特許異議申立
2026-700135
オフィスレイアウト提示装置、オフィスレイアウト提示方法及びプログラム
- 審判番号
- 2026-700135
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2024-163483
- 登録番号
- 7725683
- 請求日
- 2026年02月16日
- 審決日
- 2026年06月22日
- 公報発行日
- 2026年07月31日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】株式会社イトーキ
- 【権利者代理人】稲葉 良幸
- 【権利者代理人】大貫 敏史
- 【権利者代理人】江口 昭彦
- 【権利者代理人】内藤 和彦
- 【異議申立人】角田 朗
- 審判長/審判官
- 審判長 佐藤 智康
- 審判官 野崎 大進
- 審判官 田付 徳雄
- 分類
- P1651.121-Y (G06Q)
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7725683号発明「オフィスレイアウト提示装置、オフィスレイアウト提示方法及びプログラム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7725683号の請求項1~7に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7725683号の請求項1~7に係る特許についての出願は、令和元年12月27日の出願である特願2019-238046号の一部を、令和6年9月20日に出願したものであって、令和7年8月8日にその特許権の設定登録がされ、同年8月19日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和8年2月16日に異議申立人 角田 朗(以下、「申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
特許第7725683号の請求項1~7の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。(以下、それぞれ、「本件発明1」~「本件発明7」という。)
「【請求項1】
オフィスレイアウトを提示するオフィスレイアウト提示装置であって、
特定のオフィスレイアウトを提示する提示部と、
前記オフィスレイアウトを提示するための所定の条件を受け付ける受付部と、
オフィスの間取りに関する間取り情報、及び、提示された前記特定のオフィスレイアウトに対する評価結果を取得する取得部と、を備え、
前記提示部は、
取得した前記間取り情報、及び、受け付けた前記所定の条件に基づいて、前記間取りに適合し、且つ、前記所定の条件を満たす一又は複数のオフィスレイアウトを検索し、
前記評価結果に基づいて、前記一又は複数のオフィスレイアウトのうち当該評価結果に応じた前記特定のオフィスレイアウトを提示し、
提示された前記特定のオフィスレイアウトにおける変更対象の第1什器がユーザにより選択される場合、前記第1什器とは異なる第2什器をユーザに対して選択可能に提示し、
前記特定のオフィスレイアウトに関して、仮想的にオフィス内を歩行する目線で視認可能な態様の3D画像又は3D動画として生成する、
オフィスレイアウト提示装置。
【請求項2】
前記提示部は、取得した前記間取り情報と受け付けた前記所定の条件とに基づいて、前記オフィスレイアウトに関するレイアウト情報を参照することによって、前記間取りに適合し、且つ、当該所定の条件を満たす特定のオフィスレイアウトを提示する、
請求項1に記載のオフィスレイアウト提示装置。
【請求項3】
前記提示部は、取得した前記間取り情報に基づいて間取り図を作成し、作成した前記間取り図に什器を配置することで、前記特定のオフィスレイアウトを提示する、
請求項2に記載のオフィスレイアウト提示装置。
【請求項4】
前記所定の条件は、前記オフィスレイアウトの種別、前記オフィスのサイズ、又は、前記オフィス内の座席数の少なくとも一つの情報を含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載のオフィスレイアウト提示装置。
【請求項5】
ユーザからの入力内容に基づいて、提示された前記特定のオフィスレイアウトの内容を更新する更新部を更に備え、
前記提示部は、取得した前記間取り情報、及び、受け付けた前記所定の条件に加えて、当該オフィスレイアウトの内容の更新結果に更に基づいて、前記更新結果に応じた前記特定のオフィスレイアウトを提示する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のオフィスレイアウト提示装置。
【請求項6】
オフィスレイアウトを提示するオフィスレイアウト提示方法であって、
特定のオフィスレイアウトを提示するステップと、
前記オフィスレイアウトを提示するための所定の条件を受け付けるステップと、
オフィスの間取りに関する間取り情報、及び、提示された前記特定のオフィスレイアウトに対する評価結果を取得するステップと、を含み、
前記提示するステップは、
取得した前記間取り情報、及び、受け付けた前記所定の条件に基づいて、前記間取りに適合し、且つ、前記所定の条件を満たす一又は複数のオフィスレイアウトを検索し、
前記評価結果に基づいて、前記一又は複数のオフィスレイアウトのうち当該評価結果に応じた前記特定のオフィスレイアウトを提示し、
提示された前記特定のオフィスレイアウトにおける変更対象の第1什器がユーザにより選択される場合、前記第1什器とは異なる第2什器をユーザに対して選択可能に提示し、
前記特定のオフィスレイアウトに関して、仮想的にオフィス内を歩行する目線で視認可能な態様の3D画像又は3D動画として生成する、
オフィスレイアウト提示方法。
【請求項7】
オフィスレイアウトを提示するコンピュータにおいて実行されるプログラムであって、
前記コンピュータを、
特定のオフィスレイアウトを提示する提示部と、
前記オフィスレイアウトを提示するための所定の条件を受け付ける受付部と、
オフィスの間取りに関する間取り情報、及び、提示された前記特定のオフィスレイアウトに対する評価結果を取得する取得部と、
として機能させ、
前記提示部は、
取得した前記間取り情報、及び、受け付けた前記所定の条件に基づいて、前記間取りに適合し、且つ、前記所定の条件を満たす一又は複数のオフィスレイアウトを検索し、
前記評価結果に基づいて、前記一又は複数のオフィスレイアウトのうち当該評価結果に応じた前記特定のオフィスレイアウトを提示し、
提示された前記特定のオフィスレイアウトにおける変更対象の第1什器がユーザにより選択される場合、前記第1什器とは異なる第2什器をユーザに対して選択可能に提示し、
前記特定のオフィスレイアウトに関して、仮想的にオフィス内を歩行する目線で視認可能な態様の3D画像又は3D動画として生成する、
プログラム。」
第3 申立理由の概要
1 申立人の提出した証拠
申立人の提出した証拠は以下のとおりである。(なお、甲第1号証ないし甲第6号証を以下それぞれ、「甲1」ないし「甲6」という。)
甲第1号証:特開平9-317206号公報
甲第2号証:特開2002-49651号公報
甲第3号証:特開昭63-279370号公報
甲第4号証:特開2009-157541号公報
甲第5号証:特開2010-191526号公報
甲第6号証:特開平1-200479号公報
2 申立人の主張
申立人の主張は、概略、以下のとおりである。
「本件特許発明1-7は、甲第1号証発明、甲第2号証発明及び甲第3号証発明に基づき、または、甲第1号証発明、甲第2号証発明及び甲第3号証発明並びに甲第4号証発明または甲第5号証発明または甲第6号証発明に基づき、または、甲第1号証発明、甲第2号証発明、甲第3号証発明及び甲第4号証発明並びに甲第5号証発明または甲第6号証発明に基づき、当業者が容易に発明をすることが出来たものである。」(異議申立書 8頁、23頁)
第4 甲号証
1 甲1について
(1)甲1の記載
甲1(特開平9-317206号公報)には、以下の記載がある
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、住宅のリフォーム時の住宅設計を行なう際に利用可能な建物リフォーム支援装置に関するものである。」
「【0009】このように、従来の建物CAD積算装置においては、効率的なリフォーム計画の立案及び提示を行なうことができないという問題を有している。
【0010】前記に鑑み、本発明は、効率的なリフォーム計画の立案及び提示が可能な建物リフォーム支援装置を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するため、本発明は、間取り図における特定の領域を指定すると共に、指定された特定の領域に対して増築、改修又は撤去などの工事の種類を選択し、選択された特定の領域に対して工事の種類に応じたリフォーム図面を作成するものである。
【0012】具体的に請求項1の発明が講じた解決手段は、建物リフォーム支援装置を、壁や床などの躯体についての躯体情報、建具の種類を示す建具情報、及び設備の種類を示す設備情報を含む既存建物部分の間取り図、並びに前記躯体情報、建具情報及び設備情報を含む増築又は改修しようとする増改築建物部分の間取り図のうちの少なくとも1つの間取り図が入力される入力手段と、前記入力手段に入力された間取り図における前記躯体情報、建具情報及び設備情報の少なくとも一部の情報を表示する表示手段と、前記表示手段により表示された少なくとも一部の情報における特定の領域を指定する領域指定手段と、前記領域指定手段により指定された特定の領域に対して、増築工事、改修工事又は撤去工事のいずれかよりなる工事の種類を選択する工事選択手段と、前記入力手段に入力された間取り図、前記領域指定手段により指定された特定の領域及び前記工事選択手段により選択された工事の種類に基づいて、2次元又は3次元のリフォーム図面を作成する提案手段とを備えている構成とするものである。」
