造方法(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料の製造方法を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲17-10:本件発明10は「苦味価が80.0BUs以下」と特定するのに対し、甲17発明Bはそのように特定されない点 で相違する。 そこで、上記相違点甲17-10について検討する。 イ 相違点甲17-10について 相違点甲17-10は、実質的に相違点甲17-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲17-10は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲17-10に係る本件発明10の発明特定事項は、甲17発明B及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明10についてのまとめ 以上のことから、本件発明10は甲17発明Bではなく、かつ、甲17発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明11について 本件発明11は、請求項10を引用し、本件発明10の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(4)で検討した本件発明10と同様の理由により、本件発明11は甲17発明Bではなく、かつ、甲17発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件発明13について ア 本件発明13と甲17発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲17発明Aとの対比を踏まえ、本件発明13と甲17発明Aとを対比する。甲17発明Aの外観発酵度(X)は97.50%、アルコール度数(Y)は15.0v/v%であるから、X×Y=1462.50であり、本件発明13における「式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」という特定事項を満たしている。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が97.0%以上、アルコール度数が14.5(v/v)%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲17-13:本件発明13は「苦味価が60.0BUs以下であり」と特定するのに対し、甲17発明Aはそのように特定されない点 で相違する。 そこで、上記相違点甲17-13について検討する。 イ 相違点甲17-13について 相違点甲17-13は、実質的に相違点甲17-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲17-13は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲17-13に係る本件発明13の発明特定事項は、甲17発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明13についてのまとめ 以上のことから、本件発明13は甲17発明Aではなく、かつ、甲17発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件発明14について ア 本件発明14と甲17発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲17発明Aとの対比を踏まえ、本件発明14と甲17発明Aとを対比する。甲17発明Aは酵母Wyeast 1056 - American Aleを原料とするものであるから、本件発明14における「前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲17-14:本件発明14は「アルコール度数が15.5(v/v)%以上であり」と特定するのに対し、甲17発明Aは「アルコール度数15.0v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲17-14について検討する。 イ 相違点甲17-14について まず、相違点甲17-14は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲17は「DOG B」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲17及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲17発明Aにおけるアルコール度数を15.5(v/v)%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲17-14に係る本件発明14の発明特定事項は、甲17発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲17発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者がアルコール度数に着目し、さらに相違点甲17-14に係る15.5(v/v)%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明14についてのまとめ 以上のことから、本件発明14は甲17発明Aではなく、かつ、甲17発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件発明15について ア 本件発明15と甲17発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲17発明Aとの対比を踏まえ、本件発明15と甲17発明Aとを対比する。甲17発明Aは、その原料にエタノールもエタノール含有組成物も含まないものであるから、本件発明15における「原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上、アルコール度数が15.0(v/v)%以上であり、原材料にホップを用い、原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲17-15:本件発明15は「苦味価が70.0BUs以下であり」と特定するのに対し、甲17発明Aはそのように特定されない点 で相違する。 そこで、上記相違点甲17-15について検討する。 イ 相違点甲17-15について 相違点甲17-15は、実質的に相違点甲17-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲17-15は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲17-15に係る本件発明15の発明特定事項は、甲17発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明15についてのまとめ 以上のことから、本件発明15は甲17発明Aではなく、かつ、甲17発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)本件発明16について ア 本件発明16と甲17発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲17発明Aとの対比を踏まえ、本件発明16と甲17発明Aとを対比する。甲17発明Aは、麦芽比率が88.5質量%であるから、本件発明16における「麦芽比率が80質量%以下である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、アルコール度数が15.0(v/v)%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲17-16-1:本件発明16は「苦味価が10.0BUs以上70.0BUs以下であり」と特定するのに対し、甲17発明Aはそのように特定されない点 相違点甲17-16-2:本件発明16は「麦芽比率が80質量%以下である」と特定するのに対し、甲17発明Aは麦芽比率が88.5質量%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲17-16-1について検討する。 イ 相違点甲17-16-1について 相違点甲17-16-1は、実質的に相違点甲17-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲17-16-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲17-16-1に係る本件発明16の発明特定事項は、甲17発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明16についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明16は甲17発明Aではなく、かつ、甲17発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (10)本件発明17について ア 本件発明17と甲17発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲17発明Aとの対比を踏まえ、本件発明17と甲17発明Aとを対比すると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、および、pHが5.0以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料であり、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲17-17-1:本件発明17は「アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下」と特定するのに対し、甲17発明Aは「アルコール度数15.0v/v%」である点 相違点甲17-17-2:本件発明17は「苦味価が10.0BUs以上50.0BUs以下であり」と特定するのに対し、甲2発明Aはそのように特定されない点 で相違する。 そこで、上記相違点甲17-17-1について検討する。 イ 相違点甲17-17-1について 相違点甲17-17-1は、実質的に相違点甲17-14と同じ内容の相違点であるから、上記(7)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲17-17-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲17-17-1に係る本件発明17の発明特定事項は、甲17発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明17についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明17は甲17発明Aではなく、かつ、甲17発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (11)本件発明18について ア 本件発明18と甲17発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲17発明Aとの対比を踏まえ、本件発明18と甲17発明Aとを対比すると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲17-18-1:本件発明18は「アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下」と特定するのに対し、甲17発明Aは「アルコール度数15.0v/v%」である点 相違点甲17-18-2:本件発明18は「麦芽比率が67質量%未満であり」と特定するのに対し、甲17発明Aは麦芽比率が88.5質量%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲17-18-1について検討する。 