特許異議申立
2024-700659
加湿装置
- 審判番号
- 2024-700659
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2023-032379
- 登録番号
- 7441351
- 請求日
- 2024年07月12日
- 審決日
- 2025年10月10日
- 公報発行日
- 2026年01月30日
- 結論
- 訂正認容
- 当事者
- 【権利者】ダイニチ工業株式会社
- 【権利者代理人】吉井 雅栄
- 【異議申立人】狩野 芳正
- 審判長/審判官
- 審判長 水野 治彦
- 審判官 槙原 進
- 審判官 上田 雄
- 分類
- P1651.121-YAA(F24F)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第2項、特許法第113条第4号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第9項、特許法第126条第7項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7441351号発明「加湿装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7441351号の明細書、特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり、訂正することを認める。
特許第7441351号の請求項1に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7441351号(以下「本件特許」という。)の請求項1に係る特許についての出願である特願2023-32379号は、平成31年2月14日に出願した特願2019-24548号の一部を令和5年3月3日に新たな特許出願としたものであって、令和6年2月20日にその特許権の設定登録がされ、令和6年2月29日に特許掲載公報が発行された。
本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。
令和6年7月12日 : 特許異議申立人狩野 芳正(以下「申立人」という。)による特許異議の申立て
令和6年10月10日付け: 取消理由通知
令和6年11月21日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和6年12月9日 : 特許権者による手続補正書の提出
令和6年12月19日 : 特許権者による手続補正書の提出
令和7年1月16日付け : 訂正拒絶理由通知
令和7年2月19日 : 特許権者による意見書及び手続補正書の提出
令和7年3月28日付け : 取消理由通知(決定の予告)
令和7年4月21日 : 特許権者による意見書及び訂正請求書の提出
令和7年6月2日 : 特許権者による上申書及び手続補正書の提出
令和7年8月5日 : 申立人による意見書の提出
ここで、令和6年11月21日に提出された訂正請求書による訂正の請求については、令和7年4月21日に提出された訂正請求書による訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)がされたので、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。
第2 本件訂正請求による訂正について
1 本件訂正請求による訂正の内容
本件訂正請求による訂正(以下「本件訂正」という。)は、令和7年6月2日に提出された手続補正書によって補正された、令和7年4月21日に提出された訂正請求書によると、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付した訂正明細書及び訂正特許請求の範囲のとおり訂正することを求めるものである。
本件訂正の内容は、以下のとおりである。なお、下線は訂正箇所を示す。
(1)訂正事項1
特許請求の範囲の請求項1を、以下のa~cのとおり訂正する。
a 特許請求の範囲の請求項1の2行目に
「本体の挿入口より装着されて水を貯える水槽部と、」と記載されているのを、
「本体の挿入口より引き出し自在に装着され、天面が開口し水を貯える水槽部と、」と訂正する。
b 特許請求の範囲の請求項1の3行目から4行目に
「前記水槽部の水位を検知するフロートおよび前記フロートが回動可能に装着される枠体を有する水位検知部と、」と記載されているのを、
「前記水槽部の水位を検知するフロート、および前記フロートが左右側面間に設けられている軸部を軸にして上下方向に回動可能に装着されている枠体を有する水位検知部と、」と訂正する。
c 特許請求の範囲の請求項1の8行目から9行目に
「前記枠体が前記水槽部に着脱自在であり、
前記仕切部は前記水位検知部と一体で前記水槽部から着脱自在である加湿装置。」と記載されているのを、
「天面が開口している前記水槽部を区画する前記仕切部が、この水槽部に着脱自在に設けられているとともに、前記仕切部には前記水位検知部の前記枠体が設けられ、この水位検知部の前記枠体の前記左右側面が前記仕切部から突出状態に設けられている構成とされていて、
前記仕切部は前記水位検知部と一体で前記水槽部から着脱自在に設けられているとともに、前記水位検知部が前記水槽部に着脱自在に設けられていて、
前記フロートが回動可能に装着されている前記枠体を有する前記水位検知部は、前記本体から引き出した前記水槽部から前記枠体が設けられている前記仕切部を離脱させることで、この仕切部と一体で前記本体および前記水槽部から離脱する構成とされていて、前記枠体は前記水槽部に着脱自在であり、前記仕切部は前記水位検知部と一体で前記水槽部から着脱自在である加湿装置。」と訂正する。
(2)訂正事項2
明細書の段落「0007」を、以下のa~cのとおり訂正する。
a 明細書の段落「0007」の2行目に
「本体の挿入口より装着されて水を貯える水槽部と、」と記載されているのを、
「本体の挿入口より引き出し自在に装着され、天面が開口し水を貯える水槽部と、」と訂正する。
b 明細書の段落「0007」の3行目から4行目に
「前記水槽部の水位を検知するフロートおよび前記フロートが回動可能に装着される枠体を有する水位検知部と、」と記載されているのを、
「前記水槽部の水位を検知するフロート、および前記フロートが左右側面間に設けられている軸部を軸にして上下方向に回動可能に装着されている枠体を有する水位検知部と、」と訂正する。
c 明細書の段落「0007」の8行目から9行目に
「前記枠体が前記水槽部に着脱自在であり、前記仕切部は前記水位検知部と一体で前記水槽部から着脱自在である加湿装置である。」と記載されているのを、
「天面が開口している前記水槽部を区画する前記仕切部が、この水槽部に着脱自在に設けられているとともに、前記仕切部には前記水位検知部の前記枠体が設けられ、この水位検知部の前記枠体の前記左右側面が前記仕切部から突出状態に設けられている構成とされていて、
前記仕切部は前記水位検知部と一体で前記水槽部から着脱自在に設けられているとともに、前記水位検知部が前記水槽部に着脱自在に設けられていて、
前記フロートが回動可能に装着されている前記枠体を有する前記水位検知部は、前記本体から引き出した前記水槽部から前記枠体が設けられている前記仕切部を離脱させることで、この仕切部と一体で前記本体および前記水槽部から離脱する構成とされていて、前記枠体は前記水槽部に着脱自在であり、前記仕切部は前記水位検知部と一体で前記水槽部から着脱自在である加湿装置である。」と訂正する。
2 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
(1)訂正事項1について
ア 訂正事項1のaについて
(ア)訂正の目的について
