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特許異議申立

2022-701194

キャップ付ボトル缶及びその密栓方法

審判番号
2022-701194
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-162268
登録番号
7082929
請求日
2022年12月01日
審決日
2023年02月22日
公報発行日
2023年03月31日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】アルテミラ製缶株式会社
  • 【権利者代理人】青山 正和
  • 【異議申立人】柏木 香陽子
審判長/審判官
  • 審判長 山崎 勝司
  • 審判官 森本 哲也
  • 審判官 藤原 直欣
分類
P1652.14 -Y (B65D) / P1652.113-Y (B65D) / P1652.121-Y (B65D)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第1項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第2条第1項、特許法第39条
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7082929号発明「キャップ付ボトル缶及びその密栓方法」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7082929号の請求項1~2に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7082929号の請求項1~2に係る特許についての出願は、平成30年8月31日に出願され、令和4年6月1日にその特許権の設定登録がされ、令和4年6月9日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和4年12月1日に特許異議申立人柏木香陽子(以下「申立人」という。)により、本件特許異議の申立てがされた。 第2 本件発明 特許第7082929号の請求項1~2の特許に係る発明(以下請求項1~2に係る各発明を、請求項の番号に従って「本件発明1」、「本件発明2」という。)は、本件特許の特許請求の範囲の請求項1~2に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 「【請求項1】 ボトル缶の口部に形成された雄ねじ部にキャップを装着して密栓したキャップ付ボトル缶であって、前記キャップに、開栓時に内圧を開放するベントホールと、所定の内圧になると開口する周方向に沿う線状の弱化ラインとが設けられており、前記弱化ラインの長さ方向の中心位置は、前記口部の開口端から前記雄ねじ部のねじ山の稜線までの距離が4.90mm未満となる領域を避けて設けられていることを特徴とするキャップ付ボトル缶。 【請求項2】 前記距離が4.90mm未満となる領域は、前記雄ねじ部の始端部から前記雄ねじ部に沿って周方向に80°進んだ位置までであり、 さらに、前記弱化ラインの長さ方向の中心位置は、前記雄ねじ部の始端部から周方向に沿って手前に10°の位置までの領域も避けて設けられていることを特徴とする請求項1記載のキャップ付ボトル缶。」 第3 申立理由の概要 申立人は、以下に示す甲第1号証~甲第7号証を提出し、概略以下の申立理由1~3により、本件発明1~2は特許を受けることができない旨を主張している。 [証拠方法] 甲第1号証:特許第4753315号公報 甲第2号証:特許第4074143号公報 甲第3号証:特開2006-56606号公報 甲第4号証:実願昭58-145646号(実開昭60-52291号)のマイクロフィルム 甲第5号証:特許第4194414号公報 甲第6号証:特許第3723200号公報 甲第7号証:特開2007-45452号公報 (以下、甲第1号証を「甲1」という。他の甲各号証についても、同様である。) 申立理由1:甲1及び甲4~7に記載された事項を踏まえれば、本件発明1~2は、新たに「発明」されたものではなく、「産業上利用することができる発明した者」には該当しないため、特許法第29条第1項柱書の規定により、特許を受けることができない。 申立理由2:本件発明1は、甲1、甲6又は甲7に記載された発明であり、本件発明2は、甲1に記載された発明に対し、甲2及び甲3に記載された事項に基づく周知の設計範囲内の数値の限定を行ったものであるため、特許法第29条第1項第3号の規定により、特許を受けることができない。 申立理由3:本件発明2は、甲1に記載された発明、甲2、甲3、甲6及び甲7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により、特許を受けることができない。 第4 当審の判断 1 申立理由1(特許法第29条第1項柱書)について (1) 産業上利用することができる発明について 特許法第29条第1項柱書は、「産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明については特許を受けることができる。」と定め、その前提となる「発明」について同法第2条第1項が、「この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」と定めている。 ここで、本件発明1~2は、上記第2に記載のとおり「キャップ付ボトル缶」の構造に係るものであり、「本発明によれば、防爆のための弱化ラインの位置を特定の領域を避けて配置するようにしたから、弱化部が不用意に開口してしまう現象の発生を防止することができる。」(本件特許明細書の段落【0014】)との効果を奏するものである。 したがって、本件発明1~2は、「発明」に該当するとともに、(ア)人間を手術、治療又は診断する方法の発明、(イ)業として利用できない発明、(ウ)実際上、明らかに実施できない発明、のいずれにも該当しないことから、「産業上利用することができる発明」に該当する。 