特許拒絶査定不服審判
2023-020020
キャリッジおよびインクジェット記録装置
- 審判番号
- 2023-020020
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2019-179881外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年11月27日
- 審決日
- 2024年09月03日
- 公報発行日
- 2024年11月29日
- 結論
- 請求不成立
- 当事者
- 【請求人】コニカミノルタ株式会社
- 【請求人代理人】弁理士法人信友国際特許事務所
- 分類
- P18 .121-WZ (B41J)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2019-179881「キャリッジおよびインクジェット記録装置」拒絶査定不服審判事件〔令和3年4月8日出願公開、特開2021-53966〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、令和1年9月30日の出願であって、その手続の経緯は、概略以下のとおりである。
令和5年 6月27日付け:拒絶理由通知書
同年 8月30日 :意見書、手続補正書の提出
同年 9月 8日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
同月19日 :原査定の謄本の送達
同年11月27日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和6年 5月29日付け:拒絶理由通知書
同年 7月11日 :意見書、手続補正書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1から10に係る発明は、令和6年7月11日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1から10に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次に特定されるとおりである。
「 【請求項1】
インク貯留部が固定して搭載されるフレームと、
前記フレームに取り付けられ、前記インク貯留部から供給されるインクを吐出する複数のインクジェットヘッドと、
前記フレームと前記インクジェットヘッドとの相対的な取付角度を調整可能な取付角度調整部と
を備え、
前記インク貯留部は、鉛直方向に対して傾いておらず、
前記複数のインクジェットヘッドは、前記フレームの長手方向に一列に並べて配列されており、かつ、高さが同一であり、
前記取付角度調整部は、前記フレームの長手方向の一方と他方に位置する一対の回動基準を中心に前記複数のインクジェットヘッドを回動させて前記取付角度を調整可能であるキャリッジ。」
第3 当審における拒絶の理由
当審が通知した拒絶理由の拒絶の理由は、令和6年5月29日付け拒絶理由通知書に記載した理由1であって、要するに、この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった次の引用文献1、2記載の発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、という理由を含むものである。
1.特開2017-1350号公報
2.米国特許出願公開第2013/0271517号明細書
第4 引用文献
1 引用文献1
(1)引用文献1の記載事項
当審において通知した拒絶理由通知において引用され、本願の出願前に発行された特開2017-1350号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の記載がある。なお、下線は合議体が付したものである。
ア 「【技術分野】
【0001】
本発明は液体吐出装置及び液体吐出ヘッドの保湿装置に係り、特に液体吐出ヘッドのノズルの目詰まりを防止するためにノズル部周囲を保湿する液体吐出装置及び液体吐出ヘッドの保湿装置に関する。」
イ 「【0027】
ヘッドユニット30は、シアン、マゼンタ、イエロ及びクロのインク滴をそれぞれ吐出するインクジェットヘッド50C,50M,50Y,50K(液体吐出ヘッドの一例、以下、単にヘッド50C,50M,50Y,50Kと呼ぶ)と、各ヘッド50C,50M,50Y,50Kが取り付けられるヘッド保持部40と、ヘッド保持部40を移動させる移動機構(不図示)とで構成される。
【0028】
ヘッド50C,50M,50Y,50Kは、画像形成対象とする用紙1の最大用紙幅(X方向の幅)に対応したラインヘッドであり、矩形のブロック状に形成され、その底部にノズル面52C,52M,52Y,52Kが形成されている。」
ウ 「【0031】
また、各ヘッド50C,50M,50Y,50Kは、それぞれのノズル面52C,52M,52Y,52Kが対向する搬送ドラム20の周面の接線と平行になるように、ヘッド保持部40に取り付けられる。すなわち、各ヘッド50C,50M,50Y,50Kは、搬送ドラム20の周面に沿って、ノズル面52C,52M,52Y,52Kが水平面に対して傾斜して配置される。図3に示すように、各ノズル面52C,52M,52Y,52Kと水平面とが成す角を、それぞれθC、θM、θY、θKとする。」
エ 「【0033】
図示しない移動機構は、ヘッド保持部40をX方向に水平にスライド移動させる。この移動機構は、搬送ドラム20及び保湿ユニット60を跨いで水平に設置される天井フレームと、その天井フレームに敷設されるガイドレールと、ガイドレール上をスライド移動する走行体と、その走行体をガイドレールに沿って移動させる駆動手段(例えば、送りねじ機構など)で構成される。ヘッド保持部40は、走行体に取り付けられて、水平にスライド移動する。」
オ 「【0037】
図4に示すように、ヘッド50は、n個のヘッドモジュール124-i(i=1,2,3,…,n)を、搬送ドラム20による用紙1の搬送方向(Y方向)に直交する方向(X方向、一方向の一例)に沿ってつなぎ合わせた構造を有し、記録媒体の全幅に対応する長さにわたって複数のノズル(図4中不図示)が設けられている。
【0038】
図5に示すように、各ヘッドモジュール124-iは、ヘッド50における短手方向(Y方向)の両側からヘッドモジュール支持部材128Aによって支持されている。また、ヘッド50の長手方向(X方向)における両端部はヘッド支持部材128Bによって支持されている。各ヘッドモジュール124-iは、複数のノズル(図5中不図示)がマトリクス状に配列された構造を有しており、図5において符号129を付して図示した斜めの実線は、複数のノズルが一列に並べられたノズル列を表している。」
カ 「【図2】
[図:0001416221000001.jpg]
」
キ 「【図4】
[図:0001416221000002.jpg]
」
(2)引用文献1から把握できる事項
