特許異議申立
2023-700679
野菜炒めからの離水防止方法
- 審判番号
- 2023-700679
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-155902
- 登録番号
- 7202103
- 請求日
- 2023年06月29日
- 審決日
- 2023年12月22日
- 公報発行日
- 2024年01月26日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】三菱商事ライフサイエンス株式会社
- 【異議申立人】丸野 悟史
- 審判長/審判官
- 審判長 池渕 立
- 審判官 山口 大志
- 審判官 佐藤 陽一
- 分類
- P1651.121-Y (A23L) / P1651.537-Y (A23L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7202103号発明「野菜炒めからの離水防止方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7202103号の請求項1ないし2に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許7202103号(以下、「本件特許」という。)の請求項1~2に係る特許についての出願は、平成30年 8月23日を出願日とする特願2018-155902号(以下、「本願」という。)であって、令和 4年12月27日にその特許権の設定登録がなされ、令和 5年 1月11日に特許掲載公報が発行されたものであり、その後、同年 6月29日に、その請求項1~2(全請求項)に係る特許について、特許異議申立人である丸野 悟史(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがされたものである。
第2 本件特許発明
本件特許の請求項1~2に係る発明(以下、これらを「本件特許発明1」、「本件特許発明2」という。また、これらをまとめて「本件特許発明」という。)は、本件特許の願書に添付された特許請求の範囲の請求項1~2に記載された、次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
キサンタンガムおよびカラギーナンを含有することを特徴とする、野菜炒めの離水防止剤。
【請求項2】
野菜炒めにキサンタンガムおよびカラギーナンを配合することによる、野菜炒めからの離水防止方法。」
第3 特許異議申立理由の概要
申立人は、次の甲第1号証~甲第3号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲3」という。)を提出し、以下の1~3の特許異議申立理由を主張している。
(証拠方法)
甲1:特開2013-201931号公報
甲2:特開平11-196764号公報
甲3:特開2013-252108号公報
1 申立理由1(進歩性)
本件特許発明1~2は、甲1に記載された発明及び甲2~3に記載された事項に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許発明1~2に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
2 申立理由2(進歩性)
本件特許発明1~2は、甲2に記載された発明及び甲1、3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許発明1~2に係る特許は、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
3 申立理由3(サポート要件)
本件特許の請求項1~2においては、キサンタンガム及びカラギーナンの野菜炒めの具材に対する添加量や、配合比は何ら特定されておらず、実施例1、2に示されたもの以外の添加量でキサンタンガム及びカラギーナンを添加した場合に、「野菜炒めからの離水防止」という課題を解決できるとはただちにいえない。
よって、本件特許の請求項1~2に記載された範囲まで、発明の詳細な説明に開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえず、特許法第36条第6項第1号に適合しないものであるから、同請求項に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである。
第4 当審の判断
上記申立理由1~3はいずれも採用できない。その理由は以下のとおりである。
1 申立理由1、2(進歩性)について
(1)甲1の記載事項、及び甲1に記載された発明
ア 甲1の記載事項
甲1には、「調味料組成物」(発明の名称)に関して、次の記載がある。なお、下線は当審が付与し、「・・・」は記載の省略を表す。以下同様。
(ア)「【請求項1】
キサンタンガム及びローカストビーンガムを含有し、粉末及び/又は顆粒である、調味料組成物。」
(イ)「【技術分野】
【0001】
本発明はとろみ及び/又はぬめりをつけることなく食品のドリップを抑制することができる、調味料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
