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特許拒絶査定不服審判

2023-002072

画像形成装置、画像形成システムおよび画像形成方法

審判番号
2023-002072
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2021-138663外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年02月07日
審決日
2024年08月20日
公報発行日
2024年11月29日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .113-WZ (B41J) / P18 .121-WZ (B41J)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条1項3号特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2021-138663「画像形成装置、画像形成システムおよび画像形成方法」拒絶査定不服審判事件〔令和3年12月23日出願公開、特開2021-192982〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯 本願は、平成28年9月28日に出願した特願2016-189734号の一部を令和2年10月27日に新たに出願した特願2020-179469号の一部を令和3年8月27日に新たに出願したものであって、同年9月21日に手続補正書及び上申書が提出され、令和4年6月10日付けで拒絶理由が通知され、同年10月14日に意見書及び手続補正書が提出されたが、同年10月25日付け(送達日:同年11月8日)で拒絶査定された。これに対し、令和5年2月7日に拒絶査定不服審判が請求されたものである。 その後、令和6年1月31日付けで当審から拒絶理由(以下「当審拒絶理由」という。)が通知され、これに対し、同年4月9日に意見書が提出されたものである。 第2 本願発明 本願の請求項1ないし5に係る発明は、令和4年10月14日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるものと認められるところ、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。 「【請求項1】 筐体と、 前記筐体の内部に設けられる画像形成部と、 前記筐体に設けられ、ネットワークに接続可能な通信部と、 制御部と、を備え、 前記制御部は、 前記画像形成部に、資源を使用して画像を形成させる画像形成処理と、 前記通信部が前記ネットワークを介してサーバと通信可能であるか否かを判断する第1判断処理と、 前記第1判断処理において前記通信可能でないと判断する場合、前記画像形成処理を制限する第1制限処理と、を実行することを特徴とする画像形成装置。」 第3 拒絶理由 当審拒絶理由は、以下の拒絶理由を含む。 1.(新規性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 2.(進歩性)この出願の請求項1に係る発明は、その出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 記 (引用文献等については引用文献等一覧参照) 引用文献等一覧 引用文献1:特開2014-146998号公報 引用文献2:特開2005-33460号公報 第4 引用文献 1 引用文献1 (1)引用文献1記載事項 本願の出願前である平成26年8月14日に頒布された特開2014-146998号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下の事項が記載されている。 「【請求項1】 ユーザの認証情報の入力を受け付ける受付部と, ユーザ認証を行うサーバとの間で通信を行う通信部と, 画像処理を行う画像処理部と, 制御部と, を備え, 前記制御部は, 前記受付部にて受け付けた前記認証情報を前記サーバに送信し,当該認証情報に基づくユーザ認証の結果を前記サーバから受信する認証処理と, 前記認証処理でのユーザ認証が成功した結果を受信した場合,認証されたユーザに応じて,前記画像処理の実行可能な機能と実行可能量との少なくとも一方を限定する限定情報に基づいて,前記画像処理の実行を制限し,前記認証処理でのユーザ認証が前記サーバとの通信不能によって失敗した場合,ユーザ認証が成功した結果を受信した場合に前記限定情報によって限定される前記画像処理の実行可能な機能および実行可能量よりも前記画像処理の実行可能な機能と実行可能量との少なくとも一方を少なくして,前記画像処理の実行を許可する制限処理と, を実行することを特徴とする画像処理装置。」 