よって、本件特許権者は「産業上利用することができる発明をした者」に該当する。 (2) 申立人の主張について 申立人は、甲1及び甲4~7に記載された事項を踏まえれば、本件発明1~2は、新たに「発明」されたものではなく、「産業上利用することができる発明した者」には該当しない旨を主張する。 当該主張について、以下検討する。 特許法第2条第1項が「「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」と定め、同法第29条第1項柱書において、「産業上利用することができる発明をした者は、次に掲げる発明を除き、その発明について特許を受けることができる。」とした上で、「次に掲げる発明」として、第1~3号に公知発明等を挙げている。このような特許法の規定の仕方からすると、特許法は、特許を受けようとする発明が自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものであり、かつ産業上利用することができるものであるかをまず検討した上で、これらの要件を満たす発明であっても公知発明等に当たる場合には特許を受けることができないものと定めていると解すべきである。 そうすると、特許法第29条第1項柱書該当性の判断に当たっては、特許法第39条、第29条の2、第29条第1項及び第2項のように、2つの発明を対比することにより特許要件の有無を判断する場合とは異なり、特許請求の範囲によって特定された発明全体が自然法則を利用した技術的思想の創作に当たるかどうかを全体的に検討すべきである。(平成20年(行ケ)第10279号) そうしてみると、上記検討すべき事項をいうものではない申立人の主張は、採用することができない。 (3) 小括 以上のとおりであるから、本件発明1~2は、産業上利用することができる発明であり、特許法第29条第1項柱書の要件を満たす。 2 申立理由2(特許法第29条第1項第3号)及び申立理由3(特許法第29条第2項)について (1) 甲1~7に記載された事項・発明 ア 甲1 (ア) 甲1には、次の事項が記載されている(なお、下線は、参考のため当審が付与したものである。以下、同様である。)。 「【請求項1】 上方に配された天面部と、該天面部の周縁から略垂下されてなる円筒部とを備えボトルの口部を密栓するキャップであって、 前記円筒部が、前記天面部近傍であって一部の非形成領域を除いて周方向に複数並べて形成されたナール凹部と、 前記ナール凹部に開口形成され開栓時に内圧を開放する線状の第1の弱化部と、 前記非形成領域に形成されていると共に前記第1の弱化部よりも下方側に配され前記ボトルの口部を密栓した状態で所定の内圧になると開口する線状の第2の弱化部とを有していることを特徴とするキャップ。」 「【請求項6】 ボトル本体と、該ボトル本体の口部に被着されるキャップとを備え、 前記キャップが、請求項1から4のいずれか一項に記載のキャップであることを特徴とするボトル。」 「【0014】 以下、本発明に係るキャップ及びボトルの一実施形態を、図1及び図2を参照しながら説明する。 【0015】 本実施形態のキャップ1は、図1及び図2に示すように、例えば直径38mm口径のアルミニウム又はアルミニウム合金製(金属製)ボトル本体2の口金部(口部)3に被着されて密栓するピルファープルーフキャップ(以下、PPキャップとも称す)となるものである。このキャップ1は、アルミニウム又はアルミニウム合金板材をカップ状に成形したもので、上方に配された天面部4と、該天面部4の周縁から略垂下されてなる円筒部5とを備えている。 【0016】 上記円筒部5は、周方向に断続的に形成されたスリット6を介して上下に分割された筒上部7と筒下部8とを有し、隣接するスリット6間に形成される複数のブリッジ6aによって筒上部7と筒下部8とを連結した形状としたものである。 図2に示すように、このキャップ1が被着されるボトル本体2の口金部3には、ねじ山3a及び膨出部3bが形成されており、ここに被せられたキャップ1はねじ山3a、膨出部3b等の形状に沿うように塑性変形される。これによって、キャップ1がPPキャップ10として口金部3に被着され、ボトル本体2を密封状態とすることで、ボトル100が得られる。 【0017】 上記円筒部5は、天面部4近傍であって一部の非形成領域11を除いて周方向に複数並べて形成されたナール凹部12と、ナール凹部12に開口形成され開栓時に内圧を開放するナールスリット(線状の第1の弱化部)12aと、非形成領域11に形成されていると共にナールスリット12aよりも下方側に配されボトル本体2の口金部3を密栓した状態で所定の内圧(例えば、6kgf/cm2)になると開口する弱化ライン(線状の第2の弱化部)13aとを有している。」 「 [図:0001395272000001.jpg] 」 「 [図:0001395272000002.jpg] 」 (イ) 以上の、甲1の記載事項を総合するに、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているものと認められる。 「キャップ1がPPキャップ10として口金部3に被着され、ボトル本体2を密封状態とすることで得られる、ボトル100であって、 キャップ1が被着されるボトル本体2の口金部3には、ねじ山3a及び膨出部3bが形成されており、ここに被せられたキャップ1はねじ山3a、膨出部3b等の形状に沿うように塑性変形され、 キャップ1は、上方に配された天面部と、該天面部の周縁から略垂下されてなる円筒部とを備え、前記円筒部が、前記天面部近傍であって一部の非形成領域を除いて周方向に複数並べて形成されたナール凹部と、前記ナール凹部に開口形成され開栓時に内圧を開放する線状の第1の弱化部と、前記非形成領域に形成されていると共に前記第1の弱化部よりも下方側に配され前記ボトルの口部を密栓した状態で所定の内圧になると開口する線状の第2の弱化部とを有している、 ボトル100。」 イ 甲2 甲2には、次の事項が記載されている。 