特許異議申立
2025-700658
ウエハ載置台
- 審判番号
- 2025-700658
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-560347
- 登録番号
- 7663709
- 請求日
- 2025年06月23日
- 審決日
- 2025年12月08日
- 公報発行日
- 2026年01月30日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】日本碍子株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人アイテック国際特許事務所
- 【異議申立人】河原田 隆
- 審判長/審判官
- 審判長 梶尾 誠哉
- 審判官 綿引 隆
- 審判官 小川 将之
- 分類
- P1652.113-Y (H01L) / P1652.121-Y (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第1項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7663709号発明「ウエハ載置台」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7663709号の請求項1~5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許7663709号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~6に係る特許についての出願は、令和5年(2023年)4月24日を国際出願日とする出願であって、令和7年4月8日にその特許権の設定登録がされ、同年同月16日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許の請求項1~5に係る特許に対し、同年6月23日に特許異議申立人 河原田隆(以下、「異議申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~5に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明5」といい、併せて「本件発明」という。)は、特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。なお、請求項1~5に記載された構成要件「A.」、「B.」、・・・、「U.」等の符号は、異議申立人が特許異議申立書で付与したものであり、本決定でも採用した。
「【請求項1】
A.上面にウエハ載置面を有し、電極を内蔵するセラミックプレートと、
B.冷媒流路を有し前記セラミックプレートの下面側に設けられた冷却プレートと、
C.前記セラミックプレートを上下方向に貫通して前記ウエハ載置面に至る第1セラミックプレート貫通部と、
D.前記セラミックプレートを前記上下方向に貫通して前記ウエハ載置面に至る第2セラミックプレート貫通部と、
E.少なくとも前記冷却プレートの内部に設けられ、前記第1セラミックプレート貫通部に連通する第1ガス通路と、
F.少なくとも前記冷却プレートの内部に設けられ、前記第2セラミックプレート貫通部に連通する第2ガス通路と、
を備え、
G.前記第1ガス通路は、前記上下方向と交差する方向に延びている第1ガス中間通路を有し、
H.前記第2ガス通路は、前記上下方向と交差する方向に延びている第2ガス中間通路を有し、
I.前記第2ガス中間通路は、前記第1ガス中間通路よりも上方に設けられ、
J.前記冷媒流路は、前記第1ガス中間通路よりも上方に設けられた第1流路部と、前記第2ガス中間通路よりも下方に設けられた第2流路部と、を有する、
ウエハ載置台。
【請求項2】
K.前記第1セラミックプレート貫通部及び前記第2セラミックプレート貫通部は、それぞれ複数設けられ、
L.前記第1ガス中間通路は、複数の前記第1セラミックプレート貫通部と連通し、
M.前記第2ガス中間通路は、複数の前記第2セラミックプレート貫通部と連通し、
N.前記第1ガス通路は、前記第1ガス中間通路に連通するように設けられ複数の前記第1セラミックプレート貫通部の数よりも少ない数の第1ガス導入通路を有し、
