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特許異議申立

2022-700977

自動車のバンパー補強材

審判番号
2022-700977
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-090253
登録番号
7051569
請求日
2022年10月04日
審決日
2023年06月22日
公報発行日
2023年09月29日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社神戸製鋼所
  • 【権利者代理人】香本 薫
  • 【異議申立人】大行 尚哉
審判長/審判官
  • 審判長 一ノ瀬 覚
  • 審判官 藤井 昇
  • 審判官 中村 則夫
分類
P1651.121-YAA(B60R)
根拠条文(結論部分から自動抽出・参考)
特許法120条の8第1項
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第120条の5第9項、特許法第120条の5第2項、特許法第29条第2項、特許法第120条の5第5項、特許法第120条の8第1項
データ出所
審決公報(XML)

事件の表示

特許第7051569号発明「自動車のバンパー補強材」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7051569号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。 特許第7051569号の請求項1、3~6に係る特許を維持する。 特許第7051569号の請求項2に係る特許についての特許異議の申立てを却下する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7051569号の請求項1~6に係る特許についての出願は、平成30年5月8日に出願され、令和4年4月1日にその特許権の設定登録がされ、同年4月11日に特許掲載公報が発行された。 この請求項1~6に係る特許について、令和4年10月4日付けで特許異議申立人 大行 尚哉(以下、「申立人」という。)により特許異議の申立てがあり、同年12月27日付けで取消理由が通知され、その指定期間内である令和5年2月21日付けで特許権者により意見書の提出及び訂正請求がされ、同年3月6日付けで訂正請求があった旨が通知され(特許法第120条の5第5項)、同年4月7日付けで申立人により意見書の提出がされたものである。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和5年2月21日付けの訂正の請求(以下、「本件訂正請求」という。)による訂正(以下、「本件訂正」という。)は、特許第7051569号(以下、「本件特許」という。)の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~6について訂正することを求めるものであり、その内容は、以下のとおりである(訂正箇所に下線を付した。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「車体側及び衝突側に間隔を置いて位置する一対のフランジと、前記一対のフランジを接続し車体の上下方向に間隔を置いて位置する一対のウエブを備え」と記載されているのを、「車体側及び衝突側に間隔を置いて位置する一対のフランジと、前記一対のフランジを接続し車体の上下方向に間隔を置いて位置する一対のウエブからなり」に訂正する(請求項1の記載を引用する請求項3~6も同様に訂正する)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項2を削除する。 (3)訂正事項3 特許請求の範囲の請求項3に「長手方向の両端部が車体側に曲げ加工されていることを特徴とする請求項1又は2に記載された」と記載されているのを、請求項2を引用しないものとし、「長手方向の両端部が車体側に曲げ加工されていることを特徴とする請求項1に記載された」と訂正する。 (4)訂正事項4 特許請求の範囲の請求項4に「長手方向に沿って曲げ加工され車体外側に凸湾曲していることを特徴とする請求項1又は2に記載された」と記載されているのを、請求項2を引用しないものとし、「長手方向に沿って曲げ加工され車体外側に凸湾曲していることを特徴とする請求項1に記載された」と訂正する。 (5)訂正事項5 特許請求の範囲の請求項5に「長手方向の一部に一対のフランジの間隔が狭くなった潰し加工部を有することを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載された」と記載されているのを、請求項2を引用しないものとし、「長手方向の一部に一対のフランジの間隔が狭くなった潰し加工部を有することを特徴とする請求項1、3、4のいずれかに記載された」と訂正する。 (6)訂正事項6 特許請求の範囲の請求項6に「7000系アルミニウム合金押出材からなることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載された」と記載されているのを、請求項2を引用しないものとし、「7000系アルミニウム合金押出材からなることを特徴とする請求項1、3~5のいずれかに記載された」と訂正する。 (7)一群の請求項について 本件訂正請求は、一群の請求項〔1~6〕に対して請求されたものである。 