「【発明が解決しようとする課題】 【0005】 しかしながら,前記した従来の技術には,次のような問題があった。すなわち,サーバとの通信が不能な期間が一定時間を超えてしまうと,結局,画像処理が実行できなくなる。そのため,ユーザにとって不便である。 【0006】 本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,画像処理装置とサーバとを備え,ユーザごとに画像処理の実行を制限する画像処理システムにおいて,ユーザの不便を軽減する技術を提供することにある。」 「【0028】 [MFPの構成] 続いて,MFP200の概略構成について説明する。MFP200は,図1に示したように,CPU31(制御部の一例)と,ROM32と,RAM33と,NVRAM(Non Volatile RAM)34とを備えている。また,MFP200は,用紙に画像を印刷する画像形成部10(画像処理部の一例)と,原稿の画像を読み取る画像読取部11(画像処理部の一例)と,表示機能と入力機能とを兼ねる操作パネル40(受付部の一例)と,FAXインターフェース38と,ネットワークインターフェース37(通信部の一例)とを有し,これらがCPU31によって制御される。 【0029】 画像形成部10は,カラー印刷が可能であってもモノクロ印刷のみが可能であってもよい。本形態では,カラー印刷が可能なものとする。」 「【0032】 ネットワークインターフェース37およびFAXインターフェース38は,他の装置との通信を可能にするインターフェースである。MFP200は,ネットワークインターフェース37を介して,認証サーバ100に対して認証要求を送信し,認証結果を受信する。また,MFP200は,FAXインターフェース38を介して,FAXデータの送受信を行うことができる。」 「【0034】 また,NVRAM34には,画像処理の実行を制限するための情報として,図3に示すようなユーザ制限テーブル341が記憶されている。具体的に,ユーザ制限テーブル341は,識別番号(ID)と,所属と,ユーザ名と,前回ユーザ認証時刻と,限定情報の5つの項目を含むレコードを記憶している。 【0035】 また,限定情報には,印刷,コピー,FAX,スキャンの各画像処理の実行可否が記憶される。図3中,「○」が実行許可を意味し,「×」が実行不許可を意味する。また,限定情報には,1回のジョブで実行可能な最大処理枚数である最大数が記憶される。最大数のうち「?」は,最大処理枚数の制限が無いことを意味する。また,限定情報には,処理可能な残りの枚数である残数が記憶される。」 「【0037】 また,ユーザ制限テーブル341には,MFP200の管理者用のレコードと,ユーザ認証が行われていない未認証ユーザ用のレコードとが設けられる。IDが「000」のレコードが管理者用のレコードに相当し,ユーザ名に「管理者」が記憶される。以下,「管理者レコード」とする。また,IDが「003」のレコードが未認証ユーザ用のレコードに相当し,ユーザ名に「暫定」が記憶される。以下,「暫定レコード」とする。一方,IDが「001」,「002」のように,ユーザが特定されるレコードを,「ユーザ特定レコード」とする。 … 【0039】 暫定レコードは,本来認証されないユーザによる画像処理の実行が可能になってしまうことから,ユーザ特定レコードと比較して画像処理の実行をより制限する。例えば,図3に示した例では,暫定レコードでは,印刷とコピーが実行不可であるが,ユーザ特定レコードでは,印刷もコピーも実行可である。また,最大数についても,暫定レコードはユーザ特定レコードよりも少ない。」 「【0043】 [第1の形態] 続いて,前述した画像処理システム900の動作を実現するためにMFP200が実行するログイン要求処理について,図5のフローチャートを参照しつつ説明する。ログイン要求処理は,ログイン画面の実行ボタン42がタッチされたことを契機に,CPU31によって実行される。 【0044】 ログイン要求処理では,先ず,入力部41に入力されたユーザ情報,すなわち所属,ユーザ名,パスワードをそれぞれ取得する(S101)。また,認証サーバ100との接続確認を行う(S102)。接続確認の方法としては,例えばpingコマンドを認証サーバ100に対して実行し,その応答があれば接続状態と判断し,応答がなければ未接続状態と判断する(S103)。 