特許異議申立
2025-700467
連動制御方法、プログラム、装置、およびシステム
- 審判番号
- 2025-700467
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-103119
- 登録番号
- 7577901
- 請求日
- 2025年04月25日
- 審決日
- 2026年06月09日
- 公報発行日
- 2026年09月25日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ダイキン工業株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人ITOH
- 【権利者代理人】伊東 忠重
- 【異議申立人】角田 朗
- 審判長/審判官
- 審判長 丸山 高政
- 審判官 北嶋 賢二
- 審判官 寺谷 大亮
- 分類
- P1651.113-YAA(H04Q) / P1651.121-YAA(H04Q) / P1651.161-YAA(H04Q) / P1651.537-YAA(H04Q) / P1651.832-YAA(H04Q)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条の2、特許法第120条の5第4項、特許法第120条の8第1項、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の5第3項、特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項、特許法第113条第2号、特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7577901号発明「連動制御方法、プログラム、装置、およびシステム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7577901号の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕、10、11及び12について訂正することを認める。
特許第7577901号の請求項1~7及び9~12に係る特許を維持する。
特許第7577901号の請求項8に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7577901号(以下「本件特許」という。)についての出願は、令和3年6月22日の出願であって、令和6年10月28日にその請求項1~12について特許権の設定登録がされ、同年11月6日に特許掲載公報が発行された。
その後、本件特許に対し、特許異議申立人 角田 朗(以下「申立人」という。)により全請求項(請求項1~12)を対象として特許異議の申立てがされた。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和7年 4月25日 特許異議申立書
7月22日付け 取消理由通知書
9月19日 訂正請求書
意見書(特許権者)
10月24日 手続補正書(方式)(特許権者)
12月 4日 意見書(申立人)
令和8年 2月26日付け 取消理由通知書(決定の予告)
4月24日 訂正請求書
意見書(特許権者)
なお、令和7年9月19日に提出された訂正請求書による訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により、取り下げられたものとみなす。
また、申立人には既に意見書の提出の機会が与えられており、令和8年4月24日にされた訂正請求によって特許請求の範囲が相当程度減縮されており、提出された全ての証拠や意見等を踏まえてさらに審理を進めたとしても特許を維持すべきとの結論になると合議体が判断し、特許法第120条の5第5項ただし書に規定された「特別の事情があるとき」といえることから、申立人に再度の意見書を提出する機会を与えなかった。
第2 本件訂正の適否
本件訂正は、特許請求の範囲の請求項1~12を訂正するものである。以下ではその適否を判断する。
1 本件訂正の内容
本件訂正は、以下の訂正事項1-1~1-5及び2~4からなる。なお、下線は訂正箇所を示す(以下同様)。
以下の(1)に本件訂正前の特許請求の範囲の記載を、以下の(2)に本件訂正後の特許請求の範囲の記載を示す。
〈訂正事項1-1〉
請求項1に、
「複数の機器から、2つ以上の機器を選択するステップと、
前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御を指示するステップ」
と記載されているのを、
「複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示するステップと、
前記複数の機器から、2つ以上の機器を選択するステップと、
前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示するステップ」
に訂正する。
(請求項1の記載を引用する請求項2~7及び9も同様に訂正する。)
〈訂正事項1-2〉
請求項2に、
「前記指示は、前記選択された機器の各機器に対して、前記機器の機能に関連する連動制御ごとに予め定められた各機器の動作を指示する」
と記載されているのを、
「前記指示は、前記選択された機器の各機器に対して、前記機器の機能に関連する連動制御ごとに予め定められた各機器の動作内容を指示する」
に訂正する。
〈訂正事項1-3〉
請求項3に、
「前記指示は、前記機器の前記複数の機能に関連する連動制御を指示する」
と記載されているのを、
「前記指示は、前記機器の前記複数の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示する」
に訂正する。
〈訂正事項1-4〉
請求項8を削除する。
〈訂正事項1-5〉
請求項9に、
「請求項1から8のいずれか一項に記載の方法」
と記載されているのを、
「請求項1から7のいずれか一項に記載の方法」
に訂正する。
〈訂正事項2〉
請求項10に、
「複数の機器から、2つ以上の機器を選択する手順、
前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御を指示する手順」
と記載されているのを、
「複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示する手順、
前記複数の機器から、2つ以上の機器を選択する手順、
前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示する手順」
に訂正する。
〈訂正事項3〉
請求項11に、
「複数の機器から、2つ以上の機器を選択し、
前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御を指示し」
と記載されているのを、
「複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示し、
前記複数の機器から、2つ以上の機器を選択し、
前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示し」
に訂正する。
〈訂正事項4〉
請求項12に、
「複数の機器から、2つ以上の機器を選択し、
前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御を指示し」
と記載されているのを、
「複数の機器から、2つ以上の機器を選択し、
前記選択された機器が有する機能を選択可能に表示し、または、前記選択された機器が有する機能から、複数の機能を選択するための画面を表示し、または、前記複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示し、
前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示し」
に訂正する。
(1)本件訂正前の特許請求の範囲の記載
本件訂正前の特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである。
【請求項1】
連動制御装置の制御部が実行する方法であって、
複数の機器から、2つ以上の機器を選択するステップと、
前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御を指示するステップと
を含み、
前記連動制御は、前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御であり、前記選択された機器それぞれの動作内容を含む、方法。
【請求項2】
前記指示は、前記選択された機器の各機器に対して、前記機器の機能に関連する連動制御ごとに予め定められた各機器の動作を指示することである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の機能を選択するステップをさらに含み、
前記指示は、前記機器の前記複数の機能に関連する連動制御を指示することである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
1つまたは複数の機能に関連する連動制御ごとに各機器の動作内容が記憶された記憶部を参照するステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
各機器が有する機能が記憶された記憶部を参照するステップをさらに含み、
前記連動制御は、前記選択された機器が有する機能に関連する連動制御である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記選択された機器が有する機能を選択可能に表示するステップをさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記選択された機器が有する機能から、複数の機能を選択するための画面を表示するステップをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の機器から2以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示するステップをさらに含む、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記複数の機器は、グループごとに登録されており、
前記グループを選択するステップをさらに含み、
前記2つ以上の機器は、前記選択されたグループに登録されている複数の機器から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
連動制御装置に、
複数の機器から、2つ以上の機器を選択する手順、
前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御を指示する手順
を実行させ、
前記連動制御は、前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御であり、前記選択された機器それぞれの動作内容を含む、プログラム。
【請求項11】
制御部を備えた連動制御装置であって、
前記制御部は、
複数の機器から、2つ以上の機器を選択し、
前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御を指示し、
前記連動制御は、前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御であり、前記選択された機器それぞれの動作内容を含む、連動制御装置。
【請求項12】
連動制御装置とサーバとを含むシステムであって、
前記連動制御装置の制御部は、
複数の機器から、2つ以上の機器を選択し、
前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御を指示し、
前記連動制御は、前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御であり、前記選択された機器それぞれの動作内容を含む、システム。
(2)本件訂正後の特許請求の範囲の記載
本件訂正後の特許請求の範囲の記載は、以下のとおりである。
【請求項1】
連動制御装置の制御部が実行する方法であって、
複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示するステップと、
前記複数の機器から、2つ以上の機器を選択するステップと、
前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示するステップと
を含み、
前記連動制御は、前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御であり、前記選択された機器それぞれの動作内容を含む、方法。
【請求項2】
前記指示は、前記選択された機器の各機器に対して、前記機器の機能に関連する連動制御ごとに予め定められた各機器の動作内容を指示することである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
複数の機能を選択するステップをさらに含み、
前記指示は、前記機器の前記複数の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示することである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
1つまたは複数の機能に関連する連動制御ごとに各機器の動作内容が記憶された記憶部を参照するステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
各機器が有する機能が記憶された記憶部を参照するステップをさらに含み、
前記連動制御は、前記選択された機器が有する機能に関連する連動制御である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記選択された機器が有する機能を選択可能に表示するステップをさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記選択された機器が有する機能から、複数の機能を選択するための画面を表示するステップをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
(削除)
【請求項9】
前記複数の機器は、グループごとに登録されており、
前記グループを選択するステップをさらに含み、
前記2つ以上の機器は、前記選択されたグループに登録されている複数の機器から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
連動制御装置に、
複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示する手順、
前記複数の機器から、2つ以上の機器を選択する手順、
前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示する手順
を実行させ、
前記連動制御は、前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御であり、前記選択された機器それぞれの動作内容を含む、プログラム。