訂正事項1のaは、訂正前の請求項1に記載された「水槽部」について、本体の挿入部より装着される態様を特定するとともに、構造を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1のaは、特許明細書等の段落【0023】の記載事項、図1及び2の図示事項に基づくものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1のaは、上記訂正前の請求項1に記載された「水槽部」について特定事項を付加したものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
イ 訂正事項1のbについて
(ア)訂正の目的について
訂正事項1のbは、訂正前の「フロートが回動可能に装着される枠体」について、フロートが回動可能に装着される態様を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1のbは、特許明細書等の段落【0011】、【0029】及び【0030】の記載事項、図4~6の図示事項に基づくものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1のbは、上記訂正前の請求項1に記載された「水位検知部」が有する「枠体」について特定事項を付加したものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
ウ 訂正事項1のcについて
(ア)訂正の目的について
訂正事項1のcは、訂正前の水槽部を区画する「仕切部」について、仕切部の構造、仕切部を水槽部に設ける態様を特定するとともに、訂正前の「水位検知部」について、水位検知部を仕切部に設ける態様、水位検知部を水槽部に設ける態様、水位検知部の構造、水位検知部を仕切部を介して水槽部に設ける態様を特定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。
(イ)特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であること
訂正事項1のcは、特許明細書等の段落【0007】、【0008】、【0011】、【0024】、【0028】、【0029】~【0032】、【0035】及び【0039】~【0042】の記載事項、図2~8の図示事項に基づくものであるから、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正である。
(ウ)実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと
訂正事項1のcは、上記訂正前の請求項1に記載された「仕切部」及び「水位検知部」の特定事項を付加したものであって、カテゴリーや対象を変更するものではないから、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しない。
エ まとめ
上記ア~ウの検討によれば、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であって、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
そして、訂正後の請求項1に係る発明については、請求項1に係る特許に対して特許異議の申立てがされているので、特許法第120条の5第9項で読み替えて準用する特許法第126条第7項で規定する要件(独立特許要件)は課されない。
(2)訂正事項2について
訂正事項2については、訂正事項2のa~cが、それぞれ順に訂正事項1のa~cにより訂正された請求項1の記載と明細書ついて記載の整合を図るものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであり、上記(1)ア~ウの検討を踏まえると、特許明細書等に記載した事項の範囲内の訂正であるとともに、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
3 小括
以上のとおりであるから、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書き第1号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。
また、訂正事項2は、関連する全ての請求項を対象とした訂正であって、特許法第120条の5第2項ただし書き第3号に掲げる事項を目的とするものであり、同条第9項で準用する同法第126条第4項~第6項の規定に適合するものである。
したがって、本件特許の明細書及び特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正明細書、訂正特許請求の範囲のとおり訂正すること認める。
第3 訂正後の本件発明
本件訂正により訂正された請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「【請求項1】
加湿空気を発生させる加湿手段と、
本体の挿入口より引き出し自在に装着され、天面が開口し水を貯える水槽部と、
前記水槽部の水位を検知するフロート、および前記フロートが左右側面間に設けられている軸部を軸にして上下方向に回動可能に装着されている枠体を有する水位検知部と、
前記水槽部に水を供給する給水タンクと、
前記水槽部を、前記給水タンクを収容するタンク収容部と、前記加湿手段を収容する加湿手段収容部とに区画する仕切部と、を備え、
天面が開口している前記水槽部を区画する前記仕切部が、この水槽部に着脱自在に設けられているとともに、前記仕切部には前記水位検知部の前記枠体が設けられ、この水位検知部の前記枠体の前記左右側面が前記仕切部から突出状態に設けられている構成とされていて、
前記仕切部は前記水位検知部と一体で前記水槽部から着脱自在に設けられているとともに、前記水位検知部が前記水槽部に着脱自在に設けられていて、
前記フロートが回動可能に装着されている前記枠体を有する前記水位検知部は、前記本体から引き出した前記水槽部から前記枠体が設けられている前記仕切部を離脱させることで、この仕切部と一体で前記本体および前記水槽部から離脱する構成とされていて、前記枠体は前記水槽部に着脱自在であり、前記仕切部は前記水位検知部と一体で前記水槽部から着脱自在である加湿装置。」
第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由について
1 取消理由の概要
本件訂正前の請求項1に係る特許に対して、当審において、令和7年3月28日付けで特許権者に通知した取消理由の要旨は、次のとおりである。
本件特許の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明及び甲第2号証に記載された技術事項に基いて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
2 引用文献等
申立人の提出した文献は、以下のとおりである。
(1)特許異議申立書とともに提出された文献
ア 取消理由に引用された文献
甲第1号証:特開2013-178059号公報(以下「甲1」という。)
甲第2号証:特公昭56-21973号公報(以下「甲2」という。)
イ 特許異議申立理由で引用された他の文献
甲第3号証:特開2009-52839号公報(以下「甲3」という。)
(2)令和7年8月5日に提出された申立人による意見書とともに提出された文献
参考資料1:特開2013-32867号公報
参考資料2:特開2012-52700号公報
3 引用文献等の記載
(1)甲1について
ア 甲1の記載
甲1には、次の記載事項及び図示事項がある。
なお、下線は当審で付したものである(以下同様。)。
(ア)「【0001】
本発明は、細菌、ウィルス、真菌等の空中浮遊微生物(以下、単に「ウィルス等」という)の除去が可能な除菌加湿装置に関するものである。」
(イ)「【0006】
本発明は、点検、清掃のしやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
