特許異議申立
2022-701089
生理用品提供装置、方法、プログラム、および生理用品提供管理サーバ
- 審判番号
- 2022-701089
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-569482
- 登録番号
- 7064096
- 請求日
- 2022年11月09日
- 審決日
- 2023年03月28日
- 公報発行日
- 2023年05月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】オイテル株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
- 【異議申立人】川上 真平
- 【異議申立人】平本 健二
- 審判長/審判官
- 審判長 高瀬 勤
- 審判官 鹿野 博嗣
- 審判官 相崎 裕恒
- 分類
- P1652.121-Y (G06Q) / P1652.16 -Y (G06Q) / P1652.536-Y (G06Q) / P1652.537-Y (G06Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第4項第1号、特許法第29条の2
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7064096号発明「生理用品提供装置、方法、プログラム、および生理用品提供管理サーバ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7064096号の請求項に係る特許を維持する。
理由
理 由
結 論
特許第7064096号の請求項1、2、4、5、12~15に係る特許を維持する。
理 由
第1 手続の経緯
特許第7064096号の請求項1~15に係る特許についての出願は、2021年(令和3年)11月10日(優先権主張 2020年(令和2年)11月27日)を国際出願日とする国際出願であって、令和4年4月26日にその特許権の設定登録がされ、同年5月10日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1、2、4、5、12~15に係る特許に対し、同年11月9日に特許異議申立人 川上 真平(以下「申立人1」という。)が、特許異議の申立てを行い、同年11月10日に特許異議申立人 平本 健二(以下「申立人2」という。)が、特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
特許第7064096号の請求項1、2、4、5、12~15に係る発明(以下「本件発明1」等という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1、2、4、5、12~15に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
生理用品を保持および提供するディスペンサと、
前記ディスペンサに保持された前記生理用品の在庫状況を管理する在庫管理部と、
前記ディスペンサからユーザに対して前記生理用品が提供された提供履歴を管理するユーザ管理部と、
前記ユーザのユーザ端末から送信され、前記ユーザを識別するユーザ識別情報と、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを識別するディスペンサ識別情報とを含む、前記生理用品の提供を求める提供要求に応じて、前記提供履歴に基づいて、前記ユーザへの前記生理用品の提供の可否を判定する判定部と、
前記判定部によって提供可と判定された場合、前記在庫管理部によって管理された在庫状況が、在庫有りを示すのであれば、前記ディスペンサに対して、前記保持している前記生理用品の排出を許可する排出許可部と、
前記ユーザ端末から送信された前記提供要求に含まれるユーザ識別情報に基づいて、前記ユーザを特定し、前記提供要求に含まれるディスペンサ識別情報に基づいて、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを特定する特定部とを備え、
前記ディスペンサは複数あり、それぞれ異なる場所に設置され、
前記在庫管理部、前記ユーザ管理部、前記判定部、前記排出許可部、および前記特定部は、前記複数のディスペンサに対して共通して設けられた、生理用品提供装置。
【請求項2】
前記複数のディスペンサそれぞれに設けられ、対応する前記ディスペンサの前記ディスペンサ識別情報を、前記提供要求に含められるように、前記ユーザ端末へ送信する第1の送信部をさらに備えた、請求項1に記載の生理用品提供装置。
【請求項4】
前記ディスペンサは、
前記生理用品を収納する収納部と、
前記排出許可部からの排出許可に応じて、前記収納部に収納されている前記生理用品を排出すると、前記ディスペンサ識別情報を含む排出信号を生成する排出信号生成部と、
前記排出信号生成部によって生成された排出信号を送信する第2の送信部とを備え、
前記ユーザ管理部は、前記送信された排出信号に含まれる前記ディスペンサ識別情報に基づいて、前記排出信号を送信したディスペンサを特定し、
前記在庫管理部は、前記ユーザ管理部による前記ディスペンサの特定結果に基づいて、前記複数のディスペンサのおのおの毎に、前記生理用品の排出履歴を更新することによって、前記生理用品の在庫状況を管理する、請求項1乃至3のうち何れか1項に記載の生理用品提供装置。
【請求項5】
前記ユーザ管理部は、前記ユーザ毎に、前記提供履歴を管理する、請求項1乃至4のうち何れか1項に記載の生理用品提供装置。
【請求項12】
生理用品の提供を管理するサーバであって、
ディスペンサに収納された前記生理用品の在庫状況を管理する在庫管理部と、
前記ディスペンサからユーザに対して前記生理用品が提供された提供履歴を管理するユーザ管理部と、
前記ユーザのユーザ端末から送信され、前記ユーザを識別するユーザ識別情報と、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを識別するディスペンサ識別情報とを含む、前記生理用品の提供を求める提供要求に応じて、前記提供履歴に基づいて、前記ユーザへの前記生理用品の提供の可否を判定する判定部と、
前記判定部によって提供可と判定された場合、前記在庫管理部によって管理された在庫状況が、在庫有りを示すのであれば、前記ディスペンサに対して、前記収納している前記生理用品の排出を許可する排出許可部と、
前記提供要求に含まれるユーザ識別情報に基づいて、前記ユーザを特定し、前記提供要求に含まれるディスペンサ識別情報に基づいて、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを特定する特定部と
を備えた、生理用品提供管理サーバ。
【請求項13】
コンピュータを、
ディスペンサに収納された生理用品の在庫状況を管理する在庫管理部、
前記ディスペンサからユーザに対して前記生理用品が提供された提供履歴を管理するユーザ管理部、
前記ユーザのユーザ端末から送信され、前記ユーザを識別するユーザ識別情報と、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを識別するディスペンサ識別情報とを含む、前記生理用品の提供を求める提供要求に応じて、前記提供履歴に基づいて、前記ユーザへの前記生理用品の提供の可否を判定する判定部、
前記判定部によって提供可と判定された場合、前記在庫管理部によって管理された在庫状況が、在庫有りを示すのであれば、前記ディスペンサに対して、前記収納している前記生理用品の排出を許可する排出許可部、
前記提供要求に含まれるユーザ識別情報に基づいて、前記ユーザを特定し、前記提供要求に含まれるディスペンサ識別情報に基づいて、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを特定する特定部、
として機能させるためのプログラム。
【請求項14】
それぞれ異なる場所に設置され、生理用品を収納する、複数のディスペンサと、
前記ディスペンサを管理するサーバとを備えた生理用品提供装置であって、
前記サーバは、
前記ディスペンサに保持された前記生理用品の在庫状況を管理する在庫管理部と、
前記ディスペンサからユーザに対して前記生理用品が提供された提供履歴を管理するユーザ管理部と、
前記ユーザのユーザ端末から送信され、前記ユーザを識別するユーザ識別情報と、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを識別するディスペンサ識別情報とを含む、前記生理用品の提供を求める提供要求に応じて、前記提供履歴に基づいて、前記ユーザへの前記生理用品の提供の可否を判定する判定部と、
前記判定部によって提供可と判定された場合、前記在庫管理部によって管理された在庫状況が、在庫有りを示すのであれば、前記ディスペンサに対して、前記保持している前記生理用品の排出を許可する排出許可部と、
前記ユーザ端末から送信された前記提供要求に含まれるユーザ識別情報に基づいて、前記ユーザを特定し、前記提供要求に含まれるディスペンサ識別情報に基づいて、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを特定する特定部とを備え、
前記特定されたディスペンサは、前記許可に応じて、前記生理用品を排出する、生理用品提供装置。
【請求項15】
生理用品を収納するディスペンサと、前記ディスペンサを管理するサーバとによって実現される生理用品提供方法であって、
前記サーバは、
前記ディスペンサに保持された前記生理用品の在庫状況を管理し、
前記ディスペンサからユーザに対して前記生理用品が提供された提供履歴を管理し、
前記ユーザのユーザ端末から送信され、前記ユーザを識別するユーザ識別情報と、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを識別するディスペンサ識別情報とを含む、前記生理用品の提供を求める提供要求に応じて、前記提供履歴に基づいて、前記ユーザへの前記生理用品の提供の可否を判定し、
提供可と判定された場合、前記管理された在庫状況が、在庫有りを示すのであれば、前記ディスペンサに対して、前記保持している前記生理用品の排出を許可し、
前記ユーザ端末から送信された前記提供要求に含まれるユーザ識別情報に基づいて、前記ユーザを特定し、前記提供要求に含まれるディスペンサ識別情報に基づいて、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを特定し、
前記特定されたディスペンサは、前記許可に応じて、前記生理用品を排出する、生理用品提供方法。」
第3 申立理由の概要
申立人1、及び、申立人2が、それぞれ、請求項1、2、4、5、12~15に係る特許に対して申し立てた申立理由及び証拠方法は以下のとおりである。
1 申立人1による特許異議の申立(以下「特許異議A」という。)について
(1)申立理由
ア 本件発明1、2、4、5、12~15は、主たる証拠である下記文献1に記載された発明及び従たる証拠である下記文献2~文献6に記載された技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項に規定される要件を満たしていないため、請求項1、2、4、5、12~15に係る特許は、同法第113条第2号により取り消されるべきものである。(以下「申立理由Aア」という。)
イ 本件発明1、2、4、5、12~15について、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないから、請求項1、2、4、5、12~15に係る特許は、同法第113条第4号により取り消されるべきものである。(以下「申立理由Aイ」という。)
ウ 本件発明1、2、4、5、12~15について、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないから、請求項1、2、4、5、12~15に係る特許は、同法第113条第4号により取り消されるべきものである。(以下「申立理由Aウ」という。)
エ 本件発明1、2、4、5、12~15について、発明の詳細な説明の記載が特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていないから、請求項1、2、4、5、12~15に係る特許は、同法第113条第4号により取り消されるべきものである。(以下「申立理由Aエ」という。)
(2)証拠方法
文献1:特表2008-505402号公報(特許異議Aの甲1)
文献2:特開2020-057291号公報(特許異議Aの甲2)
文献3:特開平7-302386号公報(特許異議Aの甲3)
文献4:特開2002-177105号公報(特許異議Aの甲4)
文献5:特開2005-078127号公報(特許異議Aの甲5)
文献6:特開2003-217008号公報(特許異議Aの甲6)
2 申立人2による特許異議の申立(以下「特許異議B」という。)について
(1)申立理由
ア 本件発明1、2、4、5、12~15は、下記先願1の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「明細書等」という。)に記載された発明と同一であり、特許法第29条の2に規定する要件を満たしていないため、請求項1、2、4、5、12~15に係る特許は、同法第113条第2号により取り消されるべきものである。(以下「申立理由B」という。)
(2)証拠方法
先願1:特願2019-230836号(特開2021-99636号)
文献2:特開2020-057291号公報(特許異議Bの甲2(特許異議Aの甲2と同じ。)
第4 文献等の記載
1 文献1(特表2008-505402号公報)について
(1)文献1には、次の記載がある。(なお、下線は合議体が付与した。以下、同様。)
「【0030】
定義
実際の製品速度 - ある期間中(例えばセール期間中)の特定の製品が自動販売機によって販売される実際のレート(時間あたり量)のことである。この実際の製品速度は、種々のユニット、例えば時間当たりのユニット、時間当たりの販売ドル額、時間当たりの利益ドル額で表示できる。」
「【0034】
理想的製品速度、目標製品速度、目標速度 - ある期間中(例えばセール期間中)に自動販売機によって特定の製品を販売しなければならない希望するレートのことである。従って、一部の実施例では、所定の時間まで(例えば所定のセール期間の終了時まで、自動販売機における次の再ストック時まで)、在庫を所定レベルまで(例えば残存するユニットがゼロになるまで)減少するように製品を販売しなければならないレートを示すよう、各製品に対し、理想的製品速度の設定、計算または他の方法で決定できる。
【0035】
例えば運用者が再ストック日およびその再ストック日まで残すことを望む在庫量を入力した後に、(例えば自動販売機の制御システムにより)理想的製品速度を計算できる。例えば任意の製品を完全に売り切ることなく、自動販売機ができるだけ多くの製品を売ることができるように、次の再ストック時に、各製品の1つだけが残るようにしたいことがある。製品が売り切れた場合、その製品の購入を望む顧客が失望することになる。従って、次の例において、運用者が(a)ソーダAの50ユニットをストックし、(b)14日後の再ストック日を入力し、(c)再ストック日にソーダAの1ユニットだけが残ることを表示した場合、制御システムは、49を14で割り、理想的製品速度を達成するために、セール期間中、1日当たり平均3.5ユニットを売らなければならないと結論づけることができる。理想的製品速度は、所定時間までに製品の所望する在庫レベルとなるように調節するように、例えば毎日更新することができる。
