2022-701102
画像表示装置およびその製造方法
- 審判番号
- 2022-701102
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2021-138605外部サイト(J-PlatPat)へ移動します
- 登録番号
- 7065239
- 請求日
- 2022年11月11日
- 審決日
- 2024年05月22日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 請求成立(取消)
- 分類
- P1651.121-ZAA(B32B)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第113条、特許法第120条の8第1項
- データ出所
- 審決公報(XML)
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結論
理由
目次 ▾ 18項目
第1 手続の経緯
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特許第7065239号(以下「本件特許」という。)について、その手続の経緯は、以下のとおりである。
同年 5月11日 :特許掲載公報の発行
(特許異議申立人:尾坂 道義 全請求項1~20に対して)
同年 5月26日 :訂正請求書及び意見書の提出(特許権者)
同年 8月 7日 :意見書の提出(特許異議申立人)
同年 9月 7日付け:取消理由通知書(決定の予告)
同年 2月26日 :手続補正書及び意見書の提出(特許権者)
第2 本件訂正について
1 請求の趣旨
(1) 先にした訂正の請求について
令和5年5月26日付け訂正請求書による訂正の請求(先にした訂正の請求)は、同年11月13日付け訂正請求書による訂正の請求がされたため、取り下げられたものとみなされる(特許法120条の5第7項)。
(2) 訂正請求書の補正について
令和5年11月13日付け訂正請求書は、令和6年1月17日付け手続補正書及び同年2月26日付け手続補正書により補正されたところ、これら二つの手続補正書の補正対象項目は、いずれも請求の理由の欄であり、令和6年1月17日付け手続補正書の補正の内容は、同年2月26日付け手続補正書により、全て上書きされている。
以下、令和6年2月26日付け手続補正書により補正された、令和5年11月13日付け訂正請求書を、「本件訂正請求書」といい、本件訂正請求書による訂正を「本件訂正」という。
なお、令和6年2月26日付け手続補正は、訂正請求書の要旨を変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法131条の2第1項の規定に適合し、適法な補正である。
(3) 本件訂正の請求の趣旨
本件訂正に係る請求の趣旨は、本件特許の特許請求の範囲を、本件訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~20について訂正することを求めるものである。
2 本件訂正前の特許請求の範囲の記載
本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1~20の記載(登録時における特許請求の範囲の記載)は、以下のとおりである。
「【請求項1】ウインドウ部材と、衝撃吸収部材と、パネル部材と、保護部材とを厚み方向一方側に順に備える画像表示装置であり、前記衝撃吸収部材は、60%以上の全光線透過率を有し、重さ10g、直径13mmのステンレス製ボールを20cmの高さから前記衝撃吸収部材に落下させて求められる前記衝撃吸収部材のボール衝撃吸収率を、前記衝撃吸収部材の厚みで割った、前記衝撃吸収部材の単位厚み当たりのボール衝撃吸収率は、0.27%/μm以上であり、続きを表示(全61行)重さ7g、先端部のボール直径0.7mmのボールペンを20cmの高さから前記衝撃吸収部材に落下させて求められる前記衝撃吸収部材のペン衝撃吸収率を、前記衝撃吸収部材の厚みで割った、前記衝撃吸収部材の単位厚み当たりのペン衝撃吸収率は、0.10%/μm以上である、画像表示装置。【請求項2】前記ウインドウ部材が外側に向くように前記画像表示装置を折り曲げる試験において、前記ウインドウ部材における両外側に向く2つの表面の間隔が8mmとなるように200,000回折り曲げても、前記パネル部材が損傷しない、請求項1に記載の画像表示装置。【請求項3】前記衝撃吸収部材が、第1粘着層と、基材と、第2粘着層とを、前記厚み方向一方側に向かって順に備える、請求項1または請求項2に記載の画像表示装置。【請求項4】前記第1粘着層は、前記ウインドウ部材に接触し、前記第2粘着層は、前記パネル部材に接触する、請求項3に記載の画像表示装置。【請求項5】前記第2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’が、前記第1粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’と同一または高い、請求項3または請求項4に記載の画像表示装置。【請求項6】前記第1粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’が、0.01MPa以上、0.05MPa以下である、請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の画像表示装置。【請求項7】前記第2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’が、0.10MPa以上、0.15MPa以下である、請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の画像表示装置。【請求項8】前記第2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’から、前記第1粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’を引いた値が、0.06MPa以上である、請求項3から請求項7のいずれか一項に記載の画像表示装置。【請求項9】前記基材が、単数である、請求項3から請求項8のいずれか一項に記載の画像表示装置。【請求項10】前記基材が、複数であり、複数の前記基材の間に配置される中間粘着層をさらに備える、請求項3から請求項8のいずれか一項に記載の画像表示装置。【請求項11】前記中間粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’が、前記第1粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’以上、前記第2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’以下である、請求項10に記載の画像表示装置。【請求項12】前記中間粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’が、前記第1粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’より高く、前記第2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’より低い、請求項10または請求項11に記載の画像表示装置。【請求項13】前記中間粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’が、0.05MPa超過、0.15MPa以下である、請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の画像表示装置。【請求項14】前記基材は、前記第1粘着層に接触する第1基材と、前記第2粘着層に接触する第2基材とを含み、前記第1基材が、前記第2基材より薄い、請求項10から請求項13のいずれか一項に記載の画像表示装置。【請求項15】前記基材は、前記第1粘着層に接触する第1基材と、前記第2粘着層に接触する第2基材とを含み、前記第1基材が、前記第2基材より厚い、請求項10から請求項13のいずれか一項に記載の画像表示装置。【請求項16】前記衝撃吸収部材の厚みに対する前記基材の厚みの比率が、0.20以上、0.35以下である、請求項3から請求項15のいずれか一項に記載の画像表示装置。【請求項17】前記基材の材料が、オレフィン樹脂および/またはポリエステル樹脂である、請求項3から請求項16のいずれか一項に記載の画像表示装置。【請求項18】前記オレフィン樹脂が、シクロオレフィン樹脂である、請求項17に記載の画像表示装置。【請求項19】前記ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレートである、請求項17に記載の画像表示装置。【請求項20】ウインドウ部材と、第1粘着層と、基材と、第2粘着層と、パネル部材と、保護部材とを厚み方向一方側に順に備える画像表示装置の製造方法であり、試作品を試作する第1工程と、前記試作品を評価する第2工程と、前記評価に基づいて製造条件を決定する第3工程と、前記製造条件に基づいて製品を製造する第4工程とを備え、前記第2工程は、第1サンプルおよび第2サンプルを前記試作品から作製する第5工程と、前記第1サンプルにボールを落下させ、前記第2サンプルにボールペンを落下させる第6工程と、第6工程の後に、前記第1サンプルおよび前記第2サンプルに損傷があるか否かを判断する第7工程とを備え、前記第3工程では、前記第1サンプルに損傷があると前記試作品を評価した場合に、前記第1粘着層および前記第2粘着層の合計厚みをより厚くするように、前記製造条件を変更し、前記第2サンプルに損傷があると前記試作品を評価した場合に、前記基材の厚みをより厚くするように変更する、画像表示装置の製造方法。」
3 本件訂正後の特許請求の範囲の記載
本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1~20の記載は、以下のとおりである。下線は訂正箇所である。
「【請求項1】ウインドウ部材と、衝撃吸収部材と、パネル部材と、保護部材とを厚み方向一方側に順に備える画像表示装置であり、前記画像表示装置は、前記ウインドウ部材と前記パネル部材との間において偏光子を備えず、前記衝撃吸収部材は、60%以上の全光線透過率を有し、続きを表示(全62行)重さ10g、直径13mmのステンレス製ボールを20cmの高さから前記衝撃吸収部材に落下させて求められる前記衝撃吸収部材のボール衝撃吸収率を、前記衝撃吸収部材の厚みで割った、前記衝撃吸収部材の単位厚み当たりのボール衝撃吸収率は、0.27%/μm以上であり、重さ7g、先端部のボール直径0.7mmのボールペンを20cmの高さから前記衝撃吸収部材に落下させて求められる前記衝撃吸収部材のペン衝撃吸収率を、前記衝撃吸収部材の厚みで割った、前記衝撃吸収部材の単位厚み当たりのペン衝撃吸収率は、0.10%/μm以上であり、前記衝撃吸収部材が、第1粘着層と、基材と、第2粘着層とを、前記厚み方向一方側に向かって順に備え、前記第2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’から、前記第1粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’を引いた値が、0.06MPa以上である、画像表示装置。【請求項2】前記ウインドウ部材が外側に向くように前記画像表示装置を折り曲げる試験において、前記ウインドウ部材における両外側に向く2つの表面の間隔が8mmとなるように200,000回折り曲げても、前記パネル部材が損傷しない、請求項1に記載の画像表示装置。【請求項3】(削除)【請求項4】前記第1粘着層は、前記ウインドウ部材に接触し、前記第2粘着層は、前記パネル部材に接触する、請求項1に記載の画像表示装置。【請求項5】(削除)【請求項6】前記第1粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’が、0.01MPa以上、0.05MPa以下である、請求項1または4に記載の画像表示装置。【請求項7】前記第2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’が、0.10MPa以上、0.15MPa以下である、請求項1、4および6のいずれか一項に記載の画像表示装置。【請求項8】(削除)【請求項9】(削除)【請求項10】前記基材が、複数であり、複数の前記基材の間に配置される中間粘着層をさらに備える、請求項1、4、6および7のいずれか一項に記載の画像表示装置。【請求項11】前記中間粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’が、前記第1粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’以上、前記第2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’以下である、請求項10に記載の画像表示装置。【請求項12】前記中間粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’が、前記第1粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’より高く、前記第2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’より低い、請求項10または請求項11に記載の画像表示装置。【請求項13】前記中間粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’が、0.05MPa超過、0.15MPa以下である、請求項10から請求項12のいずれか一項に記載の画像表示装置。【請求項14】前記基材は、前記第1粘着層に接触する第1基材と、前記第2粘着層に接触する第2基材とを含み、前記第1基材が、前記第2基材より薄い、請求項10から請求項13のいずれか一項に記載の画像表示装置。【請求項15】前記基材は、前記第1粘着層に接触する第1基材と、前記第2粘着層に接触する第2基材とを含み、前記第1基材が、前記第2基材より厚い、請求項10から請求項13のいずれか一項に記載の画像表示装置。【請求項16】前記衝撃吸収部材の厚みに対する前記基材の厚みの比率が、0.20以上、0.35以下である、請求項1、4、6、7および10~15のいずれか一項に記載の画像表示装置。【請求項17】前記基材の材料が、オレフィン樹脂および/またはポリエステル樹脂である、請求項1、4、6、7および10~16のいずれか一項に記載の画像表示装置。【請求項18】前記オレフィン樹脂が、シクロオレフィン樹脂である、請求項17に記載の画像表示装置。【請求項19】前記ポリエステル樹脂が、ポリエチレンテレフタレートである、請求項17に記載の画像表示装置。【請求項20】ウインドウ部材と、第1粘着層と、基材と、第2粘着層と、パネル部材と、保護部材とを厚み方向一方側に順に備える画像表示装置の製造方法であり、前記画像表示装置は、前記ウインドウ部材と前記パネル部材との間において偏光子を備えず、試作品を試作する第1工程と、前記試作品を評価する第2工程と、前記評価に基づいて製造条件を決定する第3工程と、前記製造条件に基づいて製品を製造する第4工程とを備え、前記第2工程は、第1サンプルおよび第2サンプルを前記試作品から作製する第5工程と、前記第1サンプルにボールを落下させ、前記第2サンプルにボールペンを落下させる第6工程と、第6工程の後に、前記第1サンプルおよび前記第2サンプルに損傷があるか否かを判断する第7工程とを備え、前記第3工程では、前記第1サンプルに損傷があると前記試作品を評価した場合に、前記第1粘着層および前記第2粘着層の合計厚みをより厚くするように、前記製造条件を変更し、前記第2サンプルに損傷があると前記試作品を評価した場合に、前記基材の厚みをより厚くするように変更し、前記第2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’から、前記第1粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’を引いた値が、0.06MPa以上である、画像表示装置の製造方法。」
4 本件訂正の内容
本件訂正の内容を訂正される記載のある請求項ごとに整理すると、本件訂正は、以下の(1)から(12)に示すとおり、一群の請求項〔1~19〕についての訂正事項である訂正事項1~訂正事項11と、請求項20についての訂正事項12からなる。
なお、請求項2~19は、それぞれ請求項1の記載を直接的又は間接的に引用しているから、訂正事項1によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものであり、請求項1~19は、特許法120条の5第4項の規定する一群の請求項である。
(1) 訂正事項1(請求項1の記載に係る訂正)
ア 訂正事項1-1
特許請求の範囲の請求項1における「画像表示装置であり、」との記載の後に、改行した上で、次の記載を挿入する。
「 前記画像表示装置は、前記ウインドウ部材と前記パネル部材との間において偏光子を備えず、」
(請求項1の記載を引用する請求項2、4、6、7、10~19も同様に訂正する。)
イ 訂正事項1-2
特許請求の範囲の請求項1における「重さ7g、先端部のボール直径0.7mmのボールペンを20cmの高さから前記衝撃吸収部材に落下させて求められる前記衝撃吸収部材のペン衝撃吸収率を、前記衝撃吸収部材の厚みで割った、前記衝撃吸収部材の単位厚み当たりのペン衝撃吸収率は、0.10%/μm以上である、」との記載の末尾を「…0.10%/μm以上であり、」とし、
その後に、改行した上で、次の記載を挿入する。
「 前記衝撃吸収部材が、第1粘着層と、基材と、第2粘着層とを、前記厚み方向一方側に向かって順に備え、前記第2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’から、前記第1粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’を引いた値が、0.06MPa以上である、」
(請求項1の記載を引用する請求項2、4、6、7、10~19も同様に訂正する。)
(2) 訂正事項2(請求項3の記載に係る訂正)
特許請求の範囲の請求項3を削除する。
(3) 訂正事項3(請求項4の記載に係る訂正)
特許請求の範囲の請求項4における「請求項3に記載の」を、
「請求項1に記載の」に訂正する。
(請求項4の記載を引用する請求項6、請求項7及び請求項10~請求項19も同様に訂正する。)
(4) 訂正事項4(請求項5の記載に係る訂正)
特許請求の範囲の請求項5を削除する。
(5) 訂正事項5(請求項6の記載に係る訂正)
特許請求の範囲の請求項6における「請求項3から請求項5のいずれか一項に記載の」を、
「請求項1または4に記載の」に訂正する。
(請求項6の記載を引用する請求項7及び請求項10~請求項19も同様に訂正する。)
(6) 訂正事項6(請求項7の記載に係る訂正)
特許請求の範囲の請求項7における「請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の」を、
「請求項1、4および6のいずれか一項に記載の」に訂正する。
(請求項7の記載を引用する請求項10~請求項19も同様に訂正する。)
(7) 訂正事項7(請求項8の記載に係る訂正)
