特許異議申立
2022-701076
半導体基板加熱用基板載置台および半導体基板加熱ヒータ
- 審判番号
- 2022-701076
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2019-525344
- 登録番号
- 7063334
- 請求日
- 2022年11月02日
- 審決日
- 2023年02月28日
- 公報発行日
- 2023年03月31日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】住友電気工業株式会社
- 【権利者代理人】弁理士法人深見特許事務所
- 【異議申立人】鈴木 裕子
- 審判長/審判官
- 審判長 瀧内 健夫
- 審判官 小田 浩
- 審判官 松永 稔
- 分類
- P1651.121-Y (H01L) / P1651.113-Y (H01L)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第29条第1項第3号、特許法第29条第2項
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7063334号発明「半導体基板加熱用基板載置台および半導体基板加熱ヒータ」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7063334号の請求項1ないし5に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7063334号の請求項1~5に係る特許についての出願は、2018年(平成30年)6月6日(優先権主張 平成29年6月14日(以下、「本件特許出願の優先日」という。))を国際出願日としてして出願され、令和4年4月25日にその特許権の設定登録がされ、令和4年5月9日に特許掲載公報が発行された。その後、その特許に対し、令和4年11月2日に特許異議申立人 鈴木 裕子(以下、「特許異議申立人」という。)は、特許異議の申立てを行った。
第2 本件特許
特許第7063334号の請求項1~5の特許に係る発明は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
一方の面を半導体基板の載置面とし、前記載置面とは反対側の面に筒状支持体との接続部を有するセラミックス製の半導体基板加熱用基板載置台であって、
前記基板載置台の内部に設けられた複数の発熱回路と、
前記基板載置台の前記載置面とは反対側の面の中央部において、前記筒状支持体が接続される内側領域に設けられた複数の電極端子とを備え、
前記複数の発熱回路は、前記載置面の中央ゾーンを加熱する中央ゾーン発熱回路と、前記中央ゾーンの周りを加熱する複数の外周ゾーン発熱回路とからなり、
前記中央ゾーン発熱回路の直径よりも前記筒状支持体の内径の方が小さく、
前記発熱回路のうちの少なくとも2つの発熱回路のそれぞれの片端部は、前記電極端子のうちの1つである共用電極端子と、前記中央ゾーンを通る共通する延長部分を介して接続され、
前記少なくとも2つの発熱回路は、前記外周ゾーン発熱回路である、半導体基板加熱用基板載置台。
【請求項2】
前記複数の発熱回路は各々個別に温度制御される、請求項1に記載の半導体基板加熱用基板載置台。
【請求項3】
前記中央ゾーン発熱回路は、前記載置面の中心を中心とする同心円状の複数の中央湾曲導電部と、隣接する前記中央湾曲導電部を接続する中央直線導電部とで構成され、
前記外周ゾーン発熱回路は、前記中央ゾーン発熱回路の周囲を囲む円環状の部分を周方向に区分した複数のゾーンにおいて、それぞれ前記載置面の中心を中心とする同心円状の複数の外周湾曲導電部と、隣接する前記外周湾曲導電部を接続する外周直線導電部とで構成されている、請求項2に記載の半導体基板加熱用基板載置台。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の半導体基板加熱用基板載置台と、筒状支持体とを有する、半導体基板加熱ヒータ。
【請求項5】
一方の面を半導体基板の載置面とするセラミックス製の基板載置台と、
前記基板載置台の前記載置面とは反対側の面の中央部に接続されたセラミックス製の筒状支持体とを有し、
前記基板載置台は、中央ゾーン発熱回路と、
前記中央ゾーン発熱回路とは前記基板載置台の厚み方向において異なる平面内に埋設された複数の外周ゾーン発熱回路と、
前記基板載置台の前記載置面とは反対側の面において、前記筒状支持体が接続される内側領域に設けられた複数の電極端子とを備え、
前記外周ゾーン発熱回路のうちの少なくとも2つの発熱回路のそれぞれの片端部は、前記電極端子のうちの1つの共用電極端子と、前記中央ゾーン発熱回路の領域を通る共通する延長部分を介して接続されている、半導体基板加熱ヒータ。」
第3 申立理由の概要
1 証拠方法
甲第1号証:特開2005-303014号公報
甲第2号証:特開2008-243990号公報
甲第3号証:特開2010-177595号公報
以下、「甲第1号証」~「甲第3号証」を、それぞれ「甲1」~「甲3」という。
2 特許異議申立書における特許異議申立人の主張の概要
(1)請求項1~4に係る発明は、甲1に記載された発明であるから、請求項1~4に係る特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。
(2)請求項1~5に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2、3に記載された事項に基づいて、本件特許出願の優先日前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、請求項1~5に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
