特許異議申立
2024-700623
室内機および空気調和機
- 審判番号
- 2024-700623
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-161755
- 登録番号
- 7410418
- 請求日
- 2024年07月04日
- 審決日
- 2025年03月07日
- 公報発行日
- 2025年07月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ダイキン工業株式会社
- 【権利者代理人】川本 真由美
- 【権利者代理人】山崎 敏行
- 【異議申立人】伊藤 裕美
- 審判長/審判官
- 審判長 間中 耕治
- 審判官 槙原 進
- 審判官 正木 裕也
- 分類
- P1651.121-YAA(F24F) / P1651.536-YAA(F24F) / P1651.537-YAA(F24F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条第4項第1号、特許法第120条の5第2項、特許法第120条の5第9項、特許法第113条第4号、特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第1号、特許法第2条第3項第1号
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7410418号発明「室内機および空気調和機」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7410418号の明細書を、訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める。
特許第7410418号の請求項1-8に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7410418号(以下、「本件特許」という。)の請求項1-8に係る特許についての出願は、令和3年9月30日に出願され、令和5年12月26日にその特許権の設定登録がされ、令和6年1月10日に特許掲載公報が発行されたものである。その後、その特許について、令和6年7月4日に特許異議申立人 伊藤 裕美(以下、「申立人」という。)により請求項1-8に係る特許についての特許異議の申立てがされ、当審は、令和6年9月20日に取消理由を通知した。特許権者は、その指定期間内である令和6年11月8日に意見書の提出及び訂正の請求(以下、「本件訂正」という。)を行い、申立人は、令和7年1月29日に意見書を提出した。
第2 本件訂正の適否についての判断
1 本件訂正の内容
本件訂正の内容は、以下のとおりである(なお、下線部は訂正事項について特許権者が付したものである。)。
明細書の段落【0071】に
「また、ケーシング21の上面視において、第1液冷媒配管311(第1-1冷媒配管)は、第1ガス冷媒配管321(第2-2冷媒配管)と重なり合わないので、第1ガス冷媒配管321から滴下した結露水が第1液冷媒配管311に当たらないようにでき、第1液冷媒配管311の電蝕を抑制できる。」
と記載されているのを、
「また、ケーシング21の上面視において、第1液冷媒配管311(第1-1冷媒配管)は、第2ガス冷媒配管322(第2-2冷媒配管)と重なり合わないので、第2ガス冷媒配管322から滴下した結露水が第1液冷媒配管311に当たらないようにでき、第1液冷媒配管311の電蝕を抑制できる。」
と訂正する。
明細書の段落【0071】の記載は、請求項6の実施例について説明するものであるから、本件訂正の請求は、一群の請求項〔6、8〕について請求されたものである。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正の目的
明細書の段落【0066】の「例え第2液冷媒配管312に結露が発生しても、第1液冷媒配管311の他端が第2液冷媒配管312の一端より上方に位置することによって、第1液冷媒配管311に結露水が伝わることなく、第5部分312e(屈曲部)で滴下するので、電蝕の発生を確実に抑えることができる(ガス冷媒用接続配管32も同様)。」との記載及び段落【0068】の「第2液冷媒配管312に生じた結露水が屈曲部で滴下するので、第1液冷媒配管311に第2液冷媒配管312側から結露水が伝わることがなく、電蝕の発生を確実に抑えることができる(ガス冷媒用接続配管32も同様)。」との記載より、第2ガス冷媒配管322に生じる結露水は、第1ガス冷媒配管321ではなく、第2ガス冷媒配管322に設けられた屈曲部より滴下することが理解できる。
そうすると、段落【0071】に記載された「結露水」についても、「第2ガス冷媒配管322」から滴下するものといえるから、訂正前の段落【0071】に記載された「第1ガス冷媒配管321(第2-2冷媒配管)」は、「第2ガス冷媒配管322(第2-2冷媒配管)」の誤りであることが明らかである。
よって、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に規定する誤記の訂正を目的とするものである。
(2)願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正であること
明細書の段落【0066】の「例え第2液冷媒配管312に結露が発生しても、第1液冷媒配管311の他端が第2液冷媒配管312の一端より上方に位置することによって、第1液冷媒配管311に結露水が伝わることなく、第5部分312e(屈曲部)で滴下するので、電蝕の発生を確実に抑えることができる(ガス冷媒用接続配管32も同様)。」との記載及び段落【0068】の「第2液冷媒配管312に生じた結露水が屈曲部で滴下するので、第1液冷媒配管311に第2液冷媒配管312側から結露水が伝わることがなく、電蝕の発生を確実に抑えることができる(ガス冷媒用接続配管32も同様)。」との記載より、結露水は、第2ガス冷媒配管322に設けられた屈曲部より滴下することが理解できる。
よって、本件訂正は、願書に最初に 添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内の訂正である
(3)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正前の明細書の段落【0071】の記載は、結露水は第2ガス冷媒配管322に設けられた屈曲部より滴下することが理解できる明細書の段落【0066】及び段落【0068】の記載との関係で誤りであることが明らかであり、かつ、訂正後の明細書の段落【0071】の記載が、明細書、特許請求の範囲又は図面の記載全体から、正しい記載であることは自明な事項である。
ここで、明細書の段落【0071】の記載は、請求項6の実施例について説明するものであるが、本件訂正は、「第1-1冷媒配管(311)は、上記第2-2冷媒配管(322)と重ならない位置に配置されている」と特定される請求項6に係る発明を拡張し、又は変更するものではない。
よって、本件訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項に適合するものである。
3 小括
以上のとおり、本件訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第2号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。
よって、本件特許の明細書を、訂正請求書に添付された訂正明細書のとおり、訂正することを認める。
第3 本件発明
本件特許の請求項1-8に係る発明(以下、「本件発明1-8)という。)は、願書に添付した特許請求の範囲の請求項1-8に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「【請求項1】
ケーシング(21)と、
上記ケーシング(21)に収容された熱交換器(15)と、
上記熱交換器(15)に接続され、冷媒が流れる接続配管(31,32)と
を備え、
上記接続配管(31,32)は、
一端が上記熱交換器(15)に接続されると共に、第1の金属で形成された第1冷媒配管(311,321)と、