「【請求項1】 口金部にカール部が形成され、前記カール部から下方に向かって拡径する傾斜部が設けられ、前記傾斜部の下方にねじ部が形成された金属製ボトル缶であって、 前記ねじ部のねじ始点から前記口金部の上端面までの高さをh(mm)とし、 前記ねじ始点から前記カール部の最下端点に向かう傾斜部が中心軸と形成する傾斜角をθ(°)とし、 前記ねじ始点を通過する外径をD1(mm)とし、 前記カール部の最外部を通過する外径をD2(mm)とし、 前記カール部の上端面から前記カール部の最下端点までの高さをT(mm)とするとき、 [図:0001395272000003.jpg] を、満足し、 D1=33mm~38mm、hが、3.6mm≦h≦4.68mm、かつ、前記傾斜角θが、33.2°≦θ≦54.6°の範囲に設定されていることを特徴とする金属製ボトル缶。」 「 [図:0001395272000004.jpg] 」 「 [図:0001395272000005.jpg] 」 ウ 甲3 甲3には、次の事項が記載されている。 「【請求項1】 口金部にねじ部が形成された金属製ボトル缶であって、 前記ねじ部のねじ始点から前記口金部の上端面までの高さhが、3.24mm≦h≦5.6mmの範囲に設定されていることを特徴とする金属製ボトル缶。」 「 [図:0001395272000006.jpg] 」 「 [図:0001395272000007.jpg] 」 エ 甲4 甲4には、次の事項が記載されている。 「2. 実用新案登録請求の範囲 搬送装置によって搬送される瓶の口部にキヤツプを被着するキヤツプシュートが設けられた被着装置と、上記瓶口部に被着されたキヤツプを押さえるプレツシヤロツドおよびこのキヤツプの周壁を転造して周壁に瓶口周面のねじ山に合致するねじ部を形成する転造ローラを備え上記被着装置に隣接して設けられたスピニング装置とを有するキヤツピングマシンにおいて、上記キヤツプを押さえるプレツシヤロツドと上記キヤツプシュートとの間に、瓶口部に被着されて送られるキヤツプの抜は止めプレートが設けられて成ることを特徴とするキャッピングマシン。」 オ 甲5 甲5には、次の事項が記載されている。 「【請求項1】 容器の口部に金属製キャップを被せた後、成形ロールを、前記キャップの周りに当接させて前記容器の口部に予め形成された雄ネジ部の周方向に沿って転動させることにより、前記キャップに雌ネジ部を形成するキャッピング装置において、 前記成形ロールによるネジ成形の可能な位置に前記容器を保持し、かつ回動可能な保持部と、 前記成形ロールが前記キャップの外周面に当接する前に、前記キャップの外周面に前記成形ロールが当接する一定の位置に対して、前記雄ネジ部の円周方向の位置が所定の位置となるように前記保持部と共に前記容器を回動させる位置設定手段とを備えていることを特徴とするキャッピング装置。」 カ 甲6 (ア) 甲6には、次の事項が記載されている。 「【請求項1】 天板部(2)とその周縁から垂下した筒部(3)とを有するキャップ本体(4)を備えたキャップであって、 前記筒部に、ナール部(15)と、非ナール部(18)とが周方向に並んで形成され、 前記ナール部が、周方向に間隔をおいて形成された複数のナール凹部(12)を有し、 前記非ナール部の少なくとも1つには、周方向長さが前記ナール凹部より長い非ナール部排気孔(17)が形成され、 該非ナール部排気孔は、前記ナール凹部の最上部とほぼ同じ高さとなるように形成され、前記キャップが装着されている状態で容器の内圧が所定値以上となったときに、該非ナール部排気孔の上縁部(17b)と下縁部(17a)の隙間が広がるように変形して該容器内のガスを放出するようにされていることを特徴とするキャップ。」 「【請求項4】 容器(30)と、その口部(31)に装着されるキャップとを備えた閉止装置内に飲料が充填された飲料入り閉止装置であって、 前記キャップが、請求項1~3のうちいずれか1項に記載のものであることを特徴とする飲料入り閉止装置。」 「【0008】 図1~図4は、本発明のキャップの一例を用いた閉止装置を示すもので、ここに示す閉止装置は、容器30と、その口部31に装着されるキャップ1とから構成されている。 容器30は、アルミニウム、アルミニウム合金、スチールなどの金属からなり、容器口部31の開口端部31aは外方に湾曲した形状となっている。 なお、容器としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの合成樹脂や、ガラスからなるものを使用することもできる。 【0009】 キャップ1は、円形の天板部2とその周縁から垂下した筒部3とからなるキャップ本体4と、天板部2内面に設けられたライナー5とを備えている。 筒部3は、水平スコア6(弱化ライン)によって、水平スコア6より上部の主部8と、ブリッジ7によって主部8の下端に連結されたタンパーエビデンスリング部9(TEリング部9)とに区画されている。 筒部3には、キャップ1を容器口部31に装着する際にネジ部10が形成される。ネジ部10は、容器口部31の雄ネジ32に沿う形状となるように形成される。 TEリング部9の下部は、容器口部31の膨出段部33に沿って内方に湾曲した裾部11とされ、開栓時に膨出段部33に係止するようになっている。 【0010】 図1および図4に示すように、筒部3の上部には、ナール部15が形成されている。 ナール部15は、キャップ1を把持して回転させる際の滑り止めを目的として形成されたもので、周方向に間隔をおいて形成された複数のナール凹部12と、隣り合うナール凹部12の間の部分である非形成部19とからなる。 十分な滑り止め効果を得るには、ナール凹部12の底部12aのキャップ軸方向長さは、1.5mm以上(好ましくは2mm以上)とするのが好適である。 ナール凹部12は、ほぼ一定の高さ位置に、一定間隔毎に形成するのが好ましい。 ナール部15は、筒部3の外周の一部に相当するナール形成領域13に形成されている。 【0011】 各ナール凹部12の最上部には、キャップ本体4内のガスを外部に排出するナール部排気孔16(第1の排気孔)が形成されている。 ナール部排気孔16は、周方向に延びるスリット状とするのが好ましい。 ナール部排気孔16の周方向の長さ(図1に示す長さA)は、例えば1~4mmとすることができる。この長さAは、ナール凹部12の周方向の長さに相当する。 