特許拒絶査定不服審判
2023-011953
パンツ型着用可能物品
- 審判番号
- 2023-011953
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 拒絶査定不服審判(拒絶査定不服の審決)
- 出願番号
- 特願2021-547094外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 請求日
- 2023年07月14日
- 審決日
- 2026年03月10日
- 公報発行日
- 2026年08月28日
- 結論
- 請求不成立
- 分類
- P18 .121-WZ (A61F)
- 根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
- 特許法29条2項
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特願2021-547094号「パンツ型着用可能物品」拒絶査定不服審判事件〔2020年8月20日国際公開、WO2020/164378号、令和4年3月25日国内公表、特表2022-519886号〕について、次のとおり審決する。
結論
結 論
本件審判の請求は、成り立たない。
理由
理 由
第1 手続の経緯
本願は、2020年(令和2年)1月21日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2019年2月14日、中国(CN))を国際出願日とする出願であって、その手続の経緯の概略は次のとおりである。
令和4年 9月 5日付け:拒絶理由通知書
令和4年12月 9日 :意見書、手続補正書の提出
令和5年 3月15日付け:拒絶査定(以下「原査定」という。)
(令和5年 3月17日 :原査定の謄本の送達)
令和5年 7月14日 :審判請求書、手続補正書の提出
令和7年 5月29日付け:拒絶理由通知書
令和7年12月 1日 :意見書の提出
令和7年12月 2日 :物件提出書の提出
第2 本願発明
本願の請求項1~3に係る発明(以下、請求項1に係る発明を「本願発明」という。)は、それぞれ令和5年7月14日提出の手続補正書によって補正された特許請求の範囲の請求項1~3に記載された事項により特定されるとおりのものであるところ、請求項1の記載は次のとおりである。
「長手方向及び横断方向に連続的な着用可能物品であって、前側弾性ベルトと、後側弾性ベルトと、股部領域と、腰部開口部と、一対の脚部開口部と、を備え、前記股部領域が、前記前側弾性ベルトと前記後側弾性ベルトとの間で長手方向に延在し、
前記前側及び前記後側弾性ベルトの各々が、内側シート、外側シート、及び横断方向に延びる複数の弾性部材、を含む積層体であり、
前記積層体が、前記前側及び後側弾性ベルトの側縁部に隣接する領域で伸張方向に10mm~60mmにわたり、前記弾性部材を連続的に結合する弾性接着結合部、並びに前記内側シート及び前記外側シートを断続的に結合するために、前記内側シート及び前記外側シートのうちの少なくとも1つに横断方向及び長手方向に間隔をあけて適用される別個のパターンを有する接着結合部を更に含み、前記別個のパターンを有する接着結合部が、少なくとも、前記弾性接着結合部の間で横断方向に沿って、かつ前記前側及び後側弾性ベルトの遠位縁部と近位縁部との間で長手方向に沿って延在し、
前記弾性接着結合部及び前記別個のパターンを有する接着結合部が、同じ接着剤によって設けられ、
前記積層体が、前記側縁部で熱によって結合されてサイドシームを形成し、前記サイドシームが、前記側縁部から20mm以下(0mmを除く)の距離で存在し、前記積層体の残りが、熱結合部を含まず、
前記弾性部材が、長手方向に3mm~18mmのピッチで互いに離間し、前記別個のパターンを有する接着結合部が、横断方向ピッチVG1で互いに離間した横断方向寸法VG2、及び長手方向間隔VG3を有し、VG1が2mm~15mmであり、VG2が0.2mm~7mmであり、VG3が3mm以下であり、
少なくとも1つの前記別個のパターンを有する接着結合部が、前記弾性部材の各長手方向に離間して存在する、着用可能物品。」
第3 当審拒絶理由の概要
令和7年5月29日付けで、当審が通知した拒絶理由の概要は、次のとおりである。
(進歩性)この出願の請求項1~3に係る発明は、下記引用文献1に記載された発明及び周知技術に基づいて、その出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
<引用文献等一覧>
引用文献1 特開2017-192834号公報
引用文献2 特開2017-176502号公報(周知技術を示す文献)
引用文献3 特開2009-148447号公報
引用文献4 国際公開第2018/160207号
第4 当審の判断
1 引用文献に記載された発明等
(1)引用文献1
ア 引用文献1の記載
引用文献1には次の記載がある(なお、下線は当審が付した。「・・・」は省略した部分を表す。以下同様。)。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面をなす外層シート、該外層シートの内面側に配された内層シート、該両シート間に伸長状態で配された複数本の糸状の弾性部材を有する外層体と、該外層体の前記内層シートに固定された吸収性本体とを備え、着用者の腹側に配される前記外層体の腹側部及び着用者の背側に配される前記外層体の背側部それぞれの両側縁部が接合されて一対のサイドシール部、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されたパンツ型吸収性物品であって、
