特許異議申立
2022-701164
天井埋込み型空気調和機
- 審判番号
- 2022-701164
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2018-006531
- 登録番号
- 7086615
- 請求日
- 2022年11月25日
- 審決日
- 2024年03月25日
- 公報発行日
- 2024年06月28日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
- 【権利者代理人】藤田 考晴
- 【権利者代理人】三苫 貴織
- 【権利者代理人】川上 美紀
- 【権利者代理人】長田 大輔
- 【異議申立人】角田 朗
- 審判長/審判官
- 審判長 間中 耕治
- 審判官 水野 治彦
- 審判官 村山 美保
- 分類
- P1651.121-YAA(F24F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第2項、特許法第126条第4項、特許法第150条の5第4項、特許法第126条第5項、特許法第126条第6項、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7086615号発明「天井埋込み型空気調和機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7086615号の明細書及び特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の〔1、2〕について訂正することを認める。
特許第7086615号の請求項1、2に係る特許を維持する。
理由
理 由
1.手続の経緯
特許第7086615号の請求項1、2の特許に係る出願は、平成30年1月18日に特許出願され、令和4年6月10日にその特許権の設定登録がされ、令和4年6月20日に特許掲載公報が発行された。本件特許異議の経緯は、次のとおりである。
令和4年11月25日: 特許異議申立人 角田 朗(以下、「特許異議申立人」という。)による請求項1、2に係る特許異議の申立て
令和5年 3月31日: 取消理由通知書
同 年 6月 5日: 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
同 年 7月10日: 特許異議申立人による意見書の提出
同 年 9月29日: 取消理由通知書(以下、「決定の予告」という。)
同 6年12月 4日: 特許権者による意見書及び訂正請求書(以下、「本件訂正」という。)の提出
令和6年 2月 1日: 特許異議申立人による意見書の提出
なお、令和5年6月5日に特許権者がした訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
2.訂正の適否
(1)訂正の内容
本件訂正は、特許第7086615号の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1及び2について訂正することを求めるものである。
ア 訂正事項1
願書に添付した特許請求の範囲の請求項1において「天井埋込み型空気調和機。」とあるのを、「前記ポンプの停止時に前記立ち上がり部から逆流した水は、前記熱交換器の下部に沿う前記ドレンパンの前記凸部の外側の前記底部だけでなく前記凸部の内側の前記底部にも受け入れられる天井埋込み型空気調和機。」と訂正する。
なお、訂正請求書には、訂正事項1について、「令和5年6月5日付け訂正請求書における特許請求の範囲の請求項1を、「前記ポンプの停止時に前記立ち上がり部から逆流した水は、前記熱交換器の下部に沿う前記ドレンパンの前記凸部の外側の前記底部だけでなく前記凸部の内側の前記底部にも受け入れられる」と訂正する。」と記載している。
しかしながら、令和5年6月5日に特許権者がした訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなされるものであるから、当該訂正事項1に係る特許権者の意図は、上記のとおりであると認める。
イ 訂正事項2
願書に添付した明細書の段落【0008】を、「 上記課題を解決するために、本発明の天井埋込み型空気調和機は以下の手段を採用する。
すなわち、本発明に係る天井埋込み型空気調和機は、熱交換器と、送風機と、前記熱交換器から滴下するドレン水を受けるドレンパンと、前記ドレンパンに溜まった水を、ドレン配管を介して排水するポンプとを備え、前記ドレンパンの底部には、前記熱交換器が上面に載置される上方に突出した凸部が形成され、前記凸部の前記上面よりも下方で前記ドレンパンに収容可能な水量は、前記ドレン配管の立ち上がり部の内部容積よりも大きく、前記ドレンパンは、前記熱交換器の底面に沿って該熱交換器の底面の形状に対応して形成され、前記送風機を囲むようにして配置された前記熱交換器の下部に沿う前記ドレンパンの底部は、前記送風機に対して前記凸部よりも外側の方が内側よりも低い位置に形成され、前記送風機に対して前記凸部よりも内側の前記ドレンパンの底部は前記凸部の前記上面の高さよりも低い位置に形成され、前記ポンプの設置位置は、前記凸部よりも外側に設けられ、前記ポンプの停止時に前記立ち上がり部から逆流した水は、前記熱交換器の下部に沿う前記ドレンパンの前記凸部の外側の前記底部だけでなく前記凸部の内側の前記底部にも受け入れられる。」に訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
ア 一群の請求項について
