特許異議申立
2022-701154
全負荷用分電盤及び全負荷用分電盤を含む電力供給システム
- 審判番号
- 2022-701154
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-031778
- 登録番号
- 7074223
- 請求日
- 2022年11月22日
- 審決日
- 2023年03月30日
- 公報発行日
- 2023年04月28日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】オムロン株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人秀和特許事務所
- 【異議申立人】藤本 歩
- 審判長/審判官
- 審判長 土居 仁士
- 審判官 猪瀬 隆広
- 審判官 丸山 高政
- 分類
- P1651.121-Y (H02J)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7074223号発明「全負荷用分電盤及び全負荷用分電盤を含む電力供給システム」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7074223号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7074223号(以下「本件特許」という。)は、令和3年3月1日に出願され、令和4年5月16日にその特許権の設定登録がされ、令和4年5月24日に特許掲載公報が発行された。その後、その請求項1~8に係る特許に対し、令和4年11月22日に特許異議申立人 藤本歩(以下「申立人」という。)は、特許異議申立書(以下「申立書」という。)を提出して特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~8に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明8」といい、これらを総称して「本件発明」という。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
商用電力系統から供給される電力が入力される第1入力端子と、分散電源から供給される電力が入力される第2入力端子と、負荷に供給される電力が出力される出力端子と、を有し、該第1入力端子及び該第2入力端子を切り替えて該出力端子に接続する自動切替開閉器と、
一端が前記商用電力系統に接続され、他端が前記第1入力端子に接続される電路に配置された第1端子台及び第2端子台と、
を備えた全負荷用分電盤であって、
前記第1端子台は、一端が前記商用電力系統に接続された第1商用電力線の他端が接続される第1端子と、前記分散電源と前記商用電力系統とを接続する第1分散電源接続線の一端と、前記第1端子台と前記第2端子台とを接続する第2商用電力線の一端とが接続される第2端子とを有し、
前記第2端子台は、前記第2商用電力線の他端が接続される第3端子と、前記第2端子台と前記第1入力端子とを接続する第3商用電力線の一端が接続される第4端子を有し、電力供給装置から供給される電力を供給する第1電力供給線の一端が、該第3端子及び該第4端子のいずれか一方に接続可能であることを特徴とする全負荷用分電盤。
【請求項2】
前記電力供給装置には、前記商用電力系統から供給される電流を検出する電流検出器の検出結果に基づいて前記第3商用電力線に供給する電力を制御するために、該電流検出器が接続され、
前記第2商用電力線は、前記電流検出器が検出すべき電流が流れる電流検出器用配線であることを特徴とする請求項1に記載の全負荷用分電盤。
【請求項3】
前記電力供給装置には、前記商用電力系統から供給される電流を検出する電流検出器の検出結果に基づいて前記第3商用電力線に供給する電力を制御するために、該電流検出器が接続され、
前記第2商用電力線に前記電流検出器を取り付けるための取付スペースを設けたことを特徴とする請求項1に記載の全負荷用分電盤。
【請求項4】
前記分散電源は、蓄電池及び太陽電池の少なくともいずれか一方を含むことを特徴とする請求項1又は3のいずれか1項に記載の全負荷用分電盤。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の全負荷用分電盤と、
前記分散電源と、
を含む電力供給システムであって、
前記第1分散電源接続線を介して前記商用電力系統から供給される電力又は、前記分散電源から前記第1分散電源接続線に出力される電力を変換する第1電力変換装置と、
前記分散電源から供給された電力を変換して前記第2入力端子に入力する第2電力変換装置と、
を備えたことを特徴とする電力供給システム。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の全負荷用分電盤であって、
前記第1分散電源接続線の他端に接続された第1ブレーカと、
前記第2入力端子と前記分散電源とを接続する電路に設けられた第2ブレーカと、
前記出力端子と、前記負荷が接続される主分電盤とを接続する電路に設けられた第3ブレーカと、
を有する全負荷用分電盤と、
前記分散電源と、
を含む電力供給システムであって、
前記第1ブレーカに一端が接続された第2分散電源接続線の他端が接続され、前記商用電力系統から供給された電力又は、前記分散電源から該第2分散電源接続線に出力される電力を変換する第1電力変換装置と、
前記第2ブレーカに一端が接続された第2電力供給線の他端が接続され、前記分散電源から供給された電力を変換して前記負荷に供給する第2電力変換装置と、
