特許異議申立
2024-701093
支持枠およびCT検出装置
- 審判番号
- 2024-701093
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-573507
- 登録番号
- 7481504
- 請求日
- 2024年11月11日
- 審決日
- 2025年08月19日
- 公報発行日
- 2025年11月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】清華大学
- 【権利者代理人】岡部 博史
- 【権利者代理人】稲葉 和久
- 【権利者代理人】吉村 志聡
- 【権利者】同方威視技術股▲分▼有限公司
- 【権利者代理人】岡部 博史
- 【権利者代理人】稲葉 和久
- 【権利者代理人】吉村 志聡
- 【異議申立人】シュライフリング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
- 【異議申立人代理人】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
- 【異議申立人代理人】前川 純一
- 審判長/審判官
- 審判長 南 宏輔
- 審判官 藏田 敦之
- 審判官 三崎 仁
- 分類
- P1651.113-YAA(A61B) / P1651.121-YAA(A61B) / P1651.537-YAA(A61B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の2第1項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第113条第2号、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第1項、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7481504号発明「支持枠およびCT検出装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7481504号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-8〕について訂正することを認める。
特許第7481504号の請求項1~3及び5~8に係る特許を維持する。
特許第7481504号の請求項4に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7481504号の請求項1~8に係る特許についての出願は、2021年(令和3年)5月25日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2020年5月29日)を国際出願日とする出願であって、令和6年4月30日に特許権の設定登録がされ、同年6月10日に特許掲載公報が発行された。そして、本件特許の請求項1~8に係る特許に対して、同年11月11日に特許異議申立人 シュライフリング ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。
その後の経緯は、概略以下のとおりである。
令和7年 1月20日付け:取消理由通知書
同年 4月22日 :特許権者による訂正請求書及び意見書の提出
同年 5月 7日 :特許権者による手続補正書(方式)の提出
同年 7月 4日 :申立人による意見書の提出
第2 訂正の適否
1 訂正の内容
本件訂正請求書による請求の趣旨は、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕について訂正することを求めるものであり、その内容(訂正事項)は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示している。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1に「横断面が、上が狭く下が広くなり、上部が前記本体部に接続され、下部が前記ベースに接続されている接続部と、を含み」と記載されているのを、「横断面が、上が狭く下が広くなり、上部が前記本体部に接続され、下部が前記ベースに接続されている接続部と、前記軸受取付孔の外縁から下方へ前記本体部の底部および前記接続部を経由して前記ベースまで延びる複数の第二補強リブと、を含み」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項2、3及び5~8も同様に訂正する。)。
(2)訂正事項2
特許請求の範囲の請求項4を削除する。
(3)訂正事項3
特許請求の範囲の請求項5の「請求項4に記載の支持枠」と記載されているのを、「請求項2に記載の支持枠」に訂正する。
2 訂正の目的の適否、特許請求の範囲の拡張・変更の存否、新規事項の有無
(1)訂正事項1について
訂正事項1は、「支持枠」の構成を特定するための事項である「前記軸受取付孔の外縁から下方へ前記本体部の底部および前記接続部を経由して前記ベースまで延びる複数の第二補強リブ」を直列的に付加して限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、そして、当該限定は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
さらに、当該限定は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項4に記載されている「複数の第二補強リブをさらに含み、各第二補強リブは、前記軸受取付孔の外縁から下方へ前記本体部の底部および前記接続部を経由して前記ベースまで延びる」との技術事項に基づいていることから、訂正事項1は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(2)訂正事項2について
訂正事項2は、請求項を削除するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、そして、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
(3)訂正事項3について
訂正前の請求項5は、請求項4を引用しており、その請求項4は請求項1を引用する請求項2を引用していたところ、上記訂正事項2により請求項4が削除されたことにともない、訂正事項3によって請求項5は、訂正後の請求項1を引用する請求項2を引用することとしたものである。ここで、上記(1)で述べたように訂正前の請求項4に記載されている技術事項は、訂正後の請求項1の限定事項となっており、訂正後の請求項1を引用する請求項2を引用する請求項5に係る発明は、結局のところ、訂正前の請求項1を引用する請求項2を引用する請求項4を引用する請求項5に係る発明と実質的に同じであることから、訂正事項3は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
また、訂正事項3は、上で述べたとおり、訂正事項2により請求項4が削除されたことにともない、訂正後の請求項1を引用する請求項2を引用することとしたものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものといえる。
そして、上で述べたとおり、訂正後の請求項1を引用する請求項2を引用する請求項5に係る発明は、訂正前の請求項1を引用する請求項2を引用する請求項4を引用する請求項5に係る発明と実質的に同じであることから、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものである。
3 一群の請求項について
訂正前の請求項2~8は請求項1を直接的又は間接的に引用するものであり、請求項1~8は一群の請求項であるところ、上記訂正事項1~3は、当該一群の請求項に請求されているものであるから、訂正事項1~3は、特許法第120条の5第4項に適合するものである。
4 訂正についてのまとめ