イ 相違点甲17-18-1について 相違点甲17-18-1は、実質的に相違点甲17-14と同じ内容の相違点であるから、上記(7)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲17-18-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲17-18-1に係る本件発明18の発明特定事項は、甲17発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明18についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明18は甲17発明Aではなく、かつ、甲17発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (12)申立理由4(甲17に基づく新規性欠如・進歩性欠如)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明1~11及び13~18は、いずれも甲17に記載された発明ではないから特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明1~11及び13~18は、いずれも甲17に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、申立理由4(甲17に基づく新規性欠如・進歩性欠如)により本件発明1~11及び13~18についての特許を取り消すことはできない。 6.申立理由5-1(甲18に基づく新規性欠如・進歩性欠如)について (1)甲18に記載された発明 甲18は、大凡、甲27と同様の様式でビールの名称、発酵原料及び分析結果が記載された証拠であるため、証拠からの摘記は省略した。 甲18に記載された事項を整理すると、甲18には以下の発明が記載されている。 「エクストラペール 7.50kg ウィート 0.50kg 粉砕オーツ麦 1.38kg ダーククリスタル 0.88kg カラファスペシャルタイプ1 0.63kg カラファスペシャルタイプ3 0.63kg ライ麦 0.75kg チヌーク 50.0g カスケード 25.0g ファッグル 25.0g ファッグル 25.0g 酵母Wyeast 1056 - American Ale を原料とする、外観発酵度97.50%、アルコール度数15.0v/v%、色度(SRM)50.0、pH4.4の、ビール。」(以下、「甲18発明A」という。) 「酵母Wyeast 1056 - American Aleによる発酵工程を有する甲18発明Aの製造方法。」(以下、「甲18発明B」という。) (2)本件発明1について ア 本件発明1と甲18発明Aとの対比 甲18発明Aの「外観発酵度97.50%」は、本件発明1における「外観発酵度が95.0%以上」を満たしている。 甲18発明Aの「アルコール度数15.0v/v%」は、本件発明1における「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」を満たしている。 甲18発明Aにおける「チヌーク 50.0g」、「カスケード 25.0g」、「ファッグル 25.0g」及び「ファッグル 25.0g」は、本件発明1における「原材料にホップを用いる」を満たしている。 甲18発明Aにおける「ビール」は、本件発明1における「ビールテイスト飲料」に相当する。 甲18には、甲18発明Aの製造工程として、「原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程」及び「ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程」は記載されていないから、甲18発明Aが、「(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料・・・を除く)」との発明特定事項により除外されていると直ちにいうことはできない。 甲18発明Aにおける麦芽重量は、「エクストラペール 7.50kg」+「ウィート 0.50kg」+「ダーククリスタル 0.88kg」+「カラファスペシャルタイプ1 0.63kg」+「カラファスペシャルタイプ3 0.63kg」=10.14kgである。 甲18発明Aにおける水及びホップ以外の原料の重量は、麦芽重量10.14kg+「粉砕オーツ麦 1.38kg」+「ライ麦 0.75kg」=12.27kgである。 これらから甲18発明Aの麦芽比率を求めると、10.14/12.27×100=82.6質量%であるから、甲18発明Aは、本件発明1において「除く」ものとされている「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」には該当しない。 そうすると、本件発明1と甲18発明Aとは、 「外観発酵度が95.0%以上、アルコール度数が15.0(v/v)%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲18-1:本件発明1は「苦味価が80.0BUs以下であり」と特定するのに対し、甲18発明Aはそのように特定されない点 で相違する。 そこで、上記相違点甲18-1について検討する。 イ 相違点甲18-1について 甲18は「DOG C」というビール製品のレシピであるところ、その記載内容は、「DOG B」というビール製品のレシピである甲17と、発酵原料の一部を除き、概ね同じである。 そうすると、相違点甲18-1についても、上記5.(2)イ及びウに記載した相違点甲17-1と同様のことがいえる。よって、相違点甲18-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲18-1に係る本件発明1の発明特定事項は、甲18発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明1についてのまとめ 以上のことから、本件発明1は甲18発明Aではなく、かつ、甲18発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明2~11及び13~18について 上記(2)アに記載した本件発明1と甲18発明Aとの対比を踏まえると、本件発明2~11及び13~18との一致点及び相違点については、上記5.(3)~(11)と同様のことがいえる。そうすると、本件発明2~9及び13~18は、いずれも甲18発明Aではなく、かつ、甲18発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。また、本件発明10及び11は、いずれも甲18発明Bではなく、かつ、甲18発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)申立理由5-1(甲18に基づく新規性欠如・進歩性欠如)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明1~11及び13~18は、いずれも甲18に記載された発明ではないから特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明1~11及び13~18は、いずれも甲18に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、申立理由5-1(甲18に基づく新規性欠如・進歩性欠如)により本件発明1~11及び13~18についての特許を取り消すことはできない。 7.申立理由5-2(甲21に基づく新規性欠如・進歩性欠如)について (1)甲21に記載された発明 甲21は、大凡、甲27と同様の様式でビールの名称、発酵原料及び分析結果が記載された証拠であるため、証拠からの摘記は省略した。 甲21に記載された事項を整理すると、甲21には以下の発明が記載されている。 「エクストラペール 8.00kg ウィート 0.50kg 粉砕オーツ麦 1.38kg ダーククリスタル 0.88kg カラファスペシャルタイプ1 0.63kg カラファスペシャルタイプ3 0.63kg ハチミツ 0.70kg チヌーク 50.0g カスケード 25.0g ファッグル 25.0g ファッグル 25.0g コーヒー豆 12.5g コーヒー豆 12.5g 酵母Wyeast 1272 - American Ale を原料とする、外観発酵度97.50%、アルコール度数15.0v/v%、色度(SRM)50.0、pH4.4の、ビール。」(以下、「甲21発明A」という。) 「酵母Wyeast 1272 - American Aleによる発酵工程を有する甲21発明Aの製造方法。」(以下、「甲21発明B」という。) (2)本件発明1について ア 本件発明1と甲21発明Aとの対比 甲21発明Aの「外観発酵度97.50%」は、本件発明1における「外観発酵度が95.0%以上」を満たしている。 甲21発明Aの「アルコール度数15.0v/v%」は、本件発明1における「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」を満たしている。 甲21発明Aにおける「チヌーク 50.0g」、「カスケード 25.0g」、「ファッグル 25.0g」及び「ファッグル 25.0g」は、本件発明1における「原材料にホップを用いる」を満たしている。 甲21発明Aにおける「ビール」は、本件発明1における「ビールテイスト飲料」に相当する。 甲21には、甲21発明Aの製造工程として、「原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程」及び「ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程」は記載されていないから、甲21発明Aが、「(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料・・・を除く)」との発明特定事項により除外されていると直ちにいうことはできない。 甲21発明Aにおける麦芽重量は、「エクストラペール 8.00kg」+「ウィート 0.50kg」+「ダーククリスタル 0.88kg」+「カラファスペシャルタイプ1 0.63kg」+「カラファスペシャルタイプ3 0.63kg」=10.64kgである。 甲21発明Aにおける水及びホップ以外の原料の重量は、麦芽重量10.64kg+「粉砕オーツ麦 1.38kg」+「ハチミツ 0.70kg」=12.72kgである。 これらから甲21発明Aの麦芽比率を求めると、10.64/12.72×100=83.6質量%であるから、甲21発明Aは、本件発明1において「除く」ものとされている「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」には該当しない。 そうすると、本件発明1と甲21発明Aとは、 「外観発酵度が95.0%以上、アルコール度数が15.0(v/v)%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲21-1:本件発明1は「苦味価が80.0BUs以下であり」と特定するのに対し、甲21発明Aはそのように特定されない点 で相違する。 そこで、上記相違点甲21-1について検討する。 イ 相違点甲21-1について 甲21は「DOG A」というビール製品のレシピであるところ、その記載内容は、「DOG B」というビール製品のレシピである甲17と、発酵原料の一部を除き、概ね同じである。 そうすると、相違点甲21-1についても、上記5.(2)イ及びウに記載した相違点甲17-1と同様のことがいえる。よって、相違点甲21-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲21-1に係る本件発明1の発明特定事項は、甲21発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明1についてのまとめ 以上のことから、本件発明1は甲21発明Aではなく、かつ、甲21発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明2~11及び13~18について 上記(2)アに記載した本件発明1と甲21発明Aとの対比を踏まえると、本件発明2~11及び13~18との一致点及び相違点については、上記5.