O.前記第2ガス通路は、前記第2ガス中間通路に連通するように設けられ複数の前記第2セラミックプレート貫通部の数よりも少ない数の第2ガス導入通路を有する、
請求項1に記載のウエハ載置台。
【請求項3】
P.前記ウエハ載置面から前記第1流路部の上底までの距離は、前記ウエハ載置面から前記第2流路部の上底までの距離よりも短い、
請求項1又は2に記載のウエハ載置台。
【請求項4】
Q.前記ウエハ載置面から前記第1流路部の上底までの距離は、前記ウエハ載置面から前記第2ガス中間通路の下底までの距離と同じか、もしくは短い、
請求項1又は2に記載のウエハ載置台。
【請求項5】
R.前記冷却プレートは、nを2以上の整数として、n個のプレート部を有し、
S.前記ウエハ載置台は、前記n個のプレート部のうち隣り合う2個のプレート部が互いに直接又は接合層を介して接合された第1~第(n-1)接合部と、前記セラミックプレートと前記冷却プレートとが直接又は接合層を介して接合された第n接合部と、を備え、
T.前記第1ガス中間通路は、第1~第(n-1)接合部のいずれかに設けられ、
U.前記第2ガス中間通路は、前記第1~第n接合部のうち前記第1ガス中間通路より上方の接合部に設けられている、
請求項1又は2に記載のウエハ載置台。」
第3 申立理由の概要
1 異議申立人の提出した証拠
異議申立人は、次の甲第1~6号証(以下、それぞれ、「甲1」~「甲6」という。)を証拠として提出している。
甲第1号証(甲1):特表2021-515392号公報
甲第2号証(甲2):特開2022-167481号公報
甲第3号証(甲3):特開2019-29373号公報
甲第4号証(甲4):特開2017-208527号公報
甲第5号証(甲5):特開2008-306212号公報
甲第6号証(甲6):特開2014-175491号公報
2 特許異議の申立理由
異議申立人の主張する特許異議の申立ての理由は、次のとおりである。
(1) 申立理由1(新規性)
本件発明1~3、5は、甲1に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当するから、本件特許の請求項1~3、5に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。
(2) 申立理由2(進歩性)
本件発明1~3は、甲1に記載された発明に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、本件発明4は、甲1に記載された発明及び甲3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、本件発明5は、甲1に記載された発明、又は、甲1に記載された発明及び甲4~6に示される周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
第4 異議申立人の提出した証拠の記載
1 甲1について
(1) 甲1の記載
甲1には、次の記載がある(下線は当審において加筆した。以下同じ。)。
「【背景技術】
・・・
【0004】
基板処理システムは、半導体ウエハなどの基板のエッチング、堆積、および/または、他の処理を実施するために用いられてよい。基板上で実施されうるプロセスの例は、プラズマ強化化学気相堆積(PECVD)プロセス、物理気相堆積(PVD)プロセス、イオン注入プロセス、ならびに/または、他のエッチングプロセス、堆積プロセス、および洗浄プロセスを含むが、それらに限定されない。例として、エッチングプロセスの間、基板は、基板処理システム内の静電チャック(ESC)の上に配置されてよく、基板上の薄膜がエッチングされる。
【発明の概要】
【0005】
基板処理システムのための静電チャックが提供される。静電チャックは、基板に静電気的にクランプするように構成され、セラミックで形成されたトッププレートと、トッププレートの下方に配置された中間層と、中間層の下方に配置され、セラミックで形成されたベースプレートとを含む。中間層は、トッププレートをベースプレートに結合する。
・・・
【発明を実施するための形態】
・・・
【0040】
基板処理システム100は、処理チャンバ104を含む。ESC101は、周囲を処理チャンバ104で囲まれている。処理チャンバ104は、上部電極105などの他の構成要素も取り囲み、RFプラズマを含む。動作中に、基板107は、ESC101のトッププレート102の上に配置され、静電気的にクランプされる。