前記外層体は、該外層体と前記吸収性本体との固定部にて、前記複数本の弾性部材が個々複数個に分断されて伸縮機能の低減された弱機能化領域を有しており、
前記弱機能化領域の外方側部においては、接着剤を介して前記弾性部材が前記外層シートと前記内層シートとの間に固定された側部接着領域を形成し、
前記サイドシール部近傍においては、接着剤を介して前記弾性部材が前記外層シートと前記内層シートとの間に固定されたサイドシール部接着領域を形成しており、
前記側部接着領域と前記サイドシール部接着領域との間においては、前記弾性部材が前記外層シートと前記内層シートとの間に固定されておらず、
前記側部接着領域及び前記サイドシール部接着領域それぞれは、前記弾性部材の配された部分の前記接着剤の坪量が、隣り合う該弾性部材間の前記接着剤の坪量よりも高く、パンツ型吸収性物品の縦方向に該接着剤の坪量の高低を繰り返しているパンツ型吸収性物品。」
「【発明が解決しようとする課題】
・・・
【0006】
従って、本発明は、吸収体に弾性部材による皺が生じ難く、外観の見栄えが向上すると共に、肌触りが向上し、弾性部材の抜けが生じ難いパンツ型吸収性物品に関する。」
「【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のパンツ型吸収性物品を、その好ましい第1実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本発明の第1実施形態であるパンツ型使い捨ておむつ1A(以下、おむつ1Aともいう)は、図1及び図2に示すように、外面をなす外層シート22、外層シート22の内面側に配された内層シート23、両シート22,23間に伸長状態で配された複数本の糸状の弾性部材24を有する外層体2と、外層体2の内層シート23に固定部で固定された吸収性本体3とを備え、着用者の腹側に配される外層体2の腹側部A及び着用者の背側に配される外層体2の背側部Bそれぞれの両側縁部2a,2bが接合されて一対のサイドシール部4、ウエスト開口部5及び一対のレッグ開口部6,6が形成されている。
【0011】
以下、具体的に説明すると、おむつ1Aは、図1及び図2に示すように、着用時に、着用者の腹側に配される腹側部Aと、着用者の背側に配される背側部Bと、腹側部Aと背側部Bとの間に位置し、着用者の股間部に配される股下部Cとを有している。おむつ(吸収性物品)1の縦方向は、腹側部Aから股下部Cを経て背側部Bに亘る方向又はその逆方向(図中のY方向)であり、おむつ(吸収性物品)1の横方向は、着用者の胴回り方向に沿う方向であり、おむつ(吸収性物品)1の縦方向と交差する方向(図中のX方向)である。
【0012】
おむつ1Aの外層体2は、図1及び図2に示すように、着用時に着用者の腹側に配されるX方向に長い矩形状の腹側シート部材2Aと、着用時に着用者の背側に配されるX方向に長い矩形状の背側シート部材2Bとを有している。そして、おむつ1Aは、吸収性本体3が腹側シート2AのX方向中央部及び背側シート2BのX方向中央部に亘って配され固定されており、腹側シート2Aの両側縁部2a,2aと背側シート2Bの両側縁部2b,2bとが一対のサイドシール部4,4にて接合されて形成されている。
以下、具体的に説明する。」
「【0017】
おむつ1Aにおける腹側シート部材2A及び背側シート部材2Bは何れも、図2及び図3に示すように、おむつの外面をなす外層シート22と、外層シート22の内面側に配された内層シート23と、両シート22,23間にX方向に伸長状態で配され且つY方向に間隔を空けて配された複数本の糸状の弾性部材24とを備えており、外層シート22と内層シート23との間に複数本の糸状の弾性部材24を、接着剤8を介して固定することにより形成されている。腹側シート部材2A及び背側シート部材2Bそれぞれには、X方向に伸縮性を有するウエスト伸縮部G1及び胴回り伸縮部G2が形成されている。尚、弾性部材24を固定する接着剤8に関しては、後で詳述する。」
「【0019】
弾性部材24を固定する接着剤8をはじめ、各部材間を接合する接着剤の好ましい材料としては、非晶性ポリオレフィン、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル酸エステル共重合体(EEA)、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体(SIS)、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレンブロック共重合体(SEPS)などの熱可塑性ポリマー及びそれらの混合物等が挙げられる。接着剤はホットメルト型が好ましい。」
「【0021】
第1実施形態のおむつ1Aにおけるウエスト伸縮部G1及び胴回り伸縮部G2においては、図3に示すように、外層シート22と内層シート23との間が、散点状に形成された多数の接合部25において接合されている。