上記のとおり、訂正事項1~3に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号又は第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
よって、特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~8〕について訂正することを認める。
第3 本件発明及び本件明細書等
1 本件発明
本件訂正請求により訂正された請求項1~3及び5~8に係る発明(以下順に「本件発明○」といい、まとめて「本件発明」ともいう。なお、請求項4は訂正により削除されている。)は、令和7年5月7日に提出された手続補正書(方式)によって補正された訂正特許請求の範囲の各請求項に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
CT検出装置の回転フレームを支持するように構成されている支持枠であって、
軸受取付孔を含み、前記CT検出装置のスリップリング軸受が前記軸受取付孔内に配置され、前記回転フレームが前記スリップリング軸受に回転可能に設置されている本体部と、
前記本体部の底部に位置し、前記本体部を支持するように構成されているベースと、
横断面が、上が狭く下が広くなり、上部が前記本体部に接続され、下部が前記ベースに接続されている接続部と、
前記軸受取付孔の外縁から下方へ前記本体部の底部および前記接続部を経由して前記ベースまで延びる複数の第二補強リブと、
を含み、
前記接続部の横断面は、途中から両側に分岐するように形成されている、
支持枠。
【請求項2】
前記本体部の周辺に配置され、前記本体部の軸方向に沿って外方へ延びる第一支持板と、
複数の第一補強リブであって、各第一補強リブの一側が前記第一支持板の側面に接続され、各第一補強リブの前記一側に繋がる他側が前記本体部に接続されている、複数の前記第一補強リブと、をさらに含む、
請求項1に記載の支持枠。
【請求項3】
前記第一支持板は、前記軸受取付孔の上方に設置され、半円形に形成され、
複数の第一補強リブは、前記第一支持板の円周方向に沿って均等に配置されている、
請求項2に記載の支持枠。」
「【請求項5】
前記ベースの内部には、複数の第三補強リブが設置され、
前記第三補強リブは、十字形に形成されている、
請求項4に記載の支持枠。
【請求項6】
前記支持枠は、
一体鋳造成形の方式で製造され、または、
前記本体部および前記ベースが二つの別々の独立した部品に製造されてから、二つの部品が接続されて一つの部品を構成する、
請求項1に記載の支持枠。
【請求項7】
放射源および検知器が設置されている回転フレームと、
スリップリング軸受と、
請求項1-6のいずれか一項に記載の前記支持枠と、を含む、
CT検出装置。
【請求項8】
前記CT検出装置を共同で支持するように、前記ベースと一体に組み立てられた少なくとも一つのベース延伸部をさらに含む、
請求項7に記載のCT検出装置。」
2 本件明細書等
明細書には訂正がなかったことから、本件特許明細書を以下「本件明細書」といい、その内容を抜粋すると、以下のとおりである。なお、下線は当審で付与した。
(本ア)「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、比較的に低い重量で十分な剛性および強度を実現でき、検出装置の安定化に有利な改良された支持枠および該支持枠を含むCT検出装置を提供している。」
「【0019】
本開示の実施例において、物品の検出通過率の要求が高まるにつれて、回転フレームにおける回転子の回転速度もそれに応じて速くなり、物品の体積の増大につれて、回転フレームの重量もますます大きくなる。回転フレームに放射源、検知器および他の電子機器が取り付けられており、これらの機器が一定の重量を有し、かつ分布が不均一であるので、回転子の高速回転および頻繁な起動停止により、その振動の発生を避けられない。このような振動は、結像品質に影響を与えるだけでなく、支持枠に伝達されて検出装置全体の安定性に悪影響を与える。これは、支持枠を含む構造部品が高い剛性および強度を有することを要求する。一方、移動性を向上させ、取り付けおよび調整の作業量を軽減させるなどの観点から、支持枠などの構造部品の重量を低減することも本分野の重要な要求となる。したがって、如何にして減量するとともに支持枠が高い強度および剛性を有することを保証するかは、早急に解決すべき技術課題である。」
(本イ)「【0005】
本開示の一態様によれば、CT検出装置の回転フレームを支持するように構成されている支持枠を提供しており、軸受取付孔を含み、前記CT検出装置のスリップリング軸受が前記軸受取付孔内に配置され、前記回転フレームが前記スリップリング軸受に回転可能に設置されている本体部と、前記本体部の底部に位置し、前記本体部を支持するように構成されているベースと、横断面が上が狭く下が広くなり、上部が前記本体部に接続され、下部が前記ベースに接続されている接続部と、を含む。
【0006】
本開示の例示的な実施例によれば、前記接続部の横断面は、人字形、逆T形または逆の樹枝状に形成されている。
【0007】
本開示の例示的な実施例によれば、支持枠は、前記本体部の周辺に配置され、前記本体部の軸方向に沿って外方へ延びる第一支持板と、複数の第一補強リブであって、各第一補強リブの一側が前記第一支持板の側面に接続され、各第一補強リブの前記一側に繋がる他側が前記本体部に接続されている、前記複数の第一補強リブと、をさらに含む。
【0008】
本開示の例示的な実施例によれば、前記第一支持板は、前記軸受取付孔の上方に設置され、半円形に形成され、複数の第一補強リブは、前記第一支持板の円周方向に沿って均等に配置されている。
【0009】
本開示の例示的な実施例によれば、支持枠は、前記軸受取付孔の外縁から下方へ前記本体部の底部および前記接続部を経由して前記ベースまで延びる複数の第二補強リブをさらに含む。
【0010】
本開示の例示的な実施例によれば、前記ベースの内部には、複数の第三補強リブが設置され、前記第三補強リブは、十字形に形成されている。
【0011】
本開示の例示的な実施例によれば、前記支持枠は、一体鋳造成形の方式で製造され、または、前記本体部および前記ベースが二つの別々の独立した部品に製造されてから、二つの部品が接続されて一つの部品を構成する。」
(本ウ)「【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本開示の実施例に係るCT検出装置の斜視図
【図2】図1に示すCT検出装置の側面図
【図3】図1に示すCT検出装置の正面図
【図4】図1に示すCT検出装置の底面図
【図5】本開示の実施例に係る支持枠の斜視図
【図6】図5に示す支持枠の正面図
【図7】図5に示す支持枠の底面図
【図8】本開示の第一実施例に係る支持枠の図6における方向AAに沿って切断された横断面図
【図9】本開示の第二実施例に係る支持枠の図6における方向AAに沿って切断された横断面図
【図10】本開示の第三実施例に係る支持枠の図6における方向AAに沿って切断された横断面図」
(本エ)「【0024】
図5-10に示すように、支持枠10は、本体部11、ベース13および接続部14という三つの部材を含む。本体部11は、軸受取付孔12を含み、スリップリング軸受20は、軸受取付孔12内に配置されている。ベース13は、本体部11の底部に位置し、本体部11を支持するように構成されている。図8の紙面に平行な方向に沿って切断された接続部14の横断面は、上が狭く下が広くなり、接続部14の上部が本体部11に接続され、接続部14の下部がベース13に接続されている。このような構成で、本開示の実施例の支持部材は、比較的に低い重量で十分な剛性および強度を実現でき、さらに回転フレームの振動を低減している。」
「【0031】
図5に示すように、支持枠10は、さらに複数の第二補強リブ17を含む。第二補強リブ17は、支持部材10の強度および剛性を向上させることができる。第二補強リブ17は、軸受取付孔12の外縁から下方へ本体部11の底部および連結部14を経由してベース13まで延びている。図示された実施例において、複数の第二補強リブ17は、扁平な形状になり、かつ互いに均一に離間されている。」
