特許異議申立
2023-700430
ビールテイスト飲料
- 審判番号
- 2023-700430
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-088641
- 登録番号
- 7163528
- 請求日
- 2023年04月25日
- 審決日
- 2024年03月04日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】サントリーホールディングス株式会社
- 【権利者代理人】小林 浩
- 【権利者代理人】古橋 伸茂
- 【権利者代理人】石原 俊秀
- 【異議申立人】齊藤 恵美子
- 審判長/審判官
- 審判長 磯貝 香苗
- 審判官 中村 和正
- 審判官 植前 充司
- 分類
- P1651.113-YAA(C12C) / P1651.121-YAA(C12C)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条1項3号特許法29条2項特許法113条2号特許法120条の8第1項特許法135条
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7163528号発明「ビールテイスト飲料」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7163528号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし4〕、5及び6について訂正することを認める。
特許第7163528号の請求項1及び3ないし6に係る特許を維持する。
特許第7163528号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立を却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7163528号(以下「本件特許」という。)の請求項1ないし6に係る特許についての出願は、令和4年5月31日を出願日とする出願であって、同年10月21日にその特許権の設定登録(請求項の数6)がされ、同年同月31日に特許掲載公報が発行され、その後、その特許に対し、令和5年4月25日に特許異議申立人 齊藤 恵美子(以下「特許異議申立人」という。)より特許異議の申立て(対象請求項:全請求項)がされ、同年7月3日付けで取消理由が通知され、同年8月30日に特許権者 サントリーホールディングス株式会社(以下「特許権者」という。)より訂正の請求がされるとともに意見書が提出され、同年9月21日付けで特許法第120条の5第5項に基づく訂正請求があった旨の通知がされ、同年10月20日に特許異議申立人より意見書が提出され、同年12月4日付けで取消理由<決定の予告>が通知され、令和6年2月8日に特許権者より訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)がされるとともに意見書が提出されたものである。
なお、令和5年8月30日にされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
また、令和6年2月8日にされた訂正の請求については、すでに異議申立人に意見書の提出の機会が与えられている場合であって、後記のとおり、訂正の請求によって特許請求の範囲が相当程度減縮され、事件において提出された全ての証拠や意見等を踏まえてさらに審理を進めたとしても、特許を維持すべきとの結論となると合議体が判断したため、申立人に対して改めて意見書を提出する機会を与える必要がないと認められる特別の事情があるものと判断したため、意見書提出の機会を与えないこととした。
第2 本件訂正請求について
1 請求の趣旨
本件訂正請求における請求の趣旨は、「特許第7163528号の特許請求の範囲を本訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを求める。」というものである。
2 訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
本件訂正請求による訂正の内容は、以下のとおりである。(下線は、訂正箇所について合議体が付したものである。)
ア 訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「前記可食性水溶液が炭酸水であり、」と記載されているのを、「前記混合工程が開放容器で行われ、
前記可食性水溶液が炭酸水であり、
前記ビールテイスト原液のアルコール度数が14.0(v/v)%以上であり、」に訂正する。
請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項3及び4についても同様に訂正する。
イ 訂正事項2
特許請求の範囲の請求項2を削除する。
ウ 訂正事項3
特許請求の範囲の請求項3に「請求項2に記載された製造方法。」と記載されているのを、「請求項1に記載された製造方法。」に訂正する。
請求項3の記載を引用して特定する請求項4についても同様に訂正する。
エ 訂正事項4
特許請求の範囲の請求項4に「請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。」と記載されているのを、「請求項1または3に記載された製造方法。」に訂正する。
オ 訂正事項5
特許請求の範囲の請求項5に「前記可食性水溶液が炭酸水であり、」と記載されているのを、「前記混合が開放容器で行われ、
前記可食性水溶液が炭酸水であり、
前記ビールテイスト原液のアルコール度数が14.0(v/v)%以上であり、」に訂正する。
カ 訂正事項6
特許請求の範囲の請求項6に「前記可食性水溶液が炭酸水であり、
