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特許異議申立

2023-701071

室内監視装置

審判番号
2023-701071
法域
特許
審判種別
異議申立(異議の決定)
出願番号
特願2018-244936
登録番号
7259324
請求日
2023年10月05日
審決日
2024年11月12日
公報発行日
2025年02月28日
結論
訂正認容
当事者
  • 【権利者】株式会社アイシン
  • 【権利者代理人】弁理士法人酒井国際特許事務所
  • 【異議申立人】松岡 直之
審判長/審判官
  • 審判長 一ノ瀬 覚
  • 審判官 小岩 智明
  • 審判官 横溝 顕範
分類
P1651.537-YAA(B60R) / P1651.121-YAA(B60R)
条文(本文から自動抽出・参考)
特許法第36条第6項第1号、特許法第120条の5第2項、特許法第36条第6項第2号、特許法第120条の5第7項、特許法第120条の5第4項、特許法第29条第2項
データ出所
審決公報(XML)

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特許第7259324号発明「室内監視装置」の特許異議申立事件について、次のとおり決定する。

結論

結 論 特許第7259324号の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について、訂正することを認める。 特許第7259324号の請求項1~5に係る特許を維持する。

理由

理 由 第1 手続の経緯 特許第7259324号(以下「本件特許」という。)の請求項1~5に係る特許についての出願は、平成30年12月27日に出願され、令和5年4月10日に特許権の設定登録がされ、同月18日に特許掲載公報が発行された。 本件特許についての本件特許異議の申立ての経緯は、次のとおりである。 令和5年10月 5日 :特許異議申立人松岡直之(以下「申立人」と いう。)による特許異議の申立て 同年12月21日付け:取消理由通知書 令和6年 2月20日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同年 4月 4日 :申立人による意見書の提出 同年 5月28日付け:取消理由通知書(決定の予告) 同年 7月26日 :特許権者による意見書及び訂正請求書の提出 同年 9月 4日 :申立人による意見書の提出 なお、令和6年2月20日にされた訂正の請求は、特許法第120条の5第7項の規定により取り下げられたものとみなす。 第2 訂正の適否 1 訂正の内容 令和6年7月26日にされた訂正の請求(以下「本件訂正請求」という。)による訂正(以下「本件訂正」という。)は、本件特許の特許請求の範囲を訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項1~5について訂正することを求めるものであり、その内容は以下のとおりである(下線部は訂正箇所を示す。)。 (1)訂正事項1 特許請求の範囲の請求項1に「撮像部によって車両の車室内に存在する乗員を前方から撮像して得られる撮像画像を取得する画像取得部と、」と記載されているのを、「撮像部によって車両の車室内で座席に着座している乗員を前方から撮像して得られる撮像画像を取得する画像取得部と、」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~5も同様に訂正する。)。 (2)訂正事項2 特許請求の範囲の請求項1に「前記姿勢推定部は、前記撮像画像内の前記乗員の複数の特徴点の座標、および前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線と前記撮像画像内に設定された基準線とのなす角度に基づいて、前記乗員の姿勢を推定する室内監視装置。」と記載されているのを、「前記姿勢推定部は、前記撮像画像内の前記乗員の複数の特徴点の座標、および前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線と前記撮像画像内に設定された基準線とのなす角度に基づいて、前記乗員の姿勢を推定し、前記撮像画像内の前記乗員の複数の特徴点の座標、および前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線と前記撮像画像内に設定された基準線とのなす角度に基づいて、前記乗員の姿勢を推定する場合に、正規着座の状態を基準として、前記撮像画像に含まれる前記複数の特徴点の座標が下方向または所定の斜め下方向に移動するに従い、前記乗員の身体が寝た状態に近づいていると推定する室内監視装置。」に訂正する(請求項1の記載を直接的又は間接的に引用する請求項2~5も同様に訂正する。)。 2 一群の請求項について 訂正前の請求項1~5について、請求項2~5は、請求項1を直接的又は間接的に引用しているものであって、訂正事項1及び訂正事項2によって記載が訂正される請求項1に連動して訂正されるものである。 したがって、訂正前の請求項1~5に対応する訂正後の請求項1~5は、特許法第120条の5第4項に規定する一群の請求項であり、本件訂正請求は、一群の請求項〔1~5〕についてされたものである。 3 訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否 (1)訂正事項1について 訂正事項1は、撮像される乗員の状態について、「車室内に存在する乗員」から「車室内で座席に着座している乗員」に限定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、訂正事項1の「車室内で座席に着座している乗員を前方から撮像」することは、本件特許の明細書の段落【0058】及び【0062】並びに【図5】等に記載されていることから、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 (2)訂正事項2について 訂正事項2は、乗員の姿勢の推定について、「前記撮像画像内の前記乗員の複数の特徴点の座標、および前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線と前記撮像画像内に設定された基準線とのなす角度に基づいて、前記乗員の姿勢を推定する場合に、正規着座の状態を基準として、前記撮像画像に含まれる前記複数の特徴点の座標が下方向または所定の斜め下方向に移動するに従い、前記乗員の身体が寝た状態に近づいていると推定する」ことを特定するものであるから、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に規定する「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものである。 また、訂正事項2の「前記撮像画像内の前記乗員の複数の特徴点の座標、および前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線と前記撮像画像内に設定された基準線とのなす角度に基づいて、前記乗員の姿勢を推定する場合に、正規着座の状態を基準として、前記撮像画像に含まれる前記複数の特徴点の座標が下方向または所定の斜め下方向に移動するに従い、前記乗員の身体が寝た状態に近づいていると推定する」ことは、本件特許の明細書の段落【0066】~【0071】に記載されていることから、新規事項の追加に該当せず、かつ、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。 4 訂正の請求についてのむすび 前記のとおり、訂正事項1及び訂正事項2に係る訂正は、特許法第120条の5第2項ただし書第1号に掲げる事項を目的とするものであり、かつ、同条第9項で準用する同法第126条第5項及び第6項の規定に適合する。 したがって、特許請求の範囲を、訂正請求書に添付された訂正特許請求の範囲のとおり、訂正後の請求項〔1~5〕について訂正することを認める。 第3 訂正後の本件発明 第2で説示したとおり、本件訂正は認められるので、本件特許の請求項1~5に係る発明(以下「本件発明1」~「本件発明5」という。)は、訂正特許請求の範囲の請求項1~5に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。 「 【請求項1】 撮像部によって車両の車室内で座席に着座している乗員を前方から撮像して得られる撮像画像を取得する画像取得部と、 前記撮像画像に基づいて、前記乗員の姿勢を推定する姿勢推定部と、 前記姿勢推定部により推定される前記乗員の姿勢、および前記撮像画像に基づいて、前記乗員の体格を推定する体格推定部と、 を備え、 前記姿勢推定部は、前記撮像画像内の前記乗員の複数の特徴点の座標、および前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線と前記撮像画像内に設定された基準線とのなす角度に基づいて、前記乗員の姿勢を推定し、 前記撮像画像内の前記乗員の複数の特徴点の座標、および前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線と前記撮像画像内に設定された基準線とのなす角度に基づいて、前記乗員の姿勢を推定する場合に、正規着座の状態を基準として、前記撮像画像に含まれる前記複数の特徴点の座標が下方向または所定の斜め下方向に移動するに従い、前記乗員の身体が寝た状態に近づいていると推定する室内監視装置。 【請求項2】 前記姿勢推定部は、前記複数の特徴点の座標、および前記複数の特徴点間の長さに基づいて、前記乗員の姿勢を推定する請求項1に記載の室内監視装置。 【請求項3】 前記複数の特徴点間の長さは、前記撮像画像内の前記乗員の肩幅であり、 前記姿勢推定部は、前記肩幅が短くなるに従い、前記乗員の姿勢が後方に倒れた状態と推定する請求項2に記載の室内監視装置。 【請求項4】 前記複数の特徴点を結ぶ線は、前記乗員の左右の肩間を結ぶ肩幅線であり、 前記基準線は、前記撮像画像内に設定された水平線であり、 前記姿勢推定部は、前記撮像画像内の前記肩幅線と前記基準線とがなす肩幅線角度が第1閾値角度未満である場合、前記乗員の姿勢が左右方向のいずれかに倒れた状態と推定し、前記肩幅線角度が前記第1閾値角度以上である場合、前記乗員の姿勢が左右方向に倒れていない状態と推定する請求項1に記載の室内監視装置。 