【請求項11】
制御部を備えた連動制御装置であって、
前記制御部は、
複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示し、
前記複数の機器から、2つ以上の機器を選択し、
前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示し、
前記連動制御は、前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御であり、前記選択された機器それぞれの動作内容を含む、連動制御装置。
【請求項12】
連動制御装置とサーバとを含むシステムであって、
前記連動制御装置の制御部は、
複数の機器から、2つ以上の機器を選択し、
前記選択された機器が有する機能を選択可能に表示し、または、前記選択された機器が有する機能から、複数の機能を選択するための画面を表示し、または、前記複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示し、
前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示し、
前記連動制御は、前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御であり、前記選択された機器それぞれの動作内容を含む、システム。
2 一群の請求項について
本件訂正前の請求項2~9は、それぞれ請求項1を引用するものであるから、本件訂正前の請求項1~9は、特許法120条の5第4項に規定する一群の請求項である。
そうすると、本件訂正は、上記一群の請求項ごとに請求されており、特許法120条の5第4項に規定する要件を満たす。
また、本件訂正前の請求項10~12はいずれも他の請求項と引用関係を持たないから、上記一群の請求項をなさない。
そうすると、本件訂正は、上記請求項ごとに請求されており、特許法120条の5第3項に規定する要件を満たす。
3 独立特許要件について
いわゆる独立特許要件について検討すると、本件の特許異議の申立ては全請求項にされているので、本件訂正には特許法120条の5第9項で読み替えて準用する同法126条7項の規定は適用されない。
4 訂正事項1-1について
訂正事項1-1に係る訂正が特許法120条の5第2項に規定する要件、並びに、同条9項で準用する同法126条5項及び6項に規定する要件を満たすかについて検討する。
(1)訂正の目的
ア 訂正事項1-1に係る訂正は、本件訂正前の請求項1の「連動制御装置の制御部が実行する方法」について、「複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示するステップ」を含むことに限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 訂正事項1-1に係る訂正は、本件訂正前の請求項1の「前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御を指示するステップ」中の「連動制御を指示する」の記載が、(i)「2つ以上の機器を連動」させる制御そのものを(各機器に対して)指示すると解すべきか、(ii)「2つ以上の機器を連動」させる制御を実現するための「各機器の動作内容」を(各機器に対して)指示すると解すべきか、(iii)前記(i)及び(ii)以外と解すべきか、が不明瞭であったところ、「連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示する」に訂正することによって、前記(ii)を意味する旨の釈明としたものであり、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
ウ よって、訂正事項1-1係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものと認められる。
(2)新規事項追加の有無
ア 訂正事項1-1に係る訂正の「複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示するステップ」は、本件特許の願書に添付した明細書(以下「本件明細書」という。)の【0019】の「・・・前記複数の機器から2以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示するステップをさらに含む。」、【0052】の「ステップ4(S4)において、連動制御装置10は、S3で選択されたグループに登録されている複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示する。」との記載に基づくものである。
イ 訂正事項1-1に係る訂正の「前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示するステップ」は、本件明細書の【0056】の「ステップ7(S7)において、連動制御装置10は、各機器の動作内容を参照する。具体的には、連動制御装置10は、1つまたは複数の機能に関連する連動制御ごとに各機器の動作内容が記憶された、連動制御装置10の記憶部を参照する。」、【0057】の「ステップ8(S8)において、連動制御装置10は、S5の2つ以上の機器に対して、連動制御を指示する。具体的には、連動制御装置10は、S5の2つ以上の機器に対して、S7で参照した各機器の動作内容を指示する。」との記載に基づくものである。
ウ よって、訂正事項1-1に係る訂正は、本件の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてされており、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に規定する要件を満たす。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
前記(1)に示したように、訂正事項1-1に係る訂正は、発明特定事項に限定を加えるもの、及び明瞭でない記載の釈明であるから、特許請求の範囲の拡張又は変更をするものではない。
よって、訂正事項1-1に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に規定する要件を満たす。
(4)訂正事項1-1に係る訂正についての小括
以上によれば、訂正事項1-1に係る訂正は、適法なものと認められる。
5 訂正事項1-2について
(1)訂正の目的
訂正事項1-2に係る訂正は、本件訂正前の請求項2の「前記指示は、前記選択された機器の各機器に対して、前記機器の機能に関連する連動制御ごとに予め定められた各機器の動作を指示する」中の「連動制御ごとに予め定められた各機器の動作を指示する」の記載が、(i)「2つ以上の機器を連動」させる制御そのものを(各機器に対して)指示すると解すべきか、(ii)「2つ以上の機器を連動」させる制御を実現するための「各機器の動作内容」を(各機器に対して)指示すると解すべきか、(iii)前記(i)及び(ii)以外と解すべきか、が不明瞭であったところ、「連動制御ごとに予め定められた各機器の動作内容を指示する」に訂正することによって、前記(ii)を意味する旨の釈明としたものであり、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
よって、訂正事項1-2係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものと認められる。
(2)新規事項追加の有無
訂正事項1-2に係る訂正の「前記指示は、前記選択された機器の各機器に対して、前記機器の機能に関連する連動制御ごとに予め定められた各機器の動作内容を指示する」は、本件明細書の【0055】の「・・・複数の機能を選択するための領域には、ユーザによって選択された機器のうちのいずれかの機器が有する機能が選択可能に表示される。」、【0056】の「・・・連動制御装置10は、1つまたは複数の機能に関連する連動制御ごとに各機器の動作内容が記憶された、連動制御装置10の記憶部を参照する。」、【0057】の「・・・連動制御装置10は、S5の2つ以上の機器に対して、S7で参照した各機器の動作内容を指示する。」との記載に基づくものである。
よって、訂正事項1-2に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてされており、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に規定する要件を満たす。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
前記(1)に示したように、訂正事項1-2に係る訂正は、明瞭でない記載の釈明であるから、特許請求の範囲の拡張又は変更をするものではない。
よって、訂正事項1-2が、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項に規定する要件を満たす。
(4)訂正事項1-2に係る訂正についての小括
以上によれば、訂正事項1-2に係る訂正は、適法なものと認められる。
6 訂正事項1-3ついて
訂正事項1-3に係る訂正は、本件訂正前の請求項3の「前記指示は、前記機器の前記複数の機能に関連する連動制御を指示する」中の「連動制御を指示する」の記載が、前記4(1)イと同様に不明瞭であったところ、「連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示する」に訂正することによって、明瞭とする訂正であり、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
また、訂正事項1-3に係る訂正は、前記4(2)イと同様に、本件明細書の記載に基づくものである。
よって、訂正事項1-3に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてされており、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に規定する要件を満たす。
さらに、訂正事項1-3は、明瞭でない記載の釈明をするものであるから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。
そうすると、訂正事項1-3に係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものと認められ、かつ、訂正事項1-3が、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項に規定する要件を満たす。
以上によれば、訂正事項1-3に係る訂正は、適法なものと認められる。
7 訂正事項1-4について
訂正事項1-4に係る訂正は、請求項8を削除するものであるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものと認められ、かつ、訂正事項1-4が、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項に規定する要件を満たす。
よって、訂正事項1-4に係る訂正は、適法なものと認められる。
8 訂正事項1-5について
訂正事項1-5に係る訂正は、請求項8の削除に伴い、これを引用しないものとするものであり、多数項を引用している請求項の引用請求項数の削減に該当するといえるから、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものと認められる。
また、訂正事項1-5が、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項に規定する要件を満たす。
よって、訂正事項1-5に係る訂正は、適法なものと認められる。
9 訂正事項2について
本件訂正前の請求項10は、請求項1の「方法」の発明を「プログラム」の発明として表現したものである。そして、訂正事項2は、請求項1に対する訂正事項1-1と同様の訂正を請求項10に行う訂正と認められる。したがって、訂正事項2に係る訂正は、訂正事項1-1と同様である。
そうすると、訂正事項2に係る訂正は、前記4(1)~(4)と同様に、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであると認められ、かつ、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項に規定する要件を満たす。
よって、訂正事項2に係る訂正は、適法なものと認められる。
10 訂正事項3ついて
本件訂正前の請求項11は、請求項1の「方法」の発明を「連動制御装置」の発明として表現したものである。そして、訂正事項3は、請求項1に対する訂正事項1-1と同様の訂正を請求項11に行う訂正と認められる。したがって、訂正事項2に係る訂正は、訂正事項1-1と同様である。
そうすると、訂正事項3に係る訂正は、前記4(1)~(4)と同様に、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものであると認められ、かつ、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項及び6項に規定する要件を満たす。
よって、訂正事項3に係る訂正は、適法なものと認められる。
11 訂正事項4について
(1)訂正の目的
ア 訂正事項4に係る訂正は、本件訂正前の請求項12の「連動制御装置の制御部」について、「前記選択された機器が有する機能を選択可能に表示し、または、前記選択された機器が有する機能から、複数の機能を選択するための画面を表示し、または、前記複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示し」を含むことに限定するものであるから、「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。
イ 訂正事項4に係る訂正は、本件訂正前の請求項12の「前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御を指示し」中の「連動制御を指示し」の記載が、前記4(1)イと同様に不明瞭であったところ、「連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示し」に訂正することによって、明瞭とする訂正であり、「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものである。
ウ よって、訂正事項4係る訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」、及び3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものと認められる。
(2)新規事項追加の有無
ア 訂正事項4に係る訂正の「前記選択された機器が有する機能を選択可能に表示し」は、本件明細書の【0055】の「複数の機能を選択するための領域には、ユーザによって選択された機器のうちのいずれかの機器が有する機能が選択可能に表示される。」との記載に基づくものである。