3 甲号証の記載事項
(1)甲1(特開2005-303014号公報)に記載された事項
甲1には、以下の事項が記載されている。(下線は当審で付した。以下、同じ。)
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面に基板を載置する加熱面を有する板状のセラミックス基体と、
前記加熱面を複数ゾーンに分割して得られる各ゾーンに対応して前記セラミックス基体中に埋設された、独立した入出力端子を持つ複数の抵抗発熱体と、
各前記入出力端子に接続され、前記セラミックス基体の前記加熱面以外の外表面上に沿って配線される複数の引き出し線とを有する基板加熱装置。」
「【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体製造工程に用いられる半導体ウエハや液晶基板等を加熱する基板加熱装置に関し、特に、セラミックス基体に抵抗発熱体を埋設した基板加熱装置に関する。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0006】
加熱面を複数ゾーンに分けて、ゾーンごとに独立した抵抗発熱体を備える従来のマルチゾーンヒータでは、各抵抗発熱体がそれぞれ独立に入出力端子を備え、さらに各入出力端子から引き出し線をとり出し、給電線に接続する必要がある。従来のセラミックスヒータでは、引き出し線もセラミックス基体中に埋設されており、セラミックス基体中で配線され、セラミックス基体の裏面中央で給電線と接続されていた。
【0007】
しかしながら、引き出し線がセラミックス基体中に埋設されている場合は、埋設された引き出し線自体が欠陥となるため、応力発生の要因にならないよう、できるだけ細い線材を引き出し線として使用することが必要になる。また、セラミックス基体の製造プロセスにおいては、セラミックス成形体中に引き出し線を埋設した状態で焼成されるため、焼成温度に耐え得る高融点金属材料を使用する必要がある。
【0008】
このため、従来は、ヒータエレメント材料と同様に体積抵抗率が高い高融点金属材料を引き出し線として使用していたが、その結果、ヒータエレメントと同様に引き出し線でも発熱が生じていた。各引き出し線をセラミック基材の中央まで配線する場合は、引き出し線が他のゾーンを通過せざるを得ないため、引き出し線の発熱の影響によりゾーンごとの独立した温度制御を精度よく行うことが困難であった。
【0009】
本発明は、上記従来の課題に鑑み、加熱面を複数ゾーンに分割し、ゾーンごとに独立した抵抗発熱体を有するセラミックスヒータにおいて、引き出し線の発熱の影響を抑制し、ゾーンごとの温度制御をより精度よく行えるセラミックスヒータを提供することを目的とする。」
「【発明の効果】
【0012】
本発明の第1の態様による基板加熱装置によれば、加熱面を複数のゾーンに分けて、ゾーンごとに独立した抵抗発熱体を備えたセラミックスヒータにおいて、各抵抗発熱体の入出力端子に接続される引き出し線は埋設させず、セラミックス基体の外表面上で配線するため、引き出し線として、より抵抗の低い材料を使用することができる。したがって、引き出し線の発熱を抑制できるため、引き出し線の影響を受けず、ゾーンごとにより正確な温度制御が可能になる。」
「【0015】
(第1の実施の形態)
第1の実施の形態に係る基板加熱装置は、板状のセラミックス基体に複数の抵抗発熱体を埋設したセラミックスヒータであり、加熱面を複数のゾーンに分割し、ゾーンごと独立した抵抗発熱体を有するマルチゾーンヒータである。そして、各抵抗発熱体の入出力端子に接続された引き出し線がセラミックス基体中に埋設されず、セラミックス基体の外表面上に沿って配線されていることを特徴とする。
【0016】
図1(a)は、第1の実施の形態に係る基板加熱装置1の構造を示す断面図である。図1(b)は加熱面のゾーン分割例を示す平面図である。なお、便宜的にリフトピン等の貫通孔等については、図示を省略しているが、適宜必要に応じて配設されるものとする。
【0017】
図1(a)に示すように、第1の実施の形態に係る基板加熱装置1は、一方の面(表面)に基板を載置する加熱面11を有する円盤状のセラミックス基体10と、このセラミックス基体10中に埋設された抵抗発熱体30とを有するが、この抵抗発熱体30は、図1(b)に示すように、加熱面11を6つにゾーン分割して得られたゾーンA~Fに対応する複数の抵抗発熱体30A~30Fからなり、各抵抗発熱体30は独立した入出力端子Tを有するものである(なお、抵抗発熱体30というときは、不特定の抵抗発熱体もしくは抵抗発熱体全体を意味するものとする。また、入出力端子T、引き出し線Lについても同様とする)。
【0018】
加熱面11のゾーン分割の形態は特に限定されるものではないが、例えば、図1(b)に示すように、加熱面11を面内方向で、中心部の第1ゾーンAと、第1ゾーンの外周囲に設けられた第2ゾーンBと、第2ゾーンの外周領域を周回方向に4等分した第3ゾーン群C~Dとに分割する。すなわち、計6ゾーンに分割し、各ゾーンに独立した抵抗発熱体30A~30Fを埋設し、各抵抗発熱体30には各ゾーンA~Fに適した電圧、電流が供給し、発熱量を調整する。(当審注:「第2ゾーンの外周領域を周回方向に4等分した第3ゾーン群C~Dとに分割する」の記載は、「第2ゾーンの外周領域を周回方向に4等分した第3ゾーン群C~Fとに分割する」の誤記である。)
・・・中 略・・・
【0021】