を備えたことを特徴とする電力供給システム。
【請求項7】
さらに、前記電力供給装置を含む、
請求項5又は6に記載の電力供給システム。
【請求項8】
前記電力供給装置はガス発電により電力を生成することを特徴とする請求項7に記載の電力供給システム。」
第3 申立理由の概要
申立人は、証拠方法として、以下「1 証拠方法」に示す甲第1の1号証~甲第3号証(以下、それぞれ「甲1-1」~「甲3」という。)を提出し、以下「2 申立理由」に示す理由により、本件特許の請求項1~8に係る特許を取り消すべきものである旨主張する。
1 証拠方法
甲1-1 「OMRON 工事店様用 マルチ蓄電プラットフォーム施工マニュアル 全負荷」、品番 5647734-3 G,オムロンソーシアルソリューションズ株式会社、(発行日の掲載なし)、1~254頁
甲1-2 「OMRON マルチ蓄電プラットフォームTM 暮らしに合わせて組み合わせる新しい蓄電池」、カタログ番号 KAND-044A、オムロンソーシアルソリューションズ株式会社、2020年6月、1~20頁
甲2 特開2016-73036号公報
甲3 特開2014-59244号公報
2 申立理由
申立人は、「本件特許の請求項1乃至8に係る発明は、甲第1の1号証に記載された発明を主引例とし、それに甲2記載事項及び甲3記載事項を組み合わせることで、原出願前に当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない」旨主張するところ(申立書53頁)、「甲第1の1号証の施工マニュアルの頒布時期は不明であるが、…(中略)…2020年6月以前に公然知られていた発明に該当する。また、甲第1の1号証の施工マニュアルの頒布時期が2021年3月1日より前であれば、甲第1の1号証の施工マニュアルは、頒布された刊行物に該当する。」(申立書19頁)と主張するので、申立人の主張する理由は以下の2つであると認める。
(1)申立理由1 本件特許の請求項1~8に係る発明は、甲1-1~甲3に記載された発明(特許法29条1項3号に規定される発明)に基づいて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、前記請求項に係る特許は、同法29条2項の規定に違反してされたものである(同法113条2号)。
(2)申立理由2 本件特許の請求項1~8に係る発明は、甲1-1及び甲1-2により立証される公然知られた発明(特許法29条1項1号に規定される発明)及び甲2~甲3に記載された発明に基づいて、本件特許の出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、前記請求項に係る特許は、同法29条2項の規定に違反してされたものである(同法113条2号)。
第4 甲各号証の記載内容
1 甲1-1の記載内容
甲1-1の記載内容は、以下のとおりである。
(1) 表紙
表紙上部には、四角で囲われた「工事店様用」との記載の下に
「マルチ蓄電プラットフォーム施工マニュアル
全負荷」との記載がある。
表紙の下方には、「この施工マニュアルは、マルチ蓄電プラットフォームの施工方法について、工事店様向けに説明しています。
はじめにこの施工マニュアルをよくお読みになり、十分にご理解のうえ、正しく安全にご使用ください。
・システムの施工に際して記載内容を守ってください。
・システムの施工は電気の知識を有する専門家が行ってください。」
との記載がある。
(2) 31頁
31頁右上には「はじめに」と記載され、
その下に「マルチ蓄電プラットフォームについて」との見出しがあり、
さらにその下に
「マルチ蓄電プラットフォームは、機器の構成を変えることで以下の3つの蓄電システムを構築することができます。それぞれのシステムには以下の特徴があります。
本書はハイブリッド蓄電システム全負荷について説明しています。」
との記載がある。
(3) 32頁
32頁右上には「はじめに」と記載され、
その下に「マルチ蓄電プラットフォームについて(つづき)」との見出しがあり、
さらにその下に「システムの構成機器」の表題があり、
続いて以下の記載がある。
「システムを構成する機器は以下のとおりです。施工するシステムの構成機器を下記で確認してください。
[図:0001396306000001.jpg]
」
(4) 37頁
37頁には、以下の記載がある。
「
[図:0001396306000002.jpg]
」
(5) 245頁
245頁には、以下の記載がある。
「
[図:0001396306000003.jpg]
」
なお、245頁の図において呼称が定まっていないものについては、申立書20頁の配線図(甲1-1の245頁の図に申立人が符号を書き加えたもの。下図。)に記載された符号及び申立書の呼称を用い、「第1の商用電力線11a」、「第2の商用電力線12a」、「第1端子台2a」、「第1端子21a」、「第2端子22a」、「第1入力端子51a」、「第2入力端子52a」、「出力端子53a」及び「第1分散電源接続線33a」として参照する。
「
[図:0001396306000004.jpg]
」
(6) 裏表紙
四角で囲われた「技術的なお問い合わせ先」との記載の下に、
「オムロンソーシアルソリューションズ株式会社 パワーコンディショナ相談窓口」
との記載がある。
(7) 甲1-1システムの認定
前記(2)~(5)の記載によれば、甲1-1から次のシステム(以下「甲1-1システム」という。)が認められる。(なお、各段落頭のアルファベットは、後の参照のための分説記号である。)
