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特許拒絶査定不服審判

2024-012209

落下速度均一性、落下質量均一性及び落下編成を改善するための方法、システム及び装置

審判番号
2024-012209
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2022-112934
請求日
2024年07月25日
審決日
2025年07月29日
公報発行日
2026年01月30日
結論
請求不成立
当事者
  • 【請求人】フジフィルム ディマティックス, インコーポレイテッド
  • 【請求人代理人】田中 伸一郎
  • 【請求人代理人】須田 洋之
  • 【請求人代理人】山崎 一夫
  • 【請求人代理人】大塚 文昭
  • 【請求人代理人】近藤 直樹
  • 【請求人代理人】那須 威夫
  • 【請求人代理人】鈴木 信彦
  • 【請求人代理人】岩崎 吉信
審判長/審判官
  • 審判長 川俣 洋史
  • 審判官 殿川 雅也
  • 審判官 門 良成
分類
P18 .113-Z (B41J) / P18 .121-Z (B41J) / P18 .561-Z (B41J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第17条の2第3項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第44条第1項、特許法第17条の2第5項、特許法第44条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2022-112934「落下速度均一性、落下質量均一性及び落下編成を改善するための方法、システム及び装置」拒絶査定不服審判事件〔令和4年10月4日出願公開、特開2022-145697〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、2014年(平成26年)11月17日(パリ条約による優先権主張 外国庁受理2014年(平成26年)1月10日 (US)米国)を国際出願日(以下「原出願日」という。)とする外国語特許出願である特願2016-545935号の一部を、令和元年12月2日に新たな特許出願とした特願2019-217953号(以下「原出願」という。)の一部を令和4年7月14日(以下「現実の出願日」という。)に新たな特許出願としたものであって、令和4年8月25日に手続補正書が提出され、令和5年7月31日付けで拒絶理由が通知され、同年12月27日に意見書及び手続補正書が提出されたが、令和6年3月14日付け(送達日同月26日)に拒絶査定(以下「原査定」という。)がなされた。 これに対し、同年7月25日に拒絶査定不服審判の請求がなされると同時に手続補正書が提出され、さらに同年9月4日に手続補正書が提出され、令和7年3月3日に上申書が提出されたものである。 第2 令和6年7月25日にされた手続補正についての補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論] 令和6年7月25日に提出された手続補正書による補正(以下「本件補正」という。)を却下する。 [理由] 1 本件補正 本件補正は、特許請求の範囲について、下記(1)に示す本件補正前の(すなわち、令和5年12月27日に提出された手続補正書により補正された)特許請求の範囲の請求項1ないし15を、下記(2)に示す本件補正後の特許請求の範囲の請求項1ないし13へと補正するものである(下線は補正箇所を示すため当審において付した。)。 (1)本件補正前の特許請求の範囲 「 【請求項1】 複数の液滴吐出装置を駆動するための方法であって、 プリントヘッド又はインクジェットシステムの複数の液滴吐出装置にわたって、液滴速度又は液滴重量である、液滴吐出パラメータの変動の分布を決定し; 前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第1グループと前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第2変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第2グループとを識別し、この場合、前記第1変動は速い液滴速度を表し、前記第2変動はゆっくりとした液滴速度を表すか、又は前記第1変動は重い液滴重量を表し、前記第2変動は軽い液滴重量を表し、そして、前記第1変動及び前記第2変動の相違は前記複数の液滴吐出装置にわたって前記液滴吐出パラメータの系統的変動を表し; 複数の液滴吐出装置にわたって、前記液滴吐出パラメータの変動の分布に基づくマルチレベル波形のマッピングを決定し、この場合、該マッピングは、少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第1区分が前記マルチレベル波形の第2レベルにマッピングされ、かつ前記マルチレベル波形の第1レベルにはマッピングされず、そして少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第2区分が前記マルチレベル波形の第1レベル及び第2レベルにマッピングされる、ことを示しており、そして、 前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する1つ以上の液滴を吐出するように液滴吐出装置の前記第1グループに前記補償パルスを有しない少なくとも1つの駆動パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第1レベルを付与するとともに、前記1つ以上の液滴を吐出するように液滴吐出装置の前記第2グループに少なくとも1つの駆動パルスと前記補償パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第2レベルを付与することによって、前記マルチレベル波形に対する前記マッピングによる1組のピクセルのための前記液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置を制御し; 前記複数の液滴吐出装置にわたる前記複数の前記液滴吐出パラメータの変動の分布に基づいて識別され、前記第2変動を有する前記液滴の前記液滴速度又は前記液滴重量を増加させ又は前記第1変動を有する前記液滴の前記液滴速度又は前記液滴重量を減少させる補償効果を持つように、前記補償パルスが、前記液滴吐出装置の第2グループに付与されることにより、前記第1変動と第2変動との違い及び前記複数の前記液滴吐出装置にわたる前記液滴吐出パラメータの系統的変動を減少させる、方法。 【請求項2】 前記第2グループに関連するピクセルを前記マルチレベル波形の第2レベルに、そして前記第1グループに関連するピクセルを前記マルチレベル波形の第1レベルにマッピングすることを更に含む、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記マルチレベル波形は、液滴直線化機能を有する噴射直線化縁と少なくとも1つのエネルギー打ち消し機能を有する打ち消し縁を有する非液滴発射部分を含む、請求項1に記載の方法。 【請求項4】 前記マルチレベル波形の前記第1区分は複数の補償パルスを含む、請求項1に記載の方法。 【請求項5】 補償パルスの発射からその後の駆動パルスの発射までの期間は、液滴を吐出するための前記複数の液滴吐出装置の駆動パルスの共振期間である、請求項1に記載の方法。 【請求項6】 前記液滴吐出パラメータの周波数応答変動を減少させるために、前記少なくとも1つの駆動パルスを有する前記第2区分と少なくとも1つの駆動パルスを有する第3区分は前記マルチレベル波形の第3レベルにマッピングされ、前記少なくとも1つの補償パルスを有する前記第1区分は前記マルチレベル波形の第3レベルにマッピングされない、請求項1に記載の方法。 【請求項7】 複数の液滴吐出装置の画像データを決定し; その画像データを変換データへと変換して、第1レベルと第2レベルを含む画像バッファに記憶し; 前記変換データからクロストーク影響データを決定し、この場合、クロストークに影響されない前記変換データは、前記画像バッファの前記第1レベルに記憶され、そして前記クロストーク影響データは、前記画像バッファの前記第2レベルに記憶されるようになっており; 前記画像バッファの前記第1レベルに記憶された前記クロストーク影響データに関連した前記複数の液滴吐出装置の前記第1グループを決定し; 前記画像バッファの前記第2レベルに記憶された前記クロストークに影響されないに関連した前記複数の液滴吐出装置の前記第2グループを決定し; 前記マルチレベル波形を前記複数の液滴吐出装置に付与し;さらに、 前記少なくとも1つの補償パルス無しの前記少なくとも1つの駆動パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第1レベルが前記画像バッファの前記第1レベルに関連した前記複数の液滴吐出装置の前記第1グループに付与され、前記少なくとも1つの補償パルスと前記少なくとも1つの駆動パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第2レベルが、前記画像バッファの前記第2レベルに関連した前記複数の液滴吐出装置の前記第2グループに付与されて、前記クロストークを減少させ、前記複数の液滴吐出装置にわたる周波数応答均一性を増加させるようになっている、請求項1に記載の方法。 【請求項8】 クロストーク影響データを決定することは、前記クロストークにより影響されるピクセルを識別することを含む、請求項7に記載の方法。 【請求項9】 プリントヘッドであって、 インクジェットモジュールを備え、該モジュールは、 流体の液滴を吐出するための複数の液滴吐出装置;及び 前記複数の液滴吐出装置に結合された制御回路; を備え、 前記制御回路は、 プリントヘッド又はインクジェットシステムの複数の液滴吐出装置にわたって、液滴速度又は液滴重量である、液滴吐出パラメータの変動の分布を決定し;、 前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第1グループと前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第2変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第2グループとを識別し;、 この場合、前記第1変動は速い液滴速度を表し、前記第2変動はゆっくりとした液滴速度を表すか、又は前記第1変動は重い液滴重量を表し、前記第2変動は軽い液滴重量を表し、前記第1変動及び前記第2変動の相違は前記複数の液滴吐出装置にわたって前記液滴吐出パラメータの系統的変動を表しており、 複数の液滴吐出装置にわたって、前記滴吐出パラメータの変動の分布に基づくマルチレベル波形のマッピングを決定し;、 この場合、該マッピングは、少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第1区分が前記マルチレベル波形の第2レベルにマッピングされ、かつ前記マルチレベル波形の第1レベルにはマッピングされず、そして少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第2区分が前記マルチレベル波形の第1レベル及び第2レベルにマッピングされる、ことを示しており、 前記制御回路は、さらに、前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する1つ以上の液滴を吐出するように前記液滴吐出装置の前記第1グループに前記補償パルスを有しない少なくとも1つの駆動パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第1レベルを付与するとともに、前記1つ以上の液滴を吐出するように前記液滴吐出装置の第2グループに少なくとも1つの駆動パルスと前記補償パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第2レベルを付与することによって、前記マルチレベル波形に対する区分マッピングによる1組のピクセルのための前記液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置を制御するように構成されており、 前記複数の液滴吐出装置にわたる前記複数の前記液滴吐出パラメータの変動の分布に基づいて識別され、前記第2変動を有する前記液滴の前記液滴速度又は前記液滴重量を増加させ又は前記第1変動を有する前記液滴の前記液滴速度又は前記液滴重量を減少させる補償効果を持つように、前記補償パルスが、前記液滴吐出装置の第2グループに付与されることにより、前記第1変動と第2変動との違い及び前記複数の前記液滴吐出装置にわたる前記液滴吐出パラメータの系統的変動が減少されるように構成されている、プリントヘッド。 【請求項10】 前記制御回路は、さらに、前記第2グループに関連するピクセルを前記マルチレベル波形の第2レベルにマッピングし、前記第1グループに関連するピクセルを前記マルチレベル波形の第1レベルにマッピングするように構成されている、請求項9に記載のプリントヘッド。 【請求項11】 前記マルチレベル波形は、液滴直線化機能を有する噴射直線化縁と少なくとも1つのエネルギー打ち消し機能を有する打ち消し縁を有する非液滴発射部分を含む、請求項9に記載のプリントヘッド。 【請求項12】 前記マルチレベル波形の前記第1区分は複数の補償パルスを含む,請求項9に記載のプリントヘッド。 【請求項13】 補償パルスの発射からその後の駆動パルスの発射までの期間は、液滴を吐出するための前記複数の液滴吐出装置の駆動パルスの共振期間である、請求項9に記載のプリントヘッド。 【請求項14】 前記少なくとも1つの駆動パルスを有する前記第2区分と少なくとも1つの駆動パルスを有する第3区分は前記マルチレベル波形の第3レベルにマッピングされ、前記少なくとも1つの補償パルスを有する前記第1区分は前記マルチレベル波形の第3レベルにマッピングされず、これにより、前記液滴吐出パラメータの周波数応答変動を減少させるようになっている、請求項9に記載のプリントヘッド。 【請求項15】 前記制御回路は、さらに、 複数の液滴吐出装置の画像データを決定し; その画像データを変換データへと変換して、第1レベルと第2レベルを含む画像バッファに記憶し; 前記変換データからクロストーク影響データを決定し、この場合、クロストークに影響されない前記変換データは、前記画像バッファの前記第1レベルに記憶され、そして前記クロストーク影響データは、前記画像バッファの前記第2レベルに記憶されるように構成されており; 前記制御回路は、さらに、 前記画像バッファの前記第1レベルに関連した前記複数の液滴吐出装置の前記第1グループを決定し; 前記画像バッファの前記第2レベルに関連した前記複数の液滴吐出装置の前記第2グループを決定し; 前記マルチレベル波形を前記複数の液滴吐出装置に付与するように構成されており、 前記少なくとも1つの補償パルス無しの前記少なくとも1つの駆動パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第1レベルが、前記画像バッファの前記第1レベルに関連した前記複数の液滴吐出装置の前記第1グループに付与され、前記少なくとも1つの補償パルスと前記少なくとも1つの駆動パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第2レベルが、前記画像バッファの前記第2レベルに関連した前記複数の液滴吐出装置の前記第2グループに付与されて、前記クロストークを減少させ、前記複数の液滴吐出装置にわたる周波数応答均一性を増加させる、請求項9に記載のプリントヘッド。」 (2)本件補正後の特許請求の範囲 「 【請求項1】 複数の液滴吐出装置を駆動するための方法であって、 プリントヘッド又はインクジェットシステムの複数の液滴吐出装置にわたって、液滴速度又は液滴重量である、液滴吐出パラメータの変動の分布を決定し; 前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第1グループと前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第2変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第2グループとを識別し、この場合、前記第1変動は速い液滴速度を表し、前記第2変動はゆっくりとした液滴速度を表すか、又は前記第1変動は重い液滴重量を表し、前記第2変動は軽い液滴重量を表し、そして、前記第1変動及び前記第2変動の相違は前記複数の液滴吐出装置にわたって前記液滴吐出パラメータの系統的変動を表し; 複数の液滴吐出装置にわたって、前記液滴吐出パラメータの変動の分布に基づくマルチレベル波形のマッピングを決定し、この場合、該マッピングは、少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第1区分が前記マルチレベル波形の第2レベルにマッピングされ、かつ前記マルチレベル波形の第1レベルにはマッピングされず、そして少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第2区分が前記マルチレベル波形の第1レベル及び第2レベルにマッピングされる、ことを示しており、そして、 前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する1つ以上の液滴を吐出するように液滴吐出装置の前記第1グループに前記補償パルスを有しない少なくとも1つの駆動パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第1レベルを付与するとともに、前記1つ以上の液滴を吐出するように液滴吐出装置の前記第2グループに少なくとも1つの駆動パルスと前記補償パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第2レベルを付与することによって、前記マルチレベル波形に対する前記マッピングによる1組のピクセルのための前記液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置を制御し; 前記複数の液滴吐出装置にわたる前記複数の前記液滴吐出パラメータの変動の分布に基づいて識別され、前記第2変動を有する前記液滴の前記液滴速度又は前記液滴重量を増加させ又は前記第1変動を有する前記液滴の前記液滴速度又は前記液滴重量を減少させる補償効果を持つように、前記補償パルスが、前記液滴吐出装置の第2グループに付与されることにより、前記第1変動と第2変動との違い及び前記複数の前記液滴吐出装置にわたる前記液滴吐出パラメータの系統的変動を減少させるようになっており; 前記複数の液滴吐出装置の画像データを決定し; 前記画像データを、変換データに変換して、第1レベル及び第2レベルを有する画像バッファに記憶し; 前記変換データからクロストーク影響データを決定し、この場合、クロストークに影響されない前記変換データは、前記画像バッファの前記第1レベルに記憶され、前記クロストーク影響データは、前記画像バッファの前記第2レベルに記憶され; 前記マルチレベル波形を前記複数の液滴吐出装置に付与し、前記クロストークを減少させ、前記複数の液滴吐出装置にわたる周波数応答均一性を増加させるようになっている、方法。 【請求項2】 前記第2グループに関連するピクセルを前記マルチレベル波形の第2レベルに、そして 前記第1グループに関連するピクセルを前記マルチレベル波形の第1レベルにマッピング することを更に含む、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記マルチレベル波形は、液滴直線化機能を有する噴射直線化縁と少なくとも1つのエ ネルギー打ち消し機能を有する打ち消し縁を有する非液滴発射部分を含む、請求項1に記 載の方法。 【請求項4】 前記マルチレベル波形の前記第1区分は複数の補償パルスを含む、請求項1に記載の方 法。 【請求項5】 補償パルスの発射からその後の駆動パルスの発射までの期間は、液滴を吐出するための 前記複数の液滴吐出装置の駆動パルスの共振期間である、請求項1に記載の方法。 【請求項6】 前記液滴吐出パラメータの周波数応答変動を減少させるために、前記少なくとも1つの 駆動パルスを有する前記第2区分と少なくとも1つの駆動パルスを有する第3区分は前記 マルチレベル波形の第3レベルにマッピングされ、前記少なくとも1つの補償パルスを有 する前記第1区分は前記マルチレベル波形の第3レベルにマッピングされない、請求項1 に記載の方法。 【請求項7】 クロストーク影響データを決定することは、前記クロストークにより影響されるピクセ ルを識別することを含む、請求項1に記載の方法。 