特許異議申立
2024-700540
自動車用繊維被覆材
- 審判番号
- 2024-700540
- 法域
- 特許
- 審判種別
- 異議申立(異議の決定)
- 出願番号
- 特願2022-010773
- 登録番号
- 7398484
- 請求日
- 2024年06月06日
- 審決日
- 2024年09月26日
- 公報発行日
- 2024年10月25日
- 結論
- 維持
- 当事者
- 【権利者】オートニアム マネジメント アクチエンゲゼルシャフト
- 【権利者代理人】青木 篤
- 【権利者代理人】古賀 哲次
- 【権利者代理人】出野 知
- 【権利者代理人】関根 宣夫
- 【異議申立人】清田 常治
- 審判長/審判官
- 審判長 河端 賢
- 審判官 八木 誠
- 審判官 青木 良憲
- 分類
- P1651.121-Y (B60R) / P1651.537-Y (B60R)
- 条文(本文から自動抽出・参考)
- 特許法第36条
- データ出所
- 審決公報(XML)
事件の表示
特許第7398484号発明「自動車用繊維被覆材」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。
結論
結 論
特許第7398484号の請求項1~15に係る特許を維持する。
理由
理 由
第1 手続の経緯
特許第7398484号の請求項1~15に係る特許についての出願は、2015年(平成27年)10月27日(パリ条約による優先権主張外国庁受理 2014年10月30日、欧州特許庁)を国際出願日とする特願2017-523497号の一部を、令和4年1月27日に新たな特許出願としたものであって、令和5年12月6日に特許権の設定登録がされ、同年12月14日に特許掲載公報が発行された。その後、請求項1~15に係る特許に対し、令和6年6月6日に特許異議申立人清田常治(以下「申立人」という。)は特許異議の申立てを行った。
第2 本件発明
本件特許の請求項1~15に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」~「本件発明15」といい、まとめて「本件発明」ともいう。)は、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1~15に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】
少なくとも2つの繊維層と、前記少なくとも2つの繊維層の間に位置する少なくとも1つの通気性中間フィルム層とを備え、通気性を有している、熱成形された変化している厚みを有する消音のための自動車用多層トリム部品であって、前記繊維層のうちの少なくとも1つが、10~40重量%のバインダ繊維と、10~70重量%のリサイクル繊維と、10~70重量%の自己捲縮繊維とからなる繊維の混合物であり、これらの繊維の合計量が100重量%まで加えられる、消音のための自動車用多層トリム部品。
【請求項2】
ノイズ源と反対側を向く前記繊維層が、前記自己捲縮繊維を含む層であるか、又は前記自己捲縮繊維を含まない層であり、かつノイズ源と反対側を向く前記繊維層と前記通気性中間フィルム層とを合わせた通気抵抗が、その多層の全AFRの少なくとも55%に相当する、請求項1に記載の自動車用トリム部品。
【請求項3】
前記通気性中間フィルム層のAFRが、前記少なくとも2つの繊維層のAFRよりも高い、請求項1又は2に記載の自動車用トリム部品。
【請求項4】
前記繊維層のうちの他の層が、前記自己捲縮繊維を含まず、かつ前記他の層が、10~40重量%のバインダ繊維と、10~70重量%のリサイクル繊維とからなる繊維の混合物を含み、これらの繊維の合計量が100重量%まで加えられる、請求項1~3のいずれか一項に記載の自動車用トリム部品。
【請求項5】
前記繊維層のうちの他の層が、前記自己捲縮繊維を含まず、かつ前記他の層が、10~40重量%のバインダ繊維と、10~70重量%のリサイクル繊維と、10~70重量%の前記バインダ繊維及び前記リサイクル繊維とは異なる合成繊維とからなる繊維の混合物を含み、これらの繊維の合計量が100重量%まで加えられる、請求項1~4のいずれか一項に記載の自動車用トリム部品。
【請求項6】
前記通気性中間フィルム層が、単層フィルム又は多層フィルムのうちの1つである、請求項1~5のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
