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特許異議申立

2022-700019

印刷物、印刷物の製造方法、画像形成装置及びプログラム

審判番号
2022-700019
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-221135
登録番号
6900945
請求日
2022年01月13日
審決日
2022年12月05日
公報発行日
2023年03月31日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社リコー
  • 【権利者代理人】伊東 忠重
  • 【権利者代理人】伊東 忠彦
  • 【権利者代理人】新川 圭二
  • 【異議申立人】金山 愼一
審判長/審判官
  • 審判長 吉村 尚
  • 審判官 藤本 義仁
  • 審判官 比嘉 翔一
分類
P1652.113-YAA(B41M) / P1652.121-YAA(B41M) / P1652.537-YAA(B41M) / P1652.851-YAA(B41M) / P1652.853-YAA(B41M)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項特許法135条
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第36条第6項、特許法第29条第1項、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第6900945号発明「印刷物、印刷物の製造方法、画像形成装置及びプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第6900945号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び特許請求の範囲のとおり訂正後の請求項1、2、4について訂正することを認める。 特許第6900945号の請求項1、2、4に係る特許を維持する。 特許第6900945号の請求項3に係る申立てを却下する。

理由

理 由 1 手続の経緯 特許第6900945号の請求項1乃至20に係る特許についての出願は、令和3年6月21日にその特許権の設定登録がされ、同年7月14日に特許掲載公報が発行され、その後、令和4年1月13日に特許異議申立人 金山愼一(以下「特許異議申立人」という。)より請求項1乃至4に対して特許異議の申立がされ、同年3月8日付けで取消理由が通知され、同年5月12日に意見書の提出及び訂正請求がされ、同年6月20日付けで取消理由(決定の予告)が通知され、同年8月16日に特許権者により意見書の提出及び訂正請求がされた。 なお、特許異議申立人は意見書の提出を希望しており、当審は令和4年8月16日に提出された訂正請求書による訂正の請求について、同年9月7日付けの通知書によって意見を提出する機会を与えたが、特許異議申立人から期間内に応答はなかった。 2 訂正の適否についての判断(請求項1~4に係る一群の請求項に係る訂正) (1)訂正の内容(注:下線部分は訂正箇所を示す。) ア 請求項1に係る訂正(訂正事項1) 特許請求の範囲の請求項1に「有色色材により形成される有彩色層」と記載されているのを、「有色色材により形成され、前記記録媒体上で表現する金属光沢領域の色を構成する有彩色層」に訂正(以下「訂正事項1-1」という。)し、「前記有彩色層は、第1の有彩色領域と、第2の有彩色領域とを有し」と記載されているのを、「前記有彩色層は、第1の有彩色領域と、前記第1の有彩色領域に隣接する第2の有彩色領域とを有し」に訂正(以下「訂正事項1-2」という。)する(請求項1の記載を直接又は間接的に引用する請求項2及び4も同様に訂正する)。 イ 請求項3に係る訂正(訂正事項2) 特許請求の範囲の請求項3を削除する。 ウ 請求項4に係る訂正(訂正事項3) 特許請求の範囲の請求項4に「請求項1乃至3のいずれか1項に記載の印刷物。」と記載されているのを、「請求項1又は2に記載の印刷物。」に訂正する。 エ 明細書に係る訂正(訂正事項4) 願書に添付した明細書の段落【0007】に 「印刷物の一態様は、記録媒体と、前記記録媒体上にあり、有色色材により形成される有彩色層と、前記有彩色層の上に存在し、透明材料により形成される透明材料層である第1の領域と、前記有彩色層の上に存在し、前記透明材料により形成される透明材料層である第2の領域と、を有し、前記第1の領域の面積で前記第1の領域を形成する前記透明材料の量を割った第1の単位面積あたりの量と、前記第2の領域の面積で前記第2の領域を形成する前記透明材料の量を割った第2の単位面積あたりの量が異なり、前記有彩色層は、第1の有彩色領域と、第2の有彩色領域とを有し、前記第2の有彩色領域の彩度は、前記第1の有彩色領域の彩度よりも高く、前記第1の領域は前記第1の有彩色領域の上にあり、前記第2の領域は前記第2の有彩色領域の上にあり、前記第1の単位面積あたりの量は、前記第2の単位面積あたりの量より多いことを特徴とする。」と記載されているのを、 「印刷物の一態様は、記録媒体と、前記記録媒体上にあり、有色色材により形成され、前記記録媒体上で表現する金属光沢領域の色を構成する有彩色層と、前記有彩色層の上に存在し、透明材料により形成される透明材料層である第1の領域と、前記有彩色層の上に存在し、前記透明材料により形成される透明材料層である第2の領域と、を有し、前記第1の領域の面積で前記第1の領域を形成する前記透明材料の量を割った第1の単位面積あたりの量と、前記第2の領域の面積で前記第2の領域を形成する前記透明材料の量を割った第2の単位面積あたりの量が異なり、前記有彩色層は、第1の有彩色領域と、前記第1の有彩色領域に隣接する第2の有彩色領域とを有し、前記第2の有彩色領域の彩度は、前記第1の有彩色領域の彩度よりも高く、前記第1の領域は前記第1の有彩色領域の上にあり、前記第2の領域は前記第2の有彩色領域の上にあり、前記第1の単位面積あたりの量は、前記第2の単位面積あたりの量より多いことを特徴とする。」に訂正する。 (2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 ア 訂正事項1 (ア)訂正の目的について 訂正事項1-1は、訂正前の請求項1の「印刷物」における「有彩色層」について、「前記記録媒体上で表現する金属光沢領域の色を構成する有彩色層」と、その構成をより具体的に特定し、限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 また、訂正事項1-2は、訂正前の請求項1の「印刷物」における「第2の有彩色領域」について、「前記第1の有彩色領域に隣接する第2の有彩色領域」と、その構成をより具体的に特定し、限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 訂正後の請求項2及び4は、訂正後請求項1の「有色色材により形成され、前記記録媒体上で表現する金属光沢領域の色を構成する有彩色層」及び「前記有彩色層は、第1の有彩色領域と、前記第1の有彩色領域に隣接する第2の有彩色領域とを有し」との記載を引用することにより、訂正後の請求項2及び4に係る発明における「有彩色層」及び「第2の有彩色領域」の構成をより具体的に特定し、限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項1-1及び訂正事項1-2は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項1-1及び訂正事項1-2に関連する記載として、願書に添付した明細書の発明の詳細な説明には、段落【0024】に「第2の実施形態では、まず、図5Aに示すように、記録媒体250上で有彩色の金属光沢を表現する金属光沢領域の範囲及び色を特定する(ステップS210)。例えば、装飾用の図柄の範囲251を特定し、その色として金色を特定する。金色の図柄を描く場合、例えば、「C:0%、M:12%、Y:57%、K:6%、CL:100%」を設定する。ここで、「CL」はクリアの階調値である。」と、【0026】に「印刷データの作成では、まず、金色を構成する有彩色成分(C、M及びY)のうちからYを選択する(ステップS221)。Y以外の有彩色成分を選択してもよいが、C、M及びYのうちで最も金の光沢色に近いYを選択することが好ましい。Kは無彩色であるため、選択の対象外である。図5Bに示すように、Yのパターン260は、範囲251と一致する。」と、段落【0027】に「次いで、Yのパターン260を2値化する(ステップS222)。ここでは、図5Cに示すように、Yの階調値が0%の部分261とYの階調値が100%の部分262との面積比を2:1とすることを前提に、暫定的にYの階調値を33%に変更したうえで、2値化処理を行ってYの2値化パターン263を作成する。Yの0%の階調値は第1の値の一例であり、Yの100%の階調値は第2の値の一例である。部分261と部分262との面積比を3:1、3:2又は1:1等としてもよい。」と、段落【0028】に「次いで、図5Dに示すように、CLの階調値の部分262と重なる部分272の階調値を100%から0%に変更し、CLの階調値の部分261と重なる部分271の階調値は100%のままとする。このようにして、部分261と重なる部分271に100%のクリア階調値を設定し、部分262と重なる部分272に0%のクリア階調値を設定したクリアトナー層用データが作成される(ステップS223)。」と、段落【0029】に「次いで、図5Eに示すように、部分261のYの階調値を0%から36%へと変更する。平面視で有彩色トナー層120の2/3を第1の有彩色領域121とし、1/3を第2の有彩色領域122とし、第2の有彩色領域122のYの階調値を100%としながら、金属光沢領域全体におけるYの階調値の平均値を2値化前の階調値に近づけるためである。すなわち、2値化を行ったままであると、金属光沢領域全体におけるYの階調値の平均値は33%であるが、階調値を36%と変更することでYの階調値の平均値を約57%とすることができる。このようにして、Yの金属光沢領域全体における階調値の平均値が2値化の前の階調値に近づくように変更した有彩色トナー層用データが作成される(ステップS224)。平均値を2値化前の階調値に近づけるためだけであれば、部分261の階調値を変更せずに部分262の階調値を変更してもよく、部分261及び部分262の両方の階調値を変更してもよい。ただし、高彩度を得ながら平均値を2値化前の階調値に近づけるためには、暫定的に0%とした部分261の階調値のみを変更することが好ましい。」と、段落【0030】に「このようにして、印刷データが作成される(ステップS220)。なお、ステップS221で選択したY以外の有色(C、M及びK)については、ステップS210で特定された階調値をそのまま用いる。従って、この印刷データにおいて、第1の有彩色領域121の階調値は「C:0%、M:12%、Y:36%、K:6%」であり、第2の有彩色領域122の階調値は「C:0%、M:12%、Y:100%、K:6%」である。また、第1の領域131の階調値は「CL:100%」であり、第2の領域132の階調値は「CL:0%」である。」と、段落【0031】に「印刷データの作成の後、画像形成装置を用いて、印刷データに基づいて、記録媒体250上に有彩色トナー層を形成し(ステップS231)、有彩色トナー層上にクリアトナー層を形成する(ステップS232)。