【請求項8】 プリントヘッドであって、 インクジェットモジュールを備え、該モジュールは、 流体の液滴を吐出するための複数の液滴吐出装置;及び 前記複数の液滴吐出装置に結合された制御回路; を備え、 前記制御回路は、 プリントヘッド又はインクジェットシステムの複数の液滴吐出装置にわたって、液滴速度又は液滴重量である、液滴吐出パラメータの変動の分布を決定し;、 前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第1グループと前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第2変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第2グループとを識別し;、 この場合、前記第1変動は速い液滴速度を表し、前記第2変動はゆっくりとした液滴速度を表すか、又は前記第1変動は重い液滴重量を表し、前記第2変動は軽い液滴重量を表し、前記第1変動及び前記第2変動の相違は前記複数の液滴吐出装置にわたって前記液滴吐出パラメータの系統的変動を表しており、 複数の液滴吐出装置にわたって、前記滴吐出パラメータの変動の分布に基づくマルチレベル波形のマッピングを決定し;、 この場合、該マッピングは、少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第1区分が前記マルチレベル波形の第2レベルにマッピングされ、かつ前記マルチレベル波形の第1レベルにはマッピングされず、そして少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第2区分が前記マルチレベル波形の第1レベル及び第2レベルにマ ッピングされる、ことを示しており、 前記制御回路は、さらに、前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する1つ以上の液滴を吐出するように前記液滴吐出装置の前記第1グループに前記補償パルスを有しない少なくとも1つの駆動パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第1レベルを付与するとともに、前記1つ以上の液滴を吐出するように前記液滴吐出装置の第2グループに少なくとも1つの駆動パルスと前記補償パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第2レベルを付与することによって、前記マルチレベル波形に対する区分マッピングによる1組のピクセルのための前記液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置を制御するように構成されており、 前記複数の液滴吐出装置にわたる前記複数の前記液滴吐出パラメータの変動の分布に基づいて識別され、前記第2変動を有する前記液滴の前記液滴速度又は前記液滴重量を増加させ又は前記第1変動を有する前記液滴の前記液滴速度又は前記液滴重量を減少させる補償効果を持つように、前記補償パルスが、前記液滴吐出装置の第2グループに付与されることにより、前記第1変動と第2変動との違い及び前記複数の前記液滴吐出装置にわたる前記液滴吐出パラメータの系統的変動が減少されるように構成されており、 前記制御回路は、さらに、前記複数の液滴吐出装置の画像データを決定し;前記画像データを、変換データに変換して、第1レベル及び第2レベルを有する画像バッファに記憶し;前記変換データからクロストーク影響データを決定し、この場合、クロストークに影響されない前記変換データは、前記画像バッファの前記第1レベルに記憶され、前記クロストーク影響データは、前記画像バッファの前記第2レベルに記憶され;前記マルチレベル波形を前記複数の液滴吐出装置に付与し、前記クロストークを減少させ、前記複数の液滴吐出装置にわたる周波数応答均一性を増加させるように構成されている、プリントヘッド。 【請求項9】 前記制御回路は、さらに、前記第2グループに関連するピクセルを前記マルチレベル波形の第2レベルにマッピングし、前記第1グループに関連するピクセルを前記マルチレベル波形の第1レベルにマッピングするように構成されている、請求項8に記載のプリントヘッド。 【請求項10】 前記マルチレベル波形は、液滴直線化機能を有する噴射直線化縁と少なくとも1つのエネルギー打ち消し機能を有する打ち消し縁を有する非液滴発射部分を含む、請求項8に記載のプリントヘッド。 【請求項11】 前記マルチレベル波形の前記第1区分は複数の補償パルスを含む,請求項8に記載のプリントヘッド。 【請求項12】 補償パルスの発射からその後の駆動パルスの発射までの期間は、液滴を吐出するための前記複数の液滴吐出装置の駆動パルスの共振期間である、請求項8に記載のプリントヘッド。 【請求項13】 前記少なくとも1つの駆動パルスを有する前記第2区分と少なくとも1つの駆動パルスを有する第3区分は前記マルチレベル波形の第3レベルにマッピングされ、前記少なくとも1つの補償パルスを有する前記第1区分は前記マルチレベル波形の第3レベルにマッピングされず、これにより、前記液滴吐出パラメータの周波数応答変動を減少させるようになっている、請求項8に記載のプリントヘッド。」 (3)補正事項 上記(1)及び(2)によれば、本件補正は、本件補正前の請求項1の 「プリントヘッド又はインクジェットシステムの複数の液滴吐出装置にわたって、液滴速度又は液滴重量である、液滴吐出パラメータの変動の分布を決定し; 前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第1グループと前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第2変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第2グループとを識別し、この場合、前記第1変動は速い液滴速度を表し、前記第2変動はゆっくりとした液滴速度を表すか、又は前記第1変動は重い液滴重量を表し、前記第2変動は軽い液滴重量を表し、そして、前記第1変動及び前記第2変動の相違は前記複数の液滴吐出装置にわたって前記液滴吐出パラメータの系統的変動を表し;」、 「前記複数の液滴吐出装置にわたる前記複数の前記液滴吐出パラメータの変動の分布に基づいて識別され、前記第2変動を有する前記液滴の前記液滴速度又は前記液滴重量を増加させ又は前記第1変動を有する前記液滴の前記液滴速度又は前記液滴重量を減少させる補償効果を持つように、前記補償パルスが、前記液滴吐出装置の第2グループに付与されることにより、前記第1変動と第2変動との違い及び前記複数の前記液滴吐出装置にわたる前記液滴吐出パラメータの系統的変動を減少させる」との発明特定事項を含む方法の発明について、 さらに、 「前記複数の液滴吐出装置の画像データを決定し; 前記画像データを、変換データに変換して、第1レベル及び第2レベルを有する画像バッファに記憶し; 前記変換データからクロストーク影響データを決定し、この場合、クロストークに影響されない前記変換データは、前記画像バッファの前記第1レベルに記憶され、前記クロストーク影響データは、前記画像バッファの前記第2レベルに記憶され; 前記マルチレベル波形を前記複数の液滴吐出装置に付与し、前記クロストークを減少させ、前記複数の液滴吐出装置にわたる周波数応答均一性を増加させるようになっている」との限定をする補正、すなわち、液滴吐出パラメータの系統的変動を減少させる発明であったものを、さらに、クロストークをも減少させる発明に限定する補正(以下「補正事項」という。)を含むものである。 2 補正の適否 本件補正は、願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の補正であるか、について以下に検討する。 (1)本願当初明細書等に記載された事項 上記補正事項に関連して、本願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本願当初明細書等」という。)に次の記載がある(下線は参考のため当審において付した。以下同じ。)。 ア 特許請求の範囲 「【請求項1】 マルチレベル波形の少なくとも1つのパルスに関連した補償縁又は補償パルスを有するマルチレベル波形を発生し、その補償縁又はパルスは、液滴パラメータの空間的分布に基づいて選択され、そして複数の液滴吐出装置にわたる系統的な変動を補償するために補償作用を有し;及び 前記複数の液滴吐出装置の少なくとも1つに前記マルチレベル波形を使用して1つ以上の液滴を吐出する; ことを含む方法。 【請求項2】 前記液滴パラメータの空間的分布は、前記複数の液滴吐出装置にわたる液滴速度の空間的分布を含む、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記液滴パラメータの空間的分布は、前記複数の液滴吐出装置にわたる液滴質量の空間的分布を含む、請求項1に記載の方法。 【請求項4】 プリントヘッド又はインクジェットシステムの複数の液滴吐出装置にわたる液滴パラメータの空間的分布を決定し; 前記液滴パラメータの空間的分布に基づいて前記マルチレベル波形の画像ピクセルレベルをマッピングするためのマッピングを決定し; 前記空間的分布内の前記複数の液滴装置の第1及び第2のグループを識別し;及び 前記第1グループのピクセルが前記マルチレベル波形の第1レベルに留まる間に前記第2グループのピクセルを前記マルチレベル波形の第2レベルへ変換する; ことを更に含む、請求項1に記載の方法。 【請求項5】 前記補償縁又はパルスは、前記液滴吐出装置の第2グループにより吐出される液滴の落下速度を上げ下げする、請求項4に記載の方法。 【請求項6】 前記補償縁又はパルスは、前記液滴吐出装置により吐出される液滴の落下編成を改善する、請求項1に記載の方法。 【請求項7】 インクジェットモジュールを備え、該モジュールは、 流体の液滴を吐出するための複数の液滴吐出装置;及び 前記複数の液滴吐出装置に結合された制御回路; を備え、動作中に、前記制御回路は、前記複数の液滴吐出装置にマルチレベル波形を付与することにより前記複数の液滴吐出装置を駆動し、前記マルチレベル波形は、少なくとも1つの補償縁を有する第1区分、及び少なくとも1つの駆動パルスを有する第2区分を含み、前記少なくとも1つの補償縁は、前記複数の液滴吐出装置にわたる液滴パラメータの系統的変動を補償するために補償作用を有する、プリントヘッド。 【請求項8】 前記制御回路は、複数の液滴吐出装置にわたる液滴吐出パラメータの空間的分布を決定し、そしてその液滴吐出パラメータの空間的分布に基づいてマルチレベル波形の画像ピクセルレベルをマッピングするためのマッピングを決定する、請求項7に記載のプリントヘッド。 【請求項9】 前記液滴吐出パラメータの空間的分布は、前記複数の液滴吐出装置にわたる液滴速度の空間的分布を含む、請求項8に記載のプリントヘッド。 【請求項10】 前記液滴吐出パラメータの空間的分布は、前記複数の液滴吐出装置にわたる液滴質量の空間的分布を含む、請求項8に記載のプリントヘッド。 【請求項11】 前記制御回路は、前記空間的分布内の前記複数の液滴吐出装置の第1及び第2のグループを識別し、そして前記第1グループのピクセルが前記マルチレベル波形の第1レベルに留まる間に前記第2グループのピクセルを前記マルチレベル波形の第2レベルへ変換し、前記第1区分は、複数の補償縁又は複数の補償パルスを含む、請求項8に記載のプリントヘッド。 【請求項12】 前記少なくとも1つの補償縁は、前記液滴吐出装置により吐出される液滴の落下質量を増加又は減少させる、請求項7に記載のプリントヘッド。 【請求項13】 前記少なくとも1つの補償縁は、前記液滴吐出装置により吐出される液滴の落下編成を改善する、請求項7に記載のプリントヘッド。 【請求項14】 前記少なくとも1つの補償縁は、前記液滴吐出装置により吐出される液滴の周波数応答変動を減少する、請求項7に記載のプリントヘッド。 【請求項15】 複数の液滴吐出装置の画像データを決定し; その画像データを変換データへと変換して、第1及び第2レベルを有する画像バッファに記憶し; 前記変換データを処理して、クロストーク影響データを決定し;及び マルチレベル波形を前記複数の液滴吐出装置に付与する; ことを含み、前記マルチレベル波形は、少なくとも1つの補償縁を有する第1区分、及び少なくとも1つの駆動パルスを有する第2区分を含み、前記少なくとも1つの補償縁は、複数の液滴吐出装置にわたるクロストーク変動を補償するために補償作用を有するものである、方法。」 イ 発明の詳細な説明 「【0004】 マルチレベル波形で液滴吐出装置を駆動するための方法及びシステムがここに説明される。ある実施形態において、液滴吐出装置を駆動する方法は、マルチレベル波形内の少なくとも1つのパルスに関連した補償縁を有するマルチレベル波形を発生することを含む。その補償縁は、液滴パラメータの空間的分布に基づいて選択され、そして液滴吐出装置にわたる系統的変動を補償するために補償作用を有する。この方法は、液滴吐出装置の少なくとも1つにマルチレベル波形を使用して、1つ以上の液滴を吐出することを含む。 【0005】 別の実施形態において、液滴吐出装置を駆動する方法は、液滴吐出装置の画像データを決定し、その画像データを変換データへ変換して第1及び第2レベルを有する画像バッファに記憶し、その変換データを処理してクロストーク影響データを決定し、そしてマルチレベル波形を液滴吐出装置に付与することを含む。マルチレベル波形は、少なくとも1つの補償縁を有する第1区分と、少なくとも1つの駆動パルスを有する第2区分とを含む。少なくとも1つの補償縁は、液滴吐出装置にわたるクロストーク変動を補償するために補償作用を有する。」 「【0008】 マルチパルス波形で液滴吐出装置を駆動するための方法及びシステムがここに説明される。ある実施形態において、液滴吐出装置を駆動する方法は、マルチレベル波形内の少なくとも1つのパルスに関連した補償縁を有するマルチレベル波形を発生することを含む。その補償縁は、液滴パラメータの空間的分布に基づいて選択され、そして液滴吐出装置にわたる系統的変動を補償するために補償作用を有する。この方法は、液滴吐出装置の少なくとも1つにマルチレベル波形を使用して、1つ以上の液滴を吐出することを含む。 【0009】 インクジェットモジュール内の液滴吐出変動源は、ジェット内変動、ジェット対ジェット変動、及び流体クロストークを含む。ジェット内変動は、ジェットの周波数応答、画像形式、及びプリント速度に依存する。ジェット対ジェット変動は、製造公差による系統的変動(例えば、圧電特性又は厚みの変動)によって生じる。ジェット間の流体クロストークは、画像パターンに依存する。 【0010】 マルチレベル又はマルチ区分波形は、落下速度のそれら変動を補償するように速度制御補償パルスで設計される。速度制御補償パルスは、落下速度を加速又は減速することができる。ジェット対ジェットのような系統的変動は、画像ピクセルレベルを使用して補償パルスを選択されたジェットに適当に付与するように対処される。周波数及びクロストークに関連した変動は、画像ピクセルレベルと同様に動的に対処される。落下質量変動も修正するために種々の形式の補償パルスを開発することができる。」 「【0014】 ある実施形態では、プリントヘッド(例えば、プリントヘッド12)は、流体の液滴を吐出するための液滴吐出装置と、この液滴吐出装置に結合された制御回路(例えば、オンボードコントローラ19)とを含むインクジェットモジュールを備えている。動作中に、制御回路は、液滴吐出装置にマルチレベル波形を付与することにより液滴吐出装置を駆動する。マルチレベル波形は、少なくとも1つの補償縁を有する第1区分と、少なくとも1つの駆動パルスを有する第2区分とを含む。補償縁は、プリントヘッドの液滴吐出装置にわたる液滴パラメータ(例えば、液滴速度、液滴質量)の系統的な変動を補償するために補償作用を有する。 ・・・ 【0016】 別の実施形態では、プリントヘッドは、流体の液滴を吐出するための液滴吐出装置と、この液滴吐出装置に結合された制御回路とを含むインクジェットモジュールを備えている。動作中に、制御回路は、液滴吐出装置にマルチレベル波形を付与することにより液滴吐出装置を駆動する。マルチレベル波形は、液滴吐出装置にわたるクロストークを補償するために補償作用を伴う補償パルスを有する第1区分と、少なくとも1つの駆動パルスを有する第2区分とを含む。制御回路及びコントローラの少なくとも一方は、液滴吐出装置の画像データを決定し、その画像データを変換データへと変換して第1及び第2レベルを有する画像バッファに記憶し、そしてその変換データを処理してクロストーク影響データを決定する。クロストークのバッファデータの処理は、クロストークの影響を受けるピクセルを識別することを含む。制御回路及びコントローラの少なくとも一方は、クロストークの影響を受ける識別されたピクセルを第3レベルの画像バッファへシフトするようにインストラクションを実行する。少なくとも1つの補償縁又はパルスは、液滴吐出装置により吐出される液滴の落下速度を上昇又は下降させる。」 「【0022】 図4は、一実施形態によりプリントヘッド又はインクジェットシステム内の液滴吐出装置をマルチレベル波形で駆動して、液滴吐出装置にわたる少なくとも1つの液滴パラメータの系統的な変動を補償するプロセスのフローチャートである。このプロセスの動作は、制御回路、コントローラ、処理システム、又はこれらコンポーネントの幾つかの組み合わせで遂行される。ある実施形態では、液滴吐出装置を駆動するプロセスは、ブロック402において、プリントヘッド又はインクジェットシステムの液滴吐出装置にわたる液滴パラメータ(例えば、液滴速度、液滴質量)の空間的分布を決定することを含む。このプロセスは、ブロック404において、空間的分布内で液滴吐出装置の第1及び第2グループを識別する。例えば、液滴速度パラメータについては、第1グループは、速い液滴速度で液滴を吐出する液滴吐出装置を含み、そして第2グループは、ゆっくりとした液滴速度で液滴を吐出する液滴吐出装置を含む。液滴質量パラメータについては、第1グループは、重い液滴質量をもつ液滴を吐出するノズルを含み、そして第2グループは、軽い液滴質量をもつ液滴を吐出するノズルを含む。このプロセスは、ブロック406において、液滴吐出パラメータの空間的分布に基づいてマルチレベル波形の画像ピクセルレベルをマッピングするためのマッピングを決定することを含む。マッピングの決定は、第2グループのピクセルをマルチレベル波形の第2レベルへ変換することを含む。第1グループのピクセルは、デフォールトによりマルチレベル波形の第1レベルに留まるか又は第1レベルへマップされる。このプロセスは、ブロック408において、マルチレベル波形を液滴吐出装置に適用する。マルチレベル波形は、液滴吐出装置にわたる液滴パラメータの系統的変動を補償するために補償作用を伴う少なくとも1つの補償縁又は少なくとも1つの補償パルスを有する第1区分と、少なくとも1つの駆動パルスを有する第2区分とを含む。このプロセスは、ブロック408においてマルチレベル波形が液滴吐出装置の1つ以上に適用されるのに応答して、ブロック410において、液滴吐出装置が液滴を吐出するようにさせる。」 「【0036】 図13は、一実施形態により、プリントヘッド又はインクジェットシステムの液滴吐出装置間のクロストークを補償するためにプリントヘッド又はインクジェットシステム内の液滴吐出装置をマルチレベル波形で駆動するプロセスのフローチャートである。マルチレベル波形は、2のビット深さに対して4つのレベル、3のビット深さに対して8つのレベル、等を有する。ある実施形態では、液滴吐出装置を駆動するプロセスは、ブロック1302において、画像データを決定することを含む。このプロセスは、ブロック1304において、画像データを変換データへと変換して画像バッファに記憶する。例えば、画像バッファは、レベル0及びレベル1を含み、レベル1は、画像データのプリントピクセルに対するものである。このプロセスは、ブロック1306において、変換データをクロストークに対して処理することを含む。変換データの処理は、高いクロストークを有するピクセルを識別し、そしてそれを新たなレベル2へシフトすることを含む。例えば、低密度画像を形成する変換データは、クロストークが低く、一方、高密度画像を形成する変換データは、クロストークが高い。画像データがプリントされ、そしてプリントパターンに対して落下速度が測定される。低い落下速度に対応するプリントパターンからのデータは、レベル2へシフトされる。このプロセスは、ブロック1308において、区分マッピングを伴うマルチレベル波形を液滴吐出装置に付与する。マルチレベル波形は、液滴吐出装置間のクロストークを補償するための補償作用と共に少なくとも1つの補償縁又は少なくとも1つの補償パルスを有する第1区分と、少なくとも1つの駆動パルスを有する第2区分とを含む。このプロセスは、ブロック1308においてマルチレベル波形が液滴吐出装置に付与されるのに応答して、液滴吐出装置が、ブロック1310において、液滴を吐出するようにさせる。」 「【図4】 [図:0001430705000001.jpg] 」 「【図13】 [図:0001430705000002.jpg] 」 (2)「系統的な変動を補償する」発明について 上記(1)アのとおり、本願当初明細書等の特許請求の範囲の請求項1に「補償縁又はパルスは、液滴パラメータの空間的分布に基づいて選択され、そして複数の液滴吐出装置にわたる系統的な変動を補償するために補償作用を有」する方法の発明が、請求項7に「少なくとも1つの補償縁は、前記複数の液滴吐出装置にわたる液滴パラメータの系統的変動を補償するために補償作用を有する」プリントヘッドの発明が記載されている。さらに、請求項2ないし請求項6は、請求項1を直接的又は間接的に引用する方法の発明であり、請求項8ないし請求項14は、請求項7を直接的又は間接的に引用するプリントヘッドの発明である。 また、上記(1)イのとおり、発明の詳細な説明の【0009】に「ジェット対ジェット変動は、製造公差による系統的変動(例えば、圧電特性又は厚みの変動)によって生じる」ことが記載されており、発明の詳細な説明の【0004】、【0008】、【0010】、【0014】、【0022】及び図4等に、液滴パラメータの系統的な変動を補償するためのマルチレベル波形について記載されている。 (3)「クロストーク変動を補償する」発明について 上記(1)アのとおり、本願当初明細書等の特許請求の範囲の請求項15に「少なくとも1つの補償縁は、複数の液滴吐出装置にわたるクロストーク変動を補償するために補償作用を有する」方法の発明が記載されている。 また、上記(1)イのとおり、発明の詳細な説明の【0009】に「ジェット間の流体クロストークは、画像パターンに依存する」ことが記載されており、発明の詳細な説明の【0005】、【0010】、【0016】、【0036】及び図13等に、滴吐出装置にわたるクロストーク変動を補償するためのマルチレベル波形について記載されている。 (4)上記(2)及び(3)より、製造公差による系統的変動を補償するマルチレベル波形を発生させる実施例と、画像パターンに依存するクロストーク変動を補償するためのマルチレベル波形を発生させる実施例は、並列かつ独立に記載されている。特に、【0022】及び図4、並びに【0036】及び図13から、系統的変動を補償するマルチレベル波形を発生させて過程と、クロストーク変動を補償するマルチレベル波形を発生させる過程は、別個に独立した実施例として記載されていると認められる。 (5)そして、本願当初明細書等の明細書、特許請求の範囲及び図面には、系統的変動を補償するマルチレベル波形を発生させる過程と、クロストーク変動を補償するマルチレベル波形を発生させる過程を組み合わせる旨の記載もその示唆もなく、系統変動を補償するマルチレベル波形及びクロストーク変動を補償するマルチレベル波形の双方とも主として補償パルスの有無が制御されてマルチレベル波形を発生させるものであることを考慮すると、系統変動を補償する補償パルスとクロストークを補償する補償パルスが相互に干渉してマルチレベル波形が適切な波形でなくなることが容易に推測できるのであって、本願発明の目的を達成するために、系統的変動及びクロストーク変動を同時に補償させることができるマルチレベル波形の形状、並びに、このようなマルチレベル波形を発生させる方法及び手段が不明である。また、これらは本願当初明細書等の記載から自明のものでもない。 したがって、上述のとおり、上記補正事項は、本願当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものである。 (6)小括 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 3 令和7年3月3日に提出された上申書について 審判請求人は、令和7年3月3日に提出した上申書において、補正案を提示しているので、念のため当該補正案について検討する。 (1)補正案における補正事項 当該補正案は、以下の補正事項を含む。 ア 本件補正前の特許請求の範囲の独立請求項1(上記第2[理由]1(1)の請求項1)から、 「プリントヘッド又はインクジェットシステムの複数の液滴吐出装置にわたって、液滴速度又は液滴重量である、液滴吐出パラメータの変動の分布を決定し; 前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第1グループと前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第2変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第2グループとを識別し、この場合、前記第1変動は速い液滴速度を表し、前記第2変動はゆっくりとした液滴速度を表すか、又は前記第1変動は重い液滴重量を表し、前記第2変動は軽い液滴重量を表し、そして、前記第1変動及び前記第2変動の相違は前記複数の液滴吐出装置にわたって前記液滴吐出パラメータの系統的変動を表し; 複数の液滴吐出装置にわたって、前記液滴吐出パラメータの変動の分布に基づくマルチレベル波形のマッピングを決定し、この場合、該マッピングは、少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第1区分が前記マルチレベル波形の第2レベルにマッピングされ、かつ前記マルチレベル波形の第1レベルにはマッピングされず、そして少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第2区分が前記マルチレベル波形の第1レベル及び第2レベルにマッピングされる、ことを示しており、そして、 前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する1つ以上の液滴を吐出するように液滴吐出装置の前記第1グループに前記補償パルスを有しない少なくとも1つの駆動パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第1レベルを付与するとともに、前記1つ以上の液滴を吐出するように液滴吐出装置の前記第2グループに少なくとも1つの駆動パルスと前記補償パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第2レベルを付与することによって、前記マルチレベル波形に対する前記マッピングによる1組のピクセルのための前記液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置を制御し; 前記複数の液滴吐出装置にわたる前記複数の前記液滴吐出パラメータの変動の分布に基づいて識別され、前記第2変動を有する前記液滴の前記液滴速度又は前記液滴重量を増加させ又は前記第1変動を有する前記液滴の前記液滴速度又は前記液滴重量を減少させる補償効果を持つように、前記補償パルスが、前記液滴吐出装置の第2グループに付与されることにより、前記第1変動と第2変動との違い及び前記複数の前記液滴吐出装置にわたる前記液滴吐出パラメータの系統的変動を減少させる」事項を削除する補正。 イ 本件補正前の特許請求の範囲の独立請求項9(上記第2[理由]1(1)の請求項9)から、 「 前記制御回路は、 プリントヘッド又はインクジェットシステムの複数の液滴吐出装置にわたって、液滴速度又は液滴重量である、液滴吐出パラメータの変動の分布を決定し;、 前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第1グループと前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第2変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第2グループとを識別し;、 この場合、前記第1変動は速い液滴速度を表し、前記第2変動はゆっくりとした液滴速度を表すか、又は前記第1変動は重い液滴重量を表し、前記第2変動は軽い液滴重量を表し、前記第1変動及び前記第2変動の相違は前記複数の液滴吐出装置にわたって前記液滴吐出パラメータの系統的変動を表しており、 複数の液滴吐出装置にわたって、前記滴吐出パラメータの変動の分布に基づくマルチレベル波形のマッピングを決定し;、 この場合、該マッピングは、少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第1区分が前記マルチレベル波形の第2レベルにマッピングされ、かつ前記マルチレベル波形の第1レベルにはマッピングされず、そして少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第2区分が前記マルチレベル波形の第1レベル及び第2レベルにマッピングされる、ことを示しており、 前記制御回路は、さらに、前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する1つ以上の液滴を吐出するように前記液滴吐出装置の前記第1グループに前記補償パルスを有しない少なくとも1つの駆動パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第1レベルを付与するとともに、前記1つ以上の液滴を吐出するように前記液滴吐出装置の第2グループに少なくとも1つの駆動パルスと前記補償パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第2レベルを付与することによって、前記マルチレベル波形に対する区分マッピングによる1組のピクセルのための前記液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置を制御するように構成されて」いる事項を削除する補正。 (2)補正の目的について 特許法第17条の2第5項の規定によれば、拒絶査定不服審判の請求と同時にする特許請求の範囲についての補正は、請求項の削除(第1号)、特許請求の範囲の減縮(第2号)、誤記の訂正(第3号)、明りょうでない記載の釈明(第4号)のいずれかを目的とするものに限るとされている。 しかしながら、上記(1)ア及びイは、本件補正前の独立請求項の一部を削除する補正であるので、請求項の削除(第1号)、特許請求の範囲の減縮(第2号)、誤記の訂正(第3号)のいずれを目的としたものにも該当しない。 さらに、上記(1)ア及びイについて、明りょうでない記載を釈明する趣旨(第4号)の補正とも認められない。 すると、上記(1)ア及びイは、拒絶査定不服審判の請求と同時にする特許請求の範囲についてできる補正の目的に適合しないので、上申書に提示された補正案は採用できるものではないし、その他の採用すべき事情も認められない。 4 補正の却下の決定のむすび 以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであり、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下されるべきものである。 よって、上記補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本願発明について 1 本願発明 本件補正は、上記第2のとおり却下された。 本願の請求項に係る発明は、令和5年12月27日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲に記載された事項により特定されるものであるところ、その請求項1ないし15に係る発明(以下「本願発明1」ないし「本願発明15」といい、これらを総称して「本願発明」という。)は、その特許請求の範囲1ないし15に記載された事項により特定される、上記第2[理由]1(1)に記載のとおりのものである。 2 原査定における拒絶の理由 原査定の拒絶の理由は、令和5年7月31日付けで通知された次の拒絶の理由を含む。 (新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 (進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 引用文献1:特開2020-044843号公報 引用文献2:特開2004-249686号公報 <分割要件について> 本願は、特願2019-217953号の分割出願である。 しかしながら、本願は分割要件のうち実体的要件を満たしていないので、出願日を現実の出願時(2022年(令和4年)7月14日)として審査を行った。 3 特許法第44条第1項(分割要件)の判断 (1)本願の願書の記載によれば、本願は、特許法第44条第1項の規定による特許出願(いわゆる分割出願)をしようとするものであるから、まず、本願が適法に分割された出願であるか否かを検討する。 特許出願の分割は、二以上の発明を包含する特許出願の一部を新たな特許出願とするものである(特許法第44条第1項柱書き)から、適法に分割されたものというためには、以下の(要件1)及び(要件3)が満たされる必要がある。また、分割出願が原出願の時にしたものとみなされる(特許法第44条第2項本文)という特許出願の分割の効果を考慮すると、更に以下の(要件2)も満たされる必要がある。 (要件1)原出願の分割直前の明細書等に記載された発明の全部が分割出願請求項に係る発明とされたものでないこと。 (要件2)分割出願の明細書等に記載された事項が、原出願の出願当初の明細書等に記載された事項の範囲内であること。 (要件3)分割出願の明細書等に記載された事項が、原出願の分割直前の明細書等に記載された事項の範囲内であること。 そこで、事案に鑑みて、(要件2)が満たされているか否かを検討する。 (2)本願発明7について 本願発明7は、上記第2[理由]1(1)の請求項1及び請求項7の記載から特定される発明であって、請求項1及び請求項7を以下に再掲する。 「【請求項1】 複数の液滴吐出装置を駆動するための方法であって、 プリントヘッド又はインクジェットシステムの複数の液滴吐出装置にわたって、液滴速度又は液滴重量である、液滴吐出パラメータの変動の分布を決定し; 前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第1グループと前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第2変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第2グループとを識別し、この場合、前記第1変動は速い液滴速度を表し、前記第2変動はゆっくりとした液滴速度を表すか、又は前記第1変動は重い液滴重量を表し、前記第2変動は軽い液滴重量を表し、そして、前記第1変動及び前記第2変動の相違は前記複数の液滴吐出装置にわたって前記液滴吐出パラメータの系統的変動を表し; 複数の液滴吐出装置にわたって、前記液滴吐出パラメータの変動の分布に基づくマルチレベル波形のマッピングを決定し、この場合、該マッピングは、少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第1区分が前記マルチレベル波形の第2レベルにマッピングされ、かつ前記マルチレベル波形の第1レベルにはマッピングされず、そして少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第2区分が前記マルチレベル波形の第1レベル及び第2レベルにマッピングされる、ことを示しており、そして、 前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する1つ以上の液滴を吐出するように液滴吐出装置の前記第1グループに前記補償パルスを有しない少なくとも1つの駆動パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第1レベルを付与するとともに、前記1つ以上の液滴を吐出するように液滴吐出装置の前記第2グループに少なくとも1つの駆動パルスと前記補償パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第2レベルを付与することによって、前記マルチレベル波形に対する前記マッピングによる1組のピクセルのための前記液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置を制御し; 前記複数の液滴吐出装置にわたる前記複数の前記液滴吐出パラメータの変動の分布に基づいて識別され、前記第2変動を有する前記液滴の前記液滴速度又は前記液滴重量を増加させ又は前記第1変動を有する前記液滴の前記液滴速度又は前記液滴重量を減少させる補償効果を持つように、前記補償パルスが、前記液滴吐出装置の第2グループに付与されることにより、前記第1変動と第2変動との違い及び前記複数の前記液滴吐出装置にわたる前記液滴吐出パラメータの系統的変動を減少させる、方法。」 「 【請求項7】 複数の液滴吐出装置の画像データを決定し; その画像データを変換データへと変換して、第1レベルと第2レベルを含む画像バッファに記憶し; 前記変換データからクロストーク影響データを決定し、この場合、クロストークに影響されない前記変換データは、前記画像バッファの前記第1レベルに記憶され、そして前記クロストーク影響データは、前記画像バッファの前記第2レベルに記憶されるようになっており; 前記画像バッファの前記第1レベルに記憶された前記クロストーク影響データに関連した前記複数の液滴吐出装置の前記第1グループを決定し; 前記画像バッファの前記第2レベルに記憶された前記クロストークに影響されないに関連した前記複数の液滴吐出装置の前記第2グループを決定し; 前記マルチレベル波形を前記複数の液滴吐出装置に付与し;さらに、 前記少なくとも1つの補償パルス無しの前記少なくとも1つの駆動パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第1レベルが前記画像バッファの前記第1レベルに関連した前記複数の液滴吐出装置の前記第1グループに付与され、前記少なくとも1つの補償パルスと前記少なくとも1つの駆動パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第2レベルが、前記画像バッファの前記第2レベルに関連した前記複数の液滴吐出装置の前記第2グループに付与されて、前記クロストークを減少させ、前記複数の液滴吐出装置にわたる周波数応答均一性を増加させるようになっている、請求項1に記載の方法。」 (3)原出願当初明細書等の記載 原出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「原出願当初明細書等」という。)には、次の記載がある。 ア 原出願(特願2019-217953号)の特許請求の範囲の記載 「【請求項1】 マルチレベル波形の少なくとも1つのパルスに関連した補償縁又は補償パルスを有するマルチレベル波形を発生し、その補償縁又はパルスは、液滴パラメータの空間的分布に基づいて選択され、そして複数の液滴吐出装置にわたる系統的な変動を補償するために補償作用を有し;及び 前記複数の液滴吐出装置の少なくとも1つに前記マルチレベル波形を使用して1つ以上の液滴を吐出する; ことを含む方法。 【請求項2】 前記液滴パラメータの空間的分布は、前記複数の液滴吐出装置にわたる液滴速度の空間的分布を含む、請求項1に記載の方法。 【請求項3】 前記液滴パラメータの空間的分布は、前記複数の液滴吐出装置にわたる液滴質量の空間的分布を含む、請求項1に記載の方法。 【請求項4】 プリントヘッド又はインクジェットシステムの複数の液滴吐出装置にわたる液滴パラメータの空間的分布を決定し; 前記液滴パラメータの空間的分布に基づいて前記マルチレベル波形の画像ピクセルレベルをマッピングするためのマッピングを決定し; 前記空間的分布内の前記複数の液滴装置の第1及び第2のグループを識別し;及び 前記第1グループのピクセルが前記マルチレベル波形の第1レベルに留まる間に前記第2グループのピクセルを前記マルチレベル波形の第2レベルへ変換する; ことを更に含む、請求項1に記載の方法。 【請求項5】 前記補償縁又はパルスは、前記液滴吐出装置の第2 グループにより吐出される液滴の落下速度を上げ下げする、請求項4に記載の方法。 【請求項6】 前記補償縁又はパルスは、前記液滴吐出装置により吐出される液滴の落下編成を改善する、請求項1に記載の方法。 【請求項7】 インクジェットモジュールを備え、該モジュールは、 流体の液滴を吐出するための複数の液滴吐出装置; 及び 前記複数の液滴吐出装置に結合された制御回路; を備え、動作中に、前記制御回路は、前記複数の液滴吐出装置にマルチレベル波形を付与することにより前記複数の液滴吐出装置を駆動し、前記マルチレベル波形は、少なくとも1つの補償縁を有する第1区分、及び少なくとも1つの駆動パルスを有する第2区分を含み、前記少なくとも1つの補償縁は、前記複数の液滴吐出装置にわたる液滴パラメータの系統的変動を補償するために補償作用を有する、プリントヘッド。 【請求項8】 前記制御回路は、複数の液滴吐出装置にわたる液滴吐出パラメータの空間的分布を決定し、そしてその液滴吐出パラメータの空間的分布に基づいてマルチレベル波形の画像ピクセルレベルをマッピングするためのマッピングを決定する、請求項7 に記載のプリントヘッド。 【請求項9】 前記液滴吐出パラメータの空間的分布は、前記複数の液滴吐出装置にわたる液滴速度の空間的分布を含む、請求項8に記載のプリントヘッド。 【請求項10】 前記液滴吐出パラメータの空間的分布は、前記複数の液滴吐出装置にわたる液滴質量の空間的分布を含む、請求項8に記載のプリントヘッド。 【請求項11】 前記制御回路は、前記空間的分布内の前記複数の液滴吐出装置の第1及び第2のグループを識別し、そして前記第1グループのピクセルが前記マルチレベル波形の第1レベルに留まる間に前記第2グループのピクセルを前記マルチレベル波形の第2レベルへ変換し、前記第1区分は、複数の補償縁又は複数の補償パルスを含む、請求項8に記載のプリントヘッド。 【請求項12】 前記少なくとも1つの補償縁は、前記液滴吐出装置により吐出される液滴の落下質量を増加又は減少させる、請求項7に記載のプリントヘッド。 【請求項13】 前記少なくとも1つの補償縁は、前記液滴吐出装置により吐出される液滴の落下編成を改善する、請求項7に記載のプリントヘッド。 【請求項14】 前記少なくとも1つの補償縁は、前記液滴吐出装置により吐出される液滴の周波数応答変動を減少する、請求項7に記載のプリントヘッド。 【請求項15】 複数の液滴吐出装置の画像データを決定し; その画像データを変換データへと変換して、第1及び第2レベルを有する画像バッファに記憶し; 前記変換データを処理して、クロストーク影響データを決定し;及び マルチレベル波形を前記複数の液滴吐出装置に付与する; ことを含み、前記マルチレベル波形は、少なくとも1つの補償縁を有する第1区分、及び少なくとも1つの駆動パルスを有する第2区分を含み、前記少なくとも1つの補償縁は、複数の液滴吐出装置にわたるクロストーク変動を補償するために補償作用を有するものである、方法。 【請求項16】 前記変換データを処理してクロストーク影響データを決定することは、クロストークにより影響されるピクセルを識別することを含む、請求項15に記載の方法。 【請求項17】 前記クロストークにより影響される識別されたピクセルを、画像バッファの第1又は第2レベルから第3レベルへシフトすることを更に含む、請求項15に記載の方法。 【請求項18】 前記少なくとも1つの補償縁は、前記液滴吐出装置により吐出される液滴の落下速度を上げ下げする、請求項15に記載の方法。 【請求項19】 前記第1区分は、複数の補償縁又は複数の補償パルスを含む請求項15に記載の方法。 【請求項20】 インクジェットモジュールを備え、該モジュールは、 流体の液滴を吐出するための複数の液滴吐出装置;及び 前記複数の液滴吐出装置に結合された制御回路; を備え、動作中に、前記制御回路は、前記複数の液滴吐出装置にマルチレベル波形を付与することにより前記複数の液滴吐出装置を駆動し、前記マルチレベル波形は、補償縁を有する第1区分、及び少なくとも1つの駆動パルスを有する第2区分を含み、前記少なくとも1つの補償縁は、前記複数の液滴吐出装置にわたるクロストーク変動を補償するために補償作用を有する、プリントヘッド。 