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特許異議申立

2023-700162

管理システム、管理方法及び管理プログラム

審判番号
2023-700162
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-098978
登録番号
7121216
請求日
2023年02月15日
審決日
2023年05月01日
公報発行日
2023年06月30日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】グンゼ株式会社
  • 【権利者代理人】立花 顕治
  • 【異議申立人】木村 雄貴
  • 【異議申立人】平本 健二
審判長/審判官
  • 審判長 渡邊 聡
  • 審判官 梶尾 誠哉
  • 審判官 相崎 裕恒
分類
P1651.121-Y (G06Q) / P1651.536-Y (G06Q) / P1651.537-Y (G06Q)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条、特許法第29条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7121216号発明「管理システム、管理方法及び管理プログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7121216号の請求項1~11に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7121216号の請求項1~11に係る特許(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和4年6月10日に出願した特願2022-94229号の一部を同年同月20日に新たな特許出願としたものであって、令和4年8月8日にその特許権の設定登録がされ、同年8月17日に特許公報が発行された。その後、本件特許に対し、令和5年2月15日に特許異議申立人 木村雄貴(以下「異議申立人1」という。)、同年2月17日に特許異議申立人 平本健二(以下「異議申立人2」という。また、「異議申立人1」と合わせて、「異議申立人ら」という。)は、それぞれ特許異議の申立てを行った。 第2 本件発明 本件特許に係る各発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明11」といい、合わせて「本件発明」ともいう。)は、それぞれその特許請求の範囲の請求項1~11に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 所定の期間中における1または複数の種類のプラスチック材料の仕入れに応じて、前記プラスチック材料の種類ごとの仕入れ質量と、前記種類ごとの環境負荷を低減する度合いを表すパラメータとに基づき、前記環境負荷の低減量を数値化するクレジットの増加量を算出する第1算出部と、 前記所定の期間中における前記1または複数の種類のプラスチック材料を原料に含む製品の譲渡または生産のいずれかに応じて、前記クレジットの減少量を算出する第2算出部と、 前記所定の期間の開始時における前記クレジットの初期残高を記憶する記憶部と、 前記初期残高と、前記増加量と、前記減少量とに基づいて、前記クレジットの残高を更新するクレジット管理部と を備え、 前記第2算出部は、前記所定の期間中に譲渡される製品の質量と、前記譲渡される製品に割り当てられる前記パラメータとに基づいて前記減少量を算出する、または、前記所定の期間中に生産される製品の質量と、前記生産される製品に割り当てられる前記パラメータとに基づいて前記減少量を算出する、 管理システム。 【請求項2】 前記パラメータは、バイオマス度、再生原料の含有割合、生分解性材料の含有割合、及び前記プラスチック材料の製造に係る実質的な温室効果ガス排出削減量の少なくとも1つである、 請求項1に記載の管理システム。 【請求項3】 前記製品は、プラスチックフィルムである、 請求項1または請求項2に記載の管理システム。 【請求項4】 前記第2算出部は、前記プラスチックフィルムの厚み、幅、長さ及び比重に少なくとも基づいて、譲渡される前記プラスチックフィルムの質量を算出する、 請求項3に記載の管理システム。 【請求項5】 前記第2算出部は、前記プラスチックフィルムの厚み、幅、長さ及び比重に少なくとも基づいて、生産される前記プラスチックフィルムの質量を算出する、 請求項3に記載の管理システム。 【請求項6】 前記譲渡される前記プラスチックフィルムの各々に対して割り当てられる、1または複数の前記パラメータの入力を受け付ける入力受付部 をさらに備え、 前記第2算出部は、一の前記パラメータが割り当てられた前記プラスチックフィルムの厚み、幅、長さ、比重及び前記一のパラメータに少なくとも基づいて前記減少量を算出する、 請求項3に記載の管理システム。 【請求項7】 前記生産される前記プラスチックフィルムの各々に対して割り当てられる、1または複数の前記パラメータの入力を受け付ける入力受付部 をさらに備え、 前記第2算出部は、一の前記パラメータが割り当てられた前記プラスチックフィルムの厚み、幅、長さ、比重及び前記一のパラメータに少なくとも基づいて前記減少量を算出する、 請求項3に記載の管理システム。 【請求項8】 前記記憶部は、前記プラスチックフィルムが属する所定の単位を識別する識別情報と、前記プラスチックフィルムに割り当てられた前記パラメータと、前記プラスチックフィルムの厚み、幅、長さ及び比重とが関連付けられた製品情報をさらに記憶する、 請求項3に記載の管理システム。 【請求項9】 前記製品情報を、物理的なラベルに出力する出力部 をさらに備える、 請求項8に記載の管理システム。 【請求項10】 記憶装置に接続される1または複数のコンピュータが実行する管理方法であって、 所定の期間中における1または複数の種類のプラスチック材料の仕入れに応じて、前記プラスチック材料の種類ごとの仕入れ質量と、前記種類ごとの環境負荷を低減する度合いを表すパラメータとに基づき、前記環境負荷の低減量を数値化するクレジットの増加量を算出することと、 前記所定の期間中における前記1または複数の種類のプラスチック材料を原料に含む製品の譲渡または生産のいずれかに応じて、前記クレジットの減少量を算出することと、 前記記憶装置に、前記所定の期間の開始時における前記クレジットの初期残高を保存することと、 前記初期残高と、前記増加量と、前記減少量とに基づいて、前記クレジットの残高を更新することと を含み、 前記クレジットの減少量を算出することは、前記所定の期間中に譲渡される製品の質量と、前記譲渡される製品に割り当てられる前記パラメータとに基づいて前記減少量を算出すること、または、前記所定の期間中に生産される製品の質量と、前記生産される製品に割り当てられる前記パラメータとに基づいて前記減少量を算出することである、 管理方法。 【請求項11】 記憶装置に接続される1または複数のコンピュータに、 所定の期間中における1または複数の種類のプラスチック材料の仕入れに応じて、前記プラスチック材料の種類ごとの仕入れ質量と、前記種類ごとの環境負荷を低減する度合いを表すパラメータとに基づき、前記環境負荷の低減量を数値化するクレジットの増加量を算出することと、 前記所定の期間中における前記1または複数の種類のプラスチック材料を原料に含む製品の譲渡または生産のいずれかに応じて、前記クレジットの減少量を算出することと、 前記所定の期間の開始時における前記クレジットの初期残高を前記記憶装置に保存することと、 前記初期残高と、前記増加量と、前記減少量とに基づいて、前記クレジットの残高を更新することと を実行させ、 前記クレジットの減少量を算出することは、前記所定の期間中に譲渡される製品の質量と、前記譲渡される製品に割り当てられる前記パラメータとに基づいて前記減少量を算出すること、または、前記所定の期間中に生産される製品の質量と、前記生産される製品に割り当てられる前記パラメータとに基づいて前記減少量を算出することである、 管理プログラム。」 第3 申立理由の概要 1 異議申立人らの提出した証拠(甲号証の通番を付した。) (1) 異議申立人1の提出した証拠 異議申立人1は、次の甲第1号証~甲第5号証(以下、それぞれ、「甲1」~「甲5」という。)を証拠として提出している。 甲第1号証(甲1):特開2007-141221号公報 甲第2号証(甲2):特開2006-252271号公報 甲第3号証(甲3):Christian Kruger他(注;「u」はウムラウト)、“Biomass Balance: An Innovative and Complementary Method for Using Biomass as Feedstock in the Chemical Industry”、Springer社、2018年7月4日 甲第4号証(甲4):JIS Q 14040:2010(ISO 14040:2006)、日本規格協会、2010年10月20日 甲第5号証(甲5):特許第7121216号公報 (2) 異議申立人2の提出した証拠 異議申立人2は、次の甲第6号証及び甲第7号証(以下、それぞれ、「甲6」及び「甲7」という。)を証拠として提出している。 甲第6号証(甲6):特開2010-191832号公報 甲第7号証(甲7):特開2006-134084号公報 2 特許異議の申立理由 (1) 異議申立人1の主張する申立理由 異議申立人1の主張する特許異議の申立理由の概要は以下のとおりである。 ア 理由1-1(進歩性欠如) 本件特許は、以下の(ア)及び(イ)に該当する。 (ア) 本件発明1~11は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 (イ) 本件発明1~11は、甲2に記載された発明及び甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 イ 理由1-2(実施可能要件) 本件特許についての出願に添付された明細書(以下「本件明細書」という。)の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1~11を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないから、本件特許は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 ウ 理由1-3(サポート要件) 本件発明1~11は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載したものではないから、本件特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 エ 理由1-4(明確性) 本件発明1~11は、明確であるとはいえないから、本件特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 (2) 異議申立人2の主張する申立理由 異議申立人2の主張する特許異議の申立理由の概要は以下のとおりである。 ア 理由2-1(進歩性欠如) 本件発明1~11は、甲6に記載された発明及び甲7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。 イ 理由2-2(明確性) 本件発明1~11は、明確であるとはいえないから、本件特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 ウ 理由2-3(サポート要件) 本件発明1~11は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載したものではないから、本件特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 エ 理由2-4(実施可能要件) 本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1~11を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものではないから、本件特許は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。 第4 異議申立人らの提出した証拠の記載 1 甲1について (1) 甲1の記載 甲1には、以下の記載がある(下線加筆、以下同じ。)。 「【請求項1】 再生材料の環境負荷を算出する再生材料環境負荷算出装置であって、 製造工程を構成する各工程毎にバージン材料の環境負荷原単位を記憶するバージン材料環境負荷原単位記憶手段と、 再生材料データを記憶する再生材料データ記憶手段と、 前記バージン材料環境負荷原単位記憶手段によって記憶されたバージン材料の環境負荷原単位と、前記再生材料データ記憶手段によって記憶された再生材料データとに基づいて前記再生材料の環境負荷を算出する再生材料環境負荷算出手段とを備えることを特徴とする再生材料環境負荷算出装置。」 「【請求項5】 前記再生材料データ記憶手段によって記憶された再生材料データと前記再生材料の環境負荷に影響する因子を表す環境負荷影響因子との相関関係を記憶する相関関係記憶手段と、 前記再生材料データと前記相関関係記憶手段によって記憶された相関関係とに基づいて環境負荷影響因子値を算出する環境負荷影響因子値算出手段とを備え、 前記再生材料環境負荷算出手段は、前記バージン材料環境負荷原単位記憶手段によって記憶されたバージン材料の環境負荷原単位と、前記再生材料データ記憶手段によって記憶された再生材料データと、前記環環境負荷影響因子値算出手段によって算出された環境負荷影響因子値とに基づいて前記再生材料の環境負荷を算出することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の再生材料環境負荷算出装置。」 「【0002】 近年、製品の製造から廃棄に至る過程における環境負荷を定量的に評価する手法として、ライフサイクルアセスメント(以下「LCA」とも記す)と呼ばれる手法が利用されている。LCAは、製品の製造から廃棄に至るまでのライフサイクルを、原料の採掘・採取、材料の製造、部品の製造、製品の製造、製品の使用、および製品の廃棄等の工程に分け、各工程で消費される原料や、排出物の種類や発生量等、各工程において生じる環境負荷の値を求め、これらの総和を求めることによって評価対象となる製品の総環境負荷値を算出するものである。」 「【0004】 また、近年、3Rと呼ばれるリデュース(発生抑制)、リユース(再使用)、リサイクル(再資源化)が進められており、資源の循環の必要性が問われている。しかし、現在、資源循環を総合的に評価する手法はなく、一般的に部品リユース率・マテリアルリサイクル率で表現されている。この部品リユース率・マテリアルリサイクル率は、一般的に製品重量中のリユース部品重量・再生材料重量の割合(重量比率)、もしくは部品点数比率で示されている。」 「【0006】 しかしながら、資源循環を示す指標として利用されている部品リユース率・マテリアルリサイクル率は、製品重量中のリユース部品重量・再生材料重量の割合(重量比率)、もしくは部品点数比率で表されており、環境負荷そのものの値を示すものではない。」 「【0010】 本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、資源循環に関する環境負荷の算出に必要な材料再生に伴う環境負荷を正確に算出することができる再生材料環境負荷算出装置、再生材料環境負荷算出方法、プログラムおよび記録媒体を提供することを目的とする。」 「【0040】 図1に示すように、再生材料環境負荷算出装置は、再生材料データ入力部1、再生材料データ記憶部2、原単位記憶部3、原単位選定部4、再生材料環境負荷算出部5、再生材料環境負荷出力部6を有して構成されている。」 「【0054】 まず、再生材料データ入力部1は、再生材料データ1を入力する(ステップS1)。ここで、再生材料データ1は、樹脂の種類(樹脂名)および回収破砕材の混合率であり、回収破砕材の混合率は、上述のように生成される再生材料に含まれる回収破砕材量重量比率である。例えば、バージン材70%に回収破砕材30%を混合する場合は、混合率30%となる。 【0055】 次に、再生材料データ入力部1は、再生材料データ2を入力する(ステップS2)。ここで、再生材料データ2は、材料製造工程と材料再生工程との差異を表す差異データである。例えば、図6に示すように、回収破砕材はコンパウンド工程で混合されるため、材料製造工程と材料再生工程との差異工程はコンパウンド工程となるため、コンパウンド前のバージンパウダー生成までのエネルギー消費量A、コンパウンド工程エネルギー消費量Bを差異データとする。なお、エネルギー消費量Aおよびエネルギー消費量Bは、エネルギー消費量A[MJ]、B[MJ]でもよく、エネルギー消費量を定量化または公開できない場合には、材料製造工程エネルギー消費量E4に対する比率A:B[%]でもよい。また、回収破砕ペレットを再生ペレット生成段階では混入せず、次工程である樹脂成型加工工程でバージンパウダーもしくはバージンペレットと回収破砕ペレットとを混合、溶融して成型加工する場合もある。その場合、比率A:B=100:0となり、式(1)を用いても製造工程における環境負荷を算出することができるが、再生ペレットを製造しないので、製造工程における環境負荷を算出せず、樹脂成型加工工程において環境負荷を算出するようにしてもよい。また、エネルギー消費量[MJ]と比率[%]は、何れか一方のみを入力可能とするようになっていてもよく、両方とも入力可能とするようになっていてもよい。両方とも入力可能とした場合は、単位を示すフラグを立ててもよいし、図8に示すようなA+B=100か否か等単位を判定するロジックを追加してもよい。 【0056】 次に、再生材料データ記憶部2は、再生材料データ入力部1によって入力された再生材料データ1および2を記憶する(ステップS3)。そして、原単位選定部4は、再生材料データ記憶部2に記憶された樹脂の種類(樹脂名)に基づいて、原単位記憶部3に記憶された原単位表から樹脂の環境負荷の原単位を選定する(ステップS4)。例えば、原単位選定部4は、再生材料データとして樹脂Pが再生材料データ入力部1によって入力され、さらに再生材料データ記憶部2に記憶された場合、原単位記憶部3に記憶された原単位表から樹脂Pの環境負荷の原単位を選択し、各工程毎のエネルギー消費量E1、E2、E3、E4、あるいは各工程毎のCO2排出量C1、C2、C3、C4と、資源エネルギー量E0を取得するようになっている。 【0057】 次に、再生材料環境負荷算出部5は、各工程毎の樹脂の環境負荷の原単位と、回収破砕材の混合率と、コンパウンド工程エネルギー消費量Bとに基づいて式(1)を用いて再生樹脂の環境負荷を算出する(ステップS5)。 【0058】 例えば、再生材料データ入力部1が、樹脂名を樹脂P、混合率を30%、バージンパウダー生成工程エネルギーA=85%、コンパウンド工程エネルギーB=15%と入力した場合、原単位選定部4は、原単位記憶部3に記憶された原単位表から樹脂Pの項を選択して、各工程エネルギー消費量E1、E2、E3、E4、および資源エネルギー量E0を取得し、再生材料環境負荷算出部5は、以下の式(2)を用いて樹脂Pの環境負荷を算出するようになっている。 (数2) (E0+E1+E2+E3+E4)×0.7+(E4×0.15)×0.3 (2) 次に、再生材料環境負荷出力部6は、再生樹脂の環境負荷を出力する(ステップS6)。 