【請求項5】 前記複数の特徴点を結ぶ線は、前記乗員の左右の腰間の中点と、前記乗員の首と、を結ぶ座高線であり、 前記基準線は、前記撮像画像内に設定された水平線であり、 前記姿勢推定部は、前記撮像画像内の前記座高線と前記基準線とがなす座高線角度が第2閾値角度未満である場合、前記乗員の姿勢が後方に倒れた状態と推定し、前記座高線角度が前記第2閾値角度以上である場合、前記乗員の姿勢が後方に倒れていない状態と推定する請求項1に記載の室内監視装置。」 第4 取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由の概要について 訂正前の請求項1~5に係る特許に対して、当審が令和6年5月28日付けの取消理由通知(決定の予告)で特許権者に通知した取消理由の概要は、次のとおりである。 1 取消理由1(サポート要件) 請求項1の「その場合に、前記撮像画像に含まれる前記複数の特徴点の座標が下方向または所定の斜め下方向に移動するに従い、前記乗員の身体が寝た状態に近づいていると推定する」という事項について、本件特許の明細書の段落【0071】に記載されているように、正規着座の状態を基準とした座標の移動に基づいて推定することを意味するとも理解できるが、請求項1において基準の状態が特定されていないため、座標の移動を経時的に抽出し、正規着座の状態とは無関係に、座標の経時的な移動量等に基づいて推定することを意味するとも理解できる。 しかしながら、後者の、座標の移動を経時的に抽出し、正規着座の状態とは無関係に、座標の経時的な移動量等に基づいて推定することは本件特許の明細書に記載されていない。 したがって、請求項1及び請求項1を直接的ないし間接的に引用する請求項2~5の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 2 取消理由2(明確性要件) 請求項1の「前記姿勢推定部は、前記撮像画像内の前記乗員の複数の特徴点の座標、および前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線と前記撮像画像内に設定された基準線とのなす角度に基づいて、前記乗員の姿勢を推定し、その場合に、前記撮像画像に含まれる前記複数の特徴点の座標が下方向または所定の斜め下方向に移動するに従い、前記乗員の身体が寝た状態に近づいていると推定する」(下線は当審において付与した。以下同様。)という事項について、「その場合に」という文言がその前後の特定事項をどのような関係で接続するのか明確でない。 すなわち、「その場合に」という文言の前においては、複数の特徴点の座標、および複数の特徴点を結ぶ線と基準線とのなす角度に基づいて、乗員の姿勢を推定することが特定されている一方で、「その場合に」という文言の後においては、特徴点の座標が下方向または所定の斜め下方向に移動するに従い、乗員の身体が寝た状態に近づいていると推定することが特定されている。しかしながら、「その場合に」という文言によって、前段の推定手法に併せて後段の推定手法を行うことが特定されているのか、前段の推定手法と後段の推定手法が別個の推定手法として特定されているのか明確でない。 したがって、請求項1及び請求項1を直接的ないし間接的に引用する請求項2~5の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 第5 当審の判断 1 取消理由1(サポート要件)について (1)検討 本件訂正後の請求項1には、「前記乗員の姿勢を推定する場合に、正規着座の状態を基準として、前記撮像画像に含まれる前記複数の特徴点の座標が下方向または所定の斜め下方向に移動するに従い、前記乗員の身体が寝た状態に近づいていると推定する」と記載されており、乗員の身体が寝た状態に近づいていると推定するに際し、正規着座の状態を基準とすることが特定されている。 そして、当該構成は、本件特許の明細書の段落【0071】に記載されているものと認められる。 (2)小括 以上のとおり、請求項1及び請求項1を直接的ないし間接的に引用する請求項2~5の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしているので、取消理由1によっては、請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。 2 取消理由2(明確性要件)について (1)検討 本件訂正後の請求項1には、「前記姿勢推定部は、前記撮像画像内の前記乗員の複数の特徴点の座標、および前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線と前記撮像画像内に設定された基準線とのなす角度に基づいて、前記乗員の姿勢を推定し、前記撮像画像内の前記乗員の複数の特徴点の座標、および前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線と前記撮像画像内に設定された基準線とのなす角度に基づいて、前記乗員の姿勢を推定する場合に、正規着座の状態を基準として、前記撮像画像に含まれる前記複数の特徴点の座標が下方向または所定の斜め下方向に移動するに従い、前記乗員の身体が寝た状態に近づいていると推定する」と記載されている。 そうすると、乗員の身体が寝た状態に近づいていると推定することは、「前記撮像画像内の前記乗員の複数の特徴点の座標、および前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線と前記撮像画像内に設定された基準線とのなす角度に基づいて、前記乗員の姿勢を推定する場合」に行われる、すなわち、その前に記載されている「前記姿勢推定部」により「前記撮像画像内の前記乗員の複数の特徴点の座標、および前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線と前記撮像画像内に設定された基準線とのなす角度に基づいて、前記乗員の姿勢を推定」するときに行われることは明確であるといえる。 (2)小括 以上のとおり、請求項1及び請求項1を直接的ないし間接的に引用する請求項2~5の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしているので、取消理由2によっては、請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。 第6 取消理由通知(決定の予告)において採用しなかった特許異議申立理由について 1 申立人の主張する特許異議申立理由の概要 申立人は、本件特許異議の申立てにおいて、特許異議申立書(以下「本件申立書」という。)に添付して甲第1号証~甲第4号証を提出している(以下、甲第1号証~甲第4号証をそれぞれ「甲1」~「甲4」という。)。 甲第1号証:特開2018-96946号公報 甲第2号証:国際公開第2012/039467号 甲第3号証:特開平10-315906号公報 甲第4号証:国際公開第2015/198540号 そして、申立人は、本件申立書において下記の理由1~3を挙げている。 (1)理由1(進歩性) 請求項1、4及び5に係る発明は、甲1に記載された発明、甲2記載事項及び甲3又は甲4に記載された周知技術から、当業者が容易に発明をすることができたものである。 また、請求項2及び3に係る発明は、甲1に記載された発明、甲2記載事項、甲3記載事項及び甲3又は甲4に記載された周知技術から、当業者が容易に発明をすることができたものである。 (2)理由2(サポート要件) ア 理由2-1 請求項1の「前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線と前記撮像画像内に設定された基準線とのなす角度」は、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであるから、請求項1及び請求項1を直接的ないし間接的に引用する請求項2~5の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 イ 理由2-2 請求項1の「前記姿勢推定部により推定される前記乗員の姿勢、および前記撮像画像に基づいて、前記乗員の体格を推定する体格推定部」は、明細書において体格の推定方法に関する記載が具体性を欠いていることに鑑みると、請求項1には課題を解決するための手段が反映されていないため、請求項1及び請求項1を直接的ないし間接的に引用する請求項2~5の記載は、特許法第36条第6項第1号に規定する要件を満たしていない。 (3)理由3(明確性要件) 請求項1の「前記姿勢推定部により推定される前記乗員の姿勢、および前記撮像画像に基づいて、前記乗員の体格を推定する体格推定部」は、乗員の姿勢の推定結果が体格推定の精度向上に寄与しないものまで含まれ得るから、ある具体的な物や方法が請求項に係る発明の範囲に入るか否かを当業者が理解できるように記載されておらず、請求項に係る発明が明確に把握されないため、請求項1及び請求項1を直接的ないし間接的に引用する請求項2~5の記載は、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。 2 理由1(進歩性)について (1)甲号証の記載事項等 ア 甲1 (ア)記載事項 ・「【0015】 図1に例示されるように、車両10は、不図示の乗員(運転者、同乗者)が乗車する車室12を構成している。車室12内には、乗員としての運転者の座席14a(運転席)、同乗者の座席14b(助手席)、不図示の後部座席等が設けられている。また、座席14a,14bに臨む状態で、ステアリングホイール16や、ダッシュボード18等が設けられている。また、ダッシュボード18のほぼ中央部には、各種情報を運転者や同乗者に提供する情報提供部としてモニタ装置20が設けられている。モニタ装置20は、例えば、LCD(liquid crystal display)や、OELD(organic electroluminescent display)等で構成される表示装置22を備える。また、モニタ装置20は、音声出力装置(例えば、スピーカ)を備える。表示装置22は、例えば、タッチパネル等、透明な操作入力部で覆われている。