(3)~(11)と同様のことがいえる。そうすると、本件発明2~9及び13~18は、いずれも甲21発明Aではなく、かつ、甲21発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。また、本件発明10及び11は、いずれも甲21発明Bではなく、かつ、甲21発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)申立理由5-2(甲21に基づく新規性欠如・進歩性欠如)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明1~11及び13~18は、いずれも甲21に記載された発明ではないから特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明1~11及び13~18は、いずれも甲21に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、申立理由5-2(甲21に基づく新規性欠如・進歩性欠如)により本件発明1~11及び13~18についての特許を取り消すことはできない。 8.申立理由6-1(甲23に基づく新規性欠如・進歩性欠如)について (1)甲23に記載された発明 甲23は、大凡、甲27と同様の様式でビールの名称、発酵原料及び分析結果が記載された証拠であるため、証拠からの摘記は省略した。 甲23に記載された事項を整理すると、甲23には以下の発明が記載されている。 「13ポンド マリスオッターペール 2.1ポンド アガベネクター 1ポンド 甘蔗糖 4オンス サワーモルト 0.75オンス マグナム 1オンス Ekuanot Lupu N2 酵母Danstar - Nottingham Ale Yeast を原料とする、オリジナルエキス比重1.128、外観エキス比重1.008、アルコール度数15.71v/v%、苦味価(IBU)49.91、色度SRM8.74、もろみpH5.51の、ビール。」(以下、「甲23発明A」という。) 「酵母Danstar - Nottingham Ale Yeastによる発酵工程を有する甲23発明Aの製造方法。」(以下、「甲23発明B」という。) (2)本件発明1について ア 本件発明1と甲23発明Aとの対比 エキスの比重と質量%(゜P)は換算が可能であり、例えば、当業者に汎用されている自動変換ツール(例えば、https://beerandbrew i ng. com/t ools/sg-plato-convert er/) を使用して変換すると、オリジナルエキス比重1.128は、29.7395質量%(゜P)であり、外観エキス比重1.008は、2.0515質量%(゜P)である。 そこで、本件明細書[0009]に記載の式(1)に従って、オリジナルエキス及び外観エキスから甲23発明Aの外観発酵度を算出すると、 式(1):外観発酵度AA(%)=100×(オリジナルエキスP - 外観エキスEs)/オリジナルエキスP=100×(29.7395質量% - 2.0515質量%)/29.7395質量%=93.1%である。 甲23発明Aにおける「苦味価(IBU)49.91」は、本件発明1における「苦味価が80.0BUs以下であり」を満たしている。 甲23発明Aにおける「0.75オンス マグナム」及び「1オンス Ekuanot Lupu N2」は、本件発明1における「原材料にホップを用いる」を満たしている。 甲23発明Aにおける「ビール」は、本件発明1における「ビールテイスト飲料」に相当する。 甲23には、甲23発明Aの製造工程として、「原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程」及び「ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程」は記載されていないから、甲23発明Aが、「(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料・・・を除く)」との発明特定事項により除外されていると直ちにいうことはできない。 甲23発明Aにおける麦芽重量は、「13ポンド マリスオッターペール」+「4オンス サワーモルト」=13ポンド4オンス=6.01kgである。 甲23発明Aにおける水及びホップ以外の原料の重量は、麦芽重量6.01kg+「2.1ポンド アガベネクター」+「1ポンド 甘蔗糖」=6.01kg+3.1ポンド(1.41kg)=7.42kgである。 これらから甲23発明Aの麦芽比率を求めると、6.01/7.42×100=81.0質量%であるから、甲23発明Aは、本件発明1において「除く」ものとされている「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」には該当しない。 そうすると、本件発明1と甲23発明Aとは、 「アルコール度数が15.0(v/v)%以上、および、苦味価が80.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲23-1:本件発明1は「外観発酵度が95.0%以上」と特定するのに対し、甲23発明Aは外観発酵度が93.1%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲23-1について検討する。 イ 相違点甲23-1について まず、相違点甲23-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲23は「10 Year Ale-Definately Sozzled」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲23及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲23発明Aにおける外観発酵度を95.0%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲23-1に係る本件発明1の発明特定事項は、甲23発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲23発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が外観発酵度に着目し、さらに相違点甲23-1に係る95.0%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明1についてのまとめ 以上のことから、本件発明1は甲23発明Aではなく、かつ、甲23発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明2~9について 本件発明2~9は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(2)で検討した本件発明1と同様の理由により、本件発明2~9は、いずれも甲23発明Aではなく、かつ、甲23発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明10について ア 本件発明10と甲23発明Bとの対比 本件発明10と甲23発明Bとを対比すると、甲23発明Bにおける「酵母Danstar - Nottingham Ale Yeastによる発酵工程を有する」及び「製造方法」は、本件発明10における「発酵させる発酵工程を有し」及び「製造方法」に相当する。また、甲23発明Bにおける「甲23発明A」と本件発明10において製造されるビールテイスト飲料との一致点及び相違点は、上記(2)アと同様である。 そうすると、両者は、 「アルコール度数が15.0(v/v)%以上、および、苦味価が80.0BUs以下となるように発酵させる発酵工程を有し、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料の製造方法(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料の製造方法を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲23-10:本件発明10は「外観発酵度が95.0%以上」と特定するのに対し、甲23発明Bは外観発酵度が93.1%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲23-10について検討する。 イ 相違点甲23-10について 相違点甲23-10は、実質的に相違点甲23-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲23-10は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲23-10に係る本件発明10の発明特定事項は、甲23発明B及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明10についてのまとめ 以上のことから、本件発明10は甲23発明Bではなく、かつ、甲23発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明11について 本件発明11は、請求項10を引用し、本件発明10の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(4)で検討した本件発明10と同様の理由により、本件発明11は甲23発明Bではなく、かつ、甲23発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件発明12について 甲23は「10 Year Ale-Definately Sozzled」というビール製品のレシピであり、定められた原料、製造方法及び製品の成分組成が記載されているにとどまるから、上記第6 1.(7)アに記載した甲27と同様のことがいえる。また、甲23に基づく申立人の主張は、上記第6 1.(7)イに記載した甲27に基づく主張と実質的に同旨であるから、同じ理由によりいずれも採用することができない。 よって、本件発明12は甲23に記載された発明ではなく、かつ、甲23に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件発明13について ア 本件発明13と甲23発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲23発明Aとの対比を踏まえ、本件発明13と甲23発明Aとを対比する。甲23発明Aの外観発酵度(X)は93.1%、アルコール度数(Y)は15.71v/v%であるから、X×Y=1462.60であり、本件発明13における「式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」という特定事項を満たしている。 そうすると、両者は、 「アルコール度数が14.5(v/v)%以上、および、苦味価が60.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲23-13:本件発明13は「外観発酵度が97.0%以上」と特定するのに対し、甲23発明Aは外観発酵度が93.1%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲23-13について検討する。 イ 相違点甲23-13について 相違点甲23-13は、実質的に相違点甲23-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲23-13は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲23-13に係る本件発明13の発明特定事項は、甲23発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明13についてのまとめ 以上のことから、本件発明13は甲23発明Aではなく、かつ、甲23発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件発明14について ア 本件発明14と甲23発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲23発明Aとの対比を踏まえ、本件発明14と甲23発明Aとを対比する。