図1(b)に示すように、各抵抗発熱体30A~30Fは、独立に電流、電圧値を設定し、発熱量を制御するため、それぞれ2つの入出力端子(T31,T32)、(T33,T34)、(T35,T36)、(T37,T38)、(T39,T40)及び(T41,T42)を有している。さらに、図1(a)に示すように、各入出力端子Tに接続された引き出し線Lは、セラミックス基体10中に埋設されることなく、セラミックス基体10の外表面である、セラミックス基体10の裏面に沿って配線され、例えば中央部にまとめられている。なお、ここでは、セラミックス基体10の外表面としてセラミックス基体10の裏面を使用しているが、加熱面11以外の外表面、例えば側面に引き出し線Lを配線してもよい。
【0022】
図2(a)は、各ゾーンA~Fに埋設された抵抗発熱体30A~30Fのレイアウト例を示す平面図である。同図に示すように、抵抗発熱体30は、線状の導体を屈曲させ、巻回体に加工したものを好ましく使用できる。なお、リフトピン等やパージガス用に設けられた貫通孔に隣接する部分では、抵抗発熱体を迂回させたりするなど、必要に応じてパターンの変形を行うことが望ましい。また、図1(b)では、ゾーンごとに独立した2つの入出力端子を持つ例を示したが、隣接し合うゾーンの入出力端子のうち共通端子とできるものは、ひとつにまとめてもよい。引き出し線の配線レイアウトをより簡易にできる。図2(a)に示すように、隣接するゾーン30Cと30D、及び30Eと30Fとでは、一方の入出力端子を共通端子T50、T51としてよい。
【0023】
図2(b)は、セラミックス基体10の裏面における各抵抗発熱体30の端子に接続された引き出し線Lの配線例を示す平面図である。第1の実施の形態に係る基板加熱装置1では、各抵抗発熱体30A~30Fそれぞれの入出力端子Tは、ろう付けまたはねじ止め等により引き出し線Lに接続し、各引き出し線Lは基板裏面上に配線される。すなわち、引き出し線Lは、セラミックス基体10中に埋設されず、加熱面以外のセラミックス基体10の裏面に配線されている。例えば、各入出力端子T31~41及び50、51に接続された引き出し線L31~41、50及び51は、セラミックス基体10の裏面に這うように配線され、一箇所にまとめられる。なお、各引き出し線Lは必ずしも一箇所にまとめる必要はないが、このように一箇所にまとめると、給電線への接続もやりやすくなり、基板加熱装置1周囲が整理され、周辺に十分なスペースを設けることができる。」
「【0040】
(第2の実施の形態)
図3に本発明の第2の実施の形態に係る基板加熱装置2の断面図を示す。第2の実施の形態に係る基板加熱装置2は、第1の実施の形態に係る基板加熱装置1のセラミックス基体10の裏面に補助部材である補助プレート60を備えていることを特徴とする。補助プレート60以外の構成は、第1の実施の形態にかかる基板加熱装置1と同様な構造を備える。すなわち、複数の抵抗発熱体30を埋設したマルチゾーンヒータであり、各抵抗発熱体の入出力端子Tに接続された引き出し線Lがセラミックス基体10中に埋設されず、セラミックス基体10の裏面上に沿って配線されている。
・・・中 略・・・
【0042】
したがって、補助プレート60を備えたことにより、セラミックス基体10の裏面上に配線される引き出し線Lを固定支持することができるとともに、引き出し線Lの露出を防止できるため、腐食性ガス中での使用が可能になる。したがって、腐食性ガスを使用する場合において、引き出し線Lとして耐腐食性材料にこだわることなく、種々の材料を使用できる。なお、補助プレート60の中央部から引き出された引き出し線L、あるいはこれに接続される給電線は絶縁管90に収納してもよい。また、補助プレート60を使用することにより、引き出し線Lをセラミックス基体10中に埋設させることなく、簡易な構造で周囲の環境から保護することができる。」
「【0049】
(第3の実施の形態)
図6に第3の実施の形態に係る基板加熱装置3の断面図を示す。
【0050】
第3の実施の形態に係る基板加熱装置3は、第2の実施の形態に係る基板加熱装置2の裏面中央部に、給電線等を収納する管状部材であるシャフト80を備えていることを特徴とする。シャフト80以外の構成は、第2の実施の形態にかかる基板加熱装置2と同様な構造を備える。すなわち、複数の抵抗発熱体30を埋設したマルチゾーンヒータであり、各抵抗発熱体の入出力端子Tに接続された引き出し線Lがセラミックス基体10の裏面上に沿って配線されており、さらにセラミックス基体10の裏面上に補助プレート60が配置されている。
【0051】
シャフト80は、給電線等を収納するとともに、セラミックス基体10の支持体としての機能を有するため、セラミックスまたは金属材料等の剛体で形成することが好ましい。基板加熱装置3をドライエッチング装置等のチャンバ内に設置する場合は、シャフト80をチャンバ壁に固定する。
・・・中 略・・・
【0059】
成形方法としては、種々の方法を使用できるが、比較的複雑な形状の成形に適した、CIP(Cold Isostatic Pressing)法やスリップキャスト等を使用することが好ましい。焼成工程では、上述する成形工程で得られた成形体を焼成するが、成形体形状が複雑なため、常圧焼成法を用いて焼成することが望ましい。セラミックス原料としてAlNを使用する場合は、窒素中で1700℃~2000℃の温度で、約1時間~10時間焼成する。加工工程では、焼結体表面及び接合面のラッピング加工等を行い、この後、補助プレート60との接続を上述するねじ止め等で行う。このとき、セラミックス基体10裏面に沿って配線され、セラミックス基板裏面中央部に引き出された引き出し線の先端は、シャフト内を通して外部に引き出し、そのまま給電線として使用することが好ましい。