乗員(運転者や同乗者)は、操作入力部を介して表示装置22の表示画面に表示される画像を視認することができる。また、乗員は、表示装置22の表示画面に表示される画像に対応した位置で手指等により操作入力部を触れたり押したり動かしたりして操作することで、操作入力を実行することができる。モニタ装置20は、スイッチや、ダイヤル、ジョイスティック、押しボタン等の不図示の操作入力部を有することができる。また、モニタ装置20とは異なる車室12内の他の位置に不図示の音声出力装置を設けることができるし、モニタ装置20の音声出力装置と他の音声出力装置から、音声を出力することができる。なお、モニタ装置20は、例えば、ナビゲーションシステムやオーディオシステムと兼用されうる。 【0016】 本実施形態の乗員検出装置を含む乗員検出システムは、座席14の方向を撮像する。座席14に乗員が着座している場合には、座席14a,14b等に着座している乗員の体格を検出する。そのため、着座状態検出システムは、座席14a,14b等を撮像する撮像部としてカメラ24と、座席14a,14b、又は座席14a,14bに着座している乗員までの距離を算出する距離画像センサ26と、を備える。 【0017】 カメラ24は、例えば、図1に示されるようにダッシュボード18のほぼ中央に位置するモニタ装置20に設けることができる。この位置に、さらに、距離画像センサ26を設けることとした。カメラ24、及び距離画像センサ26は、座席14a,14bの両方を撮像範囲に含めることが可能となる。つまり、本実施形態のカメラ24は、座席14a,14b、又は座席14a,14bの各々に着座している乗員を撮像する。距離画像センサ26は、座席14a,14bまでの距離、又は座席14a,14b方向に存在している乗員までの距離を検出し、距離画像データとして出力する。」 ・「【0021】 図2は、実施形態にかかる乗員検出装置を含む乗員検出システムの一例を示したブロック図である。乗員検出装置を構成するECU30は、例えば、CPU(central processing unit)や、ROM(read only memory)、RAM(random access memory)等を有した制御部32を有している。制御部32は、ROM等の不揮発性の記憶装置にインストールされ記憶されたプログラムを読み出し、それを実行することで各種構成が実現される。これにより、制御部32は、例えば、情報取得部40と、座席特定部42と、体幹面特定部44と、算出部46と、判定部48と、を備える。 【0022】 情報取得部40は、車両10に設けられた各種センサから情報を取得する。例えば、情報取得部40は、カメラ24が撮像した撮像画像データを取得する。他の例としては、情報取得部40は、距離画像センサ26が撮像した距離画像データを取得する。さらに、情報取得部40は、重量センサ28が検出した重量を示すデータを取得する。」 ・「【0024】 そこで、本実施形態の座席特定部42は、乗員が存在しない時に撮像された撮像画像データ、及び距離画像データに基づいて、座面14nの前後方向の位置、及び背もたれ面14mの角度301を算出し、座席の面(背もたれ面14m)の位置を特定する。なお、本実施形態の座席特定部42は、撮像画像データ、及び距離画像データに基づいて、座席の面の位置を特定する例について説明するが、撮像画像データ、及び距離画像データに基づく手法に制限するものではなく、例えば、背もたれ面14mに対して行われた傾き量と、座面14nの前後方向のスライド移動量と、を取得して、座席の面(背もたれ面14m)の位置を特定してもよい。 【0025】 図2に戻り、体幹面特定部44は、情報取得部40が取得した撮像画像データ、及び距離画像データに基づいて、乗員の体幹を表した面の位置を特定する。 【0026】 まず、本実施形態の体幹面特定部44は、情報取得部40が取得した撮像画像データ、及び距離画像データに基づいて、座席14方向に存在する(座席14に着座している)乗員の姿勢検知を行う。図4は、本実施形態の体幹面特定部44により検出された、乗員の姿勢を例示した図である。図4に示されるように、本実施形態の体幹面特定部44は、撮像画像データを解析し、乗員の関節点(P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10)を推定する。そして、関節点の位置と、予め定められた人体の各部位の長さに基づいて、乗員の姿勢を推定する。 【0027】 次に、体幹面特定部44は、推定された乗員の姿勢から、乗員の体幹を表した面(以下、体幹面とも称す)を特定する。図5は、本実施形態の体幹面特定部44により特定された体幹面を例示した図である。図5に示されるように、体幹面特定部44は、乗員の姿勢のために推定された乗員の関節点(P1(頭頂部)、P2(首)、P3(右肩)、P4(右肘)、P5(右手)、P6(左肩)、P7(左肘)、P8(左手)、P9(右腰)、P10(左腰))に加えて、さらに乗員の体幹の右側部の位置座標(P11(腰1/3)、P13(腰2/3))及び左側部の位置座標(P12(腰1/3)、P14(腰2/3))を推定する。その上で、体幹面特定部44は、乗員の体幹を示す位置座標(P9~P14)を含む面、いわゆる乗員の体幹面501を特定する。」 ・「【0030】 算出部46は、体幹面の位置と、座席の面の位置と、に基づいて、乗員の体幹部の体積を算出する。本実施形態の算出部46は、体幹面の位置と、座席の面の位置と、から、体幹面と座席の面との間の空間の体積を特定できる。そこで、本実施形態では、体幹面と座席の面との間の空間に、乗員の体幹部が存在するとみなす。そして、まずは、体幹面と座席の面との間の空間の体積を、乗員の体幹部の体積として算出する。」 ・「【0032】 そこで、算出部46は、乗員と座席との間の空いた空間を表した体積を算出し、体幹面と座席の面との間の空間の体積から、空いた空間を表した体積を減算し、乗員の体幹部の体積を算出する。」・「【0041】実施形態に戻り、判定部48は、算出部46で算出された乗員の体幹部の体積に基づいて、乗員の体格を判定する。本実施形態においては、ROMに、体積と、体格との対応関係を、記憶しているものとする。そして、判定部48は、算出部46で算出された乗員の体幹部の体積と対応付けられた体格から、乗員の体格を判定する。」 ・図1には、以下の内容が示されている。 「 [図:0001419324000001.jpg] 」 ・図5には、以下の内容が示されている。 「 [図:0001419324000002.jpg] 」 (イ)甲1発明 上記記載事項を総合すると、甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されていると認められる。 「車両10の車室12内に座席14a,14bに臨む状態で設けられているダッシュボード18のほぼ中央に位置するモニタ装置20に設けられ、座席14a,14bの各々に着座している乗員を撮像するカメラ24が撮像した撮像画像データ及び座席14a,14bに着座している乗員までの距離を算出する距離画像センサ26が撮像した距離画像データを取得する情報取得部40と、 撮像画像データ、及び距離画像データに基づいて、乗員の姿勢を推定し、推定された乗員の姿勢から、乗員の体幹を示す位置座標を含む乗員の体幹面を特定する体幹面特定部44と、 撮像画像データ、及び距離画像データに基づいて、座席の面の位置を特定する座席特定部42と、体幹面の位置と、座席の面の位置と、に基づいて、乗員の体幹部の体積を算出する算出部46と、算出部46で算出された乗員の体幹部の体積に基づいて、乗員の体格を判定する判定部48と、 を備え、 体幹面特定部44は、撮像画像データを解析し、乗員の関節点(P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10)を推定し、関節点の位置と、予め定められた人体の各部位の長さに基づいて、乗員の姿勢を推定する乗員検出装置。」 イ 甲2 (ア)記載事項 ・「[0036] (実施形態1) 本実施形態の運動支援システム1は、病気や怪我により四肢に障害が残った患者に所定の運動を行わせることにより、四肢の機能の回復を図ることを目的とするリハビリテーションに使用される。ただし、以下の実施形態の記載は運動支援システムの用途を限定する趣旨ではなく、たとえば健常者がヨガやダンス等の運動に運動支援システムを用いてもよい。なお、以下では、利用者が立った姿勢で運動支援システムを利用する例を示すが、これに限らず、利用者は椅子などに座った姿勢で運動支援システムを利用してもよい。」 ・「[0063] ところで、本実施形態の運動支援システム1では、距離画像センサ4で生成された利用者2の距離画像は、制御装置5に出力され、利用者2の姿勢を認識する処理に用いられる。具体的に説明すると、制御装置5はコンピュータからなり、距離画像を距離画像センサ4から取得する取得部53と、取得した距離画像を用いて利用者2の姿勢を表す第1の特徴量を抽出する第1抽出部(特徴量抽出部)54とを有している。さらに、制御装置5は、比較対象31の姿勢を表す第2の特徴量を抽出する第2抽出部(基準量抽出部)55と、利用者2と比較対象31との姿勢のずれを評価する評価部(姿勢評価部)56と、評価部56の評価結果を提示する提示部57とを有している。 [0064] 第1抽出部54は、画像認識技術によって、距離画像中の利用者2の特定点の位置を検出し、この特定点の位置に基づいて利用者2の姿勢を表す第1の特徴量を抽出する。すなわち、第1抽出部(特徴量抽出部)54は、利用者2の身体における所定の標本点(特定点)22の位置を検出し当該標本点22の位置に基づいて利用者2の姿勢を表す特徴量(第1の特徴量)を求めるように構成される。ここでは、利用者2の体幹の中心線や、頭頂部、肩部、肘部、手部、腰部、膝部、足首などの位置にそれぞれ設定される複数の点を特定点とする場合を例示するが、この例に限らず、特定点は距離画像中の利用者2の指先等、特定の位置に設定されていればよい。第1抽出部54は、このようにして検出される特定点の位置に基づいて、利用者2の姿勢を表す第1の特徴量を抽出する。」 ・「[0069] 本実施形態では、第1抽出部54は、図3,4に示すように利用者2の全身から複数の特定点22の位置を検出し、これら特定点同士を直線で結ぶことにより、三次元空間における利用者2の姿勢を表す身体モデル(以下、「第1の身体モデル」という)21を生成する。