特許請求の範囲の請求項8を削除する。
(8) 訂正事項8(請求項9の記載に係る訂正)
特許請求の範囲の請求項9を削除する。
(9) 訂正事項9(請求項10の記載に係る訂正)
特許請求の範囲の請求項10における「請求項3から請求項8のいずれか一項に記載の」を、
「請求項1、4、6および7のいずれか一項に記載の」に訂正する。
(請求項10の記載を引用する請求項11~請求項19も同様に訂正する。)
(10) 訂正事項10(請求項16の記載に係る訂正)
特許請求の範囲の請求項16における「請求項3から請求項15のいずれか一項に記載の」を、
「請求項1、4、6、7および10~15のいずれか一項に記載の」に訂正する。
(請求項16の記載を引用する請求項17~請求項19も同様に訂正する。)
(11) 訂正事項11(請求項17の記載に係る訂正)
特許請求の範囲の請求項17における「請求項3から請求項16のいずれか一項に記載の」を、
「請求項1、4、6、7および10~16のいずれか一項に記載の」に訂正する。
(請求項17の記載を引用する請求項18及び請求項19も同様に訂正する。)
(12) 訂正事項12(請求項20の記載に係る訂正)
ア 訂正事項12-1
特許請求の範囲の請求項20における「画像表示装置の製造方法であり、」との記載の後に、改行した上で、次の記載を挿入する。
「 前記画像表示装置は、前記ウインドウ部材と前記パネル部材との間において偏光子を備えず、」
イ 訂正事項12-2
特許請求の範囲の請求項20における「前記第3工程では、前記第1サンプルに損傷があると前記試作品を評価した場合に、前記第1粘着層および前記第2粘着層の合計厚みをより厚くするように、前記製造条件を変更し、前記第2サンプルに損傷があると前記試作品を評価した場合に、前記基材の厚みをより厚くするように変更する、」との記載の末尾を「…前記基材の厚みをより厚くするように変更し、」とし、
その後に、改行した上で、次の記載を挿入する。
「 前記第2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’から、前記第1粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’を引いた値が、0.06MPa以上である、」
第3 本件訂正の適否についての当合議体の判断
1 訂正の目的
(1) 訂正事項1
ア 訂正事項1-1
訂正事項1-1の訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「画像表示装置」について、「前記画像表示装置は、前記ウインドウ部材と前記パネル部材との間において偏光子を備えず」と限定するものであり、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
イ 訂正事項1-2
訂正事項1-2の訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項1の「衝撃吸収部材」について、
「前記衝撃吸収部材が、第1粘着層と、基材と、第2粘着層とを、前記厚み方向一方側に向かって順に備え、前記第2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’から、前記第1粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’を引いた値が、0.06MPa以上である」
と限定するものであり、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
(2) 訂正事項12
ア 訂正事項12-1
訂正事項12-1の訂正は、訂正事項1-1の訂正と同様に、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
イ 訂正事項12-2
訂正事項12-2の訂正は、本件訂正前の特許請求の範囲の請求項20の「第1粘着層」と「第2粘着層」の関係について、
「前記第2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’から、前記第1粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’を引いた値が、0.06MPa以上である」
と限定するものであり、特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
(3) 訂正事項2、4、7、8
訂正事項2、4、7、8の訂正は、それぞれ請求項3、5、8、9を削除するものであるから、いずれも特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものに該当する。
(4) 訂正事項3、5、6、9~11
訂正事項3、5、6、9~11の訂正は、以下のア~カに示すとおり、いずれも多数項を引用している請求項において、訂正事項2、4、7、8により請求項3、5、8、9を削除することに伴い、削除された請求項との引用関係を解消し、引用請求項数を削減するものであるから、いずれも特許法120条の5第2項ただし書1号に掲げる「特許請求の範囲の減縮」及び同3号に掲げる「明瞭でない記載の釈明」を目的とするものに該当する。
ア 訂正事項3
請求項4の引用請求項を請求項1~3から請求項1に訂正する。
イ 訂正事項5
請求項6の引用請求項を請求項1~5から請求項1又は4に訂正する。
ウ 訂正事項6
請求項7の引用請求項を請求項1~6から請求項1、4及び6のいずれか一項に訂正する。
エ 訂正事項9
請求項10の引用請求項を請求項1~8から請求項1、4、6及び7のいずれか一項に訂正する。
オ 訂正事項10
請求項16の引用請求項を請求項1~15から請求項1、4、6、7及び10~15のいずれか一項に訂正する。
カ 訂正事項11
請求項17の引用請求項を請求項1~16から請求項1、4、6、7及び10~16のいずれか一項に訂正する。
2 新規事項の追加、特許請求の範囲の実質的拡張・変更
前記訂正事項1~訂正事項12の訂正は、特許法120条の5第2項ただし書き2号に掲げる「誤記又は誤訳の訂正」を目的とするものに該当しないから、これらの訂正における新規事項の追加の有無を判断する際の基準となる明細書等は、特許権の設定の登録がされた時点での願書に添付した明細書、特許請求の範囲及び図面である。
(1) 訂正事項1、12
ア 訂正事項1-1、12-1
(ア)a 訂正事項1-1において、「画像表示装置」について「前記画像表示装置は、前記ウインドウ部材と前記パネル部材との間において偏光子を備えず」と訂正することは、次に摘記した、願書に添付された明細書の段落【0041】の記載に基づくものであるから、訂正事項1-1の訂正は、願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「本件特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてされたものであると認められる。
「【0041】有機EL表示装置1は、ウインドウ部材2と、衝撃吸収部材3と、有機ELパネル部材4と、保護部材5とを裏側に向かって順に備える。一方、本実施形態では、有機EL表示装置1は、偏光子を備えない。偏光子は、通常、ウインドウ部材2と、有機ELパネル部材4との間に配置される。第1実施形態の有機EL表示装置1は、偏光子に代えて、衝撃吸収部材3を備える。有機EL表示装置1は、好ましくは、ウインドウ部材2と、衝撃吸収部材3と、有機ELパネル部材4と、保護部材5とのみを備える。」
b 訂正事項12-1についても同様である。
(イ) したがって、訂正事項1-1及び訂正事項12-1の訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。
また、訂正事項1-1及び訂正事項12-1の訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。
イ 訂正事項1-2、12-2
(ア)a 訂正事項1-2において、「衝撃吸収部材」について、
「 前記衝撃吸収部材が、第1粘着層と、基材と、第2粘着層とを、前記厚み方向一方側に向かって順に備え、前記第2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’から、前記第1粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’を引いた値が、0.06MPa以上である、」と訂正することは、次に摘記した、願書に添付された明細書の段落【0046】、【0075】及び【0077】の記載に基づくものであるから、訂正事項1-2の訂正は、本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものであると認められる。
「【0046】衝撃吸収部材3は、面方向に延びる。衝撃吸収部材3は、ウインドウ部材2の裏面に配置されている。具体的には、衝撃吸収部材3は、ウインドウ部材2の裏面の全部に接触している。衝撃吸収部材3は、従来の有機EL表示装置が備える偏光子と同一位置に配置されている。衝撃吸収部材3は、第1粘着層8と、基材9と、第2粘着層10とを、裏側に向かって順に備える。第1実施形態では、衝撃吸収部材3は、好ましくは、第1粘着層8と、基材9と、第2粘着層10とのみを備える。」
「【0075】[弾性率]第2粘着層10と第1粘着層8とのそれぞれのせん断貯蔵弾性率G’は、特に限定されない。第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’は、好ましくは、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’と同一または高い。第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’は、より好ましくは、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’より高い。第1粘着層8および第2粘着層10のそれぞれのせん断貯蔵弾性率G’は、粘弾性測定装置を用いて測定される。昇温速度は、5℃/分であり、周波数は、1Hzである。詳細は、後の実施例で記載する。なお、第2粘着層10のせん断貯蔵弾性率G’が第1粘着層8のせん断貯蔵弾性率G’と同一であれば、図12に示す太線上に実施例がプロットされる。第2粘着層10のせん断貯蔵弾性率G’が第1粘着層8のせん断貯蔵弾性率G’より高ければ、図12に示す太線より左側斜め上方のエリアに実施例がプロットされる。」
「【0077】より具体的には、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’から、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’を引いた値が、例えば、0.03MPa以上、好ましくは、0.06MPa以上である。上記した値の上限は、限定されない。上記した値の上限は、例えば、0.15MPaである。上記した値が上記した下限以上であれば、有機EL表示装置1は、単位厚み当たりのボールに対する耐衝撃性により一層優れる。なお、上記の値が0.06MPa以上である領域は、図12に示す細い実線上と、その実線より左側斜め上方のエリアとを含む。」
b 訂正事項12-2についても同様である。
(イ) したがって、訂正事項1-2及び訂正事項12-2の訂正は、いずれも本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。
また、訂正事項1-2及び訂正事項12-2の訂正は、いずれも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。
(2) 訂正事項2、4、7、8
訂正事項2、4、7、8の訂正は、それぞれ請求項3、5、8、9を削除するものであるから、いずれも本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。
また、訂正事項2、4、7、8の訂正は、いずれも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。
(3) 訂正事項3、5、6、9~11
訂正事項3、5、6、9~11の訂正は、いずれも多数項を引用している請求項における引用請求項数を削減するものであるから、いずれも本件特許明細書等に記載した事項の範囲内においてしたものであり、特許法120条の5第9項において準用する同法126条5項の規定に適合する。
また、訂正事項3、5、6、9~11の訂正は、いずれも実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではなく、特許法120条の5第9項において準用する同法126条6項の規定に適合する。
3 独立特許要件
本件の特許異議の申立てにおいては、請求項1~20について特許異議の申立てがされているところ、本件訂正後における請求項1、2、4、6、7、10~20に記載されている事項により特定される発明について、特許法120条の5第9項において読み替えて準用する同法126条7項に規定する独立特許要件は課されない。
4 本件訂正の適否についての当合議体の判断のまとめ
前記1~3において検討した訂正要件についての当合議体の判断をまとめると、本件訂正は、特許法120条の5第2項ただし書1号及び3号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項において準用する同法126条5項及び6項の規定に適合するから、本件訂正は適法なものである。
よって、前記結論のとおり、訂正請求書に添付した訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~19〕、20について訂正することを認める。
第4 取消理由(決定の予告)の概要
本件特許について、令和5年9月7日に特許権者に通知した取消理由のうち、甲4号証を主たる引用文献とした進歩性の欠如の取消理由の概要は、次のとおりである。
本件特許の請求項1~20に係る発明は、その優先日前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基づいて、その優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、上記請求項に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものである。
記
<主たる引用文献>
<周知技術又は技術常識を示すための引用文献>
引用文献1~8は、職権調査により発見したものである。
以後、各甲号証を文献の番号に従い「甲1文献」などという。
第5 当合議体の判断
1 本件訂正発明について
(ア) 本件訂正発明の認定
前記第3において説示したとおり、本件訂正は認められたから、本件特許の請求項1、2、4、6、7、10~20に係る発明(以下、請求項の番号に従い「本件訂正発明1」などという。)は、それぞれ、本件訂正後の特許請求の範囲の請求項1、2、4、6、7、10~20に記載された事項(前記第2の3参照)により特定されるとおりのものである。
(イ) 本件訂正発明1の分説及びその課題・作用効果
a 本件訂正発明1の分説
請求項1の記載を、便宜上次のように構成XとA~Gに分説する。また、参考図として、本件特許の【図1】を元に部材名を記入したもの(見やすくするため、一部符号等を削除している。)を掲載する。
<本件訂正発明1の分説>
A ウインドウ部材と、衝撃吸収部材と、パネル部材と、保護部材とを厚み方向一方側に順に備える画像表示装置であり、
B 前記画像表示装置は、前記ウインドウ部材と前記パネル部材との間において偏光子を備えず、
C 前記衝撃吸収部材は、60%以上の全光線透過率を有し、
D 重さ10g、直径13mmのステンレス製ボールを20cmの高さから前記衝撃吸収部材に落下させて求められる前記衝撃吸収部材のボール衝撃吸収率を、前記衝撃吸収部材の厚みで割った、前記衝撃吸収部材の単位厚み当たりのボール衝撃吸収率は、0.27%/μm以上であり、
E 重さ7g、先端部のボール直径0.7mmのボールペンを20cmの高さから前記衝撃吸収部材に落下させて求められる前記衝撃吸収部材のペン衝撃吸収率を、前記衝撃吸収部材の厚みで割った、前記衝撃吸収部材の単位厚み当たりのペン衝撃吸収率は、0.10%/μm以上であり、
F 前記衝撃吸収部材が、第1粘着層と、基材と、第2粘着層とを、前記厚み方向一方側に向かって順に備え、
G 前記第2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’から、前記第1粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’を引いた値が、0.06MPa以上である、
X 画像表示装置。
<参考図>
[図:0001415248000001.jpg]
b 課題・作用効果に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本件訂正発明1の技術上の意義の概略を理解するために、本件訂正発明1が解決しようとする課題及び本件訂正発明1の作用効果に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載の一部を抜粋すると、次の記載がある。なお、下線は合議体による。
「【技術分野】【0001】本発明は、画像表示装置およびその製造方法に関する。【背景技術】続きを表示(全30行)【0002】従来、画像表示装置は、画像表示部材を備えることが知られている。そのような画像表示装置には、光学信頼性が高いことが求められる。【0003】また、画像表示装置に衝撃が加えられても、画像表示部材の表面が損傷することを抑制できる衝撃吸収フィルムを備える画像表示装置が検討されている。【0004】例えば、支持層と、粘着層とを厚み方向に順に備える衝撃吸収フィルムが提案されている(例えば、下記特許文献1参照。)。特許文献1の比較例に記載の衝撃吸収フィルムは、支持層が、厚いPETフィルムである構成を開示する。(中略)【発明が解決しようとする課題】【0006】しかし、特許文献1に記載の衝撃吸収フィルムは、単位厚み当たりの衝撃吸収率が不十分であるという不具合がある。この場合には、厚みを薄くできるが、衝撃吸収性に優れず、または、衝撃吸収性が優れるが、厚みが厚くなる。【0007】とくに、衝撃吸収フィルムには、ボールによる衝撃、および、ペンによる点の衝撃のような様々な衝撃に対する耐久性が求められる。【0008】本発明は、光学信頼性に優れ、様々な衝撃に対する耐久性に優れる画像表示装置およびその製造方法を提供する。(中略)【0010】この画像表示装置では、衝撃吸収部材が60%以上の全光線透過率を有する。そのため、画像表示装置は、光学信頼性が高い。【0011】また、この画像表示装置では、衝撃吸収部材の単位厚み当たりのボール衝撃吸収率は、0.27%/μm以上であり、衝撃吸収部材の単位厚み当たりのペン衝撃吸収率は、0.10%/μm以上である。そのため、画像表示装置は、ボールに対する衝撃、および、ペンによる衝撃に対する耐久性に優れる。従って、画像表示装置は、様々な衝撃に対する耐久性に優れる。(中略)【0016】この画像表示装置では、第1粘着層がウインドウ部材に粘着する。第2粘着層がパネル部材に粘着する。そのため、ウインドウ部材が、衝撃吸収部材を介して、パネル部材に粘着する。そして、基材と、それを挟む第1粘着層および第2粘着層とを備える衝撃吸収部材が、ウインドウ部材とパネル部材とに粘着するので、耐折り曲げ性により一層優れる。(中略)【発明の効果】【0036】本発明の画像表示装置は、光学信頼性に優れ、様々な衝撃に対する耐久性に優れる。」
