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特許異議申立

2025-700788

内視鏡用処置具

審判番号
2025-700788
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2021-539170
登録番号
7626703
請求日
2025年07月31日
審決日
2026年04月27日
公報発行日
2026年07月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社カネカ
  • 【権利者代理人】弁理士法人アスフィ国際特許事務所
  • 【異議申立人】鈴木 裕子
審判長/審判官
  • 審判長 南 宏輔
  • 審判官 伊藤 幸仙
  • 審判官 藏田 敦之
分類
P1651.113-YAA(A61B) / P1651.121-YAA(A61B) / P1651.537-YAA(A61B) / P1651.851-YAA(A61B)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第5項、特許法第29条第1項、特許法第36条第6項第2号、特許法第126条第6項、特許法第120条の5第4項、特許法第126条第7項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7626703号発明「内視鏡用処置具」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7626703号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-14〕について訂正することを認める。 特許第7626703号の請求項1-15に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7626703号の請求項1-15に係る特許についての出願(以下「本件出願」という。)は、2020年(令和2年)7月10日(優先権主張 令和元年8月13日)を国際出願日とする出願であって、令和7年1月27日にその特許権の設定登録がされ、同年2月4日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和7年 7月31日 :特許異議申立人 鈴木裕子(以下「申立人」と いう。)による請求項1-15に係る特許に 対する特許異議の申立て 同年 9月22日付け:取消理由通知書(以下「取消理由通知書1」と いう。) 同年11月21日 :特許権者による意見書及び訂正請求書(以下 「訂正請求書」という。)の提出 同年12月 2日付け:当審合議体から申立人への、訂正請求があった 旨の通知書 同年12月25日 :申立人による意見書(以下「申立人意見書」と いう。)の提出 令和8年1月19日付け:取消理由通知書(以下「取消理由通知書2」と いう。) 同年 3月19日 :特許権者による意見書の提出 第2 訂正の適否についての判断 1.訂正の内容 本件訂正請求書による訂正(以下「本件訂正」という。)の請求の趣旨は、特許請求の範囲を、同訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1-14について訂正することを求めるものであり、その内容は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示している。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に 「内視鏡の鉗子チャンネルに挿入される内視鏡用処置具であって、 長手軸方向に第1端と第2端を有し、前記長手軸方向に延在している内腔を有する外筒と、 前記外筒の内腔に配置され、前記外筒に対して前記長手軸方向に移動可能であり、遠位側へ向けて流体を供給する内腔を有する内筒と、 前記内筒の前記内腔に配置され、前記内筒に対して前記長手軸方向に移動可能な針と、 を備え、 前記針が前記内筒よりも遠位に突出している状態で、前記内筒は、前記内筒の内壁が前記針の外壁から離隔しており、前記流体を通過可能な離隔部を有する内視鏡用処置具。」 と記載されているのを、 「内視鏡の鉗子チャンネルに挿入される内視鏡用処置具であって、 長手軸方向に第1端と第2端を有し、前記長手軸方向に延在している内腔を有する外筒と、 前記外筒の内腔に配置され、前記外筒に対して前記長手軸方向に移動可能であり、遠位側へ向けて流体を供給する内腔を有する内筒と、 前記内筒の前記内腔に配置され、前記内筒に対して前記長手軸方向に移動可能な針と、 を備え、 前記針が前記内筒よりも遠位に突出している状態で、前記内筒は、前記内筒の内壁が前記針の外壁から離隔しており、前記流体を通過させる離隔部を有する内視鏡用処置具。」 に訂正する。 (請求項1を引用する請求項2-14も同様に訂正する。) 2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否、一群の請求項、独立特許要件 (1)訂正事項1について ア 訂正前の請求項1に係る発明の、内視鏡用処置具の内筒が有する離隔部を、「前記針が前記内筒よりも遠位に突出している状態で、前記内筒は、前記内筒の内壁が前記針の外壁から離隔しており、前記流体を通過可能な離隔部」から、「前記針が前記内筒よりも遠位に突出している状態で、前記内筒は、前記内筒の内壁が前記針の外壁から離隔しており、前記流体を通過させる離隔部」とする訂正は、訂正前の請求項1に係る発明の離隔部が「前記内筒の内壁が前記針の外壁から離隔しており、前記流体を通過可能な」ものであるという構成を、「前記内筒の内壁が前記針の外壁から離隔しており、前記流体を通過させる」ものであるという構成に限定することにより、減縮しようとするものである。したがって、当該訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 上記「ア」から明らかなように、訂正事項1は、訂正前の請求項1に係る発明の、内視鏡用処置具の内筒が有する離隔部を、「流体」が「通過可能」という空間的構造により特定する構成から「流体を通過させる」という空間的構造のみならず実際の動作機序により特定する構成に限定するものであり、訂正前の請求項1の記載について、訂正前の請求項1に記載された発明のカテゴリーを変更するものでもなく、かつ、訂正前の請求項1に記載された発明の対象や目的を変更するものとはならない。したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないため、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項に適合するものである。 ウ そして、「前記針が前記内筒よりも遠位に突出している状態で、前記内筒は、前記内筒の内壁が前記針の外壁から離隔しており、前記流体を通過させる離隔部」については、本件特許の明細書の段落【0069】、【0089】、【0091】、【図5】及び【図7】に、 「【0069】 図5は、図1に示した内視鏡用処置具1の変形例を示す断面図(一部側面図)である。図5に示すように、処置具1は、さらに流体供給器45を備えていることが好ましい。その場合、内筒20の近位部に、内筒20の内腔21に流体を供給する流体供給器45が接続され、内筒20は、その遠位端部(より好ましくはその遠位端部の周壁)に内筒20の内腔21と内筒20の外を連通させる側孔24を有していることが好ましい。これにより、流体供給器45を用いて側孔24から造影剤等の薬剤を放出することができるため、対象組織内に針30および内筒20が挿入されたか否かを把握することができる。」 「【0089】 図7は、図1に示した内視鏡用処置具1のさらに他の変形例を示す断面図(一部側面図)であり、図8は、図7に示した内視鏡用処置具1の内筒20および針30を生体組織内に挿入した状態を示す模式図を表す。内筒20の遠位部のうち外筒10から露出可能な部分に、拡張可能部40が設けられていることが好ましい。これにより、内筒20の遠位端部が対象組織内に挿入されたことを確認した後、拡張可能部40を拡張することで、内筒20の遠位端の位置がずれないように体内に固定することができる。拡張可能部40は、例えば図7に示すようにバルーン41とすることができる。拡張可能部は、バルーン41の他に、複数の弾性ワイヤから構成される拡張ワイヤやバスケットであってもよい。」 「【0091】 内筒20にバルーン41が設けられる場合、バルーン41の膨張部43に対応する位置に側孔24が設けられており、内筒20の近位部に流体供給器45が接続されていることが好ましい。バルーン41は、流体供給器45から内筒20の側孔24を通じてバルーン41の内部に圧力流体が供給されるように構成され、バルーン41の内部に圧力流体が供給されることにより、バルーン41が拡張可能となっている。一方、バルーン41の内部から圧力流体を引き抜くことにより、バルーン41を収縮することができる。」 「【図5】 [図:0001437394000001.jpg] 」 「【図7】 [図:0001437394000002.jpg] 」 (下線部は当審で付与した。) と記載されており、上記【図5】及び【図7】から、針30が内筒20より突出した状態で針30と内筒20の間に空間があることが看て取れ、上記記載の下線部の記載により、針30と内筒20の間の空間に流体供給器45から供給される造影剤等の薬剤や圧力流体が通過して、内筒20の側孔24から放出されることが読み取れることから、願書に添付された明細書及び図面に記載した事項であるといえる。 エ 上記「ウ」より、訂正事項1は、願書に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項に適合するものである。 (2)一群の請求項及び独立特許要件について 訂正前の請求項1は、他の請求項を引用しない独立形式の請求項であり、訂正前の請求項2-14は、独立請求項である請求項1を直接又は間接的に引用するものであるから、請求項1-14は一群の請求項である。そして、上記訂正事項1は、その一群の請求項〔1-14〕においてなされたものである。 よって、上記訂正事項1は、特許法第120条の5第4項で規定する当該一群の請求項ごとに請求されているものである。 また、本件においては、訂正前の請求項1-15について特許異議の申立てがされているので、訂正後の特許請求の範囲の請求項1-14に係る発明に関して、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項の独立特許要件は課されない。 (3)申立人の主張について ア 申立人は、申立人意見書の第1-3頁の「4-2.「離隔部に関する訂正」に対する特許異議申立人の意見」において、前記訂正事項1に係る訂正は、当初明細書等に記載された事項を逸脱するものであり、特許法第126条第5項に違反する新規事項の追加に相当するため、認められるべきではない旨主張する。 イ しかしながら、前記「(1)ウ」で説示したとおり、前記訂正事項1は願書に添付した明細書及び図面に記載した事項の範囲内の訂正であるから、上記申立人の主張は採用することはできない。 3. 小括 以上のとおりであるから、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、本件訂正に係る訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-14〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 (1)本件訂正により訂正された請求項1-14に係る発明(以下それぞれ「本件発明1」-「本件発明14」という。)は、本件訂正に係る訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の請求項1-14に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】 内視鏡の鉗子チャンネルに挿入される内視鏡用処置具であって、 長手軸方向に第1端と第2端を有し、前記長手軸方向に延在している内腔を有する外筒と、 前記外筒の内腔に配置され、前記外筒に対して前記長手軸方向に移動可能であり、遠位側へ向けて流体を供給する内腔を有する内筒と、 前記内筒の前記内腔に配置され、前記内筒に対して前記長手軸方向に移動可能な針と、を備え、 前記針が前記内筒よりも遠位に突出している状態で、前記内筒は、前記内筒の内壁が前記針の外壁から離隔しており、前記流体を通過させる離隔部を有する内視鏡用処置具。 