特許異議申立
2022-700573
プラズマエッチング装置用の電極に設けられたガス導入孔の測定方法、電極の再生方法およびプラズマエッチング装置
- 審判番号
- 2022-700573
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-095063
- 登録番号
- 6989191
- 請求日
- 2022年07月01日
- 審決日
- 2022年09月21日
- 公報発行日
- 2022年10月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】エーサット株式会社
- 【異議申立人】横山 佳孝
- 審判長/審判官
- 審判長 河本 充雄
- 審判官 佐藤 智康
- 審判官 鈴木 聡一郎
- 分類
- P1651.121-Y (H01L) / P1651.536-Y (H01L) / P1651.537-Y (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第4項第1号、特許法第113条第1項第4号、特許法第113条第1項第2号、特許法第36条第6項第2号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第6989191号発明「プラズマエッチング装置用の電極に設けられたガス導入孔の測定方法、電極の再生方法およびプラズマエッチング装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第6989191号の請求項に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第6989191号の請求項1~10に係る特許についての出願は、平成27年12月25日を国際出願日とする特願2016-550830号(優先権主張 平成26年12月26日 他4件)の一部を分割出願として平成27年4月12日に出願した特願2017-79101号の一部を更に分割出願として令和3年6月7日に新たな特許出願として出願したものであって、同年12月6日にその特許権の設定登録がされ、令和4年1月5日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、同年7月1日に特許異議申立人 横山佳孝 によって特許異議の申立てがなされたものである。
第2 本件発明
特許第6989191号の請求項1~10に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~10に記載された事項により特定される以下のとおりのものである。
「【請求項1】
プラズマエッチング装置用の電極における基材を厚さ方向に貫通するよう設けられたガス導入孔を測定する方法であって、
前記基材の一方面側から前記ガス導入孔に向けて光を照射する照射工程と、
前記ガス導入孔を介して前記基材の他方面側に透過した前記光の2次元画像を取得する2次元画像取得工程と、
前記2次元画像の少なくとも境界部分での信号変化を演算する画像処理工程と、
前記画像処理工程での前記2次元画像の信号処理の結果に基づいて前記ガス導入孔の径、内壁面の粗さ及び垂直度合いのうち少なくとも1つを測定する測定工程と、
を備えたことを特徴とするガス導入孔の測定方法。
【請求項2】
前記光はコヒーレント光であることを特徴とする請求項1記載のガス導入孔の測定方法。
【請求項3】
前記測定工程で前記ガス導入孔の内壁面の粗さを測定する場合、
前記画像処理工程では、前記2次元画像の輝度の高い中央領域と、前記中央領域よりも輝度の低い周辺領域とを分ける処理を行い、
前記測定工程では、前記中央領域と前記周辺領域との面積の比率によって前記ガス導入孔の内壁面の粗さを測定する、ことを特徴とする請求項1記載のガス導入孔の測定方法。
【請求項4】
前記測定工程で前記ガス導入孔の垂直度合いを測定する場合、
前記画像処理工程では、前記2次元画像の形状を求め、
前記測定工程では、前記2次元画像の形状に基づき、前記ガス導入孔の垂直度合いを測定する、ことを特徴とする請求項1記載のガス導入孔の測定方法。
【請求項5】
前記基材の一方面側から前記ガス導入孔の開口部画像を取得する開口部画像取得工程をさらに備え、
前記測定工程では、前記2次元画像の信号処理の結果と前記開口部画像とに基づき測定を行うことを特徴とする請求項1記載のプラズマエッチング装置用の電極に設けられたガス導入孔の測定方法。
【請求項6】
基材の厚さ方向に貫通するガス導入孔が設けられたプラズマエッチング装置用の電極の再生方法であって、
前記プラズマエッチング装置において所定時間使用された前記電極の前記ガス導入孔の状態を測定する工程と、
前記ガス導入孔の状態の測定結果に基づき前記基材の表面の研磨及び前記ガス導入孔の内壁面の加工の少なくとも一方を行う工程と、
加工後の前記ガス導入孔の状態を測定する工程と、
を備え、
前記ガス導入孔の状態を測定する工程は、
前記基材の一方面側から前記ガス導入孔に向けて光を照射する照射工程と、
前記ガス導入孔を介して前記基材の他方面側に透過した前記光の2次元画像を取得する2次元画像取得工程と、
前記2次元画像の少なくとも境界部分での信号変化を演算する画像処理工程と、
前記画像処理工程での前記2次元画像の信号処理の結果に基づいて前記ガス導入孔の径、内壁面の粗さ及び垂直度合いのうち少なくとも1つを測定する測定工程と、を含むことを特徴とするプラズマエッチング装置用の電極の再生方法。
【請求項7】
前記基材の主材料はシリコンであることを特徴とする請求項6記載のプラズマエッチング装置用の電極の再生方法。
【請求項8】
前記基材は石英を含む少なくとも2種類の材料によって構成されることを特徴とする請求項6記載のプラズマエッチング装置用の電極の再生方法。
【請求項9】
前記基材の主材料は炭化珪素であることを特徴とする請求項6記載のプラズマエッチング装置用の電極の再生方法。
【請求項10】
チャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、基材の厚さ方向に貫通するガス導入孔を有する上部電極と、
前記チャンバ内に設けられ前記上部電極と対向する下部電極と、
前記チャンバ内における前記上部電極と前記下部電極との間に高周波を印加する高周波印加部と、
前記ガス導入孔の状態を測定する測定部と、
を備え、
前記測定部は、
前記基材の一方面側から前記ガス導入孔に向けて光を照射する発光部と、
前記ガス導入孔を介して前記基材の他方面側に透過した前記光の2次元画像を取得する受光部と、
前記2次元画像の少なくとも境界部分での信号変化を演算した信号処理の結果に基づいて前記ガス導入孔の径、内壁面の粗さ及び垂直度合いのうち少なくとも1つを測定する処理を行う画像処理部と、を備えたことを特徴とするプラズマエッチング装置。」
第3 申立理由の概要
異議申立人 横山佳孝 が請求項1~10に係る特許に対して申し立てた「申立理由」、提出した「甲号証」及び「主張の概要」は以下のとおりである。(なお、申立理由の番号は便宜上、合議体が付した。)
1 申立理由
(1)申立理由1
請求項1~10に係る特許に対しての進歩性(特許法第29条第2項)の欠如(特許法第113条第1項第2号)
(2)申立理由2
請求項4に係る発明に対しての実施可能要件(特許法第36条第4項第1号)違反(特許法第113条第1項第4号)
(3)申立理由3
請求項4及び5に係る発明に対しての明確性要件(特許法第36条第6項第2号)違反(特許法第113条第1項第4号)
2 甲号証
甲第1号証:特開平11-281307号公報
甲第2号証:特開平7-35518号公報
甲第3号証:特開平7-4919号公報
甲第4号証:特開2013-15490号公報
甲第5号証:特開平11-54488号公報
甲第6号証:特開2006-196491号公報
甲第7号証:特開2002-231699号公報
甲第8号証:特開平8-316216号公報
甲第9号証:特開2008-281497号公報
甲第10号証:株式会社ミツトヨ発行のカタログ(CNC画像測定機クイックビジョンシリーズ、Catalog No.4233(19)、表紙とページ1~12、ページ21~30)(なお、(19)は丸数字の代用として使用したもの。)
甲第11号証:特開2002-246371号公報
甲第12号証:特開2003-68653号公報
甲第13号証:特開平11-283973号公報
3 主張の概要
(1)申立理由1についての主張の概要は以下のとおりである。
ア 請求項1~5に係る発明は、甲第1号証から甲第4号証に記載の発明に基づいて当業者が容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。(特許異議申立書第37ページ)
(ア)請求項1に係る発明は、内径の測定に関して甲第1号証に記載の発明と甲第2号証に記載の発明とを組み合わせることで容易に想到し得る。(特許異議申立書第27ページ)
(イ)請求項1に係る発明は、内壁面の粗さに関して甲第1号証~甲第3号証に記載の各発明を組み合わせることで容易に想到し得る。(特許異議申立書第27ページ)
(ウ)請求項1に係る発明は、垂直度合いに関して甲第1号証~甲第4号証に記載の各発明を組み合わせることで容易に想到し得る。(特許異議申立書第27ページ)
(エ)請求項2に係る発明も、甲第1号証~甲第4号証に記載の各発明を組み合わせることで容易に想到し得る。(特許異議申立書第28ページ)
(オ)請求項3に係る発明も、甲第1号証~甲第4号証の発明や周知技術(甲第9号証、甲第10号証)を組み合わせることで容易に想到し得る。(特許異議申立書第28~29ページ)
(カ)請求項4に係る発明も、甲第1号証~甲第4号証の発明を組み合わせることで容易に想到し得る。(特許異議申立書第29ページ)
(キ)請求項5に係る発明も、甲第1号証~甲第4号証の発明を組み合わせることで容易に想到し得る。(特許異議申立書第29~31ページ)
