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特許異議申立

2023-700508

衛生用品提供用ディスペンサ

審判番号
2023-700508
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2022-079481
登録番号
7174878
請求日
2023年05月17日
審決日
2023年08月18日
公報発行日
2023年09月29日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】オイテル株式会社
  • 【権利者代理人】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
  • 【異議申立人】平本 健二
審判長/審判官
  • 審判長 住田 秀弘
  • 審判官 西田 秀彦
  • 審判官 土屋 真理子
分類
P1651.121-Y (A47K) / P1651.537-Y (A47K) / P1651.536-Y (A47K)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項、特許法第29条第2項、特許法第36条第4項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7174878号発明「衛生用品提供用ディスペンサ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7174878号の請求項1~22に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7174878号(以下「本件特許」という。)の請求項1~22に係る特許についての出願は、2022年(令和4年)2月7日を国際出願日とする特願2022-510112号の一部を新たな特許出願として令和4年5月13日に出願され、同年11月9日にその特許権の設定登録がされ、同年同月17日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1~22に係る特許に対し、令和5年5月17日に特許異議申立人平本健二(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~22に特許に係る発明(以下、「本件発明1」等といい、全体の発明を「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~22に記載された事項により特定される、次のとおりのものである。請求項1~22についての以下の分説は、請求人によるものである。 「【請求項1】 A-1 衛生用品をユーザに提供するための衛生用品提供用ディスペンサであって、 A-2 筐体と、 A-3 前記筐体内に設けられ、前記衛生用品を収納する収納部と、 A-4 前記収納部に収納されている前記衛生用品を、前記筐体に設けられた排出口から前記筐体の外部へ排出するための排出部と、 A-5 前記筐体の外部から、前記収納部へのアクセスを阻止する蓋と、 A-6 前記ユーザから前記衛生用品の提供を求める要求があった場合、前記ユーザへ前記衛生用品が提供された直近の時刻から、第2の所定時間以上経過している場合と、所定期間中に前記ユーザに提供された前記衛生用品の数が、所定数に達していない場合とのうちの少なくとも何れかであれば、前記衛生用品を排出するように、前記排出部を動作させる制御部と、 A-7 前記収納部から排出される前記衛生用品を検出する排出センサとを備え、 A-8 前記制御部は、前記排出センサによって前記衛生用品の排出が検出されている間、前記排出部を動作させ続け、前記排出が検出されなくなると、前記排出部の動作を停止させる、衛生用品提供用ディスペンサ。 【請求項2】 B 前記制御部は、前記排出センサによって前記衛生用品の排出が検出されている継続期間が、第1の所定時間よりも長い場合、前記排出部の動作を停止させる、請求項1に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。 【請求項3】 C-1 前記排出部を動作させるための駆動力を提供する駆動部をさらに備え、 C-2 前記制御部は、前記排出部を動作させる場合、前記駆動部を動作させる、請求項1または2に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。 【請求項4】 D-1 衛生用品をユーザに提供するための衛生用品提供用ディスペンサであって、 D-2 筐体と、 D-3 前記筐体内に設けられ、前記衛生用品を収納する収納部と、 D-4 前記収納部に収納されている前記衛生用品を、前記筐体に設けられた排出口から前記筐体の外部へ排出するための排出部と、 D-5 前記筐体の外部から、前記収納部へのアクセスを阻止する蓋と、 D-6 前記ユーザから前記衛生用品の提供を求める要求があった場合、前記ユーザへ前記衛生用品が提供された直近の時刻から、第2の所定時間以上経過している場合と、所定期間中に前記ユーザに提供された前記衛生用品の数が、所定数に達していない場合とのうちの少なくとも何れかであれば、前記衛生用品を排出するように、前記排出部を動作させる制御部と、 D-7 前記排出部を動作させるための駆動力を提供する駆動部とを備え、 D-8 前記制御部は、前記排出部を動作させる場合、前記駆動部を動作させ、 D-9 前記駆動部は、モータであり、 D-10 前記排出部は、前記モータからの駆動力によって駆動し、前記衛生用品を搬送するベルトを含む、衛生用品提供用ディスペンサ。 