この結果、図5Fに示すように、第1の有彩色領域121と第1の領域131とが重なった領域281及び第2の有彩色領域122と第2の領域132とが重なった領域282からなる図柄283が記録媒体250上に印刷される(ステップS230)。」と、段落【0032】に「このようにして、印刷物を製造することができる。そして、記録媒体250上に形成された図柄283は擬似的に金色の金属光沢を表現することができる。」と記載され、有彩色層が記録媒体上で表現する金属光沢領域の色を構成すること、及び第2の有彩色領域が第1の有彩色領域に隣接することが記載されているから、訂正事項1-1及び訂正事項1-2は、願書に添付した明細書の記載に基づいて導き出される事項である。 したがって、訂正事項1-1及び訂正事項1-2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 イ 訂正事項2について (ア)訂正の目的について 訂正事項2は、請求項を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項2は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項2は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものであるから、当該訂正事項2は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 ウ 訂正事項3について (ア)訂正の目的について 訂正事項3は、引用する請求項を削除するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないこと 訂正事項3は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであって、カテゴリーや対象、目的を変更するものではなく、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことは明らかであるから、特許法第120条の5第9項で準用する第126条第6項に適合するものである。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること 訂正事項3は、上記(ア)のとおり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当するものであるから、当該訂正事項3は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内のものであって、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合する。 エ 訂正事項4について (ア)訂正の目的について 訂正事項4は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲における請求項1の記載と、明細書において請求項1に対応する課題を解決するための手段が記載された段落【0007】の記載との整合を図るための訂正である。 そうすると、訂正事項4は、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に掲げる明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。 (イ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないことについて 上記(ア)のとおり、訂正事項4は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲における請求項1の記載と、明細書において請求項1に対応する課題を解決するための手段が記載された段落【0007】の記載との整合を図るための訂正であるところ、上記訂正事項1が実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではないのであることからすれば、カテゴリーや対象、目的を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。 そうすると、訂正事項4は、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する同法第126条第6項に適合するものである。 (ウ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であることについて 上記(ア)のとおり、訂正事項4は、上記訂正事項1に係る訂正に伴い、特許請求の範囲における請求項1の記載と、明細書において請求項1に対応する課題を解決するための手段が記載された段落【0007】の記載との整合を図るための訂正であるところ、上記訂正事項1が願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内でするものであることからすれば、訂正事項4は、願書に添付した明細書に記載した事項の範囲内でするものであって、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する第126条第5項に適合するものである。 (エ)明細書又は図面の訂正と関係する請求項についての説明 訂正事項4は、上記訂正事項1に係る訂正に伴うものであり、その記載内容と訂正後の請求項1の記載内容との間に実質的な差異はない。 したがって、訂正事項4は、請求項1を含む一群の請求項である請求項1乃至4に関係する訂正である。 オ 一群の請求項について 訂正前の請求項1、2及び4について、請求項2及び4は請求項1を引用しているものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 訂正前の請求項3及び4について、請求項4は請求項3を引用しているものであって、訂正事項2によって訂正される請求項3に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1~4に対応する訂正後の請求項1、2及び4は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項である。 カ 特許出願の際に独立して特許を受けることができること 本件訂正に係る本件特許の請求項1、2及び4に係る特許が特許異議の申立ての対象とされているものであるから、本件訂正請求による訂正後の請求項1、2及び4に係る発明については課されない。 (3)小括 以上のとおりであるから、本件訂正請求による訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号及び第3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1、2、4〕について訂正することを認める。 3 訂正後の本件訂正特許発明 上記2で検討したとおり、請求項1、2及び4に係る一群の請求項に係る訂正を認めることができるから、請求項1、2及び4に係る特許についての発明は本件訂正請求により訂正された特許請求の範囲の請求項1、2及び4に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。(以下、それぞれ「本件訂正特許発明1」、「本件訂正特許発明2」及び「本件訂正特許発明4」という。) 「【請求項1】 記録媒体と、 前記記録媒体上にあり、有色色材により形成され、前記記録媒体上で表現する金属光沢領域の色を構成する有彩色層と、 前記有彩色層の上に存在し、透明材料により形成される透明材料層である第1の領域と、 前記有彩色層の上に存在し、前記透明材料により形成される透明材料層である第2の領域と、 を有し、 前記第1の領域の面積で前記第1の領域を形成する前記透明材料の量を割った第1の単位面積あたりの量と、前記第2の領域の面積で前記第2の領域を形成する前記透明材料の量を割った第2の単位面積あたりの量が異なり、 前記有彩色層は、第1の有彩色領域と、前記第1の有彩色領域に隣接する第2の有彩色領域とを有し、 前記第2の有彩色領域の彩度は、前記第1の有彩色領域の彩度よりも高く、 前記第1の領域は前記第1の有彩色領域の上にあり、 前記第2の領域は前記第2の有彩色領域の上にあり、 前記第1の単位面積あたりの量は、前記第2の単位面積あたりの量より多いことを特徴とする印刷物。 【請求項2】 前記第2の領域における前記透明材料の前記第2の単位面積あたりの量はゼロであることを特徴とする請求項1に記載の印刷物。 【請求項3】 (削除) 【請求項4】 前記第1の領域と前記第2の領域とが一定の周期で配列していることを特徴とする請求項1又は2のいずれか1項に記載の印刷物。」 4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について (1)取消理由通知(決定の予告)の概要 令和4年5月12日に提出された訂正請求により訂正された請求項3に係る特許に対して、上記令和4年6月17日付けの取消理由通知(決定の予告)で通知した取消理由は以下の理由を含み、その概要は、以下のとおりである。 ア 取消理由1(特許法第36条第6項第1号違反)について 請求項3に係る特許は、特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 イ 取消理由2(特許法第29条第1項第3号違反)について 請求項3に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された甲第6号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項3に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 ウ 取消理由3(特許法第29条第2項違反)について 請求項3に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された甲第6号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項3に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 (2)当審の判断 本件訂正により、令和4年5月12日に提出された訂正請求により訂正された請求項3に係る発明は削除されたことから、取消理由通知(決定の予告)はその対象が消滅したから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由は解消した。 5 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由及び取消理由について (1)取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった異議申立理由及び取消理由の概要 ア 申立理由1(特許法第36条第6項1号違反)について 請求項1、2及び4に係る特許は、下記(ア)の点で特許請求の範囲の記載が特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、取り消されるべきものである。 (ア)「第1の領域」と「第2の領域」の位置関係について 上記「1(1)【0015】及び【0016】」の記載からすると、上記本件特許発明が解決しようとする課題を解決するためには、「第1の有彩色領域121及び第2の有彩色領域122が互いに隣接し、第1の領域131及び第2の領域132が第1の有彩色領域121及び第2の有彩色領域122に倣って互いに隣接している」ことが必要であると認められる。 