【請求項2】 前記内筒が前記外筒よりも遠位に突出している状態で、前記針を前記内筒から抜去可能である請求項1に記載の内視鏡用処置具。 【請求項3】 前記内視鏡用処置具はさらに流体供給器を備え、 前記内筒の近位部に、前記内筒の内腔に流体を供給する前記流体供給器が接続され、 前記内筒は、その遠位端部に前記内筒の内腔と前記内筒の外を連通させる側孔を有している請求項1または2に記載の内視鏡用処置具。 【請求項4】 前記内筒は、前記内筒の遠位側に向かって外径が小さくなっているテーパー部を有し、該テーパー部は、前記側孔よりも遠位に位置している請求項3に記載の内視鏡用処置具。 【請求項5】 前記内筒は、前記内筒の内壁が前記針の外壁と当接している当接部と、該当接部よりも近位に位置し、前記内筒の内壁が前記針の外壁から離隔している離隔部と、を有する請求項3または4に記載の内視鏡用処置具。 【請求項6】 前記外筒の遠位端部の断面積が、前記外筒の長手軸方向の中央の位置における断面積よりも大きい請求項1~5のいずれか一項に記載の内視鏡用処置具。 【請求項7】 前記針は、その遠位端部に超音波反射部を有している請求項1~6のいずれか一項に記載の内視鏡用処置具。 【請求項8】 前記超音波反射部は、第1反射部と、該第1反射部よりも近位に位置している第2反射部と、を有する請求項7に記載の内視鏡用処置具。 【請求項9】 前記第1反射部および前記第2反射部は、前記針の外面に設けられている凹凸である請求項8に記載の内視鏡用処置具。 【請求項10】 前記針は、その遠位部に生体組織を採取するための中空部を有する請求項1~9のいずれか一項に記載の内視鏡用処置具。 【請求項11】 前記内筒の遠位部のうち前記外筒から露出可能な部分に、拡張可能部が設けられている請求項1~10のいずれか一項に記載の内視鏡用処置具。 【請求項12】 前記内筒の近位部に、径方向の外方に突出している第1ストッパーが設けられている請求項1~11のいずれか一項に記載の内視鏡用処置具。 【請求項13】 前記内筒は、その遠位端部の内径が、前記内筒の長手軸方向の中央の位置よりも小さい小径部を有し、 前記針は、前記小径部よりも外径が大きい係合部を有し、 前記小径部が、前記係合部よりも遠位に位置している請求項1~12のいずれか一項に記載の内視鏡用処置具。 【請求項14】 前記針は、前記内筒から抜去可能であり、 前記内視鏡用処置具は、前記内筒の内腔に配置され、前記外筒に対して前記外筒の長手軸方向に移動可能な治療器具をさらに備えた請求項1~13のいずれか一項に記載の内視鏡用処置具。」 (2)また、本件特許の請求項15に係る発明(以下「本件発明15」という。)は、本件訂正では訂正されていないことから、本件特許の特許掲載公報である特許第7626703号公報(令和7年2月4日発行)の【特許請求の範囲】の【請求項15】に記載された次の事項(本件訂正に係る訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲の【請求項15】に同じ)により特定されるとおりのものである。 「【請求項15】 内視鏡の鉗子チャンネルに挿入される内視鏡用処置具であって、 長手軸方向に第1端と第2端を有し、前記長手軸方向に延在している内腔を有する外筒と、 前記外筒の内腔に配置され、前記外筒に対して前記長手軸方向に移動可能であり、内腔を有する内筒と、 前記内筒の前記内腔に配置され、前記内筒に対して前記長手軸方向に移動可能な針と、 前記内筒の遠位部のうち前記外筒から露出可能な部分に設けられた拡張可能部と、を備え、 前記外筒の遠位側から前記内筒および前記針を突出させた状態で前記拡張可能部を拡張可能な内視鏡用処置具。」 第4 特許異議の申立ての概要について 1.特許異議の申立てにおける証拠 令和7年7月31日提出の特許異議申立書(以下「異議申立書」という。)に添付された甲第1-9号証は以下のとおりである。 甲第1号証:特開2004-290517号公報 甲第2号証:実願昭57-147255号(実開昭59-53043号)のマイクロフィルム 甲第3号証:特開2016-168228号公報 甲第4号証:特開2001-161699号公報 甲第5号証:特開2003-144436号公報 甲第6号証:特開2004-181095号公報 甲第7号証:特開2011-125389号公報 甲第8号証:特開2011-125632号公報 甲第9号証:特開昭56-3044号公報 2.令和7年12月25日提出の意見書に添付された証拠 申立人意見書には、証拠として、前記甲第1、3、4号証とともに、以下の甲第10、11号証が添付されている。 甲第10号証:特許第4496075号公報 甲第11号証:国際公開第2005/051464号 3.特許異議の申立ての理由について 申立人によりなされた特許異議の申立ての理由の要旨は次のとおりである。 (1)異議申立理由1 本件訂正前の請求項1-2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、それらの特許は特許法第29条第1項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 (2)異議申立理由2 本件訂正前の請求項1-15に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2-9号証に記載された事項から、当業者が容易に発明することができたものであるから、それらの特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものである。 (3)異議申立理由3 本件訂正前の請求項1に係る発明は、「前記流体を通過可能な離隔部」を有しているが、「側孔24」のような「流体を通過可能」とする具体的な構成を含まずに「離隔部」のみによって流体を通過させる機能を具体的にどのように実現するかについては、本件明細書に記載されていない。したがって、本件特許発明1の技術的範囲は、本件明細書に記載された内容から当業者が裏付けることのできる範囲を超えているため、本件明細書に記載された内容によりサポートされていないものである。したがって、当該発明は、特許法第36条第6項第1号の要件を満たしておらず、当該発明の特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 (4)異議申立理由4 本件訂正前の請求項1に係る発明は、「前記流体を通過可能な離隔部」を有しているが、流体が離隔部を通過するためには、離隔部と接続して流体の受け渡し先となる構成が必要であるが、そのような構成が特定されていない。そのため、本件特許発明1において、流体が離隔部を通過可能であるかが当業者にとって明確に理解できない。したがって、当該発明は、明確であるとはいえず、それらの特許は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 第5 取消理由通知書に記載した取消理由 1.令和7年9月22日付け取消理由通知書の取消理由の概要 取消理由通知書1において、訂正前の請求項1-15に係る特許に対して、当審において特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 (1)取消理由1(新規性) 訂正前の請求項1-2に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、上記請求項1-2に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 (2)取消理由2(進歩性) 訂正前の請求項1-2,6-15に係る発明は、甲第1号証に記載された発明、甲第4号証に開示された技術、甲第9号証に開示された技術、及び甲第3-8号証並びに特許第4477382号公報にも記載された周知技術から、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記請求項1-2,6-15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 また、訂正前の請求項15に係る発明は、甲第4号証に記載された発明及び甲第3号証にも記載された周知技術から、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記請求項15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 2.令和8年1月19日付け取消理由通知書の取消理由の概要 取消理由通知書2において、請求項15に係る特許に対して、当審において特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。 (1)取消理由1(進歩性) 請求項15に係る発明は、甲第4号証に記載された発明及び特許第4315734号公報に記載された技術から、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、上記請求項15に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 第6 甲第1-11号証、特許第4477382号公報及び特許第4315734号公報の記載事項 1.甲第1号証 本件特許に係る出願(以下「本願」という。)の優先日前である平成16年10月21日に公開された、「特開2004-290517号公報」(以下「甲第1号証」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。(下線は当審で付与した。以下同様。) (1)「【0001】 【発明の属する技術分野】 この発明は、生検針、詳しくは超音波内視鏡に用いられ、体腔内で針管を突出させることにより患部の細胞等の試料を採取するための吸引生検針の改良に関するものである。 【0002】 【従来の技術】 従来より、体腔内の患部を検査診断するのに際しては、例えば内視鏡や超音波内視鏡等が一般的に利用されている。この超音波内視鏡は、体腔壁表面をとらえた内視鏡画像に加えて、その体腔壁より内部の断層像(超音波断層像)を得ることができるものがある。さらに、この超音波断層像の観察下において、超音波内視鏡の処置具挿通用チャンネルから挿入した吸引生検針(以下、単に生検針という)を所望の病変部位等に穿刺することによって、体腔内組織や体液等の試料を吸引採取する針生検を行なうことができるものがある。そして、採取した組織等を分析することによって病理確定診断が行なわれている。」 (2)「【0022】 【課題を解決するための手段】 上記目的を達成するために、第1の発明による生検針は、超音波内視鏡の処置具挿通用チャンネルに進退自在に挿通される挿入部と、この挿入部の基端部に配置されるハンドル部と、上記挿入部の内部に挿通され体腔内組織に穿刺される中空の針管と、この針管の内部に挿通され、当該針管と略同長のスタイレットとを具備する生検針において、上記針管は、その先端部位近傍においては当該針管と上記スタイレットとの間隙が狭く、同先端部位近傍よりも基端側においては当該針管と上記スタイレットとの間隙が広くなるように構成されていることを特徴とする。 【0023】 また、第2の発明は、上記第1の発明による生検針において、上記スタイレットの基端部には棒状部が設けられ、当該棒状部はハンドル部の内部における気密性を保持しながら進退自在に配設されていることを特徴とする。 【0024】 そして、第3の発明は、上記第1の発明による生検針において、上記針管の内部に連通する吸引用の管路を備えて構成されていることを特徴とする。 【0025】 したがって、第1の発明による生検針によれば、針管は、その先端部位近傍においては当該針管とスタイレットとの間隙を狭く、同先端部位近傍よりも基端側においては当該針管とスタイレットとの間隙を広くするように構成したので、針管からスタイレットの先端部までを抜去せずに吸引用の管路を確保し得る。 