・・・中 略・・・
【0061】
以上に説明するように、本発明の第3の実施の形態に係る基板加熱装置3によれば、本発明の第1及び第2の実施の形態の場合と同様に、引き出し線Lをセラミックス基体10に埋設させずにセラミックス基体10の裏面に沿って配線させているので、引き出し線Lとして、抵抗発熱体とは異なる、より低抵抗な導体、例えばNi等の細線を使用することができる。したがって、引き出し線自身の発熱を抑制できるため、ゾーンごとにより精度の高い温度制御が可能になるとともに、セラミックス基体10の裏面上に補助プレート60を配置し、これにより引き出し線Lを被覆するため、腐食性ガス中でも、引き出し線Lの露出が防止できるため、引き出し線の腐食を防止できる。さらに、シャフト80を有しているため、基板加熱装置の支持体としてシャフト80を使用できるとともに、シャフト80内に引き出し線L及びこれに接続される給電線を収納することができる。シャフト80内を不活性ガスでパージしたり、外部環境と遮断することにより、引き出し線及び給電線の腐食を防止できる。」
「【図1】
[図:0001395249000001.jpg]
」
「【図2】
[図:0001395249000002.jpg]
」
「【図3】
[図:0001395249000003.jpg]
」
「【図6】
[図:0001395249000004.jpg]
」
「【図7】
[図:0001395249000005.jpg]
」
段落【0040】の記載から、甲1の「第2の実施の形態」に係る「基板加熱装置2」は、「第1の実施の形態」に係る「基板加熱装置1」のセラミックス基体10の裏面に補助部材である補助プレート60を備えていることを特徴としており、補助プレート60以外の構成は、「第1の実施の形態」に係る「基板加熱装置1」と同様な構造を備え、段落【0050】の記載から、甲1の「第3の実施の形態」に係る「基板加熱装置3」は、「第2の実施の形態」に係る「基板加熱装置2」の裏面中央部に、給電線等を収納する管状部材であるシャフト80を備え、シャフト80以外の構成は、「第2の実施の形態」に係る「基板加熱装置2」と同様な構造を備えていることがわかる。
また、【図1】(a)、【図3】から、抵抗発熱体30は、同一平面内に形成されていることが見て取れる。
加えて、【図2】(a)から、「各抵抗発熱体30A~30F」のそれぞれが有する「2つの入出力端子(T31,T32)、(T33,T34)、(T35,T36)、(T37,T38)、(T39,T40)及び(T41,T42)」は、「各抵抗発熱体30A~30F」の両端部に設けられていることが見て取れる。
そうすると、上記記載から、甲1には第3の実施の形態として、次の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されている。
「板状のセラミックス基体に複数の抵抗発熱体を埋設したセラミックスヒータであって、加熱面を複数のゾーンに分割し、ゾーンごと独立した抵抗発熱体を有するマルチゾーンヒータであり、(【0015】、【0050】)
一方の面(表面)に基板を載置する加熱面11を有する円盤状のセラミックス基体10と、このセラミックス基体10中に埋設された抵抗発熱体30とを有し、(【0017】)
加熱面11を面内方向で、中心部の第1ゾーンAと、第1ゾーンの外周囲に設けられた第2ゾーンBと、第2ゾーンの外周領域を周回方向に4等分した第3ゾーン群C~Fとに分割し、(【0018】)
各ゾーンに独立した抵抗発熱体30A~30Fを同一平面内に埋設し、各抵抗発熱体30には各ゾーンA~Fに適した電圧、電流を供給し、発熱量を調整するものであって、(【0018】、【図1】(a)、【図3】)
各抵抗発熱体30A~30Fの両端部には、それぞれ2つの入出力端子(T31,T32)、(T33,T34)、(T35,T36)、(T37,T38)、(T39,T40)及び(T41,T42)を有し、(【0021】、【図2】(a))
引き出し線の配線レイアウトをより簡易にするために、隣接するゾーン30Cと30D、及び30Eと30Fとでは、一方の入出力端子を共通端子T50(T36/T38)、T51(T40/T42)とし、(【0022】)
各入出力端子T31~41及び50、51に接続された引き出し線L31~41、50及び51は、セラミックス基体10の裏面に這うように配線され、一箇所にまとめられるものであって、(【0023】)
引き出し線自身の発熱を抑制し、ゾーンごとにより精度の高い温度制御を可能にするために、引き出し線Lは、抵抗発熱体とは異なる、より低抵抗な導体を使用し、各抵抗発熱体の入出力端子に接続された引き出し線をセラミックス基体中に埋設せず、セラミックス基体の外表面上に沿って配線し、(【0061】)
引き出し線Lの腐食を防止するために、引き出し線Lを被覆するセラミックス基体10の裏面に補助部材である補助プレート60を配置し、(【0061】)
裏面中央部に、セラミックスで形成された、管状部材であるシャフト80を備え、基板加熱装置の支持体としてシャフト80を使用できるとともに、シャフト80内に、セラミックス基体10の裏面に沿って配線され、セラミックス基板裏面中央部に引き出された引き出し線L31~41、50及び51及びこれに接続される給電線を収納する、(【0050】、【0051】、【0059】、【0061】)
基板加熱装置3。」
(2)甲2(特開2008-243990号公報)に記載された事項
甲2には、以下の事項が記載されている。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板載置面を有する板状のセラミックス基体と、