しかし、本件特許発明1、2及び4のいずれにも、「第1の有彩色領域121」と「第2の有彩色領域122」との位置関係、並びに「第1の領域131」と「第2の領域132」との位置関係は何ら特定されていないから、本件特許発明1、2及び4は、本件特許発明が解決しようとする課題を解決するための手段が反映されたものとは認められず、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。 イ 申立理由2(特許法第29条第1項第3号違反)について 請求項1、2及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された甲第2乃至5号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明であって、特許法第29条第1項第3号に該当するから、請求項1、2及び4に係る特許は、特許法第29条第1項の規定に違反してされたものである。 ウ 申立理由3(特許法第29条第2項違反)について 請求項1、2及び4に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された甲第2乃至12号証に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、2及び4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 エ 取消理由1(特許法第36条第6項1号違反)について (ア)“金属色の質感を擬似的に表現すること”ができる「印刷物」について 上記「1(1)【0016】」の記載からすると、上記本件特許発明が解決しようとする課題を解決するためには、“金属色の質感を擬似的に表現すること”ができる「印刷物」でなければならないところ、本件特許発明1乃至4の「有彩色層」、「第1の有彩色領域」及び「第2の有彩色領域」のいずれも「有色色材により形成される」ものであるものの、当該「有色色材」が“金属色”であることまでは特定されていないから、本件特許発明1、2及び4は、本件特許発明が解決しようとする課題を解決するための手段が反映されたものとは認められず、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。 (イ)「第1の有彩色領域の彩度」と「第2の有彩色領域の彩度」の関係 上記「1(1)【0016】」の記載からすると、高い彩度を得ることにより、金属色の質感を擬似的に良好に表現することができるものと理解できる。そして、上記「1(1)【0014】及び【0017】」の記載からすると、第2の領域の単位面積あたりのクリアトナーの量がゼロか第1の領域より少ないため、高彩度の有彩色を含む正反射光を得ることができるものと理解できる。 そうすると、上記本件特許発明が解決しようとする課題である、“金属色の質感を擬似的に表現することができる印刷物、印刷物の製造方法、画像形成装置及びプログラムを提供すること”を解決するための手段は、「第2領域」の有彩色層の彩度が「第1領域」の有彩色層の彩度よりも高いことであると認められる。 これに対して、本件特許発明3の「第2の領域」における「透明材料の第2の単位面積当たりの量はゼロ」であるものの、「第2領域」の有彩色層の彩度と「第1領域」の有彩色層の彩度との関係は何ら特定されていないから、本件特許発明3及び4は、本件特許発明が解決しようとする課題を解決するための手段が反映されたものとは認められず、発明の詳細な説明に記載されたものとはいえない。 (2)各甲号証 ア 甲第2号証 (ア)甲第2号証の記載 本願の優先日前の平成22年7月29日に公報が発行された特開2010-162801号公報(以下「甲第2号証」という。)には、次の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下同様。) 「【特許請求の範囲】 【請求項 1】 (A)電磁波を照射すると硬化する無色の流体を噴射するノズルと、 (B)前記無色の流体に対して前記電磁波を照射する照射部と、 (C)画像が形成された媒体上に複数の領域を定め、各前記領域に設定された高さデータに基づいて、各前記領域で硬化される前記無色の流体の高さを制御する制御部と、 を有することを特徴とする流体噴射装置。」 「【技術分野】 【0001】 本発明は、流体噴射装置、及び、流体噴射方法に関する。 【背景技術】 【0002】 流体噴射装置として、紙や布、フィルムなどの各種媒体に流体(例えばインク)を噴射して、画像の印刷を行うインクジェットプリンターが知られている。 また、プリンターには、紫外線を照射すると硬化するインク(紫外線硬化型インク)を使用するものがある。その中でも、媒体上に着弾した紫外線硬化型インクを盛り上がった状態で硬化し、点字を印刷するプリンターが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。 … 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 ところで、点字のように触覚だけで内容を捉える画像に限らず、視覚的にも触覚的にも楽しめるように、画像表面が凹凸形状であり、且つ、高画質な画像の需要が高まっている。しかし、有色の紫外線硬化型インクだけで、表面が凹凸形状である画像を印刷しようとすると、例えば、凸部が凹部に比べて濃く印刷されるなどして、濃度むらが発生してしまう。 そこで、本発明は、表面が凹凸形状であり、且つ、高画質な画像を形成することを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0005】 前記課題を解決するために、主たる本発明は、(A)電磁波を照射すると硬化する無色の流体を噴射するノズルと、(B)前記無色の流体に対して前記電磁波を照射する照射部と、(C)画像が形成された媒体上に複数の領域を定め、各前記領域に設定された高さデータに基づいて、各前記領域で硬化される前記無色の流体の高さを制御する制御部と、を有することを特徴とする流体噴射装置である。 本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。 … 【発明を実施するための形態】 【0007】 本明細書及び添付図面の記載により少なくとも次のことが明らかにされる。 【0008】 即ち、(A)電磁波を照射すると硬化する無色の流体を噴射するノズルと、(B)前記無色の流体に対して前記電磁波を照射する照射部と、(C)画像が形成された媒体上に複数の領域を定め、各前記領域に設定された高さデータに基づいて、各前記領域で硬化される前記無色の流体の高さを制御する制御部と、を有することを特徴とする流体噴射装置を実現すること。 このような流体噴射装置によれば、表面が凹凸形状であり、且つ、高画質な画像を形成することができる。」 「【0013】 かかる流体噴射装置であって、前記複数の領域のうち、第1の高さが設定された第1の領域と、前記第1の高さよりも低い第2の高さが設定された第2の領域と、において、前記制御部は、1つの前記第1の領域に対して1つの前記ノズルを割り当て、複数の前記第2の領域に対して1つの前記ノズルを割り当てること。 このような流体噴射装置によれば、無色の流体の高さ制御を容易にすることができる。 【0014】 かかる流体噴射装置であって、有色の流体で画像が形成された媒体上に前記無色の流体を噴射し、前記媒体に前記有色の流体で形成された前記画像を構成する画素の大きさよりも、前記領域の方が大きいこと。 このような流体噴射装置によれば、無色の流体の高さ制御を容易にすることができる。 【0015】 また、電磁波を照射すると硬化する無色の流体を噴射する流体噴射方法であって、画像が形成された媒体上に複数の領域を定めることと、各前記領域に設定された高さデータに基づいて、各前記領域に前記無色の流体を噴射し、各前記領域で硬化される前記無色の流体の高さを制御することと、を有することを特徴とする流体噴射方法である。 このような流体噴射方法によれば、表面が凹凸形状であり、且つ、高画質な画像を形成することができる。」 「【0031】 ところで、紫外線硬化型インク(無色インク)は、図3Bに示すように、インクに照射する紫外線強度や照射時間を調整することによって、硬化するインクの高さを調整することができる。そこで、本実施形態のプリンター1は、まず、用紙S上に有色インクYMCKで山の画像(図4Bの斜線部)を形成し、その後、有色インクで形成された画像上に無色インク(紫外線硬化型インク)を噴射することで山の凹凸部を形成する。言い換えれば、有色インクで2次元の画像を形成し、無色インクで3次元の画像を形成する。なお、図4A及び図4Bでは、画像Aから画像Cを区別するために、無色インクで形成する凹凸部を黒塗りにしたりクロスを施したりしているが、凹凸部は無色透明である。 【0032】 このような立体的な画像を形成する場合、ユーザーは、アプリケーションソフト上などにおいて、どの画像部分をどれ位の高さにしたいかを示す「高さデータ」を設定する。例えば、図4A及び図4Bに示す画像を形成する場合、ユーザーは、最も高い画像Aの高さデータを「X1」に設定し、次に高い画像Bの高さデータを「X2」に設定し、最も低い画像Cの高さデータを「X3」に設定する。 【0033】 そして、コンピューター70のメモリーに記憶されているプリンタードライバは、2次元の画像データ(山の画像データ)と、高さデータと、に基づいて、プリンター1に立体的な画像を形成させるための印刷データを作成する。本実施形態では、2次元の画像を有色インクで印刷し、表面の凹凸部を無色インクで形成する。そのため、プリンタードライバは、有色インクのノズル列YMCKを用いて2次元の画像を形成させるための印刷データと、無色インクのノズル列UVを用いて表面の凹凸部を形成させるための印刷データと、を作成する。印刷データを作成した後、プリンタードライバはプリンター1にその印刷データを送信する。以下、立体的な画像を形成するプリンター1の印刷方法について詳しく説明する。 【0034】 <印刷方法例1について> 図5は、印刷方法例1のフローを示す図であり、図6Aから図6Fは、印刷方法例1を説明するための図である。プリンター1のコントローラー10は、コンピューター70から印刷データを受信すると、まず、有色インクのノズル列YMCKを用いて、用紙S上に2次元の画像を印刷させる(S001)。 【0035】 次に、プリンター1のコントローラー10は、無色インクに関するデータの有無を確認する(S002)。無色インクに関するデータが有る場合は、有色インクで形成した2次元の画像上に、無色インクで凹凸部を形成するということである。逆に、無色インクに関するデータが無い場合には(S002→NO)、用紙S上には有色インクにて2次元の画像を印刷するのみであるため、印刷を終了する。 【0036】 無色インクに関するデータが有る場合には(S002→YES)、有色インクの画像上に無色インクを噴射し、凹凸部を形成する。ところで、図4A及び図4Bに示すように、本実施形態のプリンター1が印刷する画像では、用紙S上の場所によって(画像Aから画像Cによって)、用紙Sからの高さが異なる。即ち、本実施形態では、有色インクの画像上に多段階的に高さの異なる凹凸部を無色インクで形成する。そのために、この印刷方法例1では、図5のフローに示すように、無色インクを噴射して紫外線を照射する動作(S003)を繰り返し行う。