「【0075】[弾性率]第2粘着層10と第1粘着層8とのそれぞれのせん断貯蔵弾性率G’は、特に限定されない。第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’は、好ましくは、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’と同一または高い。第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’は、より好ましくは、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’より高い。第1粘着層8および第2粘着層10のそれぞれのせん断貯蔵弾性率G’は、粘弾性測定装置を用いて測定される。昇温速度は、5℃/分であり、周波数は、1Hzである。詳細は、後の実施例で記載する。なお、第2粘着層10のせん断貯蔵弾性率G’が第1粘着層8のせん断貯蔵弾性率G’と同一であれば、図12に示す太線上に実施例がプロットされる。第2粘着層10のせん断貯蔵弾性率G’が第1粘着層8のせん断貯蔵弾性率G’より高ければ、図12に示す太線より左側斜め上方のエリアに実施例がプロットされる。【0076】第2粘着層10と第1粘着層8とのそれぞれのせん断貯蔵弾性率G’が上記の好ましい関係を満足すれば、この有機EL表示装置1は、単位厚み当たりのボールに対する耐衝撃性により一層優れ、単位厚み当たりのペンに対する耐衝撃性により一層優れる。さらには、有機EL表示装置1は、耐折り曲げ性により一層優れる。【0077】より具体的には、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’から、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’を引いた値が、例えば、0.03MPa以上、好ましくは、0.06MPa以上である。上記した値の上限は、限定されない。上記した値の上限は、例えば、0.15MPaである。上記した値が上記した下限以上であれば、有機EL表示装置1は、単位厚み当たりのボールに対する耐衝撃性により一層優れる。なお、上記の値が0.06MPa以上である領域は、図12に示す細い実線上と、その実線より左側斜め上方のエリアとを含む。」
「【図12】[図:0001415248000002.jpg]」
「【0108】第6工程S6では、ボール落下試験(図7参照)と、ペン落下試験(図8参照)とを実施する。【0109】図7に示すように、ボール落下試験では、ボール90を第1サンプル61に落下させる。ボール落下試験におけるボール90の重さは、例えば、1g以上、好ましくは、2g以上であり、また、例えば、100g以下、好ましくは、50g以下である。ボール落下試験におけるボール90の直径は、例えば、1mm以上、好ましくは、2mm以上であり、また、例えば、100mm以下、好ましくは、50mm以下である。ボールの材質は、限定されず、例えば、金属である。ボール落下試験におけるボール90の落下高さは、例えば、2cm以上、好ましくは、5cm以上であり、また、例えば、200cm以下、好ましくは、100cm以下である。」
「【図7】[図:0001415248000003.jpg]」
「【0110】図8に示すように、ペン落下試験では、ペン(ボールペン)95を第2サンプル62に落下させる。ペン95は、その先端部にボール96を有する。【0111】ペン落下試験におけるペン95の重さは、例えば、0.5g以上、好ましくは、1g以上であり、また、例えば、50g以下、好ましくは、30g以下である。ペン落下試験におけるボール96の直径は、例えば、0.01mm以上、好ましくは、0.1mm以上であり、また、例えば、5mm以下、好ましくは、1mm以下である。ペン落下試験における落下高さは、例えば、2cm以上、好ましくは、5cm以上であり、また、例えば、200cm以下、好ましくは、100cm以下である。」
「【図8】[図:0001415248000004.jpg]」
「【0117】[有機EL表示装置1の使用]図4Aに示すように、ユーザが、有機EL表示装置1の表面21の全部を視認するときには、有機EL表示装置1は、開かれている。このとき、表面21は、平坦面である。有機EL表示装置1は、中間部24と、第1部17と、第2部18とを含む。中間部24は、2つの辺23の中間に位置する。2つの辺23は、第1辺23Aと、第2辺23Bとを含む。第1部17は、第1辺23Aを含むエリアである。第2部18は、第2辺23Bを含むエリアである。」
「[図:0001415248000005.jpg]」
「【0118】図4Bに示すように、有機EL表示装置1を、中間部24を中心にして折り曲げる場合がある。つまり、有機EL表示装置1は、折り曲げられて使用される場合がある。この場合には、中間部24は、折り目を形成する。第1部17の表面21と第2部18の表面21とは、互いに外側に向く。この場合には、第1部17の裏面22と第2部18の裏面22とは、近づいて対向する。」
「[図:0001415248000006.jpg]」
「【0119】[第1実施形態の作用効果]そして、この有機EL表示装置1では、衝撃吸収部材3が60%以上の全光線透過率を有する。具体的には、偏光子の代替で有機EL表示装置1に設けられた衝撃吸収部材3の全光線透過率が高い。そのため、有機EL表示装置1は、光学信頼性が高い。特に、第1実施形態の有機EL表示装置1は、偏光子を備えないので、光学信頼性がとりわけ高い。【0120】続きを表示(全18行)また、この有機EL表示装置1では、衝撃吸収部材3が0.27%/μm以上の単位厚み当たりのボール衝撃吸収率を有し、0.10%/μm以上の単位厚み当たりのペン衝撃吸収率を有する。そのため、有機EL表示装置1は、ボールに対する衝撃、および、ペンによる衝撃に対する耐久性に優れる。従って、有機EL表示装置1は、様々な衝撃に対する耐久性に優れる。【0121】さらに、ウインドウ部材2が外側に向くように有機EL表示装置1を折り曲げる試験において、ウインドウ部材2における2つの表面21の間隔が8mmとなるように200,000回折り曲げても、有機ELパネル部材4が損傷しない。そのため、有機EL表示装置1は、耐折り曲げ性に優れる。【0122】また、この有機EL表示装置1では、第1粘着層8がウインドウ部材2に粘着する。第2粘着層10が有機ELパネル部材4に粘着する。そのため、ウインドウ部材2が、衝撃吸収部材3を介して、有機ELパネル部材4に粘着する。そして、基材9と、それを挟む第1粘着層8および第2粘着層10とを備える衝撃吸収部材3が、ウインドウ部材2と有機ELパネル部材4とに粘着するので、耐折り曲げ性により一層優れる。【0123】また、この有機EL表示装置1では、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’が、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’と同一または高い場合には、この有機EL表示装置1は、ボールに対する単位厚み当たりの耐衝撃性と、ペンに対する単位厚み当たりの耐衝撃性とに優れる。また、この有機EL表示装置1は、耐折り曲げ性に優れる。(中略)【0127】また、この有機EL表示装置1では、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’から、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’を引いた値が、0.06MPa以上であれば、有機EL表示装置1は、ボールに対する単位厚み当たりの耐衝撃性と、ペンに対する単位厚み当たりの耐衝撃性とに優れる。また、この有機EL表示装置1は、耐折り曲げ性との両方に優れる。【0128】また、この有機EL表示装置1では、基材9が単数であるので、構成が簡易である。【0129】また、この有機EL表示装置1では、衝撃吸収部材3の厚みに対する基材9の厚みの比率が、0.20以上であれば、ペンに対する単位厚み当たりの耐衝撃性に優れる。衝撃吸収部材3の厚みに対する基材9の厚みの比率が、0.35以下であれば、単位厚み当たりのボール衝撃吸収率が高い。」
「【0172】(中略)第1実施形態の有機EL表示装置1は、偏光フィルム50における偏光子が上記した低い全光線透過率を有することから、光学信頼性に優れる。」
「【0211】[衝撃吸収部材3の単位厚み当たりのボール衝撃吸収率]各実施例および各比較例における衝撃吸収部材3を準備した。次いで、図2Bに示すように、ステンレス板91の表面に設置したPCB社製のセンサー(製品名:480C02)92の表面にウインドウ部材2のみを載せた。この場合、ウインドウフィルム7をセンサー92の表面に接触させた。ウインドウ部材2のハードコート層6の表面に、重さ10g、直径13mmのステンレス製ボールを20cmの高さから垂直落下させた。センサー92に接続したヒオキ社製のハイレコーダ(製品名:MR8870)で、ウインドウ部材2のみ衝撃荷重のピーク値SA1を測定した。【0212】次に、図2Aに示すように、ウインドウ部材2に代えて、ウインドウ部材2と衝撃吸収部材3との積層体をセンサー92の表面に載せた。衝撃吸収部材3の裏面をセンサー92の表面に接触させた。ウインドウ部材2のハードコート層6の表面に、上記したボールを20cmの高さから垂直落下させた。上記したハイレコーダで、ウインドウ部材2と衝撃吸収部材3との積層体の衝撃荷重のピーク値SB1を測定した。【0213】下記式を用いて、衝撃吸収部材3のボール衝撃吸収率を求めた。【0214】ボール衝撃吸収率(%)={(SA1-SB1)/SA1}×100続いて、ボール衝撃吸収率を衝撃吸収部材3の厚みで割って、衝撃吸収部材3の単位厚み当りのボール衝撃吸収率を算出した。」
「[図:0001415248000007.jpg]」
「【0215】[衝撃吸収部材3のペン衝撃吸収率と、衝撃吸収部材3における単位厚み当たりのペン衝撃吸収率]各実施例および各比較例における衝撃吸収部材3を準備した。次いで、図3Bに示すように、ステンレス板91の表面に設置したPCB社製のセンサー(製品名:480C02)92の表面にウインドウ部材2のみを載せた。この場合、ウインドウフィルム7をセンサー92の表面に接触させた。ウインドウ部材2のハードコート層6の表面に、重さ7g、ボール直径0.7mmのボールペン(ぺんてる株式会社製の油性ボールペン「BK407黒」)を20cmの高さから垂直落下させた。センサー92に接続したヒオキ社製のハイレコーダ(製品名:MR8870)で、ウインドウ部材2のみ衝撃荷重のピーク値SA2を測定した。【0216】次に、図3Aに示すように、ウインドウ部材2に代えて、ウインドウ部材2と衝撃吸収部材3との積層体をセンサー92の表面に載せた。衝撃吸収部材3の裏面をセンサー92の表面に接触させた。ウインドウ部材2のハードコート層6の表面に、上記したペンを20cmの高さから垂直落下させた。上記したハイレコーダで、ウインドウ部材2と衝撃吸収部材3との積層体の衝撃荷重のピーク値SB2を測定した。【0217】下記式を用いて、衝撃吸収部材3のペン衝撃吸収率を求めた。【0218】ペン衝撃吸収率(%)={(SA2-SB2)/SA2}×100続いて、ペン衝撃吸収率を衝撃吸収部材3の厚みで割って、衝撃吸収部材3の単位厚み当りのペン衝撃吸収率を算出した。」
「【0226】[実施例と比較例との検証]表3、表10、表11から分かるように、比較例1から比較例5と、比較例7と、比較例10と、比較例11とは、いずれも、単位厚み当たりのボール衝撃吸収率が0.27%/μm未満である。比較例1から比較例5と、比較例7と、比較例10と、比較例11とは、単位厚み当たりのボール衝撃吸収率が、不十分である。(中略)続きを表示(全15行)【0229】対して、表1、表2、表4から表9および表11から分かるように、実施例1から実施例29は、いずれも、単位厚み当たりのボール衝撃吸収率が0.27%/μm以上であり、単位厚み当たりのペン衝撃吸収率が0.10%/μm以上である。そのため、有機EL表示装置1は、ボール90に対する衝撃、および、ペン95による衝撃に対する耐久性に優れる。従って、実施例1から実施例29は、様々な衝撃に対する耐久性に優れる。(中略)【0232】実施例1から実施例3のうち、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’が、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’より高い実施例は、実施例1と、実施例2とである。実施例1と実施例2とは、実施例3に比べて、ボールおよびペンに対する単位厚み当たりの耐衝撃性に優れることが分かる。(中略)【0235】さらに、実施例1から実施例6のうち、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’から、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’を引いた値が、0.06MPa以上である実施例は、実施例1である。実施例1は、実施例2から実施例6に比べて、ボールに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性と、ペンに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性とを確実に両立できることが分かる。(中略)【0241】また、表2から分かるように、実施例1と実施例10とは、基材9の材料のみが異なる。基材9の材料がCOPである実施例1は、基材9の材料がPETである実施例10に比べて、単位厚み当たりのボール衝撃吸収率が高いことが分かる。」
「【0252】【表1】[図:0001415248000008.jpg]【0253】【表2】[図:0001415248000009.jpg]【0254】【表3】[図:0001415248000010.jpg]」
「[図:0001415248000011.jpg]」
「【0219】[有機EL表示装置1の折り曲げ試験](1) 表面21間の距離8mmでの折り曲げ試験有機EL表示装置1(疑似サンプル)を外形加工して第3サンプル63を作製した。図4Aから図4Bで示すように、屈曲および開きを200,000回繰り返す屈曲試験を実施した。具体的には、耐久試験機(型番「DMLHB-FS-C」、YUASA社製)を用いた。ウインドウ部材2において両外側に向く2つの表面21の間隔を8mmとした。屈曲試験前におけるITO層35の抵抗値に対する、屈曲試験後におけるITO層35の抵抗値の比率を、テスターにより測定した。続きを表示(全11行)ITO層35の抵抗値の変化を、薄膜封止層11の損傷の有無として評価した。【0220】○:試験後におけるITO層35の抵抗値に対する、試験後におけるITO層35の抵抗値の比率が、試験前1.1倍未満であった。×:試験後におけるITO層35の抵抗値に対する、試験後におけるITO層35の抵抗値の比率が、試験前1.1倍以上であった。【0221】(2) 表面21間の距離6mmでの折り曲げ試験上記(1)で「○」評価の有機EL表示装置1について、間隔が6mmとなるように、上記と同様の折り曲げ試験を実施した。」
(ウ) 本件訂正発明20の分説及びその課題・作用効果
a 本件訂正発明20の分説
請求項20の記載を、便宜上次のように構成2Xと2A~2B、2G、S1~S7、S3’に分説する。
<本件訂正発明20の分説>
2A ウインドウ部材と、第1粘着層と、基材と、第2粘着層と、パネル部材と、保護部材とを厚み方向一方側に順に備える画像表示装置の製造方法であり、
2B 前記画像表示装置は、前記ウインドウ部材と前記パネル部材との間において偏光子を備えず、
S1 試作品を試作する第1工程と、
S2 前記試作品を評価する第2工程と、
S3 前記評価に基づいて製造条件を決定する第3工程と、
S4 前記製造条件に基づいて製品を製造する第4工程とを備え、
前記第2工程は、
S5 第1サンプルおよび第2サンプルを前記試作品から作製する第5工程と、
S6 前記第1サンプルにボールを落下させ、前記第2サンプルにボールペンを落下させる第6工程と、
S7 第6工程の後に、前記第1サンプルおよび前記第2サンプルに損傷があるか否かを判断する第7工程とを備え、
S3’ 前記第3工程では、前記第1サンプルに損傷があると前記試作品を評価した場合に、前記第1粘着層および前記第2粘着層の合計厚みをより厚くするように、前記製造条件を変更し、前記第2サンプルに損傷があると前記試作品を評価した場合に、前記基材の厚みをより厚くするように変更し、
2G 前記第2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’から、前記第1粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’を引いた値が、0.06MPa以上である、
2X 画像表示装置の製造方法。
b 課題・作用効果に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載
本件訂正発明20の技術上の意義の概略を理解するために、本件訂正発明20が解決しようとする課題及び本件訂正発明20の作用効果に関連する明細書の発明の詳細な説明の記載の一部を抜粋すると、次の記載がある。
「【0035】この製造方法によれば、試作品を評価して、製造条件を決定するので、歩留まりを向上できる。」
2 引用文献に記載された発明等
(1) 甲4文献
ア 甲4文献の記載事項
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甲4文献(特開2020-86429号公報)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したもので、後記イにおいて甲4文献に記載された発明の認定に直接用いるところを示す。
「【技術分野】【0001】本発明は、光学積層体及びそれを備えた画像表示装置に関する。【背景技術】【0002】近年、曲面や折り曲げ面等の平面ではない面への設置や、折り畳んだり巻物形状としたりすることによる携帯性向上の観点から、可撓性を有するフレキシブルディスプレイが注目を集めている。このようなフレキシブルディスプレイでは、前面板にもフレキシブル性が求められている。フレキシブル性を有しない画像表示装置に用いられてきたカバーガラスは、フレキシブルディスプレイに搭載できない。そのため、フレキシブルディスプレイ用の前面板として、樹脂フィルムの前面板が知られている(特許文献1)。」
「【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【0004】フレキシブル性を有する前面板は、フレキシブル性を有しない画像表示装置の前面板として用いられるカバーガラスに比較すると、耐衝撃性が十分ではないという問題があった。【0005】本発明は、フレキシブルディスプレイに適した良好な屈曲性を有しながらも、優れた耐衝撃性を有する光学積層体及びそれを備えた画像表示装置を提供することにある。」
「【0020】(光学積層体)図1は、本実施形態の光学積層体の一例を模式的に示す概略断面図である。光学積層体100は、前面板10、円偏光板30、及び、第1貼合層20からなり、図1に示すように、視認側から順に、前面板10、第1貼合層20、及び円偏光板30を備える。第1貼合層20は、前面板10と円偏光板30とを貼合するための層である。前面板10は、光学積層体100の最表面をなす外側層11と、外側層11及び第1貼合層20に接するように設けられた内側層12とを備える。円偏光板30は、第1貼合層20側から順に直線偏光板31及び位相差層32を備える。」