【0045】 認証サーバと通信可能と判断した場合には(S103:YES),認証サーバ100に対して認証要求を出力する(S104)。認証要求には,S101で取得したユーザ情報が付加される。 … 【0050】 認証サーバ100による認証に成功したと判断した場合には(S106:YES),ユーザ制限テーブル341を参照し,認証されたユーザに対応する情報があるか否か,すなわち認証されたユーザと所属およびユーザ名が一致するユーザ特定レコードがあるか否かを判断する(S107)。 【0051】 認証されたユーザに対応する情報がある場合には(S107:YES),認証されたユーザに対応するレコードに記憶されている限定情報に基づく,認証ユーザ別の実行制限を行う(S108)。認証されたユーザに対応する情報がない場合には(S107:NO),あるいは認証サーバ100による認証に失敗したと判断した場合には(S106:NO),認証失敗に対応する実行制限を行う(S111)。本形態では,MFP200の全ての画像処理を実行不可にする。 【0052】 一方,S103の説明に戻って,認証サーバと通信不能と判断した場合には(S103:NO),未認証ユーザ用のレコードである暫定レコードに記憶されている限定情報に基づく,暫定の実行制限を行う(S121)。これにより,認証サーバ100との通信が不能であっても,MFP200について,認証されたユーザよりも実行が制限されるものの,少なくとも一部の画像処理が実行可能になり,全ての画像処理が実行不可になることはない。」 「【図5】 [図:0001415818000001.jpg] 」 上記摘記事項を、以下のとおり整理する。 ア 上記【0028】記載の「画像形成部10(画像処理部)」、「ネットワークインターフェース37(通信部の一例)」、「CPU31(制御部の一例)」、「MFP200」が【請求項1】記載の「画像処理部」、「通信部」、「制御部」、「画像処理装置」に対応することを踏まえると、引用文献1には以下の事項が記載されている。 イ 上記【請求項1】、【0028】及び【0032】に、「用紙に画像を印刷する画像形成部と、ネットワークインターフェースである通信部と、画像形成部及び通信部を制御する制御部を備えた画像処理装置」が記載されている。 ウ 上記【0032】、【0043】、【0044】、【0052】及び図5に、「画像処理装置が認証サーバとの認証接続を行い、認証サーバと通信不能と判断した場合に、暫定の実行制限」を行うことが記載されている。 エ 上記【0045】、【0051】及び図5に、「認証サーバと通信可能と判断した場合に、認証ユーザ別の実行制限」を行うことが記載されている。 オ 上記【請求項1】、【0039】及び【0052】に、「暫定の実行制限は、認証ユーザ別の実行制限より画像処理の実行可能な機能と実行可能量の少なくとも一方を少なくする」ことが記載されている。 (2)引用発明1 上記(1)アないしオから、引用文献1には次の発明(以下「引用発明1」という。)が記載されている。 用紙に画像を印刷する画像形成部と、 ネットワークインターフェースである通信部と、 制御部と、を備えた画像処理装置であって、 制御部は、 画像形成部及び通信部を制御しており((1)イ)、 画像処理装置が認証サーバとの認証接続を行い、 認証サーバと通信不能と判断した場合に、暫定の実行制限をし((1)ウ)、 認証サーバと通信可能と判断した場合に、認証ユーザ別の実行制限をし((1)エ)、 暫定の実行制限は、認証ユーザ別の実行制限より画像処理の実行可能な機能と実行可能量の少なくとも一方を少なくする((1)オ)、 画像処理装置((1)イ)。 2 引用文献2 (1)引用文献2記載事項 本願の出願前である平成17年2月3日に頒布された特開2005-33460号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下の事項が記載されている。 「【0010】 【発明が解決しようとする課題】 しかしながら、PCと画像形成装置とは、本来は独立した装置であり互いに独立して起動可能であるため、両者間が通信不能になる場合があり、履歴情報を確実にPCに送信することは困難であった。例えば、画像形成装置が起動していてもPCが起動していなければ、両者間は通信不能となる。また、PCと画像形成装置とを接続するケーブルが抜けている場合も通信不能となる。このような通信不能期間中に取得された画像形成装置の履歴情報は、PCへ送信することができないため、捨てられることになってしまう。 【0011】 本発明は上記問題点を解消するためになされたもので、画像形成装置と独立して起動可能な該画像形成装置の動作を制御する制御装置へ、画像形成装置の履歴情報を確実に送信することができる画像形成システムを提供することを目的とする。」 