2 訂正の適否についての判断 (1)訂正事項1 ア 訂正の目的について 訂正前の請求項1に係る特許発明では、「車体側及び衝突側に間隔を置いて位置する一対のフランジと、前記一対のフランジを接続し車体の上下方向に間隔を置いて位置する一対のウェブを備え」と特定され、バンパー補強材は一対のフランジと一対のウエブからなるものに限定されず、例えばさらに中リブを有するものもこれに含まれる。これに対し、訂正後の請求項1に係る発明では、「車体側及び衝突側に間隔を置いて位置する一対のフランジと、前記一対のフランジを接続し車体の上下方向に間隔を置いて位置する一対のウエブからなり」と特定され、バンパー補強材は一対のフランジと一対のウエブからなるものに限定されている。 すなわち、訂正事項1は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。 イ 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面(以下「特許明細書等」という。)に記載した事項の範囲内においてした訂正であること 訂正事項1の「車体側及び衝突側に間隔を置いて位置する一対のフランジと、前記一対のフランジを接続し車体の上下方向に間隔を憧いて位置する一対のウエブからなり」は、明細書の段落【0010】~【0012】及び図1に記載された構成であるから、訂正事項1は、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 上記アの理由から明らかなように、訂正事項1は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、カテゴリーや対象、目的を変更するものではない。 したがって、訂正事項1は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではなく、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (2)訂正事項2 訂正事項2は、請求項2を削除するというものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当しないから、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合するものである。 (3)訂正事項3 ア 訂正の目的について 訂正事項3は、訂正前の請求項3が請求項1又は2の記載を引用する記載であるところ、請求項2を引用しないものとする訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」又は同第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であること 訂正事項3は、訂正前の請求項3について請求項2を引用しないものとする訂正であり、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項3は、訂正前の請求項3について請求項2を引用しないものとする訂正であり、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (4)訂正事項4 ア 訂正の目的について 訂正事項4は、訂正前の請求項4が請求項1又は2の記載を引用する記載であるところ、請求項2を引用しないものとする訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」又は同第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 に記載した事項の範囲内 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であること 訂正事項4は、訂正前の請求項4について請求項2を引用しないものとする訂正であり、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項4は、訂正前の請求項4について請求項2を引用しないものとする訂正であり、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (5)訂正事項5 ア 訂正の目的について 訂正事項5は、訂正前の請求項5が請求項1~4のいずれかの記載を引用する記載であるところ、請求項2を引用しないものとする訂正であり、特許法第120条の5第2項ただし書第3号に規定する「明瞭でない記載の釈明」又は同第4号に規定する「他の請求項の記載を引用する請求項の記載を当該他の請求項の記載を引用しないものとすること」を目的とする訂正である。 イ 特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であること 訂正事項5は、訂正前の請求項5について請求項2を引用しないものとする訂正であり、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許明細書等に記載した事項の範囲内においてした訂正であり、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第5項の規定に適合するものである。 ウ 実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更する訂正ではないこと 訂正事項5は、訂正前の請求項5について請求項2を引用しないものとする訂正であり、何ら実質的な内容の変更を伴うものではないから、特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものには該当せず、特許法第120条の5第9項で準用する同法第126条第6項の規定に適合するものである。 (6)小括 上記のとおり、訂正事項1~6に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号、第3号又は第4号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~6〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 上記「第2」で述べたとおり、本件訂正は認められるので、本件訂正請求により訂正された請求項1~6に係る発明(以下、「本件発明1」~「本件発明6」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~6に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。 「【請求項1】長手方向に沿って溶着部を有する閉断面構造のアルミニウム合金押出形材からなる自動車のバンパー補強材であって、車体側及び衝突側に間隔を置いて位置する一対のフランジと、前記一対のフランジを接続し車体の上下方向に間隔を置いて位置する一対のウェブからなり、前記一対のフランジと一対のウェブはいずれも平板状で、互いに略垂直に形成され、前記溶着部が前記一対のフランジに設けられ、前記一対のウェブに設けられていないことを特徴とする 自動車のバンパー補強材。 【請求項2】(削除) 【請求項3】長手方向の両端部が車体側に曲げ加工されていることを特徴とする請求項1に記載された自動車のバンパー補強材。 【請求項4】長手方向に沿って曲げ加工され車体外側に凸湾曲していることを特徴とする請求項1に記載された自動車のバンパー補強材。 【請求項5】長手方向の一部に一対のフランジの間隔が狭くなった潰し加工部を有することを特徴とする請求項1、3、4のいずれかに記載された自動車のバンパー補強材。 【請求項6】7000系アルミニウム合金押出材からなることを特徴とする請求項1、3~5のいずれかに記載された自動車のバンパー補強材。」 第4 取消理由通知に記載した取消理由の概要について 訂正前の請求項1に係る特許に対して、当審が令和4年12月27日付けの取消理由通知で特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 「(進歩性):本件特許の下記の請求項に係る発明は、本件特許出願前に日本国内又は外国において、頒布された下記の刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明に基いて、本件特許出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者(以下、「当業者」という。)が容易に発明をすることができたものであるから、下記の請求項に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。 記 引用文献1:特開2012-35319号公報(申立人が提出した甲第3号証) 引用文献2:特開2016-182868号公報(申立人が提出した甲第2号証;周知技術を示す文献) 引用文献3:特開2015-168299号公報(本件特許公報の段落【0019】に記載された文献;周知技術を示す文献) 引用文献4 :特開2009-120098号公報(周知技術を示す文献) 引用文献5:特開2003-285703号公報(本件特許公報の段落【0019】に記載された文献;周知技術を示す文献) 引用文献6:特開2010-46685号公報(本件特許公報の段落【0019】に記載された文献;周知技術を示す文献)」 第5 当審の判断 1 引用文献の記載及び引用発明 (1)引用文献1 ア 引用文献1の記載 引用文献1には、図面とともに以下の事項が記載されている(下線は当審で付した。以下同様。) (ア)記載事項 ・「【0001】 本発明は、高力系合金、特に、いわゆる7000系といった高強度アルミ合金からなる中空形材を成形する中空形材成形用押出ダイスに関する。」 ・「【0008】 ところで、中空形材成形用の材料として、高力系合金、特に、いわゆる7000系の高強度アルミが使用され、その合金で成形される例えば自動車バンパー用部材として、いわゆる断面目の字形状等といった複数の中空部を有する押出形材を形成する場合、その変形抵抗が他の合金種に比べて高いので押出加工力が大きくなり、ダイス工具系への負荷も大きいので、押出速度をアップさせ、ダイスの寿命を向上させることが困難である。」 ・「【0018】 本実施形態の押出ダイス10は、高力系合金、特に、いわゆる7000系といった高強度アルミ合金からなる中空形材を成形するものであり、本実施形態の押出ダイス10では、図13に示すような、断面目の字形状の中空形材1を成形するものである。 【0019】 押出ダイス10は、図2に示すように、押出し方向の上流側から送られてきたアルミ合金からなるビレットBを下流側に押出して中空形材1の内側形状を成形するオス型20と、中空形材1の外側形状を成形するメス型30と、このメス型30を保持するバックダイ40とを備えて構成されている。 ビレットBは、オス型20の上流側に配置されたチャンバー等からなるビレット押出し装置60内に収容され、且つそのビレット押出し装置60により押出されるように構成されている。 【0020】 オス型20とメス型30とバックダイ40とは一体的に連結されている。 すなわち、オス型20とメス型30とが、図1、図2に示すように、例えば2本の位置決めピン45で位置決めされた後、これらのオス型20とメス型30とバックダイ40とが例えば2本の連結ボルト46で連結、固定されている。 【0021】 オス型20は、図3に詳細を示すように、中空形材1の内側形状を成形するマンドレル22と、このマンドレル22の外周を部分的に保持するホルダー25とで構成されており、これらホルダー25とマンドレル22は、例えば圧入により一体化されている。 