【請求項21】 前記制御回路は、複数の液滴吐出装置の画像データを決定し、その画像データを変換データへと変換して、第1及び第2レベルを有する画像バッファに記憶し、そして前記変換データを処理して、クロストークの影響を受けるデータを決定する、請求項20に記載のプリントヘッド。 【請求項22】 クロストークに対するバッファデータの処理は、クロストークの影響を受けるピクセルを識別することを含む、請求項21に記載のプリントヘッド。 【請求項23】 前記制御回路は、クロストークの影響を受ける前記識別されたピクセルを、画像バッファの第3レベルへシフトする、請求項21に記載のプリントヘッド。 【請求項24】 前記少なくとも1つの補償縁は、前記液滴吐出装置により吐出される液滴の落下速度を上げる、請求項20に記載のプリントヘッド。 【請求項25】 前記第1区分は、複数の補償縁又は複数の補償パルスを含む、請求項20に記載のプリントヘッド。」 イ 原出願(特願2019-217953号)の明細書及び図面の記載 原出願当初明細書等には、上記第2[理由]2(1)イと同じ記載がある。 ウ 判断 (ア)上記(2)に示したとおり、本願発明7は、本願発明1の「前記複数の液滴吐出装置にわたって前記液滴吐出パラメータの系統的変動を表」す「第1変動」及び「第2変動」を有する液滴を吐出する液滴吐出装置について、「速い液滴速度」又は「重い液滴重量」を表す「第1変動」を有する液滴を吐出する液滴吐出装置の「第1グループ」及び「ゆっくりとした液滴速度」又は「軽い液滴重量」を有する液滴を吐出する液滴吐出装置の「第2グループ」とを識別して、「補償パルスを「液滴吐出装置の第2グループ」に付与して、「前記第1変動と第2変動との違い及び前記複数の前記液滴吐出装置にわたる前記液滴吐出パラメータの系統的変動を減少させる」方法について、さらに、「クロストーク影響データに関連した」「第1グループ」及び「第2グループ」を決定して、「マルチレベル波形」の「第1レベル」を「液滴吐出装置」の「第1グループ」に、「第2レベル」を「液滴吐出装置」の「第2グループ」に付与して、「前記クロストークを減少させ、前記複数の液滴吐出装置にわたる周波数応答均一性を増加させる」方法に限定したものである。 (イ)原出願当初明細書等の特許請求の範囲には、「補償縁又はパルスは、液滴パラメータの空間的分布に基づいて選択され、そして複数の液滴吐出装置にわたる系統的な変動を補償するために補償作用を有」する「マルチレベル波形を使用して1つ以上の液滴を吐出する」方法の発明(請求項1ないし請求項6)と、 「少なくとも1つの補償縁は、前記複数の液滴吐出装置にわたる液滴パラメータの系統的変動を補償するために補償作用を有する」プリントヘッドの発明(請求項7ないし14)と、 「複数の液滴吐出装置にわたるクロストーク変動を補償するために補償作用を有する」「マルチレベル波形を前記複数の液滴吐出装置に付与する」方法の発明(請求項15ないし19)と、 「前記複数の液滴吐出装置にわたるクロストーク変動を補償するために補償作用を有する」「マルチレベル波形」を「前記複数の液滴吐出装置」に付与するプリントヘッドの発明(請求項20ないし25)が記載されており、要するに、系統的な変動を補償する発明とクロストーク変動を補償する発明が別個の独立した発明として記載されている。 (ウ)原出願当初明細書等の発明の詳細な説明には、上記イのとおり上記第2[理由]2(1)イと同じ記載があるので、上記第2の2(2)ないし(4)を踏まえれば、製造公差による系統的変動を補償するマルチレベル波形を発生させる実施例と、画像パターンに依存するクロストーク変動を補償するためのマルチレベル波形を発生させる実施例が、別個かつ独立した実施例として記載されている。 (エ)したがって、上記第2の2(5)を踏まえれば、本願発明の請求項7に記載された、「前記複数の液滴吐出装置にわたって前記液滴吐出パラメータの系統的変動を表」す「第1変動」及び「第2変動」を有する液滴を吐出する液滴吐出装置について、「速い液滴速度」又は「重い液滴重量」を表す「第1変動」を有する液滴を吐出する液滴吐出装置の「第1グループ」及び「ゆっくりとした液滴速度」又は「軽い液滴重量」を有する液滴を吐出する液滴吐出装置の「第2グループ」とを識別して、「補償パルスを「液滴吐出装置の第2グループ」に付与して、「前記第1変動と第2変動との違い及び前記複数の前記液滴吐出装置にわたる前記液滴吐出パラメータの系統的変動を減少させる」技術事項に対して、さらに、「クロストーク影響データに関連した」「第1グループ」及び「第2グループ」を決定して、「マルチレベル波形」の「第1レベル」を「液滴吐出装置」の「第1グループ」に、「第2レベル」を「液滴吐出装置」の「第2グループ」に付与して、「前記クロストークを減少させ、前記複数の液滴吐出装置にわたる周波数応答均一性を増加させる」技術的事項は、原出願当初明細書等の全ての記載を総合することにより導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項といえるので、上記(要件2)は満たされていない。 エ 小括 以上のとおり、本願は適法に分割されたものではないから、本願の出願日は、現実の出願日である令和4年7月14日である。 4 引用文献 (1)引用文献1 ア 引用文献1記載事項 原査定の拒絶の理由において引用文献1として引用され、本願の現実の出願日前である令和2年3月26日に発行された特開2020-44843号公報には、次の事項が記載されている。 「【請求項1】 マルチレベル波形の少なくとも1つのパルスに関連した補償縁又は補償パルスを有するマルチレベル波形を発生し、その補償縁又はパルスは、液滴パラメータの空間的分布に基づいて選択され、そして複数の液滴吐出装置にわたる系統的な変動を補償するために補償作用を有し; 及び 前記複数の液滴吐出装置の少なくとも1つに前記マルチレベル波形を使用して1つ以上の液滴を吐出する; ことを含む方法。」 「【技術分野】 【0001】 本発明の実施形態は、液滴の吐出に関するもので、より詳細には、マルチレベル画像マッピングを経て補償パルスを付与して、落下速度均一性、落下質量均一性、及び落下編成を改善することに関する。」 「【0008】 マルチパルス波形で液滴吐出装置を駆動するための方法及びシステムがここに説明される。ある実施形態において、液滴吐出装置を駆動する方法は、マルチレベル波形内の少なくとも1つのパルスに関連した補償縁を有するマルチレベル波形を発生することを含む。その補償縁は、液滴パラメータの空間的分布に基づいて選択され、そして液滴吐出装置にわたる系統的変動を補償するために補償作用を有する。この方法は、液滴吐出装置の少なくとも1つにマルチレベル波形を使用して、1つ以上の液滴を吐出することを含む。」 「【0010】 マルチレベル又はマルチ区分波形は、落下速度のそれら変動を補償するように速度制御補償パルスで設計される。速度制御補償パルスは、落下速度を加速又は減速することができる。・・・」 「【0013】 図2は、一実施形態による圧電インクジェットプリントヘッドである。図2に示すように、プリントヘッド12の128個の個々の液滴吐出装置10(図2には1つしか示さない)は、個々の液滴吐出装置10の発射を制御するために供給ライン14及び15を経て供給され且つオンボード制御回路(オンボードコントローラ)19により配電される一定電圧により駆動される。外部コントローラ20は、ライン14及び15を経て電圧を供給し、そして付加的なライン16を経てオンボード制御回路19へ制御データ、論理的電力及びタイミング情報を与える。個々の突出装置10により噴射されるインクは、プリントヘッド12の下を移動する基板18にプリント線17を形成するように付与される。基板18は、単一パスモードでは固定のプリントヘッド12を越えて移動するように示されているが、それとは別に、プリントヘッド12は、スキャニングモードでは基板18を横切って移動することもできる。 【0014】 ある実施形態では、プリントヘッド(例えば、プリントヘッド12)は、流体の液滴を吐出するための液滴吐出装置と、この液滴吐出装置に結合された制御回路(例えば、オンボードコントローラ19)とを含むインクジェットモジュールを備えている。動作中に、制御回路は、液滴吐出装置にマルチレベル波形を付与することにより液滴吐出装置を駆動する。マルチレベル波形は、少なくとも1つの補償縁を有する第1区分と、少なくとも1つの駆動パルスを有する第2区分とを含む。補償縁は、プリントヘッドの液滴吐出装置にわたる液滴パラメータ(例えば、液滴速度、液滴質量)の系統的な変動を補償するために補償作用を有する。 【0015】 制御回路及びコントローラ(例えば、外部コントローラ20、処理システム、等)の少なくとも1つは、液滴吐出装置にわたる液滴吐出パラメータの空間的分布を決定しそしてその液滴吐出パラメータの空間的分布に基づいてマルチレベル波形の画像ピクセルレベルをマッピングするためのマッピングを決定するように、インストラクションを実行するか又は動作を遂行する。それとは別に、異なる処理システムが、液滴吐出装置の空間的分布を与え、そして液滴吐出パラメータの空間的分布に基づいてマルチレベル波形の画像ピクセルレベルをマッピングするためのマッピングを決定する。液滴吐出パラメータの空間的分布は、液滴吐出装置にわたる液滴速度の空間的分布を含む。液滴吐出パラメータの空間的分布は、液滴吐出装置にわたる液滴質量の空間的分布を含む。制御回路及びコントローラの少なくとも1つは、空間的分布内の液滴吐出装置の第1及び第2グループを識別し、そして第1グループのピクセルがマルチレベル波形の第1レベルに留まる間に第2グループのピクセルをマルチレベル波形の第2レベルへと変換するように、インストラクションを実行するか又は動作を遂行する。補償縁又はパルスは、液滴吐出装置により吐出される液滴の落下質量を増加又は減少させる。補償縁又はパルスは、液滴吐出装置により吐出される液滴の周波数応答変動を減少することができる。」 「【0022】 図4は、一実施形態によりプリントヘッド又はインクジェットシステム内の液滴吐出装置をマルチレベル波形で駆動して、液滴吐出装置にわたる少なくとも1つの液滴パラメータの系統的な変動を補償するプロセスのフローチャートである。このプロセスの動作は、制御回路、コントローラ、処理システム、又はこれらコンポーネントの幾つかの組み合わせで遂行される。ある実施形態では、液滴吐出装置を駆動するプロセスは、ブロック402において、プリントヘッド又はインクジェットシステムの液滴吐出装置にわたる液滴パラメータ(例えば、液滴速度、液滴質量)の空間的分布を決定することを含む。このプロセスは、ブロック404において、空間的分布内で液滴吐出装置の第1及び第2グループを識別する。例えば、液滴速度パラメータについては、第1グループは、速い液滴速度で液滴を吐出する液滴吐出装置を含み、そして第2グループは、ゆっくりとした液滴速度で液滴を吐出する液滴吐出装置を含む。液滴質量パラメータについては、第1グループは、重い液滴質量をもつ液滴を吐出するノズルを含み、そして第2グループは、軽い液滴質量をもつ液滴を吐出するノズルを含む。このプロセスは、ブロック406において、液滴吐出パラメータの空間的分布に基づいてマルチレベル波形の画像ピクセルレベルをマッピングするためのマッピングを決定することを含む。マッピングの決定は、第2グループのピクセルをマルチレベル波形の第2レベルへ変換することを含む。第1グループのピクセルは、デフォールトによりマルチレベル波形の第1レベルに留まるか又は第1レベルへマップされる。このプロセスは、ブロック408において、マルチレベル波形を液滴吐出装置に適用する。マルチレベル波形は、液滴吐出装置にわたる液滴パラメータの系統的変動を補償するために補償作用を伴う少なくとも1つの補償縁又は少なくとも1つの補償パルスを有する第1区分と、少なくとも1つの駆動パルスを有する第2区分とを含む。このプロセスは、ブロック408においてマルチレベル波形が液滴吐出装置の1つ以上に適用されるのに応答して、ブロック410において、液滴吐出装置が液滴を吐出するようにさせる。 【0023】 ある実施形態では、補償パルス又は複数の補償パルスである少なくとも1つの補償縁によって生じる圧力応答波は、少なくとも1つの駆動パルスの圧力波に対して共振(即ち、同相)であるか又はほぼ共振である。それとは別に、補償パルス又は複数の補償パルスである少なくとも1つの補償縁によって生じる圧力応答波は、少なくとも1つの駆動パルスの圧力応答波に対してほぼ反共振(即ち、位相ずれ)である。補償縁又は補償パルスのピーク電圧は、少なくとも1つの駆動パルスのピーク電圧より低い。補償パルスのパルス巾は、少なくとも1つの駆動パルスのパルス巾と同様である。 【0024】 補償縁又は補償パルスは、液滴を吐出しないように設計される。又、補償縁又は補償パルスは、液滴の吐出を回避するために駆動パルスに比して最大電圧振幅が低い。 【0025】 ある実施形態では、各液滴吐出装置は、マルチレベル波形のパルスに応答するか或いは付加的なマルチレベル波形のパルスに応答して、付加的な流体液滴を吐出する。波形は、互いに連結される一連の区分を含む。各区分は、固定期間(例えば、1から3マイクロ秒)及び関連データ量を含むある数のサンプルを含んでいる。サンプルの期間は、駆動電子装置の制御ロジックが次の波形区分に対して各噴射ノズルをイネーブル又はディスエイブルするに充分な長さである。ある実施形態では、波形データは、一連のアドレス、電圧及びフラグビットサンプルとしてテーブルに記憶され、ソフトウェアでアクセスすることができる。波形は、単一サイズの液滴及び種々の異なるサイズの液滴を生成するに必要なデータを与える。例えば、波形は、20キロヘルツ(kHz)の周波数で動作し、そして波形の異なるパルスを選択的にアクチベートすることにより3つの異なるサイズの液滴を生成する。これらの液滴は、ほぼ同じターゲット速度で吐出される。 【0026】 図5は、一実施形態によるマルチレベル波形500を示す。波形の区分1は、補償パルス510を含み、そして区分2は、駆動パルス520を含む。区分1は、波形のほぼ3マイクロ秒の期間に対応し、そして区分2は、波形の残りのほぼ5マイクロ秒に対応する。補償パルス510は、プリントヘッドの液滴吐出装置にわたる系統的変動を補償するために補償作用を有する。補償パルスの発射からその後の駆動パルスの発射までの期間は、ほぼ共振期間である。 【0027】 テーブル1は、波形500の区分マッピングを示す。 テーブル1:区分マッピング [図:0001430705000003.jpg] 【0028】 図6は、一実施形態による複数のダイをもつウェハ及びそれに対応する落下速度の空間的分布を示す。ダイ602-608は、落下速度の空間的分布610-617を含む。落下速度の空間的分布は、ウェハ600上のダイ位置に依存する系統的シグネチャーを有する。ここに述べる補償パルスは、異なるダイ位置にわたる系統的落下速度変動を補償するように設計される。ある実施形態では、各ダイ位置は、異なるプリントヘッドに対応する。例えば、ダイ602は、一般的にダイにわたり左から右へ低下する落下速度の分布610を含む。落下速度の分布610のゆっくりとした落下速度に対応する液滴吐出装置は、それら液滴吐出装置の落下速度を加速し且つ系統的落下速度変動を減少するために補償パルスで補償される。」 「【図4】 [図:0001430705000004.jpg] 」 「【図5】 [図:0001430705000005.jpg] 」 「【図6】 [図:0001430705000006.jpg] 」 引用文献1の記載を次のとおり整理する。 (ア)【請求項1】及び【0008】に、「マルチレベル波形の少なくとも1つのパルスに関連した補償縁又は補償パルスを有するマルチレベル波形を発生し、その補償縁又はパルスは、複数の液滴吐出装置にわたる系統的な変動を補償するために補償作用を有し、複数の液滴吐出装置の少なくとも1つに前記マルチレベル波形で液滴吐出装置を駆動して1つ以上の液滴を吐出する方法」が記載されている。 (イ)【0014】の「(例えば、プリントヘッド12)は、・・・液滴吐出装置に結合された制御回路(例えば、オンボードコントローラ19)とを含むインクジェットモジュールを備えている・・・制御回路は、液滴吐出装置にマルチレベル波形を付与することにより液滴吐出装置を駆動する」との記載、【0015】の「制御回路及びコントローラ(例えば、外部コントローラ20、処理システム、等)の少なくとも1つは、液滴吐出装置にわたる液滴吐出パラメータの空間的分布を決定しそしてその液滴吐出パラメータの空間的分布に基づいてマルチレベル波形の画像ピクセルレベルをマッピングするためのマッピングを決定するように、インストラクションを実行するか又は動作を遂行する。」との記載から、引用文献1記載には、「制御回路及びコントローラの少なくとも1つが、液滴吐出装置にわたる液滴吐出パラメータの空間的分布を決定し、その液滴吐出パラメータの空間的分布に基づいてマルチレベル波形の画像ピクセルレベルをマッピングするためのマッピングを決定し、制御回路は、液滴吐出装置にマルチレベル波形を付与することにより液滴吐出装置を駆動」する方法が記載されている。 (ウ)【0022】の「液滴吐出装置を駆動するプロセスは、ブロック402において、プリントヘッド又はインクジェットシステムの液滴吐出装置にわたる液滴パラメータ(例えば、液滴速度、液滴質量)の空間的分布を決定することを含む」との記載から、上記(ア)より系統的な変動が補償される液滴吐出装置が複数存在することを踏まえると、引用文献1には、「プリントヘッド又はインクジェットシステムの複数の液滴吐出装置にわたる液滴速度又は液滴質量の液滴パラメータの空間分布を決定」する方法が記載されている。 (エ)【0022】の「このプロセスは、ブロック404において、空間的分布内で液滴吐出装置の第1及び第2グループを識別する。例えば、液滴速度パラメータについては、第1グループは、速い液滴速度で液滴を吐出する液滴吐出装置を含み、そして第2グループは、ゆっくりとした液滴速度で液滴を吐出する液滴吐出装置を含む。液滴質量パラメータについては、第1グループは、重い液滴質量をもつ液滴を吐出するノズルを含み、そして第2グループは、軽い液滴質量をもつ液滴を吐出するノズルを含む」との記載から、引用文献1記載の方法は、「液滴速度パラメータについては、第1グループは、速い液滴速度で液滴を吐出する液滴吐出装置を含み、そして第2グループは、ゆっくりとした液滴速度で液滴を吐出する液滴吐出装置を含」み、「液滴質量パラメータについては、第1グループは、重い液滴質量をもつ液滴を吐出するノズルを含み、そして第2グループは、軽い液滴質量をもつ液滴を吐出するノズルを含」み、さらに、「空間的分布内で液滴吐出装置の第1及び第2グループを識別する」ので、引用文献1には、「液滴速度パラメータについては、速い液滴速度で液滴を吐出する液滴吐出装置を含む第1グループ又はゆっくりとした液滴速度で液滴を吐出する液滴吐出装置を含む第2グループ、若しくは、液滴質量パラメータについては、重い液滴質量をもつ液滴を吐出するノズルを含む第1グループ又は軽い液滴質量をもつ液滴を吐出するノズルを含む第2グループのいずれであるか、空間的分布内で液滴吐出装置の第1及び第2グループを識別」する方法が記載されている。 (オ)【0022】の「ブロック406において、液滴吐出パラメータの空間的分布に基づいてマルチレベル波形の画像ピクセルレベルをマッピングするためのマッピングを決定することを含む」との記載から、引用文献1には、「液滴吐出パラメータの空間的分布に基づいてマルチレベル波形の画像ピクセルレベルをマッピングするためのマッピングを決定」する方法が記載されている。 (カ)【0022】から、引用文献1には、「マッピングの決定は、第2グループのピクセルをマルチレベル波形の第2レベルへ変換することを含み、第1グループのピクセルは、デフォールトによりマルチレベル波形の第1レベルに留まるか又は第1レベルへマップ」される方法が記載されている。 (キ)【0022】の「マルチレベル波形は、液滴吐出装置にわたる液滴パラメータの系統的変動を補償するために補償作用を伴う少なくとも1つの補償縁又は少なくとも1つの補償パルスを有する第1区分と、少なくとも1つの駆動パルスを有する第2区分とを含む」との記載から、引用文献1には、「マルチレベル波形は、液滴吐出装置にわたる液滴パラメータの系統的変動を補償するために補償作用を伴う少なくとも1つの補償縁又は少なくとも1つの補償パルスを有する第1区分と、少なくとも1つの駆動パルスを有する第2区分とを含」むことが記載されている。 (ク)【0028】には、「落下速度の分布610のゆっくりとした落下速度に対応する液滴吐出装置は、それら液滴吐出装置の落下速度を加速し且つ系統的落下速度変動を減少するために補償パルスで補償される」方法が記載されている。 引用文献1記載事項から、次の事項を認定できる。 (ケ)【0026】の「図5は、一実施形態によるマルチレベル波形500を示す。波形の区分1は、補償パルス510を含み、そして区分2は、駆動パルス520を含む・・・補償パルス510は、プリントヘッドの液滴吐出装置にわたる系統的変動を補償するために補償作用を有する」との記載を踏まえると、図5から、「区分1に補償パルスを含み、区分2に駆動パルスを含むマルチレベル波形」を看取できる。 (コ)【0027】のテーブル1で示される波形500の区分マッピングから、「マルチレベル波形は、プリントなし(レベル0)が区分1でオフかつ区分2でオフであって、レベル1が区分1でオフかつ区分2でオンであって、レベル2が区分1でオンかつ区分2でオンに、区分マッピングをされる」ことを看取できる。 (サ)【0010】の「速度制御補償パルスは、落下速度を加速又は減速することができる」、【0015】の「補償縁又はパルスは、液滴吐出装置により吐出される液滴の落下質量を増加又は減少させる」との記載から、「補償パルスは、液滴速度を加速又は減速することができ、又は、液滴質量を増加又は減少」させることを把握できる。 