甲23発明Aは酵母Danstar - Nottingham Ale Yeastを原料とするものであるから、本件発明14における「前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「アルコール度数が15.5(v/v)%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲23-14:本件発明14は「外観発酵度が94.0%以上」と特定するのに対し、甲23発明Aは外観発酵度が93.1%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲23-14について検討する。 イ 相違点甲23-14について 相違点甲23-14は、実質的に相違点甲23-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲23-14は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲23-14に係る本件発明14の発明特定事項は、甲23発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明14についてのまとめ 以上のことから、本件発明14は甲23発明Aではなく、かつ、甲23発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)本件発明15について ア 本件発明15と甲23発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲23発明Aとの対比を踏まえ、本件発明15と甲23発明Aとを対比する。甲23発明Aは、その原料にエタノールもエタノール含有組成物も含まないものであるから、本件発明15における「原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「アルコール度数が15.0(v/v)%以上、および、苦味価が70.0BUs以下であり、原材料にホップを用い、原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲23-15:本件発明15は「外観発酵度が94.0%以上」と特定するのに対し、甲23発明Aは外観発酵度が93.1%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲23-15について検討する。 イ 相違点甲23-15について 相違点甲23-15は、実質的に相違点甲23-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲23-15は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲23-15に係る本件発明15の発明特定事項は、甲23発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明15についてのまとめ 以上のことから、本件発明15は甲23発明Aではなく、かつ、甲23発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (10)本件発明16について ア 本件発明16と甲23発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲23発明Aとの対比を踏まえ、本件発明16と甲23発明Aとを対比する。甲23発明Aは、麦芽比率が81.0質量%である。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、アルコール度数が15.0(v/v)%以上、および、苦味価が10.0BUs以上70.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲23-16:本件発明16は「麦芽比率が80質量%以下である」と特定するのに対し、甲23発明Aは麦芽比率が81.0質量%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲23-16について検討する。 イ 相違点甲23-16について まず、相違点甲23-16は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲23は「10 Year Ale-Definately Sozzled」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲23及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲23発明Aにおける麦芽比率を80質量%以下に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲23-16に係る本件発明16の発明特定事項は、甲23発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲23発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が麦芽比率に着目し、さらに相違点甲23-16に係る80質量%以下に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明16についてのまとめ 以上のことから、本件発明16は甲23発明Aではなく、かつ、甲23発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (11)本件発明17について ア 本件発明17と甲23発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲23発明Aとの対比を踏まえ、本件発明17と甲23発明Aとを対比すると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、および、苦味価が10.0BUs以上50.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料であり、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲23-17-1:本件発明17は「アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下」と特定するのに対し、甲23発明Aは「アルコール度数15.71v/v%」である点 相違点甲23-17-2:本件発明17は「pHが5.0以下であり」と特定するのに対し、甲23発明Aは「もろみpH5.51」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲23-17-1について検討する。 イ 相違点甲23-17-1について まず、相違点甲23-17-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲23は「10 Year Ale-Definately Sozzled」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲23及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲23発明Aにおけるアルコール度数を12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲23-17-1に係る本件発明17の発明特定事項は、甲23発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲23発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者がアルコール度数に着目し、さらに相違点甲23-17-1に係る12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明17についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明17は甲23発明Aではなく、かつ、甲23発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (12)本件発明18について ア 本件発明18と甲23発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲23発明Aとの対比を踏まえ、本件発明18と甲23発明Aとを対比すると、両者は、 「原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲23-18-1:本件発明18は「外観発酵度が94.0%以上」と特定するのに対し、甲23発明Aは外観発酵度が93.1%である点 相違点甲23-18-2:本件発明18は「アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下であり」と特定するのに対し、甲23発明Aは「アルコール度数15.71v/v%」である点 相違点甲23-18-3:本件発明18は「麦芽比率が67質量%未満であり」と特定するのに対し、甲23発明Aは麦芽比率が81.0質量%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲23-18-1について検討する。 イ 相違点甲23-18-1について 相違点甲23-18-1は、実質的に相違点甲23-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲23-18-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲23-18-1に係る本件発明18の発明特定事項は、甲23発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明18についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明18は甲23発明Aではなく、かつ、甲23発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (13)申立理由6-1(甲23に基づく新規性欠如・進歩性欠如)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明1~18は、いずれも甲23に記載された発明ではないから特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明1~18は、いずれも甲23に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、申立理由6-1(甲23に基づく新規性欠如・進歩性欠如)により本件発明1~18についての特許を取り消すことはできない。 9.申立理由6-2(甲24に基づく新規性欠如・進歩性欠如)について (1)甲24に記載された発明 甲24は、大凡、甲27と同様の様式でビールの名称、発酵原料及び分析結果が記載された証拠であるため、証拠からの摘記は省略した。 甲24に記載された事項を整理すると、甲24には以下の発明が記載されている。 「6kg ピルスナー 2ポンド ベルジャンキャンディシロップ-D-180 40g マグナム 30g ザーツ 1.3g 石膏 18g 乳酸 酵母Mangrove Jack - Belgian Tripel M31 を原料とする、オリジナルエキス比重1.101、外観エキス比重1.009、アルコール度数13.21v/v%、苦味価(IBU)40.94、色度(SRM)34.2、もろみpH5.47の、ビール。」(以下、「甲24発明A」という。) 「酵母Mangrove Jack - Belgian Tripel M31による発酵工程を有する甲24発明Aの製造方法。」(以下、「甲24発明B」という。) (2)本件発明1について ア 本件発明1と甲24発明Aとの対比 上記8.