吸気口と吹出口とを有する本体ケースと、この本体ケース内の前記吸気口から前記吹出口へ向かう送風路に送風手段と保水手段を設け、この保水手段は、天面が開口した横長四角箱形状で前記本体ケースに対して水平方向に着脱自在に設けられ水槽と、この水槽に水を供給する複数の給水タンクと、前記水槽内の水に一部が浸漬した加湿部と、電解水を生成する電解ユニットと、前記水槽内の残水を回収する回収タンクと、前記水槽内の残水を前記回収タンクへ回収させる回収ポンプと、前記送風路の一部となる略平板形状の仕切板とからなり、前記給水タンクと前記回収タンクとは前記水槽に着脱自在に設けられ、前記仕切板には、前記回収ポンプと前記電解ユニットが設けられると共に、前記仕切板は、前記回収ポンプと前記電解ユニットを備えた状態で前記水槽に着脱自在なことを特徴とする除菌加湿装置であり、これにより所期の目的を達成するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、吸気口と吹出口とを有する本体ケースと、この本体ケース内の前記吸気口から前記吹出口へ向かう送風路に送風手段と保水手段を設け、この保水手段は、天面が開口した横長四角箱形状で前記本体ケースに対して水平方向に着脱自在に設けられ水槽と、この水槽に水を供給する複数の給水タンクと、前記水槽内の水に一部が浸漬した加湿部と、電解水を生成する電解ユニットと、前記水槽内の残水を回収する回収タンクと、前記水槽内の残水を前記回収タンクへ回収させる回収ポンプと、前記送風路の一部となる略平板形状の仕切板とからなり、前記給水タンクと前記回収タンクとは前記水槽に着脱自在に設けられ、前記仕切板には、前記回収ポンプと前記電解ユニットが設けられると共に、前記仕切板は、前記回収ポンプと前記電解ユニットを備えた状態で前記水槽に着脱自在なことを特徴とすることにより、お手入れ性をさらに向上することができるものである。
【0009】
すなわち、水槽内に設けられた回収ポンプと電解ユニットが仕切板ごと脱着できることにより、水槽内の清掃等のお手入れのしやすさも向上することとなる。これにより、スケール等の除去が容易に可能となり、製品の性能を維持するという効果を得ることができる。」
(ウ)「【0017】
(実施の形態1)
以下、本発明の一実施形態を添付図面を用いて説明する。図1から3に示すように、本実施形態の除菌加湿装置は、吸気口2と吹出口3とを有する本体ケース1と、この本体ケース1内の吸気口2から吹出口3へ向かう送風路に送風手段4と保水手段5とを備えている。
【0018】
本体ケース1は、略箱形状で、本体ケース1の左右両側面には略四角形状の吸気口2を有し、本体ケース1の上面には略四角形状の吹出口3を備えている。本体ケース1の前面には、着脱式の本体正面ケース15を備えている。
【0019】
送風手段4は、本体ケース1の上部に設けられた電動機(図示しない)と羽根(図示しない)とそれらを囲む送風ケース14とから形成している。
【0020】
保水手段5は、本体ケース1の下部に設けられた水槽8と、この水槽8に水を供給する複数の給水タンク9と、水槽8内の水に一部が浸漬した加湿部31と、電解水を生成する電解ユニット16と、水槽8内の残水を回収する回収タンク12と、水槽8内の残水を回収タンク12へ回収させる回収ポンプ19と、送風路の一部となる略平板形状の仕切板24とから構成している。
【0021】
水槽8は、本体ケース1内の下部に配置され、本体ケース1に対して水平方向に着脱自在に設けられている。水槽8は、天面が開口した横長四角箱形状で、後述する給水タンク9から常に一定量の水が給水される。水槽8内部には満水、渇水がわかるように磁石で反応するセンサー(図示しない)が設けられており、お手入れがしやすいよう、本体ケース1から引き出して着脱できる構造となっている。
【0022】
給水タンク9は、図4に示すように、本体ケース1内部の正面側に設けられ、着脱式の本体正面ケース15により、脱着可能な構造となっている。給水タンク9はポリエチレン製の樹脂と、給水タンク9への給水や排水、お手入れがしやすいよう所定の開口を塞ぐネジ式の蓋10で構成されている。ネジ式の蓋10には、水槽8への給水ができるようばね式の給水機構11が形成されている。」
(エ)「【0026】
仕切板24は、図7に示すように、横長四角の薄板で、回収ポンプ19と電解ユニット16とを着脱自在に固定できる。回収ポンプ19は、仕切板24に設けられた補助ガイド26に固定され、電解ユニット16は、補助ガイド25に固定される。回収ポンプ19と電解ユニット16は、それぞれ補助ガイド26、補助ガイド25に沿って垂直上方に移動させると、仕切板24から取り外すことができる。
【0027】
送風手段4によって、吸気口2から吸い込まれた空気は、おもに本体ケース1と、仕切板24と、水槽8とによって囲まれた風路を介して、保水手段5を通過し、本体ケース1の吹出口3から本体ケース1外に吹き出される。
【0028】
本実施形態における特徴は、風路の一部である仕切板24は、回収ポンプ19と電解ユニット16を備えた状態で水槽8に着脱自在な構造とした点である。水槽8を引き出した後に、仕切板24を、水槽8に設けられた補助ガイド27、補助ガイド28に沿って垂直上方向に移動することで取り外すことができるものである。
【0029】
すなわち、最初に、本体ケース1から本体正面ケース15を外し、水槽8に装着されている給水タンク9を取り出す。そして、水槽8を本体ケース1から引き出すと、電解ユニット16と電圧印加手段とが外れ、電気的に非導通状態となる。次に、回収ポンプ19のホース23を下方向へ移動させ回収タンク12から外し、この回収タンク12を水槽8から外す。この状態で、仕切板24を掴んで、補助ガイド27、補助ガイド28に沿って垂直上方向に移動することで、仕切板24と、回収ポンプ19と、電解ユニット16とを同時に取り外すことができる。最後に、加湿部31を水槽8から取り外すものである。
【0030】
このように、水槽8に設けられる部品である、仕切板24と、回収ポンプ19と、電解ユニット16とを取り外し可能としたことで、水槽8のスケール付着物を容易に除去できる。」
(オ)「【0036】
また、図8、9に示すように、水槽内面には、仕切板24が着脱自在な補助ガイド28が設けられ、この補助ガイド28は、水槽8の対向する側面夫々から内方へ突出した垂直面である第1の垂直面と第2の垂直面とからなり、これら第1の垂直面と第2の垂直面とは平行であると共に、これら第1の垂直面と第2の垂直面との間に仕切板が上方に着脱可能な構成を有する。これにより、所定の位置に仕切板を取付けることが可能で、かつ仕切板が倒れることがないため、通風路からの風の漏れを防ぐことが可能となる。」
(カ)「【図1】
[図:0001431109000001.jpg]
【図2】
[図:0001431109000002.jpg]
【図3】
[図:0001431109000003.jpg]
【図4】
[図:0001431109000004.jpg]
」
(キ)「【図7】
[図:0001431109000005.jpg]
【図8】
[図:0001431109000006.jpg]
【図9】
[図:0001431109000007.jpg]
」
イ 上記アから認められること
(ア)段落【0018】、【0021】及び【0029】の記載事項並びに図1~3の図示事項から、水槽8は、本体ケース1から本体正面ケース15を外した状態で、本体ケース1に対して水平方向に着脱自在に設けられることが認められる。
(イ)段落【0020】の記載事項並びに図2、3及び7の図示事項から、仕切板24は、水槽8を、給水タンク9を収容する一方の収容部分と、加湿部31を収容する他方の収容部分とに区画することが看て取れる。
(ウ)段落【0021】の記載事項から、センサーは、本体ケース1から引き出して着脱できるものであることが認められる。
(エ)段落【0028】、【0029】及び【0036】の記載事項並びに図7~9の図示事項から、仕切板24は、水槽8に着脱自在に設けられており、水槽8から着脱自在であることが認められる。