イ 請求項6に係る発明は、「甲第1号証から甲第4号証、甲第7号証、甲第11号証及び甲第12号証に記載の発明に基づいて当業者が容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。」(特許異議申立書第37ページ)と主張するものであり、具体的には、特許異議申立書の第31ページ~33ページの記載(「請求項1(「1」は「6」の誤記であることは明らか)に係る発明と甲第11号証の電極交換方法とは、・・・、甲第11号証の電極交換方法は、請求項6に係る発明と比べると、・・・で相違する。」)を参酌するに、「甲第11号証に記載の発明に対して、甲第1号証から甲第4号証、甲第7号証、甲第12号証に記載されている技術事項を組み合わせることで当業者が容易になし得たものである。」というものである。
ウ 請求項7、9に係る発明は、甲第1号証から甲第5号証、甲第7号証、甲第11号証及び甲第12号証に記載の発明に基づいて当業者が容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。(特許異議申立書第37ページ)
エ 請求項8に係る発明は、甲第1号証から甲第4号証、甲第7号証、甲第11号証から甲第13号証に記載の発明に基づいて当業者が容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。(特許異議申立書第37ページ)
オ 請求項10に係る発明は、「甲第1号証から甲第4号証及び甲第11号証に記載の発明に基づいて当業者が容易になし得たものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。」(特許異議申立書第37ページ)と主張するものであり、具体的には、特許異議申立書の第34ページ~35ページの記載(「請求項10に係る発明と甲第11号証(特開2002-246371号公報)の平行平板型プラズマエッチング装置1とは、・・・、光学式表面センサは請求項10に係る発明の測定部(構成A105)と相違する。」)を参酌するに、「甲第11号証に記載の発明に対して、甲第1号証から甲第4号証に記載されている技術事項を組み合わせることで当業者が容易になし得たものである。」というものである。
(2)申立理由2についての主張の概要は以下のとおりである。
本件特許の請求項4は、「前記2次元画像の形状に基づき、前記ガス導入孔の垂直度合いを測定する」ことについて、その具体的な内容が記載されておらず、いわゆる当業者がその実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されていないことから、特許法第36条第4項第1号に規定の要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。(特許異議申立書第38ページ)
(3)申立理由3についての主張の概要は以下のとおりである。
ア 本件特許の請求項4では、『2次元画像の形状(略楕円形)』を基に垂直度合いを測定すると示すだけであり、2次元画像の形状『例えば略楕円形』に基づいて具体的にどのようにして垂直度合いを測定するのか不明確である。(特許異議申立書第35~36ページ)
イ 本件特許の請求項5では「前記2次元画像の信号処理の結果と前記開口部画像とに基づき測定を行う」とあるが、「前記ガス導入孔の径、内壁面の粗さ及び垂直度合い」の算出においてそれぞれ具体的にどのようにして測定するのかが不明確である。(特許異議申立書第37ページ)
第4 甲号証の記載、甲号証に記載された発明等
各甲号証には以下の事項が記載されている。(なお、下線は合議体が付与した。以下同様である。)
1 甲第1号証
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体デバイス製造用のエッチング装置、アッシング装置、スパッタリング装置等に使用される多数の小径孔を有する電極板とその製造方法および小径孔内壁表面粗さの測定方法に関する。」
(2)「【0006】これを解決するために、特開平7-273094号公報に開示された技術では、プラズマにより消耗する部位の表面粗さRmax を10μm以下とした電極板が提案されている。この発明の実施例によると直径0.8mmの小径孔が加工されているが、これより小径の孔になると触針式表面粗さ測定器の触針が孔の中に入らず、また、穿孔した孔を縦に切断した凹部断面でも触針を内壁に接触させることができず、表面粗さの測定は不可能であった。」
(3)「【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、反応ガス整流用の多数の小径孔を穿孔した電極板の該小径孔内壁の表面粗さを正確に精度良く測定する方法を開発し、より平滑で高精度な穿孔加工を施して、電極板として使用する際に、パーティクルや不純物のコンタミネーション等の発生がなく、品質のよい半導体デバイスの作製が可能な電極板とその製造方法を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決するために、本発明の請求項1に記載した発明は、反応ガス整流用の多数の小径孔を有する電極板の小径孔内壁表面粗さの測定方法において、該電極板の小径孔に液状型取りゴムを充填し硬化させ、小径孔内壁パターンを転写させて取りはずし、型取りゴムの表面粗さを測定することを特徴とする電極板の小径孔内壁表面粗さの測定方法である。」
(4)「【0017】そして、請求項6に記載した発明は、前記反応ガス整流用の小径孔を有する電極板が、プラズマエッチング装置用、リアクティブイオンエッチング装置用、プラズマアッシング装置用、スパッタリング装置用或はプラズマCVD装置用として使用できるものとした。」
上記(1)から(4)の記載事項から、甲第1号証には、以下の発明が記載されている。
「プラズマエッチング装置用として使用できる反応ガス整流用の多数の小径孔を有する電極板の小径孔内壁表面粗さの測定方法において、該電極板の小径孔に液状型取りゴムを充填し硬化させ、小径孔内壁パターンを転写させて取りはずし、型取りゴムの表面粗さを測定することを特徴とする電極板の小径孔内壁表面粗さの測定方法。(【0009】、【0017】)」(以下、「甲1発明」という。)
2 甲第2号証
(1)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は小径の貫通穴の内径寸法を高精度に測定することができる貫通穴の内径測定装置に関する。」
(2)「【0005】
【作用】被検査体のセット機構によって被検査体の貫通孔を光軸に正確に合わせてセットし、投光光学系によってピンホールからの出射光を貫通孔の内壁面に入射させる。貫通孔の内壁面で反射された反射光は受光光学系によって受光され、ピンホールの結像位置が観測される。このピンホールの観測位置から貫通孔の内径寸法が測定される。また、被検査体を回転させることにより多方向の内径寸法が測定可能である。ピンホールの結像位置は光学系によって所定の感度で得られるから、これによって高精度の測定が可能になる。 ・・・以下省略・・・ 」
(3)「【0006】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。図1は貫通穴の内径測定装置の一実施例の全体構成を示す。実施例の装置は貫通穴を有する被検査体に対して光を照射するための投光光学系Aと、被検査体からの反射光を受光するための受光光学系Bと、被検査体を姿勢制御してセットするためのセット機構Cと、被検査体の貫通穴の状態を観察するための観察光学系Dとを有する。なお、セット機構Cは被検査体を回転する回転制御機構と被検査体を光軸方向に移動させる移動機構を備えている。
【0007】図2は実施例装置の要部の配置をわかりやすく示した構成図である。前記投光光学系Aは光源10と、光源10の投光側に配置するレンズ51、レンズ52および絞り16からなる。実施例ではレンズ51として可変焦点レンズを使用し、レンズ52として固定焦点のものを使用した。
【0008】観察光学系Dは被検査体を照明するための照明用光源18とプリズム20と観察用のCCDカメラ22を有する。なお、CCDカメラ22の前段には拡大用としてレンズ系を設けている。プリズム20にはハーフミラーを形成しており、光軸上に配置して照明用光源18からの光を被検査体に照射し、被検査体からの反射光をCCDカメラ22に導いて被検査体の貫通穴の状態を観察できるようにしている。
【0009】被検査体のセット機構Cは被検査体30の貫通穴を正確に光軸上に配置するためのもので、被検査体30をX、Y軸方向に移動させる移動制御機構と、貫通穴の軸線方向の姿勢を制御する姿勢制御機構とを有する。こうして、セット機構Cは4軸で被検査体30の位置と姿勢を制御してセットできる。前記回転制御機構はセット機構上に配置され、被検査体30を光軸回りに回転させることができる。また、セット機構Cは光軸方向への移動機構上にあり、被検査体30の光軸方向への移動ができる。
【0010】受光光学系Bは被検査体の後方に配置するもので、被検査体に近い側にレンズ53を配置しその後方にレンズ54を配置する。24はレンズ53の前方に配置した絞りである。また、レンズ54の後方にはレンズ54からの出射光を受けるCCDカメラ26を配置する。このCCDカメラ26は光軸に対して直交する方向に移動して位置調整可能であるとともに光軸方向に移動可能に支持される。図1で28及び29はリニアエンコーダによってCCDカメラ26を光軸方向及び光軸と直交方向に移動制御するリニアガイドである。
【0011】実施例の貫通穴の内径測定装置は上述したように、被検査体の前後に投光光学系Aおよび受光光学系Bを配置したものであるが、その光学配置を図3に示す。図ではレンズ51、52、53、54の各位置とCCDカメラ26の受光面を直線で示す。光源10は図の左端にあるが、その前方にピンホールを設けたチャート60を配置する。図4にチャート60の正面図を示す。実施例の光学系はチャート60に設けたピンホールをCCDカメラ26の受光面上に結像させ、その結像位置から貫通穴の内径を測定するものである。そのため、チャート60には図のように十字位置に4つのピンホール62を設けたものを使用した。実施例ではピンホール62の径が0.1mm、ピンホール62間の距離が0.9mmである。なお、チャート60の形式は測定内容に応じて適宜変更することができる。
【0012】チャート60はレンズ51に対しその焦点距離f1の位置に配置する。これによってピンホール62から出射した光は平行光束としてレンズ52に入射する。実施例ではレンズ51には可変焦点レンズを使用した。なお、レンズ51とレンズ52との間隔は適宜設定してよい。図3で30a、30bは被検査体で、異なる内径の被検査体をセットした様子を示している。