(当審注:ここで「第二補強リブ17は、軸受取付孔12の外縁から下方へ本体部11の底部および連結部14を経由してベース13まで延びている。」における「連結部14」について、図面番号14は「接続部」であり、本件明細書のその余の記載ではすべて「接続部」と記載されていることから、「接続部14」の誤記であるといえる。)
(本オ)【図5】、【図6】及び【図8】~【図10】として以下の図面が記載されている。
「【図5】
[図:0001429014000001.jpg]
【図6】
[図:0001429014000002.jpg]
【図8】
[図:0001429014000003.jpg]
【図9】
[図:0001429014000004.jpg]
【図10】
[図:0001429014000005.jpg]
」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 令和7年1月20日付け取消理由通知に記載した取消理由は、取消理由1(明確性)及び取消理由2(サポート要件)であり、概略は以下のとおりである。なお、取消理由1及び2については、特許法第120条の2第1項で規定する職権審理によるものである。
(1)取消理由1(明確性)
本件特許は、特許請求の範囲の下記の請求項に係る記載が、特許法第36条第6項第2号に規定にする要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
・訂正前の請求項1~3,6~8
請求項1に係る発明において、「接続部」について、「上部が前記本体部に接続され、下部が前記ベースに接続されている接続部」と特定されているが、例えば、上部が本体部の側面に接続され、下部がベースに接続されるという、本体部とベース部とが直接接続する態様での「接続部」を含むものとも解される一方で、上記第3の2で摘記した本件明細書の【0031】には「第二補強リブ17は、軸受取付孔12の外縁から下方へ本体部11の底部および接続部14を経由してベース13まで延びている。」との記載があり、当該記載からは、本体部の底部に「接続部」があり、それを経由してベース部に至る、すなわち、本体部とベース部との間に「接続部」があり、本体部とベース部とが直接接続する態様での「接続部」ではないとも解される。
そうすると、請求項1に係る発明において、「接続部」の技術的事項が一義的に解されないことから、請求項1に係る発明、並びにそれを引用する請求項2、3及び6~8に係る発明は不明確である。
なお 、請求項4及び5(請求項4を引用していることから)については、この限りではない。
(2)取消理由2(サポート要件)
本件特許は、特許請求の範囲の下記の請求項に係る記載が、特許法第36条第6項第1号に規定にする要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
・訂正前の請求項1~3、6~8
上記第3の2で摘記した本件明細書及び図面には、本体部とベース部とが直接接続する態様での「接続部」は記載されておらず、本体部の底部に「接続部」があり、それを経由してベース部に至る、すなわち、本体部とベース部との間に「接続部」がある態様のみ記載されている。
そして、本体部とベース部とが直接接続する態様である本件明細書及び図面には記載されていない態様によって、上記本件明細書の【0024】に記載の「比較的に低い重量で十分な剛性および強度を実現でき、さらに回転フレームの振動を低減している」という効果を達成できるとはいえず、上記本件明細書の【0004】に記載の本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものとはいえない。
一方、請求項1に係る発明は、上記取消理由1で述べたように、上記本体部とベース部とが直接接続する態様での「接続部」を含むものとも解され、本件発明の課題を解決できると認識できる範囲を超えたものであるから、請求項1に係る発明、並びにそれを引用する請求項2、3及び6~8に係る発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。
なお、請求項4及び5(請求項4を引用していることから)については、この限りではない。
2 取消理由1及び2に対する当審の判断
上記第2で述べたように、訂正事項1により、本件発明1は「前記軸受取付孔の外縁から下方へ前記本体部の底部および前記接続部を経由して前記ベースまで延びる複数の第二補強リブ」(訂正前の請求項4において特定される技術事項)についても特定されたことから、本体部とベース部とが直接接続する態様での「接続部」は含まないものとなったことから、もはや、取消理由1及び2によって、本件発明1~3及び5~8に係る特許を取り消すことはできない。
第5 特許異議申立理由について
申立人は、証拠方法として甲第1号証~甲第5証(以下「甲第○号証」は「甲○」という。)を提示し、特許異議申立書において、要すれば、本件発明1~7は、甲1~甲4に記載された発明のいずれかの発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、あるいは、本件発明1~8は、甲1~甲4に記載された発明のいずれかの発明に基づいて、さらには甲1~甲5に記載された事項を参照して、当業者が容易に発明をすることができたものであることを主張し、そして、本件発明1~8に係る特許は、特許法第29条第1項、あるいは特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものであることを主張している。
<証拠方法>
甲1:中国特許出願公開第105805172号公報
甲2:中国特許出願公開第104490414号公報
甲3:中国特許出願公開第111184526号公報
甲4:特表2015-528576号公報
甲5:中国実用新案出願公開第202428187号公報
第6 甲号証の記載
甲1~3及び5については、原文が中国語であることから、それらについて文章を摘記する際には、原文の記載箇所とその訳文(申立人が提出した訳文参照)を記載することとする。
1 甲1について
(1)記載事項
甲1には、以下の事項が記載されている。なお、訳文に付した下線は当審において付与したものである(以下同様)。
(甲1ア)原文の[0002]
「背景技術
[0002] 現在、従来のX線CT検査装置では、X線源及び検出器は回転フレーム(回転子)に取り付けられ、該回転フレームはスリップリング軸受を介して支持フレームに取り付けられ、その中心軸線を中心に回転可能であり、それにより断層走査を実現する。スリップリング軸受支持フレームは回転フレームを支持し、CT装置の重要な構造部材である。」
(甲1イ)原文の[0020]~[0022]
「図面の簡単な説明
[0020] 図1は本発明の実施例に係るCTのスリップリング軸受用の支持フレームの構造模式図である。
[0021] 図2は図1のA-A面の断面図である。
[0022] 図面において、1 スリップリングブラケット本体パネル、2 外輪支持板、3 内輪支持板、4 T字形補強リブ、5 補強小リブ、6 端面補強リブ板、7 底板、8 横仕切板、9 十字補強リブ、10 軸受取付孔。
(甲1ウ)原文の[0025]~[0031]
「[0025] 図1及び図2に示すように、本実施例に係るCTのスリップリング軸受用の支持フレームは、スリップリングブラケット本体パネル1を含み、上半分のスリップリングブラケット本体パネル1は半円形板であり、下半分のものは矩形板であり、スリップリングブラケット本体パネル1の中心には軸受スリップリングを取り付けるための軸受取付孔10が設けられ、スリップリングブラケット本体パネル1の底部にはスリップリングブラケット本体パネル1を支持するための底板7が設けられ、スリップリングブラケット本体パネル1の周辺(底辺を除く)には、スリップリングブラケット本体パネル1に垂直な外輪支持板2が周囲にわたって設けられ、スリップリングブラケット本体パネル1の外輪支持板2と軸受取付孔10との間にはスリップリングブラケット本体パネル1に垂直な内輪支持板3が周囲にわたって設けられ、外輪支持板2及び内輪支持板3の両端はいずれもスリップリングブラケット本体パネル1の両側から突出する。