ア インクジェットヘッドは当座の吐出する量のインクしか保持できないという液体吐出装置分野の技術常識をふまえれば、上記(1)イに記載されるインクジェットヘッドが吐出するインク滴は、インク貯留部から供給されたものであることは明らかである。
イ 上記(1)ウの記載からすれば、各インクジェットヘッドが、それぞれのノズル面52C,52M,52Y,52Kが対向する搬送ドラム20の周面の接線と平行になるように、ヘッド保持部40に取り付けられるのであるから、ヘッド保持部40とインクジェットヘッドとは相対的な取付角度をもって取り付けられていると認められる。
ウ 上記(1)オの「n個のヘッドモジュール124-i(i=1,2,3,…,n)」の記載から、ヘッドモジュールは複数である。また、上記(1)キで示した図4からは、n個のヘッドモジュール124-iがX方向に一列に並べて配列されることが見て取れる。
エ 上記(1)カで示した図2からは、ヘッド保持部40は、ヘッドの長手方向に亘って延びる構造体であることが見て取れ、X方向はヘッド保持部40の長手方向であることが把握できる。
(3)引用文献1に記載された発明
してみると、引用文献1には、以下のとおりの発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されている。
「インク貯留部から供給されたシアン、マゼンタ、イエロ及びクロのインク滴をそれぞれ吐出するインクジェットヘッド50C,50M,50Y,50Kが取り付けられるヘッド保持部40と、ヘッド保持部40を移動させる移動機構とで構成されるヘッドユニットであって、
移動機構は、走行体を備え、
ヘッド保持部40は、走行体に取り付けられて、水平にスライド移動するものであり、また、ヘッドの長手方向に亘って延びる構造体であり、
ヘッド50C,50M,50Y,50Kは、矩形のブロック状に形成され、その底部にノズル面52C,52M,52Y,52Kが形成され、
各ヘッド50C,50M,50Y,50Kのノズル面52C,52M,52Y,52Kが対向する搬送ドラム20の周面の接線と平行になるように、ヘッド保持部40とインクジェットヘッドとは相対的な取付角度をもって取り付けられて、ノズル面52C,52M,52Y,52Kが水平面に対して傾斜して配置され
インクジェットヘッドは、複数のヘッドモジュール124-iを、X方向に沿ってつなぎ合わせた構造を有し、各ヘッドモジュール124-iは、複数のノズルがマトリクス状に配列された構造を有しており、
複数のヘッドモジュールは、X方向に一列に並べて配列され、X方向はヘッド保持部の長手方向である、ヘッドユニット。」
2 引用文献2について
(1)引用文献2の記載事項
当審において通知した拒絶理由通知において引用され、本願の出願前に発行された米国特許出願公開第2013/0271517号明細書(以下「引用文献2」という。)には、以下の記載がある。なお、各記載について括弧書きで合議体訳を付した。また、下線は合議体によるものである。
ア 「[0017] At least some examples of printing systems in the present disclosure are directed to maintaining a desired meniscus pressure and/or accurate ink level sensing for a fluid ejection device, such as an inkjet printhead, despite varied orientations of the fluid ejection device.
[0018] One example of a printing system in the present disclosure includes a printhead assembly arranged to align a firing path of the printhead assembly to be generally perpendicular to surface of the rotary drum. The printhead assembly is fluidically and mechanically coupled to a pressure control tank with the pressure control tank vertically disposed above the printhead assembly.
[0019] The pressure control tank is selectively rotatable into a plurality of different orientations relative to the droplet firing path of the printhead assembly to align the pressure control tank in a generally vertical posture.」
([0017] 本開示における印刷システムの少なくともいくつかの例は、インクジェットプリントヘッドなどの流体吐出装置について、流体吐出装置の様々な向きにもかかわらず、所望のメニスカス圧および/または正確なインクレベルセンシングを維持することを目的としている。
[0018] 本開示における印刷システムの一例は、回転ドラムの表面に対して概ね垂直になるようにプリントヘッドアセンブリの発射経路を整列させるように配置されたプリントヘッドアセンブリを含む。プリントヘッドアセンブリは、プリントヘッドアセンブリの上に垂直に配置される圧力制御タンクに流体的および機械的に結合される。
[0019] 圧力制御タンクは、プリントヘッドアセンブリの液滴発射経路に対して複数の異なる向きに選択的に回転可能であり、圧力制御タンクを概ね垂直な姿勢に整列させる。)
イ 「[0039] Accordingly, whether rotary drum 12 releasably carries a print medium 27 or acts as an intermediate imaging substrate, the example printing system 10 includes configurations in which each printhead assembly 22A of an array of printhead assemblies is at a different rotational orientation relative to its associated pressure control tank 42 because each printhead assembly 22A is located at a different position along the arcuate media transport path defined by the arcuate surface of the rotary drum 12.