【0013】レンズ52、53、54、CCDカメラ26はレンズ52、53、54の焦点距離f2、f3、f4を基準にして図3の位置関係に従って配置する。すなわち、レンズ52とレンズ53はf2+f3の間隔で配置し、レンズ53とCCDカメラ26はともにレンズ54の焦点距離の位置にそれぞれ配置する。なお、レンズ53、レンズ54の間隔はf4を基準とするが、測定内径に応じて任意の間隔W4で配置することができる。実施例の測定装置は被検査体30a、30bの貫通孔の内壁面に光ビームを照射し、内壁面からの反射光をCCDカメラ26の受光面で受けることを特徴とする。このため、レンズ52の前方には光ビームを絞って貫通孔の内壁面に入射させるための絞り16を設けている。貫通孔は内径寸法にくらべて長さが長いから光ビームは非常に浅い角度で貫通孔内に入射するようにしている。
【0014】本実施例の光学系配置によると、レンズ52とレンズ53とはf2+f3の間隔で配置しているから、レンズ53からの出射光は平行光束となり、レンズ54によってCCDカメラ26の受光面上にチャート60のピンホール62が結像する。図3に示すように被検査体30a、30bの内径の相違はCCDカメラ26の受光面上でのピンホールの結像位置の相違として一定の倍率で拡大されて表れる。このCCDカメラ26の受光面上でのピンホール位置は受光面での中心からの距離をRとすると、チャート60上での中心からピンホール62までの距離をh、被検査体の貫通孔の半径をrとして次式で与えられる。
R=(f4 /f3){2r-(f2h/f1)} または、
R=(W4/f3){2r-(f2h/f1)}
・・・途中省略・・・
【0016】CCDカメラ26の受光面上でのピンホール位置は適宜方法で計測すればよいが、CCDカメラ26の受光面での1素子をスケール単位として測定する方法、あるいは、CCDカメラ26を光軸に対し直交する方向に移動させるリニアガイドを設け、このリニアガイドのリニアエンコーダを読み取って計測する等が利用できる。
【0017】なお、光学系をセットする場合は各々のレンズの焦点距離に従って正確にレンズをセットする必要がある。実際にはレンズには製作誤差があるから、セッティングする際には標準試料を用いて正確な位置に校正する。被検査体の貫通孔の内径を測定する場合は、観察光学系Dによって貫通孔位置を観察しつつセット機構Cによって貫通孔を正確に光軸に位置合わせした後、CCDカメラ26でピンホール位置を検出することによって貫通孔の内径を測定する。実施例の装置によれば1mm径の貫通孔に対して数μmの精度で内径寸法を測定することができ、きわめて精度の良い測定が可能になった。また、この実施例の装置によれば内径が0.1mm程度の貫通孔程度まで測定可能であり、とくに貫通孔の長さが数十mmといった長い貫通孔を対象として測定できるという特徴がある。」
(4)「【図1】
[図:0001389435000001.jpg]
【図2】
[図:0001389435000002.jpg]
【図3】
[図:0001389435000003.jpg]
【図4】
[図:0001389435000004.jpg]
」
上記(1)から(4)の記載を参酌すると、甲第2号証には、以下の技術事項が記載されている。
「小径の貫通穴の内径寸法を高精度に測定するため、被検査体のセット機構によって被検査体の貫通孔を光軸に正確に合わせてセットし、投光光学系(光源10と、光源10の投光側に配置するレンズ51、レンズ52および絞り16からなる)によってピンホールからの出射光を貫通孔の内壁面に入射させ、貫通孔の内壁面で反射された反射光を被検査体の後方に配置する受光光学系(被検査体に近い側にレンズ53を配置しその後方にレンズ54を配置し、レンズ53の前方に絞り24を配置し、レンズ54の後方にはレンズ54からの出射光を受けるCCDカメラ26を配置する)によって受光することでピンホールの結像位置を観測し、このピンホールの観測位置から所定の計算式により貫通孔の内径寸法を測定する」との技術事項。
(所定の計算式は、以下のとおり。
R=(f4/f3){2r-(f2h/f1)}
R:CCDカメラ26の受光面上でのピンホール位置は受光面での中心からの距離
h:チャート60上での中心からピンホール62までの距離
r:被検査体の貫通孔の半径
f1:レンズ51の焦点距離
f2、f3 、f4:レンズ52、53、54の焦点距離)
3 甲第3号証
(1)「【0001】
【産業上の利用分野】ワークの一方側に配した投影部によりワークの被測定面に投影像を結像せしめ、他方側に設けた観察部でその反射像を観察し、ワークを移動させて複数の被測定面を観察部で捕らえ、このワークの移動距離を複数の被測定面間の距離として計測する光学式測長装置に関するものである。」
(2)「【0006】次に本案の基本構成となるもので、光軸(1-2)方向にほぼ平行な外壁面間やワークにあいた穴の内壁面間を測定する光学式測長装置を図6~図8に基づいて説明する。
【0007】白熱電球とコンデンサレンズと緑色フィルターよりなる投影光源14と、図8に示す点線の直線パターンを有する投影パターン17(投影パターン形成部材13)と、投影レンズ12と、移動テーブル11と、対物レンズ4と、分岐手段5と、観察手段(観察部6)として分岐した光軸位置に夫々接眼鏡装置15とカメラ装置(CCD等)16とより構成されていた。
【0008】その作用はいまワーク10をリングゲージとしその内径を測定する例で説明する。
【0009】投影光源14で照射され、投影パターン形成部材13を通過して形成された投影パターン17は、投影レンズ12でワーク10の内径壁面(ニ)に結像される。この結像された像の投影反射光18は対物レンズ4と分岐手段5とによりカメラ装置16と接眼鏡装置15により図7の観察像19の如く観察できる。
いまワーク10の内径壁面(ニ)が光軸(1-2)に一致したときは明るさは半分になるが、投影反射光18によって図7に示す如く画面中央に観察される。
【0010】従って、観察像19を正しく中央に位置せしめる如く移動テーブル11を設定せしめた後(初期位置設定を行った後)、対向する反対側のワーク10の内径壁面(ハ)の観察像19が正しく中央に位置せしめる如く移動テーブル11を移動せしめ、その移動テーブル11の移動量を測定すると、この測定値自体がワーク10の内径壁面(ハ-ニ)の長さ、即ち内径を測定したことになる。
【0011】投影パターン形成部材13,投影レンズ12,対物レンズ4,分岐手段5,接眼鏡装置15,カメラ装置16よりなる光学系の相対位置を固定し、光軸(1-2)の方向に移動することによってワーク10の壁面の高さ方向(光軸1-2方向)の任意の内径(例えばハ-ニの他にト-チというように異なる位置の内径)を測定できる。
【0012】また前述の壁面は反射像を観察するので、光軸(1-2)とほぼ平行(±2゜以内位)な面が望ましい。
【0013】投影光源14は精度よく計測するために短波長の緑色の光源としている。
【0014】説明では内径をもって説明したが、同様な操作作用によってワークの外形(イ-ロ)も測定することができる。
【0015】この様にしてなるのでワークの内外径を非接触で壁面全体にわたり測定できるのみならず、他の測定器では測定困難な1mm以下の小穴の内径も繰り返し精度(標準偏差)0.25μで正確に測定することができる。」
(3)「【図6】
[図:0001389435000005.jpg]
」
上記(1)から(3)の記載を参酌すると、甲第3号証には、以下の技術事項が記載されている。
「光学式測長装置に関して、ワークの一方側に配した投影部によりワークの被測定面に投影像を結像せしめ、他方側に設けた観察部でその反射像を観察し、ワークを移動させて複数の被測定面を観察部で捕らえ、このワークの移動距離を複数の被測定面間の距離として計測する」との技術事項、
及び、
「投影パターン形成部材13,投影レンズ12,対物レンズ4,分岐手段5,接眼鏡装置15,カメラ装置16よりなる光学系の相対位置を固定し、光軸の方向に移動することによってワーク10の壁面の高さ方向の任意の内径を測定できる」との技術事項。
4 甲第4号証
(1)「【0006】
本発明は、上記の事情に鑑みなされたものであり、内径の異なる種々の穴形状を精度良く測定できる測定装置を提供することを目的とする。」
(2)「【0012】
(第1実施形態)
図1は本実施形態に係る測定装置の概略構成を示す図である。図1に示すように、測定装置100は、例えば、形状測定部10と、制御部19と、表示部110と有して構成される。
【0013】
形状測定部10は、載置台15上に載置された測定対象として載置台15上に載置される物体Mの穴Maの形状を測定する。制御部19は、この形状測定部10から出力される角度情報及び測定情報に基づいて被測定物体としての物体Mの穴Maに関する形状情報を算出する。表示部110は、制御部19により算出された形状情報を、例えば、3次元画像にして出力する。なお、被測定物体Mは、載置台15上に載置されていなくても測定可能である。
・・・途中省略・・・
【0019】
測定装置100は測定部12を用いて物体Mの穴Maの内側の情報を測定することができる。本実施形態において、穴Maの内側の情報とは、穴Maの内周面の少なくとも一部に関する形状、寸法、凹凸分布、及び表面粗さの少なくとも1つを含む。」
(3)「【0021】
次に、測定部12の構成について説明する。図2は測定部12の外観を示す斜視図であり、図3は第1実施形態の測定部12の照明系の構成を示す図である。
図2に示すように測定部12は、本体部3と、穴Maの内周面に照明光Lを照明する照明系5と、該照明系5による照明領域を撮像する撮像系6と、光吸収部材7とを備える。
・・・途中省略・・・
【0023】
本実施形態の光源20は、半導体レーザー素子を含んで構成されている。光源20は、発光ダイオード(LED)等の固体光源、ハロゲンランプ等のランプ光源、ファイバー光源等の各種光源の1種又は2種以上を含んで構成されていてもよい。
・・・途中省略・・・
【0026】