(2)アと同様にエキスの比重と質量%(゜P)を換算すると、オリジナルエキス比重1.101は、23.9869質量%(゜P)であり、外観エキス比重1.009は、2.3064質量%(゜P)である。 そこで、本件明細書[0009]に記載の式(1)に従って、オリジナルエキス及び外観エキスから甲24発明Aの外観発酵度を算出すると、 式(1):外観発酵度AA(%)=100×(オリジナルエキスP - 外観エキスEs)/オリジナルエキスP=100×(23.9869質量% - 2.3064質量%)/23.9869質量%=90.4%である。 甲24発明Aにおける「苦味価(IBU)40.94」は、本件発明1における「苦味価が80.0BUs以下であり」を満たしている。 甲24発明Aにおける「40g マグナム」及び「30g ザーツ」は、本件発明1における「原材料にホップを用いる」を満たしている。 甲24発明Aにおける「ビール」は、本件発明1における「ビールテイスト飲料」に相当する。 甲24には、甲24発明Aの製造工程として、「原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程」及び「ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程」は記載されていないから、甲24発明Aが、「(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料・・・を除く)」との発明特定事項により除外されていると直ちにいうことはできない。 甲24発明Aにおける麦芽重量は、「6kg ピルスナー」=6kgである。 甲24発明Aにおける水及びホップ以外の原料の重量は、麦芽重量6kg+「2ポンド ベルジャンキャンディシロップ-D-180」=6kg+2ポンド(0.907kg)=6.907kgである。 これらから甲24発明Aの麦芽比率を求めると、6/6.907×100=86.9質量%であるから、甲24発明Aは、本件発明1において「除く」ものとされている「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」には該当しない。 そうすると、本件発明1と甲24発明Aとは、 「苦味価が80.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲24-1-1:本件発明1は「外観発酵度が95.0%以上」と特定するのに対し、甲24発明Aは外観発酵度が90.4%である点 相違点甲24―1-2:本件発明1は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲24発明Aは「アルコール度数13.21v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲24-1-1について検討する。 イ 相違点甲24-1-1について まず、相違点甲24-1-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲24は「#142 candi smash quad」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲24及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲24発明Aにおける外観発酵度を95.0%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲24-1-1に係る本件発明1の発明特定事項は、甲24発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲24発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が外観発酵度に着目し、さらに相違点甲24-1-1に係る95.0%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明1についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は甲24発明Aではなく、かつ、甲24発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明2~9について 本件発明2~9は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(2)で検討した本件発明1と同様の理由により、本件発明2~9は、いずれも甲24発明Aではなく、かつ、甲24発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明10について ア 本件発明10と甲24発明Bとの対比 本件発明10と甲24発明Bとを対比すると、甲24発明Bにおける「酵母Mangrove Jack - Belgian Tripel M31による発酵工程を有する」及び「製造方法」は、本件発明10における「発酵させる発酵工程を有し」及び「製造方法」に相当する。また、甲24発明Bにおける「甲24発明A」と本件発明10において製造されるビールテイスト飲料との一致点及び相違点は、上記(2)アと同様である。 そうすると、両者は、 「苦味価が80.0BUs以下となるように発酵させる発酵工程を有し、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料の製造方法(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料の製造方法を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲24-10-1:本件発明10は「外観発酵度が95.0%以上」と特定するのに対し、甲24発明Aは外観発酵度が90.4%である点 相違点甲24-10-2:本件発明10は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲24発明Aは「アルコール度数13.21v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲24-10-1について検討する。 イ 相違点甲24-10-1について 相違点甲24-10-1は、実質的に相違点甲24-1-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲24-10-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲24-10-1に係る本件発明10の発明特定事項は、甲24発明B及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明10についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明10は甲24発明Bではなく、かつ、甲24発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明11について 本件発明11は、請求項10を引用し、本件発明10の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(4)で検討した本件発明10と同様の理由により、本件発明11は甲24発明Bではなく、かつ、甲24発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件発明12について 甲24は「#142 candi smash quad」というビール製品のレシピであり、定められた原料、製造方法及び製品の成分組成が記載されているにとどまるから、上記第6 1.(7)アに記載した甲27と同様のことがいえる。また、甲24に基づく申立人の主張は、上記第6 1.(7)イに記載した甲27に基づく主張と実質的に同旨であるから、同じ理由によりいずれも採用することができない。 よって、本件発明12は甲24に記載された発明ではなく、かつ、甲24に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件発明13について ア 本件発明13と甲24発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲24発明Aとの対比を踏まえ、本件発明13と甲24発明Aとを対比する。甲24発明Aの外観発酵度(X)は90.4%、アルコール度数(Y)は13.21v/v%であるから、X×Y=1194.18である。 そうすると、両者は、 「苦味価が60.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲24-13-1:本件発明13は「外観発酵度が97.0%以上」と特定するのに対し、甲24発明Aは外観発酵度が90.4%である点 相違点甲24-13-2:本件発明13は「アルコール度数が14.5(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲24発明Aは「アルコール度数13.21v/v%」である点 相違点甲24-13-3:本件発明13は「下記式(1)を満たす、 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」と特定するのに対し、甲24発明AはX×Y=1194.18である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲24-13-1について検討する。 イ 相違点甲24-13-1について 相違点甲24-13-1は、実質的に相違点甲24-1-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲24-13-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲24-13-1に係る本件発明13の発明特定事項は、甲24発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明13についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明13は甲24発明Aではなく、かつ、甲24発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件発明14について ア 本件発明14と甲24発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲24発明Aとの対比を踏まえ、本件発明14と甲24発明Aとを対比する。甲24発明Aは酵母Mangrove Jack - Belgian Tripel M31を原料とするものであるから、本件発明14における「前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲24-14-1:本件発明14は「外観発酵度が94.0%以上」と特定するのに対し、甲24発明Aは外観発酵度が90.4%である点 相違点甲24-14-2:本件発明14は「アルコール度数が15.5(v/v)%以上であり」と特定するのに対し、甲24発明Aは「アルコール度数13.21v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲24-14-1について検討する。 イ 相違点甲24-14-1について 相違点甲24-14-1は、実質的に相違点甲24-1-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲24-14-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲24-14-1に係る本件発明14の発明特定事項は、甲24発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明14についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明14は甲24発明Aではなく、かつ、甲24発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)本件発明15について ア 本件発明15と甲24発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲24発明Aとの対比を踏まえ、本件発明15と甲24発明Aとを対比する。