より具体的には、腹側シート部材2A及び背側シート部材2Bの伸縮部G1~G2の何れにおいても、X方向に接合部25が間欠的に配置されてなる接合部列が、Y方向に複数列形成されている。即ち、ウエスト伸縮部G1においては、各弾性部材24Aが、X方向に間欠的に配された接合部25の接合部列と、該接合部列にY方向に隣り合う別のX方向に間欠的に配された接合部25の接合部列との間に配置されており、胴回り伸縮部G2においては、各弾性部材24Bが、X方向に間欠的に配された接合部25の接合部列と、該接合部列にY方向に隣り合う別のX方向に間欠的に配された接合部25の接合部列との間に配置されている。
このように、腹側シート部材2A及び背側シート部材2Bの伸縮部G1~G2の何れにおいても、複数本の弾性部材24(24A,24B)が、それぞれ、Y方向に隣り合う接合部25,25どうしの間を通るように配されている。
【0022】
また、腹側シート部材2Aに配された弾性部材24A,24Bと、背側シート部材2Bに配された弾性部材24A,24Bとは、おむつ1Aにおいては、相互にほぼ等しい伸長率で配されている。
具体的には、ウエスト伸縮部G1に配される弾性部材24A及び胴回り伸縮部G2に配される弾性部材24Bは、その単糸のサイズが、11dtex~1870dtex程度であることが好ましい。このような糸状の弾性部材24A,24Bを、200%以上の伸長率となるように配することが好ましい。尚、伸長率は、自然長に対する、伸長させた状態の長さの割合であり、例えば、長さ10cmのものを20cmに伸長するとその伸長率は200%とされる。
隣り合う糸状の弾性部材24(24A,24B)どうしの配置間隔は、2mm~20mm程度であることが好ましい。」
「【0026】
弱機能化領域WTのY方向に沿う側部に形成される側部接着領域ITは、Y方向においては、胴回り伸縮部G2の弱機能化領域WTのY方向の長さとほぼ同じ長さに形成されており、X方向においては、吸収性本体3のY方向に沿う側部端縁よりも内方で且つ弱機能化領域WTのY方向に沿う側部端縁から外方に幅5mm~50mm程度に形成されている。
また、サイドシール部4近傍に形成されるサイドシール部接着領域OTは、Y方向においては、腹側シート部材2A及び背側シート部材2BそれぞれのY方向の長さとほぼ同じ長さ、即ち、ウエスト伸縮部G1及び胴回り伸縮部G2に跨ってY方向の全域に亘って形成されており、X方向においては、腹側シート部材2A及び背側シート部材2BそれぞれのY方向に沿う側部端縁からサイドシール部4を含んで、その幅が5mm~50mm程度に形成されている。」
「【0035】
第1実施形態のおむつ1Aにおいては、腹側シート部材2Aの両側縁部2a,2aと背側シート部材2Bの両側縁部2b,2bとは、図1,図3及び図5に示すように、合掌状に重なり合って、腹側シート部材2AのY方向に沿う側部端縁及び背側シート部材2BのY方向に沿う側部端縁よりもX方向内方の位置にて、Y方向に間欠的に配された多数のシール部41によって接合されている。このY方向に間欠的に配された多数のシール部41によってサイドシール部4が形成される。各シール部41は、第1実施形態では、図5に示すように、柔らかさ向上の観点から、弾性部材24(24A,24B)と可能な限り重ならないように、隣り合う弾性部材24(24A,24B)間に配され、X方向に平行に形成されている。サイドシール部4は、サイドシール部接着領域OT内に形成されている。」
「【図1】
[図:0001437622000001.jpg]
【図2】
[図:0001437622000002.jpg]
【図3】
[図:0001437622000003.jpg]
」
イ 引用文献1に記載された事項
引用文献1の【請求項1】、【0011】、【0012】、【図1】、【図2】の記載から、引用文献1には、次の事項が記載されていると認められる。
「パンツ型吸収性物品1Aは、縦方向Y及び横方向Xに連続的なパンツ型吸収性物品1Aであって、腹側シート部材2Aと、背側シート部材2Bと、股下部Cと、ウエスト開口部と、一対のレッグ開口部とを備え、前記股下部Cが、腹側シート部材2Aと背側シート部材2Bとの間で縦方向Yに延在していること。」
ウ 引用文献1に記載された発明
上記ア、イから、引用文献1には、次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されている。
「縦方向Y及び横方向Xに連続的なパンツ型吸収性物品1Aであって、腹側シート部材2Aと、背側シート部材2Bと、股下部Cと、ウエスト開口部と、一対のレッグ開口部とを備え、前記股下部Cが、腹側シート部材2Aと背側シート部材2Bとの間で縦方向Yに延在し、(上記イ)
外面をなす外層シート22、該外層シート22の内面側に配された内層シート23、該両シート間にX方向に伸長状態で配された複数本の糸状の弾性部材24を有する外層体2と、該外層体2の前記内層シート23に固定された吸収性本体3とを備え、着用者の腹側に配される前記外層体2の腹側部及び着用者の背側に配される前記外層体2の背側部それぞれの両側縁部2a、2bが接合されて一対のサイドシール部4、ウエスト開口部及び一対のレッグ開口部が形成されたパンツ型吸収性物品1Aであって、