撮像系6は、撮像素子8と、該撮像素子8の受光領域に照明光による像を結像させる光学部材9とを備える。本実施形態の撮像素子8は、二次元的に配列された複数の画素を有し、各画素に入射した光の光量を画素ごとに検出することができる。以下の説明において、撮像素子8の複数の画素が配列されている領域を受光領域という。撮像素子8は、例えば照明領域Aの長手方向及び短手方向に沿って複数の画素が配置された、例えばCCDセンサやCMOSセンサを含んで構成される。この撮像系6は、照明系5の照明方向と照明系5による帯状の照明領域Aの長手方向とを含む面からはずれた位置から、帯状の照明領域Aを観察している。好ましくは、照明系5の照明方向と照明系5による照明領域Aの長手方向を含む面に対して、光学部材9の光軸方向とのなす角度が90度未満であり、かつ光学部材9の光軸方向に対する、照明方向と帯状の照明領域Aの長手方向とを含む面の交点は、照明領域Aとなるように設定することが好ましい。
更には、撮像素子8は、照明領域Aの長手方向と同じ方向に並んだ画素数が、照明領域Aの短手方向に沿って配列された画素数よりも多くしていることがこの好ましい。」
(4)「【0033】
図5は撮像系6が受光した画像データの一例を示すものである。図5の横軸はZ軸方向(穴Maの深さ方向)における位置座標を示し、縦軸はZ座標に対応する位置での穴Maの凹凸の程度を示している。
【0034】
本実施形態では、制御部19の演算処理部19aが撮像素子8から送信される画像データに基づいて穴Maの凹凸の程度を算出する。撮像素子8は照明領域Aが照射する光の位置に対応する画素Gが輝度情報を取得する。演算処理部19aは、照明領域Aの短手方向(同図の縦軸方向)に配置された画素Gから取得された輝度情報に対して加重平均等の手法を用いて輝度重心を算出する。この輝度重心に対応した座標をプロットしたものを図5に示す。図5に示す各点(輝度重心)は基準位置からの穴Maの表面の凹凸状態を示すものである。すなわち、演算処理部19aは、図5に示す輝度重心のプロットから穴Maの内面における照明領域Aの長さ方向に沿った凹凸形状を算出するようになっている。」
(5)「【0042】
図6に示すように、本実施形態に係る測定部112は、第1撮像部30及び第2撮像部31を有している。第1撮像部30及び第2撮像部31は不図示の本体部3に取り付けられている。第1撮像部30は、撮像素子32と照明領域Aの散乱光を撮像素子32に集光させるレンズアレイ33とを含む。レンズアレイ33は、第1の実施例で用いたセルフォックレンズアレイまたは後述のピンホールアレイと同じピッチで配列されたレンズアレイでもよい。第2撮像部31は、第1撮像部30と同様の構成からなり、撮像素子32と光学部材33とを備えるものである。各撮像素子32の受光面の近傍にはピンホールアレイPAが設けられている。ピンホールアレイPAは、各撮像素子32の各画素に対応するピッチでピンホールが複数形成されたものである。なお、本実施形態においては、上記第1実施形態と異なり、撮像素子32として穴Maの深さ方向にのみ画素が1列配置されたライン状CCDが用いられる。また、撮像素子32の画素が十分小さい場合には、画素の大きさをピンホールと見てピンホールアレイPAと撮像素子32とが一体になったものと考えてよい。
【0043】
図6に示すように、第1撮像部30は被検面である穴Maに設定した基準面(同図中、破線で示す面)よりも一方に(図6の+X方向に)ずれた第1の位置P1から照射される光(散乱光)にピントが合うように設定されている。ここで、基準面とは例えば穴Maの内径の平均値や、穴加工を行う際の目標値等に基づいて設定されるものである。また、第2撮像部31は被検面である穴Maに設定した基準面よりも他方に(図6の-X方向に)ずれた第2の位置P2から照射される光にピントが合うように設定されている。」
(6)「【0055】
本実施形態では、図8に示すグラフを予め算出しておき制御部19の演算処理部19a内の記憶部に記憶しておく。制御部19は第1撮像部30及び第2撮像部31から送信された画像から光強度(光量の差分)を算出し、この値から記憶部に記憶される図8のグラフに基づき、任意の測定点Pにおける凹凸の程度が基準面(図8における点Q)からどれだけ離れているか(即ち図8での点Qと点Pとの距離d1)を算出することができる。」
(7)「【0061】
本実施形態によれば、第1撮像部30及び第2撮像部31が撮像する光量(差分)に基づいて穴Maの凹凸形状を算出することができる。また、演算処理部19aは画素が一列に配置された撮像素子32から送信される情報のみを処理すればよいため、演算処理を簡略化できる。」
(8)「【図1】
[図:0001389435000006.jpg]
【図2】
[図:0001389435000007.jpg]
【図3】
[図:0001389435000008.jpg]
【図5】
[図:0001389435000009.jpg]
」
上記(1)から(8)の記載を参酌すると、甲第4号証には、以下の技術事項が記載されている。
「内径の異なる種々の穴形状を精度良く測定するため、形状測定部10と、制御部19と、表示部110と有して構成される測定装置100において、形状測定部10は、載置台15上に載置された測定対象として載置台15上に載置される物体Mの穴Maの形状を測定し、制御部19は、この形状測定部10から出力される角度情報及び測定情報に基づいて被測定物体としての物体Mの穴Maに関する形状情報を算出し、表示部110は、制御部19により算出された形状情報を、例えば、3次元画像にして出力する」との技術事項、
及び、
「測定装置100は測定部12を用いて物体Mの穴Maの内側の情報(穴Maの内周面の少なくとも一部に関する形状、寸法、凹凸分布、及び表面粗さの少なくとも1つを含む。)を測定することができるものであって、測定部12は、本体部3と、穴Maの内周面に照明光Lを照明する照明系5と、該照明系5による照明領域を撮像する撮像系6と、光吸収部材7とを備え、撮像系6は、二次元的に配列された複数の画素を有し各画素に入射した光の光量を画素ごとに検出することができる撮像素子8と、該撮像素子8の受光領域に照明光による像を結像させる光学部材9とを備え、制御部19の演算処理部19aが撮像素子8から送信される画像データに基づいて穴Maの凹凸の程度を算出する」との技術事項。
5 甲第5号証
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プラズマ装置、特には半導体デバイス製造工程のプラズマエッチング装置に使用されるプラズマエッチング用電極板に関するものである。」
(2)「【0015】また、請求項7では電極板の材質を、シリコン、カーボン、アルミニウム、炭化けい素のいずれか1種からなるものとした。」
(3)「【0036】次に、この素材をマシニングセンターに取り付け、電極板の中心から100mmφの内周領域内に、外径0.55mmの単結晶ダイヤモンドツールを用いてピッチ間隔7mmで158孔をダイヤ加工した。この内周領域内の小径孔の孔径を測定したところ、0.56~0.58mmφの範囲であった。」
6 甲第6号証
(1)「【0001】
この発明は、プラズマエッチング装置に使用するパーティクル発生の少ないプラズマエッチング用電極板に関するものであり、特に長時間プラズマエッチングを行ってもパーティクルを発生することの少ないプラズマエッチング用電極板に関するものである。」
(2)「【0010】
そして、表面粗さRaをJIS-B0601で定義される表面粗さとすると、この発明のプラズマエッチング用電極板の貫通細孔5の前記エッチングガス流出側の内壁面に形成されている平滑面部分13の表面粗さはRa:0.5μm未満の範囲内にあってその表面粗さは滑らかなほど好ましいが、前記エッチングガス流入側内壁面に形成されている粗面部分12の表面粗さはRa:0.5~20μmの範囲内にあることが好ましい。
・・・以下省略・・・ 」
7 甲第7号証
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、半導体集積回路の製造工程に用いられる、ドライエッチング装置などのフロロカーボン系プラズマ生成用のシリコン製電極の洗浄方法およびこれを適用する半導体装置の製造方法に関するものである。」
(2)「【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明する。本発明のシリコン製電極の洗浄方法では、フロロカーボン系プラズマを生成する装置の反応室内にフロロカーボン系ガスを供給するためにシリコン製電極に形成されたガスノズル孔の内壁に、プラズマ生成によって形成され、蓄積したCFxポリマーを除去するために、シリコン製電極をシリコンに対してエッチング作用をもつ洗浄液を用いて、好ましくは洗浄液に浸漬して洗浄する。」
(3)「【0022】本発明の洗浄方法において、洗浄液には界面活性剤を含めてもよい。本発明のシリコン製電極の洗浄方法において、シリコン製電極に対して洗浄効果が高いバッファードフッ酸およびフッ酸・硝酸混合溶液を用いてシリコン製電極を洗浄した場合、ガスノズル孔内壁にマイクロラフネスの発生が認められる場合がある。バッファードフッ酸の場合を例にとると、Rmax 15μm程度のマイクロラフネスがガスノズル内壁に発生することがある。この程度のマイクロラフネスの発生がシリコン製電極の使用に悪影響を与えることはないと考えられる。しかしながら、洗浄の繰り返しにより、マイクロラフネスが進行する恐れがあることから、実施可能な洗浄回数が制限される可能性がある。洗浄液への界面活性剤の添加は、マイクロラフネスの発生を低減する効果を有する。」
(4)「【0059】洗浄工程実施後のシリコン製電極のガスノズル径は、洗浄前と比較し5μm程度しか拡大しなかった。シリコン製電極を、再び図1に示したドライエッチング装置に設置し、シリコン酸化膜のドライエッチング加工をおこなった。ドライエッチング加工は図5に示した二酸化シリコン酸化膜の処理とし、ウェハ換算で2000枚、高周波印加の累積時間が100時間になるまで実施した。この時の反応室7内のパーティクルカウント数推移を図7に示した。パーティクルは高周波印加の累積時間で10時間毎にカウントした。0.25μm径パーティクルの量の増分は、高周波印加の累積時間が0から100時間と、100時間から200時間で変動はなく、150時間近傍で増加するという問題が回避できた。このことより、本洗浄方法によりシリコン製電極の清浄度が回復していることがわかった。なお、図7でプロットが50時間毎に途切れているのは、この時期に装置の保守を行ったためである。」
8 甲第8号証