つまり、第1抽出部54では、図3に示すような姿勢の利用者2の距離画像から、図4に示すような第1の身体モデル21を生成する。すなわち、第1抽出部(特徴量抽出部)54は、利用者2の身体における複数の標本点22の位置を検出し、複数の標本点の位置に基づいて利用者2の身体を示す身体モデル(第1の身体モデル)21を作成し、身体モデル21に基づいて特徴量(第1の特徴量)を求めるように構成される。本実施形態では、利用者2の身体における複数の標本点22は、利用者2の頭部の標本点22(22a)と、利用者2の右肩の標本点22(22b)と、利用者2の左肩の標本点22(22c)と、利用者2の右肘の標本点22(22d)と、利用者2の左肘の標本点22(22e)と、利用者2の右手の標本点22(22f)と、利用者2の左手の標本点22(22g)と、利用者2の腰部の標本点22(22h)と、利用者2の右膝の標本点22(22i)と、利用者2の左膝の標本点22(22j)と、利用者2の右足の標本点22(22k)と、利用者2の左足の標本点22(22l)と、を含む。第1抽出部54は、12の標本点22a-22lに基づいて、第1の身体モデル21を生成する(図4参照)。」 ・「[0071] 距離画像センサ4は、図1に示されるように、利用者2より上方に設置されている。そのため、距離画像センサ4より得られる利用者2の画像(距離画像)は、利用者2を斜め上方向から撮影して得られた画像となる。すなわち、距離画像は、利用者2が歪んだ画像となる。そのため、距離画像センサ4のカメラの俯角に起因して特徴量に誤差が生じるおそれがある。そこで、第1抽出部54は、標本点(特定点)22を検出する前処理として、距離画像センサ4より得られた距離画像を、利用者2を正面から撮影して得られる距離画像に補正する補正処理を行うように構成される。なお、このような補正処理は、予め求められた行列を利用して画像の座標を変換することで行える。第1抽出部54は、補正処理を行った後に、距離画像から標本点22の位置を検出する。なお、俯角に起因する誤差が小さい場合には、補正処理を省略してもよい。距離画像センサ4は、利用者2の目の高さより下に設置されてもよい。たとえば、距離画像センサ4は、ハーフミラー6の前面の下端中央に設置されてもよい。この場合も、第1抽出部54は、距離画像センサ4より得られた距離画像を、利用者2を正面から撮影して得られる距離画像に補正する補正処理を行うように構成される。また、距離画像センサ4は、利用者2の右方や左方に設置されていてもよく、この場合も、上記と同様の補正処理を行うことで、利用者2を正面から撮影した場合と同様の距離画像が得られる。」 ・「[0076] ここで、第1抽出部54は、第1の身体モデル21から複数の特定点22同士を結ぶ直線の所定の基準線に対する角度を求め、この角度を第1の特徴量とする。すなわち、特徴量(第1の特徴量)は、第1の身体モデル21に関して、複数の標本点22から選択される2つの標本点22同士を結ぶ直線と所定の基準線との間の角度である。たとえば、図5に示す第1の身体モデル21のうち、右肩に相当する特定点22(22c)に着目すると、右肩-左肩間を結ぶ直線(標本点22cと標本点22bとを結ぶ直線)を基準線として、右肩-右肘間を結ぶ直線(標本点22cと標本点22bとを結ぶ直線)の基準線に対する角度α、つまり右肩関節の角度αが求まる。また、第1の身体モデル21のうち、右肘に相当する特定点22(22e)に着目すると、右肩-右肘間を結ぶ直線(標本点22cと標本点22eとを結ぶ直線)を基準線として、右肘-右手間を結ぶ直線(標本点22eと標本点22gとを結ぶ直線)の基準線に対する角度β、つまり右肘関節の角度βが求まる。」 ・「[0079] また、特徴量(第1特徴量)は、利用者2の身体の傾きであってもよい。利用者2の身体の傾きは、たとえば、利用者2の肩の傾き(図7参照)である。この場合、第1抽出部(特徴量抽出部)54は、利用者2の右上肢の標本点22と左上肢の標本点22との位置を検出するように構成される。図7に示す例では、右上肢の標本点22は右肘の標本点22eであり、左上肢の標本点22は左肘の標本点22dである。なお、右上肢の標本点22は右肩の標本点22cであってもよいし、左上肢の標本点22は左肩の標本点22bであってもよい。第1抽出部54は、右上肢の標本点22と左上肢の標本点22とを結ぶ直線L100と水平線L200との間の角度を、利用者2の肩の傾きとして算出するように構成される。図7に示す例では、利用者2の肩の傾きは-20°である。利用者2の肩の傾きは、直線L100の傾きが正であれば負、直線L100の傾きが負であれば正となるように表される。」 ・図4には、以下の内容が示されている。 「 [図:0001419324000003.jpg] 」 ・図7には、以下の内容が示されている。 「 [図:0001419324000004.jpg] 」 (イ)甲2記載事項 上記記載事項を総合すると、甲2には、次の事項(以下「甲2記載事項」という。)が記載されていると認められる。 「距離画像センサ4より得られた距離画像を、利用者2を正面から撮影して得られる距離画像に補正する補正処理を行い、利用者2の距離画像から、利用者2の身体における複数の標本点22の位置を検出し、複数の標本点の位置に基づいて利用者2の姿勢を表す第1の身体モデル21を生成し、第1の身体モデル21から複数の特定点22同士を結ぶ直線の所定の基準線に対する角度を求め、たとえば、右上肢の標本点22である右肘の標本点22eと左上肢の標本点22である左肘の標本点22dとを結ぶ直線L100と水平線L200との間の角度を、利用者2の姿勢を表す第1の特徴量である利用者2の肩の傾きとして算出する運動支援システム1。」 ウ 甲3 (ア)記載事項 ・「【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、マトリックス型赤外線センサの温度情報から車室内の乗員の体格,姿勢等の情報を推定する方法及び装置と、上記乗員の体格,姿勢等の情報に基づいてエアバックの作動条件を制御するエアバック制御方法及び装置に関するものである。」 ・「【0014】実施の形態1.図1は、本発明の実施の形態1に係わる乗員認識装置の構成を示す図で、乗員認識装置11は、マトリックス型赤外線センサ12で得られた車室内の乗員5等の熱画像の温度データ(Tij)を記憶する温度データ記憶手段13と、車室内の雰囲気温度を測定する内気温センサ14の出力に基づいて上記温度データTijを分類するための第1及び第2の閾値を算出する閾値算出手段15と、上記温度データと第1の閾値(Tx)に基づいて人体領域及びその温度データを抽出する人体領域抽出手段16と、上記温度データと閾値(Ty)に基づいて顔面領域及びその温度データを抽出する顔面領域抽出手段17と、顔面領域抽出手段17で得られた顔面領域のデータから乗員の顔面位置を算出する顔面位置算出手段18と、上記人体領域抽出手段16,顔面領域抽出手段17,顔面位置算出手段18からの情報に基づいて乗員の体格を推定する体格推定手段19と、顔面領域抽出手段17,顔面位置算出手段18からの情報と予め基準位置設定手段20に記憶された乗員の基準位置データとを比較して乗員の姿勢を推定する姿勢推定手段21とを備えている。なお、マトリックス型赤外線センサ12は、図2に示すように、車室内の着座した乗員5の前方上部に各座席毎に設置されており、内気温センサ14はダッシュボード内で乗員5の足元のやや上部に設置される。なお、同図において、符号22はエアバック装置を示すものである。エアバック装置22には、図外の乗員認識装置11により、顔面位置算出手段18から乗員5の顔面位置情報Gが、体格推定手段19から乗員5の体格情報Mが、姿勢推定手段21から乗員5の姿勢情報Kがそれぞれ出力される。」 ・「【0016】次に、上記乗員5の顔面位置高さ,人体領域,顔面領域の各データを用いて、乗員5の体格や姿勢を推定する方法について、図5(a),(b)と図6のフローチャートを用いて説明する。まず、算出された乗員5の顔面位置Hと予め設定された基準高さH0とを比較し(ステップS1)、顔面位置が低ければ乗員5は小柄または子供(m状態)と判断する。顔面位置が高ければ、熱画像での顔面領域Cの画素数SCと総画素数S0の比率である顔面領域比を算出し、基準値C0と比較する(ステップS2)。顔面領域比が上記基準値C0より小さい場合には、後述するように、乗員5は赤外線センサ12から離れた位置(定位置付近)に着座しているとし、乗員5の人体領域幅Wを算出し基準値Waと比較する(ステップS3)。乗員の人体領域幅Wが基準値Waに対して大きければ乗員は太っている(f状態)と判断し、Wが小さければ乗員は痩せている(y状態)と判断する。また、顔面領域比が上記基準値C0より大きい場合には、乗員5は身をのりだすなどしていて赤外線センサ12に近づいている位置にいるし、乗員5の人体領域幅Wを算出し、上記基準値Waとは異なる基準値Wbと比較する(ステップS4)。そして、乗員の人体領域幅Wが基準値Wbに対して大きければ乗員は太っている(f状態)と判断し、Wが小さければ乗員は痩せている(y状態)と判断する。図7は、乗員5は赤外線センサ12から離れた位置(定位置付近)に着座している場合の熱画像(8行×16列)の1例で、図7(b)は図7(a)の原画像より抽出した人体領域Bの熱画像で、乗員5がはぼ設定された位置に着座している(L状態にある)ことが分かる。また、同図(c)は乗員5の顔面領域Cの熱画像で、同図(d)は乗員5の着衣領域Dの熱画像である。図8は、図7と同一の乗員5が赤外線センサ12に近い位置にいる場合(l状態)の熱画像の1例で、図7(c)と図8(c),図7(d)と図8(d)とを比較して明らかなように、乗員5が赤外線センサ12に近いl状態のときには顔面領域比も人体領域幅も大きくなっていることが分かる。また、乗員5の姿勢は姿勢推定手段21において、図9に示すように、熱画像内の基準点Oを通る乗員5の顔面領域Cの中心位置Qと基準位置設定手段20に予め設定された乗員5の中心位置Oとの中心ずれ量J(J=OQ)を算出し、上記中心ずれ量Jが予め設定された中心ずれ許容量J0より小さい場合には姿勢が良い(A状態)とし、中心ずれ量JがJ0より大きい場合には乗員5の姿勢が悪い(Z状態)と判定する。なお、中心ずれ量がZ状態の場合、情報Zは、乗員5の顔面領域Cの中心位置Qの成分(Jx,Jy)またはJ=OQの長さと傾き(J,θ)も同時に含むものとする。