特許異議申立
2023-700648
Cu基合金粉末
- 審判番号
- 2023-700648
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-135294
- 登録番号
- 7194087
- 請求日
- 2023年06月20日
- 審決日
- 2023年10月20日
- 公報発行日
- 2023年11月24日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】山陽特殊製鋼株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人有古特許事務所
- 【異議申立人】横山 佳孝
- 審判長/審判官
- 審判長 池渕 立
- 審判官 井上 猛
- 審判官 佐藤 陽一
- 分類
- P1651.536-Y (B22F) / P1651.537-Y (B22F) / P1651.121-Y (B22F) / P1651.4 -Y (B22F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第39条、特許法第36条、特許法第113条、特許法第29条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7194087号発明「Cu基合金粉末」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7194087号の請求項1~5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7194087号(請求項の数5。以下、「本件特許」という。)は、令和1年7月23日を出願日とする出願(特願2019-135294号)に係るものであって、令和4年12月13日に設定登録されたものである(特許掲載公報の発行日は、令和4年12月21日である。)。
その後、令和5年6月20日に、本件特許の請求項1~5に係る特許に対して、特許異議申立人である横山佳孝(以下、「申立人」という。)により、特許異議の申立てがされた。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~5に係る発明は、本件特許の願書に添付した特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される以下のとおりのものである(以下、それぞれ「本件発明1」等という。また、本件特許の願書に添付した明細書を「本件明細書」という。)。
【請求項1】
その材質がCu基合金である粉末であって、
上記Cu基合金が、
元素M:0.2質量%以上10.0質量%以下
Si:0.20質量%以下
P:0.10質量%以下
S:0.10質量%以下
及び
不可避的不純物
を含み、
上記元素MがCr、Fe、Ni、Zr及びNbから選択された1又は2以上の元素であり、
上記Cu基合金が、元素MがCuに過飽和に固溶した過飽和固溶体であり、
上記粉末の平均粒子径D50(μm)と上記粉末のタップ密度TD(Mg/m3)との比(D50/TD)が、0.2×10-5・m4/Mg以上20×10-5・m4/Mg以下であり、
その球形度が0.80以上0.95以下である粉末。
【請求項2】
上記Cu基合金が0.2質量%以上5.0質量%以下の元素Mを含有する請求項1に記載の粉末。
【請求項3】
上記Cu基合金が0.5質量%以上3.0質量%以下の元素Mを含有する請求項1に記載の粉末。
【請求項4】
上記Cu基合金が、0.10質量%以下のSi、0.010質量%以下のP、及び0.010質量%以下のSを含有する請求項1から3のいずれかに記載の粉末。
【請求項5】
その平均粒子径D50が15μm以上50μm以下である請求項1から4のいずれかに記載の粉末。
第3 特許異議の申立ての理由の概要
本件特許の請求項1~5に係る特許は、下記1~4のとおり、特許法113条2号及び4号に該当する。証拠方法は、甲第1号証~甲第8号証(以下、単に「甲1」等という。下記5を参照。)である。
1 申立理由1(実施可能要件)
本件発明1~5については、元素Mを所定量含むCu基合金をアトマイズ法のような急冷凝固を伴う普通の方法で凝固させたとしても、得られる粉末のすべてにおいて、元素Mが常に過飽和状態で固溶するとはいえない点で、発明の詳細な説明の記載が特許法36条4項1号に適合するものではないから、本件特許の請求項1~5に係る特許は、同法113条4号に該当する。
2 申立理由2(明確性要件)
本件発明1~5については、Cu基合金中に元素Mを過飽和状態とするという発明特定事項の意味内容を当業者が理解できない点で、特許請求の範囲の記載が特許法36条6項2号に適合するものではないから、本件特許の請求項1~5に係る特許は、同法113条4号に該当する。
3 申立理由3(進歩性)
本件発明1~5は、甲1に記載された発明及び甲2~7に記載された事項に基いて、その発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~5に係る特許は、同法113条2号に該当する。
4 申立理由4(先願)