「【図1】[図:0001415248000012.jpg]」
「【0021】光学積層体100は、後述するように画像表示装置を構成することができる。また、光学積層体100は、円偏光板30を備えているため反射防止フィルムとして用いることもできる。【0022】光学積層体100は、前面板10の外側層11が第1の樹脂フィルムであり、内側層の厚みが100μm以下であることにより、折曲げや巻回し等が可能な画像表示装置(フレキシブルディスプレイ)に用いることができる。光学積層体100は、後述する実施例における屈曲性試験における限界屈曲回数が10万回以上であるフレキシブル性を有することが好ましく、限界屈曲回数は、15万回以上であることがより好ましく、20万回以上であることがさらに好ましい。これにより、光学積層体100は、フレキシブルディスプレイに好適に適用することができる。屈曲性試験は、後述する実施例の方法で行うことができる。」
「【0024】光学積層体100のボールドロップ試験における耐荷重は、20g以上であり、21g以上であることが好ましく、22g以上であることがより好ましく、25g以上であってもよく、通常50g以下であり、40g以下であってもよい。上記耐荷重が上記の範囲であることにより、前面板10の外側層11が第1の樹脂フィルムである場合にも、光学積層体100に優れた耐衝撃性を付与することができる。そのため、光学積層体100を用いて、フレキシブル性を有しながらも優れた耐衝撃性を有するフレキシブルディスプレイを提供することができる。ボールドロップ試験における耐荷重は、後述の実施例に記載された方法により測定される。【0025】光学積層体100のボールドロップ試験における耐荷重は、光学積層体100をなす各層の剛性(引張弾性率、厚み)、降伏点伸張、降伏応力等によって調整することができる。例えば、後述する内側層12の剛性、内側層12に含まれる後述する第2貼合層12bをなす粘着剤や接着剤の種類、第2貼合層12bの厚み、第1貼合層20をなす粘着剤や接着剤の種類、第1貼合層20の厚み等によって調整することができる。」
「【0029】(前面板)前面板10は、図1に示すように、光学積層体100の最表面をなす外側層11と、外側層11及び第1貼合層20に接するように設けられた内側層12とを備える。前面板10は、光を透過可能な板状体である。光学積層体100を備える画像表示装置では、前面板10は画像表示装置の表示素子等を保護するための層として機能することができる。前面板10は、画像表示装置の前面を保護する機能を有するのみではなく、タッチセンサとしての機能、ブルーライトカット機能等を有するものであってもよい。」
「【0037】(外側層)前面板10を構成する外側層11は、光学積層体100の最表面となる層となる。外側層11は、光学積層体100に必要な表面硬度を付与する機能を有し、外側層11に積層されている他の層を保護する機能を有している。外側層11をなす第1の樹脂フィルムは、光を透過可能なフィルムであれば限定されず、基材フィルムの少なくとも一方の面にハードコート層を設けて表面硬度を向上させた樹脂フィルムであってもよい。」
「【0045】(内側層)前面板10を構成する内側層12は、外側層11と第1貼合層20との間に設けられ、外側層11及び第1貼合層20の両方に直接接している。内側層12は、光学積層体100の耐衝撃性を向上するために設けることができる。内側層12の厚みは、100μm以下であり、これにより、光学積層体100にフレキシブルディスプレイに適した屈曲性を付与させやすくなる。また、内側層12は、前面板10に上記式(1)及び(2)で表される位相差値を付与するための位相差特性を有していてもよく、内側層12が上記式(1)及び(2)で表される位相差値を有していてもよい。内側層12は、図1に示すように、第2の樹脂フィルム12aと、第2の樹脂フィルム12aと外側層11とを貼合するための第2貼合層12bとを含んでいてもよい。第2の樹脂フィルム12aの第2貼合層12bとは反対側は、第1貼合層20と直接接していてもよい。また、内側層12は、2以上の樹脂フィルムや、2以上の樹脂フィルム間を貼合するための貼合層をさらに含んでいてもよい。」
「【0056】第2の樹脂フィルム12aは、光を透過可能なフィルムであれば限定されず、例えば外側層11をなす第1の樹脂フィルムとして例示した高分子で形成されたフィルムが挙げられる。第2の樹脂フィルム12aが第2位相差フィルムである場合、第2の樹脂フィルム12aは、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート等の高分子で形成されたフィルムを好適に用いることができる。【0057】(第2貼合層)第2貼合層12bは、接着剤層であってもよいが、粘着剤層であることが好ましい。第2貼合層12bが粘着剤層であることにより、内側層12の剛性を上記した範囲に調整しやすくなり、光学積層体100の耐衝撃性を向上させやすくなる。粘着剤層及び接着剤層は後述する材料を用いて構成することができる。」
「【0060】上記式(3)の関係を満たすことにより、光学積層体100のペンドロップ試験に対する耐久性を向上させることができる。ペンドロップ試験に対する耐久性を向上させることにより、光学積層体100の底面側(円偏光板30側)に加わる圧力を低減することができると考えられる。そのため、後述する複合光学積層体や画像表示装置のように光学積層体100の底面側にタッチパネルセンサや表示積層体を設ける場合、上記式(3)の関係を満たす光学積層体を用いることにより、複合光学積層体や画像表示装置の耐久性を向上させることができる。例えば、複合光学積層体では、光学積層体100の底面側(円偏光板30側)に設けられたタッチパネルセンサに動作不良が生じることを抑制しやすくなる。また、式(3)を満たすことにより、ボールドロップ試験に対する耐久性を向上させることもできる。ペンドロップ試験に対する耐久性は、後述の実施例に記載された方法によって評価することができる。」
「【0069】(第1貼合層)第1貼合層20は、前面板10の内側層12と円偏光板30との間に介在してこれらを貼合する層であり、粘着剤層又は接着剤層である。粘着剤層及び接着剤層は上記した材料を用いて構成することができる。第2貼合層12bは、光学積層体100のフレキシブル性を確保しつつ耐衝撃性を向上する観点から、粘着剤層であることが好ましい。(合議体注:上記「第2貼合層12b」は、段落【0069】の記載が「第1貼合層」についてのものであることを考慮すると、「第1貼合層20」の誤記であると認められる。)【0070】第1貼合層20の温度23℃、相対湿度55%における貯蔵弾性率は、0.001MPa以上であることが好ましく、0.01MPa以上であってもよく、0.1MPa以上であってもよく、また、0.5MPa以下であることが好ましく、0.3MPa以下であってもよい。第1貼合層20の貯蔵弾性率が上記の範囲であることにより、光学積層体100のフレキシブル性を確保しながら耐衝撃性を向上させやすい。第1貼合層20の温度23℃、相対湿度55%における貯蔵弾性率は、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。」
「【0088】(画像表示装置)図2は、本実施形態の画像表示装置の一例を模式的に示す概略断面図である。画像表示装置は、その前面(視認側)に配置される前面板10を含む光学積層体100と、表示ユニットを含む表示積層体200と、第3貼合層40とを有し、光学積層体100の円偏光板30側に、第3貼合層40を介して表示積層体200が積層されている。第3貼合層40は、光学積層体100における円偏光板30と表示積層体200とを貼合するためのものである。光学積層体100と表示積層体200とを積層する際には、例えば、光学積層体100の円偏光板30上に第3貼合層40を設け、この第3貼合層40上に表示積層体200を積層してもよい。表示積層体用の貼合層は、粘着剤層又は接着剤層であり、粘着剤層及び接着剤層は上記した材料を用いて構成することができる。」
「【図2】[図:0001415248000013.jpg]」
「【0089】画像表示装置300は、フレキシブルディスプレイパネルであってもよい。フレキシブルディスプレイである画像表示装置は、視認側表面を内側にして折り畳み可能に構成されたものであってもよく、巻回可能に構成されたものであってもよい。」
「【0091】表示積層体200に含まれる表示ユニットとしては、例えば、液晶表示素子、有機EL表示素子、無機EL表示素子、プラズマ表示素子、電界放射型表示素子などの表示素子を含む表示ユニットが挙げられる。」
「【0097】[ボールドロップ試験]各実施例及び各比較例で得られた光学積層体の円偏光板側を、厚みが5μmのアクリル系粘着剤(住友化学株式会社製)を介して、0.7mmの無アルカリガラスに貼合した試験用サンプル(1)を作製した。この試験用サンプル(1)を前面板側が上面となるように、鋼鉄製のステージに設置し、高さ50cmの位置から、材質が鋼鉄のボールドロップ試験球を鉛直自由落下させて、光学積層体を介して上記無アルカリガラスに衝突させた。試験球は、重量が1g、3g、4g、7g、12g、16g、19g、22g、25g、32g、36gの11種類のものを用いて行い、試験用サンプル(1)(光学積層体や無アルカリガラス)に亀裂、スクラッチ痕、凹みが見られなかった試験球重量のうち最大の値をボールドロップ試験耐荷重(g)と呼び、耐衝撃性の指標とした。【0098】[屈曲性試験]各実施例及び各比較例で得られた光学積層体の円偏光板側を、厚み20μmのアクリル系粘着剤(住友化学株式会社製)を介して、屈曲性評価装備(CFT-150AC、Covotech社製)に平坦な状態(屈曲していない状態)で固定した後、曲率半径が3mm、温度25℃の条件下で、1分あたり30回の速度で、前面板側が内側となるように折曲げて、元の平坦な状態に戻す屈曲操作を繰返し、折曲げ位置での亀裂や白化が発生したときの屈曲回数を限界屈曲回数として確認した。屈曲操作で屈曲した領域でのクラックや貼合層(粘着剤層)の浮きの発生が、屈曲回数が20万回に達してもみられない場合をA、屈曲回数が10万回以上20万回未満でみられた場合をB、屈曲回数が10万回未満でみられた場合をC、として屈曲性試験の評価を行った。」
「【0100】[ペンドロップ試験]各実施例及び各比較例で得られた光学積層体から、長辺150mm×短辺70mmの長方形の大きさの小片をスーパーカッターを用いて切り出した。切出した小片の円偏光板側を、粘着剤層を介してタッチパネルセンサのITO層側に貼合して試験用サンプル(2)を得た。タッチセンサパネルとしては、タッチセンサパターン層のみからなるものを用いた。タッチセンサパターン層は、透明導電層としてのITO層と、分離層としてのアクリル系樹脂組成物の硬化層とを含むものであり、厚みが7μmであった。【0101】次に、温度23℃、相対湿度55%の環境下で、試験用サンプル(2)の前面板の最表面から10cmの距離に、重量が約5.6gの評価用ペン(ペン先の直径:0.75mm)のペン先が位置しかつ先が下向きとなるように保持し、その位置から前面板側に向けて評価用ペンを落下させた。試験用サンプル(2)の前面板には、タッチパネルセンサの導電層のブリッジ配線(タッチ電極どうしを電気的に接続する配線)部分をマークしておき、ペン先がこのマークしたブリッジ部に落下するように評価用ペンを落下させた。評価用ペンを落下させた試験用サンプル(2)について、走査電子顕微鏡(SEM)(SU8010、Horiba社製)での観察、及び、タッチパネルセンサ機能の確認を行い、クラックの発生及びタッチパネルセンサの動作が、クラックがなく、かつ、タッチパネルセンサが正常に動作する場合をA、クラックがあり、かつ、タッチパネルセンサが正常に動作する場合をB、クラックがあり、かつ、タッチパネルセンサが正常に動作しない場合をC、としてペンドロップ試験の評価を行った。」
イ 甲4発明の認定
前記アにおいて摘記した事項を総合すると、甲4文献には、図2に係る発明として、次の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されていると認められる。
[甲4発明]
「視認側に配置される前面板10を含む光学積層体100と、表示ユニットを含む表示積層体200と、第3貼合層40とを有し、光学積層体100の円偏光板30側に、第3貼合層40を介して表示積層体200が積層されている画像表示装置300であって、(【0088】)画像表示装置300は、フレキシブルディスプレイパネルであり、(【0089】)前面板側が内側となるように折曲げるものであり、(【0098】)表示積層体200に含まれる表示ユニットは、有機EL表示素子を含む表示ユニットであり、(【0091】)続きを表示(全26行)光学積層体100は、視認側から順に、前面板10、第1貼合層20、及び円偏光板30を備えるものであり、前面板10は、光学積層体100の最表面をなす外側層11と、外側層11及び第1貼合層20に接するように設けられた内側層12とを備え、(【0020】)前面板10は、光を透過可能な板状体であり、画像表示装置の表示素子等を保護するための層として機能することができ、ブルーライトカット機能を有するものであってもよく、(【0029】)外側層11は、光学積層体100に必要な表面硬度を付与する機能を有し、外側層11に積層されている他の層を保護する機能を有しており、外側層11をなす第1の樹脂フィルムは、光を透過可能なフィルムであり、基材フィルムの少なくとも一方の面にハードコート層を設けて表面硬度を向上させた樹脂フィルムであり、(【0037】)内側層12は、光学積層体100の耐衝撃性を向上するために設けられ、第2の樹脂フィルム12aと、第2の樹脂フィルム12aと外側層11とを貼合するための第2貼合層12bとを含んでおり、(【0045】)第2の樹脂フィルム12aは、ポリエチレンテレフタレート等の高分子で形成されたフィルムを用いることができ、(【0056】)第2貼合層12bは、粘着剤層であり、光学積層体100の耐衝撃性を向上させやすくなるものであり、【0057】)第1貼合層20は、前面板10の内側層12と円偏光板30との間に介在してこれらを貼合する層であり、光学積層体100のフレキシブル性を確保しつつ耐衝撃性を向上する観点から、粘着剤層であり、(【0069】)第1貼合層20の温度23℃、相対湿度55%における貯蔵弾性率は、0.001MPa以上であることが好ましく、0.01MPa以上であってもよく、0.1MPa以上であってもよく、また、0.5MPa以下であることが好ましく、0.3MPa以下であってもよく、第1貼合層20の貯蔵弾性率が上記の範囲であることにより、光学積層体100のフレキシブル性を確保しながら耐衝撃性を向上させやすく、(【0070】)光学積層体100は、屈曲性試験における限界屈曲回数が20万回以上であり、(【0022】)光学積層体100を用いて、フレキシブル性を有しながらも優れた耐衝撃性を有するフレキシブルディスプレイを提供することができ、(【0024】)光学積層体100のボールドロップ試験における耐荷重は、光学積層体100をなす各層の剛性(引張弾性率、厚み)、降伏点伸張、降伏応力等によって調整することができ、内側層12の剛性、内側層12に含まれる第2貼合層12bをなす粘着剤や接着剤の種類、第2貼合層12bの厚み、第1貼合層20をなす粘着剤や接着剤の種類、第1貼合層20の厚み等によって調整することができ、(【0025】)ここで、ボールドロップ試験は、光学積層体の円偏光板側を、厚みが5μmのアクリル系粘着剤(住友化学株式会社製)を介して、0.7mmの無アルカリガラスに貼合した試験用サンプル(1)を作製し、この試験用サンプル(1)を前面板側が上面となるように、鋼鉄製のステージに設置し、高さ50cmの位置から、材質が鋼鉄のボールドロップ試験球を鉛直自由落下させて、光学積層体を介して上記無アルカリガラスに衝突させるものであって、試験球は、重量が1g、3g、4g、7g、12g、16g、19g、22g、25g、32g、36gの11種類のものを用いて行い、試験用サンプル(1)(光学積層体や無アルカリガラス)に亀裂、スクラッチ痕、凹みが見られなかった試験球重量のうち最大の値をボールドロップ試験耐荷重(g)と呼び、耐衝撃性の指標とするものであり、(【0097】)ペンドロップ試験に対する耐久性を向上させることにより、光学積層体100の底面側(円偏光板30側)に加わる圧力を低減することができるものであり、(【0060】)ここで、ペンドロップ試験は、まず、光学積層体から、長辺150mm×短辺70mmの長方形の大きさの小片をスーパーカッターを用いて切り出し、切出した小片の円偏光板側を、粘着剤層を介してタッチパネルセンサのITO層側に貼合して試験用サンプル(2)を得るものであり、タッチセンサパネルとしては、タッチセンサパターン層のみからなるものを用い、タッチセンサパターン層は、透明導電層としてのITO層と、分離層としてのアクリル系樹脂組成物の硬化層とを含むものであり、厚みが7μmであり、(【0100】)次に、温度23℃、相対湿度55%の環境下で、試験用サンプル(2)の前面板の最表面から10cmの距離に、重量が約5.6gの評価用ペン(ペン先の直径:0.75mm)のペン先が位置しかつ先が下向きとなるように保持し、その位置から前面板側に向けて評価用ペンを落下させた。試験用サンプル(2)の前面板には、タッチパネルセンサの導電層のブリッジ配線(タッチ電極どうしを電気的に接続する配線)部分をマークしておき、ペン先がこのマークしたブリッジ部に落下するように評価用ペンを落下させた。評価用ペンを落下させた試験用サンプル(2)について、走査電子顕微鏡(SEM)(SU8010、Horiba社製)での観察、及び、タッチパネルセンサ機能の確認を行い、クラックの発生及びタッチパネルセンサの動作が、クラックがなく、かつ、タッチパネルセンサが正常に動作する場合をA、クラックがあり、かつ、タッチパネルセンサが正常に動作する場合をB、クラックがあり、かつ、タッチパネルセンサが正常に動作しない場合をC、として評価を行うものである、(【0101】)画像表示装置300。」
(2) 周知技術1について
ア 引用文献1の記載事項
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引用文献1(特許第5676798号公報)には、次の記載がある。なお、下線は当合議体が付したものであり、以下に引用する他の文献についても同様である。