【0036】
本明細書で説明するように、自動販売機または他のデバイスは、実際の製品速度が理想的製品速度以下であるかどうかを(周期的に、実質的に連続的に、または他の態様で)決定することができ、理想的製品速度以下の場合、有効なメンバーシップの識別子を定義した顧客が、関連する特典、例えば1つ以上の製品の小売価格をディスカウントするという特典を得ることができるようにする。」
「【0039】
メンバーシップ、自動販売機のメンバーシップ - 自動販売機の顧客と自動販売機の運用者との間で成立した契約上またはその他の関係であり、顧客は1つ以上の自動販売機が提供する所定の特典を受けることができる。」
「【0044】
一実施例では、顧客は時間が限定されたメンバーシップを購入し、その代わりにメンバーシップ識別子が顧客に付与される。このメンバーシップの識別子により、顧客は限られた時間中に1つ以上の自動販売機における所定の特典および特権を享受することが可能となる。例えば一実施例では、有効なメンバーシップの識別子を提供または認識することにより、顧客は製品の受け取り(例えばメンバーのリクエストにより一日につき2つまでのソーダ)、ディスカウント(例えばメンバーは卸価格でアイテムを購入できたり、メンバーだけがセール価格で買うことができる)および/またはプロモーション(例えば籤引きへの参加)を受けることが認められる。顧客がメンバーとして登録し、対応する特典を受けることができるようにすることにより、自動販売機の運用者および製品のメーカーは、取引量が増加することから利益を得ることができる。」
「【0047】
自動販売機100は、プロセッサ105、例えば1つ以上のインテル(登録商標)ペンティアム(登録商標)またはセントリーノ(商標)プロセッサを含むことができる。このプロセッサ105(本明細書ではプロセッサ、プロセッサ105、コンピュータまたは制御システムと称す)は、1つ以上のクロックまたはタイマー(図示せず)と、1つ以上の通信ポート165を含んでもよいし、またはこれらと結合でき、プロセッサ105は、種々の実施例によれば、これら通信ポート165を介し、他のデバイス、例えば1つ以上の周辺デバイスサーバー、1つ以上のサーバー、1つ以上の周辺デバイスおよび/または1つ以上のユーザーデバイスと通信できる。1つ以上の実施例では、通信ポートは、モデム(例えばセルラーモデムまたは同様なモデム)、無線送信機またはトランスポンダ(例えば赤外線送信機/受信機、無線送信機/受信機)を含むことができる。通信ポートは、データを送信および/または受信するための任意の実際の手段を含むことができる。
【0048】
プロセッサ105は、データ記憶デバイス110とも通信する。このデータ記憶デバイス110は、任意の実際のデータ記憶デバイス、例えば磁気メモリ、光メモリおよび/または半導体メモリの任意の適当な組み合わせを挙げることができる。データ記憶デバイスは、例えば追加プロセッサ、通信ポート、ランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)、コンパクトディスクおよび/またはハードディスクを含むことができる。プロセッサ105および記憶デバイス110の各々は、例えば(i)全体が単一コンピュータまたは他の計算デバイス内にあってもよいし、または(ii)リモート通信メディア、例えばシリアルポートケーブル、LAN、電話回線、無線周波数トランシーバ、光ファイバー接続または同等物により互いに接続されてもよい。例えば一部の実施例では、自動販売機100はデータ記憶デバイス110がリモートサーバーコンピュータと関連するデータベースとの組み合わせを含む場合、データベースを維持するようになっているリモートサーバーコンピュータに接続された1つ以上のコンピュータ(またはプロセッサ105)を含むことができる。」
「【0052】
記憶デバイス110は、プログラム115の他に1つ以上のデータベースも記憶するようになっている。実行のためにプロセッサへ1つ以上のシーケンスの1つ以上の命令を搬送するのに、種々の形態のコンピュータで読み取り可能なメディアが関与できる。」
「【0068】
自動販売機100は更に1つ以上の在庫品保管およびディスペンサー機構170を含むことができる。スナック自動販売機の実施例に従って構成された、自動販売機の在庫製品保管および製品ディスペンサー機構は、(i)ドライブモータ、(ii)金属製棚、(iii)製品配送システム(例えばシュート、製品トレイ、製品トレイドアなど)、(iv)デュアルスパイラル(すなわち二重螺旋)物品ディスペンサーロッド、(v)コンバーティブルな(すなわち伸長自在な)棚および/または(vi)冷蔵ユニットを含むことができる。種々の在庫保管およびディスペンサー機械が良く知られている。」
「【0071】
図2Aは、通信ネットワーク210を介して1つ以上の自動販売機100と通信するコントローラ205を含むシステム200のブロック図である。このコントローラ205は、有線または無線メディア、例えばインターネット、LAN、WANまたはイーサネット(登録商標)、トークンリングを介して、または適当な通信手段もしくは通信手段の組み合わせを介して、自動販売機100と(直接または間接的に)通信できる。」
「【0073】
コントローラ205と、任意の数および任意のタイプの自動販売機100が通信できる。自動販売機100とコントローラ205との間、更に(通信ネットワーク220を介して通信する)自動販売機100の間の通信は、例えばリモートサーバー上でコントローラ205によって維持されるウェブサイトを通し、インターネットを介し、または商業的なオンラインサービスプロバイダ、ブリテンボードシステムなどを含むオンラインデータネットワークを通して、直接的でも間接的でもよい。更に別の実施例では、自動販売機100はRSケーブルTV、衛星リンクなどを通して互いに、および/またはコントローラ205と通信できる。」
「【0096】
図3は、自動販売機100の一例の外観の一実施例300の図である。この実施例300は、(i)キャビネット305、(ii)顧客からの情報を受け、および/またはテキストおよび/またはグラフィック情報を顧客に出力するための入出力デバイス310、(iii)支払い処理機構315、(iv)在庫品ディスペンサー機構320、および(v)製品ディスプレイウィンドー325を含み、このウィンドーの後方に自動販売機およびこの自動販売機の内部に製品を保持する製品保管機構を見ることができる。」
「【0101】
支払い処理機構315は、支払い処理機構150(図1)を参照して説明したコンポーネントのいずれかまたはすべてを含むことができる。同様に、製品ディスペンサー機構320は、在庫製品保管およびディスペンサー機構170(図1)を参照してこれまで説明した製品を小出しするようになっているコンポーネントのいずれかまたはすべてを含むことができる。」
「【0103】
メンバーシップの登録のプロセス
一実施例では、顧客は時間が限られたメンバーシップを購入し、その代わりにメンバーシップの識別子が顧客に付与される。メンバーシップの識別子により、顧客は限られた時間中、自動販売機での所定の恩典および特権を享受できる。例えば1つ以上の実施例では、有効なメンバーシップの識別子により顧客は製品の受領(例えば1日につき12のスナック物品、2種類までのソーダ類)、割り引き(例えばメンバーは卸値で物品を購入したり、メンバーだけしか販売価格で購入できない)、プロモーション(例えば、くじ引きへの参加)および/または自動販売機の他の機能へのアクセス(例えば自動販売機に対し顧客を識別するための指紋またはその他のバイオメトリック識別子を使用できること)を享受できるようになる。」
「【0109】
一実施例では、メンバーシップのルールのデータベース125に記憶されているエントリーに従い、メンバーシップのオファーの条件のダイナミックな構造を判断できる。例えば図5のメンバーシップのルールのデータベース125の最初の記録に関して、その例は(すべての在庫製品に対する)平均的な実際の製品の速度が(すべての在庫製品に対する)平均的な実際の理想的製品の速度の半分未満であるとき、コストクラブカードタイプのメンバーシップに対するオファーを顧客に出力するようにできる。図4Aおよび4Bの製品在庫データベース120内に示されたデータにより、すべての在庫製品に対する実際の平均的製品速度が、すべての在庫製品に対する理想的平均的製品速度の半分未満であることを示している。従って、出力デバイス155および/またはユーザーデバイスを通して、1つ以上の顧客にメンバーシップのオファーを出力でき、オファーとして「たった30ドルであなたは我々のコストクラブに加入でき、卸売価格ですべての物品を買えます!」と表示する。
【0110】
図5のメンバーシップルールのデータベース125の第2の記録は、(すべての在庫製品に対する)実際の平均的製品速度が(すべての在庫製品に対する)実際の平均的理想製品速度未満であるときに、1人以上の顧客に対して「販売価格クラブカード」タイプのメンバーシップを出力すべきであることを示している。図4Aおよび4Bの製品在庫データベースの一例120に示されたデータは、すべての在庫製品に対する実際の平均的製品速度がすべての在庫製品に対する平均的理想製品速度未満であることを示している。従って、出力デバイス155および/またはユーザーデバイスを介し、一人以上の顧客にメンバーシップのオファーを出力することができ、この場合、オファーは「たった10ドルで年間にわたり大きなセールスに参加できます!」なる表示となる。本明細書に説明するように、1つ以上の実施例では、かかるメンバーシップを購入する顧客は(下記の)取引プロセス中、またはその前に、ディスカウントセールのオファーを見たり、および/または対応するディスカウントされた物品を購入できる。例えばセール価格クラブメンバーは、割引率が適用された製品の小売価格でグリーンの点滅するLEDで示された製品を購入することが認められる。」
「【0121】
ステップ400:メンバーシップの識別子の判断
自動販売機のメンバーシップを認めるとの決定がステップ300でなされると、ステップ400で自動販売機のメンバーシップの識別子を決定する。ステップ400において、自動販売機のメンバーシップの識別子を決定し、よって顧客に提供し(ステップ500以下)、記録し(ステップ600以下)、よって顧客は(例えば下記の取引プロセスに従い)対応するメンバーシップに関連する特典を請求し、特典を受けることができる。」
「【0139】
ステップ100:自動販売機の製品を得るためのリクエストを受ける。
一実施例では、ステップ100で取引が開始し、このステップでは、自動販売機100および/またはコントローラ205は1つ以上の自動販売機の製品を得るためのリクエストを顧客から受ける。」
「【0141】
上記と異なり、または上記に加え、ステップ100によれば、顧客はメンバーシップの識別子を表示できる。顧客は入力デバイス160および/またはユーザーデバイスを介して表示を提供できる。メンバーシップの識別子はユーザーが積極的なアクションをすることなく提供することもできる(例えばユーザーデバイスから検出することができる)。例えばユーザーデバイスまたは他のデバイスは、例えば自動販売機が検出できる(例えば自動販売機の入力デバイスが検出できる)信号を、(自動販売機または他のデバイスのリクエスト時に、連続的に、実質的に連続的に、間欠的に)発生することができる。この信号はメンバーシップの識別子を表示し、メンバーシップの識別子をコード化し、または他の方法でメンバーシップの識別子を決定できるようにする。一実施例では、ユーザーデバイスは短距離の無線を介し、自動販売機と接続し、かつ通信できるようにするためのブルートゥース無線プロトコルを使用する、ブルートゥース利用可能デバイスである。」
「【0143】
一部の実施例では、ユーザーデバイスおよび/またはコントローラ205は、自動販売機の顧客からの取引リクエストの一部またはすべてを受けることができる。従って、一部の実施例では、顧客はユーザーデバイス、例えば携帯電話またはパソコンを介し、コントローラ205および/または自動販売機100へ口座識別子を送信できる。更に一部の実施例では、顧客はユーザーデバイス、例えば携帯電話またはパソコンを介し、コントローラ205および/または自動販売機へ1つ以上の製品の選択を送信できる。例えば顧客は自分の携帯電話により、自動販売機100に表示された電話番号を呼び出すことができ、インタラクティブな音声応答(IVR)ソフトウェアを作動させているサーバー(コントローラ205)が、顧客に口座識別子および顧客が自動販売機100から得たい製品に対応する列のポジション識別子を入力することを促すことができる。
【0144】
ステップ200:顧客がメンバーの顧客であるかどうかを判断
ステップ200において、自動販売機および/またはコントローラ205は、顧客がメンバーであるかどうかを判断する。一実施例では、自動販売機および/またはコントローラは、ステップ100で受けたメンバーの識別子が有効なメンバーシップに対応するかどうかを判断するために、メンバーのデータベース130(図6)にアクセスできる。例えば自動販売機および/またはコントローラ205は、メンバーデータベース内に対応する記録が存在するかどうかを判断でき、存在していない場合、(1)別の識別子に対し、顧客を促す(顧客が正しいメンバーの識別子を提供したかどうかを顧客に問う)か、または(2)顧客がメンバーでない者と見なし、下記のステップ300に進むかのいずれかをとることができる。更にメンバーデータベース130内に対応する記録が存在した場合、自動販売機および/またはコントローラ205は現在のシステムの時間/日と対応するメンバーシップの終了時/日とを比較し、対応するメンバーシップが終了しているかどうかを判断できる。対応するメンバーシップが終了しているか、または有効でない場合、プロセスは下記のステップ300に進む。他方、顧客はステップ200においてメンバーであると判断された場合、プロセスは下記のステップ400に進む。」
「【0146】
一実施例において、自動販売機100および/またはコントローラ205は、ニューメリックなメンバーシップ識別子の正当性を評価するためにチェックサム手順を開始できる。識別子がチェックサム評価に合格した場合、顧客をメンバーであると見なすことができる。説明したように、顧客がメンバーであると判断された場合、プロセスは下記のステップ400まで進む。」
「【0148】
ステップ300にて、顧客はメンバーでないと判断された場合、自動販売機100および/またはコントローラ205は、例えば選択された製品の小売価格の合計に等しい支払いの提出時に在庫製品を小出しすることにより、従来通り取引を処理する。
【0149】
これとは異なり、顧客がメンバーでない場合のステップ300における従来通りの取引を処理する代わりに、自動販売機100および/またはコントローラ205はメンバーでない顧客の自動販売機との取引をする能力を制限するか、または禁止できる。かかる実施例により、顧客がメンバーとして登録することを推進または強制するように機能する。」
「【0152】