【0022】 マンドレル22は、中空形材1の内側形状に対応する形材内側成形部23と、この形材内側成形部23を支持すると共に当該形材内側成形部23から略四方に延出した複数のブリッジ、すなわち第1のブリッジ24a、第2のブリッジ24b、第3のブリッジ24c、および第4のブリッジ24dからなるブリッジ部24とで構成されている。 そして、これらの4本の第1のブリッジ24a、第2のブリッジ24b、第3のブリッジ24c、第4のブリッジ24dの先端外周面24Cが、ホルダー25におけるブリッジ保持部26のブリッジ当接係合面であるブリッジ受座面26Aと部分的に係合し合うようになっている。 そして、第1のブリッジ24a、第2のブリッジ24b、第3のブリッジ24c、第4のブリッジ24dの先端外周面24Cとホルダー25のブリッジ受座面26Aとの互いの係合面が、押出し方向の上流側から下流側に向かってダイスの中心に近づくような傾斜面に形成されている。 【0023】 ここで、図1に示すように、オス型20のマンドレル22とホルダー25とが一体的に組立てられたとき、マンドレル22を構成する形材内側成形部23および第1のブリッジ24a、第2のブリッジ24b、第3のブリッジ24c、第4のブリッジ24dの上面は、ホルダー25の上端面(シール面25B)から所定寸法押出し方向下流側に後退した窪み状に設定されている。そして、これらの窪み状部と4本のブリッジ部24間の空間とにより、ビレットの導入空間S、S1が形成されている。 【0024】 ブリッジ部24は、図5に示すように、形材内側成形部23の上面部23Aから上記のように略四方に延出し、第1のブリッジ24a、第2のブリッジ24b、第3のブリッジ24c、第4のブリッジ24dにより平面形状が略X字状になるように形成されている。 これらの第1~第4ブリッジ24a~24dには、前記上面部23Aから先端部24Aに向かうにしたがって低くなる傾斜面24B(図3参照)と、この傾斜面24Bの先端、つまり上記先端部24Aに連続する上記ブリッジ先端外周面24Cとが設けられている。 そして、このブリッジ先端外周面24Cは、後に詳細を説明するホルダー25の前記ブリッジ受座面26Aと係合し合い、かつそのブリッジ受座面26Aに保持されるようになっている。」 ・「【0029】 図7、図8に示すように、形材内側成形部23において押出し方向下流側の端部には、図13および図7、図8にそれぞれ仮想像で示すような断面目の字形状の中空形材1の3つの空間1S、1S、1Sをそれぞれ形成する第1内側駒部23B、第2内側駒部23C、第3内側駒部23Dが形成されている。」 ・「【0044】 以上のように構成されたダイス10により押出し成形された中空形材1が図13に示されている。 すなわち、上記中空形材1は、図13に示すように、一対の長辺部1Aの両端側を短辺部1Bで連結すると共に、それらの短辺部1B間に2本の仕切り壁部1Cを上記一対の長辺部1A間に連結して形成され、内部に3個の空間1S、1S、1Sを有する断面目の字形となっている。 そして、このような断面目の字形の中空形材1がビレットBの供給量に対応して、押出しダイス10の前記形材形成用孔部50から連続して押出し成形されるようになっている。 【0045】 次に、以上のような構成の押出ダイス10による中空形材1の成形方法を説明する。 オス型20に対して、ビレットBの押出し方向上流側に配設されたビレット押出し装置60によりビレットBが押出されると、そのビレットBは、まず、ホルダー25のビレット導入用開口部25Aからオス型20のマンドレル22とホルダー25との隙間で構成されたビレット導入空間Sに導入される。 【0046】 ビレット導入空間Sに導入されたビレットBは、略X字状に配置されている第1~第4ブリッジ24a~24dおよび形材内側成形部23の側面を経由し、形材内側成形部23とメス型30の形材外形用開口30Bとの間で形成されている形材成形用孔部50に導かれ、その形材成形用孔部50から押出し成形される。 そして、押出し成形された中空形材1は、バックダイ30に形成されている形材送出用穴40Aから送り出された後、図示しない保持機構により保持され、且つ所定のストックヤード等に搬入される。」 ・「【0052】 例えば、前記実施形態では、押出しダイス10により成形される中空形材1を断面目の字状の中空形材としたが、これに限らない。図14に示すような断面口の字状の中空形材2を成形する際にも利用できる。 【0053】 この場合、まず、前記実施形態のマンドレル22における形材内側成形部23の第1内側駒部23B、第2内側駒部23C、および第3内側駒部23Dに換えて、断面口の字状の中空形材2の内部空間2Sを形成するように、略四角柱状の1つの駒部を形材内側成形部の端部に設ける。 そして、メス型30の形材外形用開口30Bに換えて、上記略四角柱状の1つの駒部に対応する略四角形の形材外形用開口をメス型に設ければよい。 この際、マンドレルのブリッジ外周面とホルダーのブリッジ受座面との係合状態および傾斜角度は、前述のような目の字形の中空形材1用の構成と同じとすればよく、ホルダー25はそのまま使用できるので、少ない使用部材で断面形状が異なる複数種類の中空形材の押出し成形が可能である。」 (イ)図面 図1 「 [図:0001401659000001.jpg] 」 図2 「 [図:0001401659000002.jpg] 」 図5 「 [図:0001401659000003.jpg] 」 図7 「 [図:0001401659000004.jpg] 」 図8 「 [図:0001401659000005.jpg] 」 図13 「 [図:0001401659000006.jpg] 」 図14 「 [図:0001401659000007.jpg] 」 イ 認定事項 (ア)段落【0029】の「図7、図8に示すように、形材内側成形部23において押出し方向下流側の端部には、図13および図7、図8にそれぞれ仮想像で示すような断面目の字形状の中空形材1」という記載、及び図7、8、13より、図1、5の略中央部に仮想像で示された、倒立目の字形状のものは、押出ダイス10により成型された中空形材1の断面と認められる。 このことと、段落【0024】の「ブリッジ部24は、図5に示すように、形材内側成形部23の上面部23Aから上記のように略四方に延出し、第1のブリッジ24a、第2のブリッジ24b、第3のブリッジ24c、第4のブリッジ24dにより平面形状が略X字状になるように形成されている。」という記載、段落【0044】の「上記中空形材1は、図13に示すように、一対の長辺部1Aの両端側を短辺部1Bで連結すると共に、・・・」という記載、段落【0046】の「ビレット導入空間Sに導入されたビレットBは、・・・形材成形用孔部50に導かれ、その形材成形用孔部50から押出し成形される。そして、押出し成形された中空形材1は、・・・」という記載、及び図1、5、13より、ビレットBの導入方向に垂直な平面からみたときに、第1のブリッジ24a及び第4のブリッジ24dの各幅方向中央は、形材成形用孔部50から押出し成形された中空部材1の上側の長辺部1Aと交差し、第2のブリッジ24b及び第3のブリッジ24cの各幅方向中央は、形材成形用孔部50から押出し成形された中空部材1の下側の長辺部1Aと交差し、第1~第4ブリッジ24a~24dの各幅方向中央部は、形材成形用孔部50から押出し成形された中空部材1の一対の短辺部1Bとは交差しないものと認められる。 (イ)段落【0023】の「これらの窪み状部と4本のブリッジ部24間の空間とにより、ビレットの導入空間S、S1が形成されている。」という記載、及び図1より、段落【0046】の「ビレット導入空間Sに導入されたビレットB」は、ビレット導入空間S1にも同流されるもの、すなわち「ビレット導入空間S、S1に導入されたビレットB」であるものと認められる。そして、段落【0046】の「ビレット導入空間Sに導入されたビレットBは、略X字状に配置されている第1~第4ブリッジ24a~24dおよび形材内側成形部23の側面を経由し」という記載より、ビレット導入空間S、S1に導入されたビレットBは、第1~第4ブリッジ24a~24dの側面を経由するときに、第1~第4ブリッジ24a~24dにより4つに分割されるものと認められる。 (ウ)段落【0046】の「ビレット導入空間Sに導入されたビレットBは、略X字状に配置されている第1~第4ブリッジ24a~24dおよび形材内側成形部23の側面を経由し、形材内側成形部23とメス型30の形材外形用開口30Bとの間で形成されている形材成形用孔部50に導かれ、その形材成形用孔部50から押出し成形される。」という記載、上記(イ)、及びホローダイスを用いて中空形材を押出し成型する際、オス型に導入されて分割されたビレットの複数の部分が、メス型に導入される際に、オス型により分割された位置において、長手方向に沿って互いに溶着されて一体化することが技術常識であることを踏まえると、4つに分割されたビレットBの部分は、形材成形用孔部50から押出し成形されるときに、長手方向に沿って互いに溶着され、その結果、中空部材1は、オス型20のマンドレル22により分割された位置において、長手方向に沿って溶着部を有する構成になるものと認められる。 (エ)上記(ア)~(ウ)を踏まえると、中空部材1における、長手方向に沿った溶着部の位置は、オス型20のマンドレル22により分割された位置、すなわち、ビレットBの導入方向に垂直な平面からみたときに、第1のブリッジ24a及び第4のブリッジ24dの各幅方向中央と交差する上側の長辺部1Aの位置、及び、第2のブリッジ24b及び第3のブリッジ24cの各幅方向中央と交差する下側の長辺部1Aの位置を含むものとなり、溶着部は一対の長辺部1Aに設けられ、一対の短辺部1Bに設けられていない構成となる蓋然性が高いものと認められる。 ウ 引用発明 上記ア及びイより、引用文献1には次の発明(以下「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。 [引用発明] 「自動車バンパー用部材としての押出形材であり、7000系といった高強度アルミ合金からなる断面目の字形状の中空形材1であって、一対の長辺部1Aの両端側を短辺部1Bで連結すると共に、それらの短辺部1B間に2本の仕切り壁部1Cを上記一対の長辺部1A間に連結して形成され、内部に3個の空間1S、1S、1Sを有する断面目の字形となり、 中空部材1は、長手方向に沿って溶着部を有し、 溶着部は一対の長辺部1Aに設けられ、一対の短辺部1Bに設けられていない、 中空部材1。」 (2)引用文献2 引用文献2には、図面とともに以下の事項が記載されている。 ア 記載事項 ・「【0012】 図2に示す取付部構造において、バンパーリインフォース5はアルミニウム合金押出材からなり、その断面形状は、矩形輪郭を構成する前壁6、後壁7、上壁8及び下壁9と、中リブ11からなる。前壁6と後壁7は車体前後方向に対し略垂直に向いている。バンパーリインフォース5の下側のボックス5a(前壁6、後壁7、中リブ11及び下壁9で囲まれた箇所)の前壁6と後壁7に穴が開けられ、その穴にフックブラケット1の軸部2が車体前後方向に貫通している。フックブラケット1の軸部2の前端部が前壁6から突出し(突出部12)、後端部が後壁7から突出している(突出部13)。