このセラミックス基体の基板載置面とは反対の面に接合された中空の支持部材と、
このセラミックス基体の内部に埋設された高融点材料よりなる測温抵抗体と
を備えることを特徴とする基板加熱装置。」
「【技術分野】
【0001】
本発明は、基板加熱装置、より詳しくは、半導体デバイスの製造工程で基板として用いられるウエハ又はその他の板状の被加熱材を加熱するための基板加熱装置に関する。」
「【0012】
図1は、本発明に係る基板加熱装置の一実施例の模式的な縦断面図である。同図に示される基板加熱装置1は、円盤状のセラミックス基体11を備えている。このセラミックス基体11の一方の平面は、基板としてのウエハWが載置されて加熱される基板載置面11aである。このウエハWを加熱するために、図1に示した本実施例では、セラミックス基体11の内部において、ウエハWの外周部に抵抗発熱体12Aが、また、ウエハWの中央部に抵抗発熱体12Bが、それぞれ埋設されている。この抵抗発熱体12Aと抵抗発熱体12Bとで、ウエハWの加熱を、外周部と中央部との2領域で個別制御できるようになっている。もっとも、本発明の基板加熱装置は、2領域で加熱を個別制御する形式のものに限定されない。
【0013】
この抵抗発熱体12Aは、セラミックス基体11の直径方向中央部に延びるようにセラミックス基体11の内部に埋設されたリード線13と接続されている。このリード線13は、セラミックス基体11の直径方向中央部近傍で端子14と接続されている。この端子14は、セラミックス基体11の基板載置面11aとは反対側の面(すなわち、裏面)11bから当該基板載置面11aに向けて形成された穴に挿入されている給電棒15Aとロウ付けされている。また、抵抗発熱体12Bも抵抗発熱体12Aと同様に、リード線13を介して端子14と接続されている。この端子14は、セラミックス基体11の裏面11bから基板載置面11aに向けて形成された穴に挿入されている給電棒15Bとロウ付けされている。これらの給電棒15A及び給電棒15Bは、例えばニッケル製とすることができ、これらの給電棒15A及び給電棒15Bのそれぞれに、図示しない電源から電力を個別に供給することにより、抵抗発熱体12A及び抵抗発熱体12Bを発熱させ、これによりセラミックス基体11の基板載置面11aに載置されたウエハWを加熱する。
【0014】
セラミックス基体11の裏面11bの中央部に、セラミックス基体11を支持する中空の支持部材20が固着されている。この支持部材20は、例えばセラミックス基体11と同種の材料のセラミックスからなる。給電棒15A及び給電棒15Bは、この支持部材20の中空部を通してセラミックス基体11に設けられた穴に挿入されている。本発明の基板加熱装置1が半導体製造装置に取り付けられたとき、支持部材20により支持部材20の中空部内と基板載置面11a近傍とは遮蔽されている。そのため、支持部材20の中空部内に設けられている給電棒15A及び給電棒15Bは、ウエハ加熱時の雰囲気により腐食されることが防止される。」
「【0033】
図2~4に示された本実施例の基板加熱装置2は、基本的な構成は図1に示した基板加熱装置1と同じである。そして、セラミックス基体11内に抵抗発熱体12C、抵抗発熱体12D、抵抗発熱体12E及び抵抗発熱体12Fの4つの抵抗発熱体が埋設されている。抵抗発熱体12C、抵抗発熱体12D、抵抗発熱体12E及び抵抗発熱体12Fが埋設されている領域は、図3の抵抗発熱体が埋設されている領域の切断面に示される。抵抗発熱体12Cは、セラミックス基体11の中央部に巻き回されて設けられている。抵抗発熱体12Dは、セラミックス基体11の半径方向中間部に、概略同心円状に巻き回されて設けられている。抵抗発熱体12Eは、セラミックス基体11の円盤平面形状が中心部を通る線分で二分された一方の半円における外周部の領域に、外周に沿って巻き回されて設けられている。抵抗発熱体12Fは、セラミックス基体11の円盤平面形状が中心部を通る線分で二分された他方の半円における外周部の領域に、外周に沿って巻き回されて設けられている。これらの抵抗発熱体12C、抵抗発熱体12D、抵抗発熱体12E及び抵抗発熱体12Fにより本実施形態の基板加熱装置2は、セラミックス基体11の中央部、中間部、外周部の一方の半分、外周部の他方の半分をそれぞれ個別に加熱制御することが可能となっている。」
「【図1】
[図:0001395249000006.jpg]
」
「【図2】
[図:0001395249000007.jpg]
」
「【図3】
[図:0001395249000008.jpg]
」
上記記載から、甲2には、次の事項(以下、「甲2記載事項」という。)が記載されている。
「基板加熱装置1において、
円盤状のセラミックス基体11を備え、(【0012】)
ウエハWを加熱するために、セラミックス基体11の内部において、ウエハWの外周部に抵抗発熱体12Aが、また、ウエハWの中央部に抵抗発熱体12Bが、それぞれ埋設され、(【0012】)
抵抗発熱体12Aは、セラミックス基体11の直径方向中央部に延びるようにセラミックス基体11の内部に埋設されたリード線13と接続され、(【0013】)
このリード線13は、セラミックス基体11の直径方向中央部近傍で端子14と接続され、(【0013】)
この端子14は、セラミックス基体11の基板載置面11aとは反対側の面(すなわち、裏面)11bから当該基板載置面11aに向けて形成された穴に挿入されている給電棒15Aとロウ付けされ、(【0013】)
抵抗発熱体12Bも抵抗発熱体12Aと同様に、リード線13を介して端子14と接続され、この端子14は、セラミックス基体11の裏面11bから基板載置面11aに向けて形成された穴に挿入されている給電棒15Bとロウ付けされ、(【0013】)