「【技術分野】【0001】本発明は、厚さが小さくても衝撃吸収性に優れた発泡シート、及び該発泡シートが用いられている電気・電子機器に関する。【背景技術】続きを表示(全20行)【0002】従来、液晶ディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマディスプレイ等の画像表示装置に固定された画像表示部材や、いわゆる「携帯電話」、「スマートフォン」や「携帯情報端末」等に装着された表示部材、カメラ、レンズなどの光学部材を、所定の部位(例えば、筐体等)に固定する際に、発泡材が使用されている。このような発泡材としては、低発泡で且つ独立気泡構造を有する微細セルウレタン系発泡体や高発泡ウレタンを圧縮成形したものの他、独立気泡を有する発泡倍率30倍程度のポリエチレン系発泡体などが使用されていた。具体的には、例えば、密度0.3~0.5g/cm3のポリウレタン系発泡体からなるガスケット(特許文献1参照)や、平均気泡径が1~500μmの発泡構造体からなる電気・電子機器用シール材(特許文献2参照)などが使用されている。(中略)【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【0004】しかしながら、近年、光学部材(画像表示装置、カメラ、レンズなど)が装着される製品がますます薄型化されていくにつれ、発泡材が使われる部分のクリアランスが著しく減少していく傾向にある。このクリアランス減少に伴い、該発泡部材の厚さを小さくする必要があるが、従来の発泡材では、厚さを小さくすると十分な衝撃吸収性が発揮されない。そのため、例えば、「スマートフォン」等の表示部材付き電気・電子機器を地面等に落とした場合に、衝突する際の衝撃を吸収し、表示部材の破損を防止する発泡シートが求められている。【0005】また、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレットPC、PDA(個人用の携帯情報端末)、携帯電話等の電子機器の高機能化に伴い、表示部材等の破損防止のために用いられる衝撃吸収シートにその他の部材(例えば、熱伝導層)を積層させて組み込まれるようになっている。近年の上記電子機器の更なる薄型化により、それに使用される衝撃吸収シート等の部材の更なる薄層化が望まれるようになり、該衝撃吸収シートとその他の部材との積層時の粘接着層の薄層化、あるいは粘接着層レスが要望されている。(中略)【0008】従って、本発明の目的は、厚さが非常に小さくても、優れた衝撃吸収性を発揮する発泡シートを提供することにある。本発明の他の目的は、上記特性に加え、他部材を積層する際に、粘接着層を有しなくても位置ズレを防止できる発泡シートを提供することにある。また、本発明の別の目的は、小型化、薄型化されていても、落下時の衝撃により破損しにくい電気・電子機器を提供することにある。本発明のさらに他の目的は、厚さが非常に小さくても、優れた衝撃吸収性を発揮するとともに、タッチパネル搭載機器に用いられた際に、使用者のタッチ操作に伴う表示部における表示ムラの発生を高度に抑制できる発泡シートを提供することにある。本発明のさらに別の目的は、落下時の衝撃により破損しにくく、しかも使用者のタッチ操作に伴う表示部における表示ムラの発生が高度に抑制されているタッチパネル搭載機器を提供することにある。」
「【0033】本発明の発泡シートは、薄肉でありながら優れた衝撃吸収性を有する。また、非常に弱い衝撃に対しても高い衝撃吸収性を有し、衝撃の大きさによらず優れた衝撃吸収性を発揮する。例えば、振り子型衝撃試験機を用いた衝撃吸収性試験において、下記式で定義される衝撃吸収率(%)を発泡シートの厚さ(μm)で割り、単位厚さ当たりの衝撃吸収率Rを求める。衝撃吸収率(%)={(F0-F1)/F0}×100(上記式において、F0は支持板のみに衝撃子を衝突させた時の衝撃力のことであり、F1は支持板と発泡シートとからなる構造体の支持板上に衝撃子を衝突させた時の衝撃力のことである)」
イ 引用文献2の記載事項
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引用文献2(特開2015-110319号公報)には、次の記載がある。
「【技術分野】【0001】本発明は、厚さが薄くても衝撃吸収性及び熱拡散性(放熱性)に優れた積層体(熱拡散衝撃吸収シート)、及び該積層体が用いられている電気・電子機器に関する。【背景技術】続きを表示(全15行)【0002】近年、PC(パーソナルコンピュータ)、タブレットPC、PDA(個人用の携帯情報端末)、携帯電話等の電子機器の薄型化に伴い、液晶パネルや有機ELパネル等の破損紡糸のためパネル背面に衝撃吸収シートが使用されるようになっている。【0003】また、電子機器の高機能化に伴い、電子部品などの発熱体は発熱量が大きくなっているが、内部に熱が蓄積されることによる性能低下や破損、また筐体が局所的に高温になることによる使用者のやけどなどの防止のため、効率よく外部へ熱を拡散させ、冷却する必要がある。この目的で各種放熱体が使用されるようになってきている。【0004】そのため、電子機器には衝撃吸収層と熱伝導層を組み合わせた熱拡散衝撃吸収シートが要望されている。加えて、電子機器の更なる薄型化により、それに使用される部材の更なる薄層化が求められている。(中略)【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【0006】従って、本発明の目的は、厚さが薄くても衝撃吸収性及び熱拡散性に優れた熱拡散衝撃吸収シート、及びこのような熱拡散衝撃吸収シートが用いられている電気・電子機器を提供することにある。」
「【0036】本発明の積層体における発泡体層は、薄肉でありながら優れた衝撃吸収性を有する。また、衝撃の大きさによらず、優れた衝撃吸収性を発揮する。【0037】例えば、本発明の積層体では、振り子型衝撃試験機を用いた、該積層体の衝撃吸収性試験(衝撃子の重さ96g、振り上げ角度30°)において、下記式で定義される衝撃吸収率(%)を発泡体層の厚さ(μm)で割った値R(単位厚さ当たりの衝撃吸収率)が、例えば0.15以上となり、好ましくは0.17以上、さらに好ましくは0.19以上である。なお、前記Rの上限値は、例えば、0.5程度である。衝撃吸収率(%)={(F0-F1)/F0}×100(上記式において、F0は支持板のみに衝撃子を衝突させた時の衝撃力のことであり、F1は支持板と前記積層体とからなる構造体の支持板上に衝撃子を衝突させた時の衝撃力のことである)」
ウ 周知技術1の認定
前記ア及びイにおいて摘記した事項に例示されるように、次の技術事項は周知技術である(以下「周知技術1」という。)。
[周知技術1]
「画像表示装置に設けられる衝撃吸収部材について、その厚さが薄くても衝撃吸収性に優れたものを提供するにあたり、衝撃吸収性試験を通じて得られる単位厚さ当たりの衝撃吸収率という指標により、衝撃吸収性を評価すること。」
(3) 周知技術2を示す文献
ア 甲3文献の記載事項
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甲3文献(特開2018-28573号公報)には、次の記載がある。
「【特許請求の範囲】【請求項1】複数の粘着剤層と、少なくとも偏光膜を含む光学フィルムと、を含むフレキシブル画像表示装置用積層体であって、前記偏光膜の厚みが、20μm以下であり、前記複数の粘着剤層のうち、前記積層体を折り曲げた場合の凸側の最外面の粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率G’が、他の粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率G’と略同一、又は、小さいことを特徴とするフレキシブル画像表示装置用積層体。」
「【技術分野】【0001】本発明は、少なくとも偏光膜を含む光学フィルム、及び、複数の特定の粘着剤層を含むフレキシブル画像表示装置用積層体、並びに、前記フレキシブル画像表示装置用積層体が配置されたフレキシブル画像表示装置に関する。(中略)続きを表示(全16行)【発明が解決しようとする課題】【0005】しかしながら、特許文献1に示されるような従来の有機EL表示装置は、折り曲げることを念頭に設計されているものではない。有機EL表示パネル基材にプラスチックフィルムを用いれば、有機EL表示パネルに屈曲性を与えることができる。また、タッチパネルにプラスチックフィルムを用いて、有機EL表示パネル中に組み込むような場合であっても、有機EL表示パネルに屈曲性を与えることができる。しかし、有機EL表示パネルに積層される、従来の偏光膜等を含む光学フィルムが、有機EL表示装置の屈曲性を阻害する問題が生じている。【0006】そこで、本発明は、少なくとも偏光膜を含む光学フィルムと、複数の特定の粘着剤層を用いることで、繰り返しの屈曲に対してもハガレや破断することがなく、耐屈曲性や密着性に優れたフレキシブル画像表示装置用積層体、及び、前記フレキシブル画像表示装置用積層体が配置されたフレキシブル画像表示装置を提供することを目的とする。【課題を解決するための手段】【0007】本発明のフレキシブル画像表示装置用積層体は、複数の粘着剤層と、少なくとも偏光膜を含む光学フィルムと、を含むフレキシブル画像表示装置用積層体であって、前記偏光膜の厚みが、20μm以下であり、前記複数の粘着剤層のうち、前記積層体を折り曲げた場合の凸側の最外面の粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率G’が、他の粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率G’と略同一、又は、小さいことを特徴とする。(中略)【発明の効果】【0018】本発明によれば、少なくとも偏光膜を含む光学フィルムと、複数の特定の粘着剤層を用いることで、繰り返しの屈曲に対してもハガレや破断することがなく、耐屈曲性や密着性に優れたフレキシブル画像表示装置用積層体を得ることができ、更に、前記フレキシブル画像表示装置用積層体が配置されたフレキシブル画像表示装置を得ることができ、有用である。」
「【0021】[フレキシブル画像表示装置用積層体]本発明のフレキシブル画像表示装置用積層体は、複数の粘着剤層と、光学フィルムと、を含むことを特徴とする。(中略)続きを表示(全20行)【0064】なお、第1の粘着剤層に加えて、第2の粘着剤層、及び、更にはその他粘着剤層(例えば、第3の粘着剤層など)を使用する場合、これら粘着剤層は、同一組成(同一粘着剤組成物)、同一特性を有するものであっても、異なる特性を有するものであっても、特に制限されないが、前記複数の粘着剤層のうち、前記積層体を折り曲げた場合の凸側の最外面の粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率G’が、他の粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率G’と略同一、又は、小さいことが要求される。また、作業性、経済性、屈曲性の観点から、全ての粘着剤層が、実質的に同一組成、同一特性を有する粘着剤層であることが好ましい。(中略)【0071】本発明のフレキシブル画像表示装置用積層体に用いる粘着剤層の貯蔵弾性率(G’)は、25℃において、好ましくは1.0MPa以下であり、より好ましくは0.8MPa以下であり、更に好ましくは、0.3MPa以下である。粘着剤層の貯蔵弾性率がこのような範囲であれば、粘着剤層が硬くなりにくく、応力緩和性に優れ、耐屈曲性にも優れるため、屈曲可能または折りたたみ可能なフレキシブル画像表示装置を実現することができる。【0072】特に、前記フレキシブル画像表示装置用積層体を中央で折り曲げた場合に前記凹側(内側)の最内側の貯蔵弾性率(G’)は、25℃において、好ましくは0.05~0.2MPaであり、より好ましくは、0.05~0.15MPaである。0.2MPaを超えると、屈曲時にかかる応力を緩和できず、光学フィルムなどフィルムの破断が生じやすくなる。0.05MPa未満であると、連続屈曲時のフィルム間の寸法変化に完全に追従するため、粘着剤層の疲弊劣化によって、屈曲部の耐久性が悪化し、ハガレや発泡が生じやすくなる。また、前記フレキシブル画像表示装置用積層体を中央で折り曲げた場合に前記凸側(外側)の最外側の貯蔵弾性率(G’)は、25℃において、好ましくは0.01~0.15MPaであり、より好ましくは、0.01~0.1MPaである。0.15MPaを超えると、屈曲時に発生するずり応力を緩和できず、光学フィルムなどフィルムの破断が生じやすくなる。また0.01MPa未満であると、連続屈曲時のフィルム間の寸法変化に完全に追従するため、粘着剤層の疲弊劣化によって屈曲部の耐久性が悪化し、ハガレや発泡が生じやすくなる。複数の粘着剤層が存在する場合、中間に位置する粘着剤層の貯蔵弾性率(G’)は25℃において、好ましくは0.01~0.2MPaであり、より好ましくは0.01~0.15MPaである。該粘着剤層は積層品の中間に位置するため、最も応力がかかりにくいため、複数の粘着剤層の凸側(外側)と凹側(内側)の粘着剤層の貯蔵弾性率(G’)の範囲を合わせたものが適応範囲となる。そして、前記範囲内であれば、屈曲時に凸側のフィルムの破断等が発生せず、好ましい。(中略)【0098】図2は、本発明によるフレキシブル画像表示装置の1つの実施形態を示す断面図である。このフレキシブル画像表示装置100は、フレキシブル画像表示装置用積層体11と、折り曲げ可能に構成された有機EL表示パネル10を含む。そして、有機EL表示パネル10に対して、視認側にフレキシブル画像表示装置用積層体11が配置され、フレキシブル画像表示装置100は折り曲げ可能に構成されている。また、任意ではあるが、フレキシブル画像表示装置用積層体11に対して、視認側に透明なウインドウ40が第1の粘着剤層12-1を介して配置させることができる。【0099】フレキシブル画像表示装置用積層体11は、光学積層体20と、更に、第2の粘着剤層12-2、及び、第3の粘着剤層12-3を構成する粘着剤層とを含む。【0100】光学積層体20は、偏光膜1、透明樹脂材料の保護膜2及び位相差膜3を含む。透明樹脂材料の保護膜2は、偏光膜1の視認側の第1面に接合される。位相差膜3は、偏光膜1の第1面とは異なる第2面に接合される。偏光膜1と位相差膜3は、例えば、偏光膜1の視認側から内部に入射した光が内部反射して視認側に射出されることを防止するために円偏光を生成したり、視野角を補償したりするためのものである。」
「【図2】[図:0001415248000014.jpg]」
「【0101】本実施形態においては、従来偏光膜の両面に保護膜が設けられていたのに対して、片面のみに保護膜が設けられる構成とされ、偏光膜自体も従来の有機EL表示装置に使用されている偏光膜に比べて、非常に薄い厚み(20μm以下)の偏光膜が使用されることによって、光学積層体20の厚みが低減することができる。また、偏光膜1は、従来の有機EL表示装置に使用されている偏光膜に比べて非常に薄いので、温度又は湿度条件で発生する伸縮による応力が極めて小さくなる。したがって、偏光膜の収縮によって生じる応力が隣接する有機EL表示パネル10に反り等の変形を生じさせる可能性が大幅に軽減され、変形に起因する表示品質の低下やパネル封止材料の破壊を大幅に抑制することが可能になる。また、厚みの薄い偏光膜の使用により、屈曲を阻害することがなく、好ましい態様となる。【0102】光学積層体20を、保護膜2側を内側として折り曲げる場合、光学積層体20の厚み(例えば、92μm以下)を薄くし、上記のような貯蔵弾性率を有する第1の粘着剤層12-1を保護膜2に対して位相差膜3とは反対側に配置することによって、光学積層体20にかかる応力を低減することが可能となり、これにより光学積層体20が折り曲げ可能となる。また、したがって、フレキシブル画像表示装置が使用される環境温度に応じて適切な貯蔵弾性率の範囲を設定してもよい。例えば、想定使用環境温度が-20℃~+85℃である場合、25℃における貯蔵弾性率が適切な数値範囲となるような第1の粘着剤層を用いることができる。続きを表示(全22行)(中略)【0139】(耐折性試験方法)図5に180°耐折性試験機(井元製作所製)の概略図を示す。本装置は、恒温槽内で、マンドレルを挟んで片側のチャックが180°曲げを繰り返す機構となっており、マンドレルの直径により折り曲げ半径を変えることができる。フィルム破断すると試験が停止する機構になっている。試験は、各実施例及び比較例で得られた5cm×15cmのフレキシブル画像表示装置用積層体を装置にセットし、温度25℃、曲げ角度180°、曲げ半径3mm、曲げ速度1秒/回、重り100gの条件で実施した。フレキシブル画像表示装置用積層体の破断までの回数で耐折強さを評価した。ここで、折り曲げの回数が20万回に達した場合は、試験を打ち切った。なお、測定(評価)方法としては、フレキシブル画像表示装置用積層体の第1の粘着剤層側を内側(凹側)にして折り曲げる場合(実施例1のみ)、第1の粘着剤層を外側(凸側)にして折り曲げる場合の、折り曲げ(曲げ)方向として、2種類について、評価した。<破断の有無>○:破断なし△:屈曲部の端部にわずかな破断有り(実用上問題なし)×:屈曲部の全面に破断有り(実用上問題あり)<外観(ハガレ)の有無>○:折れ・ハガレ等が確認されない△:屈曲部にわずかに折れ・ハガレ等が確認される(実用上問題なし)×:屈曲部の全面に折れ・ハガレ等が確認される(実用上問題あり)(中略)【0142】【表4】[図:0001415248000015.jpg](後略)」
イ 周知技術2の認定
前記アにおいて摘記した事項に例示されるように、次の技術事項は周知技術である(以下「周知技術2」という。)。
[周知技術2]
「フレキシブル画像表示装置用の積層体に含まれる複数の粘着剤層の貯蔵弾性率(G’)について、前記積層体を折り曲げた場合の凸側の最外面の粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率G’が、他の粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率G’と略同一、又は、小さくしつつ、所定の範囲内になるように最適化することにより、粘着剤層が硬くなりにくく、応力緩和性に優れ、耐屈曲性にも優れるようにできること。」
(4) 周知技術3を示す文献
ア 引用文献3の記載事項
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引用文献3(特開2020-20960号公報)には、次の記載がある。
「【0012】<1.実施の形態>[構成]図1は、本開示の一実施の形態に係る表示装置100の断面構成の一例を表したものである。表示装置100は、光出射面110Aを有する表示パネル110と、表示パネル110の光出射面110Aに設けられた保護シート120とを備えている。図2は、表示パネル110の断面構成の一例を表したものである。表示パネル110は、光出射面110Aの直下に2次元配置された複数の表示画素を有しており、各表示画素から出射された光によって画像光Lを生成する。表示パネル110の外縁部分には、複数の表示画素を駆動するドライバが実装されている。表示装置100は、表示パネル110を制御するコントローラを備えており、コントローラからの制御信号に基づいて表示パネル110を制御する。」
「【図1】[図:0001415248000016.jpg]」