【請求項5】 E-1 前記収納部は、複数の前記衛生用品を、積み重ねられた状態で収納し、 E-2 前記ベルトに、爪が設けられ、 E-3 前記ベルトの駆動時、前記収納部に収納された前記複数の衛生用品のうち、最下位の衛生用品が、前記爪によって押し出され、前記ベルトによって搬送される、請求項4に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。 【請求項6】 F 前記収納部に収納された前記複数の衛生用品のうち、最上位の衛生用品の上に載置される重りを備えた、請求項5に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。 【請求項7】 G 前記モータおよび前記ベルトは、前記収納部よりも下側に配置された、請求項4乃至6のうち何れか1項に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。 【請求項8】 H 前記蓋は、前記排出部の非動作時には、前記排出口を塞ぎ、前記排出部の動作時には、前記衛生用品の前記排出口からの排出を可能にする、請求項1乃至7のうち何れか1項に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。 【請求項9】 I 前記収納部に収納されている前記衛生用品の量を把握するための在庫センサを備えた、請求項1乃至8のうち何れか1項に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。 【請求項10】 J 画像を表示する表示部をさらに備えた、請求項1乃至9のうち何れか1項に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。 【請求項11】 K-1 衛生用品をユーザに提供するための衛生用品提供用ディスペンサであって、 K-2 筐体と、 K-3 前記筐体内に設けられ、前記衛生用品を収納する収納部と、 K-4 前記収納部に収納されている前記衛生用品を、前記筐体に設けられた排出口から前記筐体の外部へ排出するための排出部と、 K-5 前記筐体の外部から、前記収納部へのアクセスを阻止する蓋と、 K-6 前記ユーザから前記衛生用品の提供を求める要求があった場合、前記ユーザへ前記衛生用品が提供された直近の時刻から、第2の所定時間以上経過している場合と、所定期間中に前記ユーザに提供された前記衛生用品の数が、所定数に達していない場合とのうちの少なくとも何れかであれば、前記衛生用品を排出するように、前記排出部を動作させる制御部と、 K-7 画像を表示する表示部とを備え、 K-8 前記画像は、広告であり、 K-9 前記衛生用品は、広告料金を資金として購入される、衛生用品提供用ディスペンサ。 【請求項12】 L-1 人感センサをさらに備え、 L-2 前記人感センサによる感知に応じて、前記表示部から前記画像の表示を開始する、請求項10または請求項11に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。 【請求項13】 M-1 前記収納部に収納されている前記衛生用品の量を把握するための在庫センサをさらに備え、 M-2 前記在庫センサによる把握結果を、前記表示部から表示する、請求項10乃至12のうち何れか1項に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。 【請求項14】 N-1 衛生用品をユーザに提供するための衛生用品提供用ディスペンサであって、 N-2 筐体と、 N-3 前記筐体内に設けられ、前記衛生用品を収納する収納部と、 N-4 前記収納部に収納されている前記衛生用品を、前記筐体に設けられた排出口から前記筐体の外部へ排出するための排出部と、 N-5 前記筐体の外部から、前記収納部へのアクセスを阻止する蓋と、 N-6 前記ユーザから前記衛生用品の提供を求める要求があった場合、前記ユーザへ前記衛生用品が提供された直近の時刻から、第2の所定時間以上経過している場合と、所定期間中に前記ユーザに提供された前記衛生用品の数が、所定数に達していない場合とのうちの少なくとも何れかであれば、前記衛生用品を排出するように、前記排出部を動作させる制御部とを備え、 N-7 前記収納部および前記排出部ともに2つあり、 N-8 2つの前記収納部のうちの第1の収納部と、2つの前記排出部のうちの第1の排出部とで第1の系統を構成し、 N-9 2つの前記収納部のうちの第2の収納部と、2つの前記排出部のうちの第2の排出部とで第2の系統を構成し、 N-10 前記制御部は、前記排出部を動作させる場合、前記第1の排出部と、前記第2の排出部とを交互に動作させる、衛生用品提供用ディスペンサ。 【請求項15】 O-1 前記第1の収納部から排出される前記衛生用品を検出する第1の排出センサと、 O-2 前記第2の収納部から排出される前記衛生用品を検出する第2の排出センサとをさらに備えた、請求項14に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。 