ステップ400において、顧客がメンバーであると判断されると、取引に対し、どの条件(例えばメンバーシップの特典)を適用すべきかを判断する。このように、一実施例は自動販売機100および/またはコントローラ205はメンバーシップの規則のデータベース125に相談し、メンバーの顧客に対して提供すべき1つ以上の特典を決定する。」
「【0154】
1.1つ以上の製品を受けることができる特典。
a)例えば一実施例では、メンバーの顧客は支払いを(再び)行うことなく、すなわちメンバーシップ価格よりも高い支払いをすることなく、取引プロセス中に1つ以上の製品を受け取ることが認められる。例えば一実施例では、100ドルの年間メンバーシップを購入したメンバーの顧客は、自動販売機から一日につき2項目までの特典を受けることが認められる。
i.一部の実施例では、顧客は1つ以上の出力デバイス155、例えばLCDおよび/または棚に取り付けられているLEDを通して、ステップ400で表示できる製品グループから、かかる製品を選択することが認められる。例えばステップ400(および/またはステップ400の前)にて、棚に取り付けられており、製品の行に対応するLEDライトは、点滅し、選択のためにどの物品を入手できるかどうかを表示する。
こうして一部の実施例では、自動販売機100および/またはコントローラ205は、需要と供給の変化に基づき、時間ごとに製品のグループをダイナミックに変更でき、1つ以上の出力デバイス155を通し、グループの構成の変化を伝えることができる。例えば製品の実際の製品速度が、理想的な製品速度の25%未満となることができなくなった場合、メンバーシップに従い、メンバーの顧客が1つ以上の製品を選択できるグループに製品を加えなければならない旨の、記憶される規則を定めることができる。LEDライトは対応する製品の横で点滅し、顧客が1つ以上の製品を選択できるグループをどの製品が構成しているかを判断できる。
b)別の実施例では、メンバーの顧客は製品価格で1つ以上の他の物品を購入するとき、別の無料の物品を受けることが認められる。」
「【0162】
6.その他の特典
a.好ましいモーゲージ(譲渡抵当)レート
1つ以上の実施例では、自動販売機100および/またはコントローラ205は、取引のときに1つ以上のメンバーシップの特典を適用できるかどうかを判断するために、ステップ400にてデータベースに相談し得る。従って、メンバーシップ規則のデータベース125に1つ以上のフィールド(図示せず)を加えることができ、データベース125は、メンバーシップのタイプごとにメンバーが対応する特典を受けるために、取引の時点で提示しなければならない条件を示す。例えば一実施例では、メンバーがディスカウント製品または無料製品を受けられるのは、次の物品追加期間まで2日未満であるというような条件にすることができる。更に一実施例では、メンバーがディスカウント製品または無料製品を受けるように、1つ以上の製品に対する要求が所定のスレッショルドを下回らなければならないという条件(すなわち実際の製品速度が理想的な製品速度よりもわずかでも下回らなければならないという条件)とすることができる。従って、取引プロセス中にメンバーシップの特典を提供することを、その時点でのデータに基づいて条件を定めることができる。
【0163】
メンバーの顧客に対し、メンバーシップの特典を提供すべきでないとステップ400で判断された場合、プロセスは上記ステップ300に進み、ここで従来通り取引を処理できる(例えば表にされた小売価格で1つ以上の製品を購入することをメンバーの顧客に案内できる)。そうでない場合、プロセスはステップ500に進む。」
「【0166】
1つ以上の製品を受ける権限がメンバーシップの顧客に与えられているような実施例では、自動販売機100および/またはコントローラ205は、顧客が製品を受け取ることができるように、1つ以上の小出し機構170を起動できる。これとは異なり、またはこれに加えて、自動販売機100および/またはコントローラ205は、1つ以上の出力デバイスを起動し、顧客が無形製品、例えばデジタルコンテントを受けられるようにする。例えば自動販売機100は、顧客が出力デバイス155を介してユーザーデバイスにデジタルコンテントをダウンロードすることを許可できる。」
「【0171】
一実施例では、単位時間ごと(例えば日にちごと)に受けることができる特典量を制限することが好ましい場合がある。例えば一日当たりメンバーに小出しできる無料製品のユニット数を制限することが望ましい。従って、本発明で説明するように、提供される特典をトラッキングし、ある期間(例えば一日の間に)提供できる特典の最大量と比較する。最大量を超えた場合に特典を提供することを防止できる。」
【図1】自動販売機100のブロック図
[図:0001397216000001.jpg]
【図4A】製品在庫データベース120
[図:0001397216000002.jpg]
【図4B】製品在庫データベース120
[図:0001397216000003.jpg]
(2)文献1から読み取れる事項
ア 段落【0071】、【0073】によると、「システム200」は、「通信ネットワーク210」を介して「通信」する「任意の数」の「自動販売機100」と「コントローラ205」を含む「システム200」である。
イ 段落【0047】~【0048】、【0052】、【図1】より、「自動販売機100」は、「プロセッサ105」を含み、「プロセッサ105」は、「記憶デバイス110」と「通信」するものであり、「記憶デバイス110」は、「製品在庫データベース120」を「記憶する」ことが読み取れる。
ウ 段落【0068】、【0096】、【0101】によると、スナックの「自動販売機100」の外観の「製品ディスペンサー機構320」は、「在庫製品保管およびディスペンサー機構170」の製品を小出しするコンポーネントを含むものである。
エ 上記ア、段落【0030】、【0109】~【0110】、【図4】より、「製品在庫データベース120」は、自動販売機100の記憶デバイスに記憶されるものであり、「製品識別子」に対応づけて、ある期間中の特定の製品がその自動販売機によって販売される実際のレートである「実際の製品速度」と「現在の在庫数」を記憶するものであることが読み取れる。
オ 段落【0044】、【0103】、【0166】、【0171】によると、「コントローラ205」は、適用可能なメンバーシップの特典に従って取引を処理するものであり、「有効なメンバーシップの識別子」により「顧客」は「例えば1日につき12のスナック物品」である「製品の受領」を「享受でき」、「一日当たりメンバーに小出しできる無料製品のユニット数を制限することが望ましい」ため、「提供される特典をトラッキングし、ある期間(例えば一日の間に)提供できる特典の最大量と比較」して、「最大量を超えた場合に特典を提供することを防止できる」ものである。
カ 段落【0139】、【0141】、【0144】によると、顧客がユーザーデバイスにメンバーシップの識別子を表示させることにより、「コントローラ205」は、1つ以上の自動販売機の製品を得るためのリクエストを顧客から受け、「受けたメンバーの識別子が有効なメンバーシップに対応するかどうかを判断するため、メンバーのデータベース130にアクセス」し、「メンバーデータベース内に対応する記録が存在するかどうかを判断」するものである。
キ 段落【0149】によると、「コントローラ205」は、「メンバーでない顧客の自動販売機との取引をする能力を制限するか、または禁止できる」ものである。
ク 段落【0152】、【0163】によると、「コントローラ205」は、「顧客がメンバーであると判断されると、取引に対し、どの条件(例えばメンバーシップの特典)を適用すべきかを判断」し、「メンバーの顧客に対し、メンバーシップの特典を提供すべきでない」と「判断された場合」、「従来通り取引を処理できる(例えば表にされた小売価格で1つ以上の製品を購入することをメンバーの顧客に案内できる)」ものである。
ケ 段落【0166】によると、「コントローラ205」は、「1つ以上の製品を受ける権限がメンバーシップの顧客に与えられている」のであれば、「顧客が製品を受け取ることができるように、1つ以上の小出し機構170を起動できる」。
(3)文献1発明
上記(2)によると、文献1には、次の発明(以下「文献1発明」という。)が記載されている。
通信ネットワーク210を介して通信する任意の数の自動販売機100とコントローラ205を含むシステム200であって、
自動販売機100は、プロセッサ105を含み、プロセッサ105は、記憶デバイス110と通信し、記憶デバイス110は、製品在庫データベース120を記憶し、
スナックの自動販売機100は、在庫製品保管およびディスペンサー機構170の製品を小出しするコンポーネントを含む製品ディスペンサー機構320を含み、
自動販売機100が備える製品在庫データベース120は、製品識別子に対応づけて、ある期間中の特定の製品がその自動販売機によって販売される実際のレートである実際の製品速度と現在の在庫数を記憶するものであり、
コントローラ205は、
有効なメンバーシップの識別子により顧客は製品の受領(例えば1日につき12のスナック物品)を享受でき、メンバーに小出しできる無料製品のユニット数を制限することが望ましいため、提供される特典をトラッキングし、例えば1日である期間に提供できる特典の最大量と比較して、最大量を超えた場合に特典を提供することを防止でき、
顧客がユーザーデバイスにメンバーシップの識別子を表示させることによる、1つ以上の自動販売機の製品を得るためのリクエストを顧客から受け、受けたメンバーの識別子が有効なメンバーシップに対応するかどうかを判断するため、メンバーのデータベース130にアクセスし、メンバーデータベース内に対応する記録が存在するかどうかを判断し、
メンバーでない顧客の自動販売機との取引をする能力を制限するか、または禁止でき、
顧客がメンバーであると判断されると、取引に対し、どの条件(例えばメンバーシップの特典)を適用すべきかを判断し、メンバーの顧客に対し、メンバーシップの特典を提供すべきでないと判断された場合、従来通り取引を処理でき(例えば表にされた小売価格で1つ以上の製品を購入することをメンバーの顧客に案内できる)、
1つ以上の製品を受ける権限がメンバーシップの顧客に与えられているのであれば、顧客が製品を受け取ることができるように、1つ以上の小出し機構170を起動できる、
システム200。
2 文献2(特開2020-57291号公報)について
文献2には、以下のとおりの記載がある。
「【請求項1】
端末装置および認証サーバを有する認証システムであって、
前記端末装置は、
ユーザが自動販売機において購入しようとする商品について、購入者の条件がある場合には、該ユーザの生体情報を取得する生体情報取得部を有し、
前記端末装置および前記認証サーバのいずれか一方は、
前記生体情報取得部によって取得された生体情報と予め記憶された生体情報とを用いて、前記ユーザが正当なユーザであるか判定する認証処理を行う認証部を有し、
前記認証サーバは、
前記認証部によって前記ユーザが正当なユーザであると判定された場合には、前記ユーザの属性情報を取得する属性情報取得部と、
前記属性情報取得部によって取得された属性情報を用いて、前記条件を満たしているか否かを判定し、条件を満たしていると判定された場合には、前記商品の購入を許可する判定部と
を有することを特徴とする認証システム。」
「【0002】
従来、静脈や指紋、手形、顔、声紋、虹彩といった各種の生体認証を用いて本人認証を行う技術が知られている。また、個人情報等が保存されたIC(Integrated Circuit)カードからデータを読み出して本人認証を行う技術が知られている。例えば、ICカードの情報から購入者が成人であるか否かを識別し、タバコの購入を制限する自動販売装置がある。また、例えば、予め登録を行った会員にICカードを付与し、ICカードを用いて本人認証を行って自動車の鍵を解除するカーシェアリングサービスが知られている。」
「【0012】
端末装置10は、例えば、スマートフォンやタブレット等のユーザが所有する端末装置である。この端末装置10には、認証用アプリケーションがダウンロードされている。端末装置10は、認証用アプリケーションがユーザの操作を契機に起動し、ユーザが自動販売機30において購入しようとする商品について、購入者の条件がある場合には、該ユーザの生体情報を取得し、取得した生体情報を認証サーバに送信する。なお、端末装置10の構成については、後に図2を用いて詳述する。
【0013】
認証サーバ20は、ユーザの生体情報を端末装置10から取得し、該ユーザの生体情報と予め記憶された生体情報とを用いて、ユーザが正当なユーザであるか判定する認証処理を行う。なお、認証サーバ20は、認証処理の手法として、指紋認証、掌紋認証、虹彩認証、顔認証等のいずれの手法を適用してもよいし、複数の認証処理を組み合わせてもよい。そして、認証サーバ20は、ユーザが正当なユーザであると判定した場合には、ユーザの属性情報を取得し、取得した属性情報を用いて、条件を満たしているか否かを判定し、条件を満たしていると判定された場合には、商品の購入を許可し、自動販売機30に対して商品購入の許可を通知する。」
「【0021】
例えば、自動販売機30では、図3に例示するように、購入可能な各商品それぞれに対応するQRコードが表示されている。図3は、自動販売機に表示されるQRコードの例を示す図である。図3の例では、自動販売機30は、Aビール、BビールおよびCビールそれぞれに対して、それぞれ異なるQRコードが表示されている。ユーザが購入したい商品に対応するQRコードをカメラ12で撮影し、画像取得部13aは、該QRコードの画像を取得する。なお、QRコードには、対応する商品を識別する商品IDや自動販売機情報等が含まれているものとする。」
「【0023】
生体情報送信部13cは、生体情報取得部13bによって取得された生体情報を認証サーバ20に送信する。例えば、生体情報送信部13cは、生体情報取得部13bによって取得された指紋画像と、ユーザを識別するユーザIDと、ユーザが購入しようとする商品を識別する商品IDと、自販機を識別する自販機IDを含む認証要求を認証サーバ20に送信する。」
「【0025】
通信処理部21は、各種情報に関する通信を制御する。例えば、通信処理部21は、認証要求を端末装置10から受信し、自動販売機30に対して商品購入の許可を送信する。」
「【0029】
履歴情報記憶部23cは、ユーザの購入履歴に関する情報を記憶する。例えば、履歴情報記憶部23cは、図7に例示するように、各ユーザについて、ユーザが購入した商品を一意に識別する「商品ID」に対応付けて、「商品名」等の商品に関する情報を記憶する。図7は、履歴情報記憶部に記憶されるデータの一例を示す図である。なお、図7の例では、「ユーザA」に関する履歴情報のみを例示しているが、履歴情報記憶部23cは、他のユーザについても同様の履歴情報を記憶しているものとする。」
「【0032】
属性情報取得部22bは、認証部22aによってユーザが正当なユーザであると判定された場合には、ユーザの属性情報を取得する。例えば、属性情報取得部22bは、認証部22aによってユーザが正当なユーザであると判定された場合には、端末装置10から送信された認証要求に含まれるユーザIDに対応するユーザの属性情報(例えば、年齢)を属性情報記憶部23bから取得する。
【0033】