「【0026】 [画像形成システムの構成] 図1、2に、本実施形態に係る画像形成システムを示す。図1、2に示すように、画像形成システム10は、用紙などの画像記録媒体に画像データに基づく画像をプリントして出力する画像形成装置12、画像形成装置12を制御する制御装置としてのコンピュータ14、画像形成装置12にプリント対象の画像データを入力する入力装置としてのプリント制御装置16、及びこれらの装置間の通信を制御する通信制御装置18を備え、画像形成装置12、コンピュータ14、及びプリント制御装置16が通信制御装置18と相互に通信可能に接続されて構成されている。すなわち、画像形成システム10では、通信制御装置18を介して、コンピュータ14、プリント制御装置16、及び画像形成装置12間の通信が行われることになる。」 「【0036】 また、コンピュータ14は、CPU20におけるプログラムの実行により、画像形成システム10の状態の履歴情報として、コンピュータ14で発生したイベント及び画像形成装置12で発生したイベントの履歴情報(以下、LOG)をHDD28に格納したり、ユーザインタフェース30の表示部30Bに表示したりする制御処理を行うようになっている(詳細後述)。すなわち、本実施の形態では、HDD28が本発明の記憶手段として用いられる。 … 【0039】 プリント制御装置16は、ネットワークNと接続されている。プリント制御装置16には、ネットワークNを介して、該ネットワークNと接続された他の装置(図2ではPC)から、画像形成システムにプリント処理を指示するプリントジョブが入力されるようになっている。」 「【0041】 プリント制御装置16は、入力されたプリントジョブをプリントキューに一旦登録し、登録したプリントジョブをプリントキューから登録順序に従って取り出し、取り出したプリントジョブに含まれるページデータ、すなわちプリントする各ページをPDLで記述したデータを解析し、該ページのイメージをドットの集合で表した画像データを生成する。すなわち、プリント制御装置16は、ページデータを画像形成装置12で処理可能なラスター形式の画像データに展開する所謂RIP(Raster Image Processor)として機能するものである。プリント制御装置16は、画像形成装置12側の出力準備が整ったら、生成した画像データを画像形成装置12へ向けて出力する。この画像データは、通信制御装置18を介して画像形成装置12に入力される。」 「【0043】 画像形成装置12は、図4に示すように、実際にプリント処理を実行する機構部であるプリンタエンジン40やその制御系であるプリンタコントローラ42、及び外部と各種データを入出力するための入出力ポート(I/O)44を備えており、プリンタコントローラ42とプリンタエンジン40及び入出力ポート44とが接続されている。 … 【0045】 プリンタコントローラ42は、入力された制御指示情報に基づいてプリンタエンジン40の動作を制御することによって、プリンタエンジン40に、トナーやインクなどの画像形成材料を用いて、用紙などの画像記録媒体上に、入力された画像データに基づく画像をプリントして出力させる。本実施の形態では、一例として、画像記録材料としてトナーを用いるようになっており、プリンタエンジン40では、入力された画像データに基づいて、露光ヘッドをON/OFF駆動することで、一様に帯電された感光材料を露光して潜像を形成し、この潜像をトナーにより現像して得られたトナー像を用紙に転写することで、ページ単位で画像が用紙にプリントされる。」 「【0049】 通信制御装置18では、CPU52の制御により、通信コントローラ56A~Cの何れかで受信したデータを、他の通信コントローラ56A~Cの何れかから送信させる。これにより、通信制御装置18を介して、コンピュータ14、プリント制御装置16、及び画像形成装置12間の通信が行われることになる。」 「【0055】 本実施の形態では、一例として、図2に示すように、通信制御装置18を実装した基板を画像形成装置12に搭載し、通信制御装置18を駆動するための電力は、画像形成装置12の電力供給装置48から供給されるようになっている。 … 【0057】 このように、画像形成装置12に通信制御装置18を搭載することで、通信制御装置18を単体の装置とした場合に必要とされる設置スペースを省略できると共に、コンピュータ14及びプリント制御装置16についてはベンダーによって提供される汎用の装置を用いることができる。」 