「【0020】(保護シート120)保護シート120は、表示パネル110の光出射面110Aを保護するものである。保護シート120は、さらに、画像光Lに対して光透過性を有するフレキシブルなシートで構成されている。保護シート120は、例えば、図1に示したように、衝撃吸収層121、歪み緩和層122および衝撃分散層123を有している。衝撃吸収層121、歪み緩和層122および衝撃分散層123は、表示パネル110の光出射面110A側からこの順に配置されている。衝撃吸収層121が、衝撃吸収層121、歪み緩和層122および衝撃分散層123の中で最も光出射面110A寄りに配置されている。衝撃分散層123が、衝撃吸収層121、歪み緩和層122および衝撃分散層123の中で最も光出射面110Aから離れて配置されている。歪み緩和層122は、衝撃吸収層121と衝撃分散層123との間に配置されている。【0021】(衝撃分散層123)衝撃分散層123は、外部から加わった衝撃を一点に集中させないように分散させる機能と、引っ掻き等によって表面にキズが付くことを防止する機能とを持つ。衝撃分散層123は、例えば、フレキシブル性を有する強化ガラスによって構成されている。衝撃分散層123のヤング率は、例えば、50GPa以上となっている。【0022】衝撃分散層123は、フレキシブル性を有する樹脂フィルムによって構成されていてもよい。樹脂フィルムの硬度を高めるためには、フィルム基材表面にハードコート材料を塗布または蒸着することが一般に行われる。しかし、フィルム基材の片面にハードコート処理した場合には、フィルム基材に反りが発生しやすく、貼合プロセスが困難になりやすい。また、フィルム基材の片面にハードコート処理されたもの(以下、「片面HC(Hard Coat)処理フィルム」と称する。)を貼合した場合には、貼合した樹脂フィルムが残留応力により割れたり、反ったりしてしまうことがある。そこで、衝撃分散層123は、ハードコート材料を固めてフィルム状にしたもの(以下、「HC(Hard Coat)フィルム(ハードコートフィルム)」と称する。)、または、フィルム基材の両面にハードコート処理されたフィルム(以下、「両面HC処理フィルム」(両面ハードコートフィルム)と称する。)によって構成されていることが好ましい。ハードコートフィルムおよび両面ハードコートフィルムは、フレキシブル性を有していることが好ましい。HCフィルムおよび両面HC処理フィルムでは、反りの発生が少なく、所望のヤング率や厚みを実現することができる。そのため、HCフィルムおよび両面HC処理フィルムは、衝撃分散層123として適している。」
「【0025】(衝撃吸収層121)衝撃吸収層121は、衝撃分散層123が衝撃を受けた際に、当該衝撃吸収層121が衝撃分散層123に生じた湾曲に応じた変形をすることにより、外部からの衝撃を吸収する機能(衝撃吸収機能)を持つ。衝撃吸収層121は、サブミリオーダ以上の厚さを有するゲル状の樹脂層である。衝撃吸収層121を構成するゲル状の樹脂層では、ゴム硬度が17以上24以下となっていることが好ましい。ゴム硬度が17よりも小さい場合、衝撃吸収層121が衝撃により潰れてしまい、衝撃を十分吸収できなくなる可能性がある。なお、ゴム硬度は、例えば、ASTMD 2240 デュロメータ type00によって測定可能である。また、ゴム硬度が24よりも大きい場合、衝撃が加わった際のゲルの変形が小さく、衝撃を十分吸収できなくなる可能性がある。本実施の形態では、衝撃分散層123が設けられているので、衝撃吸収層121の厚さは、衝撃分散層123が設けられていない場合に衝撃吸収層121として必要とされる厚さ(例えば、2mm程度)よりも薄くなっている。【0026】衝撃吸収層121は、ゲル状接着層であってもよい。このとき、衝撃吸収層121は、保護シート120を光出射面110Aに直接もしくは間接的に貼合する機能(貼合機能)を有している。衝撃吸収層121がゲル状接着層である場合、衝撃吸収層121は、例えば、アクリル系のゲル状接着剤で構成されている。ゲル状接着剤としては、シリコンゲルなども候補に挙げることが可能ではある。しかし、シリコンゲルでは、油の染み出しが発生する可能性あり、ディスプレイの信頼性を低下させるおそれがある。」
「【0047】[変形例D]上記実施の形態において、素子形成基板111および封止基板114がフレキシブルなプラスチック基板で構成されており、表示パネル110がフレキシブルな有機ELパネルとなっている場合に、表示装置100は、例えば、図12に示したように、表示パネル110の背面に保護シート130を備えていてもよい。保護シート130は、表示パネル110の剛性を高め、表示パネル110に衝撃が加わった際の表示パネル110の局所的な撓みを低減する機能を有する。保護シート130は、ヤング率が高く、塑性変形しにくい材料によって構成されていることが好ましく、例えば、42Ni、SUS、Mg合金、Al等の金属材料によって構成されていることが好ましい。保護シート130が上述したような金属材料によって構成されている場合には、表示パネル110で生じた熱を保護シート130から放散させることもできる。なお、保護シート130が、保護シート120と同程度の剛性を有する樹脂シート(例えば、PET、PI、PC、PMMA等の樹脂シート)で構成されていてもよい。この場合にも、保護シート130と同様の効果が得られる。」
「【図12】[図:0001415248000017.jpg]」
イ 周知技術3の認定
前記アにおいて摘記した事項に例示されるように、次の技術事項は周知技術である(以下「周知技術3」という。)
[周知技術3]
「表示パネルの光出射面に保護部材が設けられた表示装置において、表示パネルの背面にも保護部材を設けること。」
(5) 周知技術4を示す文献
ア 甲2文献の記載事項
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甲2文献(特開2015-93388号公報)には、次の記載がある。
「【0001】本発明は、衝撃吸収フィルムに関し、特に、電子機器のディスプレイを保護するために用いられる衝撃吸収フィルムに関する。」
「【0015】図1に示すように、本形態に係る衝撃吸収フィルム100は、樹脂フィルム層110と、樹脂フィルム層110を介在して積層された2層の衝撃吸収層(第1衝撃吸収層121及び第2衝撃吸収層122、以下、2層まとめて「衝撃吸収層120」と記載する場合がある。)と、基材130と、粘着剤層140と、表面フィルム層150と、表面処理層160と、を主に備える。なお、本発明に係る衝撃吸収フィルムにおける必須の構成としては、樹脂フィルム層110及び衝撃吸収層120であり、その他の基材130、粘着剤層140、表面フィルム層150及び表面処理層160等は、必要に応じて設けられればよい。以下、各層の構成について詳述する。」
「【図1】[図:0001415248000018.jpg]」
「【0016】<樹脂フィルム層110>樹脂フィルム層110は、2層の衝撃吸収層121,122の間に介在される層である。このように、少なくとも2層の衝撃吸収層121,122の間に樹脂フィルム層110を介在させることにより、単に複数の衝撃吸収層(本形態では、衝撃吸収層121,122)を積層させた場合よりも、衝撃吸収性を大きく向上させることができる。【0017】[材質]樹脂フィルム層110の材質としては、フィルム状の透明な樹脂であれば特に制限されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)等を用いることができ、これらの中でも、透明性及びゲル状エラストマーとの密着性に優れることからPETフィルムを用いることが好適である。」
「【0019】<衝撃吸収層120>衝撃吸収層120は、樹脂フィルム層を介在して積層された層であり、少なくとも2層からなる。本形態では、衝撃吸収層120として、衝撃吸収層121,122の2層が設けられているが、3層以上設けられていてもよい。この場合、図2に示すように、樹脂フィルム層110は、1層又は2層以上積層された一組の衝撃吸収層と、1層又は2層以上積層されたもう一組の衝撃吸収層との間に、1層のみ設けられていてもよく、図3に示すように、3層以上の衝撃吸収層の各層の間にそれぞれ樹脂フィルム層110が介在されていてもよい。このように、本形態に係る衝撃吸収フィルム100によれば、衝撃吸収層120を少なくとも2層設け、これらの少なくとも2層の衝撃吸収層121,122を、樹脂フィルム層110を介在して積層させることで、従来よりも格段に優れた衝撃吸収性を有することができる。これにより、携帯電話、スマートフォン、タブレットといったディスプレイ表面への破損等が起こり易い環境で使用されるモバイル電子機器の保護フィルム等としても好適に用いることができる。」
「【図3】[図:0001415248000019.jpg]」
「【0044】さらに、衝撃吸収層120に使用されるゲル状エラストマーは、自己粘着力も備えていることから、衝撃吸収層120に他の層を積層させる際、室温において(加熱の必要なしに)ニップロール等を通過させてわずかな圧力を加えるだけで、両層を貼り合わせることができる。」
イ 周知技術4の認定
前記アにおいて摘記した事項に例示されるように、次の技術事項は周知技術である(以下「周知技術4」という。)。
[周知技術4]
「電子機器のディスプレイを保護するために用いられる衝撃吸収部材が、3層以上の衝撃吸収層の間に、それぞれ樹脂フィルム層を介在させたものであり、衝撃吸収層が粘着層であること。」
(6) 技術常識を示す文献
以下の文献に例示されるように、次の二つの技術事項は当業者にとって技術常識である(以下、それぞれ「技術常識1」及び「技術常識2」という。)
(【請求項1】~【請求項20】、【0021】~【0028】)
(【請求項1】~【請求項14】、【0004】~【0009】)
(【0050】、【0054】)
(【請求項1】~【請求項7】、【0006】、【0007】)
(【請求項1】~【請求項6】、【0008】~【0010】)
[技術常識1]
「有機EL表示装置において、光の利用率の向上、薄型、コスト削減等の観点から円偏光板を用いないようにして設計すること。」
[技術常識2]
「有機EL表示装置において、円偏光板を用いなくても外光反射を抑制することができること。」
3 進歩性の判断について
(1) 本件訂正発明1について
ア 本件訂正発明1と甲4発明の対比
(ア) 構成Xの観点
「画像表示装置」の発明である本件訂正発明1は、「画像表示装置300」の発明である甲4発明と、画像表示装置の発明である点において一致する。
(イ) 構成Aの観点
a 甲4発明の「外側層11」は、「光学積層体100に必要な表面硬度を付与する機能を有し、外側層11に積層されている他の層を保護する機能を有しており、外側層11をなす第1の樹脂フィルムは、光を透過可能なフィルムであり、基材フィルムの少なくとも一方の面にハードコート層を設けて表面硬度を向上させた樹脂フィルム」であるから、本件訂正発明1の「ウインドウ部材」に相当する。
b 甲4発明の「内側層12」は、「光学積層体100の耐衝撃性を向上するために設けられ」、「第2の樹脂フィルム12a」と「第2貼合層12b」を含むものであるところ、「第2の樹脂フィルム12aは、ポリエチレンテレフタレート等の高分子で形成されたフィルムを用いることができ、第2貼合層12bは、粘着剤層である」から、甲4発明の「内側層12」に含まれる「第2貼合層12b」及び「第2の樹脂フィルム12a」は、それぞれ本件訂正発明1の「第1粘着層」及び「基材」に相当する。
また、甲4発明の「第1貼合層20」は、「光学積層体100のフレキシブル性を確保しつつ耐衝撃性を向上する観点から、粘着剤層である」から、本件訂正発明1の「第2粘着層」に相当する。
ここで、甲4発明の「第2貼合層12b」、「第2の樹脂フィルム12a」及び「第1貼合層20」は、いずれも耐衝撃性の向上に寄与するものであるから、これらを一体のものとして「衝撃を吸収する機能を有する部材」としてみることができる。
c 甲4発明の「表示積層体200」は、「有機EL表示素子を含む表示ユニット」を含むから、本件訂正発明1の「パネル部材」に相当する。
d 甲4発明では、「光学積層体100は、視認側から順に、前面板10、第1貼合層20、及び円偏光板30を備えるものであり」、「光学積層体100の円偏光板30側に、第3貼合層40を介して表示積層体200が積層されている」ところ、「外側層11」が「光学積層体100の最表面をなす」ものであり、「第2貼合層12b」は「第2の樹脂フィルム12aと外側層11とを貼合するため」のものであるから、甲4発明は、視認側から順に、「外側層11」、「第2貼合層12b」、「第2の樹脂フィルム12a」、「第1貼合層20」、「円偏光板30」、「第3貼合層40」、「表示積層体200」が積層された「画像表示装置300」であると認められる。
ここで、甲4発明の「視認側から」「表示積層体200」に向かう方向が、本件訂正発明1の「厚み方向一方側」に相当することを踏まえると、甲4発明においても、「外側層11」、「第2貼合層12b」、「第2の樹脂フィルム12a」、「第1貼合層20」、「表示積層体200」を厚み方向一方側に順に備えているといえる。
e 前記a~dの検討結果を踏まえると、本件訂正発明1と甲4発明は、「ウインドウ部材と、衝撃吸収部材と、パネル部材とを厚み方向一方側に順に備える画像表示装置であ[る]」点において共通し、
本件訂正発明1はパネル部材の後に更に「保護部材」を備えるのに対して、甲4発明は「保護部材」を備えていない点において相違する。
(ウ) 構成Cの観点
甲4発明においては、「前面板10は、光を透過可能な板状体であり」、「第1貼合層20は、前面板10の内側層12と円偏光板30との間に介在してこれらを貼合する層」であるから、「第2貼合層12b」、「第2の樹脂フィルム12a」、「第1貼合層20」は、光透過性を有するものであると認められる。
したがって、本件訂正発明1と甲4発明は、「前記衝撃吸収部材は、光透過性を有する」点で共通し、
本件訂正発明1においては、「衝撃吸収部材は、60%以上の全光線透過率を有[する]」のに対して、甲4発明では、「第2貼合層12b」、「第2の樹脂フィルム12a」、「第1貼合層20」は、光透過性を有するものの、どの程度の全光線透過率を有するものであるか明らかではない点において相違する。
(エ) 構成Dの観点
a 甲4発明においては、「光学積層体100のボールドロップ試験における耐荷重は、光学積層体100をなす各層の剛性(引張弾性率、厚み)、降伏点伸張、降伏応力等によって調整することができ、内側層12の剛性、内側層12に含まれる第2貼合層12bをなす粘着剤や接着剤の種類、第2貼合層12bの厚み、第1貼合層20をなす粘着剤や接着剤の種類、第1貼合層20の厚み等によって調整することができ[る]」ものであって、「ここで、ボールドロップ試験は、光学積層体の円偏光板側を、厚みが5μmのアクリル系粘着剤(住友化学株式会社製)を介して、0.7mmの無アルカリガラスに貼合した試験用サンプル(1)を作製し、この試験用サンプル(1)を前面板側が上面となるように、鋼鉄製のステージに設置し、高さ50cmの位置から、材質が鋼鉄のボールドロップ試験球を鉛直自由落下させて、光学積層体を介して上記無アルカリガラスに衝突させるものであって、試験球は、重量が1g、3g、4g、7g、12g、16g、19g、22g、25g、32g、36gの11種類のものを用いて行い、試験用サンプル(1)(光学積層体や無アルカリガラス)に亀裂、スクラッチ痕、凹みが見られなかった試験球重量のうち最大の値をボールドロップ試験耐荷重(g)と呼び、耐衝撃性の指標とするものであ[る]」。
b(a) 甲4発明の前記aの構成は、本件訂正発明1における構成D、すなわち、「重さ10g、直径13mmのステンレス製ボールを20cmの高さから前記衝撃吸収部材に落下させて求められる前記衝撃吸収部材のボール衝撃吸収率を、前記衝撃吸収部材の厚みで割った、前記衝撃吸収部材の単位厚み当たりのボール衝撃吸収率は、0.27%/μm以上であり」との構成と、次の点において一致する。
鉄製ボールをある高さから落下させて耐衝撃性の指標を計測する試験において所定以上の耐衝撃性の性能を得る点。
(b) そして、両者は、次の点において相違する。
鉄製ボールをある高さから落下させて耐衝撃性の指標を計測する試験における所定の性能が、
本件訂正発明1においては、「重さ10g、直径13mmのステンレス製ボールを20cmの高さから前記衝撃吸収部材に落下させて求められる前記衝撃吸収部材のボール衝撃吸収率を、前記衝撃吸収部材の厚みで割った、前記衝撃吸収部材の単位厚み当たりのボール衝撃吸収率は、0.27%/μm以上であ[る]」のに対して、
甲4発明においては、「光学積層体の円偏光板側を、厚みが5μmのアクリル系粘着剤(住友化学株式会社製)を介して、0.7mmの無アルカリガラスに貼合した試験用サンプル(1)を作製し、この試験用サンプル(1)を前面板側が上面となるように、鋼鉄製のステージに設置し、高さ50cmの位置から、材質が鋼鉄のボールドロップ試験球を鉛直自由落下させて、光学積層体を介して上記無アルカリガラスに衝突させる」「ボールドロップ試験」であって、「試験球は、重量が1g、3g、4g、7g、12g、16g、19g、22g、25g、32g、36gの11種類のものを用いて行[う]」ものであって、「試験用サンプル(1)(光学積層体や無アルカリガラス)に亀裂、スクラッチ痕、凹みが見られなかった試験球重量のうち最大の値であるボールドロップ試験耐荷重(g)」が所定のものであり、「単位厚み当たりのボール衝撃吸収率」という指標によって耐衝撃性を評価していない点。
(オ) 構成Eの観点
a 甲4発明においては、「ペンドロップ試験に対する耐久性を向上させることにより、光学積層体100の底面側(円偏光板30側)に加わる圧力を低減することができるものであり」、「ここで、ペンドロップ試験は、まず、光学積層体から、長辺150mm×短辺70mmの長方形の大きさの小片をスーパーカッターを用いて切り出し、切出した小片の円偏光板側を、粘着剤層を介してタッチパネルセンサのITO層側に貼合して試験用サンプル(2)を得るものであり、タッチセンサパネルとしては、タッチセンサパターン層のみからなるものを用い、タッチセンサパターン層は、透明導電層としてのITO層と、分離層としてのアクリル系樹脂組成物の硬化層とを含むものであり、厚みが7μmであり」、「次に、温度23℃、相対湿度55%の環境下で、試験用サンプル(2)の前面板の最表面から10cmの距離に、重量が約5.6gの評価用ペン(ペン先の直径:0.75mm)のペン先が位置しかつ先が下向きとなるように保持し、その位置から前面板側に向けて評価用ペンを落下させた。試験用サンプル(2)の前面板には、タッチパネルセンサの導電層のブリッジ配線(タッチ電極どうしを電気的に接続する配線)部分をマークしておき、ペン先がこのマークしたブリッジ部に落下するように評価用ペンを落下させた。評価用ペンを落下させた試験用サンプル(2)について、走査電子顕微鏡(SEM)(SU8010、Horiba社製)での観察、及び、タッチパネルセンサ機能の確認を行い、クラックの発生及びタッチパネルセンサの動作が、
クラックがなく、かつ、タッチパネルセンサが正常に動作する場合をA、
クラックがあり、かつ、タッチパネルセンサが正常に動作する場合をB、
クラックがあり、かつ、タッチパネルセンサが正常に動作しない場合をC、
として評価を行うものである」。
b(a) 甲4発明の前記aの構成は、本件訂正発明1における構成E、すなわち「重さ7g、先端部のボール直径0.7mmのボールペンを20cmの高さから前記衝撃吸収部材に落下させて求められる前記衝撃吸収部材のペン衝撃吸収率を、前記衝撃吸収部材の厚みで割った、前記衝撃吸収部材の単位厚み当たりのペン衝撃吸収率は、0.10%/μm以上であ[る]」との構成と、次の点において一致する。
ボールペンをある高さから落下させて耐衝撃性の指標を計測する試験において所定以上の耐衝撃性の性能を得る点。
(b) そして、両者は、次の点において相違する。
ボールペンをある高さから落下させて耐衝撃性の指標を計測する試験における所定の性能が、
本件訂正発明1においては、「重さ7g、先端部のボール直径0.7mmのボールペンを20cmの高さから前記衝撃吸収部材に落下させて求められる前記衝撃吸収部材のペン衝撃吸収率を、前記衝撃吸収部材の厚みで割った、前記衝撃吸収部材の単位厚み当たりのペン衝撃吸収率は、0.10%/μm以上であ[る]」のに対して、