ること。」
(3)甲3(特開2010-177595号公報)に記載された事項
甲3には、以下の事項が記載されている。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハを載置して加熱する加熱体と、この加熱体をチャンバー内で支持する管状支持部材とからなる半導体製造装置用ウエハ保持体であって、
前記加熱体は、そのウエハ載置面を複数の領域に分割して得られる各領域毎に、前記加熱体内に埋設されている発熱体と、当該発熱体に接続されている電極部と、当該発熱体が埋設されている領域の温度を測定する温度測定素子とを有しており、
前記管状支持部材は、前記電極部と前記温度測定素子とを全て内包し且つ前記ウエハ載置面に対してウエハを着脱するためのリフトピンを内包していないことを特徴とする半導体製造装置用ウエハ保持体。」
「【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハを保持した状態で該ウエハ上にCVD、スパッタ等で膜を形成したり、エッチングやレジスト膜の熱処理を行ったりする際に広く使用される半導体製造装置用ウエハ保持体及びそれを搭載した半導体製造装置に関する。」
「【0007】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ウエハの大口径化及び配線の微細化に伴って要望される高い均熱性及び信頼性を有するウエハ保持体を提供することを目的としている。」
「【0073】
内側発熱体52aにおいては、図1の加熱体11と同様に、その両終端部に外部から給電するための1対の電極部53aが直接接続しているが、外側発熱体52bの両終端部には、加熱体51に埋設されている1対の導入部57を介して1対の電極部53bが接続している。この1対の導入部57は、支持部材55をまたぐようにして加熱体51の半径方向に延在しているので、1対の電極部53bを内側発熱体52aが形成されている領域に形成することができる。」
「【0075】
内側発熱体52a及び外側発熱体52bは、図8(a)に示すように、加熱体51内で互いに異なる層に埋設しても良いし、図8(b)に示すように、加熱体51内で同一の層に埋設しても良い。前者の場合は、隣接する発熱体同士の距離を大きくとれるため、特に高温で使用する際、発熱体同士の絶縁の信頼性を向上することができる。但し、導入部57と内側発熱体52aとの距離が近くなり、その影響が無視できない場合は後者を採用するのが好ましい。」
「【図8】
[図:0001395249000009.jpg]
」
第4 当審の判断
1 請求項1に係る発明について
(1)対比
請求項1に係る発明(以下、「本件発明1」という。また、請求項2~5に係る発明を、「本件発明2~5」という。)と引用発明とを対比する。
ア 引用発明の「基板」、「基板を載置する加熱面11」、「シャフト80」、「セラミックス基体10中に埋設された抵抗発熱体30」は、それぞれ、本件発明1の「半導体基板」、「半導体基板の載置面」、「筒状支持体」、「前記基板載置台の内部に設けられた複数の発熱回路」に相当する。
イ 引用発明の「セラミックス基板裏面中央部に引き出された引き出し線L31~41、50及び51」と「これに接続される給電線」に接続される部分の「引き出し線L31~41、50及び51」に対応する部分は端子といえる。そして、この端子は、「シャフト80内」にあるから、引用発明のこの端子と、本件発明1の「前記基板載置台の前記載置面とは反対側の面の中央部において、前記筒状支持体が接続される内側領域に設けられた複数の電極端子」とは、「前記基板載置台の前記載置面とは反対側の面の側の中央部において、前記筒状支持体が接続される内側領域に設けられた複数の電極端子」である点で共通する。
ウ 引用発明は、「加熱面11を面内方向で、中心部の第1ゾーンAと、第1ゾーンの外周囲に設けられた第2ゾーンBと、第2ゾーンの外周領域を周回方向に4等分した第3ゾーン群C~Fとに分割し、各ゾーンに独立した抵抗発熱体30A~30Fを同一平面内に埋設し」ていることから、引用発明の「抵抗発熱体30A」は、本件発明1の「前記載置面の中央ゾーンを加熱する中央ゾーン発熱回路」に相当し、引用発明の「抵抗発熱体30B~F」は、本件発明1の「前記中央ゾーンの周りを加熱する複数の外周ゾーン発熱回路」に相当する。
そうすると、引用発明は、本件発明1の「前記複数の発熱回路は、前記載置面の中央ゾーンを加熱する中央ゾーン発熱回路と、前記中央ゾーンの周りを加熱する複数の外周ゾーン発熱回路とからな」ることと同様の構成を備えている。
エ 引用発明は「各抵抗発熱体30A~30Fの両端部には、それぞれ2つの入出力端子(T31,T32)、(T33,T34)、(T35,T36)、(T37,T38)、(T39,T40)及び(T41,T42)を有し、引き出し線の配線レイアウトをより簡易にするために、隣接するゾーン30Cと30D、及び30Eと30Fとでは、一方の入出力端子を共通端子T50(T36/T38)、T51(T40/T42)とし」ている。
そして、入出力端子(T36/T38)、(T40/T42)は、「抵抗発熱体30C~F」の端部であるから、本件発明1の「発熱回路」の「片端部」に相当する。
また、引用発明の「引き出し線L50、51」は、「セラミック基板裏面中央部に引き出され」ているから、本件発明1の「前記中央ゾーンを通る共通する延長部分」に相当する。