そして、無色インクに関するデータが無くなったら(S004→YES)、印刷を終了する。印刷方法例1では、無色インクを噴射して紫外線を照射する動作を行う回数を異ならせることによって、高さの異なる画像を形成する。 【0037】 以下、無色インクにて凹凸部を形成する方法について詳しく説明する。ここで、プリンタードライバがインストールされたコンピューター70は、無色インクに関する印刷データを作成する際に、有色インクの画像が形成される用紙S上に複数の「領域」を定める。そして、プリンタードライバにより、ユーザーにて設定された高さデータに基づいて、各領域に対応する高さデータが設定される。そして、各領域に設定された高さデータに基づいて、ノズルから領域に無色インクを噴射した後に照射部から領域上の無色の流体に紫外線を照射する動作を行わせる回数を、領域ごとに変える。(なお、無色インクを噴射し紫外線を照射する動作を行わせる回数を決定することは、プリンタードライバに従ってコンピューター70が行うが、無色インクの噴射に関する印刷データに基づいて、ノズルからの無色インクの噴射と紫外線の照射を制御するのは、プリンター1のコントローラー10である。そのため、コンピューター70と、プリンター1のコントローラー10が「制御部」に相当し、コンピューター70とプリンター1が接続された印刷システムが「流体噴射装置」に相当する)。 【0038】 有色の画像が形成された用紙S上に設定する「領域」の大きさは、有色インクの画像を形成する際に設定した「画素(ドットが形成される最小単位)」の大きさよりも大きくするとよい。有色インクの画像を形成する際に設定した画素の大きさが小さいほど、有色インクの画像は高画質な画像となる。一方、無色インクで形成する凹凸部は人が触って楽しんだりするため、あまり小さい領域ごとに画像の高さを制御する必要はない。「領域」を小さく設定し過ぎると、不必要に印刷データの量を増やしたり、ノズルから無色インクを噴射する時間間隔が短くなり、印刷時間を長引かせたりしてしまう。そこで、本実施形態では、有色の画像が形成された用紙S上に設定する「領域」の大きさは、有色インクの画像を構成する「画素」の大きさよりも大きくする。 【0039】 図6Aから図6Fでは、説明のため、有色インクの画像が形成された用紙Sにおいて、X方向の左側から順に、領域A、領域B、領域C、領域D、領域E、領域F、領域G、領域H、と定める。また、領域Cと領域Dに、高さデータが「X1」である画像A(図4B)を形成し、領域Bと領域Eと領域Fに、高さデータが「X2」である画像Bを形成し、領域Aと領域Gと領域Hに、高さデータが「X3」である画像Cを形成する。」 「【0044】 つまり、印刷方法例1では、無色インクを噴射して紫外線を照射する動作を行う回数(繰り返す回数)を、有色インクの画像が形成された用紙S上に定めた領域ごとに異ならせることによって、無色インクで形成する画像の高さを多段階的に異ならせる。」 「【0068】 <変形例> 図12は、表面が凹凸形状である画像の変形例を示す図である。図12には、画像D(斜線部)を上から見た図と、線AA’における断面図と、を示す。ここまで、図4A及び図4Bに示す山の画像のように、用紙Sに対して高さのある画像を例に挙げている。この場合、ユーザーは高さデータとして「+(プラス)のデータ」を入力する。しかし、これに限らず、ユーザーが、ある画像を他の画像よりも低く形成したい場合には、ある画像に対する高さデータとして「-(マイナス)のデータ」を入力できるようにしてもよい。例えば、図12に示すように、画像D(斜線部)に対する高さデータが「-X4」である場合、画像Dの部分を他の部分に比べて、「X4」だけ高さを低く形成することを示す。この場合、プリンタードライバは、画像D以外の領域に無色インクを噴射させる印刷データを作成する。そうすると、プリンター1は、画像Dには無色インクを噴射せず、画像D以外の領域に画像Dを形成する領域よりも、「X4」だけ高さが高くなるように、無色インクが噴射して、紫外線を照射する。その結果、画像Dの部分を他の部分に比べて、「X4」だけ高さを低くすることができる。」 「【図4】 [図:0001395197000001.jpg] 」 「【図12】 [図:0001395197000002.jpg] 」 (イ)甲第2号証に記載された発明 上記(ア)によれば、甲第2号証には、以下の発明(以下「甲2発明」という。))が記載されているものと認められる。 「紙や布、フィルムなどの各種媒体に流体(例えばインク)を噴射して、インクジェットプリンターで画像の印刷を行った、印刷物であって、 画像は、有色インクYMCKで形成したものであり、 有色インクで形成された画像上に無色インク(紫外線硬化型インク)を噴射することで形成された山の凹凸部である画像Aから画像Cであり、 ユーザーは、アプリケーションソフト上などにおいて、どの画像部分をどれ位の高さにしたいかを示す「高さデータ」を設定し、最も高い画像Aの高さデータを「X1」に設定し、次に高い画像Bの高さデータを「X2」に設定し、最も低い画像Cの高さデータを「X3」に設定した、印刷物。」 イ 甲第3号証 (ア)甲第3号証の記載 本願の優先日前の平成20年11月6日に公報が発行された特開2008-265236号公報(以下「甲第3号証」という。)には、次の事項が記載されている。 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 インクジェット塗装噴射装置によって、軟質樹脂と機能剤とを含有した機能剤含有インクを、基材の表面に噴射し、固化させて、凸部を無数に形成した微細軟質凸面を基材の表面に形成し、更に、該微細軟質凸面の凸部に対して、それぞれの一部のみが覆われるようにして、硬化により硬質となるインクを噴射して、粒状の硬質保護膜を形成したことを特徴とする機能性材料。」 「【技術分野】 【0001】 本発明は、機能性材料に関し、詳しくは、インクジェット塗装により表面処理を施して、基材の表面に機能性が付与された機能性材料に関するものである。 【背景技術】 【0002】 従来、室内外で使用される建築材料として、抗菌性や防カビ性、防汚性等を付与した機能性材料が多く用いられている。 このような機能性材料は、抗菌剤や防カビ剤などの機能剤を、樹脂製の材料等では、材料自体に混合して成型が行われたり、あるいは種々の基材や建築材料に表面処理として、機能剤を含有した塗料を塗装したり、機能剤を添加した化粧シートを基材に貼着することにより、その表面部に機能性が付与されていた。」 「【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 しかし、前記特許文献2に記載の床材では、床材の最表面となる保護層が、機能剤及び硬質粒子を添加して形成されているので、いずれか一方の性能(機能性、耐磨耗性)を高めるには、いずれか一方の添加量を多くすることが考えられる。その場合には、硬化性、接着性等の問題から他方の添加量を減少させる必要が生じる。そのため、いずれか一方の性能を高めるための制御は、容易ではなかった。 また、該保護層は、スプレーコート法により基材の表面の全面に形成されるため、機能剤及び硬質粒子のいずれもが最表面の全面に露出することとなる。そのため、表面に露出する機能剤による機能性の効果、及び硬質粒子の添加による耐摩耗性は、床材の表面のどの部位においても同様のものとなり、例えば、床材の部位に応じて、機能剤による機能性の持続性を可変させたり、耐摩耗性を可変させたりすることは困難であった。 【0007】 本発明は、前記問題を解決するために提案されたもので、その目的は、基材の表面が有する機能性の持続性と、表面強度とを、インクジェット塗装による表面処理を利用して調整することのできる新規な機能性材料を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0008】 前記目的を達成するために、請求項1に記載の機能性材料は、インクジェット塗装噴射装置によって、軟質樹脂と機能剤とを含有した機能剤含有インクを、基材の表面に噴射し、固化させて、凸部を無数に形成した微細軟質凸面を基材の表面に形成し、更に、該微細軟質凸面の凸部に対して、それぞれの一部のみが覆われるようにして、硬化により硬質となるインクを噴射して、粒状の硬質保護膜を形成したことを特徴とする。」 「【発明の効果】 【0014】 請求項1乃至6に記載の本発明によれば、機能性材料は、インクジェット塗装噴射装置によって、軟質樹脂と機能剤とを含有した機能剤含有インクを、基材の表面に噴射し、固化させて、凸部を無数に形成した微細軟質凸面を基材の表面に形成しているので、クッション性と機能性とを有する。 また、該微細軟質凸面の凸部のそれぞれは、粒状の硬質保護膜で一部が覆われているので、耐摩耗性、耐スクラッチ性、耐キャスター性をも併せ持つ。 さらに、粒状の硬質保護膜は、微細軟質凸面の凸部に対して、それぞれの一部のみが覆われるようにして形成されているので、微細軟質凸面が有する機能性を阻害することがない。 特に、粒状の硬質保護膜の形成を、インクジェット塗装噴射装置によって、硬化により硬質となるインクを噴射して形成するので、粒状の硬質保護膜による微細軟質凸面の凸部の被覆量を、容易に制御でき、細かい制御、ミクロン単位での制御が可能となる。これにより、微細軟質凸面の凸部の露出量を異ならせて、微細軟質凸面が有する機能性の持続性を、容易に可変できる。例えば、機能性材料が施工される箇所や表面の部位に応じて、その表面が有する機能性の持続性と表面強度とを可変させて設定することも可能となる。 さらにまた、微細軟質凸面の形成と粒状の硬質保護膜の形成とが、いずれもインクジェット塗装噴射装置によって、それぞれのインクを噴射させることによりなされるので、微細軟質凸面の凸部への粒状の硬質保護膜の形成を、容易に行うことができる。」 「【発明を実施するための最良の形態】 【0020】 以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。 図1乃至図3は、本発明に係る機能性材料の実施形態の一例を示し、図1(a)は、機能性材料の概略平面図、(b)は、(a)におけるZ部の拡大概略断面図、図2は、同実施形態に係る機能性材料の製造装置の一例を示すブロック図、図3は、同実施形態に係る機能性材料の製造工程を説明するための概略平面図である。 【0021】 本実施形態の機能性材料10は、図1に示すように、木質系ボードからなる基材11の表面11aに、後記する凸部12a、12bを無数に形成して構成される微細軟質凸面12が形成され、更に、微細軟質凸面12の凸部12a、12bの上に、粒状の硬質保護膜13が形成されている。 この機能性材料10が使用される施工箇所としては、建築物の内装及び外装等に使用可能であり、例えば、扉、床、階段、框、柱、手摺り、棚、キッチンパネル、天井、各種家具のキャビネットや天板、内壁、外壁、屋根等に好適である。 【0022】 基材11に適用される木質系ボードとしては、集成材、合板、パーティクルボード、木質繊維板等が挙げられるが、これら以外のものでもよい。更に、基材11としては、これら木質系以外のプラスチック等の合成樹脂材料や、レンガ、瓦、セラミックスや、セメントを主成分として補強繊維や無機質充填材を含有したセメント系の窯業系材料、その他、金属材料等を基材11としてもよい。また、基材11の形状も図例のような板状のものに限られず、角柱状、円柱状、円錐状等の様々な形状のものとしてもよい。 また、基材11の表面11aには、目止め処理や、後記する機能剤含有インクに合わせて、下地処理(インク受理層)がなされている。 