炒め物等の加熱調理においては、野菜類、肉類、魚介類等の食材からドリップ(離水)が生じる問題がある。このようなドリップは、調理した食品の外観や食感を損なうため、ドリップを抑制する方法の開発が望まれる。・・・」
(ウ)「【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、炒め物等の加熱調理においてとろみ及び/又はぬめりをつけることなく食材(食品)からのドリップを抑制することができる調味料組成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討した結果、キサンタンガム及びローカストビーンガムを含有し、粉末及び/又は顆粒である、調味料組成物が、上記課題を解決できることを見いだし、さらに研究を進めて本発明を完成するに至った。」
(エ)「【0011】
本発明の調味料組成物において、キサンタンガムの使用量は、食品100重量部に対して、好ましくは0.0025~0.25重量部、より好ましくは0.0125~0.05重量部である。
本発明の調味料組成物において、ローカストビーンガムの使用量は、食品100重量部に対して、好ましくは、0.0006~0.0625重量部、より好ましくは0.003~0.0125重量部である。
本発明の調味料組成物において、キサンタンガム及びローカストビーンガムの使用量は、好ましくは、食品100重量部に対して、キサンタンガムが0.0025~0.25重量部であり、及びローカストビーンガムが0.0006~0.0625重量部である。より好ましくは、食品100重量部に対して、キサンタンガムが0.0125~0.05重量部であり、及びローカストビーンガムが0.003~0.0125重量部である。
・・・
【0014】
本発明の調味料組成物は、調味料を含有するので、とろみ及び/又はぬめりをつけることなく食品のドリップを抑制すると共に、食品の調味を同時に行えるため便利である。
本発明の調味料組成物において、「調味料」は、特に限定されず、公知の調味料を用いることができる。
調味料の形状は、本発明の効果が高いことから、粉末、顆粒が好ましい。
本発明において用いられる調味料としては、例えば、基礎調味料(例えば、砂糖、塩)、天然調味料(例えば、アミノ酸系天然調味料)、うまみ調味料、エキス(例えば、畜肉エキス、魚介エキス、野菜エキス)が挙げられる。本発明においては、野菜用(特に野菜炒め用)の調味料が好ましく用いられる。
本発明において、調味料は、市販品を用いることもでき、例えば、丸鶏がらスープ(商品名)(味の素株式会社製)が挙げられる。
【0015】
本発明の調味料組成物において、調味料の含有量は、通常、99.84~85.71重量%であり、好ましくは、99.17~96.77重量%である。」
(オ)「【0018】
本発明の調味料組成物は、調理時(例えば、炒め物等の加熱調理時)に、食品に添加し、混合して使用することができる。添加、混合方法は特に限定されず、通常の調理における一般的な調味料の使用方法に準じて、添加、混合すればよい。
炒め物等の加熱調理においては、本発明の調味料組成物の添加時期は、特に限定はなく、食品(野菜等)の加熱前、加熱中、加熱後のいずれに添加してもよく、いずれの場合も、とろみ及び/又はぬめりをつけることなく食材からのドリップを抑制することができる。
本発明の調味料組成物は、加熱しない食品及び加熱後に冷ました食品(例えば、野菜の和え物)のドリップ抑制のために使用することもできる。例えば、野菜の和え物の場合、ゆでた野菜を常温まで冷ました後、本発明の調味料組成物を添加すればよい。
【実施例】
【0019】
以下に、実施例、比較例及び試験例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例、比較例及び試験例によって限定されるものではない。
【0020】
実施例及び比較例で使用した原料は以下の通りである。
調味料:丸鶏がらスープ(商品名)、味の素株式会社製
キサンタンガム:キサンタンガムST(商品名)、丸善薬品産業株式会社製
ローカストビーンガム:ビストップD-171(商品名)、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製
・・・
【0021】
実施例1~8、比較例1
表1に記載の配合比で、各成分をビニール袋に入れて混合し、実施例1~8の調味料組成物を調製した。調味料のみからなるものを、比較例1とした。
【0022】
【表1】
[図:0001405830000001.jpg]
【0023】
試験例1
実施例1~8及び比較例1で調製した調味料組成物を用いて、野菜を加熱調理したときのとろみ及び/又はぬめりの程度、及びドリップ量を下記の評価方法に従って評価した。結果を表2に示す。
【0024】
[評価方法]
1.調理条件:
<野菜>
カット野菜400g(もやし240g、キャベツ100g、たまねぎ30g、人参30g)、洗浄なし
<調味料組成物>