「【0099】 [その他の実施の形態] なお、上記では、通信制御装置18において、内部メモリがメモリフルになった場合に蓄積記憶中のLOGを整理することで、通信不能中の画像形成装置のLOGを内部メモリに蓄積記憶しきれなくなるのを防止するようにしたが、本発明はこれに限定されるものではない。通信不能中の画像形成装置のLOGの情報数を少なくすることで、内部メモリに蓄積記憶しきれなくなるのを防止するようにしてもよい。 【0100】 図19にこの場合の通信制御装置18のCPU20で実行される制御処理ルーチンを示す。なお、図19では、図6と同様の処理については同一のステップ番号を付与して示しており、以下での詳細な説明は省略する。 【0101】 図19に示すように、通信制御装置18は、コンピュータ14と通信不能な場合には、ステップS2からステップS80に進んで、まず、画像形成装置12へその動作を制限するように指示する動作制限指示を送信する。 【0102】 動作制限指示としては、例えば、新規のプリント処理の実行を禁止する指示を送信することが挙げられる。この場合、画像形成装置12では、実行中のプリント処理はそのまま継続するが、プント制御装置16からの新規のプリントジョブに対してはエラーを返信するなどして、新規のプリント処理は実行しない。 【0103】 また、動作制限指示としては、例えば、実行中のプリント処理を中止させる指示を送信することも挙げられる。この場合、画像形成装置12では、実行中のプリント処理を直ちに停止し、プリント制御装置16に対してプリント中止した旨のエラーを返信するなどして、実行中のプリント処理を中止する。また、この場合、新規のプリントジョブに対してもプリント制御装置16へエラーを返信するなどして、新規のプリント処理についても実行しないようにするとよい。 … 【0107】 このように、コンピュータ14との通信不能中の画像形成装置12の動作を制限することで、多量のLOGの発生を防ぎ、RAM54に蓄積記録されるLOGのデータ量を大幅に削減することができる。これにより通信不能中の画像形成装置のLOGを内部メモリであるRAM54に蓄積記憶しきれなくなるのを防止することができる。なお、画像形成装置12の動作制限と、上記で説明した蓄積記憶中のLOGの整理とを組み合わせて行うようにしてもよい。」 「【図19】 [図:0001415818000002.jpg] 」 上記摘記事項を、以下のとおり整理する。 ア 上記【0026】、【0039】及び【0041】に、「用紙などの画像記録媒体に画像データに基づく画像をプリントして出力する画像形成装置12と、コンピュータ14と、生成した画像データを画像形成装置12へ向けて出力するプリント制御装置16が、通信制御装置18を介して、ネットワークで接続されてなる画像形成システム10に含まれる画像形成装置12」が記載されている。 イ 上記【0043】及び【0045】に、「画像形成装置12は、露光ヘッドと、露光ヘッドをON/OFF駆動するプリンタエンジン40と、プリンタエンジン40を制御するプリンタコントローラ42を備えて、プリンタコントローラ42の制御により画像を用紙にプリント」していることが記載されている。 ウ 上記【0049】に、「通信制御装置18は、通信制御装置18を制御するCPU52を備えて」いることが記載されている。 エ 上記【0055】及び【0057】に、「通信制御装置18が画像形成装置12に搭載され」ていることが記載されている。 オ 上記【0101】ないし【0103】、【0107】及び図19に、「通信制御装置18は、コンピュータ14と通信不能な場合には、新規のプリント処理の実行を禁止又は実行中のプリント処理を中止する動作制限指示を画像形成装置12に送信し、この送信によってコンピュータ14との通信不能中の動作が制限される画像形成装置12」が記載されている。 (2)引用発明2 上記(1)アないしオから、引用文献2には次の発明(以下「引用発明2」という。)が記載されている。 用紙などの画像記録媒体に画像データに基づく画像をプリントして出力する画像形成装置12と、 コンピュータ14と、 生成した画像データを画像形成装置12へ向けて出力するプリント制御装置16が、 通信制御装置18を介して、ネットワークで接続されてなる画像形成システム10に含まれる画像形成装置12であって((1)ア)、 画像形成装置12は、露光ヘッドと、露光ヘッドをON/OFF駆動するプリンタエンジン40と、プリンタエンジン40を制御するプリンタコントローラ42を備えて、プリンタコントローラ42の制御により画像を用紙にプリントしており((1)イ)、 通信制御装置18は、通信制御装置18を制御するCPU52を備えており((1)ウ)、 通信制御装置18が画像形成装置12に搭載されており((1)エ)、 通信制御装置18は、コンピュータ14と通信不能な場合には、新規のプリント処理の実行を禁止又は実行中のプリント処理を中止する動作制限指示を画像形成装置12に送信し、この送信によってコンピュータ14との通信不能中の動作が制限される画像形成装置12((1)オ)。 