【0059】 以上のように本発明の第1の実施形態に係る再生材料環境負荷算出装置によれば、原単位記憶部3に記憶されたバージン材料の環境負荷の原単位と、再生材料データ記憶部2に記憶された再生材料データ1および2とに基づいて再生樹脂の環境負荷を算出するため、資源循環に関する環境負荷の算出に必要な材料再生に伴う環境負荷を正確に算出することができる。」 「【0088】 次に、再生材料データ記憶部2は、再生材料データ入力部1によって入力された再生材料データ1および2を記憶する(ステップS13)。そして、原単位選定部4は、再生材料データ記憶部2に記憶された材料名のガラスに基づいて、原単位記憶部3に記憶された原単位表からガラスの環境負荷の原単位を選定する(ステップS14)。例えば、原単位選定部4は、再生材料データとしてガラスが再生材料データ入力部1によって入力され、さらに再生材料データ記憶部2に記憶された場合、原単位記憶部3に記憶された原単位表からガラスの環境負荷の原単位を選択し、各工程毎のエネルギー消費量EG1、EG2、EG3、EG4、あるいは各工程毎のCO2排出量CG1、CG2、CG3、CG4を取得するようになっている。」 (2) 甲1発明 上記(1)によれば、甲1には次の発明(以下、「甲1発明」という。)が記載されている。 [甲1発明] 再生材料の環境負荷を算出する再生材料環境負荷算出装置であって、 当該再生材料環境負荷算出装置は、再生材料データ入力部1、再生材料データを記憶する再生材料データ記憶部2、製造工程を構成する各工程毎にバージン材料の環境負荷原単位を記憶するバージン材料環境負荷原単位記憶部3、原単位選定部4、再生材料環境負荷算出部5、再生材料環境負荷出力部6を有して構成されており、 再生材料環境負荷算出部5は、前記バージン材料環境負荷原単位記憶部3によって記憶されたバージン材料の環境負荷原単位と、前記再生材料データ記憶部2によって記憶された再生材料データとに基づいて前記再生材料の環境負荷を算出する、 再生材料環境負荷算出装置。 2 甲2について (1) 甲2の記載 甲2には、以下の記載がある。 「【請求項1】 製品のライフサイクルの複数のプロセスにおける環境負荷を単位期間ごとに算出して集計する環境負荷評価装置であって、 製品に関する資源循環をライフサイクルにわたってモデル化した第1のモデルとして、少なくとも、製品の構成部品及び資源循環方法に関する情報を記憶する第1の記憶手段と、 ライフサイクルの複数のプロセス間における製品の流れをモデル化した第2のモデルとして、少なくとも、プロセス及びプロセス間の接続に関する情報を記憶する第2の記憶手段と、 第1の記憶手段に記憶された第1のモデル及び第2の記憶手段に記憶された第2のモデルに基づいて、かつ資源循環を実施するときに所定の制約条件を満足するよう、前記製品に関する資源循環をモデル化した第3のモデルとして、少なくとも、前記所定の制約条件を記憶する第3の記憶手段と、 前記環境負荷を算出するときに用いられる基本原単位を記憶する第4の記憶手段と、 少なくとも、製品の構成部品及び資源循環方法に関する情報、前記所定の制約条件、プロセス及びプロセス間の接続に関する情報により、当該プロセスに投入された物質と量及び資源循環方法を取得し、単位期間に当該プロセスから排出される物質と量を計算し、取得及び算出した当該プロセスでの物質の投入量及び排出量と前記基本原単位を用いて単位期間での環境負荷を算出し、当該プロセスの単位期間ごとの環境負荷を集計する処理を繰り返すことにより、複数のプロセスの複数単位期間での環境負荷の総和を取得する処理手段と、 を備えたことを特徴とする環境負荷評価装置。」 「【0006】 本発明は、従来の問題を解決するためになされたもので、所定期間における循環型製品の環境負荷を算出することのできる環境負荷評価装置、プログラム、記録媒体及び環境負荷評価方法を提供することを目的とする。」 (2) 甲2発明 上記(1)の【請求項1】によれば、甲2には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されている。 [甲2発明] 製品のライフサイクルの複数のプロセスにおける環境負荷を単位期間ごとに算出して集計する環境負荷評価装置であって、 製品に関する資源循環をライフサイクルにわたってモデル化した第1のモデルとして、少なくとも、製品の構成部品及び資源循環方法に関する情報を記憶する第1の記憶手段と、 ライフサイクルの複数のプロセス間における製品の流れをモデル化した第2のモデルとして、少なくとも、プロセス及びプロセス間の接続に関する情報を記憶する第2の記憶手段と、 第1の記憶手段に記憶された第1のモデル及び第2の記憶手段に記憶された第2のモデルに基づいて、かつ資源循環を実施するときに所定の制約条件を満足するよう、前記製品に関する資源循環をモデル化した第3のモデルとして、少なくとも、前記所定の制約条件を記憶する第3の記憶手段と、 前記環境負荷を算出するときに用いられる基本原単位を記憶する第4の記憶手段と、 少なくとも、製品の構成部品及び資源循環方法に関する情報、前記所定の制約条件、プロセス及びプロセス間の接続に関する情報により、当該プロセスに投入された物質と量及び資源循環方法を取得し、単位期間に当該プロセスから排出される物質と量を計算し、取得及び算出した当該プロセスでの物質の投入量及び排出量と前記基本原単位を用いて単位期間での環境負荷を算出し、当該プロセスの単位期間ごとの環境負荷を集計する処理を繰り返すことにより、複数のプロセスの複数単位期間での環境負荷の総和を取得する処理手段と、 を備えた環境負荷評価装置。 3 甲3について 甲3には、以下の記載がある(甲3の日本語翻訳文を示す。以下同じ。)。 (1) 甲3・101~103頁 [図:0001398308000001.jpg] (2) 甲3・104~105頁 [図:0001398308000002.jpg] 4 甲4について 甲4には、以下の記載がある。 [図:0001398308000003.jpg] [図:0001398308000004.jpg] [図:0001398308000005.jpg] 5 甲5について 甲5は、本件特許の特許公報である。 6 甲6について (1) 甲6の記載 甲6には、以下の記載がある。 「【0025】 図1は本発明の実施例1によるカーボントレーサビリティ管理システムの構成を示す図である。本実施例のシステムは、受変電設備110や自家発電設備123,冷温熱設備122や油空圧設備121などの生成設備を上位制御あるいは管理するユーティリティ管理装置102と、製造設備131,132を管理する製造実行管理装置103と、資材及び原材料の受け払いを行う入出庫業務141や資材及び原材料を保管する保管設備142を管理する資材管理装置104と、事務所などの空調設備151,照明設備152,計算機及び通信設備153を管理するファシリティ管理装置105などを備えている。 【0026】 又、ユーティリティ管理装置102から得られる原動力系設備運転実績と、製造実行管理装置103から得られる各製造ロットの設備使用実績,資材及び原材料使用実績,洗浄などにともなう設備使用実績と資材及び原材料使用実績と、資材管理装置104から得られる使用した資材及び原材料の保管期間や、その製造に要した温室効果ガスの排出量原単位,資材の保管に要した空調及び照明の使用実績と保管施設の使用実績と、ファシリティ管理装置105から得られるファシリティ設備のエネルギー使用実績と、洗浄やロット廃棄に伴う温室効果ガスの排出量の割り当てポリシー106と、設備毎の運転状態に応じた温室効果ガスの排出当量データ107と、資材及び原材料のうち製造に伴う温室効果ガスの排出量がわからないものに関しては予め、産業連関表などを用いて作成した温室効果ガスの排出量データ108とを用い、製品および中間品の製造ロット毎に温室効果ガスの排出量の配賦計算を行うロット毎の温室効果ガスの排出量管理装置101を備えている。 【0027】 製造実行管理装置103は、各ロットについて、投入した資材及び原材料や使用した設備の使用実績を記録する。資材及び原材料については、そのロット番号と使用量を、設備に関しては当該ロットで使用した電力,冷温熱量などを記録する。ここで、冷温熱量は、温水,冷水の量と温度,蒸気の量,温度,圧力である。」 「【0032】 温室効果ガスの排出量の計算に当たっては、使用した発電設備などの温室効果ガスの排出当量データ107や資材及び原材料の温室効果ガスの排出量データ108を用いる。ここで、温室効果ガスの排出当量データ107は、当該設備の運転状態で単位時間或いは単位出力あたりに生成する温室効果ガスの排出量のことを言う。また資材及び原材料の生産による温室効果ガス排出量データ108は、入荷時に当該資材及び原材料ロットの温室効果ガス排出量原単位情報160があればこれを用い、無ければ産業連関など固定のデータを用いて計算する。」 「【0041】 図9に示す在庫情報1001では、資材及び原材料の在庫状況を記録する。資材及び原材料のロット番号とその品目情報,入荷(入庫日),入庫場所の他,在庫量,温室効果ガス排出原単位も記録する。在庫量は出庫の都度更新する。温室効果ガス排出原単位(製造原単位)は、当該資材及び原材料の購入時に購入元からデータが得られる場合に記録する。また、当該購入元から本実施例の管理システムを使う事業所までの輸送に伴う温室効果ガス排出量を、入荷時の入荷量で除して得られる輸送原単位を製造原単位に加算して記録しても良い。このような輸送に伴う温室効果ガスの排出は、素材の輸送に係わる排出当量405のようなデータを予め用意しておいて、実際の輸送距離に応じた排出量を計算する方式を採っても良い。」 「【0046】 このようなデータを予め定義しておき、図2のフローチャートに従って、製造ロットに対して温室効果ガス排出量を配賦し、温室効果ガスの排出量を計算する。」 