訂正前の請求項1、2について、請求項2は、請求項1を引用するものであって、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであるから、訂正前の請求項1、2に対応する訂正後の請求項[1、2]は、特許法第150条の5第4項に規定する一群の請求項である。
イ 訂正事項1について
(ア)訂正の目的について
訂正事項1は、訂正前の請求項1の「前記凸部の前記上面よりも下方で前記ドレンパンに収容可能な水量は、前記ドレン配管の立ち上がり部の内部容積よりも大きく」との発明特定事項について、「前記ポンプの停止時に前記立ち上がり部から逆流した水は、前記熱交換器の下部に沿う前記ドレンパンの前記凸部の外側の前記底部だけでなく前記凸部の内側の前記底部にも受け入れられる」という事項を付加することにより、「ドレンパンに収容可能な水量」が「熱交換器の下部に沿う前記ドレンパンの前記凸部の外側の前記底部だけでなく前記凸部の内側の前記底部にも受け入れられる」ことに限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とした訂正と認める。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
訂正事項1は、特許明細書の段落【0023】に「ドレンパン10の底部10aは、送風機6を囲むようにして配置された熱交換器7の下部に沿って、熱交換器7が設置された全領域にわたって設けられる。」と記載され、段落【0028】に「凸部19の上面よりも下方でドレンパン10に収容可能な水量は、ドレン配管15の立ち上がり部15a,15b,15cの内部容積よりも大きい。」と記載されている。また段落【0030】に「上述したドレンパン10において、底部10aは、図2に示すように、熱交換器7に対して外側の底部10aのほうが内側の底部10aよりも低い位置に形成されることが望ましい。これにより、ドレンパン10に溜まった水は、熱交換器7に対して内側から外側へ向かって導かれやすくなる。」と記載され、当該段落【0028】に記載される「凸部19の上面よりも下方」は、「外側の底部10a」と「内側の底部10a」からなることが明らかであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第5項の規定に適合すると認める。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項1は、「ドレンパンに収容可能な水量」が「熱交換器の下部に沿う前記ドレンパンの前記凸部の外側の前記底部だけでなく前記凸部の内側の前記底部」に受け入れられることに限定するものであって、発明のカテゴリー、対象を変更するものに該当しないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
したがって、訂正事項1は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第6項の規定に適合すると認める。
ウ 訂正事項2について
(ア)訂正の目的について
訂正事項2は、訂正前の明細書の段落【0008】の「前記凸部の前記上面よりも下方で前記ドレンパンに収容可能な水量は、前記ドレン配管の立ち上がり部の内部容積よりも大きく、」との記載事項について、「前記ポンプの停止時に前記立ち上がり部から逆流した水は、前記熱交換器の下部に沿う前記ドレンパンの前記凸部の外側の前記底部だけでなく前記凸部の内側の前記底部にも受け入れられる」という事項を直列的に付加し、訂正後の請求項1と整合を取るものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものである。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内であること
訂正事項2は、訂正事項1と同様、特許明細書の段落【0023】、【0028】及び【0030】に記載されていることが明らかであるから、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である。
(ウ)特許請求の範囲の拡張・変更の存否
訂正事項2は明細書の訂正であり、また、訂正事項2に係る訂正によって、訂正後の請求項1及び請求項2に係る発明のカテゴリー、対象を変更するものに該当しないことから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでない。
(エ)特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項について
訂正事項2に係る訂正は、明細書の記載事項を訂正事項1により訂正された請求項1と整合させるための訂正である。そして、請求項2は、訂正事項1により訂正された請求項1を全て含むものであるから、訂正事項2に係る訂正により請求項2も訂正されているといえる。そうすると、訂正事項2に係る明細書に対する訂正は、訂正に係る全ての請求項について訂正がなされているといえる。
したがって、訂正事項2は、特許法第120条の5第9項で準用する特許法第126条第4項の規定に適合する。
(3)小括
以上のとおりであるから、訂正事項1及び訂正事項2は、特許法第120条の5第2項ただし書に掲げる事項を目的とするものであり、かつ同条第9項において準用する同法第126条第5項及び第6項までの規定に適合する。
したがって、明細書、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項[1、2]について訂正することを認める。
3 決定の予告の概要
当審が令和5年9月29日付けで特許権者に通知した決定の予告の概要は、次のとおりである。
