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特許異議申立

2026-700375

照明装置

審判番号
2026-700375
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2024-017571
登録番号
7765750
請求日
2026年04月28日
審決日
2026年08月10日
公報発行日
2026年09月25日
結論
維持
当事者
  • 【権利者】東芝ライテック株式会社
  • 【権利者代理人】熊谷 昌俊
  • 【異議申立人】角田 朗
審判長/審判官
  • 審判長 草野 顕子
  • 審判官 落合 弘之
  • 審判官 高橋 学
分類
P1651.121-Y (F21S)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第29条第2項、特許法第44条第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7765750号発明「照明装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7765750号の請求項1~4に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7765750号(以下「本件特許」という。)の請求項1~4に係る特許についての出願(以下「本件出願」という。)は、特許法第44条第1項の規定による特許出願であって、平成27年11月17日に出願された特願2015-225062号を最先の出願とする、いわゆる第4世代の分割出願であるところ、出願の分割の経緯は、次のとおりである。なお、括弧内は当該出願の願書の提出日を示す。 最先の出願:特願2015-225062号(平成27年11月17日) 第1世代 :特願2020-022513号(令和 2年 2月13日) 第2世代 :特願2021-080171号(令和 3年 5月11日) 第3世代 :特願2022-066836号(令和 4年 4月14日) 本件出願 :特願2024-017571号(令和 6年 2月 8日) そして、本件出願は、令和7年10月29日にその特許権の設定登録がされ、同年11月7日に特許掲載公報が発行された。その後、本件特許の請求項1~4に係る特許に対し、令和8年4月28日に特許異議申立人角田朗(以下「申立人」という。)により特許異議の申立てがされた。 第2 本件発明 本件特許の請求項1~4の特許に係る発明(以下「本件発明1」などという。)は、本件特許の特許請求の範囲に記載された事項により特定される次のものである。 「【請求項1】 長尺状の光源と; 底板と側板とを有し、前記底板と前記側板とにより形成される開口を覆うように前記光源が脱着可能に取り付けられる器具本体と; 前記器具本体に取り付けられ、非常用点灯ユニットと電池とを収容し、前記光源の短手方向で前記光源に隣接し少なくとも一部が前記光源から照射された光を受ける位置に配置される前記器具本体よりも長手方向の長さが短い収容部と; を備えた照明装置。 【請求項2】 前記収容部は、少なくとも一部が前記光源よりも前記底板から前記開口へ向けた方向に突出する請求項1に記載の照明装置。 【請求項3】 前記収容部は、前記器具本体に対し長手方向の端部側に配置される請求項1または2に記載の照明装置。 【請求項4】 前記収容部は、前記器具本体に対し長手方向の中央に配置される請求項1または2に記載の照明装置。」 第3 特許異議申立理由の概要 申立人は、令和8年4月28日提出の特許異議申立書(以下「異議申立書」という。)において、次の証拠を提示し、以下の特許異議の申立ての理由(以下「申立理由」という。)を主張している。 1 提示された証拠 甲第1号証:特開2015-88433号公報 甲第2号証:米国特許第4144462号明細書 甲第3号証:特開平6-314511号公報 甲第4号証:特開平5-217409号公報 甲第5号証:特開2002-170424号公報 甲第6号証:特開2004-134336号公報 以下、甲第○号証を甲○という。 