・・・
[0041] Thus, in order for printhead assembly 22A to be properly aligned to direct its droplet firing path generally perpendicular to the surface of rotary drum 12, the various printhead assemblies 22A, 22B, 22C of array 21 are oriented at different rotational angles relative to a generally vertical orientation (represented by line V). Therefore, to achieve a well-controlled meniscus pressure, a respective pressure control tank 42 associated with each printhead assembly 22A, 22B, 22C is rotated by an angle corresponding to the degree of rotation of its associated printhead assembly 22A, 22B, and 22C. This reciprocal action of printhead assemblies 22A and 22C and their associated pressure control tanks 42 works to place the pressure control tanks 42 in a generally vertical orientation or generally upright posture. In at least this context, a generally vertical orientation or upright posture of a pressure control tank 42 refers to an orientation of pressure control tank 42 in which reference walls 69 of the pressure control tank 42 are aligned to be generally parallel to the generally vertical orientation V. This relationship is later described and illustrated more fully in association with at least FIGS. 6-8. 」
([0039] したがって、回転ドラム12が印刷媒体27を取り外し可能に担持しようが、中間画像基材として機能しようが、例示的な印刷システム10は、プリントヘッドアセンブリのアレイの各プリントヘッドアセンブリ22Aが、関連する圧力制御タンク42に対して異なる回転方向にある構成を含む。これは、各プリントヘッドアセンブリ22Aが、回転ドラム12の円弧状表面によって画定される円弧状媒体搬送経路に沿った異なる位置に配置されているためである。
・・・
[0041] したがって、プリントヘッドアセンブリ22Aが、その液滴発射経路を回転ドラム12の表面に概ね垂直に向けるように適切に位置合わせされるために、アレイ21の種々のプリントヘッドアセンブリ22A、22B、22Cは、概ね垂直方向(線Vで表される)に対して異なる回転角度で配向される。したがって、適切に制御されたメニスカス圧を達成するために、各プリントヘッドアセンブリ22A、22B、22Cに関連付けられた各圧力制御タンク42は、その関連プリントヘッドアセンブリ22A、22B、および22Cの回転度に応じた角度だけ回転する。プリントヘッドアセンブリ22Aおよび22Cおよびそれらに関連する圧力制御タンク42のこの相互の作用は、圧力制御タンク42を概ね垂直方向または概ね直立した姿勢に配置するように働く。少なくともこの文脈では、圧力制御タンク42の概ね垂直な向きまたは直立した姿勢は、圧力制御タンク42の基準壁69が概ね垂直な向きVとほぼ平行になるように整列している圧力制御タンク42の向きを指す。この関係は、少なくとも図6~図8に関連して、後に説明され、より完全に図示される。)
ウ 「[0061] As shown in FIG. 3, an example printing subassembly 100 includes a printhead assembly 170, a pair of pressure control tank assemblies 142A, 142B, and a coupling 160 that fluidically and mechanically couples the printhead assembly 170 to the pressure control tank assemblies 142A, 142B. Printhead assembly 170 comprises a frame 173 that includes at least a pair of spaced apart side frame members 171A, 171B. The pressure control tank assemblies 142A, 142B also are spaced apart from each other along an orientation generally parallel to the orientation by which side frame members 171A, 171B are spaced apart from each other. A rod 172 extends between, and connects, the respective side frame members 171A, 171B. A distal end 175 of the side frame members 171A, 171B supports a bottom frame member 127, which also extends between and connects the respective side frame members 171A, 171B. An inkjet printhead structure 123 is supported within the frame 173 and includes an array of nozzles 125 for ejecting ink droplets onto a print medium or intermediate imaging substrate.
[0062] Among other elements, coupling 160 includes a generally circular plate 161A that defines an array of holes 163 about a periphery or outer edge of the plate 161A and that defines a central hole 162.
