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特許異議申立

2023-700689

弾性部材および弾性装置

審判番号
2023-700689
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-089903
登録番号
7199587
請求日
2023年07月05日
審決日
2024年02月26日
公報発行日
2024年06月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】三菱製鋼株式会社
  • 【権利者代理人】伊東 忠重
  • 【異議申立人】平本 健二
審判長/審判官
  • 審判長 山澤 宏
  • 審判官 山内 裕史
  • 審判官 野崎 大進
分類
P1651.121-YAA(H01L) / P1651.113-YAA(H01L)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7199587号発明「弾性部材および弾性装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7199587号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3、6-11〕について訂正することを認める。 特許第7199587号の請求項1-11に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7199587号(以下、「本件特許」という。)の請求項1-11に係る特許についての出願は、令和4年6月1日の出願であって、令和4年12月22日にその特許権の設定登録がされ、令和5年1月5日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の申立て以降の経緯は、次のとおりである。 令和5年 7月 5日 :特許異議申立人 平本 健二(以下、「申立人」という。)による本件特許に対する特許異議の申立て 令和5年 9月26日付け:取消理由通知書 令和5年11月28日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 なお、当審から令和5年12月11日付けで申立人に対して訂正請求があった旨の通知(特許法第120条の5第5項)を、期間を指定して行ったが、当該期間内に申立人からは応答がなかった。 第2 訂正の適否についての判断 1 訂正の内容 令和5年11月28日に提出された訂正請求(以下、「本件訂正請求」という。)の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1-3、6-11について訂正することを求めるものであり、その訂正(以下、「本件訂正」という。)の内容は、訂正箇所に下線を付して示すと、以下のとおりである。 (1)訂正事項 特許請求の範囲の請求項1に「前記支持部は、枠状の基部を有し、当該基部の枠内で、前記複数の皿ばねを保持する」と記載されているのを、「前記支持部は、枠状の基部を有し、当該基部の枠内で、前記複数の皿ばねを片持ち保持する」に訂正する(請求項1を引用している請求項2、3、6-11も同様に訂正する。)。 2 訂正の適否 (1)訂正事項について ア 訂正の目的について 訂正前の請求項1に係る発明では、「前記複数の皿ばねを片持ち保持する」という構成を有することについて何ら特定されていない。 これに対し、訂正後の請求項1に係る発明は、「前記複数の皿ばねを片持ち保持する」という構成を有することをより具体的に特定し、更に限定するものであるため、訂正事項は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 実質上特許請求項の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アの理由から明らかなように、訂正事項は、「前記複数の皿ばねを片持ち保持する」という構成を有しないものを、概念的により下位の「前記複数の皿ばねを片持ち保持する」という構成を有するものにするものであり、発明のカテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。 ウ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 本件明細書の段落【0019】には、「支持部120は、平板状且つ矩形枠状の部分である。支持部120は、複数の皿ばね110と同一平面上、かつ、複数の皿ばね110の周囲において、複数の皿ばね110と一体に設けられ、複数の皿ばね110を支持する。支持部120は、枠状の基部121を有し、当該基部121の枠内で、複数の皿ばね110を支持する。具体的には、支持部120は、基部121の枠内において、複数の皿ばね110の各々に対し、基部121と皿ばね110とを連結する連結部122を有する。