甲4発明においては、「まず、光学積層体から、長辺150mm×短辺70mmの長方形の大きさの小片をスーパーカッターを用いて切り出し、切出した小片の円偏光板側を、粘着剤層を介してタッチパネルセンサのITO層側に貼合して試験用サンプル(2)を得るものであり、タッチセンサパネルとしては、タッチセンサパターン層のみからなるものを用い、タッチセンサパターン層は、透明導電層としてのITO層と、分離層としてのアクリル系樹脂組成物の硬化層とを含むものであり、厚みが7μmであり」、「次に、温度23℃、相対湿度55%の環境下で、試験用サンプル(2)の前面板の最表面から10cmの距離に、重量が約5.6gの評価用ペン(ペン先の直径:0.75mm)のペン先が位置しかつ先が下向きとなるように保持し、その位置から前面板側に向けて評価用ペンを落下させた。試験用サンプル(2)の前面板には、タッチパネルセンサの導電層のブリッジ配線(タッチ電極どうしを電気的に接続する配線)部分をマークしておき、ペン先がこのマークしたブリッジ部に落下するように評価用ペンを落下させた。評価用ペンを落下させた試験用サンプル(2)について、走査電子顕微鏡(SEM)(SU8010、Horiba社製)での観察、及び、タッチパネルセンサ機能の確認を行い、クラックの発生及びタッチパネルセンサの動作が、
クラックがなく、かつ、タッチパネルセンサが正常に動作する場合をA、
クラックがあり、かつ、タッチパネルセンサが正常に動作する場合をB、
クラックがあり、かつ、タッチパネルセンサが正常に動作しない場合をC、
として評価を行うものである」、というものであり、「単位厚み当たりのペン衝撃吸収率」という指標によって耐衝撃性を評価していない点。
(カ) 構成Fの観点
前記(イ)bの検討結果を踏まえると、甲4発明の「第2貼合層12b」、「第2の樹脂フィルム12a」及び「第1貼合層20」は、本件訂正発明1の「第1粘着層と、基材と、第2粘着層とを」備える「衝撃吸収部材」に相当する。
したがって、本件訂正発明1と甲4発明は、「前記衝撃吸収部材が、第1粘着層と、基材と、第2粘着層とを、前記厚み方向一方側に向かって順に備える」点において一致する。
(キ) 構成Gの観点
本件訂正発明1においては、「前記第2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’から、前記第1粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’を引いた値が、0.06MPa以上である」のに対して、
甲4発明においては、「第2貼合層12b」のせん断貯蔵弾性率と「第1貼合層20」のせん断貯蔵弾性率の関係が不明である点において、相違する。
イ 一致点及び相違点の認定
(ア) 一致点
前記アの対比の結果を、一致点の観点からまとめると、本件訂正発明1と甲4発明の一致点は、次のとおりである。
「 ウインドウ部材と、衝撃吸収部材と、パネル部材とを厚み方向一方側に順に備える画像表示装置であり、前記衝撃吸収部材は、光透過性を有し、鉄製ボールをある高さから落下させて耐衝撃性の指標を計測する試験において所定以上の耐衝撃性の性能を得るものであり、ボールペンをある高さから落下させて耐衝撃性の指標を計測する試験において所定以上の耐衝撃性の性能を得るものであり、前記衝撃吸収部材が、第1粘着層と、基材と、第2粘着層とを、前記厚み方向一方側に向かって順に備える、画像表示装置。」
(イ) 相違点
前記アの対比の結果を、構成の機能を考慮しつつ相違点の観点からまとめると、本件訂正発明1と甲4発明の相違点は、次の相違点1~3のとおりである。なお、相違点1については、本件訂正発明1の構成の分説記号を用いて、部分相違点1D、部分相違点1E及び部分相違点1Gに細分化した。また、同様に、相違点2についても、部分相違点2B及び部分相違点2Cに細分化した。
a 相違点1
衝撃に対する耐久性及び折り曲げ試験における耐久性の観点からみて関連すると考えられる相違点を相違点1にまとめる。
(a) 部分相違点1D(構成Dに係る相違点))
鉄製ボールをある高さから落下させて耐衝撃性の指標を計測する試験における所定の性能が、
本件訂正発明1においては、「重さ10g、直径13mmのステンレス製ボールを20cmの高さから前記衝撃吸収部材に落下させて求められる前記衝撃吸収部材のボール衝撃吸収率を、前記衝撃吸収部材の厚みで割った、前記衝撃吸収部材の単位厚み当たりのボール衝撃吸収率は、0.27%/μm以上であ[る]」のに対して、
甲4発明においては、「光学積層体の円偏光板側を、厚みが5μmのアクリル系粘着剤(住友化学株式会社製)を介して、0.7mmの無アルカリガラスに貼合した試験用サンプル(1)を作製し、この試験用サンプル(1)を前面板側が上面となるように、鋼鉄製のステージに設置し、高さ50cmの位置から、材質が鋼鉄のボールドロップ試験球を鉛直自由落下させて、光学積層体を介して上記無アルカリガラスに衝突させる」「ボールドロップ試験」であって、「試験球は、重量が1g、3g、4g、7g、12g、16g、19g、22g、25g、32g、36gの11種類のものを用いて行[う]」ものであって、「試験用サンプル(1)(光学積層体や無アルカリガラス)に亀裂、スクラッチ痕、凹みが見られなかった試験球重量のうち最大の値であるボールドロップ試験耐荷重(g)」(以下「甲4発明のボールドロップ試験」という。)が所定のものである点。
(b) 部分相違点1E(構成Eに係る相違点)
ボールペンをある高さから落下させて耐衝撃性の指標を計測する試験における所定の性能が、
本件訂正発明1においては、「重さ7g、先端部のボール直径0.7mmのボールペンを20cmの高さから前記衝撃吸収部材に落下させて求められる前記衝撃吸収部材のペン衝撃吸収率を、前記衝撃吸収部材の厚みで割った、前記衝撃吸収部材の単位厚み当たりのペン衝撃吸収率は、0.10%/μm以上であ[る]」のに対して、
甲4発明においては、「まず、光学積層体から、長辺150mm×短辺70mmの長方形の大きさの小片をスーパーカッターを用いて切り出し、切出した小片の円偏光板側を、粘着剤層を介してタッチパネルセンサのITO層側に貼合して試験用サンプル(2)を得るものであり、タッチセンサパネルとしては、タッチセンサパターン層のみからなるものを用い、タッチセンサパターン層は、透明導電層としてのITO層と、分離層としてのアクリル系樹脂組成物の硬化層とを含むものであり、厚みが7μmであり」、「次に、温度23℃、相対湿度55%の環境下で、試験用サンプル(2)の前面板の最表面から10cmの距離に、重量が約5.6gの評価用ペン(ペン先の直径:0.75mm)のペン先が位置しかつ先が下向きとなるように保持し、その位置から前面板側に向けて評価用ペンを落下させた。試験用サンプル(2)の前面板には、タッチパネルセンサの導電層のブリッジ配線(タッチ電極どうしを電気的に接続する配線)部分をマークしておき、ペン先がこのマークしたブリッジ部に落下するように評価用ペンを落下させた。評価用ペンを落下させた試験用サンプル(2)について、走査電子顕微鏡(SEM)(SU8010、Horiba社製)での観察、及び、タッチパネルセンサ機能の確認を行い、クラックの発生及びタッチパネルセンサの動作が、
クラックがなく、かつ、タッチパネルセンサが正常に動作する場合をA、
クラックがあり、かつ、タッチパネルセンサが正常に動作する場合をB、
クラックがあり、かつ、タッチパネルセンサが正常に動作しない場合をC、
として評価を行うものである」(以下「甲4発明のペンドロップ試験」という。)、というものであり、「単位厚み当たりのペン衝撃吸収率」という指標によって耐衝撃性を評価していない点。
(c) 部分相違点1G(構成Gに係る相違点)
本件訂正発明1においては、「前記第2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’から、前記第1粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’を引いた値が、0.06MPa以上である」のに対して、
甲4発明においては、「第2貼合層12b」のせん断貯蔵弾性率と「第1貼合層20」のせん断貯蔵弾性率の関係が不明である点。
b 相違点2
本件特許明細書の段落【0172】の記載にも留意して全光線透過率に関連する相違点を相違点2としてまとめる。
(a) 部分相違点2B(構成Bに係る相違点)
本件訂正発明1においては、「前記画像表示装置は、前記ウインドウ部材と前記パネル部材との間において偏光子を備え[ない]」のに対して、
甲4発明においては、「画像表示装置300」が「前面板10」と「表示積層体200」との間に「円偏光板30」を備えている点。
(b) 部分相違点2C(構成Cに係る相違点)
本件訂正発明1では、「衝撃吸収部材は、60%以上の全光線透過率を有[する]」のに対して、甲4発明では、「第2貼合層12b」、「第2の樹脂フィルム12a」、「第1貼合層20」は、光透過性を有するものの、どの程度の全光線透過率を有するものであるか明らかではない点。
c 相違点3(構成Aに係る相違点)
本件訂正発明1は、「保護部材」を備えるのに対して、甲4発明は、「保護部材」を備えていない点。
ウ 相違点1についての判断
(ア) 部分相違点1D及び部分相違点1Eについて
a 「単位厚み当たりの○○衝撃吸収率」を特定することの技術上の意義
構成D及びE(以後、それぞれの内容を指す際に、単に「「単位厚み当たりのボール衝撃吸収率」の特定」及び「「単位厚み当たりのペン衝撃吸収率」の特定」ということがある。)は、要するに、所定の重さ、大きさのボールやボールペンを所定の高さから落下させたときでも、それらの衝撃に耐えられるような「衝撃吸収部材」であることを、「単位厚み当たりのボール衝撃吸収率」及び「単位厚み当たりのペン衝撃吸収率」(以下。両者を併せて、「単位厚み当たりのボール/ペン衝撃吸収率」と表記する。)が所定の値以上であることにより特定したものである。
ここで、「単位厚み当たりのボール/ペン衝撃吸収率」という指標によって衝撃吸収性を特定しているのは、従来の衝撃吸収フィルムが、厚みを薄くできるが衝撃吸収性に優れず、又は、衝撃吸収性が優れるが厚みが厚くなってしまい、単位厚み当たりの衝撃吸収率が不十分であるという不具合を有するという課題を前提として、特に、ボールによる衝撃及びペンによる点の衝撃のような様々な衝撃に対する耐久性の観点から単位厚み当たりの衝撃吸収率を評価しようとした趣旨であると認められる(明細書の段落【0006】~【0008】の記載を参照)。
そうすると、「単位厚み当たりのボール/ペン衝撃吸収率」を特定することの技術上の意義は、ボールによる衝撃及びペンによる点の衝撃に対しての「衝撃吸収部材」の「衝撃の吸収の度合い」と「薄さ」にはトレードオフの関係があるところ、「単位厚み当たりのボール/ペン衝撃吸収率」が所定の値以上である」という条件を満たせば、ボールによる衝撃及びペンによる点の衝撃のいずれに対しても、「衝撃吸収部材」が同じ薄さの場合にはより衝撃を吸収しやすくなり、同じ衝撃の吸収の程度でよい場合にはより薄くできるということであると認められる。
すなわち、トレードオフの関係にある「衝撃の吸収の度合い」と「薄さ」という二つの観点のうち、一方の観点を固定した場合(当然、これら以外の他の条件も固定する。)の他方の観点の向上を図るための指標として、「単位厚み当たりのボール/ペン衝撃吸収率」という概念が導入されたと考えられ、「単位厚み当たりのボール/ペン衝撃吸収率」の特定」の技術上の意義は、厚みが薄くても様々な衝撃に対する耐久性に優れた衝撃吸収部材になれば良いとする達成すべき結果(厚みがより薄くても様々な衝撃に対する耐久性に優れた衝撃吸収部材を得たいという課題そのもの)を特定しているにすぎないといえる。
b 願望クレームの(結果で構成を特定する)発明の進歩性の判断
(a) 本件訂正発明1における構成D及び構成Eは、前記aにおいて検討したとおり、厚みが薄くても様々な衝撃に対する耐久性に優れた衝撃吸収部材になれば良いとする達成すべき結果(厚みがより薄くても様々な衝撃に対する耐久性に優れた衝撃吸収部材を得たいという課題そのもの)を特定しているにすぎないから、本件訂正発明1は、いわゆる「願望クレーム」の発明(こんな風になればいいな、こんなことができたらいいなといった願望そのものを発明として特許請求の範囲に記載したものという意味)と称される域を越えるものではない。
(b) このような願望クレームの進歩性を判断するにあたっては、達成すべき結果(課題自体)に想到することが当業者にとって困難性があるというべきか否かという観点から検討すべきである。
このような進歩性要件の判断手法を示す参考裁判例を挙げると、東京高等裁判所平成15年11月27日判決(平成12年(行ケ)第429号)は、次のように判示している。
「本件第1発明は、特定の種類の材料が少なくとも部分的に用いられており、全体が製造された状態において、上記部分が一定の物性を持つめがねフレーム、の発明である。その製造方法でも、ましてや上記材料自体ないしその製造方法でもない。本件で考案の対象とされる本件第1発明は、上記のようなめがねフレームそのものであって、上記製造方法、材料自体ないしその製造方法の容易想到性や、実現の困難性は,基本的に本件において問題になるものではない。本件第1発明の進歩性を、上記の構成のめがねフレーム自体の容易想到性の有無の観点から判断することが許されることは、当然である。(2) めがねフレームとして、○1剛性や弾性が大きすぎないこと(かけ心地を軟らかくするためである。)、並びに、○2少なくとも部分的に(例えばつる、テンプル等において)ある程度の弾性を持つこと(かけたとき容易にずれたり外れたりしないようにするためである。)、の二つの性質は、好ましいというより、むしろ当然備えるべきものであり、そのことは、当業者のみならず、単なる消費者であっても容易に思い付く、一般常識といってもよいことである。(中略)本件第1発明は、前記のとおりのものであり、要するに、ニッケル-チタニウムベースの形状記憶合金を用いて、これに加工硬化と熱処理を加え、めがねのフレームとして具えていることが好ましい特性を、実用性の面からみて好ましい温度幅の全体にわたって維持するようにしてあるめがねフレーム、というものであり,それ以上のものではない。ニッケル-チタニウムベースの形状記憶合金及びそれに対する加工硬化と熱処理という周知技術の下で、これをみれば、つまるところ,これらの技術を用いて達成すべき課題をそのまま構成要件としただけのものであり、それ以上に具体的な要素は何ら有するものではない(このような課題を実現する具体的手段に想到することは困難であり得ても、このような課題に想到することには何らの困難もない。両者の区別は明確に認識されなければならない。)。」(なお、「,」を「、」に改めた(次の参考裁判例も同じ。)。また、丸数字(○の中に数字)を「○1」などと表記を改めた。)
その他の裁判例としては、東京高等裁判所昭和37年6月26日判決(昭和34年(行ナ)第6号、審決取決訴訟判決集昭和36・37年269頁)もある。
「本件特許請求の範囲における数的限定は、従来知られたものを除外した範囲の。高い酸化鉄濃度と高い残留磁化とである、というにとどまるといわなければならないが、酸化鉄濃度と残留磁化(保磁力)との高いことが従来から要求されているととろであることは、前記のとおりである。原告が本件特許出願において特許を請求している事項は、上記の傾向に基き従来品を包含しない特性の優れた範囲に限定したものに相当し、当業技術者がそのように限定することに格別の工夫を必要とするものとは、とうてい考えることができない。(中略)本件特許出願明細書中発明の詳細なる説明の前記記載によれば、本願の発明者が発明した新しい技術として上記明細書に開示されているところのものは、むしろ、従来にない優秀な磁気記録材料の製造方法であって、製造されたその材料そのものではないといわなくてはならない。(中略)本願明細書に記載された製造方法が新規有用なものであって方法として特許さるべきであるかどうかは別論として、従前のものよりも優れた物というに異ならない本願の特許請求事項は、当業者の希望するところであつても、そのような希望を述べることに格別の発明能力を要するものとは考えられない。」
(c) なお、本件訂正発明1は、「物」の発明であって、「試験方法」の発明や「製造方法」の発明ではないから、本件訂正発明1の構成は、構成D及び構成Eに示された試験方法を実際に行ったか否かによって規定されるものではなく、当該試験を行ったら当該「単位厚み当たりのボール衝撃吸収率」及び「単位厚み当たりのペン衝撃吸収率」の特定条件を満たすような物を規定するにとどまるものである。
かかる事情も踏まえると、進歩性判断においても、構成D及び構成Eの試験方法の諸条件そのものに容易に想到し得たのか否かは問題でなく、構成D及び構成Eにより特定された「単位厚み当たりのボール/ペン衝撃吸収率」の数値に包摂される物を当業者が容易に想到し得たのか否かの観点から評価すべきものである。
c 構成D及び構成Eの想到容易性
(a) 甲4発明は、「光学積層体100を用いて、フレキシブル性を有しながらも優れた耐衝撃性を有するフレキシブルディスプレイを提供することができ」るとしており、「フレキシブル性」は薄膜化を前提とするものである。
その上で、甲4発明においては、「甲4発明のボールドロップ試験」及び「甲4発明のペンドロップ試験」をしている。
したがって、甲4発明においても、厚みが薄くても様々な衝撃に対する耐久性に優れた衝撃吸収部材になれば良いとする達成すべき結果(厚みが薄くても様々な衝撃に対する耐久性に優れた衝撃吸収部材を得たいという課題そのもの)は、当業者が当然認識すべき事項であるといえる。
(b) そして、「画像表示装置に設けられる衝撃吸収部材について、その厚さが薄くても衝撃吸収性に優れたものを提供するにあたり、衝撃吸収性試験を通じて得られる単位厚さ当たりの衝撃吸収率という指標により、衝撃吸収性を評価すること」は、周知技術である(前記周知技術1を参照)。
(c) ここで、上記周知技術1の「単位厚さ当たりの衝撃吸収率」についても、「衝撃吸収性」と「薄さ」という二つの観点のトレードオフの関係を踏まえて導入された指標であるといえる。
(d) そうすると、甲4発明においても、「単位厚み当たりのボール/ペン衝撃吸収率」が非常に高い値であるべきことは自明のことにすぎないから、構成D及び構成Eを満たすような物は、当業者が容易に想到し得たものである。
(イ) 部分相違点1Gについて
a 構成Gの内容
構成Gは、「衝撃吸収部材」が「第1粘着層」、「基材」及び「第2粘着層」を順に備えることを前提として(構成F)、「前記第2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’から、前記第1粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’を引いた値が、0.06MPa以上である」ことを特定している。
b 外側の貯蔵弾性率G’を内側の貯蔵弾性率G’以下とすることの自明性
フレキシブルディスプレイにおいて、表示面を外側に曲げるか内側に曲げるかは、当業者が適宜選択できる設計上の事項にすぎない。
ここで、「フレキシブル画像表示装置用の積層体に含まれる複数の粘着剤層の貯蔵弾性率(G’)について、前記積層体を折り曲げた場合の凸側の最外面の粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率G’が、他の粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率G’と略同一、又は、小さくしつつ、所定の範囲内になるように最適化することにより、粘着剤層が硬くなりにくく、応力緩和性に優れ、耐屈曲性にも優れるようにできること」は、周知技術である(前記「周知技術2」参照)。
そうすると、甲4発明において、視認側の「前面板10」が外側となるように曲げるように設計変更し、その際、前記周知技術2を採用して、外側の「第2貼合層12b」(「第1粘着層」に相当する。)の貯蔵弾性率G’を内側の「第1貼合層20」(「第1粘着層」に相当する。)の貯蔵弾性率G’と略同一、又は、よりも小さくして好適化することは、当業者にとっては設計上の事項にすぎない。