「A パワーコンディショナ(KPBP-A)、蓄電池ユニット(KP-BU164-S)、ゲートウェイ(KP-GWBP-A)、PVユニット(KP-DDP66)、トランスユニット(KP-TRN40)及び全負荷用分電盤(KP-DB60)から構成される(32頁、前記(3))「ハイブリッド蓄電システム全負荷」と称するシステム(31頁、前記(2))であって、
B 全負荷用分電盤は、第1端子台2a、蓄電システム用ブレーカ、トランスユニット用ブレーカ、自動切替開閉器及び主分電盤用ブレーカを備え(245頁図、前記(5))、
C 第1の商用電力線11aの一端は、主幹漏電ブレーカ等を介して商用系統に接続され(245頁図、前記(5))、
D 第1の商用電力線11aの他端は、第1端子台2aの第1端子21aに接続され(245頁図、前記(5))、
E 第2の商用電力線12aの一端は、第1端子台2aの第2端子22aに接続され(245頁図、前記(5))、
F 第2の商用電力線12aの他端は、自動切替開閉器の第1入力端子51aに接続され(245頁図、前記(5))、
G 太陽電池からの電力は、太陽電池直流線(配線I)でPVユニットに供給され、PVユニットからの電力は、PVユニット入出力線(配線G)でパワーコンディショナに供給され、蓄電池ユニットからの電力は、蓄電池ユニット入出力線(配線B)でパワーコンディショナに供給され、パワーコンディショナからの電力は、トランスユニット入出力線(配線Q)でトランスユニットに供給され、トランスユニットからの電力は、全負荷入出力線(配線U)でトランスユニット用ブレーカの下側端子に供給され、トランスユニット用ブレーカの上側の端子は、自動切替開閉器の第2入力端子52aに入力され(37頁、245頁図、前記(4)、(5))、
H 自動切替開閉器の出力端子53aは、主分電盤用ブレーカ及び主分電盤を介して一般負荷に接続され(245頁図、前記(5))、
I 自動切替開閉器によって、全負荷への電力経路が、自動で「蓄電システム側」と「商用系統側」に切り替わり(245頁※2、前記(5))、
J パワーコンディショナからの電力は、系統入出力線(配線S)で蓄電システム用ブレーカの下側端子に入力され、蓄電システム用ブレーカの上側端子は、第1分散電源接続線33aで第1端子台21aの第2端子22aに接続される(245頁図、前記(5))、
K システム。」
2 甲1-2の記載内容
(1) 16頁
16頁には3つの図が掲載されており、そのうち最下図は、以下のとおりである。
「
[図:0001396306000005.jpg]
」
(2) 17頁
17頁には、以下の表が掲載されている。
「
[図:0001396306000006.jpg]
」
(3) 19頁
19頁には、「ご購入の組み合わせ例」の項目が記載されており、同頁上段には、「1 機器セット」の表題とともに、以下の表が掲載されている。
「
[図:0001396306000007.jpg]
」
(4) 20頁(裏表紙)
裏表紙の左下方には
「オムロンソーシアルソリューションズ株式会社」
との記載があり、その下に住所、お問い合わせ窓口、受付時間が記載され、
さらにその下に
「カタログ番号 KAND-044A 2020年6月現在」、
との記載がある。
(5) 甲1-2システムの認定
前記(1)~(3)の記載によれば、甲1-2から次のシステム(以下、「甲1-2システム」という。)が認められる。
「マルチ蓄電パワーコンディショナ(KPBP-A)、蓄電池ユニット(KP-BU164-S)、マルチ蓄電システム用ゲートウェイ(KP-GWBP-A)、PVユニット(KP-DDP66)、トランスユニット(KP-TRN40)及び全負荷用分電盤(KP-DB60)を含む(16頁、17頁、前記(1)、(2))、品名が「ハイブリッド(全負荷)」と称する機器セット(KPBP-A-SET-HYB164-F)から構成される(19頁、前記(3))、全負荷対応型ハイブリッド蓄電システム(16頁、前記(1))。」
3 甲2の記載
甲2には、以下が記載されている。なお、下線は強調のために当審で付した。
(1) 「【0010】
以下、本発明による電力供給システムおよび電力供給切替装置の一実施形態について図1に示す電力供給システム概要図に基づいて説明する。電力供給システム10は、系統電源11、外部負荷12、主電線13、主開閉器14、第一分散型電源15、および第二分散型電源16を備えている。
【0011】
系統電源11は、外部負荷12に主電線13を介して電気的に接続されており、外部負荷12に電力(交流電力)を供給している。外部負荷12は、第一分散型電源15、第二分散型電源16などの分散型電源とは別体に配設されている電力負荷であり、例えば家庭内に配設されているテレビなどの家電製品である。」
(2) 「【0014】
第一分散型電源15は、第一電力供給装置15a、第一電力変換装置15b、第一接続用電線15c、第一解列器15d、第一制御装置15e、および第一検出器15fを備えている。
【0015】
第一電力供給装置15aは、電力(直流電力または交流電力)を発生させ供給する装置(電力供給装置)である。電力供給装置は、例えば蓄電池、太陽光発電装置、燃料電池発電装置、ガスエンジン方式発電装置、ガスタービン方式発電装置などがある。第一電力供給装置15aは、太陽光発電装置または蓄電池であってもよく、両方のセットであってもよい。
【0016】
第一電力変換装置15bは、第一電力供給装置15aから供給された電力を変換して主電線13に出力する装置である。第一電力供給装置15aからの直流電力または交流電力を主電線13と同期した交流電力に変換させる。
【0017】