【請求項16】 P-1 前記制御部は、前記第1の排出センサによって前記衛生用品の排出が検出されている間、前記第1の排出部を動作させ続け、前記排出が検出されなくなると、前記第1の排出部の動作を停止させ、 P-2 前記第2の排出センサによって前記衛生用品の排出が検出されている間、前記第2の排出部を動作させ続け、この排出が検出されなくなると、前記第2の排出部の動作を停止させる、請求項15に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。 【請求項17】 Q-1 前記制御部は、前記第1の排出センサによって前記衛生用品の排出が検出されている継続期間が、第1の所定時間よりも長い場合、前記第1の排出部の動作を停止させ、代わりに前記第2の排出部を動作させ、 Q-2 前記第2の排出センサによって前記衛生用品の排出が検出されている継続期間が、前記第1の所定時間よりも長い場合、前記第2の排出部の動作を停止させ、代わりに前記第1の排出部を動作させる、請求項16に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。 【請求項18】 R 画像を表示する表示部をさらに備えた、請求項14乃至17のうち何れか1項に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。 【請求項19】 S 前記第1の排出部または前記第2の排出部の動作が停止された場合、停止された排出部が属する系統を前記表示部から表示する、請求項18に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。 【請求項20】 T 前記衛生用品が前記収納部から排出される場合、複数の前記衛生用品が同時に排出されないように、前記衛生用品が排出される排出口の高さを調節する調節部をさらに備えた、請求項1乃至19のうち何れか1項に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。 【請求項21】 U-1 前記調節部は、着脱可能であって、前記高さに応じて複数存在し、 U-2 前記複数の調節部から、前記収納部に収納されている衛生用品の厚さに基づいて、何れかが選択され、装着される、請求項20に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。 【請求項22】 V 前記衛生用品は、生理用ナプキンである、請求項1乃至21のうち何れか1項に記載の衛生用品提供用ディスペンサ。」 第3 特許異議申立理由の概要及び証拠 1 特許異議申立理由の概要 申立人は、特許異議申立書(以下「申立書」という。)において、概ね以下の申立て理由を主張するとともに、証拠方法として以下に示す各甲号証を提出している。 (1)本件特許の請求項1~22に係る発明は、甲第1号証~甲第12号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、その発明に係る特許は取り消されるべきものである。 (2) 本件特許の請求項1~3、8~10、12、16~22に係る発明は明確でなく、その発明に係る特許は、特許法第36条第6項第2項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消されるべきものである。 (3)本件特許の請求項1~3、8~10、12、16~22に係る発明は発明の詳細な説明に記載されたものではなく、その発明に係る特許は、特許法第36条第6項第1項に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、取り消されるべきものである。 (4)本件特許の明細書の発明の詳細な説明の記載が、特許請求の範囲の請求項1~3、8~10、12、16~22に係る発明を、当業者が実施可能な程度に明確かつ十分ではないので、特許法第36条第4項第1項に規定する要件を満たしておらず、その発明に係る特許は、取り消されるべきものである。 2 証拠 甲第1号証、甲第1号証の1~甲第1号証の6:「【泉大津市×オイテル(株)】生理用ナプキン無料提供システム「OiTr」の使い方」(URL:https://www.youtube.com/watch?v=sjQQ6pL7dNY) 甲第2号証:特開2008-176497号公報 甲第3号証:特開2018-70350号公報 甲第4号証:特開平9-274683号公報 甲第5号証:特開2003-296806号公報 甲第6号証:特開2019-106051号公報 甲第7号証、甲第7号証の1~甲第7号証の3:「龍谷大 生理用品が買えない学生を無料化で支援」(URL:https://www.youtube.com/watch?v=BECJu90gfrU) 甲第8号証、甲第8号証の1~甲第8号証の3:「オイテル株式会社」(URL:https://www.youtube.com/watch?v=mByZH7HYEzM) 甲第9号証:特開平5-81527号公報 甲第10号証:特開平10-241026号公報 甲第11号証:実公昭64-2218号公報 甲第12号証:特開平8-333034号公報 第4 各甲号証の記載 1 甲第1号証 (1)甲第1号証に開示された事項 本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に閲覧可能となった甲第1号証は、生理用ナプキン無料提供システム「OiTr」の使い方を説明する動画であり、当該動画には、以下の事項が 開示されていると認められる。