図4に示すように、ナール部排気孔16の下縁部16aは、上縁部16bよりも内方に位置している。 【0012】 図1に示すように、ナール形成領域13以外の領域、すなわち筒部3の外周の他部に相当する領域14には、ナール凹部12が形成されていない。 この領域14(以下、非ナール形成領域14という)において、ナール凹部12とほぼ同じ高さの部分、すなわちナール凹部12bとナール凹部12cとの間に相当する部分を非ナール部18と呼ぶ。 非ナール部18は、ナール部15における非形成部19(隣り合うナール凹部12、12の間に相当する部分)に比べ周方向に長くされている。非ナール部18は、ナール部15と周方向に並ぶ位置に形成される。 【0013】 図1および図3に示すように、キャップ1では、非ナール部18に、非ナール部排気孔17(第2の排気孔)が形成されている。 非ナール部排気孔17は、周方向に延びるスリット状とするのが好ましい。図示例では、非ナール部排気孔17は、ナール部排気孔16とほぼ同じ高さに形成されている。 非ナール部排気孔17の数は1または2以上とすることができる。図示例では非ナール部排気孔17の数は1つとされている。 【0014】 図1に示すように、非ナール部排気孔17は、ナール部排気孔16に比べて周方向に長く形成されている。すなわち、非ナール部排気孔17の長さ(図1に示す長さB)は、ナール部排気孔16の長さAより大きくなっている。 非ナール部排気孔17は、短すぎれば容器内圧を低減する効果が不十分となり、長すぎれば密封性が低下する。 このため、非ナール部排気孔17の長さBは、筒部3の外周長さに対し5~15%(好ましくは6~13%)とするのが好ましい。長さBは、例えば5~20mm(好ましくは8~15mm)とするのが好適である。 長さBを上記範囲とすることによって、容器内圧が過度に上昇するのを防ぐことができ、しかも十分な密封性を得ることができる。 長さBは、容器30の内圧が70~150psi(0.48~1.03MPa)(ゲージ圧。以下同様)となったときに容器30内のガスが外部に排出されるように設定することもできる。」 「【実施例】 【0030】 (実施例1) 図1に示すキャップ1を作製した。 ナール形成領域13には、26個のナール凹部12を一定間隔毎に形成し、これらナール凹部12にそれぞれスリット状のナール部排気孔16(長さ:1.2mm)を形成した。 非ナール部18(長さ15mm)には、周方向に沿うスリット状の非ナール部排気孔17(長さ9.5mm)を形成した。 図3に示すように、太径部分20は、外径が上縁部17bの外径より大きくなるように形成した。 キャップ1の外径は38mmとした。 キャップ本体4の材料としては、JISに規定されたアルミニウム合金5151(引張強度215N/mm2)を用いた。」 「 [図:0001395272000008.jpg] 」 「(当審で画像を時計回りに90°回転させている。) [図:0001395272000009.jpg] 」 (イ) 以上の、甲6の記載事項を総合するに、甲6には、次の発明(以下「甲6発明」という。)が記載されているものと認められる。 「容器(30)と、その口部(31)に装着されるキャップ(1)とを備えた閉止装置内に飲料が充填された飲料入り閉止装置であって、 前記キャップは、天板部(2)とその周縁から垂下した筒部(3)とを有するキャップ本体(4)を備え、 前記筒部(3)には、キャップ(1)を容器(30)の口部(31)に装着する際にネジ部10が形成され、ネジ部10は、容器(30)の口部(31)の雄ネジ(32)に沿う形状となるように形成され、 前記筒部(3)に、ナール部(15)と、非ナール部(18)とが周方向に並んで形成され、 前記ナール部(15)が、周方向に間隔をおいて形成された複数のナール凹部(12)を有し、 各ナール凹部(12)の最上部には、キャップ本体(4)内のガスを外部に排出するナール部排気孔(16)が形成されており、 前記非ナール部(15)の少なくとも1つには、周方向長さが前記ナール凹部(12)より長い非ナール部排気孔(17)が形成され、 該非ナール部排気孔(17)は、周方向に延びるスリット状であり、 該非ナール部排気孔(17)は、前記ナール凹部(12)の最上部とほぼ同じ高さとなるように形成され、前記キャップ(1)が装着されている状態で容器(30)の内圧が所定値以上となったときに、該非ナール部排気孔の上縁部(17b)と下縁部(17a)の隙間が広がるように変形して該容器(30)内のガスを放出するようにされている、 飲料入り閉止装置。」 キ 甲7 (ア) 甲7には、次の事項が記載されている。 「【請求項1】 円形天面壁及び該天面壁の周縁から垂下する円筒形スカート壁を有する金属薄板製シェルと、該シェル内に配設された合成樹脂製ライナーとを具備し、該シェルの該スカート壁には、螺子形成領域を備え且つ該螺子形成用領域の上端部分に環状溝が形成されている容器蓋において、 前記スカート壁の前記環状溝よりも上方の部分には、周方向に延在する内圧開放ラインが配設されており、且つ該内圧開放ラインと該環状溝との間を通るようにして環状ビードが配設されていることを特徴とする容器蓋。 【請求項2】 前記内圧開放ラインは、周方向に間隔をおいて周方向に延びる複数のスリットと、該スリット間に存在し且つ周方向幅が比較的小さい低強度橋絡部とからなる低強度領域を含む請求項1に記載の容器蓋。 【請求項3】 前記内圧開放ラインは、前記低強度領域と、該低強度領域の周方向延長線上に位置する高強度領域とを含み、該高強度領域は、複数のスリットと、該スリット間に位置し且つ前記低強度橋絡部よりも周方向幅の大きい高強度橋絡部とから構成されている請求項2に記載の容器蓋。」 「【請求項8】 前記内圧開放ラインは、前記スカート壁の周長の5乃至35%の長さを有する長いスリットから構成されている請求項1に記載の容器蓋。 【請求項9】 前記内圧開放ラインは、前記長いスリットに加えて、周長の短いスリットが配設されている請求項8に記載の容器蓋。」 「【0012】 図1を参照して、全体として1で示す本発明の容器蓋は、金属薄板製シェル3と合成樹脂製ライナー5とから構成されている。 