【請求項7】
前記通気性中間フィルム層が、アセテートの共重合体若しくは重合体;アクリレートの共重合体;ポリオレフィン又はその誘導体のポリマーの少なくとも1つを用いて製造されている、請求項6に記載の多層音響トリム部品。
【請求項8】
前記通気性中間フィルム層が、少なくとも1つの面に接着性EAA層が被覆したポリエチレン系共重合体フィルムの組合せである多層フィルムである、請求項6に記載の多層音響トリム部品。
【請求項9】
前記通気性中間フィルム層が、不織布スクリム、ホットメルト層、接着ウェブ、又は接着層のうちの1つに置き換えられている、請求項1~8のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
【請求項10】
前記バインダ繊維が、次うちの少なくとも1つの材料を用いて製造される、モノコンポーネント繊維又はバイコンポーネント繊維のうちの1つである、請求項1~9のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品:ポリエステル;ポリオレフィン;ポリ乳酸(PLA);又はポリアミド(PA)。
【請求項11】
前記リサイクル繊維が、再生綿、再生合成繊維、再生ポリエステル繊維、再生天然繊維、又は合成繊維と再生天然繊維との混合のうちの1つである、請求項1~10のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
【請求項12】
前記自己捲縮繊維又は前記合成繊維が、ポリアミド(ナイロン);ポリエステル及び/又はその共重合体;又は、ポリオレフィンの少なくとも1つを用いて製造されるか、ポリマー又はその共重合体で構成される、請求項1~11のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
【請求項13】
前記自己捲縮繊維が、少なくとも2つの面から構成される複合繊維であり、前記少なくとも2つの面は、それらの間に、ランダムな三次元形態において前記繊維の固有の永続的な自己捲縮を誘導する相違を有している、請求項1~12のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
【請求項14】
被覆スクリム層、音響スクリム層、装飾上部層、又は不織布カーペット層をさらに備える、請求項1~13のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品。
【請求項15】
内装トリム部品として、内装フロアシステムの一部として、又はインナーホイールハウスライニングとして、又は音響被覆材として、又はエンジンベイトリム部品としての、請求項1~14のいずれか一項に記載の多層音響トリム部品の使用。」
第3 申立理由の概要
申立人は、以下の甲第1号証~甲第8号証(以下、それぞれ「甲1」~「甲8」という。)を提出して、以下の申立理由により請求項1~15に係る特許を取り消すべきである旨主張する。
1 証拠方法
甲1:特開2005-178030号公報
甲2:特開2011-173446号公報
甲3:特開平10-86729号公報
甲4:特開平9-11374号公報
甲5:特開2012-86838号公報
甲6:特開2002-115159号公報
甲7:特開2007-276781号公報
甲8:特開2006-110912号公報
2 申立理由
(1)申立理由1(進歩性)
請求項1に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2~6に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであり、請求項2~15に係る発明は、甲1に記載された発明及び甲2~8に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものである。
(2)申立理由2(サポート要件)
請求項1~15に係る発明は発明の詳細な説明に記載されていないから、特許法36条6項1号に規定する要件を満たしていない。
(3)申立理由3(明確性要件)
請求項1~15に係る発明は不明確であるから、特許法36条6項2号に規定する要件を満たしていない。
第4 当審の判断
1 甲号証の記載事項等
(1)甲1について