第5 対比・判断 1 引用発明1を主引用発明にした場合 (1)対比 本願発明と引用発明1を対比する。 ア 引用発明1の「用紙」、「画像形成部」、「認証サーバ」は、各々本願発明の「資源」、「画像形成部」、「サーバ」に相当する。 イ 引用発明1の「通信部」は、「認証サーバ」と通信するためのネットワークインターフェースであるから、本願発明の「通信部」と、「ネットワークに接続可能」とするための「ネットワークインターフェース(通信部)」との概念で一致する。 ウ 引用発明1の「用紙に画像を印刷する画像形成部」は、用紙を使用して画像を形成しているので、本願発明の「資源を使用して画像を形成させる画像形成処理」に相当する処理をしている。 エ 引用発明1の「認証サーバと通信不能と判断」及び「認証サーバと通信可能と判断」する処理は、画像処理装置が備えるネットワークインターフェースである通信部が認証サーバと通信可能であるか否かを判断しているので、本願発明の「前記通信部が前記ネットワークを介してサーバと通信可能であるか否かを判断する第1判断処理」に相当する。 オ 引用発明1の「画像処理装置」は、「認証サーバと通信不能と判断した場合に」、画像処理を、「認証サーバと通信可能」であるときの「認証ユーザ別の実行制限」に比して少ない「実行可能量」に制限するのであるから、本願発明の「前記第1判断処理において前記通信可能でないと判断する場合、前記画像形成処理を制限する第1制限処理」に相当する処理をしている。 カ 引用発明1の「制御部」は「画像形成部」「を制御」するのであるから、引用発明1における、画像形成部に用紙に画像を印刷させる処理をしている。さらに、引用発明1の「制御部」は、「画像形成部及び通信部を制御」しているので、通信部がネットワークを介して認証サーバと通信不能または通信可能と判断する処理、及び、認証サーバと通信不能と判断した場合に画像処理の実行可能量を制限する処理をしているといえる。したがって、引用発明1の「制御部」は、本願発明の「制御部」と同じく、「画像形成部に、資源を使用して画像を形成させる画像形成処理」とともに、「通信部が前記ネットワークを介してサーバと通信可能であるか否かを判断する第1判断処理」及び「前記第1判断処理において前記通信可能でないと判断する場合、前記画像形成処理を制限する第1制限処理」を実行するものである。 キ 引用発明1の「画像処理装置」は、後記する一応の相違点を除き、本願発明の「画像形成装置」に相当する。 そして、本願発明と引用発明1を対比すると、両者は、 [一致点] 「画像形成部と、 ネットワークに接続可能な通信部と、 制御部と、を備え、 前記制御部は、 前記画像形成部に、資源を使用して画像を形成させる画像形成処理と、 前記通信部が前記ネットワークを介してサーバと通信可能であるか否かを判断する第1判断処理と、 前記第1判断処理において前記通信可能でないと判断する場合、前記画像形成処理を制限する第1制限処理と、を実行する画像形成装置。」 である点で一致し、以下の点で一応相違する。 [一応の相違点1] 本願発明に係る画像形成装置は、筐体を備え、画像形成部が筐体の内部に設けられ、通信部及び制御部が筐体に設けられるものであるが、引用発明1には、「画像処理装置」に「画像形成部」、「通信部」及び「制御部」が搭載されているものの、「画像形成部」、「通信部」及び「制御部」と筐体との関係について明示されていない点。 (2)判断 画像形成装置が、筐体を備えること、並びに、その画像形成装置の構成要素である画像形成部、通信部及び制御部を、筐体や筐体の内部に設けることは、当業者に自明であるから、[一応の相違点1]は実質的な相違点ではない。 (3)小括 本願発明は、引用発明1であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。 また、本願発明は、引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 2 引用発明2を主引用発明にした場合 (1)対比 本願発明1と引用発明2を対比する。 ア 引用発明2の「用紙などの画像記録媒体」、「コンピュータ14」は、各々本願発明の「資源」、「サーバ」に相当する。 イ 引用発明2の「画像形成装置12」が備える「『露光ヘッド』及び『プリンタエンジン40』」は、「画像を用紙にプリント」する機能を有するから、本願発明の「画像形成部」に相当する。 