(進歩性)請求項1、2に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1、2に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
記
<刊行物等一覧>
甲第1号証:国際公開第2017/006466号
甲第2号証:特開平8-312985号公報
甲第3号証:特開2007-192415号公報
甲第4号証:特開2009-180386号公報
甲第5号証:国際公開第2017/002237号
4 当審の判断
(1)訂正後の請求項1、2に係る発明
上記2のとおりであるから、訂正後の請求項1、2に係る発明(以下、「本件発明1」、「本件発明2」という。)は、次のとおりのものである。
「【請求項1】
熱交換器と、
送風機と、
前記熱交換器から滴下するドレン水を受けるドレンパンと、
前記ドレンパンに溜まった水を、ドレン配管を介して排水するポンプと、
を備え、
前記ドレンパンの底部には、前記熱交換器が上面に載置される上方に突出した凸部が形成され、
前記凸部の前記上面よりも下方で前記ドレンパンに収容可能な水量は、前記ドレン配管の立ち上がり部の内部容積よりも大きく、
前記ドレンパンは、前記熱交換器の下部が収容される凹状のドレン溝を有し、
前記凸部は、前記熱交換器の底面に沿って該熱交換器の底面の形状に対応して形成され、
前記送風機を囲むようにして配置された前記熱交換器の下部に沿う前記ドレンパンの底部は、前記送風機に対して前記凸部よりも外側の方が内側よりも低い位置に形成され、前記送風機に対して前記凸部よりも内側の前記ドレンパンの底部は前記凸部の前記上面の高さよりも低い位置に形成され、
前記ポンプの設置位置は、前記凸部よりも外側に設けられ、
前記ポンプの停止時に前記立ち上がり部から逆流した水は、前記熱交換器の下部に沿う前記ドレンパンの前記凸部の外側の前記底部だけでなく前記凸部の内側の前記底部にも受け入れられる天井埋込み型空気調和機。
【請求項2】
前記熱交換器の下部と前記凸部の前記上面との間にインシュレーションが設置されている請求項1に記載の天井埋込み型空気調和機。」
(2)甲第1号証ないし甲第5号証
ア 甲第1号証、引用発明
決定の予告において引用した甲第1号証には、「空気調和機の室内機」に関して、次の記載事項、図示事項及び認定事項がある(下線は当審で付加したものである。以下同様。)。
(ア)「[0014] 図1に示すように、本実施形態に係る室内機100は、天井41に埋め込まれるタイプ(天井埋込み型)の室内機である。本実施形態における空気調和装置は、室内機100と室外機(図示せず)とが冷媒配管(図示せず)によって接続されて冷凍サイクルを構成し、空気調和を行う。」
(イ)「[図1]
[図:0001411252000001.jpg]
」
(ウ)「[0017] 室内機100は、筐体1a内に設けられる送風ファン2と、送風ファン2からの空気の吐出方向を囲う熱交換器4と、熱交換器4の下方に配置されるドレンパン5と、を備えている。送風ファン2は、例えば遠心ファンであり、空気の流れの向きを略90度変えて熱交換器4に送る。送風ファン2は、筐体1a内に設けられるファンモータ3によって回転駆動される。ファンモータ3は、筐体1aの天板に固定されている。送風ファン2とファンモータ3とで送風機が構成されている。
[0018] ドレンパン5は、熱交換器4の表面で結露して滴下するドレン水を受けて回収する。ドレンパン5は、例えば発泡スチロール成形品であり、ドレン水が接する内面側に例えばABS樹脂などの樹脂からなる樹脂層が形成されている。」
(エ)「[0021] 図3は、図1に示される室内機100のドレンポンプ14周辺を示す断面斜視図である。図4は、ドレンパン5上における抗菌ユニット15の設置状態を説明するための斜視図である。図5は、ドレンパン5上における抗菌ユニット15の設置状態を説明するための平面図である。図4では、説明の都合上、熱交換器4の表示を省略している。
[0022] 図3~図4に示すように、ドレンパン5は、該ドレンパン5上における熱交換器4の空気21(図2参照、以下同様)の流れの上流側(一次側)に位置する一次空間と下流側(二次側)に位置する二次空間とを仕切る仕切壁12を有している。また、仕切壁12には、前記一次空間と前記二次空間とを連通させるように一部が切り欠かれた開口溝部13が形成されている。
[0023] 室内の空気21が熱交換器4によって除湿されると、ドレン水が発生する。ドレン水は、ドレンパン5上における一次空間に流れ落ちるドレン水10と、ドレンパン5上における二次空間に流れ落ちるドレン水11とに分かれる。
[0024] 室内機100(図1参照、以下同様)は、ドレンパン5に溜まるドレン水を排出するドレンポンプ14を備えている。ドレンパン5上における一次空間に流れ落ちるドレン水10は、仕切壁12の開口溝部13を通ってドレンポンプ14の方に導かれる。ドレン水10とドレン水11とは、仕切壁12の開口溝部13付近で合流し、ドレンポンプ14で吸い上げられて、機外へ排出される。ドレンポンプ14は、その吸出限度高さよりも下のドレン水を排出することができないため、空気調和機の運転停止後には、必ず一定量のドレン水がドレンパン5に残留する。この残留したドレン水に細菌が繁殖し、ドロドロのスライムが発生し、ドレンポンプ14を詰まらせる不具合が発生することがある。
[0025] これを防止するための方策として、ドレンパン5上には、ドレン水を抗菌する抗菌ユニット15が設置されている。抗菌ユニット15は、固形の抗菌剤を樹脂製のケース内に収容して構成されている。ケースの壁部には、ドレン水をケース内に通過可能にする複数の通孔が形成されている。抗菌ユニット15は、例えばネジ部材16を用いて、ドレンパン5上に固定されている。