第一接続用電線15cの一端は、第一電力変換装置15bに接続されるとともに、第一接続用電線15cの他端は、主電線13の第一接続点13aに接続されている。主電線13の第一接続点13aは、主電線13の主開閉器14より下流部位に設けられている。第一解列器15dは、第一接続用電線15cに設けられている。第一解列器15dは、第一制御装置15eからの閉指示により閉状態とされ(連系状態)、第一制御装置15eからの開指示により開状態とされる(解列状態)。」
(3) 「【0020】
第二分散型電源16は、第二電力供給装置16a、第二電力変換装置16b、第二接続用電線16c、第二解列器16d、第二制御装置16e、第二検出器16f、および第三検出器16gを備えている。
【0021】
第二電力供給装置16aは、電力(直流電力、または交流電力)を発生させ供給する装置(電力供給装置)である。第二電力供給装置16aは、化石燃料を利用する発電装置、例えば、ガスエンジン方式発電装置である。
【0022】
第二接続用電線16cの一端は、第二電力変換装置16bに接続されるとともに、第二接続用電線16cの他端側は、主電線13の第二接続点13bに接続されている。主電線13の第二接続点13bは、主電線13の第一接続点13aより下流部位に設けられている。第二解列器16dは、第二接続用電線16cに設けられている。第二解列器16dは、第二制御装置16eからの閉指示により閉状態とされ(連系状態)、第二制御装置16eからの開指示により開状態とされる(解列状態)。」
(4) 「【0025】
電力供給システム10は、各電源11,15,16から外部負荷12への電力供給を切り替える電力供給切替装置20をさらに備えている。電力供給切替装置20は、ケーシング21、第一開閉器22、第二開閉器23、第三開閉器24、接続部25およびケーシング内電線26を含んで構成されている。
(5) 「【0030】
第一接続端子25aと第二接続端子25bとは、ケーシング内主電線26aによって接続されている。ケーシング内主電線26aは、電力供給切替装置20内において主電線13の一部を構成する。上述した第二接続点13bは、ケーシング内主電線26aに設けられている。上述した第二検出器16fは、ケーシング内主電線26aに設けられている。なお、第二検出器16fは、電力供給切替装置20外であって電力供給切替装置20の上流側の主電線13に設けるようにしてもよい。」
(6) 「【図1】
[図:0001396306000008.jpg]
」
(7) 前記(1)~(6)を踏まえると、甲2には、以下の技術(以下、「甲2技術」という。)が記載されていると認められる。
「系統電源11、外部負荷12、主電線13、主開閉器14、第一分散型電源15、および第二分散型電源16を備えた電力供給システム10であって(【0010】)、
電力供給システム10は、各電源11,15,16から外部負荷12への電力供給を切り替える電力供給切替装置20をさらに備え、電力供給切替装置20は、ケーシング21およびケーシング内電線26を含んで構成され(【0025】)、
系統電源11は、外部負荷12に主電線13を介して電気的に接続されており、外部負荷12に電力(交流電力)を供給し(【0011】)、
第一分散型電源15は、第一電力供給装置15a、第一電力変換装置15b、第一接続用電線15cを備え(【0014】)、
第一電力供給装置15aは、太陽光発電装置または蓄電池であり(【0015】)、
第一接続用電線15cの一端は、第一電力変換装置15bに接続されるとともに、第一接続用電線15cの他端は、主電線13の第一接続点13aに接続され(【0017】)、
第二分散型電源16は、第二電力供給装置16a、第二電力変換装置16b、第二接続用電線16cを備え(【0020】)、
第二電力供給装置16aは、化石燃料を利用する発電装置であり(【0021】)、
第二接続用電線16cの一端は、第二電力変換装置16bに接続されるとともに、第二接続用電線16cの他端側は、主電線13の第二接続点13bに接続され(【0022】)、
第二接続点13bは、ケーシング内主電線26aに設けられている(【0030】)
電力供給システム10。」
4 甲3の記載
甲3には、以下が記載されている。なお、下線は強調のために当審で付した。
(1) 「【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1はこの発明を実施するための実施の形態1における電力表示器と各種発電装置および住宅内分電盤との接続構成を示す図である。図2は電力表示器の内部ブロック構成図である。
これらの図により、実施の形態1を説明する。
【0012】
まず、図1、図2を用いて、本発明の電力表示器と、太陽光発電システムおよび他の発電装置としての家庭用燃料電池と、住宅内分電盤との接続構成および動作について説明する。
住宅内の分電盤2には商用電源6が接続されており、分電盤2内の契約ブレーカ14、主幹ブレーカ9、分岐ブレーカ4a~4cを経由して、各分岐ブレーカの二次側に接続されている住宅内の各負荷に商用電源6からの交流電力が供給される。なお、本明細書において、分電盤2内における主幹ブレーカ9の一次側の主幹配線部および二次側の主幹配線部をそれぞれ主幹回路9a、主幹回路9bと呼ぶことにする。
太陽光発電システム1は、太陽光を受けて直流電力を発電する太陽電池モジュール1aと、その直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナ1bとで構成される。パワーコンディショナ1bの出力線は分電盤2内の連系ブレーカ3に接続されている。連系ブレーカ3は分電盤2内の主幹回路9aに接続されている。太陽光発電システム1による発電電力は分電盤2内の連系ブレーカ3から主幹ブレーカ9、分岐ブレーカ4a~4cを経由して住宅内の電気機器5a~5cで消費される。曇天時や雨天時など発電電力が少ない場合や、夜間など発電できない場合には、商用電源6(系統電源)から分電盤2内の契約ブレーカ14、主幹ブレーカ9、分岐ブレーカ4a~4cを経由して電力が各電気機器5a~5cに供給される(買電)。逆に発電電力がそのときに住宅内の各電気機器5で消費されている全電力よりも多い場合は、その余剰分は分電盤2内の契約ブレーカ14を経由して商用電源6に逆潮流される(売電)。