【0013】 金属薄板製シェル3は、例えば厚さが0.22乃至0.26mm程度のアルミニウム系合金製であり、円形天面壁7とこの天面壁7の周縁から垂下する略円筒形状のスカート壁9とを有する。」 「【0017】 概説すると、このような容器蓋1は、図2及び図3に示されているように、容器口頸部70に被せられ、図4、5に示す巻き締め工程によって容器口頸部70に巻き締められ、これにより、図6及び図7に示されているように容器口頸部70に固定され、容器口頸部70が密封される。」 「【0019】 図2を参照して、容器口頸部70は、金属、ガラス、硬質樹脂等からなるものであり、図2等では金属製のものが例示されている。この容器口頸部70の上端にはカール部71が形成され、側面には、螺子73が形成され、螺子73の下方には顎部75が形成されている。」 「【0021】 上記の状態で、図4及び図5に示すようにして巻き締めが行われる。即ち、容器口頸部70に被せられた容器蓋1を、外側押圧具77で容器口頸部70の上端に押さえ付けて、その肩部を変形させながら、螺子形成用ローラ79を、容器蓋1の環状溝17に導入し、次いで容器蓋1のスカート壁9を押し付けながら容器口頸部70の螺子73に沿ってローラ79を回転させていくことにより、スカート壁9の螺子形成領域15に、容器口頸部70の螺子73と螺子係合する螺子23を形成する。一方、容器蓋1のTE裾部13の下端は、裾部巻き締めローラ81によって容器口頸部70の顎部75の下側に押し付けられ、顎部75の下側に沿って変形する。 【0022】 上記の巻き締め工程により、図6及び図7に示すように、容器蓋1は、容器口頸部70に巻き締め固定され、容器口頸部70(カール部71)の上端及び外周部に前述したライナー5の環状周縁部5bが密着することにより、容器口頸部70が密封されることとなる。この状態において、容器蓋1のスカート壁9は容器口頸部70の外面に螺子係合しており、且つ容器蓋1のTE裾部13の下端は、容器口頸部70の顎部75の下側に固定されている。」 「【0024】 ところで、上記のような構造の容器蓋1では、スリット20とその間の橋絡部とにより内圧開放ラインAが形成されている。即ち、容器内圧が何らかの理由により上昇した場合(例えば容器内容物の発酵等)、容器蓋1の天面壁7が膨らんだ状態に変形すると、直ちにスリット20間の橋絡部が破断してガス抜きが行われ、例えば容器蓋1(天面壁7)の過度の変形や容器口頸部70からのキャップ飛びなどの不都合が有効に防止されるようになっている。」 「【0027】 上述した本発明において、スリット20による内圧開放ラインAは、種々のパターンとすることができ。 【0028】 例えば、図1に示す例では、内圧開放ラインAが弧状に形成されており、この内圧開放ラインAは、図8に示されているように、低強度領域A1と高強度領域A2とを含んでおり、低強度領域A1と高強度領域A2との間には、55で示す補強橋絡部が形成され、さらに弧状の内圧開放ラインAの間には、超高強度橋絡部Bが形成されている。 【0029】 低強度領域A1は、複数のスリット20の間が、周方向幅が比較的小さい低強度橋絡部50となっており、容器の内圧上昇により破断し易い領域であり、容器内圧上昇による天面壁7の変形により直ちに低強度橋絡部50が破断し、ガス抜きが最も容易に行われるようになっている。この橋絡部50の周方向長さは、0.5乃至0.9mm程度である。 【0030】 また、高強度領域A2は、複数のスリット20間が、上記の橋絡部50の周方向幅よりも長い高強度橋絡部53となっている。この高強度領域A2は、容器内圧が上昇してもスカート壁9と容器口頸部70とが螺子係合しているときには、キャップ飛びが起こらないような状態を維持しているが、開栓操作の初期段階では容易にガス抜きが行われるようにするために設けられた領域である。かかる高強度領域A2における高強度橋絡部53の周方向幅は、1.0乃至2.5mm程度である。」 「【0035】 また上述した例では、低強度領域A1を複数の短いスリット20と破断可能な橋絡部50とで形成しているが、周長の長いスリットのみで低強度領域A1を形成することもできる。即ち、このような周長の長いスリットによる低強度領域A2では、スリット間の橋絡部の破断を生じさせることなく、内圧上昇時のガス抜きを生じさせることができ、このような長いスリットの周長は、スカート壁の周長の5乃至35%の長さとするのがよい。また、このような周長の長いスリットと、上述した短い多数のスリット20とを併用して内圧開放ラインAを形成することもできる。但し、このような周長の長いスリットを用いた場合には、落下衝撃などに対する強度が低くなるという欠点がある。」 「【0038】 (実施例1) 厚さ0.25mmのアルミニウム系合金薄板から、図1に示す形態を有し、呼び径38mmのシェルを形成し、次いで、かかるシェルの天面壁に軟化溶融状態の軟質ポリエチレンを供給し、図1に図示するとおりの形態のライナーを型押成形し、かくして図1示すとおりの環状ビードを有する形態の容器蓋を形成した。かかる容器蓋の仕様は以下の通りである。」 「 [図:0001395272000010.jpg] 」 「 [図:0001395272000011.jpg] 」 「(当審で画像を時計回りに90°回転させている。) [図:0001395272000012.jpg] 」 (イ) 以上の、甲7の記載事項を総合するに、甲7には、次の発明(以下「甲7発明」という。)が記載されているものと認められる。 