図1に示す例では、支持部120は、皿ばね110を基部121のY軸正側の部分に連結する連結部122と、皿ばね110を基部121のY軸負側の部分に連結する連結部122とが、左右方向(X軸方向)に交互に設けられている。」と記載されている。 ここで、本件明細書に記載の「支持部120は、皿ばね110を基部121のY軸正側の部分に連結する連結部122と、皿ばね110を基部121のY軸負側の部分に連結する連結部122とが、左右方向(X軸方向)に交互に設けられている」ことは、訂正後の請求項1に係る発明における「前記複数の皿ばねを片持ち保持する」ことに相当する。 したがって、訂正事項は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項に適合するものである。 エ 独立特許要件について 本件特許異議の申立ては、本件訂正前の全ての請求項についてされているから、本件訂正について、特許法第120条の5第9項において読み替えて準用する同法第126条第7項に規定されている独立特許要件は課されない。 オ 一群の請求項について 訂正前の請求項1-3、6-11について、請求項2、3、6-11はそれぞれ請求項1を引用しているものであって、訂正事項によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。したがって、訂正前の請求項1-3、6-11に対応する訂正後の請求項1-3、6-11は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 3 小括 以上のとおり、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1-3、6-11〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 上記第2のとおり本件訂正請求は認められるから、本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1-11に係る発明(以下「本件発明1」-「本件発明11」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1-11に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「 【請求項1】 板状の弾性部材であって、 平面上に並べて設けられた複数の皿ばねと、 前記平面上、且つ、前記複数の皿ばねの周囲において、前記複数の皿ばねと一体に設けられ、前記複数の皿ばねを支持する支持部と を備え、 前記支持部は、 枠状の基部を有し、当該基部の枠内で、前記複数の皿ばねを片持ち保持する ことを特徴とする弾性部材。 【請求項2】 前記基部は、 長方形の枠状を有する ことを特徴とする請求項1に記載の弾性部材。 【請求項3】 前記複数の皿ばねは、 前記支持部の前記基部の枠内において、前記基部の長手方向に沿って並べて設けられている ことを特徴とする請求項2に記載の弾性部材。 【請求項4】 板状の弾性部材であって、 平面上に並べて設けられた複数の皿ばねと、 前記平面上、且つ、前記複数の皿ばねの周囲において、前記複数の皿ばねと一体に設けられ、前記複数の皿ばねを支持する支持部と を備え、 前記支持部は、 直線状の基部を有し、当該基部の両外側で、前記複数の皿ばねを保持する ことを特徴とすることを特徴とする弾性部材。 【請求項5】 前記複数の皿ばねは、 前記支持部の前記基部の両外側において、前記基部の長手方向に沿って並べて設けられている ことを特徴とする請求項4に記載の弾性部材。 【請求項6】 互いに重ねて設けられる、2つの、請求項1から5のいずれか一項に記載の弾性部材を備える ことを特徴とする弾性装置。 【請求項7】 2つの前記弾性部材のうちの一方の前記弾性部材が備える複数の皿ばねの各々の頂部と、2つの前記弾性部材のうちの他方の前記弾性部材が備える複数の皿ばねの各々の頂部とが互いに対向するように、2つの前記弾性部材が互いに重ねて設けられる ことを特徴とする請求項6に記載の弾性装置。 【請求項8】 2つの前記弾性部材の間に配置される中間板を備える ことを特徴とする請求項7に記載の弾性装置。 【請求項9】 2つの前記弾性部材のうちの一方の前記弾性部材が備える複数の皿ばねの各々の頂部と、2つの前記弾性部材のうちの他方の前記弾性部材が備える複数の皿ばねの各々の頂部とが同じ向きになるように、2つの前記弾性部材が互いに重ねて設けられる ことを特徴とする請求項6に記載の弾性装置。 【請求項10】 2つの前記弾性部材の間に配置される中間板を備える ことを特徴とする請求項9に記載の弾性装置。 【請求項11】 変位量が0から第1の値となるまでの第1の荷重特性と、 変位量が前記第1の値から第2の値となるまでの第2の荷重特性と を有し、 前記第1の荷重特性は、前記第2の荷重特性よりも、荷重の増加率が大きい ことを特徴とする請求項6に記載の弾性装置。」 