上記第1冷媒配管(311,321)の上記第1の金属に対して電位的に貴な第2の金属で形成された第2冷媒配管(312,322)と
を備え、
上記第2冷媒配管(312,322)の一端は、上記第1冷媒配管(311,321)の他端に上記ケーシング(21)内で接続され、
上記第2冷媒配管(312,322)は、下方に突出するように屈曲する屈曲部(312e)を有し、
上記屈曲部(312e)は、上記ケーシング(21)内に配置され、
上記ケーシング(21)の上面視において、上記屈曲部(312e)は、上記ケーシング(21)内の電気部品と重ならない位置に配置されている、室内機(1)。
【請求項2】
請求項1に記載の室内機(1)において、
上記第1冷媒配管(311,321)の他端は上記第2冷媒配管(312,322)の一端より上方に位置する、室内機(1)。
【請求項3】
請求項1または2に記載の室内機(1)において、
上記接続配管(31,32)の一部を覆う一方、上記接続配管(31,32)の他の部分を覆わない筒部材(61)を備え、
上記他の部分において、上記第2冷媒配管(312,322)の一端は、上記第1冷媒配管(311,321)の他端に接続されている、室内機(1)。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の室内機(1)において、
上記接続配管(31,32)は、第1接続配管(31)と第2接続配管(32)とを備え、
上記第1接続配管(31)は、
一端が上記熱交換器(15)に接続されると共に、上記第1の金属で形成された第1-1冷媒配管(311)と、
上記第1-1冷媒配管(311)の上記第1の金属に対して電位的に貴な上記第2の金属で形成されると共に一端が上記第1-1冷媒配管(311)の他端に接続される第2-1冷媒配管(312)とを備え、
上記第2接続配管(32)は、
一端が上記熱交換器(15)に接続されると共に、上記第1の金属で形成された第1-2冷媒配管(321)と、
上記第1-2冷媒配管(321)の上記第1の金属に対して電位的に貴な上記第2の金属で形成されると共に一端が上記第1-2冷媒配管(321)の他端に接続される第2-2冷媒配管(322)とを備える、室内機(1)。
【請求項5】
請求項4に記載の室内機(1)において、
上記第1接続配管(31)は液管である一方、上記第2接続配管(32)はガス管であり、
上記ケーシング(21)内では、上記第1-1冷媒配管(311)の他端は、上記第2-2冷媒配管(322)の一端より上方に配置されている、室内機(1)。
【請求項6】
請求項5に記載の室内機(1)において、
上記ケーシング(21)の上面視において、上記第1-1冷媒配管(311)は、上記第2
-2冷媒配管(322)と重ならない位置に配置されている、室内機(1)。
【請求項7】
請求項1から3までのいずれか一項に記載の室内機(1)において、
上記ケーシング(21)内に設けられたドレンパン(29)上において、上記第2冷媒配管(312,322)の一端は上記第1冷媒配管(311,321)の他端に接続されている、室内機(1)。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一項に記載の室内機(1)を備えた空気調和機。」
第4 取消理由通知に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
当審が令和6年9月20日に特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
本件特許は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものであるから、特許法第113条第4号に該当し、取り消されるべきである。
記
段落【0070】の記載から理解される「第2-2冷媒配管」とされた配管と、上記段落【0071】の記載から理解される「第2-2冷媒配管」とされた配管が一致しないから、「第2-2冷媒配管」に対応する配管がどの配管であるか把握することができず、【0070】~【0071】の記載は、当業者が請求項6に係る発明の室内機を製造することができる程度に記載されているとはいえない。
したがって、本件特許の発明の詳細な説明は、当業者が請求項6に係る発明を実施できる程度に明確に記載されたものでない。
2 当審の判断
(1)本件訂正により、段落【0070】の記載から理解される「第2-2冷媒配管」と、上記段落【0071】の記載から理解される「第2-2冷媒配管」は、ともに「第2ガス冷媒配管322」であると把握できる。
したがって、決定の予告で通知した取消理由は解消した。
(2)申立人は、令和7年1月29日に提出した意見書で、「【0071】の記載は、特許権者による主張と、本特許異議申立人による上記主張とが異なるように、多義的に解釈される。そして、特許権者自身が認める、請求項6を説明する【0071】の記載に対する本件訂正請求は、多義的に解釈できた【0071】の意味内容を実質的に変更するものである。そうすると、【0071】の記載によって説明される請求項6に係る特許発明の範囲を実質的に変更するものである。」と主張する。
しかしながら、上記第2の2(1)に記載したとおり、明細書段落【0066】及び【0068】の記載によれば、訂正前の段落【0071】に記載された「第1ガス冷媒配管321(第2-2冷媒配管)」は、「第2ガス冷媒配管322(第2-2冷媒配管)」の誤りであることが明らかであるから、段落【0071】の記載は多義的に解釈できるものではない。そして、上記第2の2(3)に記載したとおり、訂正後の明細書の段落【0071】の記載が、明細書、特許請求の範囲又は図面の記載全体から、正しい記載であることは自明な事項であり、本件訂正により、「第1-1冷媒配管(311)は、上記第2-2冷媒配管(322)と重ならない位置に配置されている」と特定される請求項6に係る発明を拡張し、又は変更するものではない。
よって、申立人の主張は採用できない。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 申立人の主張
申立人が特許異議申立書において主張する特許異議申立の理由は、以下のとおりである。
〔理由1〕
本件発明1-8は、甲第1-5号証に記載された発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許の請求項1-8に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
<証拠一覧>
甲第1号証:特開2018-115774号公報(以下、「甲1」という。)
甲第2号証:特開2004-183953号公報(以下、「甲2」という。)
甲第3号証:特開2005-49038号公報(以下、「甲3」という。)
甲第4号証:特開2009-270781号公報(以下、「甲4」という。)
甲第5号証:特開平4-359797号公報(以下、「甲5」という。)
〔理由2〕
本件特許は、発明の詳細な説明の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
〔理由3〕
本件特許は、特許請求の範囲の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない特許出願に対してされたものである。
2 理由1について
(1) 甲号証に記載された発明、事項等
ア 甲1
甲1には、以下の事項が記載されている(下線は当審が付与した。以下同様。)。
(ア)「【0021】
室内機101は、筐体1、送風機2、室内熱交換器3等を備えている。
筐体1は、例えば略直方体の箱形状をしており、上部に吸込口4が形成され、下部に吹出口5が形成されている。吸込口4には、筐体1内に吸い込まれた室内空気から塵埃等を収集するためのフィルタ4aが設けられている。また、吹出口5には、吹出口5から吹き出された空調空気の方向を調整する風向調整機構6が設けられている。なお、図示されている風向調整機構6は上下方向に風向を調整するためのものであり、左右方向に風向を調整するためのものは省略されている。」
(イ)「【0023】