ア 記載事項
甲1には、以下の事項が記載されている(下線は当審が付与。以下同様。)。
「【請求項1】
(1)通気性表皮層と(2)通気性材料との間に、(3)貫通孔を設けて通気性を持たせたシートまたはフィルムを介在させてなる多層表皮材。」
「【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、安価で加工性も良く、軽量性、剛性、耐熱性、熱成形性、リサイクル性および意匠性に優れるとともに、高い吸音性能と実用的な界面接着性を両立する多層表皮材、ならびに、該多層表皮材を独立気泡系発泡積層基材に積層してなる内装材用積層体を提供することを目的とする。」
「【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明に係る多層表皮材は、主として通気性表皮層(1)、通気性材料(2)、そして孔径とピッチが調整された貫通孔を設けて通気性を持たせたシートまたはフィルム(3)からなる。また、本発明に係る内装材用積層体は、前記多層表皮材と独立気泡系発泡積層基材からなる。
【0029】
本発明における通気性表皮層(1)と、通気性材料(2)の素材としては、通気性を有するとして当業者に知られているいずれの材料も用いることができる。たとえば、フェルト、不織布、木綿、岩綿、織物、ガラスウール、軟質の連続気泡体などである。
【0030】
前記の中でも、通気性表皮層(1)、通気性材料(2)としては、単層または多層の繊維体を用いることが好ましい。とくに単層の繊維体を用いることが、コスト、実用性、軽量性、リサイクル性の観点から好ましい。」
「【0042】
通気性材料(2)として繊維体を用いる場合、繊維体の素材としては、意匠性を考慮する必要がとくにない他は、通気性表皮層(1)と基本的に同様であり、同様の具体例をあげることができる。なかでも、原料繊維としてコストおよび加工性を鑑みた場合は、ポリエステル繊維が好ましく、加熱成形時の形状維持性が良い点で、とくに耐熱性の高いポリエチレンテレフタレート繊維が好ましい。
【0043】
さらに、過酷な加熱成形プレス(たとえば表皮一体加熱成形)にさらされる場合は、レーヨンなどの再生繊維または天然繊維を混合することで、加熱成形時の形状維持性が改善される。とくにコストおよび加工性を鑑みた場合は、レーヨンなどの再生繊維または天然繊維を20~80重量%混合することが好ましく、40~70重量%混合することがより好ましい。また、加熱成形時の形状維持性を改善する素材として、前記繊維を捲縮した形状のものを用いてもよい。
【0044】
適宜前記材料に、繊維同士のバインダーとしての機能を有する、接着剤(バインダー樹脂)および/または熱融着性繊維(低融点繊維)を混合し、化学的あるいは機械的方法により絡合させて用いることもできる。
・・・
【0046】
熱融着性繊維の混合量としては、繊維体全体において5~30重量%が好ましい。30重量%より多く入れると、コスト高になるほか、繊維同士の結束力の増大や繊維塊の発生により、成形性や積層表皮材全体としての意匠性が劣ることになったり、繊維体の厚さにばらつきを生じる場合がある。5重量%未満では熱融着性繊維を混合する効果が発現しにくい。」
「【0076】
得られた内装材用積層体は、自動車などの車両用の天井材内装材などとして使用する場合には、多層表皮材を内面にして熱成形などにより成形して使用される。」
イ 甲1発明
上記アを総合すると、甲1には次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。
「通気性表皮層(1)と、通気性材料(2)と、通気性表皮層(1)と通気性材料(2)との間に設けた通気性を持たせたシートまたはフィルム(3)とからなる多層表皮材と、独立気泡系発泡積層基材とを有し、熱成形された、高い吸音性能の自動車などの車両用の天井材内装材であって、
通気性材料(2)は、5~30重量%の熱融着性繊維と、40~70重量%のレーヨンなどの再生繊維を混合した繊維体であり、レーヨンなどの再生繊維は捲縮した形状のものである、高い吸音性能の自動車などの車両用の天井材内装材。」
2 申立理由についての判断
(1)申立理由1(進歩性)について
ア 本件発明1について
(ア)対比