第4 特許異議申立理由の概要 申立人が申し立てた特許異議申立理由の概要及び証拠は、以下のとおりである。 理由1 (特許法第29条第2項(同法第113条第2号)) 請求項1-3に係る発明は、甲第1号証、甲第2号証に記載された発明に基いて、請求項4、5に係る発明は、甲第1号証に記載された発明に基いて、請求項6-10に係る発明は、甲第1号証、甲第3号証に記載された発明に基いて、請求項11に係る発明は、甲第1号証、甲第4号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。 <証拠> 甲第1号証:特許第6197769号公報 甲第2号証:実開昭63-110734号公報 甲第3号証:米国特許第9997693号明細書 甲第4号証:特許第4286034号公報 第5 取消理由通知に記載した取消理由について 令和5年9月26日付けの取消理由通知に記載した取消理由の概要は、次のとおりである。 理由1(新規性) 請求項1-3、6、9、10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1-3、6、9、10に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 理由2(進歩性) 請求項1-3、6、9、10に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、請求項7、8に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1、2に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、請求項11に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の引用文献1、3に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1-3、6-11に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 <引用文献等一覧> 1.特許第6197769号公報(甲第1号証) 2.米国特許第9997693号明細書(甲第3号証) 3.特許第4286034号公報(甲第4号証) 第6 当審の判断 1 引用文献、引用発明等 (1) 引用文献1 引用文献1には、図面とともに、下記の記載がある(下線は当審付与。)。 「【図1】 [図:0001411322000001.jpg] 」 「【0027】 図1、図2に示すごとく、前方壁部51と半導体積層ユニット11との間に複数の加圧プレート6が配置されている。本例においては、複数の加圧プレート6は、互いに略同等の形状を有する。本例においては、図5に示すごとく、加圧プレート6は、板状の基板部61と、基板部61に固定されると共に弾性変形可能な複数のバネ部62とからなる。複数のバネ部62は、基板部61の広がり方向に分散配置されている。具体的には、基板部61は、積層方向Xに直交する方向に形成されており、複数のバネ部62は、千鳥配置されている。つまり、高さ方向Zに隣り合うバネ部62同士は、横方向Yにオフセットして配されている。図6に示すごとく、バネ部62は、横方向Yの両側を積層方向Xの前方に折り曲げられることにより、高さ方向Zから見た形状が略円弧状を呈している。 【0028】 図1に示すごとく、複数の加圧プレート6は、その付勢力の向きが積層方向Xとなる向きで積層されている。隣り合う加圧プレート6同士は、基板部61同士、及び、バネ部62同士が重なるように積層配置されている。」 「【図11】 [図:0001411322000002.jpg] 【図12】 [図:0001411322000003.jpg] 」 「【0044】 (実施例2) 本例は、図11、図12に示すごとく、加圧プレート6の形状を変更した例である。本例では、バネ部62を皿ばねによって構成してある。また、複数のバネ部62は、横方向Yの一直線上に並んでいる。そして、複数のバネ部62は、高さ方向Zの両端部において、基板部61に接続されている。」 「【0046】 なお、本発明における加圧プレートの形状は、上記実施例で示したものに限られず、種々の態様を採り得る。また、上記実施例においては、複数の加圧プレート間には何も介在していないが、本発明は、これに限られるものではない。すなわち、例えば、複数の加圧プレート間に、平板状のプレートを介在させてもよい。また、複数の加圧プレートと前方壁部或いは半導体積層ユニットの間に、平板状のプレートを介在させてもよい。」 ここで、引用文献1に記載されている事項について検討する。 上記【0044】及び【図11】、【図12】の記載から、引用文献1には、「基板部61は、横方向Yの両端に高さ方向に伸び、両端のバネ部62と接続する直角な角を持つ形状を有し、4つの当該直角な角で形成される領域内で両端以外の複数のバネ部62に接続されること」が記載されていると認められる。 