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特許拒絶査定不服審判

2023-009219

貼付剤

審判番号
2023-009219
法域
特許
審判種別
拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
出願番号
特願2018-105498外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
請求日
2023年06月06日
審決日
2025年08月12日
公報発行日
2025年10月31日
結論
請求不成立
当事者
審判長/審判官
分類
P18 .121-WZ (A61F)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法29条2項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特願2018-105498「貼付剤」拒絶査定不服審判事件〔令和元年12月12日出願公開、特開2019-208688〕について、次のとおり審決する。

結論

結 論 本件審判の請求は、成り立たない。

理由

理 由 第1 手続の経緯・本願発明 本願は、平成30年5月31日の出願であって、令和5年2月28日付けで拒絶査定(謄本送達日令和5年3月7日)がされ、それに対して、令和5年6月6日に拒絶査定不服審判が請求されると同時に手続補正書が提出されたものである。 そして、当審において、令和7年4月15日付けで拒絶理由(発送日令和7年4月22日)を通知し、応答期間内である令和7年6月18日に意見書及び手続補正書が提出されたところである。 ここで、この出願の請求項1~3に係る発明は、令和7年6月18日に提出された手続補正書により補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「【請求項1】 支持基材と、前記支持基材の一方面に積層された水性ゲルと、前記水性ゲルを覆う剥離フィルムと、を備え、 前記支持基材及び前記剥離フィルムの一方の外周縁が全周にわたって前記支持基材及び前記剥離フィルムの他方に剥離可能に接合されており、 前記支持基材及び前記剥離フィルムの接合部において、前記支持基材及び前記剥離フィルムの間に前記水性ゲルが介在しておらず、 前記支持基材及び前記剥離フィルムは、超音波振動による溶着により剥離可能に接合されており、 前記支持基材は、不織布であり、 前記不織布がポリエチレンテレフタレート樹脂繊維からなり、 前記剥離フィルムがポリオレフィン系樹脂からなる、貼付剤。」 第2 当審で通知した拒絶の理由 当審拒絶理由通知により通知した、令和7年6月18日に提出された手続補正書により補正される前の請求項1に係る発明に対する拒絶の理由は、以下の理由を含むものである。 本願の請求項1に係る発明は、引用文献1に記載された発明、引用文献2、3で例示される周知技術1及び引用文献4、5で例示される周知技術2に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。 <先の拒絶理由通知における引用文献等一覧> 1:特開2003-19157号公報 2:米国特許公開第2014/0236112号明細書(周知技術を示す文献) 3:国際公開第00/35393号(周知技術を示す文献) 4:特開2003-102760号公報(周知技術を示す文献) 5:特開2002-253596号公報(周知技術を示す文献) 第3 当審の判断 当審合議体は、以下に示すとおり、令和7年6月18日に提出された手続補正書による補正及び意見書の内容を考慮しても、上記第2に記載した拒絶の理由は解消していないと判断する。 1 引用文献の記載事項及び引用発明等 (1) 引用文献1 ア 引用発明1の記載 先の拒絶理由で引用した引用文献1には、以下の記載がある(下線は当審で付した。以下同様。)。 「【0001】 【発明が属する技術分野】本発明は、生体の各所に当接し、温感を与える温感材並びに冷感を与える冷感材に関する。」 「【0003】 【課題を解決するための手段】上記に鑑み本発明は、保水性を有する含水基材を一度加温すると、保温状態が長時間持続することを知見し、又本発明に到達したものである。即ち、保水性の高い含水基材をあらかじめ暖めておくことで、長時間温感を与えることが可能であると共に、好ましくはこれを天然多糖類とすることで、安心した利用と、加温した皮膚に対する、天然多糖類の成分の体内吸収の促進を図ることを実現するものである。更に本発明は、当該含水ゲル基材を少なくとも体温以下で冷却することで、冷却時間を長時間保持できることを知見し、加温とは正反対であるが、冷却ならではの、気持ちの良さ、癒し効果による、疲労回復等を実現した。」 「【0012】実施例1 図1に示すように。10は、上述した製法により得られる含水ゲル基材であり、その成分例を以下に示す。 [図:0001427158000001.jpg] 11は、剥離部材であり、PET、ポリプロピレン等の樹脂で構成されるシートであり、含水ゲル基材の1面を覆い、12は、支持部材であり、第1と同様の素材により形成され、含水ゲル基材10の他面を覆い、含水ゲル基材10は、両剥離部材で密封される。この様な剥離部材11、支持部材12により密封された含水ゲル基材10をこの状態で40度前後で加温する。 【0013】当該加温手段は、電子レンジ、湯、日向におく、その他、ヒートパック用保温装置、前述した恒温槽等が例示されるが、当該温度程度で加温できるものであれば、いかなるものであっても良い。加温した後、剥離部材11を含水ゲル基材10より剥離し、表出した含水ゲル基材10の面を顔面、腕部、脚部、肩部、腰部、首部等に当接する。20分程度その状態を保ち、芳香成分の肌への移行を確保する。このとき、支持部材12と剥離部材11の接触面に粘着材を塗布することで、その部分に、含水ゲル基材10が保持されるような構成をとっても良い。」 「【図1】 [図:0001427158000002.jpg] 」 イ 引用発明 上記アの図1からは、周縁部(図1において含水ゲル基材10がある位置よりも左右方向外側)で、剥離部材11と支持部材12とが含水ゲル基材10を挟まずに直接接合されている事項が看取される。 上記アから、引用文献1の特に実施例1に着目すると、引用文献1には以下の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。 「含水ゲル基材10と、前記含水ゲル基材10の1面を覆い、PET、ポリプロピレン等の樹脂で構成されるシートである剥離部材11と、前記含水ゲル基材10の他面を覆う支持部材12と、からなる温感材又は冷感材であって、 前記含水ゲル基材10は、両剥離部材で密封され、 剥離部材11を含水ゲル基材10より剥離し、表出した含水ゲル基材10の面は顔面、腕部、脚部、肩部、腰部、首部等に当接される、 温感材又は冷感材。」 (2) 引用文献2 先の拒絶理由で引用した引用文献2には以下の記載がある(丸括弧内は当審訳である。)。 「[0018] FIG. 1 is a sectional view of a first embodiment of a wound dressing according to the invention.」(図1は、本発明に係る創傷用包帯の第1の実施の形態の断面図である。) 「[0019] FIG. 2 is a top view of the embodiment of a wound dressing according to FIG. 1.」(図2は、図1の創傷被覆材の実施形態の上面図である。) 「[0036] In the embodiments shown in FIGS. 1 and 2, the backing layer 2 is thermally bonded to the fabric layer 4, and at least portions of the backing layer 2 are secured to the distal surface of the absorbent core 3. The distal surface of the carrier layer 6 is similarly thermally bonded to the proximal surface of the fabric layer 4. Although thermal bonding is preferred, the backing layer 2 may be secured to the fabric layer 4 and the absorbent core 3 in any manner known to one skilled in the art. Such other methods include the use of adhesives, pressure molding, or ultrasonic welding. If adhesives are used for this purpose, it is preferred that these are applied as a porous layer in order to permit a high rate of water vapor transmission through it.」(図1及び図2に示す実施形態では、裏材層2は、布層4と熱的に結合され、裏材層2の少なくとも一部は、吸収性コア3の遠位表面に固定されている。キャリアー層6の遠位表面は、同様に、布層4の近位面に熱的に結合されている。熱的な結合が好ましいが、裏材層2は、当業者に公知の任意の方法で布層4及び吸収性コア3に固定されてもよい。そのような他の方法として、接着、加圧成形、又は超音波溶着の使用が挙げられる。