「容器蓋1が、容器の容器口頸部70に被せられ、巻き締め工程によって前記容器口頸部70に巻き締められて固定され、前記容器口頸部70が密封される前記容器蓋1及び前記容器であって、 前記容器の前記容器口頸部70の側面には、螺子73が形成され、 前記容器蓋1は、金属薄板製シェル3と合成樹脂製ライナー5とから構成され、前記金属薄板製シェル3は、円形天面壁7とこの天面壁7の周縁から垂下する略円筒形状のスカート壁9とを有し、 前記金属薄板製シェル3の前記スカート壁9には、螺子形成領域15を備え且つ該螺子形成用領域15の上端部分に環状溝が形成されており、該螺子形成領域15に、前記容器口頸部70の前記螺子73と螺子係合する螺子23が形成され、 前記スカート壁9の前記環状溝よりも上方の部分には、周方向に延在する内圧開放ラインAが配設されており、且つ該内圧開放ラインAと該環状溝との間を通るようにして環状ビードが配設されており、 前記内圧開放ラインAは、周長の長いスリットのみで形成された低強度領域A1を含み、該低強度領域A1は、内圧上昇時のガス抜きを生じさせることができ、 前記内圧開放ラインAは、前記低強度領域A1と、該低強度領域A1の周方向延長線上に位置する高強度領域A2とを含み、該高強度領域A2は、複数のスリット20と、該スリット20間に位置する高強度橋絡部53とから構成されており、前記高強度領域A2は、容器内圧が上昇してもスカート壁9と容器口頸部70とが螺子係合しているときには、キャップ飛びが起こらないような状態を維持しているが、開栓操作の初期段階では容易にガス抜きが行われるようにするために設けられた領域である、 前記容器蓋1及び前記容器。」 (2)本件発明1について ア 甲1を主引用例とした場合 (ア) 甲1発明との対比 本件発明1と甲1発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 次の甲1発明の欄に記載した甲1発明の各構成は、それぞれ、本件発明1の欄に記載した本件発明1の構成に相当する。 <甲1発明> <本件発明1> ボトル本体2 ボトル缶 口金部3 口部 ねじ山3a 雄ねじ部のねじ山 キャップ1 キャップ ここで、甲1発明の「線状の第1の弱化部」は、「開栓時に内圧を開放する」ものであるから、本件発明1の「開栓時に内圧を開放するベントホール」に相当する。 同様に、甲1発明の「線状の第2の弱化部」は、「所定の内圧になると開口する」ものであるから、本件発明1の「所定の内圧になると開口する」「線状の弱化ライン」に相当する。 また、甲1発明の「ボトル100」は、「キャップ1がPPキャップ10として口金部3に被着され、ボトル本体2を密封状態とすることで得られる」ものであるから、本件発明1の「キャップ付ボトル缶」に相当する。 さらに、甲1発明の「ボトル100」について、「キャップ1が被着されるボトル本体2の口金部3には、ねじ山3a及び膨出部3bが形成されており、ここに被せられたキャップ1はねじ山3a、膨出部3b等の形状に沿うように塑性変形され」、「キャップ1がPPキャップ10として口金部3に被着され、ボトル本体2を密封状態」とされた態様は、本件発明1の「キャップ付ボトル缶」が「ボトル缶の口部に形成された雄ねじ部にキャップを装着して密栓した」態様に相当する。 以上のことから、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点1】 「ボトル缶の口部に形成された雄ねじ部にキャップを装着して密栓したキャップ付ボトル缶であって、前記キャップに、開栓時に内圧を開放するベントホールと、所定の内圧になると開口する線状の弱化ラインとが設けられている、キャップ付ボトル缶。」 【相違点1】 「線状の弱化ライン」の方向について、本件発明1は「周方向に沿う」のに対して、甲1発明は、方向が不明な点。 【相違点2】 「線状の弱化ライン」の位置について、本件発明1は「前記弱化ラインの長さ方向の中心位置は、前記口部の開口端から前記雄ねじ部のねじ山の稜線までの距離が4.90mm未満となる領域を避けて設けられている」のに対して、甲1発明は、「線状の第2の弱化部」が、「前記非形成領域に形成されていると共に前記第1の弱化部よりも下方側に配され」ているものの、「ねじ山3a」との関係が不明な点。 (イ) 判断 先ず、相違点2について、検討する。 甲1には、「線状の第2の弱化部」の「長さ方向の中心位置」と「ねじ山3a」との具体的な位置関係ついては、記載も示唆もない。 さらに、本件発明1のように、「線状の弱化ライン」を「前記弱化ラインの長さ方向の中心位置は、前記口部の開口端から前記雄ねじ部のねじ山の稜線までの距離が4.90mm未満となる領域を避けて設けられている」構成は、甲2~7にも記載されていない。 そして、本件発明1は、相違点1に係る当該構成を採用することにより、「防爆のための弱化ラインの位置を特定の領域を避けて配置するようにしたから、弱化部が不用意に開口してしまう現象の発生を防止することができる」(本件特許明細書の段落【0014】)という効果を奏するものである。 そうすると、甲1発明において、上記相違点1に係る構成を採用することは、業者が容易に想到し得たことではない。 なお、申立人は、「甲第1号証の記載ではボトルの雄ねじ部のねじ山の高さが特定されていないが、「開口端から雄ねじ部のねじ山の稜線までの距離が4.90mm未満となる領域」を有するボトルは周知である(後述する甲2-3号証参照。)。 また、甲1号証の記載ではキャップとボトルの軸周りの角度関係について何ら限定されていないが、本願明細書中に記載されたようなキャップとボトルの軸周りの角度関係を決めるキャッピング方法を採用せず周知のキャッピング方法(後述する甲4-6号証参照。(当審注:「甲4-5号証参照」の誤記と思われる。))が採用されることは自明であり、キャップとボトルの軸周りの角度関係が全くランダムとなることは自明である。 よって、甲1号証に記載された「キャップ付ボトル缶」には、「弱化ラインの長さ方向の中心位置」が「口部の開口端から前記雄ねじ部のねじ山の稜線までの距離が4.90mm未満となる領域を避けて設けられている」ものが含まれている。」と主張する(特許異議申立書 7ページ7~17行)。 しかしながら、仮に甲4~5にキャップとボトルの軸周りの角度関係が全くランダムとなるキャッピング方法が記載されており、それが周知の方法だとしても、甲1に相違点2に係る本件発明1の構成が記載されているとはいえない。また、上述したように相違点2に係る本件発明1の構成は甲2~7に記載されておらず、本件発明1は、甲1発明及び甲2~7に記載された事項に基いて当業者が容易に想到し得たことでもない。 以上のとおりであるから、相違点1を検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明ではない。また、甲1発明及び甲2~7に記載された事項に基いて当業者が容易に想到し得たことでもない。 