ウ 甲1発明
上記ア及びイを総合すると、甲1には、次の事項からなる発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認める。
「水槽8内の水に一部が浸漬した加湿部31と、
本体ケース1内の下部に配置され、前記本体ケース1から本体正面ケース15を外した状態で、前記本体ケース1に対して水平方向に着脱自在に設けられて、天面が開口した横長四角箱形状で、常に一定量の水が給水される水槽8と、
前記水槽8の満水、渇水がわかるように磁石で反応するセンサーと、
前記水槽8に水を給水する給水タンク9と、
前記水槽8を、前記給水タンク9を収容する一方の収容部分と、前記加湿部31を収容する他方の収容部分とに区画する仕切板24と、を備え、
天面が開口している前記水槽8を区画する仕切板24が、前記水槽8に着脱自在に設けられていて、
前記センサーが前記本体ケース1から引き出して着脱できるものであり
前記仕切板24は前記水槽8から着脱自在である除菌加湿装置。」
(2)甲2について
ア 甲2の記載
甲2には、次の記載事項及び図示事項がある。
(ア)「本発明は超音波加湿装置に関するもので、その目的とするところは、全体としてコンパクトにし、給水タンクに水を補給する時も正常な霧化が得られ、しかも安全かつ容易に浮子や振動子の保守、点検を行ないうる構造の超音波加湿装置を提供することである。」(1欄35行~2欄3行)
(イ)「第1図において、1は本体ケース11上に後述するノズルケース8を除く上面に着脱自在の給水タンクで最終的に霧化室2内に給水する。霧化室2の底部には発振回路3からのエネルギーによって振動する振動子4が具備されている。振動子4が振動することにより水面5にできた噴水状の水柱6の周囲に霧7が発生し、図示しない送風装置により上部にノズルを有するノズルケース8より機外に噴霧される。9は浮子で先端に永久磁石10が固定されており、本体ケース11に着脱自在に取付けられている。浮子9は支点12により水面5及び5’の変動に対応して上下に回動する。水面が5’の時は浮子は9’の状態となる。13はリードスイッチで浮子9に付いている永久磁石10の磁力で動作する。14は浮子室で霧化室2と連通し、両者で水溜部を形成している。15はこの浮子室14と前記霧化室2とを仕切る仕切板で本体ケース11とは着脱自在に取付けられ、霧化室2と浮子室14を底部16を除いて仕切っている。この場合に浮子9が取付けである取付ベース17と仕切板15は1体部品でも成形可能である。又取付はベース17と給水タンク1と一体でもよい。」(2欄29行~3欄14行)
(ウ)「第2図において、浮子9の先端の永久磁石10が矢印X方向に回転し、リードスイッチ13に接近すると、リードスイッチ13の接点は閉じて導通し、矢印Y方向に回転し、リードスイッチ13から遠ざかるとリードスイッチ13の接点は開いて導通しなくなる。すなわち第1図における水面が5の時はリードスイッチ13は永久磁石10がX方向の状態にあるので導通し霧7が発生している。水面が12’(当審注;「5’」の誤記と認められる。)の時は永久磁石10がY方向の状態にあるので導通せず霧7の発生が停止される。」(3欄19行~28行)
(エ)「第3図は、第1図における着脱自在の給水タンク1、浮子9、仕切板15、取付け板17をそれぞれ本体ケース11より取外した状態を示し、この時は第2図の回路図で明らかなように電源スイッチがONされてもリードスイッチ13の動作により発霧停止の状態にある。しかも外部より霧化室2内底部に具備した振動子4の表面を覗くことができる。この様な一実施例の構成とすることにより振動子4の表面についたスケール22を外部より掃除工具23等を用いて容易にしかも安全に除去できる。更に、浮子9は外部に取外されているので、浮子9の掃除もきめ細かに行うことができるものである。」(3欄29行~4欄2行)
(オ)「また、前記一実施例の構成によれば、霧化室2を本体ケース11の長手方向一端面に寄せて設けそれに付随してノズルケース8も同じく長手方向一端面に寄せて設けているために、給水タンオ1(当審注:「給水タンク1」の誤記である。)の取外しはこのノズルケース8とは無関係に行なわれ、給水タンク1の取外し中でも通常と変らない霧化作用が得られる。
更に、給水タンク1の形状をノズルケース8に特別影響されず、最もシンプルで最も空間利用率の高く、しかも意匠性の優れた形状にすることができる。この一実施例では本体ケース11を直方体にした関係から、給水タンク1もシンプルな直方体としている。又、この時本体ケース1に周囲の面を面一にしているため外観もすっきりとまとめることができる。」(4欄3行~17行)
(カ)「以上説明したように本発明によれば、振動子や浮子に付着したスケールの除去が容易かつ安全に行うことができると共に、全体としてコンパクトに、しかもシンプルな形状にまとめることができ、更に給水タンクの取外し中も正常な加湿をすることができるものである。」(4欄26行~31行)
(キ)「
[図:0001431109000008.jpg]
」(第1図)
(ク)「
[図:0001431109000009.jpg]
」(第3図)
イ 上記アから認められること
(ア)上記ア(ア)の記載事項から、甲2には、超音波加湿装置が記載されていると認められる。
(イ)上記ア(カ)の第1図の図示事項から、浮子9が支点12により上下に回動するように取付けられる取付ベース17が看て取れる。
また、上記ア(イ)の記載事項において、浮子9が本体ケース11に着脱自在に取付けられていること、及び、取付ベース17と一体部品とされた仕切板15が本体ケース11に着脱自在に取付けられることが説明されており、加えて、第1図から、取付ベース17が水溜部に位置していることが看て取れることから、取付ベース17が水溜部に着脱自在となるように、本体ケース11に着脱自在に取付けられることが認められる。
そして、上記ア(イ)及び(ウ)の記載事項並びに上記ア(カ)の第1図の図示事項によると、取付ベース17に上下に回動するように取付けられた浮子9は、水溜部の水面が水面5と水面5’に変化することに応じて、先端の永久磁石10の位置状態が変わり、それにより水溜部の外側に位置するリードスイッチ13が導通し霧7が発生したり、導通せず霧7の発生が停止されたりすることが説明されているので、浮子9及び取付けベース17は、リードスイッチ13とともに、水溜部の水面5、5’の位置を検知する「検知手段」を構成するものと認められる。
そうすると、上記アから、先端に永久磁石10が固定された浮子9および前記浮子9が支点12により上下に回動するように取付けられる取付ベース17を有し、前記取付べース17が、前記水溜部に着脱自在となるように、本体ケース11に着脱自在に取付けられる、水溜部の水面5、5’の位置を検知する検知手段を備えていることが認められる。
(ウ)上記(イ)と、上記ア(イ)の記載事項及び上記ア(カ)の第1図の図示事項から、超音波加湿装置において、水溜部を浮子室14と霧化室2に仕切る仕切板15が、取付ベース17と一体部品とされ、検知手段と一体で前記水溜部から着脱自在とされることが認められる。
ウ 甲2の技術事項
上記ア及びイを総合すると、甲2には、次の事項(以下「甲2の技術事項」という。)が記載されていると認める。
「超音波加湿装置において、水溜部の水面5、5’の位置を検知する検知手段は、先端に永久磁石10が固定された浮子9および前記浮子9が支点12により上下に回動するように取付けられる取付ベース17を有し、前記取付べース17が、前記水溜部に着脱自在となるように、本体ケース11に着脱自在に取付けられ、前記水溜部を浮子室14と霧化室2に仕切る仕切板15が、前記取付ベース17と一体部品とされ、前記検知手段と一体で前記水溜部から着脱自在とされること。」
(3)甲3について
ア 甲3の記載
甲3には、次の記載事項及び図示事項がある。
(ア)「【0010】