「【0083】 以上、説明したように、本発明の各実施例によれば、任意の製品の製造を行う任意の一ロットについて、該製品を一単位量生産するために排出された温室効果ガスの量を、受電して使用した電力や自家発電による電力,蒸気使用量などのように、その生産活動で直接使用したエネルギーなどに伴う温室効果ガス排出だけでなく、原材料の生産過程で生成された温室効果ガス排出量や、その保存過程で排出された温室効果ガスも合わせて把握する事ができる。」 「【0086】 又、当該製品の当該ロットを製造する上で排出された温室効果ガス排出量を原料の寄与まで含め把握することができ、調達などにおいて温室効果ガス排出の少ない製造業者や製造プラントで製造された原料を選択することで、当該製品の製造にかかわる温室効果ガス排出量を削減できる。」 (2) 甲6発明 上記(1)によれば、甲6には次の発明(以下、「甲6発明」という。)が記載されている。 [甲6発明] 排出量管理装置101、受変電設備110や自家発電設備123、冷温熱設備122や油空圧設備121などの生成設備を上位制御あるいは管理するユーティリティ管理装置102と、製造設備131、132を管理する製造実行管理装置103と、資材及び原材料の受け払いを行う入出庫業務141や資材及び原材料を保管する保管設備142を管理する資材管理装置104と、事務所などの空調設備151、照明設備152、計算機及び通信設備153を管理するファシリティ管理装置105などを備えるカーボントレーサビリティ管理システムであって、 排出量管理装置101は、ユーティリティ管理装置102から得られる原動力系設備運転実績と、製造実行管理装置103から得られる各製造ロットの設備使用実績、資材及び原材料使用実績、洗浄などにともなう設備使用実績と資材及び原材料使用実績と、資材管理装置104から得られる使用した資材及び原材料の保管期間や、その製造に要した温室効果ガスの排出量原単位、資材の保管に要した空調及び照明の使用実績と保管施設の使用実績と、ファシリティ管理装置105から得られるファシリティ設備のエネルギー使用実績と、洗浄やロット廃棄に伴う温室効果ガスの排出量の割り当てポリシー106と、設備毎の運転状態に応じた温室効果ガスの排出当量データ107と、資材及び原材料のうち製造に伴う温室効果ガスの排出量がわからないものに関しては予め、産業連関表などを用いて作成した温室効果ガスの排出量データ108とを用い、製品および中間品の製造ロット毎に温室効果ガスの排出量の配賦計算を行うものであるところ、 温室効果ガスの排出当量データ107は、当該設備の運転状態で単位時間或いは単位出力あたりに生成する温室効果ガスの排出量のことであり、資材及び原材料の生産による温室効果ガス排出量データ108は、入荷時に当該資材及び原材料ロットの温室効果ガス排出量原単位情報160があればこれを用い、無ければ産業連関など固定のデータを用いて計算する、 排出量管理装置101。 7 甲7について (1) 甲7の記載 甲7には、以下の記載がある。 「【0032】 図1において、環境負荷低減支援装置1は、対象物(例えば、製品、ユニット、部品)の選定に関する対象物データ(例えば、名称、分類、規格、型番、仕様を含む対象物情報)を入力する入力装置10と、部品リユース係数とその分類条件(例えば、コピー速度)及びマテリアルリサイクル係数とその分類条件並びに部品情報を記憶する記憶装置30と、入力装置10から入力された対象物データと記憶装置30に記憶された部品リユース係数及びマテリアルリサイクル係数並びに部品情報(部品リユース率、マテリアルリサイクル率等を含む)とを用いて、資源循環に関する環境負荷を示すデータ(例えば、部品リユース環境負荷、マテリアルリサイクル環境負荷、資源循環環境負荷)を演算すると共に、得られた環境負荷値を用いて対象物の選定に関する演算を行う演算装置20と、演算装置20で演算して選定した対象物を示すデータを出力する出力装置40と、を有する構成である。 【0033】 ここで、入力装置10は、後述する設計情報入力部19に相当する。演算装置20は、後述する部品リユース環境負荷算出部14、マテリアルリサイクル環境負荷算出部15、資源循環環境負荷算出部16及び対象物選定部17に相当する。記憶装置30は、後述する部品情報記憶部11、部品リユース係数記憶部12及びマテリアルリサイクル係数記憶部13に相当する。出力装置40は、後述する選定対象物表示部18に相当する。」 「【0043】 マテリアルリサイクル環境負荷算出部15は、選定されたマテリアルリサイクル係数と部品情報記憶部11に記憶されたマテリアルリサイクル率からマテリアルリサイクルに関する環境負荷を算出するものである。ここで、マテリアルリサイクル率は、製品重量中の再生材料重量の比率であり、例えば式(2)によって得られる。・・・ 【0045】 なお、マテリアルリサイクル率として重量比を用いる替りに、総重量を用いてもよいし、材料ごとの重量比を用いてもよい。具体的には、製品中の総プラスチック重量に対する製品中の再生プラスチック重量の比率でもよい。これは例えば式(3)によって得られる。 【0046】 【数3】 [図:0001398308000006.jpg] 」 「【0049】 資源循環環境負荷算出部16は、部品リユース環境負荷算出部14で算出された部品リユースに関する環境負荷指標値と、マテリアルリサイクル環境負荷算出部15で算出されたマテリアルリサイクルに関する環境負荷指標値とを加算して、資源循環に関する環境負荷指標値を算出するものである。これは、例えばエネルギー消費量、資源使用量、CO2排出量、NOx排出量、SOx排出量等の値もしくは、ポイント等の換算値であり、前述の各環境負荷指標値及び係数の次元を合わせておくことで単純加算が可能となる。 【0050】 対象物選定部17は、資源循環環境負荷算出部16で算出された環境負荷指標値より推奨する対象物(以下「推奨対象物」ともいう)を選定するものである。この対象物は、部品、ユニット、製品のいずれでもよい。例えば、ユニットや製品の構成部品の環境負荷指標値を加算することで、後述するように対象物の環境負荷指標値が得られる。ここで選定する推奨対象物は、1つでも複数でもよく、順位付けされていてもよい。」 「【0121】 製品選定部54は、製品環境負荷算出部53で算出された環境負荷指標値より推奨する製品を選定するものである。構成部品の環境負荷指標値を加算することで製品やユニットの環境負荷指標値が得られる。詳しくは後述する。選定する推奨製品は1つでも複数でも順位付けされてもよい。」 (2) 甲7発明 上記(1)によれば、甲7には次の発明(以下、「甲7発明」という。)が記載されている。 [甲7発明] 対象物(例えば、製品、ユニット、部品)の選定に関する対象物データ(例えば、名称、分類、規格、型番、仕様を含む対象物情報)を入力する入力装置10と、部品リユース係数とその分類条件(例えば、コピー速度)及びマテリアルリサイクル係数とその分類条件並びに部品情報を記憶する記憶装置30と、入力装置10から入力された対象物データと記憶装置30に記憶された部品リユース係数及びマテリアルリサイクル係数並びに部品情報(部品リユース率、マテリアルリサイクル率等を含む)とを用いて、資源循環に関する環境負荷を示すデータ(例えば、部品リユース環境負荷、マテリアルリサイクル環境負荷、資源循環環境負荷)を演算すると共に、得られた環境負荷値を用いて対象物の選定に関する演算を行う演算装置20と、演算装置20で演算して選定した対象物を示すデータを出力する出力装置40と、を有する環境負荷低減支援装置1であって、 演算装置20(マテリアルリサイクル環境負荷算出部15)は、選定されたマテリアルリサイクル係数と部品情報記憶部11に記憶されたマテリアルリサイクル率からマテリアルリサイクルに関する環境負荷を算出するものであって、マテリアルリサイクル率は、製品中の総プラスチック重量に対する製品中の再生プラスチック重量の比率である、 環境負荷低減支援装置1。 第5 当審の判断 1 進歩性(理由1-1及び理由2-1)について (1) 甲1に記載された発明に基づく進歩性 ア 本件発明1について (ア) 対比 本件発明1は「マスバランス方式に従った環境負荷の低減量の管理を容易にするための管理システム」を提供することを目的とするものである(本件明細書【0006】)。そして、そのために、本件発明1は、「環境負荷の低減量を数値化するクレジット」について、プラスチック材料の仕入れに応じてクレジットの増加量を算出し、プラスチック材料を原料に含む製品の譲渡又は生産のいずれかに応じてクレジットの減少量を算出することによって、初期残高と、増加量と、減少量に基づいて、クレジットの残高を更新し、環境負荷の低減量の管理をすることに技術的意義を有するものである。 そこで、これを前提に、本件発明1と甲1発明を対比する。 a 甲1発明は、「再生材料の環境負荷を算出する再生材料環境負荷算出装置」であって、「バージン材料の環境負荷原単位」と「再生材料データ」に基づいて、「再生材料の環境負荷を算出する」ものであるから、算出した再生材料の環境負荷は、記憶して管理しているものと認められる。 そうすると、甲1発明の「再生材料環境負荷算出装置」は、「再生材料」を用いたことによる環境負荷の低減量を管理する「管理システム」ということができる。 b 甲1発明は、上記aのとおり、「環境負荷の低減量」を管理しているということはできるが、それにとどまり、上記技術的意義に照らすと、「環境負荷の低減量を数値化するクレジット」について特定するものではないし、クレジットの増加量や減少量を算出したり、初期残高を含めてクレジットの残高を更新したりするものでもないから、本件発明1との間にそれ以上の共通点を見いだすことはできない。 c これに対し、異議申立人1は、本件発明の「クレジット」について、特許異議申立書の11ページ12-13行において「すなわち、甲1に、かかるライフサイクルアセスメントという評価手法に準じて、環境負荷(本発明のクレジットに相当)を正確に算出するという発明が記載されている。」(異議申立人1の特許異議申立書11頁12~13行)と主張する。 