判定部22cは、属性情報取得部22bによって取得された属性情報を用いて、条件を満たしているか否かを判定し、条件を満たしていると判定された場合には、商品の購入を許可する。例えば、判定部22cは、属性情報取得部22bによって取得されたユーザの年齢が20才以上である場合には、ビールの購入条件を満たしていると判定し、自動販売機30に対して商品購入の許可を通知する。なお、判定部22cは、購入条件を満たしていると判定した場合には、商品の決済処理を行うようにしてもよく、ユーザに紐づくオンライン口座やクレジットから自動決済されてもよい。」
3 文献3(特開平7-302386号公報)について
文献3には、以下のとおりの記載がある。
「【0004】
【課題を解決するための手段】
この発明は上記課題を解消すべくなされたもので、筐体の内部に商品の単体を蓄積しておくためのストッカと、商品を一時に使用の単位毎に排出する排出機構と、その排出機構を作動させるための制御手段とを備え、排出機構は筐体に備えた取出口に連通すると共に、前記制御手段は磁気カードの読取機構で構成したものであり、また、構造的には筐体の内部中央に衛生器具の単体を多数積み重ねて保管するための数対の商品ストッカを並設し、その下方に取出口を開口させると共に、上方に情報表示手段と磁気カードの読取機構とを配置したものであり、さらに、用途的には女性用の化粧室に設けられ、磁気カードによって商品が取り出されるように構成したものである。」
「【0012】
この実施例の動作を説明すると、まず、衛生器具を必要とするとき、磁気カードの挿入口13に磁気カードを挿入する。磁気カードに記録された使用の残り回数がカードリーダ17によって読み取られ、その数字が情報表示手段14によって表示される。同時に、その数字が0でないときは排出機構15bの要部をなす電動機16に対して制御板20から動作が指令され、電動機16が所定量だけ回転し商品M、この例ではナプキンの1個が4個あるシュート15aのいずれかから交互に払い出され、下方の取出口12へ落下する。同時に前記情報表示手段14に表示された数字が1だけマイナスされされ、その数字が次回の使用に備えて磁気カードに記録される。」
4 文献4(特開2002-177105号公報)について
文献4には、次の記載がある。
「【0018】
図1及び2に示された好適実施例においては、販売機20は、小売開業店、例えば雑貨店などで使用される1つのスタンドアロン型ディスプレイを具備する。図1及び2に示された販売機20は、月経用具の異なるタイプを販売するものである。ここで使われている用語「月経用具」は、生理ナプキン、パンティライナー、失禁用具、インターラビアル製品、およびタンポンに限らないものを含む。」
5 文献5(特開2005-078127号公報)について
文献5には、以下のとおりの記載がある。
「【0009】
また本発明は、店頭で市販されている化粧品・生理用品・避妊具・薬品・健康食品等を販売する自動販売装置本体を設け、該自販装置本体に安価で使い捨て可能な製品を収納しかつ所望の製品をコインで買い取ることを特徴とする簡易小型式自動販売処理管理システムであり、また前記の簡易小型式自動販売管理システムにおいて自動販売処理装置本体を個人トイレの個室壁面に着脱自在に取り付けかつ該自動販売装置本体に収納されている各種商品の販売数量及び販売金額を自動処理することを可能にした簡易小型式自動販売処理管理システムであり、また前記の簡易小型式自動販売処理管理システムにおいて自動販売装置本体の上部にビデオを取り付けかつ該ビデオを介して自動販売装置の取り扱い方法と各商品の使用方法を案内する簡易小型式自動販売処理管理システムであり、また前記の簡易小型式自動販売装置とその管理システムにおいて前記自動販売装置をカラオケルーム・喫茶室・映画館等の各室個人トイレに配設しかつ該各室の自動販売装置を受付のフロントにて自動操作を可能にしてなる簡易小型式自動販売装置とその処理管理システムであるから、従来の自販機では得られない次のような多くの効果を有する。」
「【0015】
次に図5と図6によって、大型店舗式のカラオケ会館内に本発明からなる自動販売装置を装設し、その管理システムを示したものである。まず、カラオケ会館の各階に個室同伴式のカラオケボックスを装設し、この各個室のカラオケボックス10内に女性専用のトイレ13と自販装置本体1を取り付け、この自販装置本体1に収納されている商品の購入料やコイン数などの管理を集中一元化してシステム化したものである。すなわち、カラオケ会館の受付でコインを購入して各個室のカラオケルーム内でコインを使用し、所望の商品を購入すると管理室のパソコンに表示されるので、それをプリンターすれば現在の在庫などをチェックすることが可能となる。なお、図6は本発明がなる自販装置本体1の上にビデオWを置いた状態を示したものであり、このビデオWに個室利用のエチケットやマナーを流すとともに、各商品の正しい使用方法などを説明することによって中高校の女子学生に正しい性に関する知識を教えることで性教育にも役立たせることもできる。」
6 文献6(特開2003-217008号公報)について
文献6には、以下のとおりの記載がある。
「【0072】
管理センター端末30は、購入希望商品の情報及び携帯端末10の位置情報を受信すると、管理センター端末30に蓄積されている自動販売機20の情報の中から、購入希望商品の在庫があり、かつ携帯端末10の現在位置に最も近い自動販売機20を検索する(ステップ305)。そして、検索した自動販売機20の在庫情報、付近の地図、位置情報、携帯端末10の位置情報等を含む画面を、インターネットを介して携帯端末10へ送信する(ステップ306)。」
「【0098】
図6に示すように本実施形態の自動販売機の管理システムは、携帯端末10内に、予約要求部106および決済要求部107を設けた点と、自動販売機20内に、予約処理部206および決済処理部207を設けた点と、管理センター端末30内に、予約受付部309を設けた点とが図1の第1の実施形態と異なる。
【0099】
予約要求部106は、自動販売機20の検索が終了した後、通信部101を介して管理センター端末30がネットワーク50上に提供しているサイトにアクセスし、商品の予約要求を行う。具体的には、予約要求部106は、操作部104に入力されたユーザからの指示に基づいて、予約を希望する自動販売機、商品、数量の情報を、通信部101からネットワーク50を介して管理センター端末30に送信し、商品の予約要求を行う。
【0100】
予約受付部309は、携帯端末10が送出した予約を希望する自動販売機、商品、数量の情報を通信部301で受信した場合、予約希望商品、予約希望数量の情報を、通信部301からネットワーク50を介して該当する自動販売機20に送信する。
【0101】
予約処理部206は、管理センター端末30が送出した、予約希望商品、予約希望数量の情報を通信部201で受信した場合、予約希望商品を予約希望数量分確保する。」
「【0103】
ここで、決済要求部107から自動販売機20への上記情報の送信は、ユーザが携帯端末10のコネクタ(不図示)に自動販売機20付属のコード(不図示)を差し込み、このコードを介して行うこととしても良く、また、通信部101からネットワーク50を介して行うこととしても良い。」
「【0114】
自動販売機20は、携帯端末10が送出した情報に基づいて、携帯端末10を認識し、携帯端末10が携帯電話である場合の通話料金の引き落とし口座等から、予約希望商品の予約希望数量分の購入料金を引き落とす(ステップ713)。
【0115】
これにより、商品の購入が成立し、自動販売機20から予約希望商品が予約希望数量分排出され(ステップ714)、ユーザは、予約希望商品を予約希望数量分入手する(ステップ715)。
【0116】
なお、自動販売機20は、予約要求を受けて予約希望商品を予約希望数量分確保してから、一定期間、携帯端末10から携帯端末10の固有の情報が送信されてこない場合は、予約を解除する。」
「【0119】
また、本実施形態においては、決済要求時に、ユーザが、自動販売機20付属のコードを携帯端末10のコネクタに差し込むことなく、携帯端末10が、ユーザの指示で、インターネットを介して、携帯端末10の固有の情報を自動販売機20に送信することとしても良い。」
「【0127】
複数の自動販売機のそれぞれの個別の情報の収集および設定管理をネットワークを介して行い、複数の自動販売機の個別の情報を、ユーザが使用する携帯端末に提供する管理センター端末を設けた構成としているため、自動販売機の在庫等の情報をリアルタイムに管理することができるとともに、自動販売機の管理コストの低減およびユーザへのサービスの拡充を図ることができる。」
7 先願1(特願2019-230836号(特開2021-99636号))について
(1)本件発明の優先日、先願1の出願日
本件出願は、2020年(令和2年)11月27日(以下「優先日」という。)に出願された特願2020-197393号(以下「優先基礎出願」という。)を優先権主張の基礎とし、2021年(令和3年)11月10日に国際出願されたPCT/JP2021/041403である。
本件発明1、2、4、5、12~15は、優先基礎出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載された発明であるから、本件発明1、2、4、5、12~15についての新規性、進歩性等の判断の基準日は本件出願の優先日である令和2年11月27日である。
そして、先願1は、本件出願の優先日より前の令和元年12月10日に出願され、本件出願の優先日より後の令和3年7月1日に出願公開され、その発明者は本件出願の発明者とは同一ではなく、その出願人は、本件出願の時に本件出願の出願人と同一の者ではない。
(2)先願1の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「先願1明細書等」という。)には、以下のとおりの記載がある。
「【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、消費者は、吸収性物品を常に持ち歩いて外出していないため、予期せぬタイミングで吸収性物品が必要になる場合がある。しかしながら、上述した特許文献1では、消費者に適した吸収性物品に関する情報を提供しているに過ぎない。このため、消費者は、外出時に吸収性物品を所持しておらず、吸収性物品を必要とする状況下において、吸収性物品を享受することができる技術を望んでいた。
【0005】
本願は、上記に鑑みてなされたものであって、消費者が外出時に吸収性物品を所持しておらず、吸収性物品を必要とする状況下において、吸収性物品を提供することを目的とする。」
「【0012】
吸収性物品を提供可能な提供装置であって、少なくとも前記吸収性物品を1つ収容する収容部から前記吸収性物品を外部へ排出可能な排出部と、利用者を識別する利用者情報を取得する取得部と、前記取得部が前記利用者情報を取得した場合、前記利用者情報に基づく前記吸収性物品を提供するかの判定に応じて、前記排出部に少なくとも前記吸収性物品を1つ排出させる制御部と、を備える提供装置。」
「【0020】
また、上述した提供装置は、前記収容部が収容する前記吸収性物品の在庫数を検出する第1の検出部をさらに備え、前記制御部は、前記管理装置および当該提供装置が配置された施設の装置の少なくとも一方に対して、前記在庫数を通信部に送信させる。」
「【0026】
また、上述した前記吸収性物品は、生理用ナプキン、パンティーライナー、タンポン、使い捨ておむつ、尿取りパッド、失禁パッドおよびペット用のおむつ等のいずれかであってもよい。」
「【0030】
また、管理装置は、吸収性物品を提供する複数の提供装置の各々と通信可能な通信部と、前記複数の提供装置のいずれか一つから、利用者を識別する利用者情報を受信した場合、前記利用者情報を送信した前記提供装置に対して、前記利用者情報に基づく前記吸収性物品を提供するかを判定し、該判定した判定結果に応じて、前記利用者情報を送信した前記提供装置に少なくとも前記吸収性物品を1つ排出させる制御部と、を備える。」
「【0032】
また、上述した管理装置は、複数の前記利用者情報と、前記複数の提供装置の各々が前記吸収性物品を提供した提供時刻と、を対応付けた利用状況を示す利用者情報データを記録する記録部と、計時機能を有する計時部と、を備え、前記制御部は、前記利用者情報を受信した時刻と、前記利用者情報データと、に基づいて、前記利用者が前記複数の提供装置のいずれか1つから前記吸収性物品の提供を受けてから所定時間経過しているかを判定し、前記所定時間経過していると判定した場合、前記利用者情報を送信した前記提供装置に対して、少なくとも前記吸収性物品を1つ排出させる一方、前記所定時間経過していないと判定した場合、前記利用者情報を送信した前記提供装置に対して、前記所定時間経過していないことを示す情報を出力させる。」
「【0034】
また、上述した管理装置は、前記利用者情報データは、複数の前記利用者情報に、前記利用者情報に紐付けられた前記利用者に所定期間内において提供した前記吸収性物品の提供数をさらに対応付けて記録し、前記制御部は、前記提供数が前記所定期間内に提供可能な所定回数内であるかを判定し、前記所定回数内であると判定した場合、前記利用者情報を送信した前記提供装置に対して、少なくとも前記吸収性物品を1つ排出させる一方、前記所定回数内でないと判定した場合、前記利用者情報を送信した前記提供装置に対して、前記所定期間内において前記吸収性物品の提供が所定回数に到達したことを示す情報を出力させる。」
「【0036】
また、上述した管理装置は、前記利用者情報データと、前記複数の提供装置の各々を識別情報および前記複数の提供装置の各々の設置場所を示す設置情報を含む装置情報と、に基づいて、前記複数の提供装置の各々の在庫情報を示す在庫情報を生成する生成部と、をさらに備え、前記制御部は、前記生成部が生成した前記在庫情報を、前記複数の提供装置が配置された施設の装置へ送信する。」
「【0048】
図1に示す提供システム1は、利用者U1が外出時に吸収性物品を所持しておらず、吸収性物品を必要とする状況下において、吸収性物品を提供するシステムである。ここで、吸収性物品としては、生理用ナプキン、パンティーライナー、タンポン、使い捨ておむつ、尿取りパッド、失禁パッドおよびペット用のおむつ等が挙げられる。さらに、吸収性物品は、互いに異なる種類が含まれる。例えば、生理用ナプキンには、厚さ、長さ、および吸収量の各々が異なる複数種類が含まれる。
【0049】
図1に示す利用者U1は、吸収性物品の提供サービスを利用する契約者または登録者である。この提供サービスは、利用者U1が外出時に吸収性物品を所持しておらず、吸収性物品を必要とする状況下において、公共施設のトイレ等に設置された提供装置10から吸収性物品が提供されるサービスである。
【0050】
図1に示す提供システム1は、吸収性物品を提供する提供装置10と、利用者U1が利用する端末装置20と、ネットワークを介して提供装置10または端末装置20と双方向に通信可能な管理装置30と、ネットワークを介して提供装置10および管理装置30と双方向に通信可能な店舗装置40と、を備える。
【0051】
なお、図1では、説明の便宜上、提供サービスを利用する複数の利用者U1(複数の利用者U1がそれぞれ利用する複数の端末装置20)のうち、1人の利用者U1(1人の利用者U1が利用する1台の端末装置20)のみを図示している。さらに、図1では、提供装置10は、説明の便宜上、複数の公共施設、例えば、学校、デパート、駅、遊園地および美術館等のトイレ、サニタリースペース、ベビールームおよび授乳室等にそれぞれ配置されているが、1つの提供装置10のみを図示している。さらにまた、図1では、店舗装置40は、説明の便宜上、複数の公共施設や店舗に配置されているが、1つの店舗装置40のみを図示している。