「図1
[図:0001437419000001.jpg]
」
「【0028】図1は、本発明の一実施形態に係る住宅リフォーム支援装置の概略構成を示しており、該建物リフォーム支援装置は、マウスやキーボードなどよりなる入力装置10、ディスプレイなどよりなる表示装置20、プロッターなどよりなる各種出力装置30、建物リフォームCAD積算システム40及び建物リフォーム提案システム50から構成されている。
【0029】建物リフォームCAD積算システム40は、間取り図の描画、増改築部分の指定、表示及び仕上げ項目の指定又は提示などを行なうCAD装置41と、木拾い計算、壁面積計算、床面積計算、建具積算などを行なう積算装置42と、間取り図の出力、見積書の印刷、顧客管理名簿の出力などを制御する出力制御装置43と、顧客の管理、確認申請資料の作成、パース図の作成などを行なうオプション装置44と、図形データを格納する図形ファイル45と、積算データを格納する積算ファイル46と、工種データを格納する工種ファイル47と、その他のデータを格納するその他ファイル48とから構成されている。
【0030】入力装置10に、既存建物部分又は増築若しくは改修しようとする増改築建物部分の間取り図などの図形情報が入力されると、CAD装置41は間取り図などを描画して表示装置20に提示し、図形ファイル45は間取り図などを格納し、積算装置42は前記の図形情報に基づいて床面積などを演算し、積算ファイル46は床面積などの演算結果を格納する。この際、CAD装置41及び積算装置42において設定される各種の工事名称や仕上げ名称などについては、工種ファイル47に格納されたデータを使用する。また、設備機器などの情報はその他ファイル48に格納されたデータを使用する。また、間取り図や見積書などを出力する場合には、出力制御装置43からの指示により各種出力装置30が出力する。また、必要に応じて、オプション装置44は顧客管理などを行なう。
【0031】建物リフォーム提案システム50は、図形の読み込み及び表示、視点の変更、テクスチャの変更、インテリアイメージの設定、レイアウトの変更及び自動ウォークスルーなどを行なう提案装置51と、インテリアイメージを設定するイメージテーブル52と、設備機器の形状や色合いなどを設定する設備機器テクスチャテーブル53と、各種テクスチャを格納するテクスチャファイル54と、3D図形を格納する3D図形データ55とから構成されている。
【0032】提案装置51は、建物CAD積算システム40により作成され、図形ファイル45に格納されている間取り図などを読み込み、2次元又は3次元の図面を作成して表示装置20に表示させる。提案装置51はイメージテーブル52及び設備機器テクスチャテーブル53とリンクし、イメージテーブル52はテクスチャファイル54とリンクし、設備機器テクスチャテーブル53はテクスチャファイル54及び3D図形データ55とリンクしており、提案装置51は、テクスチャファイル54及び3D図形データ55などに格納されているデータを用いて、視点の変更、壁紙や床面などのテクスチャの貼りかえ、インテリアイメージの設定、家具などのレイアウト、及び自動ウォークスルーによるプレゼンテーションを行なう。」
「【0033】・・・図5は提案装置51が壁紙や床面などのテクスチャの変更やインテリアイメージの設定などを行なう際に用いるイメージテーブル52の一例を示し、・・・図9は提案装置51が壁紙のテクスチャを変更する際に用いるテクスチャリストの一例を示し、図10は提案装置51がインテリアイメージを変更したときの2次元の図面の一例を示し、・・・
【0035】まず、既存住宅の間取り図を入力装置10に入力して、CAD装置41により間取り図を描画する。この例では、和室とリビングとが隣接し、廊下を共有している。リフォーム計画は、リビングと隣接してキッチンを増築する場合を想定しており、リフォーム計画に基づく間取りプランを入力装置10に入力して、CAD装置41によりリフォーム後の間取り図を描画する。」
「【0050】まず、図11(a)に示すように、視点変更シンボルを2次元の図面上で家具を置く部屋に移動させる。次に、図9に示すようなテクスチャリストと同様の家具リストを起動し、入力装置10を用いて家具リストの中から家具を選択することにより、図12に示すように2次元又は3次元の図面上に配置する。このように、既存の家具や新規購入予定の家具を実際に配置してみることにより、内装の仕上がりとのマッチングを確認できるので、リフォームに伴う家具の模様替えなどにも対応でき、施主に対する細かなサポートに役立つ。」
「図5
[図:0001437419000002.jpg]
」
「図9
[図:0001437419000003.jpg]
」
「図10
[図:0001437419000004.jpg]
」
「図12
[図:0001437419000005.jpg]
」
2 甲2について
(1)甲2の記載
甲2(特開2002-49651号公報)には、以下の記載がある。(下線は当審において付加した。以下同じ。)。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オフィスレイアウトの設計を自動的に行い提供するシステムに関する。顧客が、オフィスの移転や改装などで、オフィスレイアウトを設計しようとする際に、インターネットに接続された端末を利用して、自己が希望するレイアウト要件に関する情報を入力することにより、自動的に適確なオフィスレイアウトを手軽に入手することができるシステムに関する。」
「図1
[図:0001437419000006.jpg]
」
「【0011】(5) 設計された所望のオフィスレイアウトを実施する場合の工事費用や、そのオフィスレイアウトに使用されている什器の購入費用等の見積額の算出や、工事の発注を、営業マンを介在させずに、即座に行うことができるようにする。」
「【0019】
【発明の実施の形態】図1は、本発明の一実施形態のブロック図であり、以下これに準じて本発明を説明する。本発明は、顧客端末(1)とネットワーク(2)を介して接続されるシステム管理サーバ(3)とを用いて、オフィスレイアウトの設計を自動的に行い提供するシステムである。
【0020】顧客は、オフィスレイアウトの設計を希望する場合、自己の端末(1)からシステム管理サーバ(3)にアクセスして、レイアウト要件情報の入力画面を要求する。前記入力画面は、システム管理サーバ(3)の送受信部(4)を介して入力画面要求受信手段(5)で受信され、入力画面データベース(6)に記憶された入力画面は、入力画面送信手段(7)によって顧客端末(1)に送信される。
【0021】前記入力画面は、レイアウト要件情報と顧客に関する情報とを、顧客に入力させるように構成されている。
【0022】レイアウト要件情報は、オフィスの建物躯体に関する情報と、建物躯体以外のレイアウトに関する要望情報とからなっている。
【0023】前者の情報は、レイアウトをしようとするオフィスの室内の形状、広さ、向き、窓の位置、出入口の位置、柱の位置などに関する情報である。
【0024】後者の情報は、その部屋の使用目的、たとえば会議用、応接用、役員用、一般事務用などの使用目的や、設置を希望する机・椅子・テーブル・キャビネットなどの種類、数、あるいは机の配置に関して、たとえば対向式とブース式のいずれを希望するか、その他、特別の要望事項などに関する情報である。
【0025】顧客に関する情報は、顧客の氏名、住所、職業、年令、性別、識別用IDなどである。これらの顧客情報と前記レイアウト要件情報とが入力されると、システム管理サーバ(3)の送受信部(4)を介して、顧客情報とレイアウト要件情報の受信手段(8)によって受信され、それぞれ顧客情報データベース(9)とレイアウト要件情報データベース(10)に記憶される。
【0026】次いで、オフィスレイアウト自動設計手段(11)において、前記レイアウト要件情報に基き、適確なオフィスレイアウトが自動的に設計される。
【0027】オフィスレイアウト自動設計手段(11)には、オフィスレイアウトパターンデータベース(12)とオフィスレイアウト自動設計用論理回路部(13)が組込まれている。
【0028】オフィスレイアウトパターンデータベース(12)は、想定される各種のレイアウト要件情報を分類し、その分類毎に、いくつかのオフィスレイアウトのパターンを記憶させてあるデータベースである。
【0029】オフィスレイアウト自動設計用論理回路部(13)は、顧客によって入力されたレイアウト要件情報から、前記オフィスレイアウトパターンデータベース(12)に記憶させてあるオフィスレイアウトパターンのどれが最も適合するかを選びだす論理回路が組込まれている。
【0030】顧客によって入力されたレイアウト要件情報に基いて、オフィスレイアウト自動設計手段(11)において、前記オフィスレイアウトパターンデータベース(12)とオフィスレイアウト自動設計用論理回路部(13)を利用して、適確なオフィスレイアウトが自動的に設計される。なお、前記オフィスレイアウト自動設計用の論理回路については、具体的事例をあげて後述する。
【0031】自動設計されたオフィスレイアウトは、データベース(14)に記憶された後に、送信手段(15)によって顧客端末(1)に送信され、表示される。顧客は、送信されたオフィスレイアウトを検討し、そのオフィスレイアウトを実施する場合の工事費用の見積金額を知りたい場合は、その旨を顧客端末(1)により入力すればよい。」
「【0041】なお、顧客が、自動設計されたオフィスレイアウトに対して満足しない場合は、レイアウト要件情報を変更して入力し直し、再度オフィスレイアウトの設計を試みればよい。