しかしながら、本件発明の「クレジット」は、本件明細書の【0046】に「管理システム1では、環境負荷の低減量を数値化するため、「クレジット」の概念が導入される。クレジットは、仕入れ材料に含まれるバイオ資源の質量の増加に応じて増加し、当該バイオ資源を消費した質量に応じて減少するものとして扱われる。このため、後述するように、材料の仕入れ時にはクレジット増加量が算出され、製品の生産時または譲渡時にはクレジット減少量が算出される。さらに、管理システム1では、クレジット増加量及びクレジット減少量に基づいてクレジット残高がリアルタイムに更新される。」と記載されているように、単なる環境負荷とは異なるものである。 したがって、異議申立人1の主張は採用できない。 以上によれば、本件発明1と甲1発明は、以下の一致点、相違点を有する。 [一致点] 環境負荷の低減量を管理する管理システム。 [相違点] 本件発明1の「管理システム」は、「所定の期間中における1または複数の種類のプラスチック材料の仕入れに応じて、前記プラスチック材料の種類ごとの仕入れ質量と、前記種類ごとの環境負荷を低減する度合いを表すパラメータとに基づき、前記環境負荷の低減量を数値化するクレジットの増加量を算出する第1算出部」と、「前記所定の期間中における前記1または複数の種類のプラスチック材料を原料に含む製品の譲渡または生産のいずれかに応じて、前記クレジットの減少量を算出する第2算出部」と、「前記所定の期間の開始時における前記クレジットの初期残高を記憶する記憶部」と、「前記初期残高と、前記増加量と、前記減少量とに基づいて、前記クレジットの残高を更新するクレジット管理部」とを備え、「前記第2算出部は、前記所定の期間中に譲渡される製品の質量と、前記譲渡される製品に割り当てられる前記パラメータとに基づいて前記減少量を算出する、または、前記所定の期間中に生産される製品の質量と、前記生産される製品に割り当てられる前記パラメータとに基づいて前記減少量を算出する」ものであるのに対し、引用発明の「再生材料環境負荷算出装置」は、本件発明1が備える上記「第1算出部」、「第2算出部」、「記憶部」及び「クレジット管理部」を備えていない点。 (イ) 判断 甲1には、上記相違点に係る構成は記載されておらず、相違点に係る構成が周知技術であるということもできないから、甲1発明において、相違点に係る構成を採用することは、当業者であっても容易に想到し得るものではない。 したがって、本件発明1は、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 本件発明2~9について 本件発明2~9は、本件発明1を限定した発明であるから、甲1発明と対比すると、少なくとも、上記ア(ア)の[相違点]を有するところ、本件発明1が上記ア(イ)のとおり、甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件発明2~9も甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ 本件発明10及び11について 本件発明10及び本件発明11は、それぞれ、「管理方法」の発明及び「管理プログラム」の発明であるところ、本件発明1の「管理システム」を方法の発明とプログラムの発明で特定したものであり、カテゴリーが相違するのみで実質的な相違はない。 そうすると、本件発明10及び本件発明11は、甲1から認定される方法の発明及びプログラムの発明と対比すると、上記ア(ア)の[相違点]と同様の相違点を有することになる。 したがって、上記ア(イ)と同様、本件発明10及び本件発明11は、それぞれのカテゴリーに沿って、甲1から認定される発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 エ まとめ 本件発明1~11は、甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、その発明についての特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 (2) 甲2に記載された発明及び甲1に記載された発明に基づく進歩性 ア 本件発明1について (ア) 対比・判断 甲2発明は、上記第4の2(2)のとおりであるところ、甲2発明も、「環境負荷の低減量を数値化するクレジット」について特定するものではないし、クレジットの増加量や減少量を算出したり、初期残高を含めてクレジットの残高を更新したりするものでもないから、上記(1)ア(ア)と同様、本件発明1が有する技術的意義を備えるものではない。 そうすると、本件発明1と甲2発明とを対比すると、上記(1)ア(ア)の[相違点]の構成を有することとなる。 そして、甲1発明に相違点に係る構成はなく、甲2及び甲1にも、上記相違点に係る構成は記載されておらず、相違点に係る構成が周知技術であるということもできないから、甲2発明において、相違点に係る構成を採用することは、当業者であっても容易に想到し得るものではない。 したがって、本件発明1は、甲2発明及び甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (イ) 以上のとおり、本件発明1は、甲2発明及び甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 本件発明2~9について 本件発明2~9は、本件発明1を限定した発明であるから、甲2発明と対比すると、少なくとも、上記(1)ア(ア)の[相違点]を有するところ、本件発明1が上記アのとおり、甲2発明及び甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件発明2~9も甲2発明及び甲1発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ 本件発明10及び11について 本件発明10及び本件発明11は、それぞれ、「管理方法」の発明及び「管理プログラム」の発明であるところ、本件発明1の「管理システム」を方法の発明とプログラムの発明で特定したものであり、カテゴリーが相違するのみで実質的な相違はない。 そうすると、本件発明10及び本件発明11は、甲2から認定される方法の発明及びプログラムの発明と対比すると、上記(1)ア(ア)の[相違点]と同様の相違点を有することになる。 したがって、上記アと同様、本件発明10及び本件発明11は、それぞれのカテゴリーに沿って、甲2から認定される発明及び甲1から認定される発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 エ まとめ 本件発明1~11は、甲2に記載された発明及び甲1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 (3) 甲6に記載された発明及び甲7に記載された発明に基づく進歩性 ア 本件発明1について (ア) 対比・判断 甲6発明は、上記第4の6(2)のとおりであるところ、甲6発明も、「環境負荷の低減量を数値化するクレジット」について特定するものではないし、クレジットの増加量や減少量を算出したり、初期残高を含めてクレジットの残高を更新したりするものでもないから、上記(1)ア(ア)と同様、本件発明1が有する技術的意義を備えるものではない。 そうすると、本件発明1と甲6発明とを対比すると、上記(1)ア(ア)の[相違点]の構成を有することとなる。 そして、甲7発明に相違点に係る構成はなく、甲6及び甲7にも、上記相違点に係る構成は記載されておらず、相違点に係る構成が周知技術であるということもできないから、甲6発明において、相違点に係る構成を採用することは、当業者であっても容易に想到し得るものではない。 したがって、本件発明1は、甲6発明及び甲7発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 (イ) 以上のとおり、本件発明1は、甲6発明及び甲7発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 イ 本件発明2~9について 本件発明2~9は、本件発明1を限定した発明であるから、甲6発明と対比すると、少なくとも、上記(1)ア(ア)の[相違点]を有するところ、本件発明1が上記アのとおり、甲6発明及び甲7発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない以上、本件発明2~9も甲6発明及び甲7発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 ウ 本件発明10及び11について 本件発明10及び本件発明11は、それぞれ、「管理方法」の発明及び「管理プログラム」の発明であるところ、本件発明1の「管理システム」を方法の発明とプログラムの発明で特定したものであり、カテゴリーが相違するのみで実質的な相違はない。 そうすると、本件発明10及び本件発明11は、甲6から認定される方法の発明及びプログラムの発明と対比すると、上記(1)ア(ア)の[相違点]と同様の相違点を有することになる。 したがって、上記アと同様、本件発明10及び本件発明11は、それぞれのカテゴリーに沿って、甲6から認定される発明及び甲7から認定される発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。 エ まとめ 本件発明1~11は、甲6に記載された発明及び甲7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえないから、本件特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであるとはいえない。 (4) 理由1-1及び理由2-1のまとめ 以上によれば、本件特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものではない。 