したがって、上記記載事項、認定事項から、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「加圧プレート6は、板状の基板部61と、基板部61に固定されると共に弾性変形可能な複数のバネ部62とからなり、複数のバネ部62は、基板部61の広がり方向に分散配置されていて、 複数の加圧プレート6は、その付勢力の向きが積層方向Xとなる向きで積層されていて、隣り合う加圧プレート6同士は、基板部61同士、及び、バネ部62同士が重なるように積層配置されていて、 バネ部62を皿ばねによって構成してあり、複数のバネ部62は、横方向Yの一直線上に並んでいて、複数のバネ部62は、高さ方向Zの両端部において、基板部61に接続されていて、 基板部61は、横方向Yの両端に高さ方向に伸び、両端のバネ部62と接続する直角な角を持つ形状を有し、4つの当該直角な角で形成される領域内で両端以外の複数のバネ部62に接続され、 複数の加圧プレート間に、平板状のプレートを介在させてもよい、 加圧プレート6。」 (2) 引用文献2 引用文献2には、以下の記載がある(翻訳は、対応する公表公報である特表2018-509774号公報を参考にした。) 【図5a】 「 [図:0001411322000004.jpg] 」 【図5b】 「 [図:0001411322000005.jpg] 」 【図5c】 「 [図:0001411322000006.jpg] 」 【第7欄第9行-第50行】 「 Now turning to FIG. 5a, one embodiment of such fixation arrangement 5 is disclosed as an exploded view. The fixation arrangement 5 comprises two groups 25 of pressure means 26. Each group 25 comprises four pairs 27 of pressure means 26 in the form of disc springs or cup springs. The pressure means 26 in each pair 27 are arranged linearly opposite each other to thereby operate in opposite directions during use. The pressure means 26 are preferably arranged with their operation directions OD linearly coinciding with a center point of an individual thermoelectric module (not disclosed). The pairs 27 of pressure means 26 in each group 25 are separated by a spacer 28. The spacer 28 is constituted by a plate extending in a plane perpendicular to the operation directions OD of the pressure means 26. The spacer 28 is provided with through holes 29 partly receiving the pressure means 26 of each pair 27 and more precisely the opposite ends 34 thereof facing each other. The spacer 28 and the pressure means 26 are arranged between two opposing frames 30 keeping the pressure means 26 in position. Further, the frames 30 are arranged between two opposing wall portions 38. The opposing wall portions 38 may be omitted whereby the frames 30 will act as outer most wall portions of the fixation arrangement 5. The frames 30 and the wall portions 38 (if any) are mutually joined at two opposite edge portions 31 to allow the fixation arrangement 5 to be handled as one integral unit. The joining (not