・・・
【0050】
次に図2を同様に参照すると、トッププレート202、中間層204、およびベースプレート(または、ボトムプレート)206を含むESCの部分200が示されている。トッププレート202は、中間層204を介してベースプレート206に結合されている。図のように、ベースプレート206は、保護被膜(または、最上層)208を有してよい。上述のように、プレート202およびプレート206は、セラミックで形成されてよく、保護被膜208は、AIN、イットリア(Y2O3)、ジルコニア(ZrO2)で形成されてよい。プレート202およびプレート206の両方、ならびに保護被膜208をセラミックおよび/または同じ材料で形成することによって、プレート202、プレート206、および保護被膜208の熱膨張係数間の差は最小になる。これにより、保護被膜208の高電圧ブレークダウンおよび/または割れが最小限になる、および/または解消される。つまり、対応するスタンドオフ電圧が増加する。
【0051】
図の例では、トッププレート202は、電源180から電力を受信しうる静電クランプ電極210を含む。静電クランプ電極210は、電源180に接続されうる端子に接続されてよい。静電クランプ電極用の端子を含む絶縁タワー(「コラム」と呼ばれることもある)の例が図3に示されている。
・・・
【0057】
ベースプレートに十分な強度および耐久性を提供し、優れた熱伝達特性を有する本明細書に開示の埋設流路を備えるために、ベースプレート206は、一体構造を形成するために共に積層焼結されたセラミック複合層で形成されてよい。各セラミック複合層は、セラミックおよび結合材の混合物を含む。例として、複数枚の薄い(例えば、1ミリメートル(mm)厚)セラミック複合材および結合層が積層されてよい。セラミック複合層は、積層されたときにガス流路220および冷媒流路222を形成するようにパターニングされてよい。結果として生じる積層は、次に炉において所定の期間に所定の温度で焼かれて、セラミック複合層のセラミック粒子が共に焼結できるようにする、ならびに、結合層および/または他の接着材が焼失するようにする。結果として生じるベースプレートは、その後、炉から取り除かれる。
【0058】
ベースプレート206は、ガス流路220および冷媒流路222を含んでもよい。ガス流路220は、マニホルド140からガスを受け取ってよい。ガス流路220は、図のように、同一の径方向に延びる平面上に、および/または、ベースプレート206の同じ1つ以上の層に配置されてよい。あるいは、ガス流路220は、複数の径方向に延びる平面上に、および/または、ベースプレート206の異なる層に配置されてよい。ガス流路220は、基板の裏面に裏面ガスを提供するために用いられてよい。これは、図3および図4にさらに示されている。ガス流路の複数層の配置例は、図4に示されている。
・・・
【0060】
図3は、トッププレート252、中間層254、およびベースプレート256を含むESCの部分250を示す。トッププレート252は、中間層254を介してベースプレート256に結合されている。環状シール257は、(i)トッププレート252の外周とベースプレート256のベース層259の上面との間に配置されてよく、(ii)中間層254の外端261を覆う。
【0061】
トッププレート252は、静電クランプ電極258およびガス出口260を含む。ガス出口260は、例えば、1つ以上のガス流路(図では1つのガス流路262)から裏面ガスを受け取る。1つ以上のガス流路は、それぞれ、1つ以上の多孔質媒体またはプラグ(例えば、多孔質プラグ264)を含んでよい。多孔質媒体および/またはプラグは、セラミックプレートと同時焼成されてよい。一実施形態では、ガス流路は、多孔質プラグを含まない。多孔質プラグは、小さい穴を含み、ガス流路におけるプラズマの生成を防止するために中間バッファとして機能する。図の例では、第1多孔質プラグ264aは、ガス流路262の第1端にあり、ベースプレート256内および/またはベースプレート256の部分266内の領域から、中間層254を通ってトッププレート260(当審注;「252」の誤りであると認められる。)内の領域に延びる。第2多孔質プラグ264bは、ガス流路262の第2端にあり、ベースプレート256の底部に配置されている。
【0062】