したがって、異議申立人らの主張する理由1-1及び理由2-1は理由がない。 2 サポート要件(理由1-3及び理由2-3)について (1) 判断 ア 本件発明1について (ア) 本件発明1 本件発明1は、上記第2の【請求項1】のとおりである。 (イ) 本件明細書の記載 本件明細書の発明の詳細な説明には、以下の記載がある。 「【0045】 <3.低減パラメータ> 低減パラメータとしては、プラスチック材料及び製品が環境負荷を低減する度合いを表すパラメータであれば、特に限定されない。本実施形態では、低減パラメータは、バイオマス度(%)である。バイオマス度とは、プラスチック材料または製品において使用された原料におけるバイオ資源の質量割合であり、高ければ高いほど環境への負荷がより低減されたことを示す。・・・ 【0046】 管理システム1では、環境負荷の低減量を数値化するため、「クレジット」の概念が導入される。クレジットは、仕入れ材料に含まれるバイオ資源の質量の増加に応じて増加し、当該バイオ資源を消費した質量に応じて減少するものとして扱われる。このため、後述するように、材料の仕入れ時にはクレジット増加量が算出され、製品の生産時または譲渡時にはクレジット減少量が算出される。さらに、管理システム1では、クレジット増加量及びクレジット減少量に基づいてクレジット残高がリアルタイムに更新される。 【0047】 <4.管理システムの動作> [仕入れに応じた動作] 図5は、一定期間における仕入れに応じた管理システム1の動作の流れを示すフローチャートである。一定期間とは、管理システム1において便宜上定められる期間であって、ユーザが適宜その開始時期と終了時期とを設定することができる。また、生産及び譲渡についても共通の期間が設けられる。以下、図を参照しつつ、仕入れに応じた管理システム1の動作について説明する。 【0048】 本実施形態では、各種類のプラスチック材料の仕入れは、質量単位で行われるものとする。ユーザは、プラスチック材料の仕入れに応じて、入力受付部3を介して、プラスチック材料の種類ごとの仕入れ質量を入力するための仕入れ入力画面を呼び出す操作を行う。これにより、入力受付部3が、ユーザからの操作を受け付ける(ステップS1)。 ・・・ 【0052】 第1算出部200は、ステップS4と並行してまたはこれと前後して、クレジット増加量を算出し、RAM23または記憶装置24に保存する(ステップS5)。クレジット増加量は、各列における(低減パラメータ/100)×(仕入れ質量)の合計で算出することができる。すなわち、本実施形態におけるクレジット増加量とは、プラスチック材料の仕入れによって実質的に取得されるバイオ資源の総量である。クレジット増加量により、仕入れによる環境負荷の低減可能量の増加分が数値化される。 【0053】 クレジット管理部202は、ステップS5において算出されたクレジット増加量を、記憶装置24に保存されているクレジット残高244に加算し、加算後のクレジット残高を記憶装置24に保存する(ステップS6)。このように、クレジット管理部202は、クレジット増加量が算出される度に、これに基づいてクレジット残高244を更新する。なお、一定期間の開始時において記憶装置24に保存されているクレジット残高244は、前記から繰り越された初期残高として扱うことができる。従って、クレジット管理部202は、初期残高とクレジット増加量とに基づいてクレジット残高244を更新する。」 「【0056】 [生産に応じた動作] 図7は、一定期間におけるプラスチックフィルムの生産に応じた管理システム1の動作の流れを示すフローチャートである。この動作は、バイオ資源の消費を、製品の生産と連動させる場合に行われる。そして、1つの生産ロットにおいては、通常、同一のフィルム名称及び寸法規格番号で特定される、実質的に同一のプラスチックフィルムのロールが複数本生産される。 ・・・ 【0059】 続いて、入力処理部204が、生産入力画面W2を生成し、表示部5に表示する(ステップS22)。生産入力画面W2は、例えば図8Aに示すように、ステップS21で選択または入力されたフィルム名称及び生産ロット番号の欄F2、表T1、表T2及び当期クレジット残高の欄F3を含む。この時点では、欄F2に生産ロット番号は表示されない。また、欄F3には、現時点で記憶装置24に保存されているクレジット残高244が表示される。 【0060】 表T1は、プラスチックフィルム「pf-1」の寸法、比重、1ロール当たりの質量及びロールの生産数を表示する表である。「厚み(μm)」「幅(mm)」「長さ(m)」「比重」の各見出しの下のセルには、それぞれプラスチックフィルム「pf-1」の厚み、幅、長さ及び比重のデータが表示される。これらのデータは、例えばステップS21において入力されたフィルム名称及び寸法規格番号から、生産情報DB241を参照することにより表示される。また、「質量(t)」の見出しの下のセルには、厚み、幅、長さ及び比重のデータから自動計算された質量(=厚み×幅×長さ×比重)が表示される。この質量は、ロール1本あたりの質量を示す。 ・・・ 【0064】 続いて、ユーザは、入力受付部3を介して表T2内の「低減パラメータ(%)」及び「数量(本)」の見出しの下の空白のセルを選択し、各セルに割り当てる低減パラメータ(%)及びロールの数量を入力する。これにより、入力受付部3が、ユーザからの低減パラメータ(%)及びロールの数量の入力を受け付ける(ステップS25)。表T2の行数は、割り当てられる低減パラメータの数に応じて増減してもよい。 ・・・ 【0066】 再び図7を参照して、第2算出部201は、各低減パラメータに対するバイオ資源の質量ならびにロールの数量及びバイオ資源の質量の合計をそれぞれ算出し、これを各セルに表示する(ステップS27)。各低減パラメータに対するバイオ資源の質量は、(低減パラメータ/100)×(数量)×(1ロール当たりの質量)により算出され、表T2の「質量(t)」の見出しの下のセルに表示される。また、ロールの数量の合計及びバイオ資源の質量の合計は、それぞれ一番下のセルに表示される。第2算出部201は、バイオ資源の質量の合計を、クレジット減少量としてRAM23または記憶装置24に保存する。クレジット減少量は、実現されたと認証されるべき環境負荷の低減量であると言える。 ・・・ 【0068】 クレジット管理部202は、ステップS27において算出されたクレジット減少量を、記憶装置24に保存されているクレジット残高244から減算し、減算後のクレジット残高を記憶装置24に保存する(ステップS28)。このように、クレジット管理部202は、クレジット減少量が算出される度に、これに基づいてクレジット残高244を更新する。従って、クレジット管理部202は、初期残高及びクレジット増加量に加え、クレジット減少量にも基づいてクレジット残高244を更新する。」 「【0071】 [譲渡に応じた動作] 図9は、プラスチックフィルムの譲渡に応じた管理システム1の動作の流れを示すフローチャートである。この動作は、バイオ資源の消費を、製品の譲渡と連動させる場合に行われる。このため、図9に示す動作は、基本的に図7に示す動作に代えて行われる。以下では、フィルム名称「pf-1」、生産ロット番号「12345」のプラスチックフィルムを、50本譲渡する場合を例にして説明する。 ・・・ 【0073】 続いて、入力処理部204が、譲渡入力画面W3を生成し、表示部5に表示する(ステップS32)。譲渡入力画面W3は、例えば図10Aに示すように、ステップS31で選択または入力されたフィルム名称及び生産ロット番号の欄F4、表T3、表T4及び当期クレジット残高の欄F5を含む。欄F4には、フィルム名称「pf-1」及び生産ロット番号「12345」が表示される。欄F5には、現時点で記憶装置24に保存されているクレジット残高244が表示される。 【0074】 表T3は、生産入力画面W2の表T1と同様のデータを表す表であり、これらのデータは、例えばステップS31において入力されたフィルム名称から、在庫情報DB242を参照することにより表示される。ただし、表T3では、表T1における「生産数(本)」の見出しに代わり、「在庫数(本)」の見出しが表示され、下のセルには、現在在庫として残るロールの数が表示される。また、「質量(t)」の見出しの下のセルには、表T1と同様に、1ロール当たりの質量(=厚み×幅×長さ×比重)が表示される。」 ・・・ 【0076】 ユーザは、入力受付部3を介して表T4内の「低減パラメータ(%)」及び「数量(本)」の見出しの下の空白のセルを選択し、各セルに割り当てる低減パラメータ(%)及び譲渡されるロールの数量を入力する。これにより、入力受付部3が、ユーザからの低減パラメータ(%)及び譲渡されるロールの数量の入力を受け付ける(ステップS33)。表T2の行数は、割り当てられる低減パラメータの数に応じて増減してもよい。 ・・・ 【0078】 再び図9を参照して、第2算出部201は、各低減パラメータに対するバイオ資源の質量ならびにロールの数量及びバイオ資源の質量の合計をそれぞれ算出し、これを各セルに表示する(ステップS35)。各低減パラメータに対するバイオ資源の質量は、(低減パラメータ/100)×(数量)×(質量)により算出され、表T4の「質量(t)」の見出しの下のセルに表示される。また、ロールの数量の合計及びバイオ資源の質量の合計は、それぞれ一番下のセルに表示される。第2算出部201は、バイオ資源の質量の合計を、クレジット減少量としてRAM23または記憶装置24に保存する。クレジット減少量は、実現されたと認証されるべき環境負荷の低減量であると言える。 ・・・ 【0080】 クレジット管理部202は、ステップS35において算出されたクレジット減少量を、記憶装置24に保存されているクレジット残高244から減算し、減算後のクレジット残高を記憶装置24に保存する(ステップS36)。このように、クレジット管理部202は、クレジット減少量が算出される度に、これに基づいてクレジット残高244を更新する。」 (ウ) 判断 a 第1算出部 第1算出部について、本件明細書の発明の詳細な説明の【0045】には「低減パラメータ」について「プラスチック材料及び製品が環境負荷を低減する度合いを表すパラメータ」であること、【0046】には「管理システム1では、環境負荷の低減量を数値化するため、「クレジット」の概念が導入され」、「クレジットは、仕入れ材料に含まれるバイオ資源の質量の増加に応じて増加し、当該バイオ資源を消費した質量に応じて減少するものとして扱われ」、「材料の仕入れ時にはクレジット増加量が算出され」ること、【0047】には「管理システム1」は「一定期間における仕入れに応じた」動作を行うこと、【0048】には「各種類のプラスチック材料の仕入れは、質量単位で行われるものとする」ことが記載されている。 したがって、本件発明1の第1算出部は、発明の詳細な説明に記載されている。 b 第2算出部 第2算出部について、本件明細書の発明の詳細な説明の【0046】には「製品の生産時または譲渡時にはクレジット減少量が算出され」ること、【0056】には「生産に応じた動作」は「一定期間におけるプラスチックフィルムの生産に応じた」動作であり、「バイオ資源の消費を、製品の生産と連動させる場合に行われる」こと、【0066】には「各低減パラメータに対するバイオ資源の質量ならびにロールの数量及びバイオ資源の質量の合計をそれぞれ算出」することが記載されている。 また、第2算出部について、本件明細書の発明の詳細な説明の【0071】には「譲渡に応じた動作」は「プラスチックフィルムの譲渡に応じた」動作であり、「バイオ資源の消費を、製品の譲渡と連動させる場合に行われる」こと、【0078】には「各低減パラメータに対するバイオ資源の質量ならびにロールの数量及びバイオ資源の質量の合計をそれぞれ算出」することが記載されている。 したがって、本件発明1の第2算出部は、発明の詳細な説明に記載されている。 c 記憶部 記憶部について、本件明細書の発明の詳細な説明の【0053】には「一定期間の開始時において記憶装置24に保存されているクレジット残高244は、前記から繰り越された初期残高として扱うことができる」と記載されている(なお、「前記から繰り越された」は「前期から繰り越された」の誤記であると認められる。)。 したがって、本件発明1の記憶部は、発明の詳細な説明に記載されている。 d クレジット管理部 クレジット管理部について、本件明細書の発明の詳細な説明の【0053】には「初期残高とクレジット増加量とに基づいてクレジット残高244を更新」すること、【0068】には「初期残高及びクレジット増加量に加え、クレジット減少量にも基づいてクレジット残高244を更新する」こと、【0080】には「クレジット減少量が算出される度に、これに基づいてクレジット残高244を更新する」ことが記載されている。 したがって、本件発明1のクレジット管理部は、発明の詳細な説明に記載されている。 e 小括 以上によれば、本件発明1は、発明の詳細な説明に記載されたものである。 イ 本件発明2について (ア) 本件発明2 本件発明2は、上記第2の【請求項2】のとおりである。 (イ) 本件明細書の記載 本件明細書の発明の詳細な説明には、上述の記載に加え、以下の記載がある。 「【0096】 <6-1> 低減パラメータは、バイオマス度に限定されない。低減パラメータは、例えば再生原料の含有割合、生分解性材料の含有割合、及び前記プラスチック材料の製造に係る実質的な温室効果ガス排出削減量であり得る。再生原料は、プラスチック製の中間品や製品を1回以上リサイクルして得られる材料である。生分解性材料は、典型的には生分解性プラスチックであり、微生物の働きにより完全に消費され、最終的に二酸化炭素、水、メタン等の自然的副産物のみを生じる材料である。実質的な温室効果ガス排出削減量は、例えば生産にクリーンエネルギーを使用することにより削減された温室効果ガス(二酸化炭素、メタン、一酸化二窒素、フロン類等)の排出量や、カーボンニュートラルに基づいて削減されたと認証される温室効果ガスの排出量等である。」 (ウ) 判断 上記(イ)のとおり、本件発明2で特定される事項は、発明の詳細な説明の【0096】に記載されている。 したがって、本件発明2は、発明の詳細な説明に記載されたものである。 ウ 本件発明3~8について (ア) 本件発明3 本件発明3~8は、上記第2の【請求項3】~【請求項8】のとおりである。 (イ) 本件明細書の記載 本件明細書の発明の詳細な説明には、上述の記載に加え、以下の記載がある。 「【0039】 [生産情報DB] 本実施形態において、プラスチック製品は、主としてプラスチックフィルムである。本実施形態では、原料とするプラスチック材料の品番及び質量割合、層構成ならびに生産方法が同一のプラスチックフィルムは、フィルム名称によって特定される。さらに、原料とする各プラスチック材料について、(質量割合)×(比重)を算出し、これを合算することにより、プラスチックフィルムの比重が予め算出される。さらに、一のフィルム名称が付されたプラスチックフィルムについて、1または複数の寸法規格(厚み、幅、長さ)が予め定められる。1または複数の寸法規格には、寸法規格番号が付される。寸法規格番号を参照することにより、プラスチックフィルムの厚み、幅及び長さが特定される。」 (ウ) 判断 上記(イ)のとおり、本件発明3で特定される事項は、発明の詳細な説明の【0039】に記載されている。 また、当該【0039】に加え、本件発明4で特定される事項は、【0074】及び【0078】に、本件発明5で特定される事項は、【0060】及び【0066】に、本件発明6で特定される事項は、【0074】、【0076】及び【0078】に、本件発明7で特定される事項は、【0060】、【0064】及び【0066】に、本件発明8で特定される事項は、【0059】、【0060】、【0073】及び【0074】に記載されている。 したがって、本件発明3~8は、発明の詳細な説明に記載されたものである。 エ 本件発明9について (ア) 本件発明9 本件発明9は、上記第2の【請求項9】のとおりである。 (イ) 本件明細書の記載 本件明細書の発明の詳細な説明には、上述の記載に加え、以下の記載がある。 「【0084】 [ラベル出力動作] 本実施形態に係る管理システム1は、上述したクレジット管理機能の他、製品としてのプラスチックフィルムの管理を容易にするためのラベル出力機能をさらに有する。ここでいうラベルとは、プラスチックフィルムの製品情報を表示する物理的なラベルであり、例えばプラスチックフィルムのロールに貼付することが可能なシールラベルである。図11は、管理システム1のラベル出力動作の流れを示すフローチャートである。以下、説明する。 ・・・ 【0091】 ラベル生成部203は、表T5の空白のセルに、表T6のいずれかの低減パラメータの値を代入した表データを作成し、この表データのラベル基材への印刷を、当該低減パラメータに応じた印刷数だけ出力部4に行わせる(ステップS46)。ラベル生成部203は、全ての低減パラメータについて、同作業を行う。これにより、表T5の空白のセルが「0」で埋められた表が5枚のラベル基材に、「15」で埋められた表が15枚のラベル基材に、「50」で埋められた表が30枚のラベル基材に、それぞれ印刷される。これにより、プラスチックフィルムの生産ロット、低減パラメータ、厚み、幅、長さ及び比重が関連付けられた製品情報を表示する物理的なラベルが生成される。」 (ウ) 判断 上記(イ)のとおり、本件発明9で特定される事項は、発明の詳細な説明の【0084】及び【0091】に記載されている。 したがって、本件発明9は、発明の詳細な説明に記載されたものである。 オ 本件発明10及び11について (ア) 本件発明10及び11 本件発明10及び11は、上記第2の【請求項10】及び【請求項11】のとおりである。 (イ) 判断 本件発明10及び本件発明11は、それぞれ、「管理方法」の発明及び「管理プログラム」の発明であるところ、本件発明1の「管理システム」を方法の発明とプログラムの発明で特定したものであり、カテゴリーが相違するのみで実質的な相違はない。 そうすると、上記アの本件発明1についての判断と同様、本件発明10及び本件発明11も発明の詳細な説明に記載されたものである。 (2) 異議申立人らの主張について ア これに対し、異議申立人1は、本件発明1、10及び11の「パラメータ」は、「種類ごとの環境負荷を低減する度合いを表す」概念であると一応の定義はしているが、技術常識を加味したとしても、それだけでは理解できない言葉や概念であって、請求項2に記載されているように「バイオマス度、再生原料の含有割合、生分解性材料の含有割合、及び前記プラスチック材料の製造に係る実質的な温室効果ガス排出削減量の少なくとも1つ」と具体的に特定されなければ、発明の目的を達成するに当たり、当業者であっても想定する範囲を超えている旨主張する。 しかしながら、本件発明1、10及び11の「パラメータ」は、単に材料の限定のない「種類ごとの環境負荷を低減する度合いを表す」ものであると特定されているものではなく、「前記プラスチック材料の種類ごとの仕入れ質量と、前記種類ごとの環境負荷を低減する度合いを表すパラメータ」と記載されているように、「プラスチック材料の種類ごとの環境負荷を低減する度合いを表す」ものであることが特定されており、請求項2に記載されているような具体的な特定がなくても、当業者であればその意味を十分理解することができる。 そして、本件発明1、10及び11で特定された事項により、本件明細書の【0006】に記載された「マスバランス方式に従った環境負荷の低減量の管理を容易にするための管理システム、管理方法及び管理プログラムを提供する」という目的を達成することができるから、特許請求の範囲の記載が、当業者が想定する範囲を超えているとはいえない。 したがって、異議申立人1の上記主張は理由がない。 