前記外層体2は、該外層体2と前記吸収性本体3との固定部7にて、前記複数本の弾性部材24が個々複数個に分断されて伸縮機能の低減された弱機能化領域WTを有しており、
前記弱機能化領域WTの外方側部においては、接着剤8を介して前記弾性部材24が前記外層シート22と前記内層シート23との間に固定された側部接着領域サイドシール部接着領域OTを形成し、
前記サイドシール部4近傍においては、接着剤8を介して前記弾性部材24が前記外層シート22と前記内層シート23との間に固定されたサイドシール部接着領域OTを形成しており、
前記側部接着領域ITと前記サイドシール部接着領域OTとの間においては、前記弾性部材24が前記外層シート22と前記内層シート23との間に固定されておらず、
前記側部接着領域IT及び前記サイドシール部接着領域OTそれぞれは、前記弾性部材24の配された部分の前記接着剤8の坪量が、隣り合う該弾性部材24間の前記接着剤8の坪量よりも高く、パンツ型吸収性物品1Aの縦方向Yに該接着剤8の坪量の高低を繰り返しており、(【請求項1】、【0017】)
外層シート22と内層シート23との間が、散点状に形成された多数の接合部25において接合され、各弾性部材24が、X方向に間欠的に配された接合部25の接合部列と、該接合部列にY方向に隣り合う別のX方向に間欠的に配された接合部25の接合部列との間に配置されており、(【0021】)
隣り合う糸状の弾性部材24どうしの配置間隔は、2mm~20mm程度であることが好ましく、(【0022】)
サイドシール部接着領域OTは、X方向においては、腹側シート部材2A及び背側シート部材2BそれぞれのY方向に沿う側部端縁からサイドシール部4を含んで、その幅が5mm~50mm程度に形成されている、(【0026】)
パンツ型吸収性物品1A。」
(2)周知技術等
ア 引用文献2
引用文献2には、次の記載がある。
「【0060】
(外装体)
外装体12は、前後方向中央から腹側に延在する前身頃Fを構成する部分と、前後方向中央から背側に延在する後身頃Bを構成する部分とを有し、これら前身頃Fの両側部と後身頃Bの両側部とが接合されて、図6に示すように、装着者の胴を通すためのウエスト開口WO及び脚を通すための左右一対の脚開口LOが形成されているものである。符号12Aは接合部分を示している(以下、この部分をサイドシール部ともいう)。なお、股間部とは、展開状態における前身頃Fのウエスト縁から後身頃Bのウエスト縁までの前後方向中央を意味し、それよりも前側の部分及び後側の部分が前身頃F及び後身頃Bをそれぞれ意味する。
・・・
【0062】
外装体12は、図3~図5に示されるように、不織布からなる第1シート層12S及び不織布からなる第2シート層12Hにより表裏が形成されている。また、外装体12には、身体へのフィット性を高めるために、吸収体56よりもウエスト開口WO側に幅方向に連続する連続伸縮領域A3を有するとともに、吸収体56を有する前後方向範囲に、幅方向中間に設けられた非伸縮領域A1と、この非伸縮領域A1の幅方向両側に設けられた間欠伸縮領域A2とを有しており、連続伸縮領域A3及び間欠伸縮領域A2における第1シート層12S及び第2シート層12H間には、糸ゴム等の細長状弾性伸縮部材19(15~17)が幅方向に沿って所定の伸長率で取り付けられて、幅方向に伸縮可能(幅方向が伸縮方向)とされている。細長状弾性伸縮部材19としては、合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。図示形態における非伸縮領域A1及び間欠伸縮領域A2を有する前後方向範囲の一部又は全部について、幅方向全体にわたり連続伸縮領域A3としたり、図示形態における非伸縮領域A1の前後方向範囲をウエスト側又は股間側に拡大したりしても良い。」
「【0068】
(伸縮構造について)
本パンツタイプ使い捨ておむつにおいては、ウエスト部Wから中間部Lにかけての領域に本発明の伸縮構造が採用されている。すなわち、当該部分は、図4、図7及び図11に示すように、第1シート層12S及び第2シート層12Hの間に、伸縮方向に沿ってかつ互いに間隔を空けて複数本の細長状の弾性伸縮部材19が設けられており、弾性伸縮部材19の両端部19fは、第1ホットメルト接着剤71を介して、第1シート層12S及び第2シート層12Hの少なくとも一方に固定された固定端部19fとされており、第1シート層12S及び第2シート層12Hは、少なくとも弾性伸縮部材19の両端部19fの間と対応する伸縮方向範囲で、弾性伸縮部材19の長手方向に間欠的、かつ弾性伸縮部材19と交差する方向に細長く連続する縞状のパターンで配置された第2ホットメルト接着剤72を介して接合されたシート接合部70を有している。
【0069】
(ホットメルト接着剤)
第1ホットメルト接着剤71及び第2ホットメルト接着剤72としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在し、特に限定無く使用できる。第1ホットメルト接着剤71及び第2ホットメルト接着剤72は同じものを使用することもできる。また、第2ホットメルト接着剤72と弾性伸縮部材19との交差位置では、第2ホットメルト接着剤72を介して弾性伸縮部材19を第1シート層12S及び第2シート層12Hの少なくとも一方に固定できるため、第2ホットメルト接着剤72のみで十分に弾性伸縮部材19を固定できるのであれば、第1ホットメルト接着剤71を設けなくても良い。」