調味料組成物の使用量は、組成物中に含まれる調味料の量が7.5gとなる量を使用する。例えば、実施例1で調製した調味料組成物の場合、カット野菜400gに対して、調味料組成物7.5125g(調味料7.5g、キサンタンガム0.01g、ローカストビーンガム0.0025gを含む)を使用する。
<炒め条件>
テフロン(登録商標)フライパンにサラダ油大さじ1を入れて点火し火力を中火に調整する。点火から30秒後に野菜を該フライパンに投入する。野菜投入から45秒後(点火から1分15秒後)に菜箸で野菜の攪拌を開始する。攪拌開始から1分45秒後(点火から3分後)に消火し、調味料組成物を投入し、さらに1分間攪拌後、アルミトレー(皿)に盛り付ける。
2.官能評価:
(1)とろみ及び/又はぬめりの程度は外観評価及び喫食評価で、(2)ドリップ量は外観評価で、下記評価尺度に従って、評価する。なお、とろみ及び/又はぬめりの程度が弱いほど良好であり、ドロップ量が少ないほど良好である。
<評価尺度>
(1)とろみ及び/又はぬめりの程度
++:弱い
+:やや弱い
±:ふつう
-:やや強い
--:強い
(2)ドリップ量
++:少ない
+:やや少ない
±:ふつう
-:やや多い
--:多い
【0025】
【表2】
[図:0001405830000002.jpg]
【0026】
比較例1に比べ、実施例1~8ではドリップ抑制効果が認められた。特に実施例3~8ではドリップ抑制効果が高く、実施例3~6はドリップが少なく、とろみ及び/又はぬめりも弱く良好であった。なかでも特に実施例5が良好であった。実施例1では、とろみ及び/又はぬめりは弱いものの、ドリップがやや多かった。実施例8では、ドリップは少ないものの、とろみ及び/又はぬめりがやや強かった。」
イ 甲1に記載された発明
上記ア(ア)~(オ)に摘記した甲1の記載事項を総合勘案し、特に、【0024】の記載と【0020】、【0022】の実施例3に着目すると、甲1には調味料組成物及び野菜の加熱調理方法に係る次の発明が記載されていると認められる。
「調味料の丸鶏がらスープ7.5g、キサンタンガム0.05g、及びローカストビーンガム0.0125gからなる、調味料組成物。」(以下、「甲1発明」という。)
「フライパンにサラダ油大さじ1を入れて点火し火力を中火に調整し、点火から30秒後に野菜を該フライパンに投入し、野菜投入から45秒後(点火から1分15秒後)に菜箸で野菜の攪拌を開始し、攪拌開始から1分45秒後(点火から3分後)に消火し、調味料の丸鶏がらスープ7.5g、キサンタンガム0.05g、及びローカストビーンガム0.0125gからなる調味料組成物を投入し、さらに1分間攪拌する、野菜の加熱調理方法。」(以下、「甲1方法発明」という。)
(2)甲2の記載事項、及び甲2に記載された発明
ア 甲2の記載事項
甲2には、「和え物用組成物」(発明の名称)に関して、次の記載がある。
(ア)「【請求項1】 下記の成分:
a)酢酸ナトリウム、
b)グリシン、
c)キサンタンガム、並びに
d)グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、トラガントガム、アラビアガム、及びカラギーナンからなる群より選ばれた一種以上の物質、を含有することを特徴とする、茹で野菜からなる和え物用組成物。」
(イ)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、茹で野菜からなる和え物用組成物、及び該組成物を用いた茹で野菜からなる和え物の製造方法に関する。」
(ウ)「【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、和え物の離水及び腐敗を十分に防止することができる組成物、及び該組成物を用いた和え物の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究した結果、酢酸ナトリウム、グリシン、キサンタンガム、並びにグアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、トラガントガム、アラビアガム及びカラギーナンからなる群より選ばれた1種以上の物質を含有する組成物を添加して茹で野菜からなる和え物を製造することにより、茹で野菜からなる和え物の食味を維持しつつ、自然なつやを出すことができるとともに、茹で野菜からなる和え物の離水及び腐敗を防止することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。」
(エ)「【0010】本発明において、「茹で野菜からなる和え物」とは、茹で野菜と調味料(食酢又は食酢を原材料としたものを除く)とからなる惣菜をいう。このようなものとして従来から知られている茹で野菜からなる和え物としては、例えば、胡麻和え、味噌和え、白あえ等が挙げられる。茹で野菜は、茹でた野菜である限り特に限定されず、公知のいかなる茹で野菜であってもよい。このような茹で野菜としては、例えば、ほうれん草、菜の花、コマツナ、ヌタ、ワケギ等の茹でたものが挙げられる。」