disclosed) is preferably flexible, thereby allowing the opposite wall portions 38 to mutually move in a direction coinciding with the operation direction OD of the pressure means 26. In the disclosed embodiment, the spacer 28 is formed as a circular disc 32 that is rotatable around a central axis 33. The spacer 28 is operable by turning between two states. State one is disclosed in FIGS. 5b and 5c, whereas state 2 is disclosed in FIGS. 5d and 5e. In the first state, see FIGS. 5b and 5c, the opposite ends 34 of the pressure means 26 making up a pair 27 are received in hole 29 of the spacer 28 with their ends 34 facing each other. The two ends 34 may even be in contact with each other.」 [訳] 「 ここで図5aを参照すると、そのような固定構成5の一実施形態が、分解組立図として開示される。固定構成5は、加圧手段26の二つのグループ25を備える。各グループ25は、円板バネまたはカップバネの形状の加圧手段26の四つのペア27を備える。各ペア27の加圧手段26は、直線状に互いの反対側に配置されることによって、使用中反対の方向に動作する。加圧手段26は好ましくは、それらの動作方向ODが、個々の熱電モジュール(開示せず)の中心点と直線状に一致するよう配置される。 各グループ25の加圧手段26のペア27は、スペーサ28によって隔てられる。スペーサ28は、加圧手段26の動作方向ODに垂直な平面に延在するプレートによって構成される。スペーサ28は、各ペア27の加圧手段26の部分、より正確には互いに向き合うその対向端部34を受容する貫通穴29を備える。 スペーサ28および加圧手段26は、加圧手段26を正しい位置に保つ二つの対向するフレーム30の間に配置される。さらにフレーム30は、二つの対向する壁部38の間に配置される。 対向する壁部38は省略されうる。その場合フレーム30が固定構成5の最外の壁部として作用する。 フレーム30および壁部38(もしあれば)は、二つの対向する縁部31で相互に接合され、固定構成5が一つの一体のユニットとして取り扱われるようにする。接合点(開示せず)は好ましくは柔軟であり、それによって、対向する壁部38が、加圧手段26の動作方向ODに一致する方向に相互に動くようにする。 開示された実施形態では、スペーサ28は、中心軸33の周りに回転可能な円板32として形成される。スペーサ28は、二つの状態の間で回ることによって動作可能である。状態1は図5bおよび5cに開示され、状態2は図5dおよび5eに開示される。 第一の状態では、図5bおよび5cを参照すると、ペア27を成す加圧手段26の対向する端部34が、スペーサ28の穴29に、その端部34が互いに向かい合って受容される。二つの端部34は、互いに接触さえしうる。」 (3) 引用文献3 引用文献3には、以下の記載がある。 「【図5】 [図:0001411322000007.jpg] 」 「【0012】 上述したケーシング側ホルダ11とセル側ホルダ15の間には、同一方向に積み重ねられた複数枚の皿ばね20a~20g(以下、皿ばね20a~20gが積み重ねられた状態を重ね皿ばね20ともいう。)が保持される。すなわち、各皿ばね20a~20gの中央開口部にはセル側ホルダ15の脚部18が挿入され、最下端の皿ばね20gは壁14によってケーシング側のホルダ本体13に対して位置決めされる。これにより、ケーシング側ホルダ11とセル側ホルダ15の間に重ね皿ばね20が保持される。 重ね皿ばね20が保持された状態では、上端の皿ばね20aがセル側の接触面16に当接し、下端の皿ばね20gがケーシング側の接触面12に当接する。また、重ね皿ばね20は、セル積層体19を加圧する方向(図面の上方向)に力が発生するよう、予め圧縮された状態でケーシング10と支持体19との間に配される。 なお、重ね皿ばね20を構成する皿ばねの枚数は、目的とする荷重特性が得られるよう適宜決定することができ、その数は図1に示す例に限られない。 【0013】 上記皿ばね装置においてセル積層体19は、その特性を向上させる観点から、略一定の加圧力で加圧されることが好ましい。