[0026] 外輪支持板2と内輪支持板3との間に複数のT字形補強リブ4が設けられ、T字形補強リブ4はそれぞれスリップリングブラケット本体パネル1、外輪支持板2及び内輪支持板3に接続され、開口したボックス構造を形成し、ボックス構造は力学的に曲げ抵抗、ねじり抵抗性能が最もよく、それにより支持フレーム全体の曲げ抵抗、ねじり抵抗の性能を向上させ、複数のT字形補強リブ4は円周方向に沿って均一に分布している。
[0027] 内輪支持板3と軸受取付孔10との間に複数の補強小リブ5が設けられ、補強小リブ5はそれぞれスリップリングブラケット本体パネル1及び内輪支持板3に接続され、複数の補強小リブ5は円周方向に沿って均一に分布している。
[0028] 外輪支持板2の一端にはスリップリングブラケット本体パネル1に平行する端面補強リブ板6が周囲にわたって設けられ、端面補強リブ板6は外輪支持板2と同様に半周以上設置され、外輪支持板2の剛性を高めるためである。
[0029] スリップリングブラケット本体パネル1の底板7の上方には底板7に平行する横仕切板8が設けられ、横仕切板8と底板7との間に複数の縦方向補強リブが設けられ(図示せず)、前記縦方向補強リブはそれぞれスリップリングブラケット本体パネル1、横仕切板8及び底板7に接続され、複数の縦方向補強リブは均一に分布しており、横仕切板8、底板7及び横仕切板8と底板7との間の前記縦方向補強リブも開口したボックス構造を形成した。
[0030] 横仕切板8の上方に十字補強リブ9が設けられ、十字補強リブ9はそれぞれスリップリングブラケット本体パネル1、外輪支持板2、内輪支持板3及び横仕切板8に接続される。
[0031] 本実施例に係るCTのスリップリング軸受用の支持フレームは一体に鋳造成形する方式で製造されてもよく、各部を溶接する方式で製造されてもよい。」
(甲1エ)原文の[0034]
「[0034] 本発明に係るCTのスリップリング軸受用の支持フレームは支持フレームの構造形態を改善することによって、即ち、外輪支持板及び内輪支持板を設置し、外輪支持板と内輪支持板との間にT字形補強リブを設置し、内輪支持板と軸受取付孔との間に補強小リブを設置し、底板の上方に横仕切板を設置し、横仕切板と底板との間に縦方向補強リブを設置し、横仕切板の上部に十字補強リブを設置すること等によって、最小の重量で最大の剛性及び強度を達成し、低い重量で十分な剛性、強度を達成するという目的を実現し、それにより回転部材の振動を減少させる。」
(甲1オ)図1として以下の図面が記載されている。
[図:0001429014000006.jpg]
(2)甲1発明
(甲1イ)によれば、CTのスリップリング軸受用の支持フレームは、外輪支持板2、内輪支持板3、底板7、横仕切板8、十字補強リブ9、軸受取付孔10を含むことが記載されている。
そして、これらの部材について、(甲1ウ)の下線部を参照して、甲1発明を認定すると以下のとおりである。
「CTのスリップリング軸受用の支持フレームであって、
スリップリングブラケット本体パネル1を含み、スリップリングブラケット本体パネル1の中心には軸受スリップリングを取り付けるための軸受取付孔10が設けられ、
スリップリングブラケット本体パネル1の底部にはスリップリングブラケット本体パネル1を支持するための底板7が設けられ、
スリップリングブラケット本体パネル1の周辺(底辺を除く)には、スリップリングブラケット本体パネル1に垂直な外輪支持板2が周囲にわたって設けられ、スリップリングブラケット本体パネル1の外輪支持板2と軸受取付孔10との間にはスリップリングブラケット本体パネル1に垂直な内輪支持板3が周囲にわたって設けられ、
スリップリングブラケット本体パネル1の底板7の上方には底板7に平行する横仕切板8が設けられ、横仕切板8の上方に十字補強リブ9が設けられ、十字補強リブ9はそれぞれスリップリングブラケット本体パネル1、外輪支持板2、内輪支持板3及び横仕切板8に接続される、
CTのスリップリング軸受用の支持フレーム。」(以下「甲1発明」という。)
2 甲2について
甲2には、以下の事項が記載されている。
(甲2ア)原文の[0006]~[0009]
「発明の概要
[0006] 本発明が解決しようとする技術問題は、如何にスリップリングの起動速度を速くし、停止速度を速くし、消費電力を低減させるかである。
[0007] 上記発明の目的を実現するために、本発明はCT用のスリップリング駆動構造を提供し、スリップリングブラケット、スリップリング、第1駆動装置、第2駆動装置及び伝動装置を含み、
[0008] 前記スリップリングは前記スリップリングブラケットに回転可能に固定され、前記伝動装置は前記スリップリングと同軸に固定して接続され、前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置は上記スリップリングブラケットに固定され、前記第1駆動装置及び前記第2駆動装置は前記伝動装置に伝動接続され、
[0009] 前記第1駆動装置と前記第2駆動装置は同方向に駆動する。」
(甲2イ)原文の[0023]~[0024]
「[0023] 図1は本発明に係るスリップリング駆動構造の模式図である。
[0024] 図2は本発明に係るスリップリング駆動構造の断面図である。」
(甲2ウ)原文の[0026]
「[0026] 図1及び図2に示すように、本発明はCT用のスリップリング駆動構造を提供し、スリップリングブラケット1、スリップリング2、第1駆動装置4、第2駆動装置6及び伝動装置を含み、スリップリング2はスリップリングブラケット1に回転可能に固定され、伝動装置はスリップリング2と同軸に固定して接続され、第1駆動装置4及び第2駆動装置6は上記スリップリングブラケットに固定され、第1駆動装置4及び第2駆動装置6は伝動装置に伝動接続され、第1駆動装置4と第2駆動装置6は同方向に駆動する。」
(甲2エ)図1として、以下の図面が記載されている。
[図:0001429014000007.jpg]
2 甲3について
甲3には、以下の事項が記載されている。
(甲3ア)原文の[0005]~[0010]
「発明の概要
[0005] 本発明の実施例はCT走査フレーム及びCT本体を提供し、従来のCT本体の回転過程に遭遇した上記技術問題の1つを解決する。
[0006] 本発明の具体的な実施形態によれば、第1態様では、本発明はCT走査フレームを提供し、支持フレーム1及び固定システム2を含み、前記支持フレーム1は平面軸受11及び補助軸受12を含み、前記平面軸受11は前記支持フレーム1の下方に位置し、前記補助軸受12は前記支持フレーム1の上方に位置し、前記固定システム2は前記平面軸受11と補助軸受12との間に接続され、前記固定システム2は、前記平面軸受11と補助軸受12とが形成する軸線を中心に水平方向の一定の角度範囲内で回転する。
[0007] 選択可能に、前記支持フレーム1は水平支持板13と、前記水平支持板13に沿って上向きに延伸する垂直支持板14と、前記垂直支持板14に沿って横方向に延伸する補助支持板15と、を含み、前記平面軸受11は前記フラット支持板13に上向きに設置され、前記補助軸受12は前記補助支持板15に下向きに設置される。
[0008] 選択可能に、前記水平支持板13と前記固定システム2との間に固定して接続された直線プッシュロッド3をさらに含み、前記固定システム2は前記直線プッシュロッド3に押されて水平回転を実現する。
[0009] 選択可能に、前記固定システム2は、本体ベース21と、前記本体ベース21と一体成形された固定板アセンブリ22と、を含む。
[0010] 選択可能に、前記固定板アセンブリ22は、前記固定板アセンブリ22の中心に位置する第1円孔223と、前記第1円孔223を取り囲む複数の第2円孔224と、を含む。」
(甲3イ)原文の[0020]~[0023]
「[0020] 図1は本発明の実施例に係るCT走査フレームの第1立体構造概略図である。
[0021] 図2は本発明の実施例に係るCT走査フレームの第2立体構造概略図である。
[0022] 図3は本発明の実施例に係る固定システムの第1立体構造概略図である。
[0023] 図4は本発明の実施例に係る固定システムの第2立体構造概略図である。」
(甲3ウ)原文の[0036]