2 申立理由 (1)甲1を主たる証拠とした申立理由(以下「申立理由1」という。) 本件発明1~4は、甲1に記載された発明、及び甲2に記載された事項に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 (2)甲3を主たる証拠とした申立理由(以下「申立理由2」という。) 本件発明1~4は、甲3に記載された発明、甲4に記載された事項、甲6に記載された事項、及び周知技術(甲5及び6)に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。 第4 当審の判断 1 甲号証について (1)甲1について ア 甲1の認定事項 段落【0014】、【0015】、図2の一部を拡大して当審において部材名を付記した以下の参考図1、及び図3の一部を拡大して当審において部材名を付記した以下の参考図2から、器具本体1の収容凹部11は、底面部111と一対の側壁面から形成され、天井材100と反対側に開口を有すると認められる。 [参考図1] [図:0001439250000001.jpg] [参考図2] [図:0001439250000002.jpg] イ 甲1に記載された発明 甲1の【請求項1】、段落【0013】~【0017】、【0020】、【0023】、【0024】、及び図1~3、並びに前記(1)から、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されているといえる。 なお、括弧内は、主な参照個所を示す。以下同様。 [甲1発明] 「長尺状に形成され天井材100に取り付けられる器具本体1と、前記器具本体1に対して着脱自在に取り付けられる光源ユニット2と、前記器具本体1に取り付けられ外部電源の停電時に点灯する非常用光源部3と、を備え(【請求項1】、段落【0013】)、 前記器具本体1は、前記光源ユニット2を収容するための矩形の収容凹部11を前記天井材100と反対側に有し(【請求項1】、段落【0014】)、 前記収容凹部11は、底面部111と一対の側壁面から形成され、天井材100と反対側に開口を有し(前記(1))、 前記光源ユニット2は、長い矩形板状に形成され前後方向(長手方向)に沿って複数のLED222が実装されたプリント基板221からなる基板22と、基板22が取り付けられる取付部材21と、基板22を覆うようにして取付部材21に取り付けられるカバー部材23とを有し、前記光源ユニット2が器具本体1に取り付けられた状態で、カバー部材23の左右方向における両端部が収容凹部11の開口端縁と重なり(段落【0016】、【0017】、【0020】)、 前記非常用光源部3は、非常用光源31と、複数の蓄電池が収納され、前記外部電源の停電時に電力を供給する非常用電源33と、前記外部電源が正常に供給されている状態では前記外部電源により前記非常用電源33を充電し、前記外部電源が停電になると前記非常用電源33により前記非常用光源31を点灯させる電源装置32と、を有し(【請求項1】、段落【0021】、【0023】、【0024】)、 前記電源装置32は、前記器具本体1の収容凹部11内で且つ前記器具本体1の長手方向における一端部に配置され、前記非常用電源33は、前記器具本体11の前記収容凹部11内で且つ前記器具本体1の長手方向における他端部に配置される(段落【0023】、【0024】)、 照明器具。」 (2)甲2について 甲2の第4欄10~17行、第8欄1~19行、第10欄14~38行、及びFIG.1~3から、甲2には、次の事項(以下「甲2記載事項」という。)が記載されているといえる。 [甲2記載事項] 「停電時に非常用電力を供給するために蛍光ランプ22と直列に、又は蛍光ランプ22、24に沿って蛍光灯器具に装着可能である内蔵型非常用照明蛍光パック20において、内蔵型非常用照明蛍光パック20が、ベース62と、ベース62に着脱可能に勘合するカバー64を含むハウジング61を有し、ハウジング61内に、バッテリーパック66、バッテリ充電器、及び非常用電力生成部を構成する電子回路基板68を備え、内蔵型非常用照明蛍光パック20が蛍光ランプ22に直列に配置され、蛍光ランプ24に対して隣接して並列に配置されること、内蔵型非常用照明蛍光パック20が蛍光ランプ22と蛍光ランプ24の間に配置され、蛍光ランプ22及び蛍光ランプ24に対して隣接して並列に配置されること、又は、内蔵型非常用照明蛍光パック20がU字形の蛍光ランプ22の内側に配置され、蛍光ランプ22に対して隣接して並列に配置されること。」 (3)甲3について ア 甲3の認定事項 甲3の段落【0002】、図5~7から、甲3について、以下の事項が認められる。 (ア)甲3の段落【0002】並びに図5及び6から、非常用照明器具は、2本の直管形のけい光ランプ7と、横長状で断面がほぼコ字形をなす器具本体1と、器具本体1の上面壁の下面に、その長手方向に沿って中央に直列に配列するように取り付けられた安定器2、非常点灯ユニット3、及び電池4等の部品と、これら部品を覆うように器具本体1の上面壁の下面に着脱可能に取り付けられた反射板6と、を備える。 (イ)甲3の段落【0002】、及び当審において図6に対して部材名を付記した以下の参考図3から、器具本体1は、上面壁と一対の側面壁を有し、上面壁と一対の側面壁が下方に開口した凹部を形成する。 [参考図3] [図:0001439250000003.jpg] (ウ)甲3の段落【0002】、図5、及び前記(イ)の参考図3から、反射板6の下方にソケットを介してけい光ランプ7が支持され、けい光ランプ7は、凹部内に位置する。 イ 甲3に記載された発明 前記(1)から、甲3には、以下の発明(以下「甲3発明」という。)が記載されているといえる。 [甲3発明] 「2本の直管形のけい光ランプ7と、 横長状で断面がほぼコ字形をなす器具本体1と、 前記器具本体1の上面壁の下面に、その長手方向に沿って中央に直列に配列するように取り付けられた安定器2、非常点灯ユニット3、及び電池4等の部品と、 これら部品を覆うように前記器具本体1の上面壁の下面に着脱可能に取り付けられた反射板6と、を備え(前記ア(ア))、 前記器具本体1は、上面壁と一対の側面壁を有し、前記上面壁と前記一対の側面壁が下側に開口した凹部を形成し(前記ア(イ))、 前記反射板6の下方にソケットを介して前記けい光ランプ7が支持され、前記けい光ランプ7は、前記凹部内に位置する(前記ア(ウ))、 非常用照明器具。」 (4)甲4について 甲4の【請求項1】、【0001】、【0017】、【0018】、及び図1から、甲4には、次の事項(以下「甲4記載事項」という。)が記載されているといえる。 [甲4記載事項] 「シャーシ1と、このシャーシ1の下面に着脱自在に取り付けられる断面略V字状の反射板10とを備えた非常用照明器具において、反射板10に非常用バッテリー4が固定され、非常用バッテリー4は、シャーシ1と反射板10の間の空間に配置され、蛍光灯12を装着するためのランプソケット3は、シャーシ1の短手方向において、断面略V字状の反射板10を挟んで両側に位置すること。」 (5)甲5について 甲5の【請求項1】、段落【0022】~【0025】、及び【0031】、並びに図1及び2から、甲5には、以下の事項(以下「甲5記載事項」という。)が記載されているといえる。 [甲5記載事項] 「2本の直管形蛍光ランプLを使用し、器具本体を備える照明器具において、器具本体11は、天板部12、両側の側板部13および両端の端板部14を有する箱形で、下面に照射開口15が形成され、天板部12の中央域には、取付面17が長手方向の全域にわたって形成され、取付面17の内側には電気部品としての第1の電気部品21aを配設する第1の電気部品配設部22aが形成され、第1の電気部品21aは、商用電源の停電時などに自動的に電池電源に切り換えて直管形蛍光ランプLを非常点灯させる非常点灯用電気部品24を備え、非常点灯用電気部品24は、複数の蓄電池25、商用電源の給電時に蓄電池25に充電するとともに停電時に蓄電池25の電源で直管形蛍光ランプLを点灯させる点灯ユニット26が含まれ、取付面17の両端近傍に蓄電池25がそれぞれ配設され、器具本体11内の中央域には、第1の電気部品配設部22aを覆って断面略V字形の反射板42が着脱可能に取り付けられ、断面略V字形反射板42の中央部分が各直管形蛍光ランプLを接続する対のランプソケット44よりも下方に配置されること。」 (6)甲6について 甲6の段落【0005】及び図2から、甲6には、以下の事項(以下「甲6記載事項」という。)