ベースプレート256は、上述のように、ガス流路270および冷媒流路272を含んでよい。各冷媒流路272は、ベースプレート256内で入力タワーおよびアウトレットタワーに接続されている。タワー274の例が図示されている。
・・・
【0064】
図4は、トッププレート302、中間層304、およびベースプレート306を含むESCの部分300を示す。例として、ベースプレート306は、リフトピン312、リフトピン流路313、およびガス流路316を含むリフトピンアセンブリ310を備える。本明細書に開示のESCには、任意の数のリフトピンアセンブリが含まれてよい。ベースプレート306は、ガス流路の1つ以上の層を含んでよい。ガス流路は、冷媒流路の上方または下方に設置されてよい。例として、第1ガス流路セット318は、冷媒流路320の上方に示され、第2ガス流路セット322は、冷媒流路320の下方に示されている。」
「【図1】
[図:0001431155000001.jpg]
【図2】
[図:0001431155000002.jpg]
【図3】
[図:0001431155000003.jpg]
【図4】
[図:0001431155000004.jpg]
」
(2) 甲1発明
ア 上記(1)の【0060】の「トッププレート252、中間層254、およびベースプレート256を含むESC」における「ESC」は、【0004】の「半導体ウエハなどの基板・・・は、・・・静電チャック(ESC)の上に配置され」るとの記載によれば、「半導体ウエハなどの基板を上に配置(載置)する静電チャック(ESC)」のことであるといえる。
そうすると、甲1には、「トッププレート252、中間層254、およびベースプレート256を含み、半導体ウエハなどの基板を上に載置する静電チャック(ESC)」が記載されているといえる。
イ 上記(1)の【0040】によれば、「基板・・・は、・・・ESC・・・のトッププレート・・・の上に配置され、静電気的にクランプされる」るものであるから、上記アの「トッププレート252」の上(上面)に半導体ウエハなどの基板が配置(載置)されるといえる。
ウ 上記(1)の【0005】の「セラミックで形成されたトッププレート」によれば、上記アの「トッププレート252」は、セラミックで形成されているといえる。
エ 上記(1)の【0060】の「図3は、トッププレート252、中間層254、およびベースプレート256を含むESCの部分250を示す。」との記載及び【図3】を参酌すると、ベースプレート256が、トッププレート252の下面側に配置されていることが見て取れる。
オ 上記(1)の【0061】の「トッププレート252は、静電クランプ電極258およびガス出口260を含む。ガス出口260は、例えば、1つ以上のガス流路(図では1つのガス流路262)から裏面ガスを受け取る。ガス出口260は、例えば、1つ以上のガス流路(図では1つのガス流路262)から裏面ガスを受け取る。1つ以上のガス流路は、それぞれ、1つ以上の多孔質媒体またはプラグ(例えば、多孔質プラグ264)を含んでよい。・・・図の例では、第1多孔質プラグ264aは、ガス流路262の第1端にあり、ベースプレート256内および/またはベースプレート256の部分266内の領域から、中間層254を通ってトッププレート252内の領域に延びる。」との記載及び【図3】を参酌すると、「第1多孔質プラグ264a」及び「ガス出口260」が、「トッププレート252」を上下方向に貫通していることが見て取れる。
カ 上記(1)の【0061】の「図の例では、第1多孔質プラグ264aは、ガス流路262の第1端にあり、ベースプレート256内および/またはベースプレート256の部分266内の領域から、中間層254を通ってトッププレート260内の領域に延びる。第2多孔質プラグ264bは、ガス流路262の第2端にあり、ベースプレート256の底部に配置されている。」との記載、【0062】の「ベースプレート256は、上述のように、ガス流路270および冷媒流路272を含んでよい。」との記載及び【図3】を参酌すると、ガス流路262が、ベースプレート256の底部に配置されている第2多孔質プラグ264bの上面から冷媒流路272の上方の位置まで上下方向に延び、冷媒流路272の上方の位置で上記上下方向と交差する方向に曲がり、ガス流路262の、冷媒流路272の上方の位置で上記交差する方向に延びる部分の上に、第1多孔質プラグ264aが位置していることが見て取れる。