[0063] As shown in FIG. 3, printhead assembly 170 is shown in a rotated position relative to pressure control tanks assemblies 142A, 142B in a manner generally the same as printhead assembly 22A is rotated relative to pressure control tank 42, as previously described and illustrated in association with FIGS. 1, 2A, and 2B.」
([0061] 図3に示されるように、例示の印刷サブアセンブリ100は、プリントヘッドアセンブリ170と、一対の圧力制御タンクアセンブリ142A、142Bと、プリントヘッドアセンブリ170を圧力制御タンクアセンブリ142A、142Bに流体的および機械的に結合するカップリング160とを含む。プリントヘッドアセンブリ170は、少なくとも一対の離間した間隔をあけたサイドフレーム部材171A、171Bを含むフレーム173を備える。圧力制御タンクアセンブリ142A、142Bもまた、サイドフレーム部材171A、171Bが互いに間隔をあけて配置される向きとほぼ平行な向きに沿って、互いに離間して配置されている。ロッド172は、それぞれのサイドフレーム部材171A、171Bの間に延び、連結する。サイドフレーム部材171A、171Bの遠位端175は、底部枠部材127を支持し、これもまた、各サイドフレーム部材171A、171Bの間を延在し、接続する。インクジェットプリントヘッド構造123は、フレーム173内で支持され、印刷媒体または中間画像基材上にインク滴を吐出するためのノズル125のアレイを含む。
[0062] 他の要素の中では、カップリング160は、その周囲または外縁に配列される穴163及び中央の穴162を画定する概ね円形のプレート161Aを含む。
[0063] 図3に示すように、プリントヘッドアセンブリ170は、圧力制御タンクアセンブリ142A、142Bに対して回転した位置で示されており、プリントヘッドアセンブリ22Aが圧力制御タンク42に対して回転するのと一般的に同じ方法で示されており、前述のように、図1、2A、および図2Bと関連付けて図示されている。)
エ 「[0065] ・・・Meanwhile, FIG. 5B is an isometric view of an upper portion 177 of a side frame member 171A that forms part of coupling 160. While FIG. 5A shows the coupling 160 at just one side of the printing subassembly 100, it will be understood that the other side of the printing subassembly 100 would include a coupling like coupling 160 except having a reverse or mirrored orientation relative to the arrangement shown in FIG. 5A.」
([0065] ・・・一方、図5Bは、カップリング160の一部を形成するサイドフレーム部材171Aの上部177の等角図である。図5Aは、印刷サブアセンブリ100の片側だけのカップリング160を示しているが、印刷サブアセンブリ100の他方の側は、図5Aに示される配置に対して逆方向または鏡面化された向きであることを除いて、カップリング160のようなカップリングを含むことが理解されるであろう。)
オ 「[0067] With this in mind, as shown in at least FIGS. 4 and 5A, each pressure control tank assembly 142A, 142B includes a tank 141 including at least a pair of side walls 144 and end walls 169A, 169B (shown in FIGS. 6-7) that define a chamber 146 for holding ink therein. ・・・」
([0067] このことを念頭に置いて、少なくとも図4および図5Aに示されるように、各圧力制御タンクアセンブリ142A、142Bは、内部にインクを保持するためのチャンバ146を画定する少なくとも一対の側壁144および端壁169A、169B(図6~図7に示す)を含むタンク141を含む。・・・)
カ 「[0069] ・・・In one aspect, a longitudinal axis of the conduit 155 is common with the axis extending through hole 162 (and through hole 184 of mounting disc 182), about which the printhead assembly 170 and pressure control tank assembly 142A rotate relative to one another.」
([0069] ・・・一態様では、導管155の長手方向軸は、貫通孔162(及び取付ディスク182の貫通孔184)を通じて延びる軸と共通であり、プリントヘッドアセンブリ170及び圧力制御タンクアセンブリ142Aは、その軸周りを互いに相対的に回転する。)