【0026】 第2の発明によれば、スタイレットの基端部に棒状部を設け、当該棒状部がハンドル部の内部における気密性を保持しながら進退自在に配設したので、棒状部の進退操作によってスタイレットの進退を自在に操作し得ると同時に、ハンドル部の内部の気密性を保持し得る。 【0027】 第3の発明によれば、針管の内部に連通する吸引用の管路を設けたことから、スタイレットを抜去することなしに吸引操作を行なって体腔内組織の採取を行ない得る。」 (3)「【0028】 【発明の実施の形態】 以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。 図1は、本発明の一実施形態の生検針の概略的な構成を示す平面図であって、一部を断面で表わしている。また、図2は本実施形態の生検針の先端部近傍を拡大して示し、特に穿刺針のみを取り出してその先端部の構成を表わす要部拡大断面図である。 【0029】 図1に示すように、本実施形態の生検針1は超音波内視鏡(図示せず)の操作部の所定の位置に装着固定されるハンドル部3と、このハンドル部3に連設され超音波内視鏡の処置具挿通用チャンネルに挿入される挿入部2とによって構成されている。 【0030】 挿入部2は、可撓性を有する管状のシース9と、このシース9の内部に挿通される穿刺針4とによって構成されている。そして、この挿入部2は、その基端部がハンドル部3の所定の位置に取り付けられている。 【0031】 挿入部2の略全体はシース9によって、その外面が覆われている。これによって、シース9の内部に配設される構成部材(穿刺針4)の外面が保護されている。このシース9は、例えばポリエーテルエーテルケトンやフッ素樹脂等の樹脂チューブによって形成されている。そして、シース9の基端部は、ハンドル部3のハンドル本体3aの先端側の所定の位置に所定の手段によって固設されている。 【0032】 穿刺針4は、最先端部に設けられる第1の針管5a及びこの第1の針管5aに連設される第2の針管5bとによって構成される中空の針管5と、この針管5と略同じ長さを有し当該針管5の内部に挿通され可撓性を有する針金状の芯金(以下、スタイレットという)6とによって構成されている(詳細は図2参照)。 【0033】 第1の針管5aは、針管5の先端側に配設されている。この第1の針管5aは例えばステンレス又は超弾性合金製の管状からなる中空の金属部材によって形成されている。そして、その先端側は最先端が鋭利な針状に形成されており、後端側(基端側)は先端側に比べて拡径されて形成されている。 【0034】 なお、第1の針管5aの内部にはスタイレット6が挿通されるようになっている。この場合において、第1の針管5aの先端側の内径寸法は、図2に示すようにスタイレット6の外径寸法と略同等程度に設定され、かつ第1の針管5aに対してスタイレット6が円滑に進退し得る程度に設定されている。 【0035】 そして、この第1の針管5aの後端側に第2の針管5bが接続されている。ここで、図2に示すように第1の針管5aと第2の針管5bとの接続部位5aaにおいては、両者の接続を確実なものとするための措置が施されている。即ち、第1の針管5aの外周側は、先端側に向いた鋭角を有する凹凸となるように、その断面形状が形成されている。これにより、第1の針管5aと第2の針管5bとが接続された状態において、第1の針管5aが抜去し難いようになっている。 【0036】 第2の針管5bは、例えばポリエーテルエーテルケトンやポリフッ化ビニリデン等の硬質かつ可撓性を有する管状の樹脂部材等によって形成されている。なお、これに限らず、第2の針管5bはステンレス等の金属部材で形成することも可能である。 【0037】 したがって、第2の針管5bは、その内部が陰圧となっても潰れることがなく、かつ当該穿刺針4の進退操作がハンドル部3のがわで行なわれた場合にその力量が穿刺針4の先端側にまで確実に伝達されるようになっている。 【0038】 また、第2の針管5bの基端側は、図1に示すようにハンドル部3の一部を構成するニードルスライダ3bの先端側の所定の位置において当該ニードルスライダ3b内部の気密を保持し得るように所定の手段によって接続されている。 【0039】 一方、第2の針管5bの先端側は、図2に示すように上述の第1の針管5aの後端部と同様に拡径されて形成されている。そして、この第2の針管5bの先端側は、第1の針管5aの後端の外周側を覆うように接続されている。したがって、第1の針管5aと第2の針管5bとの接続部位には、図2において符号5bbで示す管腔部が形成されている。 【0040】 なお、第2の針管5bの内部にも上述の第1の針管5aと同様にスタイレット6が挿通されるようになっている。この場合において、第2の針管5bの先端側の拡径部を除く部分の内径寸法は、図2に示すようにスタイレット6の外径寸法よりも若干広くなるように設定されている。これにより、後述する吸引用の管路の一部(図2の符号5d参照)を形成している。 【0041】 つまり、第1の針管5a及び第2の針管5bからなる針管5において、当該針管5とその内部に挿通されるスタイレット6との間の間隙について着目すると、針管5の先端部位近傍においては狭くなるように設定されている。換言すれば、第1の針管5aとスタイレット6との間の間隙5d(図2参照)が狭くなるように設定している。そのために、第1の針管5aの先端側の内径寸法とスタイレット6の外径寸法とは略同等程度であって、かつスタイレット6が円滑に進退し得る程度に設定されている。 【0042】 一方、針管5の先端部位近傍よりも基端側においては広くなるように設定されている。換言すれば、第2の針管5bの先端側の拡径部を除く部分とスタイレット6との間の間隙5e(図2参照)が広くなるように設定している。そのために、第2の針管5bの先端部位を除く部分の内径寸法は、スタイレット6の外形寸法よりも若干広くなるように設定されている。これによって吸引用の管路の一部が形成されている。」 (4)「【0047】 そして、上述したようにニードルスライダ3bの先端部には第2の針管5bの基端側が接続されている。したがって、ニードルスライダ3bをハンドル本体3aに対して図1の矢印X方向に移動させることで、針管5をシース9の内部で進退させることができるようになっている。」 (5)「【0062】 次に、本実施形態の生検針1を用いる際の作用を、図1・図3~図7を用いて以下に説明する。 ・・・ 【0070】 つまり、上述のようにして使用準備状態(図1・図5の状態)とした当該生検針1を、これが対応する所定の超音波内視鏡(図示せず)の処置具挿通用チャンネルの所定の位置に装着する。即ちハンドル本体3aのスコープ取付部3eを介して当該生検針1を装着する。この状態で、術者は所望する位置で環状部6aa又は把手部3gを操作してニードルスライダ3bを図3の矢印X2方向に向けて押し込む。これにより穿刺針4がシース9より突出し所望する箇所に穿刺が行なわれる。 【0071】 この状態が本生検針1による穿刺時の状態である。 【0072】 続けて、所定の操作を行なって図4・図7に示す状態とする。即ち、図4・図7においては、ハンドル本体3aに対するニードルスライダ3bの状態(穿刺針4の状態)を維持しつつ、ニードルスライダ3bに対して棒状部6を最も引き出した場合のスタイレット6の状態を示している。 【0073】 上述の穿刺時の状態(図4・図7の状態)において、術者は超音波内視鏡による超音波画像を観察しながら穿刺針4を操作してその針先を所望する対象物に到達させる。このことが確認されると、ニードルスライダ3bの位置を維持しながら、環状部6aaを操作して棒状部6aを図3の矢印X1方向に向けて引き出す。このときの棒状部6aの引き出し操作は最も引き出した状態とする。これによりスタイレット6はその先端が管腔部5bb内の所定の位置に配置されることになる。これにより、針管5の吸引用の管路が管腔部5bbに連通されることになる。 【0074】 この状態でシリンジ7の止栓7cを図1の矢印Rに沿う所定の方向に回動させて開状態とする。これにより吸引管8・吸引孔3cc・管腔3bbを介して針管5の内圧が陰圧となる。したがって、針管5の先端部に設けられる管腔部5bbの内部も陰圧となる。これにより第1の針管5aの内部に向けて所望箇所(穿刺箇所)近傍の細胞等の試料100が吸引され取り込まれる。 この状態が本生検針の吸引時の状態である。 ・・・ 【0079】 なお、穿刺する対象物が例えば液状の嚢胞等(膵臓の化成嚢胞等)の場合には、治療等を兼ねてその対象物の内容物を吸引する等の処置を行なうことがある。このように多量の液体等を吸引する場合等には、吸引用の管路が広い方が吸引効率が向上し迅速な処置を行なうことができる。 【0080】 そこで、このような場合を考慮して、本生検針1においては、上述したようにスタイレット6のみを外部に完全に抜去することができるようにも構成されている。つまり、ハンドル部3のニードルスライダ3bに対してその後端部位に設けられる蓋部材3fを着脱自在とし、環状部6aa及び棒状部6aとスタイレット6が容易に抜去し得る構成としている。 【0081】 したがって、穿刺針4の第1の針管5aが対象物に穿刺された状態(図3・図6の状態)において、ニードルスライダ3bと蓋部材3fとの連結を解除した後、環状部6aaの引き出し操作を行なう。これにより環状部6aa及び棒状部6aとこれに連設されるスタイレット6を完全に外部に抜去する。続いて、所定の(上述のシリンジ7とは異なる別の)シリンジをニードルスライダ3bの基端部に連結手段を用いて装着する。このとき止栓7cは閉状態としておく。 【0082】 この状態において、ニードルスライダ3bの基端部に新たに装着した別のシリンジを用いることによって、針管5の吸引用の管路を経由して大量の試料を採取したり、薬液を内部に注入したりする等の作業を行ない得る。 ・・・ 【0086】 以上説明したように上記一実施形態によれば、スタイレット6が挿通する針管5を、その先端部において第1の針管5aと第2の針管5bとによって構成し、このうち第1の針管5aの基端部側を先端部側に比べて拡径して形成し、これに合わせて第2の針管5bの先端部側を基端部側に比べて拡径して形成し、これら第1の針管5a及び第2の針管5bを接続することによって針管5の先端部近傍に所定の空間、即ち管腔部5bbを形成するように構成している。 【0087】 したがって、これによりスタイレット6を針管5から外部に完全に抜去することなく、当該スタイレット6の部分的な引き出し操作を行なうだけで吸引用の管路を形成することができる。」 (6)「【図1】 [図:0001437394000003.jpg] 」 (7)「【図2】 [図:0001437394000004.jpg] 」 (8)「【図4】 [図:0001437394000005.jpg] 」 (9)「【図6】 [図:0001437394000006.jpg] 」 (10)「【図7】 [図:0001437394000007.jpg] 」 (11)前記「(3)、(5)及び(9)」より、「生検針1が穿刺針4がシース9より突出し所望する箇所に穿刺が行なわれる穿刺時の状態であるときにも、第2の針管5bの先端部位を除く部分の内径寸法は、スタイレット6の外形寸法よりも若干広くなるように設定されていて、これによって吸引用の管路の一部が形成されている」ことが看取される。 (12)上記甲第1号証の記載事項を総合勘案すると、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。(括弧内は、甲第1号証の参照箇所を示す。) 