(オ)「【0012】従って、本発明の組成物を添加して茹で野菜からなる和え物を製造することにより、茹で野菜からなる和え物の食味を維持しつつ、茹で野菜からなる和え物に自然なつやを出すことができるとともに、茹で野菜からなる和え物の離水及び腐敗を防止することができる。本発明の組成物の茹で野菜からなる和え物に自然なつやを出す効果は、本発明の組成物の成分のうち、キサンタンガム、並びにグアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、トラガントガム、アラビアガム、及びカラギーナンからなる群より選ばれた一種以上の物質の二成分によって奏される効果である。
【0013】上記二成分は、ともにつや出し効果を有するが、キサンタンガムのみでは、つやが強くギラギラの光沢が出るとともに増粘作用により粘りが出るため、人工的な不自然さを感じさせる光沢のつやとなる一方、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、トラガントガム、アラビアガム、及びカラギーナンからなる群より選ばれた一種以上の物質のみでは、つやが弱すぎることとなる。従って、本発明の組成物において、上記二成分はともに必須であり、上記二成分を組み合わせることにより、初めて茹で野菜からなる和え物に自然なつやを出すことができる。」
(カ)「【0015】また、本発明の組成物の茹で野菜からなる和え物の離水を防止する効果は、本発明の組成物の成分のうち、キサンタンガム、並びにグアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、トラガントガム、アラビアガム、及びカラギーナンからなる群より選ばれた一種以上の物質の二成分によって奏される効果である。本発明の組成物を添加して茹で野菜からなる和え物を製造する際、茹で野菜と調味料と本発明の組成物とを和える順序は、限定されるものではないが、たとえば、茹で野菜と調味料とを和えた後、本発明の組成物を混和してもよいし、茹で野菜と本発明の組成物とを和えた後、調味料を混和してもよい。また、調味料と本発明の組成物とを混合した後、この混合物を茹で野菜と和えてもよい。」
(キ)「【0019】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
【0020】〔実施例1〕ほうれん草を水洗いし水切りした後、軸を取り除き、沸騰水中で1分間茹で、急冷した。茹でほうれん草を茹でる前の重量の75重量%まで脱水した。そして、脱水した茹でほうれん草90部と以下のガム類とを和えた後、これに市販の粉末ごま和えの素(粒ごま、砂糖、食塩、粉末醤油、及びアミノ酸からなる粉末和え物用調味料、中埜酢店製)10部を和えて、茹で野菜からなる和え物を製造した。
【0021】ガム類は、キサンタンガムと、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、トラガントガム、アラビアガム又はカラギーナンのいずれか1つとを組み合わせて混和した。各ガム類の混和量は、茹で野菜からなる和え物の重量に対して、キサンタンガムが0、0.02、0.15、0.30又は0.45重量%、グアーガムが0、0.01、0.10、0.15又は0.20重量%、ローカストビーンガム、タマリンドガム、トラガントガム、アラビアガム及びカラギーナンが0.10重量%とした。各ガム類の組み合わせごとに、茹で野菜からなる和え物のつや及び離水を調べた。つやは、目視による官能検査によって調べた。その結果を以下の表1に示す。
【0022】
【表1】
[図:0001405830000003.jpg]
【0023】表1中、「+」は自然なつやを意味し、「±」はつやがないか又は弱いことを意味し、「-」は不自然に強い光沢を意味する。また、表1中、「○」は離水がないことを意味し、「×」は離水があることを意味し、「※」は粘りのある状態を意味する。表1に示すように、キサンタンガムのみを0.02~0.30重量%混和した場合には、離水を防止することはできたが、つやがないか又は弱かった。また、キサンタンガムのみを0.30重量%を超えて混和した場合には、離水を防止することはできたが、不自然に強い光沢を生じた。
【0024】従って、キサンタンガム単独では、離水を防止ししつつ自然なつやを出すことは困難であることが判明した。一方、表1に示すように、キサンタンガムと、グアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、トラガントガム、アラビアガム又はカラギーナンのいずれか1つとを組み合わせて混和した場合には、離水を防止ししつつ自然なつやを出すことができた。すなわち、キサンタンガム0.02~0.3重量%とグアーガム0.01~0.15重量%とを組み合わせて混和した場合、キサンタンガム0.02~0.3重量%とローカストビーンガム、タマリンドガム、トラガントガム、アラビアガム又はカラギーナンのいずれか1つ0.10重量%とを組み合わせて混和した場合には、離水を防止ししつつ自然なつやを出すことができた。
【0025】従って、茹で野菜からなる和え物中に、キサンタンガムが0.02~0.3重量%、かつグアーガム、ローカストビーンガム、タマリンドガム、トラガントガム、アラビアガム、及びカラギーナンからなる群より選ばれた一種以上の物質が0.01~0.15重量%含有されるように混和するのが好ましいことが判明した。」