【0013】
他の発電装置の一例としての家庭用燃料電池7は、都市ガスなどの燃料から水素を取り出し、空気中の酸素と反応させて直流電力を発電するシステムである。なお、発電時の排熱で作った温水を貯湯槽に貯め、給湯に利用している。発電した直流電力は交流電力に変換される。家庭用燃料電池7の出力線は分電盤2内の連系ブレーカ8に接続されている。連系ブレーカ8は分電盤2内の主幹回路9bに接続されている。家庭用燃料電池7による発電電力は分電盤2内の連系ブレーカ8、分岐ブレーカ4a~4cを経由して住宅内の電気機器5a~5cで消費することができる。ただし、太陽光発電システムのように売電することはできないため、分電盤2内の主幹ブレーカ9部に装着された逆潮監視センサ7aで家庭用燃料電池7からの逆潮流の有無を監視し、逆潮流が生じそうになった場合は運転を停止するように構成されている。」
(2) 「
[図:0001396306000009.jpg]
」
(3) 前記【図1】を参照すると、パワーコンディショナ1bの出力線と主幹回路9aとの接続点(以下「第1接続点」という)が見て取れる。
また、同様に、家庭用燃料電池7の出力線と主幹回路9bとの接続点(以下「第2接続点」という)が見て取れる。
(4) 前記(1)~(3)を踏まえると、甲3には、以下の技術(以下、「甲3技術」という。)が記載されていると認められる。
「住宅内の分電盤2には商用電源6が接続され、分電盤2内の契約ブレーカ14、主幹ブレーカ9、分岐ブレーカ4a~4cを経由して、各分岐ブレーカの二次側に接続されている住宅内の各負荷に商用電源6からの交流電力が供給され(【0012】)、
主幹ブレーカ9の一次側の主幹配線部および二次側の主幹配線部をそれぞれ主幹回路9a、主幹回路9bと呼び(【0012】)、
太陽光発電システム1は、太陽光を受けて直流電力を発電する太陽電池モジュール1aと、その直流電力を交流電力に変換するパワーコンディショナ1bとで構成され、パワーコンディショナ1bの出力線は分電盤2内の連系ブレーカ3に接続され、連系ブレーカ3は分電盤2内の主幹回路9aに第1接続点で接続されており(【0012】、前記(3))、
家庭用燃料電池7は、都市ガスなどの燃料から水素を取り出し、空気中の酸素と反応させて直流電力を発電するシステムであり、家庭用燃料電池7の出力線は分電盤2内の連系ブレーカ8に接続され、連系ブレーカ8は分電盤2内の主幹回路9bに第2接続点で接続される(【0013】、前記(3))、
電力表示器と各種発電装置および住宅内分電盤(【0011】)。」
第5 申立理由1についての当審の判断
まず、申立理由1について判断する。
甲1-1には発行日の記載がなく、その他の証拠を参照しても、甲1-1が本件特許出願前に頒布された刊行物であったとも、甲1-1の記載内容が本件特許出願前に電気通信回線を通じて公衆に利用可能であったとも認められない。
したがって、甲1-1の記載内容によらず、本件発明は、本件特許出願前に当業者が甲1-1に記載された発明から容易に発明をすることができたものとは認められない。
第6 申立理由2についての当審の判断
次いで、申立理由2について判断する。
1 甲1-1システムと甲1-2システムとの同一性
甲1-1システムと甲1-2システムとは、システムを構成する機器の形式が全て同一であり、また、各機器の接続関係(甲1-2システムについては、前記第4、2(1)の図を参照。)についても甲1-1システムと甲1-2システムとの間に齟齬はない。
よって、甲1-1システムと甲1-2システムとは、同一のシステムであると認められる。
2 甲1-1システムの公知日
甲1-2は、「2020年6月現在」のカタログである(裏表紙、前記第4、2(4))から、甲1-2システムは、2020年6月には販売されていたと認められる。
甲1-1に記載されたシステムのうち、甲1-1システム(パワーコンディショナ(KPBP-A)、蓄電池ユニット(KP-BU164-S)、ゲートウェイ(KP-GWBP-A)、PVユニット(KP-DDP66)、トランスユニット(KP-TRN40)及び全負荷用分電盤(KP-DB60)からなるシステム)は、甲1-2システムと同一のシステムである(前記1)から、2020年6月には販売されていたと認められる。
甲1-1は、「工事店様向けに説明」した「施工マニュアル」(前記第4、1(1))であるから、甲1-1システムが販売された後に必要となる施工の知識を記載したものと認められる。甲1-1システムの施工は、販売後、それほど間を置かずに行われると認められるから、甲1-1に記載された甲1-1システムは、2020年6月の時点で、少なくとも甲1-1システムを施工する可能性のある全ての工事店(施工業者)に、何らかの方法によって、知られていたと認められる。
また、甲1-1に記載された内容に秘匿された部分があるとは認められない。
そうすると、文書としての甲1-1の発行日は不明ではあるものの、甲1-1に記載された甲1-1システムは、本件特許出願日前に公知であったと認められる。
3 本件発明1と甲1-1システムとの対比
本件発明1と公知の甲1-1システムと対比するにあたり、本件特許の請求項1を以下のように分説する。
【請求項1】