時間は、動画開始からの経過時間を示す。甲第1号証の1~6は、甲第1号証の6箇所における静止画像である。)。 ア 「トイレが設けられたスペースに設置された、生理用ナプキン無料提供システムである「OiTr」のディスペンサにおいて、筐体を備えていること。」(0分00秒~0分01秒参照)、 甲第1号証の0分01秒の画像(甲第1号証の1) 「 [図:0001401707000001.jpg] 」 イ 「ナプキンの提供を受けるため、利用者がスマートホンをディスペンサに近づけると、ナプキンが提供されること。」(0分51秒~1分10秒参照) 甲第1号証の0分52秒の画像(甲第1号証の2) 「 [図:0001401707000002.jpg] 」 ウ 「筐体にナプキンを排出するための排出口が設けられ、排出口には蓋が配置されており、ナプキンの提供時において、排出口の蓋が開き、その奥からナプキンが排出されること。」(1分01秒~1分05秒参照) 甲第1号証の1分01秒の画像(甲第1号証の3) 「 [図:0001401707000003.jpg] 」 エ「利用者がナプキンに触れることなく、ナプキンがディスペンサ内部から徐々に排出され、ある程度排出されるとナプキンの動きが停止すること。」(1分00秒~1分05秒参照) 甲第1号証の1分05秒の画像(甲第1号証の4) 「 [図:0001401707000004.jpg] 」 オ 「使用上のルールその1として、ナプキンが25日間で7枚まで無料で受け取れること、及び、過去の使用枚数が利用者の端末装置に表示されること。」(1分12秒~1分16秒参照) 甲第1号証の1分13秒の画像(甲第1号証の5) 「 [図:0001401707000005.jpg] 」 カ 「使用上のルールその2として、ナプキンを1枚受け取った後は、2時間は利用できないこと。」(1分17秒~1分22秒参照) 甲第1号証の1分20秒の画像(甲第1号証の6) 「 [図:0001401707000006.jpg] 」 キ スマートホンの使用状況の画面に示される【使用ルール】の内容 「●枚数制限:25日間ごとに7枚使用可能(無料) 初回使用日~25日間で7枚使用できるようになります。以降、25日ごとにナプキンは7枚にリセットされます。 ●時間制限:2時間に1枚 1枚取り出した後、2時間経過すると再度1枚使用できるようになります。」(1分17秒参照) (2)甲第1号証に開示された発明 上記(1)によれば、甲第1号証には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が開示されていると認められる。 (甲1発明) 「トイレが設けられたスペースに設置された、生理用ナプキン無料提供システムである「OiTr」のディスペンサにおいて、 ナプキンの提供を受けるため、利用者がスマートホンをディスペンサに近づけると、ナプキンが提供されるものであり、 筐体を備え、 筐体にナプキンを排出するための排出口が設けられ、 排出口には蓋が配置されており、 ナプキンの提供時において、排出口の蓋が開き、その奥からナプキンが排出されるものであり、 利用者がナプキンに触れることなく、ナプキンがディスペンサ内部から徐々に排出され、ある程度排出されるとナプキンの動きが停止し、 【使用ルール】の内容が、 「●枚数制限:25日間ごとに7枚使用可能(無料) 初回使用日~25日間で7枚使用できるようになります。以降、25日ごとにナプキンは7枚にリセットされます。 ●時間制限:2時間に1枚 1枚取り出した後、2時間経過すると再度1枚使用できるようになります。」 である、ディスペンサ。」 2 甲第7号証 (1)甲第7号証に開示された事項 本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に閲覧可能となった甲第7号証は、「龍谷大 生理用品が買えない学生を無料化で支援」についての動画であり、当該動画には、以下の事項が開示されていると認められる。時間は、動画開始からの経過時間を示す。甲第7号証の1~3は、甲第7号証の3箇所における静止画像である。)。 ア 「関西の大学で生理用品が無料化されること。」(0分08秒~0分10秒参照)、 イ 「利用者のスマートホンをかざすと生理用ナプキンが無料で出てくること。」(0分38秒~0分40秒参照) ウ 「ディスペンサから提供されるナプキンが、ディスペンサに設けられた画面に表示される広告動画の広告費で賄われること。」(0分53秒~0分55秒参照) (2)甲7に開示の技術事項 上記(1)によれば、甲第7号証には、次の技術事項(以下「甲7に開示の技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 (甲7に開示の技術事項) 「利用者のスマートホンをかざすと生理用ナプキンが無料で出てくるものであり、ディスペンサから提供されるナプキンが、ディスペンサに設けられた画面に表示される広告動画の広告費で賄われること。」 