イ 甲6を主引用例とした場合 (ア) 甲6発明との対比 本件発明1と甲6発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 次の甲6発明の欄に記載した甲6発明の各構成は、それぞれ、本件発明1の欄に記載した本件発明1の構成に相当する。 <甲6発明> <本件発明1> 容器(30) ボトル缶 口部(31) 口部 雄ネジ(32) 雄ねじ部 キャップ(1) キャップ また、甲6発明の「飲料が充填された飲料入り閉止装置」は、「容器(30)と、その口部(31)に装着されるキャップ(1)とを備え」るものであり、「キャップ(1)」の「筒部(3)には、キャップ(1)を容器(30)の口部(31)に装着する際にネジ部10が形成され、ネジ部10は、容器(30)の口部(31)の雄ネジ(32)に沿う形状となるように形成され」るものであることを踏まえれば、甲6発明の「閉止装置」は、本件発明1の「ボトル缶の口部に形成された雄ねじ部にキャップを装着して密栓したキャップ付ボトル缶」に相当する。 そして、甲6発明の「ナール部排気孔(16)」は、「キャップ本体(4)内のガスを外部に排出する」ものであるから、開栓時にも内圧を開放することができることが分かる。そうしてみると、甲6発明の「ナール部排気孔(16)」は、本件発明1の「開栓時に内圧を開放するベントホール」に相当する。 さらに、甲6発明の「非ナール部排気孔(17)」は、「周方向に延びるスリット状であり」、「前記キャップ(1)が装着されている状態で容器(30)の内圧が所定値以上となったときに、該非ナール部排気孔の上縁部(17b)と下縁部(17a)の隙間が広がるように変形して該容器(30)内のガスを放出するようにされている」ものであるから、本件発明1の「所定の内圧になると開口する周方向に沿う線状の弱化ライン」に相当する。 以上のことから、本件発明1と甲6発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点2】 「ボトル缶の口部に形成された雄ねじ部にキャップを装着して密栓したキャップ付ボトル缶であって、前記キャップに、開栓時に内圧を開放するベントホールと、所定の内圧になると開口する周方向に沿う線状の弱化ラインとが設けられている、キャップ付ボトル缶。」 【相違点3】 「線状の弱化ライン」の位置について、本件発明1は「前記弱化ラインの長さ方向の中心位置は、前記口部の開口端から前記雄ねじ部のねじ山の稜線までの距離が4.90mm未満となる領域を避けて設けられている」のに対して、甲6発明は、「非ナール部排気孔(17)」が、「前記ナール凹部(12)の最上部とほぼ同じ高さとなるように形成され」ているものの、「雄ネジ(32)」のネジ山との関係が不明な点。 (イ) 判断 相違点3について、検討する。 甲6には、「非ナール部排気孔(17)」の「長さ方向の中心位置」と「雄ネジ(32)」のネジ山との具体的な位置関係ついては、記載も示唆もない。 さらに、本件発明1のように、「線状の弱化ライン」を「前記弱化ラインの長さ方向の中心位置は、前記口部の開口端から前記雄ねじ部のねじ山の稜線までの距離が4.90mm未満となる領域を避けて設けられている」構成は、甲1~5、7にも記載されていない。 そして、本件発明1は、相違点3に係る当該構成を採用することにより、「防爆のための弱化ラインの位置を特定の領域を避けて配置するようにしたから、弱化部が不用意に開口してしまう現象の発生を防止することができる」(本件特許明細書の段落【0014】)という効果を奏するものである。 そうすると、甲6発明において、上記相違点3に係る構成を採用することは、業者が容易に想到し得たことではない。 なお、申立人は、甲6の特に段落【0030】の記載及び図1、2の記載から、「非ナール部排気口(17)」の「長さ方向の中心位置」について、「「口部の開口端から雄ねじ部のねじ山の稜線までの距離が6.8mm」となる位置に設けられている。 [図:0001395272000013.jpg] したがって、甲6号証には、「C:前記弱化ラインの長さ方向の中心位置は、前記口部の開口端から前記雄ねじ部のねじ山の稜線までの距離が4.90mm未満となる領域を避けて設けられている」なる技術事項が記載されている。」と主張する(特許異議申立書 9ページ18~26行)。 しかしながら、甲6の図1、2には具体的な寸法等を示す記載もないから、その性質及び態様からして、発明の内容を説明するための概要図であると認められ、正確な寸法を示すものであると解すべき理由はない。それに加えて、甲6の特に図1の記載は、「口部の開口端」の位置や、口部の開口端に近い部分における「雄ねじ部のねじ山の稜線」の位置が不明確であるから、本件発明1の「前記口部の開口端から前記雄ねじ部のねじ山の稜線までの距離が4.90mm未満となる領域」という構成を有することを前提に、「前記弱化ラインの長さ方向の中心位置」が当該領域を避けて設けられる態様は、甲6に記載されていないことは明らかである。 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲6発明ではない。また、甲6発明及び甲1~5、7に記載された事項に基いて当業者が容易に想到し得たことでもない。 ウ 甲7を主引用例とした場合 (ア) 甲7発明との対比 本件発明1と甲7発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。 次の甲7発明の欄に記載した甲7発明の各構成は、それぞれ、本件発明1の欄に記載した本件発明1の構成に相当する。 <甲7発明> <本件発明1> 容器 ボトル缶 容器口頸部70 口部 螺子73 雄ねじ部 容器蓋1 キャップ また、甲7発明の「容器蓋1」及び「容器」は、「容器蓋1が、容器の容器口頸部70に被せられ、巻き締め工程によって前記容器口頸部70に巻き締められて固定され、前記容器口頸部70が密封される」ものであり、「容器蓋1」の「前記金属薄板製シェル3の前記スカート壁9には、螺子形成領域15を備え且つ該螺子形成用領域15の上端部分に環状溝が形成されており、該螺子形成領域15に、前記容器口頸部70の前記螺子73と螺子係合する螺子23が形成され」るものであることを踏まえれば、甲7発明の「容器蓋1」及び「容器」は、本件発明1の「ボトル缶の口部に形成された雄ねじ部にキャップを装着して密栓したキャップ付ボトル缶」に相当する。 