室内熱交換器3は、オールアルミニウム熱交換器であり、冷媒と室内空気との間で熱交換を行うユニットである。室内熱交換器3は、送風機2の前面部と上面部と後面部の上方とを覆うように配置されている。室内熱交換器3は、伝熱面を拡張するための複数のフィン7と、冷媒が流れる複数の伝熱管8とを備えている。各伝熱管8は、それぞれに対応するフィン7に接合されている。オールアルミニウム熱交換器である室内熱交換器3の複数の伝熱管8のうち、少なくとも2本の伝熱管8には、ガス配管20と液配管30とが接続されている(図2参照)。
【0024】
なお、本実施形態では、ガス配管20及び液配管30が伝熱管8に直接接続されているものとして説明する。しかしながら、例えば、室内熱交換器3の端部に図示せぬヘッダを配置し、ガス配管20及び液配管30をヘッダに接続することによって、ガス配管20及び液配管30がヘッダを介して間接的に伝熱管8に接続されるようにしてもよい。ここで、ヘッダとは、冷媒を一時的に内部に貯留する部材を意味している。
【0025】
室内機101は、送風機2が駆動されると、吸込口4から室内空気を流入空気として内部に吸い込み、流入空気を室内熱交換器3に通すことにより、加熱、冷却、及び除湿のいずれか任意の処理が施された調和空気を得る。そして、室内機101は、得られた調和空気を吹出口5から室内に吹き出すことにより、室内を空気調和する。
【0026】
このような室内機101は、冷房運転時に、室内熱交換器3を蒸発器として機能させる。その際に、室内機101は、室内熱交換器3の伝熱管8内に流す液冷媒(気液二相冷媒を含む)を、液配管30を介して室外機102から取り込むとともに、室内熱交換器3の伝熱管8内を流れたガス冷媒を、ガス配管20を介して室外機102に送り出す。」
(ウ)「【0030】
前記した通り、複数の伝熱管8のうち、少なくとも2本の伝熱管8には、ガス配管20と液配管30とが接続されている。図2に示す例では、ガス配管20が伝熱管8aに接続されているとともに、液配管30が伝熱管8bに接続されている。伝熱管8bは、伝熱管8aよりも高い位置に配置されている。ガス配管20と伝熱管8aとの接合及び液配管30と伝熱管8bとの接合は、例えばロウ付けにより行われている。
【0031】
ガス配管20は、アルミニウム配管20Alと、銅配管20Cuとを有している。また、液配管30は、アルミニウム配管30Alと、銅配管30Cuとを有している。
【0032】
アルミニウム配管20Al,30Alは、それぞれ、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成された配管である。
銅配管20Cu,30Cuは、それぞれ、銅又は銅合金で構成された配管である。
【0033】
アルミニウム配管20Alは、伝熱管8aと接続される側のガス用の第1冷媒配管21と、銅配管20Cuと接続される側のガス用の第2冷媒配管22とが接続された構造になっている。アルミニウム配管30Alは、伝熱管8bと接続される側の液用の第1冷媒配管31と、銅配管30Cuと接続される側の液用の第2冷媒配管32とが接続された構造になっている。銅配管20Cu,30Cuは、断熱材40で被覆されている。」
(エ)「【0035】
図3に示すように、ガス配管20のアルミニウム配管20Alは、上側に凸状になっている上部曲線部20Uと、下側に凸状になっている下部曲線部20Lと、を備えた形状を呈している。下部曲線部20Lは、上部曲線部20Uから伝熱管8a(図2参照)に向かう側に配置されている。アルミニウム配管20Alは、ガス用の第1冷媒配管21と第2冷媒配管22とが接続された構造になっている。」
(オ)「【0038】
ガス配管20の銅配管20Cuは、一端側に設けられた接続部C23で第2冷媒配管22と接続されており、かつ、接続部C23から下側に延びるように配置されている。銅配管20Cuは、任意の箇所で任意の方向に折り曲げることができる。銅配管20Cuの先端(他端部)には、フレアナット接続部29が取り付けられている。フレアナット接続部29は、黄銅によって構成されている。フレアナット接続部29と銅配管20Cuとは、ロウ付けにより固定されている。銅配管20Cuは、フレアナット接続部29で延長配管12(図1参照)内に設けられた図示せぬガス冷媒用配管と接続されている。」
(カ)「【0040】
同様に、図4に示すように、液配管30のアルミニウム配管30Alは、上側に凸状になっている上部曲線部30Uと、下側に凸状になっている下部曲線部30Lと、を備えた形状を呈している。下部曲線部30Lは、上部曲線部30Uから伝熱管8b(図2参照)に向かう側に配置されている。アルミニウム配管30Alは、液用の第1冷媒配管31と第2冷媒配管32とが接続された構造になっている。」
(キ)「【0043】
液配管30の銅配管30Cuは、一端側に設けられた接続部C33で第2冷媒配管32と接続されており、かつ、接続部C33から下側に延びるように配置されている。銅配管30Cuは、任意の箇所で任意の方向に折り曲げることができる。銅配管30Cuの先端(他端部)には、フレアナット接続部39が取り付けられている。フレアナット接続部39は、黄銅によって構成されている。フレアナット接続部39と銅配管30Cuとは、ロウ付けにより固定されている。銅配管30Cuは、フレアナット接続部39で延長配管12(図1参照)内に設けられた図示せぬ液冷媒用配管と接続されている。」
(ク)「【0060】
例えば、結露水が発生して、銅イオン(Cu2+)を含んだ水滴がアルミニウム又はアルミニウム合金に付着した場合に、アルミニウムの方が水滴に含まれるイオン成分(銅イオン)よりもイオン化傾向が大きいため、アルミニウム又はアルミニウム合金は、銅イオンとのイオン化傾向の違いにより、以下の式(1)のように変化する。
2Al+3Cu2+→2Al3++3Cu …(1)
したがって、この場合に、アルミニウムがイオン化し、アルミニウム又はアルミニウム合金に電気腐食(異種金属間腐食)が発生する。」
(ケ)「【0064】
このような本実施形態に係る接続配管構造では、銅配管20Cu,30Cuがアルミニウム配管20Al,30Alよりも下側に配置されている。そのため、仮に、結露水が発生して、水滴がアルミニウム配管20Al,30Alに付着することがあったとしても、その水滴には銅イオンが含まれておらず、また、その水滴はアルミニウム配管20Al,30Al側から銅配管20Cu,30Cu側に向けて流れる。したがって、本実施形態に係る接続配管構造では、銅イオンがアルミニウム配管20Al,30Alに付着することを抑制することができる。そのため、本実施形態に係る接続配管構造では、伝熱管8a,8b(図2参照)やアルミニウム配管20Al,30Alにおける電気腐食(異種金属間腐食)の発生を抑制することができる。」
(コ)「【0067】
このような本実施形態に係る接続配管構造は、接続部C23,C33の位置を容易に調整(変更)することができるため、接続配管10と延長配管12との取り付けのし易さを向上させることができる。その結果、本実施形態に係る接続配管構造は、接続配管10と延長配管12とを容易かつ確実に接続することができる。
【0068】
このような本実施形態に係る接続配管構造では、室内熱交換器101の伝熱管8a,8bの位置にかかわらず、接続部C23,C33においてアルミニウム配管20Al,30Alを銅配管20Cu,30Cuよりも上側に配置しつつ、両配管を接続することができる。」
(サ)「図2
[図:0001424585000001.jpg]
」
(シ)「図3
[図:0001424585000002.jpg]
」
(ス)「図4
[図:0001424585000003.jpg]
」
(セ)(ウ)の段落【0031】及び段落【0032】、並びに(ク)の記載より、銅配管20Cu,30Cuを構成する銅又は銅合金のイオン化傾向は、アルミニウム配管20Al,30Alを構成するアルミニウム又はアルミニウム合金よりも小さいことが把握できる。
(ソ)(ウ)の段落【0033】の記載、並びに(シ)の図3及び(ス)の図4によれば、アルミニウム配管20Al,30Alの一端は伝熱管8に接続され、アルミニウム配管20Al,30Alの他端は銅配管20Cu,30Cuの一端に接続されることが把握できる。
(タ)(オ)及び(キ)の記載、並びに(サ)の図2、(シ)の図3、及び(ス)の図4より、銅配管20Cu,30Cuは、接続部C23,C33から下側に延びる部分からフレアナット接続部29,39に向けて水平方向に屈曲する屈曲部を有することが把握できる。