イ 訂正事項4に係る訂正の「前記選択された機器が有する機能から、複数の機能を選択するための画面を表示し」は、【0053】の「・・・連動制御装置10は、グループを選択するための画面を表示して、その後、ユーザが選択したグループに登録されている複数の機器を表示することができる(その後、ユーザから2つ以上の機器の選択を受け付ける)。」、【0055】の「複数の機能を選択するための領域には、ユーザによって選択された機器のうちのいずれかの機器が有する機能が選択可能に表示される。」との記載に基づくものである。
ウ 訂正事項4に係る訂正の「前記複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示し」は、【0052】の「ステップ4(S4)において、連動制御装置10は、S3で選択されたグループに登録されている複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示する。」との記載に基づくものである。
エ 訂正事項4に係る訂正の「前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示し」は、前記4(2)イと同様に、本件明細書の記載に基づくものである。
オ よって、訂正事項4に係る訂正は、本件明細書等に記載した事項の範囲内においてされており、特許法120条の5第9項で準用する同法126条5項に規定する要件を満たす。
(3)特許請求の範囲の拡張又は変更の有無
前記(1)に示したように、訂正事項4に係る訂正は、発明特定事項に限定を加え、明瞭でない記載を釈明するものであるから、特許請求の範囲の拡張又は変更をするものではない。
よって、訂正事項4に係る訂正は、特許法120条の5第9項で準用する同法126条6項に規定する要件を満たす。
(4)訂正事項4に係る訂正についての小括
以上によれば、訂正事項4に係る訂正は、適法なものと認められる。
12 本件訂正についての小括
以上によれば、本件訂正は適法なものと認められる。
よって、本件の特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~9〕、10、11及び12について訂正することを認める。
第3 申立ての一部却下
前記第2のとおり、本件訂正は認められたので、請求項8は削除された。これにより、請求項8についての特許に対する特許異議の申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。
第4 本件発明の認定
本件訂正により請求項8が削除された本件の請求項1~12に係る発明(以下「本件発明1」等といい、これらを総称して「本件発明」という。)は、それぞれ、前記第2、1(2)に示した請求項1~12の記載のとおりのものと認める。
後の参照の便宜のため、本件発明1~7及び9~12を、記号1A~1E等を付して以下のように分説し、「発明特定事項1A」のようにして参照する。
【請求項1】
1A 連動制御装置の制御部が実行する方法であって、
1B 複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示するステップと、
1C 前記複数の機器から、2つ以上の機器を選択するステップと、
1D 前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示するステップとを含み、
1E 前記連動制御は、前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御であり、前記選択された機器それぞれの動作内容を含む、
1A 方法。
【請求項2】
2A 前記指示は、前記選択された機器の各機器に対して、前記機器の機能に関連する連動制御ごとに予め定められた各機器の動作内容を指示することである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
3A 複数の機能を選択するステップをさらに含み、
3B 前記指示は、前記機器の前記複数の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示することである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
4A 1つまたは複数の機能に関連する連動制御ごとに各機器の動作内容が記憶された記憶部を参照するステップをさらに含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
5A 各機器が有する機能が記憶された記憶部を参照するステップをさらに含み、
5B 前記連動制御は、前記選択された機器が有する機能に関連する連動制御である、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
6A 前記選択された機器が有する機能を選択可能に表示するステップをさらに含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
7A 前記選択された機器が有する機能から、複数の機能を選択するための画面を表示するステップをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
9A 前記複数の機器は、グループごとに登録されており、
9B 前記グループを選択するステップをさらに含み、
9C 前記2つ以上の機器は、前記選択されたグループに登録されている複数の機器から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
10A 連動制御装置に、
10B 複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示する手順、
10C 前記複数の機器から、2つ以上の機器を選択する手順、
10D 前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示する手順を実行させ、
10E 前記連動制御は、前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御であり、前記選択された機器それぞれの動作内容を含む、
10F プログラム。
【請求項11】
11A 制御部を備えた連動制御装置であって、
11A1 前記制御部は、
11B 複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示し、
11C 前記複数の機器から、2つ以上の機器を選択し、
11D 前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示し、
11E 前記連動制御は、前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御であり、前記選択された機器それぞれの動作内容を含む、
11A 連動制御装置。
【請求項12】
12A 連動制御装置とサーバとを含むシステムであって、
12A1 前記連動制御装置の制御部は、
12B 複数の機器から、2つ以上の機器を選択し、
12C1 前記選択された機器が有する機能を選択可能に表示し、
12C2 または、前記選択された機器が有する機能から、複数の機能を選択するための画面を表示し、
12C3 または、前記複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示し、
12D 前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示し、
12E 前記連動制御は、前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御であり、前記選択された機器それぞれの動作内容を含む、
12A システム。
(1)本件発明1~11について
本件発明1の発明特定事項1A~1Eと、本件発明10の発明特定事項10A~10Eとを比較すると、発明特定事項1B~1Dの「表示するステップ」、「選択するステップ」及び「指示するステップ」は、それぞれ、発明特定事項10B~10Dにおける「表示する手順」、「選択する手順」及び「指示する手順」に対応し、また、発明特定事項1Eと発明特定事項10Eとは同一である。
このことは、本件発明1と11との比較でも同様であって、発明特定事項11B~11Dは、発明特定事項1B~1Dに対応し、また、発明特定事項1Eと発明特定事項11Eとは同一である。
そうすると、本件発明10及び11は、本件発明1の「連動制御装置の制御部が実行する方法」(発明特定事項1A)を、「連動制御装置」に各手順を実行させる「プログラム」(発明特定事項10A、10F)、「連動制御装置」(発明特定事項11A)という異なるカテゴリーとして表現したものといえる。
(2)本件発明12について
本件発明1の発明特定事項1A~1Eと、本件発明12の発明特定事項12A~12Eとを比較すると、発明特定事項1Aは発明特定事項12A1に対応し、発明特定事項1Cは発明特定事項12Bに対応し、発明特定事項1Bは発明特定事項12C3に対応し、発明特定事項1Dは発明特定事項12Dに対応し、また、発明特定事項1Eと発明特定事項12Eは同一である。
しかし、本件発明1には、発明特定事項12A、12C1及び12C2に対応する記載はない。
そうすると、本件発明12は、発明特定事項12A、12C1及び12C2以外の点で、本件発明1の「連動制御装置の制御部が実行する方法」(発明特定事項1A)を、「連動制御装置を含むシステム」(発明特定事項12A)という異なるカテゴリーとして表現したものといえる。
第5 特許異議申立書に記載した申立ての理由及び当審において通知した取消理由について
1 特許異議申立書に記載した申立ての理由
申立人は、証拠方法として、後記する甲第1号証~甲第5号証を提出し、以下の申立理由により、本件訂正前の請求項1~12に係る特許を取り消すべきものである旨主張している。
(1)申立理由1(甲第1号証に基づく拡大先願)
本件特許の請求項1~7及び10~12に係る発明は、甲第1号証に係る出願(以下「先願」という。)の願書に最初に添付した明細書又は特許請求の範囲(以下「先願明細書等」という。)に記載された発明であって、本件特許に係る発明者と先願に係る発明者とは同一ではなく、また、本件特許に係る出願の出願人と先願に係る出願人も同一でなく、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができないものであるから、本件の請求項1~7及び10~12に係る発明についての特許は、特許法第29条の2に違反してされたものであり、同法第113条第2号の規定により取り消すべきものである。
(2)申立理由2(甲第2号証に基づく新規性・進歩性)
本件特許の請求項請求項1、2、4及び9~12に係る発明は、本件特許の優先日前に日本国内又は外国において、頒布された又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった甲第2号証に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号に該当し特許を受けることができないものである。また、本件特許の請求項1~12は、甲第2号証に記載された発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、本件特許の請求項1~12に係る特許は、特許法第113条第2号に該当し取り消すべきものである。
(3)申立人が提出した証拠方法
甲第1号証:特願2020-157853号(特開2022-51401号公報)
甲第2号証:国際公開第2011/030200号
甲第3号証:特開2002-278604号公報
甲第4号証:国際公開第2019/163144号
甲第5号証:三菱HEMS(Mitsubishi Home Energy System)取扱説明書、三菱電機株式会社、2017年8月、p.1-53
以下、甲第1号証を「甲1」といい、他の甲第○号証を、同様に「甲○」という。
2 当審において通知した令和8年2月26日付け取消理由(決定の予告)
取消理由通知書において通知された取消理由(決定の予告)は、概略、以下の取消理由1及び取消理由2のとおりである。
(1)取消理由1(明確性要件)
本件特許の請求項1~5及び9~12に係る特許は、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない出願に対してされたものであるから、同法113条4号に該当し、取り消すべきものである。
(2)取消理由2(甲1に基づく拡大先願)
本件特許の請求項1、5、10及び11に係る発明は、先願の先願明細書等に記載された発明であって、本件特許に係る発明者と先願に係る発明者とは同一ではなく、また、本件特許に係る出願の出願人と先願に係る出願人も同一でなく、特許法29条の2の規定により特許を受けることができないものであるから、本件の請求項1、5、10及び11に係る発明についての特許は、特許法29条の2に違反してされたものであり、同法113条2号の規定により取り消すべきものである。
第6 当審の判断
1 取消理由1(明確性要件)について
(1)「機能」について
取消理由1では、「機能」の記載が、(i)「機器が実施する処理」であり、「運転内容」をも包含する概念であるのか、(ii)「機器が実施する処理」のうち発明の詳細な説明で具体例として挙げられた温度調整機能、湿度調整機能、空気清浄機能、換気機能、湯張り機能、温度調整機能(室温)、湿度調整機能(加湿)及び室温調整機能のみ(その他の「機器が実施する処理」は該当しない)であるのか、(iii)前記(i)及び(ii)以外であるのか、が不明確であるとされた。
令和8年4月24日に提出された意見書により、前記(i)を意味することが明確となった。
(2)「連動制御を指示する」について
取消理由1では、「連動制御を指示する」の記載が、(i)「2つ以上の機器を連動」させる制御そのものを(各機器に対して)指示すると解すべきか、(ii)「2つ以上の機器を連動」させる制御を実現するための「各機器の動作内容」を(各機器に対して)指示すると解すべきか、(iii)前記(i)及び(ii)以外と解すべきか、が不明確であるとされた。
本件訂正により、本件特許の請求項1、3及び10~12は、「連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示する」と訂正されたため、前記(ii)を意味することが明確となった。
したがって、請求項1及び請求項1を引用する請求項2~7、9は、明確である。
また、請求項10~12は、上記(1)及び(2)で明確となった発明特定事項を全て包含することから、明確である。
以上から、請求項1~7及び9~12は、明確であり、本件特許にかかる出願は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしている。
よって、取消理由1によって、本件特許の請求項1~7及び9~12に係る特許を取り消すことはできない。
2 取消理由2(拡大先願)について
(1)甲1の記載
甲1には、以下の記載がある。なお、下線は後述の甲1発明の認定に使用する箇所を示すために当審で付した。