キ 「[0073] Meanwhile, with further reference to at least FIGS. 4 and 5A, pressure control tank assembly 142A, 142B includes a mounting disc 182 located at a lower, exterior portion 148 of pressure control tank 141 with mounting disc 182 sized and shaped to extend within and through central hole 174 of first portion 173 of side frame member 171A. The plate 161A is secured to an outer surface 188 of mounting disc 182 with hole 162 of plate 161A aligned with bore 184 of mounting disc 182, thereby causing upper portion 177 of side frame member 171A to be interposed between plate 161A and the lower, exterior portion 148 of pressure control tank 141. Moreover, mounting disc 182 defines a generally cylindrically shaped bearing surface 186 about which the central hole 174 of side frame member 171A is slidably rotatable, thereby defining at least a portion of a pivot mechanism of coupling 160. ・・・」
([0073] 一方、少なくとも図4及び図5Aをさらに参照すると、圧力制御タンクアセンブリ142A、142Bは、圧力制御タンク141の下部に位置する取付ディスク182を含み、圧力制御タンク141の外側部分148は、サイドフレーム部材171Aの第1の部分173の中央孔174内及び貫通する大きさ及び形状の取付ディスク182を有する。プレート161Aは、プレート161Aの孔162が取付ディスク182の孔184に整列した状態で取付ディスク182の外側面188に固定され、これにより、プレート161Aと圧力制御タンク141の下部外装部148との間にサイドフレーム部材171Aの上部177が介在する。さらに、取付ディスク182は、サイドフレーム部材171Aの中央孔174が摺動可能に回転可能である概ね円筒形状の座面186を画定し、それにより、カップリング160の旋回機構の少なくとも一部を画定する。・・・)
ク 「[0075] Accordingly, when an operator moves printhead assembly 10 relative to pressure control tank assembly 142A, 142B (or vice versa), the force exerted by spring plungers 190 in holes 163 of plate 161A, 161B is overcome and the spring plungers 190 permit slidable rotation (represented by directional arrow R) of upper portion 177 of side frame member 171A about bearing surface 186 of mounting disc 182 of pressure control tank assembly 142A and relative to plate 161A. This slidable rotation is continued until the operator terminates forced movement of the printhead assembly 170 at which time the spring plungers 190 engage the closest available holes 163 on plate 161A to once again releasably secure side frame member 171A (and printhead assembly 170) relative to plate 161A of pressure control assembly 142A. In this way, the example printing subassembly 100 enables selective rotational positioning of printhead assembly 170 and pressure control tank assembly 142A, 142B relative to each other.」
([0075] したがって、オペレータが圧力制御タンクアセンブリ142A、142Bに対してプリントヘッドアセンブリ10を移動すると(またはその逆)、プレート161A、161Bの穴163にスプリングプランジャ190によって加えられる力が打ち負け、スプリングプランジャ190は、プレート161Aに関連する、圧力制御タンクアセンブリ142Aの取り付けディスク182の座面186周りの、サイドフレーム部材171Aの上部177の摺動可能な回転(方向矢印Rで表される)を可能にする。この摺動可能な回転は、オペレータがプリントヘッドアセンブリ170の強制移動を終了するまで継続され、その時点でスプリングプランジャ190は、プレート161A上の最も近い利用可能な穴163に係合して、圧力制御アセンブリ142Aのプレート161Aに対してサイドフレーム部材171A(およびプリントヘッドアセンブリ170)を再び解放可能に固定する。このようにして、例示の印刷サブアセンブリ100は、プリントヘッドアセンブリ170および圧力制御タンクアセンブリ142A、142Bの互いに対する選択的な回転位置決めを可能にする。)
ケ 「[0080] Accordingly, the coupling 160 shown in FIGS. 4-8 enables selective rotation of pressure control tank assembly 142A, 142B relative to a respective side frame member 171A, 171B and enables fluid communication between pressure control tank 141 and printhead structure 123 of printhead assembly 170.」