接着剤をこの目的のために使用する場合には、高い水蒸気透過率を可能にするために、それが多孔質層として塗布されることが好ましい。) 「 [図:0001427158000003.jpg] 」 「 [図:0001427158000004.jpg] 」 (3) 引用文献3 先の拒絶理由で引用した引用文献3には、以下の記載がある。 「 [図:0001427158000005.jpg] [図:0001427158000006.jpg] 」(明細書第4ページ下から7行~第5ページ第4行) (4) 引用文献4 先の拒絶理由で引用した引用文献4には以下の記載がある。 「【0023】支持体16の材質は通常貼付剤に用いられるものでよく、特に限定されない。不織布、編織物、プラスチックフィルム、プラスチック発泡シート等々を単独又は複合して用いることができる。ゲル状粘着体14が含浸しやすい、不織布や編織物がゲル状粘着体14側と接するように構成されるのが好ましい。」 (5) 引用文献5 先の拒絶理由で引用した引用文献5には以下の記載がある。 「【0025】とくに保水ゲル(2)との係着を強固にさせるため、支持シート(3)と該ゲル(2)との界面で互いに浸入し合う構成が好ましく、この点から上記支持シート(3)の材質として、本願『請求項9』に示すように『ゲルにアンカー効果を有する材質』を好ましいものとして挙げることができる。具体的には本願『請求項10』に示す『不織布』やその他ニードリンク後して表面を毛羽立たせた状態のもの等が挙げられるが、別段これらに限定されるものでもない。」 (6) 引用文献6 新たに引用した登録実用新案第3140500号公報(以下「引用文献6」という。)には以下の記載がある(「・・・」は省略を示す。以下同様。)。 「【0008】 図1は本考案に係る採血キットにおける空の容器本体を斜め上方から見た斜視図、図2は図1におけるA-A断面図、図3は図1におけるB-B断面図、図4は容器本体に採血針のみを収容した状態を示す斜視図、図5は容器本体に全ての医療機器を収容し、かつ、蓋を剥がしている状態を示す斜視図である。 図面に示すように、この採血キットは、ポリエチレンやポリプロピレン等の適当な材料で成形された容器本体1と、該容器本体1の上面に剥離可能に超音波溶着されている樹脂シートから成る蓋部材2とを有する。 ・・・ 蓋部材2は、容器本体1の内部に必要な医療機器を入れた後、容器本体1の外縁部1gの位置で、容器本体1に剥離可能に超音波溶着され、容器本体1は、蓋部材2で気密に封止される。 また、前記蓋部材2は、容器本体1における第一凹部1a側、即ち、手袋3が収容されている側から剥離できるように容器本体1に溶着され、これにより、採血作業者が、始めに手袋3を取り出すことが可能になる。 【0009】 ・・・ また、本実施例では、容器本体に蓋部材を構成する樹脂シートを超音波溶着しているが、容器本体に蓋部材を取り付ける方法は本実施例に限定されることなく、剥離可能で、かつ、容器本体を蓋部材で気密に封止できる方法であれば、任意の方法でよく、例えば、熱溶着でもよい。」 「【図1】 [図:0001427158000007.jpg] 【図2】 [図:0001427158000008.jpg] 」 「【図5】 [図:0001427158000009.jpg] 」 (7) 引用文献7 新たに引用した実願昭53-102095号(実開昭55-18471号)のマイクロフィルム(以下「引用文献7」という。)には以下の記載がある。 「 [図:0001427158000010.jpg] 」(明細書第1ページ第3~7行(見出し含む)) 「 [図:0001427158000011.jpg] 」(明細書第2ページ第2~7行) 「 [図:0001427158000012.jpg] [図:0001427158000013.jpg] 」(明細書第2ページ下から4行~第3ページ第6行) 「 [図:0001427158000014.jpg] 」 (8) 引用文献8 新たに引用した特許第5981697号公報(以下「引用文献8」という。)には以下の記載がある。 「【0013】 本発明の一実施形態の抽出バッグ用シート1は、先端部に摘み片4を固着し、基端部3aを長尺帯状の通水性濾過シート2上に固着した吊り糸3を、螺旋状に纏めて通水性濾過シート2上に配し、この吊り糸3を覆うように摘み片4を通水性濾過シート2上に剥離可能に固着したものである。 【0014】 通水性濾過シート2の材質は、透水性を備えていれば任意である。例えば、ポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の合成繊維、または不織布、多孔質フィルムなどからなるシート乃至フィルムを用いることができる。中でも、吊り糸及び摘み片を熱溶着又は超音波溶着などの融着によって固着できる材質が好ましい。 ・・・ 【0015】 吊り糸3の材質は、特に限定するものではない。