(1)「【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、プラズマエッチング装置に使用する単結晶Si電極板に関するものである。」
(2)「【0007】この発明は、かかる研究結果に基づいてなされたものであって、厚さ方向に平行に貫通細穴が設けられているプラズマエッチング用単結晶Si電極板において、貫通細穴は穴径:0.2~0.4mm、座標軸のX軸方向およびY軸方向のピッチが1~3mmとなるように設けられているプラズマエッチング用単結晶Si電極板に特徴を有するものである。」
(3)「【0009】この発明の単結晶Si電極板の貫通細穴5はドリル等により形成されるが、貫通細穴の端部がドリル等で穴明けしたままの直角状態となっていると、エッチング開始初期に貫通細穴端部の直角部分に局部集電し、貫通細穴の端部の直角部分が脱落し、パーティクルとなってSiウエハに付着し、Siウエハ不良品発生の原因となることがある。」
9 甲第9号証
(1)「【0001】
本発明はプレスにより打ち抜き加工されたワークの貫通穴の内径を正確に測定できるプレス加工穴の内径測定装置に関する。」
(2)「【0020】
図5には内径測定装置におけるワーク選別手順を示す。ワークWはフィーダによって既述のように同一方向へ揃えられて(ステップ101)ワーク供給位置でシュート2から回転テーブル1の凹所12内へ供給される(ステップ102)。ここでエアパージによって埃が除去された後(ステップ103)、回転テーブル1が第1検査位置L1へ回転してワーク貫通穴W1の下側開口を含む領域が下方からカメラ42で撮影される(ステップ104)。カメラ撮影画像の一例を図6に示す。画像は貫通穴W1を通過した平行光が入射する領域Rのみが高輝度となり、他の領域Sは低輝度となる。
【0021】
プレス打ち抜き加工により形成された貫通穴W1は図6に示すように楕円形となる場合があるが、画像処理装置6では、高輝度領域Rの最小内径dを図6の破線で示すように公知の方法で算出し測定する。測定された最小内径dが所定の設定値よりも小さい場合には画像処理装置6は当該ワークWを不良品と判定する。不良品と判定された場合には、第1不良品排出位置M1へ至った時に既述のようにワークWが凹所12内から不良品回収バッグ51へ排出される(ステップ105)。
・・・途中省略・・・
【0023】
ここで、カメラ42,44の被写界深度は、焦点を中心に±X(mm)の範囲とし、ワークWの厚み(すなわち貫通穴W1の長さ)をYとして、2X>Yとなるように被写界深度を設定してある。これにより、上下の各カメラ42,44の焦点をそれぞれワークWの表面と裏面に合わせておけば、図7に示すような貫通穴W1の内周に付着した異物W4がいずれかのカメラ42,44で確実に捉えられるから、異物W4により狭められた高輝度領域Rの最小内径dを図7の破線で示すように算出し測定することができる。
【0024】
このようにして、ワークWの表裏から貫通穴W1をカメラ42,44で撮影してその最小内径dを測定し、内径測定値が設定値よりも小さいワークWを不良品として排除するようにしたから、面ダレの影響を受けることなく確実に不良品を排除することができる。」
(3)「【図6】
[図:0001389435000010.jpg]
【図7】
[図:0001389435000011.jpg]
」
10 甲第10号証
(1)「
[図:0001389435000012.jpg]
」(第3ページから第4ページ)
(2)「
[図:0001389435000013.jpg]
」(第23ページ)
11 甲第11号証
(1)「【請求項16】 気密に保たれた処理容器内に配置され、被処理体を載置する載置台と、前記載置台に対向して配置された一以上のガス噴出孔を有する電極とを備えたプラズマ処理装置において、
前記電極は、一以上のガス噴出孔を有し、かつ電極面に対して平行な面となるように削り取られた表面を有する電極と、
一以上のガス通路孔を有し、かつ前記削り取られた表面を有する電極の削り取られた厚さ分の厚さを持つスペーサとからなり、
前記スペーサは、電極支持部材及び前記削り取られた表面を有する電極間に挟んで使用可能としたことを特徴とするプラズマ処理装置。
【請求項17】 プラズマ処理装置の処理室内に、プロセスガスを導入する一以上のガス噴出孔を有する電極を交換する方法において、
前記電極の表面を電極面に対して平行な面となるように削り取る工程と、
一以上のガス通路孔を有し、かつ前記削り取る工程により加工された電極の削り取られた厚さ分の厚さを持つスペーサを、電極の一部分として取り付ける工程とを含むことを特徴とするプラズマ処理装置の電極を交換する方法。」
(2)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は半導体製造装置、特にプラズマエッチング装置やプラズマCVD装置などのプラズマを用いて被処理体を処理する装置に関するものである。」
(3)「【0012】また、電極は、一以上のガス噴出孔を有し、かつ電極面に対して平行な面となるように削り取られた表面を有する電極と、一以上のガス通路孔を有し、かつ前記削り取られた表面を有する電極の削り取られた厚さ分の厚さを持つスペーサとからなり、前記スペーサは、電極支持部材及び前記削り取られた表面を有する電極間に挟んで使用可能としたことで、電極部分全体の厚さを変えることなく、電極の再利用が可能になり、電極の寿命が従来のものに比して長くなる。
【0013】また、電極の表面を電極面に対して平行な面となるように削り取る工程と、一以上のガス通路孔を有し、かつ前記削り取る工程により加工された電極の削り取られた厚さ分の厚さを持つスペーサを、電極の一部分として取り付ける工程とを含む方法によりプラズマ処理装置の電極を交換することで、電極部分全体の厚さを変えることなく、電極の再利用が可能になり、電極の寿命が従来のものに比して長くなる。」
(4)「【0015】図1に示した2つの高周波電源を有する平行平板型プラズマエッチング装置1には、気密に保たれた処理容器2内に、処理室3が形成されていると共に、処理容器2は接地線4によって接地されている。また、処理容器2の底部には、絶縁支持板5が設けられている。そして、ウエハWをゲートバルブ6から搬入して、絶縁支持板5の上部に、ウエハWを載置すると共に、下部電極となるサセプタ7が配置されている。
・・・途中省略・・・
【0019】処理室3の上部には、絶縁支持部材14を介して、例えば、アルミニウムからなる略円盤状の上部電極支持部材15が設けられている。この上部電極支持部材15の内部には、中空部16が形成されており、中空部16には、ガス導入管17が接続されている。さらに、ガス導入管17には、バルブ18及びマスフローコントローラ19を介して、ガス供給源20が接続されている。
【0020】上部電極支持部材15には、中空部16の下方に対応する位置に、一以上のガス供給孔21が形成されている。さらに、上部電極支持部材15の下面には、上部電極22が密着して取り付けられていると共に、上部電極22はサセプタ7と対向して配置されている。
・・・途中省略・・・
【0025】また、上部電極22には、上部電極支持部材15及びマッチング回路からなる上部整合器28aを介して、第1高周波電源29aが接続されている。一方、サセプタ7には、マッチング回路からなる下部整合器28bを介して、第2高周波電源29bが接続されている。従って、処理時には、まずサセプタ7上にウエハWを載置し、処理室3内をガスの導入及び真空引きにより所定の減圧雰囲気に保つ。その後、上部電極22に第1高周波電源29aから所定の高周波電力を印加すると、処理室3内にプラズマが励起され、さらに、サセプタ7には、第2高周波電源29bから所定の高周波電力が印加され、励起されたプラズマが効果的にウエハWの被処理面に引き込まれる。その結果、ウエハWに対して、所望のエッチング処理を施すことができる。
【0026】また、処理容器2の外部には、図示しない光学式表面センサが設けられており、この光学式表面センサは、図示しない発光側光学系及び受光側光学系、CPUで構成されている。従って、発光側光学系より上部電極22に光を照射し、反射した光を受光側光学系で感知して上部電極22の表面状態を検出し、CPUでプラズマによって侵食される前の上部電極22の表面状態と比較することにより、上部電極22の寿命の有無を判断することができる。
【0027】ここで、上部電極22の表面状態を検出する手段としては、光学式表面センサに限定されるものではない。例えば、電磁式表面センサや、処理時間及び処理回数から上部電極22の寿命を判断する手段のように、上部電極22の寿命を判断できれば、どのような手段でもよい。」
(5)「【0036】図6に示した上部電極22の拡大図は、図5に示した第2実施例の上部電極22が、下部板22bを回転によりスライドさせて変えながら使用したときに、プラズマによって侵食されたときの侵食部分32を黒く塗りつぶして示したものであり、プラズマは、上部板22aのガス通路孔23aの側面23sに当たるため、電極のさらに内部までは入り込まず、侵食部分32は、上部電極支持部材15には至っていないと共に、プラズマが当たる上部板22aのガス通路孔23aの側面23sの位置が変わるので、上部板22aの下部板22bに面する部分のガス通路孔23aの側面23sが複数箇所侵食されている。」
(6)「【0045】図10に示した上部電極22の拡大図は、本発明の第5実施例を示したものであり、図4に示したプラズマによって侵食された上部電極22において、プラズマによって侵食された下部板22bの一部を、プラズマによって侵食される前の電極面22sに対して平行な面となるように下部板22bの表面を研磨して削り取り、上部板22a及び下部板22bは180度反転し、削り取られた表面を有する下部板22bの削り取られた厚さ分の厚さを持つ、例えば、シリコンからなるスペーサ34を、上部板22a及び削り取られた表面を有する下部板22b間に挟んだ状態を示している。従って、上部電極部分全体の厚さを変えることなく、下部板22bの再利用が可能になり、電極の寿命が従来のものに比して長くなる。」