「【0076】
(弾性伸縮部材の固定)
図4、図7及び図11に示すように、連続伸縮領域A3及び間欠伸縮領域A2における弾性伸縮部材19は、その幅方向両端部19fが第1ホットメルト接着剤71を介して第1シート層12S及び第2シート層12Hに固定された固定端部19fとされている。図示形態のように、外装体12における幅方向中間部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けられている弾性伸縮部材19の場合には、幅方向両側の各弾性伸縮部材19の両端部19fが固定端部19fとされ、外装体12の幅方向全体にわたり連続する弾性伸縮部材19の場合には、弾性伸縮部材19における外装体12の幅方向両端部19fに位置する部分が固定端部19fとされる。」
「【0079】
サイドシール部12Aは超音波シールやヒートシールにより溶着され、硬質化した部分であるため、図18(a)に示すようにサイドシール部12A側の固定端部19fがサイドシール部12Aに位置していると、保持力の高い、つまり硬質な第1ホットメルト接着剤71の存在によってサイドシール部12Aが必要以上に硬くなるおそれがある。よって、サイドシール部12A側の固定端部19fは、図18(b)に示すようにサイドシール部12Aに隣接又は幅方向中央側に離間していることが好ましい。なお、この図18(b)に示される形態からも理解されるように、第1ホットメルト接着剤71による接着部位は、伸縮領域A2,A3の伸縮方向の端部であれば良く、図示形態のように弾性伸縮部材19の両端部とする必要はなく、例えば弾性伸縮部材19の少なくとも一端部は第1ホットメルト接着剤71による接着部位とせず、弾性伸縮部材19の端部の近傍等の適宜の位置に第1ホットメルト接着剤71による接着部位を設けても良い。」
「【0082】
よって、図7~9、図11~図16に示すように、第2ホットメルト接着剤72は少なくとも伸縮方向に間欠的なパターンで、弾性伸縮部材19の固定端部19fの位置を含めて配置(二重塗布)し、弾性伸縮部材19の通過位置で第1ホットメルト接着剤71を各第2ホットメルト接着剤72の幅よりも長く伸縮方向に連続させるのは好ましい形態である。これにより、第1ホットメルト接着剤71の配置部分において、第1ホットメルト接着剤71及び第2ホットメルト接着剤72の重なる二重部分が一部形成されるものの、第2ホットメルト接着剤72間に第1ホットメルト接着剤71の一重部分も確実に形成されるため、弾性伸縮部材19の両端部19fを第1ホットメルト接着剤71のみを介して接着することができる。この場合における第1ホットメルト接着剤71の連続幅71wは適宜定めれば良いが、第2ホットメルト接着剤72の幅72wの5倍以上であることが好ましく、また、隣接する第2ホットメルト接着剤72の伸縮方向の間隔72dの1.5倍以上であることが好ましい。通常の場合、第1ホットメルト接着剤71が第2ホットメルト接着剤72を介さずに弾性伸縮部材19を接着する部分の総幅は5~30mm程度とすることが好ましい。また、第2ホットメルト接着剤72の好ましい間欠パターンとしては後述する交差方向連続接合形態を例示することができる。」
「【0088】
このような形態では、各シート接合部70の伸縮方向の幅70wは0.5~4mm(特に0.5~1mm)とされ、隣り合うシート接合部70の間隔70dが4~8mm(特に5~7mm)とされていると好ましい。基本的に、シート接合部70の伸縮方向の幅70wが狭すぎると第2ホットメルト接着剤72の塗布が困難となり、広すぎると柔軟性が低下する。さらに、各シート接合部70の伸縮方向の幅70wは隣り合う襞80の間隔に影響を及ぼすものであり、交差方向連続接合形態のように、形成される襞80が薄い場合にこの幅が4mmを超えると、隣り合う襞80の間が広くなり過ぎ、個々の襞80が独立した見栄えとなるだけでなく、厚み方向の圧縮力により襞80が潰れ広がる、倒れる等の変形をするとき、隣り合う襞80が支え合う作用が弱くなる結果、変形に対する抵抗あるいは変更後の復元も弱くなり、結果的にフンワリ感が不十分となってしまう。
【0089】
しかも、単にシート接合部70の伸縮方向の幅70wを0.5~4mmとするだけで、隣り合うシート接合部70の間隔70dを4mm未満又は8mm超とした場合には次のようになる。すなわち、隣り合うシート接合部70の間隔70dは襞80の高さ80hや幅に影響するものであり、隣り合うシート接合部の間隔が2mm程度であると伸縮方向に連続固定した場合と同様の縦方向の連続性に乏しい襞80となってしまい(伸縮方向に間欠的にシート接合部70を設ける意味が無くなる)、3mmでは襞80は伸縮方向と直交する方向に真直ぐに延びるが、隣り合う襞80が支え合う作用は期待できず、フンワリ感は不足する。また、シート接合部70の間隔70dが8mmを超えると、包装時の圧縮により襞80が不規則に潰れてしまい、製品の見栄えが悪くなる。これに対して、シート接合部70の伸縮方向の幅70wを0.5~4mmとし、かつシート接合部70の間隔70dを4~8mmとしたときに初めて、十分なフンワリ感が得られ、また、包装時の圧縮により襞80が不規則に潰れにくいものとなる。」