イ 引用発明1 上記ア(ア)ないし(ク)の引用文献1記載事項、及び上記ア(ケ)ないし(サ)の引用文献1記載事項から認定できる事項から、引用文献1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されているものと認められる。 [引用発明1] マルチレベル波形の少なくとも1つのパルスに関連した補償縁又は補償パルスを有するマルチレベル波形を発生し、その補償縁又はパルスは、複数の液滴吐出装置にわたる系統的な変動を補償するために補償作用を有し、複数の液滴吐出装置の少なくとも1つに前記マルチレベル波形で液滴吐出装置を駆動して1つ以上の液滴を吐出する方法であって(ア(ア))、 制御回路及びコントローラの少なくとも1つが、液滴吐出装置にわたる液滴吐出パラメータの空間的分布を決定し、その液滴吐出パラメータの空間的分布に基づいてマルチレベル波形の画像ピクセルレベルをマッピングするためのマッピングを決定し、制御回路は、液滴吐出装置にマルチレベル波形を付与することにより液滴吐出装置を駆動しており(ア(イ)) プリントヘッド又はインクジェットシステムの複数の液滴吐出装置にわたる液滴速度又は液滴質量の液滴パラメータの空間分布を決定し(ア(ウ))、 液滴速度パラメータについては、速い液滴速度で液滴を吐出する液滴吐出装置を含む第1グループ又はゆっくりとした液滴速度で液滴を吐出する液滴吐出装置を含む第2グループ、若しくは、液滴質量パラメータについては、重い液滴質量をもつ液滴を吐出するノズルを含む第1グループ又は軽い液滴質量をもつ液滴を吐出するノズルを含む第2グループのいずれであるか、空間的分布内で液滴吐出装置の第1及び第2グループを識別し(ア(エ))、 液滴吐出パラメータの空間的分布に基づいてマルチレベル波形の画像ピクセルレベルをマッピングするためのマッピングを決定するものであって(ア(オ))、 マッピングの決定は、第2グループのピクセルをマルチレベル波形の第2レベルへ変換することを含み、第1グループのピクセルは、デフォールトによりマルチレベル波形の第1レベルに留まるか又は第1レベルへマップされるものであって(ア(カ))、 マルチレベル波形は、液滴吐出装置にわたる液滴パラメータの系統的変動を補償するために補償作用を伴う少なくとも1つの補償縁又は少なくとも1つの補償パルスを有する第1区分と、少なくとも1つの駆動パルスを有する第2区分とを含み(ア(キ))、 落下速度の分布610のゆっくりとした落下速度に対応する液滴吐出装置は、それら液滴吐出装置の落下速度を加速し且つ系統的落下速度変動を減少するために補償パルスで補償されるものであって(ア(ク))、 区分1に補償パルスを含み、区分2に駆動パルスを含むマルチレベル波形について(ア(ケ))、 マルチレベル波形は、プリントなし(レベル0)が区分1でオフかつ区分2でオフであって、レベル1が区分1でオフかつ区分2でオンであって、レベル2が区分1でオンかつ区分2でオンに、区分マッピングをされる(ア(コ))、 さらに、補償パルスは、液滴速度を加速又は減速することができ、又は、液滴質量を増加又は減少させることができる(ア(サ))、 方法。 (2)引用文献2 ア 引用文献2記載事項 原査定の拒絶の理由において引用文献2として引用され、本願の現実の出願日前である平成16年9月9日に発行された特開2004-249686号公報には、次の事項が記載されている。 「【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、各種の液体を吐出可能な液体噴射装置、及び、この液体噴射装置における液体の吐出制御方法に関し、特に、噴射ヘッドの個体差に起因する吐出量ばらつきを調整するものに関する。 【0002】 【従来の技術】 液体噴射装置は液体を吐出(噴射)可能な噴射ヘッドを備え、この噴射ヘッドから各種の液体を吐出する装置である。この液体噴射装置としては、例えば、インクジェット式プリンタやインクジェット式プロッタ等の画像記録装置がある。そして、最近では、極く少量の液体を所定の位置に精度良く着弾できるという特性を生かし、各種の製造装置にも応用されている。例えば、液晶ディスプレー等のカラーフィルタを製造するディスプレー製造装置, 有機EL(Electro Luminescence)ディスプレーやFED(面発光ディスプレー)等の電極を形成する電極製造装置,バイオチップ(生物化学素子)を製造するチップ製造装置に応用されている。そして、画像記録装置用の記録ヘッドでは液状のインクを吐出し、ディスプレー製造装置用の色材噴射ヘッドではR(Red)・G(Green)・B(Blue)の各色材の溶液を吐出する。また、電極製造装置用の電極材噴射ヘッドでは液状の電極材料を吐出し、チップ製造装置用の生体有機物噴射ヘッドでは生体有機物の溶液を吐出する。 【0003】 この種の液体噴射装置に用いられる噴射ヘッドでは、液滴の吐出量ばらつきが生じ得る。これは、圧力室やノズル開口等の液体流路に関し、この液体流路が極めて微細な形状に形成されていることによる。即ち、極く微細であるために、寸法ばらつきや取付公差が大きくならざるを得ず、これに起因して吐出量ばらつきが生じる。 【0004】 このような吐出量ばらつきは、液体噴射装置の性能を向上させる上で障害となり得る。例えば、上記の画像記録装置においては、インク滴の吐出量が相違することでドットの大きさが不揃いとなり、画像にざらつき感やムラが生じてしまう可能性があった。従って、液体噴射装置に求められる性能を向上させるためには、吐出量ばらつきを一層小さくすることが求められる。この場合において、液体噴射ヘッドを構成する各部品の寸法精度や部品同士の取付精度を高めることが考えられるが、圧力室等が極く微細な形状であるため現実的ではない。 そこで、圧力発生素子を駆動するための駆動信号を複数種類発生させ、液滴の吐出特性に応じて供給する駆動信号を切り替える構成が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。」 「【0006】 【発明が解決しようとする課題】 上記した従来装置では、複数種類の駆動信号を発生可能な駆動信号発生手段を設ける必要がある。また、複数種類の駆動信号の中から1つの駆動信号を選択する波形選択部を制御対象毎に設ける必要がある。例えば、この波形選択部を、ノズル開口やノズル列毎に設ける必要がある。このため、装置構成が複雑化して設計の自由度が損なわれてしまうという問題があった。また、装置構成が複雑化することにより、装置のコストアップにつながってしまうという問題もあった。 【0007】 本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、液滴の吐出量ばらつきを簡単な構成で調整できる液体噴射装置、及びその液滴吐出制御方法を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】 本発明は、上記目的を達成するために提案されたものであり、圧力発生素子の作動によって圧力室内の液体に圧力変動を生じさせ、該圧力変動を利用することでノズル開口から液滴を吐出可能な液体噴射ヘッドと、 液滴を吐出させるための吐出パルスを含んだ一連の駆動信号を発生可能な駆動信号発生手段と、 前記駆動信号の中から必要なパルスを選択して圧力発生素子に供給するパルス供給手段とを有する液体噴射装置において、 前記液体噴射ヘッドの個体差に起因する吐出液量の偏差情報を識別情報として記憶可能な識別情報記憶手段を設け、 前記駆動信号発生手段は、液滴を吐出させない程度の圧力変動を圧力室内の液体に生じさせてメニスカスを移動させる予備パルスを、前記吐出パルスに先立って発生し、 前記パルス供給手段は、前記識別情報に基づいて前記予備パルスの供給を制御することにより、液滴の吐出量を調整することを特徴とする。 【0009】 また、本発明は、圧力発生素子の作動によって圧力室内の液体に圧力変動を生じさせ、該圧力変動を利用することでノズル開口から液滴を吐出可能な液体噴射ヘッドと、 液滴を吐出させるための吐出パルスを含んだ一連の駆動信号を発生可能な駆動信号発生手段と、 前記駆動信号の中から必要なパルスを選択して圧力発生素子に供給するパルス供給手段とを有する液体噴射装置の液滴吐出制御方法において、 前記液体噴射ヘッドの個体差に起因する吐出液量の偏差情報を識別情報として識別情報記憶手段に記憶し、 液滴を吐出させない程度の圧力変動を圧力室内の液体に生じさせてメニスカスを移動させる予備パルスを、前記吐出パルスに先立って発生させ、 前記識別情報に基づいて前記予備パルスの圧力発生素子への供給を制御することにより液滴の吐出量を調整することを特徴とする。 【0010】 これらの発明によれば、駆動信号発生手段は予備パルスを吐出パルスに先立って発生し、パルス供給手段は識別情報記憶手段に記憶された識別情報に基づいて予備パルスの供給或いは非供給を選択する。ここで、予備パルスが圧力発生素子に供給されるとメニスカスが液滴吐出方向或いは引き込み方向に振動するため、吐出パルスの供給開始時点におけるメニスカスの状態(位置)に応じて液滴の吐出特性を制御することができる。 例えば、吐出パルスの供給開始時点において、メニスカスが定常状態よりも液滴吐出側に盛り上がっていた場合には、液滴の量は定常状態から吐出パルスを供給した場合よりも増加する。例えば、予備パルスを使用しなかった場合よりも吐出液量が増加する。反対に、吐出パルスの供給開始時点において、メニスカスが定常状態よりも圧力室側に引き込まれていた場合には、液滴の量は定常状態から吐出パルスを供給した場合よりも減少する。従って、予備パルスの供給を制御することで、吐出される液滴の量を制御することができる。 【0011】 このように、駆動信号に予備パルスを含め、識別情報に応じて予備パルスの供給を選択することで、液滴の吐出特性が調整できる。即ち、駆動信号発生手段及びパルス供給手段によって吐出特性の調整ができる。そして、これらの駆動信号発生手段及びパルス供給手段は既存の構成を流用できるので、装置構成の簡素化が図れる。 ・・・ 【0014】 また、上記発明において、前記液体噴射ヘッドは、複数のノズル開口を列設してなるノズル列を複数列備え、前記識別情報を複数のノズル列のそれぞれに対応させて設定し、前記パルス供給手段による予備パルスの供給制御を、ノズル列単位で行う構成が好ましい。また、前記識別情報を複数のノズル開口のそれぞれに対応させて設定し、前記パルス供給手段による予備パルスの供給制御を、ノズル開口単位で行う構成が好ましい。 【0015】 【発明の実施の形態】 以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明では液体噴射装置の一形態である画像記録装置、詳しくは、インクジェット式プリンタを例に挙げて説明することにする。 【0016】 図1は、このプリンタの電気的構成を説明するブロック図である。この図1に示すように、プリンタは、プリンタコントローラ1と、プリントエンジン2とを備えている。プリンタコントローラ1は、図示しないホストコンピュータ等からの印刷データ等を受信するインターフェース(外部I/F)3と、各種データの記憶等を行うRAM4と、各種データ処理のためのルーチン等を記憶したROM5と、CPU等からなる制御部6と、クロック信号(CK)を発生する発振回路7と、記録ヘッド8へ供給するための駆動信号(COM)を発生する駆動信号発生回路9と、搭載される記録ヘッド8の吐出インク量に関する情報や駆動電圧に関する情報を記憶可能な識別情報記憶部10と、印字データ(ドットパターンデータであり、噴射データの一種。)及び駆動信号等をプリントエンジン2に送信するためのインターフェース(内部I/F)11とを備えている。 ・・・ 【0018】 制御部6は、データ展開手段として機能し、印刷データを印字データに展開する。この場合、制御部6は、受信バッファ内の印刷データを読み出して中間コードデータに変換し、この中間コードデータを中間バッファに記憶する。そして、制御部6は、中間バッファから読み出した中間コードデータを解析し、ROM5内のフォントデータやグラフィック関数等を参照して中間コードデータをドット毎の印字データに展開する。本実施形態では、この印字データを2ビットデータで構成している。この展開された印字データは出力バッファに記憶されて、一回の主走査に相当する1行分の印字データが得られると、この1行分の印字データ(SI)は内部I/F11を通じて記録ヘッド8にシリアル伝送される。そして、出力バッファから1行分の印字データが送信されると、中間バッファの内容が消去されて次の中間コードデータに対する変換が行われる。 【0019】 また、制御部6は、タイミング信号発生手段の一部を構成し、内部I/F11を通じて記録ヘッド8にラッチ信号(LAT)やチャンネル信号(CH)を供給する。これらのラッチ信号やチャンネル信号は、後述するように、駆動信号(COM)に含まれる駆動パルスの供給開始タイミングを規定する。 さらに、制御部6は、波形設定手段としても機能し、駆動信号発生回路9を制御することにより、この駆動信号発生回路9から発生される駆動信号の波形形状を設定する。 【0020】 上記の駆動信号発生回路9は、本発明における駆動信号発生手段の一種であり、制御部6による制御の下、複数の駆動パルス(DP1~DP3,SP1~SP2,OP,図6参照)を含んだ一連の駆動信号を記録周期T毎に繰り返し発生する。本実施形態の駆動信号発生回路9は、1種類の駆動信号を記録ヘッド8の各電気駆動系12(12A~12D)に供給する構成である。なお、この駆動信号については後で詳しく説明する。 【0021】 上記の識別情報記憶部10は、本発明の識別情報記憶手段の一種であり、プリンタに対する電源の供給が絶たれても記憶内容が保持可能な不揮発性の記憶素子が用いられる。例えば、EEPROMやフラッシュRAM、或いは、バックアップ電源に接続されたRAM等によって構成される。本実施形態では、この識別情報記憶部10に、波高値オフセット情報(Vpオフセット)、駆動電圧オフセット情報(Vhオフセット)、仮駆動電圧情報を記憶させている。 ここで、波高値オフセット情報は、ノズル列34(図4参照)毎の吐出インク量の偏差を示す情報である。この波高値オフセット情報は、本発明の識別情報の一種であって吐出量識別情報でもある。そして、この波高値オフセット情報は、記録ヘッド8の検査工程等によって付与される(後述する)。 【0022】 上記のプリントエンジン2は、ヘッド走査機構が備えるパルスモータ13と、紙送り機構が備える紙送りモータ14と、記録ヘッド8等から構成される。パルスモータ13は、記録ヘッド8を移動させる駆動源として機能する。即ち、このパルスモータ13を作動させることで、記録ヘッド8は記録紙の幅方向(つまり、主走査方向)に移動される。また、紙送りモータ14は、記録紙を紙送り方向(つまり、副走査方向)順次送り出すための駆動源として機能する。そして、これらのパルスモータ13と紙送りモータ14は互いに連携して動作し、記録ヘッド8の主走査に連動させて記録紙を順次送り出す。記録ヘッド8は、本発明の液体噴射ヘッドの一種であり、液体状のインクを吐出するものである。 ・・・ 【0030】 流路形成基板30は、圧力室35となる空部やインク供給口36となる溝部、及び、リザーバ(共通インク室)37となる空部などを形成した板状の部材である。この流路形成基板30は、例えばシリコンウェハーをエッチング加工したり、金属板をプレス加工することによって作製される。上記の圧力室35は、ノズル開口33の列設方向(即ち、ノズル列方向)に対して直交する方向に細長い室であり、偏平な凹室で構成されている。そして、この圧力室35は、流路幅が圧力室35よりも狭いインク供給口36を通じてリザーバ37に連通されている。また、インク供給口36とは反対側の端部で圧力室35は、ノズル連通口38を通じてノズル開口33に連通している。従って、この記録へッドには、リザーバ37から圧力室35を通じてノズル開口33に至る一連のインク流路が、ノズル開口33に対応する複数形成される。 ・・・ 【0032】 このような構成を有する記録ヘッド8では、圧電振動子21を放電して振動子長手方向に伸長させると、島部29がノズルプレート31側に押圧されて変位する。これにより、ダイヤフラム部の薄肉弾性部が変形して圧力室35が収縮する。一方、圧電振動子21を充電して振動子長手方向に収縮させると、島部29が戻り方向に変位する共に薄肉弾性部が変形して圧力室35が膨張する。そして、圧力室35の膨張や収縮を制御することで、圧力室35内のインク圧力を変動させることができ、ノズル開口33からインク滴を吐出させることができる。 【0033】 次に、記録ヘッド8の電気的構成について説明する。図1に示すように、記録ヘッド8は、ノズル列34に対応する数の電気駆動系12を備えている。本実施形態の記録ヘッド8は4列のノズル列34を有しているので、4つの電気駆動系12A~12Dが備えている。各電気駆動系12はいずれも同じ構成であり、例えば図5に示すように、第1シフトレジスタ51及び第2シフトレジスタ52からなるシフトレジスタ回路と、第1ラッチ回路53と第2ラッチ回路54とからなるラッチ回路と、デコーダ55と、制御ロジック56と、レベルシフタ57と、スイッチ回路58と、圧電振動子21とを備えている。そして、各シフトレジスタ51,52、各ラッチ回路53,54、デコーダ55、スイッチ回路58、及び、圧電振動子21は、それぞれ記録ヘッド8の各ノズル開口33に対応して複数設けられる。 【0034】 そして、この記録ヘッド8は、プリンタコントローラ1からの印字データ(SI)に基づいてインク滴を吐出する。具体的に説明すると、次の通りである。 【0035】 プリンタコントローラ1からの印字データは、発振回路7からのクロック信号(CK)に同期して、内部I/F11から第1シフトレジスタ51及び第2シフトレジスタ52にシリアル伝送される。この印字データは、上記したように2ビットのデータであり、本実施形態では、非記録、小ドット、中ドット、大ドットからなる4階調を表す階調情報によって構成されている。具体的には、非記録が階調情報[00]であり、小ドットが階調情報[01]であり、中ドットが階調情報[10]であり、大ドットが階調情報[11]である。なお、この印字データは、吐出される液滴の量を示す吐出量情報の一種でもある。 【0036】 この印字データは、各ノズル開口33毎に設定される。即ち、そのノズル列に属する全ノズル開口33の下位ビット(L)のデータが第1シフトレジスタ51に入力され、上位ビット(H)のデータが第2シフトレジスタ52に入力される。第1シフトレジスタ51には第1ラッチ回路53が電気的に接続され、第2シフトレジスタ52には第2ラッチ回路54が電気的に接続されている。そして、プリンタコントローラ1からのラッチ信号(LAT)が各ラッチ回路53,54に入力されると、第1ラッチ回路53は印字データの下位ビットのデータをラッチし、第2ラッチ回路54は印字データの上位ビットのデータをラッチする。このような動作をする第1シフトレジスタ51及び第1ラッチ回路53の組と、第2シフトレジスタ52及び第2ラッチ回路54の組は、それぞれが記憶回路を構成し、デコーダ55に入力される前の印字データを一時的に記憶する。 【0037】 各ラッチ回路53,54でラッチされた印字データはデコーダ55に入力される。このデコーダ55は翻訳手段として機能し、2ビットの印字データを翻訳してパルス選択情報を生成する。本実施形態のデコーダ55は、印字データと駆動パルスとの関係を規定する波形選択テーブルを備えており、この波形選択テーブルに基づいてパルス選択情報を生成する。パルス選択情報は、駆動信号(COM)を構成する各駆動パルス(DP1~DP3,SP1~SP2,OP,)に各ビットを対応させることで構成されている。このため、本実施形態では、6ビットのパルス選択情報が生成される。そして、各ビットの内容(例えば、[0],[1])に応じて圧電振動子21に対する駆動パルスの供給或いは非供給が選択される。なお、駆動パルスの供給制御については後で詳しく説明する。 【0038】 また、デコーダ55には、制御ロジック56からのタイミング信号も入力されている。この制御ロジック56は、制御部6と共にタイミング信号発生手段として機能しており、ラッチ信号(LAT)やチャンネル信号(CH)に基づいてタイミング信号を発生する。即ち、この制御ロジック56は、図6に示すように、ラッチ信号或いはチャンネル信号を受信する毎にタイミング信号(TIM)を発生する。 【0039】 デコーダ55によって翻訳されたパルス選択情報は、上位ビット側から順に、タイミング信号の受信タイミングが到来する毎に、レベルシフタ57に入力される。例えば、記録周期Tにおける最初のタイミング(期間T1の開始時)ではパルス選択情報の最上位ビットのデータがレベルシフタ57に入力され、2番目のタイミング(期間T2の開始時)ではパルス選択情報における2番目のビットのデータがレベルシフタ57に入力される。以下同様にデータが入力され、6番目のタイミング(期間T6の開始時)ではパルス選択情報における最下位ビットのデータがレベルシフタ57に入力される。このレベルシフタ57は、電圧増幅器として機能し、パルス選択情報が[1]の場合には、スイッチ回路58を駆動できる電圧、例えば数十ボルト程度の電圧に昇圧された電気信号を出力する。レベルシフタ57で昇圧された[1]のパルス選択情報は、スイッチ手段として機能するスイッチ回路58に供給される。このスイッチ回路58の入力側には、駆動信号発生回路9からの駆動信号(COM)が供給されており、スイッチ回路58の出力側には圧電振動子21が接続されている。 【0040】 そして、パルス選択情報は、スイッチ回路58の作動、つまり、駆動パルスの圧電振動子21への供給を制御する。例えば、スイッチ回路58に加わるパルス選択情報が[1]である期間中は、スイッチ回路58が接続状態になって駆動パルスが圧電振動子21に供給され、この駆動パルスに倣って圧電振動子21の電位レベルが変化する。一方、スイッチ回路58に加わるパルス選択情報が[0]の期間中は、レベルシフタ57からはスイッチ回路58を作動させるための電気信号が出力されない。