本件発明1~5は、本件特許の出願日前の甲8の出願(特願2018-105934号)の請求項1に係る発明と同一であり、特許法39条1項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~5に係る特許は、同法113条2号に該当する。
5 証拠方法
・甲1 特開2018-197389号公報
・甲2 野村直之 他5名、「レーザ積層造形法により作製した銅合金の組織と機械的性質」、溶接学会全国大会講演概要、一般社団法人溶接学会、2016年4月、第98集、p.22~23
・甲3 国際公開第2019/039058号
・甲4 国際公開第2019/038910号
・甲5 特開2019-112700号公報
・甲6 特表2017-500438号公報
・甲7 特開2017-127997号公報
・甲8 特許第7132751号公報
第4 当審の判断
以下に述べるように、特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
1 申立理由1(実施可能要件)
(1)ア 申立人は、本件明細書の記載(【0020】、【0039】、【0052】)によれば、平衡状態図上のCuへの固溶限以上の量の元素Mを含有する合金をアトマイズ法のような急冷凝固を伴う方法で普通に凝固さえすれば、元素MがCuに過飽和に固溶した状態の粉末が得られるということになるところ、
・元素によりCuへの固溶のしやすさや固溶量は異なり、アトマイズ法のような急冷凝固を伴う方法であっても、雰囲気温度やアルゴンガスの温度等の条件により、過飽和状態で凝固するのか一部析出した状態で凝固するのかは明らかではないこと、
・アトマイズ法では、特定元素を過飽和状態で固溶するのに十分な冷却速度に達しているとは限らず、アトマイズ法で作製される粉末(粒度分布が存在)のうち、例えば粒径が16μmの粉末と100μmの粉末とでは冷却速度が異なるため、アトマイズ法で作製された粉末のすべてが過飽和状態になるとは限らないこと、
を指摘し、「Cr、Fe、Ni、Zr及びNbから選択された1又は2以上の元素」Mが「0.2質量%以上10.0質量%以下」を含むCu基合金をアトマイズ法のような急冷凝固を伴う普通の方法で凝固させたとしても、得られる粉末のすべてにおいて、Cr、Fe、Ni、Zr及びNbのうちのいずれの元素についても、常に過飽和状態で固溶しているとはいえないと主張する。
イ しかしながら、本件発明1~5における「過飽和固溶体」とは、技術常識に照らして、熱力学的な平衡状態において、所定の組成を有するCu基合金に元素Mが室温で飽和に固溶している状態(飽和固溶体)を基準として、当該基準状態(飽和固溶体)での固溶量を超える量で元素Mが固溶した状態(元素Mが過飽和に固溶した状態)を意味することは、当業者にとって明らかである。
そして、アトマイズ法のように、熱力学的に非平衡状態となるような急冷凝固を伴う方法により、上記基準状態(飽和固溶体)での固溶量を超える量で元素Mを含有するCu基合金の粉末を製造すれば、元素Mの種類、アトマイズの際の条件、粉末の粒径に応じて、上記基準状態(飽和固溶体)での固溶量を超える量で元素Mが固溶した状態(元素Mが過飽和に固溶した状態)になり、本件発明1~5における「過飽和固溶体」が得られることも、当業者にとって明らかである。
ウ よって、申立人の主張は採用できない。
(2)したがって、申立理由1(実施可能要件)によっては、本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
2 申立理由2(明確性要件)
(1)ア 申立人は、要するに、Cu基合金中に元素Mを過飽和状態とするという発明特定事項の意味内容を当業者が理解できないから、本件発明1~5は明確でないと主張する。
イ しかしながら、本件発明1~5における「過飽和固溶体」が、技術常識に照らして、熱力学的な平衡状態において、所定の組成を有するCu基合金に元素Mが室温で飽和に固溶している状態(飽和固溶体)を基準として、当該基準状態(飽和固溶体)での固溶量を超える量で元素Mが固溶した状態(元素Mが過飽和に固溶した状態)を意味するものであることは、上記1(1)イのとおりである。
ウ よって、申立人の主張は採用できない。
なお、申立人は、上記アの主張に関連して縷々主張するが、明確性要件違反の主張としてはいずれも採用できない。
(2)したがって、申立理由2(明確性要件)によっては、本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
3 申立理由3(進歩性)
(1)甲1に記載された発明
甲1の記載(請求項1、【0002】~【0005】、【0014】、【0017】~【0025】、【0057】~【0060】、表1)によれば、特に、請求項1の記載を前提として、実施例における銅合金粉末A1(【0058】~【0060】、表1)に着目すると、甲1には、以下の発明が記載されていると認められる。
「積層造形用の銅合金粉末であって、0.22質量%のCr、0.09質量%のO、および残部が銅である、所定のアトマイズ法により製造された銅合金粉末。」(以下、「甲1発明」という。)
(2)本件発明1について
ア 対比
本件発明1と甲1発明とを対比する。
甲1発明における「積層造形用の銅合金粉末」、「銅合金粉末」は、いずれも、本件発明1における「その材質がCu基合金である粉末」に相当する。