上記によれば、甲1には、次の発明(以下、「甲1発明A」及び「甲1発明B」という。)がそれぞれ記載されている。
〔甲1発明A〕
「筐体1と、
室内熱交換器3と、
上記室内熱交換器3に接続され、冷媒が流れるガス配管20及び液配管30と
を備え、
上記ガス配管20及び液配管30は、
一端が上記伝熱管8a,8bに接続されると共に、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成されたアルミニウム配管20Al,30Alと、
上記アルミニウム配管20Al,30Alの上記アルミニウム又はアルミニウム合金に対してイオン化傾向が小さい銅又は銅合金で構成された銅配管20Cu,30Cuと
を備え、
上記銅配管20Cu,30Cuの一端は、上記アルミニウム配管20Al,30Alの他端に接続され、
上記アルミニウム配管20Al,30Alは、下側に凸状になっている下部曲線部20L,30Lを有する、
室内機101。」
〔甲1発明B〕
「筐体1と、
室内熱交換器3と、
上記室内熱交換器3に接続され、冷媒が流れるガス配管20及び液配管30と
を備え、
上記ガス配管20及び液配管30は、
一端が上記伝熱管8a,8bに接続されると共に、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成されたアルミニウム配管20Al,30Alと、
上記アルミニウム配管20Al,30Alの上記アルミニウム又はアルミニウム合金に対してイオン化傾向が小さい銅又は銅合金で構成された銅配管20Cu,30Cuと
を備え、
上記銅配管20Cu,30Cuの一端は、上記アルミニウム配管20Al,30Alの他端に接続され、
上記銅配管20Cu,30Cuは、接続部C23,C33から下側に延びる部分からフレアナット接続部29,39に向けて水平方向に屈曲する屈曲部を有する、
室内機101。」
イ 甲2
甲2には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0024】
(補助配管)
補助配管51は、室内熱交換器50と、室内機2の外部にある冷媒配管4を繋いでおり、室内熱交換器50と室外熱交換器30との間を行き来する冷媒が流れる。補助配管51は、図6に示すように、室内熱交換器50の伝熱管に接続されており、室内熱交換器50の側面から外側へと延びている。補助配管51は、室内熱交換器50の右側面から突出しており、室内熱交換器50の側方の空間で取り回されている。具体的には、補助配管51は、図5に示すように、室内熱交換器50の右側面から外側へと延び、室内ファンモータ72および室内ファンモータ72を覆うモータカバー部55(後述)の上方を通り、室内ファンモータ72およびモータカバー部55を超えて後述する連通路783の上方まで延びている。その後、補助配管51は、図4に示すように、室内機2の背面側へ向けて且つやや下向きに屈曲され、室内ファンモータ72を覆うモータカバー部55の外側を通り、室内機2の背面側でさらに上方へ向けて屈曲されている。そして、複数の補助配管51がまとめられて保護チューブ53によって覆われている。まとめられた補助配管51は、図4および図6に示すように、室内熱交換器50の右側方の空間を室内機2の背面側に沿って下方へと伸び、室内機2の後側下部の空間で室内機2の左側面に向けてさらに屈曲され、冷媒配管4に接続されている。」
(イ)「【0028】
上側面部62,63は、室内機2の側面上部を覆っており、室内熱交換器50の側方を覆っている。上側面部62,63には、右上側面部62と左上側面部63とがあり、右上側面部62は正面視において室内熱交換器50の右側方に配置され、左上側面部63は室内熱交換器50の左側方に配置されている。
また、上部ケーシング6の下端は水平に形成されており、上部ケーシング6が下部ユニット7に被せられることによって、上部ケーシング6と下部ユニット7との境界が水平線となって室内機2の正面視および側面視における外観に現れる。
【0029】
〈下部ユニット〉
下部ユニット7は、室内機2の下部を構成しており、図8および図9に示すように、下部ケーシング70、クロスフローファン71、室内ファンモータ72、電装品箱73等がモジュール化されて構成されている。
(下部ケーシング)
下部ケーシング70は、下前面部74、底面部75、下側面部76,77、支持部78等によって構成されており、上部ケーシング6とは異なる色となっている。」
(ウ)「【0032】
支持部78は、下前面部74、底面部75、下側面部76,77によって囲まれており、支持部78の上面は、下前面部74および下側面部76,77の上端より上方に位置している。支持部78には、上方からクロスフローファン71、室内ファンモータ72、電装品箱73、室内熱交換器ユニット5等が取り付けられ、クロスフローファン71、室内ファンモータ72、電装品箱73、室内熱交換器ユニット5等を下方から支持する。」
(エ)「【0040】
(電装品箱)
電装品箱73は、図5および図9に示すように、室内機2の運転を制御するための制御基板731を収容する。電装品箱73は、直方体の箱状の形状を有しており、下部ケーシング70の右下側面部76と支持部78との間に配置され、室内熱交換器ユニット5の右側方に位置している。電装品箱73は、支持部78の外側に配置されており、平面視において、クロスフローファン71の回転軸方向に連通路783と並んで配置されている。従って、クロスフローファン71、室内ファンモータ72、連通路783および電装品箱73は、平面視において回転軸方向に順に並んで配置されている。また、電装品箱73は、室内ファンモータ72の右側方において支持部78の右側面に取り付けられて支持されており、室内熱交換器ユニット5が下部ユニット7に取り付けられる前に支持部78に取り付けることができる。また、電装品箱73は前側寄りに配置されており、電装品箱73の後方の空間は前述した保護チューブ53に覆われた補助配管51が通る空間となっている。電装品箱73は、制御基板731に取り付けられた制御部品のうち容量の大きなコンデンサやパワートランジスタなどの強電部品732が室内ファンモータ72と軸方向に並ぶように配置されており、側面視において室内ファンモータ72と電装品箱73とが重なるように配置されている。また、電装品箱73の上面は、下部ケーシング70に支持された状態では、室内ファンモータ72の頂上部分、すなわちクロスフローファン71の頂上部分と略同じ高さに位置している。」
(オ)「【0044】
前面カバー部553および後面カバー部554は、それぞれ室内ファンモータ72の前方と後方とを覆っている。
なお、上述したように、室内熱交換器50の側面からは補助配管51が外側へと延びているため、モータカバー部55は補助配管51の下方に位置している。モータカバー部55は、補助配管51から滴下したドレン水がドレン水ガイド部56へと流れるように形成されており、ドレン水から室内ファンモータ72を保護している。」
(カ)「図4
[図:0001424585000004.jpg]
」
(キ)「図5
[図:0001424585000005.jpg]
」
(ク)「図6
[図:0001424585000006.jpg]
」
(ケ)(ア)の「補助配管51は、図4に示すように、室内機2の背面側へ向けて且つやや下向きに屈曲され、室内ファンモータ72を覆うモータカバー部55の外側を通り、室内機2の背面側でさらに上方へ向けて屈曲されている。」との記載、及び(カ)の図4及び(ク)図6によれば、補助配管51は、下方に突出するように屈曲する屈曲部を有することが把握できる。