このため、スイッチ回路58が切断状態になって圧電振動子21へは駆動パルスが供給されない。なお、圧電振動子21はコンデンサの様に振る舞うので、スイッチ回路58の切断状態において切断直前の電位を保持し続ける。 【0041】 そして、このような動作をする制御ロジック56、デコーダ55、レベルシフタ57、スイッチ回路58は、本発明におけるパルス供給手段の一種として機能し、印字データに基づき、駆動信号の中から駆動パルスを選択して圧電振動子21に供給する。 【0042】 次に、駆動信号発生回路9(駆動信号発生手段の一種)が生成する駆動信号(COM)について説明する。 【0043】 図6に示すように、本実施形態の駆動信号発生回路9 は、3つの吐出パルスDP1~DP3と、2つの予備パルスSP1,SP2と、1つの微振動パルスOPとを含む一連の駆動信号を発生する。即ち、記録周期Tを6つの期間T1~T6に区切り、1つの期間内に1つのパルスを発生させている。具体的には、第1期間T1では微振動パルスOPを発生し、第2期間T2では第1吐出パルスDP1を発生する。そして、第3期間T3では第1予備パルスSP1を発生し、第4期間T4では第2吐出パルスDP2を発生する。また、第5期間T5では第2予備パルスSP2を発生し、第6期間T6では第3吐出パルスDP3を発生する。 【0044】 上記の吐出パルスDP1~DP3は、インク滴を吐出させるためのパルスである。この吐出パルスDP1~DP3が圧電振動子21に供給されると、所定量のインク滴がノズル開口33から吐出される。上記の予備パルスSP1,SP2は、吐出パルスDP2,DP3によって吐出されるインク滴の量を調整するためのパルスであり、吐出パルスDP2,DP3に先立って発生される。上記の微振動パルスOPは、ノズル開口33付近のインク増粘を防止するためのパルスであり、インク滴を吐出させない場合に選択される。以下、これらの駆動パルスについて詳細に説明する。 【0045】 まず、吐出パルスDP1~DP3について説明する。本実施形態において、各吐出パルスDP1~DP3は、同一の波形形状とされている。具体的には、図7(a)に示すように、中間電位V M(基準電位の一種)から最大電位VHまでインク滴を吐出させない程度の一定勾配で電位を上昇させる膨張要素P1と、最大電位VHを所定時間保持する膨張ホールド要素P2と、最大電位VHから最低電位VLまで急勾配で電位を下降させる吐出要素P3と、最低電位VLを所定時間保持する制振ホールド要素P4と、最低電位VLから中間電位VMまで電位を上昇させる制振要素P5とを備える。 そして、吐出パルスDP1~DP3が圧電振動子21に供給されると、ノズル開口33からは、吐出パルスDP1~DP3が供給される毎に7pl(ピコリットル)前後のインク滴が吐出される。なお、「7pl前後」とは、流路形成基板30やノズルプレート31等の寸法ばらつきや取付公差によって、インク滴の吐出量等にばらつきが生じ得ることを意味している。 ・・・ 【0047】 次に、予備パルスSP1,SP2について説明する。図8(a)に示すように、この予備パルスSP1,SP2は、中間電位VM(基準電位の一種)から予備最大電位VPまで一定の電位勾配で電位を上昇させる予備膨張要素P11(電位上昇要素の一種)と、予備最大電位VPを維持する予備ホールド要素P12(定電位要素の一種)と、予備最大電位VPから中間電位VMまで一定の電位勾配で電位を下降させる予備収縮要素P13(電位下降要素の一種)とを含む台形状のパルスである。そして、本実施形態では、予備膨張要素P11の電位勾配(登り傾斜の角度)を、予備収縮要素P13の電位勾配(下り傾斜の角度)よりも急峻に設定している。 【0048】 上記の予備パルスSP1,SP2が圧電振動子21に供給されると、インク滴を吐出させない程度の圧力変動が圧力室35内のインクに生じ、メニスカスが移動する。例えば、図8(b)に示すように、予備膨張要素P11が圧電振動子21に供給されると圧電振動子21が多少収縮して圧力室3 が膨張し、メニスカスが圧力室35側に引き込まれる。この時、メニスカスの引き込み量は、予備膨張要素P11の印加電圧(電位差)及び電位勾配(発生時間)によって規定される。本実施形態では、この予備膨張要素P11の印加電圧、即ち、予備パルスSP1,SP2の波高値Vpを吐出パルスDP1~DP3の駆動電圧Vh(最大電位VHと最低電位VLの電位差)を基準に定めている。具体的には、予備膨張要素P11の印加電圧を駆動電圧Vhの2.5%~25%以下の範囲で定めている。そして、この印加電圧の値は、予備パルスを使用しない状態におけるノズル列34毎のインク量に基づいて定められる。 【0049】 続いて、予備ホールド要素P12が圧電振動子21に供給される。これにより、圧電振動子21の収縮状態が維持され、圧力室35の膨張状態も維持される。そして、この期間中においてメニスカスは自由振動する。次に、予備収縮要素P13が供給されて圧電振動子21が伸長し、圧力室35が定常容積まで収縮する。ここで、圧力室35の収縮タイミングは、メニスカスの移動方向がインク滴の吐出方向に切り替わった後に設定される。従って、メニスカスは、圧力室35の収縮によって後押しされた状態となり、吐出方向へ円滑に移動する。その結果、予備収縮要素P13の供給終了後、圧力室35が定常容積で維持されている期間においてもメニスカスは自由振動し、吐出パルスDP2,DP3の供給開始時点において定常状態よりも盛り上がった状態になる。 【0050】 従って、予備パルスSP1,SP2を吐出パルスDP2,DP3に先立って供給することで、吐出パルスDP2,DP3の供給開始時点におけるメニスカスの状態、即ち、定常状態に対する盛り上がりの度合いを制御できる。そして、メニスカスの盛り上がりを制御できることから、吐出パルスDP2,DP3の供給に伴う吐出インク量を変化させることができる。即ち、同じ波形形状の吐出パルスDP2,DP3を用いながらも、吐出されるインク量を予備パルスSP1,SP2の非使用時よりも増やすことができる。これは、メニスカスの盛り上がり状態の差がインク量の差になったことによる。例えば、図8(b)に示すように、予備パルスSP1,SP2の使用時におけるメニスカスの振幅(実線)は、予備パルスSP1,SP2の非使用時におけるメニスカスの振幅(一点鎖線)よりも大きくなる。そして、この振幅の差がインク滴の吐出量の差となって現れたものと考えられる。 【0051】 ところで、吐出パルスDP2,DP3の供給開始時点におけるメニスカスの状態は、予備膨張要素P11の印加電圧、言い換えれば、予備パルスSP1,SP2の波高値Vpを変えることで調整することができる。例えば、図9(a)に示すように、予備パルスSP1,SP2の波高値Vpを図8(a)の予備パルス(一点鎖線)の波高値Vpよりも△Vだけ上昇させた場合には、予備パルスSP1,SP2の供給に伴うメニスカスの振幅もその分だけ大きくなる。従って、吐出パルスDP1,DP2の供給開始時点において、メニスカスをその分だけ盛り上げることができる。 その結果、図9(b)に示すように、波高値Vpを標準よりも高めた予備パルスSP1,SP2を用いた場合のメニスカスの振幅(実線)は、標準の波高値Vpに設定した場合のメニスカスの振幅(一点鎖線)よりも大きくなる。そして、この振幅の差がインク滴の吐出量の差となって現れるため、波高値Vpを高めた予備パルスSP1,SP2を用いることでインク滴の吐出量を増やすことができる。 ・・・ 【0054】 次に、上記プリンタにおけるインク滴の吐出制御(階調制御)について説明する。本実施形態において制御部6(波形設定手段)は、ノズル列34毎のインク吐出量に応じて予備パルスSP1,SP2の波高値Vpを設定する。このため、インク吐出量から予備パルスSP1,SP2の波高値Vpを設定する手順について以下説明する。 【0055】 制御部6は、識別情報記憶部10に記憶された波高値オフセット情報に基づいて予備パルスSP1,SP2の波高値Vpを設定する。ここで、波高値オフセット情報の決定手順について説明する。 【0056】 この波高値オフセット情報は、上記したように、記録ヘッド8の検査工程等によって決定され、識別情報記憶部10に記憶されるものである。本実施形態において、予備パルスSP1,SP2の波高値Vpは吐出パルスDP1~DP3の駆動電圧Vh(波高値Vp)を基準に定められる。このため、まず、吐出パルスDP1 ~DP3の仮駆動電圧Vh´を決定する。ここでは、一記録周期Tで吐出される合計のインク量が20plとなるように、吐出パルスDP1~DP3の仮駆動電圧Vh´を決定する。 例えば、記録ヘッド8が有する全てのノズル開口33から規定数のインク滴を吐出させ、その重量を測定する。具体的には、吐出させたインク滴をシャーレ等の捕集容器にて捕集し、電子天秤等を用いて重量を測定する。そして、この測定したインク重量とインク滴の吐出回数との関係から一記録周期Tあたりの吐出インク重量を算出し、一記録周期Tあたりの吐出インク重量が20.0plとなった電圧値を仮駆動電圧Vh´に決定する。 なお、このようにして決定された仮駆動電圧Vh´は、識別情報記憶部10に記憶される。 【0057】 吐出パルスDP1~DP3の仮駆動電圧Vh´を決定したならば、初期重量比情報を決定する。ここでは、まず、各ノズル列34毎にインク滴を吐出させて吐出重量を測定する。この場合の測定手順は、吐出パルスDP1~DP3の仮駆動電圧Vh´を決定する場合と同様であり、測定対象のノズル列34に属する全てのノズル開口33から所定数のインク滴を吐出させて合計のインク重量を測定し、1滴あたりのインク重量を取得する。なお、この測定において、吐出パルスD P1~ DP3の駆動電圧Vhは、先に決定した仮駆動電圧Vh´とする。 1滴当たりのインク重量を取得したならば、次式(1)に基づいて初期重量比を算出する。 【0058】 初期重量比=(対象列の測定重量/設計重量値×100)-100 … (1) 【0059】 例えば、図10(a)に示す記録ヘッド8では、第1ノズル列34Aの初期重量比が7.0%である。これは、インク滴の吐出重量が平均値(設計値)よりも7.0%多いノズル列34であることを意味する。また、第2ノズル列34B~第4ノズル列34Dの初期重量比は、それぞれ-2.0%,-5.0%,1.0%である。従って、第2ノズル列34Bの吐出重量は平均値よりも2.0%少なく、第3ノズル列34Cの吐出重量は平均値よりも5.0%少ない。また、第4ノズル列34Dの吐出重量は平均値よりも1.0%多い。 【0060】 初期重量比情報を求めたならば、波高値オフセット情報(Vpオフセット)を取得する。波高値オフセット情報を取得するにあたり、各ノズル列34を、初期重量比の最大値に近いグループと、最小値に近いグループとに分ける。図10(a)の例では、第1ノズル列34Aが最大値であり、第3ノズル列34Cが最小値である。そして、第2ノズル列34Bは最小値に近いので最小値グループに分類する。なお、第4ノズル列34は、最大値との差と最小値との差が等しいので、いずれのグループに分けることもできるが、便宜上何れかのグループに分類する。本実施形態では、最大値グループと最小値グループとに属するノズル列34の数を揃えるべく、第4ノズル列34(当審注:「第4ノズル列D」の誤記と認める。)を最大値グループに分類している。 【0061】 ノズル列34を分類したならば、グループ毎に初期重量比の平均値を算出する。そして、最小値グループ(当審注:「最小値グループ」は「最大値グループ」の誤記と認める。)の平均値から最小値グループの平均値を減算し、得られた値を最小値グループのノズル列34に与えるオフセット値とする。そして、このオフセット値が波高値オフセット情報となる。 図10(a)の例では、最大値グループの平均重量比が4.0%であり、最小値グループの平均重量比は-3.5%である。このため、第2ノズル列34Bの波高値オフセット情報、及び、第3ノズル列34Cの波高値オフセット情報の値は7.5%となる。また、第1ノズル列34Aの波高値オフセット情報、及び、第4ノズル列34Dの波高値オフセット情報の値は0.0%となる。 そして、これらの波高値オフセット情報が識別情報記憶部10に記憶される。 【0062】 なお、プリンタの動作時において、制御部6 は、この波高値オフセット情報から予備パルスの波高値Vpを設定する。本実施形態では、オフセット値1%あたりのVp/Vh値を2.5%とし、最大値を25%(オフセット値で10%)としている。このため、制御部6は、7.5%の波高値オフセット情報に基づいて、予備パルスSP1,SP2の波高値Vpを駆動電圧Vhの18.8%に設定する。 【0063】 波高値オフセット情報を決定したならば、駆動電圧オフセット情報(Vhオフセット)を設定する。この駆動電圧オフセット情報は、仮駆動電圧Vh´から実際の吐出パルスDP1~DP3に適用する駆動電圧V h を求めるための情報である。 即ち、吐出インク量が少ないノズル列34に対して予備パルスSP1,SP2を使用することから、プリンタの動作時においてインク滴吐出量の平均値がその分だけ上昇することになる。このため、吐出パルスDP1~DP3の駆動電圧Vhを仮駆動電圧Vh´よりも低く設定し、記録ヘッド8全体での1記録周期Tあたりの吐出量が20plとなるように駆動電圧Vhを設定する必要がある。駆動電圧オフセット情報は、仮駆動電圧Vh´から駆動電圧Vhを求める際に、制御部6(波形設定手段)が使用する情報である。 【0064】 本実施形態では、この駆動信号オフセット情報を、インク滴の吐出量を測定することで設定している。即ち、予備パルスSP1,SP2を用いた状態でインク滴を吐出させて重量を測定し、規定量(例えば、一周期あたり20.0pl)のインク滴が吐出される駆動電圧値を取得する。そして、取得した駆動電圧値を仮駆動電圧値から算出するための補正係数を駆動信号オフセット情報として設定する。図10(a)の例では駆動信号オフセット情報は-3.8%となる。 ・・・ 【0066】 そして、制御部6(波形設定手段)は、プリンタの動作時において、これらの仮駆動電圧情報、波高値オフセット情報、及び駆動信号オフセット情報を用いて駆動信号の波形形状を設定する。また、駆動信号発生回路9(駆動信号発生手段)は、制御部6に制御され、設定された波形形状の駆動信号を発生する。 【0067】 また、デコーダ55(翻訳手段)は、プリンタの動作時において、波高値オフセット情報に基づき、そのノズル列が予備パルスSP1,SP2を使用するか否かを判断する。例えば、波高値オフセット情報として0.0%が設定されたノズル列34A,34Dは予備パルスSP1,SP2を使用しないと判断し、波高値オフセット情報として7.5% が設定されたノズル列34B,34Cは予備パルスSP1,SP2を使用すると判断する。 【0068】 この判断結果に基づき、デコーダ55は、異なるパルス選択情報を生成する。即ち、予備パルスSP1,SP2を使用しないノズル列34A,34Dについては、予備パルスSP1,SP2の発生期間に対応するパルス選択情報を[0]に設定することで、予備パルスSP1,SP2を圧電振動子21に供給しないようにしている。これにより、インク滴を吐出させる場合には、吐出パルスDPのみが選択される。一方、予備パルスSP1,SP2を使用するノズル列34B、34Cについては、予備パルスSP1,SP2の発生期間に対応するパルス選択情報を[1]に設定することで、吐出パルスDPの供給に先立って予備パルスSP1,SP2を圧電振動子21に供給する。 【0069】 図6に基づいて、具体的に説明すると、予備パルスSP1,SP2を使用しない第1ノズル列34A及び第4ノズル列34D用のデコーダ55は、(b)に示すように、階調情報[00](微振動)に基づいて、パルス選択情報[100000]を生成し、階調情報[01](小ドット)に基づいて、パルス選択情報[000100]を生成する。また、階調情報[10](中ドット)に基づいて、パルス選択情報[010001]を生成し、階調情報[11](大ドット)に基づいて、パルス選択情報[010101]を生成する。 【0070】 これらのパルス選択情報により、微振動の階調情報に基づいて微振動パルスOPが選択され、圧電振動子21に供給される。また、小ドットの階調情報に基づいて第2吐出パルスDP2が選択され、圧電振動子21に供給される。さらに、中ドットの階調情報に基づいて第1吐出パルスDP1と第3吐出パルスDPとが圧電振動子21に供給され、大ドットの階調情報に基づいて第1 吐出パルスDP1、第2吐出パルスDP2及び第3吐出パルスDPが圧電振動子21に供給される。 【0071】 一方、予備パルスSP1,SP2を使用する第2ノズル列34B及び第3ノズル列34C用のデコーダ55は、(c)に示すように、階調情報[00](微振動)に基づいて、パルス選択情報[100000]を生成し、階調情報[01](小ドット)に基づいて、パルス選択情報[001100]を生成する。また、階調情報[10](中ドット)に基づいて、パルス選択情報[010011] を生成し、階調情報[11](大ドット)に基づいて、パルス選択情報[011111]を生成する。 【0072】 これらのパルス選択情報により、小ドットの階調情報に基づき、第2吐出パルスDP2に先立って第1予備パルスSP1が選択され、圧電振動子21に供給される。この場合、第1予備パルスSP1によってメニスカスが予め加振されるので、単に第2吐出パルスDP2のみを供給した場合に比べてインク滴の吐出量を増やすことができる。さらに、この第1予備パルスSP1の波高値Vp及び第2吐出パルスDP2の駆動電圧Vhについては、上記したように適正化が図られているので、インク量の列間ばらつきを可及的に少なくすることができる。 【0073】 また、中ドットの階調情報に基づいて第1吐出パルスDP1、第2予備パルスSP2及び第3吐出パルスDP3が圧電振動子21に供給される。この場合にも第3吐出パルスDP3に先立って第2予備パルスSP2が選択され、圧電振動子21に供給される。従って、第2予備パルスSP2によってメニスカスが予め加振されるので、単に第3吐出パルスDP3のみを供給した場合に比べてインク滴の吐出量を増やすことができる。 【0074】 さらに、大ドットの階調情報に基づいて第1吐出パルスDP1~第3吐出パルスDP3と、第1予備パルスSP1及び第2予備パルスSP2とが圧電振動子21に供給される。この場合には、第1予備パルスSP1及び第2予備パルスSP2により、第2吐出パルスDP2及び第3吐出パルスDP3の吐出インク量が高められる。 【0075】 以上の補正を行うことにより、予備パルスSP1,SP2を使わない場合に比べてノズル列34間のばらつきを減少させることができた。図10(a)の例では、吐出インク量の最も多い第1ノズル列34Aは、補正後において重量比(補正重量比)が3.3%となった。また、吐出インク量の最も少ない第3ノズル列34Cは、補正重量比が-1.3%となった。さらに、第1ノズル列34A(当審注:「第2ノズル列34B」の誤記と認める。)は、補正重量比が1.8%となり、第4ノズル列34Dは補正後において重量比が-2.8%となった。その結果、予備パルスSP1,SP2を用いない場合には5.1%あった重量ばらつきが、予備パルスSP1,SP2を用いることにより2.7%にまで小さくなった。 ・・・ 【0077】 このように、本実施形態では、駆動信号に予備パルスSP1,SP2を含ませ、波高値オフセット情報に基づいて予備パルスSP1,SP2の供給/非供給を制御しているので、一連の駆動信号を発生可能な駆動信号発生回路9と、この駆動信号から必要なパルスを選択して圧電振動子21に供給するパルス供給手段(制御ロジック56、デコーダ55、レベルシフタ57、スイッチ回路58)とを設ければ足りる。そして、これらの駆動信号発生回路9とパルス供給手段は既存の構成を用いて構成できるので、装置構成を簡素化できる。このため、装置の小型化が図れると共に、設計の自由度が増す。さらに、安価に構成することもできる。」 「【0095】 また、上記実施形態においては、識別情報を複数のノズル列34のそれぞれに設定し、予備パルスSP1,SP2の供給制御をノズル列34単位で行うものについて説明したが、予備パルスSP1,SP2の供給制御をノズル開口単位で行うようにしてもよい。」 「【図1】 [図:0001430705000007.jpg] 」 「【図4】 [図:0001430705000008.jpg] 」 「【図5】 [図:0001430705000009.jpg] 」 「【図6】 [図:0001430705000010.jpg] 」 「【図8】 [図:0001430705000011.jpg] 」 「【図9】 [図:0001430705000012.jpg] 」 引用文献2記載事項を次のとおり整理する。 (ア)上記【0016】の「プリンタは、プリンタコントローラ1と、プリントエンジン2とを備えている」との記載、及び上記【0022】の「プリントエンジン2は、ヘッド走査機構が備えるパルスモータ13と、紙送り機構が備える紙送りモータ14と、記録ヘッド8等から構成される」との記載から、引用文献2には、「プリンタは、プリンタコントローラ1と、プリントエンジン2とを備えており、記録ヘッド8はプリントエンジン2に備えられ」ていることが記載されている。 (イ)上記【0030】の「圧力室35は、流路幅が圧力室35よりも狭いインク供給口36を通じてリザーバ37に連通され」、「インク供給口36とは反対側の端部で圧力室35は、ノズル連通口38を通じてノズル開口33に連通し」、「記録へッドには、リザーバ37から圧力室35を通じてノズル開口33に至る一連のインク流路が、ノズル開口33に対応する複数形成される」との記載、及び上記【0032】の「記録ヘッド8では、圧電振動子21を放電して振動子長手方向に伸長させると、島部29がノズルプレート31側に押圧されて変位」し、「ダイヤフラム部の薄肉弾性部が変形して圧力室35が収縮」し、「圧電振動子21を充電して振動子長手方向に収縮させると、島部29が戻り方向に変位する共に薄肉弾性部が変形して圧力室35が膨張する。そして、圧力室35の膨張や収縮を制御することで、圧力室35内のインク圧力を変動させることができ、ノズル開口33からインク滴を吐出させることができる」との記載から、引用文献2には、「ノズル開口33からインク滴を吐出させるために、複数のノズル開口33と、ノズル開口33に対応した一連のインク流路及び圧電振動子21を備え」た記録ヘッド8が記載されている。 (ウ)上記【0057】の「測定対象のノズル列34に属する全てのノズル開口33から所定数のインク滴を吐出させて合計のインク重量を測定し、1滴あたりのインク重量を取得する」、「1滴当たりのインク重量を取得したならば、・・・初期重量比を算出する」との記載、上記【0060】の「各ノズル列34を、初期重量比の最大値に近いグループと、最小値に近いグループとに分ける」、「第1ノズル列34Aが最大値であり、第3ノズル列34Cが最小値で」あり、「第2ノズル列34Bは最小値に近いので最小値グループに分類」される、及び「第4ノズル列34を最大値グループに分類している」との記載、及び上記【0061】の「グループ毎に初期重量比の平均値を算出」されて「最大値グループ」の「平均値から最小値グループの平均値を減算し、得られた値を最小値グループのノズル列34に与えるオフセット値を「波高値オフセット情報」として「識別情報記憶部10に記憶される」との記載から、引用文献2には、「各ノズル列34を、インク滴の初期重量比の最大値に近いグループ(第1ノズル列34A、第4ノズル列34D)と、最小値に近いグループ(第2ノズル列34B、第3ノズル列34C)とに分けて、グループ毎に波高値オフセット情報が識別情報記憶部10に記憶され」ていることが記載されている。 (エ)上記【0067】の「デコーダ55」「は、プリンタの動作時において、波高値オフセット情報に基づき、そのノズル列が予備パルスSP1,SP2を使用するか否かを判断する」、「高値オフセット情報として0.0%が設定されたノズル列34A,34Dは予備パルスSP1,SP2を使用しないと判断し、波高値オフセット情報として7.5% が設定されたノズル列34B,34Cは予備パルスSP1,SP2を使用すると判断する」との記載、上記【0068】の「予備パルスSP1,SP2を使用しないノズル列34A,34Dについては、予備パルスSP1,SP2の発生期間に対応するパルス選択情報を[0]に設定することで、予備パルスSP1,SP2を圧電振動子21に供給しないようにし」て「インク滴を吐出させる場合には、吐出パルスDPのみが選択され」、「予備パルスSP1,SP2を使用するノズル列34B、34Cについては、予備パルスSP1,SP2の発生期間に対応するパルス選択情報を[1]に設定することで、吐出パルスDPの供給に先立って予備パルスSP1,SP2を圧電振動子21に供給する」との記載から引用文献2には、「デコーダ55が、波高値オフセット情報に基づき、そのノズル列が予備パルスSP1,SP2を使用するか否かを判断して、波高値オフセット情報として0.0%が設定されたノズル列34A,34Dについては、予備パルスSP1,SP2の発生期間に対応するパルス選択情報を[0]に設定することで、予備パルスSP1,SP2を圧電振動子21に供給しないようにして吐出パルスDPのみが選択され、予備パルスSP1,SP2を使用するノズル列34B、34Cについては、予備パルスSP1,SP2の発生期間に対応するパルス選択情報を[1]に設定することで、吐出パルスDPの供給に先立って予備パルスSP1,SP2を圧電振動子21に供給」することが記載されている。 また、引用文献2記載事項から、次の事項が認定できる。 (オ)上記【0072】の「SP1の波高値Vp及びDP2の駆動電圧Vhについては、・・・適正化が図られて」いるとの記載、及び、及び図6(a)、図8(a)、図9(a)からVpとVhが異なる波高値を有していることが看取できることから、引用文献2記載事項から、「SP1の波高値Vp及びDP2の駆動電圧Vhについて、VpとVhが異なる電圧であって、適正化が図られて」いることが認められる。 (カ)上記(エ)を踏まえると、図6から「T3が、予備パルスSP1が発生する期間であり、T4が、吐出パルスDP2が発生する期間である」ことが看取できる。 イ 引用発明2 上記ア(ア)ないし(エ)の引用文献2記載事項及び上記ア(オ)、(カ)の引用文献2記載事項から認定できる事項から、引用文献2には、以下の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されているものと認められる。 [引用発明2] 液体を吐出可能な液体噴射装置における液体の吐出制御方法であって(ア【0001】)、 プリンタは、インクジェット式プリンタであり(ア【0015】)、 プリンタは、プリンタコントローラ1と、プリントエンジン2とを備えており、記録ヘッド8はプリントエンジン2に備えられており(ア(ア))、 記録ヘッド8は、ノズル開口33からインク滴を吐出させるために、複数のノズル開口33と、ノズル開口33に対応した一連のインク流路及び圧電振動子21を備えており(ア(イ))、 流路形成基板30やノズルプレート31等の寸法ばらつきや取付公差によって、インク滴の吐出量等にばらつきが生じており(ア【0045】)、 記録ヘッド8は、第1シフトレジスタ51及び第2シフトレジスタ52からなるシフトレジスタ回路と、第1ラッチ回路53と第2ラッチ回路54とからなるラッチ回路と、デコーダ55と、制御ロジック56と、レベルシフタ57と、スイッチ回路58とを備えており(ア【0033】)、 プリンタコントローラ1からの印字データは、各ノズル開口33毎に設定され、第1シフトレジスタ51及び第2シフトレジスタ52にシリアル伝送され、第1シフトレジスタ51及び第1ラッチ回路53の組と、第2シフトレジスタ52及び第2ラッチ回路54の組は、それぞれが記憶回路を構成し、デコーダ55に入力される前の印字データを一時的に記憶し(ア【0035】、【0036】)、 各ラッチ回路53,54でラッチされた印字データはデコーダ55に入力され、デコーダ55は印字データと駆動パルスとの関係を規定する波形選択テーブルを備えており、この波形選択テーブルに基づいてパルス選択情報を生成して、パルス選択情報は、駆動信号を構成する各駆動パルス(DP1~DP3,SP1~SP2,OP)に各ビットを対応させており(ア【0037】)、 デコーダ55によって翻訳されたパルス選択情報は、レベルシフタ57に入力されて、レベルシフタ57で昇圧された[1]のパルス選択情報は、スイッチ手段として機能するスイッチ回路58に供給され(ア【0039】)、 スイッチ回路58に加わるパルス選択情報が[1]である期間中は、スイッチ回路58が接続状態になって駆動パルスが圧電振動子21に供給され、スイッチ回路58に加わるパルス選択情報が[0]の期間中は、レベルシフタ57からはスイッチ回路58を作動させるための電気信号が出力されず(ア【0040】)、 各ノズル列34を、インク滴の初期重量比の最大値に近いグループ(第1ノズル列34A、第4ノズル列34D)と、最小値に近いグループ(第2ノズル列34B、第3ノズル列34C)とに分けて、グループ毎に波高値オフセット情報が識別情報記憶部10に記憶されており(ア(ウ))、 SP1の波高値Vp及びDP2の駆動電圧Vhについて、VpとVhが異なる電圧であって、適正化が図られており(ア(オ)) デコーダ55は、階調情報(小ドット、中ドット、大ドット)に基づいてパルス選択情報を生成するものであって(ア【0069】、【0071】)、 デコーダ55が、波高値オフセット情報に基づき、そのノズル列が予備パルスSP1,SP2を使用するか否かを判断して、波高値オフセット情報として0.0%が設定されたノズル列34A,34Dについては、予備パルスSP1,SP2の発生期間に対応するパルス選択情報を[0]に設定することで、予備パルスSP1,SP2を圧電振動子21に供給しないようにして吐出パルスDPのみが選択され、予備パルスSP1,SP2を使用するノズル列34B、34Cについては、予備パルスSP1,SP2の発生期間に対応するパルス選択情報を[1]に設定することで、吐出パルスDPの供給に先立って予備パルスSP1,SP2を圧電振動子21に供給しており(ア(エ))、 T3が、予備パルスSP1が発生する期間であり、T4が、吐出パルスDP2が発生する期間であって(ア(カ))、 噴射ヘッドの個体差に起因する吐出量ばらつきを調整することができ(ア【0001】)、 第1ノズル列34A~第4ノズル列34Dの初期重量比は、それぞれ7.0%,-2.0%,-5.0%,1.0%であったところ、補正を行うことにより、3.3%,1.8%、-1.3%,-2.8%となり、予備パルスSP1,SP2を用いない場合には5.1%あった重量ばらつきが、予備パルスSP1,SP2を用いることにより2.7%にまで小さくなった(ア【0059】、【0075】)、 液体の吐出制御方法(ア【0001】)。 5 引用文献1を主引用例とした場合の当審における判断 (1)対比 ア 本願発明1と引用発明1を対比する。 (ア)a 引用発明1の「液滴吐出装置」、「プリントヘッド」及び「インクジェットシステム」は、各々本願発明1の「液滴吐出装置」、「プリントヘッド」及び「インクジェットシステム」に相当する。 b 本願発明1の「複数の液滴吐出装置を駆動するための方法」と引用発明1の「複数の液滴吐出装置の少なくとも1つに前記マルチレベル波形で液滴吐出装置を駆動して1つ以上の液滴を吐出する方法」は、「複数の液滴吐出装置を駆動するための方法」である点で一致する。 (イ)引用発明1の「方法」は、「プリントヘッド又はインクジェットシステムの複数の液滴吐出装置にわたる液滴速度又は液滴質量の液滴パラメータの空間分布を決定」するものであるから、本願発明1の方法と引用発明1の方法は、「プリントヘッド又はインクジェットシステムの複数の液滴吐出装置にわたって、液滴速度又は液滴重量である、液滴吐出パラメータの変動の分布を決定」する方法である点で一致する。 (ウ)a 引用発明1は、「液滴速度パラメータについては、速い液滴速度で液滴を吐出する液滴吐出装置を含む第1グループ又はゆっくりとした液滴速度で液滴を吐出する液滴吐出装置を含む第2グループ、若しくは、液滴質量パラメータについては、重い液滴質量をもつ液滴を吐出するノズルを含む第1グループ又は軽い液滴質量をもつ液滴を吐出するノズルを含む第2グループのいずれであるか、空間的分布内で液滴吐出装置の第1及び第2グループを識別」するものであるので、分布内の液滴吐出パラメータの第1変動を有する液滴を吐出する複数の液滴吐出装置の第1グループと分布内の前記液滴吐出パラメータの第2変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第2グループとを識別するものであって、液滴速度パラメータの観点では、第1変動は速い液滴速度を表し、第2変動はゆっくりとした速度を表し、液滴質量パラメータの観点では、第1変動は重い液滴重量を表し、第2変動は軽い液滴重量を表しており、引用発明1の「液滴速度パラメータ」及び「液滴質量パラメータ」は、本願発明1の「第1変動」及び「第2変動」に相当する変動を有する。 よって、本願発明1の方法と引用発明1の方法は、「前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第1グループと前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第2変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第2グループとを識別し、この場合、前記第1変動は速い液滴速度を表し、前記第2変動はゆっくりとした液滴速度を表すか、又は前記第1変動は重い液滴重量を表し、前記第2変動は軽い液滴重量を表」す方法である点で一致する。 b 引用発明1の方法は、「複数の液滴吐出装置にわたる系統的な変動を補償」するための方法であるから、上記aを踏まえると、「空間的分布内」における「液滴吐出装置」の「液滴速度パラメータ」及び「液滴質量パラメータ」の「系統的な変動」(相違)は、複数の液滴吐出装置にわたって前記液滴吐出パラメータの系統的変動に対応しているといえる。 すると、「『速い液滴速度』又は『重い液滴重量』並びに『ゆっくりとした速度』又は『軽い液滴重量』」の変動である、本願発明1の「第1変動及び第2変動」と引用発明1の「液滴速度パラメータ」及び「液滴質量パラメータ」の「系統的な変動」は、液滴の速度又は質量の変動(相違)である「前記第1変動及び前記第2変動の相違は前記複数の液滴吐出装置にわたって前記液滴吐出パラメータの系統的変動を表」すものである点で一致する。 c 上記a及びbから、本願発明1の方法と引用発明の方法は、「前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第1グループと前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第2変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第2グループとを識別し、この場合、前記第1変動は速い液滴速度を表し、前記第2変動はゆっくりとした液滴速度を表すか、又は前記第1変動は重い液滴重量を表し、前記第2変動は軽い液滴重量を表し、そして、前記第1変動及び前記第2変動の相違は前記複数の液滴吐出装置にわたって前記液滴吐出パラメータの系統的変動を表」す方法である点で一致する。 (エ)a 引用発明1の方法は、「液滴吐出パラメータの空間的分布に基づいてマルチレベル波形の画像ピクセルレベルをマッピングするためのマッピングを決定するもの」であって、上記(ウ)bを踏まえると、液滴吐出パラメータの空間的分布は、複数の液滴吐出装置にわたる液滴吐出パラメータの変動の分布であるので、本願発明1の方法と引用発明1の方法は、「複数の液滴吐出装置にわたって、前記液滴吐出パラメータの変動の分布に基づくマルチレベル波形のマッピングを決定」する方法である点で一致する。 b 引用発明1の方法は、「マルチレベル波形は、液滴吐出装置にわたる液滴パラメータの系統的変動を補償するために補償作用を伴う少なくとも1つの補償縁又は少なくとも1つの補償パルスを有する第1区分と、少なくとも1つの駆動パルスを有する第2区分とを含」み、かつ、「区分1に補償パルスを含み、区分2に駆動パルスを含むマルチレベル波形」を発生しており、各区分に含まれるパルスの種類からみて「第1区分」と「区分1」、「第2区分」と「区分2」は各々同じ区分である。 そうすると、引用発明1の方法において、「マッピングの決定は、第2グループのピクセルをマルチレベル波形の第2レベルへ変換する」ものであって、「落下速度の分布610のゆっくりとした落下速度に対応する液滴吐出装置は、それら液滴吐出装置の落下速度を加速し且つ系統的落下速度変動を減少するために補償パルスで補償され」るものであって、レベル2の区分マッピングは、「レベル2が区分1でオンかつ区分2でオンに、区分マッピングをされる」ので、第2グループのピクセルを補償するための補償パルスを有する第1区分と、少なくとも1つの駆動パルスを有する第2区分を含むマルチレベル波形で液滴吐出装置を駆動する第2レベルにマッピングされていて、このときマルチレベル波形は(マルチレベル波形が第1区分(区分1)でオフかつ第2区分(区分2)でオンにマッピングされる状態としての)レベル1にはマッピングされていないといえる。 そして、引用発明1の方法の「第1区分(区分1)」及び「第2区分(区分2)」は本願発明1の方法の「第1区分」及び「第2区分」に対応するので、本願発明1の方法と引用発明1の方法は、「この場合、該マッピングは、少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第1区分が前記マルチレベル波形の第2レベルにマッピングされ、かつ前記マルチレベル波形の第1レベルにはマッピングされ」ない方法である点で一致する。 c 引用発明1の方法は、「マルチレベル波形」は、「レベル1が第1区分(区分1)でオフかつ第2区分(区分2)でオンであって、レベル2が第1区分(区分1)でオンかつ第2区分(区分2)でオンに、区分マッピングをされ」るものであり、第2区分(区分2)ではレベル1及びレベル2についてオンとなって駆動パルスを含むから、マルチレベル波形が、第2区分(区分2)で第1レベル及び第2レベルにマッピングされているといえる。 よって、本願発明1の方法と引用発明1の方法は、「そして少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第2区分が前記マルチレベル波形の第1レベル及び第2レベルにマッピングされる、ことを示して」いる方法である点で一致する。 d 上記aないしcから、本願発明1と引用発明1は、「複数の液滴吐出装置にわたって、前記液滴吐出パラメータの変動の分布に基づくマルチレベル波形のマッピングを決定し、この場合、該マッピングは、少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第1区分が前記マルチレベル波形の第2レベルにマッピングされ、かつ前記マルチレベル波形の第1レベルにはマッピングされず、そして少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第2区分が前記マルチレベル波形の第1レベル及び第2レベルにマッピングされる、ことを示して」いる方法である点で一致する。 (オ)a 引用発明1の方法は、「第1グループのピクセルは、デフォールトによりマルチレベル波形の第1レベルに留まるか又は第1レベルへマップされ」、第1レベルは区分1でオフかつ区分2でオンにマッピングされるので、第1グループの第1変動(速い液滴速度又は重い液滴質量)に対応するマルチレベル波形は区分1に補償パルスを含まない。すると、本願発明1の方法と引用発明1の方法は、「前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する1つ以上の液滴を吐出するように液滴吐出装置の前記第1グループに前記補償パルスを有しない少なくとも1つの駆動パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第1レベルを付与する」方法である点で一致する。 b 引用発明1の方法は、「第2グループのピクセルをマルチレベル波形の第2レベルへ変換することを含」む方法であって、第2グループの第2変動(ゆっくりとした液滴速度又は軽い液滴質量)に対応するマルチレベル波形は区分1に補償パルスを含む。すると、本願発明1の方法と引用発明1の方法は、「前記1つ以上の液滴を吐出するように液滴吐出装置の前記第2グループに少なくとも1つの駆動パルスと前記補償パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第2レベルを付与する」方法である点で一致する。 c 引用発明1の方法に用いられる「制御回路及びコントローラの少なくとも1つが、液滴吐出装置にわたる液滴吐出パラメータの空間的分布を決定し、その液滴吐出パラメータの空間的分布に基づいてマルチレベル波形の画像ピクセルレベルをマッピングするためのマッピングを決定し」、「制御回路は、液滴吐出装置にマルチレベル波形を付与することにより液滴吐出装置を駆動」するので、本願発明1の方法と引用発明1の方法は、「前記マルチレベル波形に対する前記マッピングによる1組のピクセルのための前記液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置を制御」することを含む方法である点で一致する。 d 上記aないしcから、本願発明1と引用発明1は、「前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する1つ以上の液滴を吐出するように液滴吐出装置の前記第1グループに前記補償パルスを有しない少なくとも1つの駆動パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第1レベルを付与するとともに、前記1つ以上の液滴を吐出するように液滴吐出装置の前記第2グループに少なくとも1つの駆動パルスと前記補償パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第2レベルを付与することによって、前記マルチレベル波形に対する前記マッピングによる1組のピクセルのための前記液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置を制御」する方法である点で一致する。 (カ)a 上記(イ)、(ウ)a及び(オ)bを踏まえると、引用発明1の方法は、「複数の液滴吐出装置にわたって、液滴速度又は液滴重量である、液滴吐出パラメータの変動の分布を決定し」、「分布内で液滴吐出装置の第1及び第2グループを識別」して、「前記1つ以上の液滴を吐出するように液滴吐出装置の前記第2グループに少なくとも1つの駆動パルスと前記補償パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第2レベルを付与する」ものである。 b 引用発明1は、「液滴速度を加速又は減速することができ、又は、液滴質量を増加又は減少させることができ」る「補償パルス」を「第2グループ」の液滴吐出装置に対して付与する。すると、本願発明1と引用発明1は、「前記第2変動を有する前記液滴の前記液滴速度又は前記液滴重量を増加させる補償効果を持つように、前記補償パルスが、前記液滴吐出装置の第2グループに付与される」方法である点で一致する。 c 引用発明1は、「補償縁又はパルス」が「複数の液滴吐出装置にわたる系統的な変動を補償するために補償作用」を有する方法であるから、「第1変動と第2変動との違い」、及び、「複数の液滴吐出装置にわたる前記液滴吐出パラメータの系統的変動を減少させる」方法である。 d 上記aないしcから、本願発明1及び引用発明1は、「前記複数の液滴吐出装置にわたる前記複数の前記液滴吐出パラメータの変動の分布に基づいて識別され、前記第2変動を有する前記液滴の前記液滴速度又は前記液滴重量を増加させ又は前記第1変動を有する前記液滴の前記液滴速度又は前記液滴重量を減少させる補償効果を持つように、前記補償パルスが、前記液滴吐出装置の第2グループに付与されることにより、前記第1変動と第2変動との違い及び前記複数の前記液滴吐出装置にわたる前記液滴吐出パラメータの系統的変動を減少させる」方法である点で一致する。 