したがって、乗員認識装置11は、乗員の体格の情報MとしてM=f,y,mの3つの情報のいづれか1つと、乗員の姿勢の情報Kとして乗員5とセンサ12との距離(L,l)の2状態の情報K1と着座中心位置からのずれ(A,Z)の2状態の情報K2とを組み合わせた情報K(K=(K1,K2)=(L,Z)など)と、乗員の顔面位置情報Gとして乗員の顔面位置Hとの3つの情報を演算し出力することができる。なお、上述した、乗員が子供を膝の上に抱いているなど、当該座席に二人以上の乗員がいると推定できる場合には、安全運転上問題があるので、乗員認識装置11は図外の警報器等に信号を送り、乗員に危険な状態であることを警告することができる。」 ・「【0021】エアバック展開のトリガー時間である点火時期は、乗員5の姿勢の情報Kの中から乗員5とセンサ12との距離情報K1を取出し、乗員5とセンサ12との距離が近い(K1=l)なら点火時間を早めてエアバックが速く乗員の前部に展開するようにし、乗員5とセンサ12との距離が遠い(K1=L)なら点火時間を通常時間とする。ガス導入量は、体格情報Mと距離情報K1とシートベルト着用の有無の3つの情報から成る乗員条件に基づいた判定点を算出し決定する。乗員5の体格が大きいほど衝突の際の乗員の受ける衝撃力が大きく、乗員5とセンサ12とエアバックからの衝撃力が大きくなるので、上記判定点は、例えば図13(a)に示すように、体格情報Mと距離情報K1にそれぞれ点数を付け、上記体格情報Mと距離情報K1の点数の積で算出する。なお、シートベルトを着用していないときにはエアバックを十分膨張させる必要があるので、距離情報K1がさらに遠い場合として距離情報K1に組み込み着座条件とした。作動条件演算手段25は、上記積の値に対しガス導入量を6段階にランクづけし、各条件に応じたガス導入量を導入ガス制御手段28へ出力する。なお、衝突の際の衝撃が大きいほど上記ガス導入量を多くする必要があるため、図13(b)に示すように、各ランクのガス導入量を車両衝突時加速度によって補正している。ガス導入方向は、乗員5の姿勢の情報Kの中から着座中心位置からのずれ情報K2を取出し、K2=Aの場合には通常方向とし、K2=Zの場合には上記Zの情報(乗員5の顔面領域Cの中心位置Qの成分(Jx,Jy)またはJ=OQの長さと傾き(J,θ))から、上述したように、作動させる点火装置を点火装置26a~26dから指定することにより制御する。」 ・図9には、以下の内容が示されている。 「 [図:0001419324000005.jpg] 」 (イ)甲3記載事項 上記記載事項を総合すると、甲3には、次の事項(以下「甲3記載事項」という。)が記載されていると認められる。 「車室内の着座した乗員5の前方上部に各座席毎に設置されたマトリックス型赤外線センサ12で得られた車室内の乗員5等の熱画像の温度データと閾値に基づいて顔面領域を抽出する顔面領域抽出手段17と、 顔面領域抽出手段17で得られた顔面領域のデータから乗員の顔面位置を算出する顔面位置算出手段18と、顔面領域抽出手段17,顔面位置算出手段18からの情報と予め基準位置設定手段20に記憶された乗員の基準位置データとを比較して乗員の姿勢を推定する姿勢推定手段21と、 顔面領域抽出手段17,顔面位置算出手段18からの情報に基づいて乗員の体格を推定する体格推定手段19と、 を備え、 姿勢推定手段21において、熱画像内の基準点Oを通る乗員5の顔面領域Cの中心位置Qと基準位置設定手段20に予め設定された乗員5の中心位置Oとの中心ずれ量J(J=OQ)を算出し、上記中心ずれ量Jが予め設定された中心ずれ許容量J0より小さい場合には姿勢が良い(A状態)とし、中心ずれ量JがJ0より大きい場合には乗員5の姿勢が悪い(Z状態)と判定する乗員認識装置11。」 エ 甲4 (ア)記載事項 ・「[0001] 本開示は、ドライバが運転不能となった状態を検出するドライバの運転不能状態検出装置に関する。」 ・「[0016] 図1~3を参照して説明する。検出装置100は、制御装置50、ドライバ状態認識装置20、車両情報認識装置30、走行環境認識装置40、HMI(Human Machine Interface)80、及び記憶装置52を備えて、ドライバの運転不能状態を検出する。そ して、検出装置100は、ドライバが運転不能状態であることをドライバに確認して応答がなかった場合に、車両を安全に停止させる指令を車両制御装置90へ送信する。 [0017] ドライバ状態認識装置20は、複数のドライバカメラ21、シートベルトセンサ22、座面センサ23を備える。ドライバカメラ21は撮像装置に、シートベルトセンサ22は量検出部に、座面センサ23は座圧検出部に、対応する。ドライバカメラ21は、例えばCCDカメラであり、近赤外LED等の照明装置により照らされた運転席を撮像する。ドライバカメラ21は、図2及び3に示すように、メーターパネル14、バックミラー16の下端の略中央、左右のAピラー17に、それぞれドライバに向かって搭載されている。メーターパネル14の代わりに、ダッシュボード13の上(破線で示す)やステアリングコラムにドライバカメラ21が設置されていてもよい。また、バックミラー16の下端の代わりに、バックミラー16の左端や右端(破線で示す)に設置されていてもよい。これら4つのドライバカメラ21はドライバステータスモニタを構成し、運転席のシート11に座ったドライバの上半身を正面側から1秒に数十画像分撮像する。」 ・「[0022] 制御装置50は、CPU、ROM、RAM及びI/O等を備えるマイクロコンピュータであり、ドライバ状態認識装置20、車両情報認識装置30、走行環境認識装置40、記憶装置52、HMI80から各種情報を取得する。制御装置50と各種装置とは、CAN等の有線通信や、LAN、Bluetooth(登録商標)等の無線通信で接続されている。また 、制御装置50は、CPUがROMに記憶されている各種プログラムを実行することにより、画像解析部60、学習部51、状態検出部70の機能を実現し、ドライバの運転不能状態を検出する。各部についての詳しい説明は後で述べる。 [0023] HMI80(姿勢報知部、確認部)は、ディスプレイ81、スピーカ82、キャンセルスイッチ83を備える。ディスプレイ81は、カーナビゲーション装置43のディスプレイや、メーターパネル14内に設けられている車載ディスプレイである。ディスプレイ81は、液晶パネルや有機ELパネルを備えたタッチディスプレイでもよい。ディスプレイ81は、画像から検出されたドライバの姿勢に基づいて、ドライバの姿勢の崩れ度合を報知する。詳しくは、ディスプレイ81は、ドライバの姿勢のステータスを5段階で表示する。最も崩れ度合の高い姿勢崩れレベル5は、ドライバが急病を発症して運転姿勢を維持できなくなった状態、すなわち運転不能状態と判定されるレベルである。ドライバは、ディスプレイ81に表示された姿勢のステータスを見て自分の運転姿勢を確認できるので、姿勢崩れレベルが5に近づいた場合には、運転不能状態と判定される前に運転姿勢を修正できる。」 ・「[0026] 次に、制御装置50が実現する各種機能について、図4を参照して説明する。画像解析部60は、頭部検出部61、軌跡取得部62、痙攣検出部63、傾き検出部64、顔向き検出部65、白目検出部66を含む。 [0027] 頭部検出部61は、ドライバカメラ21により撮像された運転席の画像に基づいて、ドライバの首よりも上の頭部を逐次検出する。詳しくは、頭部検出部61は、ドライバカメラ21により運転席の画像が撮像される都度、運転席の画像からドライバの頭部の輪郭を表すエッジを抽出し、抽出したエッジで囲まれた領域を頭部として検出する。」 ・「[0029] 痙攣検出部63は、ドライバの痙攣、すなわちドライバの頭部及び首よりも下の胴体部の筋肉の不随意な収縮を検出する。詳しくは、痙攣検出部63は、各画像においてドライバの頭部及び胴体部の輪郭を表すエッジを抽出し、連続した画像において抽出したエッジが規則的(周期的)に振動している場合に、ドライバが痙攣していることを検出する。 [0030] 傾き検出部64は、運転席の画像に基づいて、ドライバの胴体部に対する頭部の傾きθを検出する。詳しくは、傾き検出部64は、頭部及び胴体部の輪郭を表すエッジに囲まれた領域を、それぞれ頭部及び胴体部として検出するとともに、頭部及び胴体部の中心軸線を検出する。そして、傾き検出部64は、胴体部の中心軸線に対する頭部の中心軸線の傾きを頭部の傾きθとする。胴体部の中心軸線は、予め用意されている胴体部の向きのパターンと、検出した胴体部の向きとのマッチングを行って胴体部の向きを決め、向きを決めた胴体部から検出する。また、頭部の中心軸線は、頭部に含まれる顔の目、鼻、口等の特徴点を抽出し、顔の特徴点の3次元的な配置から検出する。頭部が前方に傾いた場合は、顔の特徴点と車両前方との距離が近づき、頭部が仰け反った場合は、顔の特徴点と車両前方との距離が遠ざかる。頭部の中心軸線を検出する際に、車両の前後方向における顔の特徴点の距離を用いてもよい。」 ・「[0039] 状態検出部70は、フレームアウト状態検出部71、姿勢崩れ状態検出部72、向き崩れ状態検出部73、揺れ状態検出部74、及び白目状態検出部75を含む。 [0040] フレームアウト状態検出部71は、車両10の走行中に、フレームアウトを判定して、フレームアウトしている場合に、ドライバが運転不能状態であることを検出する。詳しくは、フレームアウト状態検出部71は、頭部検出部61により検出されたドライバの頭部が、画像の範囲FAから外れている場合に、ドライバが運転不能状態であることを検出する。ここで、範囲FAは、ドライバカメラ21により撮像された画像における所定の範囲である。通常の運転時には、ドライバの頭部が範囲FAから外れることはない。範囲FAを、撮像された画像の全体としてもよい。 [0041] ドライバが車両10を正常に運転している場合は、図6に示すように、ドライバがものを取る動作をしても、ドライバの頭部は画像の範囲FAに収まることが多い。これに対して、急病を発症してドライバの意識がなくなると、図5Aから図5Cに示すように、ドライバの頭部が範囲FAから外れることがある。よって、フレームアウト状態検出部71は、ドライバの頭部が画像の範囲FAから外れている場合に、ドライバが運転不能状態であることを検出する。」 ・「[0044] 姿勢崩れ状態検出部72は、車両10の走行中に、ドライバの姿勢崩れの判定をして、姿勢崩れしている場合に、ドライバが運転不能状態であることを検出する。