(コ)(ケ)の認定事項、並びに(ア)の「具体的には、補助配管51は、図5に示すように、室内熱交換器50の右側面から外側へと延び、室内ファンモータ72および室内ファンモータ72を覆うモータカバー部55(後述)の上方を通り、室内ファンモータ72およびモータカバー部55を超えて後述する連通路783の上方まで延びている。その後、補助配管51は、図4に示すように、室内機2の背面側へ向けて且つやや下向きに屈曲され、室内ファンモータ72を覆うモータカバー部55の外側を通り、室内機2の背面側でさらに上方へ向けて屈曲されている。」との記載、(イ)の段落【0029】の「下部ユニット7は、室内機2の下部を構成しており、図8および図9に示すように、下部ケーシング70、クロスフローファン71、室内ファンモータ72、電装品箱73等がモジュール化されて構成されている。」との記載、(ウ)の「支持部78には、上方からクロスフローファン71、室内ファンモータ72、電装品箱73、室内熱交換器ユニット5等が取り付けられ、クロスフローファン71、室内ファンモータ72、電装品箱73、室内熱交換器ユニット5等を下方から支持する。」との記載、及び(エ)の段落【0040】の「電装品箱73は、直方体の箱状の形状を有しており、下部ケーシング70の右下側面部76と支持部78との間に配置され、」及び「クロスフローファン71、室内ファンモータ72、連通路783および電装品箱73は、平面視において回転軸方向に順に並んで配置されている。」との記載より、補助配管51の屈曲部は下部ユニット7内に配置されることが把握できる。
(サ)(ケ)の認定事項、(エ)の記載事項、並びに(カ)の図4、(キ)図5、及び(ク)により、下部ユニット7の上面視において、屈曲部は、上記下部ユニット7内の電装品箱73と重ならない位置に配置されていることが把握できる。
上記によれば、甲2には、次の技術事項(以下、「甲2に記載の技術事項」という。)が記載されている。
〔甲2に記載の技術事項〕
「室内熱交換器50に接続され、冷媒が流れる補助配管51は、下方に突出するように屈曲する屈曲部を有し、上記屈曲部は、下部ユニット7内に配置され、上記下部ユニット7の上面視において、上記屈曲部は、上記下部ユニット7内の電装品箱73と重ならない位置に配置されている。」
ウ 甲3
甲3には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0022】
上側面部62,63は、室内機2の側面上部を覆っており、室内熱交換器50の側方を覆っている。上側面部62,63には、右上側面部62と左上側面部63とがあり、右上側面部62は正面視において室内熱交換器50の右側方に配置され、左上側面部63は室内熱交換器50の左側方に配置されている。
また、上部ケーシング6の下端は水平に形成されており、上部ケーシング6が下部ユニット7に被せられることによって、上部ケーシング6と下部ユニット7との境界が水平線となって室内機2の正面視および側面視における外観に現れる。
【0023】
〈下部ユニット〉
下部ユニット7は、室内機2の下部を構成しており、図4に示すように、下部ケーシング70、クロスフローファン71、室内ファンモータ72、電装品箱73(図5参照)等がモジュール化されて構成されている。
(下部ケーシング)
下部ケーシング70は、クロスフローファン71、室内ファンモータ72、電装品箱73等を収容している。下部ケーシング70は、図1に示すように、下前面部74、底面部75、下側面部76,77を有している。」
(イ)「【0034】
(補助配管)
補助配管51は、室内熱交換器50と、室内機2の外部にある冷媒配管4を繋いでおり、室内熱交換器50と室外熱交換器30との間を行き来する冷媒が流れる。補助配管51は、図4に示すように、室内熱交換器50の伝熱管に接続されており、室内熱交換器50の側面から外側へと延びている。補助配管51は、室内熱交換器50の右側面から側方へと突出しており、室内熱交換器50の側方の空間で取り回されている。具体的には、補助配管51は、室内熱交換器50の右側面から外側へと延び、室内ファンモータ72を覆うモータカバー55の上方を通り、モータカバー55を超えて延びている。その後、補助配管51は、室内機2の背面側へ向けて屈曲され、室内ファンモータ72を覆うモータカバー55の外側を通り、室内機2の背面側で上方へ向けて屈曲されている。そして、複数の補助配管51がまとめられ、まとめられた補助配管51は、室内熱交換器50の右側方の空間を室内機2の背面側に沿って下方へと屈曲され、下方へと延びる。そして、補助配管51は、室内機2の後側下部の空間で室内機2の左側面に向けてさらに屈曲され、室内機2の後側下部左側で冷媒配管4に接続される。なお、補助配管51は、室内機2の後側下部右側で冷媒配管4に接続されることも可能であり、この場合は、補助配管51は、室内熱交換器50の右側の空間で取り回されたのち、室内機2の後側下部右側で冷媒配管4に接続される。」
(ウ)「図1
[図:0001424585000007.jpg]
」
(エ)「図4
[図:0001424585000008.jpg]
」
(オ)(ア)の段落【0023】の「補助配管51は、図4に示すように、室内機2の背面側へ向けて且つやや下向きに屈曲され、室内ファンモータ72を覆うモータカバー部55の外側を通り、室内機2の背面側でさらに上方へ向けて屈曲されている。」との記載、及び(エ)の図4によれば、補助配管51は、下方に突出するように屈曲する屈曲部を有することが把握できる。
(カ)(オ)の認定事項、及び(イ)の「具体的には、補助配管51は、室内熱交換器50の右側面から外側へと延び、室内ファンモータ72を覆うモータカバー55の上方を通り、モータカバー55を超えて延びている。その後、補助配管51は、室内機2の背面側へ向けて屈曲され、室内ファンモータ72を覆うモータカバー55の外側を通り、室内機2の背面側で上方へ向けて屈曲されている。」との記載、並びに(ウ)の図1及び(エ)の図4より、補助配管51の屈曲部は下部ユニット7内に配置されることが把握できる。
上記によれば、甲3には、次の技術事項(以下、「甲3に記載の技術事項」という。)が記載されている。
〔甲3に記載の技術事項〕
「室内熱交換器50に接続され、冷媒が流れる補助配管51は、下方に突出するように屈曲する屈曲部を有し、上記屈曲部は、下部ユニット7内に配置される。」
エ 甲4
甲4には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0015】
この熱交換器モジュール12Aは、内部に設けられている伝熱管である扁平管3内を導通する冷媒と、各板状フィン4の間に形成される隙間から流れ込んでくる外部の空気(流体)とで熱交換を行なう機能を有している。図1に示すように、熱交換器モジュール12Aは、2つのヘッダー1Aと、ヘッダー1Aを密閉するフタ2と、複数本(ここでは12本)の扁平管3と、扁平管3を挿入する複数枚の板状フィン4と、ヘッダー1A内部と連通する冷媒配管である流入管5と、ヘッダー1A内部と連通する冷媒配管である流出管6とで構成されている。なお、図1に示すように、扁平管3の並び方向を段方向(冷媒の流れと直交する方向)、扁平管3の長手方向を長手方向(冷媒の流れ方向)、段方向及び長手方向と垂直に交わる方向を列方向と定義して以下の説明で使用する。」
(イ)「【0053】
この室内ユニット27aは、図8で示した空調冷凍装置150を構成している室内機27に相当するものである。この室内ユニット27aは、室内等の壁面に設置され、その室内等の空調対象域に冷房用空気や暖房用空気を吹き出すものである。室内ユニット27aには、熱交換器モジュール12Aが組み合わされて収容されている。この室内ユニット27aは、空気を吸い込むための吸込口51及び冷房用空気又は暖房用空気を吹き出すための吹出口52が形成された筐体50と、筐体50内に収納され、空気を吸い込み、空気を吹き出す室内送風機22と、室内送風機22を駆動する室内送風機用モータ23と、吸込口51から室内送風機22までの風路途中及び室内送風機22から吹出口52までの風路途中に配設された熱交換器100Aと、で構成されている。
【0054】
この熱交換器100Aについて更に詳しく説明する。熱交換器100Aは、実施の形態1で説明したように熱交換器モジュール12Aを組み合わせて構成されている。この熱交換器モジュール12Aは、2つを1組として計3組が、室内送風機22を取り囲むようにして筐体50内に収容されている。つまり、筐体50の前面側には4つ熱交換器モジュール12A(熱交換器モジュール12c~熱交換器モジュール12f)が、筐体50の背面側には2つの熱交換器モジュール12A(熱交換器モジュール12g及び熱交換器モジュール12h)が配設され、室内送風機22を取り囲むようになっている。
【0055】