キ 上記(1)及び上記ア~カによれば、甲1には、【図3】に示す「静電チャック(ESC)」として、次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。
「トッププレート252、中間層254、およびベースプレート256を含み、半導体ウエハなどの基板を上に載置する静電チャック(ESC)であって(上記ア)、
トッププレート252の上面に半導体ウエハなどの基板が載置され(上記イ)、
トッププレート252は、セラミックで形成されており(上記ウ)、
ベースプレート256は、トッププレート252の下面側に配置されており(上記エ)、
トッププレート252は、静電クランプ電極258およびガス出口260を含み、ガス出口260は、1つ以上のガス流路から裏面ガスを受け取り、1つ以上のガス流路は、それぞれ、1つ以上の多孔質プラグ264を含んでよく、第1多孔質プラグ264aは、ガス流路262の第1端にあり、ベースプレート256内の領域から、中間層254を通ってトッププレート260内の領域に延び、第2多孔質プラグ264bは、ガス流路262の第2端にあり、ベースプレート256の底部に配置されており(【0061】)、
第1多孔質プラグ264a及びガス出口260が、トッププレート252を上下方向に貫通しており(上記オ)、
ガス流路262は、ベースプレート256の底部に配置されている第2多孔質プラグ264bの上面から冷媒流路272の上方の位置まで上下方向に延び、冷媒流路272の上方の位置で上記上下方向と交差する方向に曲がり、ガス流路262の、冷媒流路272の上方の位置で上記交差する方向に延びる部分の上に、第1多孔質プラグ264aが位置しており(上記カ)、
ベースプレート256は、冷媒流路272を含んでよい(【0062】)、
静電チャック(ESC)。」
2 甲2について
(1) 甲2の記載
甲2には、次の記載がある。
「【0013】
図1に示すように、第1実施形態に係る基板固定装置1は、主要な構成要素として、ベースプレート10と、接着層20と、静電吸着部材30とを有している。
・・・
【0015】
ベースプレート10の内部には、水路15が設けられている。水路15は、一端に冷却水導入部15Aを備え、他端に冷却水排出部15Bを備えている。水路15は、基板固定装置1の外部に設けられた冷却水制御装置(図示せず)に接続されている。冷却水制御装置(図示せず)は、冷却水導入部15Aから水路15に冷却水を導入し、冷却水排出部15Bから冷却水を排出する。水路15に冷却水を循環させベースプレート10を冷却することで、静電吸着部材30上に吸着された基板を冷却することができる。
・・・
【0020】
誘電体部材41は、第1面41Aと、第1面41Aとは反対側の第2面41Bとを有する。第2面41Bが接着層20によりベースプレート10に接着される。第1面41Aに基板が吸着される。誘電体部材41には、第1面41Aから第2面41Bまで貫通する複数の貫通孔120が形成されている。貫通孔120は、ベースプレート10のガス路16に連通する。各貫通孔120内に1個ずつ多孔質体110が設けられている。多孔質体110及び貫通孔120の形状については、後述する。」
「
[図:0001431155000005.jpg]
」
3 甲3について
(1) 甲3の記載
甲3には、次の記載がある。
「【0020】
一実施形態において、ステージ14は、基台20及び静電チャック22を含んでいる。一実施形態では、冷媒流路14fは、基台20内に形成されている。基台20は、アルミニウムといった導電性材料から形成されており、略円盤形状を有している。基台20は、下部電極を構成している。
【0021】
静電チャック22は、基台20の上面20tの上に設けられている。基台20の上面20tは、鉛直方向に直交する方向に延在する略平坦な面であり得る。静電チャック22は、絶縁体から形成された本体、及び、当該本体内に設けられた膜状の電極を有している。静電チャック22の電極には、直流電源が電気的に接続されている。直流電源から静電チャック22の電極に電圧が印加されると、静電チャック22上に載置された基板Wと静電チャック22との間で静電引力が発生する。発生した静電引力により、基板Wは、静電チャック22に引き付けられ、当該静電チャック22によって保持される。なお、基板処理装置10には、ガス供給機構からの伝熱ガス(例えばHeガス)を静電チャック22と基板Wの裏面(下面)との間に供給するガス供給ラインが設けられていてもよい。また、静電チャック22のエッジ及び基板Wのエッジを囲むように、フォーカスリングが配置されていてもよい。フォーカスリングは、例えばシリコンを含有する材料から形成される。