3 甲第8号証 (1)甲第8号証に開示された事項 本願出願前に電気通信回線を通じて公衆に閲覧可能となった甲第8号証は、「オイテル株式会社」についての動画であり、当該動画には、以下の事項が開示されていると認められる。時間は、動画開始からの経過時間を示す。甲第8号証の1~3は、甲第8号証の3箇所における静止画像である。)。 ア 「着座した利用者すべてに広告配信が行われること。」(0分00秒~0分09秒参照) イ 「広告がセンサーにより流れ、ディスプレーにより表示されること。」(0分38秒~0分40秒参照) ウ 「ディスペンサが、広告提供後に利用者に対してナプキンを無料で提供すること。」(0分53秒~0分55秒参照) (2)甲8に開示の技術事項 上記(1)によれば、甲第8号証には、次の技術事項(以下「甲8に開示の技術事項」という。)が記載されているものと認められる。 (甲8に開示の技術事項) 「着座した利用者すべてに広告配信が行われ、広告がセンサーにより流れ、ディスプレーにより表示され、ディスペンサが、広告提供後に利用者に対してナプキンを無料で提供すること。」 第5 当審の判断 1 進歩性について (1)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)甲1発明の「生理用ナプキン」、「利用者」、「ディスペンサ」、「筐体」、「排出口」及び「蓋」は、本件発明1の「衛生用品」、「ユーザ」、「ディスペンサ」、「筐体」、「排出口」及び「蓋」に相当する。 (イ)甲1発明の「生理用ナプキン無料提供システムである「OiTr」のディスペンサ」は、「生理用ナプキン」を「利用者」に提供するためのものであるから、本件発明1の「衛生用品をユーザに提供するための衛生用品提供用ディスペンサ」に相当する。 (ウ)甲1発明の「筐体」は、「排出口」から「生理用ナプキン」を排出するから、「筐体内」に、「生理用ナプキン」を収納する収納部があることは明らかである。よって、甲1発明は、本件発明1の「筐体内に設けられ、前記衛生用品を収納する収納部」に相当する構成を備えているといえる。 (エ)甲1発明の「筐体」は、「排出口」が設けられており、また上記(ウ)をふまえれば収納部を有していることは明らかである。 また、「生理用ナプキン」は、「筐体」に設けられた「排出口」から、「利用者がナプキンに触れることなく、ナプキンがディスペンサ内部から徐々に排出され、ある程度排出されるとナプキンの動きが停止」することから、「ディスペンサ」が、「生理用ナプキン」を「筐体」に設けられた「排出口」から筐体の外側へ排出させる機構部を有していることは、明らかである。 そうすると、甲1発明は、本件発明1が備える「前記収納部に収納されている前記衛生用品を、前記筐体に設けられた排出口から前記筐体の外部へ排出するための排出部」に相当する構成を備えているといえる。 (オ)甲1発明の「ナプキンの提供を受けるため、利用者がスマートホンをディスペンサに近づける」ことは、本件発明1の「前記ユーザから」の「前記衛生用品の提供を求める要求」に相当する。 また、甲1発明は、「ナプキンの提供を受けるため、利用者がスマートホンをディスペンサに近づけると」、「排出口の蓋が開き、その奥からナプキンが排出され」ることから、甲1発明が、上記(エ)で説示した、「生理用ナプキン」を「筐体」に設けられた「排出口」から筐体の外側へ排出させる機構部を制御する制御部を備えていることは明らかである。 そうすると、甲1発明において、「ナプキンの提供を受けるため、利用者がスマートホンをディスペンサに近づけると」、「排出口の蓋が開き、その奥からナプキンが排出され」ることは、本件発明1において、「前記ユーザから前記衛生用品の提供を求める要求があった場合」、「前記衛生用品を排出するように、前記排出部を動作させる制御部」を備えていることに相当する。 (カ)甲1発明の「初回使用日~25日間で7枚使用できる」とは、初回使用日から25日経過するまでに、生理用ナプキンが8枚に達していない場合に、生理用ナプキンを排出させることができることと解される。 そうすると、甲1発明の「初回使用日~25日間で7枚使用できる」ことは、本件発明1の「所定期間中に前記ユーザに提供された前記衛生用品の数が、所定数に達していない場合」に、「前記衛生用品を排出する」ことに相当する。 甲1発明の「1枚取り出した後、2時間経過すると再度1枚使用できるようにな」ることは、本件発明1の「前記ユーザへ前記衛生用品が提供された直近の時刻から、第2の所定時間以上経過している場合」に「前記衛生用品を排出する」ことに相当する。 (キ)上記(オ)で説明したとおり、甲1発明は、「生理用ナプキン」を「筐体」に設けられた「排出口」から筐体の外側へ排出させる機構部を制御する制御部を備えていることが明らかであるから、甲1発明の「利用者がナプキンに触れることなく、ナプキンがディスペンサ内部から徐々に排出され、ある程度排出されるとナプキンの動きが停止」することと、本件発明1の「前記制御部は、前記排出センサによって前記衛生用品の排出が検出されている間、前記排出部を動作させ続け、前記排出が検出されなくなると、前記排出部の動作を停止させる」こととは、「前記制御部」は、「前記排出部の動作を停止させる」ことで共通する。 以上のことをふまえると、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、以下のとおりである。 <一致点> 「衛生用品をユーザに提供するための衛生用品提供用ディスペンサであって、 筐体と、 前記筐体内に設けられ、前記衛生用品を収納する収納部と、 前記収納部に収納されている前記衛生用品を、前記筐体に設けられた排出口から前記筐体の外部へ排出するための排出部と、 蓋と、 前記ユーザから前記衛生用品の提供を求める要求があった場合、所定期間中に前記ユーザに提供された前記衛生用品の数が、所定数に達していない場合に、前記衛生用品を排出し、前記ユーザへ前記衛生用品が提供された直近の時刻から、第2の所定時間以上経過している場合に、前記衛生用品を排出する、前記排出部を動作させる制御部と、を備え、 前記制御部は、前記排出部の動作を停止させる、衛生用品提供用ディスペンサ。」 <相違点1> 「蓋」について、本件発明1では、「前記筐体の外部から、前記収納部へのアクセスを阻止する」のに対して、甲1発明では、そのような特定がされていない点。 <相違点2> 「制御部」が「排出部を動作」させて「衛生用品を排出する」条件について、本件発明1では、「前記ユーザへ前記衛生用品が提供された直近の時刻から、第2の所定時間以上経過している場合」と、「所定期間中に前記ユーザに提供された前記衛生用品の数が、所定数に達していない場合」とのうちの「少なくとも何れか」であるのに対して、甲1発明では、「前記ユーザへ前記衛生用品が提供された直近の時刻から、第2の所定時間以上経過している場合」と、「所定期間中に前記ユーザに提供された前記衛生用品の数が、所定数に達していない場合」の両方の条件を満たすことであって、「少なくとも何れか」ではない点。 <相違点3> 本件発明1は、「前記収納部から排出される前記衛生用品を検出する排出センサ」を備え、「前記制御部は、前記排出センサによって前記衛生用品の排出が検出されている間、前記排出部を動作させ続け、前記排出が検出されなくなると、前記排出部の動作を停止させる」のに対して、甲1発明では、そのような特定がされていない点。 イ 判断 事案に鑑み、上記相違点2から検討する。 甲1発明は、「制御部」が「排出部を動作」させて「衛生用品を排出する」条件が、「前記ユーザへ前記衛生用品が提供された直近の時刻から、第2の所定時間以上経過している場合」と、「所定期間中に前記ユーザに提供された前記衛生用品の数が、所定数に達していない場合」の両方の条件を満たすことである。例えば、甲1発明のディスペンサは、1枚取り出した後、2時間経過して再度1枚使用することができるものの、25日間のうちに最大7枚までしか提供されないように制御されているものである。すなわち、所定の期間における取り出し枚数の限度があって、所定の期間において、1枚取り出してから2時間経過したというだけで、7枚という限度を超えて繰り返し取り出せるものではない。 これに対して、本件発明1は、「制御部」が「排出部を動作」させて「衛生用品を排出する」条件が、「前記ユーザへ前記衛生用品が提供された直近の時刻から、第2の所定時間以上経過している場合」と、「所定期間中に前記ユーザに提供された前記衛生用品の数が、所定数に達していない場合」のいずれかの条件を満たすことである。言い換えれば、本件発明1は、「所定期間中に前記ユーザに提供された衛生用品の数が、所定数に達し」てしまい後者の条件を満たしていない場合であっても、「ユーザへ前記衛生用品が提供された直近の時刻から、第2の所定時間以上経過している場合」であれば、「制御部」は「排出部を動作させ」て「衛生用品を排出する」ことになる。 上記のとおり、本件発明1と甲1発明とは、「排出部を動作」させて「衛生用品を排出する」条件の内容が異なっている。 そして、甲7に開示の技術事項及び甲8に開示の技術事項は、上記第4の2(2)及び3(2)のとおりであって、上記相違点2に係る本件発明1の構成は有しておらず、また甲第2号証~甲第6号証、甲第9号証~甲第12号証のいずれにおいても、相違点2に係る本件発明1の構成は、記載も示唆もされていない。 よって、甲1発明に、甲7に開示の技術事項、甲8に開示の技術事項、甲第2号証~甲第6号証、甲第9号証~甲第12号証に記載された技術事項を適用しても、相違点2に係る本件発明1の構成に想到することはできない。 ウ 申立人の主張 申立人は、甲1発明と本件特許発明とは、「A’-6 ナプキンが1枚提供されてから2時間が経過し、提供されたナプキンが25日間で7枚未満であれば、ナプキンを排出させる制御装置と」の点で一致すると述べる一方で、発明特定事項A-6については、相違点として認定していない。(申立書57頁1-26行) しかしながら、上記アで説明したとおり、発明特定事項A-6については、甲1発明との間で、上記の相違点2のとおり認定できるから、申立人の一致点及び相違点についての主張は採用できない。 エ 小括 したがって、他の相違点を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明、甲7に開示の技術事項、甲8に開示の技術事項、及び、甲第2号証~甲第6号証、甲第9号証~甲第12号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明4、11及び14について 本件発明4、11及び14は、それぞれ、本件発明1の発明特定事項A-6と同様の発明特定事項D-6、発明特定事項K-6及び発明特定事項N-6を有しているから、甲1発明と対比すると、少なくとも、上記相違点2と同様の相違点をそれぞれ有することになる。 