([0080] したがって、図4~図8に示すカップリング160は、それぞれのサイドフレーム部材171A、171Bに対する圧力制御タンクアセンブリ142A、142Bの選択的な回転を可能にし、圧力制御タンク141とプリントヘッドアセンブリ170のプリントヘッド構造123との間の流体連通を可能にする。)
コ 「
[図:0001416221000003.jpg]
」
サ 「
[図:0001416221000004.jpg]
」
(2)引用文献2から把握できる事項
ア 上記(1)ケの「プリントヘッドアセンブリ170のプリントヘッド構造123」との記載からすれば、プリントヘッドアセンブリ170がプリントヘッド構造123を有し、上記(1)ウの「インクジェットプリントヘッド構造123は、フレーム173内で支持され、印刷媒体または中間画像基材上にインク滴を吐出するためのノズル125のアレイを含む」との記載より、プリントヘッドアセンブリ170が、インクジェットプリントヘッド構造を有し、インク滴を吐出するためのノズル125のアレイを含んでいるといえる。
イ 上記(1)ケの「圧力制御タンク141とプリントヘッドアセンブリ170のプリントヘッド構造123との間の流体連通を可能にする。」との記載をふまえれば、引用文献2に記載のプリントヘッドアセンブリ170が、タンク141から供給されるインクを吐出することは明らかである。
ウ 上記(1)サのFig.4からすれば、貫通孔162は、各圧力制御タンクアセブリ142A、142Bに対して設けられ、一対と認められる。また、同図及び上記(1)コFig.3から、前記一対の貫通孔162の位置は、配置された一対の圧力制御タンクアセブリ142A、142Bに対して長手方向の一方と他方にあると認められる。
エ 上記(1)ウの「カップリング160は、その周囲または外縁に配列される穴163及び中央の穴162を画定する概ね円形のプレート161Aを含む」との記載、上記(1)エの「カップリング160の一部を形成するサイドフレーム部材171A」との記載、及び、上記(1)キの「取付ディスク182は、サイドフレーム部材171Aの中央孔174が摺動可能に回転可能である概ね円筒形状の座面186を画定し、それにより、カップリング160の旋回機構の少なくとも一部を画定する」との記載より、カップリング160は、サイドフレーム部材171A、取付ディスク182、及び、取付ディスクに固定されたプレート161Aを含んでいる。また、上記(1)ク及びケの記載より、カップリング160及びスプリングプランジャ190が、プリントヘッドアセンブリおよび圧力制御タンクアセンブリの互いに対する選択的な回転位置の位置決めを可能にしているといえる。
オ 上記(1)イの「圧力制御タンク42を概ね垂直方向または概ね直立した姿勢に配置するように働く。・・・圧力制御タンク42の概ね垂直な向きまたは直立した姿勢は、圧力制御タンク42の基準壁69が概ね垂直な向きVとほぼ平行になるように整列している」との記載から、圧力制御タンク42は、鉛直方向に傾いていない配置と認められる。また、上記(1)ウの「図3に示すように、プリントヘッドアセンブリ170は、圧力制御タンクアセンブリ142A、142Bに対して回転した位置で示されており、プリントヘッドアセンブリ22Aが圧力制御タンク42に対して回転するのと一般的に同じ方法で示されており、前述のように、図1、2A、および図2Bと関連付けて図示されている。」との記載及び上記(1)アの「流体吐出装置の様々な向きにもかかわらず、所望のメニスカス圧および/または正確なインクレベルセンシングを維持すること」という目的と「圧力制御タンクを概ね垂直な姿勢に整列させる」との記載から、Fig.3以降の圧力制御タンクアセンブリ142A、142Bも、圧力制御タンク42と同様に、鉛直方向に傾いていない配置を前提にしていると理解される。
(3)引用文献2に記載された発明
してみると、引用文献2には、以下のとおりの発明(以下、「引用発明2」という。)が記載されている。
「プリントヘッドアセンブリと、一対の圧力制御タンクアセンブリと、プリントヘッドアセンブリを圧力制御タンクアセンブリに流体的および機械的に結合するカップリングとを含む印刷サブアセンブリであって、
各圧力制御タンクアセンブリは、内部にインクを保持するためのチャンバを画定する一対の側壁を含むタンクを含み、また、鉛直方向に傾いていない配置であり、
プリントヘッドアセンブリは、インク滴を吐出するためのノズルのアレイを含むインクジェットプリントヘッド構造を有し、タンクから供給されるインクを吐出し、
カップリングは、サイドフレーム部材、取付ディスク、及び、取付ディスクに固定されたプレートを含み、
サイドフレーム部材の中央孔が取付けディスクの座面に摺動可能に回転可能であり、スプリングプランジャは、プレート上の穴に係合して、プレートに対してサイドフレーム部材(およびプリントヘッドアセンブリ)を再び解放可能に固定するものであり、
カップリング及びスプリングプランジャは、プリントヘッドアセンブリおよび圧力制御タンクアセンブリの互いに対する選択的な回転位置の位置決めを可能にし、プリントヘッドアセンブリ及び圧力制御タンクアセンブリは、貫通孔を通じて延びる軸周りを互いに相対的に回転し、貫通孔は、一対の圧力制御タンクアセンブリの長手方向の一方と他方に位置し、プリントヘッドアセンブリが、その液滴発射経路を回転ドラムの表面に概ね垂直に向けるように適切に位置合わせされ、各プリントヘッドアセンブリ22A、22B、22Cに関連付けられた各圧力制御タンク42は、その関連プリントヘッドアセンブリ22A、22B、および22Cの回転度に応じた角度だけ回転する印刷サブアセンブリ。」
第5 対比・判断
1 対比
(1)本願発明と引用発明1とを対比する。
ア 引用発明1の「ヘッドユニット」は、ヘッド保持部を移動させる走行体を備えるものであるから、本願発明の「キャリッジ」に相当する。また、引用発明1の「ヘッド保持部40」は、インクジェットヘッドを保持する構造体であるから、本願発明の「フレーム」に相当する。