下記条件式(1)を満たすように混合して用いるためのビールテイスト飲料製造用原料液セット。」と記載されているのを、「前記可食性水溶液が炭酸水であり、
前記ビールテイスト原液のアルコール度数が14.0(v/v)%以上であり、
下記条件式(1)を満たすように開放容器で混合して用いるためのビールテイスト飲料製造用原料液セット。」に訂正する。
キ 一群の請求項について
訂正前の請求項1ないし4について、請求項2ないし4はそれぞれ請求項1を直接又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。
したがって、訂正前の請求項1ないし4に対応する訂正後の請求項1ないし4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 訂正事項1について
訂正事項1に係る請求項1の訂正は、混合工程が開放容器で行われること、及び、ビールテイスト原液のアルコール度数が14.0(v/v)%以上であることを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項1の訂正は、本件特許の明細書の【0005】、【0014】及び【0042】の記載からみて、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。
請求項1の記載を直接又は間接的に引用して特定する請求項3及び4についても同様である。
イ 訂正事項2について
訂正事項2に係る請求項2の訂正は、請求項2を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項2の訂正が、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことも明らかである。
ウ 訂正事項3及び4について
訂正事項3及び4に係る請求項3及び4の訂正はいずれも、訂正事項2によって請求項2が削除されたことに伴い、引用先請求項のうち請求項2を削除するものであって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項3及び4の訂正はいずれも、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもないことも明らかである。
エ 訂正事項5について
訂正事項5に係る請求項5の訂正は、混合が開放容器で行われること、及び、ビールテイスト原液のアルコール度数が14.0(v/v)%以上であることを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項5の訂正は、本件特許の明細書の【0005】、【0014】、【0042】及び【0047】の記載からみて、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。
オ 訂正事項6について
訂正事項6に係る請求項6の訂正は、開放容器で混合すること、及び、ビールテイスト原液のアルコール度数が14.0(v/v)%以上であることを特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
そして、訂正事項6の訂正は、本件特許の明細書の【0005】、【0014】、【0042】及び【0048】の記載からみて、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことも明らかである。
(3)訂正についてのまとめ
上記(2)のとおり、本件訂正請求による訂正は特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
したがって、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1ないし4〕、5及び6について訂正することを認める。
第3 本件特許発明
上記第2のとおり、訂正後の請求項〔1ないし4〕、5及び6について訂正することを認めるので、本件特許の請求項1ないし6に係る発明(以下、「本件特許発明1」ないし「本件特許発明6」という。また、総称して「本件特許発明」という。)は、令和6年2月8日に提出された訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1ないし6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
3.0℃~15.0℃のビールテイスト原液、および、3.0℃~15.0℃の可食性水溶液を混合する混合工程を有する、ビールテイスト飲料の製造方法であって、
前記混合工程が開放容器で行われ、
前記可食性水溶液が炭酸水であり、
前記ビールテイスト原液のアルコール度数が14.0(v/v)%以上であり、
下記条件式(1)を満たす、製造方法。
条件式(1):1.5≦可食性水溶液の重量(g)/ビールテイスト原液の重量(g)≦7.0
【請求項2】
(削除)
【請求項3】
前記開放容器の容量が3L以下である、請求項1に記載された製造方法。
【請求項4】
前記可食性水溶液が炭酸を含有する水溶液である、請求項1または3に記載された製造方法。
【請求項5】
3.0℃~15.0℃のビールテイスト原液、および、3.0℃~15.0℃の可食性水溶液を混合して提供する、ビールテイスト飲料の提供方法であって、
前記混合が開放容器で行われ、
前記可食性水溶液が炭酸水であり、
前記ビールテイスト原液のアルコール度数が14.0(v/v)%以上であり、
下記条件式(1)を満たす、提供方法。
条件式(1):1.5≦可食性水溶液の重量(g)/ビールテイスト原液の重量(g)≦7.0
【請求項6】
3.0℃~15.0℃のビールテイスト原液および3.0℃~15.0℃の可食性水溶液を含み、
前記可食性水溶液が炭酸水であり、
前記ビールテイスト原液のアルコール度数が14.0(v/v)%以上であり、