「【0014】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1にかかる設備管理システムの構成を示す図である。本実施の形態1にかかる設備管理システムは、設備管理装置によって複数の設備機器の動作を制御することが可能である。
【0015】
設備管理システム100は、設備管理装置1によって管理設備機器2である複数の設備機器の動作を管理する管理システムである。設備管理システム100は、複数の管理設備機器2と、複数の管理設備機器2の動作を制御して管理する設備管理装置1と、を備える。…(後略)…」
「【0018】
図2は、実施の形態1にかかる設備管理装置の構成を示す図である。設備管理装置1は、入力部101と、操作受付部102と、記憶部103と、表示部104と、通信部108と、制御部109と、を備える。制御部109は、統合部105と、表示制御部106と、運転制御部107と、を備える。」
「【0028】
図3は、実施の形態1にかかる設備管理装置が複数の管理設備機器を一括管理する場合の基本的な動作の手順を説明するフローチャートである。
【0029】
ステップS110において、表示制御部106が、複数の管理設備機器2について、管理設備機器2を示すアイコンを第1の操作画面に表示する。第1の操作画面は、設備管理装置1が管理する対象となる設備機器がアイコンによって表示される画面である。
【0030】
ステップS120において、第1の操作画面に表示された複数の管理設備機器2のうち、1つの管理対象グループに統合する対象となる複数の管理設備機器2が選択される。管理設備機器2の選択は、たとえば第1の操作画面に表示された複数の管理設備機器2のアイコンをマウスにより選択する操作により行うことができる。操作画面における管理設備機器2のアイコンには、対応する管理設備機器2が関連付けられており、管理設備機器2のアイコンを選択することによって管理設備機器2を選択することができる。操作画面におけるアイコンおよびボタンの設定による管理設定情報の設定は、公知の技術で実現される。複数の管理設備機器2を選択した操作の情報は、操作受付部102で受け付けられ、統合部105に送信される。
【0031】
ステップS130において、統合部105が、選択された複数の管理設備機器2を1つの管理対象のグループである管理対象グループに統合する。統合部105は、統合した管理対象グループに関する情報を表示制御部106および記憶部103に送信する。」
「【0050】
個別操作画面220は、未統合アイコンに対応する管理設備機器2についての管理設定情報の設定の操作の指示を実行できる画面、すなわち統合されていない個別の管理設備機器2についての管理設定情報の設定の操作の指示を実行できる画面である。個別操作画面220では、未統合アイコンに対応する、記憶部103に登録された管理設備機器2の種類および管理設備機器2が有する保有機能に対応して、管理設定情報の設定を操作可能な操作項目の表示が変化する。なお、個別操作画面220では、統合済みの管理設備機器2、すなわち管理対象グループに含まれる管理設備機器2についても、管理設定情報の設定の操作の指示を実行できる。」
「【0104】
上述した実施の形態1に係る設備管理装置1は、管理対象となる複数の管理設備機器2のうち任意の数の複数の管理設備機器2を1つの管理対象グループに統合し、管理対象グループを表す統合済みアイコンを、管理対象を表示する第1の操作画面であるフロア画面200に表示する統合部105と、操作画面の表示を制御する表示制御部106と、を備える。そして、表示制御部106は、第1の操作画面において統合済みアイコンを選択する操作が操作受付部102において受け付けられた場合に、管理対象グループに統合された複数の管理設備機器2を一括管理するための操作を受け付ける第2の操作画面である一括操作画面221を表示する制御を行う。」
「【0112】
実施の形態2.
実施の形態2では、一括操作画面221の変化例について、同じ種類の管理設備機器2であって管理設定情報の設定において操作可能な操作項目として同一の操作項目を有する管理設備機器2として、第4換気装置9と、第5換気装置10とが設備管理装置1の記憶部103に登録され、記憶されている場合を例に説明する。第4換気装置9および第5換気装置10について管理設定情報の設定を操作可能な操作項目は、「運転」、「停止」、「換気方式」および「換気量」とする。換気方式には、熱交換換気と外気冷房とがある。換気量には、換気量「1」、換気量「2」、換気量「3」の各換気量がある。
【0113】
図11は、実施の形態2における設備管理装置での統合設定に関する操作画面の遷移を示した画面遷移図である。図11では、第4換気装置9と、第5換気装置10と、を統合して管理対象グループである「廊下」および廊下32を示す統合済みアイコンを作成する統合設定の手順を示している。第4換気装置9と第5換気装置10との統合設定の手順は、実施の形態1において図5に沿って説明した統合設定の手順と同様であるため、説明を省略する。ここでは、理解の容易のため、第4換気装置9の操作アイコンにも第4換気装置9と同じ符号を付して、第4換気装置9と示している。第5換気装置10についても同様である。」
「【0116】
一方、図12(b)に示す一括操作画面221が図9(b)に示す一括操作画面221と異なる点は、図12(b)に示す一括操作画面221には、換気タブ61と、第1連携タブ63と、が表示されており、各タブが選択可能となっている点である。すなわち、図12(b)に示す一括操作画面221では、管理対象グループである「廊下」に対して管理設定情報の設定を操作可能な操作項目を表示するタブとして、換気タブ61と第1連携タブ63とが表示されている。なお、図12(b)および図12(c)では、換気タブ61は「換気61」と、第1連携タブ63は「連携63」と表記されている。そして、図12(b)に示す一括操作画面221と図12(c)に示す一括操作画面221との間は、タブの選択による遷移が可能である。
【0117】
第1連携タブ63において操作可能な操作項目は、「合計換気量制御」である。合計換気量制御は、管理対象グループに統合した複数の管理設備機器2の合計換気量を所望の換気量とする制御である。合計換気量制御は、管理対象グループに統合した複数の管理設備機器2の動作を連携させることにより実行可能な連携制御機能による制御である。統合部105は、管理対象グループに統合した複数の管理設備機器2の、種類の情報、台数の情報、保有機能の情報および配置位置の情報に基づいて、実現可能な連携制御機能の有無を判定し、合計換気量制御の機能を生成する。連携制御機能は、統合部105が、管理対象グループに統合した複数の管理設備機器2が保有する保有機能の情報を組み合わせることで生成したアプリケーションにより実現される。運転制御部107は、かかるアプリケーションを実行することで、合計換気量制御を実行できる。」
「【0127】
また、図13に示すように、第4換気装置9と第5換気装置10とのうちの一方が停止した状態での合計換気量「3」の場合のように、第4換気装置9と第5換気装置10との換気量がアンバランスとなる場合がある。この場合、運転制御部107は、第4換気装置9の換気量を換気量「1」とし、第5換気装置10の換気量を換気量「2」として10分間動作させるように第4換気装置9と第5換気装置10とのそれぞれに対して運転の指示を行う第1の制御を実施する。
【0128】
その後、運転制御部107は、第4換気装置9の換気量を換気量「2」とし、第5換気装置10の換気量を換気量「1」として10分間動作させるように第4換気装置9と第5換気装置10とのそれぞれに対して運転の指示を行う第2の制御を実施する。そして、運転制御部107は、第1の制御と第2の制御とを交互に繰り返す、というローテーション運転を実施する。これにより、第4換気装置9の換気対象空間と、第5換気装置10の換気対象空間との双方において、換気ムラなく、第1の制御による換気期間と第2の制御による換気期間との全体として、合計換気量「3」を実現することができる。」
「【図12】
[図:0001439192000001.jpg]
」
図12(b)から、一括操作画面221において、換気方式について熱交換換気と外気冷房とのいずれかを選択可能に表示し、また、換気量について1~3のいずれかを選択可能に表示することが看取できる。
(2)甲1発明
前記(1)によれば、甲1には、次に示す甲1発明が記載されていると認められ、甲1発明として、甲1に記載された「実施の形態2」(【0112】~【0135】)を認定する。
また、甲1の「実施の形態2」において、「第4換気装置9と第5換気装置10との統合設定の手順は、実施の形態1において図5に沿って説明した統合設定の手順と同様であるため、説明を省略する。」(【0113】)、「これらの各画面が他の画面に遷移する遷移関係は、実施の形態1の図9と同様である。」(【0115】)との記載を参酌すれば、「実施の形態2」に説明のないものについては、「実施の形態1」と同様と解されるから、「実施の形態1」の説明(【0014】~【0111】)から認定する。
また、後の参照の便宜のため、甲1発明をa~mに分説し、「構成a」などのようにして参照する。
<甲1発明>
「a 複数の管理設備機器2と、複数の管理設備機器2の動作を制御して管理する設備管理装置1と、を備える設備管理システム100であって、(【0015】)
b 設備管理装置1は、制御部109を備え、(【0018】)
c 制御部109は、統合部105と表示制御部106と運転制御部107とを備え、(【0018】)
d1 設備管理装置が複数の管理設備機器を一括管理する場合の基本的な動作の手順において、(【0028】)
d2 第1の操作画面に表示された複数の管理設備機器2のうち、1つの管理対象グループに統合する対象となる複数の管理設備機器2が選択され、複数の管理設備機器2を選択した操作の情報は、操作受付部102で受け付けられ、統合部105に送信され、(【0030】)
d3 統合部105が、選択された複数の管理設備機器2を1つの管理対象のグループである管理対象グループに統合し、(【0031】)
e 記憶部103に管理設備機器2が有する保有機能が登録され、(【0050】)
f 表示制御部106は、一括操作画面221を表示し、(【0104】)
g 管理設備機器2として第4換気装置9と第5換気装置10とが登録され、(【0112】)
h 第4換気装置9と、第5換気装置10と、を統合して管理対象グループである「廊下」を作成し、(【0113】)
i 一括操作画面221では、管理対象グループである「廊下」に対して操作可能な操作項目を表示し、(【0116】)
j 一括操作画面221において、換気方式について熱交換換気と外気冷房とのいずれかを選択可能に表示し、また、換気量について1~3のいずれかを選択可能に表示し、(図12(b))
k 合計換気量制御は、管理対象グループに統合した複数の管理設備機器2の合計換気量を所望の換気量とする制御であり、統合部105は、管理対象グループに統合した複数の管理設備機器2の保有機能の情報に基づいて、合計換気量制御の機能を生成し、運転制御部107は、合計換気量制御を実行でき、(【0117】)
l1 第4換気装置9と第5換気装置10とのうちの一方が停止した状態での合計換気量「3」の場合のように、第4換気装置9と第5換気装置10との換気量がアンバランスとなる場合、運転制御部107は、第4換気装置9の換気量を換気量「1」とし、第5換気装置10の換気量を換気量「2」として10分間動作させるように第4換気装置9と第5換気装置10とのそれぞれに対して運転の指示を行う第1の制御を実施し、(【0127】)
l2 その後、運転制御部107は、第4換気装置9の換気量を換気量「2」とし、第5換気装置10の換気量を換気量「1」として10分間動作させるように第4換気装置9と第5換気装置10とのそれぞれに対して運転の指示を行う第2の制御を実施し、そして、運転制御部107は、第1の制御と第2の制御とを交互に繰り返す、というローテーション運転を実施し、これにより、第4換気装置9の換気対象空間と、第5換気装置10の換気対象空間との双方において、換気ムラなく、第1の制御による換気期間と第2の制御による換気期間との全体として、合計換気量「3」を実現することができる、(【0128】)
m 設備管理システム100。」
(3)本件発明の用語解釈について
事案に鑑み、対比・判断に先立ち、本件発明における用語の解釈を行う。(下線部は、強調のため当審で付した。)
ア 発明特定事項1D及び1Eの「動作内容」について
発明特定事項1D及び1Eの「動作内容」とは、本件明細書の「連動制御装置10の制御部101は、S15の2つ以上の機器に対して、S17で参照した各機器の動作内容を指示する。」(【0066】)、「各機器(図5の例であれば、"ルームエアコン"、"空気清浄機")の動作内容(図5の例であれば、"ルームエアコン"の運転内容、"空気清浄機"の運転内容)が記憶されている。」(【0068】)との記載によれば、機器の「運転内容」を含むものである。
ここで、「運転内容」の例として、「運転ONする。換気設定を"自動"にする。」(【0069】)等が記載されているから、「運転内容」とは、機器を運転させる際の「設定」を含むものといえる。
イ 発明特定事項1Eの「連動する」について
発明特定事項1Eの「連動する」とは、本件明細書の「「連動制御」とは、2つ以上の機器が連動する(例えば、2つ以上の機器が同時に運転される)ことによって、機器の機能による効果を向上させる制御である。」(【0028】)との記載によれば、2つ以上の機器が同時に運転されることを含むものと解される。
ウ 発明特定事項1Eの「前記機能による効果を向上させる」について
発明特定事項1Eの「前記機能による効果を向上させる」に関連して、本件明細書には、「また、例えば、室温のサポート運転では、ルームエアコンと空気清浄機の動作により、ルームエアコン単体で動作するよりも早く目標とする設定温度に到達することができる。」(【0070】)、「このように、本開示の一実施形態では、リビング、子ども部屋等の部屋ごとに登録された複数の機器から選択した2つ以上の機器(例えば、ルームエアコン、空気清浄機等)が連動することによって、1つまたは複数の機能(例えば、温度調整機能、湿度調整機能、空気清浄機能、換気機能、湯張り機能)による効果(例えば、ムラを無くす)を向上させることができる。」(【0079】)、「例えば、複数の機器が連動することによって、単体の機器が機能を実施するよりも、室内の温度調整、湿度調整、換気、空気清浄などをムラなく実施することができる。」(【0080】)との記載がある。なお、「1つまたは複数の機能・・・による効果(例えば、ムラを無くす)を向上させることができる。」(【0079】)との記載は、「1つまたは複数の機能・・・による効果を向上させる(例えば、ムラを無くす)ことができる。」の誤記であると認められる。これは、機能による効果の具体例は、「室内の温度調整、湿度調整、換気、空気清浄など」(【0080】)であって、機能による効果の具体例として「ムラを無くす」が適切でないことは明らかであるから、「ムラを無くす」は、「(機能による効果を)向上させる」の具体例として挙げたものと解されるためである。