「超音波内視鏡の処置具挿通用チャンネルから挿入した生検針を所望の病変部位等に穿刺することによって、体腔内組織や体液等の試料を吸引採取する針生検を行なうための、生検針1であって、(【0001】-【0002】) 前記生検針1は、 可撓性を有する管状のシース9と、このシース9の内部に挿通される穿刺針4とによって構成され、超音波内視鏡の処置具挿通用チャンネルに進退自在に挿通される挿入部2と、 この挿入部2の基端部に配置されるハンドル部3と、 上記挿入部2の内部に挿通され体腔内組織に穿刺される中空の針管5と、この針管5の内部に挿通され、当該針管5と略同長のスタイレット6とから構成される穿刺針4と、 を具備し、(【0028】-【0032】) 上記針管5は、最先端部に設けられる第1の針管5a及びこの第1の針管5aに連設される第2の針管5bによって構成され、第1の針管5aの先端側の内径寸法は、スタイレット6の外径寸法と略同等程度に設定され、かつ第1の針管5aに対してスタイレット6が円滑に進退し得る程度に設定されており、第1の針管5aと第2の針管5bとの接続部位には、管腔部5bbが形成され、第2の針管5bの先端側の拡径部を除く部分の内径寸法は、スタイレット6の外径寸法よりも若干広くなるように設定され、これにより、吸引用の管路の一部を形成し、(【0032】-【0042】) 上記針管5はシース9の内部で進退させることができるようになっており、(【0047】)、 前記生検針1が穿刺針4がシース9より突出し所望する箇所に穿刺が行なわれる穿刺時の状態であるときにも、第2の針管5bの先端部位を除く部分の内径寸法は、スタイレット6の外形寸法よりも若干広くなるように設定されていて、これによって吸引用の管路の一部が形成されており、(【0042】及び【図6】) 本生検針の吸引時の状態は、スタイレット6の先端が管腔部5bb内の所定の位置に配置され針管5の吸引用の管路が管腔部5bbに連通された状態であり、当該状態で第1の針管5aの内部に向けて所望箇所(穿刺箇所)近傍の細胞等の試料100が吸引され取り込まれるものであり、(【0073】-【0074】) 前記生検針1は、環状部6aaの引き出し操作を行ない、環状部6aa及び棒状部6aとこれに連設されるスタイレット6のみを外部に完全に抜去することができるようにも構成されている、(【0080】-【0081】) 生検針1。」 2.甲第2号証 本願の優先日前である昭和59年4月7日に公開された、「実願昭57-147255号(実開昭59-53043号)のマイクロフィルム」(以下「甲第2号証」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。 (1)「該カテーテル(1)は軟質プラスチック類、ゴム類等で成形、加工されたものであり、本管(2)と連続的な細孔(3)からなり、本管(2)内に内針(4)を装着しており、本管(2)の先端部は内針(4)を固定するストッパーとなる段付形状(5)をなし、該カテーテルの先端部の外側はなめらかなテーパー状をなしている。」(明細書第2頁第17-20行、第3頁第1-3行) (2)「先端部では細孔(3)は用途に応じてカテーテル外面に開口(8)又はカテーテル内面、即ち本管(2)に開口(9)している。外面への開口(8)は薬剤の注入等に適し、内面への開口(9)はカテーテル内部の詰り防止の凝固剤投入や洗浄等に適している。」(明細書第3頁第8-13行) (3)「第2図 [図:0001437394000008.jpg] 」 (4)「第4図 [図:0001437394000009.jpg] 」 3.甲第3号証 本願の優先日前である平成28年9月23日に公開された、「特開2016-168228号公報」(以下「甲第3号証」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。 (1)「【0019】 ・・・ 【図4】図1の内視鏡用穿刺デバイスの先端部を示す拡大縦断面図であり、(a)バルーンを収縮させた状態、(b)注射針を突出させた状態をそれぞれ示す図である。 ・・・」 (2)「【0023】 内チューブ3もフッ素チューブやナイロンチューブ等の光学的に透明または半透明の樹脂チューブにより構成されている。内チューブ3は、内径約0.85mm、外径約1.55mである。注射針4は、針先が30°の角度で斜めにカットされた尖った刃形に形成されている。針先の傾斜面には内チューブ3の内孔11に接続する孔12が開口しており、内チューブ3内を基端側から供給されてきた液体を針先から吐出させることができるようになっている。注射針4の基端側には、図4(b)に示されるように、外チューブ2の先端面2aから注射針4を所定長さ突出させた位置で、第1の内孔7に設けられているストッパ9に突き当たる肩部10が設けられている。 【0024】 バルーン5は、図4(a)に示されるように、収縮した状態で円筒状に形成されたバルーン材5aを、外チューブ2の先端外周面を所定長さにわたって被覆するように配置し、バルーン材5aの長手方向の両端を全周にわたって接着剤により外チューブ2の先端外周面に接着することにより構成されている。バルーン材5aは、外チューブ2の第2の内孔8の先端開口8aを覆うように配置され、該先端開口8aを長手方向に挟んだ両側において、外チューブ2の外周面に接着されている。これにより、バルーン5は、第2の内孔8が連絡する閉空間5bを外チューブ2の先端に全周にわたって形成しており、第2の内孔8を経由して供給されてきて、先端開口8aから吐出された流体によって、図5に示されるように、外チューブ2の先端外周面に接着された両端の接着部位(先端側固定部、基端側固定部)13a,13bの間に位置する部位(以下、拡張部位という。)20がドーナツ状に拡張するようになっている。」 (3)「【図4】 [図:0001437394000010.jpg] 」 (4)「【図5】 [図:0001437394000011.jpg] 」 4.甲第4号証 本願の優先日前である平成13年6月19日に公開された、「特開2001-161699号公報」(以下「甲第4号証」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。 (1)「【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、内視鏡の処置具挿通チャンネルに挿脱されて膵生検や肝生検等を行うのに用いられる内視鏡用組織採取具の操作部に関する。」 (2)「【0010】 【発明の実施の形態】図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図2は、内視鏡用組織採取具が軟性内視鏡90の処置具挿通チャンネル91に通されて、組織採取具の先端部分が可撓性の内視鏡挿入部92の先端部分内に位置した状態を示している。 【0011】組織採取具の針軸10の先端には、前方に向けて尖った針先11が形成されており、針先11の直後の部分には、組織を収納するための組織収納凹部12が、針軸10を側面から切り欠いて凹ませた形状に形成されている。 【0012】そして、組織収納凹部12に連通する吸引路13が、組織収納凹部12より後方の針軸10内に全長にわたって形成されている。したがって、針軸10の組織収納凹部12より後方部分はパイプ状に形成されている。 【0013】14は、組織収納凹部12の内部に採取された標本組織を押し出せるように棒等を差し込むための溝であり、組織収納凹部12の後側に隣接して形成されている。なお、この実施の形態では針軸10の針先11部分が無孔になっているが、針軸10全体をパイプ状に形成してもよい。 【0014】針軸10は可撓性を有するプラスチック材で形成してもよいが、パイプ状部分を薄肉にすれば、ステンレス鋼等であっても軟性内視鏡に挿通することができるだけの可撓性を得ることができる。 【0015】針軸10には、外套管20が軸線方向に進退自在に被嵌されている。薄い筒状に形成された外套管20の先端部分は先細りのテーパ状に形成されており、その結果、外套管20の内周先端部分が環状の刃21になっている。 【0016】外套管20と針軸10は、軟性内視鏡90の処置具挿通チャンネル91に直接触れないように、可撓性のガイドチューブ30内に通された状態で処置具挿通チャンネル91内に通されている。ただし、処置具挿通チャンネル91が針先11や刃21によって傷つけられない態様で用いられる場合には、ガイドチューブ30は省略しても差し支えない。 【0017】図3、図4及び図5は、針軸10、外套管20及びガイドチューブ30を各々単独で示しており、針軸10の基端部分には、吸引具を接続するための例えばルアーロック雄口金からなる針軸基端口金19が取り付けられ、外套管20の基端部分には、ルアーロック雌口金からなる外套管基端口金29が取り付けられ、ガイドチューブ30の基端部分には雌ネジが形成されたガイドチューブ基端口金39が取り付けられている。」 (3)「【0038】そして、採取後は、針軸固定ネジ82を緩めて針軸10を引き出し、針軸10の溝14に細い棒等を差し込んで標本組織101を組織収納凹部12から押し出して取り出すことができる。」 (4)「【図3】 [図:0001437394000012.jpg] 」 (5)「【図4】 [図:0001437394000013.jpg] 」 (6)「【図5】 [図:0001437394000014.jpg] 」 (7)「【図11】から【図15】 【図11】 [図:0001437394000015.jpg] 【図12】 [図:0001437394000016.jpg] 【図13】 [図:0001437394000017.jpg] 【図14】 [図:0001437394000018.jpg] 【図15】 [図:0001437394000019.jpg] 」 (8)上記甲第4号証の記載事項を総合勘案すると、甲第4号証には、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。(括弧内は、甲第4号証の参照箇所を示す。) 「軟性内視鏡90の処置具挿通チャンネル91に通される内視鏡用組織採取具であって、(【0010】、 組織採取具の針軸10の先端には、前方に向けて尖った針先11が形成されており、針先11の直後の部分には、組織を収納するための組織収納凹部12が、針軸10を側面から切り欠いて凹ませた形状に形成されており、前記組織収納凹部12に連通する吸引路13が、前記組織収納凹部12より後方の針軸10内に全長にわたって形成され、したがって、前記針軸10の前記組織収納凹部12より後方部分はパイプ状に形成されており、(【0011】【0012】) 針軸10には、外套管20が軸線方向に進退自在に被嵌されており、薄い筒状に形成された外套管20の先端部分は先細りのテーパ状に形成されており、その結果、外套管20の内周先端部分が環状の刃21になっており、(【0015】) 外套管20と針軸10は、軟性内視鏡90の処置具挿通チャンネル91に直接触れないように、可撓性のガイドチューブ30内に通された状態で処置具挿通チャンネル91内に通され、(【0016】) 外套管20の基端部分には、ルアーロック雌口金からなる外套管基端口金29が取り付けられ、(【0017】) 採取後は、針軸固定ネジ82を緩めて針軸10を引き出すことができる、(【0038】) 内視鏡用組織採取具。」 (9)また、上記甲第4号証の記載事項を総合勘案すると、甲第4号証には、次の技術(以下「甲4開示技術」という。)が記載されていると認められる。 「外套管20の基端部分に、ルアーロック雌口金からなる外套管基端口金29を取り付ける技術」 5.甲第5号証 本願の優先日前である平成15年5月20日に公開された、「特開2003-144436号公報」(以下「甲第5号証」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。 (1)「【0016】ところで、穿刺針本体5は超音波内視鏡から送波される超音波を反射することにより超音波画像下に映出されるが、この発明では穿刺針本体5を明瞭に映出させるために図4に示すように、穿刺針本体5の先端の刃面基端部5c側表面全周に刃面回転位置検出手段としての第1超音波散乱手段30を、また、第1超音波散乱手段30の基端側に穿刺針本体5の刃面基端部5c側方向のみに刃面回転位置検出手段としての第2超音波散乱手段31が設けられている。 【0017】これら超音波散乱手段30,31は、図5に示すように、複数のエンハンス部40で構成されている。更にこのエンハンス部40は、穿刺針本体5の表面の一部である円筒状の突起部41を残してその周囲を切り欠いた円環状溝42で構成されている。」 (2)「【図4】 [図:0001437394000020.jpg] 」 (3)「【図5】 [図:0001437394000021.jpg] 」 6.甲第6号証 本願の優先日前である平成16年7月2日に公開された、「特開2004-181095号公報」(以下「甲第6号証」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。 (1)「【0014】 図2ないし図4を参照して針管3の先端部について説明する。 図2(a)ないし図3に示すように前記針管3の先端近傍から所定範囲の穿刺部である管状部3bの先端部表面には、超音波を反射させる、いわゆる超音波反射手段となる円環状の溝である円環溝5,…,5が複数、設けてある。