「【図4】
[図:0001437622000004.jpg]
」
「【図6】
[図:0001437622000005.jpg]
【図7】
[図:0001437622000006.jpg]
」
「【図11】
[図:0001437622000007.jpg]
」
イ 周知技術
引用文献2の【0060】、【0062】、【0079】、【図6】に示されるように、着用可能物品において、外層体を形成する積層体が、側縁部で熱によって結合されてサイドシームを形成すること(以下単に「周知技術」という。)は周知である。
2 本願発明について
(1)対比
本願発明と引用発明とを対比する。
引用発明の「縦方向Y及び横方向X」は、本願発明の「長手方向及び横断方向」に相当し、以下同様に、
「パンツ型吸収性物品1A」は、「着用可能物品」に、
「腹側シート部材2Aと、背側シート部材2Bと、股下部Cと、ウエスト開口部と、一対のレッグ開口部」は、「前側弾性ベルトと、後側弾性ベルトと、股部領域と、腰部開口部と、一対の脚部開口部」に、
「内層シート23」と「外層シート22」と「弾性部材24」は、「内側シート」と「外側シート」と「弾性部材」に、
「外層体2」は、「積層体」に、
「サイドシール部接着領域OT」は、「弾性接着結合部」に、
「接着剤8」は、「接着剤」に、
「サイドシール部4」は、「サイドシーム」に、それぞれ相当する。
引用発明の「パンツ型吸収性物品1A」は、「縦方向Y及び横方向Xに連続的」であり、また「股下部C」は腹側シート部材2Aと背側シート部材2Bとの間で縦方向Yに延在しているから、引用発明の「パンツ型吸収性物品1A」は、本願発明の「長手方向及び横断方向に連続的」であるとともに、「前側弾性ベルトと、後側弾性ベルトと、股部領域と、腰部開口部と、一対の脚部開口部と、を備え、前記股部領域が、前記前側弾性ベルトと前記後側弾性ベルトとの間で長手方向に延在」する「着用可能物品」に相当する。
引用発明の「弾性部材24」は「該両シート間にX方向に伸長状態で配置され」ていることから、引用発明の「外層体2」は、本願発明の「前記前側及び前記後側弾性ベルトの各々が、内側シート、外側シート、及び横断方向に延びる複数の弾性部材、を含む積層体」に相当する。
引用発明の「サイドシール部接着領域OTは、X方向においては、腹側シート部材2A及び背側シート部材2BそれぞれのY方向に沿う側部端縁からサイドシール部4を含んで、その幅が5mm~50mm程度に形成されている」ことと、本願発明の「前記積層体が、前記前側及び後側弾性ベルトの側縁部に隣接する領域で伸張方向に10mm~60mmにわたり、前記弾性部材を連続的に結合する弾性接着結合部」を「含」むこととは、積層体が、前側及び後側弾性ベルトの側縁部に隣接する領域で伸張方向に、弾性部材を連続的に結合する弾性接着結合部を含む限りで一致する。
引用発明の「接合部25」と本願発明の「接着結合部」とは、結合部の限りで一致し、引用発明において「外層シート22と内層シート23との間が、散点状に形成された多数の接合部25において接合され、各弾性部材24が、X方向に間欠的に配された接合部25の接合部列と、該接合部列にY方向に隣り合う別のX方向に間欠的に配された接合部25の接合部列との間に配置されて」いることと、本願発明において「前記内側シート及び前記外側シートを断続的に結合するために、前記内側シート及び前記外側シートのうちの少なくとも1つに横断方向及び長手方向に間隔をあけて適用される別個のパターンを有する接着結合部」を「含」むこととは、内側シート及び外側シートを断続的に結合するために、内側シート及び外側シートのうちの少なくとも1つに横断方向及び長手方向に間隔をあけて適用される別個のパターンを有する結合部を含む限りで一致し、また、引用発明において、「各弾性部材24が、X方向に間欠的に配された接合部25の接合部列と、該接合部列にY方向に隣り合う別のX方向に間欠的に配された接合部25の接合部列との間に配置されて」いることと、本願発明において、「前記別個のパターンを有する接着結合部が、少なくとも、前記弾性接着結合部の間で横断方向に沿って、かつ前記前側及び後側弾性ベルトの遠位縁部と近位縁部との間で長手方向に沿って延在し」、「少なくとも1つの前記別個のパターンを有する接着結合部が、前記弾性部材の各長手方向に離間して存在する」こととは、別個のパターンを有する結合部が、少なくとも、弾性接着結合部の間で横断方向に沿って、かつ前側及び後側弾性ベルトの遠位縁部と近位縁部との間で長手方向に沿って延在し、少なくとも1つの別個のパターンを有する結合部が、弾性部材の各長手方向に離間して存在する限りで一致する。
引用発明において、「着用者の腹側に配される前記外層体2の腹側部及び着用者の背側に配される前記外層体2の背側部それぞれの両側縁部2a、2bが接合されて一対のサイドシール部4」が「形成された」ことと、本願発明において、「前記積層体が、前記側縁部で熱によって結合されてサイドシームを形成し、前記サイドシームが、前記側縁部から20mm以下(0mmを除く)の距離で存在し、前記積層体の残りが、熱結合部を含ま」ないこととは、積層体が、側縁部にサイドシームを形成する限りで一致する。