そして、上記相違点2については、上記(1)イで説明したとおりであることから、同様に、甲1発明に、甲7に開示の技術事項、甲8に開示の技術事項、甲第2号証~甲第6号証、甲第9号証~甲第12号証に記載された技術事項を適用しても、上記相違点2と同様の相違点に係る本件発明4、11及び14の、それぞれの構成に想到することはできない。 したがって、本件発明4、11及び14と甲1発明と間に生じる上記相違点2と同様の相違点とは異なる相違点を検討するまでもなく、本件発明4、11及び14は、甲1発明、甲7に開示の技術事項、甲8に開示の技術事項、及び、甲第2号証~甲第6号証、甲第9号証~甲第12号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (3)本件発明2、3、5~10、12、13、15~22について 本件発明2、3、5~10、12、13、15~22は、本件発明1、4、11及び14のいずれかの構成を全て含み、さらに限定を加えた発明であるから、上記(1)及び(2)で検討した理由と同じ理由により、本件発明2、3、5~10、12、13、15~22は、甲1発明、甲7に開示の技術事項、甲8に開示の技術事項、及び、甲第2号証~甲第6号証、甲第9号証~甲第12号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)まとめ 以上のとおりであるから、本件発明1~22は、甲1発明、甲7に開示の技術事項、甲8に開示の技術事項、及び、甲第2号証~甲第6号証、甲第9号証~甲第12号証に記載された技術事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 明確性要件について (1)請求項1及びこれを引用する請求項2、3、8~10、12、20~22について 申立人は、請求項1~3、8~10、12、20~22に係る発明の「発明特定事項A-7」には、排出センサの設置位置について限定がなされておらず、また、「発明特定事項A-8」では、制御部は、衛生用品を検出してから衛生用品の検出が行われなくなるまで排出部を動作させる必要があるが、かかる点まで限定が行われておらず、どのような制御により適切に衛生用品を排出できるのかが明確でない。また、「発明特定事項A-7およびA-8」では、衛生用品を検出するセンサを用いて、どのように排出部の動作を検出しているのかが明確ではない結果、どのような処理が行われているかが明確ではない旨主張する。(申立書75頁下から9行~76頁13行) 上記「発明特定事項A-7」及び「発明特定事項A-8」の記載について検討すると、「発明特定事項A-7」は、収納部から排出される衛生用品を検出する排出センサをディスペンサが備えていることを示していると理解でき、また、「発明特定事項A-8」は、ディスペンサに備えられた制御部が、排出センサによって衛生用品の排出が検出されている間、排出部を動作させ続け、排出が検出されなくなると、排出部の動作を停止させることと理解できるので、これらの記載は明確である。なお、「発明特定事項A-7」に記載のとおり、「排出センサ」は「前記収納部から排出される前記衛生用品を検出する」ものであることをふまえると、「発明特定事項A-7」の後に記載された「発明特定事項A-8」の「衛生用品の排出が検出され」ることとは、例えば、排出される衛生用品を検出することと理解でき、また、「排出が検出されなくなる」とは、例えば、排出される衛生用品を検出しなくなることと理解できる。 よって、「発明特定事項A-7」及び「発明特定事項A-8」の記載により、衛生用品を検出するセンサを用いた制御部の処理内容は明確である。 なお、上記とおり理解した内容は、本件明細書の段落【0143】の「排出口13の下方には、排出センサ25が設けられており、図7に示すように、排出時に排出方向Eへ移動する生理用品S1が上を覆うことによって、排出センサ25はオンとなり・・・」との記載、段落【0145】の「排出センサ25の上はもはや生理用品S1によって覆われなくなるので、排出センサ25はオフとなり検知信号Kの出力を終了する。」との記載、さらに段落【0146】「 制御プログラム51は、排出センサ25からの検知信号Kの終了に応じて、生理用品S1の排出が正常に終了したと認識し、駆動しているステッピングモータ32を停止させ、排出ローラ30の回転を終了させる・・・」との記載の内容とも整合する。 申立人は、「発明特定事項A-7」には、排出センサの設置位置の限定がなされていない旨主張するが、当該限定がされなくても、衛生用品を検出することができることは明らかであり、また、制御部について、どのような処理が行われているかが明確でない旨主張するが、上記において説明したとおりであって、その処理内容は明確である。 したがって、請求項1~3、8~10、12、20~22の記載は明確である。 (2)請求項16及びこれを引用する請求項17~22の記載について 請求項16には、「発明特定事項P-1」及び「発明特定事項P-2」が記載されており、請求項16が引用する請求項15には、「発明特定事項O-1」及び「発明特定事項O-2」が記載されている。