ウ 引用発明2の「プリント制御装置16」は、「通信制御装置18を介して、ネットワークに接続されてなる画像形成システム10に含まれる画像形成装置12」に「画像データを」「出力する」ので、「通信制御装置18」はネットワークに接続可能な「通信部」といえる。また、コンピュータ14は本願発明の「サーバ」に相当する。したがって、本願発明の「通信部」と引用発明2の「通信制御装置18」とは、ともに「ネットワークに接続可能な通信部」、「ネットワークを介してサーバと通信可能である」「通信部」との概念で一致する。 エ 上記ウを踏まえれば、引用発明2の「通信制御装置18」が「コンピュータ14と通信不能な場合」を判断する処理は、本願発明の「前記通信部が前記ネットワークを介してサーバと通信可能であるか否かを判断する第1判断処理」に相当する。 オ 引用発明2の「コンピュータ14と通信不能な場合」に「通信制御装置18」が「新規のプリント処理の実行を禁止又は実行中のプリント処理を中止する動作制限指示を画像形成装置12に送信」して「画像形成装置12」の「動作が制限される」処理は、本願発明の「前記第1判断処理において前記通信可能でないと判断する場合、前記画像形成処理を制限する第1制限処理」に相当する。 カ 引用発明2の「プリンタコントローラ42」は「用紙に画像をプリント」するように「プリンタエンジン40を制御」しているから、本願発明の「画像形成部に、資源を使用して画像を形成させる画像形成処理」に相当する処理を実行しているといえる。また、引用発明2の「CPU52」は、通信制御装置18を制御して、上記オの「通信制御装置18」が「コンピュータ14と通信不能な場合」に「動作制限指示を画像形成装置12に送信」するように「通信制御装置18」を制御しているから、本願発明の「第1判断処理」及び「第1制限処理」に相当する処理を実行している。すると、引用発明2の「『プリンタコントローラ42』及び『CPU52』」は、本願発明の「画像形成処理」、「第1判断処理」、「第1制限処理」を実行する「制御部」に相当する。 キ 引用発明2の「画像形成装置12」は、後記する一応の相違点を除き、本願発明1の「画像形成装置」に相当する。 そして、本願発明と引用発明2を対比すると、両者は、 [一致点] 「画像形成部と、 ネットワークに接続可能な通信部と、 制御部と、を備え、 前記制御部は、 前記画像形成部に、資源を使用して画像を形成させる画像形成処理と、 前記通信部が前記ネットワークを介してサーバと通信可能であるか否かを判断する第1判断処理と、 前記第1判断処理において前記通信可能でないと判断する場合、前記画像形成処理を制限する第1制限処理と、を実行する画像形成装置。」 である点で一致し、以下の点で一応相違する。 [一応の相違点2] 本願発明はに係る画像形成装置は、筐体を備え、画像形成部が筐体の内部に設けられ、通信部及び制御部が筐体に設けられるものであるが、引用発明2には、「画像形成装置12(画像形成装置)」に「『露光ヘッド』及び『プリンタエンジン40』(画像形成部)」、「通信制御装置18(通信部)」及び「プリンタコントローラ42(制御部)」が搭載されているものの、「画像形成装置12(画像形成部)」が筐体を備えていることや、「『露光ヘッド』及び『プリンタエンジン40』(画像形成部)」、「通信制御装置18(通信部)」及び「プリンタコントローラ42(制御部)」と筐体との関係について明示されていない点。 (2)判断 画像形成装置が、筐体を備えること、並びに、その画像形成装置の構成要素である画像形成部、通信部及び制御部を、筐体や筐体の内部に設けることは、当業者に自明であるから、[一応の相違点2]は実質的な相違点ではない。 (3)小括 本願発明は、引用発明2であるから、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。 また、本願発明は、引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 3 請求人の主張について (1)請求人の主張 請求人は、令和6年4月9日に意見書を提出して、以下のように主張している。 ア 「(引用文献1について)」 「…引用文献1は、サーバと通信可能であるか否かによって画像形成処理を制限する技術では無く、認証ユーザ別の実行制限より画像処理の実行可能な機能と実行可能量の少なくとも一方を少なくする技術であり、そのことについて、審判長殿もご認識頂いております。…『認証サーバと通信可能』であることは、『認証ユーザ別の実行制限』に比して少ない『実行可能量』に制限する処理が実行されたときのあくまで環境を示すだけです。