例えばポリエステル、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン等の熱溶着又は超音波溶着が可能な合成繊維からなる糸を用いることができる。・・・」 「【0018】 ・・・ 摘み片4の材質は任意である。例えば、紙の片面にポリエチレンなどの樹脂をラミネートした熱溶着又は超音波溶着が可能なラミネート紙片を用いるのが好ましい。 ・・・」 「【0020】 摘み片4は、上述のように纏めた吊り糸3を覆うように、シート2の表面に剥離可能に固着してある。 ・・・ 【0022】 摘み片4をシート2の表面に固着する手段は任意であるが、熱溶着又は超音波溶着などを採用するのが好ましい。 ・・・」 (9) 周知技術1 上記(2)~(3)、(6)~(8)からみて、「部材の接合手段として、超音波振動による溶着を用いることは、当業者にとって従来から周知の技術的事項(以下「周知技術1」という。)」である。 (10) 周知技術2 上記(4)~(5)からみて、「貼付剤の支持基材を不織布とすること」は、当業者にとって従来から周知の技術的事項(以下「周知技術2」という。)である。 2 対比 (1) 本願発明と引用発明とを対比する。 引用発明の「含水ゲル基材10」、「シートである剥離部材11」及び「支持部材12」はそれぞれ、本願発明の「水性ゲル」、「剥離フィルム」、「支持基材」に相当する。そして、引用発明における「剥離部材11」は「前記含水ゲル基材10の1面を覆」う事項及び「支持部材12」は「前記含水ゲル基材10の他面を覆う」事項は、「剥離部材11」の一方面に「含水ゲル基材10」が積層され、「含水ゲル基材10」を「覆う」「支持部材12」を意味するから、本願発明における「前記支持基材の一方面に積層された水性ゲル」及び「前記水性ゲルを覆う剥離フィルム」に相当する。 引用発明の「前記含水ゲル基材10は、両剥離部材で密封され」という事項は、引用文献1の図1の構成からみて、「剥離部材11」と「支持部材12」とがその周縁部で接合され、かつ「密封され」るために接合箇所に「含水ゲル基材10」が存在していないことを意味し、しかも「剥離部材11」は剥離されることを前提としている部材であるから、本願発明の「前記支持基材及び前記剥離フィルムの一方の外周縁が全周にわたって前記支持基材及び前記剥離フィルムの他方に剥離可能に接合されており、」「前記支持基材及び前記剥離フィルムの接合部において、前記支持基材及び前記剥離フィルムの間に前記水性ゲルが介在して」いない事項に相当する。 また、引用発明の「前記含水ゲル基材10は、両剥離部材で密封され」という事項の「両剥離部材」は、引用文献1の図1の構成からみて「剥離部材11」と「支持部材12」であり、これらが「剥離」されることを前提としているから、引用発明における「前記含水ゲル基材10は、両剥離部材で密封され」という事項は、本願発明における「前記支持基材及び前記剥離フィルムは、超音波振動による溶着により剥離可能に接合されており」という事項と対比して、接合手段はさておき、「前記支持基材及び前記剥離フィルムは、剥離可能に接合されており」という事項に限り一致する。 引用発明の「温感材又は冷感材」において、「剥離部材11を含水ゲル基材10より剥離し、表出した含水ゲル基材10の面は顔面、腕部、脚部、肩部、腰部、首部等に当接される」から、引用発明の「温感材又は冷感材」は本願発明の「貼付剤」に相当する。 そうすると、両者の一致点及び相違点は次のとおりである。 <一致点> 「支持基材と、前記支持基材の一方面に積層された水性ゲルと、前記水性ゲルを覆う剥離フィルムと、を備え、 前記支持基材及び前記剥離フィルムの一方の外周縁が全周にわたって前記支持基材及び前記剥離フィルムの他方に剥離可能に接合されており、 前記支持基材及び前記剥離フィルムの接合部において、前記支持基材及び前記剥離フィルムの間に前記水性ゲルが介在しておらず、 前記支持基材及び前記剥離フィルムは、剥離可能に接合されている、貼付剤。」 <相違点1> 本願発明は「前記支持基材及び前記剥離フィルムは、超音波振動による溶着により剥離可能に接合されて」いるのに対し、引用発明は剥離可能ではあるものの、接合手段が不明である点。 <相違点2> 支持基材に関し、本願発明は「ポリエチレンテレフタレート樹脂繊維からな」る「不織布」であるのに対し、引用発明はそのようなものであるか不明である点。 <相違点3> 剥離フィルムに関し、本願発明は「ポリオレフィン系樹脂からなる」ものであるのに対し、引用発明はそのようなものであるか不明である点。 3 判断 以下、上記相違点について検討する。 (1) 相違点1について 部材の接合手段として、超音波振動による溶着は、上記1(9)の周知技術1のとおり、当業者にとって従来から周知の技術的事項である。 