下記条件式(1)を満たすように開放容器で混合して用いるためのビールテイスト飲料製造用原料液セット。
条件式(1):1.5≦可食性水溶液の重量(g)/ビールテイスト原液の重量(g)≦7.0」
第4 取消理由<決定の予告>の概要
当審が令和5年12月4日付けで特許権者に通知した取消理由<決定の予告>の要旨は次のとおりである。
1 取消理由1(甲第1号証に基づく新規性・進歩性)
本件特許の請求項1ないし6に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲第1号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし6に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
4 取消理由4(甲第7号証に基づく新規性・進歩性)
本件特許の請求項1ないし6に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第7号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲第7号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし6に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
第5 特許異議申立人が主張する特許異議申立理由について
令和5年4月25日に特許異議申立人が提出した特許異議申立書(以下「特許異議申立書」という。)に記載した申立ての理由の概要は次のとおりである。
1 申立理由1(甲第1号証に基づく新規性・進歩性)
本件特許の請求項1ないし6に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第1号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲第1号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし6に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
2 申立理由2(甲第5号証に基づく新規性・進歩性)
本件特許の請求項1及び4ないし6に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第5号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲第5号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1及び4ないし6に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
3 申立理由3(甲第6号証に基づく新規性・進歩性)
本件特許の請求項1及び4ないし6に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第6号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲第6号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1及び4ないし6に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
4 申立理由4(甲第7号証に基づく新規性・進歩性)
本件特許の請求項1ないし6に係る発明は、本件特許の出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の甲第7号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるか、甲第7号証に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであり、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1ないし6に係る特許は、同法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
5 証拠方法
甲第1号証:Wassersprudlerホームページ,2016年5月27日,印刷日2023年4月7日,URL:https://wassersprudler.de/sodastream-blondie/
甲第2号証:Wassersprudlerホームページ,2016年6月30日,印刷日2023年4月7日,URL:https://wassersprudler.de/testbericht-sodastream-blondie/
甲第3号証:Sodastream社ホームページ,web archive 2022年4月5日,印刷日2023年4月7日,URL:https://web.archive.org/web/20220405092733mp_/https://www.sodastream.jp/contact
甲第4号証:Bier-entdeckenホームページ,web archive 2022年4月7日,印刷日2023年4月10日,URL:https://web.archive.org/web/20220407062755/http://www.bier-entdecken.de/sodastream-blondie/
甲第5号証:Alfa Laval webiner資料,2021年9月23日,URL:https://www.alfalaval.com/globalassets/documents/industries/food-dairy-and-beverage/beverage/brewery/webinar/webinar_beer-concentration-with-revos_final-2.pdf