「発明特定事項O-1」及び「発明特定事項O-2」は、上述した「発明特定事項A-7」に対応し、「発明特定事項P-1」及び「発明特定事項P-2」は、上述した「発明特定事項A-8」に対応する。「発明特定事項P-1」及び「発明特定事項P-2」については、上述のとおり、どのような処理が行われているかが明確でないから、請求項16及びこれを引用する請求項17~22の記載は明確でない。(申立書76頁14~27行) しかしながら、上記(1)で説明したとおり、「発明特定事項A-7」及び「発明特定事項A-8」は明確であることと同様に、「発明特定事項P-1」及び「発明特定事項P-2」も明確であるから、請求項16及びこれを引用する請求項17~22の記載は明確である。 (3)明確性要件についてのまとめ 以上のとおりであるから、本件特許の請求項1~3、8~10、12、16~22の記載は、明確性要件を満たしている。 3 サポート要件について 申立人は、本件特許の請求項1~3、8~10、12、16~22の記載は、「排出センサの設置位置、排出センサの検知対象、および排出センサが何を検知してから何を検知しなくなるまで排出部を動作させるのかが必ずしも明確でないため、任意の位置に排出センサを設置し、任意の検知内容に応じて排出部を動作させるような形態をも含むものである。」、「一方、本件明細書には、排出センサとして、衛生用品を検知するセンサを、蓋下部に設置するような実施形態が開示されているものの、他の位置に同様に排出センサを配置した際に、排出センサの検知対象、および排出センサが何を検知してから何を検知しなくなるまで排出部を動作させればよいかについては、記載されていない」ことから、「現請求項1~3、8~10、12、16~22は、明細書の記載された範囲を超えた態様を含むこととなり、本件の明細書に記載されたものではない」旨主張している。(申立書76頁下から5行~77頁14行) しかしながら、上記2(1)及び(2)で説明したとおり、本件特許の請求項1~3、8~10、12、16~22の記載において、排出センサの検知対象が衛生用品であることや、ディスペンサに備えられた制御部が、排出センサによって衛生用品の排出が検出されている間、排出部を動作させ続け、排出が検出されなくなると、排出部の動作を停止させることが明確に記載されているとともに、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の段落【0143】、【0145】及び【0146】には、本件特許の請求項1~3、8~10、12、16~22の上記記載に対応する構成が記載されている。なお、排出センサの設置位置が限定がされなくても、衛生用品を検出することができることは上記2(1)で説明したとおりである。 以上のとおりであるから、本件特許の請求項1~3、8~10、12、16~22の記載は、サポート要件を満たしている。 4 実施可能要件について 申立人は、本件特許の請求項1~3、8~10、12、16~22については、「排出センサの設置位置、排出センサの検知対象、および排出センサが何を検知してから何を検知しなくなるまで排出部を動作させるのかが必ずしも明確でないため、任意の位置に排出センサを設置し、任意の検知内容に応じて排出部を動作させるような形態をも含むものである。」、「一方、本件明細書には、排出センサとして、衛生用品を検知するセンサを、蓋下部に設置するような実施形態が開示されているものの、他の位置に同様に排出センサを配置した際に、排出センサの検知対象、および排出センサが何を検知してから何を検知しなくなるまで排出部を動作させればよいかについては、記載されていない。」、「この結果、本件の明細書は、請求項1~3、8~10、12、16~22に記載された発明を、当業者が実施可能な程度に記載したものではない」旨主張している。(申立書77頁15~31行) しかしながら、上記2(1)及び(2)で説明したとおり、本件特許の請求項1~3、8~10、12、16~22の記載において、排出センサの検知対象が衛生用品であることや、ディスペンサに備えられた制御部が、排出センサによって衛生用品の排出が検出されている間、排出部を動作させ続け、排出が検出されなくなると、排出部の動作を停止させることが明確に記載されているとともに、本件特許の明細書の発明の詳細な説明の段落【0143】、【0145】及び【0146】には、本件特許の請求項1~3、8~10、12、16~22の上記記載に対応する構成が記載されている。なお、排出センサの設置位置が限定がされなくても、衛生用品を検出することができることは上記2(1)で説明したとおりである。 そして、発明の詳細な説明の上記記載をみれば、本件特許の請求項1~3、8~10、12、16~22に係る発明を実施できることは明らかである。 以上のとおりであるから、本件の明細書の発明の詳細な説明の記載は、実施可能要件を満たしている。 第6 むすび したがって、特許異議申立ての理由及び証拠によっては請求項1~22に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~22に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-700508

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