イ また、異議申立人2は、本件発明1、2、10及び11は、プラスチック材料から生産される製品として、プラスチックのみから構成される製品以外にも、プラスチックと他の材料から構成される製品をも含むものとなっているところ、本件明細書には、プラスチックと他の材料から構成される製品は記載も示唆もされていないし、その場合、どのようにして各材料の低減パラメータと製品の質量とからクレジットの減少量を適切に算出できるのかについても記載がない旨主張する。 しかしながら、種々の製品がプラスチック材料だけでなく、他の材料から構成されることは普通のことであって、本件明細書においても、製品がプラスチック材料と他の材料から構成されることを排除する記載はない。 そして、製品がプラスチック材料と他の材料から構成される場合、通常、製品を製造するメーカーなどでは、製品中のプラスチック材料の割合や他の材料の割合は把握しているから、本件発明1、2、10及び11において、クレジットの減少量を算出する際には、製品の質量とパラメータに加えて、これらの割合を考慮すればよいことは明らかである。 したがって、異議申立人2の上記主張は理由がない。 ウ さらに、異議申立人2は、本件発明1~11では、「譲渡に応じてクレジットの減少量を算出する」もしくは「生産に応じてクレジットの減少量を算出する」の一方のみを実行するのか、あるいは、両方を実行してもよいのかが明確でなく、生産及び譲渡の両方においてクレジット残高を更新する場合、もしくは、生産においてクレジット残高を更新する場合に、どのようにしてマスバランス方式に従った環境負荷の低減量の管理を容易にするのか不明確であって、課題を解決する手段を含んでいないから、発明の詳細な説明に記載されたものではない旨主張する。 しかしながら、例えば、本件発明1において、「製品の譲渡または生産のいずれかに応じて、前記クレジットの減少量を算出する第2算出部」と特定されているように、本件発明1~11では、「譲渡」又は「生産」のいずれかに応じてクレジットの減少量が算出するのであって、両方の場合にクレジット残高を更新することはない。 そして、「生産」に応じてクレジット残高を更新した場合、単にそのことを管理すればよく、異議申立人2が主張するように、どのようにしてマスバランス方式に従った環境負荷の低減量の管理を容易にするのか不明確であるということもない。 したがって、異議申立人2の上記主張は理由がない。 (3) 理由1-3及び理由2-3のまとめ 以上によれば、本件発明1~11は、発明の詳細な説明に記載したものであって、本件特許は、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえない。 したがって、異議申立人らの主張する理由1-3及び理由2-3は理由がない。 3 実施可能要件(理由1-2及び理由2-4)について (1) 判断 本件発明1~11は、上記2のとおり、本件明細書の発明の詳細な説明に記載されたものであるところ、本件明細書の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明1~11を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものであると認められる。 (2) 異議申立人らの主張について ア これに対し、異議申立人1は、プラスチック製品の事業活動は、材料の仕入れ、生産及び譲渡の3つのみに制限されるものでなく、かつ、それぞれ複雑に入り組んでおり、明確に区別できないところ、本件明細書中において、プラスチック製品の材料の仕入れの定義、生産及び譲渡の定義がそれぞれ明確になされておらず、【図5】の仕入れに応じた管理システムの動作、【図7】の生産に応じた管理システムの動作、【図9】の譲渡に応じた管理システムの動作のフローチャートに沿って容易に実施できない場合があることは明白であるから、本件発明1~11は当業者であっても容易に実施することができない旨主張する。 しかしながら、どのような活動をプラスチック材料の仕入れ、譲渡又は生産と定義するかは、本件発明1~11を実施するに際し、必要に応じて定義すればよいことであり、そのように定義づけた結果、上記3つの動作のフローチャートに沿って、本件発明1~11を容易に実施できることは明らかである。 したがって、異議申立人1の上記主張は理由がない。 イ さらに、異議申立人1は、プラスチック材料の仕入れや、製品の譲渡及び生産以外にも、経時劣化してしまうような材料、製造装置の内部に残留してしまう材料、不良品が製造される歩留まり等、環境負荷の低減量が大きく変更する因子があるのに、本件発明1~11は、それらの因子を考慮しておらず、正確に算出できないし、管理できないから、本件発明1~11は当業者であっても容易に実施することができない旨主張する。 しかしながら、異議申立人1の上記主張は、プラスチック材料の仕入れや、製品の譲渡及び生産以外の因子を考慮すれば、より正確な減少量等の算出ができるということであって、当業者が本件発明1~11を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものでないことの理由にはならない。 したがって、異議申立人1の上記主張は理由がない。 ウ また、異議申立人2は、上記2(2)イ及びウのサポート要件と同様の理由に基づいて、本件明細書は、本件発明1~11を当業者が実施可能な程度に記載したものではない旨主張する。 しかしながら、上記2(2)イ及びウで説示したとおり、異議申立人2の主張するサポート要件に理由はないから、同様に、実施可能要件についても理由がない。 したがって、異議申立人2の上記主張は理由がない。 (3) 理由1-2及び理由2-4のまとめ 以上によれば、本件明細書の発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1~11を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されたものであって、本件特許は、特許法36条4項1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえない。 したがって、異議申立人らの主張する理由1-2及び理由2-4は理由がない。 4 明確性(理由1-4及び理由2-2)について (1) 判断 本件発明1~11に係る本件特許の特許請求の範囲の記載は、上記第2のとおりであるところ、当該記載が、第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確であるとはいえない。 (2) 異議申立人らの主張について ア これに対し、異議申立人1は、「所定の期間」について、ユーザが便宜上定められる期間であれば、1日でも1週間でも1年でもよいことになるが、気温や湿度が変化する前提では、環境負荷の低減量の管理ができないから、かかる期間に関して何ら定義されていない本件発明1~11は不明確である旨主張する。 しかしながら、本件発明1~11を実施する場合、当業者であれば、環境負荷の低減量の管理ができる期間を「所定の期間」として適宜定めるのであって、「所定の期間」が具体的に定義されていないからといって、発明が不明確であるということにはならない。 したがって、異議申立人1の上記主張は理由がない。 イ さらに、異議申立人1は、本件発明1~11の「第1算出部」と「第2算出部」は明確に規定されておらず、本件明細書の【0052】や【0066】の記載を参考にして具体的に規定しなければ不明確である旨主張する。 しかしながら、本件発明1~11では、「第1算出部」は「仕入れ質量」と「パラメータ」に基づいて「クレジットの増加量」を算出すること、「第2算出部」は「製品の質量」と「パラメータ」に基づいて「クレジットの減少量」を算出することが特定されており、何ら不明確であるということはできない。 したがって、異議申立人1の上記主張は理由がない。 ウ なお、異議申立人1は、「プラスチック材料」が「複数の種類」ではなく、「1種類」であり、「1種類」の「プラスチック材料」が「バイオマス度が異なるプラスチック材料の混合物」であった場合、そのような混合物の内容は、原料販売会社等における秘密事項やノウハウに該当するため、環境負荷の低減量を数値化できないから、本件発明1~11は不明確である旨主張する。 しかしながら、本件発明1~11は、「プラスチック材料」について、環境負荷を低減する度合いを表す「パラメータ」を算出したり、分析したりするものではない。あくまでも「仕入れ質量」と「パラメータ」に基づいて、クレジットの増加量を算出するものであるから、「プラスチック材料」が「複数の種類」であっても「1種類」であっても、その「パラメータ」に基づいて算出できることを前提とするものである。 したがって、異議申立人1の上記主張は理由がない。 エ また、異議申立人2は、上記2(2)イ及びウのサポート要件と同様の理由に基づいて、本件発明1~11は不明確である旨主張する。 しかしながら、上記2(2)イ及びウで説示したとおり、異議申立人2の主張するサポート要件に理由はないから、同様に、明確性についても理由がない。 したがって、異議申立人2の上記主張は理由がない。 (3) 理由1-4及び理由2-2のまとめ 以上によれば、本件発明1~11に係る本件特許の特許請求の範囲の記載は、明確であって、本件特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるとはいえない。 したがって、異議申立人らの主張する理由1-4及び理由2-2は理由がない。 第6 むすび 以上の次第であるから、特許異議の申立ての理由及び異議申立人らの提出した証拠によっては、本件特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700162

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