・・・
【0037】
以下、ステージ14の冷媒流路14fに関する種々の実施形態について説明する。図3及び図4は、ステージの冷媒流路の別の実施形態を示す図である。図3に示すステージ14の冷媒流路14fは、基台20内に形成されており、ステージ14の中心から外縁に向けて渦巻状に延在している。ステージ14は、入口14i及び出口14eを有している。入口14iは、冷媒流路14fへの冷媒の入口である。出口14eは、冷媒流路14fからの冷媒の出口である。出口14eは、入口14iよりもステージ14の外縁の近くに設けられている。図3に示すステージ14の冷媒流路14fは、入口14iから出口14eに近付くにつれて、ステージ14の上面又は基台20の上面20tに近付くように傾斜している。なお、冷媒流路14fが入口14iから出口14eに近付くにつれて、当該冷媒流路14fを画成する壁面のうち上壁面14uがステージ14の上面又は基台20の上面20tに近付くように傾斜していればよい。」
「【図3】
[図:0001431155000006.jpg]
」
4 甲4について
(1) 甲4の記載
甲4には、次の記載がある。
「【0119】
すなわち、この例では、第1の連通路55aは、第1の部分50aの下面に設けられた凹部(開口部)により形成され、かつ、第2の連通路56は、第3の部分50cの下面に設けられた凹部(開口部)により形成されている。」
「
[図:0001431155000007.jpg]
」
5 甲5について
(1) 甲5の記載
甲5には、次の記載がある。
「【0072】
上記下部電極4は、表面に陽極酸化処理(アルマイト処理)を施されたアルミニウム等の金属によって全体が略円板状になるよう形成されており、上部プレート101と、中間プレート102と、下部プレート103の3つの部材(いずれも略円板状に形成されている。)を接合して構成されている。そして、冷媒流路7cは、中間プレート102の上面側から穿設された溝の開口部を上部プレート101によって閉塞することによって構成されている。
・・・
【0074】
上記ガス溜め部121は、下部プレート103の上面側から穿設された溝の開口部を中間プレート102によって閉塞することによって構成されており、このガス溜め部121と下部電極4の載置面とを連通するように、中間プレート102及び上部プレート101を通じて複数のガス供給用細孔部123が形成されている。したがって、上記のガス溜め部121は、下部電極4内において冷媒流路7cの下部に位置するように設けられている。」
「
[図:0001431155000008.jpg]
」
6 甲6について
(1) 甲6の記載
甲6には、次の記載がある。
「【0021】
プレート部300は、ろう付けや溶接により、第2冷却板200とヒータープレート301とが接合され、ヒータープレート301と第1冷却板100とが接合され、第1冷却板100と第3基材302とが接合された構成を備える。第1冷却板100及び第2冷却板200には流路となる溝が形成されており、図5に図示したように、第1冷却板100と第3基材302との接合により第1流路110が形成され、第2冷却板200とヒータープレート301との接合により第2流路210が形成される。なお、第1流路110及び第2流路210の断面形状は、図5に図示した方形状に限らず、円形状、三角形状等を有していてもよい。」
「
[図:0001431155000009.jpg]
」
第5 当審の判断
1 本件発明1について
(1) 甲1発明との対比
ア 構成要件Aについて
甲1発明の「トッププレート252」の上面は、「半導体ウエハなどの基板が載置され」るものであるから、本件発明1の「ウエハ載置面」に相当する。
また、甲1発明の、「トッププレート252」が含む「静電クランプ電極258」は、本件発明1の「電極」に相当する。
そうすると、甲1発明の「セラミックで形成され」た「トッププレート252」は、本件発明1の「A.上面にウエハ載置面を有し、電極を内蔵するセラミックプレート」に相当する。