図16では、筐体50の前面側下部に配設される熱交換器モジュール12c(風上側)及び熱交換器モジュール12d(風下側)の組み合わせを下部熱交換器100a、筐体50の前面側上部に配設される熱交換器モジュール12e(風上側)及び熱交換器モジュール12f(風下側)の組み合わせを上部熱交換器100b、筐体50の背面側に配設される熱交換器モジュール12g(風上側)及び熱交換器モジュール12h(風下側)の組み合わせを背面熱交換器100cと称して図示している。また、図16には、下部熱交換器100a、上部熱交換器100b及び背面熱交換器100cに冷媒を分配する分配器28と、冷房運転時に下部熱交換器100a、上部熱交換器100b及び背面熱交換器100cから流出された冷媒を集約して導通する配管ヘッダー29と、を図示している。」
(ウ)「【0058】
冷房運転時、分配器28の入口に流入する冷媒は、液とガスとが混ざり合った2相流となっている。そのため、何らの工夫もせずに冷媒を各熱交換器モジュールに流入させると、液とガスとの割合が不均一な状態で各熱交換器モジュール12Aに流入することになる。そこで、室内ユニット27aでは、各熱交換器モジュール12Aに冷媒を流入させる前の上流側に分配器28を設けて、2相流状態の冷媒を均等に分配させるようにしている。また、分配器28で分配させた冷媒は、風上側の熱交換器モジュール12Aに流入し、配管ヘッダー29まで流れるが、分配器28から配管ヘッダー29に到達するまでの管内圧損を均一にするため、分配器28と風上側の熱交換器モジュール12Aのそれぞれと接続する流入管5の長さを同じにしている。」
(エ)「図15
[図:0001424585000009.jpg]
」
(オ)「図16
[図:0001424585000010.jpg]
」
(カ)(ア)及び(ウ)の記載事項より、熱交換器モジュール12Aは、流入管5を含むことが理解できる。そして、(エ)の図15及び(オ)の図16より、流入管5は屈曲部を有することが看取できる。
(キ)(イ)の段落【0053】の「室内ユニット27aには、熱交換器モジュール12Aが組み合わされて収容されている。」との記載、及び(カ)の認定事項より、屈曲部を有する流入管5は、室内ユニット27a内に収容されることが把握できる。
上記によれば、甲4には、次の技術事項(以下、「甲4に記載の技術事項」という。)が記載されている。
〔甲4に記載の技術事項〕
「熱交換器モジュール12Aの流入管5は、屈曲部を有し、上記屈曲部は、室内ユニット27a内に収容される。」
オ 甲5
甲5には、以下の事項が記載されている。
(ア)「【0015】そして、この熱交換器本体(21)の熱交換管(22)一端に、アルミニウム製パイプ部(2)と、これに溶接部(接合部)(A)を介して連なる銅製パイプ部(3)とよりなる連結管(1)のアルミニウム製パイプ部(2)側の端部が接続され、また、連結管(1)の銅製パイプ部(3)側の端部には、銅製の冷媒流送管(4)が接続されている。
【0016】ここで、連結管(1)のアルミニウム製パイプ部(2)は、上記熱交換管(22)側の水平部(2a)と、これの先端に連なる下向き傾斜部(2b)とを有しており、また連結管(1)の銅製パイプ部(3)は、アルミニウム製パイプ部(2)の下向き傾斜部(2b)の延長方向に伸びる下向き傾斜部(3a)と、これの下端部(B)から折れ曲がった立上がり部(3b)とを有している。
【0017】銅製パイプ部(3)の下向き傾斜部(3a)の下端部(B)は、アルミニウム製パイプ部(2)よりも低いレベルに保持されている。」
(イ)「【0019】上記の熱交換器(20)によれば、連結管(1)の銅製パイプ部(3)の下向き傾斜部(3a)の下端部(B)が、アルミニウム製パイプ部(2)よりも低いレベルに保持されているので、銅製パイプ部(3)およびこれに連なる銅製の冷媒流送管(4)の表面で生じた結露水は、銅製パイプ部(3)の下向き傾斜部(3a)の下端部(B)に導かれ、従って、アルミニウム製パイプ部(2)側に結露水が伝わらず、アルミニウム製パイプ部(2)の腐食を確実に防止し得る。」
(ウ)「図1
[図:0001424585000011.jpg]
」
(エ)(ア)の段落【0015】の記載、及び(ウ)の図示事項より、アルミニウム製パイプ部(2)の一端は熱交換器本体(21)の熱交換管(22)に接続され、アルミニウム製パイプ部(2)の他端は銅製パイプ部(3)の一端に接続されることが把握できる。
(オ)(ア)の段落【0016】の「連結管(1)の銅製パイプ部(3)は、アルミニウム製パイプ部(2)の下向き傾斜部(2b)の延長方向に伸びる下向き傾斜部(3a)と、これの下端部(B)から折れ曲がった立上がり部(3b)とを有している。」の記載、及び(ウ)の図1より、銅製パイプ部(3)は、下方に突出するように屈曲する屈曲部を有することが把握できる。
上記によれば、甲5には、次の技術事項(以下、「甲5に記載の技術事項」という。)が記載されている。
〔甲5に記載の技術事項〕
「熱交換器本体(21)と、熱交換器本体(21)の熱交換管(22)に接続され、冷媒が流れるアルミニウム製パイプ部(2)及び銅製パイプ部(3)とを備え、上記アルミニウム製パイプ部(2)及び銅製パイプ部(3)は、一端が上記熱交換器本体(21)の熱交換管(22)に接続されるアルミニウム製パイプ部(2)と、銅製パイプ部(3)とを備え、上記銅製パイプ部(3)の一端は、上記アルミニウム製パイプ部(2)の他端に接続され、上記銅製パイプ部(3)は、下方に突出するように屈曲する屈曲部を有する。」
(2) 理由1についての当審の判断
ア 本件発明1と甲1発明Aとの対比・判断
本件発明1と甲1発明Aとを、その機能、構成又は技術的意義を考慮して対比する。
甲1発明Aの「筐体1」は、本件発明1における「ケーシング」に相当する。同様に、「室内熱交換器3」は「熱交換器」に、「ガス配管20及び液配管30」は「接続配管」に、それぞれ相当する。
そうすると、甲1発明Aの「筐体1と、室内熱交換器3と、上記室内熱交換器3に接続され、冷媒が流れるガス配管20及び液配管30とを備え、」ることと、本件発明1の「ケーシング(21)と、上記ケーシング(21)に収容された熱交換器(15)と、上記熱交換器(15)に接続され、冷媒が流れる接続配管(31,32)とを備え、」ることとは、「ケーシングと、熱交換器と、上記熱交換器に接続され、冷媒が流れる接続配管とを備え、」ることの限りにおいて一致する。
甲1発明Aの「伝熱管8a,8b」は、甲1の段落【0023】によると室内熱交換器3を構成するものであるから、本件発明1の「熱交換器」に相当する。同様に、「アルミニウム又はアルミニウム合金で構成された」は「第1の金属で形成された」に、「アルミニウム配管20Al,30Al」は「第1冷媒配管」に、「上記アルミニウム又はアルミニウム合金に対してイオン化傾向が小さい銅又は銅合金で構成された」は「上記第1の金属に対して電位的に貴な第2の金属で形成された」に、「銅配管20Cu,30Cu」は「第2冷媒配管」に、それぞれ相当する。
そうすると、甲1発明Aの「上記ガス配管20及び液配管30は、一端が上記伝熱管8a,8bに接続されると共に、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成されたアルミニウム配管20Al,30Alと、上記アルミニウム配管20Al,30Alの上記アルミニウム又はアルミニウム合金に対してイオン化傾向が小さい銅又は銅合金で構成された銅配管20Cu,30Cuとを備え、」ることは、本件発明1の「上記接続配管は、一端が上記熱交換器に接続されると共に、第1の金属で形成された第1冷媒配管と、上記第1冷媒配管の上記第1の金属に対して電位的に貴な第2の金属で形成された第2冷媒配管とを備え、」ることに相当する。
甲1発明Aの「上記銅配管20Cu,30Cuの一端は、上記アルミニウム配管20Al,30Alの他端に接続され、」ることと、本件発明1の「上記第2冷媒配管(312,322)の一端は、上記第1冷媒配管(311,321)の他端に上記ケーシング(21)内で接続され、」ることとは、「上記第2冷媒配管の一端は、上記第1冷媒配管の他端に接続され、」ることの限りにおいて一致する。
甲1発明Aの「室内機101」は、本件発明1の「室内機」に相当する。
よって、本件発明1と甲1発明Aとは、次の一致点で一致し、相違点1-4で相違する。
〔一致点〕