【0042】また、図1に示すブロック図に、自動設計されたオフィスレイアウトを、全体的または部分的に変更するための特別のブロック回路を付加してもよい。
【0043】たとえば、自動設計されたオフィスレイアウトの一部を変更したい場合、その変更を希望するエリアを指定し、そのエリアだけについて、机の配列を、対向式からブーズ式に変更するなどの希望するレイアウト変更要件情報を入力し、システム管理サーバに送信するための手段と、前記レイアウト変更要件情報に基いて、新たなオフィスレイアウトを自動設計する手段とを備えるブロック回路を付加してもよい。」
(2)甲2に記載されているといえる事項
ア 甲2の段落【0019】及び図1の記載を踏まえると、甲2には、「顧客端末(1)とネットワーク(2)を介して接続されるシステム管理サーバ(3)とを用いて、オフィスレイアウトの設計を自動的に行い提供するシステム」が記載されており、「システム管理サーバ(3)は、送受信部(4)、顧客情報とレイアウト要件情報の受信手段(8)、レイアウト要件情報データベース(10)、オフィスレイアウト自動設計手段(11)、自動設計されたオフィスレイアウトデータベース(14)、自動設計されたオフィスレイアウトの送信手段(15)などを備えている」ことが記載されているといえる。
イ 甲2の段落【0027】~【0029】及び図1の記載を踏まえると、甲2には、「オフィスレイアウト自動設計手段(11)には、オフィスレイアウトパターンデータベース(12)とオフィスレイアウト自動設計用論理回路部(13)が組込まれており、オフィスレイアウトパターンデータベース(12)は、想定される各種のレイアウト要件情報を分類し、その分類毎に、いくつかのオフィスレイアウトのパターンを記憶させてあるデータベースであり、オフィスレイアウト自動設計用論理回路部(13)は、顧客によって入力されたレイアウト要件情報から、前記オフィスレイアウトパターンデータベース(12)に記憶させてあるオフィスレイアウトパターンのどれが最も適合するかを選びだす論理回路が組込まれて」いることが記載されているといえる。
ウ 甲2の段落【0021】~【0024】の記載を踏まえると、甲2には、「レイアウト要件情報は、オフィスの建物躯体に関する情報と、建物躯体以外のレイアウトに関する要望情報とからなり、オフィスの建物躯体に関する情報は、レイアウトをしようとするオフィスの室内の形状、広さ、向き、窓の位置、出入口の位置、柱の位置などに関する情報であり、建物躯体以外のレイアウトに関する要望情報は、その部屋の使用目的、たとえば会議用、応接用、役員用、一般事務用などの使用目的や、設置を希望する机・椅子・テーブル・キャビネットなどの種類、数、あるいは机の配置に関して、たとえば対向式とブース式のいずれを希望するか、その他、特別の要望事項などに関する情報である」ことが記載されているといえる。
エ 甲2の段落【0025】の記載を踏まえると、甲2には、「レイアウト要件情報は、システム管理サーバ(3)の送受信部(4)を介して、顧客情報とレイアウト要件情報の受信手段(8)によって受信され、レイアウト要件情報データベース(10)に記憶される」ことが記載されているといえる。
オ 甲2の段落【0026】及び【0029】の記載を踏まえると、甲2には、「システム管理サーバ(3)のオフィスレイアウト自動設計手段(11)において、前記レイアウト要件情報に基き、オフィスレイアウトパターンデータベース(12)とオフィスレイアウト自動設計用論理回路部(13)を利用して、適確なオフィスレイアウトが自動的に設計される」ことが記載されているといえる。
カ 甲2の段落【0031】及び図1の記載を踏まえると、甲2には、「自動設計されたオフィスレイアウトは、自動設計されたオフィスレイアウトデータベース(14)に記憶された後に、自動設計されたオフィスレイアウトの送信手段(15)によって顧客端末(1)に送信され、表示される」ことが記載されているといえる。
キ 甲2の段落【0041】の記載を踏まえると、甲2には、「顧客が、自動設計されたオフィスレイアウトに対して満足しない場合は、レイアウト要件情報を変更して入力し直し、再度オフィスレイアウトの設計を試みればよい」ことが記載されているといえる。
(3)甲2に記載されている発明
上記(2)によれば、甲2には次の発明(以下、「甲2発明」という。)が記載されているといえる。
「顧客端末(1)とネットワーク(2)を介して接続されるシステム管理サーバ(3)とを用いて、オフィスレイアウトの設計を自動的に行い提供するシステムにおけるシステム管理サーバ(3)であって、
システム管理サーバ(3)は、送受信部(4)、顧客情報とレイアウト要件情報の受信手段(8)、レイアウト要件情報データベース(10)、オフィスレイアウト自動設計手段(11)、自動設計されたオフィスレイアウトデータベース(14)、自動設計されたオフィスレイアウトの送信手段(15)などを備えており、
オフィスレイアウト自動設計手段(11)には、オフィスレイアウトパターンデータベース(12)とオフィスレイアウト自動設計用論理回路部(13)が組込まれており、
オフィスレイアウトパターンデータベース(12)は、想定される各種のレイアウト要件情報を分類し、その分類毎に、いくつかのオフィスレイアウトのパターンを記憶させてあるデータベースであり、
オフィスレイアウト自動設計用論理回路部(13)は、顧客によって入力されたレイアウト要件情報から、前記オフィスレイアウトパターンデータベース(12)に記憶させてあるオフィスレイアウトパターンのどれが最も適合するかを選びだす論理回路が組込まれており、
レイアウト要件情報は、オフィスの建物躯体に関する情報と、建物躯体以外のレイアウトに関する要望情報とからなり、
オフィスの建物躯体に関する情報は、レイアウトをしようとするオフィスの室内の形状、広さ、向き、窓の位置、出入口の位置、柱の位置などに関する情報であり、
建物躯体以外のレイアウトに関する要望情報は、その部屋の使用目的、たとえば会議用、応接用、役員用、一般事務用などの使用目的や、設置を希望する机・椅子・テーブル・キャビネットなどの種類、数、あるいは机の配置に関して、たとえば対向式とブース式のいずれを希望するか、その他、特別の要望事項などに関する情報であり、
レイアウト要件情報は、システム管理サーバ(3)の送受信部(4)を介して、顧客情報とレイアウト要件情報の受信手段(8)によって受信され、レイアウト要件情報データベース(10)に記憶され、
システム管理サーバ(3)のオフィスレイアウト自動設計手段(11)において、前記レイアウト要件情報に基き、オフィスレイアウトパターンデータベース(12)とオフィスレイアウト自動設計用論理回路部(13)を利用して、適確なオフィスレイアウトが自動的に設計され、
自動設計されたオフィスレイアウトは、データベース(14)に記憶された後に、送信手段(15)によって顧客端末(1)に送信され、表示され、
顧客が、自動設計されたオフィスレイアウトに対して満足しない場合は、レイアウト要件情報を変更して入力し直し、再度オフィスレイアウトの設計を試みる、
システム管理サーバ(3)」
3 甲3について
甲3(特開昭63-279370号公報)には、以下の記載がある。
「2 特許請求の範囲
(1)現状オフィスに対する使用者の意識と、現状オフィスの実態をそれぞれ調査する調査ステップと、
その調査結果を分析しその分析結果を視認可能なマップとして表現する分析ステップと、そのマップを用いて現状オフィスの問題点あるいは基準との隔たりを明確にする各別評価ステップと、
この各別評価ステップによる複数種類の評価結果に軽重をつける総合評価ステップと、
この総合評価ステップによる評価結果に基づいて新オフィスに対する提案を行う提案ステップとを具備してなることを特徴とするオフィスプランニング方法。」(1頁左下欄5行~下から2行)
「[産業上の利用分野]
本発明は、主としてオフィスを移転したり改装する際に適用されるオフィスプランニング方法およびそれに使用するマップに関するものである。」(4頁右上欄2~5行)
「[作用]
第1の発明によれば、その調査ステップで、現状オフィスを実際に使用している使用者の主観的な実状と、その現状オフィスの客観的な実態とを共に把握することができる。そして、分析ステップで、その把握した事実、すなわち、現状オフィスの問題点や、各種の物理的データ等が、視認可能なマップとして表現される。」(5頁右下欄3~10行)
「第1図
[図:0001437419000007.jpg]
」
「[実施例]
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
第1の発明に係るオフィスプランニング方法は、第1図に示すように、現状オフィスに対する使用者の意識と、現状オフィスの実態をそれぞれ調査する調査ステップと、その調査結果を分析しその分析結果を視認可能なマップとして表現する分析ステップと、そのマップを用いて現状オフィスの問題点および基準との隔たりを明確にする各別評価ステップと、この各別評価ステップによる複数種類の評価結果に軽重をつける総合評価ステップと、この総合評価ステップによる評価結果に基づいて新オフィスに対する提案を行う提案ステップとを具備してなる。
各ステップについて詳述すれば、次のようである。
<調査ステップ>
調査ステップにおける意識調査は、アンケート調査と、インタビュー調査とからなっている。アンケート調査は、環境、スペース、エレメント、心理・生理、コミュニケーションおよびレコードマネジメントに関する分野に亙って行われるものであり、例えば、第2図に示すように、各設問に対して5段階の答えを用意し、いずれかに丸印を付すような形式で行われる。アンケートの対象は、例えば、全社員の20%程度とし、各セクション(部、課、係)に均一に配布する。一方、インタビュー調査は、オフィスに対する個別の問題点、オフィスに対する要求および業務内容に関する聞出しに重点をおいて行われるもので、例えば、企業理念・会社組織、空間条件、エレメント、情報・レコードマネージメント、機器、将来計画などの項目から成り立っている。このインタビュー調査は、例えば、全社員の5%程度を対象に実施される。