【0023】 微細軟質凸面12は、後記する第1インクジェット塗装噴射ユニット21によって、軟質樹脂と機能剤と着色剤とを含有した機能剤含有インクが噴射されて形成されている。 機能剤含有インクとしては、後記するノズルヘッドの駆動方式や、含有される樹脂、機能剤等に応じて、適宜、公知のインクジェット用インク、例えば、メチルエチルケトンやエタノール、アセトンなどを溶剤とする速乾性インク、オイルベースの油性インク、水性インクなどが適用可能であり、乾燥・固化することにより軟質となるものであればどのようなものでもよいが、含有する樹脂や機能剤の性能を阻害しない構成とし、少なくとも軟質性、耐候性、耐水性のあるものとすることが好ましい。 この機能剤含有インクに含有される軟質樹脂としては、ウレタン系樹脂、オレフィン系樹脂等が挙げられるが、これに限らず、乾燥・固化した際に、軟質となるものであればどのようなものでもよい。 【0024】 上記の機能剤含有インクに含有される機能剤としては、防腐剤、抗菌剤、消臭剤、防虫剤、撥水剤、親水剤、光触媒が挙げられ、これらのうちの1種が含有されたものとしてもよく、また2種以上が含有されたものとしてもよい。防腐剤としてはパラベン、ソルビン酸が挙げられる。抗菌剤及び消臭剤としては銀が挙げられる。防虫剤としてはパラジクロロベンゼン、ナフタリンが挙げられる。撥水剤としてはフッ素系フィラー、シリコーンが挙げられ、親水剤としてはシリカゾルが挙げられる。光触媒としては酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、三酸化タングステン、酸化第ニ鉄、三酸化ビスマス、酸化スズ等が挙げられる。このように、種々の機能性を有する機能剤を、機能性材料10が使用される施工箇所に応じて、選択的に含有させることで、種々の機能性が付与された、市場性の高い機能性材料10となる。 【0025】 このような機能剤は、その物性に応じて、機能剤含有インクに溶解して液体となるものでもよく、そのインクに分散される粒子でもよい。また、その配合量は、機能剤によって異なるが、0.1重量%~20重量%とすれば良い。 尚、粒子を溶剤に分散させる場合は、用いられる粒子としてその粒子径が数nm~数μmのものが好ましく、沈殿等が生じないよう適宜、公知の分散媒を混合することが好ましい。 また、機能剤含有インクの各構成素材の混合比は、後記するノズルヘッドの駆動方式、基材11に形成された前記受理層の物性、施工箇所、そのインクに含まれる樹脂や溶剤、機能剤の物性に応じて適宜選択可能である。 さらに、適用されるインクカラーとしては、本実施形態のように、微細軟質凸面12の形成により、図柄を形成する場合においては、基材11の表面11aが前記したように例えば、受理層が形成されて白地とされている場合は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン等のインクが適用されるが、基材11の表面11aの色が異なる場合や、受理層を形成する必要が無い基材の場合は、その基材11の表面11aの色に応じて、適宜、選択可能である。 【0026】 粒状の硬質保護膜13は、後記する第2インクジェット塗装噴射ユニット21´によって、硬化により硬質となるインクが噴射されて形成されている。 該インクとして、本実施形態では、紫外線が照射されることにより硬化する性質を具備する紫外線硬化型インクを適用している。 該紫外線硬化型インクとしては、公知の紫外線硬化型インクの適用が可能であり、少なくとも、重合性化合物(ラジカル重合性化合物やカチオン重合性化合物など)、光開始剤等からなるインクに、後記する硬質粒子を含んだもので、透明性を有するものとしてもよい。 【0027】 前記紫外線硬化型インクに添加される硬質粒子としては、シリカ、アルミナ、ジルコン等が挙げられ、これら硬質粒子は、前記紫外線硬化型インクに分散、混合される。 これら硬質粒子の粒径は、後記するノズルヘッド25´の噴射ノズルの噴射口径や、ノズル駆動方式、インクの物性等に応じて適宜、選択可能であるが、20nm~100μm程度とすることが好ましい。また、分散、混合される硬質粒子が沈殿等しないよう適宜、公知の分散媒を紫外線硬化型インクに混合することが好ましい。 尚、硬質粒子としては、紫外線硬化型インクが硬化することにより形成される粒状の硬質保護膜13の耐摩耗性の向上が可能なものであれば、前記したものに限られず、どのようなものでもよい。」 「【0035】 上記のように乾燥・固化して形成された微細軟質凸面12を構成する凸部12a、12bの径は、適宜、選択可能であるが、20μm~2.0mm程度としてもよい。 これら、無数に形成された凸部12a、12bは、それぞれ、ミクロン単位の微細なものであるため、本実施形態のように機能剤含有インクに着色剤を添加して形成された、所定の色彩を有する無数の凸部12a、12bの集合による微細軟質凸面12は、図1(a)に示すように、木目模様の図柄となる。」 「【0038】 ここで、硬質保護膜13の形成による、各凸部12a、12bの被覆量は、適宜、設定可能である。本実施形態では、微細軟質凸面12を構成する各凸部12a、12bのうち、木目模様の濃い部位を構成する凸部12bは、硬質保護膜13による被覆量が大となるように設定されている。 すなわち、木目模様の薄い部位を構成する凸部12aの上部に形成された粒状の硬質保護膜13aの粒径D1と、木目模様の濃い部位を構成する凸部12bの上部に形成された粒状の硬質保護膜13bの粒径D2とが、D1<D2となるようにしている。」 「【0040】 尚、図1(b)では、微細軟質凸面12を構成する各凸部12a、12bは、基材11の表面11aが僅かに露出するように一定の間隙を隔てて、均等に点在させて梨地状に形成されているが、それぞれの凸部12a、12b間に形成される間隙は、凸部12a、12bの集合からなる微細軟質凸面12による図柄の視認性を阻害しないものであれば、一定ではなく、ランダムなものとしてもよい。また、凸部12a、12bを点在させるのではなく、格子状としたり、凸条としたりしてもよい。あるいは、一部に凸部12a、12bのそれぞれが接触した平面的に連続した広がりを持った部位が形成されているものとしてもよい。 また、微細軟質凸面12により形成される図柄は、本実施形態では、木目模様としているが、これに限られず、石目模様、布目模様、抽象模様、幾何学図形、文字または記号等どのようなものでもよい。 さらに、本実施形態では、硬質保護膜13の形成を、それぞれ、微細軟質凸面12を構成する凸部12a、12bの上部に固着させる態様としたが、これに限られず、例えば、それぞれの凸部間の間隙に硬質保護膜13を形成する態様としてもよい。この場合には、機能性材料10の表面強度を高めるべく、基材11の表面11aに対して、硬質保護膜13の最上部が、各凸部12a、12bの最上部よりも高くなるようにして形成することが好ましい。 さらにまた、硬質保護膜13の透明性は、微細軟質凸面12により形成された図柄や色彩の視認性を阻害しない限りにおいて、半透明としてもよい。」 「【図1】 [図:0001395197000003.jpg] 」 (イ)甲第3号証に記載された発明 上記(ア)によれば、甲第3号証には、以下の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているものと認められる。 「基材11の表面11aに、後記する凸部12a、12bを無数に形成して構成される微細軟質凸面12が形成され、更に、微細軟質凸面12の凸部12a、12bの上に、粒状の硬質保護膜13が形成されている機能性材料10であって、 微細軟質凸面12を構成する各凸部12a、12bのうち、木目模様の濃い部位を構成する凸部12bは、硬質保護膜13による被覆量が大となるように、木目模様の薄い部位を構成する凸部12aの上部に形成された粒状の硬質保護膜13aの粒径D1と、木目模様の濃い部位を構成する凸部12bの上部に形成された粒状の硬質保護膜13bの粒径D2とが、D1<D2となるように設定されている、 機能性材料10。」 ウ 甲第4号証 (ア)甲第4号証の記載 本願の優先日前の平成24年8月23日に公報が発行された特開2012-159834号公報(以下「甲第4号証」という。)には、次の事項が記載されている。 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 画像支持体上に画像を形成して原画像を得る工程と、 前記原画像上に、クリアトナーによるクリアトナー定着画像により構成された光沢調整層を形成する工程とを有し、 前記光沢調整層が、光沢調整単位の集合体により形成されており、 前記光沢調整単位が、クリアトナーが付着した部分と、クリアトナーが付着していない部分とにより構成されており、 前記クリアトナーが付着した部分と、前記クリアトナーが付着していない部分とにより形成される境界線が直線であることを特徴とする画像形成方法。 【請求項2】 前記光沢調整層の層厚が、3~20μmであることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。 【請求項3】 前記クリアトナーが、粒径が5~15μmのものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成方法。 【請求項4】 前記光沢調整単位が、正方形形状であって、一辺の長さが100~500μmであることを特徴とする請求項1~請求項3のいずれかに記載の画像形成方法。 【請求項5】 前記正方形形状である光沢調整単位が、当該光沢調整単位の正方形形状の領域を縦横に2等分して形成される4つの正方形から形成され、縦または横に並んでいない2つが、前記クリアトナーが付着した部分として形成されている市松模様状の構成であることを特徴とする請求項4に記載の画像形成方法。 【請求項6】 静電潜像担持体上に形成された静電潜像をクリアトナーが含有される現像剤により現像してクリアトナー像を形成するクリアトナー像形成手段と、画像支持体上に画像を形成して得られた原画像上に前記クリアトナー像を転写・定着して光沢調整層を形成する光沢調整層形成手段とを有し、 前記光沢調整層が、光沢調整単位の集合体により形成されており、 前記光沢調整単位が、クリアトナーが付着した部分と、クリアトナーが付着していない部分とにより構成されており、 前記クリアトナーが付着した部分と、前記クリアトナーが付着していない部分とにより形成される境界線が直線であることを特徴とする画像形成装置。」 「【技術分野】 【0001】 本発明は、画像形成方法および画像形成装置に関する。 【背景技術】 【0002】 近年、カタログやダイレクトメールなどの印刷分野において、付加価値を向上させる目的から、例えば光沢加工などの表面加工を施した高付加価値印刷物の需要が高まっている。 このような印刷物においては、印刷物全面または一部を所望の光沢度に調整することができるものが求められ、その上、その光沢度についても精細な制御をすることができるものが求められている。」 「【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0006】 本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、任意の個所が任意の光沢度に調整された画像を形成することのできる画像形成方法および画像形成装置を提供することにある。 