「ケーシングと、
熱交換器と、
上記熱交換器に接続され、冷媒が流れる接続配管と
を備え、
上記接続配管は、
一端が上記熱交換器に接続されると共に、第1の金属で形成された第1冷媒配管と、
上記第1冷媒配管の上記第1の金属に対して電位的に貴な第2の金属で形成された第2冷媒配管と
を備え、
上記第2冷媒配管の一端は、上記第1冷媒配管の他端に接続される、
室内機。」
〔相違点1〕
熱交換器について、本件発明1においては、「上記ケーシング(21)に収容され」ているのに対し、甲1発明Aにおいては、かかる事項が特定されていない点。
〔相違点2〕
第2冷媒配管と第1冷媒配管との接続について、本件発明1においては、「上記第2冷媒配管(312,322)の一端は、上記第1冷媒配管(311,321)の他端に上記ケーシング(21)内で接続され」ているのに対し、甲1発明Aにおいては、「上記銅配管20Cu,30Cuの一端」及び「上記アルミニウム配管20Al,30Alの他端」がどこで接続されているのか特定されていない点。
〔相違点3〕
本件発明1においては、「上記第2冷媒配管(312,322)は、下方に突出するように屈曲する屈曲部(312e)を有」するのに対し、甲1発明Aにおいては、「上記アルミニウム配管20Al,30Alは、下側に凸状になっている下部曲線部20L,30Lを有する」点。
〔相違点4〕
本件発明1においては、「上記屈曲部(312e)は、上記ケーシング(21)内に配置され、上記ケーシング(21)の上面視において、上記屈曲部(312e)は、上記ケーシング(21)内の電気部品と重ならない位置に配置されている」のに対し、甲1発明Aにおいては、かかる事項を有しない点。
事案に鑑み、上記相違点3について検討する。
甲1の段落【0067】では、接続配管10と延長配管12との取り付けのし易さを向上させるため、アルミニウム配管20Al,30Alと銅配管20Cu,30Cuの接続部C23,C33の位置を容易に調整(変更)できることが示唆されている。
しかしながら、甲1発明Aにおけるアルミニウム配管20Al,30Alと銅配管20Cu,30Cuの位置関係については、結露水が発生して、水滴がアルミニウム配管20Al,30Alに付着することがあったとしても、その水滴がアルミニウム配管20Al,30Al側から銅配管20Cu,30Cu側に向けて流れ、銅イオンがアルミニウム配管20Al,30Alに付着することを抑制する(段落【0064】を参照)ために、アルミニウム配管20Al,30Alは銅配管20Cu,30Cuよりも上側に配置する(段落【0068】を参照)ことを前提とする。
そのため、甲1発明Aにおいて、アルミニウム配管20Al,30Alを銅配管20Cu,30Cuの上側に配置することに代えて、銅配管20Cu、30Cuの一端の位置を、銅配管20Cu、30Cuが下部曲線部20L,30Lを含むような位置に変更して相違点3に係る本件発明1の構成を得ることには、阻害要因があるといわざるを得ない。
よって、その他の相違点1-2、4について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明A、及び甲2-5に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
イ 本件発明1と甲1発明Bとの対比・判断
本件発明1と甲1発明Bとを、その機能、構成又は技術的意義を考慮して対比する。
甲1発明Bの「筐体1」は、本件発明1における「ケーシング」に相当する。同様に、「室内熱交換器3」は「熱交換器」に、「ガス配管20及び液配管30」は「接続配管」に、それぞれ相当する。
そうすると、甲1発明Bの「筐体1と、室内熱交換器3と、上記室内熱交換器3に接続され、冷媒が流れるガス配管20及び液配管30とを備え、」ることと、本件発明1の「ケーシング(21)と、上記ケーシング(21)に収容された熱交換器(15)と、上記熱交換器(15)に接続され、冷媒が流れる接続配管(31,32)とを備え、」ることとは、「ケーシングと、熱交換器と、上記熱交換器に接続され、冷媒が流れる接続配管とを備え、」ることの限りにおいて一致する。
甲1発明Bの「伝熱管8a,8b」は、甲1の段落【0023】によると室内熱交換器3を構成するものであるから、本件発明1の「熱交換器」に相当する。同様に、「アルミニウム又はアルミニウム合金で構成された」は「第1の金属で形成された」に、「アルミニウム配管20Al,30Al」は「第1冷媒配管」に、「上記アルミニウム又はアルミニウム合金に対してイオン化傾向が小さい銅又は銅合金で構成された」は「上記第1の金属に対して電位的に貴な第2の金属で形成された」に、「銅配管20Cu,30Cu」は「第2冷媒配管」に、それぞれ相当する。
そうすると、甲1発明Bの「上記ガス配管20及び液配管30は、一端が上記伝熱管8a,8bに接続されると共に、アルミニウム又はアルミニウム合金で構成されたアルミニウム配管20Al,30Alと、上記アルミニウム配管20Al,30Alの上記アルミニウム又はアルミニウム合金に対してイオン化傾向が小さい銅又は銅合金で構成された銅配管20Cu,30Cuとを備え、」ることは、本件発明1の「上記接続配管は、一端が上記熱交換器に接続されると共に、第1の金属で形成された第1冷媒配管と、上記第1冷媒配管の上記第1の金属に対して電位的に貴な第2の金属で形成された第2冷媒配管とを備え、」ることに相当する。
甲1発明Bの「上記銅配管20Cu,30Cuの一端は、上記アルミニウム配管20Al,30Alの他端に接続され、」ることと、本件発明1の「上記第2冷媒配管(312,322)の一端は、上記第1冷媒配管(311,321)の他端に上記ケーシング(21)内で接続され、」ることとは、「上記第2冷媒配管の一端は、上記第1冷媒配管の他端に接続され、」ることの限りにおいて一致する。
甲1発明Bの「上記銅配管20Cu,30Cuは、接続部C23,C33から下側に延び、フレアナット接続部29,39に向けて水平方向に屈曲する屈曲部を有する」ことと、本件発明1の「上記第2冷媒配管(312,322)は、下方に突出するように屈曲する屈曲部(312e)を有」することとは、「上記第2冷媒配管は、屈曲する屈曲部を有」することの限りにおいて一致する。
甲1発明Bの「室内機101」は、本件発明1の「室内機」に相当する。
よって、本件発明1と甲1発明Bとは、次の一致点で一致し、相違点5-8で相違する。
〔一致点〕
「ケーシングと、
熱交換器と、
上記熱交換器に接続され、冷媒が流れる接続配管と
を備え、
上記接続配管は、
一端が上記熱交換器に接続されると共に、第1の金属で形成された第1冷媒配管と、
上記第1冷媒配管の上記第1の金属に対して電位的に貴な第2の金属で形成された第2冷媒配管と
を備え、
上記第2冷媒配管の一端は、上記第1冷媒配管の他端に接続され、
上記第2冷媒配管は、屈曲する屈曲部を有する、
室内機。」
〔相違点5〕
熱交換器について、本件発明1においては、「上記ケーシング(21)に収容され」ているのに対し、甲1発明Bにおいては、かかる事項が特定されていない点。
〔相違点6〕
第2冷媒配管と第1冷媒配管との接続について、本件発明1においては、「上記第2冷媒配管(312,322)の一端は、上記第1冷媒配管(311,321)の他端に上記ケーシング(21)内で接続され」ているのに対し、甲1発明Bにおいては、「上記銅配管20Cu,30Cuの一端」及び「上記アルミニウム配管20Al,30Alの他端」がどこで接続されているのか特定されていない点。
〔相違点7〕
第2冷媒配管が有する屈曲部について、本件発明1においては、「下方に突出する」のに対し、甲1発明Bにおいては、かかる事項を有しない点。
〔相違点8〕
本件発明1においては、「上記屈曲部(312e)は、上記ケーシング(21)内に配置され、上記ケーシング(21)の上面視において、上記屈曲部(312e)は、上記ケーシング(21)内の電気部品と重ならない位置に配置されている」のに対し、甲1発明Bにおいては、かかる事項を有しない点。
事案に鑑み、上記相違点7について検討する。
熱交換器に接続される接続配管が下方に突出するように屈曲する屈曲部を有することは、例えば甲2-3、5に記載の技術事項に見られるように周知の技術(以下、周知技術1という。)である。