以下、本発明の電子機器のひとつである加湿器の実施の形態を図面に基づき説明する。図1は右側面部に配設されるエアフィルター11及び吸込グリル12が取り外された状態の加湿器1の斜め前方向から見た斜視図、図2は同じく加湿器1の斜め背方から見た斜視図、図3は加湿器1の斜め背方から見た分解斜視図、図4は加湿器筐体2の分解斜視図であり、加湿器筐体2と水槽本体3とから加湿器1が構成される。
【0011】
図4に示すように、前記加湿器筐体2は大きく分けて、加湿器本体4と、この加湿器本体4の天面上に配設され各種表示部及び各種操作部を備える操作・表示パネル5と、加湿器本体4の前面を構成する前面パネル6と、吹出口7が開設されて上面に折り畳み自在に取っ手8が設けられる天面パネル9と、背面パネル10と、エアフィルター11及び吸込グリル12が取り付けられる右側面パネル13と、左側面パネル14などから構成される。
【0012】
図3に示すように、前記加湿器筐体2内は、下部に水槽収納部15が形成され、その上方にファンケーシング16によって囲まれた送風室17が形成される。前記水槽収納部15には上面開口せる水槽本体3が配設され、前記加湿器筐体2が形成された状態で、水槽本体3は加湿器筐体2に対して前後にスライドできて引き出し収納自在である。」
(イ)「【0020】
最後に、図3及び図19に示すように、前記加湿器筐体2内に形成された水槽収納部15内に、水槽本体3を前方へスライドさせながら収納させる。前記水槽本体3内には前側にフィルタ収納室40、後側にタンク収納室41が形成されるように着脱可能な区画板42で両室が連通状態で区分形成しており、前記フィルタ収納室40内にはその中の水に下部が浸る状態に後述する加湿フィルタ43が配設される。
【0021】
そして、水槽本体3のタンク収納室41に上方から給水タンク47を挿入した状態で、加湿器筐体2の背方から前方に向けて前記水槽本体3をスライドさせて水槽収納部15に収納すると、前記区画板42上部が背面パネル10の重合部32に背方から重合する。そして、この状態で、加湿器筐体2の背面パネル10に設けた吊下フック44に前端上部から下向に形成された折返片45が上方から係止するように且つ両側面及び後面が給水タンク47の上部に形成された段差部47A上に載置するように上方から支持蓋体46をかぶせると、上部の逃げ空間54内に前記吊下フック44が収まった状態の給水タンク47を支持蓋体46で支持固定できることとなる(図2及び図20参照)。
【0022】
なお、前記給水タンク47は、図3に示すように、上部に取っ手48を備え、その下部の円形状の注水口49に着脱可能に中央部にバルブ51が設けられたキャップ50が設けられる。図21に示すように、上下逆さまにして、キャップ50を外して注水口49を介して水が満たされた給水タンク47のタンク収納室41への収納の際には、前記バルブ51がタンク収納室41に形成された凹部52に立設されたバルブ当接部53に当接して凹んで開き、給水タンク47内の水が水槽本体3内に供給され、前記凹部52を介してタンク収納室41及びフィルタ収納室40は一定水位に維持される構成である。」
(ウ)「【0028】
また、前記凹部52内にはマグネット付きのフロート58が前後に軸支されて左右方向に揺動可能に配設され、このフロート58に対応して前記加湿器本体4底部に配置されたリードスイッチ(図示せず)が前記マグネットの磁力で開閉され、前記凹部52内の水位が定常水面よりも低下して渇水状態となるとフロート58が揺動してマグネットが降下した際に、加湿器1の運転を停止させるものである。」
(エ)「【図3】
[図:0001431109000010.jpg]
」
(オ)「【図19】
[図:0001431109000011.jpg]
」
(カ)「【図21】
[図:0001431109000012.jpg]
」
(4)参考文献1について
ア 参考文献1の記載
参考文献1には、次の記載事項及び図示事項がある。
(ア)「【0062】
フロート槽240の内部にはフロート270が上下回動自在に設置されている。フロート270は樹脂製のフロート枠271と、フロート枠271の内部に設置された発泡スチロール製の浮揚体272と、フロート枠271の内部の前方には設置された磁石273で構成されている。フロート270は一方の端部である支持端部274の両側に突出した回動軸271aを介してフロート枠271の区画壁241に枢支されており、他方の端部である浮動端部275はフロート槽240の水位変動に従い浮動する構成となっている。」
(イ)「【図10】
[図:0001431109000013.jpg]
【図11】
[図:0001431109000014.jpg]
」
(5)参考文献2について
ア 参考文献2の記載
参考文献2には、次の記載事項及び図示事項がある。
(ア)「【0040】
フロート54は図11に示す形状のフレーム55を備える。フレーム55は合成樹脂の成型品であって、浮力を生じさせる発泡スチロール製ブロック56を抱きかかえている。
【0041】
フレーム55はそれぞれ両端で当該フレーム55につながった左右一対のビーム57を備え、ビーム57の中間部から外向きに突出する支点軸58をフロート収納凹部53の内面に形成した軸受穴53a(図10参照)に係合させることにより、支点軸58を中心としてシーソー様の動きをするように支持される。このように、両端でフレーム55につながったビーム57の中間部に支点軸58を設けるという構成により、軸受穴53aに支点軸58を係合させるときのビーム57のたわみ量を十分に確保することができる。」
(イ)「【図10】
[図:0001431109000015.jpg]
【図11】
[図:0001431109000016.jpg]
」
4 対比
本件発明と甲1発明とを、その機能、構造又は技術的意義を考慮して対比する。
(1)後者の「加湿部31」は、前者の「加湿手段」に相当する。
そして、後者の「水槽8内の水に一部が浸漬した加湿部31」は、水槽8内の水に浸漬した一部から水が吸い上げられ、空気中に水分を放出して、空気を加湿することになるから、前者の「加湿空気を発生させる加湿手段」に相当する。
(2)後者の「本体ケース1」は、前者の「本体」に相当し、同様に、「水槽8」は「水槽部」に相当する。
そして、後者の「水槽8」が、「本体ケース1内の下部に配置され、前記本体ケース1から本体正面ケース15を外した状態で、前記本体ケース1に対して水平方向に着脱自在に設けられ」ることは、甲1の段落【0029】の記載事項において、「本体ケース1から本体正面ケース15を外し、水槽8に装着されている給水タンク9を取り出」した後、「水槽8が本体ケース1から引き出し自在」になり、水槽8が、本体ケース1の本体正面ケース15を外した状態で形成される挿入口より引き出し自在に装着されるものといえるから、前者の「水槽部」が「本体の挿入口より引き出し自在に装着され」ることに相当する。
また、後者の「水槽8」が、「天面が開口した横長四角箱形状で、常に一定量の水が給水される」ことは、水槽8に水が貯えられることになるから、前者の「水槽部」が、「天面が開口し水を貯える」ことに相当する。
そうすると、後者の「本体ケース1内の下部に配置され、前記本体ケース1から本体正面ケース15を外した状態で、前記本体ケース1に対して水平方向に着脱自在に設けられて、天面が開口した横長四角箱形状で、常に一定量の水が給水される水槽8」は、前者の「本体の挿入口より引き出し自在に装着され、天面が開口し水を貯える水槽部」に相当する。
(3)後者の「前記水槽8の満水、渇水がわかるように磁石で反応する」ことは、水槽8の水位を検知しているといえるから、前者の「水槽部の水位を検知する」ことに相当する。
そして、後者の「前記水槽8の満水、渇水がわかるように磁石で反応するセンサー」と、前者の「前記水槽部の水位を検知するフロート、および前記フロートが左右側面間に設けられている軸部を軸にして上下方向に回動可能に装着されている枠体を有する水位検知部」とは、「前記水槽部の水位を検知する水位検知部」という限りにおいて一致する。