詳しくは、姿勢崩れ状態検出部72は、傾き検出部64により検出された頭部の傾きθが、閾値Th1(相対傾き閾値)よりも大きい場合に、ドライバが運転不能状態であることを検出する。」 ・「[0065] 次に、頭部位置が検出できたか否か判定する(S12)。頭部位置が検出できなかった場合は(S12:NO)、後述するS19の処理で記録した頭部位置から頭部の軌跡情報を取得し、軌跡情報がフレームアウトを示しているか否か判定する(S13)。すなわち、頭部位置の不検出が、頭部が撮像範囲外へ出たことによる不検出か、画像の不明瞭等による不検出かを判定する。」 ・「[0098] なお、検出した胴体部に対する頭部の傾きθ、検出した顔の向き、検出した頭部の位置に基づいて、図18に示すように、ドライバの姿勢崩れ度合をディスプレイ81に表示する。検出した頭部の傾きθが大きいほど姿勢崩れレベルを高くする。また、検出した顔の向きが大きいほど姿勢崩れレベルを高くする。また、検出した頭部の位置が、運転時の標準位置から離れているほど姿勢崩れレベルを高くする。運転時の標準位置は、車両10の始動時の頭の位置、あるいは、ドライバが運転不能状態であることが検出されなかったときの頭部の平均位置とする。」 ・図2には、以下の内容が示されている。 「 [図:0001419324000006.jpg] 」 ・図5A~図5Cには、以下の内容が示されている。 「 [図:0001419324000007.jpg] 」 ・図7A~図7Bには、以下の内容が示されている。 「 [図:0001419324000008.jpg] 」 (イ)認定事項 [図5A]~[図5C]及び段落[0040]の記載を参照すると、「フレームアウト状態検出部71」において、頭部検出部61により検出されたドライバの頭部が、「斜め下方向に移動することで、」画像の範囲FAから外れている場合を検出可能であることが看取できる。 さらに、段落[0023]の「ディスプレイ81は、画像から検出されたドライバの姿勢に基づいて、ドライバの姿勢の崩れ度合を報知する。詳しくは、ディスプレイ81は、ドライバの姿勢のステータスを5段階で表示する。最も崩れ度合の高い姿勢崩れレベル5は、ドライバが急病を発症して運転姿勢を維持できなくなった状態、すなわち運転不能状態と判定されるレベルである。」、及び、段落[0098]の「検出した頭部の位置が、運転時の標準位置から離れているほど姿勢崩れレベルを高くする。運転時の標準位置は、車両10の始動時の頭の位置、あるいは、ドライバが運転不能状態であることが検出されなかったときの頭部の平均位置とする。」との記載を合わせて踏まえると、甲4には、「頭部検出部61により検出したドライバの頭部の位置が、運転時の標準位置から斜め下方向に離れているほど姿勢崩れレベルを高くし、最も崩れ度合の高い姿勢崩れレベル5で、ドライバが急病を発症して運転姿勢を維持できなくなった状態と判定する」ことが示されていると認められる。 (ウ)甲4記載事項 上記記載事項及び認定事項を総合すると、甲4には、次の事項(以下「甲4記載事項」という。)が記載されていると認められる。 「運転席のシート11に座ったドライバの上半身を正面側から1秒に数十画像分撮像するドライバカメラ21を備えるドライバ状態認識装置20と、 ドライバカメラ21により運転席の画像が撮像される都度、運転席の画像からドライバの頭部の輪郭を表すエッジを抽出し、抽出したエッジで囲まれた領域を頭部として検出する頭部検出部61と、頭部検出部61により検出されたドライバの頭部が、画像の範囲FAから外れている場合に、ドライバが運転不能状態であることを検出するフレームアウト状態検出部71と、運転席の画像に基づいて、頭部及び胴体部の輪郭を表すエッジに囲まれた領域を、それぞれ頭部及び胴体部として検出するとともに、頭部及び胴体部の中心軸線を検出し、胴体部の中心軸線に対する頭部の中心軸線の傾きを頭部の傾きθとする傾き検出部64と、傾き検出部64により検出された頭部の傾きθが、閾値Th1(相対傾き閾値)よりも大きい場合に、ドライバが運転不能状態であることを検出する姿勢崩れ状態検出部72と、を含む制御装置50と、 を備え、 頭部検出部61により検出したドライバの頭部の位置が、運転時の標準位置から斜め下方向に離れているほど姿勢崩れレベルを高くし、最も崩れ度合の高い姿勢崩れレベル5で、ドライバが急病を発症して運転姿勢を維持できなくなった状態と判定する検出装置100。」 (2)本件発明1について ア 対比 本件発明1と甲1発明とを対比する。 (ア)甲1発明の「カメラ24」及び「距離画像センサ26」は本件発明1の「撮像部」に相当し、以下同様に、「車両10」は「車両」に、「車室12」は「車室」に、「座席14a,14b」は「座席」に、「撮像画像データ」及び「距離画像データ」は「撮像画像」に、それぞれ相当する。 そして、上記相当関係を踏まえると、以下のことがいえる。 (イ)甲1発明において、「カメラ24」は「座席14a,14bの各々に着座している乗員を撮像する」ものであり、「距離画像センサ26」は「座席14a,14bに着座している乗員までの距離を算出する」ものであるので、「カメラ24」及び「距離画像センサ26」は共に、「座席に着座している乗員を」「撮像する」ものと認められる。 また、甲1発明の「カメラ24」及び「距離画像センサ26」は、「座席14a,14bに臨む状態で設けられているダッシュボード18のほぼ中央に位置するモニタ装置20に設けられ」るものであるので、甲1の【図1】も踏まえると、「座席」「を前方から撮像」するものと認められる。 さらに、甲1発明の「情報取得部40」は、「撮像画像データ及び」「距離画像データを取得する」ものであるので、本件発明1の「撮像画像を取得する画像取得部」に相当する。 したがって、甲1発明の「車両10の車室12内に座席14a,14bに臨む状態で設けられているダッシュボード18のほぼ中央に位置するモニタ装置20に設けられ、座席14a,14bの各々に着座している乗員を撮像するカメラ24が撮像した撮像画像データ及び座席14a,14bに着座している乗員までの距離を算出する距離画像センサ26が撮像した距離画像データを取得する情報取得部40」「を備え」る構成は、本件発明1の「撮像部によって車両の車室内で座席に着座している乗員を前方から撮像して得られる撮像画像を取得する画像取得部」「を備え」る構成に相当する。 (ウ)甲1発明の「体幹面特定部44」のうち、「撮像画像データ、及び距離画像データに基づいて、乗員の姿勢を推定」する部分は、本件発明1の「姿勢推定部」に相当する。 したがって、甲1発明の「撮像画像データ、及び距離画像データに基づいて、乗員の姿勢を推定」「する体幹面特定部44」「を備え」る構成は、本件発明1の「前記撮像画像に基づいて、前記乗員の姿勢を推定する姿勢推定部」「を備え」る構成に相当する。 (エ)甲1発明の「体幹面特定部44」、「座席特定部42」、「算出部46」及び「判定部48」は、「推定された乗員の姿勢から、乗員の体幹を示す位置座標を含む乗員の体幹面を特定」し、「撮像画像データ、及び距離画像データに基づいて、座席の面の位置を特定」し、「体幹面の位置と、座席の面の位置と、に基づいて、乗員の体幹部の体積を算出」し、「算出された乗員の体幹部の体積に基づいて、乗員の体格を判定する」ものであるので、「前記姿勢推定部により推定される前記乗員の姿勢、および前記撮像画像に基づいて、前記乗員の体格を推定する」ものであるといえる。 したがって、甲1発明の「推定された乗員の姿勢から、乗員の体幹を示す位置座標を含む乗員の体幹面を特定する体幹面特定部44と、」「撮像画像データ、及び距離画像データに基づいて、座席の面の位置を特定する座席特定部42と、体幹面の位置と、座席の面の位置と、に基づいて、乗員の体幹部の体積を算出する算出部46と、算出部46で算出された乗員の体幹部の体積に基づいて、乗員の体格を判定する判定部48」「を備え」る構成は、本件発明1の「前記姿勢推定部により推定される前記乗員の姿勢、および前記撮像画像に基づいて、前記乗員の体格を推定する体格推定部」「を備え」る構成に相当する。 (オ)甲1発明の「乗員の関節点(P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10)」「の位置」は、関節点という人体における特徴的な点の位置であるから、本件発明1の「前記乗員の複数の特徴点の座標」に相当する。 また、甲1発明において、「関節点の位置と、予め定められた人体の各部位の長さに基づいて、乗員の姿勢を推定する」ことは、甲1の【図5】を踏まえると、「前記複数の特徴点を結ぶ線」「に基づいて、前記乗員の姿勢を推定」することであるといえる。 したがって、甲1発明の「体幹面特定部44は、撮像画像データを解析し、乗員の関節点(P1、P2、P3、P4、P5、P6、P7、P8、P9、P10)を推定し、関節点の位置と、予め定められた人体の各部位の長さに基づいて、乗員の姿勢を推定する」構成と、本件発明1の「前記姿勢推定部は、前記撮像画像内の前記乗員の複数の特徴点の座標、および前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線と前記撮像画像内に設定された基準線とのなす角度に基づいて、前記乗員の姿勢を推定」する構成とは、「前記姿勢推定部は、前記撮像画像内の前記乗員の複数の特徴点の座標、および前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線に基づいて、前記乗員の姿勢を推定」する構成において共通する。 (カ)甲1発明の「乗員検出装置」は、「車両10の車室12内に」「設けられ、」「座席14a,14bの各々に着座している乗員を撮像するカメラ24」を備えるものであるので、本件発明1の「室内監視装置」に相当する。 (キ)そうすると、両者は、 「撮像部によって車両の車室内で座席に着座している乗員を前方から撮像して得られる撮像画像を取得する画像取得部と、 前記撮像画像に基づいて、前記乗員の姿勢を推定する姿勢推定部と、 前記姿勢推定部により推定される前記乗員の姿勢、および前記撮像画像に基づいて、前記乗員の体格を推定する体格推定部と、 を備え、 前記姿勢推定部は、前記撮像画像内の前記乗員の複数の特徴点の座標、および前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線に基づいて、前記乗員の姿勢を推定する室内監視装置。」 において一致し、以下の点で相違する。 [相違点] 姿勢推定部における乗員の姿勢を推定方法に関し、本件発明1では、前記撮像画像内の前記乗員の複数の特徴点の座標、および「前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線と前記撮像画像内に設定された基準線とのなす角度に基づいて、」前記乗員の姿勢を推定し、「前記撮像画像内の前記乗員の複数の特徴点の座標、および前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線と前記撮像画像内に設定された基準線とのなす角度に基づいて、前記乗員の姿勢を推定する場合に、正規着座の状態を基準として、前記撮像画像に含まれる前記複数の特徴点の座標が下方向または所定の斜め下方向に移動するに従い、前記乗員の身体が寝た状態に近づいていると推定する」のに対して、甲1発明では、「関節点の位置と、予め定められた人体の各部位の長さに基づいて、乗員の姿勢を推定する」ものである点。 イ 判断 (ア)甲2記載事項の「距離画像センサ4」は本件発明1の「撮像部」に対応し、以下同様に、「距離画像」は「撮像画像」に、「複数の標本点22」及び「複数の特定点22」は「複数の特徴点」に、「右上肢の標本点22である右肘の標本点22eと左上肢の標本点22である左肘の標本点22dとを結ぶ直線L100」は「前記複数の特徴点を結ぶ線」に、「水平線L200」は「前記撮像画像内に設定された基準線」に、それぞれ対応する。 そうすると、甲2記載事項の「運動支援システム1」は、本件発明1の記載に倣うと、 「撮像部によって撮像して得られる撮像画像を取得する画像取得部と、前記撮像画像に基づいて、姿勢を推定する姿勢推定部と、を備え、前記姿勢推定部は、前記撮像画像内の複数の特徴点の座標、および前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線と前記撮像画像内に設定された基準線とのなす角度に基づいて、姿勢を推定する」 構成を含むものと認められる(下線部は本件発明1との差異を表す。下記(イ)及び(ウ)においても同じ。)。 (イ)甲3記載事項の「姿勢推定手段21」は本件発明1の「姿勢推定部」に対応し、以下同様に、「乗員5」は「乗員」に、「体格推定手段19」は「体格推定部」に対応する。 また、甲3記載事項の「マトリックス型赤外線センサ12」は、「車室内の乗員5等の熱画像」を「得」るものであるので、「画像取得部」であるといえる。 さらに、甲3記載事項の「基準位置設定手段20に予め設定された乗員5の中心位置O」は、「正規着座の状態を基準」とするものと認められる。 そうすると、甲3記載事項の「乗員認識装置11」は、本件発明1の記載に倣うと、 「車両の車室内で座席に着座している乗員から得られる画像を取得する画像取得部と、前記画像に基づいて、前記乗員の姿勢を推定する姿勢推定部と、前記画像に基づいて、前記乗員の体格を推定する体格推定部と、を備え、前記姿勢推定部は、前記画像内の前記乗員の顔面領域の中心位置の座標に基づいて、前記乗員の姿勢を推定し、」「前記乗員の姿勢を推定する場合に、正規着座の状態を基準として、前記画像に含まれる前記顔面領域の中心位置の座標が移動するに従い、前記乗員の姿勢が悪いと判定する」 構成を含むものと認められる。 (ウ)甲4記載事項の「ドライバカメラ21」は本件発明1の「撮像部」に対応し、以下同様に、「運転席のシート11」は「座席」に、「ドライバ」は「乗員」に、「運転席の画像」は「撮像画像」に、「ドライバ状態認識装置20」は「画像取得部」に、それぞれ対応する。 また、甲4記載事項の「頭部検出部61」、「フレームアウト状態検出部71」、「傾き検出部64」及び「姿勢崩れ状態検出部72」は、「運転席の画像に基づいて、」「ドライバの頭部」の位置や「胴体部の中心軸線に対する頭部の中心軸線の傾き」から「ドライバが運転不能状態である」ことを検出するものであるので、本件発明1の「姿勢推定部」に対応する。 そうすると、甲4記載事項の「検出装置100」は、本件発明1の記載に倣うと、 「撮像部によって車両の車室内で座席に着座している乗員を前方から撮像して得られる撮像画像を取得する画像取得部と、前記撮像画像に基づいて、前記乗員の姿勢を推定する姿勢推定部と、を備え、前記姿勢推定部は、前記撮像画像内の前記乗員の頭部の輪郭を表すエッジで囲まれた領域の位置、および前記頭部の中心軸線と胴体部の中心軸線とのなす角度に基づいて、前記乗員の姿勢を推定し、」「前記乗員の姿勢を推定する場合に、運転時の標準位置を基準として、前記撮像画像に含まれる前記乗員の頭部の輪郭を表すエッジで囲まれた領域の位置が斜め下方向に移動するに従い、ドライバが急病を発症して運転姿勢を維持できなくなった状態に近づいていると推定する」 構成を含むものと認められる。 (エ)したがって、相違点の後段に係る「前記撮像画像内の前記乗員の複数の特徴点の座標、および前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線と前記撮像画像内に設定された基準線とのなす角度に基づいて、前記乗員の姿勢を推定する場合に、正規着座の状態を基準として、前記撮像画像に含まれる前記複数の特徴点の座標が下方向または所定の斜め下方向に移動するに従い、前記乗員の身体が寝た状態に近づいていると推定する」構成は、甲2記載事項~甲4記載事項のいずれにも開示されていない。 (オ)そして、甲2記載事項は「運動支援システム」に係るものであるので、甲1発明の「体幹面特定部44」と甲2記載事項の「運動支援システム1」とが、「前方から撮像して得られる撮像画像」「に基づいて、姿勢を推定する」機能を有する点で共通するとしても、甲1発明に甲2記載事項を適用した際に、さらに、「乗員の身体が寝た状態に近づいていると推定する」構成とすることや、そのために、相違点の後段に係る構成とすることが当業者にとって設計的事項であるとは認められない。 (カ)また、甲3や甲4にも、「乗員の身体が寝た状態に近づいている」ことを推定することに関する記載はなく、甲1発明に甲2記載事項を適用した際に、併せて、甲3記載事項又は甲4記載事項を採用したとしても、その上でさらに、「乗員の身体が寝た状態に近づいていると推定する」ために特定の方向である「下方向または所定の斜め下方向に移動する」ことを判断する構成とする動機付けはないものと認められる。 (キ)さらに、甲3記載事項は、「乗員5の顔面領域Cの中心位置Q」の中心ずれ量により姿勢の良し悪しを判定するもの、換言すると、一つの特徴点の移動を検出することで乗員の姿勢の良し悪しを判定するものと認められる。 そうすると、甲1発明に甲2記載事項を適用した際に、併せて、甲3記載事項を採用したとしても、甲1の【図5】や甲2の[図4]に示すように、甲1発明や甲2記載事項では、「頭」に関して一の特徴点のみを使用していることを踏まえると、その上でさらに、「複数の特徴点の座標」の移動に基づいて判断する構成とする動機付けもない。 (ク)甲4記載事項についても、「ドライバの頭部の輪郭を表すエッジで囲まれた領域」に基づいて判断するものであるところ、画像検出において「輪郭を表すエッジ」と「複数の特徴点」とは概念の異なるパラメータであるので、甲1発明に甲2記載事項を適用した際に、併せて、甲4記載事項を採用したとしても、その上でさらに、「複数の特徴点の座標」の移動に基づいて判断する構成とする動機付けはない。 (ケ)したがって、本件発明1は、甲1発明、甲2記載事項、甲3記載事項及び甲4記載事項から、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 ウ 申立人の主張について (ア)本件申立書における主張 ア 申立人の主張 申立人は、本件申立書において、以下の旨を主張する。 車両の室内監視装置の分野に限ったとしても、「車両の室内監視装置において、撮像画像内の乗員の複数の特徴点から得られる線と撮像画像内に設定された基準線とのなす角度に基づいて、乗員の姿勢が推定される技術」は従来周知である(例えば、甲3ないし甲4)。 イ 当審の判断 前記イ(イ)に説示したとおり、甲3は「顔面領域の中心位置の座標」に基づいて乗員の姿勢を推定するものであり、甲3の【図9】に記載されている「傾きθ」は、段落【0021】に記載されているように、「姿勢が良い(A状態)」、「姿勢が悪い(Z状態)」を判断した後、「姿勢が悪い(Z状態)」であるときに、作動させる点火装置を指定するために使用するものである。 また、前記イ(ウ)及び(ク)に説示したとおり、甲4は「頭部の輪郭を表すエッジで囲まれた領域の位置、および頭部の中心軸線と胴体部の中心軸線とのなす角度」に基づいて乗員の姿勢を推定するものであり、画像検出において「輪郭を表すエッジ」と「複数の特徴点」とは異なる検出方法により求められる概念の異なるパラメータである。 さらに、甲4において、「頭部の中心軸線」と「胴体部の中心軸線」とは共に乗員の姿勢そのものを表すものであって、「撮像画像内に設定された基準線」に対応するものとは認められない。 したがって、甲3及び甲4に、申立人が主張する「撮像画像内の乗員の複数の特徴点から得られる線と撮像画像内に設定された基準線とのなす角度に基づいて、乗員の姿勢が推定される技術」が開示されているものとは認められない。 (イ)令和6年9月4日付けの意見書における主張 ア 申立人の主張 申立人は、令和6年9月4日付けの意見書において、以下の旨を主張する。 甲4には、「撮像画像に含まれる乗員の頭部の軌跡情報に基づいて、乗員の姿勢崩れを検出し、頭部の位置が運転時の標準位置から離れるほど姿勢崩れレベルを高くする技術」が記載されているといえる。 ここで、「頭部」は「特徴点」に相当するため、「頭部の軌跡情報」は、「特徴点の座標の移動を表す情報」であるといえる。また、図5A~図5Cには、姿勢崩れが生じるときに乗員の頭部がフレームアウトする例が示されており、頭部の移動方向を示す矢印は斜め下方向を向いている。さらに、頭部の「運転時の標準位置」は、「正規着座の状態」に相当する。そして、頭部が下方向へ移動する姿勢崩れは、「乗員の身体が寝た状態」に近くなることは明らかであることから、乗員の特徴点の座標が下方向移動するに従い、乗員の身体が寝た状態に近づいていると推定することは、「頭部の位置が標準位置から離れるほど姿勢崩れレベルを高くする技術」に含まれる。 