が記載されているといえる。 [甲6記載事項] 「天井直付薄形電池内蔵形非常用照明器具において、蛍光ランプ5の側面を覆うように形成された器具本体1に取付けられたランプソケット3に蛍光ランプ5が装着され、器具本体1に固定された点灯装置4と非常用電源装置6と非常点灯用内蔵電池7は、蛍光ランプ5の中間に位置し、器具本体1に係合固定された断面略V字形の反射板2により覆われた構造となっており、断面略V字形の反射板2の中央部分がランプソケット3に装着された蛍光ランプ5よりも下方に配置されること。」 (7)周知技術 直管形蛍光ランプとそのソケットに関する技術常識を踏まえれば、甲5記載事項において、ランプソケット44に装着される直管形蛍光ランプLの外径と、ランプソケット44の直管形蛍光ランプLが装着される部分の外径がほぼ同じであると認められる。 そうすると、甲5記載事項及び甲6記載事項から、以下のことが周知技術であるといえる。 [周知技術] 「器具本体の中央領域に固定された断面略V字形の反射板を有する照明装において、断面略V字形の反射板の中央部分がランプソケットに装着された蛍光ランプよりも下方に配置されること。」 2 申立理由1について (1)本件発明1について ア 本件発明1と甲1発明の対比 本件発明1と甲1発明を対比する。 (ア)後者の「長い矩形板状に形成され前後方向(長手方向)に沿って複数のLED222が実装されたプリント基板221からなる基板22と、基板22が取り付けられる取付部材21と、基板22を覆うようにして取付部材21に取り付けられるカバー部材23とを有」する「前記光源ユニット2」は、長尺状であることは明らかであるので、前者の「長尺状の光源」に相当する。 (イ)前記(ア)から、後者の「光源ユニット2」が「着脱自在に取り付けられる」「前記器具本体1」は、前者の「前記光源が脱着可能に取り付けられる器具本体」に相当する。 (ウ)後者の「前記器具本体1は、」「矩形の収容凹部11を」「有し、前記収容凹部11は、底面部111と一対の側壁面から形成され」ることは、「前記器具本体1」が「底面部111と一対の側壁面」を有していることは明らかなので、前記(イ)も踏まえると、前者の「器具本体」が「底板と側板とを有」することに相当する。 (エ)後者の「前記収容凹部11は、底面部111と一対の側壁面から形成され、天井材100と反対側に開口を有」することにおいて、「前記収容凹部11」が「天井材100と反対側に」「有」する「開口」が「底面部111と一対の側壁面」により形成されることは明らかである。 そして、前記(イ)及び(ウ)を踏まえると、後者の「前記収容凹部11」が「天井材100と反対側に」「有」する「開口」は、前者の「前記底板と前記側板とにより形成される開口」に相当する。 (オ)前記(イ)~(エ)から、後者の「前記光源ユニット2は、」「カバー部材23」「を有し、前記光源ユニット2が器具本体1に取り付けられた状態で、カバー部材23の左右方向における両端部が収容凹部11の開口端縁と重な」ることは、「前記光源ユニット2が器具本体1に取り付けられた状態で、」「前記光源ユニット2」が「前記収容凹部11」の「開口」を覆っていることは明らかであるので、前者の「前記底板と前記側板とにより形成される開口を覆うように前記光源が」「取り付けられる」ことに相当する。 (カ)前記(イ)~(オ)から、後者の「長尺状に形成され天井材100に取り付けられる器具本体1と、前記器具本体1に対して着脱自在に取り付けられる光源ユニット2と、」「を備え、」「前記器具本体1は、前記光源ユニット2を収容するための矩形の収容凹部11を前記天井材100と反対側に有し、前記収容凹部11は、底面部111と一対の側壁面から形成され、天井材100と反対側に開口を有し、前記光源ユニット2は、長い矩形板状に形成され前後方向(長手方向)に沿って複数のLED222が実装されたプリント基板221からなる基板22と、基板22が取り付けられる取付部材21と、基板22を覆うようにして取付部材21に取り付けられるカバー部材23とを有し、前記光源ユニット2が器具本体1に取り付けられた状態で、カバー部材23の左右方向における両端部が収容凹部11の開口端縁と重な」ることは、前者の「長尺状の光源と; 底板と側板とを有し、前記底板と前記側板とにより形成される開口を覆うように前記光源が脱着可能に取り付けられる器具本体と」「を備え」ることに相当する。 (キ)後者の「複数の蓄電池が収納され、前記外部電源の停電時に電力を供給する非常用電源33」は、前者の「電池」に相当する。 (ク)後者の「前記外部電源が正常に供給されている状態では前記外部電源により前記非常用電源33を充電し、前記外部電源が停電になると前記非常用電源33により前記非常用光源31を点灯させる電源装置32」は、前者の「非常用点灯ユニット」に相当する。 (ケ)前記(イ)、(キ)、及び(ク)を踏まえると、後者の「前記器具本体1に取り付けられ外部電源の停電時に点灯する非常用光源部3」「を備え」「前記非常用光源部3は、」「複数の蓄電池が収納され、前記外部電源の停電時に電力を供給する非常用電源33と、前記外部電源が正常に供給されている状態では前記外部電源により前記非常用電源33を充電し、前記外部電源が停電になると前記非常用電源33により前記非常用光源31を点灯させる電源装置32と、を有し、前記電源装置32は、器具本体1の収容凹部11内で且つ器具本体1の長手方向における一端部に配置され、前記非常用電源33は、器具本体11の収容凹部11内で且つ器具本体1の長手方向における他端部に配置される」ことと、前者の「前記器具本体に取り付けられ、非常用点灯ユニットと電池とを収容し、前記光源の短手方向で前記光源に隣接し少なくとも一部が前記光源から照射された光を受ける位置に配置される前記器具本体よりも長手方向の長さが短い収容部」「を備え」ることは、「前記器具本体に取り付けられて収容される非常用点灯ユニットと電池とを備え」ることで共通する。 (コ)以上の限りにおいて、後者の「照明器具」は、前者の「照明装置」に相当する。 そうすると、本件発明1と甲1発明は、 「長尺状の光源と; 底板と側板とを有し、前記底板と前記側板とにより形成される開口を覆うように前記光源が脱着可能に取り付けられる器具本体と; 前記器具本体に取り付けられて収容される非常用点灯ユニットと電池と; を備えた照明装置。」 との点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1-1-1] 非常用点灯ユニットと電池の収容に関して、本件発明1は、「前記光源の短手方向で前記光源に隣接し少なくとも一部が前記光源から照射された光を受ける位置に配置される前記器具本体よりも長手方向の長さが短い収容部」が非常用点灯ユニットと電池を収容するのに対して、甲1発明は、電源装置32が「前記器具本体1の収容凹部11内で且つ前記器具本体1の長手方向における一端部に配置され」、非常用電源33が「前記器具本体11の前記収容凹部11内で且つ前記器具本体1の長手方向における他端部に配置される」ものであり、かかる「収容部」を有していない点。 イ 相違点についての検討 甲1発明において、「光源ユニット2」は、「長い矩形板状に形成され前後方向(長手方向)に沿って複数のLED222が実装されたプリント基板221からなる基板22と、基板22が取り付けられる取付部材21と、基板22を覆うようにして取付部材21に取り付けられるカバー部材23とを有」するものである。 また、甲1発明における光源ユニット2のような、長い矩形板状に形成され、その長手方向に沿って複数のLEDが実装された基板を有する光源ユニットにおいて、基板の実装面の長手方向が光源ユニットの長手方向と一致し、基板の実装面の幅方向が光源ユニットの短手方向に一致することは、技術常識であるといえる。 そして、該技術常識及び甲1の段落【0012】、【0014】、【0015】、【0017】、及び図1~3を踏まえると、甲1発明において、光源ユニット2の長手方向は、基板22の実装面の長手方向、すなわち、前後方向であり、光源ユニット2の短手方向は、基板22の実装面の幅方向、すなわち、左右方向であると認められるところ、甲1には、光源ユニット2の左右方向で隣接して、光源ユニット2の光を受ける位置に、電源装置32及び非常用電源33を配置することは、記載も示唆もされていない。 