c 構成Gの数値限定の技術上の意義の観点からの検討
前記bのとおり、「前記第2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’(内側)から、前記第1粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’(外側)を引いた値」が、ゼロ又は正の値であることは、当業者にとって自明であるところ、本件訂正発明1においては、この値が「0.06MPa」以上であることを特定しているから、当該数値にどのような技術上の意義があるのかという観点から更に検討する。
(a) 本件特許の明細書の発明の詳細な説明の開示
構成Gについては、明細書の段落【0235】及び【0252】の【表1】に次の記載がある。
「【0235】さらに、実施例1から実施例6のうち、第2粘着層10の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’から、第1粘着層8の25℃におけるせん断貯蔵弾性率G’を引いた値が、0.06MPa以上である実施例は、実施例1である。実施例1は、実施例2から実施例6に比べて、ボールに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性と、ペンに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性とを確実に両立できることが分かる。」
「[図:0001415248000020.jpg]」
<実施例1>
実施例1では、第2粘着層のせん断貯蔵弾性率G’(0.12)から第1粘着層のせん断貯蔵弾性率G’(0.03)を引いた値は0.09であり、構成Gを満たすところ、「ボール衝撃吸収率/厚み」は0.35であり「ペン衝撃吸収率/厚み」の値は0.13である。
<実施例4>
実施例4では、第2粘着層のせん断貯蔵弾性率G’(0.08)から第1粘着層のせん断貯蔵弾性率G’(0.03)を引いた値は0.05であり、構成Gを満たさないところ、「ボール衝撃吸収率/厚み」は0.37であり「ペン衝撃吸収率/厚み」の値は0.13である。
<実施例5>
実施例5では、第2粘着層のせん断貯蔵弾性率G’(0.03)から第1粘着層のせん断貯蔵弾性率G’(0.03)を引いた値は0であり、構成Gを満たさないところ、「ボール衝撃吸収率/厚み」は0.39であり「ペン衝撃吸収率/厚み」の値は0.14である。
(b) 本件特許の明細書の開示に基づく検討
前記(a)の本件特許の明細書の発明の詳細な説明に開示された技術事項を踏まえると、構成Gを満たさない実施例4や実施例5において、構成Gを満たす実施例1よりも高い「ボール衝撃吸収率/厚み」と「ペン衝撃吸収率/厚み」の両立が達成されているから、前記明細書の段落【0235】の「実施例1は、実施例2から実施例6に比べて、ボールに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性と、ペンに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性とを確実に両立できる」との記載は、少なくとも実施例1と実施例4、5との比較においては妥当しないことは明らかである。
すなわち、構成Gを満たさない場合であっても、かかる両立はむしろ強く達成されるのであるから、構成Gについて、ボールに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性と、ペンに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性とを確実に両立できるようにするために必須な条件であるという技術上の意義を認めることはできない。
そうすると、構成Gは、せいぜい粘着層の材料選択に係る好適化に際して当業者が適宜なし得た設計事項にすぎないというべきである。
もっとも、実施例4、5では、200,000回折り曲げ試験においてウィンドウ部材の表面の間隔が6mmの場合(以下「6mm折り曲げ試験」という。)にいずれも「×」の評価となっているから、構成Gは、この観点で好適化するための手段と善解することは可能である。
しかしながら、このように善解したとしても、前記周知技術2を示す甲3文献に開示されているように、耐折性試験で良好な結果を得るための手段として粘着剤層のG’の値に差を設けることは知られており、前記6mm折り曲げ試験で良好な結果が得られることは、予測困難、かつ、格別顕著な効果であるとはいえない。
したがって、部分相違点1Gに係る本件訂正発明1の構成Gは、当業者が適宜なし得た設計事項にすぎないというべきである。
(ウ) 相違点1についてまとめ
前記(イ)c(b)に検討したとおり、構成Gについては、ボールに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性と、ペンに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性とを確実に両立できるようにするために必須な条件であるという技術上の意義を認めることはできない。
したがって、構成D及び構成Eは、構成Gを含む本件訂正発明1のその他の構成から必然的に奏される効果と捉えることはできないから、構成D及び構成Eは、構成Gを考慮しても、願望クレームの発明の構成であることに変わりない。
そして、部分相違点1D、1E及び1Gに係る構成が想到容易であることは前記(ア)(イ)において検討したとおりであるから、相違点1は、全体として、格別のものではない。
エ 相違点2についての判断
(ア) 部分相違点2Bについて
「有機EL表示装置において、光の利用率の向上、薄型、コスト削減等の観点から円偏光板を用いないようにして設計すること」及び「有機EL表示装置において、円偏光板を用いなくても外光反射を抑制することができること」は、当業者にとって技術常識である(前記技術常識1及び2を参照)。
また、甲4発明の「光学積層体100」において、「前面板10」は、「画像表示装置の表示素子等を保護するための層として機能する」ものであり、「円偏光板30」は、外光反射防止の機能を果たすものであるところ、これらの機能は独立したものであるから、「光学積層体100」から「円偏光板30」を取り除くように構成することに差し支えはないといえる。
そして、甲4発明の「前面板10」は、「ブルーライトカット機能を有するものであってもよ[い]」としているから、「光学積層体100」から「円偏光板30」を取り除いたとしても、「光学積層体100」の「光学的」機能が失われることはない。
したがって、甲4発明において、「画像表示装置300」が「前面板10」と「表示積層体200」との間に「円偏光板30」を備えないようにすることは、当業者が適宜選択し得た設計事項にすぎないというべきである。
したがって、部分相違点2Bに係る本件訂正発明1の構成Bは、格別のものではない。
(イ) 部分相違点2Cについて
全光線透過率がある程度以上あるべきこと、また、望ましくは高くあるべきことは自明の事項であるから、甲4発明において、「第2貼合層12b」、「第2の樹脂フィルム12a」、「第1貼合層20」が、60%以上の全光線透過率を有するように構成することは、当業者が適宜設定すべき設計事項にすぎず、格別のものではない。
したがって、前記部分相違点2Cに係る本件訂正発明1の構成Cとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
(ウ) 以上検討のとおり、部分相違点2B及び部分相違点2Cは格別のものでなく当業者には自明のことであり、相違点2は、全体としても、当業者が容易に想到し得たことである。
オ 相違点3についての判断
「表示パネルの光出射面に保護部材が設けられた表示装置において、表示パネルの背面にも保護部材を設けること」は、当業者にとって周知技術であるから(前記周知技術3を参照)、甲4発明において、「表示積層体200」の背面側に保護部材を設けることにより、前記相違点3に係る本件訂正発明1の構成Aとすることは、当業者が容易に想到し得たことである。
カ 小括
前記ウからオに検討のとおり、前記相違点1~3は、甲4発明、周知技術1~3及び技術常識1、2に基づいて、当業者が容易に想到し得たものである。
そして、前記相違点1~3を総合的に勘案しても、本件訂正発明1の奏する効果としては、当該構成のものとして当業者が予測困難であり、かつ、格別顕著な効果を認めることはできない。
したがって、本件訂正発明1は、甲4発明、周知技術1~3及び技術常識1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2) 本件訂正発明2について
甲4発明の「光学積層体100」は、「屈曲性試験における限界屈曲回数が20万回以上であり」としているから、同様に、甲4発明の画像表示装置300を構成する表示積層体200についても連続で折り畳まれるような使用形態が想定され、同等の性能が求められることは自明であって、本件訂正発明2の「ウインドウ部材が外側に向くように前記画像表示装置を折り曲げる試験において、前記ウインドウ部材における両外側に向く2つの表面の間隔が8mmとなるように200,000回折り曲げても、前記パネル部材が損傷しないこと」は、甲4発明から容易に想到し得る自明な設計事項にすぎない。
したがって、本件訂正発明2は、甲4発明、周知技術1~3及び技術常識1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(3) 本件訂正発明4について
前記(1)エ(ア)において説示したとおり、甲4発明において、「画像表示装置300」が「前面板10」と「表示積層体200」との間に「円偏光板30」を備えないようにすることは、当業者が適宜選択し得た設計事項にすぎない。
そして、「第2貼合層12b」(第1粘着層)が「外側層11」(ウインドウ部材)に接触し、「第1貼合層20」(第2粘着層)が「表示積層体200」(パネル部材)に接触するように構成することは、上記設計事項に伴い自明に導かれる事項である。
したがって、本件訂正発明4は、甲4発明、周知技術1~3及び技術常識1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(4) 本件訂正発明6~7について
「フレキシブル画像表示装置用の積層体に含まれる複数の粘着剤層の貯蔵弾性率(G’)について、前記積層体を折り曲げた場合の凸側の最外面の粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率G’が、他の粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率G’と略同一、又は、小さくしつつ、所定の範囲内になるように最適化することにより、粘着剤層が硬くなりにくく、応力緩和性に優れ、耐屈曲性にも優れるようにできること」は、当業者にとって周知技術であり(前記周知技術2を参照)、第1、2粘着層及び中間粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’をそれぞれどの程度に設定するかについては、当業者が適宜好適化すべき事項にすぎない。
したがって、本件訂正発明6~7は、甲4発明、周知技術1~3及び技術常識1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(5) 本件訂正発明10について
「電子機器のディスプレイを保護するために用いられる衝撃吸収部材が、3層以上の衝撃吸収層の間に、それぞれ樹脂フィルム層を介在させたものであり、衝撃吸収層が粘着層であること」は、当業者にとって周知技術であり(前記周知技術4を参照)、基材が複数であること、複数の基材の間に配置される中間粘着層をさらに備えることは、格別のものではない。
したがって、本件訂正発明10は、甲4発明、周知技術1~4及び技術常識1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(6) 本件訂正発明11~13について
「フレキシブル画像表示装置用の積層体に含まれる複数の粘着剤層の貯蔵弾性率(G’)について、前記積層体を折り曲げた場合の凸側の最外面の粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率G’が、他の粘着剤層の25℃における貯蔵弾性率G’と略同一、又は、小さくしつつ、所定の範囲内になるように最適化することにより、粘着剤層が硬くなりにくく、応力緩和性に優れ、耐屈曲性にも優れるようにできること」は、当業者にとって周知技術であり(前記周知技術2を参照)、第1、2粘着層及び中間粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’をそれぞれどの程度に設定するかについては、当業者が適宜好適化すべき事項にすぎない。
したがって、本件訂正発明11~13は、甲4発明、周知技術1~4及び技術常識1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(7) 本件訂正発明14~19について
複数の基材の厚みをどの程度にするか、基材の材料としてどのような樹脂を採用するかは、当業者が適宜選択し得た設計事項にすぎない。
したがって、本件訂正発明14~19は、甲4発明、周知技術1~4及び技術常識1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
(8) 本件訂正発明20について
ア 本件訂正発明20は、構成2A、2B、2G、2X及びS1~S7及びS3’からなるところ、このうち、構成2A、2B、2G、2Xは、製造方法の発明と物の発明の点を除けば、本件訂正発明1と同様の議論であり、これらの構成については、本件訂正発明20の進歩性を肯定するための根拠とならない。
イ そこで、残るS1~S7及びS3’の構成について検討する。
(ア) ボールペンを衝撃吸収部材に落下させた場合には、ボールペンの先端部が衝撃吸収部材に点接触し、その衝撃は一点に集中したものとなるから、このような集中した衝撃を当該接触点においてのみ吸収するよりも、集中した衝撃を周辺に分散させた上で吸収した方が効率的であることは明らかであり、ボールペンの落下試験は、衝撃吸収部材のうち、集中した衝撃を分散させることができる部材(基材)の設計に必要なデータを得るためのものであるといえる。
(イ) 他方、ボールを衝撃吸収部材に落下させた場合には、ボールが衝撃吸収部材に面接触し、その衝撃はある程度の領域に分散したものとなるから、このような分散した衝撃は、さらに分散させずにそのまま吸収しても構わないことも明らかであり、ボールの落下試験は、衝撃吸収部材のうち、分散した衝撃を十分吸収できる部材(粘着層)の設計に必要なデータを得るためのものであるといえる。
(ウ) そうすると、試作品を試作して(「S1」に相当する。)から、ボール落下試験及びボールペン落下試験のためのサンプルを準備し(「S5」に相当する。)、ボール落下試験の第1サンプルに損傷があると試作品を評価した場合(「S2」、「S6」、「S7」に相当する。)に、面で受ける衝撃に対する吸収性を向上するため第1、2粘着層の合計厚みをより厚くするように製造条件を変更し(「S3」及び「S3’」に相当する。)、ボールペン落下試験の第2サンプルに損傷があると試作品を評価した場合(「S2」、「S6」、「S7」に相当する。)に、点で受ける衝撃に対する吸収性を向上するため基材の厚みをより厚くするように製造条件を変更する(「S3」及び「S3’」に相当する。)ことは、当業者が当然考慮すべき事項にすぎず、格別のものではない。
(エ) したがって、本件訂正発明20は、甲4発明、周知技術1~3及び技術常識1、2に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものである。
4 特許権者の主張について
(1) 特許権者の主張の概要
特許権者は、令和5年11月13日に提出した意見書において、概ね次の主張をしている。
本件訂正後の請求項1に係る画像表示装置では、第2粘着層のせん断貯蔵弾性率G’から第1粘着層のせん断貯蔵弾性率G’を差し引いた値が、0.06MPa以上と大きいため、本願特許公報の段落0077に記載されるように、単位厚み当たりのボールに対する耐衝撃性が一層優れたものである。
この点は、本願実施例1,2からも分かる。つまり、表1から分かるように、上記した値(差)が0.09MPaと「0.06MPa以上」の範囲内にある実施例1は、単位厚み当たりのボール耐衝撃率が0.35%/μmであるのに対して、上記した値(差)が0.04MPaと「0.06MPa以上」の範囲外にある実施例2では、単位厚み当たりのボール耐衝撃率が0.33%/μmであり、実施例1のそれより低い。
審判官は、「フレキシブル画像表示装置用の積層体に含まれる複数の粘着剤層の貯蔵弾性率(G’)が所定の範囲内になるように最適化することにより、粘着剤層が硬くなりにくく、応力緩和性に優れ、耐屈曲性にも優れるようにできることは、当業者にとって周知技術であり(前記周知技術3を参照)、第1、2粘着層の25℃、周波数1Hzにおけるせん断貯蔵弾性率G’をそれぞれどの程度に設定するかについては、当業者が適宜好適化すべき事項にすぎない」と認定しているが、甲第3号証の実施例1には、内側の第1粘着剤層(本願の第2粘着層に相当)の貯蔵弾性率G’が0.11MPaであり、外側の第3粘着剤層(本願の第1粘着層に相当)の貯蔵弾性率G’が0.08MPaであるから、第1粘着剤層(本願の第2粘着層に相当)の貯蔵弾性率G’(0.11MPa)から、第3粘着剤層(本願の第1粘着層に相当)の貯蔵弾性率G’(0.08MPa)を引いた値は、0.03MPaであり、本願の「0.06MPa以上」の範囲外である。
そのため、この積層体では、本願の上記した優れた効果を奏功できないから、甲第3号証に接した当業者が、上記した優れた効果を得るために、上記した特徴点(差)に至ることはない。
(2) 特許権者の主張に対する当合議体の判断
特許権者の主張は、要するに前記部分相違点1G(本件訂正発明1の構成G)に関するものであるところ、「0.06MPa以上」という境界値に、「単位厚み当たりのボールに対する耐衝撃性が一層優れたものとなる」ということの技術上の意義を見い出せず、構成Gについては、ボールに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性と、ペンに対する単位厚み当たりの高い耐衝撃性とを確実に両立できるようにするために必須な条件であるという技術上の意義を認めることもできないことは、前記3(1)ウ(イ)において検討したとおりである。
したがって、特許権者の上記主張は採用できない。
第6 むすび
以上のとおりであるから、請求項1、2、4、6、7、10~20に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされたものであり、特許法113条2号に該当し、取り消されるべきものである。
請求項3、5、8、9は、本件訂正により削除された。これにより、請求項3、5、8、9に係る特許についての特許異議の申立ては、当該申立てに係る特許が存在しないこととなったため、不適法な特許異議の申立てであって、その補正をすることができないものであるといえるから、特許法120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-701102