イ 構成要件Bについて
甲1発明の「冷媒流路272」は、本件発明1の「冷媒流路」に相当する。
また、甲1発明の「ベースプレート256」は、「トッププレート254の下面側に配置されて」いるものである。
さらに、甲1発明の「ベースプレート256」は、「冷媒流路272を含んでよい」ものである。
そうすると、本件発明1の「冷却プレート」と、甲1発明の「ベースプレート256」とは、「B.冷媒流路を有し」「プレートの下面側に設けられた冷却プレート」といえる点で共通する。
ウ 構成要件Dについて
甲1発明の「第1多孔質プラグ264a」及び「ガス出口260」は、「トッププレート252を上下方向に貫通」するものである。
そうすると、本件発明1の「前記セラミックプレートを前記上下方向に貫通して前記ウエハ載置面に至る第2セラミックプレート貫通部」と、甲1発明の「トッププレート252」の、「ガス出口260」及び「第1多孔質プラグ264a」が形成されている部分は、「D.」「プレートを上下方向に貫通して前記ウエハ載置面に至る第2」「プレート貫通部」といえる点で共通する。
エ 構成要件Fについて
甲1発明の「ガス出口260は、1つ以上のガス流路から裏面ガスを受け取り、1つ以上のガス流路は、それぞれ、1つ以上の多孔質プラグ264を含んでよ」いから、甲1発明の「ガス流路262」は、「ガス出口260」に連通しているといえる。
また、甲1発明では、「第1多孔質プラグ264aは、ガス流路262の第1端にあり、ベースプレート256内の領域から、中間層254を通ってトッププレート252内の領域に延び、第2多孔質プラグ264bは、ガス流路262の第2端にあり、ベースプレート256の底部に配置されて」いるから、甲1発明の「ガス流路262」は「ベースプレート256」の内部に設けられているといえる。
そうすると、本件発明1の「第2ガス通路」と、甲1発明の「ガス流路262」は、「F.少なくとも前記冷却プレートの内部に設けられ、」「前記第2プレート貫通部に連通する第2ガス通路」といえる点で共通する。
オ 構成要件Hについて
甲1発明の「ガス流路262は、ベースプレート256の底部に配置されている第2多孔質プラグ264bの上面から冷媒流路272の上方の位置まで上下方向に延び、冷媒流路272の上方の位置で上記上下方向と交差する方向に曲がり、ガス流路262の、冷媒流路272の上方の位置で上記交差する方向に延びる部分の上に、第1多孔質プラグ264aが位置して」いるから、甲1発明の「ガス流路262」のうち、「冷媒流路272の上方の位置で上記交差する方向に延びる部分」は、本件発明1の「前記上下方向と交差する方向に延びている第2ガス中間通路」に相当するといえる。
そうすると、甲1発明の「ガス流路262」は、本件発明1の「H.前記第2ガス通路は、前記上下方向と交差する方向に延びている第2ガス中間通路」に相当する。
カ 構成要件Jについて
甲1発明の「ガス流路262は、ベースプレート256の底部に配置されている第2多孔質プラグ264bの上面から冷媒流路272の上方の位置まで上下方向に延び、冷媒流路272の上方の位置で上記上下方向と交差する方向に曲がり、ガス流路262の、冷媒流路272の上方の位置で上記交差する方向に延びる部分の上に、第1多孔質プラグ264aが位置し」ているから、甲1発明の「冷媒流路272」は、「冷媒流路272の上方の位置で上記交差する方向に延びる部分」の下方に位置しているといえる。
また、上記アで検討したように、甲1発明の「静電チャック(ESC)」は、「ウエハ載置面」を有するから、「ウエハ載置台」であるといえる。
そうすると、本件発明1の「第2流路部」を有する「ウエハ載置台」と、甲1発明1の「冷媒流路272」を有する「静電チャック(ESC)」は、「J.前記冷媒流路は、前記第2ガス中間通路よりも下方に設けられた第2流路部と、を有する、ウエハ載置台」といえる点で共通する。
以上によれば、本件発明1と甲1発明は、以下の一致点、相違点を有する。
[一致点]
「 A.上面にウエハ載置面を有し、電極を内蔵するセラミックプレートと、
B.冷媒流路を有し前記プレートの下面側に設けられた冷却プレートと、
D.前記プレートを上下方向に貫通して前記ウエハ載置面に至る第2プレート貫通部と、
F.少なくとも前記冷却プレートの内部に設けられ、前記第2プレート貫通部に連通する第2ガス通路と、を備え、