「[0036] 図3に示すように、前記固定システム2は、本体ベース21と、前記本体ベース21と一体成形された固定板アセンブリ22と、を含み、本体ベース21と固定板アセンブリ22を一体成形することによって支持重量を増加させ、組立部品を減らすことができる。悪い実施形態として、前記本体ベース21と固定板アセンブリ22は溶接プロセスによって分離できない一体構造を形成することもでき、前記本体ベース21は、水平支持板211と、前記水平支持板211の両側に沿って上向きに延伸する垂直支持板212と、を含み、前記固定板アセンブリ22は前記垂直支持板212に垂直に設置され、前記固定板アセンブリ22は、前記固定板アセンブリ22の中心に位置する第1円孔223と、前記第1円孔223を取り囲む複数の第2円孔224と、を含む。第1円孔223は前記固定板アセンブリ22に垂直に延伸する一定の深さを有し、固定板アセンブリ22の裏面に環状の縁部(図示せず)が突出し、固定板アセンブリ22の正面は固定板アセンブリ22と面一である。前記第1円孔223の孔径は前記第2円孔224の孔径より大きい。第1円孔223は人体を通過させて医学的走査を行うことに用いられる。第2円孔224は他の電気機器を取り付けることに用いられる。」
(甲3エ)図3として以下の図面が記載されている。
[図:0001429014000008.jpg]
4 甲4について
甲4には、以下の事項が記載されている。
(甲4ア)「【技術分野】
【0002】
本発明は、荷物の保安検査用CTシステムに用いられる検知装置に関する。より具体的には、本発明は、高速かつサイズの小さいCT結像の技術に用いられる検知装置に関し、最適なデバイス外形のサイズを保証するというニーズに応じる上で、高い走査速度を図ることができる。また、本発明は、上記検知装置を含む荷物の保安検査用CTシステムに関する。」
(甲4イ)「【図面の簡単な説明】
【0031】
図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る荷物の保安検査用CTシステムを説明する。
【図1】本発明の具体的な実施形態による保安検査用CTシステム全体を示す模式図
【図2】保安検査用CTシステムの主な組成部材を示す斜視模式図
【図3】垂直走査通路の検知ユニットの配置を示す模式図
【図4】図3の検知ユニットの具体的な構成を拡大して示す模式図
【図5】平面視での検知装置の構成を示す模式図」
(甲4ウ)「【0035】
図2及び図3に示すように、本発明は、CT走査技術の目的である荷物を走査して被走査体の画像を得ることを出発点として、荷物通路の中心点22を元に検知アーム台5を配列し、走査通路の中心点22を円周の中心とする検知アーム台5上に、検知ユニットを連続に配列している。一実施例においては、スリップリング3の回転中心と検知ユニット20の配列中心点とを重ね合わせることによって、CT スリップリング3の回転体の回転直径を効率的に減少させ、回転可能なCT条件での機器サイズの最小化を図ることができる。」
(甲4エ)「【0039】
図2に示すように、上記のCTシステムにおいては、検知アーム台5を、スリップリングシステム3の回転可能な検知アーム台の実装板12に実装しており、検知アーム台の実装板12は、スリップリング支持体13に実装され、スリップリング駆動モータ14によって駆動されている。そして、検知ユニット20、CTのX線ソース8、CTの第1のコリメーター9、及び、第2のコリメーター10は、検知アーム台5に実装されている。上記する具体的な実施例においては、システムは、ただ一つの検知アーム台5を備え、それは封止されたケースで、内部にデータ収集/制御モジュール34が実装されており、全てのCTデータ収集は、一つのデータ収集モジュール及び制御モジュールを使用しても良い。さらに、収集されたデータ全体は、同じアルゴリズムによって処理されてもよい。これにより、CT機器が走査操作を実行するスピードを向上し、データに対する伝送及び処理のスピードを向上することができる。」
(甲4オ)図2として以下の図面が記載されている。
[図:0001429014000009.jpg]
5 甲5について
甲5には、以下の事項が記載されている。
(甲5ア)原文の[0002]
「背景技術
[0002] 従来の高速マシニングセンタのベッドにはいずれもコラムが設けられており、コラムに加工装置を取り付けてワークを加工することができる。しかしながら従来のコラムはベッドに取り付けられたとき、ベッドとの接触面積が小さいためしっかりと取り付けられず、力を受けると不安定であり、高速マシニングセンタの正常な稼働に影響する。」
(甲5イ)原文の[0006]
「[0006] 本考案の高速マシニングセンタの「人」字型コラムは本体部の下方に「人」字型の支持フレームが設けられているため、ベッドに取り付けたときのベッドとの接触面積を増大させることができ、力を受けたときに安定しており、しっかりと取り付けられ、高速マシニングセンタの正常な稼働を保証することができる。」
第7 申立理由に対する当審の判断
1 甲1を主引用例とした場合
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
(ア)甲1発明の「CTのスリップリング軸受用の支持フレーム」は、(甲1ア)によれば、回転フレームを支持するものであるから、本件発明1の「CT検出装置の回転フレームを支持するように構成されている支持枠」に相当する。
(イ)(甲1ア)によれば、「軸受スリップリング」は回転フレームが回転可能なように設置させるものであるから、甲1発明の「中心には軸受スリップリングを取り付けるための軸受取付孔10が設けられ」ている「スリップリングブラケット本体パネル1」は、本件発明1の「軸受取付孔を含み、前記CT検出装置のスリップリング軸受が前記軸受取付孔内に配置され、前記回転フレームが前記スリップリング軸受に回転可能に設置されている本体部」に相当する。
(ウ)甲1発明の「スリップリングブラケット本体パネル1を支持するため」に「スリップリングブラケット本体パネル1の底部に」「設けられ」ている「底板7」は、本件発明1の「前記本体部の底部に位置し、前記本体部を支持するように構成されているベース」に相当する。
(エ)甲1発明の「スリップリングブラケット本体パネル1、外輪支持板2、内輪支持板3及び横仕切板8に」「それぞれ」「接続される十字補強リブ9」と、本願発明1の「前記軸受取付孔の外縁から下方へ前記本体部の底部および前記接続部を経由して前記ベースまで延びる複数の第二補強リブ」とは、(甲1オ)の図1より甲1発明の「十字補強リブ9」が複数あり、それらを「第二」と呼称するならば、両者は「複数の第二補強リブ」という部材として共通しているといえる。
(オ)一致点・相違点
上記(ア)~(エ)を踏まえると、本件発明1と甲1発明とは、
(一致点)
「CT検出装置の回転フレームを支持するように構成されている支持枠であって、
軸受取付孔を含み、前記CT検出装置のスリップリング軸受が前記軸受取付孔内に配置され、前記回転フレームが前記スリップリング軸受に回転可能に設置されている本体部と、
前記本体部の底部に位置し、前記本体部を支持するように構成されているベースと、
複数の第二補強リブと、
を含む、支持枠。」の点で一致し、
以下の点で相違する。
(相違点)
本件発明1では、「横断面が、上が狭く下が広くなり、上部が前記本体部に接続され、下部が前記ベースに接続されている接続部」があり、「前記接続部の横断面は、途中から両側に分岐するように形成されている」ものであり、複数の第二補強リブが「前記軸受取付孔の外縁から下方へ前記本体部の底部および前記接続部を経由して前記ベースまで延び」るものであるのに対し、
甲1発明では、そもそも「部材」として「接続部」は記載されておらず、複数の第二補強リブが「前記軸受取付孔の外縁から下方へ」「前記ベースまで延びる」とともに「前記本体部の底部および前記接続部を経由して」いない点。
イ 相違点の判断
(ア)上記相違点における「接続部」について判断するにあたり、上記相違点を構成する「前記軸受取付孔の外縁から下方へ」「前記ベースまで延びる」複数の第二補強リブが「前記本体部の底部および前記接続部を経由して」いるという技術的事項について検討する。