一方、調査ステップにおける実態調査は、行動・コミュニケーション調査、スペース・レイアウト調査、エレメント調査と、レコードマネージメント調査、環境調査などからなっている。行動・コミュニケーション調査は、各セクション単位での人間間の電話、打合せ、書類の伝送についての頻度および内容に関するものである。スペース・レイアウト調査は、オフィスインテリア空間全般にわたって、家具、什器、設備の配置、寸法、形状を調べ、平面にプロットすることにより行われる。エレメント調査は、使用家具、什器、設備機器の寸法、機能、形式、使用頻度、数示を調べ、リストに書入れることにより行われる。レコードマネーメント調査は、使用書類の種類、形式、保管方法、並びに、書類の発生から伝達、処理、廃棄に至る流れを調べるものである。環境調査は、照度、輝度、色彩、騒音、温度、湿度などの物理的要素を測定するものであり、室内のポイントを選びJISなどの測定方法に準拠して測定する。
<分析、各別評価ステップ>
アンケート分析は、オフィスワーカの評価がどの分野にどの程度のレベルにあるかを明確にするためのもので、具体的には、第3図に示すような意識マップ1を作成する。意識マップ1は、環境、心理・生理、レイアウト・スペース、レコードマネジメント等の複数の調査分野に対応する複数の区画領域2.3.4.5を設け、これら各区画領域2.3.4.5内に、前記各調査分野におけるアンケート項目の内、不満がある旨の結果を得た項目の名称6を表示してなる。すなわち、アンケートの結果を単純集計し、その平均値を出す。そして、その平均値が所定の基準値よりも小さい(不満度が大きい)項目の名称6のみを対応する区画領域に記入する。そして、各項目の名称6に、平均値の大小、換言すれば不満度の高低に応じた大きさの枠図形7を併記する。
このような意識マップによれば、調査分野毎に区分された区画領域2.3.4.5内に、それら各分野の問題となる項目名6のみが表示されることになる。そのため、その問題点の所在が明確なものになる。そして、その項目名6を不満度の高低に応じた大きさの枠図形7とともに表示しておけば、その問題点の大きさまでもが一目瞭然となる。なお、職域、職制、年齢、男女ごとの評価も、同じ方法をとることができる。
スペース分析は、空間の利用特性を把握するために、特に、有効執務スペースを執務ゾーン、コミュニケーションゾーン、共用ゾーン、役員ゾーン、更生ゾーンなどにゾーン分けした上、さらに、執務ゾーンを執務エリア、管理エリア、打合エリア、OAエリア、収納エリア、通路エリアにエリア分けし、スペースマップ11を作成する。スペースマップ11は、第4図に示すように、オフィスの平面図12に、各ゾーン13~19毎に異なった網掛域または色塗域を重合表示してなるもの、または、オフィスの平面図に、執務ゾーンをさらに細分化してなる各エリア毎に異なった網掛域または色塗域を重合表示してなるものである。そして、このスペースマップ11に基づいて、ゾーン13~19またはエリアに関するスペース構成面積比率を算出して表などに記入し、それを他社のデータなどに基づいて予め作成した基準と比較して評価する。具体的に説明すれば、例えば、まず、第4図に示すゾーン用のスペースマップ11に基づいて、各ゾーンの面積をそれぞれ算出し、1人当りの有効事務スペース、ゾーン構成面積比率を求める。次いで、執務ゾーンを取上げ、各セクションごとにその面積をそれぞれ算出する。そして、その値を各セクションの構成人数で割って、各セクショごとに1人当り執務ゾーン面積あるいはセクションごとの構成面積比率を求める。また、各々のセクションの執務ゾーンについて、エリア分けを行なってそれぞれのエリア面積を算出し、各セクションごとの1人当り執務エリア面積およびセクションごとのエリア構成面積比率を求める。
しかる後に、企業特性に見合ったゾーン構成面積比率、1人当り執務エリア面積が確保されているか否か、さらにエリア構成面積比率などが妥当であるかなどを、他の企業の比率など基準となるデータと比較して評価する。
なお、執務エリアの1人当り面積は、作業特性に応じたワークステーションの形状や大きさによって多大な影響を受ける。
また、執務ゾーンの1人当り面積は、セクションごとの業務特性によってそれぞれ異なるため、平均的には扱えない。したがって、このような作業特性、業務特性、企業特性に応じた分類での面積基準を蓄積し使用することが必要である。
ゾーニング分析は、ゾーニングの概念をパーティカル、フロア、エリアの3つに分類することにより行われ、その分析結果をゾーニンブマップなどを使用して評価する。詳述すれば、ゾーンの種類としては、執務ゾーン、コミュニケーションゾーン、共有ゾーン、役員ゾーンおよび更生ゾーンなどを設定する。また、エリアの種類としては、執務エリア、管理エリア、打合せエリア、OAエリア、収納エリアおよび通路エリアなどのものを設ける。そして、実態調査により得られたデータに基づいて、ゾーニングマップを作成する。ゾーニングマップは、オフィスの平面図に、各ゾーン毎またはゾーンをさらに細分化してなる各エリア毎に異なった網掛域または色塗域を重合表示してなるスペースマップを各階毎に作成し、それらのスペースマップを同時に視認し得るように並列に配列させたものである。そして、このゾーニングマップに、行動コミュニケーション析により作成された動線マップ31および相関マップ41などを加え、動線が入り乱れていたり、オフィスワーカの動線と外来者の動線が交差していないか、あるいは、相関の強いものが遠く離れていたり、相関の弱いものが隣接しているようなことがないかなどの評価を行う。なお、ゾーニングマップとしては、スペースマップ11を単に並列に配置したものに限らず、例えば、第5図に示すようなものであってもよい。すなわち、第5図のゾーニングマップ21は、各スペースマップ11を、同一縮尺で透明な台紙22上に各別に記載しておき、それらの少なくとも2枚を重ね合せられるようにしたものである。一方、前記動線マップ31は、第6図に示すように、オフィス空間に、家具、什器、設備機器などの個別平面図をプロットしてなるレイアウト図32に、人の移動を示す動線33.34.35.36を記入してなるものである。動線33.34.35.36は、移動頻度の高低に対応した太さを有している。そして、内部の人間の動線は内部動線33.34.35として実線で表し、外来者の動線は外部動線36として破線で記入している。また、相関マップ41は、各セクションA-Yを示す複数のセクション表示図形42と、コミュニケーションのあるセクションに対応する各セクション表示図形量±42を結ぶコミュニケーション線43.44とを具備してなる。コミュニケーション線43.44は、コミュニケーションの頻度に対応した太さを有している。以上のようにして、バーチカルゾーニングの分析および評価を行うが、フロアーゾーニングは、1フロアを対象にして、前述の手法に準じた分析および評価を行うものであり、エリアゾーニングは、各執務ゾーンを前記のエリアに分け、前述の手法に準じた分析および評価を行うものである。
レイアウト分析は、レイアウトが適切に行われているか、スペースが有効に利用されているかを見るためのもので、動作空間を基準として、レイアウトマップ51なる平面図を作成して行う。動作空間とは、個々の家具や什器などの機能空間を前提とし、それに人間がかかわった場合に必要となる空間のことである。レイアウトマップ51は、オフィス空間に、家具、什器、設備機器などの個別平面図を記入してなるレイアウト図52に、動作空間に対応する網掛域または色塗域を重合表示してなるものである。このレイアウトマップ51をもとに、動作空間同士の重なりの状態を判断し、動作空間の過不足、あるいは、空間の使われ方の方よりなどを判定する。なお、第8図で両方向のハツチングが記入されている部分は、動作空間が重複している部分を示しており、網掛けが一切ない部分はデッドスペースを示していることになる。また、必要に応じて、前記レイアウトマップ51から机-机、机-什器、机-壁などの動作域の寸法を求め、各セクション毎に、その最少、最大、平均値などを求める。そして、これらを基準となる標準的動作空間の寸法と比較し評価する。具体的な問題点の指摘としては、例えば、動作空間同士の重複が多く、十分な動作空間が確保されていない。OAエリア部分の動作空間が特に不十分である。通路エリアの面積が大きく、デッドスペースもあり、スペース活用のバランスが悪い。通路が複雑で凹凸が多く、メイン、サブの区別が明瞭でないなどが挙げられる。
エレメント分析は、家具や什器が建築や設備などと一貫性を有したものであるか、各セクションの作業内容に合致したものであるか、将来の業務内容、業務形態の変化に対応し得るフレキシビリティを有したものであるか否かを評価するために行われる。この分析および評価は、前述したエレメント調査により作成したリストを、各セクション毎に分類してなるエレメントマップを作成し、そのマップによりそれら各エレメントが各セクションの業務に適した道具であり得るか否を評価する。また、それらの家具や什器のモジュールと建築のモジュールとがうまく合致しているか否かを判断する。
環境分析は、前記環境調査により測定した結果を、第9図に示すような環境マップ61として表すことにより行われ、その分析結果を学術的な研究や蓄積された経験などから割出された基準と比較することにより評価する。
<総合評価ステップ>