甲24発明Aは、その原料にエタノールもエタノール含有組成物も含まないものであるから、本件発明15における「原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「苦味価が70.0BUs以下であり、原材料にホップを用い、原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲24-15-1:本件発明15は「外観発酵度が94.0%以上」と特定するのに対し、甲24発明Aは外観発酵度が90.4%である点 相違点甲24-15-2:本件発明15は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲24発明Aは「アルコール度数13.21v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲24-15-1について検討する。 イ 相違点甲24-15-1について 相違点甲24-15-1は、実質的に相違点甲24-1-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲24-15-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲24-15-1に係る本件発明15の発明特定事項は、甲24発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明15についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明15は甲24発明Aではなく、かつ、甲24発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (10)本件発明16について ア 本件発明16と甲24発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲24発明Aとの対比を踏まえ、本件発明16と甲24発明Aとを対比する。甲24発明Aは、麦芽比率が86.9質量%である。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、および、苦味価が10.0BUs以上70.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲24-16-1:本件発明16は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲24発明Aは「アルコール度数13.21v/v%」である点 相違点甲24-16-2:本件発明16は「麦芽比率が80質量%以下である」と特定するのに対し、甲24発明Aは麦芽比率が86.9質量%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲24-16-1について検討する。 イ 相違点甲24-16-1について まず、相違点甲24-16-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲24は「#142 candi smash quad」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲24及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲24発明Aにおけるアルコール度数を15.0(v/v)%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲24-16-1に係る本件発明16の発明特定事項は、甲24発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲24発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者がアルコール度数に着目し、さらに相違点甲24-16-1に係る15.0(v/v)%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明16についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明16は甲24発明Aではなく、かつ、甲24発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (11)本件発明17について ア 本件発明17と甲24発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲24発明Aとの対比を踏まえ、本件発明17と甲24発明Aとを対比すると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下、および、苦味価が10.0BUs以上50.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、 ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲24-17-1:本件発明17は「pHが5.0以下であり」と特定するのに対し、甲24発明Aは「もろみpH5.51」である点 相違点甲24-17-2:本件発明17は「下記式(1)を満たす、 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」と特定するのに対し、甲24発明AはX×Y=1194.18である点 で相違する。 そこで、事案に鑑み、上記相違点甲24-17-2について検討する。 イ 相違点甲24-17-2について まず、相違点甲24-17-2は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲24は「#142 candi smash quad」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲24及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲24発明Aにおける上記X×Yを1350以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲24-17-2に係る本件発明17の発明特定事項は、甲24発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲24発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が上記X×Yに着目し、さらに相違点甲24-17-2に係る1350以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明17についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明17は甲24発明Aではなく、かつ、甲24発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (12)本件発明18について ア 本件発明18と甲24発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲24発明Aとの対比を踏まえ、本件発明18と甲24発明Aとを対比すると、両者は、 「アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲24-18-1:本件発明18は「外観発酵度が94.0%以上」と特定するのに対し、甲24発明Aは外観発酵度が90.4%である点 相違点甲24-18-2:本件発明18は「麦芽比率が67質量%未満であり」と特定するのに対し、甲24発明Aは麦芽比率が86.9質量%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲24-18-1について検討する。 イ 相違点甲24-18-1について 相違点甲24-18-1は、実質的に相違点甲24-1-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲24-18-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲24-18-1に係る本件発明18の発明特定事項は、甲24発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明18についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明18は甲24発明Aではなく、かつ、甲24発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (13)申立理由6-2(甲24に基づく新規性欠如・進歩性欠如)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明1~18は、いずれも甲24に記載された発明ではないから特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明1~18は、いずれも甲24に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、申立理由6-2(甲24に基づく新規性欠如・進歩性欠如)により本件発明1~18についての特許を取り消すことはできない。 10.申立理由6-3(甲25に基づく新規性欠如・進歩性欠如)について (1)甲25に記載された発明 甲25は、大凡、甲27と同様の様式でビールの名称、発酵原料及び分析結果が記載された証拠であるため、証拠からの摘記は省略した。 甲25に記載された事項を整理すると、甲25には以下の発明が記載されている。 「1ポンド ウィートモルト,ホワイト 6ポンド ライモルト 8ポンド ブリューワーズモルト2-ロウ 1ポンド 粉砕ライ麦 1オンス トリプルパール 10g チョーク 酵母Danstar - Diamond Lager を原料とする、オリジナルエキス比重1.101、外観エキス比重1.000、アルコール度数13.21v/v%、苦味価(IBU)34.23、色度(SRM)6.41、もろみpH5.86の、ビール。」(以下、「甲25発明A」という。) 「酵母Danstar - Diamond Lagerによる発酵工程を有する甲25発明Aの製造方法。」(以下、「甲25発明B」という。) (2)本件発明1について ア 本件発明1と甲25発明Aとの対比 上記8.(2)アと同様にエキスの比重と質量%(゜P)を換算すると、オリジナルエキス比重1.101は、23.9869質量%(゜P)であり、外観エキス比重1.000は、-0.0030質量%(゜P)である。 そこで、本件明細書[0009]に記載の式(1)に従って、オリジナルエキス及び外観エキスから甲25発明Aの外観発酵度を算出すると、 式(1):外観発酵度AA(%)=100×(オリジナルエキスP - 外観エキスEs)/オリジナルエキスP=100×(23.9869質量% -(-0.0030質量%))/23.9869質量%=100.0%であるから、甲25発明Aにおける外観発酵度は、本件発明1における「外観発酵度が95.0%以上」を満たしている。 甲25発明Aにおける「苦味価(IBU)34.23」は、本件発明1における「苦味価が80.0BUs以下であり」を満たしている。 甲25発明Aにおける「1オンス トリプルパール」は、本件発明1における「原材料にホップを用いる」を満たしている。 甲25発明Aにおける「ビール」は、本件発明1における「ビールテイスト飲料」に相当する。 甲25には、甲25発明Aの製造工程として、「原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程」及び「ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程」は記載されていないから、甲25発明Aが、「(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料・・・を除く)」との発明特定事項により除外されていると直ちにいうことはできない。 