[0026] 抗菌ユニット15は、ドレンパン5上におけるドレンポンプ14の近くに設置されることが好ましい。ドレンポンプ14の吸出口14aに対向する位置のドレンパン5の底面は、周辺部と比較してより低く形成されており、ドレンポン14に向けてドレン水が集まるようになっているからである。」
(オ)「[図2]、[図3]、[図4]
[図:0001411252000002.jpg]
」
(カ)「[0033] 図7は、本実施形態における抗菌ユニット15の設置位置を示す平面図である。
図7に示すように、本実施形態では、抗菌ユニット15は、熱交換器4の直下に配置される(図3も参照)。ここでは、抗菌ユニット15の殆ど全体が熱交換器4の直下に配置されているが、抗菌ユニット15の一部が熱交換器4の直下に配置される構成であってもよい。
[0034] 具体的には、抗菌ユニット15は、ドレンパン5における仕切壁12の開口溝部13に設置されている。開口溝部13は、抗菌ユニット15の大きさに対応した大きさに形成されており、抗菌ユニット15が開口溝部13内に嵌着されるようになっている。これにより、本実施形態における風路断面の周方向寸法L1は、抗菌ユニット15を設置しない場合の寸法と同じ寸法を確保することができる。つまり、本実施形態によれば、比較例における風路断面の周方向寸法L0のように抗菌ユニット15を設置しない場合の寸法L1よりもΔL短くする必要がない。
[0035] 図5、図7に示すように、ドレンポンプ14と抗菌ユニット15とフロートスイッチ17とは、平面視して四角枠形状を呈するドレンパン5の同じ角部、すなわち、平面視して四角形状を呈する筐体1a内の四つの隅部のうちの同じ一つの隅部に設置されている。
[0036] 熱交換器4は、筐体1a内の一の隅部、具体的にはドレンポンプ14が設置される隅部において2箇所の屈曲部4aを有している。そして、抗菌ユニット15は、平面視して前記2箇所の屈曲部4a、4aの間に配置されている。また、抗菌ユニット15は、抗菌ユニット15の平面視した長手方向が、熱交換器4の平面視した延在方向に沿うように設置されている。」
(キ)「[0037] 図8は、図7のA-A線に沿う断面図である。図9は、図7のB-B線に沿う断面図である。
図8に示すように、開口溝部13の底面は、ドレンパン5の一次空間(熱交換器4の上流側に位置する空間)側の底面および二次空間(熱交換器4の下流側に位置する空間)側の底面と同一の高さに設定されている。
[0038] 仕切壁12は、空気21(図2参照、以下同様)が熱交換器4を通らないで熱交換器4の二次側(下流側)へ抜けてしまうのを防止する機能を有している。そして、仕切壁12の上に、該仕切壁12と熱交換器4との間の隙間を埋める空気の抵抗体30が設置されている。また、仕切壁12の開口溝部13は、空気21が通らず、ドレン水のみを通すことが望ましい。このため、図9に示すように、抗菌ユニット15の上に、該抗菌ユニット15と熱交換器4(および抵抗体30)との間の隙間を埋める空気の抵抗体31が設置されている。抵抗体30、31の材料としては、例えば発泡ゴムなどの材料が使用され得る。なお、図1などの他の図では、説明の都合上、抵抗体30、31の表示を省略している。」
(ク)「[図5]、[図6]、[図7]
[図:0001411252000003.jpg]
」
(ケ)「[図8]、[図9]
[図:0001411252000004.jpg]
」
(コ) ドレンパン5の断面形状が確認できる図2、図3、図8、図9の図示事項及び[0022]、[0023]の記載事項から、ドレンパン5の底部には、熱交換器4の直下に上方に凸となる仕切壁12が形成され、該凸となる仕切壁12の内外に各々、送風ファン2に対して凸部よりも内側である一次空間に流れ落ちるドレン水10を受ける凹状の溝と、送風ファン2に対して凸部よりも外側である二次空間に流れ落ちるドレン水11を受ける凹状の溝とが形成されていることが看て取れる。
(サ) 図2の図示事項及び図9の図示事項から、仕切壁12の内外に形成されている2つの溝の間に、熱交換器4の下部横断面がすべて収まっていること、すなわち、2つの溝に、熱交換器4の下部が収容されていることが看て取れる。
(シ) 図8及び図9の図示事項及び段落[0038]の記載事項から、熱交換器4と仕切壁12との間には隙間を埋める空気の抵抗体30が設置されているから、仕切壁12の上面に空気の抵抗体30を介して熱交換器4が載置されるといえる。
(ス) 図5の図示事項、段落[0035]及び[0036]の記載事項から、熱交換器4は中央にある送風ファン2を取り囲む形で配置され、当該熱交換器4の隅部の外側の二次空間にドレンポンプ14が配置されているといえる。そして、図2、図3、図8及び図9の図示事項から、熱交換器4の直下にドレンパン5の凸とされた仕切壁12が位置しているといえる、そうすると、ドレンポンプ14は、仕切壁12よりも外側の二次空間に設けられているといえる。
(セ) 段落[0022]ないし[0025]、[0034]及び[0038]の記載事項、図7の図示事項から、空気調和機の運転停止後にドレンパン5に残留する一定量のドレン水を抗菌する抗菌ユニット15は、一次空間に流れ落ちるドレン水を通す、仕切壁12の開口溝部13に設置されているといえる。そうすると、空気調和機の運転停止後にドレンパン5に残留する一定量のドレン水は、ドレンパン5上の一次空間または二次空間に残留するものといえる。
以上をまとめると、甲第1号証には、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
[引用発明]
「 熱交換器4と、
送風ファン2と、