これらに鑑みると、甲4には、「正規着座の状態を基準として、撮像画像に含まれる特徴点の座標が下方向または所定の斜め下方向に移動するに従い、乗員の身体が寝た状態に近づいていると推定する」ことが開示または示唆されているといえ、甲4の技術では、軌跡情報が取得される特徴点は頭部だけであるが、姿勢崩れ検出の精度を向上させるために、複数の特徴点の軌跡情報を利用することに困難性は無い。 イ 当審の判断 甲4の[図5A]~[図5C]には「ドライバの頭部」の「斜め下方向」への移動が描画されてはいるが、甲4の段落[0040]及び[0041]を参照すると、当該描画は画像の範囲FAからフレームアウトしている場合の一例を表しているにすぎず、「乗員の身体が寝た状態に近づいている」ことを推定するためのものではないので、甲4に「正規着座の状態を基準として、撮像画像に含まれる特徴点の座標が下方向または所定の斜め下方向に移動するに従い、乗員の身体が寝た状態に近づいていると推定する」ことが開示されているものとは認められない。 また、前記イ(ウ)及び(ク)に示すとおり、甲4記載事項は、「ドライバの頭部の輪郭を表すエッジで囲まれた領域」に基づいて判断するものであるところ、画像検出において「輪郭を表すエッジ」と「複数の特徴点」とは概念の異なるパラメータである。 そして、甲4には、当該「輪郭を表すエッジ」に基づいて、「連続した画像において抽出したエッジが規則的(周期的)に振動している場合に、ドライバが痙攣していることを検出」(段落[0029])したり、「頭部及び胴体部の輪郭を表すエッジに囲まれた領域を、それぞれ頭部及び胴体部として検出するとともに、頭部及び胴体部の中心軸線を検出」し、「胴体部の中心軸線に対する頭部の中心軸線の傾きを頭部の傾きθと」して(段落[0030])、「頭部の傾きθが、閾値Th1(相対傾き閾値)よりも大きい場合に、ドライバが運転不能状態であることを検出する」(段落[0044])ことも記載されている。 そうすると、甲1発明に甲4記載事項を適用したとしても、「輪郭を表すエッジ」に基づいて判断するものである甲4に対して、「前記複数の特徴点」に基づいて判断する構成へと変更することが、当業者にとって容易であるとも認められない。 よって、申立人の当該主張は採用できない。 (3)本件発明2~5について 本件発明2~5は、本件発明1の発明特定事項を全て含み、さらに限定をしたものであるから、本件発明1と同様の理由により、甲1発明、甲2記載事項、甲3記載事項及び甲4記載事項から、当業者が容易に発明をすることができたものではない。 (4)小括 以上のとおり、本件発明1~5は、甲1発明、甲2記載事項、甲3記載事項及び甲4記載事項から、当業者が容易に発明をすることができたものではないから、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものということはできない。 3 理由2(サポート要件)について (1)理由2-1について ア 申立人の主張 申立人は本件申立書において、以下の旨を主張する。 請求項1に、「前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線と前記撮像画像内に設定された基準線とのなす角度」との記載があるが、この記載では、特徴点を結ぶ線および撮像画像内に設定された基準線について、特徴点を結ぶ方法、基準線を設定する方法はいかなるものであっても、技術的範囲に含まれるように見受けられる。 しかし、本件特許の明細書では、基準線の設定方法に関して、基準線は撮像画像に予め設定された水平方向の線である例が記載されているのみであり、姿勢の推定方法に関しても、複数の特徴点を結ぶ線と、水平線(基準線)とのなす角度に基づいて姿勢を推定する旨の記載があるのみであり、請求項1に係る発明の範囲まで、発明の詳細な説明において開示された内容を拡張ないし一般化できるとはいえない。 イ 当審の判断 本件特許に係る発明では、「乗員の姿勢を推定」するために、「前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線と前記撮像画像内に設定された基準線とのなす角度」を使用するものであるので、全ての特徴点を結ぶ方法や全ての基準線を設定する方法まで理解を必要とするものではない。 そして、本件特許の明細書の段落【0049】~【0051】及び【0063】~【0064】には、「撮像画像内の乗員の左右の肩間を結ぶ線」と「当該線との間でなす角度を取得し得るx軸に並行な基準線」を使用して「乗員の身体がセンターコンソール側にもたれている状態」を推定することが、段落【0054】及び【0059】~【0060】には「撮像画像内の乗員の左右の腰間の中点と乗員の首の付け根を結ぶ線」と「当該線との間でなす角度を取得し得るx軸に並行な基準線」を使用して「乗員の身体がセンターコンソール側にもたれている状態」を推定することが記載されていることに鑑みると、本件特許の明細書及び図面に接した当業者であれば、「乗員の姿勢を推定する」ために、「複数の特徴点を結ぶ線」と「基準線」がどのようなものであればよいかが理解できるから、本件訂正後の請求項1の「前記撮像画像内の前記複数の特徴点を結ぶ線と前記撮像画像内に設定された基準線とのなす角度」との記載が、発明の詳細な説明に記載した範囲を超えるものであるとは認められない。 よって、申立人の当該主張は採用できない。 (2)理由2-2について ア 申立人の主張 申立人は本件申立書において、以下の旨を主張する。 請求項1に、「前記姿勢推定部により推定される前記乗員の姿勢、および前記撮像画像に基づいて、前記乗員の体格を推定する体格推定部」との記載があるが、本件特許の明細書には、乗員の姿勢と乗員の体格の推定の関係について具体的な記載がなく、乗員の姿勢がどのような場合に、乗員の体格をどのように推定するのか、上記の対応関係が明細書には具体的に記載されていない。 つまり、本件発明が解決しようとする課題が、「撮像部を用いて、車室内に存在する乗員の体格を高精度に推定可能とする室内監視装置を提供することである」にもかかわらず、明細書において体格の推定方法に関する記載は具体性を欠いていることに鑑みると、請求項1には、当該課題を解決するための手段が開示されていない。 イ 当審の判断 本件特許の明細書の段落【0005】、【0007】、【0008】及び【0076】の記載を踏まえると、本件特許の明細書には、「座席の状態の変化や、乗員の姿勢の変化が発生すると、乗員の体格の検知精度が低くなる」という課題に対して、「撮像部を用いて、車室内に存在する乗員の体格を高精度に推定可能とする室内監視装置を提供する」ことを目的として、「車両の車室内を撮像して得られる撮像画像を取得する画像取得部と、撮像画像に基づいて、車室内に存在する乗員の姿勢を推定する姿勢推定部と、姿勢推定部により推定される乗員の姿勢、および撮像画像に基づいて、乗員の体格を推定する体格推定部と、を備える」構成を採用し、その結果、「乗員の姿勢を検出するための専用の機構を用いることなく、乗員の姿勢、および乗員の体格が推定可能となるので、車内カメラを用いた乗員の体格の推定精度を向上させることができる」という効果を奏することが記載されている。 そうすると、「撮像画像を取得する画像取得部」、「撮像画像に基づいて、乗員の姿勢を推定する姿勢推定部」及び「姿勢推定部により推定される乗員の姿勢、および撮像画像に基づいて、乗員の体格を推定する体格推定部」を備える本件訂正後の請求項1に係る発明は、上記した本件特許の課題を解決するための手段が反映されているものと認められる。 また、体格の推定方法に関しても、本件特許の明細書の段落【0042】によれば、本件特許に係る発明は、「撮像画像内の乗員の複数の特徴点の座標を含む体格推定指標に基づいて」、「乗員の姿勢および撮像画像に基づく乗員の体格推定が可能となる」ものと認められるので、本件特許の明細書及び図面に接した当業者であれば、「撮像画像内の乗員の複数の特徴点の座標を含む体格推定指標」に対し、推定された「乗員の姿勢」を踏まえて体格を推定することが理解できる。 よって、申立人の当該主張は採用できない。 4 理由3(明確性要件)について (1)申立人の主張 申立人は本件特許異議の申立てにおいて、以下の旨を主張する。 本件特許の明細書に記載された作用効果を勘案すれば、本件特許発明は、「正規着座していない乗員(=姿勢が崩れている乗員)についても高精度に体格推定する」ことが主旨と解される。 しかし、請求項1には、体格推定に関して、「前記姿勢推定部により推定される前記乗員の姿勢、および前記撮像画像に基づいて、前記乗員の体格を推定する体格推定部」としか記載されておらず、当該請求項に係る発明の範囲が不明確であるため、上述した本件発明の主旨に反するもの、例えば、推定された乗員の姿勢(正規着座しているか否か)に基づいて体格推定を実施するか否かを判断するような乗員の姿勢の推定結果が体格推定の精度向上に寄与しないものまで、本件特許の訂正前の請求項1の範囲に含まれ得る。 (2)当審の判断 本件特許の明細書の段落【0005】によれば、本件特許に係る発明は、「座席の状態の変化(例えば、スライド、リクライニング)や、乗員の姿勢の変化(例えば、前後方向への傾き、左右方向への傾き)が発生すると、乗員の体格の検知精度を低くなる」ことを課題の一部として含むものであり、正規着座しているか否かの推定を必要とするものではない。 また、本件訂正後の請求項1には、体格推定に関して、「前記姿勢推定部により推定される前記乗員の姿勢、および前記撮像画像に基づいて、前記乗員の体格を推定する体格推定部」と特定されており、「乗員の体格を推定」は「姿勢推定部により推定される前記乗員の姿勢」に基づいて行われるものであることは明白であるので、本件訂正後の請求項1に係る発明の範囲が不明確であるとは認められない。 よって、申立人の当該主張は採用できない。 第7 むすび 以上のとおりであるから、取消理由通知(決定の予告)に記載した取消理由、並びに特許異議申立書に記載した特許異議申立理由及び証拠によっては、請求項1~5に係る特許を取り消すことはできない。 さらに、他に請求項1~5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり決定する。

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2023-701071

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