引用発明において、「隣り合う糸状の弾性部材24どうしの配置間隔は、2mm~20mm程度であることが好まし」いことと、本願発明において、「前記弾性部材が、長手方向に3mm~18mmのピッチで互いに離間し、前記別個のパターンを有する接着結合部が、横断方向ピッチVG1で互いに離間した横断方向寸法VG2、及び長手方向間隔VG3を有し、VG1が2mm~15mmであり、VG2が0.2mm~7mmであり、VG3が3mm以下であ」ることとは、弾性部材が、長手方向に互いに離間する限りで一致する。
そうすると、本願発明と引用発明の一致点及び相違点は以下のとおりである。
[一致点]
「長手方向及び横断方向に連続的な着用可能物品であって、前側弾性ベルトと、後側弾性ベルトと、股部領域と、腰部開口部と、一対の脚部開口部と、を備え、前記股部領域が、前記前側弾性ベルトと前記後側弾性ベルトとの間で長手方向に延在し、
前記前側及び前記後側弾性ベルトの各々が、内側シート、外側シート、及び横断方向に延びる複数の弾性部材、を含む積層体であり、
前記積層体が、前記前側及び後側弾性ベルトの側縁部に隣接する領域で伸張方向に、前記弾性部材を連続的に結合する弾性接着結合部、並びに前記内側シート及び前記外側シートを断続的に結合するために、前記内側シート及び前記外側シートのうちの少なくとも1つに横断方向及び長手方向に間隔をあけて適用される別個のパターンを有する結合部を更に含み、前記別個のパターンを有する結合部が、少なくとも、前記弾性接着結合部の間で横断方向に沿って、かつ前記前側及び後側弾性ベルトの遠位縁部と近位縁部との間で長手方向に沿って延在し、
前記積層体が、前記側縁部でサイドシームを形成し、
前記弾性部材が、長手方向に互いに離間し、
少なくとも1つの前記別個のパターンを有する結合部が、前記弾性部材の各長手方向に離間して存在する、着用可能物品。」
[相違点1]
積層体が、前側及び後側弾性ベルトの側縁部に隣接する領域で伸張方向に、弾性部材を連続的に結合する弾性接着結合部を含むことに関して、本願発明は「前記積層体が、前記前側及び後側弾性ベルトの側縁部に隣接する領域で伸張方向に10mm~60mmにわたり、前記弾性部材を連続的に結合する弾性接着結合部」を「含」むのに対し、引用発明は「サイドシール部接着領域OTは、X方向においては、腹側シート部材2A及び背側シート部材2BそれぞれのY方向に沿う側部端縁からサイドシール部4を含んで、その幅が5mm~50mm程度に形成されて」いる点。
[相違点2]
結合部に関して、本願発明は、「接着結合部」であって、「前記弾性接着結合部及び前記別個のパターンを有する接着結合部が、同じ接着剤によって設けられ」ているのに対し、引用発明は、「接合部25」がそのようなものではない点。
[相違点3]
積層体が、側縁部にサイドシームを形成することに関して、本願発明は「前記積層体が、前記側縁部で熱によって結合されてサイドシームを形成し、前記サイドシームが、前記側縁部から20mm以下(0mmを除く)の距離で存在し、前記積層体の残りが、熱結合部を含ま」ないのに対し、引用発明は「着用者の腹側に配される前記外層体2の腹側部及び着用者の背側に配される前記外層体2の背側部それぞれの両側縁部2a、2bが接合されて一対のサイドシール部4」が「形成された」点。
[相違点4]
弾性部材が、長手方向に互いに離間することに関して、本願発明は「前記弾性部材が、長手方向に3mm~18mmのピッチで互いに離間し、前記別個のパターンを有する接着結合部が、横断方向ピッチVG1で互いに離間した横断方向寸法VG2、及び長手方向間隔VG3を有し、VG1が2mm~15mmであり、VG2が0.2mm~7mmであり、VG3が3mm以下であ」るのに対し、引用発明は「隣り合う糸状の弾性部材24どうしの配置間隔は、2mm~20mm程度であることが好まし」い点。
(2)判断
ア 相違点1について
引用発明における「サイドシール部接着領域OT」の幅は、サイドシール部の接着強度等を考慮して適宜決め得ることであって、10mm~60mmとすることは、当業者が適宜設計し得たことである。
イ 相違点2について
引用文献1の【0019】には、各部材間を接合する手段が接着剤である旨の記載があり、引用発明の「接合部25」を接着剤により接合することに格別の困難性はない。
その際、弾性接着結合部及び別個のパターンを有する接着結合部を、同じ接着剤によるものとするか否かはコスト等を考慮して適宜決め得ることであり、また、同じ接着剤を用いることは、引用文献2の【0068】、【0069】、【0076】、【図4】、【図7】に示されるように知られたことであるから、引用発明において、弾性接着結合部における「接着剤8」と、別個のパターンを有する結合部における「接合部25」とを同じ接着剤によって設けることは、当業者が適宜なし得たことである。
ウ 相違点3について
周知技術として示したように、着用可能物品において、外層体を形成する積層体が、側縁部で熱によって結合されてサイドシームを形成することは周知であり、当該周知技術を参考にして、引用発明における「サイドシール部4」を熱によって結合することは、当業者が適宜なし得たことにすぎない。