熱交換器4の表面で結露して滴下するドレン水を受けて回収するドレンパン5と、
ドレンパン5に溜まるドレン水を排出するドレンポンプ14と、
を備え、
前記ドレンパン5の底部には、前記熱交換器4が空気の抵抗体30を介して上面に載置される、上方に凸である仕切壁12が形成され、
前記ドレンパン5は、該凸とされた仕切壁12の内外に各々、送風ファン2に対して凸部よりも内側である一次空間に流れ落ちるドレン水10を受ける凹状の溝と、送風ファン2に対して凸部よりも外側である二次空間に流れ落ちるドレン水11を受ける凹状の溝とが、前記熱交換器4の下部を収容するように形成され、
前記送風ファン2を囲むようにして前記熱交換器4が配置され、
前記ドレンポンプ14は、平面視して四角形状を呈する筐体1a内の四つの隅部のうちの同じ一つの隅部であって、仕切壁12よりも外側に設けられ、 空気調和機の運転停止後、ドレンパン5に残留する一定量のドレン水は、ドレンパン5上の一次空間または二次空間に残留する天井埋込型の室内機100。」
イ 甲第2号証
決定の予告において引用した甲第2号証には、「空気調和機」に関して、次の記載事項及び図示事項がある。
(ア)「【0001】
【産業上の利用分野】本発明は熱交換器で凝縮したドレン水を受けて溜めるドレンパンを有する空気調和機に係り、特に、ドレンパンを主に改良した空気調和機に関する。」
(イ)「【0007】また、これら従来の空気調和機1,9では、かかる残水量を減少させるためにドレンパン5,10の深さを浅くすると、ドレンパン5,10の内底面5a,10aまたは10bと、室内熱交換器4の下底面との間隙が縮小して室内熱交換器4の下底面のフィンがドレン水に長時間接水して、フィンの腐食を発生させ、または暖房運転時には、接水しているフィンによりドレン水を加熱して湯気を発生させるという課題がある。」
(ウ)「【0026】図1は本発明に係る空気調和機の一実施例の要部を側断面で示す図であり、この図において、空気調和機11は例えば天井埋込型であり、建屋の天井等に埋設される室内ユニット本体12内に、室内空気を室内ユニット12に吸い込む一方、空調空気を室内に吹出す室内ファン13、室内ユニット12内に吸い込んだ空気を熱交換する室内熱交換器14、冷房または除湿運転時等でこの室内熱交換器14で凝縮したドレン水を受けて溜める有底角皿状のドレンパン15、このドレンパン15内のドレン水を図示しないポンプにより吸い込み、室内ユニット本体12外に図示しないドレンホースを介して強制的に排水するドレン排水装置16、ドレンパン15内のドレン水の異常水位を図示しないフロートスイッチの開閉により検知するドレン水位検知装置17等を内蔵している。」
(エ)「【0029】そして、ドレンパン15は、その中、下段内底面18b,18cを、これら18b,18cの上に形成される内容積が空調運転停止時の戻り水の体積とほぼ同一になるように形成されている。ここで戻り水とは例えば冷房または除湿運転が停止され、これに連動して一定時間経過後にドレン排水装置16の運転が停止したときに、このドレン排水装置16のポンプやドレンホース内等に残溜したドレンが自然落差等によりドレンパン15内に戻るドレン水をいう。
【0030】したがって、図3のグラフに示すように空調運転の停止時にドレンパン15内に残溜する残り水を戻り水の水位までに減少させることができると共に、上段内底面18a上に配置される室内熱交換器14の図示しないフィンの下端部がドレン水に浸るのを未然に防止することができるので、そのフィンの腐蝕を防止できるうえに、暖房運転時に、このフィンによりドレン水を加熱して湯気が発生するのを有効に防止することができる。」
(オ)「【0035】なお、図4に示すようにドレンパン15の上段内底面18a上に、所定のクリアランスを置いて室内熱交換器14の下底面を支持するためのリブ等の突条19を一体に突設してもよい。これによれば、上段内底面18aと室内熱交換器14の下底面との間の所定のクリアランスを確実に確保することができる。」
(カ)「【図1】
[図:0001411252000005.jpg]
」
(キ)「【図3】
[図:0001411252000006.jpg]
」
(ク)「【図4】
[図:0001411252000007.jpg]
」
(ケ) (エ)の段落【0029】及び【0030】の記載事項及び(キ)の図3の図示事項から、ポンプ停止時にポンプやドレンホース内等に残留したドレンが自然落差等によりドレンパン内に戻る戻り水は、「ポンプの停止時にドレンホースの立ち上がり部から逆流した戻り水」であるといえる。
以上の摘記事項及び認定事項から、甲第2号証は、以下の技術的事項(以下、「甲2記載の技術的事項」という。)を開示するものといえる。
「室内熱交換器14が配置される上段内底面18aよりも下方でドレンパン15に収容可能な水量は、空調運転時の戻り水の体積よりも大きく、空調運転停止時におけるポンプの停止時にドレンホースの立ち上がり部から逆流した戻り水は、ドレンポンプ15の中、下段内底面18b及び18cに戻ること。」
ウ 甲第3号証
決定の予告で引用した甲第3号証には、「空気調和装置用キャビネット及びこれを用いた空気調和装置」に関して、以下の記載事項及び図示事項がある。
(ア)「【0001】
本発明は、空気調和装置の天井埋め込み型の室内機に用いられるキャビネットと、このキャビネットを用いた空気調和装置に関するものである。」
(イ)「【0016】
以下に、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態について、図1から図6を用いて説明する。