軸部2の前方側の突出部12は前壁6(軸部2が貫通する穴の周縁)と全周で隅肉溶接されている(上下の溶接部14、15のみ図示)。一方、後方側の突出部13と後壁7(軸部2が貫通する穴の周縁)は上下の接触部で隅肉溶接され(上下の溶接部16、17を図示)、左右の接触部では隅肉溶接されていない。なお、突出部12と前壁6の隅肉溶接は、溶接長を長くとるため全周で行われることが望ましいが、それは必須ではなく、例えば特許文献2に記載されているように、周の一部(特に左右の接触部)で溶接を省略するなど、他の溶接形態もあり得る。」 イ 図面 図2 「 [図:0001401659000008.jpg] 」 (3)引用文献3 引用文献3には、図面とともに以下の事項が記載されている。 ア 記載事項 ・「【0001】 本発明は、乗用車、トラック等の自動車のバンパーの補強材として使用されるアルミニウム合金押出形材からなるバンパービームに関する。」 ・「【0014】 以下、図1~5を参照して、本発明に係るバンパービームについて詳細に説明する。 図1に示すバンパービーム1はアルミニウム合金押出形材を所定長さに切断し、両方の端部のみを車体側に曲げた後、潰し加工を行ったものである。図2に破線で示すように、アルミニウム合金押出形材の当初断面は、互いに平行な衝突側フランジ2aと車体側フランジ3a、及び両フランジを垂直に連結しかつ互いに平行な上ウエブ4a、下ウエブ5a、及び中間ウエブ6aからなり、矩形輪郭を有する。これらのフランジ及びウエブはいずれも平板状である。 【0015】 アルミニウム合金押出形材は、長手方向の所定箇所が、衝突側フランジ2aを曲げの外側にして曲げ加工され、両方の端部7、7が車体側に曲げられる。曲げ加工後のアルミニウム合金押出形材の端部の形状が、図1に破線で示されている。 次いで、端部7、7のうちバンパーステイ8の取付部を含む領域Aが、車体側から衝突側に向けて途中まで潰し加工される。図2に実線で示すように、潰し加工後のアルミニウム合金押出形材(バンパービーム1)では、上ウエブ4、下ウエブ5及び中間ウエブ6は曲げ変形している。また、衝突側フランジ2は断面外側(衝突側)に湾曲変形し、車体側フランジ3は元の平坦な形状を保ったまま衝突側フランジ2側に寄り、両者の間隔が狭められている。 なお、潰し加工前の各フランジ及びウエブと、潰し加工後の各フランジ及びウエブを区別するため、潰し加工前の各フランジ及びウエブに対しては番号のあとに符号aを付与することとする。」 イ 図面 図1 「 [図:0001401659000009.jpg] 」 図2 「 [図:0001401659000010.jpg] 」 (4)引用文献4 引用文献4には、図面とともに以下の事項が記載されている。 ア 記載事項 ・「【0017】 車体前部10の前端部(車両の前後方向の端部)側に設けられたフロントバンパリインフォース24は、アルミニウム合金材料を押出し成形することにより製作されたアルミニウム合金製であり、車幅方向に沿って延在している。図2及び図3に示されるように、フロントバンパリインフォース24は、車両前後方向に沿った縦断面形状が中空矩形状とされており、車両後方側(車両前後方向の車両内側)に第1縦壁部としての後壁部32を備えると共に、車両前方側(車両前後方向の車両外側)に第2縦壁部としての前壁部30を備えている。前壁部30及び後壁部32は、前後一対で設けられて一般面が車両上下方向を含む面を面方向として平行に配置されている。前壁部30及び後壁部32の上端部同士及び下端部同士は、上下に平行に配置された一対の上壁部34及び下壁部36によって一体に繋がれている。 【0018】 また、前壁部30と後壁部32とは、横隔壁部40、42によって、車両前後方向に一体に繋がれており、横隔壁部40、42は、フロントバンパリインフォース24の長手方向(図1参照)に沿って延在し、フロントバンパリインフォース24内の内部空間を車両上下方向に隔てている。横隔壁部40、42は、上壁部34及び下壁部36に平行とされ、本実施形態では、計二枚設けられている。上壁部34、横隔壁部40、42及び下壁部36は、一般面が車両前後方向(換言すれば、前面衝突時における荷重入力方向(衝突方向))を含む面を面方向として配置されている。」 イ 図面 図2 「 [図:0001401659000011.jpg] 」 2 本件発明1の進歩性について (1)対比 本件発明1と引用発明とを対比する。 ア 引用発明の「自動車バンパー用部材としての押出形材であり、7000系といった高強度アルミ合金からなる断面目の字形状の中空形材1であって、」「中空部材1は、長手方向に沿って溶着部を有」する構成と、本件発明1の「長手方向に沿って溶着部を有する閉断面構造のアルミニウム合金押出形材からなる自動車のバンパー補強材」とは、「長手方向に沿って溶着部を有する閉断面構造のアルミニウム合金押出形材」である点において共通する。 イ 引用発明の「一対の長辺部1Aの両端側を短辺部1Bで連結する」構成によると、中空形材1の一対の長辺部1Aを短辺部1Bにより連結するものであるから、引用発明の「長辺部1A」、「短辺部1B」はそれぞれ、本件発明1の「フランジ」、「ウエブ」に相当するものといえる(本件特許の段落【0002】の、「一対のフランジ・・・と、それらを連結する一対のウエブ」という記載を参照されたい。)。 また、引用発明の上記構成においては、一対の長辺部1Aは互いに間隔を置いて位置するものであり、短辺部1Bも一対有するとともに、一対の短辺部1Bは互いに間隔を置いて位置するものと認められる。 そうすると、引用発明の「一対の長辺部1A」と、本件発明1の「車体側及び衝突側に間隔を置いて位置する一対のフランジ」とは、「間隔を置いて位置する一対のフランジ」である点において共通する。 