これら円環溝5,…,5は、前記刃付加部3aを傷つけることなく、例えば先端側で前記刃付加部3aの背面に位置する刃付加部背面3c所定位置から放射状に広がるように複数、千鳥配列に加工パターンを設定制御したYAGレーザー或いは放電加工によって、管状部3bに高密度に形成される。 【0015】 図4に示すように前記円環溝5は、浅い角度からの超音波の入射等に対して、反射エコーをより多く得られるように、略直線状の面部5cを円環溝5の底部及び側部に設けた断面形状に形成してある。これら円環溝5,…,5は、具体的には例えばYAGレーザーから出力されるレーザー光のスポット径を0.1mmに設定し、このレーザー光の照射位置と前記針管3の配置位置とをそれぞれ制御して、図3及び図4に示すように所定の径寸法の凸部5aを残こし、その凸部5aの周囲に所定幅寸法(w)の溝5bを形成して形作られていく。」 (2)「【図2】(a) [図:0001437394000022.jpg] 」 (3)「【図3】 [図:0001437394000023.jpg] 」 (4)「【図4】 [図:0001437394000024.jpg] 」 7.甲第7号証 本願の優先日前である平成23年6月30日に公開された、「特開2011-125389号公報」(以下「甲第7号証」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。 (1)「【0027】 図2に示すように、穿刺針16の先端部及びその近傍部位の外周面には、穿刺針16を血管に穿刺したときに血液を導入するための螺旋状の溝部22が形成されている。また、溝部22は、超音波ガイド下の穿刺における超音波反射用の溝(検出溝)としての機能を兼ね備えたものである。この溝部22の具体的な構成について、図3及び図4を参照して説明する。 【0028】 図3は、留置針10の先端部及びその近傍部位の一部省略拡大斜視図であり、図4は、留置針10の先端部及びその近傍部位を示す一部省略側面断面図である。図3及び図4に示すように、穿刺針16に形成された螺旋状の溝部22は、外周面に対して内周側に凸状に窪んだ形状を呈しており、最先端部が刃面11に臨み、基端部側(X2方向側)に向かって延在し、カテーテル12に穿刺針16を挿通した装着状態においてカテーテル12の内周面に対向する部分の外周面まで形成されている。」 (2)「【図2】 [図:0001437394000025.jpg] 」 (3)「【図3】 [図:0001437394000026.jpg] 」 (4)「【図4】 [図:0001437394000027.jpg] 」 8.甲第8号証 本願の優先日前である平成23年6月30日に公開された、「特開2011-125632号公報」(以下「甲第8号証」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。 (1)「【0026】 図3は、本発明の一実施形態に係る穿刺針10と内針ハブ18を示す平面構成図である。一構成例に係る留置針12において、穿刺針10は内針を構成するものである。穿刺針10は、中空の管体であって、その先端部には、軸線に対して傾斜した刃面11が形成されている。穿刺針10の先端部及びその近傍箇所には、超音波を反射させる溝部22が、軸線方向の所定範囲にわたって設けられている。」 (2)「【0030】 図4A及び図4Bに示すように、溝部22は、第1溝部24と第2溝部26とを有する。第1溝部24は、穿刺針10の外周面の、刃面11の裏側の部位に設けられている。なお、「穿刺針10の外周面の、刃面11の裏側の部位」とは、穿刺針10の外周面のうち、刃面11が存在する領域と軸線方向(X方向)の位置が一致する部位、すなわち、穿刺針10の外周面のうち、刃面11の最も基端部側の位置よりも、先端部側(X1方向側)の領域(部位)を意味する。第2溝部26は、穿刺針10の外周面において、先端部の近傍箇所(刃面11よりも基端部側の所定範囲)に設けられている。」 (3)「【図3】 [図:0001437394000028.jpg] 」 (4)「【図4】 [図:0001437394000029.jpg] 」 9.甲第9号証 本願の優先日前である昭和56年1月13日に公開された、「特開昭56-3044号公報」(以下「甲第9号証」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。 (1)「この後外套管1をそのままにして穿刺用中針5を抜き、代りに生検用中針8を差し込み、この生検用中針8の先端を第2図で示すように肝臓の組織14に突き刺す。」(第2頁左下欄第12-15行) (2)「このようにして組織14を採取できるが、その組織14を採取した後の肝臓23には傷口24が残る。そこで、今度は外套管1に止血用電極針9を挿入し、その先端部を上記傷口24に差し込む。」(第2頁右下欄第5-9行) (3)「第2図 [図:0001437394000030.jpg] 」 (4)「第5図 [図:0001437394000031.jpg] 」 (5)前記「(1)-(4)」より、甲第9号証には、以下の技術(以下「甲9開示技術」という。)が開示されていると認められる。 「外套管1に穿刺用中針5,生検用中針8,止血用電極針9を抜き差し自在に配置する技術」 10.甲第10号証 本願の優先日前である平成22年7月7日に発行された、「特許第4496075号公報」(以下「甲第10号証」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。 (1)「【0021】 図2に示すように、カテーテルアセンブリ10から針40が引き抜かれるまで、カテーテル20の遠位端は針40の周囲を密封し、カテーテルから血液が遠位方向へ流出することを防ぐ。カテーテルハブ21は、カテーテルハブ21に接続されカテーテルハブ21と流体連絡した延長チューブ50を有するサイドポート22を含んでいる。延長チューブは中心チャンバ54を有し、半透明の材料から作られている。サイドポート22はカテーテル20の環状空間60と流体連絡しており、そのためカテーテル20が患者の体内に適正に配置されると、(たとえカテーテルの中に針がまだ残っている場合でも)延長チューブ50を通して注入された流体は患者へと流れる。反対に、患者の静脈を出てカテーテル20に入った血液は、針がアセンブリ10の中にまだ残っているどうかにかかわらず、延長チューブ50の中を移動することができる。後に論じるように介護者が延長チューブ内の血流の速度を知る手助けに目盛55をふってもよい。」 (2)「【図2】 [図:0001437394000032.jpg] 【図2A】 [図:0001437394000033.jpg] 」 (3)「【図4】 [図:0001437394000034.jpg] 」 (4)「【図5】 [図:0001437394000035.jpg] 」 (5)「【図6】 [図:0001437394000036.jpg] 」 11.甲第11号証 本願の優先日前である2005年6月9日に公開された、「国際公開第2005/051464号」(以下「甲第11号証」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。 (1)「[0082] すなわち、図21の状態からスライダー112をばね部材114の弾性力に抗して先端側へ押し出し、図22に示すように中空針106先端をチューブ104の先端開口部104aから突き出すと、封止部材113が受け部117から離間してオリフィス117bが開放される。したがって、シリンジ120から口金部材111の内部管腔と受け部117のオリフィス117bと、チューブ104内部および中空針106の側孔108を介して中空針先端開口部110に亘り液体の流通が自在となる液体流通路Qが形成される。」 (2)「【図22】 [図:0001437394000037.jpg] 」 12.特許第4477382号公報 当審にて新たに発見した、本願の優先日前である平成22年6月9日に発行された、「特許第4477382号公報」(以下「引用文献12」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。 (1)「【0066】 図26は、更に他の変形例によるガイドチューブ40Bを示す。 【0067】 このガイドチューブ40Bは、先端側に透明なバルーン47を取付けてある。このバルーン47には手元側ボディ46に設けたバルーン用口金49を介して気体あるいは液体等の流体を注入しあるいは排出することができる。このバルーン47を膨らませることにより、ガイドチューブ40Bの先端部を例えば小腸内に留置する際、その移動を防止することができる。また、膨れたバルーン47により小腸深部への過送気を防止し、手技中に不用意に小腸が膨れて手技の妨げとなるのを防止することができる。」 (2)「【図26】 [図:0001437394000038.jpg] 」 (3)前記「(1)及び(2)」より、「体内に挿入するガイドチューブの先端の断面積を通常のガイドチューブの断面積より大きくして、ガイドチューブ先端の留置先からの移動を防止する技術」は、本願の優先日前において周知の技術(以下「周知技術1」という。)であると認められる。 13.特許第4315734号公報 当審にて新たに発見した、本願の優先日前である平成21年8月19日に発行された、「特許第4315734号公報」(以下「引用文献13」という。)には、図面とともに以下の技術事項が記載されている。 (1)「【0008】 【発明の実施の形態】 本発明の探触子の針誘導路内挿入用バルーン付き穿刺針を図面に示す実施例を用いて説明する。 図1は、採卵針挿入ガイドを装着した探触子(超音波診断装置用プローブ)に本発明の探触子の針誘導路内挿入用バルーン付き穿刺針を挿入した状態の外観図である。図2は、本発明の実施例の探触子の針誘導路内挿入用バルーン付き穿刺針の部分省略外観図である。図3は、図2に示した探触子の針誘導路内挿入用バルーン付き穿刺針の先端部の拡大断面図である。図4は、図2に示した探触子の針誘導路内挿入用バルーン付き穿刺針の基端部の拡大断面図である。図5および図6は、本発明の他の実施例の探触子の針誘導路内挿入用バルーン付き穿刺針のバルーン部分を説明するための説明図である。 【0009】 本発明の探触子の針誘導路内挿入用バルーン付き穿刺針1は、探触子10に装着された針挿入ガイド11内に形成された針誘導路12もしくは探触子10に設けられた針誘導路12内に移動可能に挿入されるバルーン付き穿刺針である。 穿刺針1は、先端に刃面2aを有する穿刺用中空針2と、穿刺用中空針2内に収納され先端が中空針2の先端部に位置し内部にルーメン3aを有する内管3と、中空針2と内管3間により形成されるバルーン用ルーメン4と、中空針2の先端部においてバルーン用ルーメン4を閉塞する閉塞部4aと、中空針2の先端部の外面であって閉塞部4aより基端側に形成された側孔5と、側孔5を被包するとともに内部がバルーン用ルーメン4と連通するように中空針2の先端部の外面に取り付けられた膨張可能な筒状バルーン6と、バルーン用ルーメン4と連通するバルーン用ポート7と、内管ルーメン3aと連通する内管用ポート8とを備える。そして、穿刺針1は、探触子10の針誘導路12内への挿入時に筒状バルーン6より所定長さ基端側から刃面2aまでを針誘導路12の先端より突出可能なものとなっている。 【0010】 この実施例の穿刺針1は、中空針2、内管3とバルーン用ポート7と、内管ルーメン3aと連通する内管用ポート8とを備えるハブ21とを備える。 中空針2は、先端に患部への穿刺用の刃面2aを有する中空体である。中空針としては、金属針が用いられる。金属としては、ステンレス鋼が好適である。また、中空針の外径としては、0.5~5mm程度が好適である。長さは、120~450mm程度が好適である。 【0011】 内管3は、中空針2内に挿入されるとともに、先端が中空針の刃面より露出しないように収納されている。内管としては、中空針の内径より外径が小さいものが用いられる。両者間の径の差異は、0.2~3mm程度であることが好ましい。内管としては、金属管、樹脂管が使用できる。金属管としては、ステンレス管が好適である。樹脂管としては、フッ素樹脂系の薄肉のものが好適である。具体的には、PTFE、ETFEなどが好適である。 