H.前記第2ガス通路は、前記上下方向と交差する方向に延びている第2ガス中間通路を有し、
J.前記冷媒流路は、前記第2ガス中間通路よりも下方に設けられた第2流路部と、を有する、ウエハ載置台。」
[相違点]
本件発明1は、「 C.前記セラミックプレートを上下方向に貫通して前記ウエハ載置面に至る第1セラミックプレート貫通部と、
E.少なくとも前記冷却プレートの内部に設けられ、前記第1セラミックプレート貫通部に連通する第1ガス通路と、
を備え、
G.前記第1ガス通路は、前記上下方向と交差する方向に延びている第1ガス中間通路を有し、
I.前記第2ガス中間通路は、前記第1ガス中間通路よりも上方に設けられ、
J.前記冷媒流路は、前記第1ガス中間通路よりも上方に設けられた第1流路部を有する、」のに対し、甲1発明は、そのような構成となっているのか明らかでない点。
(2) 申立理由1(新規性)について
ア 判断
上記(1)のとおり、本件発明1と甲1発明は、上記相違点で相違している。
したがって、本件発明1は、甲1発明であるとはいえない。
イ 異議申立人の主張について
異議申立人は、甲1の【0064】及び【図4】の記載を根拠とし、甲1の【図4】の断面において、第2ガス流路セット322は微少な矩形として描かれており、上下方向と交差する方向(紙面の奥行方向)に伸びるように形成されたガス流路であることが理解でき、第2ガス流路セット322のうち、【図4】に示されている部分が、構成要件Gの「第1ガス中間通路」に該当することは明らかであるから、構成要件Gは一致点である旨主張する(特許異議申立書16頁中段)。
しかしながら、異議申立人が主張の根拠とする【0064】をみても、冷媒流路320の下方に示されている「第2ガス流路セット322」について、具体的な形状や大きさについての記載はなく、【図4】をみても、微少な矩形が4つ記載されているにすぎない。
そうすると、甲1の【0064】及び【図4】をみても、異議申立人の主張するように、第2ガス流路セット322のうち、【図4】に示されている部分が、構成要件Gの「第1ガス中間通路」に該当すると理解することはできないから、構成要件Gが一致点であるということはできない。
そして、甲1に、構成要件Gが記載されているとはいえない以上、構成要件Gの「第1ガス中間通路」を構成要素として含む構成要件I及び構成要件J、構成要件Gの「第1ガス通路」を構成要素として含む構成要件E、さらに構成要件Eの「第1セラミックプレート貫通部」を構成要素として含む構成要件Cは、いずれも甲1に記載されているということはできず、これらの構成要件も一致点であるということはできない。
したがって、異議申立人の主張は採用できない。
(3) 申立理由2(進歩性)について
上記(2)イのとおり、甲1には、構成要件C、E、G、I及びJ、すなわち、上記相違点に係る構成は記載されていない。
そして、異議申立人の提出する甲2~甲6(上記第4の2~6)をみても、上記相違点に係る構成は記載されていないし、上記相違点に係る構成が周知技術であったとも認められない。
そうすると、甲1発明において、上記相違点に係る構成を採用し、本件発明1の構成とすることは、当業者であっても容易に想到し得るものではない。
したがって、本件発明1は、甲1に記載された発明、甲2~甲6に記載された事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
2 本件発明2~5について
上記第2のとおり、本件発明2~5は、本件発明1の全ての構成要件を有するものであるから、いずれも上記相違点に係る本件発明1の構成要件を有している。
そうすると、本件発明2~5と甲1発明を対比すると、上記相違点の構成で相違するから、上記1と同様の理由により、本件発明2~5も、甲1発明であるとはいえないし、甲1に記載された発明、甲2~甲6に記載された事項に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 小括
したがって、異議申立人の主張する申立理由1(新規性)及び申立理由2(進歩性)は理由がない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び異議申立人の提出した証拠によっては、本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700658