まず、本件発明1における「接続部」とは、(本エ) の【0024】に「支持枠10は、本体部11、ベース13および接続部14という三つの部材を含む」と記載されているとおり「部材」である。また、「底」とは一般に「物のいちばん下」を意味する(例えば、デジタル大辞泉(小学館)等)ことから、「本体部の底部」とは、(本オ)の図6において方向AAと円形の「本体部」が交差する一番下のところの部分を意味しているといえる。そして、「接続部」の部材番号「14」が示されている図面は(本オ)の図8~図10であるところ、これら図8~図10は、図6における方向AAに沿って切断された横断面図であることを踏まえ、「前記軸受取付孔の外縁から下方へ」「前記ベースまで延びる」複数の第二補強リブが「前記本体部の底部および前記接続部を経由して」いるという技術的事項を「接続部」に着目してみると、「接続部」は、「本体部」の一番下である「底部」から「下方へ」「ベースまで」接続している「部材」を少なくとも含むものであるといえる。
(イ)ア(オ)の(相違点)のところで述べたように、甲1には、そもそも「部材」として「接続部」は記載されていないものであるから、甲1発明において、本件発明1で特定される「接続部」、すなわち上記(ア)で述べた本体部の一番下である「底部」から「下方へ」「ベースまで」接続している部材を少なくとも含む「接続部」を、甲1発明おいて設けることが容易かどうかについて検討する。
甲1発明は「スリップリングブラケット本体パネル1の底部にはスリップリングブラケット本体パネル1を支持するための底板7が設け」られるものであるところ、(甲1エ)の図1を参照するに、「スリップリングブラケット本体パネル1」の一番下である「底部」と「底板7」との間に「接続部」を挟む(設ける)ことができる領域があるとはいえない。また、(甲1エ)には「外輪支持板及び内輪支持板を設置し、外輪支持板と内輪支持板との間にT字形補強リブを設置し、内輪支持板と軸受取付孔との間に補強小リブを設置し、底板の上方に横仕切板を設置し、横仕切板と底板との間に縦方向補強リブを設置し、横仕切板の上部に十字補強リブを設置すること等によって、最小の重量で最大の剛性及び強度を達成し、低い重量で十分な剛性、強度を達成するという目的を実現し、それにより回転部材の振動を減少させる」と記載されているように、甲1に記載されている技術は、支持板及び補強リブによって「最小の重量」で剛性及び強度を達成しようとするものであるから、さらに「接続部」を追加して設ける動機はなく、ましてや、追加して設ける部材である「接続部」を「スリップリングブラケット本体パネル1」の一番下である「底部」と「底板7」との間の領域のないところにあえて設けることの動機は全くない。
(ウ)さらに、上記第6の2~5において摘記したとおり、その余の甲2~5には「部材」として「接続部」が記載されているものはないことから、甲2~5を参照しても、甲1発明に本件発明1で特定される「接続部」を設けることが容易になし得たこととはいえないところであるが、ここで、甲2~甲5の各々について検討を加えておく。
a 甲2について
上記第6の2で摘記した甲2における「スリップリングブラケット1」が、本件発明1の「本体部」に相当するものといえるにしても、甲2には、本件発明1の「ベース」に相当する部材の記載ない。そこで、(甲2エ)の図1おいて底辺に看取される部材を一応「ベース」と仮定して、図1を参照するに、「スリップリングブラケット1」の「底部」と「ベース」との間に「接続部」に相当する部材を看取することはできず、また、そこに「接続部」を挟む(設ける)ことができる領域があるともいえない。
したがって、甲2は、「部材」として「接続部」が記載されているものでないうえに、甲1と同様に、「接続部」を追加して設ける動機はなく、ましてや、追加して設ける部材である「接続部」を「スリップリングブラケット1」の一番下である「底部」と「ベース」と仮定された部材との間の領域のないところにあえて設けることの動機は全くない。
b 甲3について
上記第6の3で摘記した甲3における「固定板アッセンブリ22」は、本件発明1の「本体部」に相当するものといえ、甲3における「本体ベース21」は、(甲3ウ)によれば「本体ベース21は、水平支持板211と、前記水平支持板211の両側に沿って上向きに延伸する垂直支持板212と、を含」むものであり、(甲3エ)の図3における「水平支持板211」と「固定板アッセンブリ22」との位置関係を踏まえると、「本体ベース21」の「水平支持板211」が、一応、本件発明1の「ベース」に相当するといえなくもない。
しかしながら、その図3を参照するに、「固定板アッセンブリ22」の「底部」と「水平支持板211」との間に「接続部」に相当する部材を看取することはできず、また、そこに「接続部」を挟む(設ける)ことができる領域があるともいえない。
したがって、甲3は、「部材」として「接続部」が記載されているものでないうえに、甲1と同様に、「接続部」を追加して設ける動機はなく、ましてや、追加して設ける部材である「接続部」を「固定板アッセンブリ22」の一番下である「底部」と「水平支持板211」との間の領域のないところにあえて設けることの動機は全くない。
c 甲4について
甲4における「実装板12」が、本件発明1の「本体部」に相当するものといえるにしても、甲4には、本件発明1の「ベース」に相当する部材の記載ない。そこで、(甲4オ)の図2おいて底辺に看取される部材を一応「ベース」と仮定して、図2を参照するに、「実装板12」の「底部」と「ベース」との間に「接続部」に相当する部材を看取することはできず、また、そこに「接続部」を挟む(設ける)ことができる領域があるともいえない。
したがって、甲4は、「部材」として「接続部」が記載されているものでないうえに、甲1と同様に、「接続部」を追加して設ける動機はなく、ましてや、追加して設ける部材である「接続部」を「実装板12」の一番下である「底部」と「ベース」と仮定された部材との間の領域のないところにあえて設けることの動機は全くない。
d 甲5について
甲5は、上記第6の5で摘記したように、高速マシニングセンタに関するもので、CT検出装置とは関連のない技術であり、本件発明1の「接続部」について何ら言及するものではない。
e したがって、甲2~5は、「部材」として「接続部」が記載されているものではなく、本件発明1で特定されるところの「接続部」を何ら示唆するものでもない。
(エ)小括
以上のことから、「前記軸受取付孔の外縁から下方へ」「前記ベースまで延びる」複数の第二補強リブが「前記本体部の底部および前記接続部を経由して」いるという技術的事項での「接続部」を設けることは、甲1~5の記載から当業者が容易になし得たこととはいえないことから、上記相違点におけるその余の構成について検討するまでもなく、上記相違点は、甲1~5の記載から当業者が容易になし得たことではない。
ウ 申立人の「接続部」に関する主張について
(ア)甲1について
a 申立人の主張
申立人は、令和7年7月4日に提出された意見書(以下「意見書」という。)で、(甲1オ)の図1を以下のように区分けしている。
[図:0001429014000010.jpg]
一方、特許異議申立書(以下「申立書」という。)では、同じ図1を以下のように区分けしている。
[図:0001429014000011.jpg]
そして、申立人が独自に追記したこれらの図面に基づいて「接続部」を認定している。
b 申立人の主張に対する当審の判断同じ図面において、意見書と申立書では「接続部」として区分けしている部分が異なっているが、いずれの「接続部」と称する部分とも、「スリップリングブラケット本体パネル1」の一番下である「底部」と「底板7」との間にある「部材」を示すものではないから、申立人が図面で区分けしている部分の部材が、本件発明1で特定される「接続部」と同一視できるものではない。
さらに、同じ図面において、意見書と申立書では「接続部」として区分けしている部分が異なっていることを鑑みても、本件発明をみて、場所的に本件発明1の「接続部」となろう箇所を恣意的に「接続部」と区分けしたにすぎず、このような図面における単なる区分けを、本件発明1の「接続部」を特定する技術的事項として認定できるものではない。
よって、申立人の主張は受け入れられない。
(イ)甲2について
a 申立人の主張 申立人は、意見書で、上記甲2の図1を以下のように区分けしている。