上記【0070】、【0079】及び【0080】の記載によれば、発明特定事項1Eの「前記機能による効果を向上させる」とは、「早く設定温度に到達すること」及び「室内の温度調整、湿度調整、換気、空気清浄など」の「ムラを無くす」ことを含むものといえる。
なお、「このように、複数の機器が連動することによって、例えば、換気のサポート運転では、ルームエアコンと空気清浄機の動作により、換気をしながら部屋全体の空気のよどみを減らし、部屋全体を換気できるようになる。」(【0070】)、「該機器が有する機能の情報(図6の例であれば、"ルームエアコン"は、"温度調整"、"換気"の機能を有し、"空気清浄機"は、"湿度調整"、"空気清浄"の機能を有する)が記憶されている。」(【0072】)との記載によれば、ルームエアコンと空気清浄機とを換気について連動させた場合には、ルームエアコンのみが有する換気の機能による効果を向上させることとなり、空気清浄機が有する湿度調整及び空気清浄の機能による効果は向上しないから、「前記機能による効果を向上させる」とは、連動するすべての機器の機能による効果を向上させるものに限らず、連動する機器のうち少なくとも1つの機器の機能による効果を向上させるものを含むものと解される。
(4)対比・判断
ア 本件発明1について
事案に鑑み、発明特定事項1Cから判断する。
(ア)発明特定事項1Cについて
a 甲1発明の「管理設備機器2」(構成a)は、本件発明1の「機器」に相当する。
b 甲1発明は、「設備管理装置が複数の管理設備機器を一括管理する場合の基本的な動作の手順において」(構成d1)、「第1の操作画面に表示された複数の管理設備機器2のうち、1つの管理対象グループに統合する対象となる複数の管理設備機器2が選択され、複数の管理設備機器2を選択した操作の情報は、操作受付部102で受け付けられ、統合部105に送信され」(構成d2)、「統合部105が、選択された複数の管理設備機器2を1つの管理対象のグループである管理対象グループに統合」する(構成d3)から、「統合部105」は、「操作受付部102」から「送信され」た情報に基づいて、「複数の管理設備機器2」から「1つの管理対象のグループ」に統合する対象となる複数(すなわち、2つ以上)の「管理設備機器2」を選択するものといえる。
また、「統合部105」は、「設備管理装置1」の「制御部109」が有する(構成b及びc)。
c 以上より、甲1発明の「設備管理装置1」の「制御部109」の「統合部105」は、本件発明1の「複数の機器から、2つ以上の機器を選択するステップ」に相当するステップを実行するといえる。
d したがって、本件発明1と甲1発明とは、「複数の機器から、2つ以上の機器を選択するステップ」を含む点で一致する。
(イ)発明特定事項1Bについて
前記(ア)a~dによれば、本件発明1と甲1発明とは、発明特定事項1Bの「複数の機器から2つ以上の機器を選択する」点で一致する。
しかし、本件発明1と甲1発明とは、発明特定事項1Bの「複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示するステップ」を、甲1発明が含まない点で相違する。
(ウ)発明特定事項1D及び1Eについて
a 発明特定事項1D及び1Eにおける「連動制御」について
本件発明1の「連動制御」とは、発明特定事項1Eによれば、「前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御であり、前記選択された機器それぞれの動作内容を含む」ものであり、発明特定事項1Dによれば、「前記機器の機能に関連する」ものである。
以下では、「連動制御」が、「前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御」であること(以下の(a)~(e))、「前記選択された機器それぞれの動作内容を含む」こと(以下の(f))、「前記機器の機能に関連する」こと(以下の(g)~(i))、の順に対比・判断を行う。
(a)甲1発明の「運転制御部107」は、「合計換気量制御を実行でき、」「合計換気量制御は、管理対象グループに統合した複数の管理設備機器2の合計換気量を所望の換気量とする制御であ」る(構成k)。
また、「合計換気量制御」について、「第4換気装置9と第5換気装置10とのうちの一方が停止した状態での合計換気量「3」の場合のように、第4換気装置9と第5換気装置10との換気量がアンバランスとなる場合」に、「運転制御部107」は、「第4換気装置9の換気量を換気量「1」とし、第5換気装置10の換気量を換気量「2」として10分間動作させるように第4換気装置9と第5換気装置10とのそれぞれに対して運転の指示を行う第1の制御を実施し」(構成l1)、「その後、」「第4換気装置9の換気量を換気量「2」とし、第5換気装置10の換気量を換気量「1」として10分間動作させるように第4換気装置9と第5換気装置10とのそれぞれに対して運転の指示を行う第2の制御を実施し」、「第1の制御と第2の制御とを交互に繰り返す、というローテーション運転を実施」する(構成l2)。
そして、この「ローテーション運転」により、「換気ムラなく」「合計換気量「3」を実現することができる」(構成l2)。
(b)甲1発明の「合計換気量制御」の「ローテーション運転」における「第4換気装置9」及び「第5換気装置10」は、発明特定事項1Eの「前記選択された機器」に相当する。
(c)発明特定事項1Eの「連動する」とは、前記(3)イで記載したように、2つ以上の機器が同時に運転されることを含むと解され、甲1発明の「合計換気量制御」の「ローテーション運転」においては、前記(a)のとおり、「第4換気装置9」及び「第5換気装置10」が同時に運転されているから、「連動する」といえる。
(d)甲1発明の「合計換気量制御」の「ローテーション運転」において、「第4換気装置9」及び「第5換気装置10」は、それぞれ換気量1で換気する処理、換気量2で換気する処理及び換気量3で換気する処理のいずれかを行うこととなるが、当該各処理は、発明特定事項1Eの「前記機能」に相当する。
そして、前記(a)のとおり、甲1発明の「ローテーション運転」により「換気ムラ」がなくなるものであり、前記(3)ウのとおり、「換気」の「ムラを無くす」ことは、発明特定事項1Eの「前記機能による効果を向上させる」ことに含まれる。
そうすると、甲1発明の「ローテーション運転」は、発明特定事項1Eの「前記機能による効果を向上させる」ものといえる。
そして、当該「ローテーション運転」は、「運転制御部107」が第4及び第5換気装置に対して運転の指示を行う制御といえる(前記(a))から、「ローテーション運転」は、発明特定事項1Eの「前記機能による効果を向上させる制御」に相当する。
(e)前記(b)~(d)によれば、甲1発明の「ローテーション運転」は、発明特定事項1Eの「前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御」に相当し、ひいては、発明特定事項1D及び1Eの「連動制御」に相当する。
(f)発明特定事項1Eの「動作内容」とは、前記(3)アで記載したように、機器を運転させる際の「設定」を含むものといえる。
ここで、前記(a)に示した甲1発明の「ローテーション運転」の内容を踏まえれば、「ローテーション運転」において、動作時間(10分間)及び換気量(1~3)という「設定」が各換気装置に指示されると解されるため、「ローテーション運転」には、当該「設定」が含まれているといえる。
また、「ローテーション運転」における「第4換気装置9」及び「第5換気装置10」は、前記(b)のとおり、「前記選択された機器」に相当する。
そうすると、甲1発明の「ローテーション運転」は、各換気装置それぞれの「設定」を含むものといえ、このことは、発明特定事項1Eの「前記選択された機器それぞれの動作内容を含む」ことに相当する。
(g)発明特定事項1Dの「前記機器の機能に関連する」における「前記機器」とは、請求項の記載上、発明特定事項1Dの「前記選択された機器」を指すと解することが自然である。(発明特定事項1Bの「機器を選択するステップ」において、「複数の機器」のうち、選択されなかった「機器」と解するのは不自然である。)
そうすると、発明特定事項1Eの「前記機器の機能に関連する」における「前記機器の機能」とは、「前記選択された機器」が有する「機能」のことといえる。
(h)甲1発明の「第4換気装置9」及び「第5換気装置10」が有する、換気量1で換気する処理、換気量2で換気する処理及び換気量3で換気する処理は、「前記選択された機器」が有する「機能」に相当する。
そして、前記(f)のとおり、甲1発明の「ローテーション運転」は、換気量(1~3)という「設定」を含むといえ、換気量(1~3)という「設定」が、「第4換気装置9」及び「第5換気装置10」が実施する、換気量1で換気する処理、換気量2で換気する処理及び換気量3で換気する処理と関連することは明らかである。
(i)前記(g)及び(h)によれば、甲1発明の「ローテーション運転」は、「第4換気装置9」及び「第5換気装置10」が実施する、換気量1で換気する処理、換気量2で換気する処理及び換気量3で換気する処理に関連するものであり、このことは、発明特定事項1Dの「前記機器の機能に関連する」ことに相当する。
(j)以上によれば、甲1発明の「ローテーション運転」は、本件発明1の「連動制御」に相当し、「前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御」であって、「前記選択された機器それぞれの動作内容を含」み、「前記機器の機能に関連する」ものといえる。
b 発明特定事項1Dの「前記選択された機器それぞれに対して、」「連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示するステップ」について
前記a(e)のとおり、甲1発明の「ローテーション運転」は、発明特定事項1Dの「連動制御」に相当する。また、前記a(f)のとおり、甲1発明の「ローテーション運転」は、各換気装置それぞれの「設定」を含み、このことは、発明特定事項1Eの「前記選択された機器それぞれの動作内容を含む」ことに相当するから、甲1発明の「ローテーション運転」に含まれる各換気装置それぞれの「設定」は、「連動制御に含まれる各機器の動作内容」に相当する。
そして、前記a(f)のとおり、甲1発明の「ローテーション運転」における「第4換気装置9」及び「第5換気装置10」は「前記選択された機器」に相当し、かつ、上記「設定」は、各換気装置に指示されるものであるから、甲1発明の「ローテーション運転」は、発明特定事項1Dの「前記選択された機器それぞれに対して、」「連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示するステップ」に相当するステップを含むといえる。
また、前記a(d)のとおり、「ローテーション運転」は、「運転制御部107」が行う制御といえ、「運転制御部107」は、「設備管理装置1」の「制御部109」が有する(構成b及びc)。
そうすると、甲1発明の「設備管理装置1」の「制御部109」の「運転制御部107」は、発明特定事項1Dの「前記選択された機器それぞれに対して、」「連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示するステップ」に相当するステップを実行するものといえる。
c 前記a及びbによれば、本件発明1と甲1発明とは、「前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示するステップ」を含む点(発明特定事項1D)で一致し、「連動制御」が、「前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御であり、前記選択された機器それぞれの動作内容を含む」点(発明特定事項1E)でも一致する。
(エ)発明特定事項1Aについて
a 前記(ウ)bのとおり、甲1発明の「設備管理装置1」の「制御部109」の「運転制御部107」は、発明特定事項1Dの「連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示するステップ」に相当するステップを実行しているといえるから、甲1発明の「設備管理装置1」は、本件発明1の「連動制御装置」に相当する。
b 前記(ア)cのとおり、甲1発明の「設備管理装置1」の「制御部109」の「統合部105」は、本件発明1の「複数の機器から、2つ以上の機器を選択するステップ」に相当するステップを実行するといえる。
また、前記(ウ)bのとおり、甲1発明の「設備管理装置1」の「制御部109」の「運転制御部107」は、発明特定事項1Dの「前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示するステップ」に相当するステップを実行するものといえる。
そうすると、甲1発明の「設備管理装置1」の「制御部109」が、これらのステップを含む方法を実行するものであるから、甲1発明の「設備管理装置1」の「制御部109」が実行する方法は、発明特定事項1Aの「連動制御装置の制御部が実行する方法」に相当する。
c 前記a及びbによれば、本件発明1と甲1発明とは、「連動制御装置の制御部が実行する方法」である点で一致する。
(オ)一致点及び相違点
以上によれば、本件発明1と甲1発明の一致点と相違点は以下のとおりとなる。
<一致点>
「連動制御装置の制御部が実行する方法であって、
複数の機器から、2つ以上の機器を選択するステップと、
前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示するステップとを含み、
前記連動制御は、前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御であり、前記選択された機器それぞれの動作内容を含む、方法。」
<相違点1>
本件発明1は、「複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示するステップ」を含むのに対して、甲1発明にはそのように特定されていない点。
(カ)相違点の判断
本件発明1と甲1発明には前記相違点1が存在し、また、この相違点1が課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)ではないので、両者が実質同一であるともいえないから、本件発明1と甲1発明は同一ではない。
(キ)前記(カ)に関連し、申立人は令和7年12月4日に提出された意見書により、概略、以下の主張1~3を主張する。
<主張1>
甲第1号証に記載の実施の形態2には、一括操作画面に、管理対象グループに統合された第4換気装置9と第5換気装置10とが有する6通りの換気機能を、ユーザが選択可能に表示することが示されている。
よって、要件a(前記選択された機器が有する機能を選択可能に表示し)を含む本件訂正発明1は、甲1発明と実質的に同一である。(意見書第4頁第27行~第5頁第14行)
<主張2>
甲第1号証に記載の実施の形態3には、一括操作画面に、管理対象グループに統合された空気調和装置(第4空気調和装置11、第5空気調和装置12、第6空気調和装置13、及び第7空気調和装置14)が有する2通りの暖房機能/冷房機能を、ユーザが選択可能に表示することが示されている。
よって、要件aを含む本件訂正発明1は、甲1発明と実質的に同一である。(意見書第5頁第15行~第6頁第5行)