そして、引用発明の「入出力端子(T36/T38)、(T40/T42)」は、それぞれ、「引き出し線L50、L51」に接続され、「引き出し線L50、51」は、給電線に接続されているから、「引き出し線L50、51」と「給電線」が接続される部分は、本件発明1の「共用電極端子」に対応する。
そうすると、引用発明は、本件発明1の「前記発熱回路のうちの少なくとも2つの発熱回路のそれぞれの片端部は、前記電極端子のうちの1つである共用電極端子と、前記中央ゾーンを通る共通する延長部分を介して接続され」ることと同様の構成を備えている。
オ 引用発明の「入出力端子T36、T38、T40、T42」は、本件発明1の「外周ゾーン発熱回路」に相当する「抵抗発熱体30C~F」の入出力端子であるから、引用発明は、本件発明1の「前記少なくとも2つの発熱回路は、前記外周ゾーン発熱回路である」ことと同様の構成を備えている。
カ そして、引用発明の「板状のセラミックス基体に複数の抵抗発熱体を埋設したセラミックスヒータ」は、下記の相違点を除き、本件発明1の「セラミックス製の半導体基板加熱用基板載置台」に対応する。
キ そうすると、本件発明1と引用発明との一致点、相違点は次のとおりである。
[一致点]
「一方の面を半導体基板の載置面とし、前記載置面とは反対側の面に筒状支持体との接続部を有するセラミックス製の半導体基板加熱用基板載置台であって、
前記基板載置台の内部に設けられた複数の発熱回路と、
前記基板載置台の前記載置面とは反対側の面の側の中央部において、前記筒状支持体が接続される内側領域に設けられた複数の電極端子とを備え、
前記複数の発熱回路は、前記載置面の中央ゾーンを加熱する中央ゾーン発熱回路と、前記中央ゾーンの周りを加熱する複数の外周ゾーン発熱回路とからなり、
前記発熱回路のうちの少なくとも2つの発熱回路のそれぞれの片端部は、前記電極端子のうちの1つである共用電極端子と、前記中央ゾーンを通る共通する延長部分を介して接続され、
前記少なくとも2つの発熱回路は、前記外周ゾーン発熱回路である、半導体基板加熱用基板載置台。」
[相違点1]
本件発明1は、「前記基板載置台の前記載置面とは反対側の面の中央部において、前記筒状支持体が接続される内側領域に設けられた複数の電極端子」を備えているのに対して、引用発明の「引き出し線L31~41、50及び51」の「給電線」に接続される部分は、「板状のセラミックス基体」の「基板を載置する加熱面11」の反対側の面の側の中央部に設けられているとはいえるものの、「引き出し線L31~41、50及び51」が「セラミックス基体10の裏面に這うように配線され」ているために、「板状のセラミックス基体」の「基板を載置する加熱面11」の反対側の面の中央部に設けられているとはいえない点。
[相違点2]
本件発明1は、「前記中央ゾーン発熱回路の直径よりも前記筒状支持体の内径の方が小さ」いのに対して、引用発明の「抵抗発熱体30A」の直径と「シャフト80」の直径について対応する特定がされていない点。
(2)相違点についての当審判断
相違点1について検討する。
引用発明は、「引き出し線自身の発熱を抑制し、ゾーンごとにより精度の高い温度制御を可能にするために、引き出し線Lは、抵抗発熱体とは異なる、より低抵抗な導体を使用し、各抵抗発熱体の入出力端子に接続された引き出し線をセラミックス基体中に埋設せず、セラミックス基体の外表面上に沿って配線」するものであるから、「引き出し線L31~41、50及び51」を「セラミック基体中に埋設」することには、阻害要因があるといえる。
そして、たとえ、甲2記載事項にあるように、「リード線」を「セラミックス基体11」の内部に埋設することが公知の技術であっても、上記阻害要因があるから、この技術を引用発明に適用し、本件発明1の相違点1に係る構成とすることはできない。
そうすると、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、引用発明及び甲2、3に記載された技術的事項から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
また、甲1は、相違点1に係る本件発明1の構成を備えていないから、本件発明1は、甲1に記載された発明であるとはいえない。
2 本件発明2~4について
本件発明2~4は、本件発明1に対して、更に技術的事項を追加したものである。
よって、上記1に示した理由と同じ理由により、本件発明2~4は、甲1に記載された発明であるとはいえない。
加えて、上記1に示した理由と同じ理由により、当業者が、引用発明及び甲2、3に記載された技術的事項に基づいて容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
3 本件発明5について
(1)対比
ア 引用発明の「セラミックス基体10」は、「一方の面(表面)に基板を載置する加熱面11を有する」から、本件発明5の「一方の面を半導体基板の載置面とするセラミックス製の基板載置台」に相当する。
イ 引用発明の「裏面中央部に、セラミックスで形成された、管状部材であるシャフト80」は、本件発明5の「前記基板載置台の前記載置面とは反対側の面の中央部に接続されたセラミックス製の筒状支持体」に相当する。
ウ 引用発明は、「加熱面11を面内方向で、中心部の第1ゾーンAと、第1ゾーンの外周囲に設けられた第2ゾーンBと、第2ゾーンの外周領域を周回方向に4等分した第3ゾーン群C~Fとに分割し、各ゾーンに独立した抵抗発熱体30A~30Fを埋設し」ていることから、引用発明の「抵抗発熱体30A」は、本件発明5の「中央ゾーン発熱回路」に相当する。
エ 引用発明の「抵抗発熱体30B~F」と、本件発明5の「前記中央ゾーン発熱回路とは前記基板載置台の厚み方向において異なる平面内に埋設された複数の外周ゾーン発熱回路」とは、「複数の外周ゾーン発熱回路」である点で共通する。