[図:0001429014000012.jpg]
一方、申立書では、同じ上記甲2の図1を以下のように区分けしている。
[図:0001429014000013.jpg]
そして、申立人が独自に追記したこれらの図面に基づいて「接続部」を認定している。
b 申立人の主張に対する当審の判断
同じ図面において、意見書と申立書では「接続部」と区分けしている部分が異なっているが、いずれの「接続部」と称する部分とも、「スリップリングブラケット1」の一番下である「底部」と「ベース」と仮定された部材との間にある部材を示すものではないから、申立人が図面で区分けしている部分は、本件発明1の「接続部」と同一視できるものではない。
さらに、同じ図面において、意見書と申立書では「接続部」と区分けしている部分が異なっていることを鑑みても、甲1と同様に、本件発明をみて、場所的に本件発明1の「接続部」となろう箇所を恣意的に「接続部」と区分けしたにすぎず、このような図面における単なる区分けを、本件発明1の「接続部」を特定する技術的事項として認定できるものではない。
よって、申立人の主張は受け入れられない。
(ウ)甲3について
a 申立人は、申立書において、(甲3エ)の図3より「1d3 横断面が、上が狭く下が広くなり、上部が固定板アセンブリ22に接続され、下部が本体ベース21に接続されている垂直支持板212と、を含み、1e3 垂直支持板212の横断面は、途中から両側に分岐するように形成されている」と認定し、これが本件発明1の「横断面が、上が狭く下が広くなり、上部が前記本体部に接続され、下部が前記ベースに接続されている接続部と、を含み、前記接続部の横断面は、途中から両側に分岐するように形成されている」に相当している、すなわち、甲3における「垂直支持板212」が本件発明1の「接続部」に相当していると主張している。
b 申立人の主張に対する当審の判断
上記イ(ウ)bで述べたとおり、(甲3エ)の図3における「水平支持板211」及び「垂直支持板212」と「固定板アッセンブリ22」との位置関係を踏まえると、「本体ベース21」の「水平支持板211」が、一応、本件発明1の「ベース」に相当するといえなくもないことから、「垂直支持板212」を「固定板アッセンブリ22」及び「水平支持板211」と接続する部材と仮定できるかもしれない。
しかし、「垂直支持板212」は、「固定板アッセンブリ22」(本体部)の「底部」から「下方へ」「水平支持板211」(ベース)まで接続している部材ではないから、本件発明1の「接続部」とはいえない。
よって、申立人の主張は受け入れられない。
(エ)甲4について
a 申立人は、申立書において、(甲4オ)の図2より「1d4 横断面が、上が狭く下が広くなり、上部が実装板12に接続され、下部が機器支持ベース7に接続されているスリップリング支持体13と、を含み、1e4 スリップリング支持体13の横断面は、途中から両側に分岐するように形成されている」と認定し、これが本件発明1の「横断面が、上が狭く下が広くなり、上部が前記本体部に接続され、下部が前記ベースに接続されている接続部と、を含み、前記接続部の横断面は、途中から両側に分岐するように形成されている」に相当している、すなわち、甲4における「スリップリング支持体13」が本件発明1の「接続部」に相当していると主張している。
b 申立人の主張に対する当審の判断
上記イ(ウ)cで述べたとおり、甲4における「実装板12」が、本件発明1の「本体部」に相当するものといえ、(甲4オ)の図2おいて底辺に看取される部材を一応「ベース」と仮定すると、「スリップリング支持体13」を「実装板12」及び「ベース」と仮定された部材と接続する部材と仮定できるかもしれない。
しかし、「スリップリング支持体13」は、「実装板12」(本体部)の「底部」から「下方へ」「ベース」と仮定された部材まで接続している部材ではないから、本件発明1の「接続部」とはいえない。 よって、申立人の主張は受け入れられない。
エ まとめ
本件発明1は、少なくとも、「接続部材」について、複数の第二補強リブが「前記軸受取付孔の外縁から下方へ前記本体部の底部および前記接続部を経由して前記ベースまで延び」ることができる「接続部材」の点において、甲1発明ではなく、かつ、甲1発明及び甲1~5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2、3及び5~8について
本件発明2、3及び5~8は、本件発明1を直接的又は間接的に引用する発明であるから、本件発明1と同様に、甲1発明ではなく、かつ、甲1発明及び甲1~5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
2 甲2~甲4を主発明とした場合
(1)本件発明1について
上記1(1)イ(ウ)a~c、並びに1(1)ウ(イ)b、同(ウ)b及び同(エ)bで述べたとおり、甲2~甲4のいずれにも、本件発明1で特定される「接続部材」について記載されていないのであるから、本件発明1は、甲2~甲4のいずれにも記載された発明ではなく、そして、甲2~甲4に記載された発明のいずれかの発明及び甲1~甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
(2)本件発明2、3及び5~8について
本件発明2、3及び5~8は、本件発明1を直接的又は間接的に引用する発明であるから、本件発明1と同様に、甲2~甲4のいずれにも記載された発明ではなく、そして、甲2~甲4に記載された発明のいずれかの発明及び甲1~甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもない。
3 申立理由についてのまとめ
本件発明1~3及び5~8は、甲1~甲4のいずれにも記載された発明ではなく、特許法第29条第1項第3号に該当せず、そして、甲1~甲4に記載された発明のいずれかの発明及び甲1~甲5に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものでもないから、本件発明1~3及び5~8に係る特許は、特許法第29条第1項あるいは特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、申立理由によって取り消すことはできない。
第8 意見書による新たな取消理由等の主張
1 明確性について
(1)申立人は、意見書で、構成要件1D(申立人が呼称)である「横断面が、上が狭く下が広くなり、上部が前記本体部に接続され、下部が前記ベースに接続されている接続部と」について、以下の主張をしている。
「訂正発明1は、構成要件1Dにおいて、「上部が前記本体部に接続され、下部が前記ベースに接続されている接続部と、」と接続部が定義されている。しかしながら、この構成要件1Dは、本体部の下部全域において接続部の上部が接続されていることを意味するのか、本体部の下部の一部の領域において接続部の上部が接続されていることも含むのかが明確でない。また、構成要件1Dは、ベースの上部全域において接続部の下部が接続されていることを意味するのか、ベースの上部の一部の領域において接続部の下部が接続されていることも含むのかが明確でない。」(14頁7~13行)
(2)申立人の主張に対する当審の判断
まず、上記(1)の主張は、訂正前の願書に添付した特許請求の範囲に対するものであり、訂正に付随して生じた理由ではないから、新たな理由として採用できるものではない(特許庁「審判便覧」67-05.4 Pの1.(2)参照)。
しかしながら、一応検討するに、構成要件1Dには、接続部の上部が接続されるのが、本体部の「下部全域」とも、本体部の「下部の一部の領域」とも記載されておらず、また、接続部の下部が接続されるのが、ベースの「上部全域」とも、ベースの「上部の一部の領域」とも記載されていないものの、本件発明1では「前記軸受取付孔の外縁から下方へ」「前記ベースまで延びる」複数の第二補強リブが「前記本体部の底部および前記接続部を経由して」いることが特定されており、当該技術的事項は、上記第7の1(1)イ(ア)で述べたとおり、「接続部」が「本体部」の一番下である「底部」から「下方へ」「ベースまで」接続している「部材」を少なくとも含むものという点において、接続部の上部が接続されるのが本体部の「下部の一部の領域」であっても、接続部の下部が接続されるのがベースの「上部の一部の領域」であってもよく、また、接続部の上部が接続されるのが本体部の「下部全域」である場合、接続部の下部が接続されるのがベースの「上部全域」である場合には、上記点を満たすことは明らかである。