<主張3>
甲第1号証に記載の実施の形態4には、一括操作画面に、管理対象グループに統合された装置(第4換気装置9、第5換気装置10、第4空気調和装置11、第5空気調和装置12、第6空気調和装置13、及び第7空気調和装置14)が有する換気機能と暖房/冷房機能とを、ユーザが選択可能に表示することが示されている。
よって、要件b(前記選択された機器が有する機能から、複数の機能を選択するための画面を表示し)を含む本件訂正発明1は、甲1発明と実質的に同一である。(意見書第6頁第6行~24行)
a 主張1について検討する。
前記(2)のとおり、甲1発明として、甲1に記載された「実施の形態2」(【0112】~【0135】)を認定し、前記(オ)のとおり、本件発明1と甲1発明には相違点1を有している。
そして、前記(カ)のとおり、本件発明1と甲1発明には前記相違点1が存在し、また、この相違点1が課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)ではないので、両者が実質同一であるともいえないから、本件発明1と甲1発明は同一ではない。
b 主張2について検討する。
甲1-1発明として、甲1に記載された「実施の形態3」(【0136】~【0159】)を認定すると、甲1-1発明は、管理設備機器2として第4空気調和装置11、第5空気調和装置12、第6空気調和装置13及び第7空気調和装置14が登録される点と、連動制御内容が気流循環制御である点以外は、甲1発明と同様である。
しかし、本件発明1と甲1-1発明とは、発明特定事項1Bの「複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示するステップ」を、甲1-1発明が含まない点で相違する。
甲1-1発明の相違点は、前記(オ)で認定した甲1発明の相違点1と同じである。そして、前記(カ)のとおり、相違点1は実質的な相違点である。よって、本件発明1と甲1-1発明と同一であるとはいえない。
c 主張3について検討する。
甲1-2発明として、甲1に記載された「実施の形態4」(【0160】~【0182】)を認定すると、甲1-2発明は、管理設備機器2として第4換気装置9、第5換気装置10、第4空気調和装置11、第5空気調和装置12、第6空気調和装置13及び第7空気調和装置14が登録される点と、連動制御内容が合計換気量制御及び気流循環制御である点以外は、甲1発明と同様である。
しかし、本件発明1と甲1-2発明とは、発明特定事項1Bの「複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示するステップ」を、甲1-2発明が含まない点で相違する。
甲1-2発明の相違点は、前記(オ)で認定した甲1発明の相違点1と同じである。そして、前記(カ)のとおり、相違点1は実質的な相違点である。よって、甲1-2発明と同一であるとはいえない。
d 前記a~cによれば、申立人の主張は採用できない。
イ 本件発明2~7及び9について
本件発明2~7及び9は、本件発明1の発明特定事項をすべて含み、さらに別の発明特定事項を含むものであるから、甲1発明との間に少なくとも相違点1が存在する。相違点1については前記(カ)のとおりであるから、相違点1は実質的な相違点である。よって、本件発明2~7及び9は、甲1発明と同一であるとはいえない。
ウ 本件発明10及び11について
第4で示したとおり、本件発明10及び11は、本件発明1を異なるカテゴリーで表現したものであって、本件発明1と同等の技術的特徴を備えるものであるから、本件発明1が、甲1発明と同一であるといえない以上、本件発明10及び11も、同様に、甲1発明と同一であるとはいえない。
エ 本件発明12について
第4で示したとおり、本件発明12は、本件発明1を異なるカテゴリーで表現したものであって、以下のとおりである。
発明特定事項12Bは発明特定事項1Cに対応し、発明特定事項12C3は発明特定事項1Bに対応し、発明特定事項12Dは発明特定事項1Dに対応し、また、発明特定事項12Eと発明特定事項1Eは同一である。
しかし、本件発明1には、発明特定事項12A、12C1及び12C2に対応する記載はない。
よって、発明特定事項12A、12C1及び12C2を判断する。
(ア)発明特定事項12Aについて
甲1発明の「設備管理装置1」及び「設備管理システム100」(構成a)は、それぞれ本件発明12の「連動制御装置」及び「システム」に相当する。
そして、甲1発明の「設備管理システム100」は、「設備管理装置1を備える」(構成a)ことから、発明特定事項12Aの「連動制御装置を含むシステム」に相当する。
したがって、本件発明12と甲1発明とは、発明特定事項12Aの「連動制御装置を含むシステム」である点で一致するが、甲1発明が「サーバ」を含まない点で相違する。
(イ)発明特定事項12C1~12C3について
a 発明特定事項12C1について
(a)甲1発明において、「管理設備機器2として第4換気装置9と第5換気装置10とが登録され」る(構成g)から、「第4換気装置9」及び「第5換気装置10」は「管理設備機器2」であり、本件発明12の「機器」に相当する。
(b)甲1発明は、「第4換気装置9と、第5換気装置10と、を統合して管理対象グループである「廊下」を作成」する(構成h)から、「廊下」に統合する対象となる「第4換気装置9」及び「第5換気装置10」は、「統合部105」に選択された「管理設備機器2」といえる。
そうすると、前記(a)も踏まえれば、甲1発明の「第4換気装置9」及び「第5換気装置10」は、発明特定事項12C1の「前記選択された機器」に相当する。
(c)甲1発明の「一括操作画面221」は、「管理対象グループである「廊下」に対して操作可能な操作項目を表示」する(構成i)ものであって、「換気方式について熱交換換気と外気冷房とのいずれかを選択可能に表示し、また、換気量について1~3のいずれかを選択可能に表示」する(構成j)。
そうすると、「廊下」に含まれる「第4換気装置9」及び「第5換気装置10」は、「一括操作画面221」において選択された「換気方式」及び「換気量」で換気を行うことになる。すなわち、「第4換気装置9」及び「第5換気装置10」は、熱交換換気で換気する処理、外気冷房で換気する処理、換気量1で換気する処理、換気量2で換気する処理及び換気量3で換気する処理を実施できるといえる。
そして、当該各処理は、それぞれ、「管理設備機器2」である「第4換気装置9」及び「第5換気装置10」が実施する処理であるから、本件発明12の「機能」に相当するといえる。
そうすると、前記(b)も踏まえれば、甲1発明の「第4換気装置9」及び「第5換気装置10」が実施する当該各処理は、それぞれ、発明特定事項12C1の「前記選択された機器が有する機能」に相当する。
(d)甲1発明の「一括操作画面221」は、「換気方式について熱交換換気と外気冷房とのいずれかを選択可能に表示し、また、換気量について1~3のいずれかを選択可能に表示」する(構成j)から、前記(c)を踏まえれば、「一括操作画面221」は、「前記選択された機器が有する機能」である各処理を選択可能に表示するものといえる。
また、甲1発明の「表示制御部106」が、「一括操作画面221を表示」(構成f)し、「表示制御部106」は、「設備管理装置1」の「制御部109」が有する(構成b及びc)。
そうすると、甲1発明の「設備管理装置1」の「制御部109」の「表示制御部106」は、「前記選択された機器が有する機能」を「選択可能に表示」するものといえる。
(e)以上によれば、甲1発明の「設備管理装置1」の「制御部109」の「表示制御部106」は、発明特定事項12C1の「前記選択された機器が有する機能を選択可能に表示し」に相当するといえる。
(f)したがって、本件発明12と甲1発明とは、発明特定事項12C1の「前記選択された機器が有する機能を選択可能に表示し」を含む点で一致する。
b 発明特定事項12C2について
(a)前記a(c) と同様に、甲1発明の「第4換気装置9」及び「第5換気装置10」が実施する、熱交換換気で換気する処理、外気冷房で換気する処理、換気量1で換気する処理、換気量2で換気する処理及び換気量3で換気する処理は、発明特定事項12C2の「前記選択された機器が有する機能」に相当する。
(b)甲1発明の「一括操作画面221」は、「換気方式について熱交換換気と外気冷房とのいずれかを選択可能に表示し、また、換気量について1~3のいずれかを選択可能に表示」する(構成j)から、例えば、「一括操作画面221」において、「換気方式」として「熱交換換気」を選択し、「換気量」として「1」を選択すること、すなわち、熱交換換気で換気する処理及び換気量1で換気する処理という複数の「機能」を選択できることは明らかである。
そうすると、前記(a)も踏まえれば、甲1発明の「一括操作画面221」は、発明特定事項12C2の「前記選択された機器が有する機能から、複数の機能を選択するための画面」に相当する。
(c)前記a(d)のとおり、甲1発明の「一括操作画面221」は、「設備管理装置1」の「制御部109」の「表示制御部106」が表示するから、前記(b)も踏まえると、甲1発明の「設備管理装置1」の「制御部109」の「表示制御部106」は、発明特定事項12C2の「前記選択された機器が有する機能から、複数の機能を選択するための画面を表示し」に相当するといえる。
(d)したがって、本件発明12と甲1発明とは、発明特定事項12C2の「前記選択された機器が有する機能から、複数の機能を選択するための画面を表示し」を含む点で一致する。
c 発明特定事項12C3について及び発明特定事項12C1~12C3の小括
発明特定事項12C1~12C3は、「前記選択された機器が有する機能を選択可能に表示する」こと(発明特定事項12C1)と、「前記選択された機器が有する機能から、複数の機能を選択するための画面を表示する」こと(発明特定事項12C2)と、「前記複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示する」こと(発明特定事項12C3)とを、「または」で接続したものであり、択一形式となっている。
ここで、前記a(f)及び前記b(d)のとおり、本件発明12と甲1発明とは、発明特定事項12C1及び12C2を含む点で一致している。
そうすると、本件発明12と甲1発明との発明特定事項12C3における相違の有無は、本件発明12と甲1発明との発明特定事項12C1~12C3についての一致を左右しない。
したがって、本件発明12と甲1発明とは、発明特定事項12C1~12C3の「前記選択された機器が有する機能を選択可能に表示し、または、前記選択された機器が有する機能から、複数の機能を選択するための画面を表示し、または、前記複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示し」を含む点で一致する。
(ウ)一致点及び相違点
以上によれば、本件発明12と甲1発明の一致点と相違点は以下のとおりとなる。
<一致点>
「連動制御装置を含むシステムであって、
前記連動制御装置の制御部は、
複数の機器から、2つ以上の機器を選択し、
前記選択された機器が有する機能を選択可能に表示し、または、前記選択された機器が有する機能から、複数の機能を選択するための画面を表示し、または、前記複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示し、
前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示し、
前記連動制御は、前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御であり、前記選択された機器それぞれの動作内容を含む、システム。」
<相違点2>
本件発明12は、システムに「サーバ」を含むのに対して、甲1発明にはそのように特定されていない点。
(エ)相違点の判断
本件発明12と甲1発明には前記相違点2が存在し、また、この相違点2が課題解決のための具体化手段における微差(周知技術、慣用技術の付加、削除、転換等であって、新たな効果を奏するものではないもの)ではないので、両者が実質同一であるともいえないから、本件発明12と甲1発明は同一ではない。
(5)取消理由2についてのまとめ
上記ア~エで述べたとおりであるから、取消理由2には、理由がない。
第7 取消理由通知(決定の予告)で採用しなかった申立ての理由について
1 申立理由2(甲2に基づく新規性・進歩性)
(1)甲2の記載
甲2には、以下の記載がある。なお、下線は後述の甲2発明の認定に使用する箇所を示すために当審で付した。
ア 第3頁第30行~33行
「本実施形態の電力制御システムは、図1に示すように住宅Hで使用される複数の電気機器3(31~36)と、これら複数の電気機器3の動作を制御する電力制御装置1と、表示操作装置2と、人感センサ4(41~43)と、発電装置5と、住宅Hから離れた遠隔地に設置されるサーバ装置Sとを備えている。」
イ 第4頁第4行~7行
「本実施形態における住宅Hには、リビング、客間、寝室、台所などの部屋があり、それぞれの部屋に電気機器3が設置されている。例えば、リビングにはエアコン31とテレビ受像機32と床暖房装置33とが設置され、客間及び寝室にはエアコン34,35がそれぞれ設置され、台所には冷蔵庫36が設置されている。」
ウ 第4頁第22行~26行
「電力制御装置1は、図2(a)に示すように制御ブロック10と、半導体メモリや磁気ディスクなどの記憶媒体にデータを記憶する記憶部11と、電気機器3並びに人感センサ4が有する通信デバイスとの間でデータ通信を行う宅内通信部12と、電話回線や光ファィバ回線若しくはCATV回線を介してインターネットNWに接続しインターネットNWを通してサーバ装置Sとデータ通信を行うネットワーク通信部13とを具備している。」
エ 第4頁第26行~32行
「また、制御ブロック10は、宅内通信部12を通して電気機器3並びに人感センサ4と通信することで各電気機器3の状態(運転/停止、設定温度、消費電力)並びに各部屋における人の滞在状況を常時監視する情報監視部10Aと、情報監視部10Aで監視する情報(電気機器3の状態や各部屋の人の滞在状況)に基づいて記憶部11に記憶されている制御内容の中から適当な制御内容を選択する選択部10Bと、選択部10Bで選択される制御内容を実行する制御実行部10Cとを有している。」
オ 第6頁第32行~第7頁第2行
「ここで、電力制御装置1の制御ブロック10(選択部10B)では、部屋/機器対応リストに基づいて各部屋に設置されている電気機器3をグルーピングして、その部屋の快適感を損なわずに省電力化が図れる最適な電力制御内容を決定する。例えば、リビングに設置されている電気機器3のうちで冷暖房を行う電気機器(エアコン31と床暖房装置33)が同じグループにグルーピングされ、エアコン31又は床暖房装置33を単独で動作(運転)させる場合よりも早く且つ効率的に部屋(リビング)を暖めつつ省電力化を図るような電力制御が行われる。」
カ 第7頁第3行~7行
「例えば、室温並びに床温が10℃の状況で暖房を開始する場合、制御ブロック10の選択部10Bが同じグループのエアコン31と床暖房装置33を連係して動作(運転)させる制御内容を選択するとともに制御実行部10Cが当該制御内容を実行すると、図4に実線A,Bで示すように暖房時の快適な室温範囲(18℃~23℃)並びに床温範囲(25℃~32℃)まで暖めるのに要する時間は約20分で済む。」