(7)「【0047】図11に示した上部電極22の拡大図は、本発明の第6実施例を示したものであり、プラズマによって侵食された従来の上部電極において、プラズマによって侵食された従来の上部電極の一部を、プラズマによって侵食される前の電極面22sに対して平行な面となるように従来の上部電極の表面を研磨して削り取り、削り取られた表面を有する従来の上部電極の削り取られた厚さ分の厚さを持つ、例えば、シリコンからなるスペーサを、上部電極支持部材15及び削り取られた表面を有する従来の上部電極間に挟んだ状態を示している。従って、上部電極部分全体の厚さを変えることなく、従来の上部電極の再利用が可能になり、電極の寿命が従来のものに比して長くなる。
【0048】ここで、図11においては、削り取られた従来の上部電極は下部板22bとして、スペーサは上部板22aとして示されている。
【0049】ここで、従来の上部電極の表面を電極面22sに対して平行な面となるように削り取る方法は、研磨に限定されるものではない。例えば、切断でもよい。このように、従来の上部電極の表面を電極面22sに対して平行な面となるように削り取る方法なら、どのような方法でもよい。」
(8)「【図1】
[図:0001389435000014.jpg]
【図11】
[図:0001389435000015.jpg]
」
上記(1)から(8)の記載事項から、甲第11号証には、以下の2つの発明が記載されている。
「プラズマ処理装置の電極を交換することで、電極部分全体の厚さを変えることなく、電極の再利用を可能とする方法であって(【0013】)、
前記プラズマ処理装置は、気密に保たれた処理容器2内に、処理室3が形成されていると共に、処理容器2は接地線4によって接地されており、前記処理容器2の底部には、絶縁支持板5が設けられ、ウエハWをゲートバルブ6から搬入して、絶縁支持板5の上部に、ウエハWを載置すると共に、下部電極となるサセプタ7が配置され(【0015】)、
処理室3の上部には、絶縁支持部材14を介して、例えば、アルミニウムからなる略円盤状の上部電極支持部材15が設けられており、この上部電極支持部材15の内部には、中空部16が形成されており、中空部16には、ガス導入管17が接続されており、ガス導入管17には、バルブ18及びマスフローコントローラ19を介して、ガス供給源20が接続されており(【0019】)、
上部電極支持部材15には、中空部16の下方に対応する位置に、一以上のガス供給孔21が形成されており、さらに、上部電極支持部材15の下面には、上部電極22が密着して取り付けられていると共に、上部電極22はサセプタ7と対向して配置されている(【0020】)、2つの高周波電源を有する平行平板型プラズマエッチング装置1であり(【0015】)、
上部電極22(22b)は処理室内に、プロセスガスを導入する一以上のガス噴出孔を有するものであり(【請求項17】)、
上部電極22(22b)の表面をプラズマによって侵食される前の電極面(22s)に対して平行な面となるように削り取る工程と(【0047】)、
一以上のガス通路孔を有し、かつ前記削り取る工程により加工された電極の削り取られた厚さ分の厚さを持つスペーサ(22a)を、上部電極22の一部分として取り付ける工程(【請求項17】、【0047】)、とを含み、
処理容器2の外部には、光学式表面センサが設けられており、この光学式表面センサは、発光側光学系及び受光側光学系、CPUで構成されており、発光側光学系より上部電極22に光を照射し、反射した光を受光側光学系で感知して上部電極22の表面状態を検出し、CPUでプラズマによって侵食される前の上部電極22の表面状態と比較することにより、上部電極22の寿命の有無を判断する(【0026】)、
ことを含む、電極の再利用を可能とする方法。」(以下、「甲11方法発明」という。)
「2つの高周波電源を有する平行平板型プラズマエッチング装置1であって(【0015】)、
気密に保たれた処理容器2内に、処理室3が形成されていると共に、処理容器2は接地線4によって接地されており、前記処理容器2の底部には、絶縁支持板5が設けられ、ウエハWをゲートバルブ6から搬入して、絶縁支持板5の上部に、ウエハWを載置すると共に、下部電極となるサセプタ7が配置され(【0015】)、
処理室3の上部には、絶縁支持部材14を介して、例えば、アルミニウムからなる略円盤状の上部電極支持部材15が設けられており、この上部電極支持部材15の内部には、中空部16が形成されており、中空部16には、ガス導入管17が接続されており、ガス導入管17には、バルブ18及びマスフローコントローラ19を介して、ガス供給源20が接続されており(【0019】)、
上部電極支持部材15には、中空部16の下方に対応する位置に、一以上のガス供給孔21が形成されており、さらに、上部電極支持部材15の下面には、上部電極22が密着して取り付けられていると共に、上部電極22はサセプタ7と対向して配置されており(【0020】)、
上部電極22(22b)は処理室内に、プロセスガスを導入する一以上のガス噴出孔を有するものであり(【請求項17】)、
上部電極22には、上部電極支持部材15及びマッチング回路からなる上部整合器28aを介して、第1高周波電源29aが接続されており、一方、サセプタ7には、マッチング回路からなる下部整合器28bを介して、第2高周波電源29bが接続されており(【0025】)、
処理容器2の外部には、光学式表面センサが設けられており、この光学式表面センサは、発光側光学系及び受光側光学系、CPUで構成されており、発光側光学系より上部電極22に光を照射し、反射した光を受光側光学系で感知して上部電極22の表面状態を検出し、CPUでプラズマによって侵食される前の上部電極22の表面状態と比較することにより、上部電極22の寿命の有無を判断することができる(【0026】)、
平行平板型プラズマエッチング装置1。」(以下、「甲11装置発明」という。)
12 甲第12号証
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば半導体ウエハに対して成膜等の処理を行う処理装置及びこの構成部品の洗浄方法に関する。」
(2)「【0031】<流体研磨処理>次に、流体研磨処理について説明する。この流体研磨処理では、比較的軟らかく、且つ粘性の大きな液状の研磨スラリーを、圧力を高くした状態で配管類の流路内やシャワーヘッド部のガス噴射孔などの狭隘な部分に流し込んで、その内壁面を研磨する洗浄方法である。この場合には、前述した化学的研磨処理(1)~(7)や、電解研磨処理を組み合わせてもよいが、この流体研磨処理を単独で用いてもよい。特に、例えばガス噴射孔の内面を洗浄するような場合には、以下に説明するように優れた効果を発揮できる。 ・・・以下省略・・・ 」
(なお、上記(1)と(7)は、丸数字の代用として合議体で使用したものである。)
13 甲第13号証
(1)「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はプラズマエッチング装置用電極の製造方法に関し、より詳細には半導体製造のエッチング工程等で使用される反応性イオンエッチング装置に好適に用いられる、エッチング活性ガスに対する耐腐食性に優れたプラズマエッチング装置用電極の製造方法に関する。」
(2)「【0015】本発明において、プラズマエッチング装置電極の製造に用いるSiO2 素材としては、高純度で、かつある程度の大きさの盤状形状のものが容易に得られること及び所定形状に加工し易いこと等の観点から石英ガラスの使用が好ましいが、他のSiO2素材でもかまわない。但し、Alとの反応性を考慮すると非晶質であることが好ましい。 ・・・以下省略・・・ 」
第5 当審の判断
1 申立理由1(進歩性)について
(1)請求項1に係る発明について
ア 対比
請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という。)と甲1発明とを対比する。
甲1発明は、「プラズマエッチング装置用として使用できる反応ガス整流用の多数の小径孔を有する電極板の小径孔内壁表面粗さの測定方法」であるから、本件発明1と甲1発明とは、「プラズマエッチング装置用の電極における基材を厚さ方向に貫通するよう設けられたガス導入孔を測定する方法」という点で共通しており、その余の点においては相違している。
したがって、本件発明1と甲1発明とは、
「プラズマエッチング装置用の電極における基材を厚さ方向に貫通するよう設けられたガス導入孔を測定する方法。」
という点で一致し、以下の点で相違している。
(相違点1)
本件発明1においては、ガス導入孔を測定するに際して「前記基材の一方面側から前記ガス導入孔に向けて光を照射する照射工程」を備えているのに対し、甲1発明においては、かかる工程を備えていない点。
(相違点2)
本件発明1においては、ガス導入孔を測定するに際して「前記ガス導入孔を介して前記基材の他方面側に透過した前記光の2次元画像を取得する2次元画像取得工程」を備えているのに対し、甲1発明においては、かかる工程を備えていない点。
(相違点3)
本件発明1においては、ガス導入孔を測定するに際して「前記2次元画像の少なくとも境界部分での信号変化を演算する画像処理工程」を備えているのに対し、甲1発明においては、かかる工程を備えていない点。
(相違点4)
本件発明1においては、ガス導入孔を測定するに際して「前記画像処理工程での前記2次元画像の信号処理の結果に基づいて前記ガス導入孔の径、内壁面の粗さ及び垂直度合いのうち少なくとも1つを測定する測定工程」を用いて測定しているのに対し、甲1発明においては、小径孔内壁表面粗さの測定を「電極板の小径孔に液状型取りゴムを充填し硬化させ、小径孔内壁パターンを転写させて取りはずし、型取りゴムの表面粗さを測定」している点。
イ 判断
相違点4で言及した「測定工程」は、相違点3で言及した「前記2次元画像の少なくとも境界部分での信号変化を演算する画像処理工程」による「結果」が前提になっているから、相違点3及び4をあわせて検討する。
甲第2号証には、上記「第4 甲号証の記載、甲号証に記載された発明等」の「2 甲第2号証」で示した技術事項が記載されているものの、本件発明1が備える「前記2次元画像の少なくとも境界部分での信号変化を演算する画像処理工程」及び「前記画像処理工程での前記2次元画像の信号処理の結果に基づいて前記ガス導入孔の径、内壁面の粗さ及び垂直度合いのうち少なくとも1つを測定する測定工程」については、記載されておらず、またそのような工程を示唆する記載もない。