1A1A 商用電力系統から供給される電力が入力される第1入力端子と、分散電源から供給される電力が入力される第2入力端子と、負荷に供給される電力が出力される出力端子と、を有し、
1A1B 該第1入力端子及び該第2入力端子を切り替えて該出力端子に接続する
1A1 自動切替開閉器と、
1A2 一端が前記商用電力系統に接続され、他端が前記第1入力端子に接続される電路に配置された第1端子台及び第2端子台と、
1A を備えた全負荷用分電盤であって、
1B 前記第1端子台は、
1B1 一端が前記商用電力系統に接続された第1商用電力線の他端が接続される第1端子と、
1B2 前記分散電源と前記商用電力系統とを接続する第1分散電源接続線の一端と、前記第1端子台と前記第2端子台とを接続する第2商用電力線の一端とが接続される第2端子と
1B を有し、
1C 前記第2端子台は、前記第2商用電力線の他端が接続される第3端子と、前記第2端子台と前記第1入力端子とを接続する第3商用電力線の一端が接続される第4端子を有し、電力供給装置から供給される電力を供給する第1電力供給線の一端が、該第3端子及び該第4端子のいずれか一方に接続可能である
1D ことを特徴とする全負荷用分電盤。
(1) 発明特定事項1A1Aについて
ア 甲1-1システムの「商用系統」及び「自動切替開閉器」が、それぞれ、本件発明1の「商用電力系統」及び「自動切替開閉器」に相当することは明らかである。
イ 甲1-1システムにおいて、第1の商用電力線11aは、主幹漏電ブレーカ等を介して商用系統に接続され(構成C)、第1の商用電力線11aが第1端子台2aに接続され(構成D)、第1端子台2aに第2の商用電力線12aが接続され(構成E)、第2の商用電力線12aは自動切替開閉器の第1入力端子51aに接続される(構成F)から、甲1-1システムにおいて、商用系統からの電力は、主幹漏電ブレーカ等、第1の商用電力線11a、第1端子台2a及び第2の商用電力線12aを介して、「自動切替開閉器」の「第1入力端子51a」に入力される。
そうすると、甲1-1システムの「第1入力端子51a」は、本件発明1の「商用電力系統から供給される電力が入力される第1入力端子」に相当する。
ウ 本件明細書の「前記分散電源は、蓄電池及び太陽電池の少なくともいずれか一方を含むようにしてもよい。」(【0014】)との記載によれば、本件発明1の「分散電源」には、蓄電池又は太陽電池が包含されると解される。
そうすると、甲1-1システムの「太陽電池」及び「蓄電池ユニット」からの電力は、本件発明1の「分散電源」からの電力に相当する。
そして、甲1-1システムにおいて、太陽電池からの電力及び蓄電池ユニットからの電力は、パワーコンディショナに供給され、パワーコンディショナからの出力は、トランスユニットを介して自動切替開閉器の第2入力端子52aに入力される(構成G)から、甲1-1システムの「自動切替開閉器」の「第2入力端子52a」には、分散電源からの電力が、パワーコンディショナ及びトランスユニットを介して供給されている。
よって、甲1-1システムの「第2入力端子52a」は、本件発明1の「分散電源から供給される電力が入力される第2入力端子」に相当する。
エ 甲1-1システムの「自動切替開閉器」の「出力端子53a」は、主分電盤用ブレーカ及び主分電盤を介して一般負荷に接続される(構成H)から、負荷に供給する電力を出力していると認められる。
よって、甲1-1システムの「出力端子53a」は、本件発明1の「負荷に供給される電力が出力される出力端子」に相当する。
オ 前記ア~エによれば、本件発明1の「自動切替開閉器」と、甲1-1システムの「自動切替開閉器」とは、「商用電力系統から供給される電力が入力される第1入力端子と、分散電源から供給される電力が入力される第2入力端子と、負荷に供給される電力が出力される出力端子」を有する点で一致する。
(2) 発明特定事項1A1Bについて
甲1-1システムの「自動切替開閉器」は、「第1入力端子51a」に商用系統からの電力が供給され、「第2入力端子52a」に分散電源からの電力が供給され、「出力端子53a」から負荷に供給される電力が出力されるものである(前記(1))。
そして、甲1-1システムは、「自動切替開閉器」によって「全負荷への電力経路が、自動で「蓄電システム側」と「商用系統側」に切り替わ」る(構成I)ものであり、該蓄電システム側は、蓄電ユニット等が接続するトランスユニット側のことであると認められるから、甲1-1システムの「自動切替開閉器」は、「第1入力端子51a」及び「第2入力端子52a」を切り替えて、「出力端子53a」に接続するものと認められる。
以上によれば、本件発明1の「自動切替開閉器」と、甲1-1システムの「自動切替開閉器」とは、「該第1入力端子及び該第2入力端子を切り替えて該出力端子に接続する」である点で一致する。
(3) 発明特定事項1A1について
甲1-1システムの「全負荷用分電盤」は、「自動切替開閉器」を備える(構成B)。
そして、甲1-1システム及び本件発明1の双方の「自動切替開閉器」が発明特定事項1A1A及び1A1Bにおいて一致することは、前記(1)及び(2)のとおりである。
そうすると、本件発明1の「全負荷用分電盤」と甲1-1システムの「全負荷用分電盤」とは、発明特定事項1A1A及び1A1Bにより特定される「自動切替開閉器」を備える点で一致する。
(4) 発明特定事項1A2について
前記(1)イに示したように、甲1-1システムにおいては、商用系統からの電力が、主幹漏電ブレーカ等、第1の商用電力線11a、第1端子台2a及び第2の商用電力線12aを介して自動切替開閉器の第1入力端子51aに入力されるから、これら主幹漏電ブレーカ等、第1の商用電力線11a、第1端子台2a及び第2の商用電力線12aは、商用系統と第1入力端子51aとを接続する電路を形成する。