【0012】 そして、中空針2と内管3間により形成されるバルーン用ルーメン4が形成されている。さらに、中空針2の先端部においてバルーン用ルーメン4は閉塞部4aにより閉塞されている。この実施例では、中空針の先端部外面にシール用の側孔2bが穿たれており、このシール用側孔よりシール剤を注入することにより閉塞部4aが形成されている。シール剤としては、作業時には液状でありその後硬化するものであり、かつ使用する中空針および内管との接着性を有するものが用いられる。シール剤としては、エポキシ樹脂系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤などが使用できる。 【0013】 また、中空針2には、中空針2の先端部の外面であって閉塞部4aより基端側に側孔5が穿たれている。この側孔5は、バルーン膨張用のためのものである。そして、この側孔5を被包するとともに内部がバルーン用ルーメン4と連通するように中空針2の先端部の外面に膨張可能な筒状バルーン6が固定されている。具体的には、バルーン6の軸方向の中央付近に側孔5が位置するように配置されている。さらに、このバルーン6は、上述したシール用側孔2bを被覆していることが好ましい。バルーン6は、先端部および基端部が中空針に固定されるとともに、先端部と基端部間は固定されていない。このため側孔5より流入する液体により膨張する。バルーン6の先端部および基端部の中空針2への固定は、接着剤により行うことができる。接着剤としては、バルーン形成材料および中空針形成材料との接着性を有するものが用いられる。具体的には、上述したエポキシ樹脂系接着剤、シリコーン樹脂系接着剤などが使用できる。また、バルーン6の先端面には、図3に示すように接着剤により環状の傾斜面からなる段差解消部31を設けることが望ましい。また、バルーン6の後端面には、図3に示すように接着剤により環状の傾斜面からなる段差解消部32を設けることが望ましい。」 (2)「【図1】 [図:0001437394000039.jpg] 」 (3)「【図2】 [図:0001437394000040.jpg] 」 (4)「【図3】 [図:0001437394000041.jpg] 」 (5)前記「(1)-(4)」より、上記引用文献13の記載事項を総合勘案すると、引用文献13には、次の技術(以下「引用文献13開示技術」という。)が記載されていると認められる。(括弧内は、引用文献13の参照箇所を示す。) 「探触子10に装着された針挿入ガイド11内に形成された針誘導路12もしくは探触子10に設けられた針誘導路12内に移動可能に挿入される、針誘導路内挿入用バルーン付き穿刺針1において、(【0009】) 穿刺針1は、先端に刃面2aを有する穿刺用中空針2と、穿刺用中空針2内に収納され先端が中空針2の先端部に位置し内部にルーメン3aを有する内管3と、中空針2と内管3間により形成されるバルーン用ルーメン4と、中空針2の先端部においてバルーン用ルーメン4を閉塞する閉塞部4aと、中空針2の先端部の外面であって閉塞部4aより基端側に形成された側孔5と、側孔5を被包するとともに内部がバルーン用ルーメン4と連通するように中空針2の先端部の外面に取り付けられた膨張可能な筒状バルーン6と、バルーン用ルーメン4と連通するバルーン用ポート7と、内管ルーメン3aと連通する内管用ポート8とを備え、(【0009】) 塞部4aは、作業時には液状でありその後硬化するシール剤を注入することにより形成され、(【0012】) 穿刺針1は、探触子10の針誘導路12内への挿入時に筒状バルーン6より所定長さ基端側から刃面2aまでを針誘導路12の先端より突出可能なものとなっており、(【0009】【図1】【図2】) バルーン6は、側孔5より流入する液体により膨張する、(【0013】) 技術。」 14.甲第5-8号証にも開示された周知技術 前記「5.-8.」に示したように、穿刺針の先端に超音波反射部を備えること、その超音波反射部が複数あり、穿刺針の外面の凹凸や溝であることは、本願の優先日前において周知の技術(以下「周知技術2」という。)であると認められる。 15.甲第4号証にも開示された周知技術 前記「4.(2)」に示したように、組織採取具の針軸10の先端の針先11の直後の部分に、組織を収納するための組織収納凹部12を、針軸10を側面から切り欠いて凹ませた形状に形成する(段落【0011】参照。)技術は、本願の優先日前において周知の技術(以下「周知技術3」という。)であると認められる。 16.甲第3号証にも開示された周知技術 前記「3.(2)及び(4)」に示したように、内視鏡用処置具において、外筒先端部(注射針4の外チューブ2)にバルーンのような拡張可能部(バルーン材5a)を備える(段落【0023】【0024】【図5】参照。)技術は、本願の優先日前において周知の技術(以下「周知技術4」という。)であると認められる。 また、前記「3.(2)-(3)」に示したように、注射針4に肩部10を設けて、外チューブ2の第1の内孔7のストッパ9に突き当たるようにする(段落【0023】【図4】参照。)技術は本願の優先日前において周知の技術(以下「周知技術5」という。)であると認められる。 第7 当審の判断 1.甲号証及び当審で新たに発見した文献について 申立人が特許異議申立書及び申立人意見書において証拠として提示した甲第1-11号証は、前記「第4 1.-2.」で整理し、その内容は前記「第6 1.-11.」に示したとおりである。 また、当審にて新たに提示した、引用文献12(特許第4477382号公報)及び引用文献13(特許第4315734号公報)の内容は、前記「第6 12.-13.」に示したとおりである。 2.取消理由通知書1及び2に記載した取消理由についての当審の判断 (1)取消理由通知書1の取消理由1(新規性)について ア 本件発明1について (ア)甲1発明との対比 本件発明1と甲1発明とを比較する。 a 甲1発明の「超音波内視鏡」は、本件発明1の「内視鏡」に相当する。 b 甲1発明の「超音波内視鏡の処置具挿通用チャンネル」は、本件発明1の「内視鏡の鉗子チャンネル」に相当する。 c 甲1発明の「生検針1」は、「超音波内視鏡の処置具挿通用チャンネルから挿入し」「所望の病変部位等に穿刺する」ものであるから、本件発明1の「内視鏡の鉗子チャンネルに挿入される内視鏡用処置具」に相当する。 d 甲1発明の「生検針1」の「可撓性を有する管状のシース9」は、シース9の内部に穿刺針4が挿通されるものであり、「超音波内視鏡の処置具挿通用チャンネルに進退自在に挿通される挿入部2」を構成するものであるから、本件発明1の「長手軸方向に第1端と第2端を有し、前記長手軸方向に延在している内腔を有する外筒」に相当する。 e 甲1発明の「挿入部2の内部に挿通され体腔内組織に穿刺される中空の針管5」は、穿刺針4を構成するものであることから、シース9の内部に挿通されるものである。また、該針管5は、「最先端部に設けられる第1の針管5a及びこの第1の針管5aに連設される第2の針管5bによって構成され、第1の針管5aの先端側の内径寸法は、スタイレット6の外径寸法と略同等程度に設定され、かつ第1の針管5aに対してスタイレット6が円滑に進退し得る程度に設定されており、第1の針管5aと第2の針管5bとの接続部位には、管腔部5bbが形成され、第2の針管5bの先端側の拡径部を除く部分の内径寸法は、スタイレット6の外径寸法よりも若干広くなるように設定され、これにより、吸引用の管路の一部を形成」することから、内腔を有するものである。さらに、該針管5は、「シース9の内部で進退させることができるようになって」いることから、シース9に対して長手軸方向に移動可能である。以上のことから、甲1発明の「針管5」は、本件発明1の「外筒の内腔に配置され、前記外筒に対して前記長手軸方向に移動可能であり、」「内腔を有する内筒」に相当する。 f 甲1発明の「スタイレット6」は、「針管5の内部に挿通され」るものであり、「スタイレット6のみを外部に完全に抜去することができる」ことから、針管5の内腔に配置され、針管5の長手軸方向に移動可能なものである。以上のことから、甲1発明の「スタイレット6」は、本件発明1の「内筒の」「内腔に配置され、前記内筒に対して前記長手軸方向に移動可能な針」に相当する。 g 甲1発明は、「生検針1が穿刺針4がシース9より突出し所望する箇所に穿刺が行なわれる穿刺時の状態であるときにも、第2の針管5bの先端部位を除く部分の内径寸法は、スタイレット6の外形寸法よりも若干広くなるように設定されていて、これによって吸引用の管路の一部が形成されて」いることから、穿刺時の状態である、スタイレット6が針管5よりも突出している状態であっても、針管5の内壁とスタイレット6の外壁との間が離隔して吸引用の管路の一部となる離隔部があるものである。以上のことから、甲1発明と本件発明1とは、「前記内筒は、前記内筒の内壁が前記針の外壁から離隔し」た「離隔部を有する」点で一致する。 h 以上のことから、甲1発明と本件発明1とは、 「内視鏡の鉗子チャンネルに挿入される内視鏡用処置具であって、 長手軸方向に第1端と第2端を有し、前記長手軸方向に延在している内腔を有する外筒と、 前記外筒の内腔に配置され、前記外筒に対して前記長手軸方向に移動可能であり、内腔を有する内筒と、 前記内筒の前記内腔に配置され、前記内筒に対して前記長手軸方向に移動可能な針と、を備え、 前記内筒は、前記内筒の内壁が前記針の外壁から離隔した離隔部を有する内視鏡用処置具。」 の点で一致し、以下の相違点1-2で相違する。 <相違点1> 内筒の内腔が、本件発明1は「遠位側へ向けて流体を供給する」内腔であるのに対し、甲1発明の針管5の第2の針管5bの先端側の拡径部を除く部分の内腔は、体腔内組織や体液等の試料を吸引採取するための吸引用の管路の一部である点。 <相違点2> 離隔部が、本件発明1は「前記針が前記内筒よりも遠位に突出している状態で、」「流体を通過させる」のに対し、甲1発明は、スタイレット6の先端が管腔部5bb内の所定の位置に配置され針管5の吸引用の管路が管腔部5bbに連通された状態の時に、第1の針管5aの内部に向けて所望箇所(穿刺箇所)近傍の細胞等の試料100が吸引され取り込まれるものである点。 (イ)判断 事案に鑑み、相違点2が実質的な相違点ではないものかについて検討する。 a 甲1発明では、「第1の針管5aの先端側の内径寸法は、スタイレット6の外径寸法と略同等程度に設定され」ていることから、スタイレット6が針管5の第1の針管5aよりも遠位に突出している状態では、スタイレット6と、第1の針管5aの先端側との間に、所望箇所(穿刺箇所)近傍の細胞等の試料100を吸引する程の隙間は存在せず(甲1の図6参照)、スタイレット6の先端が管腔部5bb内の所定の位置に配置され針管5の吸引用の管路が管腔部5bbに連通された状態の時に、第1の針管5aの内部に向けて所望箇所(穿刺箇所)近傍の細胞等の試料100が吸引され取り込まれる際に、スタイレット6と針管5の第2の針管5bの先端部位を除く部分の間で、細胞等の試料100が通過すると認められる。すなわち、甲1発明は、スタイレット6が針管5の第1の針管5aよりも遠位に突出している状態では、スタイレット6と針管5の第2の針管5bの先端部位を除く部分の間に細胞等の試料100が通過することはなく、スタイレット6の先端が針管5の第2の針管の管腔部5bb内の所定の位置に配置される(スタイレット6が第2の針管5よりも遠位に突出していない状態)時に、スタイレット6と針管5の第2の針管5bの先端部位を除く部分の間に細胞等の試料100が通過する。 b そうすると、上記相違点2は実質的な相違点ではないものとはいえない。 c 以上のことから、甲1発明と本件発明1とは、相違点1及び2で相違するから、甲1発明が本件発明1であるとはいえない。 (ウ)小括 したがって、本件発明1は、特許法第29条第1項第3号に該当しない。 イ 本件発明2について (ア)本件発明2は、請求項1の記載を引用する発明であることから、本件発明1の発明特定事項をすべて備えた発明である。 (イ)前記「ア(イ)」より、甲1発明と本件発明1とは、相違点1及び2で相違する。 (ウ)そうすると、甲1発明と本件発明2とは、少なくとも相違点1及び2で相違するから、甲1発明が本件発明2であるとはいえない。 (エ)したがって、本件発明2は、特許法第29条第1項第3号に該当しない。 