(4)後者の「給水する」は、前者の「供給する」に相当し、同様に、「給水タンク9」は「給水タンク」に相当する。
そして、後者の「前記水槽8に水を給水する給水タンク9」は、前者の「前記水槽部に水を供給する給水タンク」に相当する。
(5)後者の「前記給水タンク9を収容する一方の収容部分」は、前者の「前記給水タンクを収容するタンク収容部」に相当し、同様に、「前記加湿部31を収容する他方の収容部分」は「前記加湿手段を収容する加湿手段収容部」に、「仕切板24」は「仕切部」に、それぞれ相当する。
そして、後者の「前記水槽8を、前記給水タンク9を収容する一方の収容部分と、前記加湿部31を収容する他方の収容部分とに区画する仕切板24」は、前者の「前記水槽部を、前記給水タンクを収容するタンク収容部と、前記加湿手段を収容する加湿手段収容部とに区画する仕切部」に相当する。
(6)後者の「天面が開口している前記水槽8を区画する仕切板24が、前記水槽8に着脱自在に設けられてい」ることと、前者の「天面が開口している前記水槽部を区画する前記仕切部が、この水槽部に着脱自在に設けられているとともに、前記仕切部には前記水位検知部の前記枠体が設けられ、この水位検知部の前記枠体の前記左右側面が前記仕切部から突出状態に設けられている構成とされてい」ることとは、「天面が開口している前記水槽部を区画する前記仕切部が、この水槽部に着脱自在に設けられてい」るという限りにおいて、一致する。
(7)後者の「前記仕切板24は前記水槽8から着脱自在である」ことと、前者の「前記仕切部は前記水位検知部と一体で前記水槽部から着脱自在である」こととは、「前記仕切部は前記水槽部から着脱自在である」という限りにおいて一致する。
(8)後者の「除菌加湿装置」は、前者の「加湿装置」に相当する。
以上のことから、本件発明と甲1発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。
[一致点]
「加湿空気を発生させる加湿手段と、
本体の挿入口より装着されて水を貯える水槽部と、
前記水槽部の水位を検知する水位検知部と、
前記水槽部に水を供給する給水タンクと、
前記水槽部を、前記給水タンクを収容するタンク収容部と、前記加湿手段を収容する加湿手段収容部とに区画する仕切部と、を備え、
天面が開口している前記水槽部を区画する前記仕切部が、この水槽部に着脱自在に設けられていて、
前記仕切部は前記水槽部から着脱自在である加湿装置。」
[相違点1]
「水位検知部」に関して、本件発明は、「フロート、および前記フロートが左右側面間に設けられている軸部を軸にして上下方向に回動可能に装着されている枠体を有する」ものであり、甲1発明は、かかる構成は備えていない点。
[相違点2]
「仕切部」に関して、本件発明は、「前記仕切部には前記水位検知部の前記枠体が設けられ、この水位検知部の前記枠体の前記左右側面が前記仕切部から突出状態に設けられている構成とされてい」るのに対して、甲1発明は、かかる構成を備えていない点。
[相違点3]
本件発明は、「前記仕切部は前記水位検知部と一体で前記水槽部から着脱自在に設けられているとともに、前記水位検知部が前記水槽部に着脱自在に設けられていて」、「前記枠体は前記水槽部に着脱自在であ」るのに対して、甲1発明は、仕切板24が水槽8に着脱自在に設けられているものの、かかる構成は備えていない点。
[相違点4]
本件発明は、「前記フロートが回動可能に装着されている前記枠体を有する前記水位検知部は、前記本体から引き出した前記水槽部から前記枠体が設けられている前記仕切部を離脱させることで、この仕切部と一体で前記本体および前記水槽部から離脱する構成とされてい」るのに対して、甲1発明は、かかる構成を備えていない点。
[相違点5]
「前記仕切部は前記水槽部から着脱自在である」ことに関し、本件発明は、「前記仕切部は前記水位検知部と一体」であるのに対して、甲1発明は、かかる構成を備えていない点。
5 判断
事案に鑑み、相違点2について検討する。
甲2の技術事項は、上記3(2)ウのとおりであって、「水位検知部の前記枠体の前記左右側面が前記仕切部から突出状態に設けられている構成」を開示も示唆もするものではない。
したがって、甲1発明において、相違点2に係る本件発明の発明特定事項のように構成することは、甲2の技術事項に基いて当業者が容易に想到し得たこととは認められない。
また、上記3(4)及び(5)の参考文献1及び参考文献2の記載事項及び図示事項を合わせて考慮しても、甲1発明において、相違点2に係る本件発明の発明特定事項のように構成することは当業者が容易に想到し得たこととは認められない。
6 特許異議申立人の意見について
申立人は、令和7年8月5日に提出された意見書において、相違点2に関し、次の主張をする。
(1)「そもそも甲2には、フロートを支持する部分(水位検知部の枠体のうちフロートを支持する部分に相当)が、仕切部と一体の構成から突出状態に設けられていることが記載されている。こういった甲2の技術事項に対し、上記の周知・慣用技術(フロートの両持ち構成)(当審注:参考文献1及び参考文献2から導かれる周知・慣用技術である。)を適用し、相違点1(当審注:特許異議申立人が意見書で主張する「相違点1」であり、「『水位検知部』が有する『枠体』に関し、『前記フロートが左右側面間に設けられている軸部を軸にして上下方向に回動可能に装着されている枠体』であることと、『前記枠体の前記左右側面が前記仕切部から突出状態に設けられている』ことが特定されている点」(3頁1行~4行)を指す。)に係る本件訂正発明1の発明特定事項とすることは、甲2の技術事項に対する設計変更等、あるいは、先行技術の単なる寄せ集めにすぎず、進歩性が肯定される要素には、明らかになり得ないと思料する。」(4頁5行~11行)
(2)「引例2(つまり甲2)の記載からは、フロートが片持ち状態であるかの判別は不能である。それだけでなく、回動可能に設ける構成を片持ちとするか両持ちとするかという選択事項に、技術的思想の創作としての高度性が認められないことは明らかであると付言する。」(6頁17行~20行)
しかしながら、上記3(4)及び(5)の参考文献1及び参考文献2の記載事項及び図示事項からみて、申立人が令和7年8月5日に提出された意見書の3頁6行~10行において主張するとおり、加湿装置において、「フロートが、枠体の左右側面間に設けられている軸部を軸にして上下方向に回動可能な構成」が本件特許の出願前に周知・慣用技術であったとしても、甲2の技術事項において、周知・慣用技術が技術常識として採用される特段の事情は認められない。また、甲1発明において、相違点2に係る本件発明の発明特定事項のように構成するには、少なくとも甲2の技術事項を適用した上で、さらに、周知・慣用技術を適用することで相違点2に係る本件発明の発明特定事項のように構成することを要するものとなるが、このような適用は、いわゆる容易の容易であって、採用することはできない。
さらに、甲2の技術事項に、周知・慣用技術を適用することについても、枠体の左右側面が仕切板15から突出状態に設けられる構成とすることについて、動機付けは認められない。
加えて、甲1発明において、周知・慣用技術を適用したとしても、水位検知部の枠体が水槽から着脱自在となるにとどまり、「水位検知部の前記枠体の前記左右側面が前記仕切部から突出状態に設けられている構成」とはならない。
したがって、甲1発明において、相違点2に係る本件発明の発明特定事項のように構成することは、甲2の技術事項及び周知・慣用技術に基いて当業者が容易に想到し得たこととは認められないから、申立人の上記主張は採用することができない。
7 効果について
そして、本件発明は、「フロートに直接手を触れることなく水位検知部を着脱することができるため、フロートを変形させてしまうおそれがなく、メンテナンス性に優れた加湿装置となる。」(特許明細書の段落【0006】)という所期の目的を奏するものである。
8 まとめ