【0052】
図1に示すように、まず、利用者U1は、端末装置20において、予め提供サービスに登録した提供サービスアプリケーション(以下、「提供サービスアプリ」という)の立ち上げを行う(ステップS1)。ここで、提供サービスアプリには、利用者U1を識別するための個人情報、提供サービスに関する情報、生理日管理および初経コンテンツ等が含まれる。ここで、個人情報には、利用者U1の生年月日、生理周期、利用者ID(ユーザID)およびパスワード等が含まれる。
【0053】
続いて、利用者U1は、外出時に吸収性物品を所持しておらず、吸収性物品を必要とする場合、端末装置20の表示モニタで表示された提供サービスアプリ内において、提供装置10から吸収性物品の提供を享受する操作を行う(ステップS2)。例えば、利用者U1は、端末装置20の表示モニタで表示される提供サービスアプリの操作画面上において、吸収性物品の提供を享受する操作アイコンを選択する。
【0054】
その後、端末装置20は、提供装置10から吸収性物品の提供を享受するための利用者情報を生成し(ステップS3)、かつ、この利用者情報を表示モニタに表示するとともに(ステップS4)、管理装置30に利用者U1に関する利用者情報を送信する(ステップS5)。具体的には、端末装置20は、利用者情報として1次元コード(例えばバーコード)や2次元コード(例えばQRコード(登録商標)や)を生成し、この1次元コードまたは2次元コードを表示モニタに表示する。この場合、端末装置20は、管理装置30に対して、利用者U1に関する利用者情報を送信する。ここで、利用者情報には、端末装置20を識別する端末識別情報、利用者U1を識別する個人情報(以下、「利用者ID」という)、パスワードおよび端末装置20の位置情報等が含まれる。さらに、利用者情報には、利用者U1の吸収性物品の購買数、および利用者U1の吸収性物品の継続利用年数等が含まれていてもよい。
【0055】
なお、図1では、端末装置20が利用者情報を生成して表示しているが、これに限定されることなく、例えば、管理装置30が端末装置20から送信された端末識別情報または利用者IDに基づいて、利用者情報を生成し、この利用者情報を端末装置20へ送信することによって端末装置20の表示モニタに表示させてもよい。また、図1では、端末装置20が利用者情報として2次元コードを生成しているが、数字、文字、記号および絵等で構成されたものであってもよい。
【0056】
さらに、図1では、端末装置20が利用者情報を生成して表示しているが、例えば、予め利用者情報が添付または印字された学生証、生徒手帳およびクーポン等の紙媒体であってもよい。この場合、利用者情報は、必ずしも表示されている必要がなく、例えば利用者情報を記録するICチップ(例えばICタグ、RFID、非接触ICカード)等を学生証または生徒手帳等に埋め込んでいればよい。さらにまた、端末装置20は、利用者情報を提供装置10に無線通信によって送信してもよい。
【0057】
続いて、利用者U1は、端末装置20の表示モニタが表示する利用者情報を、提供装置10に設けられたコードリーダに読み取らせる(ステップS6)。この場合、提供装置10は、利用者U1が提示した端末装置20の表示モニタで表示される利用者情報の読み取りを行う。
【0058】
その後、提供装置10は、利用者情報を管理装置30へ送信する(ステップS7)。この場合、提供装置10は、提供装置10の装置情報と、利用者情報と合わせて管理装置30へ送信してもよい。ここで、装置情報には、提供装置10を識別する装置識別情報(装置IDや装置IPアドレス)と、提供装置10が利用者情報を読み取った時刻情報と、を少なくとも含む。さらに、装置情報に、提供装置10の設置場所を示す設置場所情報と、提供装置10に収容された吸収性物品の種別を示す種別情報と、を含めてもよい。
【0059】
続いて、管理装置30は、提供装置10から受信した利用者情報に基づいて、前回の吸収性物品の提供から所定時間経過しているか否かを判定し(ステップS8)、かつ、1ヶ月当たりの所定回数内であるか否かを判定する(ステップS9)。具体的には、管理装置30は、提供装置10から受信した利用者情報に基づいて、提供装置10が利用者U1に対して前回に吸収性物品を提供してから所定時間、例えば3時間以上経過しているか否かを判定する。さらに、管理装置30は、提供装置10から受信した利用者情報に基づいて、利用者U1に対して1ヶ月当たりの提供回数が所定回数、例えば3回に達したか否かを判定する。これにより、利用者U1に対して無制限に吸収性物品を提供することを防止することができる。
【0060】
その後、管理装置30は、前回の吸収性物品の提供から所定時間経過しており、かつ、1ヶ月当たりの所定回数内である場合、提供装置10に吸収性物品の提供を許可する許可情報を送信する(ステップS10)。なお、管理装置30は、前回の吸収性物品の提供から所定時間経過していないとき、利用者U1に対して前回に吸収性物品を提供してから所定時間経過してしないことを提供装置10へ送信する。具体的には、管理装置30は、利用者U1に対して前回に吸収性物品を提供してから所定時間経過してしないことを示す情報、例えば吸収性物品の提供を禁止する情報を提供装置10へ送信する。この場合、管理装置30は、利用者U1に対して吸収性物品を提供することができる時刻情報を提供装置10または端末装置20へ送信してもよい。さらに、管理装置30は、前回に吸収性物品を提供してから所定時間経過している場合であっても、1ヶ月当たりに提供可能な回数が所定回数に達しているとき、1ヶ月当たりの提供可能な回数に達したこと提供装置10へ送信する。具体的には、管理装置30は、1ヶ月当たりの提供可能な回数に達したことを示す情報、例えば吸収性物品の提供を禁止する情報または1ヶ月当たりの提供可能な回数に達したことを示す到達情報を提供装置10へ送信する。
【0061】
続いて、提供装置10は、管理装置30から許可情報を受信した場合、内部に収容する吸収性物品Q1を外部に排出することによって利用者U1へ提供する(ステップS11)。このため、利用者U1は、外出時に吸収性物品Q1を所持しておらず、吸収性物品Q1を必要とする状況下において、吸収性物品Q1を得ることができる。これにより、利用者U1の提供装置10を提供する会社の製品やブランドに対するロイヤリティを向上させることができる。さらに、提供装置10を設置する施設に対するロイヤリティを向上させることができる。この結果、利用者U1のロイヤリティが増える。なお、提供装置10は、管理装置30からの吸収性物品を提供するか否かの判定に応じて、利用者U1に対して、前回に吸収性物品を提供した時刻から所定時間経過してしないことを示す情報を表示したり、1ヶ月当たりに提供可能な回数が所定回数に達したことを示す情報を表示したりしてもよい。また、提供装置10は、収容部103に吸収性物品が収容されていない場合(在庫が無い場合)、出力部108は、吸収性物品の在庫が無い旨の情報を出力する。ここで、出力部108が吸収性物品の在庫が無い旨の情報を出力するタイミングは、収容部103に収容される吸収性物品がなくなった場合(例えば、収容部103に配置されたセンサにより吸収性物品が無いと判断された場合や、収容部103そのものが取り外された場合等)であってもよいし、排出部104が収容部103に収容された吸収性物品を排出する場合(提供装置10が管理装置30から排出の指示を受信した場合や、吸収性物品を排出するために排出部104を動作させた場合等)であってもよい。
【0062】
その後、提供装置10は、店舗装置40に吸収性物品の在庫状況を示す在庫情報および利用者情報を送信する(ステップS12)。この場合、提供装置10は、店舗装置40に装置情報を、在庫情報および利用者情報に合わせて送信してもよい。
【0063】
続いて、店舗装置40は、提供装置10から受信した在庫情報および利用者情報に基づいて、利用者ID、店舗内に配置した複数の提供装置10それぞれの残数および使用数、および補充の度合いそれぞれを示すリアルタイム情報P1を生成し(ステップS13)、リアルタイム情報P1を表示する(ステップS14)。リアルタイム情報P1には、少なくとも、複数の提供装置10それぞれを設置した場所、装置ID、吸収性物品の残数、吸収性物品の使用数、吸収性物品の補充を促す情報、日時毎の吸収性物品の消費数が含まれる。もちろん、リアルタイム情報P1に、利用者IDを含めてもよい。これにより、店舗装置40の管理者は、店舗内における複数の提供装置10の在庫状況および消費状況それぞれをリアルタイムで把握することができる。さらに、店舗装置40の管理者は、利用者U1の年齢を直感的に把握することができる。
【0064】
その後、店舗装置40は、管理装置30へリアルタイム情報P1を送信する(ステップS15)。
【0065】
続いて、管理装置30は、複数の店舗装置40それぞれから受信したリアルタイム情報を記録し(ステップS16)、リアルタイム情報に基づいて、利用者分析情報P2を生成する(ステップS17)。利用者分析情報P2には、少なくとも、利用者情報(利用者ID)、年齢、吸収性物品の提供数および吸収性物品の提供を享受した提供装置10の場所が含まれる。これにより、複数の店舗装置40それぞれから受信した複数のリアルタイム情報P1に基づいて、利用者U1が、どの時期に、どの場所で吸収性物品を欲しているかを分析することによって、実際のイベント時における対策を行うことができるうえ、提供サービスアプリを登録した利用者U1の使用状況を把握することができる。」
「【0089】
〔2-2:管理装置の機能構成〕
次に、図2を用いて、管理装置30の詳細な構成について説明する。管理装置30は、通信部31と、計時部32と、記録部33と、制御部34と、を備える。
【0090】
通信部31は、ネットワークNと有線または無線で接続され、管理装置30との間で情報の送受信を行う。通信部31は、通信用の回路や通信モジュールおよびアンテナ等によって実現される。なお、実施形態では、通信部31が第2の通信部として機能する。
【0091】
計時部32は、計時機能を有するクロックジェネレータやタイマー等を用いて実現され、通信部31が受信した各種情報に日時情報を付与する。
【0092】
記録部33は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスクによって実現される。記録部33には、利用者情報データベース331と、装置情報データベース332と、を有する。
【0093】
利用者情報データベース331は、複数の利用者情報と、複数の提供装置10の各々が吸収性物品を提供した提供時刻と、を対応付けた利用状況を示す利用者情報データを記録する。さらに、利用者情報データベース331は、複数の利用者情報に、利用者情報に紐付けられた利用者U1に所定期間内において提供した吸収性物品の提供数をさらに対応付けて記録する。具体的には、図3に示すように、利用者情報データD1には、利用者ID、名前、年齢、複数の提供装置10の各々が前回に提供した時刻を示す前回提供時刻、利用者情報に紐付けられた利用者U1(利用者ID)に所定期間内おいて提供した今月提供回数、および装置ID(提供装置10の場所を示す場所)が含まれる。なお、利用者情報データベース331は、利用者情報として、利用者U1の吸収性物品の購入履歴(製品の購入履歴、購入場所等を含む)と、吸収性物品の利用状況(利用製品の情報、利用量、吸収性物品に関する嗜好、トラブル等を含む)等と、利用者U1を特定する情報(個人情報)と、を関連付けて記録または管理してもよい。さらに、利用者情報データベース331は、利用者U1ごとに提供可能な吸収性物品の数が異なる場合、吸収性物品の提供回数だけでなく、吸収性物品の提供できる上限を示す提供可能回数を記録または管理してもよい。もちろん、利用者情報データベース331に限定されることなく、管理装置30と連携する他の情報処理装置において、利用者U1の吸収性物品の購入履歴(製品の購入履歴、購入場所等を含む)と、吸収性物品の利用状況(利用製品の情報、利用量、吸収性物品に関する嗜好、トラブル等を含む)等と、利用者U1を特定する情報(個人情報)と、を関連付けて記録または管理してもよいし、利用者U1ごとに提供可能な吸収性物品の数が異なる場合、吸収性物品の提供回数だけでなく、吸収性物品の提供できる上限を示す提供可能回数を記録または管理してもよい。
【0094】
装置情報データベース332は、複数の提供装置10を識別する装置識別情報(装置ID)、設置施設、設置場所、前回提供時刻、吸収性物品の使用数および残数を示す装置情報データを記録する。具体的には、図4に示すように、装置情報データD2には、装置ID、設置施設、設置場所、前回提供時刻、吸収性物品の使用数および残数が含まれる。
【0095】
制御部34は、メモリと、CPU等のハードウェアとも用いて実現され、管理装置30を構成する各部を統括的に制御する。制御部34は、記録部33に記録されている各種プログラムをメモリ内に読み出し、このメモリ内を作業領域として実行することにより、各種のプログラムを実行する。なお、制御部34は、ASICやFPGA等を用いて実現してもよい。制御部34は、判定部341と、送信制御部342と、生成部343と、を有する。また、制御部34は、実施形態では、第2の通信部として機能する。
【0096】
判定部341は、通信部31が利用者情報を受信した時刻と、利用者情報データベース331が記録する利用者情報データと、に基づいて、利用者U1が複数の提供装置10のいずれか1つから吸収性物品の提供を受けてから所定時間経過、例えば3時間経過しているか否かを判定する。さらに、判定部341は、利用者U1が所定期間内、例えば1ヶ月当たりに提供可能な所定回数内であるか否かを判定する。
【0097】
送信制御部342は、判定部341の判定結果を送信する。具体的には、送信制御部342は、判定部341が利用者情報に応じて判定した判定結果に応じて、利用者情報を送信した提供装置10に対して、吸収性物品の提供を許可する許可情報を通信部31に送信させる。具体的には、送信制御部342は、判定部341の判定結果により吸収性物品の提供が可能である場合、吸収性物品の提供を許可する許可情報を通信部31に送信させる。また、送信制御部342は、判定部341によって所定時間経過していないと判定された場合、利用者情報を送信した提供装置10に対して、吸収性物品の提供を禁止する禁止情報を通信部31に送信させる。また、送信制御部342は、判定部341によって所定回数内でないと判定された場合、利用者情報を送信した提供装置10に対して、所定期間内において吸収性物品の提供が所定回数に到達したことを示す到達情報を通信部31に送信させる。
【0098】
生成部343は、利用者情報データベース331が記録する利用者情報データと、複数の提供装置の各々の装置情報と、に基づいて、複数の提供装置の各々の在庫情報を示す在庫情報を生成する。」
「【0130】
ステップS10cにおいて、管理装置30は、端末装置20に向けて、提供装置10Aによる吸収性物品の供給を許可または不許可を示す情報を送信する。
【0131】