そして、一定の課題を解決するための技術の具体的適用は、当業者にとって通常の創作能力の発揮にすぎないから、引用発明における「剥離可能な接合」を具現化するにあたり、上記周知技術1を採用することで、上記相違点1に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得た事項である。 (2) 相違点2について 貼付剤の支持基材を不織布とすることは、上記1(10)の周知技術2のとおり、当業者にとって従来から周知の技術的事項である。 また、上記1(1)の引用文献1の【0012】には「11は、剥離部材であり、PET、ポリプロピレン等の樹脂で構成されるシートであり、・・・、12は、支持部材であり、第1と同様の素材により形成され、・・・」と記載されており、「支持部材」を「形成」する「第1と同様の素材」とは、文脈からみて「PET、ポリプロピレン等の樹脂」であるといえるから、引用文献1には引用発明における支持部材12の材質の一例として「PET」が例示されているといえる。 そして、一定の課題を解決するための公知材料の中からの最適材料の選択は当業者にとって通常の創作能力の発揮にすぎないから、支持部材12にPETが例示された引用発明において、周知技術2を適用し、支持部材を不織布で形成することで、上記相違点2に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得た事項である。 (3) 相違点3について 引用発明の剥離部材は「PET、ポリプロピレン等の樹脂で構成されるシート」であり、ポリプロピレンは、ポリオレフィンの一種であるから、引用発明において、「ポリオレフィン系樹脂からなる」剥離部材は、例示されている。 そして、一定の課題を解決するための公知材料の中からの最適材料の選択は当業者にとって通常の創作能力の発揮にすぎないから、引用発明における剥離部材の材質を「ポリオレフィン系樹脂」として、上記相違点3に係る本願発明の構成とすることは、当業者が容易になし得た事項である。 (4) 効果について 本願発明に係る発明の効果は、引用発明、引用文献1に記載された事項及び上記周知技術1~2のそれぞれが奏する効果の総和を超えるものではないから、当業者が予測可能な範囲内のものであって、格別顕著なものとはいえない。 4 請求人の主張について 請求人は令和7年6月18日に提出した意見書の(4)において、「引用文献2の超音波加熱は、いずれの段落においても熱接着を代替する手段として例示されており、超音波接合により接合された材料どうしは接着(固定)されていることが前提であり、剥離可能な接合は想定されていません。」「引用文献3が提案するパッドは、特定形状の全外周が超音波加熱によりシールされていることにより周囲からの繊維端のはみ出しがほぼ完全に防止できるとともに、シール部分を非シール部分よりも薄くすることができるため、非シール部分の厚さを大きくしても外周に向かって円滑な厚さの変化が得られ、救急絆創膏の剥がれを防止することができると記載されています(引用文献3の7~19行)。上記効果は、超音波加熱によるシール部分が経時的に剥がれず、シール状態が維持されることを前提としており、引用文献3の超音波加熱は、剥離可能なシールは想定されていません。」「審判官殿は、引用文献2、3をご参照の上、これらの文献に記載の超音波接合を「周知技術1」とご認定されていますが、これらの文献に記載の周知技術1は、いずれも超音波接合により接合及びシールした部分は接着(固定)されており、剥離可能な接合を前提とするものではありません。よって、引用発明における「接合」を具現化するに当たり、引用文献2、3に記載の周知技術1を採用した場合には、剥離不可能な接合となるため、このような周知技術1の引用発明への適用は当業者にとって容易ではありません。」と主張する。 しかしながら、先の周知技術1で示したのは、単に、「部材の接合手段として、超音波振動による溶着」が周知である、というものである。そして、超音波接合という溶着技術は、溶着のための具体的な手段として超音波を用いるという技術にすぎず、その溶着による接合強度は任意に設定し得るものであるし、剥離可能に接合する超音波溶着も、上記1(6)~(9)のとおり、従来から行われている事項であるから、超音波溶着を用いた場合は接合した部材が剥離できないというものではない。そうすると、引用発明の剥離可能な接合手段として、周知の接合手段のうちの1つである「超音波溶着」を選択することに阻害要因はみられないから、当該主張は採用できない。 5 小括 したがって、本願発明は、引用発明及び上記周知技術1~2から当業者が容易に想到し得たものである。 第4 むすび 以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。 よって、結論のとおり審決する。

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2023-009219

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