ウ 申立人意見書における主張について (ア)申立人は、申立人意見書第3-4頁の「5-2.「取消理由1(新規事項)(当審注:「(新規性)」の誤記)」に対する特許異議申立人の意見」において、 『本件発明1において、その流体を供給する供給源や、その流体の供給先について特定されていないため、離隔部自体に流体を通過させるための何かしらの技術的事項が認められないことから、「前記流体を通過させる」という記載で特定される技術事項は、流体が通過できる空間であることのみを特定するものであると認められる。したがって、甲第1号証の図2、図5および図6に示された針管5とスタイレット6との間における間隙および管腔部5bbは、流体が通過できる空間である。このように、甲第1号証の図2、図5 および図6には、「スタイレット6が針管5よりも遠位に突出している状態で、針管5は、針管5の内壁がスタイレット6の外壁から離隔しており、流体を通過させる離隔部」が開示されていることから、本件発明1における「離隔部」と一致する。よって、本件発明1は、甲第1号証に開示されていることから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。』 旨主張する。 (イ)しかしながら、前記「ア(イ)」で検討したとおり、甲1発明には、前記相違点2に係る技術事項である「前記針が前記内筒よりも遠位に突出している状態で、前記内筒は、前記内筒の内壁が前記針の外壁から離隔しており、前記流体を通過させる離隔部」(下線は当審で付与した。)を備えていない。よって、上記申立人の主張は採用することはできない。 エ 取消理由通知書1に記載した取消理由1についてのまとめ 前記「ア-ウ」で検討したとおり、甲1発明は本件発明1及び2であるとはいえず、本件発明1及び2は特許法第29条第1項第3号に該当しないことから、取消理由通知書1に記載した取消理由1は、本件特許の請求項1-2に係る特許を取り消す理由とはならない。 (2)取消理由通知書1の取消理由2(進歩性)について ア 本件発明1について (ア)甲1発明との対比 甲1発明と本件発明1との対比については、前記「(1)ア(ア)」に示したとおりであり、甲1発明と本件発明1とは、前記相違点1及び2で相違する。 (イ)判断 事案に鑑み、相違点2について検討する。 相違点2に係る技術事項は、甲第2-11号証にも、引用文献12-13にも記載されていないし、甲第2-11号証や引用文献12-13の記載から、自明のことでもない。さらに、相違点2に係る技術事項は、本願の優先日前における周知の技術であるとも認められない。 (ウ)申立人意見書における申立人の主張について a 申立人は、申立人意見書第5頁の「5-4.本件特許発明1の「取消理由2(進歩性)に対する特許異議申立人の意見」において、 『本件発明1は、甲第1号証に開示されている。本件発明1は、依然として、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 また、仮に、甲1発明と本件発明1とに相違点2があるとしても、甲第10号証および甲第11号証に記載されているように「流体を流通させる離隔部」は、 本件特許の出願日よりも前に既に知られている。 甲第1号証に記載された「流体を通過可能な離隔部」と、甲第10号証および甲第11号証に記載された「流体を流通させる離隔部」とは、いずれも、離隔により形成された空間を介して流体が移動可能となる点で、機能および作用において実質的に共通する。したがって、甲第1号証に記載された離隔部に代えて、甲第10号証または甲第11号証に記載された構成を採用することは、当該技術分野において当業者が通常行う均等物による置換にすぎない。したがって本件発明1は、特許法第29条第2項に規定する進歩性を有しない。』 旨主張する。 b しかしながら、前記「ア(イ)」で検討したとおり、甲1発明には、前記相違点2に係る技術事項である「前記針が前記内筒よりも遠位に突出している状態で、前記内筒は、前記内筒の内壁が前記針の外壁から離隔しており、前記流体を通過させる離隔部」を備えていない。 c さらに、甲第10号証及び甲第11号証に記載された技術事項は、ともに、中空針がその外側の管から突出した状態において、中空針で吸引したものを、中空針とその外側の管との間で流通させるものであるが、甲1発明は、スタイレット6の外側の管である針管5で吸引したものを、スタイレット6と針管5の第2の針管5bの先端部位を除く部分の間に細胞等の試料100を通過させるものである。よって、甲第10号証及び甲第11号証の中空針は、甲1発明の針管5に相当するものであるから、甲1発明に甲第10号証及び甲第11号証の中空針を適用したとしても、甲1発明のスタイレット6が突出した状態においてスタイレット6と針管5の第2の針管5bの先端部位を除く部分の間には、所望箇所(穿刺箇所)近傍の細胞等の試料100は通過せず、スタイレット6の先端が管腔部5bb内の所定の位置に配置され針管5の吸引用の管路が管腔部5bbに連通された状態の時に、第1の針管5aの内部に向けて所望箇所(穿刺箇所)近傍の細胞等の試料100が吸引され取り込まれることとなる。 d 以上のことから、甲1発明は前記相違点2に係る技術事項を備えておらず、甲第10号証及び甲第11号証に記載された技術事項を甲1発明に採用したとしても、前項相違点2に係る技術事項を備えることにはならない。 e したがって、上記申立人の主張は採用することはできない。 (エ)小括 以上のことから、本件発明1は、甲1発明、甲第2-11号証に記載された技術、及び引用文献12-13に記載された事項から当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。 イ 本件発明2-14について 請求項1の記載を直接又は間接的に引用する発明である本件発明2-14は、本件発明1の発明特定事項を全て備える発明であるから、前記「ア」で説示したのと同様の理由により、甲1発明、甲第2-11号証に記載された技術、及び引用文献12-13に記載された事項から当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。 ウ 本件発明15について (ア)甲1発明を引用発明とした進歩性について a 対比 本件発明15と甲1発明とを比較する。 (a)甲1発明の「超音波内視鏡」は、本件発明15の「内視鏡」に相当する。 (b)甲1発明の「超音波内視鏡の処置具挿通用チャンネル」は、本件発明15の「内視鏡の鉗子チャンネル」に相当する。 (c)甲1発明の「生検針1」は、「超音波内視鏡の処置具挿通用チャンネルから挿入し」「所望の病変部位等に穿刺する」ものであるから、本件発明15の「内視鏡の鉗子チャンネルに挿入される内視鏡用処置具」に相当する。 (d)甲1発明の「生検針1」の「可撓性を有する管状のシース9」は、シース9の内部に穿刺針4が挿通されるものであり、「超音波内視鏡の処置具挿通用チャンネルに進退自在に挿通される挿入部2」を構成するものであるから、本件発明15の「長手軸方向に第1端と第2端を有し、前記長手軸方向に延在している内腔を有する外筒」に相当する。 (e)甲1発明の「挿入部2の内部に挿通され体腔内組織に穿刺される中空の針管5」は、穿刺針4を構成するものであることから、シース9の内部に挿通されるものである。また、該針管5は、「最先端部に設けられる第1の針管5a及びこの第1の針管5aに連設される第2の針管5bによって構成され、第1の針管5aの先端側の内径寸法は、スタイレット6の外径寸法と略同等程度に設定され、かつ第1の針管5aに対してスタイレット6が円滑に進退し得る程度に設定されており、第1の針管5aと第2の針管5bとの接続部位には、管腔部5bbが形成され、第2の針管5bの先端側の拡径部を除く部分の内径寸法は、スタイレット6の外径寸法よりも若干広くなるように設定され、これにより、吸引用の管路の一部を形成」することから、内腔を有するものである。さらに、該針管5は、「シース9の内部で進退させることができるようになって」いることから、シース9に対して長手軸方向に移動可能である。以上のことから、甲1発明の「針管5」は、本件発明15の「外筒の内腔に配置され、前記外筒に対して前記長手軸方向に移動可能であり、」「内腔を有する内筒」に相当する。 (f)甲1発明の「スタイレット6」は、「針管5の内部に挿通され」るものであり、「スタイレット6のみを外部に完全に抜去することができる」ことから、針管5の内腔に配置され、針管5の長手軸方向に移動可能なものである。以上のことから、甲1発明の「スタイレット6」は、本件発明15の「内筒の」「内腔に配置され、前記内筒に対して前記長手軸方向に移動可能な針」に相当する。 (g)以上のことから、甲1発明と本件発明15とは、 「内視鏡の鉗子チャンネルに挿入される内視鏡用処置具であって、 長手軸方向に第1端と第2端を有し、前記長手軸方向に延在している内腔を有する外筒と、 前記外筒の内腔に配置され、前記外筒に対して前記長手軸方向に移動可能であり、内腔を有する内筒と、 前記内筒の前記内腔に配置され、前記内筒に対して前記長手軸方向に移動可能な針と、を備えた、内視鏡用処置具。」 の点で一致し、以下の相違点3で相違する。 <相違点3> 内視鏡用処置具が、本件発明15は、「前記内筒の遠位部のうち前記外筒から露出可能な部分に設けられた拡張可能部」「を備え、」「前記外筒の遠位側から前記内筒および前記針を突出させた状態で前記拡張可能部を拡張可能」であるのに対し、甲1発明は、当該拡張可能部に相当する構成を備えていない点。 b 判断 上記相違点3について検討する。 (a)前記「第6 16.」でも説示したとおり、内視鏡用処置具において、外筒先端部にバルーンのような拡張可能部を備えることは、周知技術(周知技術4)である。しかしながら、当該周知技術は、「前記外筒の遠位側から前記内筒および前記針を突出させた状態で前記拡張可能部を拡張可能」であることまで開示するものではない。 (b)また、引用文献12にもバルーンのような拡張可能部を備えることは開示されているが、「前記外筒の遠位側から前記内筒および前記針を突出させた状態で前記拡張可能部を拡張可能」であることは開示されていない。 (c)さらに、引用文献13開示技術にもバルーンのような拡張可能部を備えることは開示されているが、引用文献13開示技術の内管3と穿刺用中空針2との間にある閉塞部4aは、作業時には液状でありその後硬化するシール剤を注入することにより形成されることから、内管3と中空針2とを硬化固定すると認められ、内管3は穿刺用中空針2内に収納され先端が中空針2の先端部に位置することから、内管3の先端は中空針2の先端よりも基端側にあると認められる。よって、引用文献13開示技術には「前記外筒の遠位側から前記内筒および前記針を突出させた状態で前記拡張可能部を拡張可能」であることは開示されていない。 (d)そして、「前記外筒の遠位側から前記内筒および前記針を突出させた状態で前記拡張可能部を拡張可能」な「前記内筒の遠位部のうち前記外筒から露出可能な部分に設けられた拡張可能部」については、甲第2、4-11号証にも開示されておらず、また甲第2、4-11号証から自明のことでもないし、かつ本願の優先日前における周知の技術であるとも認められない。 c 申立人意見書における申立人の主張について (a)申立人は、申立人意見書第6-7頁の「5-6.本件特許発明15の「取消理由2(進歩性)に対する特許異議申立人の意見」において、 『甲1発明(甲第1号証)に周知技術4(甲第3号証)を適用することは、論理付けができるか否かで判断すべきであること、および、「問題1」-「問題3」のいずれも失当であることから、対象特許の請求項15に係る発明は、依然として、甲第1号証および周知技術4(甲第3号証)に基づき、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。』 旨主張する。 (b)しかしながら、前記「b」で検討したとおり、「前記外筒の遠位側から前記内筒および前記針を突出させた状態で前記拡張可能部を拡張可能」な「前記内筒の遠位部のうち前記外筒から露出可能な部分に設けられた拡張可能部」については、周知技術4は備えていないし、甲第2、4-11号証及び引用文献12-13にも開示されておらず、また甲第2、4-11号証及び引用文献12-13から自明のことでもないし、かつ本願の優先日前における周知の技術であるとも認められない。 (c)以上のことから、甲1発明は前記相違点3に係る技術事項を備えておらず、周知技術4を甲1発明に採用したとしても、前項相違点3に係る技術事項を備えることにはならない。 (d)したがって、上記申立人の主張は採用することはできない。 d 小括 以上のことから、本件発明15は、甲1発明、甲第2-11号証に記載された技術、及び引用文献12-13に記載された事項から当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。 (イ)甲4発明を引用発明とした進歩性について a 対比 本件発明15と甲4発明とを比較する。 (a)甲4発明の「軟性内視鏡90」は、本件発明15の「内視鏡」に相当する。 (b)甲4発明の「軟性内視鏡90の処置具挿通チャンネル91」は、本件発明15の「内視鏡の鉗子チャンネル」に相当する。 (c)甲4発明の「内視鏡用組織採取具」は、「軟性内視鏡90の処置具挿通チャンネル91に通される」ものであるから、本件発明15の「内視鏡の鉗子チャンネルに挿入される内視鏡用処置具」に相当する。 (d)甲4発明の「内視鏡用組織採取具」の「可撓性のガイドチューブ30」は、ガイドチューブ30の内部に外套管20と針軸10が通されるものであるから、本件発明15の「長手軸方向に第1端と第2端を有し、前記長手軸方向に延在している内腔を有する外筒」に相当する。 (e)甲4発明の「外套管20」は、「針軸10に」対して「軸線方向に進退自在に被嵌」するものである。これと前記「(d)」より、甲4発明の「外套管20」は、本件発明15の「外筒の内腔に配置され、前記外筒に対して前記長手軸方向に移動可能であり、」「内腔を有する内筒」に相当する。 (f)甲4発明の「針軸10」は、「採取後は、針軸固定ネジ82を緩めて針軸10を引き出すことができる」ことから、外套管20に対して長手軸方向に移動可能であることは明らかである。これと、前記「(d)」より、甲4発明の「針軸10」は、本件発明15の「内筒の」「内腔に配置され、前記内筒に対して前記長手軸方向に移動可能な針」に相当する。 (g)以上のことから、甲4発明と本件発明15とは、 「内視鏡の鉗子チャンネルに挿入される内視鏡用処置具であって、 長手軸方向に第1端と第2端を有し、前記長手軸方向に延在している内腔を有する外筒と、 前記外筒の内腔に配置され、前記外筒に対して前記長手軸方向に移動可能であり、内腔を有する内筒と、 前記内筒の前記内腔に配置され、前記内筒に対して前記長手軸方向に移動可能な針と、 を備えた、 内視鏡用処置具。」 の点で一致し、以下の相違点4で相違する。 <相違点4> 内視鏡用処置具が、本件発明15は、「前記内筒の遠位部のうち前記外筒から露出可能な部分に設けられた拡張可能部」「を備え、」「前記外筒の遠位側から前記内筒および前記針を突出させた状態で前記拡張可能部を拡張可能」であるのに対し、甲4発明は、当該拡張可能部に相当する構成を備えていない点。 b 判断 上記相違点4について検討する。 上記相違点4は、前記「(ア)b」で検討した相違点3と同一の技術事項についてのものであり、「(ア)b」で説示したとおり、「前記外筒の遠位側から前記内筒および前記針を突出させた状態で前記拡張可能部を拡張可能」な「前記内筒の遠位部のうち前記外筒から露出可能な部分に設けられた拡張可能部」については、甲第1-3,5-11号証及び引用文献12-13にも開示されておらず、また甲第1-3,5-11号証及び引用文献12-13から自明のことでもないし、かつ本願の優先日前における周知の技術であるとも認められない。 c 申立人意見書における申立人の主張について (a)申立人は、申立人意見書第6-7頁の「5-6.本件特許発明15の「取消理由2(進歩性)」に対する特許異議申立人の意見」において、 『甲4発明(甲第1号証)に周知技術4(甲第3号証)を適用することは、論理付けができるか否かで判断すべきであること、および、「問題1」-「問題3」のいずれも失当であることから、対象特許の請求項15に係る発明は、依然として、甲第4号証および周知技術4(甲第3号証)に基づき、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。』 旨主張する。 (b)しかしながら、前記「b」で検討したとおり、「前記外筒の遠位側から前記内筒および前記針を突出させた状態で前記拡張可能部を拡張可能」な「前記内筒の遠位部のうち前記外筒から露出可能な部分に設けられた拡張可能部」については、甲第1-3,5-11号証及び引用文献12-13にも開示されておらず、また甲第1-3,5-11号証及び引用文献12-13から自明のことでもないし、かつ本願の優先日前における周知の技術であるとも認められない。 (c)以上のことから、甲4発明は前記相違点4に係る技術事項を備えておらず、周知技術4を甲4発明に採用したとしても、前項相違点4に係る技術事項を備えることにはならない。 (d)したがって、上記申立人の主張は採用することはできない。 d 小括 以上のことから、本件発明15は、甲4発明、甲第1-3,5-11号証に記載された技術、及び引用文献12-13に記載された事項から当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。 エ 取消理由通知書1に記載した取消理由2についてのまとめ 前記「ア-ウ」で検討したとおり、 (ア)本件発明1-15は、甲1発明、甲第2-11号証に記載された技術、及び引用文献12-13に記載された事項から当業者が容易になし得た発明であるとはいえないし、 (イ)本件発明15は、甲4発明、甲第1-3,5-11号証に記載された技術、及び引用文献12-13に記載された事項から当業者が容易になし得た発明であるとはいえない、 ことから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 したがって、取消理由通知書1に記載した取消理由2は、本件特許の請求項1-15に係る特許を取り消す理由とはならない。 (3)取消理由通知書2の取消理由1(進歩性)について ア 本件発明15について (ア)甲4発明との対比及び判断 本件発明15と甲4発明との対比及び判断は、前記「(2)ウ(イ)a-b」に示したとおりであり、本件発明15と甲4発明とは、相違点4で相違し、当該相違点4に係る技術事項は、甲第1-3,5-11号証及び引用文献12-13にも開示されておらず、また甲第1-3,5-11号証及び引用文献12-13から自明のことでもないし、かつ本願の優先日前における周知の技術であるとも認められない。 (イ)小括 以上のことから、本件発明15は、甲4発明、甲第1-3,5-11号証に記載された技術、及び引用文献12-13に記載された事項から当業者が容易になし得た発明であるとはいえない。 イ 取消理由通知書2に記載した取消理由1についてのまとめ 前記「ア」で検討したとおり、本件発明15は、甲4発明、甲第1-3,5-11号証に記載された技術、及び引用文献12-13に記載された事項から当業者が容易になし得た発明であるとはいえないことから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 したがって、取消理由通知書2に記載した取消理由1は、本件特許の請求項15に係る特許を取り消す理由とはならない。 (4)まとめ 以上のことから、当審において特許権者に通知した、取消理由通知書1に記載した取消理由1-2及び取消理由通知書2に記載した取消理由1は、すべて解消されており、本件特許の請求項1-15に係る特許を取り消す理由とはならない。 3.取消理由通知書において採用しなかった特許異議申立理由についての当審の判断 (1)取消理由通知書において採用しなかった特許異議申立理由について 申立人が異議申立書において申し立てた理由のうち、上記「第5 1.-2.」の取消理由通知書で採用した理由(異議申立理由1-2)以外の特許異議申立理由の概要は、前記「第4 3.(3)-(4)」にも記載した、以下のとおりである。 ア 異議申立理由3 本件訂正前の請求項1に係る発明は、「前記流体を通過可能な離隔部」を有しているが、「側孔24」のような「流体を通過可能」とする具体的な構成を含まずに「離隔部」のみによって流体を通過させる機能を具体的にどのように実現するかについては、本件明細書に記載されていない。したがって、本件特許発明1の技術的範囲は、本件明細書に記載された内容から当業者が裏付けることのできる範囲を超えているため、本件明細書に記載された内容によりサポートされていないものである。したがって、当該発明は、特許法第36条第6項第1号の要件を満たしておらず、当該発明の特許は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 イ 異議申立理由4 本件訂正前の請求項1に係る発明は、「前記流体を通過可能な離隔部」を有しているが、流体が離隔部を通過するためには、離隔部と接続して流体の受け渡し先となる構成が必要であるが、そのような構成が特定されていない。そのため、本件特許発明1において、流体が離隔部を通過可能であるかが当業者にとって明確に理解できない。したがって、当該発明は、明確であるとはいえず、それらの特許は特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 (2)当審の判断 前記「(1)」より、申立人が異議申立書において申し立てた異議申立理由3-4は、本件発明1における「前記流体を通過可能な離隔部」が不明確であるがゆえに、上記異議申立理由4の明確性違反のみならず、上記異議申立理由3のサポート要件違反の申立理由が生じたものといえる。よって、本件発明1における「前記流体を通過可能な離隔部」が不明確であるかどうかについて検討する。 ア 本件発明1を特定する請求項1の記載は、前記「第3」に示したとおりであり、本件訂正前の請求項1に記載された「前記流体を通過可能な離隔部」という記載は、本件訂正により、「前記流体を通過させる離隔部を有する」と訂正された。よって、本件発明1を特定する請求項1には「前記流体を通過可能な離隔部」という記載はない。 イ ここで、本件訂正により「前記流体を通過可能な離隔部」から変更された「前記流体を通過させる離隔部を有する」という記載が不明確であるかどうかについて検討する。「前記流体を通過させる離隔部を有する」という記載は、当該請求項1の、「前記針が前記内筒よりも遠位に突出している状態で、前記内筒は、前記内筒の内壁が前記針の外壁から離隔しており、前記流体を通過させる離隔部を有する」という記載の一部である。 ウ 「前記針が前記内筒よりも遠位に突出している状態で、前記内筒は、前記内筒の内壁が前記針の外壁から離隔しており、前記流体を通過させる離隔部を有する」については、前記「第2 1.(1)」で訂正事項1として検討した記載であり、前記「第2 2.(1)ウ」で説示したとおり、本件出願の願書に添付された明細書及び図面に記載した事項である。よって、当該記載が不明確であるとはいえず、当該記載に対応する技術事項は本件出願の明細書及び図面に記載されていると認められる。 エ 以上のことから、本件発明1を特定する請求項1には「前記流体を通過可能な離隔部」という記載はなく、当該記載から訂正された「前記流体を通過させる離隔部」については、不明確であるとはいえず、また本件出願の明細書及び図面に記載された事項であると認められるから、本件発明1は、特許法第36条第6項第1号及び同法同条同項第2号に規定する要件を満たしていないとはいえない。 (3)まとめ したがって、取消理由通知書1及び取消理由通知書2において採用しなかった特許異議申立理由である、異議申立理由3-4については、いずれも本件特許の請求項1に係る特許を取り消す理由とはならない。 第8 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知書1及び2に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1-15に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1-15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2025-700788

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