甲第6号証:米国特許出願公開第2022/0112071号明細書
甲第7号証:Facebookホームページ,2018年4月21日,印刷日2023年4月18日,URL:https://www.facebook.com/people/穀町ビール/100057137573126/
甲第8号証:オリーブオイルをひとまわしホームページ,2020年7月19日,印刷日2023年4月7日,URL:https://www.olive-hitomawashi.com/shikohin/2020/07/post-10806.html
甲第9号証:ビールの基本技術(第4版),第10章ビール品質,公益財団法人日本醸造協会発行,2014年,pp.125-127
甲第10号証:改訂新版 日本ビール検定公式テキスト,実業之日本社発行,2014年,pp.134
甲第11号証:Advanced mixologyホームページ,2022年1月19日,印刷日2023年4月7日,URL:https://advancedmixology.com/blogs/art-of-mixology/ideal-beer-temperature
甲第12号証:Dotdash Meredithホームページ,2022年4月28日,印刷日2023年4月7日,URL:https://www.liquor.com/best-beer-fridges-4843889
甲第13号証:三菱冷凍冷蔵庫(MR-MX46F,MR-MX50F,MR-MX57F)取扱説明書,URL:https://dl.mitsubishielectric.co.jp/dl/ldg/wink/ssl/wink_doc/m_contents/wink/D_MENT_DOC/mr-mx46f-50f-57f.pdf
甲第14号証:日立冷凍冷蔵庫(R-HX60R,R-HX54R,R-HW60R,R-HW54R,R-HW48R)取扱説明書,URL:https://kadenfan.hitachi.co.jp/support/rei/item/docs/r_hx60r_a.pdf
甲第15号証:CHEER!daysホームページ,2019年11月13日,印刷日2023年10月11日,URL:https://cheerdays.fcoop.or.jp/serial/L5BAm
なお、甲第13ないし15号証は、令和5年10月20日に提出された意見書に添付されたものである。証拠の表記は、おおむね特許異議申立書及び上記意見書の記載に従った。
第6 当審の判断
以下に述べるように、当審が令和5年12月4日付けで特許権者に通知した取消理由通知における取消理由1及び4並びに特許異議申立書に記載した申立理由1ないし4は、いずれも理由がないものと判断される。
なお、取消理由1及び4は、それぞれ、申立理由1及び4の一部であるという事情に鑑み、まず、取消理由1及び申立理由1(甲第1号証に基づく新規性・進歩性)並びに取消理由4及び申立理由4(甲第7号証に基づく新規性・進歩性)について検討し、次いで、申立理由2(甲第5号証に基づく新規性・進歩性)及び申立理由3(甲第6号証に基づく新規性・進歩性)について、順次検討する。
1 取消理由1及び申立理由1(甲第1号証に基づく新規性・進歩性)について
(1)甲第1号証の記載事項等
ア 甲第1号証の記載事項
甲第1号証には、おおむね次の事項が記載されている。なお、下線は当審で付したものである。以下同様。
・「イスラエルのソーダメーカーからのシロップの選択肢に新たな追加があります。SodaStream社は、最近、炭酸水をピルスナービールに早変わりさせる濃縮物を発売しました。アルコール度数は4.5容量%で“タルトノートと調和のとれたホップの香り”(SodaStream社)を有し、シロップは可能な限り美味しいものでなければなりません。」(1頁4-8行)
・「
[図:0001411287000001.jpg]
」(1頁図)
・「ビール濃縮物は炭酸水と1:2の比率で混合されます。どちらも冷蔵庫で数時間冷やすと最高の味わいになります。まず、グラスの3分の1を“ブロンディ”で満たし、残りの3分の2を炭酸水で満たします。」(1頁10-13行)
・「1リットルの濃縮シロップのボトルで、推奨混合比で3リットルのビールを製造できます。それでも、可変混合比を使用して味を自分の好みに調整できます。」(1頁14行-2頁1行)
・「これまでのところ、ビール濃縮物はオンラインでのみ入手可能です。2つのビールグラスが入ったビールボックスとして9.99ユーロ、または個別に2.99ユーロです。さらに、SodaStream社は、炭酸水メーカーをまだ所有していない人のために、“Blondie Beer Bar”(49.90ユーロ)を提供しています。これには、SodaStreamジェネシス炭酸水メーカーと1リットルのビール濃縮液が含まれます。」(2頁3-7行)
イ 甲第1号証に記載された発明
甲第1号証に記載された事項を整理すると、甲第1号証には次の発明(以下、順に「甲1方法発明」「甲1物発明」という。)が記載されていると認める。
<甲1方法発明>
「ビール濃縮物と炭酸水を冷蔵庫で数時間冷やし、グラスの3分の1をビール濃縮物である“ブロンディ”で満たし、残りの3分の2を炭酸水で満たし、アルコール度数が4.5容量%である、ビールの製造方法。」
<甲1物発明>
「甲1方法発明におけるビール濃縮物及び炭酸水。」
(2)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と甲1方法発明を対比する。
甲1方法発明における「ビール濃縮物」、「炭酸水」、「ビール」は、それぞれ、本件特許発明1における「ビールテイスト原液」、「可食性水溶液」、「ビールテイスト飲料」に相当する。