イ 甲2に記載された発明
上記ア(ア)~(キ)に摘記した甲2の記載事項を総合勘案し、表1の「キサンタンガム0.02重量%」かつ「カラギーナン0.10重量%」の実施例に着目すると、甲2には和え物用組成物及び和え物の製造方法に係る次の発明が記載されていると認められる。
「キサンタンガム、カラギーナンからなる、和え物用組成物。」(以下、「甲2発明」という。)
「ほうれん草を水洗いし水切りした後、軸を取り除き、沸騰水中で1分間茹で、急冷し、茹でほうれん草を茹でる前の重量の75重量%まで脱水し、脱水した茹でほうれん草90部と、茹で野菜からなる和え物の重量に対してキサンタンガム0.02重量%、カラギーナン0.10重量%とを和えた後、これに粉末ごま和えの素10部を和える、茹で野菜からなる和え物の製造方法。」(以下、「甲2方法発明」という。)
(3)甲3の記載事項
甲3には、「ドリップ防止剤及びこれを含有する惣菜」(発明の名称)に関して、次の記載がある。
ア 「【請求項1】
キサンタンガムと、単糖類、二糖類、三糖類、DE(Dextrose Equivalent)30以上のデキストリン、糖アルコール及び塩類からなる群より選択される少なくとも1種類とを含有することを特徴とするドリップ防止剤。」
イ 「【0002】
野菜などの高含水食品を加熱処理などして調理するとき、細胞壁や細胞膜が壊されたり、調味料によって細胞内外の浸透圧の違いが生じたりすることで、細胞内の水が細胞外に移動してドリップとして染み出てしまうという欠点がある。高含水食品を調理後すぐに食する場合には、調理により出ているドリップを切って提供することができる。しかしながら、近年増加している、弁当、サラダや惣菜などの調理食品を加工して流通させるテイクアウトや家庭に持ち帰って食する形態、またレストランや学校、病院、老人施設、航空機内での食事をまとめて調理するセントラルキッチン化においては、調理後の配送や保管の時間経過により、ドリップが生じて調理の食味や見栄えを悪くして商品価値が下がってしまう。」
ウ 「【0020】
本発明のドリップ防止剤は、上述したキサンタンガムと分散剤とを予め混合することで調整することができる。ドリップ防止剤の形態としては、溶液状又は粉末状を挙げることができる。ドリップ防止剤が溶液状である場合、キサンタンガムと分散剤の粉末を予め混合して分散させ、水などの溶媒に溶解させることで調製することができる。この場合、溶媒の温度は、例えば4~70℃であることが好ましく、10~50℃であることがさらに好ましい。また、ドリップ防止剤が粉末状である場合、キサンタンガムと分散剤の粉末を混合することで調製することができる。
【0021】
ドリップ防止剤は、植物又は動物細胞を含む食品に対して幅広く使用することができるが、特に含水量の多い惣菜に対して好ましく使用することができる。このような惣菜としては、例えばほうれん草のお浸し、切り干し大根の煮物、卯の花、鯖の味噌煮、ひじきの煮物、白和え、筑前煮、高野豆腐、もやし炒め、きんぴらごぼう等の和風総菜や、ロールキャベツ、鶏肉のトマト煮込み、サーモンのマリネ等の洋風総菜などを挙げることができる。
【0022】
ドリップ防止剤は、キサンタンガムと分散剤とが同時に添加されるように食品(例えば、惣菜)に対して使用されることが好ましい。キサンタンガムと分散剤とを食品に同時に添加する方法としては、例えば、上述したようにキサンタンガムと分散剤とを予め混合しておく方法や、キサンタンガムと分散剤とを食品に対して使用する際にそれぞれを同時に添加する方法を挙げることができる。また、ドリップ防止剤に含まれるキサンタンガムは、食品に対して0.001~0.1重量%となるように配合することが好ましく、0.01~0.06重量%となるように配合することがより好ましい。キサンタンガムの配合量が0.001重量%を下回ると、キサンタンガムによるドリップ吸収効果が低くなり、0.1重量%を上回ると水溶液にしたときにキサンタンガムの分散性が悪化しやすく、また、糊状感も強くなりやすい。」
(4)甲1発明、甲1方法発明との対比・判断
ア 本件特許発明1について
(ア)対比
a 甲1発明が「キサンタンガム0.05g」を含むことは、本件特許発明1の「キサンタンガム」「を含有する」ことに相当する。
b 甲1【0024】に「<炒め条件>」として記載されているとおり、甲1発明の調味料組成物は、フライパンにサラダ油を入れて点火し火力を中火に調整し、野菜を該フライパンに投入し攪拌してから使用するものであるから、「野菜炒め」に使用するものである。
さらに、甲1【0005】、【0014】、【0024】~【0026】に記載のとおり、甲1発明の調味料組成物は、野菜炒めのドリップ(離水)を防止する目的で添加するものであるから、甲1の「調味料組成物」は、本件特許発明1の「野菜炒めの離水防止剤」に相当する。
c そうすると、本件特許発明1と甲1発明とは、
「キサンタンガムを含有する、野菜炒めの離水防止剤。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-1>
本件特許発明1は「カラギーナン」「を含有する」のに対して、甲1発明は「カラギーナン」を含有しない点。