甲1発明の銅合金粉末を構成する銅合金の化学成分と、本件発明1の粉末を構成するCu基合金の組成とは、Crを含有する点で共通し、その含有量も重複一致する。
甲1発明の銅合金粉末は、「所定のアトマイズ法により製造された」ものであるところ、技術常識に照らして(上記1(1)イを参照)、CrがCuに過飽和に固溶した状態になっていると認められるから、甲1発明における、「0.22質量%のCr」を含む「所定のアトマイズ法により製造された」銅合金粉末は、本件発明1における、「元素MがCuに過飽和に固溶した過飽和固溶体であ」るCu基合金に相当する。
以上によれば、本件発明1と甲1発明とは、
「その材質がCu基合金である粉末であって、
上記Cu基合金が、
元素M:0.2質量%以上10.0質量%以下
を含み、
上記元素MがCr、Fe、Ni、Zr及びNbから選択された1又は2以上の元素であり、
上記Cu基合金が、元素MがCuに過飽和に固溶した過飽和固溶体である粉末。」
の点で一致し、以下の点で相違する。
・相違点1
本件発明1では、「Si:0.20質量%以下、P:0.10質量%以下、S:0.10質量%以下及び不可避的不純物」を含むのに対して、甲1発明では、「0.09質量%のO」を含み、「残部が銅である」点。
・相違点2
本件発明1では、「粉末の平均粒子径D50(μm)」と「粉末のタップ密度TD(Mg/m3)」との「比(D50/TD)」が、「0.2×10-5・m4/Mg以上20×10-5・m4/Mg以下であ」るのに対して、甲1発明では、「粉末の平均粒子径D50(μm)」と「粉末のタップ密度TD(Mg/m3)」との「比(D50/TD)」が不明である点。
・相違点3
本件発明1では、「粉末の球形度」が「0.80以上0.95以下である」のに対して、甲1発明では、「粉末の球形度」が不明である点。
イ 相違点2の検討
事案に鑑み、相違点2について検討する。
(ア)まず、相違点2が実質的な相違点であるか否かについて検討する。
甲1には、「粉末の平均粒子径D50(μm)」と「粉末のタップ密度TD(Mg/m3)」との「比(D50/TD)」については、何ら記載されていない。甲1には、そもそも、「粉末のタップ密度TD(Mg/m3)」について記載されていない。また、甲1発明に係る銅合金粉末において、上記「比(D50/TD)」が、「0.2×10-5・m4/Mg以上20×10-5・m4/Mg以下」であることが技術常識であるともいえない。
そうすると、甲1発明に係る銅合金粉末においては、上記「比(D50/TD)」が、「0.2×10-5・m4/Mg以上20×10-5・m4/Mg以下」であるかどうか不明である。
以上によれば、相違点2は実質的な相違点である。
(イ)次に、相違点2の容易想到性について検討する。
a 本件明細書の記載(【0001】、【0036】)によれば、本件発明1においては、上記「比(D50/TD)」を「0.2×10-5・m4/Mg以上20×10-5・m4/Mg以下」とすることにより、粉末の流動性に優れるとともに、三次元積層造形法等の急速溶融急冷凝固を伴うプロセスにおいて相対密度が大きい造形物が得られるという技術的意義を有するものと解される。
b これに対して、上記(ア)で述べたとおり、甲1には、上記「比(D50/TD)」については、何ら記載されておらず、また、甲1発明に係る銅合金粉末において、上記「比(D50/TD)」が、「0.2×10-5・m4/Mg以上20×10-5・m4/Mg以下」であることが技術常識であるともいえない。甲1には、甲1発明において、上記「比(D50/TD)」を、「0.2×10-5・m4/Mg以上20×10-5・m4/Mg以下」とすることを動機付ける記載は見当たらない。
c また、甲2~7にも、甲1発明において、上記「比(D50/TD)」を、「0.2×10-5・m4/Mg以上20×10-5・m4/Mg以下」とすることを動機付ける記載は見当たらない。
d この点、申立人は、甲4には、銅粉末粒子の50%粒径が3~250μmであり、見掛け密度が3.5g/cm3であること([0026])が記載されており、表2の各数値から比を求めると本件発明1の比の数値範囲に含まれるところ、甲5~7によれば、上記見掛け密度に代えてタップ密度を指標とすることは容易に想到でき、その際、比の数値範囲を本件発明1の数値範囲とすることは設計事項であると主張する。
しかしながら、申立人の主張は、甲4に記載された技術的事項を甲5~7の記載に基づいて変更した上で、その変更後の技術的事項を甲1に記載された発明に適用するというものであって、いわゆる「容易の容易」であり、妥当なものとはいえない。
また、そもそも、甲4においては、積層造形用粉末のスキージング性を評価するために、50%粒径と見掛け密度を用いることに技術的意義があると解され([0017]、[0026])、見掛け密度に代えてタップ密度を用いることは想定されていないから、甲4における見掛け密度に代えてタップ密度を指標とすることを前提とする申立人の主張は、やはり妥当なものとはいえない。
いずれにしろ、申立人の主張は採用できない。
e 以上によれば、甲1発明において、上記「比(D50/TD)」を、「0.2×10-5・m4/Mg以上20×10-5・m4/Mg以下」とすることは、当業者が容易に想到することができたとはいえない。
ウ 小括