そして、甲7発明の「高強度領域A2」が「容器内圧が上昇してもスカート壁9と容器口頸部70とが螺子係合しているときには、キャップ飛びが起こらないような状態を維持しているが、開栓操作の初期段階では容易にガス抜きが行われるようにするために設けられた領域」であることを踏まえれば、甲7発明の「高強度領域A2」の「複数のスリット20」は、本件発明1の「開栓時に内圧を開放するベントホール」に相当する。 さらに、甲7発明の「周方向に延在する内圧開放ラインA」の「周長の長いスリットのみで形成された低強度領域A1」が「内圧上昇時のガス抜きを生じさせることができ」ることから、甲7発明の「低強度領域A1」の「周長の長いスリット」は、本件発明1の「所定の内圧になると開口する周方向に沿う線状の弱化ライン」に相当する。 以上のことから、本件発明1と甲7発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 【一致点3】(一致点2と同一である。) 「ボトル缶の口部に形成された雄ねじ部にキャップを装着して密栓したキャップ付ボトル缶であって、前記キャップに、開栓時に内圧を開放するベントホールと、所定の内圧になると開口する周方向に沿う線状の弱化ラインとが設けられている、キャップ付ボトル缶。」 【相違点4】(相違点3と同様である。) 「線状の弱化ライン」の位置について、本件発明1は「前記弱化ラインの長さ方向の中心位置は、前記口部の開口端から前記雄ねじ部のねじ山の稜線までの距離が4.90mm未満となる領域を避けて設けられている」のに対して、甲7発明は、「低強度領域A1」の「周長の長いスリット」が、「容器蓋1」の「金属薄板製シェル3」の「スカート壁9」の「環状溝よりも上方の部分」に形成されているものの、「螺子73」の螺子山との関係が不明な点。 (イ) 判断 相違点4について、検討する。 甲7には、「低強度領域A1」の「周長の長いスリット」の「長さ方向の中心位置」と「螺子73」の螺子山との具体的な位置関係ついては、記載も示唆もない。 さらに、本件発明1のように、「線状の弱化ライン」を「前記弱化ラインの長さ方向の中心位置は、前記口部の開口端から前記雄ねじ部のねじ山の稜線までの距離が4.90mm未満となる領域を避けて設けられている」構成は、甲1~6にも記載されていない。 そして、本件発明1は、相違点4に係る当該構成を採用することにより、「防爆のための弱化ラインの位置を特定の領域を避けて配置するようにしたから、弱化部が不用意に開口してしまう現象の発生を防止することができる」(本件特許明細書の段落【0014】)という効果を奏するものである。 そうすると、甲7発明において、上記相違点4に係る構成を採用することは、業者が容易に想到し得たことではない。 なお、申立人は、甲7の特に段落【0038】の記載及び図4の記載から、「低強度領域A1」の「スリット」の「長さ方向の中心位置」について、「「口部の開口端から雄ねじ部のねじ山の稜線までの距離が5.3mm」となる位置に設けられている。 [図:0001395272000014.jpg] したがって、甲7号証には、「C:前記弱化ラインの長さ方向の中心位置は、前記口部の開口端から前記雄ねじ部のねじ山の稜線までの距離が4.90mm未満となる領域を避けて設けられている」なる技術事項が記載されている。」と主張する(特許異議申立書 11ページ11~25行)。 しかしながら、甲7の図4には具体的な寸法等を示す記載もないから、その性質及び態様からして、発明の内容を説明するための概要図であると認められ、正確な寸法を示すものであると解すべき理由はない。それに加えて、甲7の特に図4の記載は、「口部の開口端」の位置や、口部の開口端に近い部分における「雄ねじ部のねじ山の稜線」の位置が不明確であるから、本件発明1の「前記口部の開口端から前記雄ねじ部のねじ山の稜線までの距離が4.90mm未満となる領域」という構成を有することを前提に、「前記弱化ラインの長さ方向の中心位置」が当該領域を避けて設けられる態様は、甲7に記載されていないことは明らかである。 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲7発明ではない。また、甲7発明及び甲1~6に記載された事項に基いて当業者が容易に想到し得たことでもない。 (3) 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の特定事項を全て含み、さらに限定を加えるものであるから、上記(2)で検討したのと同じ理由により、本件発明2は、甲1~7に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることはできない。 (4) 小括 以上のとおりであるから、本件発明1~2は、特許法第29条第1項第3号又は同条第2項の規定により特許を受けることができない発明ではない。 第5 むすび 以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~2に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に請求項1~2に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-701194

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  • 2025-700022異議申立 / 2025-11-07 / 訂正認容電子部品包装用カバーテープおよび電子部品包装体
    共通の審決分類: 113・B65D、121・B65D
  • 2024-700315異議申立 / 2025-10-24 / 訂正認容電子レンジ用パウチ
    共通の審決分類: 113・B65D、121・B65D

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