一方、使用中のセル積層体19は熱変位等によってその寸法が変化するため、皿ばね20a~20gのたわみ量も変動する。このため、皿ばね20a~20gは、そのたわみ量が変化しても、セル積層体19を略一定の加圧力で加圧できることが好ましい。そこで、本実施形態では、「たわみ量」が変化しても「荷重」の変動量が少ない領域(図5のグラフ内で水平な荷重曲線となる領域)においてセル積層体19に所定の加圧力を作用させることができるよう、重ね皿ばね20の荷重特性と初期変位が決められている(図5参照)。」 (4) 甲第2号証 甲第2号証には、以下の記載がある。 「【第1図】 [図:0001411322000008.jpg] 」 【第3ページ第3行-第15行】 「このシート状皿バネ10は、その平面図である第1図も参照して、1枚のバネ性を有する金属シート例えばバネ用リン青銅板からプレス加工によりメンブレンスイッチ1と略同一の平面形状に形成されるもので、各スイッチ部6に対応する位置に上方にドーム状に膨出形成された複数の皿バネ部11と、その他の共通平坦部分12を有している。また各皿バネ部11の周縁部には等間隔に4つ設けられた平坦部12との連結片13となる部分を残してスリツト14が形成されて、各皿バネ部11を平坦部12から分離している。つまり各皿バネ部11は4つの連結片13により平坦部12に支持されている。」 2 対比、判断 (1) 本件発明1について 本件発明1と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明の「加圧プレート」は、「弾性」変形可能な複数のバネ部62を有する「プレート」という板状の部材であるから、本件発明1の「板状の弾性部材」に相当する。 イ 引用発明の「バネ部62」は、「皿ばねによって構成してあ」るから、本件発明1の「皿ばね」に相当する。 ウ 引用発明の「複数のバネ部62は、横方向Yの一直線上に並んでい」ることにおいて、「複数のバネ部62」は、「横方向Yの一直線」を含む平面上に並べて設けられているといえる。 したがって、上記イを踏まえると、引用発明の「複数のバネ部62は、横方向Yの一直線上に並んでい」る構成は、本件発明1の「平面上に並べて設けられた複数の皿ばね」を備える構成に相当する。 エ 引用発明の「複数のバネ部62は、横方向Yの一直線上に並んでいて、複数のバネ部62は、高さ方向Zの両端部において、基板部61に接続されてい」ることにおいて、「基板部61」は、「横方向Yの一直線」を含む平面上、且つ、「複数のバネ部62」の「高さ方向Zの両端部」という周囲の部分において、「複数のバネ部62」に「接続」、すなわち一体になるように設けられていて、「複数のバネ部62」を「接続」することで支持する部材であるといえる。 したがって、上記イを踏まえると、引用発明の「基板部61」は、本件発明1の「前記平面上、且つ、前記複数の皿ばねの周囲において、前記複数の皿ばねと一体に設けられ、前記複数の皿ばねを支持する支持部」に相当する。 オ 引用発明の「基板部61は、横方向Yの両端に高さ方向に伸び、両端のバネ部62と接続する直角な角を持つ形状を有し、4つの当該直角な角で形成される領域内で両端以外の複数のバネ部62に接続され」ることにおいて、「基板部61」は、「直角な角を持つ形状を有」するから、枠状といえ、当該枠状の「基板部」における部位における「4つの当該直角な角で形成される領域内」という枠状の領域内で、「両端以外の複数のバネ部62」を「接続」することにより保持しているといえる。 したがって、上記イ、エを踏まえると、引用発明の「基板部61は、4つの直角な角を持つ形状を有し、当該4つの直角な角で形成される領域内で複数のバネ部62に接続され」る構成は、本件発明1の「前記支持部は、枠状の基部を有し、当該基部の枠内で、前記複数の皿ばねを」「保持する」構成に相当する。 したがって、本件発明1と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「板状の弾性部材であって、 平面上に並べて設けられた複数の皿ばねと、 前記平面上、且つ、前記複数の皿ばねの周囲において、前記複数の皿ばねと一体に設けられ、前記複数の皿ばねを支持する支持部と を備え、 前記支持部は、 枠状の基部を有し、当該基部の枠内で、前記複数の皿ばねを保持する ことを特徴とする弾性部材。」 (相違点1) 本件発明1では、「複数の皿ばねを片持ち保持する」のに対し、引用発明では、「複数のバネ部62」は「両端部において、基板部61に接続されてい」るものの、片側の端部のみにおいて基板部61に接続する構成については特定されていない点。 上記相違点1について検討すると、相違点1は実質的な相違点であるから、本件発明1は引用発明に対して新規性を有している。また、相違点1に係る本件発明1の「複数の皿ばねを片持ち保持する」構成は、上記引用文献1-3、甲第2号証には記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。 