そうすると、構成要件1Dにおいて、申立人の主張する「全領域」又は「一部の領域」の記載がないからといって、本件発明1が不明確であるとはいえないことから、上記申立人の主張は取消理由とはならない。
2 サポート要件について
(1)申立人は、意見書で、サポート要件として、以下のア及びイを主張している。
ア 「訂正発明1において、構成要件1Dが、本体部の下部の一部の領域において接続部の上部が接続されていることも含む場合、およびベースの上部の一部の領域において接続部の下部が接続されていることも含む場合、そのような態様は本件特許の明細書に記載されていない。」(14頁18~21行)
イ 「明細書には、訂正前の請求項1(本体部+ベース+接続部)+訂正前の請求項2(第一支持板+第一補強リブ)+訂正前の請求項4(第二補強リブ)の態様は記載されているが、訂正前の請求項2(第一支持板+第一補強リブ)がない訂正前の請求項1(本体部+ベース+接続部)+訂正前の請求項4(第二補強リブ)の態様は記載されていない。」(15頁4~7行)
(2)申立人の主張に対する当審の判断
アについて
まず、上記1(2)で述べたとおり、(1)アの主張は、訂正前の願書に添付した特許請求の範囲に対するものであり、訂正に付随して生じた理由ではないから、新たな理由として採用できるものではないが、一応検討する。
本件明細書には、接続部の上部が接続されるのが「本体部の下部全域」とも、接続部の下部が接続されるのが「ベースの上部全域」とも記載されておらず、また、本件明細書において、接続部の上部が接続されるのが「本体部の下部全域」でなければならない、接続部の下部が接続されるのが「ベースの上部全域」でなければならないとする正当な技術的理由もない。
また、本件発明の課題は、上記第3の2(本ア)の【0004】に記載されているとおり、「比較的に低い重量で十分な剛性および強度を実現でき、検出装置の安定化に有利な改良された支持枠および該支持枠を含むCT検出装置を提供」することであるところ、申立人が主張する「本体部の下部の一部の領域において接続部の上部が接続されていることも含む場合、およびベースの上部の一部の領域において接続部の下部が接続されていることも含む場合」であっても、部材として「接続部」があることから、十分な剛性及び強度を実現できるといえ、そして、「本体部の下部の一部の領域において接続部の上部が接続されている」及び「ベースの上部の一部の領域において接続部の下部が接続されている」ことは、むしろ比較的に低い重量となっているともいえることから、上記申立人の主張する場合においても、本件発明の課題が解決できることを当業者が認識できるものであり、本件発明1は発明の詳細な説明に記載されたものである。、
したがって、申立人がアで主張する点によって、本件発明1がサポート要件を満たしていないとはいえず、取消理由とはならない。
イについて
上記第3の2(本イ)で摘記した【0005】、【0007】及び【0009】には、再掲すると以下のとおり記載されている。
「【0005】
本開示の一態様によれば、CT検出装置の回転フレームを支持するように構成されている支持枠を提供しており、軸受取付孔を含み、前記CT検出装置のスリップリング軸受が前記軸受取付孔内に配置され、前記回転フレームが前記スリップリング軸受に回転可能に設置されている本体部と、前記本体部の底部に位置し、前記本体部を支持するように構成されているベースと、横断面が上が狭く下が広くなり、上部が前記本体部に接続され、下部が前記ベースに接続されている接続部と、を含む。」
「【0007】
本開示の例示的な実施例によれば、支持枠は、前記本体部の周辺に配置され、前記本体部の軸方向に沿って外方へ延びる第一支持板と、複数の第一補強リブであって、各第一補強リブの一側が前記第一支持板の側面に接続され、各第一補強リブの前記一側に繋がる他側が前記本体部に接続されている、前記複数の第一補強リブと、をさらに含む。」
「【0009】
本開示の例示的な実施例によれば、支持枠は、前記軸受取付孔の外縁から下方へ前記本体部の底部および前記接続部を経由して前記ベースまで延びる複数の第二補強リブをさらに含む。」
ここで、【0007】に記載されている事項が訂正前の請求項2に対応し、【0009】に記載されている事項が訂正前の請求項4に対応している。そして、訂正前の請求項2に対応している事項について「本開示の例示的な実施例によれば、・・・をさらに含む。」、訂正前の請求項4に対応している事項について「本開示の例示的な実施例によれば、・・・をさらに含む。」と記載されており、訂正前の請求項4に対応している事項が、訂正前の請求項2に対応している事項を前提としているものとして記載されておらず、また、訂正前の請求項4に対応している事項が、訂正前の請求項2に対応している事項を前提としなければならない技術的な理由もない。
したがって、申立人の「訂正前の請求項2(第一支持板+第一補強リブ)がない訂正前の請求項1(本体部+ベース+接続部)+訂正前の請求項4(第二補強リブ)の態様は記載されていない」との主張は失当であり、申立人がイで主張する点によって、本件発明1がサポート要件を満たしていないとはいえないことから、取消理由とはならない。
3 訂正要件違反について
(1)申立人は、意見書で、訂正要件違反として、以下の主張している。
「訂正前の請求項2(第一支持板+第一補強リブ)がない訂正前の請求項1(本体部+ベース+ 接続部)+訂正前の請求項4(第二補強リブ)の態様は記載されていない。したがって、請求項1になされた訂正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に違反している。」(15頁15~20行)
(2)申立人の主張に対する当審の判断
まず、申立人は「・・・願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものではなく・・・」と主張しているが、上記第2の2で記載したとおり、本件訂正が特許法第126条第1項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものでないことから、「願書に最初に添付した」は「願書に添付した」が正しいことから、「訂正前の請求項2(第一支持板+第一補強リブ)がない訂正前の請求項1(本体部+ベース+ 接続部)+訂正前の請求項4(第二補強リブ)の態様は記載されていない」ことが、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であるかどうか検討する。
上記2(2)イで述べたとおり、「訂正前の請求項2(第一支持板+第一補強リブ)がない訂正前の請求項1(本体部+ベース+ 接続部)+訂正前の請求項4(第二補強リブ)の態様は記載されていない」と判断できず、むしろ、本件明細書等のすべての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、上記態様は記載されているとするのが相当であるから、申立人がアで主張する点によって、上記第2の1で記載した訂正事項が訂正要件違反であるとはいえない。
4 まとめ
したがって、申立人が意見書で主張する理由によって、さらに取消理由又は訂正拒絶理由を通知することにはならない。
第9 むすび
以上のとおり、本件発明1~3及び5~8に係る特許は、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載された申立理由によって、取り消すことはできない。さらに、他に本件発明1~3及び5~8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
また、請求項4係る特許は、訂正により削除された。これにより、特許異議の申立てについて、請求項4に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-701093