以上のようにして各調査項目に対応する各別な分析および評価を行うことができるが、提案に先立って、総合的な評価を行う。その理由は、提案に際しては、経済上、技術上、機能上さまざまな制約条件があり、限定された条件の中で、優先順位や計画要素の重みづけが必要となるからである。また、将来予測やインタビュー調査等により明らかにされた企業理念も組入れられる必要がある。計画実施のための方向づけや目標設定も行われなくてはならない。しかして、前記各別評価ステップの評価結果に軽重をつける作業が行われる。この総合評価は、前記各別評価ステップでの評価結果およびその分析評価結果の一部を記載したオフィス診断カルテを使用し、計画者とクライアントとのやりとりの中で決定される。オフィス診断カルテ71は、セクション(部、課、係)毎に作成されるもので、第10図に示すように、セクション名を記入する欄、業務内容を記入する欄、組織構成を記入する欄、現状位置を記入する欄、現状面積を記入する欄、1人当りの面積を記入する欄、面積比率表、使用什器を記入する欄、収納に関する情報を記入する欄、OA機器の種類や台数などを記入する欄、現状のレイアウトを記入する欄、アンケート調査の結果の内、在席時間、会議時間、外出時間に関する分析結果を記入する欄、その結果に関するコメント(評価)を記入する欄、インタビュー調査により聞出した要望事項を記入する欄、その要望事項に関するコメントを記入する欄、現状のオフィス景観を撮影した写真を添付する欄からなっている。
<提案ステップ>
提案ステップで提示される項目としては、環境提案、スペース提案、ゾーニング提案、レイアウト提案、エレメント提案、レコードマネジメント提案、オフィスサービス提案などが挙げられる。
環境提案は、照度、温度、湿度、気流、炭酸ガス濃度、一酸化炭素濃度、浮遊粉じんの量、騒音、色彩などをどのようにするのかを、問題点の軽重に応じて提示する。
スペース提案は、オフィス全体、ゾーンスペース、セクションスペースに関して行われる。各ゾーンスペースの面積は、前記総合評価に基づく方向性に沿って、その構成比率が決定され提示される。各セクション毎の単位空間を求める作業は、前記オフィス診断カルテ71を用いて行う。すなわち、まず、各セクションごとの分析結果に基づいて、業務内容に応じたワークステーションパターンを具体的な空間条件のもとで選択する。そして、計画時における各セクション当りの要求人数を確定し、その人数に照らし合せたワークステーションの数を算出する。しかる後に、必要なグリッドの数を求め、同時に後述するような各セクションごとのエリアゾーニングの基本をつくり、レイアウトプランと単位空間の大きさを確定し提示する。
ゾーニング提案に際しては、コミュニケーション分析によって各セクションごとの関連の度合いを示した、相関マップ41に基づいて検討される。
各々の単位空間の大きさとフロア-面積とをグリッドで調整しながらパーティカルなゾーニングを行う。パーティカルなゾーニングに次いで、各セクションの要求をもとに、動線と関連させながらフロアーゾーニングを行う。
レイアウト提案は、前述したワークステーションパターンの選択により行われる。すなわち、ワークステーションパターンとは、オフィスにおける課、係レベルのデスク配置の集合の型に関するものであり、第11図(a)~(f)にその例が示されている。このワークステーションパターン81~86・・・は、オフィスレイアウトの基本ともなるべきもので、業務特性、構成人数、コミュニケーションのあり方、プライバシー等の要求度合、さらには、OA機器、保管書類などによって影響を受ける。ワークステーションパターンの決定に係わる手法を以下に説明する。まず、アンケート、インタビュー調査によって、職種、職制別に、日、週単位でのワークデスクでの作業内容(筆記、思考、情報処理、書類の作成・整理、打合せ、コピー、OA関連作業、外出、その他)を調査し整理しておく。また、在席時間、打合せ・会議頻度、時間、外出頻度なども調査し特性を抽出する。また、課、係レベルでの最少単位としての組織形態がどのように形成されているのか、その構成人数と組織形態を調査し、パターン化を図る。予め組織形態に適合すると思われるワークステーションパターンを用意しておき、類型化を行って調査からのパターン図と照合する。また、コミュニケーションの種類は、電話、会話、書類のやり取り、その他であるが、特にワークステーションを決定する要因は構成員間の会話や打合せの頻度、時・間などに左右される。そのため、コミュニケーション調査の結果に基づいて、第12図に示すようなコミュニケーションパターン図91を作成する。なお、この図面において、92は各オフィスワーカを示し、93はコミュニケーション線を示している。そして、予めコミュニケーションパターンに適合すると思われるワークステーションパターンを用意しておき照合する。さらに、心理要因は、まず、プライバシーとコミュニケーションにおきかえる。プライバシーとコミュニケーションそれぞれの必要度合を、例えば、第13図に示すように、4つの次元の中で表現し、この中で予めワークステーションパターン(ランドスケ一式、対面式、学校式等)の位置づけを行っておく。プライバシーとコミュニケーショの要求度合を調査することによって、ワークステーションの選択を行うことができる。また、ワークステーションパターンを、例えば、第14図に示すように、オフィスワーカそれぞれの自由性と、逆に管理上の統一性との関連の中で位置づけておき、要求度を調べることによって、選択を行うようにすることもできる。
エレメント提案は、スペース効率を高める方向で行われる。すなわち、前述した実態調査で現状オフィスのレイアウトマップを作成すると、デッドスペースが多くみられることが少なくない。このデッドスペースを減少させるためには、建築と家具、什器のモジュールをうまく合致させるようにすることが重要であり、この点に重点をおいてエレメントの提案を行う。また、限られたスペースの中で、業務内容の変化に対して、できるだけフレキシブルに対応することができるような家具、什器を提案する。さらに、色彩なども建築と統一性を持たせるように提案する。なお、具体的な種類などの提案については、前述のワークステーションパターンとの関連で行う。
レコードマネジメント提案は、時系列的な分析に基づき、一時保管、短期保管、長期保管の概念を明確にし、それぞれに適したファイル方法や保管方法を提案する。
その他、情報通信サービスや各種オフィスサービス、健康、安全などについての提案なども合せ行う。
<計画案分析・評価ステップ>
以上の提案を行うにあたり、総合評価に基づき作成された新オフィスについての計画案に対して、実態調査結果に対して行ったのと全く同一の手法により、分析・評価を加えることもできる(第8の発明)。この評価は、提案の有効性を計画者自身がチェックするためだけではなく、提案により説得性をもたせるためのものである。オフィス診断の分析・評価手法を計画案に対しても適用することによって、現状オフィスと計画案との比較検討が可能となる。」(6頁右下欄下から7行~11頁右上欄最終行)
「
[図:0001437419000008.jpg]
」
4 甲4について
甲4(特開2009-157541号公報)には、以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
この発明は、書誌情報を提供するサーバーと複数の蔵書情報を提供するサーバーから情報を収集し、利用しやすい形式で利用者に提供するシステムに関する。」
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
図書館利用者が入手したい図書の情報をインターネットを通じ、検索する環境下において、情報統合サーバーが利用者端末からの検索要求を受けて該当書籍の書名・著者および編者名・出版社名等からなる書籍情報と購入可能店舗とその納期等からなる購入方法情報を書誌情報サーバーから取得する手段と、検索候補が複数あった際に前記情報統合サーバーが候補の中から1つの選択を利用者に要求する画面を送信する手段と、前記情報統合サーバーが利用者の指定した図書の所蔵館と貸出状態等からなる蔵書情報を複数の蔵書情報サーバーから取得する手段と、前記情報統合サーバーが前記書誌情報と前記蔵書情報と前記購入方法情報を統合した画面を利用者に送信する手段からなる蔵書情報横断的検索システム。」
5 甲5について
甲5(特開2010-191526号公報)には、以下の記載がある。
「【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス環境評価システム、オフィス環境評価方法、プログラム及び記録媒体に関し、特に、オフィス機器の最適な配置を提案する場合に好ましく適用される技術に関するものである。」
「【0008】
さらに、オフィス環境の評価や提案を行うにあたって、オフィスのレイアウトや配置するオフィス機器を顧客の要望に応じて簡易に変更できるようにすることが望ましい。また、オフィス環境の提案内容や評価結果を視覚的にわかりやすく提示できれば顧客の理解も進み、顧客にとっての最適なオフィス環境の実現につながる。
【0009】
そこで、本発明は、上記の状況に鑑みてなされたもので、顧客の様々な要望に応じて、オフィス機器までの移動距離を考慮したオフィスレイアウトを含めてオフィス環境の評価や提案を行い、評価結果や提案内容を顧客にわかりやすく提示できるオフィス環境評価システムを提供することを目的とする。」
「【0022】
図1は、本発明の実施形態に係るオフィス環境評価システムの構成を示した図である。図1に示すように、本実施形態のオフィス環境評価システムは、データ取得部101、経路算出部102、データ分析部103、レイアウト表示部104、データ操作部105、分析結果表示部106、機器マスタデータ107、重み付け調整部108を有して構成される。
【0023】
データ取得部101は、オフィス機器の動作状況、設定状況にかかわるデータを取得する。取得にあたっては、自動的に取得することも可能であるし、顧客へのインタビューによって取得することも可能である。自動的に取得する場合は自動的に取得する仕組みを顧客側のシステムに設置する手間があり、一方、顧客へのインタビューによって取得する場合には必ずしもすべてのデータを正確に得られるわけではない。例えばオフィス機器の利用状況における重要な情報である印刷枚数は、インタビューで明らかにしようとしても顧客自身が正確な印刷枚数を把握していない場合が多く、正確なデータの取得は困難である。取得するデータとしては、評価したい項目に応じて変化するが、本実施形態においては、動線を評価することが大きな特徴であるため、オフィスレイアウトにおける機器の配置情報は必須である。