甲25発明Aにおける麦芽重量は、「1ポンド ウィートモルト,ホワイト」+「6ポンド ライモルト」+「8ポンド ブリューワーズモルト2-ロウ」=15ポンド(6.804kg)である。 甲25発明Aにおける水及びホップ以外の原料の重量は、麦芽重量15ポンド+「1ポンド 粉砕ライ麦」=15ポンド+1ポンド=16ポンド(7.257kg)である。 これらから甲25発明Aの麦芽比率を求めると、15/16×100=93.8質量%であるから、甲25発明Aは、本件発明1において「除く」ものとされている「麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料」には該当しない。 そうすると、本件発明1と甲25発明Aとは、 「外観発酵度が95.0%以上、および、苦味価が80.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲25-1:本件発明1は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲25発明Aは「アルコール度数13.21v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲25-1について検討する。 イ 相違点甲25-1について まず、相違点甲25-1は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲25は「high gravity rye lager」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲25及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲25発明Aにおけるアルコール度数を15.0(v/v)%以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲25-1に係る本件発明1の発明特定事項は、甲25発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲25発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者がアルコール度数に着目し、さらに相違点甲25-1に係る15.0(v/v)%以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明1についてのまとめ 以上のことから、本件発明1は甲25発明Aではなく、かつ、甲25発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明2~9について 本件発明2~9は、いずれも請求項1を直接又は間接的に引用し、本件発明1の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(2)で検討した本件発明1と同様の理由により、本件発明2~9は、いずれも甲25発明Aではなく、かつ、甲25発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)本件発明10について ア 本件発明10と甲25発明Bとの対比 本件発明10と甲25発明Bとを対比すると、甲25発明Bにおける「酵母Danstar - Diamond Lagerによる発酵工程を有する」及び「製造方法」は、本件発明10における「発酵させる発酵工程を有し」及び「製造方法」に相当する。また、甲25発明Bにおける「甲25発明A」と本件発明10において製造されるビールテイスト飲料との一致点及び相違点は、上記(2)アと同様である。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が95.0%以上、および、苦味価が80.0BUs以下となるように発酵させる発酵工程を有し、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料の製造方法(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料の製造方法を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲25-10:本件発明10は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲25発明Aは「アルコール度数13.21v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲25-10について検討する。 イ 相違点甲25-10について 相違点甲25-10は、実質的に相違点甲25-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲25-10は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲25-10に係る本件発明10の発明特定事項は、甲25発明B及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明10についてのまとめ 以上のことから、本件発明10は甲25発明Bではなく、かつ、甲25発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (5)本件発明11について 本件発明11は、請求項10を引用し、本件発明10の発明特定事項を全て備えるものである。そうすると、上記(4)で検討した本件発明10と同様の理由により、本件発明11は甲25発明Bではなく、かつ、甲25発明Bに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (6)本件発明12について 甲25は「high gravity rye lager」というビール製品のレシピであり、定められた原料、製造方法及び製品の成分組成が記載されているにとどまるから、上記第6 1.(7)アに記載した甲27と同様のことがいえる。また、甲24に基づく申立人の主張は、上記第6 1.(7)イに記載した甲27に基づく主張と実質的に同旨であるから、同じ理由によりいずれも採用することができない。 よって、本件発明12は甲25に記載された発明ではなく、かつ、甲25に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (7)本件発明13について ア 本件発明13と甲25発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲25発明Aとの対比を踏まえ、本件発明13と甲25発明Aとを対比する。甲25発明Aの外観発酵度(X)は100.0%、アルコール度数(Y)は13.21v/v%であるから、X×Y=1321.00である。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が97.0%以上、および、苦味価が60.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲25-13-1:本件発明13は「アルコール度数が14.5(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲25発明Aは「アルコール度数13.21v/v%」である点 相違点甲25-13-2:本件発明13は「下記式(1)を満たす、 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」と特定するのに対し、甲25発明AはX×Y=1321.00である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲25-13-1について検討する。 イ 相違点甲25-13-1について 相違点甲25-13-1は、実質的に相違点甲25-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲25-13-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲25-13-1に係る本件発明13の発明特定事項は、甲25発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明13についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明13は甲25発明Aではなく、かつ、甲25発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (8)本件発明14について ア 本件発明14と甲25発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲25発明Aとの対比を踏まえ、本件発明14と甲25発明Aとを対比する。甲25発明Aは酵母Danstar - Diamond Lagerを原料とするものであるから、本件発明14における「前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲25-14:本件発明14は「アルコール度数が15.5(v/v)%以上であり」と特定するのに対し、甲25発明Aは「アルコール度数13.21v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲25-14について検討する。 イ 相違点甲25-14について 相違点甲25-14は、実質的に相違点甲25-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲25-14は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲25-14に係る本件発明14の発明特定事項は、甲25発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明14についてのまとめ 以上のことから、本件発明14は甲25発明Aではなく、かつ、甲25発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (9)本件発明15について ア 本件発明15と甲25発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲25発明Aとの対比を踏まえ、本件発明15と甲25発明Aとを対比する。甲25発明Aは、その原料にエタノールもエタノール含有組成物も含まないものであるから、本件発明15における「原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない」という特定事項を満たすものである。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上、および、苦味価が70.0BUs以下であり、原材料にホップを用い、原材料にエタノールまたはエタノール含有組成物が含まれない、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料、および麦芽比率が100質量%のビールテイスト飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲25-15:本件発明15は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲25発明Aは「アルコール度数13.21v/v%」である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲25-15について検討する。 