また、甲2記載事項から、甲2には、バッテリーパック66、バッテリ充電器、及び非常用電力生成部を構成する電子回路基板68を収容する内蔵型非常用照明蛍光パック20を、光源である蛍光ランプ24に対して隣接して並列に配置すること、光源である蛍光ランプ22及び蛍光ランプ24に対して隣接して並列に配置すること、又は、U字形の蛍光ランプ22に対して隣接して並列に配置することが記載されていると認められるが、甲1発明における照明器具の光源ユニット2の収容状態と、甲2記載事項における蛍光灯器具の蛍光ランプ22及び蛍光ランプ24の収容状態は大きく異なるものであるので、甲1発明において、甲2記載事項における内蔵型非常用照明蛍光パック20の配置を適用する動機付けは認められない。 そして、甲1発明において、光源ユニット2に左右方向で隣接して並列する位置は、収容凹部11の左右方向の外側の位置であるので、仮に、そのような位置に電源装置32及び非常用電源33を配置するのであれば、電源装置32及び非常用電源33を収容凹部11の外に配置する必要があると認められる。 しかしながら、甲1は、「外部電源の停電時においても点灯可能で且つ器具全体の長さ寸法が長くなるのを抑えた照明器具を提供すること」を課題とし(段落【0006】及び【0007】)、その課題の解決のために、器具本体1の収容凹部11内に非常用電源33及び電源装置32を配置するものであるので(段落【0011】、【0029】)、むしろ、甲2記載事項における内蔵型非常用照明蛍光パック20の配置を適用し、電源装置32及び非常用電源33を収容凹部11の外側で光源ユニット2に左右方向で隣接して並列に配置することには、阻害要因があると認められる。 なお、甲3~6においても、非常用電源装置や電池を蛍光ランプに隣接して並列に配置することが示唆されていると認められるところ、甲1発明に対するその配置の適用は、前述の甲2記載事項の適用で述べたのと同様に、動機付けはなく、むしろ阻害要因があると認められる。 そうすると、甲1発明において、甲2記載事項を踏まえ、相違点1-1-1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 したがって、本件発明1は、甲1発明、及び甲2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2~4について 本件発明2~4は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を付加したものであるから、前記(1)イと同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 申立理由2について (1)本件発明1について ア 本件発明1と甲3発明の対比 本件発明1と甲3発明を対比する。 (ア)後者の「2本の直管形のけい光ランプ7」は、前者の「長尺状の光源」に相当する。 (イ)後者の「上面壁と一対の側面壁を有」する「前記器具本体1」は、前者の「底板と側板とを有」する「器具本体」に相当する。 (ウ)前記(イ)から、後者の「前記上面壁と前記一対の側面壁が」「形成」する「凹部」の「下側」の「開口」は、前者の「前記底板と前記側板とにより形成される開口」に相当する。 (エ)後者の「ソケットを介して前記けい光ランプ7が支持され」ることにおいて、「ソケット」が「器具本体1」に設けられること、及び「ソケット」に対して「前記けい光ランプ7」が脱着可能であることは、明らかである。 そうすると、後者の「ソケットを介して前記けい光ランプ7が支持され」ることは、前者の「器具本体」は「前記光源が脱着可能に取り付けられる」ことに相当する。 (オ)「覆う」の語義は、「露出することがないように、全体に被せてしまう意。」(広辞苑 岩波書店第7版)である。 そうすると、本件発明1における「開口を覆うように前記光源が」「取り付けられる」との記載は、「前記光源」が「開口」が露出することがないように、「開口」全体に被さるように「取り付けられる」の意味であると解するのが相当である。 