【課題を解決するための手段】 【0007】 本発明の画像形成方法は、画像支持体上に画像を形成して原画像を得る工程と、 前記原画像上に、クリアトナーによるクリアトナー定着画像により構成された光沢調整層を形成する工程とを有し、 前記光沢調整層が、光沢調整単位の集合体により形成されており、 前記光沢調整単位が、クリアトナーが付着した部分と、クリアトナーが付着していない部分とにより構成されており、 前記クリアトナーが付着した部分と、前記クリアトナーが付着していない部分とにより形成される境界線が直線であることを特徴とする。」 「【発明の効果】 【0013】 本発明の画像形成方法によれば、原画像上に形成されるクリアトナー定着画像による光沢調整層が光沢調整単位の集合体により形成されており、当該光沢調整単位が、クリアトナーが付着した部分(以下、「クリアトナー付着部分」ともいう。)と、クリアトナーが付着していない部分(以下、「クリアトナー未付着部分」ともいう。)とにより構成されており、当該クリアトナー付着部分とクリアトナー未付着部分とにより形成される境界線が直線であることにより、光沢調整単位として、選択された種類または大きさのものを用いることによって、任意の個所が任意の光沢度に調整された画像を形成することができる。 【0014】 本発明の画像形成装置によれば、本発明の画像形成方法が実行されるので、任意の個所が任意の光沢度に調整された画像を形成することができる。」 「【発明を実施するための形態】 【0016】 以下、本発明について詳細に説明する。 【0017】 〔画像形成方法〕 本発明の画像形成方法は、画像支持体上に画像を形成して原画像を得る工程(以下、「原画像形成工程」ともいう。)と、この原画像上にクリアトナーによるクリアトナー定着画像により構成された光沢調整層を形成する光沢調整層形成工程とを経ることにより、光沢度が調整された画像(以下、「光沢調整画像」ともいう。)を得る方法である。 従って、本発明の画像形成方法によれば、形成される画像全面またはその一部を所望の光沢度に制御することができる。 本発明においては、原画像とは、任意の個所が任意の光沢度に調整される前の画像をいい、画像形成方式を問わず形成された無色または有色の画像をいう。 【0018】 本発明の画像形成方法は、原画像形成工程と光沢調整層形成工程とを連続的に実行することのできる画像形成装置を用いて行ってもよいし、また、原画像形成工程と光沢調整層形成工程とを別個の画像形成装置を用いて行ってもよい。 【0019】 〔原画像形成工程〕 原画像形成工程において、原画像の形成方法としては、特に限定されず、公知の画像形成方法を採用することができ、例えば、電子写真方式、インクジェット方式、印刷方式などの画像形成方法が挙げられる。ただし、これらの中でも光沢調整層を構成するクリアトナーとの関係から、電子写真方式による画像形成方法が好ましい。また、原画像は、有色の画像であることが好ましい。 以下、原画像が電子写真方式による画像形成方法により形成される例を具体的に説明する。図1(A)に示すように、静電潜像担持体上において形成された静電潜像をトナーにより現像することによって形成されるトナー像を画像支持体10上に転写し、転写されたトナー像を加熱・加圧定着することにより原画像2が形成される。 【0020】 この原画像2は、例えば、イエロートナー、マゼンタトナー、シアントナーおよびブラックトナーなどの複数色の有色のトナーにより形成されるものであってよいし、単色の有色のトナーにより形成されるものであってもよい。また、無色のトナーにより形成されるものであってもよい。 【0021】 〔光沢調整層形成工程〕 光沢調整層形成工程において、光沢調整層の形成方法としては、電子写真方式による画像形成方法を採用することができる。例えば、図1(B)に示すように、静電潜像担持体上に形成された静電潜像をクリアトナーにより現像することによって形成されるクリアトナー像を原画像2上に転写し、転写されたクリアトナー像を加熱・加圧定着することによりクリアトナー定着画像3が形成され、これにより、光沢調整層3Aが形成される。」 「【0026】 〔光沢調整単位〕 本発明において、光沢調整単位は、クリアトナー付着部分とクリアトナー未付着部分とにより構成されており、クリアトナー付着部分とクリアトナー未付着部分とにより形成される境界線が直線とされる。ここで、クリアトナー付着部分とクリアトナー未付着部分とにより形成される境界線が直線とは、書き込み状態が直線状のものをいい、書き込みドットまたはトナー形状の一部によるごく微小な曲線は、実質的に直線とみなすものとする。クリアトナー付着部分とクリアトナー未付着部分とにより形成される境界線が直線とされる具体例としては、光沢調整単位の領域中のクリアトナー付着部分が、直線辺からなる多角形形状のものが挙げられる。…」 「【0029】 図2に、正方形形状である光沢調整単位の具体例を示す。この図2においては、黒の塗りつぶし部分が、クリアトナー付着部分5Aを示し、白抜き部分が、クリアトナー未付着部分5Bを示す。 図2(A)は、光沢調整単位の正方形形状の領域を縦横に2等分して形成される4つの正方形のうち、縦または横に並んでいない2つがクリアトナー付着部分5Aとして形成され、その他の2つがクリアトナー未付着部分5Bとして形成されている市松模様状の構成であり、図2(B)は、光沢調整単位の正方形形状の領域の四辺に沿って伸びる四角枠状部分がクリアトナー付着部分5Aとして形成されている構成であり、図2(C)は、光沢調整単位の正方形形状の領域を横に2等分して形成される2つの長方形のうち、上側がクリアトナー付着部分5Aとして形成され、下側がクリアトナー未付着部分5Bとして形成されている構成である。 図5(A)は、本発明に用いられるもの以外の光沢調整単位の例、すなわち、クリアトナー付着部分とクリアトナー未付着部分とにより形成される境界線が直線ではない光沢調整単位を示す例であって、光沢調整単位の一辺の長さの1/2の長さを直径とする2つの円形形状のクリアトナー付着部分5Aが形成されている構成である。」 「【0033】 また、光沢調整層3Aは、原画像2上の全面に形成されるものであってもよいし、局所的に形成されるものであってもよい。 【0034】 〔クリアトナー〕 光沢調整層形成工程において用いられるクリアトナーとは、光吸収や光散乱の作用により色が認識されないトナーをいう。すなわち、クリアトナーは実質的に無色透明であればよく、具体的には、顔料、染料などの着色剤を含まないトナー、前記着色剤を色認識ができない程度に含むトナー、または、クリアトナーを構成する成分、例えば結着樹脂、離型剤および外添剤などの種類や添加量によって透光性が若干低くなっているトナーなどが挙げられる。」 「【0063】 このような画像形成装置においては、まず、原画像形成部60における有色トナー像形成手段20Y,20M,20C,20Kにおいて、感光体21Y,21M,21C,21K上に、帯電手段22Y,22M,22C,22Kにより帯電、露光手段30Y,30M,30C,30Kにより露光、現像手段24Y,24M,24C,24Kにより現像を経て各色の有色トナー像が形成される。次に、一次転写ローラ27Y,27M,27C,27Kにより中間転写体26A上に各色の有色トナー像が順次重ね合わされて転写される。給紙カセット41内に収容された画像支持体10が、給紙搬送手段42により給紙され、複数の給紙ローラ44A,44B,44C,44Dおよびレジストローラ46を経て、二次転写ローラ29Aに搬送されると共に、当該画像支持体10上に、中間転写体26A上に転写された有色トナー像が一括して転写される。そして、画像支持体10上に転写された有色トナー像が定着装置50Aにおいて加圧および加熱により定着され、原画像2が形成される。 【0064】 その後、クリアトナー定着画像形成部70におけるクリアトナー像形成手段20Sにおいて、感光体21S上に、帯電手段22Sより帯電、露光手段30Sにより露光、現像手段24Sにより現像を経てクリアトナー像が形成される。次に、一次転写ローラ27Sにより中間転写体26B上にクリアトナー像が転写され、二次転写ローラ29Bにおいて、原画像形成部60において形成された原画像2上に、中間転写体26B上に転写されたクリアトナー像が転写される。そして、原画像2上に転写されたクリアトナー像が定着装置50Bにおいて加圧および加熱により定着され、原画像2上にクリアトナー定着画像3が形成された画像支持体10が機外の排紙トレイ90上に載置される。以上により、画像支持体10上に形成された原画像2上に、クリアトナー定着画像3よりなる光沢調整層3Aが形成されることにより、光沢調整画像Pが得られる。」 「【0073】 〔実施例1〕 画像形成装置「bizhub C353」(コニカミノルタビジネステクロノジーズ社製)に、市販の「bizhub C353」用の有色のトナー(シアントナーおよび黒トナー)を投入し、画像支持体「OKトップコート+157g/m2 」(王子製紙社製)上に黒ベタのパッチ画像(20mm×50mm)を3つおよびシアンベタのパッチ画像(20mm×50mm)を3つの原画像を形成した。 その後、クリアトナー〔1〕を、新たな画像形成装置「bizhub C353」(コニカミノルタビジネステクロノジーズ社製)に投入し、原画像上に、図2(A)に示す光沢調整単位を使用し、その一辺の長さ(a)を100μmとして、当該光沢調整単位が面方向に縦横に密に配列されたクリアトナー定着画像により構成された光沢調整層を形成し、光沢調整画像を得た。光沢調整単位の一辺の長さ(a)が200μm、300μm、400μm、500μmである場合についてもそれぞれ同様に光沢調整層を形成して下記の評価を行った。」 「【図1】 [図:0001395197000004.jpg] 」 「【図2】 [図:0001395197000005.jpg] 」 (イ)甲第4号証に記載された発明 上記(ア)によれば、甲第4号証には、以下の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されているものと認められる。 「画像支持体上に形成した原画像と、 前記原画像上に、クリアトナーによるクリアトナー定着画像により構成された光沢調整層とを有し、 前記光沢調整層が、光沢調整単位の集合体により形成されており、 前記光沢調整単位が、クリアトナーが付着した部分と、クリアトナーが付着していない部分とにより構成されており、 前記クリアトナーが付着した部分と、前記クリアトナーが付着していない部分とにより形成される境界線が直線であり、 前記光沢調整単位が、正方形形状であって、一辺の長さが100~500μmであり、 前記正方形形状である光沢調整単位が、当該光沢調整単位の正方形形状の領域を縦横に2等分して形成される4つの正方形から形成され、縦または横に並んでいない2つが、前記クリアトナーが付着した部分として形成されている市松模様状の構成である画像調整画像。」 エ 甲第5号証 (ア)甲第5号証の記載 本願の優先日前の平成28年12月28日に公報が発行された特開2016-224229号公報(以下「甲第5号証」という。)には、次の事項が記載されている。 「【特許請求の範囲】 【請求項1】 透明色材によって記録媒体に付与する視覚効果の種類と、有色色材によって前記記録媒体に出力される画像データを出力する際の倍率と、に対応する透明色材のパターンデータを記憶する記憶部と、 前記画像データと、前記視覚効果の種類を示す付加データと、前記画像データの前記記録媒体に対する面積を示す情報を含む配置情報と、を受信する受信部と、 前記配置情報を参照して、前記画像データを出力する際の倍率を算出する配置情報処理部と、 前記記憶部から、前記付加データで示された前記視覚効果の種類と、算出された前記倍率とに対応する、前記パターンデータを選択する選択部と、 算出された前記倍率に応じて、前記画像データを変換する第1変換部と、 変換された前記画像データと、選択された前記パターンデータとにより、前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置。」 