(イ)相違点についての判断
a 甲1【0025】~【0026】に記載されているとおり、甲1発明においては、「調味料の丸鶏がらスープ7.5g」に対して、「キサンタンガム0.05g」、及び「ローカストビーンガム0.0125g」を含有することで、甲1【0005】に記載された課題である「炒め物等の加熱調理においてとろみ及び/又はぬめりをつけることなく食材(食品)からのドリップを抑制することができる調味料組成物の提供」が解決されており、甲1発明において、「ローカストビーンガム」に代えて「カラギーナン」を用いる動機づけが存在しない。
したがって、甲1発明において、上記相違点1-1に係る本件特許発明1の発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得たこととはいえない。
b 仮に、特許異議申立書12ページ5行目~13ページ20行目における申立人の主張に基づき、甲2【0015】、【0022】~【0024】の記載から「ローカストビーンガム」と「カラギーナン」が「同等の効果を有する」という技術事項を認め、さらに甲3【0002】、【0021】及び甲1【0002】の記載から、「調理時の野菜からの離水抑制は、炒め物に限られた課題ではなく、加熱調理された野菜に共通する課題」であったとして、本件特許発明1の効果について検討する。
c 本願の願書に添付した明細書及び図面(以下、「本件明細書等」という。)には、次の記載がある。
「【0022】
(実施例1)
表1記載の原料および配合量(重量部)で「野菜炒め(塩炒め)のたれ」(対照区1および実施区1~3)を調製した。なお、「塩炒めソース」としては、MCフードスペシャリティーズ社の「オルコック特選中華ソース塩炒め」(食塩、異性化液糖、米醸造調味料、濃縮がらスープ、オイスターソース、胡椒、中華調味料および調味料(アミノ酸等)を含有する)を用いた。
【0023】
【表1】
[図:0001405830000004.jpg]
【0024】
ホテルパン(穴なし浅型)にクッキングシートを敷き、一口大にカットしたキャベツ100g、5mm細切りした玉ねぎ50g、短冊切りした人参30gおよび約3cm大の豚肉160gを入れて、230℃、スチーム量小でスチームコンベクションオーブンにて3分間加熱した。さらに、もやし100g、3mm細切りしたピーマン30g、水戻ししたきくらげ20gおよび上記で調製したそれぞれの「野菜炒め(塩炒め)のたれ」25gを加え、アルミ箔で覆って5分間加熱し、最後に軽く混ぜて、野菜炒め(塩炒め)(対照区1の野菜炒めおよび実施区1~3の野菜炒め)をそれぞれ得た。
【0025】
野菜炒め(塩炒め)が完成した時点を開始時点として、1時間後、2時間後、3時間後、4時間後、5時間後、6時間後および24時間後の、各野菜炒めからの離水量を観察した。その結果、対照区1の野菜炒めからは1時間後に既に離水の発生が観察されたが、実施区1~3の野菜炒めからは24時間経過時点でも離水の発生は認められなかった。なお、24時間後の対照区1の野菜炒めからの離水量を測定したところ35mlであった。
・・・
(実施例2)
【0027】
表2記載の原料を、表記載の配合量(重量部)で、液原料の混合、粉原料の混合、液原料の混合物と粉原料の混合物の混合の順で調製した。調製後、85℃となるように加熱する火入れ処理を行って、対照区2~4および実施区4~6の「回鍋肉のたれ」を得た。
【0028】
【表2】
[図:0001405830000005.jpg]
【0029】
鍋に適量のサラダ油を入れ、熱し、これにピーマン40g、キャベツ80g、予め熱湯で茹でおいた豚バラ肉80g、長ネギ30gを加え、炒めた後、上記で調製した「回鍋肉のたれ」35gを入れ、全体に絡めて、対照区2~4の回鍋肉、ならび実施区4~6の回鍋肉を得た。
【0030】
回鍋肉が完成した時点を開始時点として、25℃で1時間後、2時間後、3時間後、および24時間放置した後の各回鍋肉からの離水量を観察した。その結果、対照区2~4の回鍋肉からは、1時間後に既に離水の発生が観察されたが、実施区4~6の回鍋肉からは、3時間経過時点でも離水の発生は認められなかった。図2に対照区2および実施区4~6の回鍋肉の3時間経過後の状態の写真を、また図3に、その24時間経過後の状態の写真を示す。
【0031】
24時間経過後には、実施区4~6の回鍋肉からも離水が観察されたため、離水量を測定したところ、対照区2の回鍋肉からの離水量は15ml(対照区3および4も同程度)であり、実施区4の回鍋肉からの離水量は7mlであり、実施区5の回鍋肉からの離水量は7mlであり、実施区6の回鍋肉からの離水量は5.5mlであった。このことから、キサンタンガムとカラギーナン(カッパ、イオタ、ラムダ)の添加区ではいずれも優れた離水防止効果があることが示された。」
d 上記cに摘記した記載事項の特に【0025】、【0030】~【0031】を参照すると、本件特許発明は、料理の完成から長時間(24時間)経過しても離水防止効果を発揮するというものである。
e 甲1【0026】や甲2【0023】~【0024】、甲3【0022】等には離水防止効果についての記載が認められるが、本件特許発明のように長時間経過後の離水防止については記載がなく、上記効果は、甲1~3に接した当業者といえども予測し得ないものであると認められる。