甲1方法発明は、「グラスの3分の1をビール濃縮物である“ブロンディ”で満たし、残りの3分の2を炭酸水で満たす」ものであるから、本件特許発明1における「混合工程が開放容器で行われ」ること及び「条件式(1):1.5≦可食性水溶液の重量(g)/ビールテイスト原液の重量(g)≦7.0」との特定事項を満たす。
両者は次の点で一致する。
<一致点>
「ビールテイスト原液、および、可食性水溶液を混合する混合工程を有する、ビールテイスト飲料の製造方法であって、
前記混合工程が開放容器で行われ、
前記可食性水溶液が炭酸水であり、
下記条件式(1)を満たす、製造方法。
条件式(1):1.5≦可食性水溶液の重量(g)/ビールテイスト原液の重量(g)≦7.0」
そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。
<相違点1-1>
本件特許発明1においては、「3.0℃~15.0℃のビールテイスト原液、および、3.0℃~15.0℃の可食性水溶液を混合する」と特定されているのに対して、甲1方法発明においては、「ビール濃縮物」および「炭酸水」の温度について特定されていない点。
<相違点1-2>
本件特許発明1においては、「前記ビールテイスト原液のアルコール度数が14.0(v/v)%以上であり」と特定されているのに対して、甲1方法発明においては、そのようには特定されていない点。
イ 判断
事案に鑑みて、相違点1-2について検討する。
甲1方法発明では、「ビール濃縮物」と「炭酸水」を1:2の比率で混合して「アルコール度数が4.5容量%」の「ビール」を製造するから、「ビール濃縮物」のアルコール度数は(4.5×3=)13.5容量%である。
したがって、相違点1-2は実質的な相違点であり、本件特許発明1は甲1方法発明ではない。
また、甲第1号証及び他の証拠には、甲1方法発明において相違点1-2に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することの動機付けとなる記載はない。
してみると、甲1方法発明において、相違点1-2に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
ウ まとめ
したがって、その他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲1方法発明であるとはいえないし、甲1方法発明並びに甲第1号証及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件特許発明3及び4について
本件特許発明3及び4は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明1と同様に、甲1方法発明であるとはいえないし、甲1方法発明並びに甲第1号証及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)本件特許発明5について
本件特許発明5と甲1方法発明を対比すると、少なくとも上記1(2)と同様なことがいえるから、本件特許発明5は、甲1方法発明であるとはいえないし、甲1方法発明並びに甲第1号証及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(5)本件特許発明6について
本件特許発明6と甲1物発明を対比すると、少なくとも上記1(2)と同様なことがいえるから、本件特許発明6は、甲1物発明であるとはいえないし、甲1物発明並びに甲第1号証及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(6)取消理由1及び申立理由1についてのむすび
したがって、本件特許発明1及び3ないし6は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえないし、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえないから、本件特許の請求項1及び3ないし6に係る特許は、同法第113条第2号に該当せず、取消理由1及び申立理由1によっては取り消すことはできない。
2 取消理由4及び申立理由4(甲第7号証に基づく新規性・進歩性)について
(1)甲第7号証の記載事項等
ア 甲第7号証の記載事項
甲第7号証には、おおむね次の事項が記載されている。
・「穀町エール10をソーダで割ると、あっという間にロングドリンク、穀町パナシェの出来上がり。オススメはエール1にソーダ2の割合。これでもまだアルコール度数3.3%です。
ソーダマシンがあればなおOK。これからの季節、美味しい湧き水の出る場所へ、ソーダマシンと穀町エールを持って行けば、ご当地の天然水入りパナシェがアウトドアを一層楽しくしてくれることでしょう。
是非お試しください。」
・「
[図:0001411287000002.jpg]
」
イ 甲第7号証に記載された発明
甲第7号証に記載された事項を整理すると、甲第7号証には次の発明(以下、順に「甲7方法発明」「甲7物発明」という。)が記載されていると認める。
<甲7方法発明>
「穀町エール1にソーダ2の割合でアルコール度数3.3%のパナシェを製造する方法。」
<甲7物発明>
「甲7方法発明における穀町エール及びソーダ。」
(2)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と甲7方法発明を対比する。
甲7方法発明における「穀町エール」、「ソーダ」、「パナシェ」は、それぞれ、本件特許発明1における「ビールテイスト原液」、「可食性水溶液」、「ビールテイスト飲料」に相当する。
甲7方法発明は、「穀町エール1にソーダ2の割合でパナシェを製造する」ものであるから、本件特許発明1における「混合工程が開放容器で行われ」ること及び「条件式(1):1.5≦可食性水溶液の重量(g)/ビールテイスト原液の重量(g)≦7.0」との特定事項を満たす。