イ 引用発明1の「複数のヘッドモジュール」をつなぎ合わせた構造が、「インク貯留部から供給された」「インク滴をそれぞれ吐出するインクジェットヘッド」をなすから、引用発明1の「複数のヘッドモジュール」は、それぞれインクジェット方式のヘッドといえ、本願発明の「複数のインクジェットヘッド」に相当する。また、引用発明1の「インクジェットヘッド」が、「複数のヘッドモジュール」をつなぎ合わせた構造なのであるから、複数のヘッドモジュールも、インク貯留部から供給されるインク滴を吐出し、ヘッド保持部に取り付けられるといえる。以上より、本願発明の「複数のインクジェットヘッド」と引用発明1の「複数のヘッドモジュール」とは、「フレームに取り付けられ、インク貯留部から供給されるインクを吐出する」との概念で一致する。
ウ 引用発明1の「複数のヘッドモジュール」は、「ヘッド保持部の長手方向」である「X方向に一列に並べて配列され」ているのであるから、本願発明の「複数のインクジェットヘッド」と引用発明1の「複数のヘッドモジュール」とは、「フレームの長手方向に一列に並べて配列されて」いる点で一致する。
エ 引用発明1の「複数のヘッドモジュール」は、「複数のノズルがマトリクス状に配列された構造を有」するとともに、「ヘッド50C,50M,50Y,50Kは、矩形のブロック状に形成され、その底部にノズル面52C,52M,52Y,52Kが形成され」るのであるから、複数のヘッドモジュールにおけるノズルが配列される面が、同一平面であるノズル面を形成することは明らかである。また、引用発明1の「ノズル面52C,52M,52Y,52Kが水平面に対して傾斜して配置され」ることは、複数のヘッドモジュールのノズルが配列される面が鉛直方向に同じ位置で傾斜することになるから、複数のヘッドモジュールは、ノズル面までの高さが同一であるといえる。したがって、本願発明の「複数のインクジェットヘッド」と引用発明1の「複数のヘッドモジュール」とは、「高さが同一である」点で一致する。
(2)してみると、本願発明と引用発明1とは、以下のとおりの一致点、相違点を有する。
[一致点]
「フレームに取り付けられ、インク貯留部から供給されるインクを吐出する複数のインクジェットヘッドを備え、
複数のインクジェットヘッドは、前記フレームの長手方向に一列に並べて配列されており、かつ、高さが同一である、キャリッジ」
[相違点1]
本願発明のキャリッジにおいては、複数のインクジェットヘッドが取り付けられる「フレーム」に、「インク貯留部」が「固定して搭載される」ものであり、「鉛直方向に対して傾いて」いないのに対し、引用発明1のヘッドユニットにおいては、複数のインクジェットヘッドが取り付けられる「ヘッド保持部」に、インク貯留部が鉛直方向に対して傾かずにフレームに固定して搭載されるか否か不明である点。
[相違点2]
本願発明は、「フレームとインクジェットヘッドとの相対的な取付角度を調整可能な取付角度調整部」を備え、「前記取付角度調整部は、前記フレームの長手方向の一方と他方に位置する一対の回動基準を中心に前記複数のインクジェットヘッドを回動させて前記取付角度を調整可能である」のに対し、引用発明1は、ヘッド保持部とインクジェットヘッドとは相対的な取付角度をもって取り付けられるものの、当該取付角度を調整可能な取付角度調整部の明示がない点。
2 判断
(1)上記相違点1及び2について検討する。
ア 相違点1について
(ア)引用発明2の「プリントヘッドアセンブリ」は、インクジェットプリントヘッド構造を有するものであって、本願発明の「インクジェットヘッド」に相当し、引用発明2の「チャンバ」は、内部にインクを保持するとの機能からみて、本願発明1の「インク貯留部」に相当する。
そして、本願発明の「インクジェットヘッド」と引用発明2の「プリントヘッドアセンブリ」は、「インク貯留部から供給されるインクを吐出する」ものとの概念で一致する。
(イ) 引用発明2の「各圧力制御タンクアセンブリの一対の側壁」は、チャンバを画定し、フレームの機能を有するから、本願発明の「フレーム」に相当する。また、引用発明2の「各圧力制御タンクアセンブリの一対の側壁」は、チャンバを画定するから、本願発明の「フレーム」と引用発明2の「各圧力制御タンクアセンブリの一対の側壁」とは、「インク貯留部が固定して搭載される」点で一致する。
さらに、引用発明2の「プリントヘッドアセンブリ」は、「各圧力制御タンクアセンブリの一対の側壁」を含む一対の圧力制御タンクアセンブリに結合するから、本願発明の「インクジェットヘッド」と引用発明2の「プリントヘッドアセンブリ」は、「フレームに取り付けられ」るものとの概念で一致する。
(ウ)上記(ア)及び(イ)より、本願発明の「キャリッジ」と引用発明2の「印刷サブアセンブリ」とは、「インクジェットヘッドが取り付けられるフレームに、インク貯留部が固定して搭載される」との概念で一致する。
(エ)引用発明2の「圧力制御タンクアセンブリ」は、「鉛直方向に傾いていない配置」であるから、圧力制御タンクアセンブリ内部のチャンバも鉛直方向に傾いていないといえる。したがって、本願発明の「インク貯留部」と引用発明2の「チャンバ」は、「鉛直方向に傾いて」いない点で一致する。
よって、上記相違点1に係る発明特定事項は、引用発明2が備えている。
イ 相違点2について
(ア)引用発明2の「『カップリング』及び『スプリングプランジャ』」は、プリントヘッドアセンブリおよび圧力制御タンクアセンブリの互いに対する選択的な回転位置の位置決めを可能にするものであって、それにより液滴発射経路を回転ドラムの表面に概ね垂直に向けるように適切に位置合わせするものであるから、本願発明1の「取付角度調整部」に相当し、本願発明の「取付角度調整部」と引用発明2の「『カップリング』及び『スプリングプランジャ』」は、「フレームとインクジェットヘッドとの相対的な取付角度を調整可能」である点で一致する。また、引用発明2の「『カップリング』及び『スプリングプランジャ』」がプリントヘッドアセンブリおよび圧力制御タンクアセンブリの互いに対する選択的な位置決めを可能にしているから、プリントヘッドアセンブリを圧力制御タンクアセンブリに対して回動可能であることは明らかであり、本願発明の「取付角度調整部」と引用発明2の「『カップリング』及び『スプリングプランジャ』」は、「インクジェットヘッドを回動させて取付角度を調整可能」との概念で一致する。