オ 引用発明の「セラミックス基板裏面中央部に引き出された引き出し線L31~41、50及び51」と「これに接続される給電線」に接続される部分の「引き出し線L31~41、50及び51」に対応する部分は端子といえる。そして、この端子は、「シャフト80内」にあるから、引用発明のこの端子と、本件発明5の「前記基板載置台の前記載置面とは反対側の面において、前記筒状支持体が接続される内側領域に設けられた複数の電極端子」とは、「前記基板載置台の前記載置面とは反対側の面の側において、前記筒状支持体が接続される内側領域に設けられた複数の電極端子」である点で共通する。
カ 引用発明は「各抵抗発熱体30A~30Fの両端部には、それぞれ2つの入出力端子(T31,T32)、(T33,T34)、(T35,T36)、(T37,T38)、(T39,T40)及び(T41,T42)を有し、引き出し線の配線レイアウトをより簡易にするために、隣接するゾーン30Cと30D、及び30Eと30Fとでは、一方の入出力端子を共通端子T50(T36/T38)、T51(T40/T42)とし」ている。
そして、入出力端子(T36/T38)、(T40/T42)は、本件発明5の「外周ゾーン発熱回路」に相当する「抵抗発熱体30C~F」の端部であるから、この端部は、本件発明5の「前記外周ゾーンの発熱回路のうちの少なくとも2つの発熱回路」の「片端部」に相当する。
また、引用発明の「引き出し線L50、51」は、「セラミック基板裏面中央部に引き出され」ており、「第1ゾーンA」を通っているといえるから、本件発明5の「前記中央ゾーン発熱回路の領域を通る共通する延長部分」に相当する。
加えて、引用発明の「入出力端子(T36/T38)、(T40/T42)」は、それぞれ、「引き出し線L50、L51」に接続され、「引き出し線L50、51」は、給電線に接続されているから、「引き出し線L50、51」と「給電線」が接続される部分は、本件発明5の「共用電極端子」に対応する。
そうすると、引用発明は、本件発明5の「前記外周ゾーン発熱回路のうちの少なくとも2つの発熱回路のそれぞれの片端部は、前記電極端子のうちの1つの共用電極端子と、前記中央ゾーン発熱回路の領域を通る共通する延長部分を介して接続されている」ことと同様の構成を備えている。
キ そして、引用発明の「板状のセラミックス基体に複数の抵抗発熱体を埋設したセラミックスヒータ」は、下記の相違点を除き、本件発明5の「半導体基板加熱ヒータ」に対応する。
キ そうすると、本件発明5と引用発明との一致点、相違点は次のとおりである。
[一致点]
「一方の面を半導体基板の載置面とするセラミックス製の基板載置台と、
前記基板載置台の前記載置面とは反対側の面の中央部に接続されたセラミックス製の筒状支持体とを有し、
前記基板載置台は、中央ゾーン発熱回路と、
複数の外周ゾーン発熱回路と、
前記基板載置台の前記載置面とは反対側の面の側において、前記筒状支持体が接続される内側領域に設けられた複数の電極端子とを備え、
前記外周ゾーン発熱回路のうちの少なくとも2つの発熱回路のそれぞれの片端部は、前記電極端子のうちの1つの共用電極端子と、前記中央ゾーン発熱回路の領域を通る共通する延長部分を介して接続されている、半導体基板加熱ヒータ。」
[相違点3]
本件発明5は、「前記中央ゾーン発熱回路とは前記基板載置台の厚み方向において異なる平面内に埋設された複数の外周ゾーン発熱回路」を備えているのに対して、引用発明の「抵抗発熱体30A~30F」は、「同一平面内に埋設」されている点。
[相違点4]
本件発明5は、「前記基板載置台の前記載置面とは反対側の面において、前記筒状支持体が接続される内側領域に設けられた複数の電極端子」を備えているのに対して、引用発明の「引き出し線L31~41、50及び51」の「給電線」に接続される部分は、「板状のセラミックス基体」の「基板を載置する加熱面11」の反対側の面の側の前記筒状支持体が接続される内側領域に設けられているとはいえるものの、「引き出し線L31~41、50及び51」が「セラミックス基体10の裏面に這うように配線され」ているために、「板状のセラミックス基体」の「基板を載置する加熱面11」とは反対側の面において設けられているとはいえない点。
(2)相違点についての当審判断
事案に鑑み、上記相違点1に対応する相違点4について先に検討する。
引用発明は、「引き出し線自身の発熱を抑制し、ゾーンごとにより精度の高い温度制御を可能にするために、引き出し線Lは、抵抗発熱体とは異なる、より低抵抗な導体を使用し、各抵抗発熱体の入出力端子に接続された引き出し線をセラミックス基体中に埋設せず、セラミックス基体の外表面上に沿って配線」するものであるから、「引き出し線L31~41、50及び51」を「セラミック基体中に埋設」することには、阻害要因があるといえる。
そして、たとえ、甲2記載事項にあるように、「リード線」を「セラミックス基体11」の内部に埋設することが公知の技術であっても、上記阻害要因があるから、この技術を引用発明に適用し、本件発明5の相違点4に係る構成とすることはできない。
そうすると、相違点3について検討するまでもなく、本件発明5は、引用発明及び甲2、3に記載された事項から、当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
第5 むすび
したがって、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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2022-701076