両者は次の点で一致する。
<一致点>
「ビールテイスト原液、および、可食性水溶液を混合する混合工程を有する、ビールテイスト飲料の製造方法であって、
前記混合工程が開放容器で行われ、
前記可食性水溶液が炭酸水であり、
下記条件式(1)を満たす、製造方法。
条件式(1):1.5≦可食性水溶液の重量(g)/ビールテイスト原液の重量(g)≦7.0」
そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。
<相違点7-1>
本件特許発明1においては、「3.0℃~15.0℃のビールテイスト原液、および、3.0℃~15.0℃の可食性水溶液を混合する」と特定されているのに対して、甲7方法発明においては、「穀町エール」および「ソーダ」の温度について特定されていない点。
<相違点7-2>
本件特許発明1においては、「前記ビールテイスト原液のアルコール度数が14.0(v/v)%以上であり」と特定されているのに対して、甲7方法発明においては、そのようには特定されていない点。
イ 判断
事案に鑑みて、相違点7-2について検討する。
甲7方法発明では、「穀町エール」と「ソーダ」を1:2の割合で混合して「アルコール度数3.3%」の「パナシェ」を製造するから、「穀町エール」のアルコール度数は(3.3×3=)9.9%である。
したがって、相違点7-2は実質的な相違点であり、本件特許発明1は甲7方法発明ではない。
また、甲第7号証及び他の証拠には、甲7方法発明において相違点7-2に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することの動機付けとなる記載はない。
してみると、甲7方法発明において、相違点7-2に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
ウ まとめ
したがって、その他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲7方法発明であるとはいえないし、甲7方法発明並びに甲第7号証及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件特許発明3及び4について
本件特許発明3及び4は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明1と同様に、甲7方法発明であるとはいえないし、甲7方法発明並びに甲第7号証及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)本件特許発明5について
本件特許発明5と甲7方法発明を対比すると、少なくとも上記2(2)と同様なことがいえるから、本件特許発明5は、甲7方法発明であるとはいえないし、甲7方法発明並びに甲第7号証及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(5)本件特許発明6について
本件特許発明6と甲7物発明を対比すると、少なくとも上記2(2)と同様なことがいえるから、本件特許発明6は、甲7物発明であるとはいえないし、甲7物発明並びに甲第7号証及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(6)取消理由4及び申立理由4についてのむすび
したがって、本件特許発明1及び3ないし6は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえないし、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえないから、本件特許の請求項1及び3ないし6に係る特許は、同法第113条第2号に該当せず、取消理由4及び申立理由4によっては取り消すことはできない。
3 申立理由2(甲第5号証に基づく新規性・進歩性)について
(1)甲第5号証の記載事項等
ア 甲第5号証の記載事項
甲第5号証には、おおむね次の事項が記載されている。
・「
[図:0001411287000003.jpg]
」(7頁)
・「
[図:0001411287000004.jpg]
」(28頁)
・「
[図:0001411287000005.jpg]
」(30頁)
・「設置場所 コールドルーム/セラー <12℃(<53.6°F)環境」(43頁)
イ 甲第5号証に記載された発明
甲第5号証に記載された事項を整理すると、甲第5号証には次の発明(以下、順に「甲5方法発明」「甲5物発明」という。)が記載されていると認める。
<甲5方法発明>
「ビールの濃縮システムで濃縮されたアルコール濃度が22v/v%の濃縮ビール液と炭酸水を混合して再構成ビールを製造する方法。」
<甲5物発明>
「甲5方法発明における濃縮ビール液及び炭酸水。」
(2)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と甲5方法発明を対比する。
甲5方法発明における「濃縮ビール液」、「炭酸水」、「再構成ビール」は、それぞれ、本件特許発明1における「ビールテイスト原液」、「可食性水溶液」、「ビールテイスト飲料」に相当する。
甲5方法発明における「濃縮ビール液」は、「アルコール濃度が22v/v%」であるから、本件特許発明1における「前記ビールテイスト原液のアルコール度数が14.0(v/v)%以上であり」との特定事項を満たす。
両者は次の点で一致する。
<一致点>
「ビールテイスト原液、および、可食性水溶液を混合する混合工程を有する、ビールテイスト飲料の製造方法であって、
前記可食性水溶液が炭酸水であり、
前記ビールテイスト原液のアルコール度数が14.0(v/v)%以上である、製造方法。」
そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。
<相違点5-1>
本件特許発明1においては、「3.0℃~15.0℃のビールテイスト原液、および、3.0℃~15.0℃の可食性水溶液を混合する」と特定されているのに対して、甲5方法発明においては、「濃縮ビール液」および「炭酸水」の温度について特定されていない点。
<相違点5-2>
本件特許発明1においては、「混合工程が開放容器で行われ」と特定されているのに対して、甲5方法発明においては、そのようには特定されていない点。
<相違点5-3>
本件特許発明1においては、「条件式(1):1.5≦可食性水溶液の重量(g)/ビールテイスト原液の重量(g)≦7.0」「を満たす」と特定されているのに対して、甲5方法発明においては、そのようには特定されていない点。
イ 判断
事案に鑑みて、相違点5-2について検討する。
甲5方法発明では、「混合工程が開放容器で行われ」ていない。
したがって、相違点5-2は実質的な相違点であり、本件特許発明1は甲5方法発明ではない。
また、甲第5号証及び他の証拠には、甲5方法発明において相違点5-2に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することの動機付けとなる記載はない。
してみると、甲5方法発明において、相違点5-2に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
ウ まとめ
したがって、その他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲5方法発明であるとはいえないし、甲5方法発明並びに甲第5号証及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件特許発明3及び4について
本件特許発明3及び4は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明1と同様に、甲5方法発明であるとはいえないし、甲5方法発明並びに甲第5号証及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)本件特許発明5について
本件特許発明5と甲5方法発明を対比すると、少なくとも上記3(2)と同様なことがいえるから、本件特許発明5は、甲5方法発明であるとはいえないし、甲5方法発明並びに甲第5号証及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(5)本件特許発明6について
本件特許発明6と甲5物発明を対比すると、少なくとも上記3(2)と同様なことがいえるから、本件特許発明6は、甲5物発明であるとはいえないし、甲5物発明並びに甲第5号証及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(6)申立理由2についてのむすび
したがって、本件特許発明1及び3ないし6は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえないし、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえないから、本件特許の請求項1及び3ないし6に係る特許は、同法第113条第2号に該当せず、申立理由2によっては取り消すことはできない。
4 申立理由3(甲第6号証に基づく新規性・進歩性)について
(1)甲第6号証に記載された事項等
ア 甲第6号証に記載された事項
甲第6号証には、おおむね次の事項が記載されている。
・「ビールを生成する飲料システムは、超高比重ビール(uHGB)を含む第1の供給源と、炭酸水及び/又は窒素水を含む第2の供給源と、第1の供給源に流体的に結合され、第1の供給源から第1の流体ラインを通って超高比重ビールが流れることを可能にするように構成された第1の流体ラインと、第2の供給源に流体的に結合され、第2の供給源から第2の流体ラインを通って水が流れることを可能にするように構成された第2の流体ラインと、第1の流体ラインを第2の流体ラインに流体的に結合し、超高比重ビールが混合点において前記水と混合してビールを生成することを可能にするように構成された混合点と、混合点の両側の第1及び第2の一方向弁と、混合点に流体的に結合され、ビールを注出タップに流すように構成された第2の流体ラインとを含む。」(要約)
・「さらなる関連する実施形態において、炭酸化される流れは、液体の凝固点と約6℃との間、より好ましくは、約0.5℃と約2℃との間に冷却され得る。」([0013])
・「関連する実施形態では、超高比重ビールの容器は、2℃~7℃、より好ましくは3℃~4℃の低温に維持されてもよく、これは、低温室の使用によって、又は流動若しくは静止伝熱流体を含有する容器被覆物によって達成されてもよい。」([0015])
・「飲料システムは、異なるパラメータを提供するように構成された制御装置を含むことができ、異なるパラメータは、様々なタイプのビールの異なる注出条件に使用されるように、例えば、メモリ又はデータベースに記憶することができる。例えば、容積式ポンプの可変電圧供給は、特定の超高比重ビール及び特定の注出条件に調整される値に設定することができる。この値は、制御装置によって自載的に設定されてもよいし、例えばダイヤル又はデジタルディスプレイを使用してユーザによって手動で設定されてもよい。例えば、0.75oz/sの炭酸水流量、アルコール濃度20容量%の超高比重ビール、及びアルコール濃度5容量%の目標に対して、電圧は、容積式ポンプが0.25oz/sの流量を提供するように設定されてもよい。特定の実施形態では、飲料システムのユーザが異なるビール間を迅速に切り替え、それぞれについて所望の注出濃度を得ることを可能にする様々なプリセット電圧が存在し得る。」([0041])