続いて、利用者U1は、端末装置20の表示モニタによって表示された管理装置30から送信された提供装置10Aによる吸収性物品の供給を許可または不許可を示す情報を、提供装置10Aに設けられたコードリーダ(読取部12)に読み取らせる(ステップS10d)。ここで、端末装置20の表示モニタによって表示される情報は、例えば吸収性物品の供給を許可または不許可を示す情報が埋め込まれた2次元コード(例えばQRコード)、1次元コードまたはワンタイムパスによるコードや数字のいずれかであってもよい。もちろん、端末装置20の表示モニタによって表示される情報は、提供装置10Aによる吸収性物品の供給を許可または不許可を示す情報に、利用者U1を識別する個人情報を少なくとも含む利用者情報を含めてもよい。」
「【0133】
続いて、提供制御部112は、判定部113によって利用者U1に対して吸収性物品を提供可能であると判定された場合、収容部103に収容する吸収性物品Q1を外部に排出することによって利用者U1へ提供する。」
(3)先願1明細書等に記載された事項
ア 段落【0050】によると、「提供システム1」は、「提供装置10」と、「管理装置30」とを備え、「管理装置30」は、「提供装置10」と「ネットワークを介して」「双方向に通信可能」である。
イ 段落【0051】によると、「提供装置10」は、「複数の公共施設、例えば、学校、デパート、駅、遊園地および美術館等のトイレ、サニタリースペース、ベビールームおよび授乳室等にそれぞれ配置されている」ものである。
ウ 段落【0012】、【0048】、【0061】によると、「提供装置10」は、「吸収性物品」を「内部に収容」し、「外部に排出することによって利用者U1へ提供する」ものであり、「吸収性物品」は、「生理用ナプキン、パンティーライナー、タンポン」を含むものである。
エ 段落【0050】、【0089】、【0092】、【0095】によると、「管理装置30」は、「通信部31と、計時部32と、記録部33と、制御部34と、を備え」、「記録部33」は、「利用者情報データベース331と、装置情報データベース332」とを有し、「制御部34」は、「判定部341と、送信制御部342と、生成部343」とを有するものである。
オ 段落【0094】によると、「装置情報データベース332」は、「複数の提供装置10を識別する装置識別情報(装置ID)」と、「吸収性物品の使用数および残数」を示す「装置情報データ」を「記録」するものである。
カ 段落【0093】によると、「利用者情報データベース331」は、「利用者ID」と、「複数の提供装置10の各々が前回に提供した時刻を示す前回提供時刻」と、「利用者情報に紐付けられた利用者U1(利用者ID)に所定期間内おいて提供した今月提供回数」と、「装置ID(提供装置10の場所を示す場所)」を含む「利用者情報データ」を「記録」するものである。
キ 段落【0054】、【0057】~【0058】によると、「提供装置10」は、「利用者U1が提示した端末装置20の表示モニタで表示される利用者情報の読み取り」を行い、「利用者情報」と、「提供装置10の装置情報」を、「管理装置30」へ「送信」するものであり、「利用者情報」は、「利用者U1を識別する個人情報」である「利用者ID」を含み、「提供装置10から吸収性物品の提供を享受するため」に「生成」されるものであり、「提供装置10の装置情報」は、「提供装置10を識別する装置識別情報」である「装置ID」を含むものである。
ク 段落【0059】、【0096】によると、「判定部341」は、「提供装置10から受信した利用者情報に基づいて、提供装置10が利用者U1に対して前回に吸収性物品を提供してから所定時間」「経過しているか否かを判定」し、「提供装置10から受信した利用者情報に基づいて、利用者U1に対して1ヶ月当たりの提供回数が所定回数」「に達したか否かを判定」するものである。
ケ 段落【0060】、【0097】によると、「送信制御部342」は、「前回の吸収性物品の提供から所定時間経過しており、かつ、1ヶ月当たりの所定回数内である」との「判定結果」に応じて、「利用者情報を送信した提供装置10に対して、吸収性物品の提供を許可する許可情報を通信部31に送信させる」ものである。
(4)上記(3)によると、先願1明細書等には、次の発明(以下「先願発明」という。)が記載されている。
「提供装置10と、提供装置10とネットワークを介して双方向に通信可能な管理装置30とを備える提供システム1であって、
提供装置10は、生理用ナプキン、パンティーライナー、タンポンを含む、吸収性物品を内部に収容し、外部に排出することによって利用者U1へ提供するものであり、複数の公共施設、例えば、学校、デパート、駅、遊園地および美術館等のトイレ、サニタリースペース、ベビールームおよび授乳室等にそれぞれ配置され、
管理装置30は、通信部31と、計時部32と、記録部33と、制御部34と、を備え、記録部33は、利用者情報データベース331と、装置情報データベース332とを有し、制御部34は、判定部341と、送信制御部342と、生成部343とを有し、
装置情報データベース332は、複数の提供装置10を識別する装置識別情報(装置ID)と、吸収性物品の使用数および残数を示す装置情報データを記録するものであり、
利用者情報データベース331は、利用者IDと、複数の提供装置10の各々が前回に提供した時刻を示す前回提供時刻と、利用者情報に紐付けられた利用者U1(利用者ID)に所定期間内おいて提供した今月提供回数と、装置ID(提供装置10の場所を示す場所)を含む利用者情報データを記録するものであり、
提供装置10は、利用者U1が提示した端末装置20の表示モニタで表示される利用者情報の読み取りを行い、利用者情報と、提供装置10の装置情報を、管理装置30へ送信し、ここで、利用者情報は、利用者U1を識別する個人情報である利用者IDを含み、提供装置10から吸収性物品の提供を享受するために生成されるものであり、提供装置10の装置情報は、提供装置10を識別する装置識別情報である装置IDを含むものであり、
判定部341は、提供装置10から受信した利用者情報に基づいて、提供装置10が利用者U1に対して前回に吸収性物品を提供してから所定時間経過しているか否かを判定し、提供装置10から受信した利用者情報に基づいて、利用者U1に対して1ヶ月当たりの提供回数が所定回数に達したか否かを判定し、
送信制御部342は、前回の吸収性物品の提供から所定時間経過しており、かつ、1ヶ月当たりの所定回数内であるとの判定結果に応じて、利用者情報を送信した提供装置10に対して、吸収性物品の提供を許可する許可情報を通信部31に送信させる、
提供システム1。」
第5 異議申立Aについての当審の判断
1 申立理由Aアについて
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と文献1発明とを対比する。
(ア)文献1発明の「ディスペンサー機構」を有する「自動販売機100」は、後述の相違点は別として、本件発明1の「ディスペンサ」に相当する。
文献1発明の「スナック」と本件発明1の「生理用品」とは、いずれも在庫管理され、ディスペンサにより提供される「製品」である点で共通する。
そして、文献1発明の「スナックの自動販売機100」は、在庫製品保管およびディスペンサー機構170の製品を小出しするコンポーネントにより製品を保持し提供するディスペンサとして機能するものといえるから、本件発明1の「生理用品を保持および提供するディスペンサ」と「製品を保持及び提供するディスペンサ」である点で共通する。
(イ)文献1発明の「製品識別子」は、「製品」の「識別子」であるから、文献1発明の「自動販売機100」における「製品識別子」に「対応づけ」られた「現在の在庫数」と、本件発明1の「生理用品の在庫状況」は、「製品の在庫状況」という点で共通する。
そして、文献1発明の「現在の在庫数」は、ある期間中の特定の製品が自動販売機によって販売される実際のレートである実際の製品速度とともに自動販売機100の記憶デバイスに「製品識別子」に「対応づけ」られて記憶されているから、「製品を保持及び提供するディスペンサ(自動販売機100)」が保持する製品の「現在の在庫数」であることから、文献1発明の「製品を保持及び提供するディスペンサ(自動販売機100)」が保持する製品の「現在の在庫数」と、本件発明1の「前記ディスペンサに保持された前記生理用品の在庫状況」は、「前記ディスペンサに保持された前記製品の在庫状況」という点で共通する。
以上より、文献1発明の「自動販売機100」における「製品識別子に対応づけて現在の在庫数を記憶する」「製品在庫データベース120」は、本件発明1の「前記ディスペンサに保持された前記生理用品の在庫状況を管理する在庫管理部」と、「前記ディスペンサに保持された前記製品の在庫状況を管理する在庫管理部」という点で共通する。
(ウ)文献1発明の「顧客」が「1日」に「享受」した「スナック物品」の数は、「顧客」に適用可能な「メンバーシップの特典」として「提供される特典をトラッキング」した結果であり、提供の履歴といえるから、本件発明1の「前記生理用品が提供された提供履歴」と、「前記製品が提供された提供履歴」という点で共通する。
そして、文献1発明の「コントローラ205」は、メンバーシップの特典に従って取引を処理するためにこの提供履歴を管理する機能を有するから、本件発明1の「前記ディスペンサからユーザに対して前記生理用品が提供された提供履歴を管理するユーザ管理部」と、「ユーザに対して前記製品が提供された提供履歴を管理するユーザ管理部」である点で共通する。
(エ)文献1発明の「メンバーシップの識別子」は、本件発明1の「前記ユーザを識別するユーザ識別情報」に相当する。そして、文献1発明の、ユーザーデバイスを介して表示されるこのユーザ識別情報の表示とともになされる「自動販売機の製品を得るためのリクエスト」は、本件発明1の「前記ユーザのユーザ端末から送信され」る「生理用品の提供を求める提供要求」と、「前記ユーザのユーザ端末から送信され」る「製品の提供を求める提供要求」である点で共通する。
また、文献1発明の「コントローラ205」は、メンバーのデータベース130にアクセスして顧客がメンバーであると判断されると、取引に対してどのメンバーシップの特典を適用すべきか判断し、製品を受け取る権限が与えられた顧客が製品を受け取れるようにし、その際、上記(ウ)の「提供履歴」に基づいて製品を受け取る権限の有無を判断することになるから、文献1発明の「「提供履歴」に基づいて製品を受け取る権限の有無を判断する」「コントローラ205」の機能は、本件発明1の「前記ユーザのユーザ端末から送信され、前記ユーザを識別するユーザ識別情報と、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを識別するディスペンサ識別情報とを含む、前記生理用品の提供を求める提供要求に応じて、前記提供履歴に基づいて、前記ユーザへの前記生理用品の提供の可否を判定する判定部」と、「前記ユーザのユーザ端末から送信され、前記ユーザを識別するユーザ識別情報を含む、前記製品の提供を求める提供要求に応じて、前記提供履歴に基づいて、前記ユーザへの前記製品の提供の可否を判定する判定部」である点で共通する。
(オ)文献1発明は、「1つ以上の製品を受ける権限がメンバーシップの顧客に与えられているのであれば、顧客が製品を受け取ることができるように、1つ以上の小出し機構170を起動でき」るものであり、「コントローラ205」が、「1つ以上の小出し機構170を起動」させるのであるから、「コントローラ205」は、「1つ以上の小出し機構170を起動」させる機能を有するものである。
よって、文献1発明の「1つ以上の製品を受ける権限がメンバーシップの顧客に与えられているのであれば、顧客が製品を受け取ることができるように、1つ以上の小出し機構170を起動」させる「コントローラ205」の機能と、本件発明1の「前記判定部によって提供可と判定された場合、前記在庫管理部によって管理された在庫状況が、在庫有りを示すのであれば、前記ディスペンサに対して、前記保持している前記生理用品の排出を許可する排出許可部」は、「前記判定手段によって提供可と判定された場合、前記ディスペンサに対して、前記保持している前記製品の排出を許可する排出許可部」である点で共通する。
(カ)文献1発明の「受けたメンバーの識別子が有効なメンバーシップに対応するかどうかを判断するため、メンバーのデータベース130にアクセスし、メンバーデータベース内に対応する記録が存在するかどうかを判断」することは、本件発明1の「前記ユーザ端末から送信された前記提供要求に含まれるユーザ識別情報に基づいて、前記ユーザを特定」することと、「ユーザ識別情報に基づいて、前記ユーザを特定」する点で共通する。
また、文献1発明は、「メンバーシップの規則のデータベース125に相談し、メンバーの顧客に対して提供すべき1つ以上の特典を決定し、1つ以上の製品を受ける権限がメンバーシップの顧客に与えられているのであれば、顧客が製品を受け取ることができるように、1つ以上の小出し機構170を起動でき」るものであり、「コントローラ205」が、「顧客が製品を受け取る」ための「自動販売機100」を特定していることは明らかであるから、文献1発明の「顧客が製品を受け取る」ための「自動販売機100」を特定することと、本件発明1の「前記提供要求に含まれるディスペンサ識別情報に基づいて、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを特定する」ことは、「前記ユーザが前記製品の提供を要求している前記ディスペンサを特定する」点で共通する。
そして、文献1発明において、ユーザの特定および自動販売機100の特定を行うのは、「コントローラ205」の機能であるから、文献1発明の「受けたメンバーの識別子が有効なメンバーシップに対応するかどうかを判断するため、メンバーのデータベース130にアクセスし、メンバーデータベース内に対応する記録が存在するかどうかを判断」し、「顧客が製品を受け取る」ための「自動販売機100」を特定する、「コントローラ205」の機能と、本件発明1の「前記ユーザ端末から送信された前記提供要求に含まれるユーザ識別情報に基づいて、前記ユーザを特定し、前記提供要求に含まれるディスペンサ識別情報に基づいて、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを特定する特定部」は、「ユーザ識別情報に基づいて、前記ユーザを特定し、前記ユーザが前記製品の提供を要求している前記ディスペンサを特定する特定部」である点で共通する。
(キ)文献1発明の「任意の数の自動販売機100」は、「任意の数」が1である場合を除けば、本件発明1の「前記ディスペンサは複数」あることに相当する。また、文献1発明の「任意の数の自動販売機100」が、それぞれ異なる場所に設置されることは自明であるから、文献1発明の「自動販売機100」が「任意の数」設置されることは、本件発明1の「前記ディスペンサは複数あり、それぞれ異なる場所に設置され」ることに相当する。
(ク)文献1発明の「コントローラ205」は、「通信ネットワーク210」を介して「任意の数の自動販売機100」と「通信」するものであり、上記のユーザ管理部、判定部、排出許可部、特定部としての機能を有するから、本件発明1の「前記在庫管理部、前記ユーザ管理部、前記判定部、前記排出許可部、および前記特定部は、前記複数のディスペンサに対して共通して設けられた」ことと、「前記ユーザ管理部、前記判定部、前記排出許可部、および前記特定部は、前記複数のディスペンサに対して共通して設けられた」点で共通する。