また、引用発明の「一対の長辺部1Aの両端側を」「連結する」「短辺部1B」と、本件発明1の「前記一対のフランジを接続し車体の上下方向に間隔を置いて位置する一対のウエブ」とは、「前記一対のフランジを接続し間隔を置いて位置する一対のウエブ」である点において共通する。 ウ 引用発明の「中空部材1」が「一対の長辺部1Aの両端側を短辺部1Bで連結すると共に、それらの短辺部1B間に2本の仕切り壁部1Cを上記一対の長辺部1A間に連結して形成され、内部に3個の空間1S、1S、1Sを有する断面目の字形とな」る構成は、一対の長辺部1A及び一対の短辺部1Bが断面目の字形の外周部を形成するものであり、これらが平板状で、互いに略垂直に形成されているものといえる。そして、上記(イ)を踏まえると、引用発明の上記構成は、本件発明1の「前記一対のフランジと一対のウエブはいずれも平板状で、互いに略垂直に形成され」る構成に相当する。 エ 上記ア~ウより、引用発明の「自動車バンパー用部材としての押出形材であり、7000系といった高強度アルミ合金からなる断面目の字形状の中空形材1であって、一対の長辺部1Aの両端側を短辺部1Bで連結すると共に、それらの短辺部1B間に2本の仕切り壁部1Cを上記一対の長辺部1A間に連結して形成され、内部に3個の空間1S、1S、1Sを有する断面目の字形となり、中空部材1は、長手方向に沿って溶着部を有」する「中空形材1」構成と、本件発明1の「長手方向に沿って溶着部を有する閉断面構造のアルミニウム合金押出形材からなる自動車のバンパー補強材であって、車体側及び衝突側に間隔を置いて位置する一対のフランジと、前記一対のフランジを接続し車体の上下方向に間隔を置いて位置する一対のウエブからなり、前記一対のフランジと一対のウエブはいずれも平板状で、互いに略垂直に形成され」る「自動車のバンパー補強材」とは、「長手方向に沿って溶着部を有する閉断面構造のアルミニウム合金押出形材であって、間隔を置いて位置する一対のフランジと、前記一対のフランジを接続し間隔を置いて位置する一対のウエブを備え、前記一対のフランジと一対のウエブはいずれも平板状で、互いに略垂直に形成されるアルミニウム合金押出形材」である点において共通する。 オ 上記イを踏まえると、引用発明の「溶着部は一対の長辺部1Aに設けられ、一対の短辺部1Bに設けられていない」構成は、本件発明1の「前記溶着部が前記一対のフランジに設けられ、前記一対のウエブに設けられていない」構成に相当する。 カ 上記ア~オより、本件発明1と引用発明との一致点及び相違点は、次のとおりである。 [一致点] 「長手方向に沿って溶着部を有する閉断面構造のアルミニウム合金押出形材であって、間隔を置いて位置する一対のフランジと、前記一対のフランジを接続し間隔を置いて位置する一対のウエブを備え、前記一対のフランジと一対のウエブはいずれも平板状で、互いに略垂直に形成される、前記溶着部が前記一対のフランジに設けられ、前記一対のウエブに設けられていないアルミニウム合金押出形材。」 [相違点1] アルミニウム合金押出形材が、本件発明1では「自動車のバンパー補強材」であるのに対して、引用発明では「自動車バンパー用部材としての押出形材」である点。 [相違点2] 本件発明1では、「車体側及び衝突側に」間隔を置いて位置する一対のフランジと、前記一対のフランジを接続し「車体の上下方向に」間隔を置いて位置する一対のウエブ「からな」るのに対して、引用発明では、一対の長辺部1Aの両端側を短辺部1Bで連結すると共に、それらの短辺部1B間に2本の仕切り壁部1Cを上記一対の長辺部1A間に連結して形成され、内部に3個の空間1S、1S、1Sを有する断面目の字形となるものであり、押出形材が一対のフランジと一対のウエブ及び一対の長辺部1A間に連結された2本の仕切り壁部1Cからなり、一対のフランジ及び一対のウエブの並ぶ方向が特定されていない点。 (2)判断 相違点1、2について、合わせて検討する。 自動車バンパー用の部材として、アルミニウム合金押出形材からなり、長辺及び短辺を有する断面「日」字状ないし断面「目」字状のバンパー補強材は本件特許の出願日前に周知であり、そうした断面「日」字状ないし断面「目」字状のバンパー補強材を、一対の長辺が車体の前後方向に並び、一対の短辺が車体の上下方向に並ぶように配置することも普通に行われることである(以下、「周知技術1」という。例えば、引用文献2の段落【0012】及び図2、引用文献3の段落【0001】、【0014】及び図2、引用文献4の段落【0017】~【0018】及び図2を参照されたい。) しかしながら、引用発明は、断面目の字形の中空部材に係る発明であり、周知技術1もまた断面「日」字状ないし断面「目」字状のバンパー補強材に係る技術であるところ、引用発明に周知技術1を適用したとしても、相違点2の一対のフランジと一対のウエブからなる構成(つまり仕切り壁部(リブ)のない構成)とはならない。 したがって、引用発明において、相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことではない。 なお、引用文献1の段落【0052】【0053】及び図14には、二対の壁部からなる断面「口」字状の押出形材が記載されており、特に段落【0053】には、断面「目」字状の押出形材(引用発明の押出形材)の製造に使用されるホルダー25をそのまま利用できる旨の記載があるが、仮に、断面「口」字状の押出形材を想定すると、溶着部がどこに形成されるかは、引用文献1の記載からは特定できない。 また、周知技術1を勘案したとしても、上述のように、これは断面「日」字状ないし断面「目」字状のバンパー補強材に係る技術であるところ、「断面「口」字状の押出形材において、二対の壁部のうちどちらの対を一対のフランジ(車体側及び衝突側に間隔を置いて位置する)とし、どちらの対を一対のウェブ(車体の上下方向に間隔を置いて位置する)として配置するのかは特定できない。 