イ 甲第6号証に記載された発明
甲第6号証に記載された事項を整理すると、甲第6号証には次の発明(以下、順に「甲6方法発明」「甲6物発明」という。)が記載されていると認める。
<甲6方法発明>
「第1の供給源から第1の流体ラインを通って流れるアルコール濃度20容量%の超高比重ビールと第2の供給源から第2の流体ラインを通って流れる炭酸水を混合してビールを生成する方法において、超高比重ビールの流量が0.25oz/sであり、炭酸水の流量が0.75oz/sである、方法。」
<甲6物発明>
「甲6方法発明における超高比重ビール及び炭酸水。」
(2)本件特許発明1について
ア 対比
本件特許発明1と甲6方法発明を対比する。
甲6方法発明における「超高比重ビール」、「炭酸水」、「ビール」は、それぞれ、本件特許発明1における「ビールテイスト原液」、「可食性水溶液」、「ビールテイスト飲料」に相当する。
甲6方法発明における「超高比重ビール」は、「アルコール濃度20容量%」であるから、本件特許発明1における「前記ビールテイスト原液のアルコール度数が14.0(v/v)%以上であり」との特定事項を満たす。
甲6方法発明は、「超高比重ビールの流量が0.25oz/sであり、炭酸水の流量が0.75oz/sである」ものであり、「超高比重ビール」0.25に対して「炭酸水」0.75を使用するから、本件特許発明1における「条件式(1):1.5≦可食性水溶液の重量(g)/ビールテイスト原液の重量(g)≦7.0」との特定事項を満たす。
両者は次の点で一致する。
<一致点>
「ビールテイスト原液、および、可食性水溶液を混合する混合工程を有する、ビールテイスト飲料の製造方法であって、
前記可食性水溶液が炭酸水であり、
前記ビールテイスト原液のアルコール度数が14.0(v/v)%以上であり、
下記条件式(1)を満たす、製造方法。
条件式(1):1.5≦可食性水溶液の重量(g)/ビールテイスト原液の重量(g)≦7.0」
そして、両者は次の点で相違又は一応相違する。
<相違点6-1>
本件特許発明1においては、「3.0℃~15.0℃のビールテイスト原液、および、3.0℃~15.0℃の可食性水溶液を混合する」と特定されているのに対して、甲6方法発明においては、「超高比重ビール」および「炭酸水」の温度について特定されていない点。
<相違点6-2>
本件特許発明1においては、「混合工程が開放容器で行われ」と特定されているのに対して、甲6方法発明においては、そのようには特定されていない点。
イ 判断
事案に鑑みて、相違点6-2について検討する。
甲6方法発明では、「混合工程が開放容器で行われ」ていない。
したがって、相違点6-2は実質的な相違点であり、本件特許発明1は甲6方法発明ではない。
また、甲第6号証及び他の証拠には、甲6方法発明において相違点6-2に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することの動機付けとなる記載はない。
してみると、甲6方法発明において、相違点6-2に係る本件特許発明1の発明特定事項を採用することは当業者が容易に想到し得たものであるとはいえない。
ウ まとめ
したがって、その他の相違点については検討するまでもなく、本件特許発明1は、甲6方法発明であるとはいえないし、甲6方法発明並びに甲第6号証及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(3)本件特許発明3及び4について
本件特許発明3及び4は、請求項1を直接又は間接的に引用して特定するものであり、本件特許発明1の発明特定事項を全て有するものであるから、本件特許発明1と同様に、甲6方法発明であるとはいえないし、甲6方法発明並びに甲第6号証及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(4)本件特許発明5について
本件特許発明5と甲6方法発明を対比すると、少なくとも上記4(2)と同様なことがいえるから、本件特許発明5は、甲6方法発明であるとはいえないし、甲6方法発明並びに甲第6号証及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(5)本件特許発明6について
本件特許発明6と甲6物発明を対比すると、少なくとも上記4(2)と同様なことがいえるから、本件特許発明6は、甲6物発明であるとはいえないし、甲6物発明並びに甲第6号証及び他の証拠に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
(6)申立理由3についてのむすび
したがって、本件特許発明1及び3ないし6は、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものであるとはいえないし、同法同条第2項の規定により特許を受けることができないものであるとはいえないから、本件特許の請求項1及び3ないし6に係る特許は、同法第113条第2号に該当せず、申立理由3によっては取り消すことはできない。
第7 結語
以上のとおり、本件特許の請求項1及び3ないし6に係る特許は、取消理由及び特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1及び3ないし6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
さらに、本件特許の請求項2に係る特許は、訂正により削除されたため、異議申立人による請求項2に係る特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったので、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-700430