イ したがって、本願発明1と引用発明1を対比すると、両者は同一であって相違するところがない。 (2)小括 したがって、本願発明1は、引用発明1であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 さらに、本願発明1は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 6 引用文献2を主引用例とした場合の当審における判断 (1)対比 ア 本願発明1と引用発明2を対比する。 (ア)引用発明2の「記録ヘッド8」、「インクジェット式プリンタ」及び「インク滴」は、各々本願発明1の「プリントヘッド」、「インクジェットシステム」及び「液滴」に相当する。 (イ)引用発明2の「駆動パルス(DP1~DP3,SP1~SP2,OP)」は、「SP1の波高値Vp及びDP2の駆動電圧Vhについて、VpとVhが異なる電圧であって、適正化が図られて」、異なる複数の波高値(マルチレベル)を有するパルスを含む波形といえるので、引用発明2の「駆動パルス」を含む駆動電圧の波形は、本願発明1の「マルチレベル波形」に相当する。 引用発明2の「予備パルスSP1,SP2を用いない場合には5.1%あった重量ばらつきが、予備パルスSP1,SP2を用いることにより2.7%にまで小さく」なっていることからすると、「予備パルスSP1,SP2」は、「流路形成基板30やノズルプレート31等の寸法ばらつきや取付公差によって、インク滴の吐出量等にばらつき」によって生じた「重量ばらつき」を小さくするためのパルスといえるので、本願発明1の「補償パルス」に相当する。引用発明2の「吐出パルス」は、「吐出パルスのみが選択」されたときも「圧電素子21に供給されて」インクが吐出されており、インク滴を吐出する出力を「圧電素子21」に供給するパルスなので、本願発明1の「駆動パルス」に相当する。 (ウ)a 引用発明2の「記録ヘッド8」は、「ノズル開口33からインク滴を吐出させるために、複数のノズル開口33と、ノズル開口33に対応した一連のインク流路及び圧電振動子21を備えているので、「圧電振動子21」は、駆動パルスが供給されることにより駆動されてインク滴をノズル開口33から吐出させるものである。すると、引用発明2の「複数のノズル開口33と、ノズル開口33に対応した一連のインク流路及び圧電振動子21」は、本願発明1の「複数の液滴吐出装置」に相当する。 b 上記(イ)を踏まえると、本願発明の方法と引用発明2の方法は、「複数の液滴吐出装置を駆動するための方法」である点で一致する。 (エ)a 引用発明2の「インク滴の初期重量比」は、インク滴の重量比を示す指標であるから、本願発明1の「液滴重量である、液滴吐出パラメータ」に相当する。 b 引用発明2の「インク滴の初期重量比の最大値」及び「最小値」の差は、インク滴の初期重量比の変動を表すので、上記aを踏まえると、本願発明1の「液滴重量である、液滴パラメータの変動」に相当する。 c 引用発明2の第1ノズル列34A、第4ノズル列34D、第2ノズル列34B、第3ノズル列34Cは、それぞれ異なるノズル列からなる「各ノズル列34」は複数のノズル列であるから、上記a及びbを踏まえると、「各ノズル列34を、インク滴の初期重量比の最大値に近いグループ(第1ノズル列34A、第4ノズル列34D)と、最小値に近いグループ(第2ノズル列34B、第3ノズル列34C)とに分け」ることは、各ノズル列にわたってノズル列をその初期重量比の変動に応じてインク滴の質量が重いグループと軽いグループ(変動の分布)に分けているので、本願発明1の「複数の液滴吐出装置にわたって、液滴重量である、液滴吐出パラメータの変動の分布を決定」することに相当する。 d すると、本願発明1の方法と引用発明2の方法は、「プリントヘッド又はインクジェットシステムの複数の液滴吐出装置にわたって、液滴速度又は液滴重量である、液滴吐出パラメータの変動の分布を決定」する方法である点で一致する。 (オ)a 引用発明2の方法では、「流路形成基板30やノズルプレート31等の寸法ばらつきや取付公差によって、インク滴の吐出量等にばらつきが生じ」ており、「各ノズル列34を、インク滴の初期重量比の最大値に近いグループ(第1ノズル列34A、第4ノズル列34D)と、最小値に近いグループ(第2ノズル列34B、第3ノズル列34C)とに分け」ている。 b 引用発明2の方法の「各ノズル列34を、インク滴の初期重量比の最大値に近いグループと、最小値に近いグループ(第2ノズル列34B、第3ノズル列34C)とに分け」る点において、「インク滴の初期重量比の最大値に近いグループ」は、上記(エ)aないしcを踏まえると、インク滴の重量が大きい(重い)ノズル列のグループなので、本願発明1の「重い液滴重量」を表す「第1変動」に対応する「複数の液滴吐出装置の第1グループ」に相当する。 c 同様に、引用発明2の方法の「各ノズル列34」の「インク滴の初期重量比」が「最小値に近いグループ」は、本願発明1の「軽い液滴重量」を表す「第2変動」に対応する「複数の液滴吐出装置の第2グループ」に相当する。 d 上記b及びcを踏まえると、引用発明2の方法の「各ノズル列34を、インク滴の初期重量比の最大値に近いグループ(第1ノズル列34A、第4ノズル列34D)と、最小値に近いグループ(第2ノズル列34B、第3ノズル列34C)とに分け」ることは、本願発明2の方法における「前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第1グループと前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第2変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第2グループとを識別」することに相当する。 e 引用発明2は「「流路形成基板30やノズルプレート31等の寸法ばらつきや取付公差によって、インク滴の吐出量等にばらつきが生じ」ていることから、引用発明2の「各ノズル列34」別の「インク滴の初期重量比の最大値」及び「最小値」の差は系統的変動といえるので、、本願発明1の「前記第1変動及び前記第2変動の相違」に相当し、同時に「前記複数の液滴吐出装置にわたって前記液滴吐出パラメータの系統的変動を表」しているといえる。 f 上記aないしeから、本願発明1の方法と引用発明2の方法は、「前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第1グループと前記分布内の前記液滴吐出パラメータの第2変動を有する液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置の第2グループとを識別し、この場合、前記第1変動は速い液滴速度を表し、前記第2変動はゆっくりとした液滴速度を表すか、又は前記第1変動は重い液滴重量を表し、前記第2変動は軽い液滴重量を表し、そして、前記第1変動及び前記第2変動の相違は前記複数の液滴吐出装置にわたって前記液滴吐出パラメータの系統的変動を表」す方法である点で一致する。 (カ)a 引用発明2の方法における、「インク滴の初期重量比の最大値に近いグループ(第1ノズル列34A、第4ノズル列34D)と、最小値に近いグループ(第2ノズル列34B、第3ノズル列34C)とに分けて、グループ毎に波高値オフセット情報が識別情報記憶部10に記憶されて」おり、「波高値オフセット情報」に基づいて「デコーダ55が、波高値オフセット情報に基づき、そのノズル列が予備パルスSP1,SP2を使用するか否かを判断して」、「パルス選択情報」を設定して「駆動信号を構成する各駆動パルス(DP1~DP3,SP1~SP2,OP)」を「圧電振動子21に供給」していることは、「識別情報記憶部10」に記憶された「ノズル列」の「グループ毎」の「波高値オフセット情報」に基づいて設定した「パルス選択情報」を用いて駆動パルスにマッピングしているといえるので、本願発明1の方法における「複数の液滴吐出装置にわたって、前記液滴吐出パラメータの変動の分布に基づくマルチレベル波形のマッピングを決定」ことに相当する。 b 引用発明2の方法における「予備パルスSP1」、「駆動パルスDP2」、「T3」及び「T4]は、本願発明1の方法における「補償パルス」、「駆動パルス」、「区分1」及び「区分2」に相当する。 c 本願当初明細書等に次の記載がある。 「【0026】 図5は、一実施形態によるマルチレベル波形500を示す。波形の区分1は、補償パルス510を含み、そして区分2は、駆動パルス520を含む。区分1は、波形のほぼ3マイクロ秒の期間に対応し、そして区分2は、波形の残りのほぼ5マイクロ秒に対応する。補償パルス510は、プリントヘッドの液滴吐出装置にわたる系統的変動を補償するために補償作用を有する。補償パルスの発射からその後の駆動パルスの発射までの期間は、ほぼ共振期間である。 【0027】 テーブル1は、波形500の区分マッピングを示す。 テーブル1:区分マッピング [図:0001430705000013.jpg] 」 ここで、本願発明1の「第1レベル」(本願当初明細書の「レベル1」に対応する。)が、区分1に補償パルス510を含まず区分2に駆動パルス520を含むマルチレベル波形に対応した設定情報を意味しており、「第2レベル」(本願当初明細書等の「レベル2」に対応する。)が、第1区分(本願当初明細書等の「区分1」に対応する。)に補償パルス510を含み第2区分(本願当初明細書等の「区分2」に対応する。)に駆動パルス520を含むマルチレベル波形に対応した設定情報を意味しているものと解される。 d すると、引用発明2の方法では、予備パルスSP1を発生させているときには、吐出パルスDP2も供給されているので、このことは、本願発明1の「該マッピングは、少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第1区分が前記マルチレベル波形の第2レベルにマッピングされ、かつ前記マルチレベル波形の第1レベルにはマッピングされ」ないことに相当する。 e また、引用発明2の方法の「予備パルスSP1を発生させているときには、吐出パルスDP2も供給されている」状態及び「予備パルスSP1,SP2を圧電振動子21に供給しないようにして吐出パルスDPのみ」の状態の双方の期間T4において「吐出パルスDP2」が存在している一方で、本願発明1の方法でも、第1レベル及び第2レベルの両方の区分2において駆動パルスが存在する。よって、本願発明1の方法と引用発明2の方法は、「少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第2区分が前記マルチレベル波形の第1レベル及び第2レベルにマッピングされる、ことを示」す方法である点で共通している。 f 上記aないしeから、本願発明1の方法と引用発明2の方法は、「複数の液滴吐出装置にわたって、前記液滴吐出パラメータの変動の分布に基づくマルチレベル波形のマッピングを決定し、この場合、該マッピングは、少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第1区分が前記マルチレベル波形の第2レベルにマッピングされ、かつ前記マルチレベル波形の第1レベルにはマッピングされず、そして少なくとも1つの補償パルスを含む前記マルチレベル波形の第2区分が前記マルチレベル波形の第1レベル及び第2レベルにマッピングされる、ことを示」す方法である点で一致する。 (キ)a 引用発明2の「波高値オフセット情報として0.0%が設定されたノズル列34A,34Dについては」、「予備パルスSP1,SP2を圧電振動子21に供給しないようにして吐出パルスDPのみ」を圧電振動子21に供給することにおいて、予備パルスSP1,SP2がなく吐出パルスのみを含む波形が本願発明1の「マルチレベル波形の前記第1レベル」に相当する。また、上記(オ)bのとおり「ノズル列34A,34D」が本願発明の「第1グループ」に相当する。 よって、引用発明2の「波高値オフセット情報として0.0%が設定されたノズル列34A,34Dについては」、「予備パルスSP1,SP2を圧電振動子21に供給しないようにして吐出パルスDPのみ」を圧電振動子21に供給することは、本願発明1の「重い液滴重量」を表す「第1変動」を有する「液滴吐出装置の前記第1グループ」に対して「前記補償パルスを有しない少なくとも1つの駆動パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第1レベル」を付与することに相当する。 b さらに、引用発明2の「予備パルスSP1,SP2を使用するノズル列34B、34Cについて」、「吐出パルスDPの供給に先立って予備パルスSP1,SP2を圧電振動子21に供給」することは、予備パルスSP1,SP1の後に吐出パルスDPが供給されており、これらのパルスを含む波形が本願発明1の「マルチレベル波形の前記第2レベル」に相当する。また、上記(オ)cのとおり「ノズル列34B,34C」が本願発明の「第2グループ」に相当する。 よって、引用発明2の「予備パルスSP1,SP2を使用するノズル列34B、34Cについて」、「吐出パルスDPの供給に先立って予備パルスSP1,SP2を圧電振動子21に供給」することは、本願発明1の「前記1つ以上の液滴を吐出するように液滴吐出装置の前記第2グループに少なくとも1つの駆動パルスと前記補償パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第2レベルを付与する」ことに相当する。 c 引用発明2の「小ドット、中ドット、大ドット」が本願発明1の「1組のピクセル」に相当するので、引用発明2の方法の「『ノズル列』に『予備パルスSP1,SP2を使用するか否かを判断して』『小ドット、中ドット、大ドットに基づいて』『パルス選択情報を生成』して『インク滴を吐出』するために『第1シフトレジスタ51及び第2シフトレジスタ52からなるシフトレジスタ回路と、第1ラッチ回路53と第2ラッチ回路54とからなるラッチ回路と、デコーダ55と、制御ロジック56と、レベルシフタ57と、スイッチ回路58』を用いる」ことは、本願発明1の方法の「前記マルチレベル波形に対する前記マッピングによる1組のピクセルのための前記液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置を制御する」ことに相当する。 d 上記aないしcから、本願発明1の方法と引用発明2の方法は、「前記液滴吐出パラメータの第1変動を有する1つ以上の液滴を吐出するように液滴吐出装置の前記第1グループに前記補償パルスを有しない少なくとも1つの駆動パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第1レベルを付与するとともに、前記1つ以上の液滴を吐出するように液滴吐出装置の前記第2グループに少なくとも1つの駆動パルスと前記補償パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第2レベルを付与することによって、前記マルチレベル波形に対する前記マッピングによる1組のピクセルのための前記液滴を吐出する前記複数の液滴吐出装置を制御」する方法である点で一致する。 (ク)a 上記(エ)、(オ)d及び(オ)eを踏まえると、引用発明2の方法は、「複数の液滴吐出装置にわたって、液滴重量である、液滴吐出パラメータの変動の分布を決定し」、「分布内で液滴吐出装置の第1及び第2グループを識別」して、「前記1つ以上の液滴を吐出するように液滴吐出装置の前記第2グループに少なくとも1つの駆動パルスと前記補償パルスを有する前記マルチレベル波形の前記第2レベルを付与する」ものである。 b 引用発明2の方法では、「第1ノズル列34A~第4ノズル列34Dの初期重量比は、それぞれ7.0%,-2.0%,-5.0%,1.0%であったところ、補正を行うことにより、3.3%,1.8%、-1.3%,-2.8%」と改善していることから、予備パルスSP1,SP2を使用するノズル列34B、34Cは初期重量比が増加している。この、引用発明2の予備パルスSP1,SP2を使用してノズル列34B、34Cの初期重量比を増加させることは、本願発明1の「前記第2変動を有する前記液滴の前記液滴重量を増加させる補償効果を持つように、前記補償パルスが、前記液滴吐出装置の第2グループに付与される」ことに相当する。 c 上記bより、インク滴の初期重量比の差が減少して改善しているので、上記(オ)fを踏まえると、本願発明1の方法における、「前記第1変動と第2変動との違い及び前記複数の前記液滴吐出装置にわたる前記液滴吐出パラメータの系統的変動を減少させる」ことに相当する。 d すると、本願発明1の方法と引用発明2の方法は、「前記複数の液滴吐出装置にわたる前記複数の前記液滴吐出パラメータの変動の分布に基づいて識別され、前記第2変動を有する前記液滴の前記液滴速度又は前記液滴重量を増加させ又は前記第1変動を有する前記液滴の前記液滴速度又は前記液滴重量を減少させる補償効果を持つように、前記補償パルスが、前記液滴吐出装置の第2グループに付与されることにより、前記第1変動と第2変動との違い及び前記複数の前記液滴吐出装置にわたる前記液滴吐出パラメータの系統的変動を減少させる」方法である点で一致する。 イ したがって、本願発明1と引用発明2を対比すると、両者は同一であって相違するところがない。 (2)小括 したがって、本願発明1は、引用発明2であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 さらに、本願発明1は、引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 7 審判請求人の審判請求書における主張について (1)令和6年7月25日に提出され、その後同年9月4日に提出された手続補正書(方式)にて補正された審判請求書において、審判請求人は概略次の主張をしている。 ア 審判請求時になした補正について (ア) 請求項1及び請求項9(本件補正後の請求項8)についてなした補正は、明細書の翻訳の段落[0016],[0036]~[0041]、図13等の記載を根拠とする補正であること(「3.補正の説明」(1)及び(2))。 (イ)請求項7及び請求項15を削除したこと(「3.補正の説明」(3))。 (ウ)上記(ア)及び(イ)の補正は、特許法第17条の2第3項~第5項の要件を充足するものであること(「3.補正の説明」(4))。 イ 引用文献2は、液体噴射装置およびその液滴吐出制御方法に関するものあって。より具体的には、駆動信号生成回路が、圧力室内のインクにインク滴を吐出しない程度の圧力変動を生じさせて、吐出パルスDP2およびDP3の前にメニスカスを移動させるための予備パルスSP1およびSP2を発するものであること、及び、制御部が、判別データ記憶部に記憶された波高値オフセットデータに基づいて駆動信号の波形形状を設定すること(要約、図6等)、パルスSP1およびSP2とパルスDP2およびDPを含む別々の波形を使用することが記載されているのであって、補正後の請求項1及び請求項8に係る発明の特定事項を開示も示唆もしていないこと(「4.本願発明が特許されるべき理由」(2))。 (2)上記主張(1)アについて 上記第2の2(2)ないし(5)で検討したとおり、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下された。 (3)上記主張(1)イについて 本願発明1が、引用発明1及び引用発明2と同一であり、また、引用発明1又は引用発明2に基づいて当業者が容易に発明することができたものであることは、上記5(1)及び6(1)で検討したとおりである。 (4)したがって、審判請求人の上記(1)ア及びイの主張はいずれも採用できない。 8 審判請求人が令和5年12月27日に提出した意見書における主張について (1)令和5年12月27日に提出された意見書において、審判請求人は概略次の主張をしている。 ア 請求項7,15を補正したので、当該補正は、新規事項を追加する補正に該当せず、特許出願の分割の実体的要件を満たしている。したがって、新規性及び進歩性は、本願の親出願の優先日2014年1月10日を基準に判断されるべきものであること(「3.拒絶理由に対する意見」(3)(c))。 イ 引用文献2には、駆動信号発生回路が、圧力室内のインクにインク滴を吐出しない程度の圧力変動を発生させ、吐出パルスDP2,DP3に先立ってメニスカスを移動させるための予備パルスSP1、SP2を発生することが記載されており、また、制御部が、識別データ記憶部に記憶された波高値オフセット情報に基づいて、駆動信号の波形形状を設定すること(図6等)。パルスSP1及びSP2、パルスDP2及びDP3を含む別々の波形を使用することが記載されているが、請求項1、9の発明特定事項について開示がないこと(「3.拒絶理由に対する意見」(3)(c))。 (2)上記(1)アの主張について 上記3(3)ウで検討したとおり、本願発明7は、原出願当初明細書等に記載された発明ではないので、本願の出願日は、現実の出願日である令和4年7月14日である。 (3)上記(1)イの主張について 本願発明1が、引用発明1及び引用発明2と同一であり、また、引用発明1又は引用発明2に基づいて当業者が容易に発明することができたものであることは、上記5(1)及び6(1)で検討したとおりである。 (4)したがって、審判請求人の上記(1)ア及びイの主張はいずれも採用できない。 第4 むすび 以上のとおりであるから、本願発明1は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 さらに、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 したがって、他の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2024-012209

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