したがって、本件発明は、他の相違点について検討するまでもなく、甲1発明及び甲2の技術事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、周知・慣用技術、並びに、甲3の記載事項及び図示事項を合わせて考慮しても、甲1発明において、相違点2に係る本件発明の発明特定事項を当業者が容易に想到し得たものとは認められず、本件発明を当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号に該当せず、取り消すべきものとすることはできない。
第5 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について
1 特許法第29条第2項に基づく理由について
(1)甲2に記載された発明を主とした理由について
ア 甲2に記載された発明を主とした理由の概要
本件特許の請求項1に係る発明は、甲2に記載された発明並びに甲1及び甲3に記載された周知の技術事項に基いて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
イ 甲2発明
上記第4の3(2)ア及びイを総合すると、甲2には、次の事項からなる発明(以下「甲2発明」という。)が記載されていると認める。
「霧7を発生させる振動子4と、
浮子室14と霧化室2とで形成され、水を溜める水溜部と、
先端に永久磁石10が固定された浮子9および前記浮子9が支点12により上下に回動するように取付けられる取付ベース17を有する、前記水溜部の水面5、5’の位置を検知する検知手段と、
ノズルケース8とは無関係に取外しが行なわれ、直方体にした本体ケース11に周囲の面を面一にした直方体とした、前記水溜部に水を供給する給水タンク1と、
前記水溜部を前記浮子室14と前記霧化室2に仕切る仕切板15と、を備え、
前記取付べース17が、前記水溜部に着脱自在となるように、前記本体ケース11に着脱自在に取付けられ、
前記仕切板15が、前記取付ベース17と一体部品とされ、前記検知手段と一体で前記水溜部から着脱自在とされる超音波加湿装置。」
ウ 対比・判断
本件発明と甲2発明とを対比すると、少なくとも次の点で相違する。
[相違点6]
「水槽部」を「区画する仕切部」に関し、本件発明は、「前記水槽部を、前記給水タンクを収容するタンク収容部と、前記加湿手段を収容する加湿手段収容部とに区画する」ものであり、「前記仕切部には前記水位検知部の前記枠体が設けられ、この水位検知部の前記枠体の前記左右側面が前記仕切部から突出状態に設けられている構成とされてい」るのに対して、甲2発明は、「前記水溜部を前記浮子室14と前記霧化室2に仕切る」ものであり、かかる構成は備えていない点。
そこで、相違点6について検討する。
甲1の記載事項及び図示事項から「仕切板24」が「水槽8を、給水タンク9を収容する一方の収容部分と、加湿部31を収容する他方の収容部分とに区画する」こと(以下「甲1の技術事項」という。)が認められ、また、甲3の記載事項及び図示事項から「区画板42」が「水槽本体3を、給水タンク47のバルブ51が当接するバルブ当接部53が凹部52に立設された、前記給水タンク47を収納するタンク収納室41と、加湿フィルタ43を収納するフィルタ収納室40とに区画する」こと(以下「甲3の技術事項」という。)が認められる。
しかしながら、甲2発明において、甲1の技術事項又は甲3の技術事項を踏まえて、給水タンク1を水溜部に収容するように設置位置を変更することは、上記第4の3(2)ア(オ)に摘記した甲2の記載(4欄3行~17行)にある「給水タンク1の取外し中でも通常と変らない霧化作用が得られる。」、「給水タンク1の形状をノズルケース8に特別影響されず、最もシンプルで最も空間利用率の高く、しかも意匠性の優れた形状にすることができる。」、「外観もすっきりとまとめることができる。」といった利点を損なうものであるから、当該設置位置の変更については阻害要因があると認められる。
そうすると、甲2発明において、甲1の技術事項又は甲3の技術事項を採用することはできず、水溜部(水槽部)を区画する仕切版15(仕切部)を、給水タンク1(給水タンク)を収容するタンク収容部と、振動子4(加湿手段)を収容する振動子の収容部(加湿手段収容部)とに区画するものとするは困難であるから、相違点6に係る本件発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。
また、甲1及び甲3から、申立人が特許異議申立書の15頁18行~20行で主張するような「気化式の加湿器において、加湿部を備えた水槽部が本体の挿入口より挿入される構成」という本件特許の出願前に周知の技術事項が導き出せるとして、さらに検討を進めると、当該周知の技術事項は、相違点6の本件発明に係る発明特定事項を示すものではないから、甲2発明に当該周知の技術事項を適用したとしても、相違点6の本件発明に係る発明特定事項とすることはできない。
さらに、甲2発明において、上記第4の6で示した周知・慣用技術を適用するとしても、枠体の左右側面が仕切板15から突出状態に設けられる構成とする動機付けは認められないから、相違点6に係る本件発明の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たものではない。
したがって、本件発明は、甲2発明、甲1の技術事項、甲3の技術事項、周知の技術事項及び周知・慣用技術に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
よって、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号に該当せず、取り消すべきものとすることはできない。
(2)甲3に記載された発明を主とした理由について
ア 甲3に記載された発明を主とした理由の概要
本件特許の請求項1に係る発明は、甲3に記載された発明及び甲2に記載された技術事項に基いて、本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものである。
よって、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、同法第113条第2号に該当し、取り消すべきものである。
イ 甲3発明
上記第4の3(3)アを総合すると、甲3には、次の事項からなる発明(以下「甲3発明」という。)が記載されていると認める。
「湿気を含む空気を発生させる加湿フィルタ43と、
加湿器筐体2の下部に引き出し収納自在に配設されて、上面が開口し水を貯える水槽本体3と、
水位が定常水面よりも低下して渇水状態となることを検知する、加湿器本体4底部に配置されたリードスイッチ、マグネット付きのフロート58、及び前記フロート58が前後に軸支されて左右方向に揺動可能に配設される、前記水槽本体3のタンク収納室41に形成された凹部52を有する検知部と、
前記水槽本体3に水を供給する給水タンク47と、
前記水槽本体3を、前記給水タンク47のバルブ51が当接するバルブ当接部53が前記凹部52に立設された、前記給水タンク47を収納するタンク収納室41と、加湿フィルタ43を収納するフィルタ収納室40とに区画する区画板42と、を備え、
区画板42は水槽本体3から着脱可能である加湿器1。」
ウ 対比・判断
本件発明と甲3発明とを対比すると、少なくとも次の点で相違する。
[相違点7]
「仕切部」に関して、本件発明は、「前記仕切部には前記水位検知部の前記枠体が設けられ、この水位検知部の前記枠体の前記左右側面が前記仕切部から突出状態に設けられている構成とされてい」るのに対して、甲3発明は、かかる構成を備えていない点。
そこで、上記相違点7について検討する。
相違点7の本件発明に係る発明特定事項は、相違点2の本件発明に係る発明特定事項と同様であるから、上記第4の5の検討と同様の理由により、甲3発明において、甲2の技術事項に基いて相違点7に係る本件発明の発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に想到し得たこととは認められない。