以上のとおりであるから、相違点1、3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1に記載された発明及び甲2~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(3)本件発明2~5について
本件発明2~5は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであり、本件発明1の発明特定事項を全て備えるか、あるいは、本件発明1をより狭い範囲に限定するものであるが、上記(2)で述べたとおり、本件発明1が、甲1に記載された発明及び甲2~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない以上、本件発明2~5についても同様に、甲1に記載された発明及び甲2~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
(4)まとめ
以上のとおり、本件発明1~5は、甲1に記載された発明及び甲2~7に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
したがって、申立理由3(進歩性)によっては、本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
4 申立理由4(先願)
(1)甲8の出願の請求項1に係る発明
甲8の出願(特願2018-105934号)の請求項1に係る発明は、以下のとおりである。
「【請求項1】
その材質がCu基合金である粉末であって、
上記Cu基合金が、V、Fe、Zr、Hf及びTaから選択された1又は2以上の元素Mを0.1質量%以上5.0質量%以下含み、残部がCu及び不可避的不純物であり、かつこの元素MがZrを含み、
上記Cu基合金において、上記元素MがCuに過飽和に固溶しており、
上記粉末の平均粒子径D50(μm)と上記粉末のタップ密度TD(Mg/m3)との比(D50/TD)が、10×10-5・m4/Mg以上18×10-5・m4/Mg以下である粉末。」(以下、「甲8発明」という。)
(2)本件発明1について
ア 本件発明1と甲8発明とを対比すると、本件発明1では、「粉末の球形度」が「0.80以上0.95以下である」と特定されているのに対して、甲8発明では、「粉末の球形度」が特定されていない点で、少なくとも相違する。
イ 本件明細書の記載(【0001】、【0002】、【0037】)によれば、本件発明1において、「粉末の球形度」を「0.80以上0.95以下」とすることにより、粉末の流動性に優れるとともに、三次元積層造形法等のレーザービームが照射されるプロセスにおいてレーザーの反射が抑制されるという、甲8の出願の願書に添付した明細書(以下、「甲8明細書」という。)には記載されていない新たな効果を奏するものである。
そうすると、本件発明1において、「粉末の球形度」を「0.80以上0.95以下」とすることは、「周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの」とはいえず、課題解決のための具体化手段における微差とはいえない。
ウ 以上によれば、本件発明1は、甲8発明と同一であるとはいえない。
(3)申立人の主張について
申立人は、甲8発明においては、粉末の球形度が特定されていないが、甲8明細書に記載の粉末の製造方法(【0027】)は、本件明細書に記載の粉末の製造方法(【0039】)と同じであり、本件明細書には、球形度を制御するために特定の処理等を行ったとは記載されていないため、甲8発明のCu基合金粉末は、本件発明1と全く同じ製造方法で製造されているといえるから、球形度は0.80以上0.95以下であると主張する。
しかしながら、特許法39条1項の判断においては、重複特許の排除の点から、特許請求の範囲の請求項に記載された事項により特定される発明どうしを対比すべきものと解される。申立人の主張は、甲8の特許請求の範囲の請求項1には記載されていない事項についても、甲8明細書の記載に基づいて、甲8の特許請求の範囲の請求項1に実質的に記載されている事項であると解した上で、本件発明1との対比を行うことを前提とするものであり、特許法39条1項の判断として妥当なものとはいえない。
よって、申立人の主張は採用できない。
(4)本件発明2~5について
本件発明2~5は、本件発明1を直接又は間接的に引用するものであり、本件発明1の発明特定事項を全て備えるか、あるいは、本件発明1をより狭い範囲に限定するものであるが、上記(2)で述べたとおり、本件発明1が甲8発明と同一であるとはいえない以上、本件発明2~5についても同様に、甲8発明と同一であるとはいえない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件発明1~5は、甲8の出願の請求項1に係る発明と同一であるとはいえない。
したがって、申立理由4(先願)によっては、本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
第5 むすび
以上のとおり、特許異議申立書に記載した特許異議の申立ての理由によっては、本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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