【0024】
経路算出部102は、データ取得部101で取得されたデータ(位置情報)に基づいて、オフィス機器とユーザの間の最短経路を算出する。最短経路は、全オフィス機器と全ユーザの間の経路について求められ、後述するレイアウト表示部103によりオフィス機器とユーザの配置とともに表示される。最短経路の算出方法は、後で詳細に述べる。
【0025】
データ分析部103は、データ取得部101で取得されたデータに基づき、オフィス機器の配置や利用状況を分析する。分析では複数の評価軸があることが通常であり、例えば印刷枚数にかかわるコスト、機器の可能な印刷枚数に対する実績(稼働率)、機器の消費電力等があり、また本実施形態では動線が評価軸に含まれる。そして、データ分析部103は、評価軸として、動線距離の平均値や動線距離の最大値を算出する(図8参照)。また、これら複数の評価軸がある場合、オフィス全体の評価が求められことがよくある。このとき、個々の評価軸について重みを変更できると有効である。本実施形態では、重み付け調整部108により評価軸の重み付け変更を可能にしている。
【0026】
重み付け調整部108は、複数ある評価軸のそれぞれの結果を調整し、全体評価を算出する際に、それぞれの評価結果の重みを調整する。これにより、例えばコストを重視する顧客に対してはコスト評価の重み付けを重くした評価を行い、一方、消費電力を重視する顧客に対しては消費電力の評価結果についての重みを増すことで、より顧客の求めている評価を全体評価とすることが可能となる。図9に重み付け調整部108の典型的な実施例を示す。ここで、オフィス環境の評価者は、調整つまみ401を操作することで、複数の分析結果の、総合評価に対する重み付けを変更することができる。
【0027】
レイアウト表示部104は、データ取得部101で取得したデータに基づいて、オフィスにおける機器、顧客の配置を表示する。レイアウト表示部104はコンピュータのソフトウェアとして実現され、スクリーン上に表示されることが好適である。また、別の実施形態として、オフィスのレイアウトをレイアウト図として印刷することも可能である。図6にレイアウト図の表示例を示す。ここで、PCのアイコンで示されている部分が、顧客アイコン201であり、顧客の位置を示す。機器のアイコンで示されている部分が機器アイコン202であり、それぞれのアイコン表示位置に機器や顧客が配置されている。
【0028】
データ操作部105は、データ取得部101で取得したデータを変更する手段である。上記のように、データは種々の方法で取得されるが、実際には間違ったデータを入力したり、データが不足したりする場合がある。また、端的には、レイアウト図上のオフィス機器の位置を調整し、動線を変更する場合がある。こうした場合に、データ操作部105は、一旦入力したオフィスのデータや機器位置等を調整する。図7にレイアウト図上のオフィス機器を移動している典型的な例を示す。移動中の機器701は、マウス操作によって簡易に移動することが可能である。
【0029】
分析結果表示部106は、データ分析部103による分析結果を表示する。図8に分析結果の表示例を示す。分析結果表示部106はコンピュータ上のソフトウェアとして実現することも可能であり、その際には、ディスプレイ上に表示される。主要な分析結果は、分析結果グラフ801として、レーダーチャート等のようなわかりやすいグラフで表示される。各評価項目やその評価値は、分析結果表802として、複数の分析結果が表の形式で表示される。」
「
[図:0001437419000009.jpg]
」
「図2
[図:0001437419000010.jpg]
」
「【0033】
図2は、本実施形態のオフィス環境評価システムの動作処理を示したフローチャートである。本実施形態のオフィス環境評価システムでは、まずデータ取得部101が、オフィスのレイアウトを分析するためのデータを取得する(ステップS1)。先に述べたように、データは機械によって自動的に取得することも可能であるし、オフィスの顧客への利用状況の聴取のように人間が行うことも可能である。取得されたデータは、オフィス環境評価システムで処理できるような形式に変換されることは明らかである。また、データ取得部101が取得するデータには、オフィスの顧客と機器の位置情報が含まれている必要がある。
【0034】
次に、経路算出部102が、データ取得部101で取得されたオフィス機器やユーザの位置情報を用いて、オフィス機器・ユーザ間の最短経路を算出する(ステップS2)。そして、レイアウト表示部104が、データ取得部101で取得された位置情報及び経路算出部102で求められた最短経路を、オフィスのレイアウトとして画面表示する(ステップS3)。端的な画面の例は図6及び図7に示したとおりである。
【0035】
次いで、データ分析部103が、データ取得部101で取得されたデータ及び機器マスタデータ107に保持されたデータを用いて、オフィス機器の利用状況や配置状況についての分析を行う(ステップS4)。そして、分析結果表示部106が、データ分析部103による分析結果の画面表示を行う(ステップS5)。端的な画面の例は図8に示したとおりである。
【0036】
オフィス環境評価を終了せずに(ステップS6/NO)、機器やユーザの位置を調整してオフィス環境の分析を継続する場合(ステップS7/YES)には、データ操作部105が操作内容を受けて機器やユーザの位置調整を行う(ステップS8)。端的な画面の例は図9に示したとおりである。そして、上述したS2からS5の一連のステップ(最短経路算出、レイアウト表示、データ分析、分析結果表示)が、位置調整後のデータに基づいて行われる。一方、オフィス環境評価を終える場合(ステップS6/YES)には本実施形態のシステムによる動作処理は終了となる。」
6 甲6について
甲6(特開平1-200479号公報)には、以下の記載がある。
「2.特許請求の範囲
人員対応の所要設備とその数量の基準値、並びに前記人員および前記設備対応の所要スペースの基準値を格納した少なくとも1種のスペース標準(1)と、該少なくとも1種のスペース標準の中から選択した所望のスペース標準を用いて、入力された人員数に対応するスペースを算出(24)し、該算出されたスペースと大きさ、形状が既知の特定オフィスとを比較し、該比較結果に基づいて前記特定のオフィスを評価(25)するオフィス設計支援システムにおいて、
書換可能な状態に前記選択されたスペース標準を転送・格納し、該転送されたスペース標準をスペース算出基準(2)として設定(21)し、該スペース算出基準を用いて前記特定のオフィスの評価(25)を行う一方、
前記特定オフィスに具体的にレイアウト(26)を行なった結果に基づいて、人員および設備当たりの必要スペースの単位値を算出(28)し、該算出結果に基づいて前記スペース算定基準を更新(29)することを特徴とするオフィス設計支援方式。」(1頁左下欄4行~同頁右下欄5行)
「第1図は本発明の一実施例に使用したオフィス設計支援システムの要部構成を示す図、第2図は上記一実施例の手順を示す図である。
第1図に示すスペース標準1は1人当たりのスペースや、OA機機器類1台当りのスペースの標準値を示すもので、複数種のスペース標準1例えば自社標準1a、業界標準1b、公的期間が定めた標準1c等、複数種のスペース標準を準備しておく。
これら複数種のスペース標準1a、lb、lc、・・・のうちから、所望のもの、例えば自社標準1aを選択する。ここで選択されたスペース標準1aは、今現在進めようとしているオフィスの必要スペースの見積に使用する。この見積に基づいて適当と思われるビルを探すか、あるいは新たにビルの建設を行うか等を検討し、実行することとなる。
次いでしかるべき建屋が決定したとする。この段階で、使用する部屋の形状や大きさといった建屋条件が把握され〔第2図22参照〕、次の段階に進む。この段階では、まず各部屋に配置する部門とその人数を割り振って、部屋割り案を作成することとなる〔第2図23参照〕が、この段階では前述のスペース標準1aをそのまま使用するのではなく、本実施例ではこれを書換可能な状態に格納し直したスペース算出基準2を使用する。これの格納場所は特に限定する必要はないが、直接アクセス記憶装置(DASD)やフロッピディスクなどを用いれば良く、これらの上にスペース標準1aを転送して、もとのスペース標準1aとは別のファイルを作成し、これをスペース算出基準2とする〔第2図21参照〕。この操作は第2図に見られる如く、予め、上述の部屋割り案の評価等を行う前に実行しておく。
第1図に符号5で示す人員、設備台数やオフィス条件データは、上記建屋条件や内部に収容する人員構成、設備類の数に関するデータであって、これらデータは操作卓3から操作者が入力しても良く、或いはフロッピディスク等の記憶媒体4に格納された既存のデータから転送しても良い。また、上記各種データを図には一括して示しであるが、それぞれ独立したファイルとしても良く、この部分は本発明と直接関係がないので、簡単化して描いたものである。
部屋割り案の作成は、第3図(a)に見られるように、入力画面上で部屋ごとに入居させる部門を指定することにより行う。
上記データファイル5から人員や設備台数を読みだし、これと上記スペース算出基準2から読み取ったスペース基準とから、指定された部門の必要スペースを算出して、画面に表示するとともに、残りスペースを併せて表示する。かかる操作を部屋ごとに行なうことにより、部屋割り案が作成される。