同様に、甲第3号証には、上記「第4 甲号証の記載、甲号証に記載された発明等」の「3 甲第3号証」で示した技術事項が記載されているものの、本件発明1が備える「前記2次元画像の少なくとも境界部分での信号変化を演算する画像処理工程」及び「前記画像処理工程での前記2次元画像の信号処理の結果に基づいて前記ガス導入孔の径、内壁面の粗さ及び垂直度合いのうち少なくとも1つを測定する測定工程」については、記載されておらず、またそのような工程を示唆する記載もない。
さらに、甲第4号証には、上記「第4 甲号証の記載、甲号証に記載された発明等」の「4 甲第4号証」で示した技術事項が記載されているものの、本件発明1が備える「前記2次元画像の少なくとも境界部分での信号変化を演算する画像処理工程」及び「前記画像処理工程での前記2次元画像の信号処理の結果に基づいて前記ガス導入孔の径、内壁面の粗さ及び垂直度合いのうち少なくとも1つを測定する測定工程」については、記載されておらず、またそのような工程を示唆する記載もない。
以上のように、甲第2~4号証には、本件発明1が備える「前記2次元画像の少なくとも境界部分での信号変化を演算する画像処理工程」及び「前記画像処理工程での前記2次元画像の信号処理の結果に基づいて前記ガス導入孔の径、内壁面の粗さ及び垂直度合いのうち少なくとも1つを測定する測定工程」については、記載されておらず、またそのような工程を示唆する記載もない。
さらに、前記「画像処理工程」及び「測定工程」が当該技術分野において、本件特許の優先権主張日前に当業者にとって周知のものであるとの証拠もない。
してみると、相違点1及び2について判断するまでもなく、本件発明1は、甲1発明及び甲第2~4号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。
なお、異議申立書の第27ページでの主張において提示されている甲第5~8号証には、上記「第4 甲号証の記載、甲号証に記載された発明等」の「5 甲第5号証」~「8 甲第8号証」で摘記した事項からも明らかなように、本件発明1が備える前記「画像処理工程」及び「測定工程」については、記載されておらず、またそのような工程を示唆する記載もないから、本件発明1の進歩性を否定するための証拠となり得ない。
(2)請求項2~5に係る発明について
請求項2~5に係る発明は、請求項1を引用する発明であるから、上記「(1)請求項1に係る発明について」で検討した相違点1~4を全て含んでいる。
してみると、請求項2~5に係る発明は、本件発明1で検討したのと同様の理由により、甲1発明及び甲第2~4号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。
なお、異議申立書の第28~29ページでの請求項3に係る発明に対する主張において提示されている甲第9及び10号証について検討するに、上記「第4 甲号証の記載、甲号証に記載された発明等」の「9 甲第9号証」~「10 甲第10号証」で摘記した事項を参酌すると、甲第9号証には、「プレスにより打ち抜き加工されたワークの貫通穴の内径を正確に測定できるプレス加工穴の内径測定装置において、貫通孔を撮影したカメラ撮影画像では、貫通穴W1を通過した平行光が入射する領域Rのみが高輝度となり、他の領域Sは低輝度となり、異物W4が貫通孔の内周に付着している場合には高輝度領域Rが狭められる。」との技術事項が記載されており、甲第10号証には、「画像処理によるエッジ検出」に関する技術事項が記載されている。
しかしながら、甲1発明に甲第9号証や甲第10号証に記載されている技術事項を適用するには、まず、甲1発明に甲第2~4号証に記載された光学的な手段を用いた技術事項を適用した上で、さらに甲第9号証や甲第10号証に記載されている技術事項を適用しなければならないため(いわゆる「容易の容易」)採用できない。
したがって、異議申立人が周知技術として主張する甲第9及び10号証の記載を参酌しても、請求項2~5に係る発明は、甲1発明及び甲第2~4号証に記載された技術事項、並びに甲第9、10号証に記載された周知技術に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。
(3)請求項6に係る発明について
ア 対比
請求項6に係る発明(以下、「本件発明6」という。)と甲11方法発明とを対比する。
(ア)甲11方法発明は、「プラズマ処理装置の電極を交換することで、電極部分全体の厚さを変えることなく、電極の再利用を可能とする方法であって、・・・前記プラズマ処理装置は、・・・2つの高周波電源を有する平行平板型プラズマエッチング装置1であり、上部電極22(22b)は処理室内に、プロセスガスを導入する一以上のガス噴出孔を有するもの・・・」であるから、甲11方法発明の「上部電極22(22b)」は、本件発明6の「基材の厚さ方向に貫通するガス導入孔が設けられたプラズマエッチング装置用の電極』に相当する。
(イ)甲11方法発明は、「処理容器2の外部には、光学式表面センサが設けられており、この光学式表面センサは、発光側光学系及び受光側光学系、CPUで構成されており、発光側光学系より上部電極22に光を照射し、反射した光を受光側光学系で感知して上部電極22の表面状態を検出し、CPUでプラズマによって侵食される前の上部電極22の表面状態と比較することにより、上部電極22の寿命の有無を判断する」手段を用いて、「上部電極22の表面状態を検出」している。
してみると、本件発明6と甲11方法発明とは、「プラズマエッチング装置において使用された電極の状態を測定する工程」を有しているという点で共通している。
その一方で、甲11方法発明においては、表面状態を検出する「上部電極22」がどの程度の時間使用されたものであるのかについて特定されていない。また、甲11方法発明においては、「上部電極22の表面状態を検出」するのであって、本件発明6のように「電極のガス導入孔」の状態を測定している旨特定されていない。
(ウ)甲11方法発明の「上部電極22(22b)の表面をプラズマによって侵食される前の電極面(22s)に対して平行な面となるように削り取る工程」は、本件発明6のように「前記ガス導入孔の状態の測定結果に基づき」との特定はないものの、「基材の表面の研磨を行う工程」に対応するものといえる。
(エ)甲11方法発明は、「上部電極22(22b)の表面をプラズマによって侵食される前の電極面(22s)に対して平行な面となるように削り取る工程」が実行された「上部電極22(22b)」を「スペーサ(22a)」とともに用いるのであるから、本件発明6と同様に「プラズマエッチング装置用の電極の再生方法」といえるものである。
上記(ア)から(エ)で言及したことを踏まえると、本件発明6と甲11方法発明とは、
「基材の厚さ方向に貫通するガス導入孔が設けられたプラズマエッチング装置用の電極の再生方法であって、
前記プラズマエッチング装置において使用された前記電極の状態を測定する工程と、
前記基材の表面の研磨を行う工程と、
を備えた、
プラズマエッチング装置用の電極の再生方法。」
という点で一致し、以下の点で相違している。
(相違点1)
本件発明6においては、「前記プラズマエッチング装置において所定時間使用された前記電極の前記ガス導入孔の状態を測定する工程」と特定されているのに対し、甲11方法発明においては、表面状態を検出する「上部電極22」がどの程度の時間使用されたものであるのかについて特定されていない点、及び、本件発明6のように「電極のガス導入孔の状態を測定している」旨特定されていない点。
(相違点2)
本件発明6においては、「前記ガス導入孔の状態の測定結果に基づき前記基材の表面の研磨及び前記ガス導入孔の内壁面の加工の少なくとも一方を行う工程」と特定されているのに対し、甲11方法発明の「上部電極22(22b)の表面をプラズマによって侵食される前の電極面(22s)に対して平行な面となるように削り取る工程」は、本件発明6のように「前記ガス導入孔の状態の測定結果に基づき」との特定はされていない点。
(相違点3)
本件発明6においては、「加工後の前記ガス導入孔の状態を測定する工程」を備えているのに対し、甲11方法発明においては、かかる工程を備えていない点。
(相違点4)
本件発明6においては、「ガス導入孔の状態を測定する工程」についてその具体的な工程として、「前記基材の一方面側から前記ガス導入孔に向けて光を照射する照射工程と、前記ガス導入孔を介して前記基材の他方面側に透過した前記光の2次元画像を取得する2次元画像取得工程と、前記2次元画像の少なくとも境界部分での信号変化を演算する画像処理工程と、前記画像処理工程での前記2次元画像の信号処理の結果に基づいて前記ガス導入孔の径、内壁面の粗さ及び垂直度合いのうち少なくとも1つを測定する測定工程と、を含む」旨特定されているのに対し、甲11方法発明においては、「上部電極22の表面状態を検出する」ための具体的な工程として、本件発明6で特定されているような各種工程が特定されていない点。
イ 判断
事案に鑑みて、相違点4について検討する。
上記「(1)請求項1に係る発明について」の「イ 判断」で検討したとおり、甲第2~4号証には、本件発明6の「ガス導入孔の状態を測定する工程」が備える「前記2次元画像の少なくとも境界部分での信号変化を演算する画像処理工程」及び「前記画像処理工程での前記2次元画像の信号処理の結果に基づいて前記ガス導入孔の径、内壁面の粗さ及び垂直度合いのうち少なくとも1つを測定する測定工程」については、記載されておらず、またそのような工程を示唆する記載もない。
また、甲第1号証にも「前記2次元画像の少なくとも境界部分での信号変化を演算する画像処理工程」及び「前記画像処理工程での前記2次元画像の信号処理の結果に基づいて前記ガス導入孔の径、内壁面の粗さ及び垂直度合いのうち少なくとも1つを測定する測定工程」については、記載されておらず、またそのような工程を示唆する記載もない。
さらに、前記「画像処理工程」及び「測定工程」が当該技術分野において、本件特許の優先権主張日前に当業者にとって周知のものであるとの証拠もない。
また、異議申立書の第32ページでの主張において提示されている甲第7、12号証に記載されている事項は、上記「第4 甲号証の記載、甲号証に記載された発明等」の「7 甲第7号証」及び「12 甲第12号証」で摘記した事項からも明らかなように、本件発明6の「ガス導入孔の状態を測定する工程」が備える前記「画像処理工程」及び「測定工程」については、記載されておらず、またそのような工程を示唆する記載もないから、本件発明6の進歩性を否定するための証拠となり得ない。