図1に示すように、本実施形態に係る空気調和装置1は、天井に設けられた開口部内に埋め込まれる室内機2と、室外に設置される室外機(図示せず)とを有している。これら室内機2と室外機とは、図示しない冷媒回路を介して接続されており、この冷媒回路を介して室内機2と室外機との間で熱のやり取りが行われるようになっている。
【0017】
室内機2は、天井に設けられた開口部に埋め込まれるキャビネット11と、天井の開口部をキャビネット11ごと覆う化粧パネル(図示せず)とを有している。化粧パネルには、空気取入口及び空気吹出口とが設けられている。
キャビネット11内には、化粧パネルの空気取入口から室内空気を取り込んで空気吹出口から再び室内に送出する吸送気装置12と、吸送気装置12がキャビネット11内に取り込んだ室内空気と冷媒回路内の冷媒との間で熱交換を行う熱交換器13とが設けられている。
【0018】
吸送気装置12は、駆動軸を略鉛直下方に向けた状態にしてキャビネット11に吊り下げられるファンモータ16と、ファンモータ16の下方に設けられてファンモータ16によって駆動される遠心ファン17(シロッコファン)とを有している。
遠心ファン17は、ファンモータ16の駆動軸に略同軸にして取り付けられる多翼のファン本体17aと、ファン本体17aを囲むように設けられてファン本体17aの周囲に室内空気を案内する流路を形成するハウジング17bとを有しており、ファン本体17aがファンモータ16によって回転駆動されることで、ファン本体17aの下方から化粧パネルの空気取入口を通じて室内空気を吸い込むとともに、この室内空気をファン本体17aの径方向外側(すなわちキャビネット11の周縁部側)に向けて送出して、化粧パネルの空気吹出口を通じて室内に吹出する構成とされている。
熱交換器13は、吸気装置12の周囲を取り囲むようにドレンパン19上に配置されており、吸気装置12によってファン本体17aの径方向外側に向けて送出された室内空気と冷媒回路内の冷媒との間で熱交換を行うものである。」
(ウ)「【図1】
[図:0001411252000008.jpg]
」
(エ)「【図2】
[図:0001411252000009.jpg]
」
エ 甲第4号証の記載事項
決定の予告で引用した甲第4号証には、「空気調和装置」に関して、以下の記載事項及び図示事項がある。
(ア)「【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳述する。
図1は本実施形態に係る空気調和装置を示す図である。この空気調和装置100は、2つの空気吹出口を備えた、いわゆる2方向カセットと呼称される天井埋込型空気調和装置であり、箱形の室内機本体1と、室内機本体1に配管接続された室外機(図示せず)とを備えている。
室内機本体1には、送風機3、熱交換器5、発泡スチロール製のドレンパン7、及び、後述するドレンポンプ等の各種機器類が収納され、被調和室の天井に複数本の吊りボルト(図示せず)を介して吊り下げられ、この室内機本体1の下側を向いた開口面には、化粧パネル9が重ね合わせて取り付けられている。」
(イ)「【0013】
この断熱材13で囲まれた空間内には、略U字形に形成された熱交換器5が配置され、この熱交換器5の下方(図2の上方向)には、熱交換器5で生成されたドレン水を受ける発泡スチロール製のドレンパン7が配置される。このドレンパン7は、外箱11の下面の開口に嵌合され、このドレンパン7の中央には、大きな吸込開口7Aが形成され、この開口7Aの両側には、一対の細長い吹出開口7Bが形成される。
17は板金製の補強金具であり、この補強金具17は、ドレンパン7の吸込開口7Aの側縁部に宛われ、補強金具17の両端がねじ(図示せず)を介して外箱11の端板11Bの上縁部11Cに固定されている。この板金製の外箱11は変形し、撓みやすい。そこで、外箱11の略中央部に、外箱11の外壁とドレンパン7の補強金具17間に掛け渡された、センター金具21が設けられ、このセンター金具21によって、外箱11の天板11Dの反り及び外箱11の中央部の開きが防止される。
【0014】
図3は室内機本体1を送風機3と共に示す分解斜視図である。図3に示すように、略U字形状の熱交換器5の間の空間には、ドレンパン7の吸込開口7Aを介して送風機3が組み込まれる。この送風機3は、箱形に形成された板金製の仕切り板41に固定され、この仕切り板41は、複数本のビスを介して、室内機本体1の補強金具17に固定される。具体的には、この送風機3は中央部にモータ31を配置し、このモータ31の両側の出力軸に羽根車32を備えて構成されている。この羽根車32はファンケース33によって囲われ、このファンケース33は、上ケース33Aと下ケース33Bとに上下2分割されている。」
(ウ)「【0018】
図4はドレンポンプ71を周辺構成と共に示す断面図である。
ドレンポンプ71は、このドレンポンプ71の吸込口71Aが、ドレン受け部7Cのドレン回収部7Hに臨むように、取付ステー72を介して室内機本体1の外箱11に固定される。このため、ドレンポンプ71が駆動された場合に、ドレン回収部7Hのドレン水がドレンポンプ71に吸い込まれ、このドレンポンプ71の吐出口71B(図2参照)に連結された排水ホース(不図示)を介して外部に排出される。この空気調和装置100では、空調運転中はドレンポンプ71が駆動され、空調運転が停止するとドレンポンプ71の駆動も停止される。
なお、このドレンポンプ71と取付ステー72との間には複数の防振ゴム73が介挿され、これら防振ゴム73は、ドレンポンプ71駆動時の振動が外箱11に伝達するのを遮断する。」
(エ)「【図1】
[図:0001411252000010.jpg]
」
(オ)「【図2】
[図:0001411252000011.jpg]
」
(カ)「【図4】
[図:0001411252000012.jpg]
」