キ 第7頁第9行~14行
「従って、床暖房装置33を単独で動作(運転)するよりも、エアコン31と床暖房装置33を連係して動作(運転)することにより、暖房時の快適室温範囲に達するまでの時間が大幅に短縮されるので、快適室温範囲に達した後はエアコン31や床暖房装置33を間欠的に停止したり、あるいはエアコン31や床暖房装置33の設定温度を下げるなどの制御を行うことによって、早く且つ効率的に部屋(リビング)を暖めつつ省電力化を図ることができる。」
ク 第7頁第22行~24行
「尚、上述のような種々のグルーピングは、電力制御装置1の制御ブロック10がプログラムに従って自動的に行うことも可能であるし、表示操作装置2を用いて利用者(住人)が手動で行うことも可能である。」
ケ 第9頁第8行~15行
「また、図5の使用履歴情報によると、リビングに設置されているエアコン31は毎朝7時半頃に停止されていることが判るので、制御ブロック10の選択部10Bが、例えば、この停止時刻の30分前(7時頃)にエアコン31を停止あるいは設定温度を高くする制御内容を選択して制御実行部10Cで実行することにより、部屋に残る冷気だけで快適性を保つようにして省電力化を図ることを提案するメッセージを表示操作装置2の表示部23に表示させ、この表示を見た住人によって表示操作装置2の操作入力受付部24に前記提案を承諾する操作入力が受け付けられた場合に上述した制御内容を実行するようにしても構わない。」
(2)甲2発明
前記(1)によれば、甲2には、次に示す甲2発明が記載されていると認められる。
また、後の参照の便宜のため、甲2発明を2a~2jに分説し、「構成2a」などのようにして参照する。
「2a 住宅Hで使用される複数の電気機器3(31~36)と、これら複数の電気機器3の動作を制御する電力制御装置1と、表示操作装置2と、サーバ装置Sとを備える電力制御システムであって、(前記(1)ア)
2b 住宅Hには、リビングなどの部屋があり、リビングにはエアコン31とテレビ受像機32と床暖房装置33とが設置され、(前記(1)イ)
2c 電力制御装置1は、制御ブロック10を具備し、(前記(1)ウ)
2d 制御ブロック10は、制御内容を選択する選択部10Bと、選択部10Bで選択される制御内容を実行する制御実行部10Cとを有し、(前記(1)エ)
2e 選択部10Bでは、リビングに設置されている電気機器3のうちで冷暖房を行う電気機器(エアコン31と床暖房装置33)を同じグループにグルーピングし、(前記(1)オ)
2f 選択部10Bが同じグループのエアコン31と床暖房装置33を連係して動作(運転)させる制御内容を選択するとともに制御実行部10Cが当該制御内容を実行し、(前記(1)カ)
2g エアコン31と床暖房装置33を連係して動作(運転)することにより、暖房時の快適室温範囲に達するまでの時間が大幅に短縮され、(前記(1)キ)
2h グルーピングは、電力制御装置1の制御ブロック10がプログラムに従って自動的に行い、(前記(1)ク)
2i 選択部10Bが、エアコン31を停止あるいは設定温度を高くする制御内容を選択して制御実行部10Cで実行することにより、省電力化を図ることを提案するメッセージを表示操作装置2の表示部23に表示させ、この表示を見た住人によって表示操作装置2の操作入力受付部24に前記提案を承諾する操作入力が受け付けられた場合に制御内容を実行する(前記(1)ケ)
2j 電力制御システム。」
(3)甲3の記載
甲3には、以下の記載がある。
ア「【0020】
【発明の実施の形態】以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
(実施の形態1)図1は、本発明の実施の形態1における制御システムの概略イメージ図である。上記制御システム101は、制御装置102、制御モードデータベース109(以下制御モードDB:制御モード記憶装置115内に格納)より構成される。また、複数の被制御機器(被制御機器A111、被制御機器B112等)が、インターネットや家庭内LAN等のネットワーク108に、それぞれ上記制御システムと通信可能に接続される。
【0021】上記制御装置102は、機器情報データベース(以下機器情報DB)103、104、機器選択手段105、制御手段106及び送受信手段107を備え、上記機器情報DB103、104は、例えば図3に示す被制御機器名(識別子)、及び当該被制御機器が提供する機能及び性能に関する情報である機能情報が格納されている。又、上記制御モードDB109は、図2に示すように、例えばA宅116にて実現させる所定のモード(制御内容)が格納されている。上記各手段及びデータベースの詳細については順を追って説明する。」
イ「【0024】上記送信要求を受信した制御モード記憶手段115は、例えば図2に示した制御モードDB201より制御内容205を取得し、上記入力機器110に送信する(図4:S402)。尚、上記制御モードDB201、及び該上記制御モードDB201に格納される制御内容は、例えばISP(Internet Service Provider)や、ユーザ自身により運用・管理される。又、制御内容とは、ここでは例えば「安眠」、「風邪」、「帰宅」、「起床」、「暖房(省エネ)」、「冷房(省エネ)」、「鍋料理」等の制御モード202と、当該制御モードに対応する温度、湿度、照度、清浄度、騒音、消費電力等を示す制御パラメータ203を示す。又、各制御モードに対応する制御パラメータ203には、例えば当該制御モード選択時に実現すべき目標値(例えば図2に示す湿度65%(204))等が格納されている。
【0025】上記制御内容205を取得した入力機器110は、該取得した制御内容205(又は、上記制御内容を構成する制御モードのみ)を上記入力機器110が備えるディスプレイに表示する。続いて上記ユーザは、上記ディスプレイに表示された制御内容205から目的とする制御内容を選択する(図4:S403)。尚、ここで選択された上記制御モードは、「暖房(省エネ)」であるものとする。」
ウ 前記ア及びイの記載によれば、甲3には甲3技術として、暖房(省エネ)、冷房(省エネ)等の制御内容205を取得した入力機器110は、取得した制御内容205を、入力機器110が備えるディスプレイに表示し、ユーザがディスプレイに表示された制御内容205から目的とする制御内容を選択することが記載されているといえる。
(4)本件発明1~7及び9~11についての対比・判断
本件発明1と甲2発明を対比する。
事案に鑑み、発明特定事項1Cから判断する。
ア 発明特定事項1Cについて
(ア)甲2発明の「電気機器3」(構成2a)は、本件発明1の「機器」に相当する。
(イ)甲2発明の「電力制御装置1」(構成2a)において、「選択部10B」(構成2e)が、「リビング」に「設置され」ている「エアコン31とテレビ受像機32と床暖房装置33」(構成2b)という複数の「電気機器のうちで」、「冷暖房を行う」「エアコン31と床暖房装置33」(構成2e)という複数の「電気機器」を「同じグループにグルーピング」(構成2e)するものである。
(ウ)該「グルーピング」は、「電力制御装置1の制御ブロック10がプログラムに従って自動的に行」う(構成2h)ものであるから、甲2発明の「電力制御装置1」の「制御ブロック10」(構成2c)は、「リビングに設置されている」複数の「電気機器」から、「冷暖房を行う」複数(すなわち、2つ以上)の「電気機器」を選択するものといえる。
また、「リビング」に「設置され」ている「エアコン31とテレビ受像機32と床暖房装置33」(構成2b)という複数の「電気機器」は、「住宅Hで使用される複数の電気機器3(31~36)」(構成2a)に含まれる。
してみると、甲2発明の「電力制御装置1」(構成2a、2c)の「制御ブロック10」(構成2c)は、「住宅Hで使用される複数の電気機器3(31~36)」(構成2a)から、「冷暖房を行う」複数(すなわち、2つ以上)の「電気機器」を選択するといえるから、甲2発明の「住宅Hで使用される複数の電気機器3(31~36)」が本件発明1の「複数の機器」に相当し、甲2発明の「冷暖房を行う」複数(すなわち、2つ以上)の「電気機器」が本件発明1の「2つ以上の機器」に相当する。
(エ)前記(ア)~(ウ)に鑑みると、甲2発明の「電力制御装置1」の「制御ブロック10」は、本件発明1の「複数の機器から、2つ以上の機器を選択するステップ」に相当するステップを実行するといえ、本件発明1と甲2発明とは、「複数の機器から、2つ以上の機器を選択するステップ」を含む点で一致する。
イ 発明特定事項1D、1Eについて
(ア)発明特定事項1D、1Eにおける「連動制御」について
a 本件発明1の「前記機能による効果を向上させる制御」は、前記第6、2(3)ウで記載したように、早く設定温度に到達させるための制御を含むものといえる。
ここで、甲2発明の「エアコン31と床暖房装置33を連係して動作(運転)」させる(構成2f)ことによって、「暖房時の快適室温範囲に達するまでの時間が大幅に短縮される」(構成2g)、すなわち、早く快適室温範囲に達することとなる。
してみると、甲2発明の「エアコン31と床暖房装置33を連係して動作(運転)」させるための制御は、前記第6、2(3)ウに鑑みれば、本件発明1の「前記機能による効果を向上させる制御」に相当する。
b 甲2発明の同じグループの「エアコン31と床暖房装置33を連係して動作(運転)」させる(構成2f)制御における、「エアコン31と床暖房装置33」は、前記ア(ウ)のとおり、「電力制御装置1」の「制御ブロック10」によって選択された機器である。
c 本件発明1の「連動する」とは、前記第6、2(3)イで記載したように、2つ以上の機器が同時に運転されることを含むものと解される。
そして、甲2発明の同じグループの「エアコン31と床暖房装置33を連係して動作(運転)」させる制御においては、前記cのとおり、複数の「電気機器」である「エアコン31と床暖房装置33」が同時に運転されているから、前記bに鑑みると、甲2発明の「エアコン31と床暖房装置33を連係して動作(運転)」させる制御は、本件発明1の「前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御」に相当する。
d 本件発明1の「動作内容」とは、前記第6、2(3)アで記載したように、機器を運転させる際の「運転ON」を含むものといえる。
他方、甲2発明の「電力制御装置1」は、「複数の電気機器3の動作を制御する」(構成2a)ものであるから、「エアコン31と床暖房装置33を連係して動作(運転)」させる(構成2f)制御においても、「エアコン31と床暖房装置33」それぞれに対して「動作(運転)」を指示することは明らかであり、その際に、少なくとも「運転ON」を含めて「動作(運転)」を指示することも当然である。
そうすると、前記bも鑑みると、甲2発明の「エアコン31と床暖房装置33を連係して動作(運転)」させる制御において指示される「動作(運転)」は、本件発明1の「前記選択された機器それぞれの動作内容を含む」ものといえる。
e 前記dのとおり、甲2発明の「エアコン31と床暖房装置33を連係して動作(運転)」(構成2f)させる制御において指示される「動作(運転)」は、少なくとも「運転ON」を含んでおり、「運転ON」が、「エアコン31と床暖房装置33」の「冷暖房」という機能に関連することは明らかである。
f 前記b~eに鑑みれば、甲2発明の「エアコン31と床暖房装置33を連係して動作(運転)」(構成2f)させる制御において指示される「動作(運転)」は、本件発明1の「前記機器の機能に関連する連動制御」及び「前記連動制御は、前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御であり、前記選択された機器それぞれの動作内容を含む」に相当する。
(イ)発明特定事項1Dについて
前記(ア)fのとおり、甲2発明の「エアコン31と床暖房装置33を連係して動作(運転)」(構成2f)させる制御において指示される「動作(運転)」は、本件発明1の「連動制御」に相当する。
また、前記(ア)b及びdのとおり、甲2発明の「エアコン31と床暖房装置33を連係して動作(運転)」させる制御において指示される「動作(運転)」は、「電力制御装置1」の「制御ブロック10」によって選択された機器(エアコン31と床暖房装置33)それぞれに対して指示されるものである。
そして、甲2発明の「エアコン31と床暖房装置33を連係して動作(運転)」させる制御において指示される「動作(運転)」は、甲2発明の「電力制御装置1」の「制御ブロック10」の「制御実行部10C」が行うものといえる。
そうすると、甲2発明の「電力制御装置1」の「制御ブロック10」の「制御実行部10C」(構成2d)は、本件発明1の「前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示するステップ」に相当するステップを実行するものといえる。
(ウ)前記(ア)及び(イ)に鑑みれば、本件発明1と甲2発明とは、「前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示するステップ」を含む点で一致し、「連動制御」が、「前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御であり、前記選択された機器それぞれの動作内容を含む」点も一致する。
ウ 発明特定事項1Aについて
(ア)甲2発明の「電力制御装置1」の「制御ブロック10」の「制御実行部10C」は、前記イ(イ)より、「連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示するステップ」に相当するステップを実行しているといえるから、甲2発明の「電力制御装置1」は、本件発明1の「連動制御装置」に相当する。
(イ)前記ア(ウ)より、甲2発明の「電力制御装置1」の「制御ブロック10」は、本件発明1の「複数の機器から、2つ以上の機器を選択するステップ」に相当するステップを実行するといえ、また、前記イ(イ)より、甲2発明の「電力制御装置1」の「制御ブロック10」の「制御実行部10C」は、本件発明1の「前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示するステップ」に相当するステップを実行するものといえる。
そうすると、甲2発明の「電力制御装置1」の「制御ブロック10」が、これらのステップを含む方法を実行するものであるから、甲2発明の「電力制御装置1」の「制御ブロック10」が実行する方法は、本件発明1の「連動制御装置の制御部が実行する方法」に相当する。
(ウ)前記(ア)及び(イ)に鑑みれば、本件発明1と甲2発明とは、「連動制御装置の制御部が実行する方法」である点で一致し、「連動制御装置の制御部が実行する方法」が、「複数の機器から、2つ以上の機器を選択するステップと、前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示するステップとを含」む点も一致する。
エ 発明特定事項1Bについて
(ア)本件発明の「機能」には、前記第6、2(3)ウで記載したように、「温度調整機能」を含むものといえる。