a 本件発明1と甲1発明とを対比すると、後者の「通気性表皮層(1)」及び「通気性材料(2)」は前者の「少なくとも2つの繊維層」に相当し、以下同様に、「通気性を持たせたシートまたはフィルム(3)」は「通気性中間フィルム層」に、「有」することは「備え」ることに、「高い消音性能の」は「消音のための」に、「自動車などの車両用の天井材内装材」は「自動車用多層トリム部品」に、「通気性材料(2)」は「前記繊維層のうち少なくとも1つ」に、「熱融着性繊維」は「バインダ繊維」に、「繊維体」は「繊維の混合物」に、それぞれ相当する。
b 後者の「通気性表皮層(1)」、「通気性材料(2)」、「通気性を持たせたシートまたはフィルム(3)」及び「独立気泡系発泡積層基材」は通気性を有するから、後者の「自動車などの車両用の天井材内装材」も通気性を有するのは明らかであり、後者の「自動車などの車両用の天井材内装材」は熱成形されることにより、天井等の形状に合わせて厚さの異なる形状になるものであることも認められるから、上記aも踏まえると、後者の「通気性表皮層(1)と、通気性材料(2)と、通気性表皮層(1)と通気性材料(2)との間に設けた通気性を持たせたシートまたはフィルム(3)とからなる多層表皮材と、独立気泡系発泡積層基材とを有し、熱成形された、高い吸音性能の自動車などの車両用の天井材内装材」は、前者の「少なくとも2つの繊維層と、前記少なくとも2つの繊維層の間に位置する少なくとも1つの通気性中間フィルム層とを備え、通気性を有している、熱成形された変化している厚みを有する消音のための自動車用多層トリム部品」に相当する。
c 後者の「レーヨンなどの再生繊維」は、捲縮した形状のものであるので、前者の「自己捲縮繊維」とは、「捲縮繊維」という点で共通するから、上記aも踏まえると、後者の「通気性材料(2)は、5~30重量%の熱融着性繊維と、40~70重量%のレーヨンなどの再生繊維を混合した繊維体であり、レーヨンなどの再生繊維は捲縮した形状のものである」ことは、前者の「前記繊維層のうちの少なくとも1つが、10~40重量%のバインダ繊維と、10~70重量%のリサイクル繊維と、10~70重量%の自己捲縮繊維とからなる繊維の混合物であ」ることと、「前記繊維層のうちの少なくとも1つが、バインダ繊維と、捲縮繊維とを含む繊維の混合物であ」るという点で共通する。
そうすると、本件発明1と甲1発明との一致点及び相違点は以下のとおりである。
<一致点>
「少なくとも2つの繊維層と、前記少なくとも2つの繊維層の間に位置する少なくとも1つの通気性中間フィルム層とを備え、通気性を有している、熱成形された変化している厚みを有する消音のための自動車用多層トリム部品であって、前記繊維層のうちの少なくとも1つが、バインダ繊維と、捲縮繊維とを含む繊維の混合物である、消音のための自動車用多層トリム部品。」
<相違点>
繊維の混合物について、本件発明1では、「10~40重量%」のバインダ繊維と、「10~70重量%のリサイクル繊維」と、「10~70重量%の自己」捲縮繊維とからなり、これらの繊維の合計量が100重量%まで加えられるのに対し、甲1発明では、「5~30重量%」の熱融着性繊維と、「40~70重量%のレーヨンなどの再生繊維」を混合しており、レーヨンなどの再生繊維は捲縮した形状のものである点。
(イ)相違点についての判断
まず、本件発明1の「リサイクル繊維」と甲1発明の「レーヨンなどの再生繊維」との関係について検討する。
本件発明1の「リサイクル繊維」について、本件の明細書の【0040】には、「リサイクル繊維は、再生綿(shoddy cotton)、再生合成繊維(shoddy synthetic fiber)、再生ポリエステル繊維(shoddy polyester fiber)又は再生天然繊維(shoddy natural fiber)であることが好ましく、再生型のものは、材料の少なくとも51重量%に含まれ、49%が他の原料の繊維であり得ると定義される。このため、例えば、再生ポリエステルは、少なくとも51重量%のポリエステル系材料を含有している。」と記載されている。
また、例えば、Wikipediaの「Recycled Wool」の欄(https://en.wikipedia.org/wiki/Recycled_wool)には、既存の生地等からリサイクルして得られた繊維から作られたウールを、「shoddy」ともいうことが記載されている。
これらのことを総合すると、本件発明の「リサイクル繊維」は、既存の生地等からリサイクルして得られた繊維であると認められる。