次いで作成された部屋割り案に則って、各部屋ごとに配置可能か否かを評価する。即ち、上記スペース算出基準2から読みだしたスペース基準とデータファイル5から読みだした各部門ごとの人員数や設備台数とから、各部屋ごとの必要スペースを算出し〔第1図6.第2図24参照〕、次いで算出されたスペースと各部屋の実際の面積とを比較し、部屋ごとに計画した案通りに収容可能か否かの評価を行う〔第1図7.第2図25参照〕。第3図fblはこの評価結果の出力例を示す。
次いで評価の結果収容可能と判断された部屋について、レイアウト案を作成する〔第1図9,第2図26参照〕。
第3図(c)はこのようにして作成したレイアウト図の例であって、レイアウト結果は部屋の大きさや形状などの建屋条件および収容機器類によって影響され、前述の評価結果と著しく異なるのが普通である。例えば、面積は同じで形状が細長い部屋と真四角に近い部屋とでは、同一人員数、設備台数を後者には収容可能でも、前者には収容不可能となる場合がある。形状が細長い場合には通路が長くなること等により、余分な面積が必要となるためである。このような問題は部屋の大きさによっても発生する。即ち、非常に大きい部屋ではいわゆるデッドスペースが小さい部屋よりは相対的に小さくなるのが普通である。
そこで第3図(c)に示すレイアウト図から、執務用の机41を配置した執務ゾーン31、端末機やパソコン等のOA機器42を配置したOA機器ゾーン32、書類等のロッカー43を設置したロッカーゾーン33、或いはハンガー44を並べたハンガーゾーン34、複写機やシュレッダ-等の共通事務機器45を配置した共通ゾーン35等の実際の面積を求め、これらをそれぞれ人員、或いは設備台数等で割ることによって、それぞれの実績単位値を求めることができる〔第1図10,第2図28参照〕。
この実績単位値には、通路や机の間隔などのスペースは含まれるが、同図に梨地で示す余分なスペース36は除かれている。従ってここで得られた実績単位値は、現在進行中の特定のオフィス計画での具体的条件を当てはめて得られた値であることから、類似の条件下にある他の部屋についても同じような実績単位値が得られる可能性が高い。換言すれば、この実績単位値を必要スペース算出の基準値として使用した場合に、その計画にとって最も的確な妥当性のある値となり得る性格のものである。
そこで、この実績単位値により前述のスペース算出基準を更新し〔第1図11.第2図29参照〕、更新された基準によりあらためてスペース評価を行えば〔第1図7,第2図25参照〕、前回より信頼度の高い評価が可能となる。
以上の処理を繰り返して、すべてのレイアウトを終了する〔第2図30参照〕。」(3頁右下欄2行~5頁左上欄7行)
「
[図:0001437419000011.jpg]
」
「
[図:0001437419000012.jpg]
」
「
[図:0001437419000013.jpg]
」
「
[図:0001437419000014.jpg]
」
第5 当審の判断
1 甲2発明に基づく進歩性について(本件発明1)
(1) 本件発明1と甲2発明との対比
事案に鑑みて、先ず本件発明1と甲2発明との対比を行う。
ア 「オフィスレイアウトを提示するオフィスレイアウト提示装置」について
甲2発明の「システム管理サーバ(3)」は、「自動設計されたオフィスレイアウト」を「自動設計されたオフィスレイアウトの送信手段(15)」「によって顧客端末(1)に送信」して「表示」させており、オフィスレイアウトを顧客端末(1)を介して提示している装置といえるから、本件発明1における「オフィスレイアウトを提示するオフィスレイアウト提示装置」と、甲2発明の「システム管理サーバ(3)」は、後述する相違はあるものの、「オフィスレイアウトを提示するオフィスレイアウト提示装置」である点で共通しているといえる。
イ 「前記オフィスレイアウトを提示するための所定の条件を受け付ける受付部」について
(ア)甲2発明では、顧客によって入力された「レイアウト要件情報」を「システム管理サーバ(3)の送受信部(4)を介して、顧客情報とレイアウト要件情報の受信手段(8)によって受信」しており、「レイアウト要件情報は、オフィスの建物躯体に関する情報と、建物躯体以外のレイアウトに関する要望情報とからな」るとされ、「建物躯体以外のレイアウトに関する要望情報は、その部屋の使用目的、たとえば会議用、応接用、役員用、一般事務用などの使用目的や、設置を希望する机・椅子・テーブル・キャビネットなどの種類、数、あるいは机の配置に関して、たとえば対向式とブース式のいずれを希望するか、その他、特別の要望事項などに関する情報であ」るとされている。
(イ)本件発明1の「オフィスレイアウトを提示するための所定の条件」に関して、本件特許明細書の段落【0016】では、「「所定の条件」は、例えば、オフィスレイアウトの種別、オフィスのサイズ(例えば、面積、気積、又は容積等)、又は、オフィス内に配置される什器の数の少なくとも一つの情報を含む。」と例示されている。
(ウ)ここで、甲2発明の「建物躯体以外のレイアウトに関する要望情報」の内の、「その部屋の使用目的、たとえば会議用、応接用、役員用、一般事務用などの使用目的」、「設置を希望する机・椅子・テーブル・キャビネットなどの・・・数」は、それぞれ、上記例示の「オフィスレイアウトの種別」、「オフィス内に配置される什器の数」に相当するから、甲2発明も、顧客情報とレイアウト要件情報の受信手段(8)によって、本件発明1と同様に、「オフィスレイアウトを提示するための所定の条件を受け付け」ているといえる。
(エ)したがって、本件発明1と甲2発明とは、「前記オフィスレイアウトを提示するための所定の条件を受け付ける受付部」「を備え」る点で共通しているといえる。
ウ 「オフィスの間取りに関する間取り情報、及び、提示された前記特定のオフィスレイアウトに対する評価結果を取得する取得部」について
(ア)甲2発明では、「レイアウト要件情報」は「システム管理サーバ(3)の送受信部(4)を介して、顧客情報とレイアウト要件情報の受信手段(8)によって受信され、レイアウト要件情報データベース(10)に記憶され、」「システム管理サーバ(3)のオフィスレイアウト自動設計手段(11)において、前記レイアウト要件情報に基き、適確なオフィスレイアウトが自動的に設計され」るとされている。
(イ)さらに、「レイアウト要件情報は、オフィスの建物躯体に関する情報と、建物躯体以外のレイアウトに関する要望情報とからなり、オフィスの建物躯体に関する情報は、レイアウトをしようとするオフィスの室内の形状、広さ、向き、窓の位置、出入口の位置、柱の位置などに関する情報であ」るとされている。
(ウ)ここで、「レイアウトをしようとするオフィスの室内の形状、広さ、向き、窓の位置、出入口の位置、柱の位置などに関する情報」は、本件発明1の「オフィスの間取りに関する間取り情報」に相当する。
(エ)また、「レイアウト要件情報データベース(10)」は、「顧客情報とレイアウト要件情報の受信手段(8)」から、「オフィスの間取りに関する間取り情報」に相当する「オフィスの建物躯体に関する情報」を取得しているから、甲2発明も、本件発明1と同様に、「オフィスの間取りに関する間取り情報」「を取得」しているといえる。
(オ)したがって、本件発明1の「オフィスの間取りに関する間取り情報、及び、提示された前記特定のオフィスレイアウトに対する評価結果を取得する取得部」と、甲2発明の「レイアウト要件情報データベース(10)」とは、「オフィスの間取りに関する間取り情報」「を取得する取得部」である点で共通しているといえる。
(カ)他方、本件発明1の「取得部」は、「提示された前記特定のオフィスレイアウトに対する評価結果」も取得しているのに対して、甲2発明では、このような評価結果を取得していない点で相違している。
エ 「特定のオフィスレイアウトを提示する提示部」及び「前記提示部は、取得した前記間取り情報、及び、受け付けた前記所定の条件に基づいて、前記間取りに適合し、且つ、前記所定の条件を満たす一又は複数のオフィスレイアウトを検索し、」について
(ア)甲2発明では、「オフィスレイアウト自動設計手段(11)には、オフィスレイアウトパターンデータベース(12)とオフィスレイアウト自動設計用論理回路部(13)が組込まれており、オフィスレイアウトパターンデータベース(12)は、想定される各種のレイアウト要件情報を分類し、その分類毎に、いくつかのオフィスレイアウトのパターンを記憶させてあるデータベースであり、オフィスレイアウト自動設計用論理回路部(13)は、顧客によって入力されたレイアウト要件情報から、前記オフィスレイアウトパターンデータベース(12)に記憶させてあるオフィスレイアウトパターンのどれが最も適合するかを選びだす論理回路が組込まれて」いるものである。
(イ)さらに、甲2発明では、「オフィスレイアウト自動設計手段(11)において、前記レイアウト要件情報に基き、オフィスレイアウトパターンデータベース(12)とオフィスレイアウト自動設計用論理回路部(13)を利用して、適確なオフィスレイアウトが自動的に設計され、自動設計されたオフィスレイアウトは、データベース(14)に記憶された後に、送信手段(15)によって顧客端末(1)に送信され、表示され」るものである。
(ウ)ここで、オフィスレイアウト自動設計用論理回路部(13)に組み込まれた論理回路によって実行される「顧客によって入力されたレイアウト要件情報から、オフィスレイアウトパターンデータベース(12)に記憶させてあるオフィスレイアウトパターンのどれが最も適合するかを選びだす」との事項は、本件発明1の「取得した前記間取り情報、及び、受け付けた前記所定の条件に基づいて、前記間取りに適合し、且つ、前記所定の条件を満たす一又は複数のオフィスレイアウトを検索」することに相当するといえる。
(エ)また、「オフィスレイアウト自動設計手段(11)において、・・・自動設計されたオフィスレイアウトは、データベース(14)に記憶された後に、送信手段(15)によって顧客端末(1)に送信され、表示され」るのであるから、前記「自動設計されたオフィスレイアウト」は、特定のオフィスレイアウトと言い得るものである。