さらには、引用文献1に記載の『通信可能であること』は、実行制限そのものに関連するものではなく、引用文献1は、審判長殿もご認識されているように、『認証ユーザ別の実行制限より画像処理の実行可能な機能と実行可能量の少なくとも一方を少なくする』ことが示されているのみです。 このため、引用文献1からは、「前記第1判断処理において前記通信可能でないと判断する場合、前記画像形成処理を制限する第1制限処理」という一連の制御処理内容については、開示されておりません。また、引用文献1からは、請求項1の「ユーザの登録が不要(直近の利用も不要)であり、且つ、いずれのサーバとも通信ができない場合に、画像形成処理を制限することができる」効果を奏することができず、引用文献1に対して、新規性及び進歩性を有します。」(スペースは改行を示す。以下同じ。) イ 「(引用文献2について)」 「…引用文献2の【0027】段落には、『なお、画像形成装置12、コンピュータ14、及びプリント制御装置16の各々と、通信制御装置18との接続には、USB、IEEE1394などの所定規格のケーブル及び該規格に応じたインタフェースが適宜用いられる。』と記載されており、画像形成装置1とコンピュータ14とはネットワーク接続されているのではなく、ケーブルで接続されているのみです。 このため、審判長殿の認定は誤っているものと思慮致します。…引用文献2からは、『前記通信部が前記ネットワークを介してサーバと通信可能であるか否かを判断する第1判断処理』及び『前記第1判断処理において前記通信可能でないと判断する場合、前記画像形成処理を制限する第1制限処理』という一連の制御処理内容については、開示されておりません。また、引用文献2からは、請求項1の『ユーザの登録が不要(直近の利用も不要)であり、且つ、いずれのサーバとも通信ができない場合に、画像形成処理を制限することができる』効果を奏することができず、引用文献2(「引用文献1」との記載は誤記と認める。)に対して、新規性及び進歩性を有します。」 (2)上記(1)の請求人の主張に関する検討 ア (1)アの主張に対して 上記「第4 1(1)」イないしエ及び「第4 1(2)」で検討したとおり、引用発明1は、「認証サーバと通信可能と判断した場合に、認証ユーザ別の実行制限をし」、「認証サーバと通信不能と判断した場合に、」「認証ユーザ別の実行制限より画像処理の実行可能な機能と実行可能量の少なくとも一方を少なくする」「暫定の実行制限」を行うものであるから、引用発明1は、認証サーバと通信不能と判断した場合に通信可能と判断した場合(「第1判断処理」)に比べて、画像形成処理をより制限する(「第1制限処理」)ものといえ、本願発明の「第1判断処理」及び「第1制限処理」に相当する処理を実行するものである。 また、「ユーザの登録が不要(直近の利用も不要)」であるとする、請求人が主張する効果も、ユーザの登録要否又は直近の利用の要否が本願発明に特定されているわけでもなく、請求人の当該主張は特許請求の範囲に基づく主張でないので、採用する余地がない。 イ (1)イの主張に対して 引用文献2の【0027】段落に、「USB、IEEE1394などの所定規格のケーブル及び該規格に応じたインタフェース」が用いられる点について、上記「第4 2(1)」ア及び「第4 2(2)」で検討したとおり、引用文献2記載の画像形成装置12が通信制御装置18を介してコンピュータ14と通信することが示されており、USB、IEEE1394などのインタフェースを用いてコンピュータ及び周辺機器相互間を接続して行う通信がディージーチェーントポロジ又はツリートポロジといったネットワークを介した機器間通信とみなせることは技術常識といえるものであるから、引用文献2に記載された発明がネットワーク接続されていないから引用発明2に対して新規性及び進歩性を有するとする請求人の上記主張は採用できない。 (3)小括 上記(2)で上述したとおり、請求人の上記意見書における主張は、いずれも上記1及び2の判断を左右するものではなく、採用することができない。 第6 むすび 以上のとおり、本願発明は、その出願前に日本国において頒布された引用文献1に記載された発明又は引用文献2に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができない。 また、本願発明は、本願出願前に日本国内において頒布された引用文献1又は引用文献2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-002072

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