また、引用発明は、「サイドシール部接着領域OTは、X方向においては、腹側シート部材2A及び背側シート部材2BそれぞれのY方向に沿う側部端縁からサイドシール部4を含んで、その幅が5mm~50mm程度に形成されている」ものであるから、「サイドシール部4」は、「腹側シート部材2A及び背側シート部材2B」の「側部端縁」から「5mm~50mm程度に形成されている」「サイドシール部接着領域OT」に含まれる。すなわち、「サイドシール部4」は、「腹側シート部材2A及び背側シート部材2B」の「側部端縁」から「5mm~50mm程度」の領域に含まれるものであるところ、当該領域中のどこに引用発明における「サイドシール部4」を設けるかは、当業者が適宜決め得ることである。
さらに、引用文献1には、熱結合によって部材を結合させることは記載されておらず、引用発明における、サイドシール部4以外の箇所が熱結合部を含まないようにすることに格別の困難性はない。
エ 相違点4について
引用発明において、「隣り合う糸状の弾性部材24どうしの配置間隔」をどの程度とするかは当業者が適宜決め得ることであり、「2mm~20mm程度であることが好まし」いとされていることから、3mm~18mmとすることに格別の困難性はない。
引用発明において、「X方向に間欠的に配された接合部25の接合部列と、該接合部列にY方向に隣り合う別のX方向に間欠的に配された接合部25の接合部列」の間隔(VG3)は、その間に「各弾性部材24」を配することができる以上、かつ、「隣り合う糸状の弾性部材24どうしの配置間隔」よりも小さい範囲でどの程度とするかは、当業者が適宜決め得ることであり、3mm以下とすることに格別の困難性はない。
また、引用発明は、「外観の見栄えが向上する」ことを課題としている(引用文献1の【0006】)ところ、着用可能物品において、シート接合部間に襞を設ける際に、シート接合部の伸縮方向の幅(VG2)、隣り合うシート接合部の間隔(VG1)をどの程度とするかは、襞の見栄えや変形等を考慮して適宜決め得ることであり、シート接合部の伸縮方向の幅(VG2)を0.5~4mm、隣り合うシート接合部の間隔(VG1)を4~8mmとすることが特別なことでもない(引用文献2の【0088】、【0089】、【図11】)ことから、引用発明において、「接合部25」が、横断方向ピッチVG1で互いに離間した横断方向寸法VG2を有し、VG1が2mm~15mmであり、VG2が0.2mm~7mmとすることは、当業者が適宜なし得たことである。
オ 作用効果について
上記各相違点を総合的に勘案しても、本願発明の奏する作用効果は、引用発明及び周知技術の奏する作用効果から予測される範囲内のものであり、格別顕著なものということはできない。
(3)審判請求人の主張について
ア 審判請求人の主張の概要
審判請求人は、令和7年12月1日提出の意見書において、本願発明における「前記弾性接着結合部及び前記別個のパターンを有する接着結合部が、同じ接着剤によって設けられ」る構成について、同月2日提出の技術報告書(以下単に「技術報告書」という。)を引用しつつ、同じ接着剤が使用された実施例1、実施例2が、異なる接着剤が使用された比較例、比較例2よりも著しく高い積層強度及び著しく小さい弾性クリープを示したことから、このような顕著な効果は、引用文献1及び引用文献2に記載された発明からは、当業者であっても予測不可能な効果である旨主張する。
イ 上記主張について
まず、本願明細書の【0044】には、「弾性接着結合部(230)及び別個のパターンを有する接着結合部(234)は、同じホットメルト接着によって設けてもよい。」との記載があるものの、「同じ接着剤」を用いることの作用効果については記載も示唆もなく、実施例(【0072】~【0078】)が「同じ接着剤」を用いたものであるか否かも不明であるし、積層強度や弾性クリープを評価したものでもない。
したがって、審判請求人が主張する効果は、本願明細書の記載に基づくものではない。
そして、技術報告書の「背景」には、「本試験で使用されたEABは、引用文献1で使用された第1の接着剤と相当し、積層体に弾性ストランドを接着するために一般的に使用されるタイプである。本試験の比較例に使用されたPABは、引用文献1で用いられた第2の接着剤に相当し、不織布どうしの接着に一般的に使用されるタイプである。」と記載されているが、令和7年5月29日付け拒絶理由通知で引用した引用文献1(特開2017-192834号公報)は、「第1の接着剤」や「第2の接着剤」を用いるものではなく、技術報告書において実施された試験の位置付けが不明である。
なお、接着力は、接着剤の種類のみではなく、塗布量、塗布面積等の他の条件によっても変わるため、本願発明において、「前記弾性接着結合部及び前記別個のパターンを有する接着結合部が、同じ接着剤によって設けられ」たことだけでは、審判請求人の主張する効果を奏しないことは明らかである。
したがって、審判請求人の主張は採用できない。
(4)小括
よって、本願発明は、引用発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
第5 むすび
以上のとおり、本願発明は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないから、他の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審決本文(J-PlatPat)
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2023-011953