(オ)さらに、前記「自動設計されたオフィスレイアウト」は、データベース(14)に記憶された後に、送信手段(15)によって顧客端末(1)に送信され、表示されるのであり、甲2発明の「オフィスレイアウト自動設計手段(11)」は、データベース(14)及び送信手段(15)を介してはいるものの、「自動設計されたオフィスレイアウト」を顧客端末に提示するための機能を備えているといえる。
(カ)したがって、本件発明1と甲2発明とは、「特定のオフィスレイアウトを提示する提示部」及び「前記提示部は、取得した前記間取り情報、及び、受け付けた前記所定の条件に基づいて、前記間取りに適合し、且つ、前記所定の条件を満たす一又は複数のオフィスレイアウトを検索し、」との点で共通しているといえる。
オ 「(前記提示部は、)前記評価結果に基づいて、前記一又は複数のオフィスレイアウトのうち当該評価結果に応じた前記特定のオフィスレイアウトを提示し、」、及び、「(前記提示部は、)提示された前記特定のオフィスレイアウトにおける変更対象の第1什器がユーザにより選択される場合、前記第1什器とは異なる第2什器をユーザに対して選択可能に提示し、」、及び、「(前記提示部は、)前記特定のオフィスレイアウトに関して、仮想的にオフィス内を歩行する目線で視認可能な態様の3D画像又は3D動画として生成する、」について
甲2発明においては、本件発明1の「(前記提示部は、)前記評価結果に基づいて、前記一又は複数のオフィスレイアウトのうち当該評価結果に応じた前記特定のオフィスレイアウトを提示し、」、及び、「(前記提示部は、)提示された前記特定のオフィスレイアウトにおける変更対象の第1什器がユーザにより選択される場合、前記第1什器とは異なる第2什器をユーザに対して選択可能に提示し、」、及び、「(前記提示部は、)前記特定のオフィスレイアウトに関して、仮想的にオフィス内を歩行する目線で視認可能な態様の3D画像又は3D動画として生成する、」に対応する構成を備えていない点で両発明は相違している。
(2)一致点及び相違点
上記(1)で対比した事項を踏まえると、本件発明1と甲2発明とは、以下のアの点で一致し、イの点で相違しているといえる。
ア 一致点
「オフィスレイアウトを提示するオフィスレイアウト提示装置であって、
特定のオフィスレイアウトを提示する提示部と、
前記オフィスレイアウトを提示するための所定の条件を受け付ける受付部と、
オフィスの間取りに関する間取り情報を取得する取得部と、を備え、
前記提示部は、
取得した前記間取り情報、及び、受け付けた前記所定の条件に基づいて、前記間取りに適合し、且つ、前記所定の条件を満たす一又は複数のオフィスレイアウトを検索する、
オフィスレイアウト提示装置。」
イ 相違点
(ア)<相違点1>
本件発明1の取得部では、提示された前記特定のオフィスレイアウトに対する評価結果も取得しているのに対して、甲2発明では、そのような評価結果を取得していない点。
(イ)<相違点2>
本件発明1の提示部では、特定のオフィスレイアウトを提示する際に、前記評価結果に基づいて、前記一又は複数のオフィスレイアウトのうち当該評価結果に応じた特定のオフィスレイアウトを提示しているのに対して、甲2発明では、評価結果に応じた特定のオフィスレイアウトを提示していない点。
(ウ)<相違点3>
本件発明1の提示部では、提示された前記特定のオフィスレイアウトにおける変更対象の第1什器がユーザにより選択される場合、前記第1什器とは異なる第2什器をユーザに対して選択可能に提示しているのに対して、甲2発明では、選択された第1什器とは異なる第2什器をユーザに対して選択可能に提示していない点。
(エ)<相違点4>
本件発明1の提示部では、前記特定のオフィスレイアウトに関して、仮想的にオフィス内を歩行する目線で視認可能な態様の3D画像又は3D動画として生成しているのに対して、甲2発明では、仮想的にオフィス内を歩行する目線で視認可能な態様の3D画像又は3D動画として生成していない点。
(3)相違点についての判断
事案に鑑みて、先ず<相違点2>について検討する。
甲1及び甲3ないし甲6のいずれにも、評価結果に基づいて、一又は複数のオフィスレイアウトのうち当該評価結果に応じて特定のオフィスレイアウトを提示することは、記載も示唆もない。
そうすると、甲2発明に甲1及び甲3ないし甲6に記載されている事項を組み合わせても本件発明1の<相違点2>に係る構成には至らない。
また、オフィスレイアウトを提示する技術分野において、評価結果に基づいて、一又は複数のオフィスレイアウトのうち当該評価結果に応じて特定のオフィスレイアウトを提示する本件発明1の<相違点2>に係る構成が本願出願前に周知であったともいえない。
よって、本件発明1の<相違点2>に係る構成は、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
(4)小括
上述したように、<相違点2>に係る構成は、甲1及び甲3ないし甲6のいずれにも記載も示唆もなく、本件特許出願日前に周知であったともいえないから、<相違点2>に係る構成を当業者が容易に想到し得たとはいえない。
したがって、その他の相違点について検討するまでもなく、本件発明1は、甲2発明及び甲1並びに甲3ないし甲6記載の技術に基づいて容易に想到し得たものではない。
2 甲1発明に基づく進歩性について(本件発明1)
本件発明1と甲1発明とを対比した場合においても、少なくとも上記<相違点2>と同じ点で相違し、上記説示したとおり、<相違点2>に係る構成は、甲2ないし甲6のいずれにも記載も示唆もなく、本件特許出願日前に周知であったともいえないから、<相違点2>に係る構成を当業者が容易に想到し得たとはいえない。
したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲2ないし甲6記載の技術に基づいて容易に想到し得たものではない。
3 甲3発明に基づく進歩性について(本件発明1)
本件発明1と甲3発明とを対比した場合においても、少なくとも上記<相違点2>と同じ点で相違し、上記説示したとおり、<相違点2>に係る構成は、甲1、甲2、甲4ないし甲6のいずれにも記載も示唆もなく、本件特許出願日前に周知であったともいえないから、<相違点2>に係る構成を当業者が容易に想到し得たとはいえない。
したがって、本件発明1は、甲3発明及び甲1、甲2並びに甲4ないし甲6記載の技術に基づいて容易に想到し得たものではない。
4 甲1発明~甲3発明のいずれかの発明に基づく進歩性について(本件発明2~5)
本件発明2~5は、本件発明1を引用する発明であり、上記<相違点2>に係る構成を備えるものであるから、上記1と同じ理由で、甲1発明及び甲2ないし甲6記載の技術に基づいて、甲2発明及び甲1並びに甲3ないし甲6記載の技術に基づいて、あるいは、甲3発明及び甲1、甲2並びに甲4ないし甲6記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
5 甲1発明~甲3発明のいずれかの発明に基づく進歩性について(本件発明6)
本件発明6は、本件発明1に対応する「オフィスレイアウト提示方法」の発明であるから、上記1と同様の理由で、甲1発明及び甲2ないし甲6記載の技術に基づいて、甲2発明及び甲1並びに甲3ないし甲6記載の技術に基づいて、あるいは、甲3発明及び甲1、甲2並びに甲4ないし甲6記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
6 甲1発明~甲3発明のいずれかの発明に基づく進歩性について(本件発明7)
本件発明7は、本件発明1に対応する「プログラム」の発明であるから、上記1と同様の理由で、甲1発明及び甲2ないし甲6記載の技術に基づいて、甲2発明及び甲1並びに甲3ないし甲6記載の技術に基づいて、あるいは、甲3発明及び甲1、甲2並びに甲4ないし甲6記載の技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
7 申立人の主張について
上記「1」で整理・検討した<相違点2>にかかる事項について、申立人は特許異議申立書にて概略次のように主張する。
「また、甲第5号証発明には、・・・データ分析部103は、データ取得部101で取得されたデータに基づき、オフィス機器の配置や利用状況を分析する(明細書0025、0035) ・・・ また、甲第5号証発明における「分析」の結果が、本件特許発明1の「特定のオフィスレイアウトに対する評価結果」に相当する。」(異議申立書 16頁、20頁、22頁)
上記主張について検討する。
甲5には、「データ分析部103は、データ取得部101で取得されたデータに基づき、オフィス機器の配置や利用状況を分析する。」(【0025】)、「次いで、データ分析部103が、データ取得部101で取得されたデータ及び機器マスタデータ107に保持されたデータを用いて、オフィス機器の利用状況や配置状況についての分析を行う(ステップS4)。・・・(【0035】)」と記載されているものの、甲5によって開示される事項は「オフィス機器の配置や利用状況を分析する」ことにとどまり、本件発明1で特定されている「前記評価結果に基づいて、前記一又は複数のオフィスレイアウトのうち当該評価結果に応じた特定のオフィスレイアウトを提示」することについては記載されていない。
したがって、申立人の上記主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1~7に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1~7に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2026-700135