してみると、相違点1~3について判断するまでもなく、本件発明6は、甲11方法発明及び甲第1~4号証に記載された技術事項、並びに甲第7、12号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。
(4)請求項7~9に係る発明について
請求項7~9に係る発明は、請求項6を引用する発明であるから、上記「(3)請求項6に係る発明について」で検討した相違点1~4を含んでいる。
してみると、請求項7~9に係る発明は、本件発明6で検討したのと同様の理由により、甲11方法発明及び甲第1~4号証に記載された技術事項、並びに甲第7、12号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。
(5)請求項10に係る発明について
ア 対比
請求項10に係る発明(以下、「本件発明10」という。)と甲11装置発明とを対比する。
(ア)甲11装置発明の「気密に保たれた処理容器2」、「上部電極22」、「下部電極となるサセプタ7」、「第1高周波電源29a及び第2高周波電源29b」は、それぞれ本件発明10でいう「チャンバ」、「前記チャンバ内に設けられ、基材の厚さ方向に貫通するガス導入孔を有する上部電極」、「前記チャンバ内に設けられ前記上部電極と対向する下部電極」、「前記チャンバ内における前記上部電極と前記下部電極との間に高周波を印加する高周波印加部」に相当する。
(イ)甲11装置発明は、「処理容器2の外部には、光学式表面センサが設けられており、この光学式表面センサは、発光側光学系及び受光側光学系、CPUで構成されており、発光側光学系より上部電極22に光を照射し、反射した光を受光側光学系で感知して上部電極22の表面状態を検出し、CPUでプラズマによって侵食される前の上部電極22の表面状態と比較することにより、上部電極22の寿命の有無を判断する」との手段を備えており、上記「光学式表面センサ」は、「処理室内にプロセスガスを導入する一以上のガス噴出孔を有する」「上部電極22(22b)の表面状態を検出」するのであるから、本件発明10と甲11装置発明とは、「上部電極の状態を測定する測定部」を備えるという点で共通している。
上記(ア)及び(イ)で言及したことを踏まえると、本件発明10と甲11装置発明とは、
「チャンバと、
前記チャンバ内に設けられ、基材の厚さ方向に貫通するガス導入孔を有する上部電極と、
前記チャンバ内に設けられ前記上部電極と対向する下部電極と、
前記チャンバ内における前記上部電極と前記下部電極との間に高周波を印加する高周波印加部と、
前記上部電極の状態を測定する測定部と、
を備えたことを特徴とするプラズマエッチング装置。」
という点で一致し、以下の点で相違している。
(相違点1)
本件発明10においては、測定部が測定するのは「ガス導入孔の状態」であるのに対し、甲11装置発明においては、「上部電極22の表面状態」である点。
(相違点2)
本件発明10においては、「ガス導入孔の状態を測定する測定部」の具体的な構成として、「前記基材の一方面側から前記ガス導入孔に向けて光を照射する発光部と、前記ガス導入孔を介して前記基材の他方面側に透過した前記光の2次元画像を取得する受光部と、前記2次元画像の少なくとも境界部分での信号変化を演算した信号処理の結果に基づいて前記ガス導入孔の径、内壁面の粗さ及び垂直度合いのうち少なくとも1つを測定する処理を行う画像処理部とを備える」旨特定されているのに対し、甲11装置発明においては、「光学式表面センサ」の具体的な構成として、本件発明10で特定されているような各種構成が特定されていない点。
イ 判断
事案に鑑みて、相違点2について検討する。
上記「(1)請求項1に係る発明について」の「イ 判断」で検討したとおり、甲第2~4号証には、本件発明10の「ガス導入孔の状態を測定する測定部」を構成している「前記2次元画像の少なくとも境界部分での信号変化を演算した信号処理の結果に基づいて前記ガス導入孔の径、内壁面の粗さ及び垂直度合いのうち少なくとも1つを測定する処理を行う画像処理部」については、記載されておらず、またそのような構成を示唆する記載もない。
また、甲第1号証にも『前記2次元画像の少なくとも境界部分での信号変化を演算した信号処理の結果に基づいて前記ガス導入孔の径、内壁面の粗さ及び垂直度合いのうち少なくとも1つを測定する処理を行う画像処理部」については、記載されておらず、またそのような構成を示唆する記載もない。
さらに、前記「画像処理部」が当該技術分野において、本件特許の優先権主張日前に当業者にとって周知のものであるとの証拠もない。
してみると、本件発明10は、甲11装置発明及び甲第1~4号証に記載された技術事項に基づいて当業者が容易に想到し得るものではない。
(6)申立理由1(進歩性)のまとめ
以上、検討したとおり異議申立人の申し立てた申立理由1(進歩性)についての主張には理由がない。
2 申立理由2(実施可能要件)について
請求項4に係る発明について、本件特許の明細書の発明の詳細な説明に当業者がその発明を実施することができる程度に明確かつ十分に記載されているか検討する。
本件特許の明細書の段落【0109】、【0110】、【図9(a)(b)】に記載されているように、ガス導入孔の光の入口側の開口の中心と出口側の開口の中心とがずれると、ガス導入孔を透過した光の2次元画像の形状が略楕円形となるのであるから、入口側の開口の中心と出口側の開口の中心とがずれるほど、略楕円形の短軸方向の長さは短くなるから、その長短により、ガス導入孔の垂直度合いを把握することができる。
したがって、本件特許の明細書には、請求項4に係る発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。
また、本件特許の明細書の発明の詳細な説明には、図面とともに以下のように記載されている。
ア 「【0130】また、受光部220と基材11のガス導入孔12のエッジとの距離によって傾斜角度が演算される。図13に示すように、基材11の厚さをd1、受光部220上に投影されるガス導入孔12のエッジの位置と、基材11側のガス導入孔12のエッジの位置との受光部220の受光面に沿った距離をd2とした場合、tan-1(d2/d1)によってガス導入孔12の傾斜角度θを演算することができる。」
イ 「【図13】
[図:0001389435000016.jpg]
」
上記「ア」及び「イ」には、【図13】の2次元画像からガス導入孔12の傾斜角度θを演算するための方法、すなわち、請求項4の「前記2次元画像の形状に基づき、前記ガス導入孔の垂直度合いを測定する」方法が記載されているから、本件特許の明細書には、請求項4に係る発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているといえる。
また、異議申立人は特許異議申立書において、「通常、透過画像から得られる孔の形状には、凹凸のような表面粗さの情報も含まれると考えられる。このような凹凸情報が2次元画像G3の形状『略楕円形』に含まれているのか不明である。垂直度合いを測定する場合には、内壁面の粗さも考慮しなければ正しい垂直度合いを測定することはできないと考えられる。」(特許異議申立書第35ページ)とも主張している。
しかしながら、異議申立人の主張するように、ガス導入孔の内壁に凹凸がある場合、透過画像のエッジ部分がシャープに現れないこともあり得るが、ガス導入孔の垂直度合いを測定する際に、透過画像のシャープな部分のみをもって測定しても、透過画像のシャープでないエッジ部分を含めて測定しても、いずれの測定でもガス導入孔の垂直度合は測定できるから異議申立人の主張は採用できない。
以上のとおり、本件特許の明細書には、請求項4に係る発明を当業者が実施できる程度に明確かつ十分に記載されているから、申立理由2(実施可能要件)についての主張には理由がない。
3 申立理由3(明確性)について
(1)請求項4について
異議申立人は特許異議申立書において、「本件特許の請求項4では、『2次元画像の形状(略楕円形)』を基に垂直度合いを測定すると示すだけであり、2次元画像の形状『例えば略楕円形』に基づいて具体的にどのようにして垂直度合いを測定するのか不明確であり、またそのような説明がなされていない。」(特許異議申立書第35~36ページ)と主張している。
しかしながら、本件特許の明細書の段落【0109】、【0110】、【図9(a)(b)】に記載されているように、ガス導入孔の光の入口側の開口の中心と出口側の開口の中心とがずれると、ガス導入孔を透過した光の2次元画像の形状が略楕円形となるのであるから、入口側の開口の中心と出口側の開口の中心とがずれるほど、略楕円形の短軸方向の長さは短くなるから、その長短により、ガス導入孔の垂直度合いを把握することができる。
したがって、請求項4の記載は明確である。
(2)請求項5について
異議申立人は特許異議申立書において、「請求項5では「前記2次元画像の信号処理の結果と前記開口部画像とに基づき測定を行う」とあるが、「前記ガス導入孔の径、内壁面の粗さ及び垂直度合い」の算出においてそれぞれ具体的にどのようにして測定するのかが不明確である。」(特許異議申立書第37ページ)と主張している。
しかしながら、請求項5の「前記2次元画像の信号処理の結果と前記開口部画像とに基づき測定を行う」との記載は、それ自体「明確」であり、加えて、本件特許の明細書の段落【0126】~【0133】、【図12(a)~(h)】には、「2次元画像の信号処理の結果」と「開口部画像」とを用いて、ガス導入孔の状態(ガス導入孔の径、内壁面の粗さ及び垂直度合い)を検出するための具体例が例示されているから、請求項5の記載は「明確」である。
したがって、請求項5の記載は明確である。
(3)申立理由3(明確性)のまとめ
以上のとおり、請求項4及び5の記載は明確であるから、申立理由3(明確性)についての主張には理由がない。
第6 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~10に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~10に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-700573