オ 甲第5号証の記載事項
決定の予告で引用した甲第5号証には、「室内機及び空気調和装置」に関して、以下の記載事項及び図示事項がある。
(ア)「[0013] 実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る室内機100の設置状態を説明する図である。本実施の形態では、室内の天井に埋め込むことができる天井埋め込み型で、四方向に吹き出し口132を有する四方向カセット型の室内機100について説明する。ここで、本実施の形態における室内機100は遠心送風機(遠心ファン)を搭載しているものとする。室内機100は、冷媒配管により室外機と接続し、冷媒を循環して冷凍、空気調和などを行う冷媒回路を構成する。」
(イ)「[0016] たとえばフィンチューブ型の室内熱交換器110は、空気の流れにおいてターボファン170の下流側に、ターボファン170を囲むように設置している。たとえば空気調和装置に、本実施の形態の室内機100を適用する際、室内熱交換器110は、冷房運転時には蒸発器として機能し、暖房運転時には凝縮器として機能する。
[0017] ドレンパン140は室内熱交換器110などが設置された本体内側に溝を有している。室内熱交換器110から発生したドレン水を捕集する。ドレンパン140は、たとえば発泡スチロールなどの合成樹脂を材料として用いて成型される。ドレンパン140には、室内機100の下面中央部となる位置に、周囲にベルマウス160が取り付けられ、グリル131から流入した空気が通過する本体空気吸い込み口123となる貫通穴が形成される。また、室内熱交換器110から流出した空気を通過させて吹き出し口132に送る本体吹き出し口124となる貫通穴が形成される。グリル131、ベルマウス160(本体空気吸い込み口123)、本体吹き出し口124および吹き出し口132が連通し、室内機100内の風路を形成している。」
(ウ)「[図2]
[図:0001411252000013.jpg]
」
(3)対比・判断
ア 本件発明1
本件発明1と引用発明とを対比する。
引用発明の「熱交換器4」、「送風ファン2」、「熱交換器4の表面で結露して滴下するドレン水を受けて回収するドレンパン5」は、各々本件発明1の「熱交換器」、「送風機」、「前記熱交換器から滴下するドレン水を受けるドレンパン」に相当する。
引用発明の「ドレンパン5に溜まるドレン水を排出するドレンポンプ14」と、本件発明1の「前記ドレンパンに溜まった水を、ドレン配管を介して排水するポンプ」とは、「前記ドレンパンに溜まった水を、」「排水するポンプ」の限りにおいて一致する。
引用発明の「前記ドレンパン5の底部には、前記熱交換器4が空気の抵抗体30を介して上面に載置される上方に凸である仕切り壁12が形成され」ることは、本件発明1の「前記ドレンパンの底部には、前記熱交換器が上面に載置される上方に突出した凸部が形成され」ることに相当する。
引用発明の「前記ドレンパン5は、該凸とされた仕切り壁12の内外に各々、送風ファン2に対して凸部よりも内側である一次空間に流れ落ちるドレン水10を受ける凹状の溝と、送風ファン2に対して凸部よりも外側である二次空間に流れ落ちるドレン水11を受ける凹状の溝とが、前記熱交換器4の下部を収容するように形成され」ることは、本件発明1の「前記ドレンパンは、前記熱交換器の下部が収容される凹状のドレン溝を有」することに相当する。
引用発明の「前記送風ファン2を囲むようにして前記熱交換器4が配置され」ていることは、本件発明1の「前記熱交換器」が「前記送風機を囲むようにして配置された」ことに相当する。
引用発明の「前記ドレンポンプ14は、平面視して四角形状を呈する筐体1a内の四つの隅部のうちの同じ一つの隅部であって、仕切り壁12よりも外側に設けられている」は、本件発明1の「前記ポンプの設置位置は、前記凸部よりも外側に設けられている」に相当する。
引用発明の「天井埋込型の室内機100」は、本件発明1の「天井埋込み型空気調和機」に相当する。
以上のことから、本件発明1と引用発明とは、次の一致点で一致し、相違点で相違する。
[一致点]
熱交換器と、
送風機と、
前記熱交換器から滴下するドレン水を受けるドレンパンと、
前記ドレンパンに溜まった水を、排水するポンプと、
を備え、
前記ドレンパンの底部には、前記熱交換器が上面に載置される上方に突出した凸部が形成され、
前記ドレンパンは、前記熱交換器の下部が収容される凹状のドレン溝を有し、
前記送風機を囲むようにして前記熱交換器が配置され、
前記ポンプの設置位置は、前記凸部よりも外側に設けられている天井埋込み型空気調和機。
[相違点1]
ドレンパンに溜まった水を排水するポンプに関し、本件発明1は、「ドレン配管を介して」行うとしているのに対し、引用発明のドレンポンプ14は、排水の経路が不明である点。
[相違点2]
本件発明1では、「前記凸部の前記上面よりも下方で前記ドレンパンに収容可能な水量は、前記ドレン配管の立ち上がり部の内部容積よりも大き」く、「前記ポンプの停止時に前記立ち上がり部から逆流した水は、前記熱交換器の下部に沿う前記ドレンパンの前記凸部の外側の前記底部だけでなく前記凸部の内側の前記底部にも受け入れられる」のに対し、引用発明のドレンパン5は、「空気調和機の運転停止後、ドレンパン5に残留する一定量のドレン水は、ドレンパン5の一次空間又は二次空間に残留する」ものではあるが、収容可能な水量に関する定めがなく、「前記ポンプの停止時に前記立ち上がり部から逆流した水は、前記熱交換器の下部に沿う前記ドレンパンの前記凸部の外側の前記底部だけでなく前記凸部の内側の前記底部にも受け入れられる」かどうかも明らかでない点。
[相違点3]