f したがって、甲1発明において、上記相違点1-1に係る本件特許発明1の発明特定事項を得ることは当業者が容易になし得たこととはいえないし、仮にそうであったとしても本件特許発明1が奏する効果は当業者が予測し得ないものである。
g よって、本件特許発明1は、甲1に記載された発明及び甲2~3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
イ 本件特許発明2について
(ア)対比
a 甲1方法発明では、「フライパンにサラダ油大さじ1を入れて点火し火力を中火に調整し」、「点火から30秒後に野菜を該フライパンに投入し」、「野菜投入から45秒後(点火から1分15秒後)に菜箸で野菜の攪拌を開始し」、「攪拌開始から1分45秒後(点火から3分後)に消火し」ているから、点火から3分後の消火の時点でフライパンには「野菜炒め」ができているものと認められる。
そして、上記消火の後で「調味料の丸鶏がらスープ7.5g」、「キサンタンガム0.05g」、「およびローカストビーンガム0.0125g」からなる「調味料組成物を」「投入し」ているので、甲1方法発明の「フライパンにサラダ油大さじ1を入れて点火し火力 を中火に調整し、点火から30秒後に野菜を該フライパンに投入し、野菜投入から45秒後(点火から1分15秒後)に菜箸で野菜の攪拌を開始し、攪拌開始から1分45秒後(点火から3分後)に消火し、調味料の丸鶏がらスープ7.5g、キサンタンガム0.05g、およびローカストビーンガム0.0125gからなる調味料組成物を投入し、さらに1分間攪拌する」ことと、本件特許発明2の「野菜炒めにキサンタンガムおよびカラギーナンを配合すること」は、「野菜炒めに」「キサンタンガム」「を配合する」限りにおいて一致する。
b 上記ア(ア)bで検討したのと同様、甲1方法発明は、野菜炒めのドリップを防止する目的でキサンタンガムを含む調味料組成物を投入しているから、甲1方法発明の「野菜の加熱調理方法」は、本件特許発明2の「野菜炒めからの離水防止方法」に相当する。
c そうすると、本件特許発明2と甲1方法発明とは、
「野菜炒めにキサンタンガムを配合することによる、野菜炒めからの離水防止方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点1-2>
本件特許発明2は「カラギーナン」「を配合する」のに対して、甲1発明は「カラギーナン」を投入することは記載されていない点。
(イ)相違点についての判断
上記ア(イ)b~eで検討したのと同様、甲1方法発明において、「ローカストビーンガム」に代えて「カラギーナン」を用いる動機づけが存在しないし、仮にそうすることが容易であったとしても、「長時間(24時間)経過しても離水防止効果を発揮する」という本件特許発明2の効果は当業者が予測し得ないものである。
よって、本件特許発明2は、甲1に記載された発明及び甲2~3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(5)甲2発明、甲2方法発明との対比・判断
ア 本件特許発明1について
(ア)対比
a 甲2発明は「キサンタンガム」、「カラギーナン」からなるものであるから、これらの点は、本件特許発明1の「キサンタンガム」及び「カラギーナン」「を含有する」ことに相当する。
b 甲2【0012】、【0015】より、甲2発明の和え物用組成物は、離水を防止する機能を有するものである。よって、甲2発明の「和え物用組成物」は、本件特許発明1の「離水防止剤」に相当する。
c そうすると、本件特許発明1と甲2発明とは、
「キサンタンガムおよびカラギーナンを含有する、離水防止剤。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点2-1>
本件特許発明1は「野菜炒めの」「離水防止剤」であるのに対して、甲2発明は「和え物用」の、離水を防止する機能を有する「組成物」である点。
(イ)相違点についての判断
a 甲2【0020】と、本件明細書等【0024】及び【0029】に記載された調理方法とを比較しても、和え物と炒め物とでは野菜の加熱方法や使用する水の量など、調理の方法が大きく異なるため、甲2発明の和え物用組成物を野菜炒めに使用する動機づけが存在しない。
b この点について、申立人は特許異議申立書16ページ1行目~17ページ2行目において、甲3【0002】、【0021】及び甲1【0002】、【0020】~【0026】の記載に基づき、「調理時における野菜からの離水抑制は、調理法によって限定される課題ではなく、加熱調理された野菜に共通する課題である」から、甲2発明を野菜炒めに使用することは当業者にとって容易であるし、その効果も当業者が予測し得る旨を主張している。
c しかしながら、仮に、甲2発明を野菜炒めに用いることが当業者にとって容易であったとしても、上記(4)ア(イ)b~eで示したとおり、「長時間(24時間)経過しても離水防止効果を発揮する」という本件特許発明1の効果は、当業者といえども予測し得ないものである。