「【技術分野】 【0001】 本発明は、画像形成装置、画像形成方法、およびプログラムに関する。 【背景技術】 【0002】 従来、CMYK等の有色トナーに加えて無色の透明トナーを用いて用紙等の記録媒体に画像を形成する画像形成装置が知られている。また、このような画像形成装置を活用するため、原稿データに制御データとして、「パターンとしては認識が困難であるが画像表面に所定の光沢質感を与える制御コード」や「パターンとして明確に認識可能なパターンを指定する制御コード」等を付加し、視覚的な表面効果を得る技術が知られている。 【0003】 例えば、記録媒体に視覚的な効果を付与する印刷制御装置が開示されている(特許文献1参照)。特許文献1の印刷制御装置では、付与する表面効果の種類と、記録媒体における領域を特定するための光沢制御値が指定された光沢制御版データを画素毎に処理する構成が開示されている。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 しかしながら、上述したような従来の視覚的な表面効果を付与する技術では、RIP(Raster Image Processor)された制御コードをパターンに置き換えていた。従って、例えば、記憶媒体に形成する画像を集約するなど原稿データを縮小した画像を記録する場合、透明トナーのパターンは縮小されずに利用されていたため、所望の視覚的な表面効果が得られないことがあるという問題があった。 【0005】 本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、原稿データを縮小または拡大した画像を記録媒体に記録する場合でも、所望の視覚的な表面効果を得ることができる画像形成装置、画像形成方法、およびプログラムを得ることを目的とする。 【課題を解決するための手段】 【0006】 上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、透明色材によって記録媒体に付与する視覚効果の種類と、有色色材によって前記記録媒体に出力される画像データを出力する際の倍率と、に対応する透明色材のパターンデータを記憶する記憶部と、前記画像データと、前記視覚効果の種類を示す付加データと、前記画像データの前記記録媒体に対する面積を示す情報を含む配置情報と、を受信する受信部と、前記配置情報を参照して、前記画像データを出力する際の倍率を算出する配置情報処理部と、前記記憶部から、前記付加データで示された前記視覚効果の種類と、算出された前記倍率とに対応する、前記パターンデータを選択する選択部と、算出された前記倍率に応じて、前記画像データを変換する第1変換部と、変換された前記画像データと、選択された前記パターンデータとにより、前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、を備える。 【発明の効果】 【0007】 本発明によれば、原稿データを縮小または拡大した画像を記録媒体に記録する場合でも、所望の視覚的な表面効果を得ることができるという効果を奏する。」 「【0017】 図1に戻り、まずは、プリンタ部12のハードウェア構成を説明する。プリンタ部12は、カートリッジ121と、感光体ドラム122と、帯電部123と、現像部124と、中間転写ベルト125と、二次転写ローラ126と、定着部127と、を有している。 【0018】 カートリッジ121は、シアン(C)色、マゼンタ(M)色、イエロー(Y)色、黒(K)色の有色トナー、およびクリア(T)の透明トナーであるクリアトナーを収容するものであり、各トナーの種類に対応した5つのカートリッジ121C、121M、121Y、121K、121Tを有している。 … 【0020】 本実施形態で使用されるクリアトナーとは、無色透明のトナーであり、着色剤を含まない樹脂から生成されるトナーである。そして、クリアトナーは、用紙等の記録媒体の表面を適宜覆うことで、記録媒体の表面を滑らかにして光沢を与えたり、記録媒体の表面に意図的な凹凸を形成してマット感を付与したりすることで、視覚的な表面効果である視覚効果を実現する。」 「【0034】 次に、画像形成装置1の制御部10の機能構成について説明する。図3は、第1実施形態の制御部の機能構成を示すブロック図である。図3に示すように、制御部10は、送受信部202と、画像処理部220と、画像形成部204と、第1パターン記憶部251と、第2パターン記憶部252と、選択情報記憶部253と、を備えている。これら各部は、図2に示されている各構成要素のいずれかが、ROM102に記憶されているプログラムに従ったCPU101からの命令によって動作することで実現される機能である。 【0035】 送受信部202は、図2に示すネットワークI/F106により実現され、PC(Personal Computer)等の情報処理装置との間でデータを送受信する。本実施形態では、送受信部202は、PC等から送信された画像データと、付加データと、配置情報と、を受信する。 【0036】 ここで、画像データとは、有色トナーによって用紙等の記録媒体に印刷(出力)されるデータ、すなわち、記録媒体に有色トナーで形成すべき画像を表すデータであり、RGBやCMYK等の表色形式やモノクロ濃淡形式で表現された、ビットマップ形式やベクトル形式のデータである。 【0037】 また、付加データとは、クリアトナーによって用紙等の記録媒体に付与する視覚効果の種類を示すデータ、すなわち、クリアトナーを用紙等の記録媒体に付着させることで付与する視覚効果の種類が、単色の濃淡形式で表現されたビットマップ形式やベクトル形式のデータである。また、付加データは、記録媒体に付与する視覚効果の種類が画素ごとに特定できる。 【0038】 また、配置情報とは、画像データおよび付加データが示す視覚効果の記憶媒体に対する面積や位置を示す情報である。つまり、配置情報とは、記録媒体に画像データおよび付加データが示す視覚効果をそのままの位置・大きさで記録するか、あるいは、位置や大きさをどのように変更して記録するかを示す情報であり、印刷設定の際の拡大・縮小の設定や面付けの設定等に基づく情報である。 【0039】 画像処理部220は、送受信部202が受信した画像データおよび付加データ等に画像処理を施して、画像形成部204が有する有色トナーの記録量およびクリアトナーの記録量に変換する。詳細は後述する。 【0040】 画像形成部204は、画像処理部220により変換された有色トナーの記録量と、クリアトナーの記録量とに基づいて、記憶媒体に画像を形成(印刷)する。 【0041】 ここで、視覚効果の例であるインバースマスク、マット調、および地紋について説明する。インバースマスクとは、視覚効果を与える対象の領域を構成する各画素上のCMYKの有色トナーおよびクリアトナーを合わせた総付着量が均一になるようにするためのものである。具体的には、CMYK版の画像データにおいて当該対象の領域を構成する画素の表す記録量を全て加算し、その加算値を所定値から差し引いた画像データがインバースマスクとなる。ここで、以下の式(1)~式(4)では、クリアトナーを「Clr」として表記する。」 「【0057】 次に、視覚効果の一つである地紋について説明する。地紋とは、マット調とは逆に、パターンとして認識されるものをクリアトナーで付加するものである。ここで、クリアトナーはもともと見にくいので、小サイズのパターンは実用的ではない。このため知覚しやすいように10線またはそれ以下の間隔パターンが好ましい。 【0058】 このようなマット調におけるクリアトナーの凹凸と、地紋とは、どちらもパターンデータとして記憶しておくことができる。そして、視覚効果の種類を表す視覚効果データの値に応じて、対応するパターンデータを呼び出して、クリアトナーの記録量を示す透明色材量データに変換される。 … 【0060】 一方、地紋のパターンデータは、画像データのサイズに合わせて選ばれるので、後述する配置情報処理部221が算出する画像データのシフト量や倍率に合わせて、地紋のパターンデータの大きさを変更して、透明色材量データに変換させることが望ましい。」 「【0088】 次に、透明色材量変換部226は、視覚効果データが示す視覚効果が地紋パターンか否かを判断する(ステップS18)。地紋パターンである場合(ステップS18:Yes)、第1選択部224および第2選択部225は、視覚効果データが示す視覚効果と、配置情報処理部221により算出された倍率とに応じた地紋パターンを選択し、透明色材量変換部226は、選択された地紋パターンを透明色材量データに変換し(ステップS20)、ステップS30に進む。」 「【0092】 このように、本実施形態の画像形成装置では、原稿データを縮小または拡大して記録媒体に印刷する場合であっても、縮小または拡大に伴うシフト量や倍率等の条件と、付加データが示す視覚効果の種類とに応じてパターンデータを選択し、選択したパターンデータをクリアトナーにより印刷するため、原稿データを縮小または拡大して印刷する場合であっても、所望の視覚的な表面効果を得ることができる。」 「【図7】 [図:0001395197000006.jpg] 」 「【図8】 [図:0001395197000007.jpg] 」 (イ)甲第5号証に記載された発明 上記(ア)によれば、甲第5号証には、以下の発明(以下「甲5発明」という。)が記載されているものと認められる。 「透明色材によって記録媒体に付与する視覚効果の種類と、有色色材によって前記記録媒体に出力される画像データを出力する際の倍率と、に対応する透明色材のパターンデータを記憶する記憶部と、 前記画像データと、前記視覚効果の種類を示す付加データと、前記画像データの前記記録媒体に対する面積を示す情報を含む配置情報と、を受信する受信部と、 前記配置情報を参照して、前記画像データを出力する際の倍率を算出する配置情報処理部と、 前記記憶部から、前記付加データで示された前記視覚効果の種類と、算出された前記倍率とに対応する、前記パターンデータを選択する選択部と、 算出された前記倍率に応じて、前記画像データを変換する第1変換部と、 変換された前記画像データと、選択された前記パターンデータとにより、前記記録媒体に画像を形成する画像形成部と、を備える画像形成装置により、有色色材及び透明色材によって印刷(出力)された用紙等の記録媒体。」 オ 甲第6号証 (ア)甲第6証の記載 本件特許の優先日前の2016年2月に頒布された文献である「堀本邦芳著、「後加工の進化-デジタル化と付加価値の追求-」、日本印刷学会誌、社団法人日本印刷学会発行、2016年、第53巻第1号、24~33頁」(以下「甲第6号証」という。)には、次の事項及び図が記載されている。 「1.はじめに 印刷物は刷っただけでは商品の付加価値は低い.折りと断裁加工を済ませたチラシにしても、無線綴じなどの製本加工をするか、あるいはパッケージの形になるか、いずれにせよ物流に耐える形で、商品形態になってこそコンテンツを運ぶ媒体としての価値を持つ.近年、ポストプレス(印刷後後加工)は、印刷工程の全体最適化を目指したCIP-4の普及とともにプリプレス、印刷工程との連携を深め、自動化とデジタル制御の面で大きく進化してきた.IPEX2002で始まったCIP4のJDF(ジョブ・デスクリプション・フォーマット)を利用した.プリプレスから印刷、後加工を連携するデモが行われたのはdrupa2004のHorizonプースの展示であった.