したがって、前記(イ)~(エ)も踏まえると、後者の「横長状で断面がほぼコ字形をなす器具本体1」「を備え、」「前記器具本体1は、上面壁と一対の側面壁を有し、前記上面壁と前記一対の側面壁が下側に開口した凹部を形成し」「下方にソケットを介して前記けい光ランプ7が支持され、前記けい光ランプ7は、前記凹部内に位置する」ことと、前者の「底板と側板とを有し、前記底板と前記側板とにより形成される開口を覆うように前記光源が脱着可能に取り付けられる器具本体」「を備え」ることは、「底板と側板と、前記底板と前記側板とにより形成される開口を有し、前記光源が脱着可能に取り付けられる器具本体」「を備え」ることで共通する。 (カ)後者の「非常点灯ユニット3」は、前者の「非常用点灯ユニット」に相当し、後者の「電池」が前者の「電池」に相当する。 (キ)前記(カ)から、後者の「これら部品を覆うように前記器具本体1の上面壁の下面に着脱可能に取り付けられた反射板6」において、「反射板6」と「前記器具本体1の上面壁」の間の空間に「安定器2、非常点灯ユニット3、及び電池4等の部品」が収容されているといえる。 そして、前記(オ)も踏まえると、後者の「これら部品を覆うように前記器具本体1の上面壁の下面に着脱可能に取り付けられた反射板6」は、前者の「前記器具本体に取り付けられ、非常用点灯ユニットと電池とを収容」する「収容部」に相当する。 (ク)後者の「2本の直管形のけい光ランプ7と、横長状で断面がほぼコ字形をなす器具本体1と、前記器具本体1の上面壁の下面に、その長手方向に沿って中央に直列に配列するように取り付けられた安定器2、非常点灯ユニット3、及び電池4等の部品と、これら部品を覆うように前記器具本体1の上面壁の下面に着脱可能に取り付けられた反射板6と、を備え」ることにおいて、「前記器具本体1の上面壁の下面に、その長手方向に沿って中央に直列に配列するように取り付けられた」「部品」を「覆うように前記器具本体1の上面壁の下面に」「取り付けられた反射板6」が、「2本の直管形のけい光ランプ7」の間にあり、「けい光ランプ7」に隣接し、「けい光ランプ7」の光を反射すること、及び「器具本体1」の「長手方向」の長さよりも短いことは明らかである。 そして、前記(キ)も踏まえると、後者の「2本の直管形のけい光ランプ7と、横長状で断面がほぼコ字形をなす器具本体1と、前記器具本体1の上面壁の下面に、その長手方向に沿って中央に直列に配列するように取り付けられた安定器2、非常点灯ユニット3、及び電池4等の部品と、これら部品を覆うように前記器具本体1の上面壁の下面に着脱可能に取り付けられた反射板6と、を備え」ることは、前者の「前記器具本体に取り付けられ、非常用点灯ユニットと電池とを収容し、前記光源の短手方向で前記光源に隣接し少なくとも一部が前記光源から照射された光を受ける位置に配置される前記器具本体よりも長手方向の長さが短い収容部」「を備え」ることに相当する。 (ケ)以上の限りにおいて、後者の「非常用照明器具」は、前者の「照明装置」に相当する。 そうすると、本件発明1と甲3発明は、 「長尺状の光源と; 底板と側板と、前記底板と前記側板とにより形成される開口を有し、前記光源が脱着可能に取り付けられる器具本体と; 前記器具本体に取り付けられ、非常用点灯ユニットと電池とを収容し、前記光源の短手方向で前記光源に隣接し少なくとも一部が前記光源から照射された光を受ける位置に配置される前記器具本体よりも長手方向の長さが短い収容部と; を備えた照明装置。」 との点で一致し、以下の点で相違する。 [相違点1-3-1] 光源と器具本体の取り付けに関して、本件発明1は、光源が「前記底板と前記側板とにより形成される開口を覆うように」器具本体に取り付けられるのに対して、甲3発明は、けい光ランプ7が器具本体1の「凹部内に位置する」点。 イ 相違点についての検討 甲4~6には、照明装置の器具本体の開口を覆うように光源を器具本体に取り付けることについては、記載も示唆もされていない。 なお、この点は、甲2についても同様である。 そして、甲3発明と同様な、蛍光ランプを使用する照明装置において、器具本体の開口を覆うように蛍光ランプを器具本体に取り付けることが周知技術であることを示す証拠はない。 なお、甲1には、光源ユニット2が、器具本体1の収容凹部11の開口を覆うように器具本体1に取り付けることが示されているものの、甲1における光源ユニット2と器具本体1からなる照明器具と、甲3発明のけい光ランプ7と器具本体1からなる非常用照明器具は、その構造が大きく異なるものであるので、甲3発明において、甲1の光源ユニット2と器具本体1の取り付け構造を適用する動機付けは認められない。 