したがって、本件発明1は、当業者であっても引用発明、引用文献2、3、甲第2号証に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえないから、進歩性を有している。 (2) 本件発明2、3、6-11について 本件発明2、3、6-11は、本件発明1と同一の構成を備えるものであるから、本件発明1と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、3、甲第2号証に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえないから、進歩性を有している。 (3) 本件発明4について 本件発明4と引用発明とを対比すると、次のことがいえる。 ア 引用発明の「加圧プレート」は、「弾性」変形可能な複数のバネ部62を有する「プレート」という板状の部材であるから、本件発明4の「板状の弾性部材」に相当する。 イ 引用発明の「バネ部62」は、「皿ばねによって構成してあ」るから、本件発明4の「皿ばね」に相当する。 ウ 引用発明の「複数のバネ部62は、横方向Yの一直線上に並んでい」ることにおいて、「複数のバネ部62」は、「横方向Yの一直線」を含む平面上に並べて設けられているといえる。 したがって、上記イを踏まえると、引用発明の「複数のバネ部62は、横方向Yの一直線上に並んでい」る構成は、本件発明4の「平面上に並べて設けられた複数の皿ばね」を備える構成に相当する。 エ 引用発明の「複数のバネ部62は、横方向Yの一直線上に並んでいて、複数のバネ部62は、高さ方向Zの両端部において、基板部61に接続されてい」ることにおいて、「基板部61」は、「横方向Yの一直線」を含む平面上、且つ、「複数のバネ部62」の「高さ方向Zの両端部」という周囲の部分において、「複数のバネ部62」に「接続」、すなわち一体になるように設けられていて、「複数のバネ部62」を「接続」することで支持する部材であるといえる。 したがって、上記イを踏まえると、引用発明の「基板部61」は、本件発明4の「前記平面上、且つ、前記複数の皿ばねの周囲において、前記複数の皿ばねと一体に設けられ、前記複数の皿ばねを支持する支持部」に相当する。 オ 引用発明の「基板部61は、横方向Yの両端に高さ方向に伸び、両端のバネ部62と接続する直角な角を持つ形状を有し、4つの当該直角な角で形成される領域内で両端以外の複数のバネ部62に接続され」ることにおいて、「基板部61」は、「両端以外の複数のバネ部62」を「接続」することにより保持しているといえる。 したがって、上記イ、エを踏まえると、引用発明の「基板部61は、4つの直角な角を持つ形状を有し、当該4つの直角な角で形成される領域内で複数のバネ部62に接続され」る構成は、本件発明4の「前記支持部は、」「前記複数の皿ばねを保持する」構成に相当する。 したがって、本件発明4と引用発明との間には、次の一致点、相違点があるといえる。 (一致点) 「板状の弾性部材であって、 平面上に並べて設けられた複数の皿ばねと、 前記平面上、且つ、前記複数の皿ばねの周囲において、前記複数の皿ばねと一体に設けられ、前記複数の皿ばねを支持する支持部と を備え、 前記支持部は、 前記複数の皿ばねを保持する ことを特徴とする弾性部材。」 (相違点2) 本件発明4では、「支持部は、直線状の基部を有し、当該基部の両外側で、前記複数の皿ばねを保持する」のに対し、引用発明では、「基板部61」は「両端以外の複数のバネ部62」を「接続」するものの、直線上の「基板部61」の両外側で、「両端以外の複数のバネ部62」を接続する構成については特定されていない点。 上記相違点2について検討すると、相違点2に係る本件発明4の「支持部は、直線状の基部を有し、当該基部の両外側で、前記複数の皿ばねを保持する」構成は、上記引用文献1-3、甲第2号証には記載されておらず、本願出願前において周知技術であるともいえない。 したがって、本件発明4は、当業者であっても引用発明、引用文献2、3、甲第2号証に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものであるとはいえないから、進歩性を有している。 (4) 本件発明5について 本件発明5は、本件発明4と同一の構成を備えるものであるから、本件発明4と同じ理由により、当業者であっても、引用発明、引用文献2、3、甲第2号証に記載された技術的事項に基づいて容易に発明できたものとはいえないから、進歩性を有している。 第7 むすび 以上のとおり、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1-11に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1-11に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700689

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