イ 相違点甲25-15について 相違点甲25-15は、実質的に相違点甲25-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲25-15は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲25-15に係る本件発明15の発明特定事項は、甲25発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明15についてのまとめ 以上のことから、本件発明15は甲25発明Aではなく、かつ、甲25発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (10)本件発明16について ア 本件発明16と甲25発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲25発明Aとの対比を踏まえ、本件発明16と甲25発明Aとを対比する。甲25発明Aは、麦芽比率が93.8質量%である。 そうすると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、および、苦味価が10.0BUs以上70.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲25-16-1:本件発明16は「アルコール度数が15.0(v/v)%以上」と特定するのに対し、甲25発明Aは「アルコール度数13.21v/v%」である点 相違点甲25-16-2:本件発明16は「麦芽比率が80質量%以下である」と特定するのに対し、甲25発明Aは麦芽比率が93.8質量%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲25-16-1について検討する。 イ 相違点甲25-16-1について 相違点甲25-16-1は、実質的に相違点甲25-1と同じ内容の相違点であるから、上記(2)イ及びウに記載したことと同様のことがいえる。よって、相違点甲25-16-1は実質的な相違点であり、かつ、相違点甲25-16-1に係る本件発明16の発明特定事項は、甲25発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 本件発明16についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明16は甲25発明Aではなく、かつ、甲25発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (11)本件発明17について ア 本件発明17と甲25発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲25発明Aとの対比を踏まえ、本件発明17と甲25発明Aとを対比すると、両者は、 「外観発酵度が90.0%以上、アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下、および、苦味価が10.0BUs以上50.0BUs以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 前記ビールテイスト飲料が発酵ビールテイスト飲料である、 ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。」 の点で一致し、 相違点甲25-17-1:本件発明17は「pHが5.0以下であり」と特定するのに対し、甲25発明Aは「もろみpH5.86」である点 相違点甲25-17-2:本件発明17は「下記式(1)を満たす、 式(1):X×Y≧1350 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」と特定するのに対し、甲25発明AはX×Y=1321.00である点 で相違する。 そこで、事案に鑑み、上記相違点甲25-17-2について検討する。 イ 相違点甲25-17-2について まず、相違点甲25-17-2は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲25は「high gravity rye lager」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲25及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲25発明Aにおける上記X×Yを1350以上に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲25-17-2に係る本件発明17の発明特定事項は、甲25発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲25発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が上記X×Yに着目し、さらに相違点甲25-17-2に係る1350以上に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明17についてのまとめ 以上のことから、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明17は甲25発明Aではなく、かつ、甲25発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (12)本件発明18について ア 本件発明18と甲25発明Aとの対比 上記(2)アに記載した本件発明1と甲25発明Aとの対比を踏まえ、本件発明18と甲25発明Aとを対比すると、両者は、 「外観発酵度が94.0%以上、および、アルコール度数が12.0(v/v)%以上14.5(v/v)%以下であり、原材料にホップを用いる、ビールテイスト飲料であって、 下記式(1)を満たす、ビールテイスト飲料(但し、原麦汁エキス濃度が25~32重量%の麦汁にビール酵母を添加する工程;及び、ビール酵母を添加した麦汁に24時間以上通気を行いながら、該麦汁を発酵させる工程;を包含する、発酵飲料の製造方法で得られた発酵飲料を除く)。 式(1):X×Y≧700 [上記式(1)中、Xは前記ビールテイスト飲料の外観発酵度(単位:%)を示し、Yは前記ビールテイスト飲料のアルコール度数(単位:(v/v)%)を示す。]」 の点で一致し、 相違点甲25-18:本件発明18は「麦芽比率が67質量%未満であり」と特定するのに対し、甲25発明Aは麦芽比率が93.8質量%である点 で相違する。 そこで、上記相違点甲25-18について検討する。 イ 相違点甲25-18について まず、相違点甲25-18は実質的な相違点であることが明らかである。 また、甲25は「high gravity rye lager」というビール製品のレシピであるところ、一般に、レシピに記載された原料、製造方法及び製品の成分組成を変更することは、完成された製品の風味を変えることにつながるから当業者が動機付けられることではなく、実際、甲25及び他の全ての証拠の記載を参照しても、甲25発明Aにおける麦芽比率を67質量%未満に変更する動機は見いだせない。よって、相違点甲25-18に係る本件発明18の発明特定事項は、甲25発明A及び他の全ての証拠に基づいて当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 ウ 申立人の主張について 申立書等を参照しても、甲25発明Aという特定のビール製品のレシピにおいて、当業者が麦芽比率に着目し、さらに相違点甲25-18に係る67質量%未満に変更することを容易に想到し得たというに足る具体的な主張立証はされていないから、上記イの判断は覆らない。 エ 本件発明18についてのまとめ 以上のことから、本件発明18は甲25発明Aではなく、かつ、甲25発明Aに基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (13)申立理由6-3(甲25に基づく新規性欠如・進歩性欠如)についてのまとめ 以上まとめると、本件発明1~18は、いずれも甲25に記載された発明ではないから特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明1~18は、いずれも甲25に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、申立理由6-3(甲25に基づく新規性欠如・進歩性欠如)により本件発明1~18についての特許を取り消すことはできない。 11.取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由についてのまとめ 以上まとめると、本件発明1~18は、いずれも甲1~甲3、甲17、甲18、甲21又は甲23~甲25に記載された発明ではないから、特許法第29条第1項第3号には該当せず、また、本件発明1~18は、いずれも甲1~甲3、甲17、甲18、甲21又は甲23~甲25に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものではない。 よって、取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由(申立理由7については第6を参照。)により、本件発明1~18についての特許を取り消すことはできない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由及び取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった特許異議申立理由のいずれによっても、本件発明1~18についての特許を取り消すことはできない。また、他に、これらの特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

審決本文(J-PlatPat)

J-PlatPatの審決検索トップを開きます。番号入力で「審判番号」を選び、下の番号を貼り付けて検索してください。

J-PlatPat 審決検索を開く
2023-700781

番号・当事者・条文・審決分類・商標の称呼が一致(または近い)審決を機械的に集めた候補です。判断内容は各審決の本文でご確認ください。

同じ当事者の審決360件(サントリーホールディングス株式会社、齊藤 恵美子)
  • 2025-700551異議申立 / 2025-10-22 / 訂正認容ビールテイスト飲料
    同じ当事者: サントリーホールディングス株式会社、齊藤 恵美子
  • 2024-700038異議申立 / 2025-05-26 / 訂正認容ビールテイスト飲料
    同じ当事者: サントリーホールディングス株式会社、齊藤 恵美子
  • 2023-700795異議申立 / 2024-06-20 / 訂正認容ビールテイスト飲料
    同じ当事者: サントリーホールディングス株式会社、齊藤 恵美子
  • 2023-700770異議申立 / 2024-06-13 / 訂正認容ビールテイスト飲料
    同じ当事者: サントリーホールディングス株式会社、齊藤 恵美子
  • 2023-700430異議申立 / 2024-03-04 / 訂正認容ビールテイスト飲料
    同じ当事者: サントリーホールディングス株式会社、齊藤 恵美子
同じ論点・分野の審決(審決分類)122件(113・C12C、121・C12C)
  • 2026-700337異議申立 / 2026-08-05 / 維持発酵ビールテイストアルコール飲料およびその製造方法
    共通の審決分類: 113・C12C、121・C12C
  • 2023-700091異議申立 / 2026-03-25 / 維持ビールテイスト飲料
    共通の審決分類: 113・C12C、121・C12C
  • 2025-700556異議申立 / 2026-03-18 / 訂正認容プリン体濃度が低減されたビールテイスト飲料およびその製造方法
    共通の審決分類: 113・C12C、121・C12C
  • 2025-700403異議申立 / 2026-03-06 / 訂正認容ビールテイスト飲料
    共通の審決分類: 113・C12C、121・C12C
  • 2025-700978異議申立 / 2026-01-14 / 維持ビールテイスト発酵アルコール飲料およびその製造方法
    共通の審決分類: 113・C12C、121・C12C

メモ・タグ(非公開)

あなただけに表示されます。審決本文の公開範囲は変わりません。

メモとタグは Pro の機能です。ログイン/Proでメモを保存