年々対応するメーカーも増加し、コンピュータ制御の後加工機は当たり前になっている. さらに後加工における進化は、印刷物、パッケージの高付加価値化の方向で大きな動きを見せている.美粧化、光沢付与、デザイン性の高い表面加工、3次元加工が、デザインの3次元化とともに、3次元情報を含むCADデータ処理を活かしたデジタル後加工が出現している. ポスターにせよ、化粧品のパッケージにせよメタル箔やスポットニス加工、工ンボス加工などの表面装飾は、以前からも数多く使われてきているのだが、デジタル化の恩恵は、より精細に、カスタム化された商品を生み出そうとしている. この総説では、そうした後加工のトレンドと最新の技術動向と先進事例を紹介する.」(24頁左欄1行~右欄1行) 「3.高付加価値の後加工 OPニス加工や、ラミネート加工により本の表紙や、カタログ、メニュー、食品カートン、化粧品箱、薬品箱など多くの製品が加工されている.中にはエンボス加工や、メタル箔押しを加え、より華美に消費者の目を引きつけるものも多い. 年末にドイツで買ってきたLindtのチョコレートの箱の表はすべて金文字でエンボスされ飾られており、裏も金文字で詳細情報が出ている(図6).さすがにバーコードだけはプラックであるが、細かく見るとLot番号と製造年月日の部分の記載は金のべースに文字が白抜きで打たれているが、詳しく見ると、レーザーで焼き飛ばされて刻まれているらしい. このチョコレートはクリスマスプレゼントの定番の製品であり、大量に生産されているが、可変情報の追い刷りは、どのようなパッケージでも必要であり、多くはインクジェットを利用しているが、レーザーによるマーキング技術も最近の展示会では見る機械が多い.これも一つの後加工技術である. 印刷後加工として3次元の製品を作る動きがいくつか出ている.IGAS2015で注目されたものの1つが、プラスチックシートに水無しオフセットUV印刷し、超高圧押し出し成型する技術がリョービMHIグラフィックテクノロジー(RMGT)社で展示された(図7). スクリーン印刷は厚膜で強靭な印刷塗膜ができる.オフセットは大量生産と、その高い画像品質がある.これらの特性を活かすため、専用の水なしオフセット印刷機をRMGTが開発し、成形性・耐熱性に優れたインキをミノグループが提供し、システムを導入する大和グランドの3社が共同で開発したのがSATシステムである. このシステムにより最大235気圧の超高圧で高精度に深絞り(+18mm -40mm)ができる.従来の押し出し成型と異なり、非接触の多分割ヒータを個別に温度制御し、フィルムのガラス転移温度まで加熱する.柔らかくなるが融けることは無い.そして金型に対して235気圧の空気圧をかけて、密着させ成形する.その結果、歪が無く位置精度に優れた加工ができるので意匠性が極めて高い.しかも10-15秒で1サイクルが可能という.これは深絞り成形による最終製品の作成と付加価値創造であるが、新しい用途開発である(図8).」(26頁左欄10行~27頁左欄13行) 「3.2 3次元二ス加工と箔加工のデジタル化 次に3次元効果をもたらす、インクジェットニス加工を紹介する.一番早く出てきたのはイスラエルに本社を置くScodixである.この会社は設立が2007年で、IPEX2010に初めてデジタルエンハンシングプレスを発表した.それ以来世界40カ国に累計100台以上のデジタルニス加工機を出荷している. ScodixUltraは21.5x31inch(B2+サイズ)の用紙に1時間当たり1250枚の速度でスポットニス加工ができる.しかもシングルバスで非常に高精度な位置合わせで、超光沢からマット調までニスホリマーの厚みを自在に可変できる(図22). このサンプルでは左のバスケットボールの表面の突起とリブの部分がニス加工で盛り上がっている(図23). このサンプルでは富士フィルムのJetPress720インクジェットデジタル印刷機で刷られた上にニスを加えワニ皮のバッグの皮の質感をリアルに再現しているのが分かる(図24). 次のサンプルは、キャラクター製品である.バットマンとスーパーマンのデザインに合わせてパターン化されたニス加工でキャラクターを際立たせている(図25)この用途は、消費者に売れるキャラクター製品としての印刷物の価値を高める差別化である. またScodixでもScodixUltraProのオプションユニットとしてScodixFoilシステムを付けて、スポットエンボスニスを吐出した後メタル箔を張り付けUV硬化して箔押し加工する技術を発売している(図26). 一方Scodixの対抗として名乗りを上げたのがフランスのMGI社である.元々トナーベースのデジタル印刷機を開発していたMGI社は2011年にJETvarnishをパリの展示会に出展している.その後JETvarnish3Dに進化してdrupa2012、IPEX2014、IGAS2015と私も目にすることができた(図27). MGI社はコニカミノルタのトナーエンジンをOEMしたことから技術提携から始まり、現在では資本の20%をコニカミノルタが所有し販売提携する関係になっている. このサンプルはハイネケンのビール瓶に着いた水滴をエンボスニスで表現することで旨さを暗示させる効果がある(図28). このサンプルではイグアナの皮膚のごつごつとした感じが良く再現されている(図29). メタル箔押しのオプションiFOILはB2サイズで最大1700枚/時の生産性を持つ(図30). iFOILのサンプルだが非常に微細な抜き加工により正確なイメージの再現が可能となっている(図31・図32). ScodixもMGIも同じようにインクジェットニスにメタル箔加工のオプションを備えている.これらのサンプルが示すところは、インクジェットによるニス吐出とUV硬化によるメタル箔加工は、オンデマンドのデジタル加工でありデジタルデータ処理から、極めて正確なデザインパターンを3次元的な厚みを含めて再現する事ができる.その結果従来のアナログの後加工では不可能だったビジュアルと触感による複合的な意匠性が得られる.さらにパーソナル化カスタム化の応用が新たな市場を生み出す可能性がある.」(29頁右欄1行~32頁左欄11行) 「 [図:0001395197000008.jpg] 」(図23 ScodixUltraのニス加工サンプル) 「 [図:0001395197000009.jpg] (図23 ScodixUltraのニス加工サンプルの拡大図) 拡大図より、バスケットボールの表皮の画像には、所定方向に配列された彩度の低い点状の部分と、彩度の低い点状の部分以外の茶色い部分とが形成されていることが看取できる。 バスケットボールの表皮は一般に茶色であって.表皮に突起が形成されていることからすると、彩度の低い点状の部分は突起であって.拡大図からすると、彩度の低い点状の部分にニス加工がされているものと認められる。 (イ)甲第6証に記載された発明 上記(ア)の事項及び図示によれば、甲第6号証には、以下の発明(以下「甲6発明」という。)が記載されているものと認められる。 「3次元効果をもたらす、インクジェットニス加工がされた印刷物であって、 印刷物には、バスケットボールの画像が印刷され、 前記画像におけるバスケットボールの茶色い表皮の画像には、所定方向に配列され、ニス加工がされた彩度の低い点状の部分である突起と、彩度の低い点状の部分以外の茶色い部分とが形成されている、印刷物。」 (3)当審の判断 ア 申立理由1(特許法第36条第6項1号違反)について (ア)本件訂正により、令和4年5月12日に提出された訂正請求により訂正された本件訂正特許発明1は、「第2の有彩色領域」が「第1の有彩色領域に隣接する」と特定された。 前記特定により、本件特許発明が解決しようとする課題を解決するための手段である「第1の有彩色領域121及び第2の有彩色領域122が互いに隣接し、第1の領域131及び第2の領域132が第1の有彩色領域121及び第2の有彩色領域122に倣って互いに隣接している」との事項が本件訂正特許発明1に反映された。 (イ)そうすると、本件訂正特許発明1、2及び4は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさないとはいえないから、申立理由1により、本件特許請求の範囲の請求項1、2及び4に係る特許を取り消すことはできない。 イ 申立理由2(特許法第29条第1項第3号違反)について 本件訂正により、本件訂正特許発明1の「印刷物」の「有彩色層」が「記録媒体上で表現する金属光沢領域の色を構成する」と特定された。 これに対し、特許異議申立人が提示したいずれの甲号証にも、「印刷物」の「有彩色層」が「記録媒体上で表現する金属光沢領域の色を構成する」ものであって、当該「有彩色層」の上に存在し、「透明材料により形成される透明材料層」との事項は記載されていない。 そうすると、本件訂正特許発明1、2及び4は、特許法第29条第1項第3号に該当するものではないから、申立理由2により、本件特許請求の範囲の請求項1、2及び4に係る特許を取り消すことはできない。 ウ 申立理由3(特許法第29条第2項違反)について 本件訂正により、本件訂正特許発明1の「印刷物」の「有彩色層」が「記録媒体上で表現する金属光沢領域の色を構成する」と特定された。 これに対し、特許異議申立人が提示したいずれの甲号証にも、「印刷物」の「有彩色層」が「記録媒体上で表現する金属光沢領域の色を構成する」ものであって、当該「有彩色層」の上に存在し、「透明材料により形成される透明材料層」との事項は記載されていないし、示唆もされていない。 また、「印刷物」の「有彩色層」を「記録媒体上で表現する金属光沢領域の色を構成する」ものであって、当該「有彩色層」の上に存在し、「透明材料により形成される透明材料層」との事項が設計的事項といえる理由もない。 そうすると、本件訂正特許発明1、2及び4は、特許法第29条第2項に該当するものではないから、申立理由3により、本件特許請求の範囲の請求項1、2及び4に係る特許を取り消すことはできない。 エ 取消理由1(特許法第36条第6項1号違反)について (ア)本件訂正により、令和4年5月12日に提出された訂正請求により訂正された本件訂正特許発明1は、「有彩色層」が「記録媒体上で表現する金属光沢領域の色を構成する」と特定された。 前記特定により、本件特許発明が解決しようとする課題を解決するための手段である「有色色材」が“金属色”であることが本件訂正特許発明1に反映された。 (イ)本件訂正により、請求項3に係る本件特許は削除された。 (ウ)そうすると、本件訂正特許発明1、2及び4は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たさないとはいえないから、取消理由1により、本件特許請求の範囲の請求項1、2及び4に係る特許を取り消すことはできない。 6 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件請求項1、2及び4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件請求項1、2及び4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 さらに、請求項3は、本件訂正請求により削除された。これにより、特許異議申立人による特許異議申立てについて、請求項3に係る申立ては、申立ての対象が存在しなくなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700019

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