したがって、引用文献1には、上記記載を参酌しても、本件発明1の「前記溶着部が前記一対のフランジに設けられ、前記一対のウェブに設けられていない」という構成は開示されているとはいえないし、ほかに当該構成が容易想到であるという証拠もない。 (3)小括 よって、本件発明1は、引用発明及び周知技術1に基いて、また、引用発明、引用文献1に記載された上記事項、及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 3 本件発明3~6の進歩性について 本件発明3~6は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をするものであるから、上記「2」と同様の理由により、引用発明及び周知技術1に基いて、また、引用発明、引用文献1に記載された上記事項、及び周知技術1に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第6 取消理由通知において採用しなかった特許異議申立理由について 1 申立人の主張する特許異議申立理由の概要 (1)特許法第29条第2項(進歩性)について ア 甲第1号証を主引用例とする異議申立理由 (ア)本件発明1~4、6について ・甲第1号証記載の発明に基いて容易。 (イ)本件発明5について ・甲第1号証記載の発明、甲第4号証に記載された事項に基づいて容易。 イ 甲第2号証を主引用例とする異議申立理由 (ア)本件発明1について ・甲第2号証記載の発明、甲第3号証に記載された事項に基いて容易。 2 甲第1号証を主引用例とする異議申立理由について (1)本件発明1について 本件発明1と甲第1号証の図3の「溶接構造用複合アルミニウム合金押出材」に係る発明(以下、「甲1発明」という。)とを対比すると、少なくとも、長手方向に沿って溶着部を有する閉断面構造のアルミニウム合金押出形材を適用するものが、本件発明1では、「自動車のバンパー補強材」であるのに対して、甲1発明では、「サイドメンバー」である点で相違する。 そして、甲第1号証には、「溶接構造用複合アルミニウム合金押出材」を「バンパー補強材」に適用した発明としては、図1、図5が示されており、これは図3とは異なる構造であるところ、甲1発明を図3の構造のまま「バンパー補強材」に適用する理由もない。 そうすると、本件発明1は、甲1発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (2)本件発明3~6について 本件発明3~6は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をするものであるから、上記(1)と同様の理由により、甲1発明に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 また、本件発明5について、申立人の提出した甲第4号証に記載された事項を検討しても、甲1発明、甲第4号証に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 2 甲第2号証(引用文献2)を主引用例とする異議申立理由について (1)本件発明1について 本件発明1と甲第2号証の図2に係る発明(以下、「甲2発明」という。)とを対比すると、少なくとも、本件発明1では、一対のフランジと、一対のウエブ「からなり」、「溶着部が前記一対のフランジに設けられ、前記一対のウエブに設けられていない」のに対して、甲2発明では、「前壁6、後壁7、上壁8及び下壁9と中リブ11からな」るものであり、溶着部についての特定がない点で相違する。 そして、甲2発明は、中リブ11を構成要素としているから、一対のフランジと一対のウエブからなる構成(つまり仕切り壁部(リブ)のない構成)とならない。 また、甲3(引用文献1)も断面目の字の構成であり、一対のフランジと一対のウエブからなるものではない。 さらに、甲3には、段落【0052】、【0053】及び図14に、二対の壁部からなる断面「口」字状の押出形材が記載されているが、この場合には、溶着部が、いずれの壁に形成されるのか特定できないから、上述したように、本件発明1の「前記溶着部が前記一対のフランジに設けられ、前記一対のウエブに設けられていない」という構成は開示されているとはいえないし、ほかに当該構成が容易想到であるという証拠もない。 したがって、本件発明1は、甲2発明、甲第3号証(引用文献1)に記載された事項に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知に記載した取消理由、特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては、本件発明1、3~6に係る特許を取り消すことはできない。 さらに、他に本件発明1、3~6に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 また、請求項2に係る特許は、上記のとおり、訂正によって削除された。これにより、申立人による特許異議の申立てについて、請求項2に係る申立ては、申立ての対象が存在しないものとなったため、特許法第120条の8第1項で準用する同法135条の規定により却下する。 よって、結論のとおり決定する。

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2022-700977

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