(ケ)文献1発明の「システム200」は、「通信ネットワーク210を介して通信する任意の数の自動販売機100とコントローラ205」を含み、「スナック」を提供するものであるから、文献1発明の「自動販売機100」と「コントローラ205」とを含む「システム」は、本件発明1の「生理用品提供装置」と「製品提供装置」である点で共通する。
(コ)以上、(ア)~(ケ)によると、本件発明1と文献1発明は、
製品を保持および提供するディスペンサと、
前記ディスペンサに保持された前記製品の在庫状況を管理する在庫管理部と、
ユーザに対して前記製品が提供された提供履歴を管理するユーザ管理部と、
前記ユーザのユーザ端末から送信され、前記ユーザを識別するユーザ識別情報を含む、前記製品の提供を求める提供要求に応じて、前記ユーザへの前記製品の提供の可否を判定する判定部と、
前記判定手段によって提供可と判定された場合、前記ディスペンサに対して、前記保持している前記製品の排出を許可する排出許可部と、
ユーザ識別情報に基づいて、前記ユーザを特定し、前記ユーザが前記製品の提供を要求している前記ディスペンサを特定する特定部とを備え、
前記ディスペンサは複数あり、それぞれ異なる場所に設置され、
前記ユーザ管理部、前記判定部、前記排出許可部、および前記特定部は、前記複数のディスペンサに対して共通して設けられた、製品提供装置。
という点で一致し、以下の点で相違している。
(相違点1)
製品提供装置のディスペンサが提供する「製品」が、本件発明1は、「生理用品」であるのに対して、文献1発明は、「スナック」である点。
(相違点2)
ユーザに対して製品が提供された提供履歴が、本件発明1では、「ディスペンサから」の提供に係るものであるのに対し、文献1発明では、「ディスペンサから」の提供に係る物か否かが明らかでない点。
(相違点3)
製品の提供を求める提供要求、及び、特定部によるディスペンサの特定について、本件発明1は、提供要求がディスペンサを識別するディスペンサ識別情報を含み、特定部がディスペンサ識別情報によりディスペンサを識別するのに対して、文献1発明は、提供情報に、ディスペンサ(自動販売機100)の識別情報を含むことこと、及び、ディスペンサの識別情報によりディスペンサを識別することが特定されていない点。
(相違点4)
排出許可手段が、前記ディスペンサに対して、前記保持している前記製品の排出を許可する処理を、本件発明1は、前記判定部によって提供可と判定した後に、前記在庫管理部によって管理された在庫状況が、在庫有りを示す場合に行うのに対して、文献1発明は、前記判定部によって提供可と判定した場合に行うことのみを特定し、その後に、前記在庫管理部によって管理された在庫状況が、在庫有りを示す場合に行うことを特定していない点。
(相違点5)
在庫管理部が、本件発明1は、前記複数のディスペンサに対して共通して設けられることを特定するのに対して、文献1発明は、在庫管理部(記憶デバイス110)を複数のディスペンサ(自動販売機100)がそれぞれ有し、共通して設けられていない点。
イ 判断
事案に鑑みて、相違点4及び相違点5について検討する。
文献1発明は、製品在庫データベース120を個々の自動販売機100に設けるものであるから、ユーザーが製品の提供を受けようとする自動販売機100に製品在庫がない場合には、コントローラ205での判断を待つまでもなく、その自動販売機100からの製品提供はできないと判断できる。このことに鑑みれば、文献1発明において、コントローラ205が自動販売機100の「製品在庫データベース120」から在庫情報を読み取って判断するように変更することは、動機付けを欠くものである。
また、文献2~6のいずれにも、在庫管理部と前記判定手段によって提供可と判定された場合の排出許可を行うための構成を複数のディスペンサに対して共通して設けることは記載されておらず、また、当該技術事項が本件特許出願の優先日前に当業者にとって周知であるとの合理的な理由も証拠もない。
してみると、文献1発明において、在庫管理部を複数のディスペンサに対して共通に設け、ユーザ識別情報と提供履歴に基づいて提供可と判定した後に、在庫管理部によって管理された在庫状況が在庫有りを示す場合に排出許可を行うように構成を変更することは当業者といえども容易になし得るものではない。
以上のとおりであるから、相違点1~3について判断するまでもなく、本件発明1は、文献1発明及び文献2~6に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(2)本件発明2、4、5、12~15について
本件発明2、4、5、12~15のいずれの発明も、上記相違点4及び相違点5に対応する本件発明1の構成を有するから、上記(1)の「イ 判断」で検討したのと同様の理由により、本件発明2、4、5、12~15は、文献1発明及び文献2~6に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
(3)申立理由Aアについてのまとめ
以上、検討したとおり、本件発明1、2、4、5、12~15は、文献1発明及び文献2~6に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではないから、申立理由Aアは理由がない。
2 記載不備に関する申立理由(申立理由Aイ~申立理由Aエ)について
(1)申立理由Aイ(明確性要件)について
ア 生理用品提供装置の構成に関する主張について
請求項1には、「・・・ディスペンサと、・・・在庫管理部と、・・・ユーザ管理部と、・・・判定部と、・・・排出許可部と、特定部とを備え、前記ディスペンサは複数あり、それぞれ異なる場所に設置され、前記在庫管理部、前記ユーザ管理部、前記判定部、前記排出許可部、および前記特定部は、前記複数のディスペンサに対して共通して設けられた、生理用品提供装置。」との記載があり、「生理用品提供装置」は、「複数」の「ディスペンサ」と、複数のディスペンサに対して「共通して設けられ」ている「前記在庫管理部」、「前記ユーザ管理部」、「前記判定部」、「前記排出許可部」及び「前記特定部」を備えるものであることが特定されているから、本件発明1の生理用品提供装置が備える構成は明確である。
この点、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、「生理用品提供装置1は、図1に例示するように、例えばインターネットのような通信ネットワーク200 に接続された生理用品提供管理サーバ10と、トイレ、例えば、女性用トイレの各個室にそれぞれ配置された複数のディスペンサ60とによって実現される。」(【0040】)、「生理用品提供管理サーバ10は、各ディスペンサ60からユーザへの生理用品Sの提供を管理する装置であって、その電子回路は、バス11によって互いに接続されたCPU12、記録媒体読取部14、通信部15、メモリ20、および記憶装置30を備えている。」(【0091】)、「メモリ20は、在庫管理プログラム21、ユーザ管理プログラム22、特定プログラム23、判定プログラム24、および排出許可プログラム25を記憶している。」(【0092】)、「CPU12は、コンピュータであって、メモリ20に記憶されている各プログラム21~25に従い回路各部の動作を制御する。」(【0094】)と記載されており、「生理用品提供装置1」は、「複数のディスペンサ60」と「生理用品提供管理サーバ10」を備え、「生理用品提供管理サーバ10」の「CPU12」は「メモリ20」に記憶されている「在庫管理プログラム21」、「ユーザ管理プログラム22」、「特定プログラム23」、「判定プログラム24」、「排出許可プログラム25」に従い回路各部の動作を制御するものであることが理解できる。よって、上記請求項1の記載は、発明の詳細な説明の記載とも対応している。
申立人1は、本件の請求項1は、どのような形態で実施されるものであるのかが明確でないとも主張するが、請求項1の記載は上記のとおり明確であり、当業者であれば、複数のディスペンサに対して共通に設けたサーバに例示される構成で実現できることは明らかである。
イ 在庫に関する主張について
請求項1には、「・・・、前記ディスペンサに保持された前記生理用品の在庫状況を管理する在庫管理部と、・・・、前記ディスペンサは複数あり、それぞれ異なる場所に設置され、・・・」との記載があり、「在庫管理部」は、「複数」の「ディスペンサ」のそれぞれについて、「前記生理用品の在庫状況」を「管理」していることは明確である。
また、請求項1には、「・・・、前記ユーザのユーザ端末から送信され、前記ユーザを識別するユーザ識別情報と、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを識別するディスペンサ識別情報とを含む、前記生理用品の提供を求める提供要求に応じて、前記提供履歴に基づいて、前記ユーザへの前記生理用品の提供の可否を判定する判定部と、前記判定部によって提供可と判定された場合、前記在庫管理部によって管理された在庫状況が、在庫有りを示すのであれば、前記ディスペンサに対して、前記保持している前記生理用品の排出を許可する排出許可部と、・・・」との記載があり、「前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサ」と、「前記保持している前記生理用品の排出を許可する」「前記ディスペンサ」とが同一であることは明確であり、「前記ディスペンサ」の「前記在庫管理部によって管理された在庫状況」に基づくことも明確である。
申立人1は、請求項1は、他のディスペンサに在庫がある場合、ユーザの目の前にあるディスペンサに排出を許可する態様を含むと主張するが、上記に照らしてこのような態様を含まないことが明らかである。
ウ 請求項1の記載が明確でないから、請求項1を引用する請求項2、4、5の記載は明確でないとの主張について
上記ア、イで説示したように、請求項1の記載は明確であるから、請求項1を引用する請求項2、4、5の記載も明確である。
エ 送信部について
請求項2には「前記複数のディスペンサそれぞれに設けられ、対応する前記ディスペンサの前記ディスペンサ識別情報を、前記提供要求に含められるように、前記ユーザ端末へ送信する第1の送信部をさらに備えた、請求項1に記載の生理用品提供装置。」との記載があり、「第1の送信部」が、「前記複数のディスペンサそれぞれ」に設けられることは、係受けからみて、明確である。
そして、上記アで説示したように、請求項1を引用する請求項2の「生理用品提供装置」は、「複数」の「ディスペンサ」と、「前記在庫管理部」、「前記ユーザ管理部」、「前記判定部」、「前記排出許可部」、「前記特定部」を備えるものであるから、「第1の送信部」は、「生理用品提供装置」が備える「前記複数のディスペンサそれぞれ」に設けられることも、明確である。
オ 請求項2の記載が明確でないから、請求項2を引用する請求項4、5の記載が明確でないとの主張について
上記エで説示したように、請求項2の記載は明確であるから、請求項2を引用する請求項4、5の記載も明確である。
カ 請求項12~15に関する主張について
上記ア、イで説示したように、請求項1の記載は明確であるから、請求項1と同様の記載のある請求項12~15の記載も明確である。
(2)申立理由Aウ(サポート要件)について
ア 請求項1およびこれを引用する請求項2、4、5に関する主張について
上記(1)アで説示したように、請求項1の記載は、発明の詳細な説明の記載と対応している。
また、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、本件発明は、「生理中でない人がディスペンサに収容されているすべての生理用品を取り出して持ち帰る」(【0014】)ことにより、「実際に非常時に生理用品を必要とする人がいても、在庫がなくて使うことができなくなる」(【0016】)という「事情に鑑みてなされたものであり、使用を希望しているユーザに確実に生理用品を提供できるように、生理用品の無制限な提供を阻止することが可能な生理用品提供のための生理用品提供装置、方法、プログラム、および生理用品提供管理サーバを提供することを目的とする。」(【0017】)と記載されているように、本発明が解決しようとする課題は「使用を希望しているユーザに確実に生理用品を提供できるように、生理用品の無制限な提供を阻止する」ことである。
申立人1は、本件発明の課題を「在庫がない場合に」「使用を希望しているユーザに確実に生理用品を提供する」であるとしているが、この課題の設定は、明細書の記載を曲解したものであるから、申立人1の「請求項1が、課題を解決する手法を含んでいない」との主張は、その前提となる課題の設定が誤っており、理由がない。
以上より、本件発明1は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載されたものである。
そして、請求項1を引用して記載した本件発明2、4、5についても、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載されたものである。
イ 請求項12~15に関する主張について
上記アで説示したように、申立人1の主張する課題の設定は、明細書の記載に即したものでなく、申立人1の「請求項12~15が、課題を解決する手法を含んでいない」との主張も、理由がない。
以上より、本件発明12~15は、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に記載されたものである。
(3)申立理由Aエ(実施可能要件)について
ア 請求項1およびこれを引用する請求項2、4、5に関する主張について
上記(2)アで説示したように、申立人1が主張する課題の設定は、明細書の記載を曲解したものであるから、申立人1の課題解決手段の記載がない旨の主張は、理由がない。
イ 請求項12~15に関する主張について
上記(2)イで説示したように、申立人1が主張する課題の設定は、明細書の記載を曲解したものであるから、申立人1の課題解決手段の記載がない旨の主張は、理由がない。
3 特許異議Aについてのまとめ
以上のとおり、異議申立Aで申し立てた申立理由は、いずれも理由がない。
第6 特許異議Bについての当審の判断
1 申立理由Bについて
(1)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と先願発明とを対比する。
(ア)先願発明の「吸収性物品」は、「生理用ナプキン、パンティーライナー、タンポンを含む」ものであり、本件発明1の「生理用品」に相当するから、先願発明の「吸収性物品を内部に収容し、外部に排出することによって利用者U1へ提供する」「提供装置10」は、本件発明1の「生理用品を保持および提供するディスペンサ」に相当する。
(イ)先願発明の「吸収性物品の使用数および残数」は、本件発明1の「生理用品の在庫状況」に相当する。そして、先願発明の「吸収性物品の使用数および残数」は、「複数の提供装置10を識別する装置識別情報(装置ID)」と共に「装置情報データ」に含まれ、「複数の提供装置10」における「吸収性物品の使用数および残数」であるから、本件発明1の「前記ディスペンサに保持された前記生理用品の在庫状況」に相当する。
よって、先願発明の「複数の提供装置10を識別する装置識別情報(装置ID)と、吸収性物品の使用数および残数を示す装置情報データを記録する」「装置情報データベース332」は、本件発明1の「前記ディスペンサに保持された前記生理用品の在庫状況を管理する在庫管理部」に相当する。