それに対して、レーヨンやキュプラ等の再生繊維は、天然のセルロースからなる木材や綿等の天然繊維を化学反応によって一度溶解し、再度紡糸して作られるものであるという技術常識(例えば、https://en.wikipedia.org/wiki/Recycled_wool、https://www.kokusen.go.jp/wko/pdf/wko-202104_05.pdf、https://www.boken.or.jp/knowledge/fiber_information/chemical_fiber/1892/等参照。)を参酌すると、甲1発明の「レーヨンなどの再生繊維」は、上記技術常識で示される再生繊維であることは明らかであり、本件発明1の「リサイクル繊維」とは、異なるものであると認められる。
そして、甲1だけでなく甲2~8にも、自動車用等の部材や部品において、本件発明1の「リサイクル繊維」に相当する繊維を用いることは、記載も示唆もないから、相違点の他の事項を検討するまでもなく、甲1発明において、相違点に係る本件発明1の発明特定事項とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるとは認められない。
したがって、本件発明1は、甲1発明及び甲2~6に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
イ 本件発明2~15について
本件発明2~15は、本件発明1の全ての発明特定事項を含み、更なる限定を付加したものであるから、上記ア(イ)で説示したのと同様の理由により、甲1発明及び甲2~8に記載された事項に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるとはいえない。
ウ 小括
以上により、申立理由1は成り立たない。
(2)申立理由2(サポート要件)について
申立人は、特許異議申立書(27~28ページ)において、本件発明は、「前記繊維層のうちの少なくとも1つが、10~40重量%のバインダ繊維と、10~70重量%のリサイクル繊維と、10~70重量%の自己捲縮繊維とからなる繊維の混合物であり、これらの繊維の合計量が100重量%まで加えられる」との発明特定事項を含んでおり、本件発明の、吸音性を向上させ、密度の低い領域で重量を増加せずに比較的大きな厚みを有するトリム部品を実現するという効果は、10~40重量%のバインダ繊維と、10~70重量%のリサイクル繊維と、10~70重量%の自己捲縮繊維との3つの異なる繊維の組み合わせでもたらされると認められるところ、本件発明では、リサイクル繊維が自己捲縮繊維でもあると、自己捲縮繊維が70重量%を超える場合があり、そのような場合は、上記効果を奏さないから、本件発明は発明の詳細な説明に記載されたものではない旨主張する。
しかしながら、本件発明は「前記繊維層のうちの少なくとも1つが、10~40重量%のバインダ繊維と、10~70重量%のリサイクル繊維と、10~70重量%の自己捲縮繊維とからなる繊維の混合物であり」との発明特定事項を有し、該発明特定事項では、自己捲縮繊維の上限を70重量%と特定するから、本件発明には、リサイクル繊維が自己捲縮繊維であるものも含まれるが、自己捲縮繊維が70重量%を越えるものは含まれないと解するのが相当であり、申立人の上記主張は、前提において根拠を欠くものであるから、採用することができない。
よって、申立理由2は成り立たない。
(3)申立理由3(明確性要件)について
申立人は、特許異議申立書(28~29ページ)において、本件発明では、リサイクル繊維が自己捲縮繊維でもあると、自己捲縮繊維が70重量%を超える場合があるから、本件発明は不明確である旨主張する。
しかしながら、上記(2)で説示したのと同様の理由により、申立人の上記主張は、前提において根拠を欠くものであるから、採用することができない。
よって、申立理由3は成り立たない。
第5 むすび
以上によれば、特許異議の申立理由及び証拠によっては、請求項1~15に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に請求項1~15に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
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