しかしながら、接続配管の下側に延びる部分からフレアナット接続部に向けて水平方向に屈曲する屈曲部を、下方に突出させることまで周知の技術であるとはいえない。
そうすると、甲1発明Bのガス配管20及び液配管30は、それぞれアルミニウム配管20Al,30Al及び銅配管20Cu,30Cuと、を備えるものであるとしても、これらの配管のうち銅配管20Cu,30Cuの屈曲部に着目して、当該屈曲部に上記周知技術1を適用して、下方に突出させることは、当業者が容易に想到し得たものとはいえない。
また、甲4には、熱交換器に接続される接続配管が下方に突出するように屈曲する屈曲部を有することは記載されていない。
よって、その他の相違点5-6、8について検討するまでもなく、本件発明1は、甲1発明B及び甲2-5に記載の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
ウ 本件発明2-8について
本件発明1は、上記ア及びイのとおり、当業者が容易に発明をすることができたものということはできないから、本件発明1の発明特定事項をすべて含む請求項1を直接的又は間接的に引用する本件発明2-8も、本件発明1と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。
3 理由2について
(1)特許異議申立書における申立人の主張
請求項1には、屈曲部(312e)と電気部品(電装品部28)との高さ関係を規定していない。そして、電気部品が屈曲部(312e)より高い位置にある場合、本件発明の明細書の段落【0021】に記載されている作用・効果は得られない。よって、本件発明の発明の詳細な説明の記載は、当業者が本件発明1-8を実施可能な程度に明確かつ十分に記載されていない。
(2)当審の判断
ア 特許法第36条第4項第1号は、特許による技術の独占が発明の詳細な説明をもって当該技術を公開したことへの代償として付与されるという仕組みを踏まえ、発明の詳細な説明の記載につき、実施可能要件を定めるものである。このような同号の趣旨に鑑みると、発明の詳細な説明の記載及び出願当時の技術常識に基づいて、当業者が過度の試行錯誤を要することなく、特許を受けようとする発明の実施をすることができる程度の記載があることを要するものと解される。
また、物の発明における発明の実施とは、その物の生産、使用等をする行為をいうから(特許法第2条第3項第1号)、特許法第36条第4項第1号の「その実施をすることができる」とは、その物を作ることができ、かつ、その物を使用できることであり、物の発明については、明細書にその物を生産する方法及び使用する方法についての具体的な記載が必要であるが、そのような記載がなくても、明細書及び図面の記載並びに出願当時の技術常識に基づき、当業者がその物を作ることができ、かつ、その物を使用できるのであれば、上記の実施可能要件を満たすということができる。
以下、この規範に沿って検討する。
イ 段落【0072】には、ケーシングの上面視において、屈曲部はケーシング内の電気部品と重なり合わないことが記載されている。一方で、図5において電装部品28並びに液冷媒用接続配管31及びガス冷媒用配管32の高さ関係が示されているものの、屈曲部と電気部品との高さ関係については、発明の詳細な説明に具体的な記載はない。
しかしながら、室内機において、ケーシングで画定されるスペースの中で、電気部品を含めた構成部品を配置することは技術常識であり、屈曲部と電気部品との高さ関係について、発明の詳細な説明に具体的な記載はないからといって、本件発明1-8に係る室内機を作ること、及びその室内機を使用するために、当業者に期待し得る程度を超える試行錯誤や複雑高度な実験等をする必要があるとはいえない。
そうすると、明細書及び図面の記載並びに出願当時の技術常識に基づき、当業者が本件特許1-8に係る室内機を作ることができ、かつ、その室内機を使用できるから、実施可能要件は満たたしている。
なお、ケーシングの上面視において、屈曲部がケーシング内の電気部品と重ならない位置に配置されるのであれば、電気部品と屈曲部の高さ関係に寄らず、第2冷媒配管に生じた結露水は屈曲部から滴下するから、電気部品に結露水が当たらないという段落【0021】に記載されている作用・効果を奏するといえる。
したがって、申立人の主張を採用することはできない。
4 理由3について
(1)特許異議申立書における申立人の主張
本件発明6は、「第2-2冷媒配管」に含まれる接続部323が、第1液冷媒配管311と重なる形態が含まれる。そして、接続部323が第1液冷媒配管311と重なる場合は、段落【0071】に記載の効果を奏するとは言い切れない。よって、本件発明6は、発明の詳細な範囲に記載の内容を超えている。
(2)当審の判断
ア 特許請求の範囲の記載がサポート要件に適合するか否かは、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを対比し、特許請求の範囲に記載された発明が、発明の詳細な説明に記載された発明で、発明の詳細な説明の記載又はその示唆により当業者が当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否か、また、その記載や示唆がなくとも当業者が出願時の技術常識に照らし当該発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるか否かを検討して判断すべきものとされている。
以下、この規範に沿って検討する。
イ 特許請求の範囲の記載について
請求項6には、「請求項5に記載の室内機(1)において、上記ケーシング(21)の上面視において、上記第1-1冷媒配管(311)は、上記第2-2冷媒配管(322)と重ならない位置に配置されている、室内機(1)。」という発明特定事項が記載されている。
ウ 発明の詳細な説明における本件発明6の課題
段落【0019】から、本件発明6が解決しようとする課題は、「第1-1冷媒配管と第2-2冷媒配管とが上面視で重なり合わないので、第2-2冷媒配管から滴下した結露水が第1-1冷媒配管に当たらないようにでき、第1-1冷媒配管の電蝕を抑制できる」ことと認められる。
エ 発明の詳細な説明において課題を解決することができると当業者が認識できる範囲
第2-2冷媒配管について、段落【0051】では、第2ガス冷媒配管322であることが記載されており、接続部323は第2-2冷媒配管に含まれていない。さらに、段落【0065】では、第1ガス冷媒配管321と第2ガス冷媒ガス配管322とを直接接続することが示唆されており、接続部323を設けることは必須ではないことが理解できる。
そうすると、段落【0019】における「第2-2冷媒配管」及び訂正後の段落【0071】における「第2ガス冷媒配管322」とは、接続部323を含まないものと解され、発明の詳細な説明からは、ケーシング21の上面視において、第1液冷媒配管311(第1-1冷媒配管)を、接続部323を含まない第2ガス冷媒配管322(第2-2冷媒配管)と重ならない位置に配置することで、第2ガス冷媒配管322から滴下した結露水を第1液冷媒配管311に当たらないようにして、第1液冷媒配管311の電蝕を抑制するという上記ウの課題を解決することができると、当業者が認識し得るものと解される。
オ 特許請求の範囲の記載と、発明の詳細な説明の記載の比較
上記エで記載したとおり、本件発明6の「第2-2冷媒配管(322)」についても、接続部を含む概念であると解釈する理由はない。
そうすると、本件発明6には、発明の詳細な説明に記載された、発明の課題を解決するための手段が反映されており、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えて特許を請求しているといえない。
したがって、申立人の主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、本件特許の請求項1-8に係る特許は、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した申立ての理由によっては、取り消すことはできない。
また、他に、本件特許の請求項1-8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700623