また、上記第4の5~8の検討を踏まえると、参考文献1及び参考文献2に例示される周知・慣用技術、並びに、甲1の記載事項及び図示事項を合わせて考慮しても、甲3発明において、相違点7に係る本件発明の発明特定事項のように構成することは、当業者が容易に想到し得たこととは認められない。
そうすると、本件発明は、甲3発明及び甲2の技術事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
また、周知・慣用技術、並びに、甲1の記載事項及び図示事項を合わせて考慮しても、本件発明は当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。
よって、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものではなく、同法第113条第2号に該当せず、取り消すべきものとすることはできない。
2 特許法第36条第6項第2号に基づく理由について
(1)特許法第36条第6項第2号に基づく理由の概要
申立人は、本件特許の請求項1の記載は、特許を受けようとする発明が明確に把握できず、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていないため、本件特許の請求項1に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである旨を主張する。
そして、特許異議申立書の16頁13行~17頁6行において、概ね以下の主張をする。
本件特許発明1の構成要件Gは「前記仕切部は前記水位検知部と一体で前記水槽部から着脱自在である加湿装置。」である。
一方で、構成要件Fは「前記枠体が前記水槽部に着脱自在であり、」であるが、枠体が水槽部に着脱自在であることは構成要件Gから自明である。それにもかかわらず、このように規定されている構成要件Fは、本件特許発明1においてどのような技術的事項を特定しているのかが読み取れない。
別個に記載された構成要件FとGは、別個の技術的事項を特定しているはずであるが、特許請求の範囲に記載の文言からは別個の技術的事項を特定しているようには読み取れず、構成要件Gから読み取れる内容に対し、構成要件Fが何を示すものであるか理解できず、本件発明に係る特許請求の範囲から一の発明を把握することができない。
つまり、構成要件Gとの関係において構成要件Fの意味するところが不明確であり、本件発明に係る特許請求の範囲の記載は、特許を受けようとする発明が明確であること、という要件を満たしていない。
(2)検討
訂正前の請求項1においても、構成要件Fは、枠体についての技術的意味は明確であり、同様に構成要件Gも、仕切部についての技術的意味が明確であって、構成要件Fと構成要件Gとは別個の技術的事項であることが明確であったところ、本件訂正後の請求項1は、「前記仕切部は前記水位検知部と一体で前記水槽部から着脱自在に設けられているとともに、前記水位検知部が前記水槽部に着脱自在に設けられていて」という事項が新たに特定され、本件訂正前の構成要件Fに該当する「前記枠体は前記水槽部に着脱自在であり」という事項と、本件訂正前の構成要件Fに該当する「前記仕切部は前記水位検知部と一体で前記水槽部から着脱自在である」という事項とが別個の技術的事項であることがより明確となった。
したがって、訂正後の本件発明は明確であり、本件特許の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第2号の要件を満たすものである。
よって、申立人の上記(1)の主張は採用することができず、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第113条第4号に該当せず、取り消すべきものとすることはできない。
3 特許法第36条第6項第1号に基づく理由について
(1)特許法第36条第6項第1号に基づく理由の概要
申立人は、本件発明は、発明の詳細な説明において発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものであって、本件特許の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていないため、本件特許の請求項1に係る特許は、同法第113条第4号に該当し、取り消されるべきものである旨を主張する。
そして、特許異議申立書の17頁7行~18頁末行において、概ね、以下の主張をする。
本件特許発明1の詳細な説明(甲第4号証:本件特許発明1の特許公報を参照)には、構成要件Fに該当する説明として、段落【0031】の記載があり、さらに段落【0033】の記載がある。
また、構成要件Gに該当する説明として、段落【0028】の記載がある。
これらの記載および図4、図11の記載によると、水位検知部13の枠体17の前側面172aに設けられている枠体側接続部173と前後方向の逆側において、水位検知部13の枠体17の後側面172dと仕切部12下部中央の凹部とが分解可能または分解不可能に係合して、水位検知部13と仕切部12が一体的に構成され、枠体側接続部173を介して水位検知部13が仕切部12と一体的に水槽部7に着脱自在とされることが開示されている。
なお、段落【0028】の記載や図11の記載を考慮しても、枠体17の位置決めを枠体側接続部173が行っている形態のみが開示されていて、それ以外の形態は一切開示されていない。
つまり、本件特許発明1には、枠体17をそれ自体で水槽部7に着脱自在とすることで課題を解決する技術思想のみが開示されている。
ここで、構成要件Gは、仕切部とフロートと枠体とが一体で水槽部から着脱自在とする概念(以下、特定概念という)であると解釈される。その一方で、構成要件Fでは「前記枠体が前記水槽部に着脱自在であり、」と規定されていて、構成要件Fが、構成要件Gの特定概念を包含すると解釈することも可能な記載となっている。
そのため、構成要件Fは構成要件Gの特定概念をも包含する広い概念だと解釈した場合、例えば、仕切部12を着脱するのみで水位検知部13が水槽部7から着脱自在とされる構成を含み得る。
しかし、前述のとおり本件特許発明1の明細書および図面には、仕切部12を着脱するのみで水位検知部13が水槽部7から着脱自在とされる構成、つまり枠体17をそれ自体で水杷部7に着脱自在とすることで課題を解決する技術思想以外の技術思想についての開示および示唆は全くない。
したがって、本件特許発明1の構成要件Fで特定されている事項は、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものであって、特許請求の範囲の記載はサポート要件を満たしていない。
(2)検討
本件訂正後の請求項1において、「前記仕切部は前記水位検知部と一体で前記水槽部から着脱自在に設けられているとともに、前記水位検知部が前記水槽部に着脱自在に設けられていて」、「前記枠体は前記水槽部に着脱自在であり、前記仕切部は前記水位検知部と一体で前記水槽部から着脱自在である」との事項が特定されたものとなった。
そうすると、本件訂正後の請求項1に記載された、構成要件Fに該当する「前記枠体は前記水槽部に着脱自在であり」との事項が、発明の課題が解決できることを当業者が認識できるように記載された範囲を超えるものということはできない。
したがって、本件特許の請求項1の記載は、特許法第36条第6項第1号の要件を満たすものである。
よって、申立人の上記(1)の主張は採用することができず、本件特許の請求項1に係る特許は、特許法第113条第4号に該当せず、取り消すべきものとすることはできない。
第7 むすび
以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由及び特許異議申立書に記載した特許異議申立理由によっては、本件特許の請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2024-700659