(イ)引用発明2の「貫通孔を通じて延びる軸」は、プリントヘッドアセンブリおよび圧力制御タンクアセンブリをその軸周りに互いに相対的に回転させるものであるから、本願発明1の「回動基準」に相当する。
(ウ)上記(ア)及び(イ)より、本願発明1の「フレームとインクジェットヘッドとの相対的な取付角度を調整可能な取付角度調整部を備え、前記取付角度調整部は、前記フレームの長手方向の一方と他方に位置する一対の回動基準を中心に前記インクジェットヘッドを回動させて前記取付角度を調整可能である」構成は、引用発明2が備えている。
(エ)よって、上記相違点2に係る発明特定事項は、引用発明2が備えている。
ウ そして、引用発明1は、ノズル面52C,52M,52Y,52Kが対向する搬送ドラム20の周面の接線と平行になるように、ヘッド保持部とインクジェットヘッドとは相対的な取付角度をもって取り付けられるものであり、引用発明2も、上記2.(2)ア(ア)に示すとおり、インクジェットヘッドなどの流体吐出装置について、回転ドラムの表面に対して概ね垂直になるようにプリントヘッドアセンブリの発射経路を整列させるように配置するものであり、両者は、インクジェットヘッドを備えるキャリッジという同一の技術分野に属し、回転ドラムの表面に対して垂直方向にインクを吐出するようにインクジェットヘッドを取り付けるという機能・作用が共通する。
してみると、引用発明1のヘッドユニットの角度をもった取付けに対し、同様の機能・作用を有するものに他ならない引用発明2の印刷サブアセンブリの構成を採用することで、インク貯留部が搭載されるフレームとインクジェットヘッドで構成し、フレームの長手方向の一方と他方に位置する一対の回動基準を中心に複数のインクジェットヘッドを回動させて取付角度を調整可能な取付角度調整部を設け、上記相違点1及び2に係る発明特定事項とすることは当業者が容易に想到し得るものである。
かつまた、上記相違点を勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明1及び引用発明2の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎず、格別顕著なものではない。
(2)意見書における主張について
令和6年7月11日に提出された意見書の(4)において、審判請求人は次のとおり主張する。
「引用文献1に開示された構成では、引用文献1の図9等に示すように、本願発明のインク貯留部に相当する液保持部210,220が鉛直方向から傾いて配置されているため、液保持部210,220の端部にインクが滞留して固まる、インクを抜いても液保液部210,220の端部のインクが抜けきらず完全にインクを置換できない、という問題を生じます。
引用文献2に開示された構成では、引用文献2の図1Aに例示されたインクジェット印刷システム10において、ドラム12の回転方向に配列された4つのプリントヘッド24がプリントヘッドアセンブリ22A,22B,22Cに取付けられています。また、引用文献1の図1Bにおいては、プリントヘッドアセンブリ67,68が本願発明のインクジェットヘッドに相当するものであり、プリントヘッドアセンブリ67が2列、プリントヘッドアセンブリ68が2列で、合計4列のプリントヘッドアセンブリ67,68がドラム12の回転方向に配列されています。そのため、引用文献2の図1Aにおいて傾けて取り付けられているプリントヘッドアセンブリ22A,22Cの場合、一番上のプリントヘッド24と一番下のプリントヘッド24とで高さが大きく異なっています。このようにプリントヘッドの高さが大きく異なると、各プリントヘッドの背圧がばらつき、画像に濃度むらが生じます。
これに対して、本願発明では、インク貯留部が鉛直方向から傾いておらず、複数のインクジェットヘッドをフレームの長手方向に一列に並べて配列し、かつ高さを同一としています。そして、取付角度調整部は、フレームの長手方向の一方と他方に位置する一対の回動基準を中心に複数のインクジェットヘッドを回動させて取付角度を調整可能な構成になっています。これにより、インク貯留部が鉛直方向から傾いていないので、インク貯留部にインクが滞留して固まることを防ぎ、インクを完全に抜いて置換することができます。また、複数のインクジェットヘッドの高さが同一であるので、各インクジェットヘッドの背圧が一定になり、画像に濃度むらが生じることがなく、良好な画質が得られます。
このように、本願発明と、引用文献1~引用文献2に記載された発明とは、構成及び作用効果が異なります。そして、引用文献2の構成では、画像に濃度むらを生じる、という重大な問題点を生じますので、上述した良好な画質が得られる本願発明の作用効果は、特段の作用効果であると思料いたします。」
しかしながら、上記「2 引用文献2」の項で示したとおり、インク貯留部が鉛直方向から傾いていない構造は、引用文献2に記載されており、その構造からインク貯留部にインクが滞留して固まることを防ぎ、インクを完全に抜いて置換することができるとの作用効果を当然奏するものである。また、上記「1 引用文献1」の項で示したとおり、複数のインクジェットヘッドをフレームの長手方向に一列に並べて配列し、かつ高さを同一とする構造は、引用文献1に記載されており、その構造から、各インクジェットヘッドの背圧が一定になり、画像に濃度むらが生じることがなく、良好な画質が得られるとの作用効果を当然奏するものである。
したがって、審判請求人が上記意見書において主張する本願発明の作用効果も、引用発明1及び引用発明2の奏する作用効果から予測される範囲内のものにすぎない。
よって、本願発明と引用文献1及び引用文献2に記載された発明とは、構成及び作用効果が異なり、良好な画質が得られる本願発明の作用効果は、特段の作用効果であるとの審判請求人の主張を採用することはできない。
(3)上記(1)及び(2)のとおりであるから、本願発明は、引用発明1及び引用発明2に基づいて、当業者が容易に発明することができたものである。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、引用発明1及び引用発明2に基づいて当業者が容易に発明することができたものといえるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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2023-020020