d このように、甲2発明において、上記相違点2-1に係る本件特許発明1の発明特定事項を得ることは、当業者が容易になし得たこととはいえないし、仮にそうであったとしても、本件特許発明1が奏する効果は当業者が予測し得ないものである。
e よって、本件特許発明1は、甲2に記載された発明及び甲1、3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
イ 本件特許発明2について
(ア)対比
a 甲2方法発明では「茹で野菜からなる和え物の重量に対して」「キサンタンガム0.02重量%」、「カラギーナン0.10重量%」「とを和え」ているから、これらの点は本件特許発明2の「キサンタンガムおよびカラギーナンを配合する」ことに相当する。
b 上記ア(ア)bで検討したとおり、甲2方法発明は離水を防止する機能を得るために「キサンタンガム0.02重量%」、「カラギーナン0.10重量%」「とを和え」ているから、甲2方法発明の「茹で野菜からなる和え物の製造方法」は、本件特許発明2の「野菜炒めからの離水防止方法」と、「離水防止方法」である限りにおいて一致する。
c そうすると、本件特許発明2と甲2方法発明とは、
「キサンタンガムおよびカラギーナンを配合することによる、離水防止方法。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
<相違点2-2>
本件特許発明2は「野菜炒めに」「配合することによる」「野菜炒めからの」離水防止方法であるのに対して、甲2方法発明は和え物用の離水を防止するための方法であり、野菜炒めを対象としたものでない点。
(イ)相違点についての判断
上記ア(イ)a~cで検討したのと同様、甲2方法発明を野菜炒めに適用する動機づけが存在しないし、仮に適用することが容易であったとしても、「長時間(24時間)経過しても離水防止効果を発揮する」という本件特許発明2の効果は、当業者といえども予測し得ないと認められる。
よって、本件特許発明2は、甲2に記載された発明及び甲1、3に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
2 申立理由3(サポート要件)について
(1)本件特許発明の解決しようとする課題は、本件明細書等の記載によれば、「野菜炒めにおける離水を防止する方法、または、該方法に用いられる野菜炒めの離水防止剤を提供すること」(【0006】)であると認められる。
(2)そして、本件明細書等には次の記載がある。
(ア)「【0013】
本発明の野菜炒めの離水防止剤は、キサンタンガムとカラギーナンを含有する組成物として調製される。調製方法は特に限定されるものではなく、キサンタンガムとカラギーナンを粉末の状態で混合することが簡便である。
本発明の野菜炒めの離水防止剤におけるキサンタンガムとカラギーナンの含有量は特に限定されないが、通常、乾燥重量部として1~100重量%であり、好ましくは、10~100重量%であり、より好ましくは30~100重量%である。
【0014】
キサンタンガムとカラギーナンの重量比にとくに限定はないが、乾燥重量として、通常、キサンタンガム1重量部に対して、カラギーナンが0.3~3重量部であり、好ましくは0.7~1.5重量部であり、とくに好ましくは1重量部である。」
(イ)「【0019】
本発明の野菜炒めの離水防止剤の添加量は、野菜炒めに含まれる野菜の種類にもよるが、通常、野菜100重量部に対して、キサンタンガムおよびカラギーナンは、それぞれ、0.01~0.2重量部、好ましくは0.03~0.15重量部となる量が好ましい。とくに、最も離水しやすいとされるキャベツに対しては、キャベツ100重量部に対して、キサンタンガムおよびカラギーナンは0.05~0.15重量部、好ましくは0.10~0.14重量部となる量が好ましい。」
(3)上記(2)(ア)で摘記した事項より、キサンタンガム及びカラギーナンの配合比(重量比)については、好ましい範囲は記載されているものの特に限定を要しないとも記載されているから(【0014】)、双方が含まれていれば本件特許発明の課題は解決できるものと認められる。
(4)また、キサンタンガム及びカラギーナンの野菜炒めの具材に対する添加量についても、【0019】に好ましい範囲は示されているが、この範囲を外れた場合でも、効果の多寡はあっても完全に無くなることはないと認められる。よって、申立人の主張するように添加量を定めていないからといって、本件特許発明の課題を解決できないとまではいえない。
なお、本件特許発明1は「離水防止剤」の発明であるから、その使用方法である添加量まで定める必要はない。
(5)そうすると、本件特許発明は、キサンタンガム及びカラギーナンの野菜炒めの具材に対する添加量や配合比を特定していなくとも、上記(1)の課題を解決し得ることは明らかである。
(6)よって、申立人の主張には理由がない。
第5 むすび
以上のとおり、本件特許の請求項1~2に係る特許は、特許異議申立書に記載された特許異議の申立ての理由によっては取り消すことはできず、また、他に本件特許の請求項1~2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-700679