そして、該電路に「第1端子台2a」が配置されていることは明らかである。
他方、甲1-1システムには、本件発明1の「第2端子台」に対応する構成が存在しない。
よって、本件発明1の「全負荷用分電盤」と、甲1-1システムの「全負荷用分電盤」とは、「一端が前記商用電力系統に接続され、他端が前記第1入力端子に接続される電路に配置された第1端子台」を備える点で共通する。
(5) 発明特定事項1A及び1Dについて
甲1-1システムの「全負荷用分電盤」が本件発明1の「全負荷用分電盤」に対応することは明らかであり、「全負荷用分電盤」に関するその他の構成に関しては、前記(3)及び(4)のとおりである。
(6) 発明特定事項1B及び1B1について
甲1-1システムにおいては、「第1の商用電力線11a」の一端が商用系統へ接続しており(構成C)、「第1の商用電力線11a」の他端が、「第1端子台2a」の「第1端子21a」に接続される(構成D)から、本件発明1の「第1端子台」と、甲1-1システムの「第1端子台2a」とは、「一端が前記商用電力系統に接続された第1商用電力線の他端が接続される第1端子」を有する点で一致する。
(7) 発明特定事項1B及び1B2について
甲1-1システムにおいて太陽電池からの電力及び蓄電池ユニットからの電力がパワーコンディショナに供給されていることは、前記(1)ウに示したとおりである。
そして、甲1-1システムのパワーコンディショナからの電力は、系統入出力線(配線S)、蓄電システム用ブレーカ及び第1分散電源接続線33aを経由して、「第2端子22a」に接続している(構成J)。
さらに、「第2端子22a」には、「第2の商用電力線12a」が接続されている(構成E)。
そうすると、甲1-1システムの「第1分散電源接続線33a」は、分散電源(パワーコンディショナ等)と商用系統とを接続するものである。
ここで、本件発明1の「第2商用電力線」と、甲1-1システムの「第2の商用電力線12a」とは、一端が「第2端子」と接続されている点で共通するが、他端の接続先が本件発明1では「第2端子台」であるのに対し、甲1-1システムでは「自動切替開閉器の第1入力端子51a」である(構成F)点で相違する。
以上によれば、本件発明1の「第1端子台」と、甲1-1システムの「第1端子台2a」とは、「前記分散電源と前記商用電力系統とを接続する第1分散電源接続線の一端と、第2商用電力線の一端とが接続される第2端子」を有する点で共通する。
(8) 発明特定事項1Cについて
甲1-1システムには、本件発明1の「第2端子台」及び「電力供給装置」に対応するものが存在せず、これに伴って、本件発明1の「第3端子」及び「第4端子」並びに「第3商用電力線」及び「第1電力供給線」に対応するものも存在しない。
(9) 一致点及び相違点
前記(1)~(8)によれば、本件発明1と甲1-1システムの「全負荷用分電盤」との一致点及び相違点は、以下のとおりである。
[一致点]
「商用電力系統から供給される電力が入力される第1入力端子と、分散電源から供給される電力が入力される第2入力端子と、負荷に供給される電力が出力される出力端子と、を有し、該第1入力端子及び該第2入力端子を切り替えて該出力端子に接続する自動切替開閉器と、
一端が前記商用電力系統に接続され、他端が前記第1入力端子に接続される電路に配置された第1端子台と、
を備えた全負荷用分電盤であって、
前記第1端子台は、一端が前記商用電力系統に接続された第1商用電力線の他端が接続される第1端子と、前記分散電源と前記商用電力系統とを接続する第1分散電源接続線の一端と、第2商用電力線の一端とが接続される第2端子とを有する
ことを特徴とする全負荷用分電盤。」である点。
[相違点]
本件発明1は、「第2端子台」及び「電力供給装置」を備えるのに対し、甲1-1システムの「全負荷用分電盤」にはそれらに対応する構成がない点。
上記に関連し、本件発明1は、「第3端子」、「第4端子」、「第3商用電力線」及び「第1電力供給線」を備えるのに対し、甲1-1システムの「全負荷用分電盤」にはそれらに対応する構成がなく、また、本件発明1の「第2商用電力線」の他端は「第2端子台」に接続するのに対し、甲1-1システムの「第2の商用電力線12a」は「第1入力端子51a」に接続する点。
4 相違点についての判断
甲2技術は、「電力供給切替装置20」によって、「系統電源11」、「第一分散型電源15」(太陽光発電装置又は蓄電池)及び「第二分散型電源16」(化石燃料を利用する発電装置)を切り替えて「外部負荷12」に電力供給するものである。甲2技術の「電力供給切替装置20」、「系統電源11」、「第一分散型電源15」、「第二分散型電源16」及び「外部負荷12」は、それぞれ、本件発明1の「自動切替開閉器」、「商用電力系統」、「分散電源」、「電力供給装置」及び「負荷」に対応するものである。
また、甲2技術の「主電線13」は、本件発明1の「電路」、「第1商用電力線」、「第2商用電力線」及び「第3商用電力線」に対応する。
そうすると、甲2技術の「第二接続点13b」は、「第二分散型電源16」を「主電線13」に接続する点であるという機能においては、本件発明1の「第2端子台」の「第3端子」又は「第4端子」に対応するものの、甲2技術の「第二接続点13b」は、「電力供給切替装置20」の「ケーシング21内主電線26a」に設けられている点で、本件発明1の「第2端子台」の「第3端子」又は「第4端子」とは異なる。つまり、甲2技術は、本件発明1のように「第1端子台」及び「自動切替開閉器」と別体に構成された「第2端子台」と、「第2端子台」に設けられた「第3端子」及び「第4端子」とを備えるものではない。