また、前記ア(イ)のとおり、甲2発明の「エアコン31と床暖房装置33」は「冷暖房を行う」から、冷房機能及び暖房機能を備えていることは明らかであって、冷房機能及び暖房機能は、温度を調整する機能であるといえる。
してみると、甲2発明の「エアコン31と床暖房装置33」が備える冷房機能及び暖房機能は、本件発明の「機能」に相当する。
(イ)甲2発明の「制御実行部10C」が「暖房」に関する「制御内容」を実行し(構成2f)ている。そして、前記(ア)のとおり、甲2発明の「エアコン31と床暖房装置33」が備える冷房機能及び暖房機能のうち、「エアコン31」の「暖房」機能及び「床暖房装置33」の「暖房」機能を選択する必要があることは明らかである。
そして、甲2発明の「選択部10B」が「エアコン31と床暖房装置33を連係して動作(運転)させる制御内容を選択する」(構成2f)ことから、「エアコン31」の「暖房」機能及び「床暖房装置33」の「暖房」機能を選択しているといえる。
してみると、甲2発明の「選択部10B」は、「エアコン31」の「暖房」機能及び「床暖房装置33」の「暖房」機能、という複数の機能を選択するといえるから、前記(ア)も鑑みれば、甲2発明の該選択することは、本件発明1の「複数の機能を選択する」に相当する。
(ウ)甲2発明の「省電力化を図ることを提案するメッセージ」は、「選択部10B」が「表示操作装置2の表示部23に表示させ」(構成2i)るものである。
そして、「表示部23」は、伝言情報である「メッセージ」を表示する表示領域を備えていることは明らかであり、「表示領域」は、本件発明1の「画面」に相当する。
さらに、表示部23の表示領域を表示するものであるから、本件発明1の「画面を表示するステップ」に相当する。
(エ)甲2発明の「制御実行部10C」(構成2d)は、甲2発明の「電力制御装置1」の「制御ブロック10」が有するものである。
してみると、前記(イ)のとおり、本件発明1の「複数の機能を選択する」に相当する、甲2発明における複数の機能を選択することは、甲2発明の「電力制御装置1」の「制御ブロック10」が実行するものである。
さらに、前記(ウ)のとおり、本件発明1の「画面を表示するステップ」に相当する、甲2発明における画面を表示することは、甲2発明の「電力制御装置1」の「制御ブロック10」が実行するものである。
(オ)前記(イ)~(エ)に鑑みれば、甲2発明の「電力制御装置1」の「制御ブロック10」が実行する方法は、本件発明1の「画面を表示するステップ」を含む点も一致する。
しかし、甲2発明は「複数の機能を選択する」ものの、「複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域」及び「複数の機能を選択するための領域」とを含む画面を表示しない点で相違する。
オ 一致点及び相違点
以上によれば、本件発明1と甲2発明の一致点と相違点は以下のとおりとなる。
<一致点>
「連動制御装置の制御部が実行する方法であって、
画面を表示するステップと、
複数の機器から、2つ以上の機器を選択するステップと、
前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示するステップとを含み、
前記連動制御は、前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御であり、前記選択された機器それぞれの動作内容を含む、方法。」
<相違点3>
本件発明1は、「複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示するステップ」を含むのに対して、甲2発明は「複数の機能を選択する」ものの、「複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域」及び「複数の機能を選択するための領域」とを含む画面を表示しない点。
カ 相違点の判断
甲3には、前記(3)ウのとおり、甲3技術として「暖房(省エネ)、冷房(省エネ)等の制御内容205を取得した入力機器110は、取得した制御内容205を、入力機器110が備えるディスプレイに表示し、ユーザがディスプレイに表示された制御内容205から目的とする制御内容を選択すること」が記載されている。
「暖房(省エネ)、冷房(省エネ)等の制御内容205」は、機器が実行する処理であることから、本件発明1の「複数の機能」に相当する。
さらに、「ユーザがディスプレイに表示された制御内容205から目的とする制御内容を選択すること」は、制御内容205が表示された画面内に、制御内容205を選択する領域を含んでいると解することから、本件発明1の「機能を選択するための領域と、を含む画面を表示する」ことに相当する。
そうすると、「暖房(省エネ)、冷房(省エネ)等の制御内容205を取得した制御内容205を、入力機器110が備えるディスプレイに表示し、ユーザがディスプレイに表示された制御内容205から目的とする制御内容を選択すること」が、本件発明1でいう「複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示する」(発明特定事項1B)に対応するといえる。
しかしながら、以下に示すように、甲2発明に甲3技術を適用することは動機付けられていない。
甲2発明の「選択部10Bが、エアコン31を停止あるいは設定温度を高くする制御内容を選択して制御実行部10Cで実行することにより」、「省電力化を図ることを提案するメッセージを表示操作装置2の表示部23に表示させ」(構成2i)ることは、「選択部10B」が複数の機能である「制御内容を選択し」た後に、伝言情報である「メッセージ」を「表示部23」の表示領域に表示するものである。
そして、「選択部10B」が「制御内容を選択し」た後に、「メッセージ」を「表示部23」に表示することから、該表示の後に再度、「制御内容を選択」するための表示領域を表示する必要性は存在しない。
また、「メッセージ」は、単なる伝言情報であり、制御内容を選択可能に表示するものではない。
したがって、甲2発明の「メッセージ」に代えて甲3技術の構成を適用する動機付けはない。
よって、発明特定事項1Bに係る構成は、当業者といえども、甲2発明及び甲3技術から、容易に想到し得たとは認められない。
キ 前記カに関連し、申立人は令和7年12月4日に提出された意見書により、概略、以下の主張4を主張する。
〈主張4〉
甲2に記載された「省電力化を図ることを提案するメッセージ」は、冷房運転を意味することは明らかで、メッセージを表示部23に表示させることは、電気機器の同種の機能を選択可能に表示することに相当する。
甲3技術には、複数の制御内容をディスプレイに表示し、目的とする制御内容を選択することが記載されている。
そうすると、甲2発明は、省電力化を図ることを提案するメッセージを表示部23に選択可能に表示させることが記載されていることから、甲3技術に記載された事項を甲2発明に適用し、メッセージに代えて「暖房」、「冷房」等の機能を表示部に表示させることは、当業者が容易に想到できたものである。(意見書第6頁第28行~第7頁第20行)
(ア)主張4について検討する。
甲2発明の「選択部10Bが、エアコン31を停止あるいは設定温度を高くする制御内容を選択して制御実行部10Cで実行することにより、省電力化を図ることを提案するメッセージを表示操作装置2の表示部23に表示させ」(構成2i)ることは、「選択部10B」が複数の機能である「制御内容を選択し」た後に、伝言情報である「メッセージ」を「表示部23」の表示領域に表示するものである。
そして、「選択部10B」が「制御内容を選択し」た後に、「メッセージ」を「表示部23」に表示することから、該表示の後に再度、「制御内容を選択」するための表示領域を表示する必要性は存在しない。
また、「メッセージ」は、単なる伝言情報であり、制御内容を選択可能に表示するものではない。
したがって、甲2発明の「メッセージ」に代えて甲3技術の構成を適用する動機付けはない。
よって、申立人の主張は採用できない。
ク 本件発明1~7及び9~11の新規性及び進歩性についての小括
前記オのとおり、本件発明1と甲2発明との間には相違点3が存在し、前記カのとおり、相違点3に係る構成は、当業者が甲3を参照しても容易に想到し得ないのであるから、本件発明1は、甲2発明と同一ではなく、かつ、当業者が甲2発明及び甲3技術に基づいて容易に発明をすることができたものとは認められない。
また、本件発明2~7及び9は、本件発明1の発明特定事項を全て包含し、さらに別の発明特定事項を備えるものであるから、本件発明2~7及び9と甲2発明との間には、少なくとも相違点3が存在する。よって、本件発明1と同様に、本件発明2~7及び9は、甲2発明と同一ではなく、かつ、当業者が甲2発明及び甲3技術に基づいて容易に発明をすることができたものとは認められない。
さらに、第4で示したとおり、本件発明10及び11は、本件発明1を異なるカテゴリーで表現したものであって、本件発明1と同等の技術的特徴を備えるものであるから、本件発明10及び11と甲2発明との間には、少なくとも相違点3が存在する。よって、本件発明1と同様に、本件発明10及び11は、甲2発明と同一ではなく、かつ、当業者が甲2発明及び甲3技術に基づいて容易に発明をすることができたものとは認められない。
(5)本件発明12についての対比・判断
第4で示したとおり、本件発明12は、本件発明1を異なるカテゴリーで表現したものであって、以下のとおりである。
発明特定事項12Bは発明特定事項1Cに対応し、発明特定事項12C3は発明特定事項1Bに対応し、発明特定事項12Dは発明特定事項1Dに対応し、また、発明特定事項12Eと発明特定事項1Eは同一である。
しかし、本件発明1には、発明特定事項12A、12C1及び12C2に対応する記載はない。
よって、発明特定事項12A、12C1及び12C2を判断する。
ア 発明特定事項12Aについて
甲2発明の「電力制御装置1」、「サーバ装置S」及び「電力制御システム」は、それぞれ本件発明12の「連動制御装置」、「サーバ」及び「システム」に相当する。
そして、甲2発明の「電力制御システム」は、「電力制御装置1とサーバ装置Sを備える」(構成2a)ことから、発明特定事項12Aの「連動制御装置とサーバとを含むシステム」に相当する。
したがって、本件発明12と甲2発明とは、発明特定事項12Aの「連動制御装置とサーバとを含むシステム」である点で一致する。
イ 発明特定事項12C1について
前記(4)エのとおり、本件発明12と甲2発明とは、発明特定事項12C1の「表示」する点で一致する。
しかし、甲2発明は「複数の機能を選択する」ものの、「前記選択された機器が有する機能を選択可能」に表示しない点で相違する。
ウ 発明特定事項12C2について
前記(4)エのとおり、本件発明12と甲2発明とは、発明特定事項12C2の「画面を表示」する点で一致する。
しかし、甲2発明は「複数の機能を選択する」ものの、「前記選択された機器が有する機能から、複数の機能を選択するため」の画面を表示しない点で相違する。
エ 発明特定事項12C3について
前記(4)エのとおり、本件発明12と甲2発明とは、発明特定事項12C3の「画面を表示」する点で一致する。
しかし、甲2発明は「複数の機能を選択する」ものの、「複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域」及び「複数の機能を選択するための領域」とを含む画面を表示しない点で相違する。
オ 一致点及び相違点
以上によれば、本件発明12と甲2発明の一致点と相違点は以下のとおりとなる。
<一致点>
「連動制御装置とサーバとを含むシステムであって、
前記連動制御装置の制御部は、
複数の機器から、2つ以上の機器を選択し、
画面を表示し、
前記選択された機器それぞれに対して、前記機器の機能に関連する連動制御に含まれる各機器の動作内容を指示し、
前記連動制御は、前記選択された機器が連動することによって前記機能による効果を向上させる制御であり、前記選択された機器それぞれの動作内容を含む、システム。」
<相違点4>
本件発明12は、「前記選択された機器が有する機能を選択可能に表示し」を含むのに対して、甲2発明は「複数の機能を選択する」ものの、「前記選択された機器が有する機能を選択可能」に表示しない点。
<相違点5>
本件発明12は、「前記選択された機器が有する機能から、複数の機能を選択するための画面を表示し」を含むのに対して、甲2発明は「複数の機能を選択する」ものの、「前記選択された機器が有する機能から、複数の機能を選択するため」の画面を表示しない点。
<相違点6>
前記(4)オと同様であり、本件発明12は、「複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域と、複数の機能を選択するための領域と、を含む画面を表示するステップ」を含むのに対して、甲2発明は「複数の機能を選択する」ものの、「複数の機器から2つ以上の機器を選択するための領域」及び「複数の機能を選択するための領域」とを含む画面を表示しない点。
カ 相違点の判断
a 相違点4についての判断
甲2発明には、「前記選択された機器が有する機能を選択可能」に表示することは特定されていない。
また、甲3技術には、「制御内容205をディスプレイに表示し、ユーザがディスプレイに表示された制御内容205から目的とする制御内容を選択する」ものであるが、甲2発明の「メッセージ」に代えて甲3技術の構成を適用する動機付けはない。
b 相違点5についての判断
甲2発明には、「前記選択された機器が有する機能から、複数の機能を選択するため」の画面を表示することは特定されていない。
また、甲3技術には、「制御内容205をディスプレイに表示し、ユーザがディスプレイに表示された制御内容205から目的とする制御内容を選択する」ものであるが、甲2発明の「メッセージ」に代えて甲3技術の構成を適用する動機付けはない。
c 相違点6についての判断
前記(4)カのとおり、甲2発明の「メッセージ」に代えて甲3技術の構成を適用する動機付けはない。
よって、発明特定事項12C1~12C3に係る構成は、甲2発明及び甲3技術を参照しても、容易に想到し得たとは認められない。
キ 本件発明12の新規性及び進歩性についての小括
前記オのとおり、本件発明12と甲2発明との間には相違点4~6が存在し、前記カのとおり、相違点4~6に係る構成は、当業者が甲3技術を参照しても容易に想到し得ないのであるから、本件発明12は、甲2発明と同一ではなく、かつ、当業者が甲2発明及び甲3技術に基づいて容易に発明をすることができたものとは認められない。
(6)申立理由2についてのまとめ
上記(4)及び(5)で述べたとおりであるから、申立理由2には、理由がない。
第8 むすび
以上のとおり、本件請求項1~7及び9~12に係る特許は、取消理由通知書に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては取り消すことはできない。また、他に本件請求項1~7及び9~12に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
本件請求項8に係る特許は、訂正により削除されたため、特許法第120条の8第1項で準用する同法第135条の規定により、この特許についての特許異議の申立ては却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2025-700467