本件発明1では、「前記凸部は、 前記熱交換器の底面に沿って該熱交換器の底面の形状に対応して形成され」るとしているのに対して、引用発明では「仕切り壁12」の形成と、「熱交換器4」の底面との関係が不明である点。
[相違点4]
本件発明1では、「前記熱交換器の下部に沿う前記ドレンパンの底部は、前記送風機に対して前記凸部よりも外側の方が内側よりも低い位置に形成され、前記送風機に対して前記凸部よりも内側の前記ドレンパンの底部は前記凸部の前記上面の高さよりも低い位置に形成され」るとしているのに対し、引用発明では、「ドレンパン5」に形成された「送風ファン2に対して凸部よりも内側である一次空間に流れ落ちるドレン水10を受ける凹状の溝」と、「送風ファン2に対して凸部よりも外側である二次空間に流れ落ちるドレン水11を受ける凹状の溝」との互いの高低や、「仕切り壁12」の上面の高さと「送風ファン2に対して凸部よりも内側である一次空間に流れ落ちるドレン水10を受ける凹状の溝」に関する高低について、特定がなされていない点。
事案に鑑み、上記相違点2及び相違点4の検討を行う。
本件発明1は、相違点4に係る本件発明1の発明特定事項を備え、加えて相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を備えることで、本件出願に係る明細書の段落【0007】及び【0013】に記載された効果を得るものである。
ここで、甲2記載の技術的事項は、「室内熱交換器14が配置される上段内底面18aより下方でドレンパン15に収容可能な水量は、空調運転停止時の戻り水の体積より大きく、空調運転停止時におけるポンプの停止時にドレンホースの立ち上がり部から逆流した戻り水は、ドレンパン15の中、下段内底面18b及び18cに戻ること。」である。
しかしながら、甲2記載の技術的事項は、相違点4に係る本件発明1の発明特定事項を開示するものではない。
そうすると、引用発明に甲2記載の技術的事項を適用しても、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項と相違点4に係る本件発明1の発明特定事項とを同時に備えることにはならない。
また、甲第3号証の図1の右側に図示された、ドレンパン19の13の左側の底面と、右側の底面とが、右側、すなわち、吸送気装置12に対して内側(=左側)の底部が、外側(=右側)の底部より低い位置に形成されているとした記載/図示があり(特許異議申立書の12ページ[拡大図]を参照)、甲第4号証の図1の同様の位置に関する記載/図示があり(特許異議申立書14ページ[拡大図]を参照)、甲第5号証の図2の同様の位置に関する記載/図示がある(特許異議申立書16ページ[拡大図]を参照)ように、「前記熱交換器の下部に沿う前記ドレンパンの底部は、前記送風機に対して前記凸部よりも外側の方が内側よりも低い位置に形成され、前記送風機に対して前記凸部よりも内側の前記ドレンパンの底部は前記凸部の前記上面の高さよりも低い位置に形成され」ることは、本件特許の出願前に周知の技術(以下、「周知技術」という。)といえる。
しかしながら、上記周知技術は、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項を備えるものではない。
そうすると、引用発明に上記周知技術を適用しても、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項と相違点4に係る本件発明1の発明特定事項とを同時に備えることにはならない。
また、引用発明において、甲2記載の技術的事項と上記周知技術を適用することで、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項と相違点4に係る本件発明1の発明特定事項とを同時に備えるようにすることは、所謂「容易の容易」に該当するから、採用することはできない。
そうすると、引用発明、甲2記載の技術的事項及び周知技術に基いて、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項と相違点4に係る本件発明1の発明特定事項とを同時に備えるようにすることは、当業者であっても容易に想到し得ることではない。
そして、本件発明1は、相違点2に係る本件発明1の発明特定事項と相違点4に係る本件発明1の発明特定事項とを同時に備えることで、上述したとおりの格別な効果を奏するものである。
したがって、他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、当業者であっても、引用発明、甲2記載の技術的事項及び周知技術に基いて、容易に発明できたものではない。
イ 本件発明2
本件発明2は、本件発明1の発明特定事項を全て有し、更に「前記熱交換器の下部と前記凸部の前記上面との間にインシュレーションが設置されている」との事項を含むものである。
そうすると、本件発明2についても、本件発明1と同じく、当業者であっても、引用発明、甲2記載の技術的事項及び周知技術に基いて、容易に発明できたものではない。
(5)小括
以上のとおり、本件発明1及び本件発明2は、引用発明及び甲2記載の技術的事項並びに周知技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
5 むすび
以上のとおり、決定の予告に記載した取消理由によっては、訂正後の請求項1及び請求項2に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に訂正後の請求項1及び請求項2に係る特許を取り消すべき理由は発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-701164