また、甲2のその他の構成を見ても、本件発明1の「第2端子台」に対応する構成は存在しない。
したがって、甲1-1システムに甲2技術を適用したとしても、相違点に係る構成には至らない。
甲3技術は、「商用電源6」、「太陽光発電システム1」及び「家庭用燃料電池7」の電力を「住宅内の各負荷」に供給するものであり、分電盤2の内部に「第1接続点」及び「第2接続点」を有するものの、甲3技術には、端子台については開示していないから、甲1-1システムに甲3に記載された技術を適用したとしても、相違点に係る構成には至らない。
その他、本件発明1の「第2端子台」に対応する構成を開示する文献は存在しない。
5 申立人の主張についての判断
申立人の主張について、以下のとおり判断する。
(1) 甲2について
申立人は、甲1-1の全負荷用分電盤1aと、甲2の電力供給切替装置20は、名称が異なるが、同様の機能を有する装置であり、甲2の第一接続点13aが電力供給切替装置20の外に設けられている点など、両者の間に細かな相違点はあるが、電気的には等価であって、いずれも商用電力系統と負荷の間の配電に関する技術分野に関する公知発明または公知文献であるから、当業者は、これらの公知発明または公知文献の開示を組み合わせることについて、十分に動機付けられる旨(申立書42-43頁)主張する。
しかしながら、甲2技術の「電力供給切替装置20」は、「電源11,15,16から外部負荷12への電力供給を切り替える」(【0010】)という機能から、甲1-1システムの「自動切替開閉器」と対応させて検討されるべきものである。さらには、甲2技術の「電力供給切替装置20」は、第一分散型電源15と主電線13との接続点である「第一接続点13a」(甲1-1システムにおける「全負荷用分電盤」が備える「第1端子台2a」の「第2端子22a」に対応)を内部に備えない点から、甲1-1システムの「全負荷用分電盤」と対応させるべき構成とはいえない。
したがって、申立人の主張は採用できない。
(2) 甲3について
申立人は、甲3の第2接続点(主幹回路9a、9bの下流側の接続点)は、本件発明1の第2端子台に相当し、第2接続点は、第1接続点よりも下流で、家庭用燃料電池7を主幹回路9a、9bに連携しており、第2端子台は、第1端子台より下流で、電力供給装置(燃料電池)を商用電力線に連携しており、両者は電気的に等価であり、分電盤内に配線を結合する際、第1端子台のように端子台を利用することは当業者が当然になし得る設計的事項である旨主張する(申立書43-44頁)。
しかしながら、次のとおり申立人の主張は採用できない。
申立人のいう「第1接続点」及び「第2接続点」が甲3図1のどこを指しているのかが直ちには明らかでないが、申立書33~35頁の記載を参照すると、前記第4、4(3)に示した「第1接続点」及び「第2接続点」のことをいうものと認められる。
そして、甲3技術の「第2接続点」が端子台として構成されることは、甲3に記載がない。
仮に、甲1-1システムに甲3技術を適用する際に、「第2接続点」を端子台で構成することが設計的事項であったとしても、以下のとおりである。
本件発明1の「第2端子台」は、「前記第2端子台と前記第1入力端子とを接続する第3商用電力線の一端が接続される第4端子を有」する(発明特定事項1C)ものであり、「第1入力端子」は、「自動切替開閉器」が有する(発明特定事項1A1A)ものであるから、本件発明1の「第2端子台」は「自動切替開閉器」と接続するものである。
そして、本件発明1の「自動切替開閉器」は、「商用電力系統から供給される電力」と「分散電源から供給される電力」とを「切り替えて該出力端子に接続する」(構成要件1A1A)ものである。
他方、甲3技術は、「商用電源6」からの電力と「太陽光発電システム1」からの電力とを切り替えて出力端子に接続する構成を持たないから、甲3技術には、本件発明1の「自動切替開閉器」に対応する構成が存在しない。
してみると、甲3技術の「第2接続点」は、本件発明1の「自動切替開閉器」に対応する構成と接続されるものではないから、本件発明1の「第2端子台」と電気的に等価であるとはいえない。
よって、甲1-1システムに甲3技術を適用し、その際、仮に、分電盤内の配線の結合に端子台を利用することが、当業者が当然になし得た設計的事項であったとしても、甲3技術の第2接続点が、本件発明1の第2端子台を構成するものとはならない。
以上によれば、申立人の主張は採用できない。
6 本件発明1についての小括
前記1~5によれば、本件発明1は、当業者が本件特許出願前に公知であった甲1-1システムに基づいて容易に発明をすることができたものとは認められない。
7 本件発明2~8の進歩性についての判断
本件発明2~8は、本件発明1の発明特定事項を全て含む発明であるから、甲1-1システムとの間に少なくとも前記3(9)に示した相違点が存在し、前記4と同様の理由により、当業者が容易に発明をすることができたものではない。
第7 むすび
前記第5及び第6によれば、請求項1~8に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものではないから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~8に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~8に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
審決本文(J-PlatPat)
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2022-701154