そうすると、甲3発明において、甲4~6記載事項を踏まえ、相違点1-3-1に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たこととはいえない。 したがって、本件発明1は、甲3発明及び甲4~6記載事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明2~4について 本件発明2~4は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに発明特定事項を付加したものであるから、前記(1)イと同様の理由により当業者が容易に発明をすることができたものではない。 4 異議申立書における申立人の主張 (1)異議申立書における主張の概要 申立人は、異議申立書において、概略、以下の点を主張する。 ア 甲1発明において、基板22の最も短い方向は、上下方向であり、この点を考慮すると、電源装置32及び非常用電源33は、基板22の短手方向で光源に隣接する。 イ 甲3の図2には、けい光ランプ7の一部が器具本体1の開口より下方に配置されることが示されており、これは、開口がけい光ランプ7(の当該一部)によって覆われていることを意味する。 (2)異議申立書における主張の検討 ア 前記(1)アの主張についてであるが、前記2(1)イで述べたように、技術常識、並びに甲1の段落【0012】、【0014】、【0015】、【0017】、及び図1~3を踏まえると、甲1発明において、基板22の実装面の前後方向(長手方向)が光源ユニット2の長手方向であり、基板22の実装面の左右方向(幅方向)が光源ユニット2の短手方向であることは明らかである。 なお、仮に、前記主張(1)アのとおり、基板22の上下方向が基板22の短手方向に当たるとしても、この場合、電源装置32及び非常用電源33の位置は、基板22のLED222の実装面とは反対側であり、光源ユニット2からの光を直接受ける位置ではないことが明らかであるので、本件発明1の「前記光源の短手方向で前記光源に隣接し少なくとも一部が前記光源から照射された光を受ける位置」を満足するものでもない。 したがって、前記主張(1)アの主張を採用することはできない。 イ 前記(1)イの主張についてであるが、前記3(1)ア(オ)で述べたように、本件発明1における「開口を覆うように前記光源が」「取り付けられる」との記載は、「前記光源」が「開口」が露出することがないように、「開口」全体に被さるように「取り付けられる」の意味であると解するのが相当である。 そして、甲3発明において、けい光ランプ7は、器具本体1の開口が露出しないように、器具本体1の開口全体に被さるものではないので、器具本体1の開口を覆うものではないことは明らかである。 したがって、前記主張(1)イの主張を採用することはできない。 5 小括 以上のとおりであるから、本件発明1~4は、甲1発明及び甲2記載事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、本件発明1~4は、甲3発明、甲4記載事項、甲6記載事項、及び周知技術(甲5及び6)に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 したがって、本件特許の請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではない。 よって、申立理由1及び2によっては、本件特許の請求項1~4係る特許を取り消すことはできない。 第5 むすび 以上のとおり、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件特許の請求項1~4に係る特許を取り消すことはできない。 また、他に本件特許の請求項1~4に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2026-700375

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