(ウ)先願発明の「複数の提供装置10の各々が前回に提供した時刻を示す前回提供時刻」と「利用者情報に紐付けられた利用者U1(利用者ID)に所定期間内おいて提供した今月提供回数」は、「利用者ID」と「装置ID(提供装置10の場所を示す場所)」と共に「利用者情報データ」に含まれ、「利用者ID」と「装置ID(提供装置10の場所を示す場所)」が、装置IDで示される提供装置10から、利用者IDで示される利用者U1へ、生理用品が提供されたことを意味するから、本件発明1の「前記ディスペンサからユーザに対して前記生理用品が提供された提供履歴」に相当する。
よって、先願発明の「利用者IDと、複数の提供装置10の各々が前回に提供した時刻を示す前回提供時刻と、利用者情報に紐付けられた利用者U1(利用者ID)に所定期間内おいて提供した今月提供回数と、装置ID(提供装置10の場所を示す場所)を含む利用者情報データを記録する」「利用者情報データベース331」は、本件発明1の「前記ディスペンサからユーザに対して前記生理用品が提供された提供履歴を管理するユーザ管理部」に相当する。
(エ)先願発明の「利用者U1を識別する個人情報である利用者ID」、「提供装置10を識別する装置識別情報である装置ID」は、それぞれ、本件発明1の「前記ユーザを識別するユーザ識別情報」、「前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを識別するディスペンサ識別情報」に相当する。
そして、先願発明において、「提供装置10」から「管理装置30」へ「送信」される「利用者情報と、提供装置10の装置情報」は、「利用者情報」が「利用者U1を識別する個人情報である利用者IDを含み、提供装置10から吸収性物品の提供を享受するために生成される」ものであるから、本件発明1の「前記ユーザを識別するユーザ識別情報と、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを識別するディスペンサ識別情報とを含む、前記生理用品の提供を求める提供要求」に相当する。
また、先願発明の「提供装置10から受信した利用者情報に基づいて、提供装置10が利用者U1に対して前回に吸収性物品を提供してから所定時間経過しているか否かを判定」することは、先願1明細書等の段落【0093】、【0096】の記載も踏まえると、通信部31が利用者情報を受信した時刻と、利用者情報データベース331が記録する利用者情報データに含まれる、複数の提供装置10の各々が前回に提供した時刻を示す前回提供時刻とに基づいて、提供装置10が利用者U1に対して前回に吸収性物品を提供してから所定時間経過しているか否かを判定することであり、本件発明1の「前記ユーザを識別するユーザ識別情報と、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを識別するディスペンサ識別情報とを含む、前記生理用品の提供を求める提供要求に応じて」、「前記提供履歴に基づいて、前記ユーザへの前記生理用品の提供の可否を判定する」ことに相当する。
また、先願発明の「提供装置10から受信した利用者情報に基づいて、利用者U1に対して1ヶ月当たりの提供回数が所定回数に達したか否かを判定」することは、先願1明細書等の段落【0093】の記載も踏まえると、提供装置10から受信した利用者情報に含まれる利用者IDと、利用者情報データベース331が記録する利用者情報データに含まれる、利用者情報に紐付けられた利用者U1(利用者ID)に所定期間内おいて提供した今月提供回数とに基づいて、提供装置10が利用者U1に対して1ヶ月当たりの提供回数が所定回数に達したか否かを判定することであるから、本件発明1の「前記ユーザを識別するユーザ識別情報と、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを識別するディスペンサ識別情報とを含む、前記生理用品の提供を求める提供要求に応じて」、「前記提供履歴に基づいて、前記ユーザへの前記生理用品の提供の可否を判定する」ことに相当する。
そうすると、先願発明の、上記処理を実行する「判定部341」と、本件発明1の「前記ユーザのユーザ端末から送信され、前記ユーザを識別するユーザ識別情報と、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを識別するディスペンサ識別情報とを含む、前記生理用品の提供を求める提供要求に応じて、前記提供履歴に基づいて、前記ユーザへの前記生理用品の提供の可否を判定する判定部」は、「前記ユーザを識別するユーザ識別情報と、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを識別するディスペンサ識別情報とを含む、前記生理用品の提供を求める提供要求に応じて、前記提供履歴に基づいて、前記ユーザへの前記生理用品の提供の可否を判定する判定部」である点で共通する。
(オ)先願発明の「前回の吸収性物品の提供から所定時間経過しており、かつ、1ヶ月当たりの所定回数内であるとの判定結果」は、本件発明1の「前記判定部によって提供可と判定された場合」に相当する。
よって、先願発明の「前回の吸収性物品の提供から所定時間経過しており、かつ、1ヶ月当たりの所定回数内であるとの判定結果に応じて、利用者情報を送信した提供装置10に対して、吸収性物品の提供を許可する許可情報を通信部31に送信させる」「送信制御部342」と、本件発明1の「前記判定部によって提供可と判定された場合、前記在庫管理部によって管理された在庫状況が、在庫有りを示すのであれば、前記ディスペンサに対して、前記保持している前記生理用品の排出を許可する排出許可部」は、「前記判定部によって提供可と判定された場合、前記ディスペンサに対して、前記保持している前記生理用品の排出を許可する排出許可部」である点で共通する。
(カ)先願発明の「判定部341は、提供装置10から受信した利用者情報に基づいて、提供装置10が利用者U1に対して前回に吸収性物品を提供してから所定時間経過しているか否かを判定し、提供装置10から受信した利用者情報に基づいて、利用者U1に対して1ヶ月当たりの提供回数が所定回数に達したか否かを判定するもの」であることは、「提供装置10が利用者U1に対して前回に吸収性物品を提供してから所定時間経過しているか否かを判定」したり、「利用者U1に対して1ヶ月当たりの提供回数が所定回数に達したか否かを判定する」ために、提供装置10から送信された「利用者情報と、提供装置10の装置情報」のうちの「利用者情報」に基づいて、「利用者U1」を特定していることは明らかである。
また、先願発明の「送信制御部342は、前回の吸収性物品の提供から所定時間経過しており、かつ、1ヶ月当たりの所定回数内であるとの判定結果に応じて、利用者情報を送信した提供装置10に対して、吸収性物品の提供を許可する許可情報を通信部31に送信させる」ものであることは、「吸収性物品の提供を許可する許可情報」を「利用者情報を送信した提供装置10」へ送信するために、提供装置10から送信された「利用者情報と、提供装置10の装置情報」のうちの「提供装置10の装置情報」に基づいて、「利用者情報を送信した提供装置10」を特定していることは明らかである。
そうすると、先願発明の上記処理を実行する「判定部341」と「送信制御部342」は、本件発明1の「前記ユーザ端末から送信された前記提供要求に含まれるユーザ識別情報に基づいて、前記ユーザを特定し、前記提供要求に含まれるディスペンサ識別情報に基づいて、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを特定する特定部」に相当する。
(キ)先願発明の「提供装置10は、複数の公共施設、例えば、学校、デパート、駅、遊園地および美術館等のトイレ、サニタリースペース、ベビールームおよび授乳室等にそれぞれ配置されている」ことは、提供装置10が複数あり、複数の提供装置10が学校やデパート等の異なる場所にそれぞれ配置されることであるから、本件発明1の「前記ディスペンサは複数あり、それぞれ異なる場所に設置され」ることに相当する。
(ク)上記(イ)~(カ)より、先願発明の「管理装置30」が備える、「装置情報データベース332」、「利用者情報データベース331」、「判定部341」、「送信制御部342」は、それぞれ、本件発明1の「前記在庫管理部」、「前記ユーザ管理部」、「前記判定部」、「前記排出許可部」に相当し、また、先願発明の「判定部341」と「送信制御部342」が、本件発明1の「前記特定部」に相当する。
そして、先願発明の「管理装置30」は、「提供装置10とネットワークを介して双方向に通信可能」であり、上記(キ)より、「提供装置10」は複数あることから、「管理装置30」が備える、「装置情報データベース332」、「利用者情報データベース331」、「判定部341」、「送信制御部342」は、複数の「提供装置10」に対して共通して設けられているといえる。
よって、先願発明の、複数の「提供装置10」に対して、「管理装置30」が「装置情報データベース332」、「利用者情報データベース331」、「判定部341」、「送信制御部342」が備えることは、本件発明1の「前記在庫管理部、前記ユーザ管理部、前記判定部、前記排出許可部、および前記特定部は、前記複数のディスペンサに対して共通して設けられた」ことに相当する。
(ケ)先願発明の「提供システム1」は、提供装置10と、管理装置30とを備え、生理用ナプキン、パンティーライナー、タンポンを含む、吸収性物品を提供するものであるから、後述の相違点は別として、本件発明1の「生理用品提供装置」に相当する。
したがって、本件発明1と先願発明は、
生理用品を保持および提供するディスペンサと、
前記ディスペンサに保持された前記生理用品の在庫状況を管理する在庫管理部と、
前記ディスペンサからユーザに対して前記生理用品が提供された提供履歴を管理するユーザ管理部と、
前記ユーザを識別するユーザ識別情報と、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを識別するディスペンサ識別情報とを含む、前記生理用品の提供を求める提供要求に応じて、前記提供履歴に基づいて、前記ユーザへの前記生理用品の提供の可否を判定する判定部と、
前記判定部によって提供可と判定された場合、前記ディスペンサに対して、前記保持している前記生理用品の排出を許可する排出許可部と、
前記ユーザ端末から送信された前記提供要求に含まれるユーザ識別情報に基づいて、前記ユーザを特定し、前記提供要求に含まれるディスペンサ識別情報に基づいて、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを特定する特定部とを備え、
前記ディスペンサは複数あり、それぞれ異なる場所に設置され、
前記在庫管理部、前記ユーザ管理部、前記判定部、前記排出許可部、および前記特定部は、前記複数のディスペンサに対して共通して設けられた、生理用品提供装置。
という点で一致し、以下の点で相違している。
(相違点1)
前記ユーザを識別するユーザ識別情報と、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを識別するディスペンサ識別情報とを含む、前記生理用品の提供を求める提供要求が、本件発明1では、「前記ユーザのユーザ端末から送信される」のに対して、先願発明では、「提供装置10から送信される」点。
(相違点2)
排出許可部が、前記ディスペンサに対して、前記保持している前記生理用品の排出を許可が、本件発明1は、前記判定部によって提供可と判定された後に、さらに、前記在庫管理部によって管理された在庫状況が、在庫有りを示す場合に排出を許可するのに対して、本件発明1は、前記判定部によって提供可と判定された場合に排出を許可しており、前記判定部によって提供可と判定された後に、さらに、前記在庫管理部によって管理された在庫状況が、在庫有りかを判断するのか特定されていない点。
イ 判断
本件発明1と先願発明とは、相違点1、相違点2において相違するから、同一ではない。
事案に鑑み、上記相違点1に係る構成が課題解決のための具体化手段における微差であるかについて、検討する。
先願発明は、「提供装置10は、利用者U1が提示した端末装置20の表示モニタで表示される利用者情報の読み取りを行い、利用者情報と、提供装置10の装置情報を、管理装置30へ送信する」ものであるから、先願発明において、「提供装置10」に代えて、「利用者U1」の「端末装置20」が、「利用者情報と、提供装置10の装置情報を、管理装置30へ送信する」ようにするためには、「利用者U1の端末装置20が、提供装置10から装置情報を取得」した後に、「利用者U1」の「端末装置20」が、「利用者情報と、提供装置10の装置情報を、管理装置30へ送信する」ものとする必要がある。
しかしながら、「利用者U1の端末装置20が、提供装置10から装置情報を取得」した後に、「利用者U1」の「端末装置20」が、「利用者情報と、提供装置10の装置情報を、管理装置30へ送信する」技術事項は、文献2には開示されておらず、また、先願1の出願時において、周知技術や慣用技術であったともいえないし、先願発明をこのような技術事項で変更することは、先願発明の「提供システム」のしくみを変更することであるから、単なる設計変更とはいえないものである。
そして、本件発明1は、「前記ディスペンサ」から、「前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを識別するディスペンサ識別情報」が「前記ユーザのユーザ端末」によって取得された後に、「前記ユーザを識別するユーザ識別情報と、前記ユーザが前記生理用品の提供を要求している前記ディスペンサを識別するディスペンサ識別情報」が、「前記ユーザのユーザ端末から送信される」ものであり、これらの処理は、「前記ユーザのユーザ端末」が通常備える機能によって実現可能であることから、「前記ディスペンサ」は、「前記ユーザを識別するユーザ識別情報」を取得するための追加の構成を必要とせず、従って、生理用品提供装置の実装を容易に行うことができるという効果を奏するものである。
以上によれば、本件発明1の相違点1に係る構成は、課題解決のための具体化手段における微差であるとはいえないから、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1と先願発明は、実質同一でもない。
(2)本件発明2、4、5、12~15について
本件発明2、4、5、12~15も、相違点1及び相違点2に対応する構成を備えるから、上記(1)の「イ 判断」で検討したのと同様の理由により、本件発明2、4、5、12~15は、先願発明と同一でない。
2 特許異議Bについてのまとめ
以上、検討したとおり、本件発明1、2、4、5、12~15は何れも先願発明と同一でないから、異議申立Bで申し立てた申立理由(拡大先願)についての主張には理由がない。
第7 むすび
以上のとおり、特許異議A及び特許異議Bの申立理由は、いずれも理由がなく、請求項1、2、4、5、12~15に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1、2、4、5、12~15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-701089